クラウドファンディングGoFundMeが非営利団体向け寄付プラットフォームClassyを買収

米国時間1月13日、クラウドファンディングプラットフォームのGoFundMeが、非営利団体や事業のための資金を集めているClassyを買収すると発表した。財務内容は明らかにされていないが、これは全株式の買収だ。

GoFundMeも地域のチャリティ食堂や、コミュニティメンバーの援助など非営利の目的で使えるが、Classyは直接非営利団体そのものに協力を提供する。2010年のシードラウンド以降、ClassyはVCから合計1億8350万ドル(約209億6000万円)を調達したが、それには2021年4月のNorwest Venture Partnersがリードした1億1800万ドル(約134億8000万円)のシリーズDが含まれている。この公益法人は200名のチームを雇用しており、今後はGoFundMeの子会社として、GoFundMeとは別の法人実体として稼動するが、トップはGoFundMeのCEOであるTim Cadogan(ティム・カドガン)氏が務める。

「GoFundMeとClassyが個人や団体のためにこれまで合わせて200億ドルを調達してきたことを誇りに思っていますが、私たちが持つユニークな機会により、もっと大きなインパクトを作り出せるはずだと認識しています。米国だけでなく全世界的なインパクトになるでしょう」とカドガン氏はブログで述べている。

カドガン氏は、この買収により、個人の寄付者と非営利団体への寄付の機会を結びつけることができるようになると期待している。

「これによって、災害救助を求めている個人に誰かが寄付をすると、その人は、災害の原因である気候変動の対策活動をしている非営利団体に接続できることになる」とカドガン氏は書いている。

2021年にはGoFundMeとClassyを合わせて50億ドル(約5711億8000万円)の資金が集まったとのこと。GoFundMeは募金者から(標準的な取引手数料は別として)プラットフォーム利用料を徴収しないが、人々がキャンペーンに寄付する際、GoFundMeの運営維持に役立つチップをオプションで追加することが可能だ。デフォルトでは、チップは寄付額の15%に設定されている。

画像クレジット:GoFundMe

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

宅配された食料品を低温に保つ「スマートボックス」を米HomeValetが発売、約5万7000円

HomeValetは、ワシントンD.C.市街地を拠点とするスタートアップで、食料品配達用の温度コントロール付きSmart Box(スマートボックス)を開発している。このほど同社は、同製品の一般販売を開始するとともに、Walmart(ウォルマート)との提携を拡大した。2021年には、Walmartのデリバリー利用者の生鮮品や冷凍食品を低温に保ち、受領するまでの安全を確保する手段として、Smart Boxのパイロットテストを行った。

HomeValetは、Walmartの食料品デリバリーサービス、InHome(インホーム)の一部のサブスクライバーに、2022年1月からSmart Boxを提供すると発表した。さらにInHome利用者以外の一般消費者も、前払金50ドル(約5700円)を払って予約すればSmart Boxを購入できる。InHomeサブスクライバーの購入価格は499ドル(約5万7200円)なので、ちょっとした投資ではある(Affirm経由のファイナンスが可能)。

それでもこのボックスは、オンラインで食料品を注文しても商品が配達される時刻に在宅できない人たちにとっては価値ある利便性だ。

画像クレジット:HomeValet

これは消費者が食料品配達を利用する上で、大きな壁の1つだ。生鮮品や冷凍食品は配達されたらすぐに冷蔵庫にしまわなくてはならないため、多くの人たちが食料品を路肩で受け取ったり、今まで通り店舗で購入している。買い物客は在宅時、例えば退勤後や週末に食料品を受け取りたいことから、配達の時間調整が複雑になるという問題もある。このため、要求される配達時刻は1日を通じても週を通じても波が大きくなり、店舗の都合で配達ルートや時刻を決めることができない。

Walmartのこの問題に対する現時点の解決方法は、InHomeデリバリーサービスだ。この食料品配達サブスクリプションは、2022年中に3000万世帯が利用可能になると同社は言っているサービスで、Walmartの配達員がスマートロックシステムを使って家に入り、顧客に代わって冷蔵庫や冷凍庫に食料品をしまう。配達の様子は安全確保のために配達員に装着されたカメラで記録される。

しかし、顧客は知らない人が自宅に入ることを心配しないでいられる人ばかりではない(あるいは、訪問者をよろこばない大型犬がいる、などの理由もあるだろう)。

そこへ登場したのがHomeValet Smart Boxシステムだ。Walmartの配達スタッフを家に入れる代わりに、スマートボックスを開けて食料品をしまってもらうことができる。

画像クレジット:HomeValet

Smart Box本体はインターネット接続されたボックスで、常温貯蔵品や食料品以外を格納する非冷蔵部分と、生鮮品と冷凍食品のための温度制御されたクーラー部分からなる(クーラーは利用者が設定可能)。

Smart Boxには専用モバイルアプリがあり、配達の通知を受けたり、ボックス内蔵のSony IMX322カメラが1080pが記録した配達員がボックスに商品を入れるところの動画を見ることができる。

画像クレジット:HomeValet

アプリを使って、ユーザーはボックスをロック / アンロックしたり、温度を遠隔制御することができる。WalmartのInHomeなどの対応した小売システムと連携していれば、配達時に自動的にアンロックすることもできる。

Smart Boxは110Vの標準電力で作動し、地面に固定することもできる。重さは120ポンド(約54.4 kg)、サイズは50.86×25.37×26.56インチ(約129x64x67cm)とかなり大きい(初期バージョンには殺菌用のUVランプが付いていたが、現行システムにこの機能への言及はない)。

HomeValetは2021年5月に、アーカンソー州北西部のWalmartでSmart Boxシステムのパイロットを行い、その後インディアナ州、ミネソタ州、およびワシントンD.C.市街地の一部地域で追加テストを実施した。現在同社はこのシステムをInHome利用者向けに優先的に提供している。

フロリダ州内(気候を考えると賢明なスタート地点)のWalmart店舗でInHomeを利用している顧客は、2022年2月にいち早くSmart Boxを受け取れる。InHomeユーザーは、導入価格499ドル(約5万7200円)と月額10ドル(1150円)のサブスクリプション料金(6カ月間は無料)でボックスを利用できる。

ボックスはその後、2022年8月以降にその他の予約購入者向けに個数限定で出荷され、2022年11月に追加で出荷される予定。これらの購入者向けの希望小売価格は上記とは異なり、後日発表される。

画像クレジット:HomeValet

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Limeの新しいeバイクはスクーターにも使える交換可能なバッテリーを搭載

Lime(ライム)は、2021年3月に新しいハードウェアの導入計画を発表して以来、ついに第4世代目のeバイクを街中に送り出すという約束を果たした。今回の新しい自転車には、Limeの最新世代のeスクーターと交換可能なバッテリーが搭載される予定だ。

企業広報のシニアディレクターであるRussell Murphy(ラッセル・マーフィー)氏によると、このマイクロモビリティ事業者は水曜日(米国時間1月12日)にワシントンD.C.で250台の新型自転車を導入し、4月までに2500台のeバイクを徐々に置き換えていく計画だという。Limeは今後1年間、世界の各都市で旧世代と新モデルの入れ替えを行いながら導入を続けていく予定だ。

この動きは、同社が新型eバイクの開発と北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドのさらに25都市への展開に向けて導入した、5000万ドル(約57億5000万円)投資の一部である。

前世代のLime製eバイクはロンドン、シアトル、パリ、デンバー、そしてまもなくサウスカロライナ州チャールストンを含む世界50都市で導入される予定だ。同社は当初、2021年夏に第4世代モデルを発売することを目指していたが、サプライチェーンの問題により、昨秋の数回のパイロットを遅らせなければならなかったと、マーフィー氏はいう。

交換可能なバッテリーは、Limeの緑と白の新型バイクの最も注目すべき特徴だ。Limeの最新スクーター「Gen4」の外観ともマッチしたデザインだ。

「これは業界にとって飛躍の可能性を秘めています」と、マーフィー氏はTechCrunchに語った。「車種間でバッテリーを1つに統一すれば、より合理的でマルチな運用ができます」。

Limeは、バッテリーのアップグレードが、車両あたりのコストの改善につながると期待している。充電のために車両を持ち込む必要がなくなるため、共有型マイクロモビリティ事業の運営にともなう最も高いコストの1つになりがちな運用業務が減ることになるのだ。同時に、バッテリーを交換するだけで済むので、より多くの車両がより長く路上を走行することになり、利用者への信頼性が向上し、収益を上げる可能性も高くなるとマーフィー氏はいう。

「また、これまでバイクとスクーターの充電チームが分かれていたのが、1つのチームになり、すべての充電関連業務をこなせるようになります」と同氏はいう。

新しいeバイクは、ライダーが坂道をより簡単に登れるように改良されたモーター、スマートフォンを充電できる電話ホルダー、Gen4スクーターのものと同じ新しいハンドルバーディスプレイ、そして、モーターを動かすために少しペダルを踏む必要がない、よりスムーズにスタートできる自動2速トランスミッションも搭載される予定だ。

Limeがeバイクの規模拡大を続ける計画は、保有車両の大部分を一新し、より多くの都市に進出し、新たな技術を開発してさらなる都市からの提案要請を勝ち取るという、同社が掲げる目標に沿うものだ。同社は11月に、転換社債とタームローンによる5億2300万ドル(約602億円)の資金調達を完了したが、これは2022年株式公開を予定している同社にとって、最後の資金調達となる可能性がある。

Limeは株式公開に向けて準備を進める一方で、より効率的な運営を行い、ハードウェアを充実させることで、業界における支配力を強化しようとしており、今回のアップグレードしたeバイクの導入はそれを補強するものとなっている。一方、同社が手に入る限りの認可をかき集めようとする一方で、Ford(フォード)が所有する競合のSpin(スピン)は先週、公開認可市場から撤退するためのリストラの一環として、従業員の4分の1を解雇する計画を明らかにした。Spinは現在、米国の一部の市場、ドイツとポルトガルの全市場での事業を縮小しており、早ければ2月にもスペイン市場も閉鎖される可能性があるという。

画像クレジット:Lime

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

30日定額5000円で自宅2キロ圏が乗り放題、KDDIとWILLERが複数ユーザーの相乗りサービスmobiを共同提供

30日定額5000円で自宅2キロ圏が乗り放題、KDDIとWILLERが複数ユーザーの相乗りサービスmobiを共同提供

KDDIとWILLERは、エリア定額乗り放題サービス「mobi」を共同提供します。新設の合弁会社「Community Mobility」を通じて提供し、同社にはWILLERが51%、KDDIが49%出資します。

「mobi」は、自宅から半径2km圏が乗り放題となる複数ユーザーの相乗りサービスです。保育園やスーパーといった自宅近辺の回遊需要をターゲットとします。

アプリ(Android版iOS版)から配車をリクエストすることで利用可能。地図上のピンをタップするだけで乗降地を設定でき、ドライバーと電話やチャットでの連絡も可能。車両の現在地もアプリの地図上に表示されます。30日定額5000円で自宅2キロ圏が乗り放題、KDDIとWILLERが複数ユーザーの相乗りサービスmobiを共同提供

提供エリアは東京都渋谷区・愛知県名古屋市千種区・京都府京丹後市で、2022年には東京都豊島区でも提供予定。また、さらなるエリア拡大も予定します。30日定額5000円で自宅2キロ圏が乗り放題、KDDIとWILLERが複数ユーザーの相乗りサービスmobiを共同提供30日定額5000円で自宅2キロ圏が乗り放題、KDDIとWILLERが複数ユーザーの相乗りサービスmobiを共同提供

料金は30日定額プランが5000円で、同居家族は6人まで、1人あたり500円追加で登録可能。また大人300円、小学生以下150円の1回乗車プランも用意します。30日定額5000円で自宅2キロ圏が乗り放題、KDDIとWILLERが複数ユーザーの相乗りサービスmobiを共同提供

(Source:KDDIEngadget日本版より転載)

激しい資金調達レースが続く欧州のマイクロモビリティ、Voiは約130億円調達し新都市参入とIPOの準備を進める

ヨーロッパのeスクーター市場は現在、マイクロモビリティ分野で活躍する企業の主戦場となっており、ヨーロッパの比較的コンパクトな都市と、より持続可能な交通手段に移行したいという人々の願望を活かしている。2021年には、Tier(ティア)、Voi(ボイ)、Dott(ドット)などの企業がVCの支援を受け続けている。

しかし、この資金調達競争は、最終的には、最も多くの資金を調達することによって市場を支配し、競合他社に圧力をかけ、あるいは競合他社を買収することによって、この憧れの市場で誰が勝利するのかということだ。

この壮大な物語における新たな章の始まりを告げるのが、欧州のマイクロモビリティ事業者であるこのVoi Technologyが、1億1500万ドル(約130億円)のシリーズD資金を調達したというニュースである。この資金調達は、新たな市場への拡大の原動力となると同社は述べている。Voiはすでに英国と欧州の70都市でスクーターを販売している。今回の資金調達は、2021年8月に調達した4500万ドル(約51億1700万円)に続くものだ。2021年の総資金調達額は1億6000万ドル(約181億9000万円)に達し、Voiの創業以来5億ドル(約568億4400万円)を調達したことになる。

関連記事:コンピュータービジョンで歩道走行の防止と安全性の向上を目指すマイクロモビリティVoiが50億円を調達

今回の調達は、拡大だけでなく、将来のIPOを視野に入れたものでもある。広報担当者は「今回の資金調達を受けて、VoiはIPOの準備を開始する予定です。準備は開始しますが、現段階ではスケジュールを確定することはできません」と語っている。

Voi Technologyの共同創業者兼CEOであるFredrik Hjelm(フレドリック・ヒェルム)氏は、声明で「マイクロモビリティの登場は疑う余地もありません。Voiは、住民や訪問者に統合されたスマートな移動手段を提供したいと考える都市にとって、ヨーロッパにおける主要なモビリティプラットフォームとなることを考えています。都市と密接に協力することで、公共交通を高度に補完する都市交通の新しいビジョンが形成されつつあるのを目の当たりにしています。私たちは交通の未来を築いており、すべてのVoi都市をより住みやすい場所にすることを約束します」と述べている。

都市が規制を導入し、認可を付与し始めたため、マイクロモビリティ事業者が規模を拡大する方法は、都市の役人から承認を得て、消費者へのアクセスを確保するということになる。そのため、この軍資金は、そのような認可に対応できるような規模にするためのものでもあるのだ。

また「マイクロモビリティの需要はかつてないほど高まっており、その結果、人々が必要とするサービスを確実に提供できるようにしたいと思っています。この資金で、駐車場、歩道走行、2人乗り走行の修正、eスクーターのより良いモデルの展開、研究開発への投資など、乗り物や街のためのソリューションに投資するつもりです」。と広報担当者は述べている。

このラウンドは、Raine Group(レイン・グループ)とVNV Global(VNVグローバル)(前回の資金調達ラウンドを主導)が主導し、Inbox Capital(インボックス・キャピタル)、Nordic Ninja(ノルディック・ニンジャ)、Stena Sessan(ステナ・セーサン)、Kreos Capital(クレオス・キャピタル)および新規投資家のIlmarinen(イルマリネン)、Nineyards Equity(ナイアード・エクイティ)およびICT Capital(ICTキャピタル)などが参加した。King(キング)、Avito(アビート)、BCGなどからの起業家・経営者も参加した。

Voiは、2021年に前年比140%の収益成長を達成し、同時にマージンや収益性を高めたとしている。また、同社は2021年、多くの都市の入札を獲得し、競合他社にプレッシャーをかけている。

もちろん、マイクロビリティ企業は、自家用車への依存を減らし、渋滞を緩和し、二酸化炭素排出量を減らし、汚染を削減するという都市間のニューストレンドと新型コロナウイルスのために公共交通機関の混雑を避けたいという個人の願望を利用し、オープンドアでプッシュしている。

また、Voiは、これまでで最も安全なeスクーターのモデルになるという「Voiager 5」を発売する予定だ。その登場は時宜を得たものだろう。

Vioのユーザーの自宅で1台の車両が燃え始めたため、一部のレンタル車両の撤去を余儀なくされたことを受けて、英国では最近、eスクーターのバッテリーパックが原因で火災が発生する可能性が指摘されている。

Voi U.K.のゼネラルマネージャーであるJack Samler(ジャック・サムラー)氏は、TechCrunchに次のようにコメントしている「2021年12月初め、ブリストルで当社の長期レンタル用eスクーターの1台から煙が出るという事例がありました。これは、当社の長期レンタルスクーターの1台が起こした、孤立した、1回限りの事故でした。厳重な予防措置として、状況を確認する間、スクーターを外に出しておくようユーザーにお願いしました。12月の間、すべてのユーザーに不便をかけた分の返金も行いました」。

同氏は、この喫煙スクーターの結果、サービスは一時的に停止しただけで、調査後、すぐに再開したと述べている。「大半のユーザーはすでにサービスを再開しており、すべてのライダーが持続可能な方法で移動するための長期レンタルサービスをすぐに楽しみ続けられると期待しています」。

これらのバッテリーがより安全なものになると仮定すると、Voiは2023年初頭までに、中国から輸入しないヨーロッパ製のバッテリーセルだけを使用し、結果として二酸化炭素排出量を50%削減することを約束している。

Raine GroupのパートナーでEMEAの責任者であるJason Schretter(ジェイソン・シュレッター)氏は「安全で持続可能なマイクロモビリティを欧州の市場に提供するVoiを引き続き支援できることをうれしく思います。1年前に初めて投資して以来、Voiの製品革新、業務効率化、地域パートナーシップへの取り組みにより、同社はこの地域におけるリーダー的地位を拡大しています」と述べている。

VNV GlobalのCEOであるPer Brilioth(ペル・ブリリオス)氏は「我々はマイクロモビリティの転換期を迎えつつあり、住民に導かれた都市が、この新しい交通手段の可能性に目覚めつつあります」と述べている。

一方、ヨーロッパでは、eスクーターの競争が続いている。ベルリンを拠点にヨーロッパ全域に急速に拡大しているeスクーター会社Tierは、最近Wind Mobility(ウィンド・モビリティ)のイタリア子会社Vento Mobility(ヴェント・モビリティ)を買収した。

しかし、スクーター会社は、この注目すべき分野のイメージを損ねかねない悲惨な事故や衝突による悪評とも戦い続けている。

画像クレジット:Voi scooters

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

専門性・希少性の高い有識者の知見を時間単位で提供する「エキスパートナレッジシェア」のArchesが1.8億円調達

専門知見を有する有識者を探し出し時間単位で知見提供を行う「エキスパートナレッジシェア」サービスをグローバルに展開するArches(アーチーズ)は12月16日、第三者割当増資により1億8000万円の資金調達を完了したことを発表した。引受先はユーザベース、博報堂DYベンチャーズ、グローブアドバイザーズベンチャーズ、ロッキングホース、ほかエンジェル投資家8名。

調達した資金により、ベトナムでさらに強固なエンジニアチームを組成、および各国で多国籍なプロフェッショナルチームを組成し、独自のリクルーティングシステムを強化する。また、世界各国の潜在顧客にサービスを同時展開するためセールス&マーケティングの強化、有識者知見を再利用できる形で蓄積し多くのユーザーに届けるプロダクトの開発にあてる。

エキスパートナレッジシェアとは、新領域進出や既存事業の課題解決のため特定の高度な業界知識を求めるクライアントに対し、適合する有識者を探し出しその知見へのアクセス機会を提供するサービス。同社は、ベトナムに有するエンジニアチームが開発した「エキスパートハント」テクノロジーによって、専門性・希少性の高い有識者を市場から的確に探し出しているという。インタビューアレンジやレポート作成を通じ、クライアントが求める知見を提供する。

Archesは、2019年5月に設立したスタートアップ。「Share knowledge, Empower Asia(知識の民主化を通じてアジアを活気づける)」をミッションに掲げ、ホーチミン、東京、シンガポール、上海、ウズベキスタンの5拠点でエキスパートナレッジシェアを展開。アジアにおいて5万人以上の有識者データベースを構築しているという。

同社は、エキスパートナレッジシェアは時代の主流になると考えているものの、有識者知見を提供する事業者は国内では数社のみ、アジアの新興国でも数える程度しか存在していないため、まだまだアクセスできる有識者の地域や業界が限定的であると位置付けているという。今後もデータベースに依存することなく、クライアントのニーズにあった有識者を市場から即時に探し出すエキスパートハントにより、有識者知見とクライアントをつなぐとしている。

オンデマンド型シャトルを展開するNearMeの空港送迎サービス「スマートシャトル」が北海道上陸

オンデマンド型シャトルを展開するNearMeの空港送迎サービス「スマートシャトル」が北海道上陸、新千歳空港と札幌市・ニセコ結ぶ

独自AI活用のオンデマンド型シャトルサービスを手がけるNearMe(ニアミー)は12月9日、空港と市内を結ぶ送迎サービス「スマートシャトル」(nearMe.Airport)について、北海道でサービスを開始すると発表した。今回「新千歳空港←→札幌市、ニセコエリア」を結んでおり、全国8エリア9空港に拡大したことになる。

運行概要

  • 利用方法:オンラインによる事前予約制。前日18時までに「スマートシャトル」で予約
  • 発着点:新千歳空港⇔札幌市内10区、2町(東区、西区、北区、中央区、白石区、清田区、手稲区、厚別区、豊平区、南区、ニセコ町、倶知安町)の指定箇所

料金

  • 1回4980円(税抜)/人から:新千歳空港←→札幌市(東区、西区、北区、中央区、白石区、清田区、手稲区、厚別区、豊平区)
  • 1回5480円(税抜)/人から:新千歳空港←→札幌市(南区)
  • 1回1万1800円(税抜)/人から:新千歳空港←→ニセコ町、倶知安町
  • オンライン決済が可能なのでチケット不要。飛行機遅延に伴う料金請求はなし
  • 各エリア内であれば乗降車場所問わず定額
  • 大人1名につき、12歳未満の児童2名まで半額適用

なお同社は、新型コロナウイルス対策として以下を実施している。

  • 乗車中の車内換気を徹底
  • 全乗務員は運行前に検温を行い、マスクを着用
  • アルコール消毒を設置し、乗車の際には乗車客に消毒を依頼
  • 前日までに乗車する方を決定し、感染者が出た場合早急に対応
  • 降車後の清掃の際、乗車客の触れる箇所にアルコール消毒を実施
  • 乗車客同士が隣接しないよう、少人数・大型車で展開
  • 乗車客にはマスクの着用を依頼

DoorDashがニューヨークでの「超速」配達開始でギグワーカーではなく正社員に頼る雇用モデルもテスト

DoorDash(ドアダッシュ)は米国時間12月6日、10〜15分で配達する「超速」配達をニューヨーク市のDashMart1店舗で始めることを発表した。まずはチェルシー地区の新店舗からスタートし、今後数カ月内にニューヨークや他の地域でも店舗や提携を増やしていく予定だ。そして、これらの新しい配達サービスを提供するために、同社はギグワーカーではなく正社員に依存する新しい雇用モデルのテストも開始する。

同社は、2020年4月にデジタルコンビニエンスストアチャネルDashMartを立ち上げた

DashMartでは、日用品やコンビニエンスストアにあるような商品を販売している。DashMartは商品約2000点を取り扱うマイクロフルフィルメントセンターで、DashMartの倉庫担当者が注文品をピックアップして梱包し、Dasherと呼ばれる配達員が注文品を集荷して顧客に届けるという仕組みになっている。本日から、デリバリーゾーン内のDoorDashの顧客は、DoorDashのアプリまたはウェブサイトにアクセスし、DashMartに注文して配達してもらうことができる。なお、DashMartチェルシー店の営業時間は毎日午前7時から午前2時までだ。

15分という配達時間を実現するために、超速配達ではDashMartからの配達範囲を狭くすることで配達員の配達移動時間を減らし、慣れ親しんだルートを通るようにしている。また、DoorDashによると、配達に使用する電動自転車の速度は時速20マイル(時速約32km)までとなっている。

そしてDoorDashは、超速配達では一定量の仕事とより多くの収入を求める配達員に新たな機会を提供すると発表した。DoorDashが新たに設立したDashCorpsは、定期スケジュールで働き、マネージャーに報告する配達従業員を雇用する。従業員には、時給15ドル(約1700円)〜の賃金に加えてチップが支払われ、医療・歯科・眼科保険、従業員支援プログラム、フレキシブルスペンディングアカウント、通勤手当など正社員の福利厚生が提供される。

DashCorpsの従業員は、特別にデザインされた新しいアプリを使用し、品出し、顧客サポート、管理業務など、配達以外の仕事も担当する。制服を着用し、平均週20時間の勤務となる。多くはフルタイムで働くとのことだ。

DoorDashは現在、ニューヨーク市内の400以上の地元のコンビニエンスストアや食料品店と提携していて、DashCorpsとのパートナーシップを通じて、より多くのローカル店舗に拡大していく予定だと話す。

この新しい雇用機会は、DoorDashが厳しいギグワーカーモデルから脱却し、戦略を転換していることを示している。同社はギグワーカーの雇用権を実現しようとする規制と戦ってきたいくつかのギグ企業の1つだ。今回の発表は、DoorDashが死守してきた既存のギグワーカーモデルからの脱却を意味している。

関連記事:ギグワーカーを非従業員とするカリフォルニアの条例Prop 22を高裁が憲法違反と判決

「当社は、多くの人々の生活に適した経済的機会を提供するリーダーであることを誇りに思っています。そして今、DashCorpsが提供する、これまでとは異なるタイプの新しい雇用機会に期待しています」とDoorDash社長Christopher Payne(クリストファー・ペイン)氏は声明で述べた。

配達従業員に安全トレーニングと装備を提供するのに加え、正社員向けの新しい配達アプリにはDoorDashのアプリ内安全ツールキットSafeDashも統合される。最近導入されたこのツールキットは、同社の配達員が安心して仕事ができるようサポートするためのものだ。SafeDashは現在、ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、デトロイト、サンフランシスコ、ロサンゼルスで利用でき、年内に全米の配達員がSafeDashを利用できるようになる予定だ。

同社はまた、ニューヨークの中小企業との今後のパートナーシップに反映させるため、新たに中小企業諮問委員会を設置したことを発表した。そしてニューヨークの中小企業擁護・社会支援団体であるYemeni American Merchant Association(YAMA)とも提携した。

画像クレジット:DoorDash

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国の配車サービス大手Didiがニューヨーク証券取引所の上場廃止へ

中国の配車サービス大手Didi(滴滴出行)は米国時間12月3日朝、ニューヨーク証券取引所の上場を廃止し、代わりに香港での上場を申請する手続きを開始したことを、Weibo(微博)への投稿で発表した

この決定は、中国政府が安全保障上の懸念からDidiに米国での上場廃止を要請したとBloombergが報じてから数日後のことだ。その際、TechCrunchはDidiにコメントを求めようとしたが、連絡が取れなかった。

上場廃止の動きは驚くべきことではない。ソフトバンクが支援するモビリティ企業Didiは、7月の超大型IPOの前に、データ処理の安全性を中国政府に保証できなかったことから、規制面で大きな圧力を受けていた。

ここ数カ月、中国はユーザーのプライバシー保護を強化したり、国境を越えたデータ転送を制限したりするなど、多くの新しいデータ規制を導入してきた。Didiの幹部は以前、同社がデータを中国国内に保存しており「他の多くの米国上場の中国企業」と同様に、米国にデータを渡したことは「絶対にあり得ない」と述べていた。

Didiの時価総額は現在376億ドル(約4兆2540億円)だ。同社の株式は、デビュー時には1株あたり15ドル(約1700円)を超えていたが、12月2日時点では7.8ドル(約880円)まで大きく落ち込んでいる。

画像クレジット:STR/AFP / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

乗客とドライバーが安心感が得られるようにUberが乗車中の音声録音などの安全機能を米国で導入

Uber(ウーバー)は、アプリにいくつかの新しい安全機能を追加する。乗客にシートベルト着用を促す音声リマインダー、乗客またはドライバーが乗車中に音声を録音できる機能、予期せぬルート変更や最終目的地前での停車を検知する機能などだ。今回のアップデートは、乗客とドライバーの双方がより安心感を得られるようにするためのものとのことだ。

Uberの道路安全公共政策マネージャーであるKristin Smith(クリスティン・スミス)氏は、TechCrunchに次のように話した。「多くの人が、特に短い乗車では後部座席でいつもシートベルトを締めていないことを認めており、それはドライバーにとって不快な状況を作り出す可能性があります。音声による注意喚起を行うことで、すべての座席で毎回シートベルトを着用する必要があるというメッセージを強化できると考えています。この機能は、過去数年にわたって実施してきたシートベルト着用啓発キャンペーンに基づいています。当社は、GHSA(州知事高速道路安全協会)と提携して 『Make It Click』キャンペーンを実施し、乗客やドライバーにシートベルト着用の重要性を啓発してきました」。

同社の広報担当によると、シートベルト機能は12月末から一部のユーザーに提供され、2022年初めには全国拡大される予定だ。また、この音声による警告のきっかけは、違反切符の支払い責任を負うドライバーからのフィードバックだという。運転開始時にドライバーの携帯電話からシートベルト着用を促す音声が流れるとともに、乗客の携帯電話にはプッシュ通知が送られる。

音声録音機能は中南米で約2年前から展開されているもので、米国では来週からカンザスシティ、ルイビル、ローリー・ダーラムで試験的に導入される。ドライバーと乗客は、地図画面上の盾のアイコンをタップし「Record Audio」を選んで音声録音を選択することができる。ドライバーがこの機能を選択した場合、乗客は移動開始前にアプリ内で通知を受け取る。

同社によると、音声ファイルは暗号化されて乗客またはドライバーのデバイスに保存され、Uberを含め、誰も録音を聞くことはできない。ユーザーがUberに安全報告書を提出する際には、その報告書に音声ファイルを添付することができ、訓練を受けたUberの安全担当者が、何が起こったのか、次に何をすべきかを判断するための証拠として、録音を復号して確認する。

最後に、Uberは12月2日からRideCheckを全米で強化する。RideCheckは、同社が2019年に追加した機能で、ドライバーのスマートフォンのGPSデータとセンサーを使って、旅行中に起こりうる衝突や異常に長い停車を検知するものだ。現在、RideCheckは、最終目的地に着く前に移動が予期せず終了した場合や、ドライバーがコースを外れた場合を検知するようにもなっている。

システムが問題の可能性を検出すると、乗客とドライバーの両方にRideCheckの通知が届き、アプリを通じて問題がないことをUberに知らせたり、緊急ボタンを押したり、問題を報告するなどの対応を促す。

この夏、カリフォルニア州のいくつかの法律事務所が数十人の原告女性に代わって、米国の複数の州でドライバーによる性的暴行を受けたとしてUberを提訴した。Bloomberg Lawによると、UberLyft(リフト)の両社は、長年にわたりドライバーによる乗客への暴行の訴えに直面してきたが、両社は一貫して責任を否定してきたため、これらの訴訟は任意解雇または和解に終わっている。

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前述のカリフォルニア州で訴訟を起こした法律事務所によると、Uberに対する新たな訴えの多くは過失に基づくもので、Uberがドライバーによる性的暴行の危険性を認識していたにもかかわらず、合理的な防止策を講じていなかったと主張している。一部の法律事務所は、Uberはカリフォルニア州の法律で輸送会社として分類されているため、乗客に対しなおさら注意義務を負っているとして「一般運輸事業者」の過失を主張している。また、Uberの製品である乗客とドライバーをつなぐアプリベースのプラットフォームが乗客の安全を確保できていないとして、製造物責任を主張しているケースもある。

今回の新しい安全機能、特に音声記録とRideCheckの更新は、訴訟の真っ只中にある配車サービス大手のUberが、自らの基盤を守るために行ったものかもしれない。Uberは、自社に対するクレームについてはコメントせず、代わりに、音声録音機能は2019年から中南米の14カ国に存在しており、リオデジャネイロで調査した乗客とドライバーの70%が、この機能のおかげでUberを利用する際に安全だと感じたと回答したことを指摘している。

また、2019年には、Uberは安全透明性に関する報告書を発表し、その中で2017年と2018年に同社のプラットフォーム上で約6000件の性的暴行の報告を受けていたことを明らかにし、炎上した。この報告書は、カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)の調査につながり、後にCPUCは、ドライバーや性的暴行を受けた乗客に関するデータの引き渡しを拒否したとして、Uberに15万ドル(約1700万円)の罰金を科した(Uberはまた、カリフォルニア州における身体的・性的暴力への対応に使われる900万ドル=約10億円=をCPUCに支払うことにも合意した)。CPUCが特に求めていたのは、暴行の日時と場所を含む事件の詳細で、これはUberのGPS機能や、乗車時間の短縮に関する報告といったこれらの新しい安全機能が提供できる可能性のある情報だ。

Uberの広報担当者はTechCrunchに対し、RideCheckの機能強化を促したものは特にないと述べている。

「技術的な準備が整い、乗客が戻ってきているため、機能を追加する状況になっただけです」と話した。

画像クレジット:Uber

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

キャンピングカーと車中泊スポットの予約アプリ運営のCarstayが約1.1億円調達、プラットフォーム開発を強化

キャンピングカーと車中泊スポットの予約アプリ運営のCarstayが約1.1億円調達、プラットフォーム開発を強化

Carstay(カーステイ)のミッションの世界観を表すために発表されたコンセプトアート「Carstay 2025」。2025年までに100万人のユーザーに愛されるサービスの社会実装を目指す

キャンピングカーのシェアリングと車中泊スポットの予約ができる「Carstay」(Android版iOS版)を運営するCarstay(カーステイ)は12月1日、プレシリーズAラウンドのファーストクローズで約1億1000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、栖峰投資ワークス、W ventures、ミナミインキュベート、ほか既存投資家。今回の資金調達により、金融機関からの融資を含め累計調達額は約2億4000万円となった。年内には同ラウンドでの追加の資金調達も予定している。

「Stay Anywhere, Anytime. 誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界をつくる」をミッションに掲げるCarstayは、「移動」を基盤とした新しい旅と暮らしのライフスタイルをテーマに事業を展開するスタートアップ。事業開始から3年で、全国各地の車中泊スポット320カ所、車中泊仕様のカーシェア車両220台が登録されたプラットフォームを構築し、地方活性化プロジェクト支援、モビリティ各社やエンタテインメントとの連携、医療従事者や被災地の支援なども展開している。

同社のミッションの世界観を表すために発表されたコンセプトアート「Carstay 2025」。2025年までに100万人のユーザーに愛されるサービスの社会実装を目指す

Carstayは今回の資金調達により、「Carstay 2025」に描かれた世界の実現を目指し、プラットフォームの開発をより加速させるという。「動く拠点」となる車「バン」のカーシェア台数、「バン」で寝泊りできるスペースシェア登録数の増加を図るとともに、スマートフォンやパソコンを介して、それら車両や車中泊スポットを簡単に検索・予約・決済が行えるITプラットフォームの利便性や操作性の強化を図る。

パリ、スクーターシェアリングサービスに時速10kmまでの制限を要請

パリでスクーターに乗ることは、もうすぐ信じられないほど遅く感じるようになる。パリ市は、スクーターのシェアリングサービスが、最高速度を時速10kmに制限するべきだと発表した。この決定は、スクーターと歩行者の負傷事故が多発したことを受けたものだ。

パリは、スクーターシェアリング企業にとって重要な市場だ。パリは自転車専用道路のネットワークがある密集した都市だ。また、パリを探索するためのさまざまな方法を探している多くの観光客がいる。

そういった理由から、少し手に負えない状況になっていた。ある時点では、16の異なるスクーターのスタートアップが、パリでスクーターを運営したがっていた。結局、パリは3社を選び、一連のルールを導入した。Dott(ドット)、Lime(ライム)、Tier(ティアー)の3社は、2年間、電動スクーターの共同運行の許可を得た。

それ以来、この3社の活動は順調だ。2021年だけでも、Dottは8500万ドル(約96億2600万円)を株式と資産担保付きの負債で調達し、Tierは最近2億ドル(約226億5100万円)を負債と株式で調達し、Limeは5億2300万ドル(約592億3300万円)を転換社債とタームローンで調達した。ただし、スクーターは利用者だけでなく、道を歩いている人にとっても公共の安全に関する問題となった。AFP通信によると、スクーターは2021年だけで298件の事故を起こしている。329人が負傷し、2人が死亡している。

特に、2021年6月に衝撃的な出来事があった。2人の女性が夜のセーヌ川の近くでスクーターに乗っていた。2人は歩行者をはね、そのまま放置した。その数日後、はねられた彼女は病院で亡くなった。

この事故の後、パリ市とスクータースタートアップの関係は、決して元に戻ることはなかった。7月1日、パリはチュイルリー公園やパレ・ロワイヤル庭園、バスティーユ広場やレピュブリック広場など、歩行者の密度が高い12のエリアをリストアップした。スクーターシェアリング会社は、リアルタイムのジオロケーションを利用して、これらのエリアでは最高速度を時速10kmに制限することに合意した。

2021年9月に、パリ市は各区役所にスクーターの最高速度を時速10kmに制限すべきエリアのリストアップを依頼した。その結果は、700のスローゾーンのパッチワークだった。そして、スクーターのスタートアップ企業は、それぞれのサービスでこれらのゾーンを導入することに合意した。

しかし、パリ市はそれよりもさらに先を目指している。自転車、スクーター、その他のマイクロモビリティのための広い車線を持ついくつかの通りを除いて、街全体がスクーター・スタートアップにとってスローゾーンになった。もちろん、自分のスクーターを持っている人は、その制限は個人のデバイスには適用されない。スクーターのシェアリングサービスに対する新たな規制は、12月前半に実施される予定だ。

唯一の朗報は、スクーターの入札が半年間延長されたことだ。Dott、Lime、Tierは、2023年2月までスクーターの許可証を維持する。しかし、今日の新しいルールは、パリでの利用にいくつかの重要な影響を与える可能性がある。

モペッドの規制

その他のニュースとして、パリ市は自由に浮遊する電動モペットの規制も行う予定だ。現在、パリではCityscoot(シティスクート)、Cooltra(クールトラ)、Lime、Yego(イエゴ)、Troopy(トルーピー)の5社が運行している。その他の企業もパリでの発売に向けて動いている。

パリでは、モペッドを許可制にしたいと考えている。これは、スクーターの許可証と同じような仕組みだが、許可証の有効期限は5年になる。パリでモペッドを走らせることができるのは、2か3社に限られる。新システムは2022年9月1日に開始される。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Yuta Kaminishi)

【コラム】電動スクーター事業者は34.6兆円規模の産業でどう収益化していくのか?

自動車に比べて、電動スクーターは、都市部のモビリティと環境にポジティブな影響を与えることができる低炭素で静か、かつ安価な交通手段だ。しかし、その有望な可能性にもかかわらず、都市住民の大多数は、電動スクーターをおもちゃか、公共の安全を脅かすものと認識している。

それにともない、この業界へのベンチャー投資の額もわずかなものとなっている。2010年以降、共有型マイクロモビリティは世界全体で90億ドル(約1兆円)の投資を受けたのだが、それに比べて2021年の第3四半期だけで米国のスタートアップ企業が調達したのは723億ドル(約8兆3400億円)だ。人々が一斉に自動車ではなく低炭素マイクロモビリティを選択するような、真に持続可能な都市環境を目指すのであれば、このビジネスを収益化する方法を見つけなければならない。

当初、電動スクーター事業者は、できるだけ多くの電動スクーターを市場に投入することで利用者の注目を集めようとしており、物理的な存在が成功を意味していた。都市が規制を導入してライセンスを付与するようになると、事業者の関心は市当局からの承認を得ることに移った、なぜならライセンスはエンドコンシューマーへのアクセスを確保し、長期的な計画を立てるための信頼感を与えるからだ。

このライセンスは、投資家の負担を軽減し、ライセンスを取得したスタートアップは資金調達が急増した。例えば2021年には、Tier(ティアー)、Voi(ヴォイ)、Dott(ドット)などの企業が累計4億9000万ドル(約5652億円)の資金を調達した

この事実は、市場での競争を目指す他の電動スクーター事業者に、投資を集めて成長したいのであれば、まず都市部での地位を確立しろという明確なメッセージを送っている。現在のところ、これは主に、インフラが整備されており、マイクロモビリティの輸送やビジネスモデルのテストサイトとして機能しているヨーロッパに当てはまる。

しかし、マイクロモビリティが都市コミュニティにとって効率的であることが証明されれば、これらの手法は、主要都市ですでに自転車レーンの整備が進んでいる米国など、他の地域にも広がっていくだろう。2030年には、世界のマイクロモビリティは3000億〜5000億ドル(約34兆6000億〜57兆6842億円)規模の産業になると予想されていることを考えると、努力する価値は十分にある。

しかし、単に入札に勝っただけでは十分ではない、なぜならライセンスを取得した事業者は次の競争に進むからだ。事業者は、エンドコンシューマーと投資家の両方の期待に応えなければならない。つまり、最高の製品と製品体験を提供しながら、収益性を達成しなければならない。

これまでのところ、電動スクーターのシェアリングビジネスは収益性が高いとはいえず、既存のビジネスモデルには改善の余地がたくさんある。最も顕著な問題は、コストの60%を占めるといわれる高額な充電とオペレーションであり、ここを少しでも最適化することだけでも有益になる。

では、なにができるだろうか?

オペレーションは会社によって異なるかもしれないが、充電のシナリオはほとんどない。マイクロモビリティ事業者は、1日の終わりに手作業で車両を回収して充電倉庫に持ち込むか、死んだバッテリーを手作業で新しいバッテリーに交換している。どちらも人手を要し、このコストを削減することを目的としたソリューションを提供するプレイヤーが現れている。

台湾の電動スクーターメーカーGogoro(ゴゴロ)は、充電作業をライダーに引き継ぐスワッピングステーションを展開した。今のところ、それは2つの電動スクーターブランドにしか対応していない。ドイツのTierも同様のアプローチを選択し、最近Tier Energy Network(ティア・エナジー・ネットワーク)を開始した。これにより、Tierの利用者は、地元のパートナーショップに設置されたPowerBox(パワーボックス)を使って、自分でバッテリーを交換できるようになった。しかし、バッテリー交換を行うには、自社で保有する電動スクーター1台につき最低2個のバッテリーを用意しなければならず、バッテリーセルは最も高価なハードウェア部品だ。

また、そのブランドのバッテリーがある場所での電池交換のためにルートを変更しなければならないことは、一部の消費者にとって商品体験を悪化させる可能性があり、競争が厳しいときに極めて重要な事業者のユーザー数を制限することになる。

さらに、マイクロモビリティへの需要が高まると、ステーションには同時に多数の車両を収容できることが求められるようになる。それにより、ユニバーサルなインフラの需要が生まれる。Kuhmute(クムート)やPBSC Urban Solutions(PBSCアーバンソリューションズ)などの企業は、この問題に部分的に取り組んでおり、さまざまなeモビリティ車両のタイプやブランドに対応したユニバーサル充電器を開発しているが、そのようなソリューションの多くは電気接触式であるため、一度に対応できる車両の数は限られている。その上、ステーションは2〜3カ月で接触酸化しやすく、街の景観を変えてしまう。

そうなると、次のステップとしては、駐車スペースを大幅に拡大したワンタッチ充電器を展開するのが自然だ。しかし、駐車スペースの話になると、都市が重要なステークホルダーとして登場する。都市はすでに多くの住宅用地を自動車用の駐車スペースに転用する必要があるのに、電動スクーターの充電用にも転用する必要がある。スワップステーションも充電ドックも地上に設置する必要があるからだ。

この問題に取り組み始めているプレイヤーもいるし、電気自動車の分野ではすでにそのような製品が存在している。例えば、米国のWiTricity(ワイトリシティ)は、その上に駐車すると、無線で充電することができる地上用充電パッドを開発している。この充電器には地上のハードウェアがないため、通常の道路や歩道と同じように使用することができる。また、破壊可能な部品がないため、破壊行為への対策にもなる。

この技術を電動スクーターの分野に応用すれば、余分なバッテリーや交換・接続のための手作業を省くことができ、ユニットエコノミクスの向上につながる。このような標準化は、エンドコンシューマーにとっても、マイクロモビリティ企業にとってもメリットがある。

編集部注:本稿の執筆者Roman Bysko(ローマン・ビスコ)氏は、次世代の電気充電ステーションを開発するモビリティ・インフラストラクチャ企業Meredotの共同創立者兼CEO。

画像クレジット:Inside Creative House / Getty Images

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(文:Roman Bysko、翻訳:Yuta Kaminishi)

アイカサが11月24日から佐賀県に新規導入、「歩こう。佐賀県。」プロジェクトと連携し歩きたくなる街作り支援

傘シェアリング「アイカサ」のスマホアプリが30分以内に雨が降る場合の予報表示など新機能搭載

傘のシェアリングサービス「アイカサ」(Android版iOS版)を運営するNature Innovation Group(アイカサ)は11月22日、佐賀駅を中心とした佐賀市内の施設において、11月24日からアイカサを合計200本新規設置すると発表した。佐賀県が取り組んでいる、歩くライフスタイルを促進するプロジェクト「歩こう。佐賀県。」と連携した取り組みで、雨の日でもアイカサを使い、日常で歩くことが習慣になるような環境作りに貢献する。また傘のデザインは、中心に大きな雨雲と雨をデザインし、たくさんの人が傘を持って歩く活気にあふれた佐賀の街の「雨の日も、歩こう。佐賀県。」をイメージしたものという。「歩こう。佐賀県。」ロゴのキャラクター「アルックさん」をあしらっている。

アイカサが11月24日から佐賀駅を中心に合計200本を新規設置、「歩こう。佐賀県。」と連携し歩きたくなる街作りを支援

また、佐賀県内スポットでのレンタル開始は期間限定で無料(返却は県外も可能)で、傘は同時に2本までレンタルできる。アプリの利用には決済情報の登録が必要になるほか、傘の紛失の際は紛失手数料として864円(税込)がかかる。

展開地域

  • 傘の種類:「歩こう。佐賀県。」デザイン傘(晴雨兼用)100本、アイカサオリジナル黒傘100本
  • 設置場所:JR佐賀駅(2カ所)、佐賀県庁(1カ所)、佐賀県立図書館:1カ所、佐賀市立図書館:1カ所、佐賀大学本庄キャンパス:1カ所、アバンセ(佐賀県男女共同参画センター。1カ所)、サガテレビ1F JONAI SQUARE(1カ所)。その他の設置場所は「歩こう。佐賀県。」サイトで順次公開

アイカサが11月24日から佐賀駅を中心に合計200本を新規設置、「歩こう。佐賀県。」と連携し歩きたくなる街作りを支援アイカサが11月24日から佐賀駅を中心に合計200本を新規設置、「歩こう。佐賀県。」と連携し歩きたくなる街作りを支援

佐賀県は、生活習慣病予防、公共交通の維持、交通事故減少、地域経済の活性化といった様々な課題解決を目指して、2019年から歩こう。佐賀県。に取り組んでいる。その結果、佐賀県公式ウォーキングアプリ「SAGATOCO」は7万3000ダウンロードを達成するなど多くの人に歩くライフスタイルが進んでいるそうだ。

さらに今回の取り組みにより、雨の日も快適に徒歩移動ができるよう、いつでもどこでも傘が借りられ、雨が止んだら手ぶらで移動できるアイカサを導入し、雨の日でもスムーズな徒歩移動ができる環境を提供する。徒歩での移動は車によるCO2の排出が抑えられ環境にも優しいアクションであり、アイカサが目指す社会課題解決の取組とも合致し「雨の日も、歩こう。佐賀 県。」の啓蒙として佐賀県オリジナル傘の作成に至ったという。

モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」を手がけるINFORICHが累計108億円の資金調達

モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」(チャージスポット。Android版iOS版)を展開するINFORICH(インフォリッチ)は11月18日、59億円の資金調達が完了し、累計総額は108億円になったと発表した。引受先は、MRA Investments、SBSホールディングス、NEXTBLUE1号投資事業有限責任組合、ネクストユニコーン第2号投資事業有限責任組合、P&Eディレクションズなど。調達した資金により、ChargeSPOT事業をさらに強化する。

INFORICHは、2018年4月よりChargeSPOTを提供。現在では、日本全国約3万台、台湾約4300台、香港約3000台、タイ約1000台(2021年11月時点)の設置が完了しているという。国内において年内3万5000台、2022年に6万台、2023年に10万台と設置を拡大し、日常生活には必要不可欠な生活インフラ化を目指すという。

ChargeSPOTでのレンタル方法は、LINE・d払い、PayPay・au PAYなど各種ChargeSPOT対応アプリでバッテリースタンドのQRをスキャンするだけでOK。また、対応アプリで自宅や職場など近所のバッテリースタンドを探してバッテリーを借り、別のバッテリースタンドに返却することもできる。

モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」を手がけるINFORICHが累計108億円の資金調達

タクシーの相乗り解禁、NearMeが街中で行きたいところまでドアツードアで移動できるnearMe.Townを12月始動

nearMeの空港送迎相乗りシャトルバス「スマートシャトル」が関西進出、関西空港・伊丹空港と京都府13地域を結ぶ

オンデマンド型シャトルサービス「スマートシャトル」(nearMe.Airport)を展開するNearMe(ニアミー)は11月12日、街中でも行きたいところまでドアツードアで移動できる「nearMe.Town」(ニアミー タウン)の12月開始を発表した。サービス提供エリアは、12月の中央区・千代田区・港区・江東区の4区を皮切りに、東京都23区内のうち想定利用者が多いエリアにおいて順次拡大する予定。サービス開始タイミングで利用を検討している方は、初期ユーザーとして案内できるよう公式サイトでユーザー登録を行うよう呼びかけている。サービスローンチ前日まで応募を受け付けているそうだ。

同サービスは、国土交通省が発表した、11月1日運用開始の一般乗用旅客自動車運送事業における相乗り旅客の運送を受けたもの。これにより、配車アプリなどを介して、目的地の近い乗客・旅客同士を運送開始前にマッチングさせて運送するという、タクシーの相乗り(シェアタク)が可能となっている。

ニアミーは、リアルタイムの位置情報を活用して地域活性化に貢献する「瞬間マッチング」プラットフォーム作りを目指し、MaaS領域において、主に空港と都市をドアツードアで結ぶスマートシャトルを2019年より展開している。独自開発AIによる効率的なルーティングを実施しており、この効率化を街中でも提供できるよう、12月からのnearMe.Townの本格始動に至ったという。

さらに同社は、相乗り解禁を見据え、乗車客と相乗り運行を行うタクシー・ハイヤーなどの運行会社のDXを鑑みた2種の特許を取得している。

  • 現在地情報に基づく相乗りマッチング機能(特許第6813926号):タクシーの相乗りの際のユーザー同士のマッチング時に、ユーザーがそのマッチング候補者の現在地の情報を画面上で確認した上で、相乗りをするかどうかを選択できる機能に関するもの。同機能により、ユーザーは、より質の高い「瞬間マッチング」プラットフォームを体験可能になるとしている
  • 1-Click相乗り配車(特許第6931446号):前日までの事前予約制のスマートシャトルにおいて、ニアミー独自AIにより、同乗者を特定した上で効率的なルーティングを実施し、タクシー・ハイヤー会社がワンクリックで受注から配車まで一気通貫でに行える機能。同機能により、相乗り予定の乗客と、タクシー・ハイヤーの車両のマッチング精度が向上し、乗客に対しては迅速な配車確定連絡を、タクシー・ハイヤー運行会社に対しては適切な業務の割り当てが可能となる

また同社は、新型コロナウイルス対策として以下を実施している。

  • 乗車中の車内換気を徹底
  • 全乗務員は運行前に検温を行い、マスクを着用
  • アルコール消毒を設置し、乗車の際には乗車客に消毒を依頼
  • 前日までに乗車客を決定し、感染者が出た場合早急に対応
  • 降車後の清掃の際、乗車客の触れる箇所にアルコール消毒を実施
  • 乗車客同士が隣接しないよう、少人数・大型車で展開
  • 乗車客にはマスクの着用を依頼

Uberの乗車「待ち時間」料金を課す行為が障がい者差別と米司法省が同社を提訴

米司法省は、配車大手のUber(ウーバー)が障がいを持つ乗客を差別しており、障がいを持つアメリカ人法(ADA)違反だと主張し、Uberを提訴した。

この訴訟は、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に11月10日に提出された。Uberが障がいのある乗客に「待ち時間」料金を課す行為が、差別にあたると主張する。障がいのために乗車に通常より多くの時間を要する可能性があるからだ。Uberは2016年4月に待ち時間ポリシーを開始した。ポリシーでは、Uberの車が指定のピックアップ場所に到着した2分後から料金を請求する。

待ち時間料金はアプリで自動的に計算されるが、Uberは、待ち時間料金を免除する裁量をドライバーに与えていない。

司法省は、Uberが障がいのある乗客に十分な乗車時間を与えず、公平な運賃を提示していないため、ADAに違反していると指摘する。訴状によると、車いすや歩行器のように分解する必要がある移動補助器具や、その他の無数の理由により、障がいのある乗客が車に乗り込むのに2分以上を必要とする可能性がある。

訴状には「乗客A」「乗客B」2人の体験が載っている。乗客Aは、四肢麻痺で手動式の車いすを使用する52歳の女性で、Uberで予約した車に乗るのに、平均して5分以上かかっていた。乗車するたびに待ち時間料金が発生していたが、他の交通手段が限られていたため、毎日Uberを使い続けた。彼女は返金を要求しようとしたが拒否された。

脳性麻痺をもつ34歳の男性である乗客Bも、手動式の車いすを使用しており、アプリを通じてほぼすべての乗車について待ち時間料金を請求された。Uberは当初、料金を返金していたが、その後「返金額の上限に達した」と本人に伝えた。

訴状によると「乗客Aや乗客Bと同様、米国中の他の障がい者が、障がいを理由にUberから待ち時間料金を請求されるという差別を受けている」。

ADAは、1990年に議会で制定された画期的な法律だ。Uberは民間企業だが、司法省は、ADAには民間企業が提供する交通サービスにおける差別に対処する権限があるとしている。

訴状は「Uberやその他の類似業者が、従来のタクシーサービスに代わってオンデマンド輸送の主要な選択肢として人気を博している。そのような状況で、Uberは、同社のサービスに頼って移動することを選択した、あるいは単純に頼らなければならない無数の障がい者の自立を確保する上で重要な役割を果たしている」としている。

TechCrunchはUberにコメントを求めており、同社から回答があれば記事を更新する。

訴訟番号は3:21-cv-08735。

画像クレジット:Matthew Horwood/Getty Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

Carstay、自走型サウナカーやテントサウナ貸出可能なキャンピングカーのシェア「バンライフ・サウナ」を開始

VANLIFE バンライフ Carstay キャンピングカー 車中泊

Carstay、自走型サウナカーやテントサウナ貸出可能なキャンピングカーのシェア「バンライフ・サウナ」を開始キャンピングカーのシェアリング・レンタルと車中泊スポットの予約ができる「Carstay」(Android版iOS版)を展開するCarstay(カーステイ)は11月8日、サウナと車中泊を体験できる「バンライフ・サウナ」事業の開始を発表。車内でサウナ入浴ができる自走型サウナカー1台、テントサウナの貸出が可能な車中泊仕様のキャンピングカー6台の「サウナ車両」のカーシェアをスタートした。サウナカーとテントサウナ車両は、11月17日から19日まで那須高原で開催されるスタートアップカンファレンス「IVS 2021 NASU」に出展され、無料体験会も実施される。

自走型サウナカー「SAUNA JUNKY零号」は、オレタチノサウナが企画・制作。日産キャラバンをベース車両とし、大型薪ストーブと後部座席にベンチを搭載。全内装ヒノキ貼りで、従来の温浴施設と同様の本格的なサウナを楽しむことが可能。サウナ、薪、サウナストーンなど、サウナ用の備品一式も含めてレンタルできる。

Carstay、自走型サウナカーやテントサウナ貸出可能なキャンピングカーのシェア「バンライフ・サウナ」を開始

車内は全面ヒノキ貼り、大型薪ストーブが設置されている

車内は全面ヒノキ貼り、大型薪ストーブが設置されている

自走型サウナカー「SAUNA JUNKY零号」は最大5人で楽しめる

テントサウナの有料貸出オプションつきキャンピングカーは、ミニバンサイズやバンタイプ、ルーフテントベッドつき、車内にシンクや電子レンジ、ベッド、ホースシャワーなどを備えたさまざまな車両6台。各車の詳細は、テントサウナが設置できる車中泊スポットと合わせてバンライフ・サウナ専用サイト内で紹介されている。

Carstayは「誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界をつくる」をミッションに掲げ、MaaS(Mobility as a Service) 領域で新しい旅と暮らしをテーマにした事業を展開。今後は、サウナをはじめとする追加オプションをより増やすことで、キャンピングカーや車中泊スポットの所有者の収益増を図り、世代を問わず支持される新たな生活と旅の世界を拡大したいという。

介護保険外の訪問介護・家事・生活支援マッチングCrowdCareを運営するクラウドケアが総額1.1億円調達

介護保険外(自費)の訪問介護・家事・生活支援マッチングサービス「CrowdCare」(クラウドケア)を運営するクラウドケアは11月3日、第三者割当増資と融資による総額1億1000万円の資金調達を発表した。引受先はリード投資家のKII2号投資事業有限責任組合(慶應イノベーション・イニシアティブ)、またbasepartners2号投資事業有限責任組合(basepartners)。

調達した資金は、システム開発とカスタマーサクセスの強化に伴う人材採用、介護保険外サービスの認知度アップや依頼者獲得のためのマーケティング強化、首都圏以外へのサービス提供エリア拡大にあてる予定。これらの実現のため、今回初めて外部からの資金調達を行なったとのこと。

CrowdCareは、案件ごとに依頼者とヘルパーをマッチングして空き時間に働けるようにし、貴重な人材をシェアしていくという、シェアリングエコノミー型(クラウドソーシング)サービス。介護職として働いている方、介護の仕事から離れてブランクがある方、未経験の方も、隙間時間を使って自分のスキルや都合に合わせて働くことが可能としている。

東京理科大学が効率的なバイクシェアリングの自転車再配置のための数学的手法を提案

電動キックボードシェア「LUUP」が京阪電気鉄道・京阪宇治駅にポート導入、京都府初のサービス提供開始
東京理科大学が効率的なバイクシェアリングの自転車再配置のための数学的手法を提案

配送車が自転車の回収と補充を行う際の例

東京理科大学は10月27日、バイクシェアリングで使われる自転車の再配置を効率的に行うための数学的手法の提案を発表した。バイクシェアリングでは、各ポートに置かれる自転車の数の偏りが問題になっている。それに対処したこの研究結果は「便利で快適なバイクシェアリングシステムの構築と運用を可能にする重要な基礎となる」とのことだ。

バイクシェアリングのポートでは、自転車が往復だけでなく片道だけで利用されることも多く、どうしても置かれる自転車の台数に偏りが出る。ポート数が少ない場合は、これまでにも適切な再配置を可能にするアルゴリズムが提案されていたが、ポート数が増えると、それが使えなくなるという問題があった。

そこで研究グループは、「これまで解決されなかった再配置作業の時間的制約や実行可能性などを踏まえ」、この問題をバイクシェアリングシステム・ルーティング問題(mBSSRP)として定式化し、ポート数が大きく増えても「現実的な時間内に最適解を求めることができないか」を考えた。

そして、これまで提案されていた「メタヒューリスティックな手法」を用い、mBSSRPの実行可能な解空間と、不可能な解空間を動的に探索する制御手法を導入したアルゴリズムを提案。これにより、mBSSRPの最適解を現実的な時間内で求めることに成功した。

東京理科大学工学部情報工学科の池口徹教授は「配置が偏った自転車に対して配送車の最適配置問題を効率よく解くための手法を開発することは、我々の現実社会における実課題としても解決すべき重要な課題と考えています。今回提案した手法により、便利で快適なバイクシェアリングシステムの構築・運用が可能となります」と話している。

この研究は、池口教授、博士後期課程2年の對馬帆南氏、日本工業大学先進工学部情報メディア工学科の松浦隆文准教授からなる研究グループによるもの。