ドミノ・ピザがヒューストンで無人のピザ配達を開始、自律配達車両スタートアップNuroと提携

4月12日の週から、米テキサス州ヒューストンでDomino’s(ドミノ・ピザ)にピザを注文する顧客の一部は、人間と接することなく商品を受け取れるようになる。

米国時間4月12日、Domino’sは自律配達車両スタートアップのNuroと提携し、顧客はNuroのR2ロボットから家の前でピザを受け取る方法を選べるようになると発表した。

Domino’sのシニアVP兼最高イノベーション責任者のDennis Maloney(デニス・マロニー)氏は発表の中で「我々には自律配達の分野で学ぶべきことがまだたくさんあります。このプログラムによって我々はお客様の反応、お客様とロボットとのやりとり、ストア運営への影響をもっと理解できるようになるでしょう」と述べた。

いずれかの時点で、Domino’sのウェブサイトでWoodland Heightsストアに注文するとR2を選べるようになる。R2はレーダー、360度カメラ、赤外線画像により動きを制御する。ロボットの場所や、ピザを受け取るためにロボットのタッチスクリーンに入力するPINコードは注文者にテキストメッセージで通知される。

コロナ禍で非接触の自律食品配達業界は急速に成長し、現在Nuroはこの分野のリーダーになりつつある。

Nuroの共同創業者で社長のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏は発表の中で「Nuroのミッションはロボットで生活を向上させることです。我々の自律配達ロボットをヒューストンでDomino’sのお客様に使っていただけることになり、たいへんうれしく思っています。お客様の感想を楽しみにしています」と述べた。

ヒューストンの公道で電動の無人自動運転車両が料理を配達するのはこれが初めてだ。住宅地であるWoodland Heightsはヒューストンでは最も古い歴史的地区の1つで、高速道路のI-45とI-10にはさまれている。この街のDomino’sはメインの大通りであるHouston Avenueに面しているため、このテクノロジーのテストをするには相当難しい場所だ。

Nuroは元々、Domino’sとの提携およびヒューストンでのテストを2019年に発表していた。同年には、ヒューストンとアリゾナ州フェニックスでスーパーのKrogerの配達サービスを開始した。2020年末にはカリフォルニアの公道でのテストが許可され、ウォルマートやCVSなどのパートナーから商品を配達している。Nuroは米運輸省から無人運転車両に関する安全規定適用除外を承認された初の企業だ。

Nuroがレストランの配達に大規模に進出するのはDomino’sが最初のようだが、間違いなくこれが最後ではないだろう。NuroはシリーズCで5億ドル(約547億円)を調達したと発表したばかりで、メキシコ料理チェーンのChipotleがこのラウンドで出資した。イノベーションにフォーカスするトヨタ自動車の子会社Woven Planetの投資部門であるWoven Capitalも出資した。

関連記事:Nuroの無人運転配達車がカリフォルニア州初の商業運用許可を獲得、2021年早々にもサービス開始予定

カテゴリー:モビリティ
タグ:Domino’sNuro自動運転ロボット配達ヒューストンピザトヨタ自動車Woven Planet

画像クレジット:Nuro

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

倉庫から歩道まで、Amazonに対抗するロジスティックス実用ロボットの最新動向

先回りしておくと、ロボティクスの分野には注目すべき動きや製品が多数ある。しかし現在、全員が熱中しているのは倉庫でのフルフィルメントをはじめとする物資移動業務だ。これはAmazon対大勢という構図になっており、多くの面でAmazonが一歩先を行っている。労働者の管理、処遇に関する問題はまったく別の話となる(それはそれで別に議論したい)。

フルフィルメントロボットのトップ企業の幹部を取材すると、概ね話は共通していることがわかる。「どうすればAmazonとの競争に負けずにいられるか?」だ。これはビジネスの存在を賭けた真剣さを含んでいたのでので単なるロボット関連記事にまとめてしまうのはためらわれる。しかし、とりあえず簡単な答えを出しておくなら「自動化の提供」だろう。

ともあれBoston Dynamicsの最新ロボットが倉庫用であるのは理由がある。2021年夏に登場する予定のSpotは同社にとって2番目の市販ロボットだが、多くの意味で同社として最初初の特定目的型ロボットだ。SpotはBoston Dynamicsが創業以来取り組んできた四足歩行ロボットを拡張したものだ。同社はSpotをプラットフォームと表現してきたがその用途は当然極めて広範囲なものとなる。

関連記事:ボストン・ダイナミクスの次期商用ロボットは退屈な倉庫仕事をこなす「Stretch」

画像クレジット:Boston Dynamics

StretchはHandleから進化し、HandleはAtlasから進化した。このシリーズのロボットは「箱を運ぶ」という非常に限定された目的を果たすためにデザインされた。もちろん倉庫作業にはさまざまな側面があり、Boston Dynamicsは将来、多様な作業に対応していくだろう。しかし今のところはトラックからの荷降ろしやパレット上に注文された品々がはいった箱を積み上げることに集中している。これは明らかに巨大な成長市場であり、Boston Dynamicsのような組織がどのように規模を拡大していくのか注目していきたい。この点でHyundaiからの大口の引き合いが実現するかどうかが重要だ。

このカテゴリでは、いくつかの注目すべき発表があった。我々は中国がフルフィルメントロボットの分野でも注目されていることを報じているが、さきごろ北京を拠点とするForwardX Roboticsが6300万ドル(約69億5000万円)を調達して話題となった。CDH、Eastern Bell、Dohold CapitalがリードしたシリーズBでは地元中国に加えて米国、日本、英国、ドイツを含む国際市場への拡大を目指している。

ファウンダーでCEOのNicolas Chee(ニコラス・チー)氏はこのラウンドについて次のように書いている。

当社にやってくる倉庫や製造に携わるユーザーは業務を改革し、これまで達成できなかった新しいレベルの効率性を引き出すことが目的だ。ForwardX Roboticsの柔軟な自動化プラットフォームは、サプライチェーンで働く労働者のパフォーマンスを向上させ、増大する人件費の圧力を軽減し、市場の変化に迅速かつ効果的に適応することを可能にする。

画像クレジット:Ambi Robotics

このブームを機にステルスからの脱却を図っているAmbi Roboticsにもそれなりの規模の資金資金調達ラウンドを実施している。カリフォルニア大学バークレー校の教授であり、TechCrunch主催のロボティクスのセッションのゲストににもなったKen Goldberg(ケン・ゴールドバーグ)氏が設立したこの会社は610万ドル(約6億7000万円)の資金を調達したことを発表した。この会社は、いわゆるピック&プレース型のロボットに特化しており、AmbiSortとAmbiKitという2台のマシンでスタートを切っている。この分野ではゴールドバーグ氏には熱心な支持者がいる。これは間違いなく注目すべき企業だ。

画像クレジット:Skycatch

TechCrunchは最近、Skycatchが2500万ドル(約27億6000万円)を調達したというニュースを報じた。我々はこのドローンを提供するスタートアップについて何度も取り上げてきた。現在、多数の企業が実用ドローンのビジネス化のために多大な努力を払っている。その中でもSkycatchはコンセプトの現実化で一歩先を行くグループに属する。同社の3Dイメージング用ドローンはすでに世界中の何千もの現場で活躍中だ。

関連記事:ドローンを使い建設、採掘現場での高精度3Dスキャンサービスを提供するSkycatchが27.3億円調達

画像クレジット:REEF Technologies

もちろんロボットテクノロジー人間の配送要員に全面的に取って代わるような自体は当分ありえない。しかし多くの企業や都市が積極的にテストに取り組んでいる。そのスタートアップの1つがCartkenだ。ファウンダーは元Googleのエンジニアでマイアミでテストを開始している。この都市の宣伝文句は数えきれない。マイアミを推薦するWill Smith(ウィル・スミス)の歌さえある。

関連記事:元Googleのエンジニアによる自動運転ロボットがマイアミで料理配達業務を開始

画像クレジット:Toyota

一方Nuroは新たな投資家からの激励がなくても盛り上がりに欠けることはない。同社は2020年11月に5億ドル(約551億2000万円)のシリーズCを発表した。またトヨタ自動車が出資するWoven Capitalがこのラウンドに参加したことを発表し、詳細が明らかになった。Woven Capitaの投資・買収担当責任者であるGeorge Kellerman(ジョージ・ケラーマン)氏はTechCrunchに次のように語っている。

Nuroは我々の出発点として好適です。我々は乗客を運べる自動走行車の開発に焦点を当てているので、Nuroは地域におけるグッズの配送に焦点を絞り込んでいるので同社との提携は我々が多くのことを学ぶための第一歩となります。Nueoから学ぶべきことは多く、将来的には同社の世界的展開を支援することも可能性となります。

関連記事:トヨタの投資ファンドWoven Capitalが自動配送ロボティクスNuroに出資

カテゴリー:ロボティクス
タグ:フルフィルメント物流倉庫Boston DynamicsForwardX RoboticsAmbi RoboticsCartkenToyotaフードデリバリー

画像クレジット:Boston Dynamics

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:滑川海彦@Facebook

トヨタの投資ファンドWoven Capitalが自動配送ロボティクスNuroに出資

イノベーションにフォーカスしたトヨタ自動車の子会社Woven Planet(ウーブン・プラネット)の投資部門Woven Capital(ウーブン・キャピタル)は、シリコンバレー拠点の自動運転デリバリー車両のNuro(ニューロ)への投資を発表した。新たに設立された8億ドル(約878億円)の戦略的ファンドの第1号案件だ。Woven Capitalの投資と買収の責任者George Kellerman(ジョージ・ケラーマン)氏によると、同ファンドは安全なモビリティの未来を構築するというミッションの推進に向けていつの日かパートナーになったり買収対象となったりするかもしれないグロースステージのテック企業に投資する。

Woven Capitalの出資は2020年11月に発表されたNuroの5億ドル(約549億円)のシリーズCラウンドの一環だ。同ラウンドにはChipotle、そしてT. Rowe Price Associates, Incが運営するファンド、新規投資家としてFidelity Management & Research CompanyとBaillie Giffordも参加した。各ステークホルダーの具体的な投資額は明らかにされなかった。

トヨタは2020年9月に、自動運転モビリティや機械学習、人工知能、オートメーション、コネクティビティ、データ・分析などのテクノロジー分野に投資することを目的とする8億ドルの投資プールを発表した。

「Nuroは良い出発点でした。というのも、当社が行っている業務の多くは自動運転の乗用車の開発にフォーカスしているからです。ですので、これは当社にとってローカルの商品配達にピンポイントでフォーカスしているパートナーを通じて学習して発展させる方法です」とケラーマン氏はTechCrunchに語った。「Nuroから学ぶ多くの機会があり、潜在的には今後コラボしたりNuroがグローバル展開するのをサポートしたりする機会もあるかもしれません」。

Nuroの貨物専用自動運転の車両は、すでにカリフォルニアの車両管理局から公道でのテスト実施の許可を得てKrogers、Domino’s、Walmart、 CVSといったパートナー企業の商品を配達しており、この分野でリーダーとなるチャンスをNuroは手にしている。Woven CapitalはNuroのリーダー的な立場の加速・強化をサポートする機会を見出し、一方でNuroとの間で戦略的知識共有の取り決めを結んだ。

「(Woven Capitalは)未来に向けて野心的な目標を掲げるすばらしいチームを招集しました。そして我々は人々の暮らしをより良いものにするために暮らし方や移動の仕方を変革するという共通目的を共有しています」とNuroの共同創業者で会長のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏は声明で述べた。「当社は引き続きチームを拡大し、すばらしい自動走行配達プロダクトを構築するのに、新たな資金と世界最大の自動車会社からのサポートを使います」。

トヨタ・ウーブンシティのコンセプトレンダー(画像クレジット:Toyota)

オートメーションはWoven Capitalのポートフォリオの大きな部分を占めることになる。これはWoven Cityなど親会社Woven Planetの活動をサポートするためだ。Woven Cityは相互接続するスマートシティプロトタイプでセットされる新しいテクノロジーの試験場で、トヨタは2021年2月に富士山の麓、静岡県裾野市東富士で着工した。

「Woven Cityについて考えるとき、自動走行モビリティとオートメーションをより広範にとらえます」とケラーマン氏は話した。「それを促進するため、人工知能や機械学習、データ・分析、コネクティビティが必要になります。ですので我々はそうした分野に投資するポートフォリオを形成するつもりです」。

モビリティ産業では、モビリティを単に人々や商品の動きとしてではなく、情報やデータの動きとしてとらえる傾向が強まっている。Woven Planetはこれを認識し、特に自動車についてはソフトウェアファーストのアプローチを取っている。従来の自動車産業のデザインとハードウェアファーストのアプローチに取って変わっていて、車両を動かすのにソフトウェアに組み込み、まずソフトウェアで開始してソフトウェア中心にハードウェアを構築することを意味する。

ソフトウェアファーストのアーキテクチャを構築することは、将来のイノベーションに多くのフレキシビリティをもたらす。ハードウェアが変わってもコードを書き直す必要はなく、別の応用を加えるだけでいい。Woven Planetが開発しているすべてのソフトウェアは可能な限り多くの応用で使えるはずだとケラーマン氏は述べた。

真に強固で統合されたソフトウェアを持っていることは、コネクテッドモビリティにとって論理的な次のステップでもあり、車両の輸送のポテンシャルを再考する道を開く。Nuro車両は配達しているあらゆるグローサリーのための車両というだけでなく、交通の流れや気候パターンなど走行中に収集してクラウドに送るすべての情報のための車両でもある。それゆえにその価値は、AからBへのユーティリティというより情報のインターチェンジとなる。

Woven Cityですぐさま活用できるかもしれないNuro車両によって集められた情報の一部は通りの安全に関するものだ。Nuro車両は人を運ばないのでデザインは車両の外にいる人の安全性、人中心の都市計画において有用となるかもしれない集計データにフォーカスしている。

結局、Woven Capitalの長期的な視点は常に将来のM&Aに向けた潜在的なプロセスだとケラーマン氏は話した。

「トヨタは歴史的に買収欲の強い会社ではありませんが、Woven Planetの中でいかに戦略的買収を通じて当社のビジョンとミッションを加速させることができるかをにらみながら経営企画チームを作っています」と述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Woven PlanetNuro投資トヨタ自動車自動運転

画像クレジット:Toyota

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIスタートアップSymbioがトヨタ、日産と組立ロボットの効率化に取り組む

ベイエリアを拠点とするAIスタートアップのSymbioは米国時間2月24日、「正式なローンチ」を発表した。総額3000万ドル(約32億円)の資金調達に支えられ、同社は日産とトヨタ自動車の両社と契約を結び、米国の工場に同社のソフトウェアを導入している。

Symbioによると、同社のSymbioDCS技術は組立ライン上のロボットの自動化を飛躍的に高めることができるという。

「エンドユーザーにとって、提案は非常にシンプルです」と、CEO兼共同ファウンダーのMax Reynolds(マックス・レイノルズ)氏はTechCrunchに語った。「私たちは自動化の効率を改善しています。高レベルの目標では工場の能力を向上させ、多くの製品をより迅速に、より柔軟に製造できるようにすることです」。

Symbioは2020年12月にシリーズBで1500万ドル(約15億9000億円)を調達している。これは1200万ドル(約12億7000万円)の2018年のシリーズA、250万ドル(約2億6000万円)のシード、50万ドル(約5300万円)のプレシードに追加される。今回のラウンドはACME Capitalが主導し、既存投資家であるAndreessen Horowitz、Eclipse Ventures、The House Fundが参加した。

UCバークレー校のAnca Dragan(アンカ・ドラガン)教授はこのニュースに関連した声明の中で、「Symbioは自動化ソリューションだけを提供するのではなく、製造業に携わる開発者や専門家が独自の自動化ソリューションを作成し、それらを新しいタスクに容易に組み込むことを可能にするツールも設計しています」と述べた。「そのために、AIの強みと人間の洞察力を共生的に活用した製品を開発しています」。

2014年に設立されたSymbioは、主にカリフォルニア州に拠点を置くエンジニアを中心に約40人を雇用している。レイノルズ氏によれば、現在の自動車の自動化製造のレベルは、実際には予想よりもはるかに低いという。「アセンブリの自動化は、全体的に見ても5%未満です。この中核的な業種であっても、成長の余地と機会は十分にあります」。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Symbioトヨタ日産

画像クレジット:Symbio

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

トヨタが米国市場に電気自動車3モデルを2022年に投入

米国時間2月10日、Toyota Motor North America(北米トヨタ、TMNA)は新しく電動自動車3車種を米国市場に投入すると発表した。多くの自動車メーカーが米国の排ガス規制やゼロエミッションをクリアする乗用車、SUVを提供して顧客を獲得しようとしているためだ。

関連記事:アウディが同社初の電動スポーツセダン「e-tron GT」を発表、欧州では約1270万円から

トヨタによれば、2車種は全電気式、1車種はプラグインハイブリッドだという。実車の販売開始は2022年になると予想されている。

TMNAのセールス担当上級副社長であるBob Carter(ボブ・カーター)氏 によると、顧客ニーズに適するパワートレインの選択肢を提供することが目的だという。トヨタはプリウスなどのハイブリッド、RAV4などのプラグインハイブリッド、ミライなどの燃料電池車の開発と販売を行っている。

同社によれば、2025年までにトヨタブランドと高級ブランドのレクサスの各モデルでオプションとして電動パワートレインが選択できるようになる。またトヨタはさまざまなニーズに適合するよう組み合わせることができるe-TNGAと呼ばれる独自のバッテリー電気プラットフォームを開発している。

こうした努力はすべて温室効果ガスの排出量を削減して市場シェアを獲得することを目的としている。トヨタは、この目標を達成するには多様性を提供する必要があると考えている。同社は2025年までに新車販売台数の40%を電動モデルに置き換える計画だ。EVの割合は2030年までに70%弱まで増加すると見込んでいる。

TMNAのCEOでToyota Research Institute(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)のチーフサイエンティストであるGill Pratt(ギル・プラット)氏は声明で次のように述べている。

運輸部門で温室効果ガスを削減する最も速い方法は、ドライバーのニーズに適合した低炭素パワートレインのオプションを提供することだと信じています。あらゆる価格帯で複数のパワートレインを提供することにより、北米全体でより多くの人々がよりクリーンな自動車に乗るようになり、もっとも短時間で炭素排出総量に最大の削減効果をもたらすことができるでしょう。

トヨタは、温室効果ガス排出削減にともなう所有コストの上昇というトレードオフを検証するツールを利用した調査を行ってきた。その結果、バッテリーの充電に使用される電力を生み出す際に米国の発電所から排出される温室効果ガスを考慮した場合、現在の完全電気式バッテリーモデルとプラグインハイブリッドモデルの温室効果ガス排出総量はほぼ同等であることを発見した。

トヨタの電気自動車戦略はバッテリー型とプラグインハイブリッド型の環境に対する負荷がほぼ同様であるという同社の調査に基づいている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:トヨタ自動車EVアメリカ温室ガス効果

画像クレジット:Toyota

原文へ

(文:Kirsten Korosec 翻訳:滑川海彦@Facebook

Auroraがトヨタ、デンソーと自動運転ミニバン「シエナ」を共同開発

自動運転テクノロジー企業のAuroraは車両開発およびテストを実施する契約をToyota(トヨタ自動車)および大手部品メーカーのDENSO(デンソー)との間で締結した。Auroraのテクノロジーを搭載して開発される自動運転車両はまずミニバンのトヨタ・シエナが予定されている。

米国時間2月9日、Auroraとトヨタは自動運転バージョンのシエナを設計、テストすることで協力することを発表した。両社のエンジニアのチームは2021年末までに実車のテストを開始することを目標としている。

この発表は、2019年にAuroraがトヨタ、デンソー、SoftBankのVision Fundから10億ドル(約1046億2000万円)を調達してUberから独立したUber Advanced Technologies Groupを買収したことに続くものだ。1月20日に完了したこの買収は、UberがATGの株式を手渡し、4億ドル(約418億5000万円)をAuroraに投資するという複雑な取引だった。Uberは合併後の新会社の株式の26%を保有している。また、トヨタはAuroraの株式の一部を取得している。

関連記事:Uberが自動運転部門Uber ATGを売却、購入したAuroraの企業価値は1兆円超え

発表された提携計画は、 少なくとも部分的には 、2018年にトヨタとUberが合意したオンデマンド自動運転タクシー配車(ride-hailing)サービスを市場に投入するための計画に似たものとなっている。両社はUberのタクシー配車ネットワークでミニバン「シエナ」を使用し、同車にUber ATGの自動運転テクノロジーを搭載することで合意した。これにともないトヨタは5億ドル(約523億円)の投資を行った。当時、トヨタとUber ATGはこれらの車両はサードパーティーの企業が買い取って運用・管理することができると述べていた。

関連記事:トヨタ、Uberに5億ドル投資――2021年からから自動運転の実用サービス開始を目指す

Auroraの共同ファウンダーで最高製品責任者のSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏は、「これはまったく新しいパートナーシップであり、以前のトヨタのUber ATGn提携の延長ではない」と強調した。

トヨタとAuroraは、開発チームの規模、契約に関連した財務的インセンティブなどの詳細を明らかにしなかったため、現在のところこの提携が影響する範囲などを見極めるのは難しい。

それでもAuroraは一車種の開発とテストを超えたパートナーシップだという野心的なビジョンを打ち出し「長期的な戦略的提携」と表現している。また2021年の共同開発作業は、最終的に自動運転車両をトヨタと共同で量産し、Uberやそれ以外のタクシー配車ネットワーク上に乗せる基盤を築くことが目的だとしている。また自動走行に必要な部品の量産ではデンソーと協力する。自動運転車に関する融資、保険、メンテナンス等のカスタマーサービスのプラットフォームの構築でもトヨタと協力する方法を検討していくという。

アンダーソン氏はトラック運送のPACCAR、そして今回のトヨタとの提携が実現したことで「フリート管理などの商用の川下(ダウンストリーム)サービスの開発が同社にとってますます重要になってきた」と述べた。

最近のインタビューでアンダーソン氏はこう語っている。

タクシー配車サービスにはまず自動車とドライバーが必要ですが、その次にはサポートサービスが必要です。この一環としてトヨタと協力して研究している分野の1つは、Auroraのサポートサービスとトヨタの販売ネットワークを組み合わせ。Auroraの自動運転テクノロジーを搭載したトヨタ製車両を大規模に展開することです。これはトヨタのネットワークの巨大さが我々にとって非常に重要になる分野です。

自動車の場合、開発、テストから実際に市場で商用化されるまでの道のりは非常に長い。資金調達以外のも技術的な課題や規制上の課題が生じる。熟練労働者の確保をめぐるライバルとの競争もある。これらすべてをクリアしても自動運転タクシー配車ネットワークの運営にはまた独自のハードルがある。つまりAuroraがトヨタと提携したからといって今すぐに成功が保証されたわけではない。

しかし世界的な大手自動車メーカーとの提携はAuroraにとって極めて重要な一歩だったに変わりはないだろう。

Auroraの共同ファウンダーであるCEOのChris Urmson(クリス・アームソン)氏は米国時間2月9日のブログ記事にこう書いている。

トヨタには比類ない実績があり、エンジニアリングの専門知識と高いリーダーシップを持っています。これによりトヨタは高品質かつ手の届く価格で信頼性の高い車両を提供してきました。またタクシー配車ネットワークで真っ先に選定されるメーカーでもあります。我々はトヨタと協力できることをうれしく思っています。Auroraの自動運転テクノロジーでドライバーレス・モビリティサービスを実現しようと考えています。

アームソン氏はまた、同社初の商用プロダクトが自動運転トラックのテクノロジーであることに触れ「現在のライドシェア予約のかなりの部分が時速80km以上のスピードでの運転を必要としています。このため自動運転トラックで培った高速道路対応能力は乗客を安全に移動させるために非常に重要になると考えています」と付け加えている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Auroraトヨタ自動車自動運転

画像クレジット:Aurora

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:滑川海彦@Facebook

スパークス、トヨタ、メガバンク3行が国内モノづくり企業対象の新ファンドで合意、12月初旬設立目指す

スパークス、トヨタ、メガバンク3行が国内モノづくり企業対象の新ファンドで合意、12月初旬設立目指す

スパークス・グループトヨタ自動車三井住友銀行三菱UFJ銀行みずほ銀行の5社は11月2日、新ファンド設立に向け覚書に調印したと発表した。同ファンドは、国内のモノづくり企業が投資対象。今後5社で、出資規模・その他の出資者・投資対象などの詳細な検討を進め、12月初旬のファンド設立を目指す。

同ファンドでは、優れた技術・人財を有する企業を、TPS(トヨタ生産方式)や経営戦略の策定などにより支援。企業の持続的な成長を通じて、日本のモノづくりの発展に寄与することを主たる目的とする。

これは、「働きがいも経済成長も」(Decent Work and Economic Growth)、「産業と技術革新の基盤をつくろう」(Industry, Innovation and Infrastructure)など国際社会が取り組んでいるSDGs(持続可能な開発目標)の目標にも合致するもので、新型コロナウィルスの影響が長期化する厳しい環境下、日本のモノづくりの競争力向上を通じて社会に貢献する。

関連記事
ジェネシア・ベンチャーズがシード・アーリーステージに特化した2号ファンドを設立、ファンド規模は約80億円
エースタートが宇宙特化型「スペーステック2号ファンド」を運用開始、ファンド規模は38億円
DRONE FUNDが目標調達額100億円とする3号ファンドからの新規投資活動を順次開始
kemuri venturesがフードテック特化型「食の未来ファンド」設立、ファンド規模は総額10~30億円
DNX Venturesが日米のB2B新興企業を対象に約330億円の3号ファンドを組成
ミクシィがエンタメ業界のDX推進ファンド設立、1号ファンドは最大30億円予定
インキュベイトファンドが機関投資家を中心に過去最大250億円規模の5号ファンドを組成
エン・ジャパンが中小企業のDX化に向け100億円規模のスタートアップ投資を発表
元Salesforce Ventures浅田氏が独立系VCのOne Capital設立、1号ファンドは50億円規模でスタート

カテゴリー: VC / エンジェル
タグ: SDGs(用語)スパークス・グループトヨタ自動車みずほ銀行三井住友銀行三菱UFJ銀行日本

ソフトバンクやトヨタなど出資のMONETがMaaSシステム向けAPIを提供するマーケットプレイス公開

ソフトバンクやトヨタなど出資のMONET、MaaS用API提供の「MONETマーケットプレイス」公開

ソフトバンクとトヨタ自動車などが共同出資しMaaS(Mobility as a Service)事業を展開するMONET Technologies(MONET)は9月28日、MaaSシステム開発に活用できる天気・観光・地図情報など様々なデータや決済システム向けにAPIを提供する「MONETマーケットプレイス」を正式にオープンした。2020年度内にオンデマンドバスのAPIも提供を開始する予定。

また今回の正式オープンにより、一般企業がMONETマーケットプレイスを利用できるようにするほか、MONETマーケットプレイスにAPIを提供する企業を募集する。

MONETマーケットプレイスは、企業や自治体のMaaSの実現を包括的に支援するプラットフォーム「MONETプラットフォーム」の一部として提供するもの。同プラットフォームは、車両データや移動データなどを集約するデータ基盤と、MONETマーケットプレイスで構成される。MONETは、「MONETコンソーシアム」加盟のシステム開発企業などを対象に、4月からMONETマーケットプレイスの試験利用を実施し、正式オープンに向けた準備を行ってきた。

9月28日から提供するAPI

  • 決済(MONET): SBペイメントサービスのオンライン決済サービスを利用し、クレジットカードとPayPay(オンライン決済)での決済が可能
  • チケット(MONET): 予約情報や決済情報を基に、乗車券・入場券として利用できるQRコードを発行
  • 天気予報 API(ウェザーニューズ): 全国(1kmメッシュ)の天気予報を1時間ごとに取得できるAPIと、指定場所の最寄りの観測地点における過去の観測データを、2008年までさかのぼって取得できるAPI
  • るるぶDATA API(JTBパブリッシング): 旅行情報誌「るるぶ情報版」などに掲載されている全国の観光スポット情報やイベント情報・温泉地情報、観光視点で区切った全国のエリア区分の情報を取得できるAPI
  • いつもNAVI API(ゼンリンデータコム): 多彩な地図・位置情報サービスをウェブサイトやスマホアプリなどに実装するための開発ツールがセットになった、エンタープライズ向けサービス
  • Loogia(オプティマインド): 過去の走行データを活用してラストワンマイルにおける最適な配送ルートを計算する、配送および輸送事業者向けのAPI

今後提供が決まっているAPI

  • オンデマンドバス(MONET): オンデマンドバスの運行に必要な予約や運行管理などのAPIをまとめて提供。2020年度内提供予定
  • iTrust本人確認サービスAPI(サイバートラスト): マイナンバーカードと公的個人認証サービスの活用により、犯罪収益移転防止法に対応したオンラインでの本人確認や現況確認を実現するサービス

関連記事
ソフバンとトヨタ共同出資のMaaS企業「MONET」、ホンダと日野自動車から資金調達
ソフトバンクとトヨタ合弁のオンデマンドバス事業に5社の自動車メーカーが参加
トヨタとソフトバンクが新会社、次世代EV「e-Palette」で移動サービス展開

トヨタとAWSが務提携拡大、ビッグデータ蓄積・利用基盤を強化

トヨタとAWSが「モビリティサービス・プラットフォーム」強化に向け務提携を拡大

トヨタ自動車(トヨタ)とAmazon.com傘下のAmazon Web Services(AWS)は8月18日、グローバルでの業務提携を拡大すると発表した。トヨタの「モビリティサービス・プラットフォーム」(MSPF)の強化に向け、AWSの幅広いサービスポートフォリオを活用する。MSPFは、モビリティサービスに必要な様々な機能をAPIを介してモビリティサービス事業者に提供するオープンなプラットフォーム。

今回の提携拡大により、AWSのグローバルインフラとAWSプロフェッショナルサービスを活用することで将来の膨大なトランザクションに備え、MSPFのビッグデータ蓄積・利用基盤を強化する。なお、包括契約の適用範囲をトヨタグループに広げ、車両ビッグデータをグループ各社で柔軟かつ安全に活用できる基盤を構築し、CASE時代に向けた準備を加速する。CASEとは、Connected、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electricのそれぞれ頭文字をとったもの。

トヨタは、コネクティッドカーの普及に伴い、MSPFとAPIを介しコネクティッドカーから収集した車両データを、車両の設計開発にフィードバック。さらに、カーシェア・ライドシェアといったサービスや車両メンテナンスの事前通知、運転挙動反映型テレマティクス自動車保険など、法人・個人向けのサービスとも連携させ、車両データに基づく安全・安心で快適な次世代のモビリティサービスをドライバーや乗客に提供している。

関連記事
ミシガン州で自動運転車専用道路を建設へ、ホンダやトヨタ、GM、フォードなども協力
富士山麓にスマートシティー建設、トヨタが野心的プロジェクトを発表
NearMeの特定少人数を乗せる通勤専用シャトルが九州で実証実験、トヨタ自動車九州と共同で