成層圏気球での宇宙旅行提供を目指すSpace Perspectiveが7.3億円調達

宇宙旅行スタートアップのSpace Perspectiveが、Prime Movers LabBase Venturesなどから新たに700万ドル(約7億3000万円)のシード資金を獲得した。Jane Poynter(ジェーン・ポインター)氏とTaber MacCallum(テイバー・マッカラム)氏によって設立されたSpace Perspectiveは、成層圏気球を開発するWorld Viewを以前に設立した会社で、Neptune宇宙船の開発に焦点を当てている。Neptuneは超高高度気球によって宇宙の縁まで運ばれ、他に類を見ない眺めを乗客に提供することを目的とした与圧型カプセルだ。

Neptuneは1回の飛行で最大8人の乗客を乗せ、地球の大気圏の上端で2時間を過ごし、大西洋に着水するまでの6時間の旅ができるように設計されている。Space Perspectiveによると、最初のテストフライトは2021年の第1四半期(1月〜3月)の末頃を予定しており、最終バージョンとなる加圧キャビンを持たないNeptuneのプロトタイプを飛行させる予定だという。

そこから2024年頃までに、Neptuneが最初の人間の乗客を乗せるために必要なシステムを開発しテストする計画だ。なお、2021年からはチケットの事前販売も開始される。

PoynterとMacCallumによる前身のベンチャーであるWorld Viewは、当初はそのビジネスモデルの一部として有人による成層圏での宇宙旅行を予定していたが、同社はそれ以後、現在のリーダーシップの下で科学的、商業的通信と観測ペイロードに焦点を当てるようになった。World Viewは2018年にRyan Hartman(ライアン・ハートマン)氏をCEOに任命し、ポインター氏に代わってトップの座についている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Space Perspective資金調達

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

中国の月着陸船「嫦娥5号」が月面着陸に成功、米国、旧ソ連に続く3カ国目の土壌採取に挑戦

中国の国営通信社は、月の岩石サンプルを地球に戻すことを目的とした月探査ロボット「嫦娥5号(Chang’e-5)」が着陸に成功したと報じた。打ち上げは11月23日に始まり、11月28日に月周回軌道に到達、11月30日に着陸機を打ち上げている。中国国家航天局(CNSA)の報告によると米国時間12月1日東部標準時午前10時(日本時間12月2日0時)すぎに無傷で月面に着陸するという目標を達成したという。

中国の嫦娥5号ミッションは月から土壌や岩石のサンプルを持ち帰るというもので、成功すれば中国は米国と旧ソ連に続く3カ国目となる。ミッションで月着陸船は、地球に最も近い月の側面(月の自転周期と公転周期は同じ約27日間のため、地球から見ると月は常に同じ面を向けていることになる)に着陸した。

今回の着陸は、ミッションにおける次のステップまで時間的な余裕がない。というのも、着陸機にはヒーターユニットが搭載されていないため、月の夜に耐えることができない。つまり今後、地球時間で14日間のうちにサンプルを採取しなければならず、12月16日か17日頃には戻ってくる可能性があることになる(すべて計画どおりに進めば、中国が月の石を持ち帰るのは私たちのTC Sessions: Space eventに偶然にも間に合うことになる)。

現在進行中の地球外のサンプルリターンミッションはこれだけではない。ロッキード・マーチンが設計した探査機は2020年11月に、地球近傍小惑星ベンヌのサンプル回収に成功したばかりで、2021年3月に再度出発する予定だ。NASAはまた、2020年7月に打ち上げた探査機「Perseverance」を使って、火星へのサンプル回収ミッションを開始している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXは有人火星面着陸を2024〜2026年に実現させるとイーロン・マスク氏

SpaceX(スペースX)の創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、米国時間12月1日に大手メディア企業Axel Springer(アクセル・シュプリンガー)から賞を贈られたが、そこで彼は腰を据え、宇宙、Tesla(テスラ)、AIなど、幅広い話題にわたるインタビューに応えた。マスク氏はまず、SpaceXの火星への野心について語り、SpaceXの次世代宇宙船Starship(スターシップ)で赤い惑星へ到達するまでの現在のタイムラインを示した。彼らは、今週末までにこの宇宙船の新たな高高度試験飛行が実施できればと考えている。

マスク氏は、火星の有人着陸を6年後あたりに想定しているという。そのタイムラインには「とても自信がある」と彼は話していた。これは、地球と火星の太陽を巡る公転軌道上の位置が、26カ月ごとに最接近するという事実に基づくものだ。無人火星飛行と着陸は、次の最接近時、つまり今から約2年後を目指している。さらに、運が良ければ、今から6年後ではなく4年後の最接近時に有人着陸を果たしたいと彼は語った。

マスク氏自身が最初の軌道飛行を行うのはいつかと尋ねられると、「2年後か3年後になる」と答えた。ただし、第1の目標は「大勢の人が火星へ行き、惑星間で生活が行えるように、そして月面に基地を建設できるように」するための同社のテクノロジーを確立することだと釘を刺し、自身の個人的な目標を抑えて謙虚に答えた。

彼はまた、最後には火星に埋葬されたいという願望(火星に宇宙船が墜落して事故死するという意味ではなく)を繰り返した後、宇宙旅行社会の到来が現実になるとの信念と、ゆくゆくは人類の生存には必須のものになるという考えを示したが、それは避けて通れないリスクということではなく楽しく、エキサイティングで、魅力的なものであって欲しいとも語った。

Starshipは、先に述べたとおり、最初の大規模な高高度試験飛行に向けて動き出している。打ち上げはテキサスにあるSpaceXの開発施設で、早ければ今週末までには実施される予定だ。だが同社は、実際の飛行の前に、試作エンジンの重要な地上燃焼試験を済ませる必要がある。

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カテゴリー:宇宙
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(翻訳:金井哲夫)

Virgin Orbitが12月19日に2度目のデモンミッションに挑戦

Virgin Orbitが、次の軌道飛行の予定日時を発表した(Virgin Orbitリリース)。Virgin Orbitは次の軌道飛行試行の目標時期を発表したが、それは今年初めに行われたデモンストレーション発射に続くもので、ロケットを搭載機、打ち上げ機から切り離して重要な宇宙への旅の続きを部分を続けようと独自エンジンに点火するまではするまではほぼ順調にいっていた。同社によると、その最初の試みに基づいて、エンジンシステムや輸送機、データシステムを含む多くのアップグレードを行っており、2度目のさらに良いデモフライトが期待されている。

次の打ち上げは米国時間12月19日で、太平洋時間午前10時から午後2時までを予定されている。延期時には翌12月20日、さらに遅れるときにはその後の数週間のいずれかの日で、時間は同じだ。このデモンステレーションはVirgin Orbitの打ち上げシステムの完全な打ち上げサイクルを含み、ボーイング747旅客機を改造した打ち上げ機であるCosmic Girlと、巡航高度でCosmic Girlから分離するロケットLauncherOneも登場する。その後ロケット自身のエンジンが点火し、積荷として小さな衛星を乗せた宇宙への旅が始まる。

Virgin Orbitのシステムがユニークなのは、離着陸が普通の空港から行われるため専用の打ち上げ場が不要で、比較的揚力の低い地球上の場所ならどこからでも打ち上げることができる柔軟性が望める点だ。、小さな衛星企業でも、SpaceXのような大型ロケットのスケジュールを待たされたり、Rocket Labなどに高い料金を払うことなく、わずか1機または数機の宇宙船を自分たちのスケジュールで安価に打ち上げられるようになる。

2020年5月の前回、Virgin Orbitの飛行は離陸からLauncherOneの搭載機(747改造機)からの分離まで完全にうまくいった。ロケットのエンジン点火も予定時間どおりだった。しかしエンジンの停止は、何らかの異状を発見して内蔵の安全システムが正しく動いたという点でのみ、正常だった。

Virgin Orbitは2度目の挑戦で、第1段階の動力飛行と次の段階を始動までは完全であることを示したいと考えている。今回は技術的にはまだ実証ミッションであり、その主な目的はデータ収集であるにもかかわらず、実際に顧客の衛星を搭載するため、多少リスクは高い。

搭載されている10個のペイロードはNASAのもので、米国に拠点を置く大学や学術機関が全面的に作成した様々な科学的・教育的プログラムを代表するものだ。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Virgin Orbit

画像クレジット:Virgin Orbit

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

UberがフードデリバリーPostmatesの買収を完了

Uber(ウーバー)は米国時間12月1日、Postmates(ポストメイツ)買収の完了を発表した。このディールは7月に明らかにされていた。情報開示時に26億5000万ドル(約2765億円)だった全株式による買収だ。Postmatesは自前のブランドやフロントエンドを維持しながらUberとは別のサービスとして業務を続ける一方で、ドライバーの共有などバックエンド業務の一部は統合される。

Uberは合体後の組織について、また2社にとって買収が何を意味するのか、ブログへの投稿で詳しい考えを明らかにした。同社はともに働く加盟店のメリットになると考えている。そして正式なディールクローズとともに、加盟店サイドで顧客フィードバックを収集を促進する新たな取り組みも発表した。

Uberはそれを「地域的なリスニングエクササイズ」と呼んでおり、2021年初めから展開することにしている。この取り組みでは、地方のレストラン協会や商工会議所の協力を得てその地域の経営者の懸念を聞き取る。Uberの双方向マーケットプレイスの片方の側との協業を改善するために数年前に同社がドライバーのフィードバックを集めた取り組みと同じようなもののようだ。

加盟店のニーズにフォーカスすることは、現在のグローバルパンデミックを考えるとかなり重要だ。パンデミックでは外出制限や安全のための勧告に従おうと人々は配達を選ぶようになり、Uber Eatsはフードサービスやグローサリー業界において重要なインフラ構成要素となっている。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:UberPostmates買収

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

AlphabetのDeepMind、AIベースのタンパク質構造予測で歴史的なマイルストーンを達成

Google(グーグル)の親会社Alphabet(アルファベット)の傘下にあるAI技術企業DeepMind(ディープマインド)は、AIを使ったタンパク質の構造予測で大きなブレイクスルーを達成した。同社は米国時間11月30日、そのAlphaFold(アルファフォールド)システムが、50年前から科学界を悩ませてきた重要課題だったタンパク質のフォールディング(折りたたみ)問題を解決したと発表した。今回のAlphaFoldの進歩は、疾患の理解や将来の創薬、製薬の分野で、大きな飛躍につながる可能性がある。

AlphaFoldが今回合格したテストが示すものは、AIがタンパク質の構造をわずか数日のうちに、非常に高い精度で(実際、原子の幅の範囲内で正確に)把握できるということだ。これは疾病がどのように治療できるかを発見するために重要な、極めて複雑な仕事であるだけでなく、有毒廃棄物のような生態系の中で危険な物質を分解するための、最適な手法を見つけ出すような大きな課題を解決することも可能となる。おそらく「Folding@Home」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれない、これは、タンパク質のフォールディング実験に個人が自分の家庭用コンピュータ(かつてはゲーム機)の処理能力を提供できるプログラムだ。こうした大規模なグローバルクラウドソーシングの取り組みが必要だった理由は、従来の方法では部分的なフォールディングの予測にも何年もかかり、直接コストや計算リソースの面で非常に高価だったからだ。

DeepMindのアプローチは「Attention-based(アテンション・ベースド)ニューラルネットワークシステム」(基本的に、効率を上げるために特定の入力に注目できるニューラルネットワーク)も利用している。システムは、タンパク質のフォールディング履歴に基づいて、可能性のあるタンパク質のフォールディング結果の予測を継続的に洗練させていくことができるため、結果として非常に正確な予測を提供することができる。

タンパク質がどのようにして折りたたまれるのか、つまり、最初に作られたときのランダムなアミノ酸の列から、どのようにして最終的に安定した複雑な形の3D構造になるのか、病気がどのようにして広がっていくのか、そしてアレルギーなどの一般的な状態が、どのように引き起こされるのかを理解するための鍵となる。折りたたみのプロセスを理解していれば、それを変える可能性も生まれ、感染症の進行を途中で止めたり、逆に、神経変性や認知障害につながるフォールディングの間違いを修正したりすることができる。

DeepMindによる技術的な飛躍は、こうしたフォールディングをはるかに短時間かつ省資源の処理で正確に予測することを可能にし、病気や治療法の理解が進むペースを劇的に変える可能性がある。この成果は、私たちが現在苦痛に直面している新型コロナウィルス感染症(COVID-19)同様の、将来起こりうるパンデミックなどの世界的に重大な脅威に対処する役に立つだろう。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のような脅威が将来新たに出現した際に、初期の段階でウイルスのタンパク質構造を高い精度で予測することで、効果的な治療法やワクチンの開発をスピードアップできるのだ。

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タグ:AlphabetDeepMindタンパク質

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(翻訳:sako)

モデルナの新型コロナワクチンの予防効果94.1%、重症化ケース100%予防、緊急使用許可申請へ

製薬会社Moderna(モデルナ)が新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン治験の初期分析を完了し、94.1%の予防効果が確認されたと結論づけた。治験には3万人が参加し、うち196人で感染が確認された。分析ではまた、(入院が必要になるなど)重症化ケースを100%予防でき、治験中に重大な安全性の懸念はなかったことも確認された。こうした結果を踏まえ、同社は11月30日に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する。

EUA申請は実際の新型コロナワクチン供給開始に向けた次のステップだ。EUA申請が承認されれば、ヘルスケア監視当局からの正式かつ最終的な承認を待たずして、新型コロナによる死亡者数を減らせるような状況において医療従事者のような高いリスクを抱えている人にワクチンを提供できる。同社は欧州医薬品庁にも条件付きの承認を申請し、認められれば欧州内でも米国同様の緊急使用が可能になる。

ModernaのワクチンはmRNAベースで、新型コロナウイルスが人体に影響を及ぼすのを許すレセプター部位をブロックする働きのあるパワフルな抗体を作るのを促進するよう、遺伝子による指示を体に出す。人体への使用では新しい治療アプローチで、新型コロナに対し自然抗体よりもより強い抵抗を得ることができる可能性もある。免疫反応を引き起こすために実際にウイルスを体内に入れるワクチンにはリスクがつきまとうが、mRNAベースのものにはそうしたリスクはない。

Modernaは11月中旬に暫定結果での同社のワクチンの有効性は94.5%だったと発表した。同じデータを使った最終分析の結果は暫定結果とほぼ同じで、効果的なソリューションが早く利用できるようになることを願っている人にとって期待できるニュースだ。このデータはまだ専門団体のレビューを受けていない。しかし同社はフェーズ3の治験で得られたデータを科学専門誌に提出するところだと話している。

Modernaのワクチンは、前代未聞のグローバルパンデミックを受けて2020年初めに始まった新型コロナワクチンの開発・生産・供給を促進するための米国のOperation Warp Speedプログラムの一環だ。Pfizer(ファイザー)がパートナー企業BioNTech(ビオンテック)と共同で開発したワクチン、オックスフォード大学とAstraZenecaが共同開発したものなどもフェーズ3治験を進め、緊急承認と供給の準備を進めている。Pfizerはすでに緊急使用をFDAに申請した。一方、オックスフォード大学のワクチンでは、驚くほどの効果が得られた治験でワクチン接種量に誤りが見つかったため、新たな治験を完了するまでは米国で緊急使用の申請は行わない見込みだ。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Moderna新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

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(翻訳:Mizoguchi

アストラゼネカの新型コロナワクチン治験で誤り、追加の治験実施へ

製薬会社AstraZeneca(アストラゼネカ)の新型コロナウイルスワクチンのフェーズ3臨床試験(治験)で、効果が高かったグループのワクチン投与量に誤りがあったことが明らかになり、同社のCEOはグローバルで追加の治験を行うとBloomberg(ブルームバーグ)に語った。AstraZenecaとパートナーのオックスフォード大学は、ワクチン2回分を投与したグループで62%の効果を、半回分の投与後に追加で1回分を投与したグループで90%の効果が確認されたとする暫定結果を発表していた。しかし後者については実際は、本来2回分を投与するはずのものを誤って1.5回分投与したにすぎなかったことに科学者が後で気づいた。

はっきりさせておくと、これはオックスフォード大学とAstraZenecaのワクチンに対する期待をくじくものではないはずだ。結果はかなり有望であり、追加の治験はアクシデントの半回分投与の結果が実際に意図的に行った時にも裏づけられることを証明するために行われる。追加の治験は米食品医薬品局(FDA)が米国内での使用を承認するのに必要な米国で計画されている治験の前に行われる見込みで、結果的にオックスフォード大のワクチンが米国で承認されるのにさらに時間がかかることになりそうだ。

AstraZenecaのCEOによると、安全性データを含めこれまでに行われた研究には米国以外の国からの参加者があったため、オックスフォード大のワクチンの米国外での展開はおそらく影響を受けない。

Moderna(モデルナ)とPfizer(ファイザー)のワクチン候補もフェーズ3治験でかなり高い効果を示した一方で、AstraZenecaのワクチンには非常に大きな期待が寄せられている。というのも、異なる手法を用いているAstraZenecaのワクチンは冷凍させるのではなく冷蔵庫の温度で管理・輸送でき、ModernaとPfizerが開発中の2つのワクチンに比べるとコストはわずかだからだ。

そのため、AstraZenecaのワクチンはコストや輸送インフラが大きな懸念事項となっている国への配布を含め、世界中のワクチン接種プログラムにとってかなり貴重なリソースとなっている。

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タグ:オックスフォード大学新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

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(翻訳:Mizoguchi

スペースXがFalcon 9ブースターの7回目の打ち上げに成功!

SpaceX(スペースX)はさらに60機の衛星を低軌道衛星群に追加するという、新たなStarlinkミッションを実施した。これは世界を高速ブロードバンドでカバーするという同社の取り組みにとって良いニュースであり、米国時間11月24日の打ち上げはFalcon 9ロケットの第1段ブースターが新記録の7回目の飛行を実施したことからも、再使用可能なロケットシステムの開発というスペースXの重要な展望にとっても良いニュースである。

スペースXは第1段ブースターの6回の再使用飛行の記録を更新し、大西洋上のドローン船への制御着陸でブースターを回収した。

本日の打ち上げはフロリダ州のケープカナベラル空軍基地から実施され、東部標準時午後9時13分(太平洋標準時午後6時13分)に離陸した。このミッションでは以前のミッションで1回飛行している半分、および以前に2回使用されている別の半分を含む、ペイロードを保護するフェアリングカバーを使用している。

スペースXはすべての新しい部品を使用するのではなく、以前のミッションで使用された部品を飛行させることでコストを削減し、ユーザビリティの向上を目指している。今日のミッションは結果として、これまでで最も費用対効果の高い打ち上げであると考えられる。

これは16回目のスターリンクミッションであり、これまでに1000機近くの小型衛星が打ち上げられてきた。同サービスは現在ベータ版として運用されており、最近ではアメリカの一部からカナダ南部の地域にまで拡大している。

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9Starlink
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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXがStarship宇宙船初の高高度試験飛行を来週に設定

SpaceX(スペースX)は、Starship宇宙船開発プログラムにおける次の重要なフェーズに進む準備ができたようだ。そのフェーズとは15kmの試験飛行で、これまでStarshipのプロトタイプが達成した最大高度をはるかに超えるものとなる。現在までに記録されたホップテストの最高高度は約150mだったからだ。Elon Musk(イーロン・マスク)氏はSpaceXが最初の高高度試験を、来週のある日に行う予定だ(Twitter投稿)と話している。

この暫定的な日付(これらは常に変更になる可能性がある)は、現在のSN8世代のプロトタイプが静的点火試験(基本的に発射台に固定したまま試験用宇宙船のラプターエンジンの点火だけを行うテスト)に成功した後になる。それは実際の飛行への道を開く重要なステップであり、宇宙船が地上を離れる前に、稼働したエンジンの圧力に持ち堪え、耐えられることを証明するものだ。

SpaceXのSN8プロトタイプは、いくつかの点で以前のバージョンとは異なっている。最も明らかなのは、ノーズフィンとともにノーズコーンが実際に装備されているということだ。これまで短いテストホップを行ったSN6を含むプロトタイプは、ノーズコーンの代わりに質量シミュレーターとして知られるもの(つまりノーズコーンと同じ重量のおもり)が先端部分に取り付けられていた。

マスク氏は、SN8の高高度飛行が計画通りに進む可能性は高くないと付け加え、多くのことが正しく機能しなければならないことを考えると「可能性は3分の1くらいだろう」と見積もっている。そのためSpaceXはすでにSN9とSN10の準備をしており、それがStarshipのこれまでの開発プログラムのテーマであると言及した。つまり、テストと反復作業を迅速に行うために、連続した数世代のプロトタイプを並行して早急に製作しているというわけだ。

打ち上げがいつ行われるかについては、地元の規制当局に提出された警戒警報から、おそらく知ることができるだろう。SpaceXのStarshipプログラムが大きく飛躍することを期待しながら、来週は我々のお伝えする新たな情報に注目していただきたい。

関連記事:SpaceXがStarship宇宙船プロトタイプの短期試験飛行を成功、初の軌道上打ち上げへ向け前進

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceX宇宙船StarshipElon Musk

画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:TechCrunch Japan)

3DプリントロケットのRelativity Spaceが520億円調達を正式発表、火星の産業化を目指す

3DプリントロケットのスタートアップであるRelativity Space(レラティビティー・スペース)は、シリーズDラウンドで5億ドル(約523億円)調達した(Business Wire記事)ことを米国時間11月23日に発表した(以前本誌が報じた内容を正式に認めた)。ラウンドをリードしたのはTiger Global Managementで、ほかにFidelity Management & Research Company、Baillie Gifford、Iconiq Capital、General Catalystなど多くの新規出資者が参加した。初の完全3Dプリント製軌道ロケット打ち上げを2021年に控える同社の総調達額はこれで7億ドル(約732億円)近くになった。

カリフォルニア州ロサンゼルス拠点のRelativity Spaceにとって、2020年はロングビーチに12万平方フィート(約1万1000平方メートル)の製造工場が完成した大きな年だった。同社のロケット製作技術は、現存する最大の金属3Dプリンターの開発と利用に基づくもので、3Dプリントプロセスの大部分を自社開発による無人ロボットシステムとソフトウェアが扱うことで、現場の人員が比較的少なかったため、新型コロナウイルスの影響は最小限で済んでいる。

今年、Relativityは米国政府と初の正式契約も結び、新規技術と宇宙開発のためのNASAのTipping Point契約の一環として、クライアントであるLockeed Martin(ロッキード・マーティン)のために極低温燃料管理システムの新たな実験を開始した。稼働を始めた同社の第3世代Stargate金属3Dプリンターは、世界最大だといわれている。

会社の野望は遠大であり、今回調達した巨額の資金は同社が2021年にいっそう攻撃的な成長を果たす糧になるだろう。現在新たなプロジェクトが地上、宇宙関連の両方で進行中だが、CEOでファウンダーのTim Ellis(ティム・エリス)氏は、Relativityのテクノロジーの今後の応用について、火星と火星での持続可能な運用を具体的に挙げている。

以前エリス氏は、Relativityのプリンターを他の大規模金属製造に適用する可能性を示唆したことがあり、現在の費用曲線はロケット製作に最も適しているが、技術が成熟すれば他の分野にも応用できると指摘した。火星であれ地球であれ、大規模3Dプリンターが将来有望であることに間違いはなく、Relativityは有利な位置につけているようだ。

我々は来たるTC Session: Space 2020イベントにエリス氏を迎え、今回の資金調達や会社の未来について質問するつもりだ。

関連記事:3Dプリンターを使ったロケット開発のRelativity Spaceが520億円調達

カテゴリー:宇宙
タグ:Relativity Space資金調達

画像クレジット:Relativity

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スペースXが世界の海を監視する衛星の打ち上げに成功

【訳者注】打ち上げは成功(Twitter投稿)し、衛星は予定軌道に投入された。

SpaceX(スペースX)は米国時間11月21日土曜日の朝、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地からFalcon 9を太平洋標準時の午前9時17分(東部標準時12時17分、日本時間11月22日2時17分)に打ち上げる予定だ。これは欧州宇宙機関(ESA)、NASAおよび米国とヨーロッパの気象観測機関によって開発されたSentinel-6 Michael Freilich Missionである。

Sentinel-6は、2006年から2019年までNASAの地球科学部門の責任者を務め、8月に他界した元NASA地球科学部門長のMichael Freilich(マイケル・フライリッチ)氏にちなんで命名された。これは、プログラムに予定されている2機のSentinel-6シリーズの衛星のうちの1つで、Sentinel-6Bは2025年のいずれかの時期にSentinel-6 Michael Freilichに参加する予定だ。

上の動画は、打ち上げ時刻の約15分前、つまり太平洋標準時午前9時2分(米国東部標準時12時2分)頃にライブ配信される。本日のミッションがキャンセルされた場合、日曜日の太平洋標準時午前9時4分(東部標準時12時4分)にバックアップのスケジュールが用意されている。

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Voyager Space Holdingsが打ち上げプロセスの合理化に特化したThe Launch Company買収

Voyager Space Holdingsは、包括的かつ多方面な宇宙技術を提供するために最近買収熱が高まっている企業の1つだが、同社はアンカレッジを拠点とするスタートアップであるThe Launch Companyを買収する意向を明らかにした。The Launch Companyは「打ち上げプロセスの合理化」に特化したスタートアップで、複数の顧客をホストし異なるプロバイダーからの打ち上げの間にすばやい対応ができるようなサイトを構築することを最終目的としている。

すでにThe Launch CompanyはFirefly、Relativity、Virgin Orbit(バージン・オービット)など、新しい宇宙分野の多くの企業と協力してきた。また、モバイルかつ即応性の高いマルチビークルの打ち上げ機能の開発目指す米国防高等研究計画局(DARPA)の打ち上げチャレンジにも参加している。柔軟で即応性のある打ち上げサービスに焦点を当てているThe Launch Companyは、新興の民間宇宙産業だけでなく、米国防総省や米空軍のような潤沢な資金を持つ安定した顧客からの高い需要もある。

一方でVoyagerは宇宙産業全体の顧客に、ミッションの設計と打ち上げまでのプロセスを通じて、より垂直統合的なサービスを提供できるな資産の構築に注力してきた。両社は2020年に入って、NASAと協力しArtemisプログラムの一部を開発しているPioneer Technologiesを買収(未訳記事)し、2019年には衛星インターフェース、サービス、設計を手がけるAltius Space Machinesを買収している。

カテゴリー:宇宙
タグ:Voyager Space HoldingsThe Launch Company買収

画像クレジット:John Kraus / Astra

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

スペースXが16回目のStarlink衛星打ち上げ、Falcon 9の再使用限界をテストへ、本日11時すぎからライブ中継

SpaceX(スペースX)は16回目のStarlinkミッションを米国時間11月23日の東部標準時午後9時34分(日本時間11月24日11時34分)に打ち上げる。この打ち上げでは60機のブロードバンドインターネット衛星を地球低軌道に投入し、既存のコンステレーションに加えて成長を続けるネットワークに貢献し、最終的には世界中をカバーすることになる。打ち上げはFalcon 9ロケット再使用の新記録を達成する可能性があるという意味でも重要だ。

スペースXがこのミッションで使用するブースターは2020年8月、6月、1月だけでなく、2019年5月、2019年1月、2018年9月にも飛行している。さらにロケットの衛星ペイロードをカバーするフェアリングは、以前のミッションで1回飛行した半分と、修復される前に2回のミッションで使用された別の半分となっている。

これはもちろんスペースXのStarlinkミッションを推進することになるが、最終的には世界中の遠隔地に高速で低レイテンシー、かつ比較的低コストのブロードバンドインターネットアクセスを提供することを目的としている。同社はこれまでに約900基の衛星を打ち上げており、先週からカナダの一部の地域で「Better Than Nothing」の早期ベータ版の運用を開始している。

打ち上げライブストリームは打ち上げの15分前、または東部標準時午後9時19分(日本時間11月24日11時19分)頃から開始される。

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タグ:SpaceXFalcon 9

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

オックスフォード大学の新型コロナワクチンも効果を確認、安価で管理が容易なタイプ

製薬会社AstraZeneca(アストラゼネカ)と提携して開発しているオックスフォード大学の新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンは、フェーズ3治験の予備結果で70.4%の効果が確認された。この数字には、2種の投与方法で得られたデータを含んでいる。1つのグループには2回分を投与し、効果は62%だった。もう1つのグループには半分の量を投与してから間を空けて1回分を追加投与し、効果は90%だった。

オックスフォード大学の治験結果は、Pfizer (ファイザー)やModerna(モデルナ)のもののように目を惹く高い効果ではないかもしれない。しかし、いくつかの理由で最も有望な要素を含んでいる。まず、2回に分けて投与する手法の効果が今後の結果や分析でも認められれば、オックスフォード大学のワクチンは使う量を抑えつつ、高い効果を得ることができることを意味する(効果がさほどなければフルに2回分の量を使用する理由はない)。

2つめに、オックスフォード大学のワクチンは通常の冷蔵庫の温度(摂氏1.6〜7.2度)で保存・輸送することができる。この点に関し、PfizerとModernaのワクチン候補はかなりの低温で管理される必要がある。通常の冷蔵庫温度での管理が可能なことは、輸送する際やクリニック・病院などで管理する際に特別な設備が必要ないということになる。

オックスフォード大学のワクチンは、mRNAをベースとしたModernaやPfizerのワクチンとは異なるアプローチを取っている。mRNAベースの手法は、ウイルスを体内に入れることなくウイルスをブロックする作用のあるタンパク質を作るための設計図を提供するのにメッセンジャーRNAを使うというもので、人体への使用に関してはどちらかというと未知の技術だ。一方、オックスフォード大学が開発しているワクチン候補は、アデノウイルスワクチンだ。何十年もの間使われてすでに確立された技術であり、遺伝子を操作して通常の風邪のウイルスを弱体化させたものを注入し、人の自然免疫反応を引き起こす。

最後に、オックスフォード大学のワクチンは安い。これは部分的にはすでに試験・テストされたテクノロジーを使うためだ。確立されたサプライチェーンもあり、輸送・保管がしやすいというのも貢献している。

オックスフォード大学のフェーズ3のワクチン治験には2万4000人が参加し、2020年末までに6万人に増える見込みだ。安全性に関するデータではこれでまでのところリスクは特に見られなかった。暫定分析では131人のコロナ感染が認められたが、ワクチンを接種した人で重症化したり入院が必要になったりしたケースはなかった。

これは、はっきりと効果が認められる新型コロナワクチンのサプライチェーンの幅を広げる、有望なワクチンという素晴らしいニュースだ。可能な限り早く多くの人に接種できるという点において、複数の有効なワクチンを持つというだけでなく、複数の異なるタイプの効果的なワクチンを持つ方がはるかにいい。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:オックスフォード大学新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

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(翻訳:Mizoguchi

ファイザーとBioNTechが新型コロナワクチン候補の緊急使用承認を申請

米国時間11月20日、有力な新型コロナウイルスワクチン候補の1つを製造している2つの企業が、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)に予防治療の緊急使用承認(EUA)を申請した。今週初め、国際共同第3相臨床試験データにおいてワクチンが95%の有効性を示したことを明らかにしたPfizer(ファイザー)とBioNTechは、米国だけでなくオーストラリア、カナダ、ヨーロッパ、日本、英国でも緊急承認申請を行っており、2020年12月末までに「高リスク集団」でのワクチン使用を開始するための道を開く可能性があると述べている。

FDAのEUAプログラムは、現在のパンデミックのような軽減事由が満たされている場合、治療薬会社が早期承認を求めることができる。情報のサポートと安全性データの提供が必要とされるが、一般的に新薬や治療法が実際に広く投与できるようになる前に行われる完全な、正式な、より永続的な承認プロセスと比べて、優先的に審査が行われる。

ファイザーとBioNTechのワクチン候補は本質的に、SARS-CoV-19(新型コロナウイルス感染症の原因となるウイルス)が細胞に付着する能力をブロックする特定のタンパク質を産生する方法の指示を、人体に与えるというmRNAベースのワクチンだ。このワクチンは最近、第3相臨床試験が行われており、これまでに4万3661人が参加している。両社は参加者の中から確認された170例のデータ、8000人の参加者から積極的に募集した安全性情報、受動的に収集した3万8000人の補足データなど、FDAにEUAを申請するための裏付けとなる情報を提出している。

このワクチンやその他の後期開発段階にあるワクチンは、世界的に生産の準備が進められており、EUAは第一線で働く医療従事者を含む高リスク者へのアクセスを許可する可能性があるが、広範なワクチン接種プログラムの開始はおそらく来年以降、2021年後半になると思われるということは、記しておく必要があるだろう。

カテゴリー:バイオテック
タグ:PfizerBioNTech新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

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(翻訳:TechCrunch Japan)

倒産から再起したブロードバンド通信衛星企業OneWebが12月17日に打ち上げ再開

ブロードバンド通信衛星企業のOneWebが米国時間11月20日、連邦倒産法11条による保護状態を脱したと発表した。これより同社は、英国政府とインドのBharti Globalによるコンソーシアムが保有する企業になり、これまでのAdrián Steckel(アドリアン・シュテッケル)氏に代わってNeil Masterson(ニール・マスターソン)氏がCEOになる。なおシュテッケル氏は、同社取締役会に顧問として留まる。

OneWebは、650の人工衛星から成る衛星コンステレーションのための積極的な衛星打ち上げ事業に復帰したいようだ。次の打ち上げは12月17日と予定されている。同社がこれまでの3度の打ち上げですでに軌道に乗せた衛星は74基で、打ち上げは同社が3月に破産する前までに行われた。

OneWebの、英国政府とBharti Globalの合同による買収は7月に明らかになり、10億ドル(約1038億6000万円)の株式投資により、財務的苦境に立たされていた同社に復帰のめどが立った。今回の新たな契約により、同社は英国の企業として主に同地で操業を続け、同国を宇宙部門のリーダーおよびイノベーターとして位置づけるための重要な礎石になる。

同社はまた、Airbusとのジョイントベンチャーであるフロリダの生産施設が稼働を再開して、今後の打ち上げのための宇宙船の生産を継続すると発表した。計画によると衛星の打ち上げは2022年まで行い、さらに2021年の後期には一部地域への商用サービスを開始する。サービスのグローバルな拡張は、2022年を予定している。

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カテゴリー:宇宙
タグ:OneWeb

画像クレジット:OneWeb

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

空気循環とUV-C光を組み合わせて新型感染リスク低減に役立つ家庭用装置「Nanowave Air」

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の原因となるウイルスが、エアロゾル(長時間空中を漂う可能性のある小さな粒子)を介して運ばれることは知られている。今では世界中の研究者およびエンジニアが、リスクの高い場所での空気循環を促し、空気中にあるかもしれない活性ウイルスを殺すことに注意を向けている。そのような努力の成果の1つがNanowave Air(ナノウェーブ・エア)だ、このデバイスは、ピッツバーグに拠点を置くDynamics(ダイナミクス)によって開発された(NEXT Pittsburg記事)もので、UV-C光を安全に封じ込めた方法で利用して、換気の悪い場所でのウィルスを不活化する。

Nanowave Airは、一般家庭にある空気清浄機と基本的には同じ原理で動作する。ファンを使って空気を取り込み、それを部屋に戻す前にフィルターを通すのだ。一般的なものとの違いは、この製品のフィルターが実際に紫外線、特にUV-C光で照射されているということだ。UV-C光は、新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2ウイルスを殺すために有効であることが証明されている。

UV-C光は、私たちが普通は日光からかなりの量を受けている一般的なUV-A光とは異なる。また、UV-C光への直接暴露は人間にとって有害だ。これまで室内のウイルスを表面殺菌するために使用されてきたが、殺菌中は部屋を利用することができず、一般的に使用されている部屋は当時は占有できず、使用が終わって人がまた入ってきた後は効果は持続しない。

Nanowave Airは、カーネギーメロン大学のスピンアウトであるDynamicsによって開発された。すでに大規模な産業用途のためにUV-C光源に取り組んでいたDynamicsのCEOが、その技術を新型コロナ危機への対処に適用できるのではと考えたのだ。このことがポータブルなNanowave Airの開発につながった。それはおよそ趣味用の望遠鏡サイズで、内部にUV-Cライトを内蔵している。そしてファンを使って空気を高速に吸い込みあらゆる活性ウィルスを不活化することができる。また動作中でも同じ室内に人間が居続けることもできる。

Nanowave Airは現在、3450ドル(約35万8000円)の小売価格で販売されている。これは、プライマリ・ケア施設、歯科医院、その他の共有スペースでの使用が意図されている。これは現在、ソーシャルディスタンスガイドラインや室内暴露に関するガイドラインがある中で、複数の人間が同じ場所を共有せざるを得ないような場所での使用ということだ。同社は、ピッツバーグ大学ワクチン研究センターを含む米国全土の多くの研究室で、その技術をテストしてきたが、現在は新型コロナ陽性の個人が住む一部の家庭で、まだ病気に罹患していない他の家族への暴露の可能性を減らすために利用されていることを公表した。

今週は、新型コロナウイルス用のワクチン開発に関する、2つの大きな肯定的ニュースを目にした。しかしそれが長期的には上手く働いて、供給も迅速に増えて行くとしても、世界的に新型コロナウイルス感染症を食い止める努力の一環として、ワクチンを受けていない人たちの間での感染を避けるために多くの防御手段を講じる必要がある。空中を浮遊するウイルスを管理することは、もちろん重要な対策であり、Nanowave Airのようなソリューションは、そうした努力の促進に役立つ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Dynamics新型コロナウイルスCOVID-19

画像クレジット:Dynamics, Inc.

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(翻訳:sako)

ファイザーの新型コロナワクチンの予防効果は95%と判明、緊急使用許可申請へ

製薬会社Pfizer(ファイザー)は新型コロナウイルス感染症ワクチンのフェーズ3臨床試験データに関する最新の分析を明らかにした。それによると、4万4000人が参加した治験を分析した最終結果でワクチンの効果は95%だった。同社が米国時間11月9日に発表した初期データよりも高い有効性だ。初期データではフェーズ3治験データの暫定分析に基づく予防効果は90%と発表していた。

今回の発表は、Moderna(モデルナ)が開発するワクチンのフェーズ3臨床試験の分析に続くもので、Modernaは94.5%の有効性が認められたと発表していた。Pfizerとパートナー企業BioNTech(ビオンテック)のワクチンはmRNAをベースとした手法だ。Modernaのものと似ていて、2つのワクチン候補の効果はほぼ同程度のようだ。対象が限られ、今後科学者によってレビューが行われることになるが、少なくとも今のところはそうだ。

最終分析のPfizerのデータは、治験参加者4万4000人のうち170人で新型コロナ感染が確認されたことを示している。170人のうち162人はプラセボ(偽薬)が投与されたグループで、残る8人のみが実際にワクチン候補を投与された。同社はまた、重症となった10人のうち9人がプラセボグループで、新型コロナ感染を防げない稀なケースでもワクチンが重症化を防ぐのに役立つと考えられる、とも報告した。

今回の発表はPfizerが米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可(EUA)を認められるのに役立つはずだ。EUAが承認されれば、本来のプロセスで最終的な承認が下りる前に緊急手段としてワクチンを供給できる。今週初めに同社は、治験参加者の2カ月分のフォローアップデータをすでに集めたと明らかにした。フォローアップデータは承認に必要なもので、同社は「数日以内」にEUA申請する意向を示していた。同社は年内にワクチン製造を開始し、2021年末までに最大13億回分のワクチンを製造する計画だ。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:PfizerBioNTech新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:JUSTIN TALLIS/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

月面探査機用のワイヤレス充電と発電所発見機能をAstroboticが開発中、BoschやWiBoticと連携

月面探査スタートアップのAstrobotic(アストロボティック)は、同社の靴箱サイズの月面ロボットであるCubeRover用の超高速ワイヤレス充電技術の開発に取り組んでいる。このプロジェクトはNASAのTipping Pointプログラムから580万ドル(約6億円)の資金援助を受けており、シアトルを拠点とするワイヤレス充電スタートアップのWiBoticと連携し、高速で短距離向けのワイヤレス充電に関する専門知識を得るとともに、Bosch(ボッシュ)を引き入れてAIベースのデータ分析を行い、ロボットがワイヤレス充電するためのドッキングステーションまでの道筋を見つけるのを支援する。

既存の月面探査機は太陽光を動力源とするのが一般的だが、それらは実際には非常に大きく(おおよそ探査車のサイズかそれ以上)、ソーラーパネルで光線を吸収するための表面積も大きい。Astroboticの月面探査車は重量が5ポンド(約2.3kg)以下になる予定だが、太陽からの電力を集める面積が少なく、代わりに探査に必要なエネルギーを維持するのに2次電源に頼らなければならない。

そこで登場するのがWiBoticだ。ワシントン大学と協力するこのスタートアップは、特に宇宙ベースのアプリケーションで使用するための「軽量で超高速な近接充電ソリューションと、基地局と電力受信機」を開発する予定だ。しかしこれらのステーションを見つけることは、特にGPSのようなシステムが機能しない月では、大きな課題となるだろう。その代わりにBoschは、ロボットに搭載されたセンサーから収集したデータを活用して、センサーフュージョンにより自律的なナビゲーション機能を提供する。この研究はロボット科学や探査ミッションの増加にともない、将来の探査車が発電所だけでなく、月面上のさまざまな目的地まで移動する際に役立つ可能性がある。

目標は、2023年に探査車の充電システムのデモを公開することであり、パートナーはNASAのグレン研究センターと協力し、同センターの熱真空チャンバー試験室で技術をテストする予定だ。

カテゴリー:宇宙
タグ:AstroboticBoschWiBotic

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter