中国のEVスタートアップたちが投資ゲームに参戦

中国で繰り広げられている自動車関連スタートアップを対象とした投資ゲームは、既存のベンチャーキャピタル会社だけでなく業界のベテランも参加し、競争が激化している。最近、新規ラウンドを完了したモビリティに特化した2つのファンドには、中国を代表する新参の電気自動車メーカーが参加している。

ベンチャーとグロースステージ向けの新しい投資ビークルのRockets Capital(ロケッツ・キャピタル)は、3月初めに2億ドル(約240億円)の初のファンドのクローズを発表し、電気自動車メーカーのXpengがアンカーインベスターを務めた。他の投資家はIDG Capital、Sequoia China、GGV Capital、5Y Capital、eGardenなど中国の大手機関投資家だ。このファンドは、自動車産業のバリューチェーン、クリーンエネルギー、その他の「フロンティアテクノロジー」分野でのビジネスチャンスを探している。

もう1つの大きなクローズは、Nio Capital(ニオ・キャピタル)の申し込み超過となった4億ドル(約480億円)の2回目の米ドル建てファンド「Eve ONE Fund II」だ。投資家は政府系ファンド、保険会社、多国籍金融機関、ファンド・オブ・ファンズ、ファミリーオフィス、年金基金、財団など世界各国から集まっている。

Nio Capitalは、ファンドの名前にもなっているが、XpengのライバルであるNioの創業者William Li(ウィリアム・リ)氏が立ち上げた会社だが、この投資機関はNio自体とは直接の関係はない。人民元建てファンドを米ドル建てファンドとともに運用し、自動車、テクノロジー、エネルギー分野に特化している。

Rockets Capitalは、EV投資家との関係をより公にしている。独立した投資会社として活動する一方で、Xpengの「業界の専門知識とリソース」を活用し「技術革新のインキュベーション」を行う。明言されているミッションを考えると、Rocketsの将来の投資先にもXpengと取引や提携をする企業があってもおかしくはないだろう。

2016年に設立されたNio Capitalは、投資分野では先行している。中国における同社の注目すべき取引には、Bosch(ボッシュ)が支援するMomenta(モメンタ)トヨタが支援するPony.ai(ポニーエーアイ)という2つの大手ロボタクシー企業、それからTemasek(テマセク)が支援するライダーメーカーInnovusion(イノビュージョン、Nioのサプライヤーの1社でもある)、BPが支援するバッテリー交換のAulton(オールトン)、自動車チップメーカーBlack Sesame(ブラックセサミ)などがある。

過去数年間、Nio Capitalは中国の自動車産業における新進気鋭のプレイヤーたちとともに、自らの周りに要塞を築いてきた。Rockets Capitalとその後援者XpengがどのようにNio Capitalに追いつき、市場を再構築するためにどのような提携を結ぶことができるか、注目だ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国の新興EVメーカーXpengが海外進出、ノルウェーを足がかりに多くの欧州市場を目指す

Nio(ニオ)と同様に、中国の電気自動車メーカーXpeng(シャオペン)も海外展開を開始した。しかし、ノルウェーで派手なキャンペーンを展開したライバルとは異なり、Xpengは2021年10月にスカンジナビアの国で静かにスタートした。

同社はノルウェーで、SUVの「G3」とセダンの「P7」の出荷を開始した。2022年にさらに多くの欧州市場に参入することを目指していると、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。

Xpengが海外展開を控えめにしているのは、おそらく11月18日発表した最初の「国際的」モデルであるSUVの「G9」の発売を待っていたからだろう。

「G9は、国際市場と中国市場の両方に向けて一から構想を練って開発された当社初のモデルであり、当社の最も洗練されたデザインを世界中の顧客にお届けします」と、同社の共同創業者で社長のHenry Xia(ヘンリー・シャ)氏は11月19日の自動車展示会で述べた。

このSUVは、Xpengの4番目の生産モデルであり、同社の最新の先進運転支援システム(ADAS)を搭載した初のモデルとなる。Xpilot 4.0と呼ばれるこのADASは、2021年10月のTech DayでXpengが説明したように、都市部での運転を想定して作られている。Xpilot 4.0を乗用車に搭載するのは野心的であり、完全な自律走行に近づくために「車両の始動から駐車まで」を支援することを目的としている。

Xpilot 4.0のコンピューティングパワーは、2つのNVIDIA Orin-Xシステムオンザチップユニットで構成されている。そのハードウェアには、カメラ、ライダー、ミリ波レーダー、3D視覚認識ネットワークが組み込まれている。

言い換えると、G9にはセンサーが何層にも重なっていることになる。しかし、Xpengはそれらを目立たないようにしている。例えば、デュアルライダーユニットはヘッドライトに組み込まれている。従来、ライダーは量産車には高価なものだったが、Xpengや業界関係者はセンサー技術を手頃な価格にすべく取り組んでいる。

この件に詳しい人物によると、G9が中国で発売されるのは2022年の第3四半期で、そのため欧州の顧客がSUVを試すことができるのは2023年以降になりそうだ。

一方、Xpengは、高度な自律走行乗用車を国際展開できるようにするために多くの課題を抱えている。同社は、ターゲットとする市場で充電ネットワークを構築する必要があるが、このプロセスは新型コロナウイルス感染症で中断されがちだ。また、Xpilotは高精細な地図に頼っているため、おそらく中国国内のナビゲーション会社との連携が必要になる。

また、Xpengはスマートカーの安全性について、各国政府から疑問を投げかけられるかもしれない。自動車の自動運転に対する各国政府の姿勢は異なり、Tesla(テスラ)のADASが絡んだ衝突事故の件で、この技術が準備万端かどうか懐疑的な見方が強まった。

Xpengはこの点に関していくつかの準備をしている。例えば、ドライバーにXpilotを起動させる前に、ドライバーをテストして安全性のスコアを与えることにしている。また、車両に搭載されたモニタリングシステムがドライバーの審査を行い、ドライバーが無責任な行動をしていると判断した場合には、Xpilotへのアクセスを取り消すこともある。

その他の仕様

G9は、Xpengの「スーパーチャージャー」に対応している。このスーパーチャージャーは800Vの高電圧の量産型SiC(シリコンカーバイド)で、5分もかからず最大200km走行分を充電することができる。

また、G9には故障カ所を特定できる「故障検知」システムが搭載されている。そして、システムは在庫があるサービスセンターを表示するとともに、修理時間と費用の見積もりも案内する。

最後に、G9にはギガビット・イーサネット通信アーキテクチャが採用されていて、より高いレベルの自律走行、スマート・コックピット、OTAアップグレードのために「通信とサポートを向上」している。

画像クレジット:Xpeng’s G3

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

完全自動運転、フライングカー、ロボットポニー。XPeng 2021 Tech Dayトップハイライト

中国のスマート電気自動車メーカーであるXPeng(小鵬汽車、シャオペン)は、未来のモビリティエコシステムの構築を見据えた一連のイノベーションを発表した。

XPengの会長でCEOのHe Xiaopeng(小鵬何、シャオペン・フー)氏は、中国時間10月24日(日曜日)に北京で開催された2021 Tech Dayにおいて「より効率的で安全、かつカーボンニュートラルなモビリティソリューションの探求は、スマートEVをはるかに越えて、当社の長期的な競争優位性の礎となります」と述べた。「お客さまのために、最先端のモビリティ技術を量産モデルに搭載することを目指しています」。

シャオペン氏は、同社の先進運転支援システム(ADAS)の最新バージョン 、スーパーチャージャー・ネットワーク 、HT Aero(HTエアロ)との共同開発による次世代飛行自動車、そして 子ども用ロボットポニーについて詳しく説明した。

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街乗り用にデザインされるXpilot 3.5

「シティ・ナビゲーション・ガイデッド・パイロット(NGP)」を搭載するXpilot 3.5

XPengは、2022年前半に一部の都市で次世代ADASをドライバーに提供する予定だ。Xpilot 3.5は「シティ・ナビゲーション・ガイデッド・パイロット(NGP)」を搭載するが、XpengのP5ファミリーセダンのみで利用できる予定だ。P5ファミリーセダンには、都市レベルのNGPには必須の、LiDAR(ライダー)、ミリ波レーダー、複数のターゲットを認識・分類・位置付けできる3D視覚認識ネットワークが搭載される。

これに対して、XpengのP7セダンのドライバーに提供されたXpilotの現行バージョンである3.0は、高速道路レベルのNGPに対応し、Xpengは距離にして約1200万キロメートル分のデータを収集している。

Xpilot 3.5には、高度な予測機能を備えた戦略的プランニングモジュールが搭載され、ルール駆動型とデータ駆動型のAIを組み合わせて、静止物や路上の弱者の回避、任意の速度での車線変更などの、都市型シナリオに対応できるという。

XPengの完全自動運転へのアプローチは、Tesla(テスラ)と同様にレベル2の自動運転(ADASシステム)を経て、レベル5に到達することを目指している(SAE International[米国自動車技術者協会]は、レベル2の自動運転を、アダプティブ・クルーズ・コントロールやブレーキ・サポートなどのサポート機能を中心としたものとしている。そしてレベル5の自動運転とは、あらゆる状況下でどこでも運転ができるシステムと説明されている)。テスラは2021年9月、顧客がFSDベータ(Full Self-Driving Beta)ソフトウェアの利用を要求できるソフトウェアアップデートをリリースした。FSDには、自動車線変更、駐車場への進入・退出、オートステアリングなどの機能が含まれているものの、現在のところ街中ではまだ利用できない。テスラは、この機能をいつ都市で使えるようにするかについては明らかにしていない。同機能は視覚とニューラルネットワーク処理のみを利用する

XPengの自動運転担当副社長であるXinzhou Wu(吳新宙、ウー・シンジョウ)氏は、イベントの中で「人間と機械の共同運転機能は、当面の間、重要なものであり続けるでしょう」と述べた。「私たちの 使命は、高度な運転支援から完全な自動運転へと段階的に移行することであり、まずすべての運転シナリオを完全に洗い出すという明確なロードマップを持っています。クローズドループでのデータ操作、ソフトウェアの反復開発、量産性など、すべてを自社で開発していることで、私たちは安全性を大幅に向上し、業界のロングテール問題を解決するための最先端を走ることができているのです」。

テスラがFSDソフトウェアを有料化したように、XPengもXpilotを有料化した。XPengはバージョン3.5の価格を明らかにしなかったが、XPengの広報担当者は、バージョン3.0は現在2万人民元(約35万5400円)で買い切るか、または年間サブスクリプションで支払うことができるとTechCrunchに語った。

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Xpilot 4.0でフルシナリオのポイントツーポイントADASを実現

XPengが2023年前半に展開を予定しているXpilot 4.0は、完全な自律性を目指すレースでの優位をもたらすことになるだろう。この計画でXPengは、クルマを起動してから駐車するまで、ならびにその間のすべての場面のフルシナリオの、アシスト付きスマートドライビング体験を提供する最初の企業となることを目指していいる。

このバージョンのXpilotは多大な計算能力を必要とするため、XPengはバージョン4.0のためのハードウェア・アップグレードを開発している。同社はその声明の中で「508 TOPS ECUの計算能力を、2つのOrin-X自動運転システム・オン・ザ・チップ(SOC)ユニットでサポートしています。800万画素のフロントビュー双眼カメラと290万画素のサイドビューカメラ(これらで前後左右をカバー)、そして高度に統合された拡張可能なドメインコントローラーを搭載しています」と述べている。

XPengは、Xpilot 4.0の市場投入準備を行う中で来年末までに、高速道路でのNGP走行距離7500万マイル分、市街地でのNGP走行距離2200万マイル分のデータ収集、さらに自動駐車機能であるValet Parking Assist(VPA)の普及率90%を目指している。

XPengはまた、これらのADASを量産する際の安全性の重要性を強調し、スマートドライビングはその1つの側面に過ぎないとした。スタートアップは、ユーザーインターフェイスとオペレーティングシステムのアップグレードを発表した。Xmart OS 4.0は、車の周囲の環境を3Dで表現し、詳細な表示を行うことを約束した。XPengは、ドライバーがよりスムーズに運転できるように、独自の音声アシスタントのバージョン2.0も提供しようとしている。

最後に、テスラがFSDベータ版ソフトウェアをテストしたいドライバーのために安全性スコアを公開すると同時に、新しい保険のために大量のデータを取得したように、XPengはXpilotを起動する前にドライバーがXpilotの限界を理解できるようにするための安全性テストを公開している。ドライバーにはスマートドライビングスコアが表示されるが、XPengはその正確な提供時期を明らかにしていない。

5分で最大200kmの走行が可能になるスーパーチャージャー

もしXPengが未来のスマートモビリティーのエコシステムを作りたいのであれば、そのための電力が必要だ。XPengは、すでに中国全土で1648カ所の無料充電ステーションと439カ所のブランド充電ステーションを展開しているが、今回のTech Dayでは、800Vの高電圧を持つシリコンカーバイド製の量産型充電プラットフォームをベースにした次世代の「X-Power」スーパーチャージャーを生産する計画を明らかにした。

X-Powerチャージャーは、わずか5分でEVが200kmまで走行できるだけの電力を供給することができ、1台のスーパーチャージャーで平均30台の車両を同時に充電することができるとXPengはいう。またXPengは、軽量の480kWの高電圧スーパーチャージャーバッテリーを導入する予定だ。このバッテリーは車両と一緒に納品されるためオーナーは初回の充電にそれを使うことができる。このスーパーチャージングネットワークをサポートするために、XPengは電池と移動式車両の形の充電設備を立ち上げるという。

XPengは、この新しい充電技術がいつ市場に出るかについては明言していない。

地上走行もできるフライングカー

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XPengはこのイベントで、世界トップの、低高度有人フライングカーメーカーになるという新たな目標を明らかにした。そして、第6世代のフライングカーの計画を発表した。しかし、これはただのフライングカーではない。路上も走行できるようになるのだ。

イベント中に上映されたビデオでは、Xpeng P7よりもさらにセクシーなクルマが、折り畳み式のローター機構によって普通の車からフライングカーに変身するという映像が示されていた。XPengによれば、この低高度フライングカーの重量はP7の50%になり、道路走行用のステアリングホイールと飛行モード用のシングルレバーを備えているという。

また、この新型フライングカーには、周囲の環境や天候を十分に評価し、離陸前に安全性の評価を行うことができる高度な環境認識システムが搭載されるという。システムは収集したデータを運行目的に照らし合わせて評価し、安全な離着陸を確保し、飛行中は高度な知覚と飛行制御アルゴリズムを用いて障害物を回避する。

XPengの関連会社であるアーバンエアモビリティ(UAM、都市型飛行移動)企業のHT Aeroが開発しているこの新しい装置は、早ければ2024年には量産が開始される予定だ。最終的なデザインは来年中に決定される予定だが、シャオペン氏によれば100万人民元(約1780万円)以下のコストを目指しているという。

先週XPengは、HT Aeroの5億ドル(約567億8000万円)のシリーズA資金調達を主導した。HT AeroはXPengのために他のUAM機も製造しており、直近ではXPengの第5世代のフライングカーである2人乗りのXPeng X2を製造している。XPengの広報担当者がTechCrunchに語ったところによれば、第6世代のフライングカーはX2同様の、たとえばオフィスから空港への移動などの、飛行時間が30分以内の都市部での利用が想定されているという。XPengの狙いは消費者に直接販売することで、低高度飛行規制がどのように変化して、そのかなり早い市場投入戦略に対応するのかが注目される。同社は、2024年までに民間用のフライングカーを量産するために、規制当局とどのように協力していくかについては、詳しく述べていない。

ロボットポニーに乗ってスマートモビリティへの道へ

XPengは2021年9月、子どもが乗って遊ぶことのできるポニー(子馬)型ロボットを発表した。人間の感情を察知することができる明敏な四足動物となることが理想だ。XPengはTech Dayにおいて、このポニーのようなスマートロボットが、自動車よりもはるかに複雑な自律性の課題に対応できる、統合スマートモビリティシステムのインテリジェントなプラットフォームになると考えていることを詳しく説明した。

Xpengのロボットポニーにおやつを積み込む女性。Xpengの2021年Tech Dayで発表されたビデオより

そして、それは子どもだけのものではない。XPengはプレゼンテーションの中で、このかわいいポニーのロボットが、オフィスでスナックやその他の小包を配達するのに使えることを示すビデオを上映した(そして同じビデオの中で、XPengは同じ仮想オフィスの中をうろうろしている別のロボットをからかい気味に描いていた。それはXiaomの不気味なロボット犬にどことなく似ていた)。

このロボットは、多様な環境と複数のターゲットを認識するように訓練され、3Dでルートプランニングを行い、顔、体、声紋によってユーザーを認識することができるようになるとXPengはいう。また、動的音響マッピング、バイオニック聴覚、バイオニック嗅覚、さらには足裏や指紋によるタッチや皮膚のセンシングによるバイオニック触覚体験などの技術を実験している、XPengのロボットは、360度カメラモジュールとLiDARセンシングシステムに加えて、物体認識と音場認識技術を備えており、やり取りする環境の最も正確なモデルを得ることができる。

XPengの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、このロボットポニーの市場投入までのスケジュールはまだ決まっていないものの、開発段階のプロトタイプはあるという。

声明の中で同社は「より高度なターゲット認識と環境との正確なインタラクション、より複雑な地形での移動を可能にする3Dルートプランニング、そして強化されたバイオニックな感覚を利用することで、XPengはスマートモビリティの未来のために、より広いモビリティ、より高度な自律的プランニング、そしてより強力なマンマシンインタラクションをサポートする、より大きなアプリケーションシナリオを実現します」という。

画像クレジット:Xpeng

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

中国のEVメーカーXpengが支援する都市型エアモビリティHT Aeroが約570億円を調達

中国の電気自動車メーカーXpeng(シャオペン)の関連会社である都市型エアモビリティ(UAM)企業のHT Aero(HTエアロ)は、5億ドル(約571億円)のシリーズA調達を発表した。同社の創業者兼社長であるDeli Zhao(デリ・ジャオ)氏は、この資金を、トップクラスの人材の獲得、研究開発の推進、次世代の車両に向けた「耐空性の規定と認証の取得の継続」に使用すると述べている。

ジャオ氏は声明の中で「当社の次世代モデルは、低空飛行と道路走行の両方に対応した、飛行機と自動車が完全に統合されたものになるでしょう。我々は、2024年に正式に展開することを計画しています」と述べている。

HT Aeroは先日、第5世代の飛行車である「Xpeng X2」を公開した。この飛行車は、特定の都市シナリオを想定した自律飛行による離着陸、バックエンドのスケジューリング、充電、飛行制御を行うことができる。同社は、企業ではなく個人の消費者向けにUAMソリューションを提供したいと述べているが、これは確かにXpengの目標に沿っているといえるだろう。

Xpengは、IDG Capital(IDGキャピタル)および5Y Capital(5Yキャピタル)とともに、今回の資金調達を主導した。HT Aeroによると、この資金調達は、アジアの低空飛行車分野における最大のシングル・トランシェ資金調達とのことだ。このラウンドには、Sequoia China(セコイア・チャイナ)、Eastern Bell Capital(イースタン・ベル・キャピタル)、GGV Capital(GGVキャピタル)、GL Ventures(GLベンチャーズ)、Yunfeng Capital(ユンフェン・キャピタル)などの投資家組織も参加している。Xpengは、純粋な金融投資家グループの中で唯一の戦略的投資家であり、本気でモビリティの未来を掴もうとしていることを示唆している。

Xpengは、HT Aeroへの投資の一環として、同社の強みである自律走行技術に関する知識の共有や、物流・サプライチェーンマネジメントの支援を行うことができる。また、HT AeroはXpengの製造能力を活用することができると、同社のスポークスマンはTechCrunchに語っている。

HT AeroのUAM車両は、運転と飛行の統合を目指すXpengのモビリティ・エコシステムにおいても役割を果たすことになる。XpengのCEOであるHe Xiaopeng(ホー・シャオペン)氏は、10月24日に開催される同社のイベント「Tech Day」で自律走行技術、飛行車、スーパーチャージング技術、ユニコーンロボットなどの最新情報とともに、このエコシステムについてさらに詳しく説明する予定だ。

本田技研工業(HMC)も最近、さまざまな形態のモビリティを1つのエコシステムに統合する計画を発表した。HMCのコーポレートコミュニケーションマネージャーであるMarcos Frommer(マルコス・フロマー)氏は、未来の消費者がアプリを使って、ロボタクシーからeVTOL(電動垂直離着陸機)まであらゆるものを予約できるようになる、さまざまなシナリオを明らかにした。

シャオペン氏は声明の中で「私たちの使命は、スマートEVにとどまらず効率的で安全かつカーボンニュートラルなモビリティソリューションを探求することです。私たちが見ているのは、スマートモビリティの3つの原動力である、破壊的技術、新しいエネルギー源、大量生産の統合です。私たちはこのチャンスを逃しません。それは、現代の交通機関の歴史上、前例のないことです」と述べている。

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画像クレジット:HT Aero

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

子供が乗れるロボユニコーンは中国のEVスタートアップXpeng製

子どものためにロボット犬を買うのではなく、神話上の生き物を買ってあげるといいかもしれない。中国の電気自動車メーカーXpengは、子どもたちが乗れるロボットユニコーンを発表した。SCMPによると、この四足歩行ロボットは、Xpengの自律走行やその他のAIタスクの経験を活かして複数の地形タイプをナビゲートし、物体を認識し「感情的なインタラクション」を行うという。

その他の詳細については明らかにされていないが、デザインはBoston RoboticsのSpotをよりかわいく、より子ども向けにしたようなものだ。サイズは子どもと同じくらい。ただ申し訳ないが、あなたが仕事に向かうときに踊ることはない。

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このユニコーンロボットは、本物のユニコーンと同じくらい神話的な存在でもある。Xpengは、価格や入手方法はおろか「角付きロボット馬」の販売予定時期も明らかにしていない。7万5000ドル(約826億円)のSpotほどではないかもしれないが、洗練されていることもあり2019年に発売された2900ドル(日本では21万7800円)のaiboよりも高いと予想される。

ある程度までは、利益は問題ではない。XpengのチーフであるHe Xiaopeng(ホー・シャオペン)氏は、今回のユニコーンは同社の既存技術を活用してロボット分野に進出する広範な動きの一環であるという。これは第一歩だと思って欲しい。Xpengがユニコーンから学んだことは、より洗練された(そしてできれば大人向けの)ロボットの開発につながるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget

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画像クレジット:Xpeng

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(文:Jon Fingas、翻訳:Katsuyuki Yasui)

中国Xpengが展開するLiDARを利用した自律運転EV

Elon Musk(イーロン・マスク)の、LiDAR(Light Detection and Ranging、光による検出と測距)に依存する企業は「破滅する」という発言は有名で、実際Tesla(テスラ)は、自動運転機能は視覚認識で成り立つという信念の元、レーダーを撤去しようともしている。しかし、中国のXpeng(シャオペン、小鵬汽車)は異なる考えのようだ。

関連記事:「LiDARに依存する自動運転車に未来はない」とイーロン・マスクが主張

2014年に設立されたXpengは、中国で最も有名な電気自動車のスタートアップ企業の1つで、設立からわずか6年で上場を果たしている。同社はTeslaと同様、自動化を自社戦略の重要な課題と考えているが、Teslaとは異なり、レーダー、カメラ、Alibaba(アリババ)が提供する高精度地図、自社開発のローカリゼーションシステムの他、さらに最近ではLiDARを組み合わせて道路状況を検知、予測している。

Xpengの自律走行研究開発センターを統括するXinzhou Wu(ウー・シンヂョウ、吳新宙)氏は、TechCrunchのインタビューに応じ「LiDARは、子どもやペットなどの小さな動く障害物や、運転中の誰もが恐れる他の歩行者やバイクに対しても正確に距離を測定し、走行可能な空間を3Dで提供してくれます」と話す。

「LiDARに加えて、位置や速度を示す通常のレーダー、基本的なセマンティック(意味的)な情報を大量に持つカメラがあります」とウー氏。

Xpengは、2021年下半期に納車を開始する量産型EVモデルP5にLiDARを搭載する。この車はファミリーセダンで、Alibabaのマップに掲載された中国の高速道路や一部の都市の道路を、ドライバーが設定したナビに基づいて走行することができるようになる。LiDARを搭載していない旧モデルでは、すでに高速道路での運転アシストが可能だ。

「Navigation Guided Pilot(NGP)」というこのシステムは、TeslaのNavigate On Autopilotをベンチマークとしているとウー氏は話す。例えば車線変更、ランプへの進入、退出、追い越しの他、中国の複雑な道路状況ではよく観られる突然の割り込みに対する操作などを、すべて自動的に行うことができる。

「都市部は高速道路に比べて非常に複雑ですが、LiDARと精密な知覚能力があれば、基本的に3層の冗長性を持ったセンシングが可能になります」。

ADAS(先進運転支援システム)であるNGPでは、ドライバーはハンドルから手を離さず、いつでも車両をコントロールできる状態である必要がある(中国の法律では、ドライバーが路上でハンドルから手を離すことは認められていない)。Xpengの野望は、2~4年後にドライバーを排除すること、すなわちレベル4の自律性に到達することだが、実際の導入は規制次第とのことだ。

「しかしそれについてはあまり心配していません。中国政府はテクノロジーの規制に関して、実は最も柔軟だと思っています」とウー氏は話す。

LiDAR陣営

マスク氏がLiDARを嫌うのは、レーザーを使ったリモートセンシング手法のコストが高いことにある。ウー氏によると、初期の段階ではロボタクシーの上で回転するLiDARユニットに10万ドル(約1090万円)ものコストがかかっていたという。

「今では、少なくとも2桁は低くなっています」と話すウー氏。ウー氏は米Qualcomm(クアルコム)に13年在籍した後、2018年末にXpengに入社し、同社の電気自動車の自動化に取り組んでいる。現在は、Xpengの中核である、500人のスタッフを擁する自律走行研究開発チームを率いており、このチームの人数は2021年末までに倍増するという。

LiDARを搭載した新型セダンについては「次は、エコノミークラスをターゲットにしています。価格的にはミッドレンジと言えるでしょう」とウー氏は話す。

Xpengの車両に搭載されるLiDARセンサーは、深圳に本社を置くドローン大手のDJI(ディー・ジェイ・アイ)の関連会社であるLivox(ライボックス)が提供する。Livoxはより手頃な価格のLiDARが売りで、Xpengの本社かクルマで約1.5時間の広州を拠点とする。

関連記事:テスラの中国ライバルXpengがDJI系列LivoxのLiDARセンサーを採用へ

LiDARを採用しているのはXpengだけではない。Xpengのライバルで、より高価格帯の市場をターゲットにしている中国のNIO(ニーオ)は、2021年1月にLiDARを搭載したクルマを発表したが、このモデルの生産開始は2022年になる予定である。最近では、中国の国有自動車メーカーBAIC(北汽集団)の新しいEVブランドであるARCFOX(アークフォックス、極狐)が、Huawei(ファーウェイ)のLiDARを搭載した電気自動車を発売すると発表した。

マスク氏は最近、Teslaがカメラと機械学習による純粋なビジョンに近づくにつれ、製品からレーダーを完全に撤去するかもしれないと示唆している。マスク氏はTeslaの古いソースコードのコピーをXpengが持っていると主張しており、Xpengに好意的な感情を抱いていない。

2019年、Teslaは同社のエンジニアであったCao Guangzhi(ツァォ・グゥァンヂー、曹廣志)氏に対し、企業秘密を盗んでXpengに持ち込んだとする訴訟を起こした。Xpengは不正行為を繰り返し否定している。ツァォ氏は現在、Xpengに在籍していない。

供給の課題

Livoxは、ドローンメーカーであるDJIに「育てられた」独立した事業体であると主張しているが、ある関係者の話では、Livoxは別会社という位置づけの「DJI内のチーム」にすぎないという。DJIとの距離を主張する意図は、DJIが米国政府のエンティティリストに登録されているためだ。Huaweiを含む多数の中国ハイテク企業の主要サプライヤーがエンティティリストにより排除されている。

さらにXpengは、NVIDIA(エヌビディア)のXavierシステムオンチップ・コンピューティングプラットフォームや、Bosch(ボッシュ)のiBoosterブレーキシステムなどの重要部品を使用している。世界的に見ても、半導体の供給不足は続いており、自動車の幹部たちはチップにさらに依存するようになる自動運転車の将来のシナリオに悩み始めている。

関連記事:Google、Intel、Dell、GMなどテックと自動車業界のCEOたちが世界的なチップ供給不足問題で米政府と討議

Xpengはサプライチェーンのリスクを十分に認識しているようだ。「第一に、安全性は非常に重要です。安全性の課題は国家間の緊張よりも重要です。新型コロナウイルス感染症に影響を受けているサプライヤーもありますし、複数の供給路を検討しておくことは、私たちが非常に重要視している戦略の1つです」とウー氏は話す。

ロボタクシーの攻勢

Xpengは、Pony.ai(ポニーアイ)や広州のWeRide(ウィーライド)など、中国で急増している自律走行ソリューション企業と手を組むこともできた。しかし、Xpengは彼らの競争相手となり、自社で自動化に取り組み、人工知能のスタートアップ企業を打ち負かすことを誓ったのだ。

EVメーカーとロボタクシーのスタートアップ企業の関係について、ウー氏は「自動車用の大規模なコンピューティングが手頃な価格で利用できるようになり、LiDARの価格が急速に低下している現在、この2つの陣営に大差はありません」。

「(ロボットタクシー会社は)量産車の開発を急ぐ必要があります。2年後にはすでに量産可能な技術になり、ロボタクシー企業の価値は今よりもずっと低くなってしまうと思います」とウー氏は続ける。

「私たちは、自動車産業に求められる安全性と検査の基準を満たす技術の量産方法を知っています。これは、生き残りを左右する非常に高いハードルです」。

Xpengにはカメラのみに頼る計画はない。LiDARのような自動車技術の選択肢がより安価で豊富になってきた今、なぜそれを利用せずにカメラのみにこだわる必要があるのか、とウー氏は問いかける。

「私たちは、マスク氏とTeslaに敬意を払い、彼らの成功を願っています。しかし、(Xpengの創業者である)Xiaopeng(何小鵬)の有名なスピーチにあるように、私たちは中国で、そして願わくば他の国でも、さまざまな技術で競争していきます」。

5Gは、クラウドコンピューティングやキャビンインテリジェンスと一体になって、Xpengの完全自動化の実現を加速させることになると思われるが、ウー氏は5Gの利用法についてはあまり詳しく語らなかった。無人運転が可能になり、ドライバーがハンドルから手が離すことができるようになれば、Xpengは車に搭載される「多くのエキサイティングな機能」を探求するだろう。すでにノルウェーで電気SUVを販売しているXpengは、さらなるグローバル展開を目指している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:XpengLiDAR中国自律運転電気自動車ロボタクシー

画像クレジット:Xpeng

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

テスラの中国ライバルXpengがDJI系列LivoxのLiDARセンサーを採用へ

Tesla(テスラ)と中国のライバルである Xpeng(シャオペン、小鵬汽車)の間での戦いは、Xpengが自動運転の将来に対する姿勢を明確にしたことで、加熱している。先の週末に、Xiaomi(シャオミ)やAlibaba(アリババ)たちが投資家として支えるXpengが、Livox(ライボックス)のLiDARセンサーを採用することを発表した。Livoxは中国のドローンの巨人DJIと密接な関係を持つスタートアップだ。

リモートセンシング技術であるLiDARに、中国のサプライヤーを選択したのは、米中技術戦争の複雑さを反映したものだ。これまでTeslaは知的財産権の窃盗疑惑でXpengを告発してきたが、Xpengはそれを繰り返し否定してきた。一部の業界専門家を驚かせたのは、Xpengが2021年には量産型自動運転車にLiDARを搭載すると発表した(Twitter投稿)ことだ。これはTeslaとの差別化を行うためと思われる。Xpengの発表を知ったElon Musk(イーロン・マスク)氏は、XpengにはTeslaの技術が欠けていると一笑に付した。

マスク氏は、これまでずっと自動運転に対するLiDARの採用を「不必要で高価なセンサー」と呼んで却下してきた。その代わりにTeslaは、同社の自動運転車のためにニューラルネットワークのトレーニングとカメラを使った視覚認識に頼っている。中国企業の中には、マスク氏のビジョンに賛同するものもいる。たとえばDaimler(ダイムラー)が出資するMomenta(モメンタ)は、より安価なミリ波レーダーや高精細カメラの利用に賭けている(未訳記事)。

Xpengはすでに、データを収集するために複数のソースを利用している。特にカメラ、ミリ波レーダー、超音波といったセンサーたちだ。今回のLiDARの追加に関して同社は「道路状況をより正確に映像化できるようにすること」で、主要なシステムコンポーネントが故障した場合でも、自動運転車の運転を継続することができる「より高いレベルの安全性のための冗長性を提供する」と述べている。また、LiDARは「目標検知能力、測定精度、低環境光下やその他の困難な知覚条件下での性能を向上させる」と同社は主張している。

Livoxが選択されたことも興味深い。Velodyne(ベロダイン)やLuminar(ルミナー)のような成熟した海外技術も選択肢としてあるが、中国政府が主要産業の技術的自立を推し進めていることを考えると、Xpengの選択は予想されたものだ。一方、中国内でLivoxはBosch(ボッシュ)や中国の検索大手Baidu(バイドウ、百度)が支援するHesai(ヘサイ、禾賽科技)や、国営自動車メーカーのBAIC(北京汽車)やSAIC(上海汽車)から資金提供を受けているRobosense(ロボセンス)などの強敵に直面している。

Livox自体は、スタートアップ自身の説明によれば、2016年にDJI社内インキュベーションプログラムを通じて「独立企業」として設立されたという。同社のセールスポイントの1つは、独自の光電子走査方式を採用することで、LiDARの低価格化を実現できたことだという。

DJIは農業用ドローンのようなB2Bビジネスへの移行を進めているため、自動運転への進出はその目的に適っている。しかし、DJIとLiDARスタートアップとの関係は、少なくとも世間から見れば謎に包まれたままだ。Livoxの企業紹介文には、同社は「センサーの革新とハードウェア製造に対するDJIの深い専門知識に支えられている」と記載されており、その製品はDJIの公式小売店を通して販売されている。それ以外のDJIが株式を保有しているのか、経営を支配しているのかといった点に関しては触れられていない。

この件に詳しい人物の話によれば、結局のところLivoxは「もともとDJI内の単なるチームであり、後から別会社として位置づけられたものである」という。また一方で、「まるで製品ラインの1つのように」製造やサプライチェーンを含むDJIのリソースへのアクセスを行っている、ということだ。

Livoxが意図的にDJIから距離を置いている動機の1つとして考えられるのは、LiDARを中国との技術戦争における重要な分野と見なしている米国政府から、精査を受ける可能性を回避するためだと、その人物はいう。DJIは最近、米国政府の禁輸リストに追加された。このリストに掲載されたHuawei(ファーウェイ、華為)やSenseTime(センスタイム、商湯科技)のような他の中国のハイテク企業たちは、米国のサプライヤーから主要なコンポーネントを入手することを制限されている。DJIの創業者であり最高経営責任者を務めるFrank Wang(フランク・ワン)氏も、世間の注目度を下げたいと考えていると思われている。

LivoxとDJIからのコメントは得られていない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:XpengLivoxLiDARDJI自動運転

画像クレジット:Xpeng

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(翻訳:sako)

中国のEVスタートアップXpengがニューヨーク証券取引所に上場、約1600億円を調達

中国の電気自動車スタートアップであるXpeng(小鹏、シャオペン)は、米国での最初の株式公開の結果、15億ドル(約1600億円)を調達した。米国と中国との緊張の高まりが懸念される中、投資家のEVとクリーンエネルギーへの興味がそれに勝ったかたちだ。

中国の広州に本社を置き、シリコンバレーとサンディエゴにもオフィスを構えるこの自動車メーカーは、9970万株を1株15ドル(約1600円)で販売し、およそ15億ドル(約1600億円)を調達したと書類には記されている。当初は、8500万株を11〜13ドル(約1170〜1380円)の公募価格で売り出す予定だった。

Xpengの株式は、ニューヨーク証券取引所で「XPEV」というティッカーシンボルで木曜日から取引が始まった。同社は、ウォールストリート・デビュー以前に受けた中国のeコマース大手Alibaba(阿里巴巴、アリババ)とXiaomi(小米科技、シャオミ)からの援助を含め、投資家たちから総計で17億ドル(約1800億円)を調達している。7月には、中国のテクノロジー好きな中流層を狙った電気自動車の新型車種を開発する目的で、およそ5億ドル(約530億円)をシリーズC+ラウンドで調達したことを発表した。

公開市場に移行したことで同社は、次第にEVメーカーが増えつつ中国市場での競争に必要なさらに巨額な資金に手が出せるようになった。Li Auto(理想汽車、リー・オート)、Nio(蔚来汽車、ニーオ)、WM Motor(威馬汽車、ウェルトマイスター・オート)、 そしてもちろん、2019年12月に新しい上海工場でのModel 3の生産を開始したTesla(テスラ)と競うことになる。

中国上海、2019年8月25日:中国の自動車メーカーXpengの上海のショールームで新車を下見する客たち(画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

Xpengは、現在、G3 SUVとP7セダンの2車種を販売している。G3の生産は2018年12月に始まった。7月31日時点で、1万8741台のG3 SUVを顧客に納品したと同社は話している。

P7の出荷は2020年5月に開始された。Tesla Model 3の直接のライバルとなるP7は、7月31日時点で1966台が出荷されている。Xpengは、3つ目の車種も計画している。これもセダンタイプだが、2021年mp発売予定だ。

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

BlackBerryは中国のスマートカーXpengのOSになる

一時期は先頭を走っていたものの、スマートフォン製造ゲームからずいぶん遠ざかってしまった(未訳記事)BlackBerry(ブラックベリー)だが、カナダの拠点でネット接続機器向けのソフトウェアを提供するための移行に忙しい。その機器の中に、スマートカーがある。現在、同社はその部門を中国に移している。

今週、BlackBerryは中国で最も多くの資金を調達した電気自動車スタートアップのひとつであり、中国におけるTesla(テスラ)のライバルでもあるXpeng(小鹏、シャオペン)のレベル3自動運転ドメインコントローラー開発にソフトウェアを提供することを発表した(BlackBerryリリース)。Xpengのインテリジェントコックピットには、QNXと呼ばれるBlackBerryのオペレーティングシステムが搭載される。これで、自動車メーカーの次世代モデル開発に参入したAndroid(アンドロイド)やLinux(リナックス)に対抗することになる(GlobeNewswire記事)。

BlackBerryとXpengの提携には、Aptiv(アプティブ)のような車載システムを総合的に扱う企業Desay SV Automotive(德賽西威汽車、デゼイエスブイ・オートモーティブ)が仲介に立っている。Desay SVは1986年に創設され、Siemens(シーメンス)を含む中国とドイツのジョイントベンチャーとして輝かしい歴史を持つ。恵州を拠点とする同社は、現在は中国をはじめ世界の自動車業界のティアワンブランドに部品を供給しつつ、OEM機器も提供している。

Xpengのドメインコントローラーのカネールには、NVIDIA(エヌビディア)の自動運転車用Xavier(ゼイビア)コックピットチップが使われているため、Xpengの新型車のソフトウェアとハードウェアのかなりの部分が外国の技術に依存している。

現在注目を集めているXpengの量産モデルは、P7と銘打たれた電気スポーツセダンだ。これには、「車の運転状況」の計算を行い「周囲の環境をリアルタイムでモニターし安全な運転判断を行う360度全方位の感知システムを提供する」処理ユニットが搭載される、と同社は発表の際に伝えている。

「Desay SV Atomotiveは、インテリジェントコックピット、スマートドライビング、ネット接続機器に豊富な経験を有しています。BlackBerry QNXの安全性に関する専門技術を加味することで、私たちはともに、有意義なトランスフォーメーションを推進する自動車業界の多様なニーズに対応できるようになります」と、BlackBerry Technology Solutions(ブラックベリー・テクノロジー・ソリューションズ)の上級副社長兼共同経営者であるJohn Wall(ジョン・ウォール)氏は声明の中で述べている。

「その目標にとって、BlackBerryの技術をXpeng Motorsの革新的な新型P7システムに導入できることは、まさに特権といえます」。

Alibaba(阿里巴巴、アリババ)とXiaomi(小米科技、シャオミ)の支援を受けるXpengは、今回の提携により、ニューヨークでの初の募集で11億ドル(約1170億円)の調達を見込んでいる。Li Auto(理想汽車、リーオート)とNIO(上海蔚来汽車、ニーオ)という中国のライバルも、米国でのIPOで同等の資金を調達している。

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カテゴリー:モビリティ

タグ:BlackBerry Xpeng 自動運転 中国

画像クレジット:Xpeng P7 electric sedan

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(翻訳:金井哲夫)