インド最大のEdTechスタートアップByju’sが米国の読書プラットフォームEpicを約550億円で買収

Byju’s(バイジュース)は7月21日、カリフォルニアに本社を置く読書プラットフォームのEpic(エピック)を5億ドル(約550億円)で買収したと発表した。インドで評価額が最大のスタートアップByju’sが米国マーケットで事業を拡大する最新の動きだ。

買収取引は現金と株式によるもので、Epicの創業者であるKevin Donahue(ケビン・ドナヒュー)氏とSuren Markosian(スレン・マーコシアン)氏が引き続きEpicを率いる、とByju’sはTechCrunchとのインタビューで述べた。

Epicは社名を冠した、12歳以下の子ども向けのデジタル読書プラットフォームを展開している。米国の小学校の90%で活用されている同プラットフォームは、200万人超の教師と5000万人もの児童(2020年の2000万人から増加した)が使用している。

初期投資家にEvolution Mediaを抱えるEpicは、何人の子どもが本を読んでいるか、どれくらい読書に関わっているか、どこで関心が薄れ始めるかなど、リアルタイムの匿名化および集約されたデータを集めて分析している。Netflix風の動きの中で、Epicはまたオリジナル本の紙バージョンのリリースも開始した。

TechCrunchは3月に、Byju’sがEpic買収を交渉中だと報じた。ドナヒュー氏とマーコシアン氏はByju’sと関わりがある。2人がByju’sの共同創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏と最初に会ったのは4〜5年前だが、買収話が始まったのは2021年だと2人は話した。

レヴィーンドラン氏(写真)はインタビューで、自身の息子がアプリを使っていて、それがきっかけとなってスタートアップを起業する機会を真剣に追求するようになったと述べた。

「我々は約8年前に、あらゆる子どもに本を提供する、という目標でEpicを創業しました。テクノロジーを通じて子どもを読書に夢中にさせることができ、子どもと読書の間にある障壁を取り除くことができると考えたのです。当社のプラットフォームはいま、米国のほとんどの学校で活用されていて、5000万人超の子どもにリーチし、10億冊の本が読まれました」とマーコシアン氏は話した。

「このプラットフォームの構築は個人的な思いからです。我々の子どもにもっと本を読んで欲しいのです。ですので、この点を鑑みて世界にプラットフォームを拡大することに目を向けるのは我々に取って理にかなったものでした。バイジューと話し始めたとき、教育に対する情熱、そしてテクノロジーが教育の機会を広げるのに役立つという信念を共有していることに気づきました。バイジューとともに我々はEpicを次のレベルにもっていくことができます」とマーコシアン氏は語った。

Epicがリリースしたオリジナル作品(画像クレジット:Epic)

米国での事業拡大

Byju’sにとって新しいプロダクトは現在のポートフォリオを拡大し、同社が探し求めてきた米国についての専門性をもたらす、とレヴィーンドラン氏は述べた。Byju’sのサービスへのEpic追加は「読書は子どもの学習にとってパワフルなフォーマットであるため、プロダクトという観点から賞賛すべきものです」とも話した。

「Epicのプロダクトの提供は米国の生徒にさらなるオプションをもたらし、当社がサービスを提供しようとしてきた層にリーチするのに役立つでしょう。Epicはこうした層をよく理解しています」とレヴィーンドラン氏は指摘した。

​Byju’s​は2021年初め、コーディングと数学をオンラインと非オンラインで提供し、またラインナップに音楽、英語、美術、科学を加える計画の一環として、海外事業をByju’s Future Schoolへとブランド変更した。レヴィーンドラン氏は、Epicがブランド名を改称するか決めていないと話したが、同社が米国でよく知られているブランドあることを認めた。

7月初めに米国でディズニーのキャラクターを使った学習アプリを立ち上げたByju’s​は米国で主に3つのサービスを提供している。各サービスは2021年だけでそれぞれ1億ドル(約110億円)を売り上げる、とレヴィーンドラン氏は予想している。「当社の野心は世界に影響を与えることです」と同氏は述べた。

Byju’s​は北米事業に10億ドル(約1100億円)を投資する計画だと同氏は話し、Epicのサービスをインドや他のマーケットにも投入する計画だとも付け加えた。

買収と資金調達

EpicはByju’s​の一連の買収の最新例だ。ここ2年、Byju’s​は米国拠点の子どもにフォーカスした「フィジタル」スタートアップのOsmoを1億2000万ドル(約130億円)で、オンラインコーディングのプラットフォームWhiteHat Jrを3億ドル(約330億円)で、コーチングセンターチェーンのAakashを10億ドル(約1100億円)近くで、そして(正式に認めていないが)インドのEdTechスタートアップTopprとGradeupを買収した。

「我々は買収をするために買収をしたわけではありません」。自身教師であるレヴィーンドラン氏はそう語り、買収した会社の買収後の成長と成功、そしてこうした企業がどのようにもともとの創業チームに率いられているかを指摘した。「当社の野望はかなり長期的なものです。我々は創業者らが成長を加速させるのをサポートするために協業しています」と同氏は述べ、Byju’s​がさらなるM&Aの機会の模索にオープンであると付け加えた。

2020年にパンデミックが始まってから15億ドル(約1655億円)を調達し、Blackstoneなど著名投資家を引きつけたByju’s​は、近年の資金調達が若い会社の買収を支えたと述べた。同社は現在、外部からさらに資金調達する計画はないが、レヴィーンドラン氏は今後数カ月内の資金調達は排除しなかった。

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カテゴリー:EdTech
タグ:Byju’sインド買収

画像クレジット:Paul Yeung / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

さらに成長するインドのeコマースを動画やクリエイターの力でサポートするSimsimをYouTubeが買収

米国時間7月20日、GoogleがオーナーであるYouTubeは、ソーシャルコマースのスタートアップSimsimの買収を発表した。両社は買収の価額などを公表していないが、情報筋によると、買収に際してSimsimの評価額は7000万ドル(約77億円)ほどだった。

創業2年のSimsimは、本日の発表前までにおよそ1700万ドル(約18億7000万円)を調達し、2020年のシリーズBでは5010万ドル(約55億円)と評価されていた。

グルガオンに本社のある同社は、インドの小企業が、ビデオやクリエイターの力を活用してeコマースに移行する努力をサポートしている。その社名と同名のアプリは、プラットフォームとして各地の小企業や店舗、インフルエンサーと顧客を結びつける。

Simsimを初期から支援しているGood CapitalのRohan Malhotra(ロハン・マルホートラ)氏によると「特定のオーディエンスに的を絞って成長し、楽しい体験を提供して常連客になってもらい、信頼を築いて高額商品を買わせ、メッセージングを個人化してコンバージョンを促進するには、マイクロインフルエンサーの利用が最も効果的です。消費者対象のソーシャルプラットフォーム(Facebook、YouTube、Instagramなど)のような、広告を収益源とする経営がインドでは成り立ちにくいため、どうしても商取引を統合したプラットフォームになりがちです。インドで新たにインターネットユーザーになる人たちは、売り手が主導する対話的な体験を必要とし、この市場の慣行であるオフラインのコマースのネット版を求めることになります」という。

マルホートラ氏も買収の価額などは明かさず、またSimsimのCEOも米国時間7月19日に提出した買収に関する質問には応じなかった。

しかしSimsimの共同創業者であるAmit Bagaria(アミット・バガリア)氏とKunal Suri(クナル・スリ)氏、そしてSaurabh Vashishtha(サウラブ・ヴァシシュタ)氏は、共同声明で次のように述べている。「Simsimを始めたときのミッションは、インド中のユーザーがオンラインで簡単に買い物できるようにすることでした。そのためには、信頼されているインフルエンサーが作ったコンテンツのパワーにより、売り手やブランドが商品を展示し販売できなければなりません。今回、YouTubeとGoogleのエコシステムの一員になったことにより、Simsimのミッションをさらに強力に推進できます」。なお、バガリア氏とヴァシシュタ氏は以前、Paytmに在籍していた。

彼らによると「今後のSimsimを作っていく上で、技術や顧客へのリーチ、クリエイターのネットワーク、そして企業文化において、ここにまさるエコシステムは他にありません。YouTubeの一員になることが待ち遠しいし、世界で最も賞賛されているテクノロジー企業の中でSimsimを開発し続けていけるのは本当にうれしいことです」という。

YouTubeにとっては、このビデオストリーミングの巨人がインドの小企業と小売業を助けていくことにより、従来よりも強力な方法で新たな顧客にリーチできる。YouTubeのアジア太平洋担当副社長Gautam Anand(ゴータム・アナンド)氏が、ブログでそう述べている。

このビデオストリーミングサービスは、インドだけでも月間アクティブユーザーが4億5000万を超えるが、さしあたってSimsimを変える意図はなく、Simsimのアプリがそのまま使える状態を続ける。そしてアナンド氏によると「YouTubeのビューワーにSimsimをどのように見せていくか、そのやり方を検討したい」とのこと。

以前から、Googleはさまざまな形でインドに地歩を築く努力を続けているが、7月20日の発表はその最新の動きだ。これを含めてGoogleのインドへの投資は、向こう2年間で100億ドル(約1兆1000億円)に達する。Googleは他にも、インドのスタートアップGlanceとDailyHuntを支援しており、いずれもショートビデオのアプリだ。

「YouTubeには2500を超えるクリエイターがおり、サブスクライバーは100万を超えています。また、インドで最初にローンチしたYouTube Shortsの成功により、私たちはYouTubeの最良の部分をインドに持ち込むことにコミットしており、新世代のモバイルファーストのクリエイターたちがスタートしやすい環境を作って、クリエイターのコミュニティを大きくしていきたい」とアナンド氏はいう。

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タグ:YouTubeインドeコマースSimsim買収クリエイターGoogle

画像クレジット:Simsim/YouTube

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

インドのオンライン学習プラットフォームSimplilearnの過半数株をBlackstoneが約274億円で取得

Blackstone(ブラックストーン)はベンガルールとサンフランシスコに本社を置くEdTechスタートアップSimplilearn(シンプリラーン)の過半数の株式を2億5000万ドル(約274億円)で取得する。

Simplilearnは、データサイエンスやAI、機械学習、クラウドコンピューティング、その他マーケットで需要のあるスキルを学習できる、社名を冠したオンラインブートキャンプを展開している。

同社はインド工科大学カンプール校、カリフォルニア工科大学、パデュー大学などを含む大学やカレッジと提携しており、同社のサービスに申し込んでコースを終了した学生はこうした教育機関から修了証を取得できる。

毎月1000ものライブ授業を提供している創業11年のSimplilearnはこれまでに150カ国の200万人超のプロフェッショナルや、Facebook、Microsoft、Amazonといった企業2000社にサービスを提供したと話す。

2016年のシリーズCラウンド時に8000万ドル(約88億円)と評価されたSimplilearnの初期投資家にはBrand Capital、Kalaari Capital、Helion Venture Partners、Mayfieldなどが含まれる。分析プラットフォームTracxnによると、これまでにSimplilearnは約3440万ドル(約38億円)を調達した。

今回のBlackstoneの取引では、この件に詳しい情報筋によるとKalaari Capital、Helion Venture Partners、Mayfield Fundは持分を売却したが、Simplilearnの経営陣は保持する。

「パンデミックは デジタルスキルの必要性を一層加速させました。そして業界は、オンラインでのアップスキルの準備が完全に整っていることを示しました。世界最大のデジタルスキリング会社を築くための旅においてさらに大きく飛躍する絶好のタイミングです」とSimplilearnの創業者でCEOのKrishna Kumar(クリシュナ・クマール)氏は声明文で述べた。

「Blackstoneは当社に莫大な価値を加えることができると確信しています。というのも、Blackstoneはスケール、事業構築への献身、そしてグローバルネットワークを有し、世界中に事業を拡大する中で企業や大学と提携を結ぶことができます」。

今回の過半数の株式取得の数カ月前には、Blackstoneが出資するインドでコーチングセンターを運営しているAakash Education Servicesが、インドで最も価値の大きいスタートアップであるByju’sに10億ドル(約1094億円)近くで買収された。BlackstoneはまたByju’sにも出資している

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「これはBlackstoneにとってコンシューマーテクノロジー分野におけるアジアで初のプライベートエクイティ投資になります。成長を加速させ、世界有数のデジタル学習会社に育てるために、クリシュナ・クマール氏、そしてSimplilearnの一流の経営陣と提携することを楽しみにしています。アジアでのこうした投資は今回が初となります」とBlackstoneのアジア担当責任者のAmit Dixit(アミット・ディキシット)氏は声明文で述べた。

カテゴリー:EdTech
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画像クレジット:Mark Abramson / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドのユニコーン「Zomato」のIPOに世界が注目

フードデリバリーのスタートアップで来週公開市場で取引を開始するZomatoは、ジャーナリストや業界の専門家から、インドで史上最大のテック系株式上場であると言われている。上場によって同社の時価総額は最大86億ドル(約9400億円)に達する可能性があり、投資家は早くから強い関心を示している

同僚のAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)とAnna Heim(アナ・ハイム)がTechCrunchコラムに書いたように、ZomatoのIPO後の成り行きには、Paytm(ペイティーエム)とMobiKwik(モビクイック)という、同じく近日中の上場を目指しているインドのフィンテック・ユニコーンの2社を始めとする100社ほどのインド・ユニコーン、そしてもちろんリターンに焦点を合わせたベンチャーキャピタリストたちが注目している。Zomatoの成功は、追加の資金調達や今後のイグジットにつながり、法律や規制による緊張が続く中、成長投資の節目になるだろう。

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Zomotoには、公開市場で押しつぶされることがないようにというプレッシャーがかかっており、それは単なる根拠のない憶測ではない。TechCrunchの現地レポーター、Manish Singh(マニッシュ・シン)は、インドでこの上場に向けて起きているあらゆる兆候について、アーリーステージ・スタットアップで頻発している資金調達から、需要増加のおかげでエンジニアが突如力を得たと感じていることまで詳しく報告している。

Zomatoの成功によって、より多くの投資家がスタートアップ・シーンに注目する可能性があり、彼らは遅れを取り戻そうと躍起になるだろう。インドのスタートアップは2021年前半に新記録となる104億6000万ドル(約1兆1490億円)を資金調達した。2020年同時期の40億ドル(約4390億円)や2019年前半の54億ドル(約5930億円)から大幅に増加している、とデータ予測プラットフォームのTracxnがTechCrunchに伝えた。ちなみにインドのスタートアップは2020年通年で116億ドル(約1兆2740億円)を調達した。

重要なのは、人生においてもスタートアップ世界においても、「最初」の何かが単一の決断の結果で起きるのは稀だということだ。よく見てみると多くの場合、大きな節目はさまざまな勝利と成功や失敗さらにはそれまでの小さな節目の集大成である。これはインド最大のテック系スタートアップの上場(重要かつ稀!)、という偉業にケチをつけるものではなく、その波及効果は単なる資金調達イベントの副次効果ではなく、そもそもIPOを実行するにいたった推進力によるものであることを示唆している。

記事の後半では、新進ファンドマネージャー登用のトレンドについて、およびラウンド完了とは無関係な調達ラウンドに関するアドバイスについてお送りする。

新進ファンドマネージャーの台頭

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

多様な新進ファンドマネージャーたちによる一連のファンドストーリーは、これまで私が見たことのないものだった。先週、Female Founders Fund(フィーメール・ファンダーズ・ファンド)は5700万ドル(約63億円)の女性向けファンドFund IIIの募集を完了、Nasir Quadree(ナシーア・カドリー)氏は最大級のソロGPファンドを組成し、Peter Boyce II(ピーター・ボイス2世)氏はStellation Capitalでまもなく4000万ドルのファンドを完了 H Ventures(Hベンチャーズ)は1000万ドル(約11億円)の初ファンドを立ち上げた

ポイントはここだ:ますます多くの古参ベンチャーキャピタルが新進ファンドマネージャーにディールフローを依頼したり新規パートーとして勧誘している、と同僚のConnie Loizos(コニー・ロイゾス)は言っている。つい先週、 Initialized Partner(イニシャライズド・パートナー)はFounder Collective(ファウンダー・コレクティブ)からParul Singh(パルール・シン)氏を引き抜き、自社の新パートナーに任命した。このトレンドはすぐに止まりそうにはない。

調達ラウンドは珍しくないが、あなたのは違うかもしれない

画像クレジット:Mohd Hafiez Mohd Razali/EyeEm

資金を調達するほうが、資金調達を記事に取り上げてもらうよりも簡単だ。最近TechCrunchがForbes(フォーブス誌)のシニア・エディター、Alex Konrad(アレックス・コンラッド)氏を招いたEquityで話したように「調達ラウンド・ストーリー」へのハードルはかつてないほど高い。

ポイントはここだ:
注目を浴びるために、ファウンダーは競争や業界について率直に語り、記憶に残るような名言や話題を提供する必要がある。Equityでは具体的なアドバイスや、歴史的に見過ごされてきた人々がいかに麻酔効果の影響を受けたかを紹介している。

今週の注目記事

TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

印Reliance Retailがローカル検索Just Dialの支配的な持ち分を約516億円で取得

Reliance Retail(リライアンス・リテール)は現地時間7月16日、25年の歴史を持つインドのサーチ・ディスカバリー企業であるJust Dial(ジャストダイヤル)の支配的な持ち分を4億6900万ドル(約516億円)で取得したと発表した。

市場をリードするインドの大手小売企業は、上場企業であるJust Dialの41%の株式を4億6900万ドル(約516億円)で取得したこと、後に追加で26%の株式を取得するためのオープンオファーを行うことを発表した。両社は共同プレスリリースで、Just Dialの創業者で最高経営責任者のVSS Mani(VSSマニ)氏が引き続き同社でリーダーシップを発揮すると発表している。

Just Dialは、ウェブサイト、モバイルアプリ、電話回線を通じて、ローカル検索とeコマースサービスを提供している。インドのユーザーは、「8888888888」をダイヤルするだけで、地元の配管工やホテルの詳細、ハウスキーピングサービスなどについて照会することができる。

創業10年になる同社は上場前にTiger Global、Elevation Capital、Sequoia Capital India、Sapphire Ventures、Nalanda Capitalから約1億200万ドル(約112億円)の資金を調達した。同社は膨大なデータベースを構築しており、その検索結果は、Google(グーグル)などの検索エンジンの上位に表示されるほど有用で適切な情報を提供している。

ユーザーは無料で利用できる。Just Dialは企業や個人のサービスプロバイダーに掲載料を請求する。

Just Dialのウェブサイトのスクリーンショット

「約25年前、私たちは、ユーザーに迅速かつ無料で信頼性の高い包括的な情報を提供し、買い手と売り手を結びつけることに特化した、つながりのある単一のプラットフォームを構築するというビジョンを持っていました」とマニ氏は話した。

「私たちのビジョンは、サーチやディスカバリーを提供するだけでなく、B2Bプラットフォームを通じて商人間の取引を促進し、さらにプラットフォームエンゲージメントによって消費者と商人との間の商取引を可能にすることへと発展しました。Relianceとの戦略的提携により、このビジョンを実現し、今後のビジネスを変革することができます」と語った。

Just Dialの買収は、Reliance Industriesグループが直近四半期に実行した数多くの買収の1つだ。グループには、子会社として通信大手のJio PlatformsやReliance Retailが含まれ、2社は2020年、Facebook(フェイスブック)やGoogleなどの著名な投資家から合計で270億ドル(約2兆9700億円)以上を調達した。

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Relianceは8月、医薬品マーケットプレイスのNetmedsの親会社であるVitalicの株式の60%を約8320万ドル(約92億円)で取得した。また、11月にはオンライン家具のUrban Ladderを2440万ドル(約27億円)で買収した。

加えてReliance Retailは2020年、Future Groupと34億ドル(約3580億円)の契約を締結し、インド第2位の小売チェーンの事業をいくつか買収した。この取引はまだ成立しておらず、米国のeコマース大手Amazon(アマゾン)との訴訟の中心となっている

Reliance RetailのディレクターであるIsha Ambani(イシャ・アンバニ)氏は声明で「Relianceは、ビジネスの洞察力と忍耐力によって強力なビジネスを作り上げたJust Dialと第1世代の起業家であるVSSマニ氏と提携することに興奮しています」と述べた。

「Just Dialへの投資は、当社のパートナーである何百万もの加盟店や零細・中小企業のデジタル・エコシステムをさらに強化し、ニューコマースに対する当社のコミットメントを明確にするものです。今後の事業拡大に向けて、Just Dialの経験豊富な経営陣と協力していくことを楽しみにしています」。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

FedExがインドの物流システムのデジタル化を進めるDelhiveryに約110億円投資

世界の企業がインドでのプレゼンスを拡大しようとしている中で、物流大手FedEx(フェデックス)の子会社FedEx Express(フェデックス・エクスプレス)はインドのスタートアップDelhivery(デリバリー)に1億ドル(約110億円)を投資する。

IPOを数四半期内に控えているグルガオン拠点のDelhiveryは、7月16日に発表した今回の投資の2カ月弱前に2億2700万ドル(約250億円)を調達した。同社の評価額は現在30億ドル(約3300億円)だ。

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取引の一環として、DelhiveryとFedEx Expressは長期的な商業協定も結ぶ。FedEx Expressはインドの国際輸出入サービスにフォーカスし、DelhiveryはFedExに加えてFedEx Expressの国際プロダクトやサービスをインドマーケットで販売し、インド中でピックアップと配達サービスを提供する。FedExはインド国内事業に関連する特定のアセットをDelhiveryに移す。

「我々の目的は、インドとグローバルの企業、そして消費者に我々のネットワークへのユニークなアクセス、そしてテクノロジーとエンジニアリングの能力を通じて新たなプロダクトと機会をもたらすことです」とDelhiveryの共同創業者Sahil Barua(サヒル・バルア)氏は声明文で述べた。

Delhiveryはフードデリバリー会社として始まったが、2300超の市町村と1万7500の郵便番号区域をカバーするロジスティックサービスへとシフトした。同社は、貨物取引プラットフォームを通じてロジスティックの需給システムをデジタル化しようと試みているいくつかのスタートアップの1社だ。

画像クレジット:Bernstein

Delhiveryのプラットフォームは荷主、代理店、そして道路輸送ソリューションを提供している運送業者をつなげる。プラットフォームはブローカーの役割を減らし、Delhiveryで最も人気の輸送手段であるトラック輸送のようなアセットをより効率的なものにし、24時間営業を保証する、とDelhiveryは話す。

インドの経済発展を長らく妨げてきたロジスティクス産業の非効率性を解決するのにデジタル化は不可欠だ。稚拙な需給の計画と予測によってコストや窃盗、損害、遅延などが増えている、とBernsteinのアナリストは2021年6月にインドのロジスティックマーケットについてのレポートで書いた。

Delhiveryのウェブサイトによると、これまでに10億件を超える配達を行い「インド最大のeコマース企業や主要企業」と協業している。ウェブサイトにはまた、同社が1万を超える顧客と協業してきた、ともある。配達のラストマイルのために、同社の配達員は2平方キロメートル以下のエリアが割り当てられ、これにより配達員は配送回数を1日に数回に抑えて時間を節約できる。

インドのロジスティクスマーケットの獲得可能な最大市場規模は2000億ドル(約22兆円)を超える、とBernsteinのアナリストは指摘した。Delhiveryは2020年後半、パンデミックでより多くの人々がオンラインで買い物するようになり、増大する需要に対応するために車両台数を増やすべく、2年以内に4000万ドル(約44億円)超を投資する計画だと話していた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FedExインドDelhivery投資物流

画像クレジット:Joel Saget / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドがMastercardに新規顧客の受付停止を命令、データ保存規則違反で

インド準備銀行(RBI)は、インドのデータ保存規則を遵守しなかったとして、Mastercard(マスターカード)の同国でのデビットカード、クレジットカード、プリペイドカード新規発行を無期限に禁止した。

禁止措置は7月22日に発効する。「かなりの時間と十分な機会が与えられたにもかかわらず、MastercardはStorage of Payment System Data(決済システムデータの保存)に関する規則を遵守しませんでした」とRBIは現地時間7月14日付の声明で述べた。

RBIによると、禁止措置はMastercardの既存顧客には影響しない。Mastercardはインドにおけるカード発行会社上位3社の1社だ。「Mastercardはカードを発行するすべての銀行とノンバンクにこれらの指示に従うよう通知することになります」。

インドのデータ保存規則を遵守しなかったために同国の中央銀行が企業に罰則を科すのはこれが初めてではない。データ保存規則は2018年に発表され、6カ月以内の遵守を義務化した。この規則では、すべてのインドでの決済データを同国内のサーバーに保存することを決済企業に求めている。

4月にRBIはこの規則に違反したとして、American Express(アメリカン・エキスプレス)とDiners Club(ダイナースクラブ)の新規顧客受付を禁じた

Visa(ビザ)、Mastercard、他のいくつかの企業、そして米政府は以前、この規則は当局に「自由な監督アクセス」を与えるためのものだと主張し、インド政府に再考を要請した。

Visa、Mastercard、American Expressは規則の大幅変更か完全撤廃を求めてロビー活動も展開してきた。

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カテゴリー:その他
タグ:インドMastercard

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

印EC大手Flipkartが評価額4兆円超で新たに約3973億円調達、ソフトバンクが3年ぶりに株主に復帰

Flipkart(フリップカート)はインド時間7月12日、36億ドル(約3973億円)の資金を新たに調達したと発表した。ポストマネー評価額は376億ドル(約4兆1492億円)。今ラウンドは、インドのECコングロマリットであるFlipkartが、早ければ2022年初めに上場するためのプレIPOラウンドであろうと見られている。

今回の資金調達はインドのスタートアップとしては最大規模のもので、GIC、カナダ年金投資委員会(CPP Investments)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)、Walmart(ウォルマート)の他、政府系ファンドであるDisruptA、Qatar Investment Authority(カタール投資庁)、Khazanah Nasional Berhad(カザナ・ナショナル)、Tencent(テンセント)、Willoughby Capital、Antara Capital、Franklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)、Tiger Global(タイガー・グローバル)が出資している。

12日の投資は、ソフトバンクがFlipkartの株主として復帰したことを意味する。ベンガルールを拠点とする同社が、2018年に220億ドル(約2兆4277億円)の評価額でWalmartに過半数の株式を売却した際にエグジットしたソフトバンクは、今回の新ラウンドで約5億ドル(約552億円)を再投資した。

「Flipkartでは、インドの消費者インターネットエコシステムを変革し、お客様にアクセスと価値を提供することに取り組んでいます。世界有数の投資家による今回の投資は、インドにおけるデジタルコマースの将来性と、この可能性をすべてのステークホルダーのために最大化するFlipkartの能力に対する信頼を反映したものです」と、Flipkart GroupのKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)CEOは声明の中で述べた。

「消費者の方々にサービスを提供すると同時に、キラナ(伝統的零細商店)を含む、何百万ものインドの中小企業の成長を加速させることにも注力していきます。新しいカテゴリーへの投資やインド発のテクノロジーを活用してコンシューマーエクスペリエンスを変革し、世界クラスのサプライチェーンを開発していきます」とも。

新たな資金調達の一環として、Flipkartは従業員に対し、彼らが保有する8050万ドル(約89億円)相当のストックオプションを売却する選択肢も与えると、クリシュナムルシー氏は12日に社内に伝えた。

Flipkartはもともと2021年初めに資金調達のために市場に出ており、当初は10億ドル(約1104億円)程度の調達を目指していたとTechCrunchは最初に報じている。

ベンガルールに本社を置くFlipkartは、インドでAmazon(アマゾン)と互角に競合している。米国のeコマースグループである後者は、南アジア市場に65億ドル(約7175億円)以上を投資している。

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両社とも、実店舗が小売売上の大半を占めているインドで、積極的に事業を拡大することに苦戦している。また、インドの新しい電子商取引ルールによって、大きな打撃を受けることが予想される。

インド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテイル)と、Google(グーグル)とFacebook(フェイスブック)が支援するJio Platforms(インド最大のテレコム事業者)との共同事業であるeコマースプラットフォーム「JioMart(ジオマート)」は、2020年、全国200以上の都市や町でサービスを開始した。

​​世界で最も急速に成長しているeコマース市場の1つであるインドは、初めてインターネットを利用するユーザーがオンラインで買い物をするようになるにつれて、今後さらに成長することが期待されている。Bain & Companyの推計によると、インドのeコマース市場は、2025年までに3億人以上の買い物客を獲得すると見込まれている。それまでにこれらの買い物客は、オンラインプラットフォームで1000億ドル(約11兆円)以上の価値のある商品を購入しているだろうと、同社は予測している。

近年、FlipkartとAmazonは、インドでの事業拡大のためにさまざまな賭けを行ってきた。両社ともヒンディー語への対応を開始し(Flipkartはさらにいくつかのインドの言語を導入した)、地元の商店との提携を展開している。

Walmart International(ウォルマート・インターナショナル)の社長兼CEOであるJudith McKenna(ジュディス・マッケナ)氏は声明でこう述べた。「Flipkartは、その成長と可能性がインド全体を反映しているすばらしいビジネスです。だからこそ、私たちは2018年に投資を行い、現在も投資を続けているのです」。

Flipkartは、ファッションeコマースのMyntraを含む同社のサービス全体で、国内に3億5000万人以上の登録ユーザーを抱えているという。「Flipkartの物流・サプライチェーン部門であるEkartは、10万人以上の従業員を擁し、インド国内のアドレス可能なピンコードの90%以上に配送を行っており、戦略的な倉庫インフラへの投資と相まって、グループの中核的な強みとなっています。Flipkartはソーシャルコマースの分野に進出し始めており、最近、地元の起業家を奨励するShopsyの立ち上げを発表しました」と同社は述べた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッターがインドの新IT規制に従い現地常駐の苦情担当官を任命、政府にオリーブの小枝

米国のソーシャルメディア企業Twitter(ツイッター)は先日、インドにおける新IT規制の不遵守を理由にユーザーが作成したコンテンツに対する免責措置を失ったと報じられたが、同社はその数日後、インドに常駐するレジデントグリーバンスオフィサー(RGO)を任命した。

2021年2月に発表され5月下旬に施行されたインドの新しいIT規制に基づき、Twitterはインド時間7月11日、Vinay Prakash(ヴィネイ・プラカッシュ)氏を新たなRGOとし、同氏への連絡方法を共有した。さらにTwitterは、新規制に記載されているもう1つの要件であるコンプライアンスレポートを公開した。

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インド政府は7月5日、Twitterがコンプライアンス、グリーバンス、および現場での懸念に対応するためのいわゆるノーダルコンタクトの担当官を任命しなかったため、同社は国内のユーザー生成コンテンツに関する免責措置を失ったと地元の裁判所に述べていた。

Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Telegram(テレグラム)などを含む他のインターネット大手は、インドで現地常駐のコンプライアンス担当官をすでに任命している。

インターネットサービスは「セーフハーバー」と呼ばれる広義の保護を受けている。これは、ネット上に投稿したり共有するコンテンツに関して、技術系プラットフォームが責任を問われないというものだ。例えば、Twitterであなたが誰かを侮辱した場合、その投稿を削除するよう求められることはあっても(侮辱した相手が裁判所に訴え、削除命令が出された場合)、同社はユーザーの言動に対して法的責任を問われることはおそらくない。

この保護がなくなれば、モバイル調査会社のApp Annieによるとインドに1億人以上のユーザーを抱えているTwitterは、名目上ではこれらのユーザーがプラットフォーム上で発言するすべての内容に対して責任を持つことになる。インドの警察は諸問題に関し、同社またはその関係者に対して、すでに少なくとも5件の訴訟を起こしている。

今回の新たな動きにより、Twitterとインド政府との間の緊張関係が緩和されることが期待される。デリー警察の特殊部隊が5月下旬にTwitterの2つのオフィスを突然訪問したことは、多くの人が脅迫戦術と受け止めた。Twitterは当時「インドの従業員に関する最近の出来事と、当社がサービスを提供している人々の表現の自由に対する潜在的な脅威に懸念を抱いている」と述べ、インド政府に対し、新しいIT規則に準拠するための3カ月間の追加猶予を認めるよう要請した。

先週初め、Twitterはインドの裁判所に対し、新規制を「完全に遵守」するよう努めていると述べた。

自国で事業を行うハイテク企業に対して、同様の要件を策定する国が増えている。ロシアのVladimir Putin(ウラジーミル・プーチン)大統領は、海外のソーシャルメディア大手にロシア国内でのオフィス開設を義務付ける法律に署名した。デイリーユーザー数が50万人以上のソーシャル企業は、この新法を遵守する必要がある。

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2021年5月に新IT規則を施行したインドのIT大臣と情報放送大臣が辞任

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

2021年5月に新IT規則を施行したインドのIT大臣と情報放送大臣が辞任

インドのRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)IT大臣と、Prakash Javadekar(プラカシュ・​ジャベードッカー)情報放送大臣が、現地時間7月7日に辞任し、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相の内閣改造に向けて地位を明け渡した同国の大物政治家のリストに加わった。

法務大臣を兼務していたプラサッド氏と、環境・森林・気候変動大臣および重工業・公営企業大臣を兼務していたジャベードッカー氏の辞任は、2021年5月下旬に施行されたインドの新IT規則をめぐり、米国のテクノロジー企業と厳しい対話を重ねていた最中のことだった。

プラサッド氏とジャバデカール氏が新IT規則を施行したことや、米国の巨大テクノロジー企業と公の場で会談したことが、両氏の辞任につながったという証拠はない。

「すべてのソーシャルメディアは、インドで事業を行うことが歓迎されています。ラヴィ・シャンカール・プラサッドや我々の首相、誰を批判しても構いません。問題はソーシャルメディアの乱用です。彼らの中には、我々は米国の法律に制約されているという人もいます。インドで事業を行い、多くの利益を得ているのに、米国の法律に管理されるという立場を取るという。これは明らかに受け入れられません」と、プラサッド氏は先週のオンライン会議で述べていた。

インドの新IT規則は「インドのインターネットユーザーのデータプライバシーとセキュリティに影響を与えるだけでなく、国内外のデジタルメディア企業に負担の大きいコンプライアンスフレームワークを課すことで、これまでインドの経済成長に多大な貢献をしてきたテクノロジー分野にも影響を与える」と、主要なテクノロジー企業を代表する業界団体であるAsia Internet Coalition(アジア・インターネット連盟)のマネージング・ディレクターを務めるJeff Paine(ジェフ・ペイン)氏は5月に述べている。

「ユーザーのインターネット利用とオンラインプラットフォームの説明責任を維持することは重要ですが、インドにおけるオンラインプラットフォームの運営や、ひいては個人、スタートアップ企業、国内のテクノロジーエコシステムへの影響を軽減するやり方で、この規則が施行されるように、政府が業界と緊密に協力することを強く求めます」。

この日、辞任した他の閣僚には、新型コロナウイルス感染拡大への対応が批判されたHarsh Vardhan(ハーシュ・ヴァルダン)保健・家族福祉相と同氏の副官であるAshwani Chaubey(アシュワニ・チャウベイ)氏が含まれている。

「大統領は、首相の助言に従い、辞任を受け入れました【略】これは即時適用されます」と、大統領報道官のAjay Kumar Singh(エージェイ・クマール・シン)氏は声明で述べている。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド政府がツイッターは同国での免責措置を失ったと主張、新IT規制不遵守を理由に

インドの新しいIT規制をめぐり同国政府とTwitter(ツイッター)の間で緊張が高まっている中、インド政府は現地時間7月5日、Twitterはインドにおいて、ユーザーが作成したコンテンツに関して責任を問われない免責措置を享受できなくなったと、ニューデリーの高等裁判所に提出した書類で述べた。

インド政府は5日に提出した裁判所への申し立ての中で、米国のソーシャルネットワークであるTwitterが2021年2月に発表され5月下旬に施行されたインドの新しいIT規制に従わなかったため、同社はインドでの免責を失ったと主張した。

専門家たちはここ数週間、Twitterが世界第2位のインターネット市場である同国でセーフハーバー保護を維持できるかどうか決定する権限は、インド政府ではなくインドの裁判所にあると述べてきた。

インターネットサービスは「セーフハーバー」と呼ばれる広義の保護を受けており、ユーザーがネット上に投稿したり共有するコンテンツに関して、技術系プラットフォームは責任を問われないとされている。例えば、Twitterであなたが誰かを侮辱した場合、同社はその投稿を削除するよう求められることはあっても(侮辱した相手が裁判所に訴え、削除命令が出された場合)、ユーザーの言動に対して法的な責任を問われることはないだろう。

この保護がなくなれば、モバイル調査会社のApp Annieによるとインドに1億人以上のユーザーを抱えているTwitterは、名目上ではこれらのユーザーがプラットフォーム上で発言するすべての内容に対して責任を持つことになる。

「第79条第1項で媒介者に与えられる免責は、媒介者が第79条第2項および第3項の条件を満たすことを前提とした条件付きの免責であることを述べます。規則7に規定されているように、2021年情報技術規則を遵守しなかった場合、2000年IT法79条1項の規定は当該媒介者には適用されません」と、IT省のN Samaya Balan(N・サマヤ・バラン)氏は申請書に記している。

この動きは、インド政府とTwitterの間で緊張関係がエスカレートしているのを受けたものだ。この新規則では、重要なソーシャルメディア企業(インド国内に500万人以上のユーザーを抱える企業)は、チーフコンプライアントオフィサー、常駐グリーバンスオフィサー、および現場の懸念に対応するいわゆるノーダルコンタクトパーソンを任命することが求められている。Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)をはじめとする他のいくつかの該当企業は、新IT規制を部分的または全面的に遵守している。

Twitterは、これらの要件のいずれにも準拠していないと申し立ては批判している。Twitterは5日に提出された書類についてはコメントを差し控えたが、過去にはIT規制を遵守するつもりであると述べていた。

Ravi Shankar Prasad(ラビ・シャンカール・プラサッド)通信情報技術相は先週の会見でこう述べた。「インドは、すべてのソーシャルメディアプラットフォームのビジネスを歓迎しています。ラビ・シャンカール・プラサッド、または首相、誰を批判しても構いません。問題なのは、ソーシャルメディアの悪用です。彼らの中には、我々は米国の法律に縛られているという人もいます。インドで事業を行い、大金は稼いでいるが、米国の法律が適用されるという立場を取るのでしょうか。これは明らかに許容できません」。

免責措置が剥奪されると、インドのTwitter幹部は、プラットフォーム上で好ましくないと判断されたコンテンツに関して、いくつかの刑事責任を問われる可能性がある。インド警察は諸問題に関し、同社またはその関係者に対して、すでに少なくとも5件の訴訟を起こしている。

デリー警察の特殊部隊は、2021年5月下旬にTwitterの2つのオフィスを突然訪問し、多くの人がそれを威嚇戦術と受け止めた。Twitterは当時「インドの従業員に関する最近の出来事と、当社がサービスを提供している人々の表現の自由に対する潜在的な脅威に懸念を抱いている」と述べ、インド政府に対し、新しいIT規則に準拠するための3カ月間の追加猶予を要請した。

WhatsApp(ワッツアップ)も、新IT規制に完全には対応していない。今回のIT規制では、暗号化されたメッセージングアプリの運営者に対して、法執行機関が問題のあるメッセージの発信者を「追跡」できる方法を導入することも義務付けられている。インドで5億3000万人以上のユーザーを抱えるWhatsAppは「トレーサビリティ(追跡可能性)」を可能にすることは国民のプライバシーに関する憲法上の権利を侵害するとして、2021年5月にこの要件についてインド政府を訴えた

Signal(シグナル)もまた、このトレーサビリティの要求に応じていないと報じられている。同メッセージングサービスは、コメントの要請に応じなかった。インドで数千万人のMessages / iMessageユーザーを抱えるApple(アップル)が、トレーサビリティの要件を遵守しているかどうかは不明だ。Appleはこの件に関してコメントを控えている。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルとインドのJio Platformsが低価格Androidスマホ「JioPhone Next」を発表

インドの大富豪Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が経営するJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)とGoogle(グーグル)は米国時間6月24日、手頃な価格のAndroidスマートフォン「JioPhone Next(ジオフォン・ネクスト)」を発表した。インド最大の通信事業者と米国の巨大テック企業は、世界第2位のインターネット市場でさらなるリーチ拡大を推し進める。

2020年7月、Googleから45億ドル(約5000億円)の出資を受けたこのインドの企業は、Googleと共同で低価格のスマートフォンを開発する計画を明らかにしていた。同社によると、JioPhone Nextは、インドでいまだに2Gネットワークを利用している約3億人のユーザーが、より高速なネットワークにアクセスできるように、機器をアップグレードしやすくするために開発されたものであるという。

Reliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)のムケシュ・アンバニ会長は、現地時間6月24日に開催された同社の年次総会で、この「極めて最適化されたAndroid」モバイル・オペレーティング・システムを搭載した携帯電話は、インドの祝祭シーズンに先駆けて9月10日にまずインドで発売され、最終的にはインド国外でも販売される予定だと述べた。

アンバニ氏によると、JioPhone Nextは「超低価格の4Gスマートフォン」になるとのことだが、端末の価格やハードウェアのスペックは明らかにされなかった。

リライアンスの年次総会に映像で登場したGoogleのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOは、同社がJio Platformsと5Gクラウドのパートナーシップを結んだことも発表。「この提携によって、10億人以上のインド人がより速く、より優れたインターネットに接続できるようになります。それは企業のデジタルトランスフォーメーションを支援し、Jioが医療や教育などの分野で新しいサービスを構築するのに役立つでしょう。インドのデジタル化における次の段階の基盤を築くことができます」と、2020年インドに100億ドル(約1兆1085億円)の投資を約束したGoogleのCEOは語った。

5Gクラウドのパートナーシップの一環として、GoogleはリライアンスというGoogle Cloud(グーグルクラウド)の大きな顧客を獲得することにもなると、ピチャイ氏は述べている。

「これによってリライアンスは、GoogleのAIや機械学習、eコマース、需要予測などのサービスを利用することができるようになります。Google Cloudの信頼性とパフォーマンスを活用することで、リライアンスの各事業は顧客の需要に応えるために、必要に応じてスケールアップが可能になります」と、ピチャイ氏は付け加えた。

JioPhone Nextには、Googleの「Read Aloud(リード・アラウド)」や「Translate Now(トランスレート・ナウ)」などの機能がはじめから搭載されており、ウェブページやアプリ、メッセージなど画面に表示されるあらゆるテキストと画像の音声読み上げや翻訳に対応している。

アンバニ氏は現地時間6月24日に開催されたリライアンスの年次総会でJioPhone Nextを発表した(画像クレジット:Jio Platforms)

JioPhone Nextは、HDRに対応した「高速で高品質なカメラ」も搭載し、最新のAndroidリリースとセキュリティアップデートで保護されるとGoogleは述べているが、それが適用される正確な期間は明らかにしていない(通常、スマートフォンのベンダーは発売から約2年間、セキュリティと新しいAndroidソフトウェアのサポートを提供する)。

Googleは声明の中で「私たちはJioチームとエンジニアリングおよび製品開発において緊密に協力し、ユーザーが自分の言語でコンテンツを楽しんだり携帯電話を操作したりできる有用なボイスファースト機能や、優れたカメラ体験の提供、最新のAndroid機能およびセキュリティアップデートの取得を可能にしました」と述べている。

インドで販売されているスマートフォンの多くは150ドル(約1万6600円)以下だが、100ドル(約1万1000円)以下のスマートフォンを探している消費者にはほとんど選択肢がない。そして、その選択肢はここ数年の間にますます減少している。

調査会社のCounterpoint(カウンターポイント)によると、100ドル以下のスマートフォンがインドのスマートフォン市場に占める割合はわずか12%で、2019年の18%、2018年の24%から減少しているという。50ドル(約5500円)以下のスマートフォンが市場全体に占める割合は、2018年の4.3%から、2020年にはわずか0.3%にまで減った。

スマートフォンメーカーは、この市場の空白に気づいているが、需要を満たすことは非常に困難であることもわかっている。Jio Platformsをはじめとするいくつかのメーカーはこれまで、インドの小規模な都市や町に住む人々に訴求するために、さまざまなフィーチャーフォンを開発してきた。Jio Platformsが開発したKaiOS搭載のフィーチャーフォン「JioPhone(ジオフォン)」は、2021年2月末の時点で1億人の顧客を獲得している。

UBSのアナリストは、顧客に向けた最近の報告の中で、メモリー部品の最近の価格高騰を考慮すると、50ドル以下の価格のスマートフォンは原価で販売されている可能性が高いと述べている。

TechCrunchが入手したそのレポートには、次のように書かれている。「Jioのこの動きは、2Gから4Gへの移行を加速させるだろうが、私たちは他のスマートフォンメーカー、特にXiaomi(シャオミ)のような主要プレイヤーにとって、このカテゴリーがどれほど興味深いものになるかを査定してみました。我々の見解では、インドのスマートフォン市場で最大手のXiaomiが、50ドルのスマートフォンを発売して追従する可能性は低いと思われます」。

過去にはGoogleも、Androidの普及拡大に向けた取り組みをいくつか行ってきた。2014年には100ドルの低価格スマートフォン「Android One(アンドロイド・ワン)」プログラムを開始し、2017年には低リソース集約型のOS「Android Go(アンドロイド・ゴー)」を低スペックなデバイス向けに投入している。また、人気の高いフィーチャーフォン用オペレーティング・システム「KaiOS」の支援も行っていた。

Googleは声明の中で、JioPhone Nextは「当社のインドに向けたAndroidミッションの記念すべき一歩であり、Android製品およびエンジニアリングチームがインドで予定している数多くの取り組みのうち最初のものです」と述べ「私たちはインドのエンジニアリングチームも積極的に拡大していき、インドのスマートフォンユーザー独自のニーズに応える方法を見つける作業に、引き続き取り組んでいきます」と続けている。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド当局がグーグルに対し印スマートTV市場での独禁法調査を命令

インドの独禁法監視当局は、Google(グーグル)が同国のスマートテレビ市場でAndroidの支配的地位を乱用しているとの疑惑について調査を命じた。このニュースは、Googleが広告テクノロジー分野での主導的役割を乱用しているとの疑惑について、EUが正式な反トラスト調査を開始した数時間後に発表された。

2020年にこれらの疑惑について調査を開始したインド競争委員会(CCI、Competition Commission of India)は、最初の審査で、Google(グーグル)が一定の反競争法に違反していると指摘した。このような規模の調査は解決までに数四半期、時には1年以上かかることもある。

「委員会は一応の見解として、端末メーカーが製造・流通・販売するすべてのAndroid端末について、ACC(Android Compatibility Commitments)への署名を条件にGoogleの独自アプリ(特にPlayストア)をプレインストールすることで、GoogleはAndroidの代替バージョン、すなわちAndroidフォークで動作する端末を開発・販売する端末メーカーの能力とインセンティブを減退させ、それによって商品やサービスに関する技術的・科学的な開発を制限し、競争法4条2項(b)に違反して消費者に不利益をもたらしたと考える」と、当局は24ページに及ぶ命令書で述べた。

「さらにACCは、OEMメーカーが、競合するフォークされたAndroid OSで動作する他のデバイスを製造、配布、販売することを禁じている。したがって、関連市場におけるGoogleの優位性と顕著なネットワーク効果を考慮すると、この制限によりそのようなフォークされたAndroid OSの開発者は市場へのアクセスを拒否されており、結果、同法4条2項(c)に違反している」とも述べている。

2020年にはインドに100億ドル(約1兆1100億円)の投資を行うことを発表し、ユーザー数では同国が最大の市場となっているGoogleは、不正行為を否定した。同社の広報担当者は声明で「当社のスマートテレビのライセンシング方法は、適用されるすべての競争法を遵守していると確信しています」と述べている。

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インド競争委員会は、Googleがテレビメーカーに対し、同社の「必須」アプリをすべてプリインストールし、代替アプリを選択できないようにすることは「スマートテレビ機器メーカーに不当な条件を課すことになり、競争法4条2項(a)(i)に違反する」と付け加えた。

「また、PlayストアにおけるGoogleの優位性を利用して、YouTubeなどが提供するオンライン動画ホスティングサービスなどの関連市場を保護することは、同法4条2項(e)に違反している。これらの点はすべて、詳細な調査を要する」とも競争規制当局は述べた。

2019年にインドで販売されたスマートテレビは約800万台に上り、そのうち60%以上がGoogleのAndroid OSを搭載していた。

インドでは、米国のテック巨人たちにとって厳しい1週間となっている。6月21日の夜、世界第2位のインターネット市場である同国は、Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkartに打撃を与える可能性のある厳しいEC規則を提案した

この6月22日の命令は、インドがGoogleに対して開始した3件目の継続的な独禁法違反案件の調査となる。2020年末、インドの独禁法監視当局は、Googleが自社の決済サービスを促進するためにアプリストアの支配的地位を乱用した疑いで、同社に対する調査を開始していた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インド政府が「不正行為の蔓延」の苦情に対処するためより厳しい電子商取引ルールを提案

インドは現地時間6月21日に提案したeコマースプラットフォーム上のフラッシュセールに対する禁止令により、そのアフィリエイトをセラー(売り手)として掲げることができなくなる。これにより、この南アジア(インド)の市場はルールがより厳しくなり、AmazonやWalmartのFlipkartの、世界で2番目に大きい市場における今後の見通しが危うくなった。

インドの消費者問題・食料・公共配給省が公開したその提案が登場した「今」というタイミングは、実店舗で営業しているインドの小売業者が不平の声を高め、AmazonとFlipkartのこの国における拡張策にともなう操業が公正でない、とする懸念を表明した時期と一致する。

同省は提案の中で、eコマース企業がインドでフラッシュセールを開催することを認めるべきではないとしている。このフラッシュセールは、米国のブラックフライデーやサイバーマンデーのようなもので、インドの祝祭日シーズンに非常に人気がある。フラッシュセールの期間中は、ブランドが商品を大幅に値引きするため、eコマース企業は伝統的に顧客の注文が最も急増する。

「一部のeコマース事業者は、『バック・トゥ・バック』や『フラッシュ』販売に手を染め、消費者の選択を制限している。これは、プラットフォーム上で販売するある販売者が在庫や注文の履行能力を持たず、プラットフォームが管理する別の販売者に『フラッシュまたはバック・トゥー・バック』注文を出すだけのものだ。このような行為は、公平な競争を妨げ、最終的には消費者の選択を制限し、価格を上昇させることになる」と同省は声明で述べている。

またインド政府は最近のITに関するルールで、コンプライアンス最高責任者(CCO)の任命と、1日24時間1週7日の警察との連絡担当を置くことを提案している。もちろんその下にはコンプライアンス担当の社員たちがいて注文のコンプライアンスを確保し、また苦情受付担当部門が、eコマースプラットフォームに対する消費者の苦情に対処しなければならない。

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「これにより、法律および規則の規定の効果的な遵守が確保され、電子商取引事業者の苦情処理メカニズムが強化される」とした上で、新たな提案では、すべてのeコマース事業者に対して「身元確認のため、または施行中の法律に基づく犯罪の防止、発見、調査、起訴のため、あるいはサイバーセキュリティインシデントのため」に、72時間以内に政府機関に情報を提供するよう求めていると同省は述べている。

新たな提案では、AmazonやFlipkartといったeコマース企業が自社 / プライベートブランドを運営することも禁止にする可能性がある。新提案では、eコマース企業に対し、顧客に直接販売する販売業者として、自社のプラットフォーム上に関連当事者や関連当事者を一切掲載しないようにすることを求めている。「eコマースの主体が自ら行うことができないようなことが、関連当事者や関連企業によって行われないようにする」と提案書には書かれている。

インドでは、eコマース企業が在庫を持ったり、商品を直接消費者に販売したりすることは認められていない。これを回避するために、eコマース企業は在庫を保有する現地企業との合弁事業を行っている。

インドの事業に65億ドル(約7200億円)以上を投資しているAmazonは、提案されているポリシーを検討していると述べたが、Walmartが160億ドル(約1兆7700億円)で手に入れたFlipkartからはコメントがない。

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現地時間6月21日の法廷審問において、Flipkartの弁護士は、販売者が製品価格を下げた場合、プラットフォーム上で販売者が商品価格を下げれば料金を下げると提案することには何の問題もないと述べた。

消費者問題・食料・公共配給省は「電子商取引のエコシステムにおいて、不正行為や不公正な取引方法が蔓延しているとの苦情が複数寄せられている」ことを受けて、今回の提案を行い、今後15日間にわたって業界からのフィードバックを求める予定であると述べている。

さらに新たな提案では、eコマース企業に対して、プラットフォーム上の商品を原産国に基づいて識別する仕組みを導入し、「国産品への公平な機会を確保する」ための代替案を出すよう求めている。

この発表とほぼ同時期にFlipkartは、30億ドル(約3300億円)という巨額な調達と上場の検討を進めている。AmazonとFlipkartの両社はまた、インドにおける反トラストの調査の対象になっている。

これはインド政府が近年行った2度目の大規模な修正提案だ。2018年にもインド政府はeコマース企業に対するより厳しいルールを提案し、それが2019年に施行されたときには、AmazonとFlipkartは大急ぎで数十万の商品を彼らの店頭から外し、アフィリエイト企業への投資をさらに間接的にした。

本日の提案の数カ月前には、ロイター通信が企業の文書を引用して、Amazonはインドで少数のセラーを特に優遇し、それらのセラーとの結びつきを不正に表現し、彼らを使ってこの国の外国投資の規則を迂回していると報じた

この時点で、インドの数千万にもおよぶ実店舗の業界団体であるThe Confederation of All India Tradersがインド政府に、インドにおけるAmazonの全面的禁止を陳情した。これとほぼ同時期に、インド商業省はこの問題を検討中だと発表している。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Tiger GlobalがフィンテックBharatPeへの投資に向け交渉中、バリュエーションは約2750億円

インドのフィンテックスタートアップのBharatPe(バラペ)は、Tiger Globalがリードする新たな資金調達ラウンドで約2億5000万ドル(約275億円)を調達する交渉が進んでいると、この件に詳しい2人の関係者がTechCrunchに語った。

消息筋によると、この新しいラウンドはシリーズEで、創業3年目のニューデリーに本社を置く同社のプレマネーのバリュエーションは25億ドル(約2750億円)とのことだ。同筋はこの件が非公開であることを理由に匿名を希望した。本ラウンドはまだ終了していないため、条件が変更される可能性があると同筋は注意を促した。

BharatPeは、今回のラウンド以前に、株式で約2億3300万ドル(約256億円)、負債で3500万ドル(約39億円)を調達した。バリュエーションは、2021年2月のシリーズDラウンドで約9億ドル(約990億円)、2020年は4億2500万ドル(約468億円)だった。

関連記事:943.6億円と評価されたインドのQRコード決済サービスBharatPeが新たに113.1億円調達、新たなフィンテックユニコーン誕生か

インドのニュースサイトCapTableがTiger GlobalとBharatPeの交渉について最初に報じ、今回のラウンドでBharatPeの価値は20億ドル(約2200億円)以上になると述べた。BharatPeはコメントを控えた。同社は、Coatue、Ribbit Capital、Sequoia Capital Indiaなどを既存の投資家として抱えている。

BharatPeは、オフラインの加盟店がデジタル決済を受け入れ、運転資金を確保するための同名のサービスを運営している。インドはすでに6億人以上のユーザーを抱える世界第2位のインターネット市場として台頭しているが、国内の多くの地域ではまだオフラインのままだ。

その中には、道端のお茶屋や近所のお店など、インターネットが届かない場所で小さなビジネスを営む商人がいる。BharatPeは、こうした商人にデジタル決済を気持ちよく受け入れてもらうため、政府が支援するUPI決済インフラをサポートするQRコードとPOSマシンを利用している。

600万以上の加盟店にサービスを提供しているBharatPeは、2020年11月までに5万台以上のPOSマシンを導入し、毎月1億2300万ドル(約135億円)以上の取引を可能にしているという。同社は、ユニバーサルQRコードへのアクセスで加盟店に利用料金を請求しておらず、資金の貸し出しによって収益を得ようとしている。今や、その目標の多くを簡単に達成できるようになるはずだ。

銀行になる

インドの中央銀行RBIは現地時間6月18日、2021年初めに経営難に陥った銀行を買収したCentrum Financial Servicesに、小口金融銀行の設立を許可する仮ライセンスを付与した。Centrum Financial Servicesは、BharatPeと協力してこのライセンスを取得した。BharatPeは2社が「対等」なパートナーであると声明で述べた。

Centrumグループのエグゼクティブ・チェアマンであるJaspal Bindra(ジャスパル・ビンドラ)氏は声明で、2社は「新時代の銀行」の創造のために努力すると述べた。

BharatPeはさらに、2つの新しいアプリの立ち上げにも取り組んでおり、そのうちの1つ「PostPe」はQR UPIでの与信を可能にし、もう1つのB2Cアプリは最大12%の金利でピアツーピアの貸し出しを可能にするものだ(担保なし、ただしBharatPeが仲介役を務める)。消息筋によると、これらの新製品は早ければ6月中にも展開される。

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大ヒットゲーム「PUBG Mobile」のインド復帰をまつわるさまざまな疑問
オンライン学習大手Byju’sがインドで最高評価額のスタートアップに、UBSなどから資金調達
ツイッターがインド政府の要求を受け政府に批判的な4アカウントをブロック

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

大ヒットゲーム「PUBG Mobile」のインド復帰をまつわるさまざまな疑問

今週、IPO申請したKrafton(クラフトン)は、巨大なゲーム帝国を築き上げた。もし目標の50億ドルをIPOで獲得すれば、母国である韓国で最大の株式上場になる。そんな同社には、世界の他の場所でも祝福すべきことが起きている

米国時間6月17日、Kraftonは他のどの会社にもできていないことを成し遂げた。同社の大ヒットタイトル「PUMG Mobile」がインドに帰ってきたのだ。この国では9カ月以上前にこのゲームが禁止された。

世界第2位のインターネット市場は、2020年200以上のアプリを禁止し、国家安全保障の懸念が理由だとした。インド政府がブロックしたアプリはすべて中国との結びつきがあった。この動きは、2020年来高まっている核保有隣国間の緊張の中で起きた報復行為と見る向きが多い。

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インドが禁止した(現地の政府命令に従ってGoogleとAppleそれぞれのアプリストアからも削除された)その他のアプリはすべて、そのままの状態だ。インドを最大の市場としているTikTok(ティックトック)の開発元ByteDance(バイトダンス)は現地チームを縮小した(ByteDanceはインドでいくつかの事業を展開しており、その多くは運用を続けている。従業員は取材に応じないよう指示されている。

それがPUBG Mobileのインド復帰をいっそう興味深いものにしている。このゲームは南アジア市場では「Battlegrounds Mobile India」と名前を変え、インドでも誰もがGoogle Play Storeからダウンロードできる(差し迫っている公開日前の早期アクセスにサインアップした人のみ)。

PUMG Mobileから呼び名は変わっても、筋書きは変わらず、まったく同じホーム画面に恍惚とした背景の見慣れたスコア表示とともにユーザーを出迎える。

さらに、ユーザーにはPUBG Mobileアカウントを新しいアプリに移行するための簡単明瞭な方法が提示される。

インドの著名なゲームレポーターでIGN Indiaの編集を務めるRishi Alwani(リシ・アルワニ)氏は、新しいゲームは「実質的にはPUBG Mobileと同じだが、データコンプライアンスと緑の血液が加わり、ゲームをスタートすると、あなたは「バーチャルワールド」にいるというリマインダーが定期的に表示される」とTechCrunchに話した。

これらの変更は、このゲームの若者への影響を心配する現地当局の懸念を和らげようとするKraftonの試みに違いない。

画像クレジット:TechCrunch(スクリーンショット)

しかし、こうした表面的な変更は別の大きな疑問を生み、ここ数カ月インドのスタートアップのファウンダーやポリシー責任者の間で話題になっている。

  • インド政府はこの新しいゲームを承認したのか?
  • そうでなければ、GoogleはなぜPlay Storeにこのアプリを登録させたのか?
  • インド政府が新ゲームを承認したと仮定して、Kraftonはインド政府の懸念に対応するためにどんな手順を踏んだのか?
  • なぜ他のアプリはまだインドに戻れていないのか?

インド政府もKraftonもこの件に関して何も発言していない。Krafton側は、インド政府の懸念を和らげるための手順を踏んでいる。例えば2020年この韓国企業は、知られている唯一の提携中国企業だったTencent(テンセント)との配信パートナー契約を解除した。それはインド政府が実際に中国製アプリだけを禁止していたと想定した動きだ。さらにKraftonは、インドのゲームエコシステムに1億ドル(約110億円)を投資する計画を発表している。

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この件における対象企業に対するインド政府の命令やコミュニケーションやコンプライアンスの仕組みはまったく不透明なので、どんな経緯でKraftonがゲームも戻せたのかはわからない。

1つの説明は、まったくの憶測ではあるが、アプリIDが新しいという意味でこれが新しいアプリだから、というものだ。今回の場合はデベロッパーアカウントも新しくなった。思い出して欲しいのは、インドが禁止したのはアプリであって会社そのものではないことだ。例えばTencentやAlibaba(アリババ)のいくつかのアプリは今もインドで利用できる。

これは、BIGO(ビゴ)が新しいアプリであるTiki Video(ティキ・ビデオ)を公開できた理由も説明している。同社は新しいデベロッパーアカウントを取得するなどあらゆる努力を払って会社とアプリの関係を隠蔽した。2021年2月後半に公開された同アプリは、月間アクティブユーザー1600万以上を集めているとモバイル調査会社のApp Annieが伝えている。アプリの存在とBIGOとの関係はこれまで報じられていない。

それでも疑問は残る。そんな単純な回避手段で禁止を逃れることなどできるのだろうか?ちなみに、Battlegrounds Mobile Indiaを含む一部のアプリも、現在インド国内でデータをホストしており、定期的な監査に合意している。だったらそれで十分なのか?もしそうなら、なぜ、全部でなくても、ほとんどのアプリがインドに戻っていないのか?

いずれにせよ、PUBG Mobile Indiaの復帰はこの国の数千万人のユーザーにとって歓迎すべき動きだ。その多くは(App Annieによると2021年5月には3800万人)自分なりの回避方法を使ってゲームプレイを続けていた。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Kraftonインド韓国PUBG Mobile

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

オンライン学習大手Byju’sがインドで最高評価額のスタートアップに、UBSなどから資金調達

EdTechの巨人Byju’s(バイジュース)がUBS Group、Zoom創業者のEric Yuan(エリック・ユアン)氏、Blackstoneなどから新たに3億5000万ドル(約383億円)を調達し、ポストマネーで評価額が165億ドル(約1兆8094億円)とインドで最も価値の大きなスタートアップになった。

書類の中で、Byju’sはアブダビの政府系ファンドADQやPhoenix Risingを含む多くの投資家から約3億5000万ドルの投資を受けたことを明らかにした。新たな企業価値はPaytmのものを上回った。Paytmの直近の企業価値は160億ドル(約1兆7546億円)で、インドのスタートアップ業界でトップだった(Paytmは現在上場を模索中で、30億ドル[約3289億円]の調達と企業価値300億ドル[約3兆2899億円]を目指している)。

今回の資金調達は、Byju’sが2021年初めに開始した大きなラウンドの一環であり、同社は150億ドル(約1兆6449億円)の調達を目指している。最近の投資家にはB Capital GroupやヘッジファンドXNなどが含まれる。Byju’sは2019年7月に57億5000万ドル(約6305億円)、2020年末に110億ドル(約1兆2063億円)と評価されていた。

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Byju’sは新たに調達した資金をさらに多くのスタートアップ買収に使う計画だ。2021年初めにTechCrunchが報じたように、インドのコーチング機関Aakashを10億ドル(約1096億円)で買収したByju’sはオンライ学習スタートアップTopprの買収のデューデリジェンスを進めていて、米国拠点のEpicの買収も協議している。

Byju’sは学生の大学過程と大学院レベルの教育に向けた準備をサポートしていて、近年はあらゆ学年の生徒を対象にしサービスを拡大してきた。Byju’sアプリの家庭教師はピザやケーキなど実生活にあるものを使って複雑な問題を教えている。

パンデミックのためにインド政府は1カ月にわたって全国ロックダウンを敷き、学校も閉鎖したが、そのパンデミックはByju’s、そしてUnacademyやVedantuなど他のオンライン学習スタートアップの成長を加速させた。

2021年初め、Byju’sはユーザー数が8000万人に達し、うち550万人が有料購読者だと述べた。収益を上げているByju’sは2020年米国で1億ドル(約109億円)を売り上げた、と(Byju’sに出資している)GSV Venturesのマネージングパートナー、Deborah Quazzo(デボラ・クアゾ)氏はインドのベンチャーファンドBlume Venturesが3月に開催したセッションで述べた。

Byju’sの幹部は2021年初めのUBSイベントで、Byju’sの直近の年換算売上高は8億ドル(約877億円)で、12〜15カ月以内に10億ドル(約1096億円)に達する、と話した。同社はここ数カ月、海外展開の計画も加速させている。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターがインド政府の要求を受け政府に批判的な4アカウントをブロック

Twitter(ツイッター)は現地時間6月7日、インド政府からの新たな法的要求に応じて同国で4つのアカウントをブロックしたことを明らかにした。

Twitterはハーバード大学のプロジェクトであるLumen Databaseで、週末に政府からあった法的要求を満たすために、ヒッポホップアーティストのL-Fresh the LionやシンガーソングライターのJazzy B(ジャジー・B)など4つのアカウントに対しブロックする措置を取ったと述べた。対象となったアカウントにはインド国内で規制がかかるが、インド国外ではアクセス可能だ(透明性に関する取り組みの一環として、TwitterやGoogleなどの企業は政府や他の組織から受けた要請や命令をLumen Databaseで公開している)。

TechCrunchの分析では、インド政府が2021年初めに国内でブロックするよう命じた他のいくつかのアカウントと同様、今回の4つのアカウントはインド政府の農業改革に抗議し、インド首相Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)氏の7年にわたる統治を批判するツイートを投稿したアカウントもあった。

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Twitterの広報担当は、有効な法的要求を受けると、同社の規則とその国の法律の両方に照らし合わせてレビューするとTechCrunchに述べた。

「コンテンツがTwitterの規則に反した場合、そのコンテンツは削除されます。特定の法域で違法だと認められ、ただTwitterの規則には反していないという場合、インドでのみアクセスできなくなるようにします。すべてのケースにおいて当社はアカウント所有者に直接連絡を取り、当社がアカウントに関する法的命令を受け取ったことを対象者は認識しています」と広報担当は付け加えた。

事前に報道されていなかった今回の新しい法的要求は、Twitterがインド政府の新しいIT規則を遵守しようと取り組んでいる中でのものだ。FacebookやGoogleなどいくつかの同業他社はすでに遵守している

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6月5日にインドの電子情報技術省はTwitterに2021年2月に発表された新規則を遵守するよう「最終通告」を出した。新規則では大手ソーシャルメディア企業にコンプライアンスや判断基準、苦情処理を担当する代表者を任命してその連絡先を政府と共有することを求めている。

Twitterとインド政府の間ではこのところ緊張が高まっていた。5月、デリの警察はインドの政治家のツイートを誤解を与えるものと分類した件について調べることを「正式に通知する」ためにTwitterのオフィスを訪れた。Twitterは従業員への影響を懸念を指摘してこの動きを脅迫の形態と呼び、市民の言論の自由を尊重するよう政府に求めた。

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5月下旬にTwitterはインド政府に対し、新規則の遵守期限を最低3カ月延ばすよう要求した。

Jack Dorsey( ジャック・ドーシー)氏が率いるTwitterは2021年、ユーザー数では同社にとって最大のマーケットであるインドでいくつかの厳しい問題に直面した。2021年初めにインド政府の命令に簡潔に従った後、同社はインド政府の政策やモディ氏に批判的なツイートを投稿したアカウントを復活させたとして怒りを買った。

そしてインド政府とTwitterは4月、インド政府がTwitterとFacebookに政府の新型コロナウイルスパンデミック対応に批判的な投稿を取り締まるよう命令した際に再び対立した。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

衛星データで耕作放棄地の把握や土壌解析を行い農業課題解決に取り組むサグリが約1.55億円調達

衛星データで農業分野における課題解決に挑むサグリが、 リアルテックファンドをリード投資家として、みなとキャピタル池田泉州キャピタル広島ベンチャーキャピタルひょうご神戸スタートアップファンド、他エンジェル投資家等を引受先として総額約1億5500万円を調達した。今回の調達で、投資家である地域金融機関とも連携しながら、全国における市町村のユーザー獲得・導入を目指す。

耕作放棄地をデジタル地図で確認できる「ACTABA」

耕作放置地である可能性が赤色の濃淡で確認できるACTABA

同社は、自治体や農業委員会向けに「ACTABA(アクタバ)」という耕作放棄地把握アプリを提供。日本では農業従事者の高齢化等にともない耕作されなくなった農地が増えているが、その把握は、自治体職員が行わねばならない。ACTABAでは、Planetの衛星データを使用し、農地の荒れ具合を人工知能(AI)が判断、耕作放棄地とみられる土地を、可能性の強弱に応じて赤色の濃淡で表示し、職員の作業を軽減する。耕作放棄地の判定精度は現状でも9割を超える正答率であり、また全国の自治体で広く使われることでACTABA自身が学習し、アプリの精度が高まっていくという。

区画形成の自動化でデジタル地図の作成を容易にするAIポリゴン

区画形成データは、より高解像度なMaxer Technologiesの衛星データを用い、独自のAIポリゴン技術によって加工し、提供しているという。料金は農地面積に応じる。

東南アジアにプレシジョンファーミング(精密農業)を

同社は、衛星データによる土壌解析技術を使って、施肥量適正化による肥料コスト削減や植生解析による収量増加、土壌より生じる「温室効果ガスの把握と削減」など「地球環境改善」と「農家の収益改善」の二軸を求めていく考え。対象は東南アジアとしており、タイ、インドにはすでに進出している。

代表の坪井俊輔氏は横浜国立大学理工学部在学中に、子どもたちが未来に夢を感じられていない状況を危惧し、教育事業の「うちゅう」を創業。日本のみならず海外の子どもたちの様子も知るため、2016年にルワンダへ行くが、若年労働がほぼ義務化されている状況にあり、同じく子どもたちが夢を追いかけられない現状があることを知った。子ども達を労働から解放するため、まず途上地域の農業DXを進めようと、サグリを設立。坪井氏は「当初は営農アプリ開発をはじめ、途中でメディア事業へピボットするなど、試行錯誤して今があります。資金調達を経て、改めてパートナーのみなさまと事業を大きくしていきたいと感じています」と語った。

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インド物流市場システムのデジタル化を進める最大手DelhiveryがIPOに向け約304億円調達

インド最大の独立系eコマース物流企業であるDelhivery(デリバリー)は、年内のIPO申請に向けた最終となる見込みの資金調達ラウンドで、2億7700万ドル(約304億円)を調達した。

グルガオンに本社を置くこのスタートアップ企業は、規制当局への提出書類の中で、ボストンに本社を置く投資会社のFidelity(フェデリティ)が主導するラウンドで、2億7700万ドルを調達したことを明らかにした。この名称が特定されていないラウンドには、シンガポール政府投資公社(GIC)、アブダビの投資会社であるChimera(キメラ)、英国のBaillie Gifford(ベイリーギフォード)も参加している(最初にこの申請を報じたインドのニュースサイトEntrackrは、シリーズHラウンドであることを示唆している。しかし、Tracxnによると、DelhiveryにはシリーズGラウンドの記録はない。米国時間5月30日の時点で、このスタートアップはコメントを出していない)。

この新ラウンドで、創業10年目のDelhiveryの評価額は約30億ドル(約3290億円)となった。同社には、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Tiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)、Times Internet(タイムズ・インターネット)、The Carlyle Group(カーライル・グループ)、Steadview Capital(ステッドビュー・キャピタル)なども投資しており、これまでに約12億3000万ドル(約1350億円)を調達している。

Delhiveryは当初フードデリバリーの会社としてスタートしたが、後にインドの2300以上の都市と1万7500以上の郵便番号を対象としたフルスイートの物流サービスにシフトした。

同社は、貨物交換プラットフォームを通じて、物流市場の需要と供給のシステムをデジタル化しようとしている数少ないスタートアップ企業の1つだ。

調査・画像クレジット:Bernstein

そのプラットフォームは、荷主と取扱業者、そして道路輸送ソリューションを提供するトラック事業者をつなぐものだ。Delhiveryは、このプラットフォームによってブローカーの役割が軽減し、(同社にとって最も一般的な輸送手段である)トラック輸送などの資産をより効率的に運用でき、24時間体制のオペレーションを保証すると述べている。

このようなデジタル化は、国の経済を長年にわたって停滞させてきたインドの物流業界の非効率性に対処するために非常に重要だ。インドでは、需要と供給の計画や予測が不十分であることが、輸送コスト、盗難、損害、遅延を増加させていると、Bernstein(バーンスタイン)のアナリストは、インドの物流市場について2021年4月に発表した報告書の中で指摘している。

Delhiveryのウェブサイトによると、同社には10億件以上の注文を配送した実績があり「インド最大のeコマース企業や大手企業のすべて」と提携しており、その顧客の数は1万を超えるという。配送の最後の区間を受け持つ同社の配達員には、2平方キロメートルを超えることのないエリアが割り当てられているので、時間を節約しながら1日に何度も配送を行うことができる。

インドの物流市場のTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)は2000億ドル(約22兆円)を超えると、Bernsteinのアナリストは述べている。

このスタートアップは2020年後半、新型コロナウイルス感染が流行する中、オンラインで買い物をする人が増えたことから、増大する注文需要に対応するため、2年以内に4000万ドル(約43億9000万円)以上の投資を行い、配達隊の規模を拡大することを計画していると語っていた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)