ベルリンのVC「MorphAIs」はアーリーステージファンドにAIアルゴリズムを活用する

MorphAIs(モーフ・エーアイズ)はベルリン発の新しいベンチャーキャピタル(VC)で、アーリーステージスタートアップへの投資判断にAIを活用することを特徴としている。ただし、1つ落とし穴がある。この会社はまだ出資したことがない。

会社を設立したEva-Valérie Gfrerer(エヴァ-ヴエレリー・グフレラー)氏は、以前フィンテックのスタートアップOptioPay(オプショペイ)でグロースマーケティングの責任者だった。行動科学と高度情報システムの経歴がある。

グフレラー氏は、MorphAIsをテック企業として立ち上げ、AIを使ってベンチャー投資を評価し、それをサービスとして販売していた。しかししばらくして、このプラットフォームを自家運用ファンドに適用できると気づき、資金集めの推進に使おうと考えた。

MorphAIは、複数の連続起業家からすでに資金提供を受けている。元Better PaymentとSumUpでFaugsterのCEOでファウンダーのMax Laemmle(マックス・レムリ)氏、元Groupon(CityDeal)とJP Moran ChaseでSumUpの共同ファウンダーであるMarc-Alexander Christ(マーク-アレクサンダーキリスト)氏、元GigasetとAOLのCEOでSmartFrogのCEOであるCharles Fraenkl(チャールズ・フレンクル)氏、およびawesome capital GroupのチェアマンファウンダーであるAndreas Winiarski(
アンドレアス・ウィニアスキー)氏などだ。

「ベンチャー資金を割り振るプロセスにはここ数十年間意味のあるイノベーションは起きていません。私たちは一連のプロセスを再発明し、業界が資金を精密に割り当て、バイエスを減らし、よりインクルーシブなスタートアップエコシステムに向かう後押しをしています」と彼女はいう。

彼女は、アーリーステージ向けVCファンドの80%以上は最低限期待されているリターンを投資家に戻していないと指摘する。それは真実だが、そもそもVC業界は多額の金銭を放り出すように作られており、その損失を全部帳消しにするような勝者を見つけることに望みをかけている。

現在、彼女はプレシード / シードファンドを計画中で、機械学習の専門家や数学者、行動科学者らからなるチームを擁して、MorphAIsのモデルは市場データに基づくリアルタイムの予測をした結果、16倍の利益率を得ているとしている。

グフレラー氏の共同ファウンダーでCTOのJan Saputra Müller(ヤン・サプトラ・ミュラー)氏は、askby.aiを含めいくつかの機械学習企業でCTOを務めた。

1つ問題がある。グフレラー氏のアプローチは独自ではない。例えば英国、ロンドン拠点のInReach Venturesはデータを用いてスタートアップを発掘することで大きな実績を挙げている。そして欧州のその他のVCも、多かれ少なかれ同じようなことをしている。

果たしてグフレラー氏は何か目覚ましい結果を出せるのか?それは今後を見据えるしかなさそうだ。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:MorphAIsドイツ

画像クレジット:MorphAIs

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

スウェーデンのフィンテックスタートアップKlarnaがドイツで銀行口座サービスを開始

フィンテックスタートアップのKlarnaが、モバイルアプリをドイツのバンキングアプリに変えようとしている。ドイツ現地の顧客はコンシューマー向け銀行口座を開設し、Visaデビットカードを取得することができる。

現在のところ、Klarnaは限られた数のユーザー向けに銀行口座を開設している。同社は今後数カ月のうちに、より広範囲に展開する予定だ。

ユーザーが利用できるのはドイツのIBANコードを持つ銀行口座で、お金を受け取り、口座振替や引き落としを設定することができる。デビットカードはGoogle PayとApple Payで動作する。月に2回の無料ATM引き出しも利用できる。

米国時間2月9日のローンチでは、Klarnaは金融におけるスーパーアプリを作りたいと考えている。Klarnaはまず、eコマースサイトの支払い方法としてスタートした。同サービスでは高価な商品を複数回に分けて支払える。マーチャントは最初の取引が発生したときに支払いを受け、Klarnaは顧客のクレジットラインを透過的に管理している。

Klarnaのモバイルアプリでは、過去の購入履歴や今後の支払いを確認できる。アプリではストアのマーケットプレイスにアクセスしたり、配送状況を確認したり、値下げ通知を設定したりもできる。

このデータだけでは、自分の財務状況を完全に把握することはできない。しかし銀行口座を追加すれば、入金から出金まですべてを完全に把握することができる。

それは、クレジットラインの新たな機会を開くことができるかもしれない。たとえば店舗で高価なものをKlarnaカードで購入した場合、3カ月間に分けて支払いをするという通知を受け取ることもできるだろう。

Klarnaはまた、貯蓄目標や貯蓄口座の追加も計画している。同スタートアップはすでにスウェーデンで貯金口座をローンチし、柔軟性のある定期貯金口座を提供している。

Klarnaは独自のコアバンキングシステムを構築しており、銀行口座の管理をBanking-as-a-Service(サービスとしての銀行)のパートナーに依存していない。ドイツではN26やVivid Moneyなどの、他のデジタル銀行と競合することになるだろう。

カテゴリー:フィンテック
タグ:ドイツKlarna

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

独Berlin Brands GroupがD2CとAmazon加盟店を約318億円で買収

D2C(消費者直接取引)事業の興隆が直近10年の大きなeコマーストレンドの1つであるなら、D2Cプレイヤーを統合するための巨大な資金を調達するスタートアップの成長は間違いなく2020年のテーマだった。

その最新の動きとして、Berlin Brands Group(ベルリンブランドグループ、BBG)というドイツのスタートアップは中小企業の買収・統合に2億5000万ユーロ(約318億円)を投資する計画であることを発表した。

統合レースにおける競合相手となりそうな企業の多くが、流通とロジスティックでAmazon(アマゾン)のフルフィルメント(配送センター)に頼っているAmazon Marketplaceに主にフォーカスしている一方で、創業者でCEOのPeter Chaljawski(ピーター・チャルジャウスキー)氏は欧州の既存のターゲットマーケットにおいては少し状況は異なる、と話す。

「M&Aマーケットでの米国と欧州の大きな違いの1つは、欧州の方がより細分化されていることです」と同氏は述べた。「米国ではD2CセラーはAmazonをかなり利用しています。欧州では代替の選択肢が多くあります。フランスような一部のマーケットでは消費者はAmazonに対して好意的ですらありません」。もちろんこれは消費者に直接販売し、またすべてのマーケットプレイスを迂回することに加わる要素であり、BBGにとって大きなフォーカスであり続けるエリアだと同氏は述べた。BBGはプロダクトを販売するのに計100のチャンネルを使っている。

BBGはほぼ自力で巨大で儲けの多い事業を構築したという点で、消費者にとって典型的なeコマーススタートアップではない。ベルリンで大きなeコマースプレイヤーであるにもかかわらず、BBGはベルリンで創業された有名なeコマース事業インキュベーターであるRocket Internet(ロケットインターネット)とつながりはない。

買収に割り当てた2億5000万ユーロはBBGの懐から拠出される。TechCrunchが把握しているところでは、同社が成長を続けるために自社外でかなりの額の資金を調達するのに先駆けて行う。BBGは過去に資金を調達しているが(PitchBookによると額は非公開)、今回のものはクローズすれば初の大きなエクイティラウンドになる。

BBGは収益を上げている自前のD2C事業をゼロから構築した。2005年に創業された当初はオーディオ機器を専門とし(チャルジャウスキー氏は過去にDJになるという野望を抱いていた)、いまでは14ブランドの2500ものアイテムを扱っている。順調に成長を続け、28のマーケットで販売している。

BBGがとってきたコングロマリットモデルはさまざまな部門を網羅している。その多くは電化製品(オーディオ機器やフィットネス機器、家電を含む)で、auna、Klarstein、Capital Sportsといったさまざまなブランドの下で販売されている。これまでに1000万点超のプロダクトを販売し、収益を上げていて、2020年の売上高は3億ユーロ(約380億円)だったと同社は話す。

新たな買収ではガーデニング、家庭リビング用品、スポーツ、電化製品、家電のブランドやプロダクトに注力し、50万〜3000万ユーロ(約6300万〜38億円)の売上を目指す。

BBGはほぼオーガニック成長してきた一方で、2020年12月に家庭用品ブランドSleepwiseを買収し、非オーガニックの事業拡大に初めて足を踏み入れた。チャルジャウスキー氏いわく、Sleepwiseは「とてもすてきな毛布」を作っているとのことだ。

すてきな毛布の快適さは、助けになるかもしれない。これまでの成功にかかわらず、多くの難題がBBGを待ち受けている。

まずは競争だ。BBGの戦略変更と買収計画は、この分野における統合が始まろうとしている最中でのものだ。Amazonのようなマーケットプレイスで成功を収めたものの拡大に向けはっきりとした道筋を描けていない小さなブランドを統合するのにひと握りの資金を用意している。

競合相手にはThrasio(最近企業を買収するのに借金で5億ドル=約524億円を調達した)、SellerXHeydayHeroesPerchなどがある。

ファイナンシャルタイムズ紙が2020年12月に報じた記事では、これら企業がこのモデルに基づいて新しいオンライン消費者帝国を築くのに合計で少なくとも10億ドル(約1047億円)を調達したと推測している。

これら企業のビジョンは実に明快だ。次のUnilever、あるいはP&G、Sony(ソニー)を作り出したいのだ。そして実現するために製造やロジスティック、規模の経済、セールス分析、マーケティングにおける新たなイノベーションに新経済モデルやテクノロジーを活用している。

別の難題は、これまで意図的にそしてオーガニックな道をとってきた同社が多くの新ブランド統合でいかに成功し、効率的に統合を行うかだ。そうしたブランドにはカルチャーがあり、事業提携の関係もともなう。

そして3つめの難題は、高品質ブランドのソーシングだ。以前TechCrunchが指摘したように、Amazonを例にとると、そこでは膨大な数のどうしようもないようなものが売られている。卸売サイトを買い取ってAmazonで再販するような人たちの産業も含まれる。これが、多くの販売業者が特定の部門で似たようなプロダクトを販売する1つの理由だ。こうしたマーケットプレイスのセラーは、検索結果の長いリストのトップに自分たちのプロダクトがくるようにSEOやたくさんのレビューのようなものを活用している。消費者にとっては実際にいい買い物ではなくてもだ。つまり、手に入れたいホットな企業を探している企業にとって誤解を招くようなシグナルとなることを意味する。

マーケットプレイスにいかに力を加えるか、そしてどれくらいのブランドやそれらのオーナーがこうしたものを自前で構築するのか。その間のバランスは今後数年興味深いものになりそうだ。Amazonやそれに近い企業は成長を続け、かなり効率的になった。しかし、これはそうした企業がサードパーティにとって使い勝手がいいというより、あまりにもパワフルすぎることをときに意味する。

一方で我々は別の永続的なテーマを目の当たりにしている。スタートアップと大手企業の存在が小規模のプレイヤーがゲームに参戦し続けられるようサポートするためにツールを作り続けているということだ。ここにはShopifyのような大手企業だけでなくGoSiteShogunXentralといった新手のプレイヤーも含まれる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:D2CBerlin Brands Groupドイツeコマース

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi)

ドイツの低手数料・低リスク株取引アプリTrade Republicがフランスに進出

ドイツのスタートアップTrade Republicは2021年1月第5週から、フランスでアプリとサービスを展開する。Trade Republicはこれまでドイツとオーストリアでしか利用できず、これは大きな拡大の動きとなる。

Trade Republicのサービスでは低価格かつ透明性の高い手数料で、スマートフォンから株式やETF(上場投資信託)を売買できる。同社はあなたが100ユーロ(約1万3000円)の株式を購入した場合、あるいは1万ユーロ(約127万1000円)の貯蓄をETFに割り当てた場合でも、注文ごとに1ユーロ(約127円)しか請求しない。さらにTrade Republicは、この1ユーロに手数料を追加しないと約束している。

Trade Republicではヨーロッパの株式だけでなく、アジアや米国企業の株式も購入できる。全体で7500の銘柄とETFがアプリから購入可能だ。サービスは比較的新しいもので、Trade Republicは数年間インフラの整備に取り組んできた。

Trade Republicは舞台裏で、ドイツ当局が管理する同国の銀行型サービスプラットフォームであるSolarisbankと提携している。つまり、破産した場合に10万ユーロ(約1270万1000円) までカバーされることを意味する。ユーザーが注文を出すと、Trade RepublicはLS ExchangeおよびHSBC Transaction Servicesと連携してこれらの株式の処理を行う。

Trade Republicは、Robinhoodとは異なるポジションにいたいと考えている。同社は現在、取引には2つの選択肢があると考えている。

銀行や現地のブローカーから取引口座を開設することはできるが、多額の手数料がかかる。またはモバイルファーストのブローカーを使うこともできるが、彼らはリスクの高い資産とデイトレーディングを押し付けるだろう。そして先のGameStop騒動からわかるように、2番目の選択肢は反発を招く可能性がある。

Trade Republicは低手数料かつ低リスクという、第3の方法を推進している。たとえば同社は、貯蓄プランを推進したいと考えている。このプランでは段階的に株式を購入することができるため、ユーザーを変動から守れるはずだ。

同社は2020年、6200万ユーロ(約78億8000万円)の資金調達を行った。シリーズBラウンドはAccelとFounders Fundが共同で主導した。

フランスのユーザーは、税金を申告する際に外国の銀行口座を持っていることを申告する必要があることを忘れてはいけない。また外国のブローカーは、必ずしも税務当局に情報を送信して納税申告書に記入する必要はない。それでもよければ、Trade Republicの方が銀行よりも安い可能性が高い。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Trade Republicドイツフランス

画像クレジット:Trade Republic

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

急成長・高インパクト企業に資金を提供するベルリンのRemagineがシードで約25億円調達

「インパクト」のひねりを加えたバンキングサービスを急成長企業に提供する資金調達プラットフォームRemagineは、シードラウンドで2000万ユーロ(2400万ドル、約25億円)を調達した。ベルリンを拠点とするこのスタートアップはステルスモードで活動してきたが、以前のブランド名「Get Conscious Growth」の下、すでに20社のクライアントを有する。同社の投資家には、元Google PaymentのグローバルヘッドであるJonathan Weiner(ジョナサン・ウェイナー)氏や、元VenmoのCOOであるMichael Vaughn(マイケル・ヴォーン)氏が含まれている。Remagineのリード投資家は不明だが、Techcrunchはそれが主にデットファイナンスで構成されていると理解している。

このフィンテックは、急成長企業や社会的インパクトに導かれる企業に収益ベースの資金調達を提供することに特化している。これは、エクイティやデット(融資)商品よりも創業者にとってフレンドリーな傾向があり、企業のコントロールを保持しながら迅速に資金を確保することができる。Remagineは今後数ヶ月のうちにドイツを拠点にビジネスアカウントを展開し、ヨーロッパ全域への拡大を計画している。

ここしばらくの間、フィンテックの流行は「ネオ」や「チャレンジャー」バンクだったが、新たなタイプ、金融プラットフォームが現れ始めている。これらはバンキングサービスを提供するだけでなく、新規事業を対象とした追加機能も提供している。もう一つの例はニューヨークのRhoで、最近1500万ドル(約15億5000万円)を調達した

Remagineのいう「ひねり」は、「持続可能でインパクトの強い」ビジネスモデルのもと、「ポジティブな社会的・環境的影響」をもたらす可能性のある企業に狙いを定めている点だ。
Remagine自身も、インパクト主導のイニシアチブにコミットしていると言い、同社の利益の10%を(社会的・環境的)インパクトのある活動に寄付する予定だという。

同社はJulia M. Profeta Johansson(ユリア・M・プロフェタ・ヨハンソン)氏とSebastian Dienst(セバスチャン・ディエンスト)氏によって設立された。共同CEOのディエンスト氏は声明の中でこう述べている。「私たちは、資本とテクノロジーが善のための力になり得ると信じています。ともに使うことにより、未来を形作る強力なツールとなります。今の課題は、人々と地球を利益と協調させる方法で未来を形成することです」。また、「私たちは、大小を問わずすべてのビジネスが、より持続可能でインパクトのあるものになり得ると信じています。Remagineは、その実現を支援するために設立されました」とも。

ヨハンソン氏は次のように付け加えた。「すでに多くの企業に資金を提供してきましたが、今回の資金調達により、より多くのスタートアップを支援することが可能になります。この度の口座とカードの発売により、チームを成長させ、製品にさらに投資し、お金とビジネスが善のための力となる世界の創造に貢献できることを楽しみにしています」。

ウェイナー氏は次のように述べている。「持続可能性とインパクトは、過去10年間で企業にとってますます重要性を増しており、今日では、CEOの5分の4近くが事業戦略を社会的・環境的な目標と協調させることを計画しているという調査結果が出ています。Remagineのミッションとビジネスモデルは、創業者が収益とインパクトの両方を考慮することを可能にします。これがファイナンシングの未来であり、その一翼を担えることを嬉しく思います」。

Remagineの製品には、チームカード(経費管理を改善するための、チームメンバーのための無制限の別々のカード)、マルチIBAN、アナリティクス、ゼロマイナス金利、無料口座などが含まれる。競合他社にはFinomやPentaなどがあるが、これらはスタートアップよりも中小企業をターゲットにしている傾向がある。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:ドイツ 資金調達

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(翻訳:Nakazato)

小型・安価な独自衛星打ち上げロケットを開発するドイツのIsar Aerospaceが95億円調達

航空宇宙産業はスタートアップの世界からの爆発的な活動の広がりを見てきたが、そこでは聡明なエンジニアたちが、大企業の下で働くよりも、ますます野心的になるベンチャー投資家から資金を調達して自分でスタートアップを起業し、壮大な計画を現実的なビジネスに変換する道を選んでいる。そんな中、最も新しい展開として、ミュンヘンのスタートアップが、ヨーロッパの宇宙技術業界で最高額の投資ラウンドによる資金調達を成功させた。

極めて小型で、現在市場で活躍している大型ロケットよりも安く超小型衛星の打ち上げができるロケットを開発するIsar Aerospace(イザー・エアロスペース)は、7500万ユーロ(約94億7000万円)を調達した。同社は、この資金を使って研究開発と建造を継続し、その過程で、2022年初頭に最初の商業打ち上げを実施する計画だ。

際立って画期的な設計のロケットを提供するだけではないが、打ち上げに成功すれば、Isarはヨーロッパの宇宙関連企業として初めて、世界の衛星市場で戦える確実な衛星打ち上げロケットのメーカーとなる。

今回のラウンドは、Lakestarrが主導するシーリズBで、以前からの支援者であるEarlybirdとVsquared Venturesも大きく貢献していると同社は話している。Earlybirdと戦略的支援者であるAirbus Venturesは、前回、2019年12月にクローズした1700万ドル(約17億7000万円)のラウンド(Isar Aerospaceリリース)を主導している。

このスタートアップは、名門ミュンヘン工科大学(TUM)からスピンアウトして生まれた。共同創設者のDaniel Metzler(ダニエル・メッツラー)氏、Josef Fleischmann(ヨーゼフ・フライシュマン)氏、Markus Brandl(マーカス・ブランドル)氏は、みなTUMで工学を学んだ。中でもフライシュマン氏には、Isar創設前にちょっと自慢できる出来事があった。彼は、米国で行われたHyperloop(ハイパーループ)のコンペにTUMチーム(Isar Aerospaceリリース)の一員として参加した。その功績により、米国の有名ベンチャー企業から非常に興味深い仕事に誘われたのだが、彼はドイツに帰り、自身の会社を立ち上げることを選んだ。それがIsar Aerospaceだ。

メッツラー氏はインタビューの中で、データソースの増強や刷新のために衛星技術を利用したい、または利用する必要に迫られた企業の累積需要が非常に大きいと説明していた。政府や通信事業者にそうした需要があることは簡単に想像がつくが、ナビゲーション、GPS、地図製作の専門家、農業関連産業、メディアおよびインターネット企業、その他、宇宙でしか実現し得ない高速かつ遠距離のデータアクセスを必要とする団体などもそこに含まれる。

問題は、衛星を軌道に乗せる現行技術は、費用も時間もかかりすぎることだ。

ロケットは大型で、打ち上げ頻度も低い。その積載スペースを確保するためには、長い準備期間と大量の投資が必要になる。運良くそれが叶っても、技術的問題や天候によって突然中止になることもある。

こうした問題は、SpaceX(スペースX)のような民間企業の成長でなんとか対処しようとしてきた。ロケットを量産し、広い場所にたくさんの発射台を備えて打ち上げ回数を増すことで、需要に応えるという方法だ。

だが、Isarのアプローチはまったく違う。新しい方式の打ち上げ台に加え、小型で安価な新型ロケットの建造だ。こうすることで、多くの団体がより安く、より簡単に柔軟に衛星の打ち上げを予約できるようになるという考えだ。目標は1000kg以上のペイロードを打ち上げることだ。

Isarのシステムに使用されている革新的な技術の中には、現在のロケットで通常使われているものとは異なる、軽い燃料を使う推進システムがあるとメッツラー氏は話す。また、ロケットの建造費用を低く抑える、新しいシンプルな設計アプローチの採用もその1つだ。

メッツラー氏によると、現在の衛星打ち上げ料金の相場は1kgあたり3万ドルから4万ドル(約310万円から420万円)だという。「私たちはさら斬り込んで、1kgあたり1万ドル(約104万円)を目指します」

この提案は「顧客からの問い合わせ」がすでに5億ドル(約520億円)に達しているほど魅力的なものだとIsarはいう。つまりそれは、同社の打ち上げ事業が開始された場合の売上げとなるであろう、緩い予約のようなものだ。

同社は、衛星打ち上げが需要対応の明らかなボトルネックだと考えている。

「週に1度宇宙に行くことは、3年前から準備してきた打ち上げ計画とはまったくの別物です」と彼は、現状と比較したIsarが想定すべき未来について語った。また彼は、Isarでは持続可能性を念頭にロケットを作っているとも話していた。地上で回収して再利用できない部分が1つでもあるなら、大気圏で完全に燃え尽きて、一切の残骸が出ないようにロケットを設計するべきだと考えている。

長期的には、Isarは宇宙探査や別の分野の開発にも乗り出す可能性がある。そうした意欲的なロードマップ(この場合はスカイマップか?)には、投資家も喜んで支援するだろう。

「私たちは、ヨーロッパの民間宇宙開発を目指すIsar Aerospaceを、最大手機関投資会社として支援できることを誇りに思います。地球低軌道の超小型衛星は、今後数十年間、計り知れないイノベーションとビジネスの可能性をもたらす主要な基盤技術となります。そのため、次なる技術革新を傍観者として眺めていたくなければ、ヨーロッパに競争力のある宇宙産業を持たなければならないのです」と、Earlybirdの共同創設者Hendrik Brandis(ヘンドリック・ブランディス)氏はいう。「特にこれだけの規模のラウンドを完全にドイツの資金だけで支援できたことを、私は誇りに思います。これは、近年この国でスタートアップとベンチャー投資産業が確実に育っている明白な証です」。

カテゴリー:宇宙
タグ:Isar Aerospaceロケット人工衛星ドイツ資金調達

画像クレジット:Isar Aerospace

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(翻訳:金井哲夫)

ドイツの大手エネルギー企業E.ONがスマートグリッドテック向けベンチャーファンドを組成

商業用、住宅用、産業用の顧客5000万超を抱えるドイツのエネルギー企業E.ON(エーオン)は、「資産を持たない」テックスタートアップに投資するための2億5000万ユーロ(約310億円)の投資ファンドFuture Energy Venturesを新たに組成した。

公共サービスはエネルギー発生ソースの脱炭素化に移行していて、分散がかなり進んでいるソースから得られる電力を調整、統合、管理できるさまざまなテック企業にアピールする必要があることを認識しつつある。住宅や事業所に送る電気を発電するために大型の石炭プラントや天然ガスプラントに頼っていた、世紀の価値があるエネルギーインフラからの移行だ。E.ON幹部によると、アーリーステージの企業によって開発されているさまざまな新しいテクノロジーの導入を必要とする変化だ。

E.ONで長らく幹部を務めているInes Bergmann-Nolting(イネス・バーグマン-ノルティンク)氏とJan Lozek(ジャン・ローゼック)氏の2人が新ファンドをリードする。両氏はすでにE.ONの資金をアーリーステージ企業に投資している。実際、Future Energy VenturesはBidgely、Holobuilder、Intertrust、Thermondo、T-Rexの5社をポートフォリオに抱えて組成された。

企業に直接投資するのではなくベンチャーファンドを組成するという動きは、ポートフォリオにある企業によって開発されているテクノロジーを商業展開できる投資パートナー間でコンソーシアムを結成することが可能であることを意味する、とローゼック氏は述べた。

「世界の最も優れている企業に投資するために、我々はより多くの資本やパートナーを必要としています。だからこそ、他のパートナーを取り込める構造にしたのです」。

スタートアップが必要とするネットワークと、ベンチャーキャピタルの従来モデルの間の断絶をE.ONは目の当たりにしている、とローゼック氏は話した。E.ONのような大手産業パートナーは投資をするだけでなく、あらゆる商業・産業顧客を紹介したり、新たなテクノロジーを実用化するのにスタートアップをサポートする当局へのアクセスを提供できる。

「企業は成功するのに資金以上のものを必要としています」とFuture Energy Venturesでマネージングパートナーを務めるバーグマン-ノルティンク氏は声明で述べた。「コラボレーション、メンタリング、そして大規模展開するのを手伝ってくれる他の組織と提携する機会を必要としているのです。ダイナミックでイノベーティブなスタートアップ、E.ON、関係会社、増えつつあるパートナーが協業することで積極的に価値を生み出すこと、そして互いの財政や戦略的メリットに大きな大きな影響を与えることを模索しています。可能性のあるユースケースかどうかが投資の決め手となり、E.ONやポートフォリオ企業で組織的に展開するためのエコシステムの中で、試験事業やユースケースの展開をサポートすることを目的としています」。

ローゼック氏によると、Future Energy Venturesがディールをリードし、支援する企業の持ち分最大10%を取得する。同社は欧州、米国(主にシリコンバレー)、イスラエルにフォーカスし、3つの分野のテクノロジーに取り組んでいる資産を持たない企業を支援することにしている。

3つの分野について、ローゼック氏は「未来のエネルギー」あるいは既存のエネルギーインフラを統合する相互連結システム、エネルギーインフラを都市環境に統合するクラウドシティ、新たな機械学習モデルや増大しつつあるデジタル資産を保護するための新たなサイバーセキュリティテクノロジーといった最先端の技術、と定義している。

カテゴリー:Enviro Tech
タグ:E.ON、ドイツ、Future Energy Ventures

画像クレジット: piranka / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

生産性と睡眠を向上させるパーソナルな「音環境」を生み出すEndelが5.3億円調達

ベルリンに拠点を置くEndel(エンデル)の売り文句は単刀直入だと、共同創設者でCEOのOleg Stavitsky(オレグ・スタビッツキー)氏は言う。

「私はEndelを説明するとき、いつもこう言います。これは集中とリラックスと睡眠を助けるテクノロジーですと」と。「もちろん、実際にやっていることは、もうちょっと複雑ですが」と同氏。

このスタートアップは米国時間9月23日、500万ドル(約5億3000万円)のシリーズA投資を獲得したことを発表した。主導したのはTrue VenturesKevin Rose(ケビン・ローズ)氏。そこに、SleepScore Ventures、Techstars Ventures(EndelはTechstars Music Acceleratorに参加していた)、Impulse Ventures、Plus 8 Equity Partners、Waverley Capital、Amazon Alexa Fund、Target Global、その他さまざまな投資家が参加している。

同社のメンバーは子供向けアプリの会社Bubl(バブル)でともに働いていた仲間だとスタビッツキー氏は教えてくれた。Bublを売却した後、彼らはサウンド関連の仕事を探し始めたのだが、やがて「睡眠や集中力、さらには成長などを助けるようデザインされた、マインドフルネスアプリのプレイリストが伸びていることを知った」とスタビッツキー氏は言う。

「仕事を始めた当初は、環境音楽を生成する機械を作ろうと考えていました」と彼は振り返る。しかしリサーチを進めると「パーソナルなものでないとダメだ。ひとつの曲や、ひとつのプレイリストや、ひとつの音風景では実現しない。それは、自分だけの宇宙に強く依存するからだ」と気付いたそうだ。

そしてそれが、Endelの製品となった。彼らのテクノロジーであるEndel Pacific(エンデル・パシフィック)が作り出す「音環境」は、集中、睡眠、リラックスをしたいとき、または外に出かけるときであっても、それぞれの人に応じてデザインされる。この環境は、時刻や天気、またはユーザーの心拍数や動作などによって、部分的に変化する。

画像クレジット:Endel

ローズ氏は、「リアルタイムのフィードバックを利用して、肉体を非常にポジティブな方向にコントロールし変化させる、閉ループシステムというアイデア」に興奮を覚えたという。そしてEndelは「科学に裏打ちされている」と強調する。

Endelのアプローチは、いくつかの科学分野から引き出されている」とスタビッツキー氏。概日リズム(毎日の睡眠周期の中の今どこにいるかを把握)、ペンタトニック音階(心地よいサウンド)、サウンドマスキング(気が散る音を小さくする)に関する研究だ。

このアプローチを支える科学の検証を強化するために同社はパートナー企業と協力しているが、すでにxフローの概念を提唱し関連本も執筆している心理学者であるMihaly Csikszentmihalyi(ミハイ・チクセントミハイ)氏が開発した経験サンプリング法を用いて、その音環境が集中力を6.3倍高め、不安を3.6倍鎮めることを確認できているという。

私も試してみた。昨日仕事中にEndelがミキシングした心地よい音楽とホワイトノイズを聞いた。もちろん、この原稿を書きながらも聞いている。活力や集中力が即座に、また劇的に高まった感じがしたとは言えない。しかし、時が経ち、いつもより長い時間、気が散ったり疲れたりせずに仕事が続けられていたことに気がついた。

EndelのCEOを務めるオレグ・スタビッツキー氏

Endelは、iOS、Apple Watch、macOS、Amazon Alexa、Android用にアプリをリリースしている。ダウンロードは200万回近くに達する。サブスクリプションの料金は1年で49.99ドル(約5300円)だ。

スタビッツキー氏はまた、例えば日本の全日空と協力してこの技術を飛行機に応用するといった大規模な事業にも着手していると話している。さらに自動車メーカーやスマートスピーカーのメーカーとの提携も考えているという。

さらに、歌やアルバムをアルゴリズムで制作するために、Warner Music(ワーナー・ミュージック)との契約(The Verge記事)に署名した。スタビッツキー氏は、ミュージシャンとの協力も望んでいる。彼らが新しいアルバムをリリースするとき、従来型のアルバムと同時に「仕事をしたり眠りたいときの音風景として使える機能性と適用性のあるアルバム」も同時に出せるようにとの考えだ。

「大きな展望としては、最終的にはサウンドを超えることです」と彼は言う。その手始めに、今年末からApple TV用アプリとして動画も取り入れる。

Endelは、現在までに合計710万ドル(約7億5000万円)を調達している。

関連記事:Kevin Rose on health apps, crypto and how founders get through this time with their sanity intact(未訳記事)

画像クレジット:Jasper James  / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

AI搭載のフィットネスアプリ開発するドイツ拠点のFreeleticsが約26億円を調達、身体と精神の健康をAIがコーチング

AIを搭載したフィットネスコーチングアプリを開発するFreeletics(フリーレティックス)が、シリーズBの資金調達を2500万ドル(約26億円)で締めくくった。このラウンドをリードしたのは、米国を拠点とするJAZZ Venture PartnersとCauseway Media Partnersで、石油・ガス事業などを手掛けるKKCGグループの支援も受けている。

今回の調達は、2018年後半に実施されたシリーズAの4500万ドル(約47億円)に続くもの(未訳記事)となる。調達した資金は、新技術の開発、グローバル展開のさらなる拡大、新事業の垂直展開のために投下される。

2013年にドイツのミュンヘンで設立され、ヨーロッパでサービスが定着しているFreeleticsは、シリーズA以降、米国上陸を着実に進めてきた。資金調達前は、見事なまでにブートストラップ(資金調達)で運営していたほどだ。同社のミッションは「精神的にも肉体的にも最高の自分になるために人々に挑戦し、インスピレーションを与えること」。

Freeleticsアプリは、AIを使ったフィットネスとマインドセットコーチングを提供しており、160カ国以上で4800万人のユーザーが使っている。ヨーロッパでは、60万人以上の有料会員数を獲得しており、域内ナンバーワンのフィットネスアプリであると主張している。「ポケットの中のパーソナルトレーナー」は、いつでもどこでも個人に合わせたトレーニングプランやワークアウトでトレーニングを支援してくれるのが特徴だ。そのアルゴリズムは、アプリの何百万人ものユーザーと、そのユーザーが提供する個別のフィードバックから学習し、異なるコンテキストで異なるユーザーに合わせて独自に設計された「スマート」なトレーニング・ジャーニー(トレーニングの旅)の開発が目標になっている。

JAZZ Venture PartnersのマネージングパートナーであるJohn Spinale(ジョン・スピナール)氏は「米国では比較的新しいプレイヤーですが、Freeleticsはホームフィットネスの世界的リーダーであり、米国市場における新型コロナウイルスの感染蔓延後の未来に向けてフィットネス業界をリードし続けるための完璧なポジションにあると確信しています」と述べている。「非パーソナライズされたフィットネスストリーミング動画があふれる中、Freeleticsは、精神的なものであれ肉体的なものであれ、パフォーマンスとウェルビーイングのあらゆる側面に対応する洗練され、適応性の高いパーソナルコーチを提供しています。これは、まだこれからの時代に何が起こるかを示す有望な兆候です」と続けた。

FreeleticsのCEOであるDaniel Sobhani(ダニエル・ソバニ)氏は、「Freeleticsは誰にでも、自分の条件で目標を達成するための適切な計画と達成方法を提供し、最終的には長期的な行動変容につなげて、一生そのライフスタイルをリードし続けることができるようにしたいと考えています」と説明する。「この30年間、フィットネス業界が伝えてきたことすべてが人々を成功に導いてきたわけではありません。そして、フィットネスの目標は単に体重を減らすことだけではありません。ゴールがどのようなものであれ、私たちは最も効率的で、持続可能で、楽しい方法で人々をそこに導きたいと考えています」と続けた。

ソバニ氏によると、FreeleticsのAIは「超パーソナライズされた」フィットネスコーチングを提供し、マインドセットトレーニングと組み合わせて、より包括的な体験を提供しているという。「AIを搭載したコーチは、ユーザー一人ひとりに最適なワークアウトをキュレーションするので、常に効率的かつ効果的で、目標に向かって取り組みやすくなります」とのこと。

「私たちがパーソナライゼーションに力を入れているのは、健康とフィットネスに関しては、最終的にはワンサイズフィットのソリューションは存在しないからです。私たちはこの技術と製品への取り組みを組み合わせることで、時間、スペース、機器、知識、お金、自信など、定期的にワークアウトする際に人々が直面する日常的なハードルを減らすことができます」と同氏。

同社が狙っているのは「いつ、どのように、どこで、どのようにワークアウトするか」という点で、自分の好みの条件でワークアウトできるようにするというものだ。トレーニングプランの各日について、AIコーチは350万種類の選択肢の中から内容を選ぶ。例えば、都会の小さなアパートで隣人の邪魔にならないような、器具を使わない静かなワークアウトプランがいいかもしれない。あるいは、15分で済むものがいいかもしれない。あるいは、ウェイトを持ち上げたい場合もあるだろう。Freeleticsは、これらのさまざまな基準に基づいて、最適なフィットネスを提案できるのが強みだ。

「最後の仕上げとして、このパーソナライズされたトレーニング体験を、精神的要素であるオーディオコーチングと組み合わせています。オーディオコーチングは、トレーニングを実施して、モチベーションを高め、経験全体にマインドフルネスをもたらすことを目的としています」とソバニ氏。「このマインドセットのコーチングは、ユーザーが健康的な習慣を身につけ、トレニーングの旅をより深く理解するのを助けることを目的に、ライフスタイルを生涯にわたって改善するための持続可能な基盤を構築します」と続けた。

一方、Freeleticsは古典的なフリーミアムモデルも運営している。アプリのダウンロードと使用はある程度無料で、より個人的なコーチングを受ける際に購読料を支払う必要がある。このモデルでは、トレーニング、栄養学、マインドセットコーチングを組み合わせたさまざまなオプションを、1カ月から12カ月までの購読期間で提供している。

「ユーザーは週に1杯のコーヒーよりも安い価格でデジタルパーソナルコーチからの指導を受けられるので、ジムでのパーソナルトレーナーの費用と比較すると魅力的なオプションです。さらにこのアプリは、ジムの会員権や機器など、ワークアウトに関連するその他の金銭的なハードルを取り除くためにも機能します。昨年1年間で有料会員数を2倍の60万人以上に増やすことができましたが、これは類似の会社を見れば、業界基準になると言えるでしょう」と締めくくった。

画像クレジット: Freeletics

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ドイツの宇宙機関が地球上で使用するための都市型電動自動運転モビリティのプロトタイプを公開

ドイツ航空宇宙センター(DLR)は、複数の用途を想定した都市型モビリティビークル「U-Shift」のプロトタイプを発表した。U-Shiftは完全電気自動車で、自動運転を前提に設計されており、オンデマンドのシャトル、バス、小包配送のための移動配送センター、さらには移動販売所など、さまざまな用途に使用できるとのこと。

画像をみるとわかるように、U-SHIFTのベースとなる部分は、車輪、駆動システム、バッテリーを含む非常にシンプルなものとなっている。DLRではトップコンポーネントをモジュール化して、用途に応じて交換できるようにすることを想定しているが、このほかにも風通しのいい全面ガラス張りのバスや、素のカーゴカプセルなど、コンセプト画像にはさまざまなアドオンユニットが描かれている。

このようにモジュール化されていることで、その時々の状況に応じて比較的簡単にモードを切り替えることができ、都市部の交通機関の多様なニーズに対応することができる。新型コロナウイルスの感染蔓延により、個人の交通手段があまり必要とされていないロックダウン中に、このようなクルマがオンデマンドの荷物や食料品の配達にどのように利用されるかを見ることができるだろう。

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このプロトタイプは、機能的だが実は自動運転ではなく遠隔操作になっている。最高速度もそれほど高くはないが、必要に応じて24時間の連続運転が可能だ。今回の試作機の主な目的は、貨物・乗員用カプセルを交換するシステムのテストを行い、それを供給する企業との生産化に向けた道筋を示すことと、ドアの開き方やアクセスのしやすさなどのユーザーインターフェースを検討することだ。

DLRは、このプロトタイプのテストで得られたすべての情報を使って、2024年までに時速60km(時速40マイル弱)まで到達できる第2の完全自動化バージョンの開発に役立てようと計画している。次のプロトタイプは潜在的な製品版にはるかに近いものになるはずで、ビジネスチャンスと商業化にも焦点が当てられることになるだろう。

関連記事:ドイツ航空宇宙センターが3Dプリントのリソースを医療機器生産に転換

カテゴリー:モビリティ

タグ:ドイツ ドイツ航空宇宙センター U-Shift

画像クレジット:DLR under a CC BY 3.0 license.

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(翻訳:TechCrunch Japan)

パスタ調理ロボを開発するドイツ拠点のDaVinci Kitchen、モジュール式でサラダやアジア料理の調理も可能に

ロボット産業は、新型コロナウイルスの感染蔓延の不確実性の中で大きな瞬間を迎えている。確かにこのカテゴリーは数年前から投資の注目ターゲットになっているが、労働問題と伝染に関する懸念により、多くの業種が業務の自動化をじっくりと検討するようになっている。

中でも食事の準備は主要なターゲットになる。これは人間にとって必要不可欠なサービスである一方で、人間の手が食品に直接触れるサービスでもある。ドイツのライプツィヒに拠点を置くDaVinci Kitchen(ダヴィンチ・キッチン)は、イタリアをテーマにしたパスタ料理を調理するモジュール式ロボットキオスクの発売で、この食事の準備をめぐる問題に取り組もうとしている。

2018年、ドイツ拠点のインキュベーターである2b AHEAD Venturesは、食品調理業界の労働力不足をめぐる懸念に対処するため、後のDaVinciになるチームを集めた。

DaVinci KitchenでCTOを務めるIbrahim Elfaramawy(イブラヒム・エルファラマウィ)氏はDisrupt Battlefieldに参加する前の電話で「ケータリング業界は巨大だ」とTechCrunchに語った。「誰もが食事をしなければなりません。私たちのクライアントは、有能な人材を見つけるのに苦労しているのを目の当たりにしています。仕事の環境は厳しくなっているが、残念ながら給料は上がっていません。多くのレストランオーナーは、能力と品質を高めるためのソリューションを探しています。ロボットは24時間365日働くことができます。これは私たちが見ているチャンスであり、多くのクライアントはそれに興奮しています」と続けた。

ロボットの最初の処理内容はパスタに焦点を当てる。エルファラマウィ氏によると、この機械はパスタを作成・調理・提供するまでのすべてを約6分で行うという。2つの料理を同時に調理することもでき、約20~30秒で食器を洗うことも可能だ。

このシステムはモジュール式なので、サラダを含むほかの食材を準備したり、パスタのテーマに合わせてイタリアンをアジア料理に置き換えることもできる。

これまでのところ、DaVinci Kitchenはシードラウンドで約78万ドル(約8200万円)を調達している。出資元は、2b AHEADとライネ(ノルトライン=ヴェストファーレン州ミュンスター行政管区に属するシュタインフルト郡の市)を拠点とする冷凍食品会社のApetito(アペティオ)。同社はまた、170万ドル(約1億8000万円)を目標としたシリーズAラウンドの資金調達中だ。同社の最初のキオスクは、新型コロナウイルスの感染蔓延が同社のサプライチェーンに与える影響に応じて、2020年後半または2021年前半に納入される予定となっている。初期納入には10台が含まれる見込みだ。

同社は、レストランやフードコートをターゲットにしており、ロボットは購入またはリースすることができる。

画像クレジット:DaVinci Kitchen

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フォルクスワーゲンが全電動SUV「ID.4」の生産をドイツ・ツヴィッカウ工場で開始

Volkswagen(フォルクスワーゲン)は、米国向けに出荷される初の新IDシリーズ車となる全電動SUV「ID.4」の生産を開始した。

2020年9月に予定されているワールドプレミアに先駆けてドイツのツヴィッカウ工場で8月20日に始まった。同社の全電動IDブランドとして初のモデルで、2025年までに電気自動車を年間100万台販売するという野心的な計画の第1弾となったID.3に続くのがID.4だ。ID.3の生産バージョンは2019年9月に発表され、出荷は2020年9月に始まる。

ID.4はフォルクスワーゲンのフレキシブルなモジュラーシステムであるMEBプラットフォームを採用する2つめの電動自動車でもある。MEBプラットフォームは電気自動車生産のための共通パーツの母体であり、同社は生産が効率的に、そして費用対効果が高くなると説明している。欧州でのみの販売となるハッチバックのID.3がMEBプラットフォームを活用した最初の車だ。

ID.3と異なり、ID.4は中国、欧州、米国で生産・販売される。生産はツヴィッカウ工場で始まっているが、同工場を電気自動車専用に変えるのにフォルクスワーゲンは12億ユーロ(約1497億円)を投資した。2021年までにツヴィッカウ工場は年30万台の電気自動車を生産するようになる。

VW Groupのeモビリティ担当役員であるThomas Ulbrich(トーマス・ウルブリッヒ)氏によると、中国にある2つの工場も2020年にID.4の生産を開始する。テネシー州チャタヌーガの工場でのID.4生産は2022年に始まる予定だ。

関連記事:フォルクスワーゲンが全電動ID.3ハッチバックを6月に販売開始

カテゴリー:モビリティ

タグ:VW 電気自動車 ドイツ

画像クレジット:Volkswagen

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(翻訳:Mizoguchi