Facebook MessengeアプリにmacOS版とWindows版が登場

デビューから9年たってやっとデスクトップにFacebook Messengerアプリがやって来た。デスクトップブラウザを使った音声とビデオ通話が2倍以上に増えたことを受けて、4月2日、MessengerはMacWindowsのデスクトップアプリをリリースした。

アプリ版の機能はブラウザ版と同じだが、ブラウザでタブを多数開くとMessengerを見つけるのが面倒だった。独立のアプリであればチャットの管理がずっと容易になる。「我々は物理的に離れていても一緒にいるためのさまざまな方法を探している」とFacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は書いている。

こういう大きな影響を与えるアプリがいきなりリリースされるのは異例だ。FacebookがMessengerのデスクトップアプリを開発することを発表したのは、1年前のF8カンファレンスだった。 しかし新型コロナウイルスのために今年のF8がキャンセルされた一方、ユーザーはMessengerのデスクトップアプリを今すぐ必用としていることが明らかだった。それらを考えると大がかりなプレスイベントなしでアプリがリリースされたのは理にかなっている。先月、Mac版がベータテストされているのが発見された。 Windows版は2011年に短期間公開されたもののすぐに削除されていた。

現行のFacebook Messengerの最大の欠点は、グループビデオ通話の参加者が最大8人に制限されていることだろう。最近セキュリティ上の問題が報じられているものの人気のあるZoomなら100人でも(それだけの参加者がいれば500人でも)処理できる。つまり新型コロナウイルス(COVID-19)の流行によるリモートワークが急速に普及し始めてから現われた新しいユースケースの一部をMessengerはサポートできない。またセッションに参加するためのURLを他の人と簡単に共有する方法もない。つまり公開のウェブセミナーや参加者多数の会議などのソーシャルイベントで用いることは想定していない。

これ以外にも画面共有機能がないことも目立つ。コンピュータで自分が見ているものを相手に示すことができないとビジネスのユースケースでは非常に不便だ。またフォトアルバムを見せることもできない。企業向けFacebookのWorkplaceのデスクトップのチャットアプリには画面共有機能がある。将来はMessengerにもこの機能が追加されべきだろう。

新型コロナウイルスのためにロックダウン状態になるとチャットアプリは仕事を進めるための連絡から大きな会議まで既存の人間関係をベースにしたもっとも重要なコミュニケーションプラットフォームになる。これまでのように対面の会話をオンラインで補強するというだけでは足りない。今後のチャットアプリは人間のコミュニケーションを全面的にサポートするものでなければならない。

【Japan編集部追記】トップのWindows版リンクは日本のMicrosoftアプリストアに差し替えてある。ダウンロードにはMicrosoftのパスワードが必要。HDDの場合、アプリを閉じると再立ち上げに数秒かかる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

元NSAの専門家がZoomのMac乗っ取り脆弱性を警告、Zoomからは回答なし

すでにTechCrunchでもZoomのセキュリティー対策が最悪だということは報じているが、さらに悪いニュースが出ている。

新型コロナウイルスの流行の影響で世界では多数の人々がリモートワークに移行し、ビデオ会議アプリのZoomの人気も急上昇している。しかしこの関心の高まりはZoomのセキュリティ対策とプライバシー保護のずさんさに注目を集めることになった。セキュリティ専門家2名がZoomのバグを利用してユーザーのWindowsパスワードを盗む方法を発見したのに続き、別の専門家がMacを乗っ取ることができるバグをさらに2つ見つけ出した。このバグはユーザーのウェブカメラやマイクを任意に操作できるという。

元NSAのコンピュータ専門家でJamfの主席セキュリティー担当のPatrick Wardle(パトリック・ウォードル)氏は、ゼロデイ攻撃に利用できる未発見のZoomのバグ2件をブログに発表した。同氏は4月1日にこの問題をTechCrunchに知らせてくれた。

同氏によれば、この2つのバグはローカルの攻撃者によって利用される可能性があるという。つまり問題のコンピュータに物理的に接触可能であることが必要だ。このバグが利用されると、攻撃者は恒久的に当該コンピュータの制御を握ることができる。つまりマルウェアやスパイウェアを密かにインストールすることができるわけだ。

1つ目のバグは、すでに発見されたバグであるZoomが利用する「いかがわしい」テクニックに便乗する。 これは多くのマルウェアにも利用されているが、ユーザーに気づかれずにアプリをインストールする手法だ。ウォードル氏によれば、Macに物理的にアクセスできる攻撃者は自分が最低レベルの権限しか持っていなくてもバグを仕込んだZoomのインストーラーを仕込み、これを通じてコンピュータのルート(あらゆる作業が可能な管理者権限)を取れるという。

ルートを取った攻撃者は当然macOSそのものを自由に操作できる。これは管理者以外の一般ユーザーにとって立ち入り禁止の区域であり、ユーザーに気付かれずにマルウェアやスパイウェアを簡単にインストールし実行できる。

2番目のバグは、ZoomがMacのウェブカメラとマイクを操作するプログラムの欠陥を利用する。他のアプリと同様にZoomがウェブカメラとマイクを利用するにはユーザーの同意を必要とする。しかしウォードル氏によれば、攻撃者は悪意あるコードをZoomに付加することで、Zoomが持つカメラとマイクへアクセス権を取得できるという。悪意のあるコードを付加したZoomを立ち上げると、攻撃者はZoomがすでに持つアクセス権を「自動的に継承」できる。これにはカメラとマイクへのアクセスが含まれる。同氏はこれを実行するのに成功したという。「別途アクセス権に関するプロンプトは表示されず、付加したコードは音声、動画を任意に記録することができた」と述べている。

同氏はブログでは脆弱性の具体的な詳細を公表していない。Zoomからはまだ修正パッチのリリースはない。またTechCrunchはZoomにコメントを求めているがまだ回答がない。一方同氏は「セキュリティーとプライバシーを重視するならZoomの利用を中止するしかないだろう」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

人気ビデオ会議アプリ「Zoom」が今も抱えるさまざまな問題

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのおかげで、ビデオ通話は新奇なものから必需品へと変わった。人気ビデオ会議サービスのZoom(ズーム)は、いちはやく他を引き離して最も使われているサービスになっている。

しかし、それでいいのだろうか?

最近のZoom人気は、同社のセキュリティー保護やプライバシーに関わる問題に改めて光を当てた。米国時間3月31日、The InterceptはZoomのビデオ通話は、同社の主張とは異なり、エンドツーエンド(終端間)暗号化が行われていないと報じた

そしてMotherboardは、Zoomが「少なくとも数千人の」をメールアドレスを漏洩したと報じ、その理由を個人のアドレスが自社の所有物のように扱われていたためだと指摘している。

以上は、2019年にその運営状態や誤解を招くマーケティングに対して集中砲火の後始末に明け暮れた会社のごく最近の事例だ。

  • Apple(アップル)は、ZoomがユーザーのMacに秘密のウェブサーバーをインストールしていたのを公表しなかったことを1人のセキュリティー研究者が発見した。その後、数百万台のMacの安全を守るためにアップデートをプッシュ配信せざるを得なかった。そこにサーバーがあったのはユーザーがアンインストールした際にZoomが削除しなかったためだった。問題を発見した研究者であるJonathan Leitschuh(ジョナサン・レイチュア)氏は、ウェブサーバーが存在するということは、あらゆる悪意あるウェブサイトがZoomのインストールされたMacのウェブカムをユーザーの承諾なしに起動できることを意味していると語っている。レイチュア氏はバグ報奨金の受け取りを拒否した。なぜならZoomはレイチュア氏に対して守秘義務契約書への署名を要求し、同氏がバグの詳細を公表できなくなるためだったからだ。
  • Zoomは、ユーザーのZoomの利用習慣に関するデータを密かにFacebookに送っていた。そのユーザーがFacebookアカウントを持っていなくてもだ。Motherboardによると、ZoomのiOSアプリは、ユーザーがアプリを開いた際、デバイスのモデル名、通信会社名などをFacebookに知らせていた。Zoomは指摘を受けてそのコードを削除したが、時すでに遅く、集団訴訟やニューヨーク州検事総長の捜査を免れることはなかった。
  • さらにZoomはシステムの「参加者追跡機能」を巡って再び炎上した。同機能を有効にすると、会議のホストは参加者が通話中にZoomのメインウィンドウを離れたかどうかをチェックすることができる。
  • あるセキュリティー研究者は、Zoomが「いかがわしい」テクニックを使ってユーザーの介入なくMacアプリをインストールしていたことを発見した。「macOSマルウェアが使っているのと同じトリックだ」と研究者は言う
  • 明るい面、そして一部のユーザーを安心させる話題としてTechCrunchが報じたのは、Zoomのビデオ通話にアプリをダウンロードせずに参加することが実は可能であるという事実だ。 しかし、Zoomは「陰湿な手口」によって、ブラウザーのみでは容易にビデオ通話を開始できないようにしている。
  • Zoomは警察当局から受けた要求に関する透明性の欠如を問題視されている。プライバシー権利団体のAccess NowはZoomに対して警察から要求を受けた回数の公開を求めた。Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)をはじめとする多くの大手テック企業が半年に一度報告しているのと同じように。
  • そしてZoomBombing(ズームボミング/ズーム爆弾)が起きた。「トロール(荒らし)」が、オープンで保護されておらずデフォルト設定の脆弱なビデオ会議に侵入し、画面共有を乗っ取りポルノや露骨な画像を送りつける行為だ。今週FBIは、トロールがビデオ通話をジャックできないように設定を変更するようユーザーに警告した
  • そしてZoomは今週、プライバシーポリシーを強化した。 ユーザーの会議に関する情報(ビデオ、文字起こし、共有されたメモなど)を広告のために収集できるようになっていたことへの批判を受けたためだ。

Zoomに代わるプライバシーに配慮された選択肢はたくさんある。 ただし、いくつかある選択肢にはそれぞれ弱点がある。FaceTimeとWhatsAppはエンドツーエンド暗号化されているが、FaceTimeはApple製品でしか使えず、WhatsAppは同時に4名しかビデオ通話できない。あまり知られていないビデオ通話サービスであるJitsi(ジッツィ)はエンドツーエンド暗号化を使用していないが、オープンソースなのでコードを見てセキュリティーのバックドアがないことを確認できる。かつ、あらゆるデバイスやブラウザーで動作する。Jitsiを自分で管理するサーバーで動かせば高いレベルでプライバシーを守ることができる。

公平を期すためにいうと、Zoomは本質的に悪いというわけではなく、これほど人気がある理由はたくさん有している。簡単に使えて、信頼性が高く、大多数の人にとって驚くほど便利だからだ。

しかしZoomの誤解を招く主張はユーザーに誤ったセキュリティーとプライバシーの感覚を与える。バーチャル飲み会やバーチャルヨガ教室を主催するのであれ、Zoomを使って治療や政府の閣議を行うのであれ、プライバシーを守る権利は誰にでもある。

今やZoomはユーザーに対するこれまでにないほどの責任を負っている。当面は、Zoomは各自の責任で利用しよう

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビデオ会議アプリのダウンロードが新型コロナ需要で過去最多の週6200万回

在宅勤務の推奨やソーシャルディスタンス(社会的距離)の励行、政府によるロックダウンなどにより、ビデオ会議アプリの需要が業務使用、個人使用のどちらでも増えている。その結果、30日に発表されたApp Annieの最新レポートによると、ビジネス会議アプリは3月に過去最多の伸びをみせている。3月14〜21日の週にはダウンロード数は6200万回を記録した。また、ソーシャルネットワーキングのビデオアプリHousepartyは、ロックダウンや自宅隔離が広がる欧州で空前の伸びとなった。

そうした成長は予想されていたが、App Annieのレポートではこうしたアプリがどれほど多くの新規顧客を新型コロナウイルスの影響を受けている期間に獲得しているのかを具体的に示している。

たとえば、iOS、Google Playでのビジネスアプリの3月上旬のダウンロード数は6200万回だったが、この数字は前週から45%増だった。また、アプリストア全体の中でその週に最も成長したカテゴリーだった、とレポートにはある。2019年のビジネスアプリダウンロード数の週平均からは90%増だった。

こうした成長の大半は、GoogleのHangouts Meet、Microsoft TeamsそしてZoom Cloud Meetingsなどによるものだ。

2月と3月に世界で最もダウンロードされたのはZoomで、特に米国、英国、欧州では引き続きかなりダウンロードされている。

記録的なダウンロード数となった週の数字は、米国における2019年第4四半期の週平均の14倍だった。英国においては第4四半期の週平均の20倍超がダウンロードされ、フランスでは22倍、ドイツでは17倍、スペインでは27倍そしてイタリアではさらに多い55倍だった。

アプリストア調査会社のSensor Towerのレポートでは、米国でのZoomのダウンロード回数は3月中旬に増えているが、3月9日の週以前に米国App Storeでの検索ワードトップ100の中に「Zoom」は入っていないと指摘している。つまり多くの新規ユーザーに、おそらく仕事メールでのリンクシェアやカレンダーでの招待、イントラネットサイトなどっでアプリのインストールページが直接送られたことを示している。

また3月には、GoogleのHangouts Meetも特に英国や米国、スペイン、イタリアで多くダウンロードされ、Q4の週平均ダウンロード数との比較ではそれぞれ24倍、30倍、64倍、140倍だった。

Microsoft Teamsもそこまでではないもののダウンロード数は増加し、Q4の週平均との比較ではスペイン15倍、フランス16倍、イタリア30倍だった。

消費者アプリをみると、 Z世代の間で人気のソーシャルビデオ会議アプリのHousepartyが欧州などで急成長した。これにはネットワーク効果が貢献したようだ。友達や家族がHousepartyを利用するようになるほど、このアプリはより役に立つ。そうして使用の輪はさらに広がる。イタリアでは3月21日までの1週間で、Housepartyのダウンロード数は2019年第4四半期週平均ダウンロード数の423倍にものぼった。

スペインではHousepartyの成長はより顕著で、3月21日までの1週間のダウロード数は2019年Q4の2360倍だった。それまではスペインではHousepartyはさほど浸透していなかったことも記すに値するだろう。COVID-19流行がなければ足掛かりを築くことはなかったはずだ。

ビジネス会議アプリと異なり、Housepartyはビッデオチャットをより個人的でソーシャルな体験にすることを目的としている。アプリを立ち上げると、あなたが話せる状態であること、誰がオンラインなのかが表示される。これは他のメッセージアプリと似ている。しかし参加できるライブのパーティや遊べるアプリ内ゲームが用意されていて、つまりこのアプリはバーチャルオフィス会議のためのものではない。

もちろんこの時期、ビジネスアプリだけがブームになっているわけではない。

Google ClassroomやABCmouseといった教育アプリ、それからInstacartのようなグローサリー配達アプリの使用も3月に急増している。

「社会的隔離の期間がどれくらいになるのか見通せない状況に直面し、ビデオ会議アプリは我々の毎日の習慣にかなりの影響力を及ぼす可能性を持っている。地理的バリアをなくし、かなりシームレスに働いたり社会的つながりを維持したりできる能力を持つ」とはApp Annieはレポートに記している。そして「世界にとって前代未聞の状況であり、モバイルにとってかなりダイナミックな時だ。我々は文字通り全部門で消費者行動の変化を目の当たりにしている」と結んでいる。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

隔離中だからこそ、メディアが真に「ソーシャル」な存在に

自慢なし、計画なし、ありのままの私たち

今までは、自己アピールなどのためにInstagramのストーリーにコンテンツを投稿していた人が多かった。しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の拡がりとともに、それがなくなりかけているのである。誰も「クールなこと」をするために外出することはできないし、そもそもそうするべきではないと言われるだろう。

ハッピーアワーの写真や隔離中のディナーの計画をビデオチャットで共有することを除けば、日々の記録は止まってしまっている。奇妙なことだが、残っているものはずっと使ってきたソーシャルネットワークよりも、むしろソーシャルな印象を受ける。

Housepartyでつながる人たち

隔離中にHousepartyでつながる人たち(出典:StoicLeysのツイート)

話題となる材料が何もなく、できることはライブ配信くらいだ。新型コロナウイルスによって、最近の出来事を共有したいという欲求がかき消されてしまったようだ。外出もままならない退屈な雰囲気が漫然と広がっていく。今後のことがとても不確実なので、計画を立てることすらままならない状態だ。イベントや旅行の計画でワクワクしていても、外出禁止令が延長になればがっかりするだけであるのが目に見えている。今のことしか考えられないのである。

自慢することがなくなった状況で、ソーシャルメディアには何ができるだろうか。多くの人が、実は今こそ意外と面白いことに気付きはじめている。一種のスポーツになってしまったソーシャルメディアにおいて、多くの人はプレイの喜びを味わうのではなく、ただスコアボードをじっと見つめているだけだった。

だが、ありがたいことに、Zoomに「いいね」機能はない。

変わらないものはない。これに気付くと、何かを決めるときに他人の目を気にすることから自由になれる。大切なのは、見栄えや見た目ではなく、どのように感じるかとういうことだ。気持ちを落ち着かせ、笑い、孤独を和らげるのに役立つかどうか。そういうことこそ、本当にすべきことだ。家で読書、入浴、ボードゲームなどをするだけなら、何かを見逃してしまうのではないかとFOMO(取り残されることへの恐れ)を感じることもなくなるだろう。自分らしくさえあれば良いのだ。

社会的な生き物にとって、最も自然に感じるのは「つながっている」ということだろう。そしてそのつながりは、やったばかりのことを後からフィードで共有するのではなく、同じ時間を共有することによって感じられるものなのだ。真面目な目的を遂行するために開発されたプロフェッショナルなビデオ通話技術が、単に一緒にいたいという一見意味のなさそうな一体感を得るために使われているが、それはそれで良いのではないか。私たちの普段したいことは、幼少期に校庭や家の前でしていたこと「ただ遊ぶこと」なのだから。

Housepartyしよう!

その証拠に、グループビデオ・チャットアプリのHouseparty(ハウスパーティー)では、10代の若者たちが画面上に集まって、目的もなく時間をつぶしている光景を目にすることができる。新型コロナウイルスの拡大に伴い街が封鎖されているイタリアの場合、Housepartyは、1カ月前にはトップ1500にさえ入らないアプリだった。それが現在では、ソーシャルアプリの第1位、全体で第2位のアプリとなっている。他の多くの国でも、HousepartyはZoomに次いでチャートの上位を占めている。

先週の月曜日の3月16日に、Housepartyはすべてのチャートで1位を獲得した。TechCrunchがSensor Towerから入手した統計によると、Housepartyのダウンロード率が2月の平均値より323倍も高くなっているとのことだ。3月21日には、ポルトガル(371倍上昇)、スペイン(592倍上昇)、ペルー、アルゼンチン、チリ、オーストリア、ベルギー、英国で1位になったが、1週間前にはチャートにすら登場していなかったのだ。Apptopiaによると、Housepartyのスペインでのダウンロード回数は、3月1日時点で25回だったのが、3月21日には4万回に達したという。

Houseparty rockets

Housepartyは多くの国のチャートで1位に急上昇した

昨年、Housepartyは業績がかなり低調であり、6月にフォートナイトのメーカーであるEpic社に買収される前の時点では、米国のチャートで245位まで落ち込んでいた。しかし、第三者を介さずにつながりたいという需要が突然高まったため、Epic社が7月以降アップデートを怠っていたにも関わらず、Housepartyは活気を取り戻すことができた。

「Housepartyは、物理的に離れていても、なるべく人間的な方法で人々をつなぐように設計されている」と、スタートアップの共同設立者であるBen Rubin(ベン・ルビン)氏は述べている。「今はすべての人が孤立と不確実性を感じている。この重要な時期に、人間らしいつながりを何百万もの人々に提供できる製品が作れたことを、嬉しく思う」。

Houseparty以外でも世界中で人と直接つながることができるアプリの人気が急上昇している。スウェーデンでは、Googleハングアウトが優位を占めており、フランスでは、ゲーマー用チャットのDiscordが1位だ。オランダではMicrosoft Teamsが支配的である。Netflixを満喫した後、私たちに残された楽しみは、結局のところ、お互いだけなのだ。

地理的な制約とは無関係

すべての人が家に留まっている状況では、家のある場所はもはや何の意味も持たなくなる。友人の定義も、車で20分、電車で1時間といった範囲には限定されなくなるだろう。すべてのクラスがオンラインに移行したため、学生たちは皆Zoom大学に通うことになるなどと言われているが、同様にすべての人はZoom町の住人となったのである。通勤も短縮され、残っているのは招待URLの生成にかかる時間のみとなっている。

サンフランシスコ在住の筆者としては、バークレー湾の向こう側の友人でさえ、以前は遠く感じていたものだった。しかし今週は、普段遠すぎると感じていたシカゴやニューヨークなどの大切な人たちと、1時間ほどビデオ通話をすることができた。直接会ったことのない赤ちゃんを見て時間を過ごしたり、東海岸にいる両親とたびたび連絡することもできた。 両親との連絡は、今までにないくらい重要で緊急なものだった。

ZoomでボードゲームのCodenamesをしている

ニューヨークやノースカロライナの友人を相手に、ZoomでボードゲームのCodenames(コードネーム)をしている

通常、多くの時間をともにする相手は、周囲の知人たちだ。つまり、オフィスを共有している同僚たちや、たまたま近所に住んでいる友人たちといった具合である。しかし今や、各自がバーチャルな家族を選択し、構築するようになっている。考え方が変化しているのだ。つまり、自分にとって誰が役に立つか、面白い場所に招待してもらえるかといった基準ではなく、人間的な気持ちを感じさせてくれるのは誰かという基準への変化である。

John Legend Live

セレブたちも例外ではない。伝統的なポートレートや派手なミュージックビデオではなく、FacebookやInstagramライブで、普通の照明を使ったリアルな姿を見せるようになっている。John Legend(ジョン・レジェンド)が10万人の視聴者の前でピアノを演奏する傍らで、妻のChrissy Teigen(グリッシー・テイガン)はタオル姿のまま、何度も聞いたかのようにつまらなそうに座って「All Of Me」を聞いていた。これは、テレビで見るよりもリアルな光景だろう。

そして、連絡すべき相手に関する従来の考え方にとらわれることなく、今までの人生で付き合いのあった人たちに連絡する機会もある。大学時代のルームメイト、高校の仲間、影響を受けたメンターなどといった人たちが思い浮かぶかもしれない。さらに、もし今の試練の時期にまだ感情的な余力があるのなら、やるべきことはほかにもある。独身者や一人暮らしの人、街の中で細やかなサポートネットワークに恵まれていない人を誰か知っているだろうか。

そのようなつながりを作り直すことは、忘れかけている大切な記憶を取り戻すだけでなく、健全な思考を保つのにも役立つだろう。社会的な相互作用の中で仕事をし、遊んでいる人々にとって、外出禁止というのは孤独な監禁を意味しているからだ。孤立している人々に注意を払わなければ、精神衛生の危機はすぐそこである。

ミーム、危機に役立つ言語

しかし、そのようなつながりを保ち続けるにはエネルギーが必要で、簡単なことではない。ウイルスが健康と経済へ及ぼす影響のため、皆が不安でいっぱいになっている。筆者自身、朝ゆっくり起きて、1日の時間を短くしようとしたことが何度かあった。他愛もない世間話でも、不安を蒸し返すだけになってしまうため、話すことがなくなってしまうときもあるだろう。

幸いなことに、何も言わずにコミュニケーションがとれる方法がある。ミームを共有するのだ。

新柄コロナウイルスのミーム

義父が送ってきた画像。ミームが普遍的な言語になっていることがわかる

インターネット上では、新型コロナウイルスに反応して、世界中でブラックユーモアが大量に発信されている。インスタグラムのジョークアカウントに関するRedditスレッドのグループチャットから、25万人のメンバーを誇る「Zoom Memes For Quaranteens」のようなFacebookのグループまで、さまざま方法で危機を乗り切ろうとする動きがある。

ひきつった笑いでも、笑えないよりはましなのだ。ミームによって、忍び寄る不安や狂いそうになる気持ちを、生産的な何かに変えることができる。匿名なので、誰かが作ったものを気軽に共有することができるからだ。自宅隔離の間、人々に笑顔をもたらすことを目標に、ミームの作成に没頭することもできる。フィードとストーリーがなくなった後は、ミームを消費することこそ、新たな連帯の手段となるだろう。皆が一緒に体験しているこの地獄のような状況を、笑ってみるのもよいかもしれない。

コロナウイルスのミーム

流行の真っ只中で、ウェブの「精神的免疫システム」が始動したのだ。監禁状態で無抵抗になるのではなく、発達した「デジタル抗体」を開発し、孤独に立ち向かっている。コードネームのようなボードゲームを使えば、ビデオチャットにも彩りを添えられる。1回限りのライブストリームは、完全オンライン型の音楽フェスティバルとなり、ニューオーリンズやベルリンのサウンドを世界中に向けて配信している。ウェブ会議に対する「Zoombombing」という、新手の「荒らし」やいたずらさえ発生しているという。さらに、巨大IT企業に対する反発が始まって5年ほど経ったが、業界のリーダーたちにより、対等な関係のソーシャルセーフティネットや、客足が戻るまで中小企業が生き残るための対策なども立ち上げられている。

出来事は、共有するために探し求めるのではなく、隔離で残った唯一のもの、つまり自分自身を使ってイチから創作するものとなった。感染の波が過ぎ去った後も、この創造性のうねりや同時的な連帯感は強いままであってほしい。「見せびらかす」のではなく「姿を見せる」ことが、インターネットの最も良いところなのだから。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Dragonfly)

家に閉じこもる今、ポッドキャストを始めるためのヒント

もう過去5年以上ポッドキャストをしてきたが、これまではゲストと直接顔を会わせてインタビューできない場合、オファーを断ってきた。リモートで優れたポッドキャストを行う人々は大勢おり、私自身も何回か(そこそこのレベルで)番組に出たことがある。しかし直接、会ってインタビューすることの代わりにはならない。動画や音声がクラウドを通過する間にあまりに多くのニュアンスが失われてしまうからだ。

しかしこの数週間、そういう贅沢は言っていられないことになった。ゲストと直接対話して配信するというオプションは当面使えない。そこで自他の安全を確保しつつ高品質のポッドキャストを作るために、かなりの時間を費やしてハード、ソフトを研究してみた。長めの記事だが、自宅でポッドキャストを始めようと考えている大勢の人々のヒントになれば幸いだ。

ただしいくつかの注意点がある。まずはデマや未確認情報を拡散するなというCDCの警告だ。新型コロナウイルスの影響は広汎で職場、私生活をはじめとして社会生活全般に及ぶ。そうした変化に不用意に触れることはCDCの警告を無視することになる。また退屈した人間が他の人間を退屈に巻き込むつもりなのか、YouTubeにはくだらないポッドキャストが山ほど投稿されている。私は以前から多数のポッドキャストが生まれるのは良いことだと主張してきたが、パンデミックはその主張を検証してくれるものになるでしょう。

2番目の注意点は、これは他のハウツー記事でも同様だが、あくまで現在の状況で私個人にとって最適な解だという点だ。何が最適なのかは、人や状況によって異なる。

ポッドキャストを配信していて気づいた点の1つは視聴者は寛容だということだ。CNNを見ているときと不安定なSkypeを介して専門家の意見を聞いているときでは期待のレベルが違う。ウェブカメラの質が悪いことなどポッドキャストの視聴者は気にしない。そうであっても利用できるリソースで可能なかぎり最高の品質を配信したいと考えるのは当然だ。

私はジャーナリストという職業がら、多数のハードウェアをテストできた。そこで高価なスタジオをレンタルしなくても現在市場に出まわっているUSBマイクに十分な能力があることが確認できた。

BlueのYetiといったマイクはポッドキャストやリモートインタビュー用として十分な品質があると一般に認められている。しかしポッドキャスト、YouTubeチャンネルの利用が拡大するにつれて多数のメーカーがこの分野に参入している。

現在、AKGのLyra(写真左)を使っているが、音質に十分満足している。価格はBlueのYetiと同程度、Yeti Pro(写真右)より100ドル(約1万1100円)ほど安い。Lyraのデザインは非常にスマートだが、私の環境ではやや浮いて見える。Lyraには4つ集音パターン(フロント、フロント&バック、タイトステレオ、ワイドステレオ)があり、どれに設定されているか前面のランプでひと目でわかる。コントロールは非常にシンプルでわかりやすい。せっかく定評あるUSBマイクを使いながら大勢のユーチューバーがマイクの設定を間違えて非常に品質の悪い音声を配信していることを考えるとこれはこの点は大きなプラスだ。

もうひとつ、マイク用のウィンドスクリーンを買っておくことを強く勧める。上の写真でLyraにクリップで取り付けてあるのはEJT Upgraded Microphone Pop Filterだ。サイドに幅を調整できる万力タイプのグリップがあり、さまざまなマイクに取り付けることができる。10ドル(約1100円)以下の買い物だが安いウィンドスクリーンでも音質に大きな違いが出る。ポッドキャストを編集してみれば、不愉快な息継ぎ音や風音を除く手間が格段に減っていることに驚くはずだ。

次点にRodeのNT-USB Miniを挙げておく必要がある。ミニサイズなのに強力でサウンドは驚くほど良い。もっともRodeの製品だから当然かもしれないが、99ドル(約1万1000円)という低価格はやはりすばらしい。Blue Raspberryと並んで携帯性が高い低価格マイクの定番だ。また旅行が可能になったら出先に持っていくマイクにはこれを選ぼうと思っている。マイクは付属のデスクトップスタンドに磁石で吸着するようになっており、外してアームや別のスタンドに取り付けるのが非常に簡単だ。

ただし私がどうしても手放せない重要なBlueのプロダクトが1つある。私はポッドキャストの録音では耳をすっぽり覆うタイプのヘッドフォンを使う。BlueのMo-Fiは大型で頑丈でまさにこの目的に理想的だ。着け心地のいい大型のイヤーパッドは環境雑音をきれいにブロックしてくれる(私はニューヨークのアパートメントビルに住んでいる)。たいていの場合、手近にあるヘッドフォンで用が足りはずだが、これから本格的にポッドキャストを始めるのであれば良質のヘッドフォンに投資することを考えてもいいだろう。

ポッドキャスト用のカメラはMac内蔵のウェブカメラを使っている。上でも言ったように視聴者は画質には寛容だ。それでもポッドキャストを制作したら公開する前にカメラのテストをしておくことを強く勧める。まずフレーム内に何が写っているかを確認する。カメラアングルを変えることができるなら、いろいろ動かして最適な背景を探してみよう。ただしカメラアングル以上に重要なのは照明だ。

正直、私自身まだ照明のセットアップに納得できていない。現状は……「間にあわせ」に近いかもしれない。

Macの上の天井のソケットに取り付けた小さいベッドサイドランプだ。ビデオで私の眼鏡に反射するのが見えるだろう。

ソフトウェアではいくつかのオプションを使っている。オーディオのみのポッドキャストならZencastrがやはり優れている。ポッドキャスト用に最適化されており、複数トラックを個別、同時にクラウドへアップできる。同社は今回のパンデミックに対応して無料枠を大幅に拡大し、ポッドキャスティングの普及を図っている。

現在製作中で未発表の分も含めてビデオポッドキャストの場合、録音はAudacityでローカルに行いSkypeを使ってアップロードしている。Zencasterは優れたアプリだが、共同ホストの1人に接続問題を起こすのでもっと伝統的なやり方をしているわけだ。

パンデミックになってビデオポッドキャストのオプションをあれこれ試しているが、今のところ気に入っているのはZoomとYouTube Liveの組み合わせだ。しかしZoomからYouTubeまたはFacebookでダイレクトにストリーミングするには、有料のアカウントを取得する必要がある。最も安いプランが月額14ドル(日本では2000円/月)だ。私は少なくとも新型コロナウイルスの流行がひと段落するまで有料プランにしておくつもりだ。

Zoomの良い点は参加者がログインすべき時間を指定できる点だ。プレミアムメンバーになれば参加者はダイアルアップでオーディオだけの参加もできる。世界に向けてライブ配信する前に、テストビデオを非公開で配信しすべてが正常に稼働していることを確認しておくことを強くお勧めしておきたい。予定されているゲストには開始時刻の少なくとも数分前に参加をしてもらいデバイス、ソフトなどの動作を確認するようにしよう。

Zoomがユーザーの YouTubeアカウントに接続するために少なくとも24時間は必要だ。トラブルシューティングの時間も考えててライブ配信の始める数日前にZoomの設定を済ませておく。

ライブになってからは配信状況のモニターはYouTube Studioを利用する。視聴者からコメントの処理なども簡単だ。私はポッドキャストの時間を通してギャラリーモードに設定している。これは参加者全員が常時ディスプレイに表示されているので面倒な操作が不要だ。アーティストがゲストで音楽のパフォーマンスがある場合は単一カメラモードとし、その参加者のカメラに切り替えている。もっと高額のプランに切り替えると画面に透かしロゴが入るが、機能に問題はない。サービスには基本的なエディターが含まれており、配信の開始、終了部分トリミングすることができる。

さらに洗練された手法もあるのだろうが、前にも述べたようにポッドキャストであれば視聴者はあまり細かい点は気にしない。例えオンラインにせよ、誰かが仲間になって楽しく時間が過ごせればそれだけで喜んでくれる視聴者も大勢いるのだ。

最近公開したポッドキャスト:

I’m Listening’s Anita Flores
Let’s Talk About Cats’ Mary Phillips-Sandy and Lizzie Jacobs
Broken Record’s Justin Richmond
Criminal/This Is Love’s Lauren Spohrer
Jeffrey Cranor of Welcome to Night Vale
Jesse Thorn of Bullseye
Ben Lindbergh of Effectively Wild
My own podcast, RiYL

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ビデオ会議への不快なビデオ共有「ZoomBombing」にご注意を

安全に他者とのつながりを感じようと、多くの人たちがZoomのビデオ通話を利用している中、世界は新しいタイプのトローリング(荒らし)に悩まされている。どうしようもない嫌な連中が、Zoomの画面共有機能を使って、暴力的なものから衝撃的なポルノまで含む、最低の動画をインターネットから投入して、他の参加者をうんざりさせているのだ。

例えばこれは米国時間3月17日のWFH Happy Hourで起こったことである。WFH Happy Hourとは、VergeのレポーターであるCasey Newton(ケーシー・ニュートン)氏と、投資家のHunter Walk(ハンター・ウォーク)氏が主催する人気の公開Zoom会議だ。突然、数十人の参加者たちが不穏な画像で攻撃されたのだ。荒らしが通話に登場してとんでもない性的ビデオをスクリーンで共有したのだ。攻撃をブロックしようとしても、加害者はただ新しい名前に変更するだけで通話に再参加し、よりうんざりさせる画像を投入してくるため、なかなか防ぐことができなかった。会議ホストは、攻撃者を撃退できるまで視聴者を攻撃に晒しておくことを良しとせず、会議を打ち切った。

こうした参加者たちの顔に恐怖にひきつった表情が浮かんでいるところを想像してみて欲しい。それが実際に起きたことだ。

問題は、Zoomの採用している「会議ホストは、他の参加者が自身の画面を共有する許可をいちいち与える必要はない」というポリシーに起因していることだ。とはいえ会議ホストは、自身の設定または会議の管理メニューの中で、このオプションを無効にすることができる。この設定は会議前に設定から変えておくか、通話中の管理設定の中の「画面を共有」→「高度な共有オプション」で変更することができる。

たとえばTwitter上などに、荒らしによって発見される可能性のあるZoomリンクを一般公開で共有している場合は、通話が始まる前に画面共有を「ホストのみ」に変更しておこう。もしくは画面共有が悪用されているのを察知したらすぐに設定を切り替えよう。起業家であるAlex Miller(アレックス・ミラー)氏は、以下のようなZoom通話保護の方法も挙げている。

  1. 会議ホストがミーティングに入る前にトラブルが起きないように「ホストの前の参加」を無効にする。
  2. モデレートを助けてもらうために他の人を割り当てることができるように「共同ホスト」を有効にする。
  3. デジタルウイルスが共有されないように「ファイル送信」を無効にする。
  4. 「取り除かれた参加者を再度参加させることを許可」を無効にして、追い出された参加者が元に戻れないようにする

「参加者のみなさまにお詫びしたいです。そして初めて#WFHappyHourに参加してくれた両親のジムとサリーにも。今日、私たちはみんな画面共有を無効化することの重要性を学び、コンテンツの適切なモデレーションの重要性を改めて認識しました」とニュートン氏は私に語った。何か攻撃の証拠写真を持っているかと尋ねたところ、彼は「(爆笑)スクリーンショットは撮っていない! ただ叫んでいただけだ!」と返信してきた。

これは、今回のコロナウイルス時代に、私たちが経験している数多くの新しい攻撃事案の1つに過ぎない。健康チェックを提供するというフィッシング攻撃、自宅隔離中に支払いを行わなければ電気が止まると脅かす詐欺、そして偽のCOVID-19テストキット販売など攻撃手段は様々だ。金のために悲劇を悪用しようとする輩や、単に世界が炎上するのを見たいだけの奴らは常に存在する。警戒を続け、即座に「ブロック」ボタンを押せるようにしておくことがこれまで以上に大切になっている。

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(翻訳:sako)

WebexとZoomのビデオ会議に侵入できる欠陥が発見されていた

WebexとZoomのビデオ会議の多くがパスワードで保護されていないために外部から侵入できることを、セキュリティ研究者のチームが発見した。

画像:Getty Images

スクレイピングとアカウント乗っ取りからのアプリの保護を専門とするスタートアップ、Cequenceの研究チームは、有効なミーティングIDのリストをサイクルしアクティブなビデオ会議にアクセスするボットを作った。多くの企業とユーザーが、面倒を省くため、あるいはデフォルトの設定を確認していないために、ミーティングにパスワードをかけていない。そしてミーティングIDのストックも限られている。こうしたことが脆弱性につながった。

プラットフォームのAPIを攻撃対象にすることで、プロセスを自動化することができた。研究チームはこの欠陥を7月にWebexのメーカーであるCiscoとZoomに報告した。その後、両社とも修正プログラムを公開した。サイレントに攻撃できるわけではなく、ミーティングへのアクセスに成功したことは通知される。

Ciscoは、このプラットフォームでの脆弱性の悪用は「認識していない」と語った。Zoomは、研究チームに「感謝している」とし、ボットの攻撃を防ぐようサーバの保護を強化したという。

Zoomは7月に、ユーザーがアプリをアンインストールした際にMacからウェブサーバが取り除かれず、セキュリティ上の危険があるとして問題になった。同社はこの問題を修正したが、その後AppleはすべてのMacユーザーを保護するためにアップデートを配信する事態となった。

Cequenceは2月にDell Technologies CapitalとShasta Venturesが支援したシリーズBで1700万ドル(約18億2000万円)を調達し、これまでの合計調達額は3000万ドル(約32億円)になった。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Dropboxの新しい機能がアプリで利用可能になった

画像:Dropbox

6月にDropboxは「新しいDropbox」のプレビュー版を公開した。スタンドアロンのアプリのインターフェイスを中心にして、Slack、G Suite、Zoomのコールなどの仕事のツールをすべて1カ所に統合することに取り組んだものだ。これまでよく知られてきたシンプルにフォルダを共有するDropboxからすると、かなり劇的な刷新だ。

誰もがこの変化に賛同したわけではない。例えば有名ブログ「Daring Fireball」のJohn Gruber(ジョン・グルーバー)氏は、自分がDropboxに望むのは、もともとそうだったようにシンプルなフォルダが本当に間違いなく同期することだと指摘した

あなたもそう思っているかもしれないが、新しいDropboxはすでにすべてのユーザー向けに公開が始まっている。共有フォルダは、共有ファイルを中心とした「Dropbox Spaces」と呼ばれるハブとなる。

主な新機能は以下のとおり。

  • Dropbox Spacesには、テキストによる説明を追加して目的を伝えたり、今後のタスクを管理するためのTo-doリストを作成したりすることができる。
  • Windowsではシステムトレイから、macOSではメニューバーから「For you」タブを表示すると、カレンダーの情報とミーティング中に必要になりそうなファイルや、チームの最近のアクティビティ(編集やコメント)に関するタイムラインを見ることができる。

  • 「Peopleページ」には、チーム内の特定のメンバーと共有や共同作業をしているものがすべて表示される。
  • Slack、Zoom、Trello などのツールをDropbox Spacesに統合すると、Dropbox SpacesからZoomミーティングに参加したりTrelloのカードに項目を追加したりすることができる。
  • Google DocsやOffice 365アカウントなどにあるクラウドのファイルをDropbox Spacesに読み込める。
  • DropboxがコンピュータビジョンでJPG、PNG、GIF画像内のコンテンツを認識するため、画像内の検索ができる。Dropboxによれば、この機能は米国時間9月25日からDropbox Proで公開されており、Dropbox Businessプランでは「間もなく」利用できるようになる。

  • Dropbox Transferで、大容量のファイル(Basicユーザーでは最大100MB、ProとBusinessのユーザーでは最大100GB)を、相手がDropboxアカウントを持っていなくても共有できる。ファイルをアップロードして、共有リンクを作成する。ファイルがダウンロードされたときに通知を受ける設定、パスワードの追加、一定期間後にリンクを無効にする設定が可能。

Dropboxはストレージ「だけの」企業とは見られたくない。DropboxのCEOであるDrew Houston(ドリュー・ヒューストン)氏は6月の発表の場ではっきりとそう語り、これからはストレージ企業とは考えないでほしいと述べた。「私たちのやり方では不十分だ」と書かれたスライドの前に立った同氏は、すべての仕事のハブになろうとしている同社の新しい取り組みを説明した。

これまでのDropboxのとおり、OSの中にDropboxフォルダがあるほうが好きという人もいるだろう。これはなくならないようだ。前述の新しい機能を使うには新しいアプリが必要だが、DropboxフォルダとファイルはこれまでどおりFinderウインドウから利用できる。Dropboxの担当者は筆者に対し、これを変更する予定は今のところないと語った。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルがビデオ会議システムZoomの隠しサーバーを削除するアップデートを静かにプッシュ配信

Apple(アップル)はMacユーザーにサイレントアップデートを配信し、人気のビデオ会議アプリ、Zoomから脆弱性のある部分を削除した。Zoomは、ウェブサイトが本人の許可を得ることなくユーザーをビデオ通話に参加させることができる。

カリフォルニア州クパチーノに拠点を置くテクノロジーの巨人は、このアップデート(現在は公開済み)は、ユーザーがZoomをインストールしたとき密かにMacにインストールされる隠しウェブサーバーを取り除くものだとTechCrunchに説明した。Appleによると、このアップデートにユーザーが介入する必要はなく自動的に配信されるとのこと。

ビデオ会議大手のZoomは、米国時間7月8日にセキュリティ研究者のJonathan Leitschuh氏が発表した公開脆弱性告知の中で、「どのウェブサイトでも、本人の許可なくユーザーをZoom通話に強制参加させることができ、ビデオカメラが有効な状態」であることが公表されたあと、ユーザーから非難を浴びた。「この隠されたウェブサーバーは、ユーザーがZoomをアンインストールした後にも残っている。このためZoomはユーザーの介入がなくても再インストールできる」とLeitschuh氏はコメントしている。同氏は、脆弱性を説明するための概念実証ページも公開した。

Zoomはアプリの修正版を米国時間7月9日に公開した。Appleによると、これによって過去のユーザーも現在のユーザーも、隠しサーバーの脆弱性から守られ、Zoomアプリ自身の機能に影響を与えたり妨害したりすることもない。アップデート後、これまで自動的に開いていた同アプリは、本当に実行したいかどうかをユーザーに確認するようになる。

Appleは既知のマルウェアを退治するために無言でアップデートを配信することがしばしばあるが(アンチマルウェアサービスと似ている)、一般アプリに対して公に行動を起こすことは稀だ。「無防備なウェブサーバーが引き起こすリスクからユーザーを保護するためにこのアップデートを配信した」とAppleはコメントしている。

Zoomの広報担当者であるPriscilla McCarthy氏はTechCrunchに次のように話した。「今回のアップデートをAppleと協力してテストできことをうれしく思う。これでウェブサーバー問題が解決することを願っている。問題解決まで待ってくれたユーザーの忍耐に感謝している」。

全世界の75万社で400万人以上のユーザーが、ビデオ会議にZoomを使っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Dropboxがエンタープライズ向けのコラボスペースとして再始動

Dropboxはファイルストレージシステムから、チームで協調して仕事をするためのエンタープライズ向けソフトウェアポータルへと進化しつつある。米国時間6月11日、同社はDropboxの新バージョンを公開した。G Suiteなどのアプリをショートカットで起動できるほか、Slackのメッセージを送信したりZoomのビデオコールをしたりする機能も搭載されている。デバイス上とエンタープライズのツール内のすべてのファイルを検索したり、コミュニケーションをとりチームの仕事にコメントを付けることもできる。ファイルに付けたTo Doリストにメモを追加したり同僚をタグ付けしたりする機能もあり、Dropboxはタスクマネージャーにもなろうとしている。

新しいDropboxは米国時間6月11日に、40万チーム、1300万人のすべてのビジネスユーザーに加え、コンシューマーユーザーにも公開された。ユーザーはここから先行アクセスに申し込むことができる。企業の場合は管理パネルで先行アクセスを有効にする。同社CEOのDrew Houston氏はミッションステートメントで「もっと素晴らしい働き方をデザインするために、我々はやり方を変える」と述べている。

Dropboxは、ファイルストレージのビジネス自体は終焉を迎えつつあると認めたようだ。ストレージの価格は下落し、どのアプリでも専用のストレージシステムを追加できる。Dropboxはエンタープライズ向けのスタックへと進化し、ほかのツールを開いてまとめるポータルになる必要があった。エンタープライズのコーディネーションレイヤーになることは賢明な戦略だ。Slackは自社でそうしたレイヤーを構築するのではなく、連携することを選んだようだ。

今回のアップデートの一環として、Dropboxは全ユーザーを対象とした新しいデスクトップアプリを提供している。これによりmacOSやWindowsのファイルシステムの中で動作する必要がなくなる。ファイルをクリックするとプレビューを見ることができるほか、そのファイルを誰が見たか、誰がいま見ているか、誰がアクセス権を持っているかのデータを表示することができる。

今回のリリースはSlackと深く統合されているため、Dropbox内でファイルにコメントを付けられる。Zoomとも統合されていて、ワークスペースを離れずにビデオチャットができる。Webとエンタープライズアプリのショートカットを活用すれば、さまざまなツールをタブで聞きっぱなしにしておく必要がなくなる。検索ツールも改良され、コンピュータのファイルシステムとほかの生産性向上アプリのクラウドストレージをすべて探せる。

しかし今回の変更で最も重要なのは、Dropboxがタスクマネジメントアプリになろうとしていることだ。ひとつひとつのファイルには、説明、ToDoリスト、タスクを割り当てるための同僚のタグが記録される。ファイルごとのアクティビティフィードには同僚からのコメントとアクションが表示されるため、GoogleドキュメントやSlackのチャンネルで別途共同作業をする必要はない。

連携する相手(SlackとZoom)と真似する相手(Asana)をどのように決めたかについて問われたビジネス部門担当副社長のBliiy Blau氏は基本的には返答を避けたが、Dropboxのパートナーの「共有の精神」を引き合いに出した。

サンフランシスコで開催された発表イベントの冒頭、Houston氏は、社員のコンピュータとクラウドに散らばっている企業の知識よりも公開されている情報のほうが見つけやすいと指摘した。コンピュータの「Finder」はポストダウンロード時代に対応した進化を遂げていない。Houston氏は、オフィスで仕事をしている時間のうち60%は、仕事そのものではなく整理やコミュニケーションといった仕事のための仕事に費やされていると説明した。これはタスクマネジメントのスタートアップ、Asanaがよく使うマーケティングの視点だ。DropboxはAsanaとこれからさらに直接戦っていくことになる。Dropboxは「我々はこうしたあらゆる『仕事のための仕事』をこなすお手伝いをしていく」としている。一方のAsanaは2013年以来、核となるメッセージとしてこのフレーズを使い続けている。

Dropboxはクラウドのためのファイルツリー、Finder、デスクトップを目指している。問題は、コメントやタスクを付けたファイルが常に仕事の中心的な単位なのか、あるいは注目すべきものはファイルが添付されたタスクやプロジェクトであるべきなのかだ。

Dropboxはコンピュータのデスクトップやブラウザに代わるワークスペースであると考えられるようにチームをトレーニングするには、しっかりした導入と粘り強さが必要だろう。しかし、もしDropboxがアイデンティティとなり、ばらばらのエンタープライズソフトウェアを結びつけるコラボレーションレイヤーになれるなら、ファイルストレージは生き延び、新しいオフィスツールが登場しても意義のあるものであり続けるかもしれない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ビデオ会議のZoomが2019年Q1で予測上回る決算、売上は132億円超

2019年はZoom(Nasdaq:ZM)にとって素晴らしい年となっている。Zoomは木曜日、アナリストの予測を上回る第1四半期の決算を発表した。

今年の大当たりの1つとされるIPOを今年4月に実施して上場企業となった収益をあげているビデオ会議のZoomは、2019年4月30日までの3カ月間の売上高として1億2200万ドル(約132億円)を計上し、前年同期比109%増だった。

このニュースを受け、Zoomの株価は時間外で上昇している。株価は米国時間6月5日、79ドル超と2%上昇した。IPO後の2カ月で、同社の株価はIPO価格の2倍超で取引されている。

「公開企業としての第1四半期は、Zoomのビデオコミュニケーションプラットフォームが広く受け入れられたことにより、売上高が前年同期比103%増となった」と創業者でCEOのEric Yuan氏は発表文で述べた。「顧客に幸せを届けるのは我々の最優先課題だ。顧客をハッピーにできれば、今後も成功するはずだ」。

かつてノーマークのユニコーン企業だったZoomは、周囲の期待をものともしていない。同社は4月にIPO価格をわずか36ドルとし、Nasdaqデビューを81%上昇で飾った。

第1四半期決算では、Zoomは再び期待を上回った。アナリストの予測では売上高は1億1140万ドルで、1株あたりの利益は1セント以下とされていた。しかし実際には1株あたりの利益は3セントだった。

通年見通しとしてサンノゼ拠点のZoomは、年間売上高はを億3500万ドル〜5億4000万ドル、non-GAAP収益(損失)を0〜300万ドルと見込んでいる。

イメージクレジット: Kena Betancur / Stringer / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)