AlibabaがIBMをクラウドインフラストラクチャ市場で追い抜き、売上2000億円超へ

Alibaba(アリババ)が2015年に本格的にクラウドインフラストラクチャ市場に参入したとき、同社には野心的な目標(未訳記事)があった。以来、着実な成長を重ねている。米国時間11月5日、中国のeコマース大手Alibabaは、前四半期ののクラウド売上が21億9400万ドル(約2270億円)だったと発表した。この数字とともに、同社はIBMの売上である16億5000万ドル(約1700億円)を抜き去った(数字はSynergy Researchの市場シェア報告によるもの)。これは重要なマイルストーンだ。

とはいえ20億ドル(約2070億円)超は大きな数字ではあるものの、その数字は公平な文脈の中でとらえる必要がある。例えばAmazon(アマゾン)は直近の四半期におけるクラウドインフラストラクチャの売上を116 億ドル(約1兆1990億円)と発表し(未訳記事)、 Microsoft(マイクロソフト)のAzure(アジュール) の売上は59億ドル(約6100億円)で第2位につけている。

またGoogle Cloud (未訳記事)は、クラウドインフラストラクチャ市場をみる限り、第3位の地位にいる。Syergy(シナジー)による最新の数字では、Google(グーグル)の市場シェアは9%、売上としては約29億ドル(約3000億円)を達成している。

Alibabaの数字はまだグーグルの後塵を拝しているが、それでも今回の数字はIBMを十分に上回り、しっかりと4位の地位を確保している。とはいえAlibabaが、CEOのThomas Kurian(トーマス・クーリアン)の下でより一層集中を始めたグーグルをすぐに追い抜けるかどうかは未知数だ。それでもエンタープライズ市場にとって新参者である同社が、長年にわたってエンタープライズの世界で生きてきたIBMを追い抜くことができたことは驚異的だ。

60%の成長は、前四半期の59%に比べるとわずかに増加しただけだが、要するに同社が安定した成長を続けていることを意味している。このことはある水準の売上レベルに到達してしまった企業にとっては容易なことではない。米国時間11月5日に行われた業績報告会でAlibaba Groupの会長でCEOであるDaniel Zhang(ダニエル・チャン)氏は、まだ同社の主要な市場である中国での、パンデミックによって推進されているデジタルトランスフォーメーションが、安定した成長の主要因であると述べた。

「クラウドは急速に成長しているビジネスです。売上の内訳を見ると、明らかに、クラウドは驚くべき速度で成長しています。そして、私たちが目にしているのは、すべての業界がデジタルトランスフォーメーションの最中にあるということです。そうした業界にとって、クラウドへの移行は、非常に重要なステップなのです」と、チャン氏は報告会で語った。

彼は、最終的にほとんどのビジネスはクラウドで行われ、多くの企業はまだトランスフォーメーションを済ませておらず、それを進める企業がまだ続くため、同社の成長は中期的に継続できると信じている。

Synergy Research(シナジー・リサーチ)のアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、Alibabaの主要市場はまだ中国のままだが、同社は中国外でもその存在感を示しているという。そして米国と中国間の貿易緊張をともなう、現在の地政学的状況の観点から、長い勝負を続ける余裕があるとも述べている。

「Alibabaはすでに、中国と香港以外でもある程度の実績を残しています。中国内での事業に比べると規模は小さいのですが、Alibabaはアジア太平洋地域の6カ国、米国、英国、アラブ首長国連邦を含むさまざまな国にデータセンターやクラウドのプレゼンスを確立しているのです。中でもインドネシアとマレーシアではマーケットリーダーです」とディンスデール氏はTechCrunch氏に語った。

数週間前にリリースされた最新のデータでは、Synergyは市場の内訳を「近くのパーセントへ丸めた値は、Amazon 33%、Microsoft 18%、Google 9%、Alibaba 5%、IBM 5%、Salesforce 3%、Tencent 2%、Oracle 2%、NTT 1%、SAP 1%である」と報告している。

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(翻訳:sako)

IBMがインフラサービス事業を2兆円規模の独立事業として分社化する計画を発表

IBMはその昔ありとあらゆる企業向けビジネスハードウェアのトップメーカーだった(実際その社名は「インターナショナル・ビジネス・マシン」の頭文字からきている)。しかし同社は、クラウド事業に主力を移すためにハードのメーカーというレガシィからさらに一歩距離を置く計画を発表した(PR Newswireリリース)。

米国時間10月8日、IBMは通年売上190億ドル(約2兆円)規模のマネージドインフラ事業部を分社化し、公開企業とする計画を発表した。これによりIBMはハイブリッドクラウドとAIアプリケーションという新分野にさらに注力することになる。

新会社は企業が運用するレガシーインフラをハイブリッドクラウド化するため、ハードウェアのテストと組み立て、プロダクト開発、高度なラボサービスなどの各種のマネージドサービスを行う(IBMリリース)。TechCrunchの取材に対して広報担当者は「新会社はインフラサービス事業を行い、サーバー事業は含まれない」と確認した。

IBMでは新会社のスピンオフの手続きを、2021年末までに完了させようと計画している(既存株主にとっては無税のプロセスとなる)。新会社は暫定的にNewCoと呼ばれるだけでまだ社名は決定していないが、発表によれば社員9万名、世界115カ国にクライアント企業4600社を抱え、受注残600億ドル(約6兆3380億円)の巨大ビジネスになるという。新会社は「インフラサービスの分野で直近ライバルの2倍以上の規模で首位となる」ということだ。

ライバルはBMC Software、Microsoft(マイクロソフト)などとなる。クラウドサービス分社後のIBMのビジネスは年間収入約590億ドル(約6兆2320億円)と新会社の3倍以上の規模だ。

同時にIBMは 第3四半期の財務ガイドラインのアップデートを発表した。このガイドラインが正式に発表されるのは2020年10月末とみられる。収入は176億ドル(約1兆8590億円)、GAAP基準による希薄後の1株当たり配当は1.89ドル、非GAAP基準による1株当たり収益は2.58ドルと予想している。なお前年同期(IBMリリース)の四半期収入は180億ドル(約1兆9000億円)1.9兆円だった。2020年第2四半期の収入は181億ドル(約1兆9120億円)と微増にとどまっている。これはインフラサービスを含む部門の売り上げが減少したことによる 。

新会社分離の計画は概ね市場に好感されているようだ。IBMの株価は発表直後の市場外取引で10%アップした。

しかし最も重要な点は、IBMがエンタープライズ ITの分野における根本的な革新に乗り出したことだろう。この分野は現在大きな変化を続けており、今後もこれは続くはずだ。

IBMは売上確保するために、企業が運用するレガシーインフラを重視しており、今後もサポートを続けていく。一方 この分野は、これまでのような急成長を見込めない。企業はIT部門の現代化(コンサルタントのいうデジタルトランスフォーメーション)を図っており、企業内および対顧客向けコンピューティングのインフラをクラウドなど外部へアウトソーシングする努力をしている。一方、IBMはマイクロソフト、Google(グーグル)のクラウドサービスに対抗しなければならない。そこで企業向けハイブリッドクラウドサービスに注力することは、ビジネスの拡大を目指す戦略の重要な柱となる。

IBMはしばしば「ビッグブルー」と呼ばれる巨大企業だが、今回のスピンオフ計画は利益を確保するためのダウンサイズの重要なステップとなるのだろう(今後はミッドブルーと呼ぶべきかもしれない)。

「IBMはハイブリッドクラウド事業で1兆ドル(約105兆6000億円)の収入を達成することに強くフォーカスしていきます。コンピューティングのインフラとアプリケーションを求めるクライアントのニーズは多様化を続けており、私たちのハイブリッドプラットフォームもこれに対応して拡大しています。(IBMと新会社の)2社がそれぞれ得意分野を活かすことによりにより市場のリーダーとなることができるでしょう。IBM本体は顧客向けハイブリッドプラットフォームの構築と運用、AI能力の拡充を重点とする一方、新会社は開発、運営、インフラの現代化などすべてにおいて活動の軽快さを強化し、世界的重要企業となることを目指します。両社とも成長カーブは押し上げられ、他社との連携能力も強化されます。これにより新たなビジネスチャンスをつかみ、顧客並びに株主に対してより大きな価値を提供できると信じています 」とIBMのCEOであるArvind Krishna(アービンド・クリシュナ)氏は声明で述べている。

同社による2019年に行われた340億ドル(約3兆5920億円)のRed Hat買収は、おそらくIBM自身の変革への最近の投資の中で最も注目すべきものだ。

IBM の組織再編では2019年にRed Hatを買収したことが目立っている。IBMのエグゼクティブチェアマンであるGinni Rometty(ジニ・ロメッティ)氏は声明で次のように述べている。「私たちは、IBMをハイブリッドクラウドという新しい時代の主役にしました。IBMの長年にわたる改革はオープンクラウドプラットフォームの基礎を作り上げました。これは Red Hat の買収によって大きく加速されました。同時に、マネージドインフラの各種サービスもこの分野のリーダーとなりました。ミッションクリティカルで複雑なタスクの実現にあたっては比較するもののないレベルの能力を実現しています。IBM と新会社の2社はそれぞれの強みを活かして収益化に貢献するでしょう。IBMは顧客企業の新しいデジタル化への改革を促進します。一方新会社は既存インフラの現代化を手助けします。こうした戦略はさらに高い企業価値とイノベーションの加速 さらに顧客ニーズへの対応の迅速化として実を結ぶでしょう」

現在、さらに取材中だ。

関連記事:巨額買収を完了したIBMはRed Hatの翼で飛翔する

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アドビがクラウドアプリ開発プラットフォームFireFlywo発表、を強化へ

Adobe(アドビ)は従来もデベロッパー向けにAdobe.ioを運用してきたが、Adobe Developers Liveバーチャルカンファレンスでいくつかの新しいツールを発表した。いずれもAdobe Experience Cloud上でデベロッパーが独自のクラウドアプリを作成することを助けるものだ(Adobe Developers Liveページ)。

Adobeのデベロッパー・エクスペリエンス・ビジネス担当バイスプレジデントのJason Woosley(ジェイソン・ウーズリー)氏は「アドビは新型コロナウイルスの感染蔓延の影響によりデジタル化の推進を従来よりもさらに急ぐ必要があると考えた」という。発表された新しいツール、少なくともその一部はオンラインサービスの開発を促進することを目指している。

TechCrunchに対してウーズリー氏は「我々は優れたオンライン体験を生み出すビジネスに力を入れている。この分野はデベロッパーにとって魅力的でありかつ参入しやすい。アドビはこの分野で新しいツールを発表した」と述べた。

これは広告やマーケティング業務向けのExperience Cloudのツールとデータソースを利用してオンラインアプリケーションを作成することを容易にする総合的なフレームワークを作ることが狙いだ。第一弾として発表されたProject Fireflyは、一歩進んだ高度なオートメーション機能により、デベロッパーがアプリケーションを従来に比べて素早く作成することを支援する。

「Project Fireflyは多数のテンプレートを用意しており、デベロッパーがExperience Cloudを利用して総合的なフレームワークを構築することを助けまし。本日、店舗やウェブサイトなど顧客がビジネスと接する場所はますますデジタル化が進んでいます。アプリケーションは顧客にとって魅力的な差別化のためのカスタマイズを必要とすることになるでしょう」とウーズリー氏。

こうした新しいクラウド体験を幅広いユーザーが使えるようにするため、アドビではReact Spectrumと呼ばれるオープンソースのライブラリと一連のツールを提供する。

ウーズリー氏によれば「セールスやマーケティングのアプリでは、公開を急ぐためにアクセシビリティの観点が後回しになることが多いのです。新しいツールを利用すればターゲットとするユーザーのハンディキャップも含めてさまざまな条件を考慮することができます」とのこと。

Experience Cloudの重要なポイントの1つは、アプリケーションのカスタマイズのために、顧客データなどビジネスが持つすべての情報資産を活用できることだ。アドボではこの観点からウェブアプリ、モバイルアプリ構築のためのデベロッパー向けツールキット(SDK)を発表した。このSDKを利用することで、Experience Cloudのデータをアプリケーションに統合することが容易になる。

Project Fireflyはデベロッパープレビューの提供が始まっている。Adobeアカウントが必要だが、React SpectrumとSDKについても一部が公開された 。今後数カ月かけて内容は拡充される。

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(翻訳;滑川海彦@Facebook

マイクロソフトがAzure Communication Servicesを発表、企業内クラウド利用の総合会話システムを開発可能に

Microsoft(マイクロソフト)は開催中のIgniteカンファレンスで、Azure Communication Servicesを発表した。これはデベロッパーがそれぞれのアプリに音声およびビデオのチャットと電話網を利用した通話機能を実装できるクラウドサービスだ。

同社は「主要なクラウド上で初のフル・マネージドのコミュニケーション・プラットフォーム」だと説明した。たしかにAWSやGoogleもにもAWSの通知機能のようなプロダクトはあるものの、総合的なコミュニケーション・サービスとはいえない。実はAzure CommunicationはTwilioや最新のMessageBirdに近いサービスだろう。

同社はこの数年間、人気が高まりつつあるTeamsサービスを始めとしてこの分野で多数の機能を展開してきた。当然ながらTeamsとの統合は今回の発表の中でも重要な位置を占めていた。

マイクロソフトのコーポレート・バイスプレジデントを務めるScott Van Vliet(スコット・ヴァンヴリート)氏は「Azure Communication Servicesはその名称のとおり信頼性が高いグローバルなクラウドサービスにネーティブに対応している。レイテンシーが低く世界中から利用できるコミュニケーションプラットフォームであるAzureクラウド上で企業はサービスを開発し自信を持って運用できる。AzureはMicrosoft Teamsがリモートミーティングで1日当たり延べ50億分以上利用しているクラウドだ」と述べた。

同社はまたデベロッパーがこのサービスを使ってコミュニケーションシステムを構築する際、自動翻訳システムなど他のスマートサービスも同時に利用できることを強調した。同社はまた「セキュリティおよびプライバシーがHIPPAおよびGDPR規格に準拠している」と述べている。デベロッパーこのサービスを利用するためのAPIおよびSDKが用意される。

サービスの中心となる機能はほぼ予想通りだ。音声およびビデオ通話(その間を往復できる)とチャット、10月からスタート。テキストメッセージ送信だ。世界中あらゆる場所に所に広がるMicrosoftのネットワーク上に構築されるためデベロッパーはこうした機能を世界規模で利用することができるという。

電話番号が利用できるのもこのサービスの特徴の1つだ。デベロッパーはユーザーに発信着信双方が可能な電話番号を割り当てることができる。ユーザーは既存の番号ポータビリティで利用することもできるし新しい電話番号を申請することもできる。中でも重要なのはマイクロソフトのコンタクトセンターで、企業独自のデバイスでもキャリアのスマートフォンでも利用できる。

ヴァンヴリート氏は「マイクロソフトの目的は進歩する市場環境の中で高い信頼性で企業のニーズを満足させることだ。顧客や得意先との間で音声、ビデオ、SMSを含む多様かつリッチな対話が必要だ。ビジネスの不可欠の一部としてあらゆるデバイスを通じてこうしたコミュニケーションが可能となるプラットフォームを提供していく」と述べた。

画像:zf L / Getty Images

Microsoft Ignite

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

日本を含むAPAC地区の第2四半期クラウド売上は9400億円以上、トップはアマゾン

APAC(アジア・パシフィック)地区のクラウドインフラ市場は中国のベンダー、中でもAlibaba(アリババ)がリーダーだろうと考えがちだ。しかし調査会社のSynergy Researchが発表した新しい数字をチェックすると、トップはAmazon(アマゾン)で、この地区の第2四半期のクラウド売上総額は90億ドル(約9400億円)以上となっている。

アマゾンがトップでない唯一の地区は中国でここではアリババがトップ、以下にはTencent(テンセント)が2位 、Baidu(バイドゥ)が3位を占める。SynergyのJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)は「APAC地区他の市場ではアマゾンが強い競争力でリードしているが、中国の市場は独特であり例外だ」とコメントした。

「中国市場は特殊であり地元企業が独占している。しかし中国以外の市場ではグローバル企業と地元企業の間で激しい競争が繰り広げられている。アジア太平洋地区では5つの地区のうち4市場でアマゾンがリードしている」とのことだ。アリババ、テンセントという中国企業以外ではマイクロソフト、グーグル、日本のNTTがアマゾンの後を追っている。

(APAC市場のクラウドインフラサービスのトップ企業 /Synergy Research画像:Synergy Research)

第2四半期のクラウドインフラの世界での売り上げは300億ドル(約3兆1400億円)であるので90億ドル(9425億円)というのはその3分の1に満たない。しかしAPACの前年比で40%の成長を続けている。ただし比較するなら、アマゾンだけで第1四半期の世界の売上は1.13兆円あり、これはアジア太平洋地区のクラウド売上の総額以上だ。

ディンズデール氏は地元ベンダーにも成長の余地があることを認めているものの「クラウド市場は本質的にグローバルであり巨大企業が地域に進出を始めればこれに対抗することは難しい。ことに地元以外の市場に進出しようとすれば大きな困難に突き当たる」とも述べている。

「クラウドサービスはほとんどあらゆる面でグローバルな市場であり、世界でトップクラスの地位を占めねばならないという点がローカル企業にとって困難な課題となる。世界に進出するためには最新のテクノロジー、ブランド力、信頼性、巨大投資に耐えられる資本力、長期的なビジョンなどが必要となる。地元企業にとってこれらは極めて大きな障害となることが考えられる」とディンズデール氏は説明している。

画像:Chris Clor / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトウェア自動化プラットフォームのChefを開発ツールメーカーのProgressが買収

ボストンを拠点として各種の開発者向けツールを開発しているProgressが、ソフトウェアオートメーションプラットホームのChefを2億2000万ドル(約233億円)で買収することを発表し、そのプロダクトを大幅に拡大することになった。

Chefは昨年完全なオープンソース(未訳記事)になったが、その商用化努力により7000万ドル(約74億円)の年間経常収益を得ていた。しかしProgressはChefのその収益を手にするだけでなく、高度なスキルを持つ社員たちと、強力なデベロッパーコミュニティ、そして素晴らしい顧客リストを獲得する。

ProgressのCEOであるYogesh Gupta(ヨゲシュ・グプタ)氏によると、Chefは彼の企業の買収哲学によく合っている。「この買収は弊社の成長戦略に完璧にフィットし、これまで構想してきた要求にも合っている。それは、強力な経常収益モデルと、弊社の事業を補完する技術、忠実な顧客ベース、そして弊社の経営モデルとインフラストラクチャを利用してビジネスをより効率的に動かす能力だ」と同氏は声明で述べている。

ChefのCEOであるBarry Crist(バリー・クリスト)氏は、買収される企業によくあるタイプの主張を述べている。「Progressは今後の成長のためのより良い道筋を提供し、またオープンソースのコミュニティと顧客にProgressがChefのビジョンの良き支持者であるというメッセージを送る」と。

クリスト氏は声明で「Chefにとっては、この買収は次の章です。Progressは弊社の成長ポテンシャルの強化を助け、弊社のオープンソースのビジョンをサポートし、私たちの顧客とパートナーと従業員とコミュニティに、より幅広い機会を提供するでしょう」と述べている。

Chefの顧客リストは確かに素晴らしく、Facebook、IBM、SAPなどテクノロジーの大物と並んで、Nordstrom、Alaska Airlines、Capital Oneなどの一般企業も名を連ねる。

Crunchbaseのデータによると、同社は2008年の創業で、これまでに1億500万ドル(約111億円)を調達した。2015年にDFJ GrowthがリードするシリーズEで4000万ドル(約42億円)を調達してからは、大きな資金調達がない。同社を支えてきた投資家としてはほかに、Battery Ventures、Ignition Partners、およびScale Venture Partnersなどが挙げられる。

この買収は規制当局の承認を得て完了するのが来月と予想されている。

関連記事:Chef goes 100% open source(未訳記事)

画像クレジット:KrisCole / Getty Images
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

サイバーセキュリティーの新たな荒波に立ち向かうには?

サイバーセキュリティー業界は転換期を迎えている。

セキュリティーの従来型アプローチはすでに、サイバー攻撃、クラウドへの移行、モノのインターネット(IoT)の爆発的な増加にすでに手一杯の状態だ。IoT機器の数が2025年には416億基に達するという予測(IDC記事)に異論はないだろう。

そこを新型コロナウイルスのパンデミックに襲われたことで、何年も前から催促されてきた改革が加速され、リモートワークは日常となり、デジタルトランスフォーメーションが急務となった。どの企業でも、すでにまったく余裕のないところへ来て、新たな課題が何層にも積み重ねられてゆく状態だ。

私は、今のサイバーセキュリティーの最大のリスクは、安全確保のための仕事量に企業が追いつけない点だと見ている。企業のサイバーセキュリティー担当部署は、人の手では絶対にさばききれない膨大な量の仕事に溺れかけている。マシンに人の手で立ち向かえと命令されても、太刀打ちはできるはずがない。それとは裏腹に、ハッカーたちは日々進化し、機械学習(ML)アルゴリズムを駆使して、同等のテクニックでしか対処できない攻撃を大規模化している。そのような理由から、我々はパーフェクトストームの真っ只中にいると言える。

以上が悪いニュースだ。良いニュースは、この問題には対処策があるということだ。実際、今こそ物事を是正する好機でもある。なぜか?クラウドの活用、テレワーク、IoTの急増など、あらゆるものが変化しているからだ。

今のような高度な脅威にさらされた状況では、受け身であってはいけない。積極的に攻めることだ。サイバーセキュリティー担当者の重荷を軽くするためには、素早くより効率的に攻撃に対処するための統合型機械学習が必要になる。同時に、クラウドデリバリーとサイバーセキュリティーに対する総合的なアプローチの導入も欠かせない。

土台はどこにあるのか?

数年前から「クラウドがすべてを変える」と吹聴されてきた。「すべて」は変わっていないものの、たしかに多くのものが変わった。

企業は、往々にして準備が整わないうちにクラウドに移行している。クラウド化でどうなるかを完全に理解しないまま、事業の心臓部をクラウドの未来に預けるのは危険だ。さらに、市場に溢れる種々雑多な、簡単には連動してくれない製品に振り回されることになる。セキュリティー担当部署が今すでに溺れかけているとしたら、クラウドは彼らにとって津波に相当する。

その負荷を軽減できるのが自動化だ。しかし、統合や管理を人の手で行わなければならないサービスを複数抱えているセキュリティー担当部署には、まず不可能な話だ。

多くの企業は、長年にわたり、サイバーセキュリティーには場当たり的な対策でしのいできた。新しい脅威が登場するたびに、それに対抗するソリューションを掲げた新しいスタートアップが次々と現れる。

私は、相互運用ができない、サイバーセキュリティーの総合的なアプローチの可能性すら示せない製品を提供する企業を何十何百と見てきた。これではトランプの家と同じだ。ひとつの製品が別の製品の上に載っかっているが、全体を支える土台が存在しない。

今こそ行動のときだ。適切にサイバーセキュリティーを整えるテクノロジーはすでに使える状態にある。あとは、それをどう導入するかだ。

サイバーセキュリティーの新しいモデル

将来のサイバーセキュリティーは、プラットフォーム・アプローチにかかっている。これにより、セキュリティー担当部署は、さまざまな異質な製品の統合に労力が奪われることなく、セキュリティーに集中できる。これなら、パーフェクトストームと戦いつつ、デジタルトランスフォーメーションを着実に進めることができる。

ネットワークの境界線は、しっかりと守られているのが普通だ。企業は、そのネットワークの内部に、脅威を特定し、リアルタイムで対処するツールやテクノロジーを備えている。

だがクラウドはまったく別の世界になる。クラウドのセキュリティーには確立されたモデルがない。しかし裏を返せば、レガシーなセキュリティー・ソリューションがクラウドで幅を利かせることがないという利点もある。つまり、企業は今なら適切にやれるということだ。さらに、クラウドへのアクセス方法と、予防、検出、対処、復旧のためにMLとAIを最大限に生かすセキュリティー・オペレーション・センター(SOC)の管理方法の修正も行える。

クラウドのセキュリティー、クラウドのアクセス、そして次世代のSOCはみな相互に関連している。個別に、そして連携して、サイバーセキュリティーの近代化の機会を提示してくれる。今、適切な土台を作れば、将来的に、ツールの種類が増えすぎる傾向を打開して、サイバーセキュリティー改革とソリューションを、ずっと簡単に活用できる道を構築できる。

その道とは?プラットフォームを統合して、企業は様々なツールをこれまでどおり使い続けながら、しかしそれらをうまく組み合わせ、集中管理して、部署ごとの孤立した対応をやめて企業全体がしっかりとひとつとなり、ソフトウェアでもって、マシンやソフトウェアに対抗するというものだ。

サイバーセキュリティー担当部署の自動化を助け、複数のクラウドからなる環境を総合した迅速な監視、調査、対応を実現し、世界中のユーザーとデバイスを網羅する分散型ネットワークを可能にするのは、統合型プラットフォームだけだ。

2020年は変革が促進される年だ。古いサイバーセキュリティーのやりかたを打破して、新しいアプローチを導入しよう。それは、機械学習、クライドデリバリー、プラッフォフォーム・モデルによって駆動されるアプローチだ。これが未来のサイバーセキュリティーの姿だ。否応なく、想像しいた以上に早く到来してしまった未来だ。

【編集部注】著者のNir Zuk(ニア・ザーク)はサイバーセキュリティー企業のPalo Alto Networksの共同創設者でCTO。

画像クレジット:Dong Wenjie / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Google CloudのBigQuery OmniでGCPとAWSとAzureのデータをクエリできる

米国時間7月14日、Google(グーグル)はオンラインで開催されたGoogle Cloud Next ’20で、同社のクラウドポートフォリオの数々のアップデートを発表したが、今年のこのイベントのハイライトはBigQuery Omniのアルファローンチだろう。グーグルのハイブリッドクラウドプラットフォームであるAnthos(未訳記事)で動くBigQuery Omniにより開発者は、BigQueryエンジンを使って複数のクラウドにあるデータを分析できる。それにはGoogle Cloudと競合するAWSやMicrosoft Azureも含まれるが、当面サポートするのはAWSのみでAzureのサポートは後になる。

単一のインターフェイスを使うため、データセットをプラットフォーム間で移動せずに、データをローカルに分析できる。

Google Cloudのデータ分析技術担当ゼネラルマネージャー兼副社長であるDebanjan Saha(デバンジャン・サハ)「私たちのユーザーは数ペタバイトもの情報をBigQueryに保存しており、またそれが安全で保護されていることも知っている。しかしユーザーがBigQueryで行うデータ分析は極めて多様だ。例えば機械学習を組み込んだリアルタイム分析と予測分析をしているユーザーもいる。……GCPの中でBigQueryを使うことに大変満足しているユーザーから『BigQueryを他のクラウドにも広げて使いたいけど、どうやればいいんだい?』と尋ねられることが多くなっている」と説明する。

画像クレジット:Google

グーグルはかなり前から、未来はマルチクラウドにあるといっている。これには競合他社も賛成すると思う。しかしツールは、データが他のクラウドにあったり別のところで生成されたものであっても、自分たちのツールを使って欲しい。企業がそれらすべてのデータを利用できるようにするためには、結局のところ、そのためのツールとサービスが必要だ。しかもベンダーは、互いの差別化を重視している。そのため、データ分析の専門的技術を抱えるGoogle CloudはBigQueryをマルチクラウド化したい。「BigQuery Omniがあれば、ユーザーは自分がやりたいことができる。彼らはデータ分析したいのだが、そのデータは1カ所にまとまっていない。しかしBigQuery Omniなら、今日かでもすぐに、データがどこにあっても分析することができる」とサハ氏はいう。

画像クレジット:Google

サハ氏によると、Google Cloudが考えているのはこれによってエンタープライズは、複数のデータサイロに分散しているデータでも分析でき、自分のデータから新たなインサイトを得られるようになることだ。しかもそのために開発者やアナリストが使うのは、標準的なSQLのインターフェイスだけだ。

また本日の発表は、Anthosへのグーグルの賭けが実ってきたことの1つの例でもある。顧客がマルチクラウドのデプロイメントを容易に管理できるようになっただけでなく、グーグル自身も自分のプロダクトのリーチを、複数のクラウドにまたがって拡張した。そしてBigQuery OmniがAzureで使えないのは、Anthos for Azureがまだプレビューだからだ。一方、AWSのサポートは4月に一般公開された(未訳記事)。

関連記事:Google Cloudがオンメモリ暗号化のConfidential VMをローンチ

画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナ以降、最高値を更新してきたSaaS株とクラウド株がついに下落

好調を続けてきたSaaS株とクラウド株が、米国時間7月13日の通常取引中に急落した。

この分野を追跡しているBessemer cloud index(ベッセマー・クラウドインデックス)によると、公開SaaS・クラウド株はこの日約6.5%急落し、世界で最も価値の高い企業集団に一撃を与えた。

2020年前半の新型コロナウイルス(COVID-19)関連の損失を取り戻し、SaaSとクラウドの関連株は高値を続け、最高値を更新してきた。しかし決算シーズンが始まり(未訳記事)、現代のソフトウェアとデジタル基盤を扱う企業にとって第2四半期の成果を試されるときが来た。3カ月間まるまる世界的パンデミックに重なった四半期の結果だ。

強気筋にいわせると、新型コロナとその結果起きた職場の大改革はソフトウェア会社に膨大な恩恵をもたらした。現在の顧客も将来の顧客も購買モデルが大きく変わり(未訳記事)、予想していた以上に多くのソフトウェアソリューションを早期に必要としている。

SaaSとクラウド企業にはもっと多くの、そしてもっと良い顧客が来るはずだという考えは、不穏な株式市場の中でこの分野を比較的安全な場所に変えた。他の業界が不安定な需要曲線を抱える中、ソフトウェア会社は加速する長期的変化に後押しされてきた。

ところが7月13日、市場全体は以前の強さを失いSaaS、クラウド株も急落した。投資家の従来の行動パターンは続かなかったということだ。

関連記事:What do investors bidding up tech shares know that the rest of us don’t?(未訳記事)

なぜ今日ここまで急激に売りが増えたのかはわからない。実際それは、過去の値上がりの理由がその時わからなかったのと同じだ。 利食い?他のセクターへのローテーション?値下がりの理由はどうとでもいえる。

TechCrunchとしては、上場ソフトウェア企業株の値下がりは、SaaSスタートアップの後期ステージ評価額の悪い予兆であり、ベンチャー投資家がセクター内の初期ステージスタートアップに目を向けようとするときの逆風になると考える。もちろん1日で事態が大きくが変わるわけではない。しかし急激な値下がりが何日か続くと感情に変化が表れる。SaaSとクラウドの会社が6%下落する日々は極めてまれである。

次は決算だが、SaaSとクラウドの世界にいる多くの企業にとって決算報告は楽になった。期待が下がっているときは、誰でも心配ごとは減るものだから。

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SuseがKubernetes管理プラットホームのRancher Labsを買収

米国時間7月8日、「世界最大のオープンソースの独立企業」を自称するSuseは長年エンタープライズのコンテナクラスターの作成を支援してきたRancher Labsを買収したことを発表した。

買収の価額はどちらも公表していないが、Rancherは資金が豊富でこれまでに9500万ドル(約102億円)を調達している。しかもわずか数カ月前に同社は、Telstra Venturesがリードする4000万ドル(約43億円)のシリーズDを発表(Rancher記事)したばかりだ。これには、Mayfield、Nexus Venture Partners、GRC SinoGreen、そしてF&G Venturesらが参加した。

類似の企業と同様、RancherもやはりDockerのインフラストラクチャで起業し、その後 KubernetesがコンテナオーケストレーションのデファクトスタンダードになってからはKubernetesに焦点を移した。Suseが同社を買収したのもKubernetesが理由だ。オーナーが何度も変わる浮き沈みの激しい社歴を背負うSuseは、新しい足場をようたく見つけ、それを強化するためにRancher Labsを買収したといえる。

先月、同社は年間の契約総額が前年比で30%伸び、100万ドル以上の顧客契約の件数は63%増加、クラウドの売上は70%増と報告した。同社は今でも、同社のルーツであるLinuxのディストリビューションがビジネスの1つだが、現在のSuseは相当様変わりした企業となり、さまざまなエンタープライズ向けプラットホームやソリューション、およびサービスを提供している。それらの中には、Cloud FoundryベースのCloud Application Platformがある。そして同社にはすでにKubernetesベースのコンテナプラットホームがあるが、Rancherの専門的能力がこのビジネスをさらに強化するだろう。

SuseのCEOであるMelissa Di Donato(メリッサ・ディ・ドナート)氏は、本日の発表で次のように述べた。「これは、オープンソースのリーダーである2社が力を合わせるという、我々の業界の素晴らしい瞬間だ。エンタープライズLinuxとエッジコンピューティングとAIにおけるリーダーと、エンタープライズKubernetes管理のリーダーの合併は市場に創造的破壊をもたらし、顧客のデジタルトランスフォーメーションを加速するだろう。SuseとRancherの組み合わせのみが、グローバルにサポートされた100%純粋なオープンソースのポートフォリオを持ち、そこにあるクラウドネイティブの技術などにより、エッジとコア、そしてクラウドのすべてにわたる顧客のシームレスなイノベーションを支援できる」。

同社は本日の買収を、同社のオーガニックでない成長戦略の最初の一歩と呼び、ディ・ドナート氏によるとこの買収で、同社はクラウドサービスのプロバイダー、独立のハードウェアベンダー、システムインテグレーター、および付加価値再販業者として、さらに素晴らしい顧客体験をぜひとも提供していきたい、ということだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSがコードを書かずにウェブとモバイルのアプリが作れるAmazon Honeycodeを発表

米国時間6月24日、AWSはAmazon Honeycodeのベータ版をリリースしたことを発表した。これはコードをほんのわずか、もしくはまったく書かかずにアプリを作れるオンラインマネージド開発環境で、企業内で専用アプリを必要とするが自分で開発するリソースやスキルを持っていない人々の要望に答えるものだ。これを可能にしたのは自身の巨大データベースを誰でもドラッグ&ドロップで利用できるようにしたAWSのインターフェイス作成ノウハウの蓄積だという。

デベロッパーは、ユーザー20人までのアプリなら無料で開発できる。これを超えるときはユーザーの人数とアプリ使用するストレージに応じて課金される仕組みだ。

 AWSのバイスプレジデントを務めるLarry Augutin(ラリー・オーガスティン)氏は発表の際に「開発者のキャパシティはカスタムアプリのニーズにまったく追いつけないとカスタマーから言われている。そこでAmazon Honeycodeを使えば、ほとんどの人がコードを書く必要なしに強力なカスタム・モバイルアプリやウェブアプリを開発できる」と述べている。

この種のツールの常としてHoneycodeはTo-Doリスト、顧客追跡、調査、スケジュール、在庫管理などの一般的な業務のテンプレートを提供する。AWSによれば、従来多くの企業はスプレッドシートの共有でこうした業務を実行してきたという。

AWSは次のように指摘している。「スプレッドシートは本質的に固定的な表現力しかできないので、カスタマーはメールのやり取りでこの点を補おうとしてきた。しかしメールはスピードが遅く、メンバーが増えると加速度的に非効率化する。またバージョン管理やデータ同期で頻繁に誤りが起きる。このためメールの利用はかえって効率を低下させる場合が多かった。こういう場合、専用アプリケーションが必要となるが、特定業務のためのプログラミングのニーズは担当部署のエンジニアのキャパシティを上回ることが多かった。そこでIT部門が開発に取りかかれるようになるのを待つか、高価な料金を支払って外部の専門家にアプリケーションを開発させるか選ばねばならなかった」。

AWSは当然ながらHoneycodeによるアプリケーションのコアインターフェイスにスプレッドシートを選んでいる。これはカスタマーや実際にアプリを使うユーザーのほとんどがスプレッドシートの概念に馴染んでいるためだ。

ユーザーはデータを操作するためにカスタムプログラミングで制作されるアプリに最も近いと思われるスプレッドシートスタイルのテンプレートを使ったソフトウェアを選ぶ。ビルダー(HoneycodeのユーザーをAWSはビルダーと呼んでいる)ははサービスの所定の位置に通知、リマインダー、承認などのワークフローを設定できる。

 

AWSによればこうしたスプレッドシートタイプのアプリはワークブックごとに10万行まで簡単に拡張できるという。スプレッドシートはAWSのサーバーで作動するためビルダーはインフラの能力を考える必要がなく、アプリケーションの構築に集中できるという。

今のところHoneycodeに外部のデータソースをインポートすることはできないように思える。しかしインポート機能の追加もAWSのロードマップにあるかもしれない。逆に、外部サービスとの統合はアプリ構築を複雑化するので、AWSは今のところHoneycodeをできるかぎりシンプルなものにしようとしているとも考えられる。

Honeycodeはオレゴン州取材のAWS US Westリージョンでのみ作動するが、サポートは他のリージョンにも拡大されるはずだ。

Honeycodeの最初のカスタマーはSmugMugとSlackだという。Slackのビジネス及びコーポレート事業開発担当バイスプレジデントのBrad Armstrong(ブラッド・アームストロング)氏はプレスリリースで以下のように述べている。

「現在の常に変化するビジネス環境にあって、Slackのメンバーがその先頭に立ち適応していくためのアプリを構築する機会をAmazon Honeycodeが提供してくれると考えて大いに期待している。Amazon HoneycodeはSlackの事情に補完し拡張するための優れた手段と考えている。我々はこれまで以上にデータの活用を進め、業務をさらに効率化するための方法をカスタマーとともに構築していけるものと考えている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Ampereが128コアプロセッサを搭載した最新チップを発表

チップというゲームは、多い方が勝ちというわけではないが、Ampere(アンペア)は米国時間6月23日に、同社の製品ロードマップにある次のチップであるAltra Maxを発表した。Altra Maxは128コアのプロセッサで、クラウドネイティブでコンテナ化されているワークロードを処理するために特別に設計されているという。

しかもそのチップは、2019年に発表された80コアの製品と同じスロットに収まるように設計されている。「これは技術者が新しいチップを使う製品を設計するときに同じスロットを使えるということなので、時間を節約し生産を容易にする」と同社のプロダクト担当副社長であるJeff Wittich(ジェフ・ウィッチ)氏は述べている。

ウィッチ氏によると、彼の会社はメーカーと協力して、新しいより強力なチップのすべての要求を満たすプロダクトの生産が確実にできるよう図っている。「サンプルが出る第4四半期を待たずに現在それをやっているのは、ソケットに互換性があるのでAltraの80コアを使っているプラットフォームでそのまま、120コアの製品を使えるからだ」という。

彼によるとこのコア数の増大を特に有利に生かせるのは、コンテナ化されているワークロードの処理やビデオのエンコーディング、大規模なデータベース、機械学習の推論などだ。

最近の資金調達について語らなかったが、Crunchbaseによると4000万ドル(約42億6000万円)を調達しており、ウィッチ氏によると2020年後半に既存の製品を大量生産できるだけの資金はある、ということだ。

パンデミックの間に安定したサプライチェーンを維持するのはどの企業でも難題だが、2020年の初めにアジアが発声し始めたとき、同社は万一の品不足に備えて必要な部品のバックアップサプライヤーの確保を計画した。ウィッチ氏によると、計画と調整が大変だったが、おかげで現時点では不確実性がある中で製品を世に出すことができているという自信を持っているという。

「1月にはサプライヤーの全面的な見直しが終わっており、サプライチェーンを多様化してあらゆることにすべての選択肢があるようにした。問題が起こる前に、この問題を解決することができた」という。

「誰もがサプライチェーンで抱えるようなトラブルは、うちでもあちこちで起きて、製品の出荷が遅れそうになることもあったが、スケジュール通りにできている」。

同社はすでに開発中の2022年のリリースに向けて計画を始めている。ウィッチ氏によると「テストしているチップは5nm(ナノメートル)のもので、その製品の中核的なIPとその製品の主要な機能含まれており、すぐにシリコンでのテストを開始することができます」という。

最近同社が発表した新しいパートナーはCloudflare、Packet(2020年1月にEquinixが買収)、ScalewayそしてAvnetの事業部であるPhoenics Electronicsなどだ。これらのパートナーシップは、これからも開発を続けていくAmpereにとって市場拡大の契機になる。

同社は、2017年にIntelの元社長であるRenée J. James(ルネー・ジェイムズ氏)が創業した

関連記事:Intelの元社長が新しいチップ企業を立ち上げ、クラウド時代の高効率サーバープロセッサーを目指す

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ハイブリッドクラウドのセキュリティスタートアップOpen Ravenがステルスを終えて約16億円調達

Open Ravenはロサンゼルスのセキュリティスタートアップで、創業者はCrowdStrikeやSourceClearなどで働いていたサイバーセキュリティのベテランたちだ。同社は米国時間6月15日に1500万ドル(約16億円)の資金調達を完了したが、それは同社がステルスを脱してわずか4カ月後、しかもパンデミックの真っ只中のこととなる。

すでに同社には、エンタープライズソフトウェアとサイバーセキュリティに強い優れた投資家たちがバックについている。それらはUpfront Ventures、Goldman Sachsの情報リスクのトップであるPhil Venables(フィル・ヴェナブルズ)氏、RSAの元チーフストラテジーオフィサーであるNiloofar Razi Howe(ニルーファ・ラジ・ハウ)氏そしてサイバーセキュリティ企業のSignal Sciencesなどだ。SignalのCEOであるAndrew Peterson(アンドリュー・ピーターソン)氏は、生まれも育ちもロサンゼルスだ。

今回、同社はこの豪華な顔ぶれにさらに、Kleiner Perkinsの新たな資本とサイバーセキュリティの分野に詳しい専門的能力が加わった。KPの中でも、特にこの分野に強いパートナーはTed Schlein(テッド・シュライン)氏とBucky Moore(バッキー・ムーア)氏で、ムーア氏は同社の取締役会に加わっている。

調査会社のGartner Inc.のデータによると、今から2年後にはデータベースの大半がクラウドプラットホームからアクセスされる(Gartnerリリース)という。投資家たちがOpen Ravenのポテンシャルに確信を持っているのも、まさにそのためだ。

そうなるとデータベースは、複数のサービスプロバイダーのクラウドプラットホーム上にあることになり、いろんなユーザーがアクセスするため、セキュリティもデータの追跡も難しくなる。データが複数のサービスにまたがる流動性を持つと、既存のセキュリティツールでは対応できない。Open Ravenはこのような状況を「データのスプロール」と呼び、構成ミスが起こりやすく、それがセキュリティの最大の脅威になる。TechCrunchの親会社であるVerisonにもそんな研究報告がある(Verisonリリース)。

前述のバッキー・ムーア氏は声明で「今日のデータセキュリティの問題は、前世代のセキュリティプロダクトの開発動機となった歴史的な課題とはまったく似ても似つかぬものである」と述べている。

Open Ravenは、CrowdStrikeの元チーフプロダクトオフィサーであるDave Cole(デイブ・コール)氏と、オープンソースのコードモニタリングサービスであるSourceClearを創業したMark Curphey(マーク・カーフィ)氏が共同創業者だ。Open Ravenには、企業の内外におけるデータの移動を監視し、計量し、管理するツールがある。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで、在宅ワークが特殊でなく一般的なものになってしまった現在では、コンピューティングのメイン環境も会社ではなくクラウドになり、データは中央集権的なネットワークの外にある大量のデータポイントにますます多く移動している。

Open Ravenがステルスを終えた際、コール氏は「セキュリティ侵害の多くは、企業がデータに対するコントロールを失い、どこに何があるのかわからなくなり、結果的にネット上に露呈してしまったことの数多くある例の一部にすぎない。会社の担当者などがそれを見つける前に、ハッカーたちが見つけてしまうのだ」とロサンゼルスのニューズレターdot.laで語っている(dot.LA記事)。

Open Ravenの無料バージョンは、ネットワークの計画的な構成を支援し、データの移動を視覚化する。その中核的機能はApache 2.0のライセンスで無料で利用できる。有料バージョンではもちろん、もっと多機能のサービスになる。

「物理的なデータセンターからクラウドに移行すると、データの所在や保存状態が急速に変化するようになる。それにより、既存の解のないさまざまな問題が噴出してくる」とコール氏は声明で述べている。

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SlackとAWSの統合がMicrosoft Teams+Azureコンビを焦らす

SlackAmazonが米国時間6月4日の夕方、大きな統合を発表した。この統合によりSlackは通話機能にAmazon Chimeを利用することになり、また同社自身のインフラを担うクラウドサービスとして引き続きAWSを利用する。一方、Amazonは、社内コミュニケーション全般でSlackをそのためのオプションとして利用することで合意した。

Amazonのスポークスパーソンは本誌に「Amazonの一部は以前からSlackをライセンスしているが、全社員のオプションになるのはこれが初めてだ」と語った。

ここで強調しておきたいのは、この動きは確かにSaaSのコミュニケーションツールがAWSとの関係を深めたという大きな統合だが、それと同時にこの合意はMicrosoftとSlackのライバル製品である同社のTeamsへの対抗策でもあることだ。そのためクラウドではMicrosoftのライバルであるAmazon AWSと手を組んだのだ。過去にSlackのCEOであるStewart Butterfield(スチュワート・バターフィールド)氏は、テクノロジー大手が彼の企業を自分たちの存在を脅かすものと見ている、とからかったこともある。

いずれにしても、Teamsは巨大テクノロジー企業が作った小さなソフトウェアにすぎないが、今回の契約を上記の文脈でみないことはできない。AWSとの関係強化はMicrosoftに対するメッセージであり、インフラサービスであるAzureはAWSと競合している。

もちろんバターフィールド氏自身がそう口にしたわけではない。彼は今回の契約のシナジー効果に関する声明で「AWSと戦略的なパートナーシップを結んだことは、今後の需要に対応するスケール能力を両社に与え、顧客にエンタープライズ級のサービスを提供できるようになる。AWSのサービスをSlackのチャンネル方式のメッセージングプラットホームと統合すれば、開発チームは彼らのクラウドインフラストラクチャのプロジェクトを、Slackを去ることなく容易にそしてシームレスに管理できる」と語っている。

この契約には、AWS Key Management ServiceとSlack Enterprise Key Management(EKM)との統合による暗号キーの管理や、AWSのチャットボットサービスとの連携強化、AWS AppFlowとの直接統合などといったことも含まれている。AppFlowの統合によって、SlackとAmazon S3ストレージやAmazon Redshiftデータウェアハウスとの安全なデータ転送が可能になる。

AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏からみれば、これは純粋な統合劇だ。「AWSとSlackが共同で開発者チームに、フロントエンドのアプリケーションで迅速なコラボレーションとイノベーションの能力を与える。それと同時にバックエンドのクラウドインフラストラクチャに関しても、効率的な管理能力を与える」とジャシー氏は声明で述べている。

良好な契約の例に漏れず、これも明らかにWin-Winの関係だ。SlackはAWSに大きな顧客を獲得し、AWSはそのサービスの多くをSlackに直接統合する。エンタープライズユーザーがこれほどまでもSlackに惚れ込んでいる理由は、フォーカスをあっちこっち変えたり、いろんなインタフェイスを行ったり来たりしなくても、ただ1つの場所で仕事を完了できるからだ。

SlackとAmazonの統合によって、両社共通のユーザーにより多くのメリットをもたらし、その一方で共通の敵を焦らす。まさしく、Win-Winだ。

関連記事:SlackのバタフィールドCEOがマイクロソフトの「比較広告グラフ」を非難

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Google Cloudがマルチクラウド管理ツール「Anthos」で国防総省の1兆円超の契約を勝ち取る

Googleは、ペンタゴンのクラウド環境であるJEDIの入札競争から、かなり早い時期に手を引いた(未訳)。理由は「同社の『AIの原則』に反するから」とされた。しかし米国時間5月20日に同社は、国防総省のDefense Innovation Unit(国防イノベーション部隊、DIU)との7桁ドルの契約を発表し、同社クラウド部門とそのCEOであるThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏にとって大きな勝利となった。

具体的な数字は明かさないが、この契約にはAnthos(アントス)の使用が含まる。このツールが同社が昨年発表した(未訳)もので、DIUのマルチクラウド環境のセキュリティを確保する。JEDIの契約は1社が対象だが、国防総省はこれまでも常に3大クラウドベンダー、つまりAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のすべてを使ってきた。そして特に今回のソリューションは「これら3つの環境すべてにまたがるセキュリティをモニタする」とGoogleは説明する。

Google Cloudのグローバル公共部門担当副社長であるMike Daniels(マイク・ダニエルズ)氏は 「未来はマルチクラウドにある。民間企業の大半がいまではマルチクラウドの環境を安全かつシームレスに運用している。それが、これからは連邦政府にもやってくる」と語る。

その考え方としては、3つの環境全体にまたがるセキュリティを、これも契約の一部であるクラウドセキュリティベンダーであるNetskopeを起用して管理していく。それに関して同社は声明で「Anthosの上にマルチクラウドのソリューションが構築されるかたちになる。それによりDIUは、ウェブサービスとアプリケーションをGoogle Cloud、Amazon Web Services、およびMicrosoft Azureのどこでも動かせるようになる。そしてその全体を、Google Cloud Consoleから集中的に管理する」とコメントしている。

ダニエルズ氏は「これ自体はDIUとの契約だが、将来的には国防総省のそのほかの部分にも広がるだろう。今後は国防総省全体のセキュリティの実装がこのプロジェクトをモデルとして見倣うだろう」と語る。

Google Cloud Platformは、クラウドインフラストラクチャの市場競争で遅れを取り、マーケットシェア8%で3位だ。トップのAWSは33%、マイクロソフトは約18%となっている。

JEDIは、総額100億ドル(約1兆800億円)の勝者総取りの契約だが、そこにはいまだに多くの議論があり、ペンタゴンとアマゾン、マイクロソフトの3者間の抗争もある。それに対し今回の契約は、JEDIに何が起きてもAnthosのような先進的な技術でマルチクラウドを管理していきたいという、国防総省の意思を示しているようだ。

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画像クレジット: Michael Short/Bloomberg/Getty Images

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マイクロソフトがより公平な機械学習モデルを作るためのツールを発表

Microsoft(マイクロソフト)は、米国時間5月19日のデベロッパーカンファレンスBuildで機械学習に力を入れていた。そして同社は多くの新しいツールや機能を発表しただけでなく、AzureクラウドとMicrosoftのオープンソースツールキットの両方で、より信頼性が高く公平なAIシステムの構築に取り組んでいることも強調していた。

そのシステムには、差分プライバシー(differential privacy)のための新しいツールや、モデルが異なるグループでも動くためのシステム、厳しい規制要件を満たしながら企業がデータの最大限に利用できるようにするツールなどが含まれている。

このところデベロッパーは、AIのモデルの構築方法を勉強しなければならない機会がますます増えており、そのシステムは「説明しやすいか」や「差別やプライバシーの規制を満たしているか」などと定期的に自問することになる。そのためには、モデルの結果をより良く解釈することを助けるツールが必要だ。そんなツールの1つが、Microsoftがしばらく前にローンチしたinterpretMLだが、MLのモデルの公平性を評価するツールキットであるFairlearnもある。このFairlearnは現在、オープンソースのツールとして利用できるが、2020年6月にはAzure Machine Learningに組み込まれるという。

差分プライバシーは、プライバシー情報を保護しつつ個人データからインサイトを得られる技術だが、マイクロソフトは新しいオープンソースのツールキットであるWhiteNoiseを発表した。GitHubとAzure Machine Learningの両方で使うことができる。WhiteNoiseは、マイクロソフトとハーバード大学のInstitute for Quantitative Social Science(定量化社会科学研究所)とのパートナーシップの結果だ。

画像クレジット:Akos Stiller/Bloomberg / Getty Images

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