どの暗号資産でも店舗での支払いで使えるようにする独SALAMANTEX、店側も安心して導入可能

日々の支払いで暗号資産を手軽に活用することはできないか?ドイツのフィンテック企業SALAMANTEXはまさにそうした要望を叶えるプラットフォームを展開している。同社のCOOであるMarkus Pejacsevich(マーカス・ペヤセヴィッチ)氏は「このプラットフォームなら、どんな種類の暗号資産でも、あらゆる店で、オンラインでもオフラインでも使えます」と語る。どのように可能なのか?時代に合っているのか?店舗側に負担はかからないのか?同氏が詳しく語った。

広がる「暗号資産で支払いたい」という声

Harris PollとMasterCardが2021年2月26日から3月10日に行ったオンライン調査によると、ミレニアル世代の回答者のうち40%が今後、暗号資産で決済をしようとしているという。また75%は暗号資産をよりよく理解できたら、決済に暗号資産を使用したいと考えており、さらに93%は新しい決済方法を検討するつもりだという。

ペヤセヴィッチ氏は「コロナ禍によって非接触の決済が好まれるようになったのも、この調査結果の背景にあるでしょう」と見ている。

この他、同氏は世界の中央銀行によるデジタル通貨導入の動きにも注目している。2021年3月、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は2025年頃にデジタル通貨を発行できる可能性に言及した。

こうした流れの中でペヤセヴィッチ氏が懸念しているのは、ヨーロッパのフィンテック企業のプレゼンスだ。現在、VISA、Mastercard、Rippleなどが世界中の中央銀行にプロトコルを提供しており、米国企業の存在感が増しているのだ。だからこそ、ペヤセヴィッチ氏はヨーロッパのフィンテック企業として一石を投じたいのだ。

暗号資産で決済するプラットフォームとは?

SALAMANTEXが提供しているのは、単純に「暗号資産を使用するためのサービス」ではない。あらゆる種類の暗号資産を使って取引・決済を行い、ユーザーが使用するさまざまなエコシステムの中でポイント還元を行うプラットフォームだ。

例えば、ユーザーが飛行機でウィーンからフランクフルトに移動し、ホテルに向かい、公共交通機関を使って買い物に行き、レストランで食事をし、その支払いをSALAMANTEXを使って行ったとする。ユーザーはここまでの移動手段、買い物や食事をした店でポイントを獲得することができ、このポイントでまた移動や買い物ができる。さらに、こうした決済にはあらゆる暗号資産を使用することが可能だ。

ここで、SALAMANTEXで実際に買い物をする場合のプロセスを見てみよう。

まず店舗など事業者が支払い内容を現地の通貨で打ち込む。その後事業者が支払いに使用する暗号資産の種類を選択する。この後支払い用のQRコードが作成される。買い物をする客はこのQRコードを自身の端末でスキャンし、取引を確認する。数秒後には決済が確定する。

ペヤセヴィッチ氏は「もちろん、当社のプラットフォームを広く使ってもらうには、事業者に安心してもらうことが重要です。そこで、特に事業者の5つの懸念点に対応しています」と自信を見せる。

1つ目はプラットフォームの管理だ。管理はSALAMANTEXが行い、透明性も担保され、規制も遵守している。事業者はこうしたことを心配する必要がない。

2つ目はボラティリティーのリスクだ。SALAMANTEXではレートが固定されているため、事業者がレートのリスクを考える必要はない。

3つ目は事業者が為替の知識に自信がない点だ。SALAMANTEXでは、事業者は受け取る通貨を暗号資産にするのか、一般的な通貨にするのかを選択することができる。したがって、事業者が暗号資産のレートやリスクに詳しくなくても、導入しやすい。

4つ目がSALAMANTEXのプラットフォームと、既存のシステムの統合だ。統合に大きなコストやリソースがかかるのであれば、事業者の負担は大きくなる。しかし、SALAMANTEXには自社開発のハードウェア、ソフトウェアがあり、それらを事業者の既存のレジシステムやチェックアウトページにシームレスにつなぐことができる。

5つ目は経理作業だ。こうしたプラットフォームでの会計をどうやって経理に反映させるのか?同社は優れたAPIとレポーティングツールを用意しており、経理データの処理はシンプルに行えるという。

「あらゆる暗号資産でお買い物」を実現するエコシステム

では、こうしたプラットフォームの全体像はどうなっているのか。

買い物をする客が取引情報のQRコードをスキャンすると、支払らわれた通貨は事業者のウォレットに送られる。この通貨は固定レートで一般的な通貨に両替され、決済銀行に送られる。ここからドイツのシステムに存在するdisagioというものを引いた額が事業者の銀行口座に送られる。事業者の決済の仕組みによって多少流れに違いが生じるが、基本的にはこのように決済が処理される。

ペヤセヴィッチ氏は「当社は『1つの国で使われるソリューション』以上のものを提供しようとしています。私たちのパートナーシップはヨーロッパの75%をカバーできます」と語る。

一方で、SALAMANTEXのようなプラットフォーム展開には、地域ごとの法令遵守も重要になる。同社はオーストリアではFMA(Finantial Market Authority、金融市場当局)の規制を受けている。また、ドイツではこうしたビジネスの展開に銀行が必要になるため、TEN31というフィンテック銀行とパートナーシップを組んで対応している。

「今、決済サービス提供企業にデジタル通貨のことを知ってもらい、協業することが必要です。お買い物をするお客さまにも、理解を深めていただけるよう働きかけが必要です。何より、ヨーロッパの暗号資産決済プレイヤーが暗号資産の可能性の扉を開くために、ヨーロッパのソリューションを提供していくことが不可欠です」とペヤセヴィッチ氏は今後の展望をまとめた。

【Japan編集部注】本記事はCrypt Asetts Conference 2021中のセッションを再構成したものとなる。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SALAMANTEXドイツ暗号資産

ポルシェがスポーツカー用高性能バッテリーを製造へ、Customcellsとの合弁で

ラグジュアリーなスポーツカーメーカーのPorsche AG(ポルシェAG)がバッテリー事業に参入する。同社は現地時間6月21日、リチウムイオンバッテリーメーカーのCustomcells(カスタムセルズ)との合弁事業を通じて高性能の電池を製造する工場を開所する計画だと明らかにした。

ポルシェはCellforce Group GmbHという新しい合弁企業に「(1億に近い)数千万ユーロ」規模を投資した、と取締役のMichael Steiner(マイケル・ステイナー)氏が発表に先立つ記者会見で述べた。工場はまた、ドイツ政府と、工場が立地するバーデン・ヴェルテンベルク州から6000万ユーロ(約79億円)の投資を受ける。陰極材料の供給会社として化学会社BASF SEを選んだ。

製造するバッテリーでは陽極材料としてシリコンを使う。これはエネルギー密度と高温に耐える能力を飛躍的に高めるとポルシェは話す。この2つの要素はいずれもレーシングカーにとって重要な変数だ。バッテリーはすばやく充電されなければならず、しかし製造となると難しい(バッテリーは高温になるのを好まない傾向にある)。

そうした理由から、他の自動車メーカーのものに比べると工場は小規模だ。例えば米国ネバダ州スパークスにあるTeslaとパナソニックの合弁工場は35ギガワットアワーの「ギガファクトリー」キャパシティがあり、ポルシェの親会社VWは2030年までに240ギガワットアワーの生産能力を欧州にもってくる計画だ。ポルシェとCustomcellsの目標は、車両1000台分を十分まかなうことができる年間キャパシティ100メガワットアワーを2024年から生産することだ。工場の従業員はまず13人から始め、2025年までに最大80人に増やす計画だ。

関連記事:フォルクスワーゲンが240GWhのバッテリー生産能力を2030年までに欧州で実現

ステイナー氏は、ポルシェがこのテクノロジーの使用を主流の車両ラインナップに拡大する計画はない、としたが、将来生産コストを下げられる可能性を見出した場合、大量生産する可能性はあると指摘した。「このマーケットで当社は、ハイエンドな車両とモータースポーツ向けの特殊目的セルを探しています。これは今日のマーケットには見当たりません」と同氏は述べた。

このテクノロジーを乗用車に拡大するのは難しいようだ。シリコンの陽極ベースのセル化学はかなり寒い環境で機能したり、充電サイクルを重ねても安定性を維持することが示されていない、とポルシェは声明文で述べた。しかしポルシェの車両がレース向けに開発されたテクノロジーの恩恵を受けるというのはこれが初めてではない。同社の旗艦電動モデルTaycanは、ポルシェ 919ハイブリッドレーシングカーからテクニカル面で多くを拝借している。

これらのバッテリーを使う初の車両はポルシェ製になるだろうが、テクノロジーはLamborghiniやBugattiなどVolkswagen Group傘下の他のブランドにも提供される、とステイナー氏は話した。

「バッテリーセルは未来の燃焼室です」とポルシェのCEOであるOliver Blume (オリバー・ブルーム)氏は声明で述べた。「合弁会社により当社は最もパワフルなバッテリーセル製造のグローバル競争で先頭をいくことになり、まぎれもない当社の運転エクスペリエンスと持続可能性を結びつけることができます。当社はこうやってスポーツカーの未来を形成します」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:ポルシェCustomcellsバッテリードイツ工場

画像クレジット:Porsche

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

大手テック企業に対する反トラスト調査の手を強めるドイツ競争規制当局がGoogle News Showcaseの徹底調査開始

ドイツ連邦カルテル庁(ドイツ語表記は「Bundeskartellamt」、英語表記は「Federal Cartel Office」、以下「FCO」)は非常に活発な競争規制当局だ。2021年に入って大手テック企業を規制する新たな力を得たFCOは、時を逸することなく行動しており、最近も3件目となるGoogle(グーグル)の調査を発表したばかりだ。

FCOが競争規制禁止に関して行っている最新の調査は非常に興味深い。なぜなら、調査対象となっているのがGoogle News Showcase(グーグル・ニュース・ショーケース、以下「News Showcase」)だからだ。News ShowcaseはGoogleの比較的新しい製品で、第三者パブリッシャーのコンテンツをキュレーションしたものをGoogle News(およびGoogleのその他のプロパティ)のストーリーパネルで表示するサービスだ。Googleはそのコンテンツに対してライセンス料を支払う。

Googleは2020年、News Showcaseのために世界各地のパブリッシャーとコンテンツのライセンス契約を締結し始めた。Googleはこの契約のために合計10億ドル(約1050億円)を出資すると発表しており、ドイツは同社がこの契約を締結した最初の国々のうちの1つだ。

関連記事:Googleがニュース新サービス立ち上げ、今後3年間で記事使用料約1050億円支払いへ

しかしながら、パブリッシャーのジャーナリズムに対してライセンス料を支払うという同社の動機はお世辞にも純粋とは言い難い。

Googleはこれまで何年にもわたり、コンテンツをタダで利用しているとしてメディア企業から厳しく告発されてきた。Googleはその度に「コンテンツの利用料は支払わない。なぜならオンラインの情報をまとめるサービスはそういう仕組みだからだ」と言って一歩も譲らなかった。同社はまた、そのようなメディア業界を無視しようとしてGoogle News Initiative(グーグル・ニュース・イニチアチブ)という名のデジタルイノベーション推進基金を作り、少額の助成金を配ったり、ワークショップや製品に関するアドバイスを無料で提供したりして「パブリッシャーのビジネスモデルが苦戦しているのはイノベーションに失敗したからだ」という印象を世間に与え、結果的にGoogleのアドテック事業はライセンス料の支払いを免れて、強圧的な姿勢を示し続けた。

一歩も譲らず、わずかな金しか出そうとしないGoogleのアプローチは長い間、規制当局の動きを食い止めてきたが、ついに「メディア企業のビジネスモデル対オンライン広告の複占」という問題に対する政治的な圧力が高まり、従来型のパブリッシャーと、コンテンツを仲介する大手テック企業との間のパワーバランスを是正しようと、各国の立法当局が動き始めた。

この件で最も有名な事例は、2021年初めにオーストラリア議会がニュースメディアへの支払いを義務づける法案を可決したことだ。

可決される前、同法案の対象とされていたFacebook(フェイスブック)とGoogleは、この法案が可決された場合は、オーストラリアでの全サービス停止や、サービス品質の低下、サービスの有料化などの深刻な結果を招くことになると警告していた。

実際はそのような結果にはならなかったが、同国の議員たちが審議の直前になって「2カ月間の調停期間を設ける」という条項を追加することに同意したことは確かだ。この調停期間内であれば、デジタルプラットフォームを提供するテック企業とパブリッシャーは仲裁人を介することなく自分たちで交渉を行うことができる。

批評家たちは、これではFacebookとGoogleは今後も自社に有利な条件を提示し、市場シェアの大きさを利用してオーストラリアの大手メディア企業が不利になるような契約を締結し続けることができてしまうではないか、という。しかも、外部から監督する者がおらず、そのようにして締結されたコンテンツ提供契約によってメディアの多様性や多数性が促進される保証はないし、ジャーナリズムの質の向上でさえも保証されていない。

EUではオーストラリアよりも早く議会が動き、2019年に著作権の対象範囲をニュースコンテンツのスニペットにも広げるという賛否両論あるEU指令が発効した(ちなみに加盟国による同指令の国内法化期限は6月7日月曜日だった)。

このEU指令をいち早く国内法化した加盟国がフランスだ。2020年にフランス国内でスニペットの表示を停止することによってこの法律からうまく逃れようとしたGoogleに対し、同国の競争規制当局はすばやく行動を起こして、ニュースの再利用料金を支払うように同社に命じた

関連記事:フランス競争当局がGoogleにニュース再利用の対価支払いを命じる

フランス規制当局の命令に対し、Googleはさらに曖昧な理由で反論したが、2021年初めに、コンテンツ再利用とNews Showcaseへの加入に対する料金をフランスのパブリッシャーに支払うことに同意した。つまり、法律で定められた支払い(ニュース再利用料)と、自社サービスへのコンテンツ提供ライセンス契約とをバンドリングしたのだ。これによって、法律によって義務づけられた支払いと営利契約とのバランスを把握することが難しくなった。

News Showcaseの問題点は、そのライセンス契約交渉が人知れず行われており、多くの場合は関連する法律が成立する前であるため、完全にGoogleの言いなりで交渉が進められるということだ。つまり、News Showcaseのライセンス契約により、Googleと、デジタル化によってビジネスモデルが壊滅的な影響を受けて収益源の確保に苦しむ従来型パブリッシャーとの間の不均衡なパワーバランスに対する懸念はさらに高まる危険がある。

Googleがいくらかコンテンツ料を支払うと突然申し出たら、その条件の内容に関わらず、交渉に応じるパブリッシャーは多いだろう。さらに、検索市場とコンテンツの発見可能性におけるGoogleの圧倒的な優位性を考えると、Googleの言い値でコンテンツをライセンス提供することに同意しないパブリッシャーは特に、コンテンツの露出を減らされるというリスクを負うことになるだろう(Googleは、例えばNews Showcaseのコンテンツが優先的に表示されるかどうか等の条件に基づいて、特定のメディアプロパティへトラフィックを流すよう調節する力を持っている)。

そのことが競争に及ぼす影響は明白だ。

それでも、FCOがこれほどすばやく行動を起こしてNews Showcaseの調査に踏み切ったのは見事だったと思う。

FCOによると、今回の調査はCorint Media(コリント・メディア)が申し立てた苦情に基づいて行うものであり、Google News Showcaseのサービスを発表されている通りにGoogle検索機能と統合させることが「自己優遇に相当する、あるいは競合する第三者が提供するサービスを妨害する可能性があるかどうか」を調べる予定だという。

FCOはまた、契約に「News Showcaseに加入するパブリッシャーに不利益をもたらす」理不尽な条件が含まれていないかどうか、特に「2021年5月にドイツの連邦議会および連邦参議院により導入された報道機関の付随的著作権の行使を不当に困難にする」ものでないかどうかについても調査する予定だと述べている。この付随的著作権は、EUの改正著作権指令で定められた報道機関の付随的権利を国内法化したものだ。

したがってFCOは、EUの著作権改正によってパブリッシャーが手にした新たな権利の行使を、GoogleがNews Showcaseを使って抑え込もうとしているかどうか、という問題の核心を調査することになる。

FCOはまた「GoogleのNews Showcaseサービスの利用条件がどのように定義されているのか」という点についても調査したいと話している。

GoogleがドイツでNews Showcaseのサービスを開始したのは2020年10月1日だ。開始当初、加入パブリッシャーは20社、対象メディアは50種類だった。現在はその数がもっと増えている。

FCOによると、News Showcaseの「ストーリーパネル」はもともと、Google Newsアプリに統合されていたが、現在はデスクトップ版のGoogle Newsでも見ることができるという。FCOはまた、ストーリーパネルが間もなくGoogle検索結果にも表示されるようになるとGoogleが発表したことにも言及した。それが実現した場合、Googleが欧州の検索市場で圧倒的優位に立っていることを考えると、News Showcaseをめぐる競争の力関係はさらにGoogle有利に傾くだろう。

FCOのAndreas Mundt(アンドレアス・ムント)長官は今回の調査に関する発表について、ある声明の中で次のように述べた。「Googleと協力することはパブリッシャーやニュースプロバイダーにとって魅力的な選択肢になり得るし、消費者に新たな、もしくはより良い情報サービスを提供することにつながる。しかし、そのことが個々のパブリッシャー間において不均衡を生み出す結果にならないように注意する必要がある。加えて、エンドユーザーへのアクセス提供という点でGoogleが優位な立場にあるからといって、パブリッシャーやニュースプロバイダーが提供する競合サービスが市場から締め出される状況になることは防がなければならない。Googleのサービスに加入するコンテンツプロバイダーの権利と義務との間で適切なバランスを確保することが必要だ」。

FCOの行動についてGoogleにTechCrunchがコメントを求めたところ、同社の広報担当者Kay Oberbeck(ケイ・オーバーベック)氏の名で以下のような回答が返ってきた。

News Showcaseは、Googleがジャーナリズムをサポートする数多くの手段のうちの1つであり、すべてのパブリッシャーに利益をもたらす製品と出資に基づくものです。News Showcaseは、ニュースコンテンツのための国際的なライセンシングプログラムです。加入企業は客観的かつ公平な基準に基づいて選出され、加入企業のコンテンツがGoogleの検索結果順位について優遇されることはありません。Googleはドイツの競争規制当局に全面的に協力する姿勢であり、FCOからの問い合わせにいつでも喜んで応じるつもりです。

FCOは今回発表したNews Showcaseの徹底調査とは別に、つい2021年5月、Googleに関する2件の調査を開始したばかりだ。そのうちの1件は、ドイツが大手テック企業を対象として新たに成立させた競争制限に関する改正法のしきい値をGoogleが満たしているかどうかを判定するためのもの、もう1件はGoogleのデータ処理慣行について詳しく調べるものだ。どちらも現在進行中である。

FCOは最近、Amazon(アマゾン)の市場における優位性に関する調査も開始したばかりだ。さらに、Facebook傘下のOculus(オキュラス)の事業に関する最近の調査を拡大することを検討している。Googleと同じく、Facebookの事業についても前述の改正法のしきい値を満たしているかどうかを判断するためだ。

2021年1月に発効したドイツ競争法の改正法により、FCOは、市場の乱用リスクを予防的に制御するため「市場全体における競争に重大な影響を及ぼす」とみなされる大手デジタル企業に対して以前よりも積極的に規制条件を適用する権限を得た。

FCOが大手テック企業に対してこれほど多くの調査を同時進行で行っていることは、FCOが少しの時間も無駄にしたくないと考えていることの現れだ。FCOは、大手プラットフォーム企業が引き起こしている独禁問題に関して、法的な根拠があると判断できたらすぐに予防的介入に踏み切れるように準備しているのである。

FCOはさらに、Facebookの「スーパープロファイリング」に対して先駆的な訴訟を起こしている。この訴訟は、プライバシー侵害を競争制限に関する懸念と結びつけ、大手テック企業によるユーザーのプロファイリングを大幅に制限する可能性がある。この訴訟については、すでに何年も調査と審議が行われてきたが、最近、主要な法的争点の解釈をめぐって欧州司法裁判所に付託された。

関連記事:ドイツ裁判所がフェイスブックに対する「スーパープロファイリング」訴訟を欧州司法裁判所に付託

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Googleドイツ独占禁止法メディアEU

画像クレジット:Shutterstock

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

ドイツのeVTOLメーカーのLiliumにハネウェルが飛行制御システムとアビオニクスを供給

ドイツの電動エアモビリティ企業であるLilium(リリウム)は、同社初のeVTOL(電動垂直離着陸機)である7人乗り「Lilium Jet(リリウム・ジェット)」の電子回路および機械システムの開発において、航空宇宙メーカーのHoneywell(ハネウェル)と提携すると発表した。

ハネウェルは、飛行におけるすべての可動部を制御するコンパクトなフライ・バイ・ワイヤ・システムと、航空電子機器のアビオニクスを、Lilium Jetに供給することになる。同じeVTOL企業であるVertical Aerospace(バーティカル・エアロスペース)の航空機にも、ハネウェルのコンパクト・フライ・バイ・ワイヤ・システムが採用されているが、Liliumが使用するアビオニクス・システムは、Lilium Jet特有の技術的要件に合わせて設計された専用バージョンになるという。

ハネウェルは航空宇宙製造業界の巨人であり、アーバン・エア・モビリティの専門チームをいち早く創設した企業の1つだ。また同社は、Liliumが特別買収目的会社のQell Acquisiton Corp.(ケル・アクイジション)と合併した際に発表された私募増資(PIPE)の募集に参加し、Liliumの投資家にもなっている。

両社は2019年2月から話し合いと協力を続けてきたと、Liliumのチーフプログラムオフィサーを務めるYves Yemsi(イヴ・イェムシ)氏はTechCrunchに語った。同氏によると、Liliumは内製に留めておきたいコアコンピタンス(例えば、推進システムやバッテリーシステムの設計と組み立て、航空機の最終組み立てなど)を特定し、航空機の他の部分に関しては経験豊富な社外のサプライヤーと提携するつもりだという。

「専門家や航空宇宙分野のパートナーと提携することは、当社にとって熟考した上での選択です」と、同氏はいう。「安全性を確保しながら、市場投入までの時間を短縮できます」。

このパートナーシップの大きな利点は、認証プロセスで大いに役立つことだと、イェムシ氏は説明する。ハネウェル製の部品の中には、FAA(米国連邦航空局)が認める最低性能基準であるTSO(Technical Standard Order)をすでに達成しているものがある。TSOに認定された部品を使用することで、認証プロセスの時間を短縮することができるというわけだ。

すでにLiliumでは、Design Production Approval(設計生産承認)とProduction Organization Approval(生産組織承認)の取得に向けてチームを編成している。これらは欧州連合航空安全局(EASA)が発行する2種類の承認で、基本的にその会社が製品を市場に投入できることを証明するものだ。これらの承認は、Liliumの航空機(と他のすべてのeVTOL)が商業運航を開始する前に、FAAとEASAの両方で取得しなければならない型式認証を補完する。

航空宇宙メーカーとして実績のあるハネウェルとの提携は、Liliumの計画を大きく前進させることになるだろう。イェムシ氏によれば、ハネウェルから部品の納入が始まると、次のステップはシステム構築研究施設を使って地上でアビオニクスや電子システムのテストを行い、航空機の開発とテストを進めていくことになるという。

「これから大変な仕事が始まるのです」と、イェムシ氏は語っている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:eVTOLLiliumドイツHoneywell

画像クレジット:Lilium

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

車部品サプライヤーのBoschがドイツにチップ工場を開所、コネクテッドカーに供給

ドイツのパーツサプライヤーのRobert Bosch(ロバート・ボッシュ)は現地時間6月7日、10億ユーロ(約1332億円)を投じたチップ工場をドイツ・ドレスデンに開所した。同社にとってこれまでで最大の投資だ。主に車産業の顧客に供給する同工場はコネクテッドEV(電気自動車)が定着しつつあることを如実に示している。

「どのパワートレインかにかかわらず、我々は常に半導体とセンサーを必要としています」と同社の車エレクトロニクスを担当する上級副社長Jens Fabrowsky(ジェンス・ファブロースキー)氏はTechCrunchに語った。

工場は半導体製造プロセスで最前線の処理、つまりウェハファブを行う。300ミリメーターのウェハは半導体のパッケージングと組立のために通常アジアの提携企業に送られる。

300ミリメーターは「テクノロジーの新しいフィールド」だとファブロースキー氏は説明した。Boschのドイツ・ロイトリンゲンにある工場で製造される150ミリメーターあるいは200ミリメーターのウェハとは対照的に、大きなサイズのウェハは1つでより多くのチップを製造することができるため、規模の経済性が向上する。

広さ7万7500平方フィート(約7200平方メートル)の工場はBoschがいうところの「AIoT」で操業する。この言葉は、同工場の特徴である完全に接続されデータ主導のシステムを示すために人工知能(AI)とIoTを組み合わせたものだ。Boschは約100台のマシーンでリアルタイムのデータを動かすだけでなく、電気や水、他の要素でも1秒あたり最大500ページの情報を持つ、とファブロースキー氏は話した。AIで駆動するアルゴリズムはコネクテッドセンサーからすぐさま異変を感知する。

かなり高度なオートメーションにもかかわらず、工場はフル操業となれば700人を雇用する。

この工場が現在続いている世界的な半導体不足の解決に貢献するかは不明だ。半導体不足により、General Motors(ゼネラル・モーターズ)やFord(フォード)などの車メーカーは製造量の抑制と製造施設の一時休止を余儀なくされた。

「当社が工場建設を決めた時点では、建設理由は純粋にテクノロジーでした。300ミリメーターを製造する必要があったのは明らかで、キャパシティ拡大に投資する必要もありました」とファブロースキー氏は話した。

工場は7月にパワーツール向けチップの製造を開始し、9月から車向けチップに取り掛かる。半導体チップを製造するのに、ウェハ施設だけで600もの工程があり、通常20週間以上かかると同氏は説明した。

Boschはロイトリンゲン工場のクリーンルーム施設を拡張するのに5000万ユーロ(約66億円)投資する、と同社役員のHarald Kroeger(ハラルド・クローガー)氏は6月7日の記者会見で述べた。

Boschは、工場建設のための支出を最大2億ユーロ(約266億円)助成するドイツの連邦経済エネルギー省のマイクロエレクトロニクス投資プログラムに適用を申請した。資金を受け取るには支出の証明を提出しなければならない、と広報担当は説明した。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Boschドイツ工場EV半導体

画像クレジット:Bosch

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

衛星コンステレーションから地球上の山火事の端緒を見つけ警告するOroraTech

山火事がかつてないほどの壊滅的な、しかも毎年のような現象になっている。そのため、早期発見と対応が世界共通の関心になっている。山火事の絶好の火の見やぐらは宇宙だ。ドイツのOroraTechは、小さな衛星のコンステレーションで、グローバルな山火事警報システムを作ろうとしている。同社は最近調達したばかりのおよそ700万ドル(約7億7000万円)のシリーズA資金を、そのために投じる気だ。

山火事は毎年、数千万エーカーもの森林を破壊し、人間と地球に多様かつ甚大な被害をもたらしている。しかもそれは、一定の大きさを超えると手に負えなくなるため、早期発見と早期消火が何にも増して重要だ。

山火事の発見と消火は、時間が勝負だが、数百マイル四方の広大で乾燥した森林のどこでいつ出火するかわからず、これまで行われてきたヘリコプターの巡回といった方法では火が広がる速さに対応できないこともある。しかも航空機は高価であるだけでなく、乗員や作業員にとって危険な場合も多い。

OroraTechの計画では、約100基の衛星コンステレーションに特製の赤外線カメラを搭載して、地球全体もしくは出火の可能性の高い地域をすべて同時に観測する。そして、30秒以内に10メートル以上に広がった火を見つけたら報告する。

画像クレジット:OroraTech

このバイエルンの企業は当初、すでに宇宙にある10数基の衛星を利用して地上からサービスを提供し、その有効性を証明しようとした。しかし、今回新たな資金が得たことにより、自分の鳥を空に飛ばすことに決めた。それは靴箱サイズの衛星に特製の赤外線センサーを搭載したもので、2021年中に衛星コンステレーション企業のSpire Globalが打ち上げる予定だ。また、その画像処理システムは機械学習による処理を行うため、下流の処理が単純になる。

2023年にはさらに14基の衛星を打ち上げ、それらによって必要不可欠な改良をほどこそうとしている。

CEOで共同創業者のThomas Grübler(トーマス・グリューブラー)氏は、プレスリリースで「将来もっと範囲を広げて早めに警報を出すことができるように、私たちが独自に設計した特製の衛星コンステレーションを軌道に打ち上げたいと考えています。高名な投資家たちが、その資金と技術的ノウハウで私たちの計画の実現を支えてくれるのは、とてもうれしいことです」と述べている。

画像クレジット:OroraTech

その高名な投資家たちとは、この投資ラウンドをリードしたFindus VentureとAnanda Impact Ventures、そしてこれにAPEX VenturesとBayernKapital、Clemens Kaiser(クレメンス・カイザー)氏、SpaceTec Capital、およびIngo Baumann(インゴ・バウマン)氏らとなる。同社は、創業者たちのミュンヘン工科大学時代の研究がルーツであり、同大学も一部の株式を有している。

APEXのWolfgang Neubert(ウルフギャング・ノイベール)氏は、次のように述べている。「限られた財源で彼らがこれまで成し遂げたことは、本当にすばらしいものです。人の気持ちをワクワクさせるような意欲的で斬新な宇宙プロジェクトに参加できることは、とても誇らしいことです」。たしかに、最先端の宇宙データサービスが、お金もなく衛星もないという状態から起業したことは感動的だ。ただし1年前には、わずかな投資があったようだ。

地球の表面の赤外線撮影は、同社以外にも行っている。たとえばSatelliteVuは最近資金を調達して独自のとても小さなコンステレーションを打ち上げようとしているが、こちらは広大な森林ではなく、都市をはじめとした人間の関心が高い領域が対象だ。そしてConstellRは、収量の精密管理のために農地をモニターすることが目的だ。

資金を得たOroraは、拡張してその改良版の火災検出サービスを提供できるはずだ。しかし残念ながら、今年の北半球の山火事シーズンが始まるまでには、アップグレードできそうもない。

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カテゴリー:宇宙
タグ:OroraTech衛星コンステレーション火災資金調達ドイツ

画像クレジット:OroraTech

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

欧州のインシュアテックWefoxが4倍程度の申し込みを受け約3300億円の評価で715億円獲得

ドイツのスタートアップWefox(ウィーフォックス)が、Target GlobalがリードするシリーズCの資金調達ラウンドで6億5000万ドル(約715億円)を調達した。この資金調達ラウンドで、同社のポストマネーのバリュエーションは30億ドル(約3300億ドル)に達した。Wefoxは、家財保険、自動車保険、個人賠償責任保険などの個人保険商品に注力するデジタル保険会社だ。

「当初調達希望額をはるかに超えました。非常に迅速なプロセスとなり、実質的に4倍程度の申し込み超過になりました」と、共同創業者兼CEOのJulian Teicke(ジュリアン・テイッケ氏、写真右)は筆者に語った。

2019年12月、同社のバリュエーションは16億5000 万ドル(約1815億円)だと報じられた。そして同社は、今回の資金調達ラウンドは、史上最大のシリーズCラウンドの1つであり、より具体的には、インシュアテック企業にとって最大のシリーズCラウンドである可能性が高いと述べた。

「既存の大口投資家のほぼ全員が参加しました」とテイッケ氏は語った。OMERS Ventures、G Squared、Mountain Partners、Merian、Horizo​​ns Ventures、Eurazeo、Mubadala Capital、Salesforce Ventures、Speedinvest、CE Innovation Capital、GR Capital、Seedcampはすべて、今回のラウンドに再び参加した。新しい投資家には、FinTLV、Ace & Co、LGT、および関連するインパクト投資プラットフォームの Lightrock、Partners Group、EDBI、Jupiter、Decisive が含まれる。

「私たちは超多額の資金を調達しただけでなく、非常に短期間で資金を調達しました。すべてのコミットメントを得るのに合計4週間かかりました」と、共同創業者でCFOのFabian Wesemann(ファビアン・ベスマン氏、写真左)は筆者に話した。

Wefoxは、規模が拡大するにつれ開発を反復し、より多くの収益を生み出すことができると信じている。次のレベルに到達するには資本が必要だ。「私たちは、インターネット以前の時代には立ち往生していた5兆2000億ドル(約572兆円)の産業に取り組んでいます。私たちにとってのコア市場で業界をディスラプトする方法を見つけました」とテイッケ氏はいう。

だがWefoxは従来の保険会社と何が違うのか。同社は、消費者に直接保険を販売する会社ではない。ほとんどの保険商品は依然として代理店が販売しており、同社はこれがすぐに変わることはないと考えている。

Wefoxが自社の商品を独占的に販売する700の代理店を抱えるのはそのためだ。また、アソシエイトブローカーとも提携しており、約5000社が同社の商品を販売できる。

「業界の人々は、人間の代理店は死んだと言っているようですが、私たちは、人間の代理店がこれまで以上に重要であると考えています」とテイッケ氏は語る。

2020年だけでも、同社は1億4000万ドル(約154億円)の収益を上げた。同社グループの保険キャリアであるWefox Insuranceを見ると、2020 年に黒字となった。グループ全体では「2023 年までに利益を計上する予定です」とベスマン氏は述べた。

この急速な成長率と黒字への明確な道筋の両方が、Wefoxに野心的なロードマップがあることを示している。リヒテンシュタインでライセンスを取得したフルスタック保険会社として、Wefoxはライセンスを他の欧州諸国に持ち込むことができる。同社は現在 5カ国の市場に進出しており、近々イタリアへの拡大に取り組んでいる。

Wefoxは、新しい市場に加え損害保険、ペット保険、健康保険、生命保険などの新しい保険商品の販売を計画している。もしあなたが保険商品について考えているのであれば、Wefox がすでに取り組んでいる可能性がある。「2021年は約20の新しい保険商品を発売します」とテイッケ氏は述べる。

流通は各国で顧客と向き合う現地代理店が分散管理しているが、保険商品は集中管理されている。同社は、収益性によって商品に優先順位を付け、商品リストを上から1つずつ見ていく。

最後に、Wefoxは管理コスト削減に関して野心的な計画を立てている。同社は、共通のプロセスをアルゴリズムによって処理するべく自動化に投資してきた。現在、同社のプロセスの80%は自動で処理される。新商品を立ち上げる際にはプロセスを適応させる必要があるため、これは終わりのないプロセスとなる。

Wefoxは予防にも取り組んでいる。同社は、まず悪いことが起こるのを防ぐために、パリにAI チームを編成した。保険会社ではいつものことだが、カスタマージャーニーのすべてのレイヤーとステップを最適化して、既存の商品とは一線を画すことがすべてだ。

カテゴリー:その他
タグ:Wefox保険資金調達ドイツ

画像クレジット:Wefox

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

ドイツ下院が無人運転車の公道走行にゴーサイン、2022年までに全国で

ドイツでは2022年までに無人運転車の公道走行を可能にする法案が採択され、企業が同国内でロボタクシーや配送サービスを大規模に展開する道筋が示された。同国では現在、自律走行テストが認められているが、今回の法案により、人間の安全管理者が運転席にいないドライバーレスカーの運行が可能になる。

現地時間5月20日、ドイツの下院である連邦議会(Bundestag)で可決されたこの法案は、特にレベル4の自律性を持つ車両を対象としている。レベル4の自律性とは、SAE(Society of Automobile Engineers、自動車技術者協会)が定めた指定基準で、一定の条件や環境下でコンピュータがすべての運転を行うことを意味する。ドイツでは、これらの車両は地理的なエリアに限定される。

「将来的には、自律走行車は定常的に運行される公共の道路交通の指定された運転エリアにおいて、物理的に存在するドライバーなしで全国的に走行できるようになるべきである」と法案には書かれている。「これらの技術の可能性を引き出し、社会が参加できるようにするために、連邦政府は、対応するシステムを実使用環境に導入するためのさらなるステップが必要であると考えている」とも。

この法案はまだ、上院(連邦参議院、Bundesrat)を通過しなければならない。この法案には、ドイツの道路で自動運転車が最初に使用される可能性のある用途として、公共交通機関、ビジネスや供給のための移動、物流、従業員の交通手段となる会社のシャトルバス、医療センターや老人ホーム間の移動などが含まれている。

企業がドイツで商用の無人運転車を運行するには、賠償責任保険の加入や、自律走行を遠隔操作で停止できるようにするなど、さまざまなルールを遵守する必要がある。

すでにドイツでテストを行っている企業は、欧州最大の経済規模を持つ同国で優位に立てるかもしれない。例えばArgo AI(アルゴAI)は、ミュンヘン空港のイノベーションセンター「LabCampus」で自律走行車のテストを行ってきた。2020年6月にはバイエルン州の州都である同都市に欧州本部を開設し、2021年夏にはフォルクスワーゲンと共同で試験サイトを開設し、自動運転対応EVバン「VW ID.Buzz」のテストを行う予定だ。また、インテルの子会社であるMobileye(モービルアイ)も、ドイツでAVのテストを行っている

米国のいくつかの州や他の国では、テストや潜在的な商業展開に関する規制がある。先週、中国のロボタクシー企業であるPony.ai(ポニーエーアイ)は、カリフォルニア州で無人運転車のテスト許可を得た8番目の企業となった。Nuro(ニューロ)は同州の公道で商業運転ができる展開許可を得ている唯一の企業だ。一方中国でも、Alibaba(アリババ)が出資するAutoXなどの企業が公道でのドライバーレスフリートのテストを行っている。ドイツの法案はテストを超えて、通常の交通に無人運転を統合する方向に進んでいる。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:ドイツ自律運転

画像クレジット:Volkswagen Commercial Vehicles

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)

ドイツ当局がFacebookに対し物議を醸している「WhatsApp」の利用規約を適用しないよう命令

ハンブルグのデータ保護機関(DPA)はFacebookに対し、WhatsAppの利用規約の強制的な更新に基づいて同社が自らにアクセスを許可しようとしている、WhatsAppの追加的なユーザーデータに関する処理を禁止した。

物議を醸しているWhatsAppのプライバシーポリシーのアップデートは、公表されて以来、世界中で広範な混乱を引き起こしてきた。Facebookはユーザーから大きな反発を受け、競合のメッセージングアプリが憤慨するユーザーの流入で恩恵を享受することに直面した。同社はすでにその施行を数カ月延期している。

インド政府もまた、WhatAppの利用規約の変更を法廷で阻止しようとしており、同国の反トラスト当局が調査を進めている

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全世界のWhatsAppユーザーは、5月15日までに新しい規約に同意しなければならない(WhatsAppのFAQによると、その後も利用規約の更新への同意を求めるリマインダーは継続されるという)。

Facebookは、同規約を求められたユーザーの大多数はすでにこれに同意したとしているが、そのユーザーの割合は公表されていない。

しかし、ハンブルグのDPAの介入により、少なくともドイツ国内ではFacebookによる利用規約の施行がさらに遅れる可能性がある。当局は欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)で認められている緊急措置を採用し、同社に対し3カ月間データを共有しないよう命じた。

WhatsAppの広報担当者は、ハンブルグ当局の命令の法的有効性に異議を唱え、これを「WhatsAppのアップデートの目的と影響に対する根本的な誤解」だとし「したがって合法的な根拠はない」と主張した。

「今回のアップデートは、ユーザーがWhatsApp上の企業にメッセージを送る際のオプションを明白にして、私たちがデータをどのように収集し、利用しているかについての透明性をさらに高めるものです。ハンブルグのDPAの主張は誤りであり、その命令は今回のアップデートの継続的展開に影響を与えるものとはならないでしょう。私たちは引き続き、すべての人に安全でプライベートなコミュニケーションを提供することに注力していきます」と広報担当者は付け加え、Facebook傘下のWhatsAppがこの命令を黙殺することを意図している可能性を示唆した。

TechCrunchでは、Facebookがハンブルクの手続きを訴える選択肢を検討していると認識している。

ハンブルグが採用している緊急措置権限は3カ月を超えて延長することはできないが、当局は欧州データ保護評議会(EDPB)に対し介入を求め、27の加盟国ブロックに及ぶ「拘束力のある決定」を下すよう圧力をかけている。

TechCrunchはEDPBに連絡を取り、ハンブルグのDPAの要請に応えるためにどのような措置を取り得るかについて尋ねた。

EUのDPAは通常、特定の苦情に関連する拘束力を有するGDPRの決定には関与しない。ただし、国境を越えた案件を処理するためのワンストップショップ制度の下で、主任監督機関による審査のために提出されたGDPRの決定草案についてEUのDPAが合意できない場合は、この限りではない。

こうしたシナリオでは、EDPBが自ら拘束力のある判断を採択できるが、それが緊急性の高い手続きに適しているかどうかは不透明だ。

【更新】DPAが暫定措置を延長または最終的なものとすることを希望する場合のように、第66条に基づく暫定措置を採択する決定を通知した監督機関が、EDPBに対して緊急の意見あるいは緊急の拘束力のある決定を要請することをGDPRが認めていることについて、EDPBが確認した。

「第66条は、GDPRのワンストップショップ制度(第60条)および一貫性制度(第63条)の例外規定です」とEDPBの広報担当者はTechCrunchに語った。「これは、監督機関がその管轄内のデータ主体の権利および自由を保護するために行動する緊急の必要性があると考える場合に利用できる、補完的な手続きです」。

「ハンブルグ当局はEDPBに対し、暫定措置を採用する決定を通知済みです」と同担当者は言い添えた。

ドイツのDPAは、FacebookがEUのデータ保護規則を軽視しているとして同社を厳しく批判するだけでなく、同地域の統括データ監督機関であるアイルランドのデータ保護委員会(DPC)に対しても、WhatsAppの新しい利用規約に付随する非常に広範な懸念を調査していないとして遺憾の意を表明した。

(「データ共有の事実上の慣行を調査する主任監督機関への我々の要請は、今のところ尊重されていない」というのが、ハンブルグのプレスリリースにおけるこの批判に関する丁寧な表現である)。

TechCrunchはDPCの所見を照会しており、入手次第、本記事を更新する。

【更新】DPCの広報担当者は次のように語った。「ハンブルグはワンストップショップの例外としてこのプロセスを開始しており、ハンブルグのDPAにとって、緊急手続きを開始するためのしきい値をどのように満たすかについて対応することが重要です。WhatsAppに関するアイルランドのDPA草案の決定は、DPA間の合意に達することができなかったため、GDPRの第65条紛争解決手続を通して処理されます。したがって、そのコンテキストにおいてハンブルグのDPAは、すでに進行中であるワンストップショップ手続きの例外としての第66条の下で、自らの行動を適格化する必要があります」。

アイルランドのデータ監視機関は、GDPRの施行に関して創造的な規制措置を怠っていると批判されている(批判者たちは、委員長のHelen Dixon[ヘレン・ディクソン]氏と同氏が率いるチームに対し、多くの苦情の調査を実施せず、調査を開始した場合にはその調査に数年を要したことについて非難している)。

DPCが大手テック企業に対してこれまでに下した唯一のGDPRの決定(Twitterに対するもので、データ漏えいに関連している)は、他のEUのDPAとの論争に発展した。DPA側は、最終的にアイルランドが科した55万ドル(約6000万円)の罰金よりもはるかに厳しい罰則を求めている。

FacebookとWhatsAppに対するGDPR関連の調査について、DPCは依然として積み残したままである。WhatsAppのデータ共有の透明性に関する決定書の草案が2021年1月に他のEUのDPAに送られて審査に入っているが、この規制が適用されてから3年近く経った今もなお決議案は日の目を見ていない。

つまり、最大の大手テック企業に対するGDPRの施行が欠如していることに対する不満が、他のEUのDPAの間でも高まっている。DPAの中には、アイルランドを通じて多くの苦情を集めるワンストップショップ(OSS)制度のボトルネックを回避するために、創造的な規制措置を取っているところもある。

イタリアのDPAも2021年1月にWhatsAppの利用規約の変更について警告を発しており、変更内容についての明確な情報が不足していることを懸念してEDPBに連絡したと述べている。

EDPBはその時点で、監督当局間の協力を促進することがEDPBの役割であることを強調した。さらに「その権限に従ってEU全体でデータ保護法の一貫した適用を確保するため」、DPA間の情報交換を引き続き促進すると付言した。しかし、EUのDPA間の合意は常に脆弱であり、執行上のボトルネックや、OSSのフォーラムショッピングにより規制が維持されていないという認識をめぐる懸念が広がっている。

このことは、行き詰まりを打開して広範な規制の崩壊を回避する何らかの解決策、すなわちより多くの加盟国機関が一方的な「緊急」措置に訴える場合の対処に向けた対策を講じるようEDPBに求める圧力を高めることになるだろう。

ハンブルグのDPAは、WhatsAppの規約が更新されたことで、WhatsAppのユーザーの位置情報をFacebookに渡したり、企業がFacebookのホスティングサービスを利用した場合にWhatsAppユーザーの通信データを第三者に譲渡できるようにするなど、WhatsApp自体の目的(広告やマーケティングを含む)のために「Facebookとデータを共有する広範囲な権限」がWhatsAppに与えられるとしている。

FacebookはEU法の下でデータ共有を拡大する法的基盤としての合法的な利益に依存することはできない、と同局は判断している。

また、大手テック企業がユーザーの同意に依存しようとしている場合、変更が明確に説明されていないことや、ユーザーが同意に関する自由な選択(これはGDPRで要求されている基準である)を提供されていないことから、基準を満たしていないことになる。

「新しい規約に関する調査により、FacebookがWhatsAppユーザーのデータをいつでも自分たちの目的のために利用できるようにするために、両社の密接な関係をさらに拡大しようとしていることが明らかになりました」とハンブルグ当局は続けた。「プロダクトの改善と広告の領域に関して、WhatsAppはデータ主体のさらなる同意を要求することなく、データをFacebook企業に渡す権利を留保しています。その他の領域については、現時点ですでにプライバシーポリシーに則った自社利用が想定されています」。

「WhatsAppとそのFAQによって提示されたプライバシーポリシーには、例えば、電話番号やデバイスIDなどのWhatsAppユーザーのデータが、ネットワークセキュリティやスパムの送信防止などの共同目的のために、すでに企業間で交換されていることが記述されています」。

ハンブルグをはじめとする各DPAは、当時TechCrunchが報じたように、EUの最高裁判所のアドバイザーによる最近の意見を参考にして、GDPRの施行に関する問題を自らの手で解決しようとしているのかもしれない。Bobek(ボベック)法務官は、EU法は「緊急措置」を採用するため、または「事案を処理しないことを決定した主要データ保護当局に従って」介入するためなど、特定の状況において各機関が独自の手続きを取ることを認めているとの見解を示した

この件に関するCJEU(欧州司法裁判所)の裁定はまだ係争中だが、法廷はアドバイザーの見解に同調する傾向が強くなっている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ドイツFacebookWhatsAppプライバシーGDPR

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

IFAベルリン2021が中止、「新型コロナワクチン接種の状況が見通せない」

IFAは2020年に会場で開催された極めて少ない展示会の1つとなったが、gfu Consumer & Home Electronics GmbHは2021年のイベントを中止する。当初、ベルリンで9月3〜7日に予定されていた大規模なコンシューマーエレクトロニクス国際見本市は休止する

関連記事:IFAのエグゼクティブディレクターがコロナ禍でもリアルなテックイベントを続ける理由を語る

最大の理由として、運営者は新型コロナウイルス変異型の脅威、そして世界のワクチン接種のスピードと今後の進捗に関する不確実性を挙げている。

「究極的には、世界の健康問題に関するいくつかの主要な指標が望んでいた正しい方向に速く向かいませんでした。例えばアジア南部では新たな新型コロナ変異型が急速に拡がっていて、世界のワクチン接種プログラムのスピードは依然として不透明です」と運営組織はプレスリリースで述べた。「これは参加を約束していた、あるいは関心を示していた企業、メディアやビジターにさらに不確実性を与えています。IFAだけでなく世界中の同様のイベントのために参加者は皆、予算や投資、移動など前もって計画する必要があります」。

もう1つの大きな理由が、Messe Berlin(コンベンションセンター)が緊急医療施設、そしてワクチン接種会場として今後も引き続き使用されることだ。ARENA Berlinで計画されているBerlin Photo Week、そしてHIFT Mobilityイベントは開催される。一方でIFAは2022年9月2日に戻ってくる予定だ。

今回のニュースの前には、数多くの有名企業が2021年6月下旬にバルセロナで開催されるMWCに出展しないことを決めている。これまでのところ出展を取りやめた企業はQualcomm、Google、IBM、Nokia、ソニー、Oracle、Ericsson、Samsung、Lenovoなどだ。前回のIFA同様、MWCの運営組織は移動規制や出展を取りやめた企業、ワクチンを接種した人ですら持っている一般的な警戒感があることを考慮し、数多くの安全措置を取っていること、そしてイベントを縮小する意向を示している。

MWCはオンラインと会場での展示を展開するハイブリッドイベントのようなものになる。一方、IFAは完全にキャンセルとなったようだ。一般の人も来場するという点でベルリンのトレードショーは他の見本市と大きく異なる。

【更新】MWCの主催者は、TechCrunchに次のようなコメントを寄せてくれた。

世界情勢が不透明な中でイベントを企画するのは容易なことではありません。また、今年、常連客を集めるのに苦労されたイベント業界の方々にも同情いたします。私たちは、IFAのようなイベントが来年も開催されることを願っています。今年のMWCバルセロナは数週間後に迫っていますが、私たちは自分たちの計画に自信を持ち、イベントを成功させるためにパートナーと懸命に取り組んでいます。

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カテゴリー:イベント情報
タグ:IFA新型コロナウイルスワクチンドイツベルリン

画像クレジット:Michele Tantussi / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

1度のフライトで3回の荷物配達が可能な新型ドローンをWingcopterが発表

ドイツのスタートアップ企業であるWingcopter(ウイングコプター)は、ドローンによる輸送サービスの成長を妨げている技術的なボトルネックを取り除くために設計された、新しい自律飛行型配達用ドローンを発表した。

現地時間4月27日に公開された「Wingcopter 198」は、1度のフライトで3回に分けた配達が可能だという。Wingcopterは、このマルチストップ機能を、コスト効率の高い(そして願わくば利益を生む)ドローンによる配送サービス事業を成長させるための重要な機能としている。

2017年に設立された同社は、ドローンの製造からスタートした。その収益を元に規模を拡大し、現在ではドローンによる配送をサービスとして提供するビジネスモデルを展開している。「ドローンを作るだけでなく、ネットワークを作ること、それが私たちの次のミッションです」と、同社CEOのTom Plümmer(トム・プラマー)氏はTechCrunchに語った。現在、同社のウェブサイトでは、ヘルスケア、eコマース、食料品の配送などを目的としたデリバリー事業を推進している。プラマー氏の声明によると、その究極の目的は「空の物流ハイウェイ」を作ることだという。

それを実現するための鍵となるのが、特許取得済みのティルトローター推進機構だ。同社はこれを、スムーズな垂直離着陸や空中での正確なホバリングを可能にするマルチコプターと、長距離の高速飛行を可能にする固定翼という、2種類のドローンの利点を組み合わせたものと主張している。

新モデルのWingcopter 198は、最高速度が150km/hで、1回のバッテリー充電で最大6kgの荷物を75km以上の距離まで運ぶことが可能だ。荷物を減らせば最大110kmの距離を飛行できるという。

強風などの悪天候にもチルトローターは自動的に対応できると、プラマー氏は説明する。そのアーキテクチャには、冗長性と安全性のために8基のモーターが搭載されている。

画像クレジット:Wingcopter

このドローンは、障害物を回避したり、指定された場所に荷物を投下するためのセンサーとソフトウェアを搭載しており、すべて自動化されている。そのため、人間のオペレーターが1人いれば、世界中のどこからでも、Wingcopterのコントロールステーションソフトウェアを搭載したPCを使って、この新型ドローンを最大10機まで監視・操作することができる。プラマー氏の説明によると、ドローンの操作は、オペレーターがソフトウェアプログラムの「スタート」を押すだけでいいという。

プラマー氏は、チルトローターシステムの拡張性も強調し、(理論的には)より大きな航空機に適用して、貨物や人間の乗客を運ぶことさえ可能だと述べている。

「単にコストの問題です」とプラマー氏は語り、同社にはチルトローター機をスケールアップさせるために必要な航空・航空工学の経験を持つ人材がすでにいると言及した。「しかし私たちは、まずは小さいバージョンから始めて【略】何千時間、何千キロメートルものフライトを行い、その成果を次世代のWingcopterに反映させていくことによって、まずは貨物用から後に人の移動用へと、徐々に大型化していくことができると考えました」。

プラマー氏によると、同社のドローンを軍事目的や監視目的で使用する企業や政府機関と協力関係を築くつもりはないという。その理由は「主にモラルです」と、同氏はいう。「私たちのビジョンにはそぐわないと考えています。私たちのビジョンは、ドローン技術とドローンソリューションを使って人命を救い、生活を向上させることです」。

将来を見据えて、Wingcopterは現在、米国での商業飛行を可能にする連邦航空局の認証取得を目指している。この認証を得られれば、競合の少ない分野で事業を展開する企業の1つとなる。同社は2021年1月に2200万ドル(約24億円)のシリーズA投資ラウンドを実施したばかりだが、新たな資金調達にも目を向けている。現在は約120名の従業員が働いているが、シリーズBで資金を追加投入すれば、AI、操縦、生産などの専門知識を持つ人材を雇用することが可能になるからだ。

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カテゴリー:ドローン
タグ:Wingcopter資金調達ドローン配送

画像クレジット:Wingcopter

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】2021年、テック見本市は復活するのか?

この1年はカンファレンス業界にとって壊滅的な1年だった。これはTechCrunchでも取り組んできた問題であり、我々はすでにプログラムをバーチャル環境に移行している。地理的条件、出席率、その他のさまざまな要因に応じて、個々のケースごとに個別の解決策が必要であることは明らかである。

IFAは対面の要素について強気であることを実証している。ベルリンで開催されたテクノロジーショーは、ヨーロッパにおける数少ないイベントの1つとなった。IFAは2020年9月に、大幅に縮小されたもののリアルイベントを開催した。

「少し詩的な表現をすると、例年の夏の終わりには、ベルリンには特別な空気があり、朝外に出るとこの空気を感じることができます」とディレクターのJens Heithecker(イェンス・ハイテッカー)氏は2020年のイベントについて筆者に語った。同イベントの出展企業は2300社から約170社に規模が縮小されている。

新型コロナウイルスとその変異株に対する懸念が長期化しているにもかかわらず、案の定、同組織は2021年大規模な復活を計画している。このショーの秋の復活を発表するプレスリリースは、まさにお祝いモードである。

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「新型コロナウイルスのパンデミックから世界が回復に向けて前進する中、IFAベルリンは2021年9月3日から7日にかけて、フルスケールのリアルイベントを開催します」と同社は記している。「あらゆる業界のブランド、メーカー、小売業者がベルリンで出展し、ネットワークを構築し、ともにイノベーションを推進することに大きな関心を寄せています」。

同組織は、2020年のイベントから引き続き行われる安全衛生対策を強調し、まだ規模について語る準備は十分に整っていないものの、カンファレンスの新しい内容や方向性をいくつか紹介している。

同社は声明で次のように述べている。「これまで同様、訪問者や出展者の安全を守ることが最優先事項です。ご来場のみなさまの健康を確保するために入念な感染予防対策を講じますので、IFAベルリン2021が出展企業数や来場者数で過去最高記録を更新することは難しいかもしれませんが、業界を再びリードするべく、IFAは本格的な復活を目指します」。

一方スペインでは大手企業数社が「バーチャル」でのみショーに参加する意向を示しているため、GSMAは現在も方向性を検討している。

主催者はTechCrunchに以下の声明を提供した。

MWCバルセロナ2021では、すべての企業の参加は難しい状況ですが、Verizon※、Orange、Kasperksyなどの出展企業に参加していただくことをうれしく思います。誰もが独自のMWC体験を楽しめるように、業界をリードするバーチャルイベントプラットフォームを開発しました。MWCバルセロナに集う方々全員が最適なかたちで参加できるよう、リアルとバーチャルのオプションが用意されています。一部の出展企業の決定を尊重し、それぞれの企業と協働しながらバーチャルプラットフォームへの参加を推進しています。

(※情報開示:Verizonは本誌TechCrunchを所有)

Google、IBM、Nokia、Sony、Oracle、Ericssonはすでにリアル参加しないことを表明している。その他の大手企業はまだ未定のようだ。すべては、最終的に中止が決まった2020年のイベントを思い起こさせる。

こうした大規模なイベントの必要性は、パンデミックが発生する前から疑問視されていたが、バーチャルイベントへの移行にともなって真に浮き彫りになった。実際のところ、ハードウェア関連のリアルイベントには依然として価値があるが、多くはバーチャル環境に適応してきている。先日開催されたCESで学ぶところがあったとしても、このシステムにはまだ解決すべき問題がたくさんある。特にコンテンツの優先順位づけに関連する問題として、すべてが同じファネルを通して効果的に配信されていることが挙げられる。

さまざまな要因が、こういったイベントへの参加意欲を左右する。最も基本的なレベルでは、個人が安心できるか否かだろう(過去のイベントの混雑した写真を見るたびに本能的な反応を示すのは筆者だけではないだろう)。多くの人にとって、大規模な室内カンファレンスにいきなり参加することは、システムに対するストレスのようなものを多少なりとも感じるものではないだろうか。ワクチン接種や特定の地域におけるパンデミックへの対策に関連する要因も存在している(いずれも数カ月のうちに大きく変動する可能性がある)。

米国時間4月15日、ドイツの連邦保健大臣が緊急警報を発し、規制を強化するよう各州に求めた。「2020年の秋以降、迅速な行動の必要性が顕著になっている」とJens Spahn(イェンス・シュパーン)保健大臣はメディアを通じて警鐘を鳴らした。

この他にも、参加を検討している人の居住地や職場が出張を承認するかどうかなど、さまざまな要素がある。多くの企業は不要不急の出張を制限しているが、仕事が何かによって「不要不急」の定義は異なってくるかもしれない。しかし、その間にどれだけの変化が起こり得るかを考えると、多くの人にとって最も健全な戦略は、リモートで物事に取り組むことだ。

4月第3週の初め、GSMAはこれまでの参加者に向けて「MWCバルセロナ2021が開催される理由について」というタイトルの電子メールを配信した。このメッセージは、バーチャル出展を選択する出展者に対して直接話しかけているように受けとれる。

「これを読まれる時期によって異なりますが、バルセロナで開催されるMWC21の開幕まで残り約12週間となりました」とCEOのJohn Hoffman(ジョン・ホフマン)氏は記している。「2020年は混乱をもたらしたというだけでは不十分な表現であり、新型コロナウイルスの影響を受けたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。私は将来に希望を持っており、またMWC21で私たちのエコシステムを招集できるということをとても楽しみにしています。誰もがリアル参加できるわけではないことを認識しており、MWCバーチャルプログラムでショーのコンテンツをお届けすることで物理的なイベントを補強しますので、その点は問題ありません」。

フラッグシップショーを1年間中断していたら、壊滅的だったかもしれない。こうした主催者、そして観光費に頼る地方自治体の多くにとって、2年間という期間は考えられないだろう。新型コロナウイルスのパンデミックが発生した年のMWCのバーチャル戦略は、当然のことながら未熟なものだった。

しかし1年以上が経過した今、GSMAをはじめとする各組織はより強固な戦略を確立しているはずだ。実際のところ、バーチャルへの移行は1回や2回限りのものではない。パンデミックの影響を強く受けている多くの企業や人々にとって、これは未来の姿を象徴しているのだ。

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タグ:イベント新型コロナウイルスコラムバーチャルイベントIFAベルリンGSMAドイツMWC

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

パソコンやスマホ、スクーターなどの電子機器サブスク事業成長に向けて独Groverが約79億円調達

商品を自分で所有するのではなく、一時的に利用するために少額の支払いをするという循環型経済のコンセプトを取り入れたスタートアップ企業Grover(グローバー)が、ヨーロッパにおける事業、さらにその先を見据えた規模拡大のために6000万ユーロ(約79億円)の資金調達を行った。同社はベルリンを拠点とし、パソコンやスマートフォン、ゲーム機やスクーターなどの電子機器を一定の料金で貸し出すサブスクリプションモデルを展開している。

調達の内訳は、株式で4500万ユーロ(約59億円)、ベンチャー融資で1500万ユーロ(約20億円)である。

Groverの登録者数は2020年9月時点で10万人。現在は15万人で、2021年中に3倍の45万人の登録を目指すとしている。市場拡大を目的に資金を活用し、ドイツやオーストリア、オランダ(すでに事業は稼働中)における事業成長や、スペインや米国におけるローンチも予定されていて、さらに健康やフィットネスデバイス、消費者向けロボットやスマート家電などの製品も新たに取り扱っていく。

また、そのレンタルサービスにおけるイノベーションに投資していく計画もある。2020年のコロナ禍によって多くの人が金銭面の余裕がなくなり、この先どのような機器が必要になるかなど、将来のことを計画することが難しくなったことで、多くの人が消費を少なくして自身や他の人が持つものを有効活用することに関心を持ち始めた。

「消費者は製品購入時に、使いやすさや柔軟性、長く使えるかどうか、という点を評価するようになりました。テクノロジーが実現する生産性や娯楽、大切な人とつながる機能などを考える際に特に顕著です」とGroverのCEOであるMichael Cassau(マイケル・カサウ)は話す。「新たな調達資金により、私たちは世界中のより多くの人々にこうした可能性を届けられるようになりました。これにより弊社にご登録頂いているみなさまに比類ない顧客体験を提供し、人々や事業がテクノロジーを使ってその恩恵を享受できるさらに革新的な方法を提供できるようになります。投資家のみなさまからの心強いサポートによって、当社のサービスがみなさまにお届けする大切な価値のみならず、Groverの大いなる成長可能性も確かなものとなりました。私たちはまだ、1兆ユーロ(約130兆円)のグローバル市場の入り口にいるに過ぎません」。

JMS Capital-Everglen(JMSキャピタルエバーグレン)はシリーズBの株式ラウンドを主導し、Viola Fintech(ビオラフィンテック)やAssurant Growth(アシュアレントグロース)、既存の投資元であるcoparion(コパリオン)、Augmentum Fintech(アグメンタルフィンテック)、Circularity Capital(サキュラリティキャピタル)、Seedcamp(シードキャンプ)、Samsung Next(サムスンネクスト)といった企業が参加、また名前が明かされていない企業創業者やエンジェル投資家もヨーロッパや北米などから参加。Kreos Capital(クレオスキャピタル)が融資を行った。

Samsungは戦略的投資家だ。Goverとともに2020年12月にサブスクリプションサービスをローンチしているが、同社のS21シリーズが選択可能なモデルとなっており、それ以外にもTab S7やGalaxy Aモデル、またプランによってはウェアラブルデバイスやスマートホームデバイス、テレビ、ノートブックなども利用できる。ドイツで開始されたSamsung Powered by Groverというサービスは、今回の投資の一部を利用して他の市場に展開していく計画もある。

この資金は、Groverが2.5倍(150%)の成長をした年の翌年に得られる。最も直近の年次レポートによれば2020年の9月の時点で10万人ものアクティブユーザーが存在し、同時期に1万8000台のスマートフォン、6,000ものAirPods、1300もの電子スクーターをレンタルしているとされている。また、最も直近の事業年度で、純収入は約4300万ドル(約47億円)、経常収益は年間7100万ドル(約77億円)で、EBITDAベースで黒字に転じている。

パンデミックの直前に250万ユーロ(約3億円)の融資を受け、2018年に4400万ドル(約48億円)をシリーズA調達、2019年には4800万ドル(約52億円)を株式と負債を合わせたプレシリーズBで調達した。評価額は開示されていない。

同社のサービスは、サブスクリプション経済モデルを中心とするサービスを形成するスタートアップ企業の広いカテゴリーに属する。サブスクリプション経済モデルは、クルマなどの資本を多く必要とするカテゴリーを扱うが、より手頃でインターネットで完結する音楽や動画配信といった消費可能商品も対象としている。

実際、物理的なDVDを届け、見終わったら次の映画を観るために返却してもらうというサブスクリプションモデルから始まったNetflixの歴史をなぞらえ、Groverは「ガジェットのNetflix」と呼ばれている。

クルマや映画と同じく、サブスクリプションでガジェットを所有することについては議論の余地がある。消費者は、手にするものが高額になればなるほど、購買余力に対して多くの割合を占めるようになればなるほど、自分のものとして所有するためにお金を出すことについて消極的になると考えられる。ガジェットの価値は消費者が購入した直後から下がっていくのだから尚更だ。

一方、現在では多くの消費者がサブスクリプションに登録し、普段利用しているサービスに電子的に支払いを行っている。Amazon PrimeやSpotifyと同様に、Groverを含め、物理的なものを扱うその他のサブスクリプションは、簡単にサービスを受けられるというモデルを物理的な商品に適用しようとしている。

小売業者にとっては、消費者に製品を提供する別の選択肢が生まれることになる。直接購入だけでなく、クレジットや後払いなどのオプションを提供することによって契約を成立させることが可能となる。ショッピングカートに入れたまま放置されたり、オンラインの競合他社に競り負けたりすることも現実ではよく見られるので、少しでも収益を上げることができればそれは勝利である。そして、商品のメンテナンスをGroverのようなサードパーティに任せ、ガジェットを実際に所有したいとする顧客に対しての割増金を設定したり、ビジネスの安全性を充分に高めたりすることができれば、直接販売よりもずっと利益率が高くなる可能性もある。

中古商品を使うことに懸念する人もいるが、状況は変わりつつある。消費者が自分の持っているものを再販売することを手助けすることで大きな成長を遂げた企業が数多く存在する。このトレンドの影には、購入者が支出を抑えたいと考える(そして販売者は多少なりとも支払いを受けることができる)ようになったことがあるが、すでに経済の中で用いられたものを使うことで、環境負荷を減らしたいと考える人が増えたことも関連している。ヨーロッパだけでも、4月第1週にはブライトンに拠点を置くMPBが約7000万ドル(約76億円)を中古カメラ設備マーケットプレイスのために調達した。その他最近の取引としては、中古マーケットプレイスであるスペインのWallapop(ワラポップ)が1億9100万ドル(約208億円)を調達し、衣料系に特化したVestiaire Collective(バスティエールコレクティブ)が2億1600万ドル(約235億円)を調達している

ここで興味深いのは、時流なのか、Groverがガジェットのサブスクリプションモデルに風穴を開けたからなのか、同社はこれまで紆余曲折のあった分野で躍進を遂げているように見えることだ。

米国のLumoid(ルモイド)も、ガジェットのレンタルに注目しており、大手小売業のBest Buy(ベストバイ)との契約を結び注目されながらも、サービスを行うのに必要な資金の調達に失敗し、最終的には閉業した。この市場に挑戦しているのはGroverだけではない。たとえばTryatec(トライアテック)Wonder(ワンダー)なども、スタートアップからの技術の挑戦に注目しているようである。

大きな問題は、Groverがそのレンタル、サブスクリプションモデルの市場をこれから見つけられるかどうかではなく、サプライチェーン管理、商品の発送と受け取り、必要に応じた調整や修復、それらにおける強力な顧客サービスを維持できるかどうかの経済性を解消できているかということだ。これまでに何度も見られていたように、あるレベルにおいて良いアイデアと考えられても、実際に実行するとなると非常に難しいということは珍しくない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Groverサブスクリプションドイツベルリン資金調達レンタル循環型経済

画像クレジット:Grover

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

企業向けノーコードツールの米国展開に向けてベルリンのBryterがさらに72.5億円調達

ノーコードスタートアップ企業が、企業の間で多くの支持を集め続けている。ノーコードを使って、従業員たち(まあ非技術者ではあるもののソフトウェアそのものは毎日利用しているような人たち)が、自分の仕事の反復的な部分を実行させるためのアプリを作っているのだ。そうした従業員たちは仕事の世界では「市民コーダー」とも呼ばれている。

ベルリンを拠点とするBryter(ブライター)は、AIを活用したノーコードの新しいスタートアップだ。これまでに約100社のグローバル企業で、約2000のビジネスアプリケーションやワークフローに利用されているプラットフォームを、構築してきたが、今回そのチャンスをさらに拡大するために、新たな資金調達を発表した。今回BryterがシリーズBとして調達したのは6600万ドル(約72億5000万円)で、この資金は、同社のプラットフォームへの投資と、2020年開設したニューヨークオフィスから始める米国全体に向けての事業拡大に充てられる。CEOで共同創業者のMichael Grupp(マイケル・グラップ)氏はインタビューの中で、今回の資金調達は、同社のツールに対する多くの需要があることを受けて行われたものだと語っている。

Micha-Manuel Bues(ミカ=マヌエル・ビュー)氏ならびにMichael Hübl(マイケル・ヒューベル)氏と、共同で会社を創業したグラップ氏は「2020年はローコード、ノーコードのプラットフォームにとってすばらしい年でした」と語る。「みんなが気づいたのは、ほとんどの人は技術に関心がないということです。人びとはユースケースにしか関心がないのです。仕事を終わらせたいだけなのですから」。彼らのサービスを使う顧客には、欧州のMcDonald’s(マクドナルド)、Telefónica(テレフォニカ)、PwC、KPMG、Deloitte(デロイト)をはじめとして銀行、ヘルスケア、そして製造業などが名を連ねる。

今回のラウンドを主導しているのはTiger Globalで、既存の投資家であるAccel、Dawn Capital、Notion Capital、Cavalry Venturesが参加し、そして数多くの個人投資家たち(たとえばDataDog CPOのAmit Agharwal(アミット・アガルワル)氏、Qilkの元CEOのLars Björk(ラーズ・ビョーク)氏、Seal Softwareの創業者でCEOのUlf Zetterberg(ウルフ・ゼッターバーグ)氏、ServiceNowの元グローバルSVPのJames Fitzgerald(ジェームズ・フィッツジェラルド)氏など)も加わっている。

AccelとDawnが共同して主導した1600万ドル(約17億6000万円)のシリーズAが行われたのは、まだ1年も経っていない2020年6月のことだった。この急速な資金調達ペースは、ノーコード / ローコード両分野への関心の高さを示すものであり(Bryterの企業顧客数はそのときの50社に比べて倍増している)、同時にこの分野のスタートアップたちが鉄は熱いうちに打とうとしていることを示している。

この分野を狙うのは1社だけではない。Airtable(エアテーブル)、Genesis(ジェネシス)、Rows(ロウズ)、Creatio(クリエシオ)、Ushur(アッシャー)など、ここ数カ月の間に資金調達を行った「非技術者のためのハンズオンテック」指向のスタートアップ企業は多い。

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自動化が、このような活動を推進する大きなトレンドとなっている。現在、ナレッジワーカーたちは、ほとんどの時間をアプリで過ごすようになっている。これはパンデミック以前から進んでいた状況だが、パンデミックの中でさらに進んでいる。そうした作業の中には、人の手による作業や評価が必要なものもあるが、ソフトウェアによってそれらの作業の大部分が自動化されてきている。

UiPath(UIパス)、Automation Anywhere(オートメーション・エニウェア)、Blue Prism(ブルー・プリズム)などの企業が大きな役割を果たしているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、そうした活動の大きな部分を占めている。特にフォームの読み取りや大量のデータ入力に関しては顕著だ。しかし、RPAが一般的に使用されていない(少なくとも「まだ」使用されていない)、特定のアプリ内での多くの処理や活動が残されている。そしてそういう場所こそが、技術者ではない人たちが、Bryterのようなノーコードツールが非常に有用な役割を果たしてくれることに気づいている場所なのだ。そうしたノーコードツールは、人工知能を利用して、よりパーソナライズされ、しかも拡張性のある自動化を実現してくれる。

「多くのケースで、私たちはRPAのさらに上にサービスを提供しています」とグラップ氏はいう。

同社のプラットフォームが導入されている分野は、コンプライアンス、法務、税務、プライバシーとセキュリティ、調達、管理、人事などで、そこにバーチャルアシスタント、チャットボット、インタラクティブなセルフサービスツールなどが組み込まれているという。これらは人間に代わるものではないが、情報を処理するための特定の作業に必要な人間の時間を削減してくれる。

そのスケーラビリティの高さと、技術的なアーリーアダプターを超えて急速に顧客を獲得できたことが、今回の資金調達の理由だ。Tiger GlobalのパートナーであるJohn Curtius(ジョン・クルティウス)氏はこう語る「Bryterは、顧客の真の痛みを解決できる高品質の製品、大きな市場機会、世界クラスの創業チームなど、一流のソフトウェア企業の特徴をすべて備えています。私たちの調査によれば、Bryter社の顧客からのフィードバックは圧倒的に肯定的なものでした。今後数年間で同社が新たな高みに到達することを期待しています」。

Dawn CapitalのパートナーであるEvgenia Plotnikova(エブガニア・プロットニコバ)氏はこう付け加える「Bryterは2020年爆発的な成長を遂げ、多くの分野やユースケースですばらしい顧客を獲得しました。しかし、これは驚きではありません。パンデミックの影響を受けた世界では、デジタル化は『あれば便利』なものではなく、もはや『必要不可欠』なものなのです」。

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タグ:Bryterベルリンノーコード資金調達ドイツRPA

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

イントラネットを構築するドイツのStaffbaseが約160億円調達

Staffbaseは、イントラネット方式の内部通信プラットフォームを企業に提供している。同社は、グロウスエクイティ投資企業のGeneral Atlanticがリードするラウンドで1億4500万ドル(約160億円)を調達した。これまでの投資家であるInsight Partnersとe.venturesもこのラウンドに参加している。

2014年にドイツのケムニッツで創業したStaffbaseはこれまでに1000社あまりのクライアントを抱え、その中には有名企業のAdidasやAudi、BHP、Deutsche Post DHL、Groupon、Hitachi、Ikea、Johns Hopkins University、McKesson、Paulaner、Suncor、Viessmann、Volvoなどもいる。

同社は2021年3月初めに、カナダの内部通信プロバイダーBananatagと合併した。

新型コロナウイルスのパンデミックはいうまでもなく企業のデジタルツール採用を加速させ、当然Staffbaseもその恩恵を受けた。同社の主な競合他社は、これまで1億1480万ドル(約127億円)を調達したDynamic Signalと、4700万ドル(約52億円)を調達したSocial Chorusとなる。イントラネットというカテゴリーの中では、2910万ドル(約32億円)を調達したSimpplrや6800万ドル(約75億円)を調達したUnilyとも競合している。

Staffbaseが主張する同社のアドバンテージは、社員たちのモバイルアプリとイントラネットを統一し、またMicrosoftのMicrosoft 365のエコシステムやSlackのメッセージングプラットフォームも統合していることだ。

Staffbaseの共同創業者でCEOのMartin Böhringer(マーティン・ベーリンガー)博士は、声明で次のように述べている。「私たちはエンタープライズ企業のマネージャーや通信のスペシャリストに確実に成功するトップクラスのデジタルプラットフォームを提供している。そのプラットフォームは極めて急速に拡大している。General Atlanticとのパートナーシップにより、弊社の成長は特に北米地区において加速されるでしょう」。

一方、General AtlanticのマネージングディレクターであるChristian Figge(クリスチャン・フィゲ)博士は次のように述べている。「Staffbaseはグローバルなパイオニアとして、特に企業の社員の体験の向上に的を絞ったソフトウェアを開発し、エンタープライズの内部通信とエンゲージメントの変化を支えています。Staffbaseは、高品質な起業家精神の好例であり、ドイツで生まれたグローバルな視野を持つ革新的な企業の一員でもあります」。

Staffbaseのワークフォースは現在450名で、ロンドン、ニューヨーク、バンクーバー、アムステルダム、ベルリンなど世界11カ所にオフィスがある。

 

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ベルリンの高級車配車サービスBlacklaneが約28億円調達、持続可能な移動手段として事業拡大を目指す

世界的にUber(ウーバー)の規模が拡大し続ける一方で、ドイツではより小規模なオンデマンド交通機関のスタートアップ企業が資金を調達し、特定のサービス分野をターゲットとするスタートアップにチャンスが残されていることを証明した。Blacklane(ブラックレーン)は、ベルリン、ロンドン、ドバイ、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、シンガポールをはじめとする16都市で、オンデマンドの黒塗りの高級車による運転手サービスを提供しているベルリンのスタートアップで、この度2200万ユーロ(約28億円)の資金調達ラウンドを終了した。

Jaguar(ジャガー)が起ち上げてロンドンで運営している電気自動車を使った配車サービス「Havn」の株式の過半数を2月に取得したBlacklaneは、今回の資金調達を利用して、持続可能な移動への取り組みを継続的に拡大するとともに、より柔軟な乗車オプションを提供し、既存のビジネスを継続的に拡大していくという。

新型コロナウイルスとそれにともなう旅行の減少、特に狭い空間を他人と共有したいと思う人々が減ったことで、Blacklaneの2020年の月次収益は99%減少した。だが、アップラウンドの評価額で行われた今回の資金調達は、そんな1年を経て、同社がいかに成長の兆しを見せているかを示すものだ。

「世界の旅行業界とモビリティ業界は苦境に立たされており、いくつかのプレイヤーは大幅な削減、休眠、事業停止の間で苦闘しています。Blacklaneはこれを、旅行者の新たなニーズに応える機会と捉えています」と、Blacklaneの共同設立者でCEOを務めるDr. Jens Wohltorf(イェンス・ウォルトーフ博士)は声明の中で述べている。「今回の資金調達のおかげで、レイオフをすることなく、イノベーションを迅速に進めていくことができます」。

同社によると、今回の資金は、既存の投資家であるドイツの大手自動車会社Daimler(ダイムラー)、アラブ首長国連邦のALFAHIM Group(アルファヒム・グループ)、btov Partners(ビートゥブイ・パートナーズ)からのものだという。アップラウンドによるとのことだが、Blacklaneはいかなる数字も開示しておらず、評価額も明らかにしていない。これまでの支援者には、日本の大手人材派遣企業であるRecruit Holdings(リクルートホールディングス)の戦略的投資部門も含まれており、2018年には約4500万ドル(約49億円)のラウンドを行うなど、同社はこれまでに約1億ドル(約109億円)を調達している。

今回の資金調達は、新型コロナウイルスの影響から旅行・交通系スタートアップにとって非常に厳しい1年となった後に行われたものだが、Blacklane自身も2020年のパンデミック発生後に月次収益が99%減少したと述べている。

同業他社の中には、フードデリバリーや他の交通手段(自転車やスクーターなど)など、他の分野に多角化することで、より中核的な配車サービス事業を補うことができた企業もある。その一方で、配車サービスは公共交通機関よりも安全な移動手段とも捉えられている。しかし、Blacklaneは、自分たちを「すべての人々が利用する乗り物」とは位置づけておらず、その中心的なユースケースは、高級ハイヤーや空港への送迎(これも死に絶えていた)であった。そのため、人々の移動が止まると、Blacklaneのビジネスは急落した。

パンデミックの前には、集中的なビジネスモデルで利益を上げることができそうだったことを考えると、Blacklaneにとっては特に悪いタイミングだった(2020年の財務状況が明らかになるにはもうしばらく時間がかかるが、同社から発表された直近の決算では、2018年に約1800万ドルつまり20億円近い純損失を計上している)。

しかし、Blacklaneがアップラウンドで資金を調達できた理由は、別の側面にある。

2020年の夏、交通機関や旅行会社が少しずつ回復の兆しを見せ始めたとき、同様に回復の兆しを見せたBlacklaneは、それと同時に多様化に向けて一歩を踏み出した。

2021年3月初めには、22都市で、注文までのリードタイムを30分に短縮した「ショーファー・ハイヤリング」というオンデマンドサービスを追加した(従来のサービスはもっと事前に予約が必要だった)。また、収益の基盤となっていた空港送迎がまだほとんど戻ってきていないことから、短距離サービスの料金体系を競争力を高めるように変更した。

さらに、Blacklaneは、ジャガーが設立した電気自動車サービス「Havn」の株式の過半数を非公開で取得。すでに同社が運用していたTesla(テスラ)の車両と合わせて、より持続可能な移動手段への移行を先導している。「世界的な旅行規制は、我々にとって、安全で持続可能な旅行に対する可能性をリセットするための一度きりのチャンスです」と、ウォルトーフ博士は声明の中で述べている。「Blacklaneは責任を持って回復し、人と地球の両方に配慮しながら成長を続けていきます」。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ドイツ裁判所がフェイスブックに対する「スーパープロファイリング」訴訟を欧州司法裁判所に付託

ドイツ裁判所は、了解なくユーザーデータを組み合わせることを禁止する現地競争当局の先駆的プライバシー保護命令に対するFacebookの上訴を検討していたが、同裁判所はヨーロッパの最高裁判所に付託することを決定した。

現地時間3月24日のプレスリリースでデュッセルドルフ裁判所は次のように書いた。「Facebookの上訴は、欧州司法裁判所(ECJ)に付託した後にのみ裁決できるという結論に達した」。

「Facebookがドイツ市場におけるソーシャルネットワーク提供者としての独占的立場を乱用し、EU一般データ保護規則(GDPR)に反してユーザーのデータを収集、利用していたかどうかは、ECJに付託することなく結論を下すことはできません。なぜなら、欧州法の解釈についてはECJが責任を負っているからです」。

ドイツ・連邦カルテル庁(Bundeskartellamt)の「搾取的不正使用」の告訴は、Facebookが自社製品のユーザーに関わるデータを、ウェブ全般、サードパーティーサイト(同社がプラグインや追跡ピクセルを提供している)、および一連の自社製品(Facebook、Instagram、WhatsApp、Oculus)を通じて収集する能力を、同社の市場支配力と結びつけている。すなわち、このデータ収集はユーザーに選択権が与えられていないため、EUプライバシー法の下で違法であると主張している。

したがって関連する争点は、不適切な契約条項によってFacebookが個々のユーザー毎に専用データベースを作ることが可能になり、ユーザーの個人データをそこまで広く深く集められないライバル他社に対し、不公正な市場支配力を得ているかどうかにある。

カルテル庁のFacebookに対する訴えは、(通常は)別々であり(かつ矛盾すらある)競争法とプライバシー法の論理を組み合わせている点で、極めて革新的だとみられている。実際にこの命令が執行されれば、Facebookのビジネス帝国の構造分離を,さまざまなビジネスユニットの分割命令を下すことなく実現できるという興味深い可能性をもっている。

ただし、現時点(カルテル庁がFacebookのデータ慣行の捜査を開始した2016年3月から早5年)での執行には、まだ大きな疑問符がつく。

ユーザーデータ照合を禁止する2019年2月のカルテル庁による命令からほどなくして、Facebookは2019年8月の控訴によって命令を停止させることに成功した。

しかし2020年の夏、ドイツ連邦裁判所はこの「スーパープロファイリング」禁止命令の停止を解除し、テック巨人による無断データ収集に対するカルテル庁の挑戦を復活させた。

この最近の展開が意味しているのは、これまでEUのプライバシー規制当局が失敗してきたことが競争法の革新によって遂行されるのかどうかは、当分待たなくてはわからない、ということだ。Facebookに対する一般データ保護規則を巡る複数の訴訟が、アイルランドデータ保護委員会のデスクの上に未決のまま置かれている。

どちらの道筋をとるにせよ、現時点でプラットフォームの支配力を「迅速に動いて破壊する」ことが可能になるとは思えない。

陳述の中でデュッセルドルフ裁判所は、Facebookのデータ収集のレベルについて問題を提起しており、ユーザーに選択肢を与え、幅広いデータソースではなく、自分でアップロードしたデータのみをプロファイリングに使い、InstagramやOculusのデータ利用方法について問い合わせることで、Facebookは反トラストの問題を回避できることを示唆した。

しかし、同裁判所はカルテル庁のアプローチの欠陥も見つけている。Facebookの米国およびアイルランドにおける事業体が、ドイツのFacebookに対する命令が発行される前には公正な発言機会を与えられなかったことなどいくつかの手続きの不備を指摘した。

欧州司法裁判所への付託は、最終結果が得られるまで数年かかることがある。

今回のケースで欧州司法裁判所は、カルテル庁が権限を逸脱していないかの検討を依頼されている可能性が高いが、実際に付託されている内容は確認できない。プレスリリースによると、今後数週間のうちに書面で公表される見込みだ。

Facebook広報担当者は、裁判所のこの日の発表に対する声明で次のように述べた。

本日デュッセルドルフ裁判所は、カルテル庁の命令の正当性に疑問を呈し、欧州司法裁判所に付託することを決定しました。当社はカルテル庁の命令が欧州法にも違反していると確信しています」

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookEUドイツプライバシー

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ノーコードビジネスインテリジェンスサービスのy42が3.2億円のシードラウンドを実施

ベルリンを拠点とするy42(旧称Datos Intelligence)が、現地時間3月22日、La Famiglia VCが主導する290万ドル(約3億2000万円)のシード資金調達を行ったことを発表した。y42はデータウェアハウスを中心としたビジネスインテリジェンスサービスを提供しており、企業がエンタープライズレベルのデータに、表計算ソフトのような手軽さでアクセスできるようすると約束する企業だ。同時に、Foodspring(フードスプリング)、Personio(パーソニオ)、Petlab(ペタラブ)の共同創業者たちも出資している。

2020年に創業されたこのサービスは、100種類以上のデータソースを統合しており、Airtable(エアテーブル)からShopify(ショッピファイ)、Zendesk(ゼンデスク)といった標準的なB2B SaaSツールや、Google(グーグル)のBigQuery(ビッグクエリー)などのデータベースサービスを網羅している。ユーザーは、こうしたデータを変換して視覚化し、データパイプラインを編成し、そのデータに基づいて自動化されたワークフローを起動することができる(売上が下がったときにSlackで通知を送ったり、独自の基準に基づいて顧客にメールを送ったりするといった用途を想像して欲しい)。

類似のスタートアップ企業と同じように、y42は従来分析のために使用されていたデータウェアハウスのコンセプトを拡張し、企業によるそうしたデータの活用を支援する。このサービスの中核は多くのオープンソースで構成されており、例えば同社はGitLabs(ギットラブ)のデータパイプライン構築用プラットフォームMeltano(メルタノ)の開発に貢献している。

y42の創業者でCEOのフン・ダン氏

y42の創業者でCEOのHung Dang(フン・ダン)氏は「私たちは、最高のオープンソースソフトウェアを採用しています。本当に達成したいのは、本当にわかりやすくて、誰もが効率的にデータを扱うことができるツールを作ることなのです」と語る。「私たちは非常にUXにこだわっていますし、自分たちをノーコード / ローコードのBIツールと表現していますが、私たちのサービスはエンタープライズレベルのデータスタックのパワーとGoogle Sheetsのシンプルさを兼ね備えています」。

ベトナム出身のダン氏は、y42以前に、10カ国以上で事業を展開する大手イベント会社を共同創業し、数百万ドル(数億円)規模の売上を達成した(ただし、利益率は非常に低いものだった)が、同時にビジネス分析に的を絞った自身の研究を進めていた。その結果、B2Bデータ分析に特化した2社目の会社を創業することになったのだ。

画像クレジット:y42

彼によれば、イベント会社を創業した際にも、常に製品やデータを重視していたという。「お客様の声を収集し、業務データと統合するためにデータパイプラインを構築していましたが、当時は本当に苦労していました」と彼はいう。「Tableau(タブロー)やAlteryx(アルテリックス)などのツールを使っていたのですが、それらを組み合わせるのはとても難しく、しかもとても高価でした。そこで、その欲求不満から、かなり使える社内ツールを開発し、2016年にはそれを使って、実際の会社を起業することにしたのです」。

彼はその後、その会社をドイツの大手上場企業に売却した。この取引の詳細についてはNDAによって彼から聞き出すことはできなかったが、彼がy42を設立する前にはEventim(イベンティム)に在籍していたという事実から、なんらかの想像は可能だろう。

こうした彼の経歴を考えれば、y42がデータエンジニアの生活を便利にすると同時に、ビジネスアナリストにプラットフォームのパワーを提供することに重点を置いているのは当然のことかも知れない。ダン氏は、y42が新規顧客を獲得した際には、通常コンサルティングを提供しているが、それは顧客が素早いスタートを切ることができるようにするためだという。製品の持つノーコード / ローコードの性質によって、ほとんどのアナリストたちはすぐに使い始めることができる。また、より複雑なクエリの場合には、グラフィカルなインターフェースからy42のローコードレベルに降りて、サービスが提供するSQLの方言でクエリを書くこともできる。

このサービス自体はGoogle Cloud(グーグル・クラウド)上で動作しており、25人のチームが顧客のために1日あたり約5万件のジョブを管理している。現在同社の顧客には、LifeMD(ライフMD)、Petlab(ペットラブ)、Everdrop(エバードロップ)などがいる。

今回の資金調達を行うまでは、ダン氏は自己資金とエンジェル投資家からのある程度の資金で会社を運営していた。しかし、スタートアップ企業と伝統的な企業を結びつけることに特に重点を置いているLa Famiglia VCが、自社をy42にふさわしいと判断した。

LaFamiglia VCのゼネラルパートナーであるJudith Dada(ジュディス・ダダ)氏は「最初に製品デモを見たとき、その優れた分析能力に加えて、y42プラットフォーム上で多くの製品開発が行われていることに驚かされました」と語る。「ますます多くのデータを扱わなければならなくなった結果、組織内のデータサイロが増え、混沌と不正確なデータにつながっています。y42は、データの専門家であるかそうでない人かを問わず、強力な真の単一情報源を提供してくれるのです。昔データサイエンティストやアナリストだった身としては、その頃y42の機能があればよかったのにと思っています」。

ダン氏は、もっと資金を集めることもできたが、この時点ではチームの出資比率をあまり下げたくないと考えたのだと語る。「小さなラウンドですが、このラウンドによって正しい体制を整えざるを得ません。2021年末に予定しているシリーズAでは、10倍の次元の話を進めています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:y42ノーコードローコードドイツ資金調達

画像クレジット:Jonathan Kitchen / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

アップルが5Gや未来のワイヤレス技術の研究開発のためにドイツで1300億円投資

Apple(アップル)が、ドイツにおける企業支出を増やす計画を発表した。特に、ドイツのミュンヘンに新たな施設を設立する計画が大きなものだ。European Silicon Design Center(欧州シリコンデザインセンター)いう名称のこの施設で、Appleは5Gならびに未来のワイヤレス技術に焦点を当てる予定だ。

同社によれば、ミュンヘンはすでに欧州最大のエンジニアリング拠点となっており、すでに1500人のエンジニアが働いているという。特に、Appleは独自のエンジニアチームを編成して、電源管理チップの開発に取り組んでいる。

関連記事:Appleは電力管理チップの内製を目指してドイツで設計チームを編成中

全体的に見れば、電源管理に取り組むAppleのエンジニアの半数はドイツ国内にいるのだ。そして、ドイツ国内のAppleのチームは、電源管理だけでなく他のチップ設計にも取り組むように拡大してきた。

現在、Appleは今後3年間で10億ユーロ(約1300億円)を新社屋や新しい研究開発に投資する計画だ。AppleはiPhone 12のラインナップに5Gモデムを搭載するためにQualcomm(クアルコム)と提携しているが、AppleはまたIntel(インテル)のスマートフォンモデム事業の大半を買収している。

関連記事:アップルがインテルのモバイル向けモデムチップ事業を約1000億円超で買収

Appleのチームは社内でのチップ開発に加えて、iPhone、iPad、Apple Watchなどのデバイスに、サードパーティー製のハードウェアを統合する作業も行っている。

また、Appleはこの発表を利用して、全体としてドイツ国内に多額の資金を投入していることも宣伝している。AppleはDELO(デロ)、Infineon(インフィニオン)、Varta(ファルタ)などの、ドイツの多くの部品メーカーと提携している。全体として、Appleは過去5年間で、ドイツ企業700社に対して150億ユーロ(約1兆9400億円)の支払いを行っている。

以下はミュンヘンのカールシュトラーセに建築される新しいビルの完成予想図だ。オープン予定は2022年後半となっている。

画像クレジット:Apple

カテゴリー:その他
タグ:Appleドイツ

画像クレジット:Apple

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

柔軟な保険を提供する独インシュアテックHepsterがシリーズAで10.8億円調達

ドイツのインシュアテックプラットフォームであるHepster(ヘプスター)は、Element Venturesが主導するシリーズAラウンドで1000万ドル(約10億8000万円)を調達した。また、Seventure Partners、MBMV、GPS Venturesや、既存投資家も参加した。この資金は、自動化に重点を置きながらHepster保険エコシステムとそのネットワークを拡大するために使う。

ドイツの保険市場は新しいやり方が採用されるのが遅いことで有名だ。Hepsterはこの状況を利用するドイツの保険スタートアップとして、新しい波の一翼を担う。Hepsterを利用すれば、企業は個々のサービスや業界のニーズに合わせて保険契約をゼロから構築できる。例えばeコマースプレイヤーはHepsterが提供するような保険商品をeコマースの旅に組み込むことができる。

したがって、同社の製品は新しいセクターにより適している。例えばドイツの従来のブローカーがカバーすることが滅多になかったようなeバイクのシェアやピア・ツー_ピアレンタルプラットフォームなどだ。ただし、Hepsterは従来の確立された業界にも対応している。

同社には現在700を超えるパートナーがいる。欧州の自転車小売とレンタルを行うGreenstorm MobilityやBaron Mobility、ベルリンを拠点とするカーゴバイクプロバイダーのCitkarやミュンヘンのeバイクスタートアップSUSHIなどだ。

Hepsterの共同創業者でCEOのChristian Range(クリスチャン・レンジ)氏は、声明で次のように述べた。「API主導のエコシステムを備えた最先端のテクノロジーと高度なサービス指向のアプローチにより、私たちは他社とは一線を画しています」。

「ドイツは最もタフな市場であり、最も多くの規制、最も多くの法律があります。ドイツには『ドイツで上手く行くならどこでも上手くいく』という表現があります。また、ドイツ人はあらゆる意味で保険が大好きなので、保険商品の販売という点では大きな市場です。したがって、ドイツには大きな市場の可能性があると思います」とレンジ氏はインタビューで語った。

Element VenturesのパートナーであるMichael McFadgen(マイケル・マクファジェン)氏は次のように述べた。「新しい業界やビジネスモデルが出現するにつれ、企業は従来のブローカーが現在提供してきたものよりもはるかに柔軟な保険の提案を必要とするようになっています。Hepsterはこの分野で突出した企業です。組み込み保険に注力することにより、今後数年間で見返りがあると思われます」。

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画像クレジット:Hepster

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi