GitHubがデザイン一新, Gitの利用者インタフェイスとして使い勝手に磨きをかける

GitHubがこれから数日かけて、大規模なデザイン刷新を行う。目的は、コンテンツとスピードと対話性をより重視するためだ。

制作に1年を要した新デザインは、毎日のようにGitHubを使うユーザの、対話的な使い方の改善を目指している。実サイトへの展開は、今後の数日で行われる。そして数週間後にはGitHubの全ユーザが、次のようなインタフェイスを目にすることになる:

ユーザが通知をクリックするとメールのインタフェイスになるが、それは前よりもすっきりしていて、主にアイコンを使ってナビゲートする:

目標は、あらゆる点での、コードのアクセス性の向上だ。コードが、より調べやすく、そして読みやすくなっている。デベロッパはテキストではなくアイコンを使って自分のリポジトリのサムネイルビューを見られる:

スピードに関しては、GitHubによると、多くのプロジェクトの、平均的な接続において、これまで1秒かかっていたロード時間が300ミリ秒に短縮された。ブログ記事によると、jquery-pjaxの使用とキャッシングの改良がスピードの向上に貢献している。

GitHubはレイテンシ(長いロード時間)が不評だったから、今回のアップデートは歓迎だ。このデザインなら、GitHubの真価が発揮されるだろう。同社は、対話的デザインを重視している。それは初めての、Gitを抽象化したラッパーインタフェイスで、しかもWebからアクセスできる。だからある意味では、元々、デザインがいちばん重要な要素だったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google App Engineがバージョンアップ, いよいよクラウドサービスに本腰

GoogleのGoogle App Engineが今日(米国時間6/12)から1.8.1となり、たくさんの新しい機能が盛り込まれた。中でもとくに注目すべきは、待望の検索APIとプッシュツーデプロイ機能だ。後者はGitのpushコマンドのようにコードをリポジトリにプッシュする。

これらの新しい機能は、Googleがクラウドサービス市場にいよいよ本格的に参入すると暗黙裡に宣言したような、多忙なGoogle I/Oからの必然的な流れだ。今回の発表までGoogleは、Google Cloud Platformについて沈黙していた。しかし一般公開した今では、毎週のように新機能を発表し、これまでバラバラに存在していた各種Web機能の新たな統一を推進している。

今日はGoogle App Engineに関しても、同様の趣旨のアップデートが行われた:

検索 API: リリースから約1年になる検索APIをGoogleはプレビュー段階へ移し、一般公開に備えている。この検索APIを使ってデベロッパは、プレーンテキスト、HTML、アトム、数値、日付、地理的な位置など、各種の構造化データを、自分のアプリケーションの中でGoogle的に検索できる。本誌が先週報じたように、Googleはその操作とストレージに対する課金を開始する。料金表は、ここにある。料金は、一般公開に向けて変わるかもしれない。

ソースのプッシュツーデプロイ(Push-to-Deploy): App Engine は新たにPythonとPHPのアプリケーションの展開をGitのツールを使ってサポートする。したがってデベロッパはアプリケーションの展開をGitのリポジトリにプッシュするときと同様に、容易に行える。

Google Cloud Storageのクライアントライブラリ: App EngineからGoogle Cloud Storageへのアクセスが、Cloud Storage Client Libraryのプレビューリリースにより改良される。Googleのブログ記事によると、そのクライアントライブラリにはFiles APIの機能性の多くが含まれ、それらがなお一層ブラッシュアップされてデベロッパの良質な利用体験を保証する。将来的には、重複を防ぐためにFiles APIは非推奨となる。Cloud Storage Client Libraryは、今後もアップグレードされる。

タスクキュー: この、要望の多かった機能により、デベロッパはタスクを迅速に任意のTask Queueに入れてしまえる。アプリケーションの本流がブロックしないので、リクエストの処理がより効率的になる。

データストア: Googleによると、Google Cloud Datastoreには二つの重要な変更が行われた。まず、デフォルトの自動IDのポリシーが散在型になった。またNDBライブラリが’DISTINCT’クェリをサポートする。

1.8.1の新機能とバグフィクスの完全なリストは、Googleのリリースノートにある。

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GoogleのBigQueryが分析関数を強化, UIを一新, 料金を値下げ

Google BigQueryは、いくつかの新たなアップデートにより、大量データの低料金かつ迅速な分析サービスを、より使いやすくしようとしている。BigQueryはテラバイトのオーダーのデータを処理するが、今日(米国時間6/11)発表されたアップデートで、大きなデータベースのアドホックな分析における柔軟性が増し、またより高度な分析ができるようになった。

新たな機能は6つある: 1)クェリの出力量の制限を撤廃、2)高度なウィンドウ関数、3)再計算における時間とコスト節減のためのキャッシングの改良、4)クェリのコスト情報を瞬時に提供、5)ストレージ費用の低減、6)大型ワークロードのサポート(全ユーザに対し対話的クェリのクォータを倍増)。

BigQueryの新しいウィンドウ関数によってユーザは、“結果のランキング、分布や百分位を知る、JOINをせずに結果全体を横断する”、などができる。

データ量が大きいと費用も無視できない。その点、新しいユーザインタフェイスによって、データの管理がやや容易になり、時間節約が可能になった。正しいシンタクスのクェリに対してUIは、そのクェリの実行コストを事前に教えてくれる。

ストレージの費用は1ギガバイトあたり月額12セントが8セントに値下げされた。大型ユーザのためにはクェリ単位の料金設定もできるようになる。

BigQueryは、数十億行ものデータを処理する。そのベースとして使用しているGoogle Dremelは、リアルタイムのアドホッククェリシステムとして、Hadoopの分析能力を上回る、と言われている。

Dremelをオープンソース化しよう、という動きもある。ApacheのDrillは、Dremelの技術をオープンソースで実装している。ClouderaのImpalaも、オープンソースのリアルタイムクェリエンジンだ。2月にローンチしたCitus DataCitusDB for Hadoopは、数ペタバイトのデータを数秒で処理するサービスだ。

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AWSにRed Hat Enterprise Linuxの無料利用枠, 関係データベースの利用料金値下げ

Amazon Web Services(AWS)にRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の無料利用枠が加わった。その発表と同じ夜(米国時間6/10)、関係データベースサービスの料金値下げも発表された。

AWSによるRed Hat Enterprise Linuxの提供は2007年に始まった。またAWSの無料利用枠は2010年に設けられた。今回は両者の組み合わせにより、無料利用枠の利用有資格者は750時間、RHELを無料で使用できる。

この発表の前にはAWSのブログ上で、Amazon RDS(Relational Database Service, 関係データベースサービス)の料金値下げが発表された。値下げは”On-Demand”(オンデマンド)と”Reserved”(予約)の両利用タイプに対し適用される。予約インスタンスは前払い、オンデマンドは短期間必要に応じて確保されるインスタンスだ。

オンデマンドのプライスはMySQLとOracle BYOL(Bring Your Own License, 既存Oracleライセンス)で18%、SQL Server BYOLで28%値下げされる。値下げの適用開始は6月1日にさかのぼって、となる。予約インスタンスに関してはMySQLとOracle BYOLで27%の値下げとなる。値下げは、本日以降の購入に対し適用される。

予約インスタンスに対する値下げは、過去30日以内の購入ぶんにも適用される。予約インスタンスに関しては、途中契約解除に対する返金はない。ただし料金値下げの適用は、1年ものの予約インスタンスなら30日前までの購入、3年ものなら90日前までの購入ぶんが対象となる。そして値下げぶんとの差額が、比例案分(日割り計算)で計算されて返金される。

AWSの基本テーマは、一貫して薄利多売だ。もちろん、競合他社との料金競争もある。またそれは、最近の企業ITの変化動向も反映している。企業はますます、自分のビジネスに忙しい。データベースの管理なんか、できれば自分ではやりたくない。と思って見たら、目の前にAWSがある。ラッキー! というわけでAWSの利用量は増える一方なので、料金値下げも今後さらに引き続いてあるだろう。

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OpenStackでクラウドをビルドするMirantisがシリーズAの第二ラウンドでさらに$10Mを調達

OpenStackデベロッパMirantisが、Red HatとEricssonとSAP Venturesからまた新たに1000万ドルの資金を調達した。OpenStackを使ってプライベートやパブリックのクラウドシステムを作りたいという需要が、このところますます増えているためだ。今回の資金は、シリーズAの第二ラウンドに相当する。

この前Mirantisは12月に100万ドルを、Dell Ventures、Intel Capital、およびWest Summit Capitalから調達したが、今回のラウンドにはこの三社も参加している。MirantisのCEO Adrian Ionelによると、最初のラウンドで一部の投資家が増額を要求した、しかし:

うちはすでに利益が出ていたし、1000万ドルは大きな額だから、その時点の評価額ではそれ以上を求めなかった。そこで、今後一定の経営目標を達成したら新たな評価額を算定し、それに基づく新たなラウンドを展開することで投資家たちとの合意を形成した。今回その目標に達したので、第二ラウンドを行うことになった。

MirantisもOpenStackの創設メンバーだが、OpenStackのインフラストラクチャを構成するさまざまな部品(計算処理、ストレージ、ネットワーク、…)を目的システムへと組み上げる仕事で業績を上げてきた。OpenStackはこれまで、7回のリリースを経ており、最新リリースがGrizzlyだ。開発はコミュニティが行い、さまざまな企業が自社の技術を部品として供給することによって、OpenStackが組み立てられている。

それらの企業の中では、下の図が示すように、Red HatがOpenStackの最大の貢献者であり、今回のようにアプリケーション開発企業に投資するのもうなづける。下図は、OpenStackへのこれまでの累積コミット数を表しており、左端の赤い棒がRed Hatである。

OpenStackのインフラストラクチャの派生系を作るスキルにも需要がある。たとえばSAPは、OpenStackを利用して自己のインフラを構築している。

一方Mirantisは、OpenStackのDIYキット Fuelをアップデートした。これはMirantisの多機能ライブラリ群をベースとする製品だ。たとえばMirantisのPuppetというライブラリは、インフラ利用の自動化を支える。同社はそれまで自己ライブラリへの外部アクセスをさせなかった。

しかし新バージョンはApache 2.0のライセンスにより無料で利用できる。それにはヴィジュアルなインタフェイス、ワンストップのコントロールプレーン、自動化機能、前述のGrizzlyのサポート、などが含まれる。今年の終わりごろには、Fuelの会員制の商用バージョンFuel Enterpriseのリリースを予定している。

Mirantisは今ではOpenStackのデベロッパとしていちばん目立つ企業になっている。その将来にとっては、Fuelがとくに重要だ。OpenStackの市場はどんどん拡大しているので、Fuelのようなツールの需要も拡大する。ただし、市場拡大の過程の中で、ますます多くの企業が彼ら独自のターンキーソリューションを提供してくるだろう。CloudscalingとPiston Cloud が、その分野で名を上げつつある。

しかしIonelによれば、Fuelの強みはディストリビューションを特定しないこと、またハードウェアとネットワークに関しても、要件を狭く限定していない。

“それに、うちはオープンソースだからね”、とIonelは言った。


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守秘メールがリーク: Google App Engineの検索APIがプレビューへ, そして課金

GoogleはGoogle App Engineの検索APIを実験段階からプレビューステータスへ移し、オペレーションとストレージには課金することを準備中である。このニュースのソースは、Googleのプロダクトマネージャが検索APIを実験しているデベロッパたちに送ったメールだ。彼はそのメールの中で、たった一つのことを求めている: “このニュースは数週間後の公開リリースまで守秘していただきたい”。

そしてもちろん、次に起きることは? デベロッパの誰かがそのメールをリークするのだ。

検索APIはほぼ1年前にリリースされ、デベロッパは自分のアプリケーションの中で全文検索ができるようになった。検索する範囲を指定できるほか、合致箇所のマーキング(下線引きなど)やフレーズ取り出しなどの高度な機能もある。

今日(米国時間6/4)のメールでGoogleのApp Engine担当プロダクトマーケティングマネージャChris Ramsdaleは、APIは一般公開となるにあたって変更はほとんど行われない、と言っている。ただしAPIの堅牢性(ロバストネス)は改良して、魅力的なSLA(service level agreement ≒ サービス品質の保証)を提供したい、とも言っている。そしてメールの最後のほうで、プレビューリリースからストレージとオペレーションに課金を開始する、と言っている。

メールには、料金表もある:

検索ユーザへのプロモーションのための無料のクォータが提供される: 

Google App Engineに関しては、Google I/O以降、ニュースが多い。月曜日にはMobile Backend Starterのローンチが発表され、AndroidデベロッパがGoogleのApp Engine上で動く自分のアプリケーションのためにGoogleのクラウドインフラを利用できることになった。

この検索APIに関しては、今Googleの確認を求めている。何らかのコメントが得られ次第、この記事をアップデートしよう。


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GitHubが発表したOctokitはGitHub APIを使いやすくするRuby/Objective-Cラッパー

GitHubが今日、GitHub APIの、GitHub自身がメンテナンスするライブラリOctokit 発表した

Octokitには、Rubyデベロッパ向けとObjective-Cデベロッパ向けの2タイプがある。Ruby向けは、GitHub APIの単純なラッパーだ、という。Objective-CバージョンはCocoaとCocoa Touchを使用し“GitHub APIと対話でき、AFNetworkingMantleReactiveCocoaを使って構築されている”。

どちらも、主にGitHubのコミュニティによるコラボレーション努力の成果だ。

私はデベロッパではないので、Octokitのようなものを詳しくご紹介できる資格はないが、有能な人たちによる、良いもの(API)をさらに良いものにするための、優れた作品だ、という実感はある。APIは便利なものだが、裸のまま使うにはもろく、複雑で分かりにくい部分もある。それらの問題に対して、APIの利用状況を管理できるRunscopeのようなツールもある。3月に書いた記事では、 TasktopのSoftware Lifecycle Integration(SLI)プロジェクトを取りあげた。それは、複数のツールをリアルタイムに同期化することによって、デベロッパたちが目の前の問題について話し合えるための、普遍的なデータメッセージバスだ。

しかし新しいものはつねに、最初は個人が作る。GitHub APIのためのOctojitラッパーは、数年前にWynn Netherlandが作ってメンテナンスしてきたものだ。ブログTreehugのインタビューでNetherlandは、Twitter Ruby GemLinkedIn Gem*のメンテナンスも自分が手伝った、と言っている。〔*: Twitter APIとLinkedIn APIのRubyラッパー〕

OctokitはGitHubコミュニティの長年の成果であり、ボトムアップの取り組みでアプリケーション開発におけるAPIの利用が、よりやりやすくなった、ということの好例だ。

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Wise.ioはGoogleなどが内部的に使っている強力な機械学習アルゴリズムをサービスとして一般に提供

GoogleもLinkedInもAmazonも、何千人もの技術者を抱えているが、彼らの仕事は、自分の会社の、リコメンデーションや検索やそのほかのインターネットサービス機能の改良など、もっぱら社内の仕事に向けられている。Wise.ioが今日(米国時間5/30)から提供するサービスは、そのような機械学習の機能を外部の一般人が使えるようにする。

Wise.ioはGoogleなどと競合するのではなくて、同社がサービスとして提供する機械学習機能は、それまで何百人何千人もの人を必要としていた問題解決の仕事を、誰もがもっと短時間かつ安価にできるようにする。

同社はまるで、来世を研究している科学者が始めたような企業だ。その科学者Joshua Bloomは、Wize.ioのファウンダであり、元カリフォルニア大学バークリー校の天体物理学の教授であり、そして今日、Alchemist AcceleratorのDemo Day(デモデー)で自分の会社(Wise.io)を立ち上げた人物だ。同社は今後Citrix Startup Acceleratorのスタートアップ育成事業に加わり、シード資金と、Alchemistグループからの金額非公開の投資を受け取る。

Wise.io自身も、機械学習のアルゴリズムにより高速性とスケーラビリティを実現している。そのためにBloomと彼のチームは、これまで長年、クェーサーやブラックホールや宇宙の深部の研究で培ってきた技術と知識をWise.ioに注ぎ込んでいる。彼によると、バークリーにおける研究では、通常のツールでは対応できないほど複雑で大量のデータを扱ってきた。新しい技術を自分たちで発明しなければならなかった。そしてこれからは、その知識をパッケージしてサービスとして提供できる。とはいえ、それでもまだ、相当複雑である。サイトのメッセージによると、Wise.ioはデータサイエンティストのためのツールであり、企業による利用に適している。データサイエンティストのマーケットプレースや、レポート作成の自動化、といった機能もある。

Wise.ioは、HadoopやMongoDBなどさまざまなソースからデータを摂取し、それらの(ビッグな)データに対する多次元的なビューを作りだす。たとえばWise.ioの機械学習アルゴリズムは画像中のすべての画素の、ほかの画素との関連性を分析できる。さらにそのほかの、何十億もの信号の相互関係も分析できる。また分析の結果の出力形式も、さまざまな形式の中から選べる。このような分析により、たとえばストリーミングのプロバイダには、スマートフォンで見ているユーザが今立っているか、座っているかが分かる。つまりWise.ioは、データ集合に対するホリスティックな視点を提供する。したがって、高度な認識機能とインテリジェンスを要するアプリケーションに向いている。

彼によると、これまでは、今の機械学習が提供できるような大量複雑なデータの分析に、数年を要していた。Netflixも数年前に機械学習の導入を考えたが、当時の技術ではその実装に100年を要した。Wise.ioは、機会学習のアルゴリズムの高速化とスケーラビリティを実現した。それには、前述のように、長年の大量の天体観測データの分析の経験が貢献している。

同社がねらっている市場の一つが、工場等の安全操業だ。この分野は昔から、大量のデータの分析を要していた。たとえば事故に関する報告書を作るのに、半年以上もかかっていた。“数百人/時間を要していたが、うちがやれば20分で終わる”、と彼は言う。

つまり相当大きな人と時間の節約をWise.ioは提供する。その点が同社の魅力であり、またデータ処理技術の未来像を予見させる。Bloomによると、産業革命によって機械が重い物を持ち上げるようになった、今では情報技術がデータを処理して重い知識を持ち上げることができる。重要なのは、そこだ。

Googleも、こないだのGoogle I/Oで一般提供を開始したGoogle Cloudの規模拡大に取り組んでいるから、いずれWise.ioと競合するようなサービスを始めるかもしれない。しかし、本当の敵は市場のノイズだ。(ビッグ)データ分析のプロバイダーやインメモリデータベース企業など、競合他社は数え切れないほどいる。しかしWise.ioの年商は今年すでに130万ドルに達するそうだから、そのレースでかなり良い位置を走っている、と言えるだろう。

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アプリケーションのクラウド化の進展でサーバの売上が初めて落ち込む

Gartner Researchの調査報告によると、今年の第一四半期では、世界のサーバの売上高が前年同期比で5%減少し、IBMやHPなど上位五社(Dellを除く)がとくに大きく落ち込んだ。サーバの台数では、0.7%減少した。

しかしサーバの売上の減少は、意外ではない。近年雨後の筍したクラウドアプリケーションは今では数千件の規模に達し、その世界へのデベロッパたちの移行も急激に進んでいる。しかしそれらのアプリケーションがいくら増えても、大きなワークロードに対応できるパワーアップされたx86サーバに住み込むだけだから、サーバの新規売上には貢献しない。今のデベロッパは、サーバではなくクラウドに対して仕事をする。大企業も、昔のように高価なマシンを金に糸目を付けず潤沢に買い込むことはなくなった。

Gartnerの報告書では、x86サーバの台数は当四半期でほぼ横ばい、売上額では1.8%増加した。しかしサーバの売上は、機種の問題というよりベンダが今直面している問題だ。上位5社の売上は2013Q1で軒並み減少し、ただ一社Dell…x86専門!…だけが14.4%の増加を見た。

RISC/ItaniumのUnixサーバは前年同期比で台数が38.8%減、売上では35.8%減少した。メインフレームは世界全体で売上が3.6%上昇し、相変わらずのしぶとさを見せている。

ここにGoogleやFacebookやAmazonなどの名がないのは、彼らがサーバの買い手だからだ。クラウドサービスのベンダは、サーバの提供者のように見えて、実はサーバを買う側だ。しかも彼らは、車にたとえるとロールスロイスのような高級機を買うのではなく、必要な機能だけを実装した無駄のない安価なマシンをQuantaのようなところから一括大量仕入れしているから、サーバの売上データにあまり貢献しない。ちなみに今では、サーバの全世界売上7台のうち1台がQuantaで買われている

Open Compute Projectというディスラプティブな(革新的で破壊的な)プロジェクトも、無視できない。これはFacebookが率いるオープンハードウェアの運動だが、サーバやネットワークスイッチのオープンソース化を推進し、古い体質のサーバ業界にダメージを与えようとしている。Quantaも、今ではOpenCompute仕様のプロダクトの販売により力を入れようとしている。

サーバビジネスの現状は、来(きた)るべき未来を示唆している。ロールスロイス的サーバ機ベンダのカモだった大企業も、これからは超安値のサーバ市場と今急速に評価を高めつつあるオープンソースムーブメントに、適応して行かざるを得ない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、〈レガシー問題〉対策にクラウドを利用

Microsoftは、同社のボットネット対策グループをクラウドに移し、既知のマルウェア侵略に関する情報を準リアルタイムに提供する。Microsoftはこの新しいプログラムをインターネット事業者(ISP)や、組織内でマルウェア等の脅威を監視する任務を果たしているコンピューター緊急対応チーム(CERT)等にも利用できるようにする。

新設のサイバー脅威情報プログラム(C-TIP)は、2010年に立ち上げられたプロジェクトMARS(Microsoft Active Response for Security)を置き換える。プロジェクトMARSは、ISPやCERT向けに最新情報を定期的にメール配信していた。C-TIPでは、データとその異常を監視し、ボットネットがばらまいたマルウェアによる脅威を未然に防ぐ。

さて、Microsoftは、パソコンを犯罪者が操り悪事を働くボットへと変える攻撃者からソフトウェアを保護することを、重大事ととらえている。Microsoftデジタル犯罪対策課(テレビの犯罪ドラマで聞くような響き)のTJ Campana課長は、悪意ある攻撃はソフトウェアをアップデートしない人々にとって問題になることが非常に多い、と語った。

ソフトウェアをアップデートしない・・・うーむ・・・それはクラウドの利点だよね?

これは、新しいクラウドインフラを使って旧システムを安全に保つというニュースだ。レガシー問題が、クラウドのもたらす強大なデータコンピューティングと分析能力によって対応されている。

しかし本当のより現代的問題はデスクトップパソコンが攻撃されることではない。問題はモバイル端末であり、どうやってこれをサイバー犯罪者が繰り出す脅威から守るかだ。

何千万何億という人々がMicrosoftのソフトウェアを使っている。従来セキュリティーは、企業の周囲に塀を張りめぐらして、ソフトウェアやコンピューターを安全に保つことだった。

今人々に必要なのは、自分たちのデータを守るための健全な習慣と予防措置である。この努力が集団を保護するために役立つ。しかし新しい戦いはデスクトップ上にはない。それはデータが流れるクラウドや何十億台ものデバイスの中で起きている。

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(翻訳:Nob Takahashi)


アプリケーションのAPI呼び出しを視覚化してモニタし問題を早期発見するRunscopeが$1.1Mを調達

今日(米国時間5/22)のGlueカンファレンスでローンチしたRunscopeが、True VenturesとAndreessen Horowitzから110万ドルのシード資金を調達した。ユーザ(デベロッパ)が自分のアプリケーションのAPI使用トラフィックを視覚的にモニタでき、その不具合などを検出するツールを、同社はサービスとして提供している。今回の投資には、Lerer Venturesと高名なエンジェル投資家たちのグループも参加した。

Runscopeのツールは、SaaSなのでスケーラビリティが良い。また最初からAPIも提供しているので、デベロッパはAPI経由での利用もできる。企業のITもWebサービスの利用が主流になりつつある今日では、ソフトウェアの統合が複雑で高価な工程になっている。個々のアプリケーションへの接続は、RESTベースのAPI呼び出しで比較的容易にできる。しかし問題は、複数のWebアプリケーション(のAPI)を分散環境で統合的に利用する場合に生ずる複雑性だ。

分散アプリケーションのコードの構造は、独特だ。そしてそれらが、オンプレミスのサーバやクラウドプロバイダのネットワークとサーバの上で文字どおり分散的に動く。そのコードが、APIプロバイダのコード集合や、特定のサーバを呼び出していたりする。

このような複雑な状況を、簡単に一望に監視&管理できるようにするのが、Runscopeのツールの仕事だ。最初は試験用のツールを目指していたが、今後はプロダクション向けのツールとしても提供していく予定だ。

“まずやりたいのは、ユーザのアプリケーションが(API利用を介して)そのほかのサービスと会話している様子を視覚化することだ”、とRunscopeのCEO John Sheehanは言う。APIのトラフィックを目視できて、起きている問題が文字どおり目に見えるツールを作る、ということだ。

“今のアプリケーションの理想像は、複数の分散的な小片から成り立っていても、まるで単一の首尾一貫したアプリケーションのように動くことだ”、とSheehanは言う。“みんなそのことを理解し始めているが、しかしツールは、古いスタイルのアプリケーションを作るためのものしかない。たとえばパフォーマンスをモニタするツールは、あらゆる問題がユーザのサーバ上で起きている、としか判断しない”。

RunscopeはAmazon Web ServicesのEC2の上で構築され、Pythonでプログラミングされている。CTOのFrank Stattonは、Twilioでリードエンジニアだった。システムは障害耐性があり、構築したのはPinterestから来たRyan Parkだ。SheehanはStattonと同社を共同創業する前にはIFTTTにいた。さらにその前には、 Twilioでデベロッパエヴァンジェリストを務めていた。

収益源は、まず、Runscopeのランタイムそのものだ。それが、APIトラフィックに関するデータを生成する。そのデータは、BI(ビジネスインテリジェンス)に利用できる。また、このサービスが提供する多様な情報と機能により、顧客のミッションクリティカルなアプリケーションの安定性を高め、とりわけAPIの問題が重症化する前の早期発見を可能にする。

同社の競合他社としては、まずNew RelicがRusncopeが対応する問題にパフォーマンスの面から取り組んでいる…とくにモバイルのSDKで。またApigeeLayer7などのAPI管理サービスも、同じ業態に属している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


マルチデータベースシステムの構築・利用・管理をAPI経由で簡易化するOrchestrate.io, Bashoの協同ファウンダが立ち上げ

分散NoSQLデータベースRiakを提供するBashoの、協同ファウンダだったAntony Falcoが、300万ドルを調達してOrchestrate.ioを立ち上げた。このサイトは、ちょうどTwilioが、API経由でユーザシステムのVoIP〜テレフォニーまわりの構築と管理を簡易化してくれるように、やはりAPIの提供を通じて複雑なデータベースまわりの負担を軽減する。この投資ラウンドを仕切ったのはTrue Ventures、これにFrontline VenturesとResonant Venture Partnersが参加した。

Bashoを数か月前に去ったFalcoによると、Orchestrate.ioはデベロッパが機能の豊富なアプリケーションを構築するとき直面するさまざまな問題を解決する。‘機能の豊富なアプリケーション’には、おおむね、複数のデータベースがつきもので、それらが地理地域的、時系列的、あるいはそのほかの意味的に、多様な機能を担っている。

データベースの問題は慢性的に存在する。問題の原因が、関係データベースのスケーラビリティの限界であることも多い。ここ数年、AmazonやGoogleなどは従来システムの天井にぶつかり、大量のクェリに対応できる新しいデータベースを独自に開発せざるを得なくなった。その結果、アプリケーションの良好な稼働状態を維持するためのデータベースの管理やメンテナンスに、大量の時間を投ずることになった。

Orchestrate.ioの役割は、データベースレイヤの抽象化、いわばサービスに対するサービスだ。Twilioが、デベロッパによるSMSやVoIPなどのサービスへのアクセスを巧妙に単純化したように、Falcoのサービスはデベロッパがデータを同社のAPIから取り出すようにして、アプリケーションの機能の増強を容易化する。“説明のためにTwilioやSendgridの名前を持ち出すけど、問題の性質は違う。しかし提供するサービスのパターンが共通している”、と彼は言う。“多数のデータベースを動かすという複雑で面倒な業務の前面にうちのAPIを置く。デベロッパ/プログラマはそのAPIを使って迅速にアプリケーションを構築できる。TwilioやSendgridもそれと同じやり方で、データベースではなく通信〜ネットワーキングまわりの複雑性を大幅に単純化している”。

Orchestrate.ioは、提供するサービスをインメモリで動かす。“インデクスやホットデータをメモリに保存することは、パフォーマンスにとって必須だ”、とFalcoは言う。“3つの層がある: インメモリのアクティブデータとインデクス、永続性がありアクセス頻度の高くないディスクストレージ、そして安価で障害耐性のあるストレージに収める老朽不活性化データだ。メモリから取り出すデータが多ければ多いほど、パフォーマンスは良くなり、レイテンシは少なくなる。ユーザはそれぞれ別のデータベースを対象とする3つ4つのクェリからなる‘リッチなクェリ’を実行できるようになる”。

Orchestrate.ioはオープンソースのデータベースを使ってそのサービスを構築している。“うちはデータベースは作らない”、とFalcoは言う。“データベースそのものは今後も変化する。だから特定のデータベースには縛られないようにしている。Riak(Bashoのプロダクト)はもちろん、うちのようなユースケースには理想的だ。うちもサービスの基盤部分ではRiakを使っているが、それ以外では何も特定化していない”。

同社は、データとアプリケーション/ユーザとの間を最短距離にしたいので、複数のデータセンターを使うつもりでいる。それは各ユーザ企業に安定的な高パフォーマンスを提供するためにも、重要な視点だろう。サービス自体も、一点集中ではなく分散化するのだ。

たとえば、アプリケーションがAmazon Web ServicesのEastリージョンにインストールされていて、イギリスのロンドンに多数のユーザがいる場合。Orchestrateは複数のプロバイダにまたがる十分に大きな(分散)データセンターを使っているので、地球上のどこにいる大量ユーザにも対応できるだろう。

Falcoはデータベースの未来についてこう語る: データは金(きん)の鉱脈だが、そのアクセス方法が不適切なら原油の池にすぎない。データベースがデータにアクセスし、データを組織化して、クェリに対して可利用にする。しかし、その効率は良くない。デベロッパがたった一つのデータベースを扱う場合でも、そう言える。しかし、企業やシステムの機能の増加と共に、データベースの数も増える。そうすると、デベロッパの目の前にあるのは、Rube Goldbergのマシンだ。それでも、仕事は完璧と迅速を要求される。データセンターを猫たちの遊び場にするわけにはいかない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google Cloud PlatformはAWSなどとどこが違うのか

先週のGoogle I/Oで一般公開が発表されたGoogle Cloud Platformをめぐって、誤解があるようだ。しかしそれは、今度できた新しいプラットホームではない。むしろそれは、Googleがこれまで何年も使ってきたものだ。それは、Googleの基盤だ。それは、GoogleをGoogleたらしめているものだ。そしてそれが今初めて、デベロッパや企業に公開されようとしている。

Google Platformは、誰もがそれを利用できるようになったという点が新しい。これまでは、限られた人たちしかアクセスできなかった。

Google Cloud Platformが公式にローンチしたのは、昨年のGoogle I/Oでだ。だからまだ、Google I/OのようなイベントではGoogleの新しいサービスであるかのように騒がれる。しかしその機能集合は、Amazon Web Services(AWS)に比べると見劣りがする。サービスレベルアグリーメント(service level agreement, SLA)の深さでは、Windows Azureにかなわない。PaaSを導入しようとしている顧客には、ほかにも、Openshift、Red Hatといった選択肢があり、自社でオープンクラウドを構築したければOpenStackがある。ほかにも、IBM、HPなど、選択肢は数多い。

では何がGCPの強みか?

しかしGoogle Cloud Platformには、他にない強みが一つある。それは、企業が自分のデータセンターをそこに接続すれば質問の答が数ミリ秒で得られるネットワークだ。Googleが、3D地図や翻訳APIやGoogle Glassなどを提供できるのも、そんなネットワークがすでにあるからだ。

Google I/Oの分散データベースセッションのパネルでMongoLabの協同ファウンダWill Shulmanは、“それは猛烈に速い”、と言った。“顧客企業はインターネットに直接接続するのではなく、データセンターをGoogleのプライベートな分散バックボーンに接続するのだ”。

ネットワークが高速であることは、いくつかの重要な違いをもたらす。Google Compute Engineでは計算処理とストレージがそれぞれ別だが、ネットワークの速度が速いためにユーザは一つのもののように感じる。一台の、巨大なスーパーコンピュータを自分のプログラムから使っているような感覚だが、実はそれは数千台ものサーバに分散しているコンピューティング&ストレージサービスなのだ。

また、ネットワークが速ければ、一定時間内に処理できるデータ量も多くなるから、コストに関しても有利だ。

Googleの料金体系には、このようなネットワーキング効果が織り込み済みだ。そのやり方はクラウドプロバイダProfitBricksに似ており、ProfitBricksはInfniBandを使ってGoogleの10GBネットワークよりさらに大きな帯域を提供している。しかしそれでもGoogleのファイバネットワークとデータセンター最適化構成は、時間単位ではなく分単位の料金体系を可能にしている。

つまりGoogleのプラットホームでは、顧客がコアを倍にして、それまで1時間を要していたデータジョブを、同じ費用で30分で終えることができる。

Googleは、データセンターを生き物のように見ている。それらは孤立した島ではなく、接続されている。そのほかのデバイスやサーバや、ほかのデータセンターに、接続されているのだ。

サービスの実体がサーバではなくネットワークだとの認識から、Googleはネットワークに力を入れざるをえない。今や、世界はデータの群ではなく、データの織物(ファブリック)だ。しかし、ネットワーキングは高くつく。計算(CPU)コストとストレージコストがますます低下していく中で、ネットワーク費用はそれほど劇的に低下しない。昨年6月に行われたOpen Network SummitでGoogleのプロダクトマネージャAmit Argawalが、プレゼンでそう語った。

上のビデオでArgawalは、同じ10GBの接続パイプでも、合衆国国内の二地域間と、市場が急速に発展しているアジアの二か国間ではコストが大きく異なる、と言っている。デバイスは至るところにあり、今や使い捨て状態だ。スマートフォンを紛失しても、新たに買ってバックアップするのに30分もかからない。しかしデータはデバイスではなくクラウドにある。データに対するサービスはネットワーク上に住まう。だから、高速で対話的でなければならないのは、今やネットワークだ。ネットワークが速くないと、ユーザのエンゲージメントも滞る。高可用性が、このスタックのあらゆるレイヤに組み込まれていなければならない。

Googleではデベロッパの役割が大きい理由

ネットワーキングやそのほかの費用を抑えるために、Googleはオペレーションの最適化に絶えず努めている。インターネットのビジネスモデルは、無料または低額を要求する。したがってGoogleは、そのサービス上でデベロッパがアプリケーションを作る場合、それがGoogleの広告プロダクトの拡大に貢献し、Google Appsのようなローコストのサブスクリプションサービス(定額会費制サービス)であることを求める。

そしてそのためにGoogleがデベロッパを集める「場」が、Google Cloud Platformであり、そしてデベロッパたちはGoogleの明日の経営にも貢献するのだ。

Google I/OでGoogleは、デベロッパがGoogleのバックエンドを利用するために提供しているツールについて説明した。Google Mapsにも、Chromeにも、AndroidにもBigQueryにも、それらが組み込まれている。Google Glassも、いずれそうなる。

AWSにはリッチなデベロッパのエコシステムがあり、提供しているサービスもきわめて多様かつ深い。しかしAmazonにはGoogleのような自己同一性がなく、Google的なサービスのプロバイダでもない。AmazonになくGoogleにあるものは、デベロッパに提供できる豊富なデータ(とそれらを取り出すAPI)だ。それが、多くのデベロッパを抱える企業に対してもGCPの強力なセールスポイントになる。

たとえば分散データベース企業Cloudantなどにとっては、Google Cloud PlatformはAWSと並ぶ重要なコミュニティだ。“Google上のデベロッパは数が多いだけでなくどんどん増えている”、分散データベースパネルに同席した同社の協同ファウンダでチーフサイエンティストのMike Millerはそう語った。

Google App Engineは、デベロッパにとってのGoogleの魅力を象徴している。GoogleはGoogle I/Oで、Google App EngineでPHPをサポートする、と発表した。PHPを使ってWebサイトを構築している大量のデベロッパたちが、これからはGoogleを利用できることになる。3月にGoogleがTaleriaを買収したのも、動的(ダイナミック)プログラミング言語のサポートを拡大し、システムのスケールアウト(==分散化)のニーズに効率的に対応していくためだ。本誌のFrederic Lardinoisは、この買収についてこう書いている:

同社のサーバを使うと、アプリケーションのコードはそのままで、“より少ない台数でより多くのユーザを扱える”、という。また、“自分の好きな生産性の高い言語を使えるが、スケーラビリティとパフォーマンスはコンパイル言語並になる”、という。

そしてさらにGoogleは、Google App Engineの使いやすさの増大に努めている。たとえばバックエンドをサービスツールとして提供し(上述)、また管理機能の充実により、デベロッパがバックエンドのことを忘れてアプリケーションのコードに集中できるようにしている。

デベロッパでない人でもアプリを構築できるという“ヴィジュアルPaaS”サービスOrangeScapeなどにとっては、とくにこの点が重要だ。デベロッパから見ての、Google App Engineの利用インタフェイスの単純化、それにより同社はITチームの肥大を防げている、とCEOのSuresh Sambandamは言う。

Googleのネットワークは、一社が持つものとしてはおそらく世界最大だ。しかし同社の今後の最大の課題は、そのデータセンターの費用低減である。いわばGoogleは、同社のインフラストラクチャを公開してその分散ネットワークをより効率的に拡大し、しかもそれと同時に、多くのデベロッパを惹きつけてそのビジネスモデルをスケールしていかなければならないのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


とっても地味だった今年のGoogle I/Oキーノート–主役はデータをサービスに変えるアルゴリズムとAPI

GoogleがI/Oカンファレンスの初日に話せることは、ほかにもあったはずだ。Google Glassとか。

でも今日のGoogleはもっぱら、データをサービスにするための新しい方法をいかにして開発したか、という話に終始した。そのハイライトは奇抜なハードウェアではなく、GoogleのAPIとアルゴリズムが行うマジック、すなわちGoogleの毎日の主食だ。

午後はRackspaceのRobert Scobleや、メディアの古顔Jake Ludingtonらと今日のイベントについて話をしたが、その最大の特徴は、これまでのようなフレッシュな興奮がないことだ。役員たちが息を弾ませてGoogle+について語るとか、パラシュートで屋上に下りてきた男がGoogle Glassを見せびらかすとか、そんな高揚は何一つない。

ScobleやLudingtonと知り合った2004年には、ScobleはMicrosoftにいて、Ludingtonは当時のもっともギークなカンファレンスGnomedexを支えていた。そのころはブログが最先端のソーシャルネットワークであり、携帯電話はレンガのように大きくて重かった。

Scobleとは、Googleのアルゴリズムのセマンティクスやコンテキストについて、そしてまた、今日のキーノートの、デベロッパにとって本当に重要な核心部分について話し合った。

Robert ScobleがGoogle I/Oの会場にいる

Ludingtonは、キーノートの中の、オーディエンスがもっとも身を乗り出した部分に着目した。

Jake LudingtonもGoogle I/Oの会場にいる

ScobleとLudingtonはいずれも、彼らなりのギークだ。彼らの共通の関心は、データとそれを扱うアルゴリズム、その関心が彼らをGoogle I/Oに引き寄せた。その点では、昔も同じだ。2004年のそれは、RSSのフィードでブログを読む、といったこと。今の最新のリーダーは、データをレンズのところまで運んで人の心に送り込むGoogle Glassだろう。そしてそれもまた、データをサービスにする新しい方法の一つだ。

Google I/Oの会場でScobleやLudingtonのような連中の姿を見かけるのは、人はスカイダイビングのようなスペクタクルを見たいのではなく、すばらしいイノベーションに関心があることの、生きた証拠だ。

〔Google I/O 2013スケジュール。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google株、Google I/O初日に52週最高の915ドルで引ける。Apple再び下げる

Googleの株価は今日(米国時間5/15)Google I/O初日に、52週間最高値の915ドルを記録した。一方Appleは、今日だけで15ポイント下げて428ドルで引けた。52週間最高値より277ポイント安。

今日の午前Googleの株価は、共同ファウンダーLarry Pageがステージに上った11:45頃、始値の895ドルから、909ドルへと急騰した。あるアナリストは上昇の理由を、Googleのストリーミングサービス“All Access”の発表、およびApple、HPといったハードウェアメーカーとの交代劇だろうと私に語った。

Google株とApple株の価格差は、テクノロジー界展望のバロメーターだ。Googleはデータの会社。Appleはデザインをより重視し、美しいデバイスを作る。

その違いはここGoogle I/Oでも明らかだ。Googleは、世界中どこの会社よりも多くのデータを扱うインフラストラクチャーを構築した。そしてこのデータを使い、今日の基調講演でハイライトされたサービスを提供する。Google Translate APIや次世代のGoogle Mapsなどだ。iPhoneはいつも変わずエレガントだ。本誌のJosh Constineが指摘するように、デバイスの美しさは、世界中がデータオブジェクトで構成されるようになるにつれ、重要でなくなっていく。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Googleが新料金、新ツールとともにCloud Platformを一般公開―いよいよAmzon AWSと激突へ

今日(米国時間5/15)、 Googleは開催中のGoogle I/Oカンファレンスで Google Cloud Platformを一般公開したと発表した。これでいよいよ従量制クラウド・コンピューティング市場でAmazon Web Services (AWS)と本格的に競争できる巨大プレイヤーが登場したことになる。

現在Cloud Platformはあらゆるデベロッパー、企業に対して公開ずみだ。さらにGoogleは料金、利用できるインスタンスの種類などに改定を行った。

  • 分単位課金 インスタンスに対する課金は10分を最低時間として1分単位で計算される。これによりデベロッパーは実際の利用時間分だけに支払いを行えばよく、無駄がなくなった。
  • 共有コアインスタンス 低速、小規模な処理のために小型のインスタンスが提供される。
  • 高度なルーティング デベロッパーがオンプレミスのネットワークとGoogleのクラウドを直結するゲートウェイとVPNサーバーを構築するのを助ける高度なルーティングが提供される。
  • 大型パーシステント・ディスク 1基10TBの大型ディスクを提供する。Googleは「業界標準の10倍の容量」と表現している。

Googleはまた非リレーショナルなデータのための新しいDBMS、PHPのランタイムも新たに提供する。

昨年Googleはデベロッパーが自分のアプリをGoogleのインフラ上のLINUXバーチャル・マシンで走らせることができるというクラウド・コンピューティングのベータテストを実施した。これに参加するには招待を受けるか、Googleの営業チーム経由で申し込んで承認される必要があった。

続いて今年4月から、Compute Engineの月額400ドルのゴールド・サポート・プランに加入しているユーザーは招待や承認を受けなくてもベータテストに参加できるようになった。

Googleはまたインスタンスの利用料金を4%下げた(ストレージ料金は昨年11月に20%下げている)。

今年、GoogleはCloud Platformの普及に本腰を入れる構えだ。Google I/OではCloud Platform関連が25セッションも用意されている。これよりセッションの数が多いのはChromeとAndroidだけだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ビデオメッセージングの大衆化日常化に賭けるCollaajがフリーミアムでローンチ

今日(米国時間5/14)ローンチしたCollaajは、ビデオを簡単に作れてそれをメッセージとして送れる、というサービスだ。

このSaaS方式のツールには、まず、ビデオを作るためのビデオエディタがある。ビデオは、アプリのデモや、何かの図解、プレゼンテーションの映像による注釈、個人やグループ間のビデオメッセージなど、なんでもよい。Collaajのバックエンドがそれらのビデオの保存、ストリーミング、一定の人たちとの共有、などのサービスを提供する。ビデオはMP4で保存され、そのリンクがほかの人たちに送られる。

Collaajは、Camtasiaのようなハイエンドなビデオキャプチャプロダクトとはやや用途が違う。Collaajはたとえば、営業のきっかけとして製品のデモを送ったり、サポートチームがナレッジベースやヴィジュアルなFAQを作るなど、気軽で日常的な使い方ができる。

むしろ競合相手はWebexやGoToMeeting、Microsoft Lyncなどだが、しかしこれらで作るビデオにはCollaajのような非同期性がないので、あくまでも(ミーティングなどの)補助的なツールだ。

しかし問題は、自分独自の方法でビデオを作っている人がどれぐらいいるかだ。ビデオを日常的に作って使いこなしている人は、まだ少ないのではないか。Collaajにとっては、そのことが難関だ。しかしビデオの作成編集ツールは最近ますます使いやすくなっているから、人びとの日常のメッセージ手段としてテキスト(メール〜)や画像(写真)と同格の位置に並ぶのも、そう遠くはないだろう。

CollaajはiPadアプリもあるが、MacやWindowsからでも使える。協同ファウンダのKiran Kamityによると、クライアントがダウンロードするのはDropboxの場合と同じような、小さなファイルのみだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ビデオメッセージングの大衆化日常化に賭けるCollaajがフリーミアムでローンチ

今日(米国時間5/14)ローンチしたCollaajは、ビデオを簡単に作れてそれをメッセージとして送れる、というサービスだ。

このSaaS方式のツールには、まず、ビデオを作るためのビデオエディタがある。ビデオは、アプリのデモや、何かの図解、プレゼンテーションの映像による注釈、個人やグループ間のビデオメッセージなど、なんでもよい。Collaajのバックエンドがそれらのビデオの保存、ストリーミング、一定の人たちとの共有、などのサービスを提供する。ビデオはMP4で保存され、そのリンクがほかの人たちに送られる。

Collaajは、Camtasiaのようなハイエンドなビデオキャプチャプロダクトとはやや用途が違う。Collaajはたとえば、営業のきっかけとして製品のデモを送ったり、サポートチームがナレッジベースやヴィジュアルなFAQを作るなど、気軽で日常的な使い方ができる。

むしろ競合相手はWebexやGoToMeeting、Microsoft Lyncなどだが、しかしこれらで作るビデオにはCollaajのような非同期性がないので、あくまでも(ミーティングなどの)補助的なツールだ。

しかし問題は、自分独自の方法でビデオを作っている人がどれぐらいいるかだ。ビデオを日常的に作って使いこなしている人は、まだ少ないのではないか。Collaajにとっては、そのことが難関だ。しかしビデオの作成編集ツールは最近ますます使いやすくなっているから、人びとの日常のメッセージ手段としてテキスト(メール〜)や画像(写真)と同格の位置に並ぶのも、そう遠くはないだろう。

CollaajはiPadアプリもあるが、MacやWindowsからでも使える。協同ファウンダのKiran Kamityによると、クライアントがダウンロードするのはDropboxの場合と同じような、小さなファイルのみだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Zapier、APIのダウンを発見する監視サービスを公開

Zapierはオンラインサービスを繋ぐ作業を自動化するサービスだ。このほど、200種類のAPIを監視するサービスを開始した。時にはプロバイダーより早くダウンを見つけることもある。

新ツールは、Zapierでサポートしている全APIのアップタイムとダウンタイムを監視する。人気のウェブAPIのリアルタイムの状況やZapierのサービスを利用している顧客への影響をモニターする他、単にAPIの動きを追跡するための便利なツールとしても使える。各APIは、SMS、 インスタントメッセージ、メール、その他Zapierの中核サービスでサポートされている様々な方法を使って監視できる。

Zapierの共同ファウンダー、Wade Fosterは監視サービスを開発した理由について、ベンダーは主要製品については性能監視用のダッシュボードを提供していることが多いが、APIにはなかったからだと言った。これは AmazonDesk.com37Signalsなどのサービスについて言えることだ。APIがアプリ同志を繋ぐ糊となっている今、これは問題だ。その結果APIがダウンすると消費者は闇に置き去りにされる、とFosterが最近のメールで語った。例えば、Google APIがダウンした時、Zapierはほぼ瞬時に発見した。

そのダウンに関するHacker Newsのスレッドがこれだ。「相棒の共同ファウンダーは、そこでトップコメンターになっている。それに続くコメントの数々が、われわれがこの機能を公開する後押しになった」とFosterは言った。

ダッシュボードは公開されてから約1週間になる。ほぼ全ては常時稼動中であり、最近のアプリケーションの質の高さをものがたっている。

これはかなり嬉しいサービスだ。アプリに組み込んだ複数のAPIを監視しなければならないデベロッパーにとっては特に重要だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google Compute EngineはデフォルトOSとしてDebianを導入

GoogleはGoogle Compute EngineにDebianを導入し、これを、このサービスを利用するデベロッパのデフォルトのOSとする。GoogleはDebian 6.0と7.0の両方をサポートするが、後者は今週リリースされたばかりだ。

GoogleがDebianをデフォルトOSとするについては、いくつかの明白な理由がある。Rishidot ResearchのファウンダでクラウドアナリストのKrishnan Subramanianによれば、それはまず第一に無料であること。“UbuntuやRed Hatでは、Googleはエンタプライズ向けの有料製品を使わされることになる”、と彼は言う。またさらに、Debianはユーザ層/顧客層が厚い。それに、Googleのギークな企業色にも合っている。

この発表に関するブログ記事でGoogleは、Debian 7.0愛称”wheezy”の改良点を挙げている。セキュリティの強化、32/64ビット互換性の向上、そしてコミュニティからのフィードバックへの対応だ。

Googleは、Google Compute Engineとの相性について、今後そのほかのオペレーティングシステムも評価する、と述べている。

なお、Google Compute Engineを利用できるのは、月額会費400ドルのGold Supportパッケージの会員のみである。

Debianの導入は、来週行われるGoogle I/Oの準備の一環のようにも見える。おそらく今年のI/Oでは、Googleのクラウドコンピューティング戦略をめぐる発表が行われるのだろう。

Debianは、Ubuntu、Mint、Fedora(Red Hat)など、そのほかのLinuxオペレーティングシステム配布系(ディストリビューション)と競合している。DistroWatchによると、それらの中でDebianはページヒットランクが5位、1位はMintだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))