GMがバッテリーのエネルギー密度向上でSolidEnergy Systemsと提携

GMのベンチャー部門は5年前にバッテリースタートアップのSolidEnergy Systemsに投資した。今回、GMはMITのスピンアウトを利用してバッテリーにより多くのエネルギーを詰め込もうとしており、これは同社が電気自動車へのシフトを加速させることを目的とした一連の動きの最新のものとなる。

GMのMark Reuss(マーク・ルース)社長は米国時間3月11日に行われたWashington Post Liveカンファレンスでこの提携を発表し、リチウムイオンバッテリーのエネルギー密度を向上する技術によりEVの普及が促進されることを期待していると述べた。合意の一環として、両社はマサチューセッツ州ウォバーンにプロトタイプ製造施設を建設し、2023年までに大容量バッテリーの試作完成を目指す。

SolidEnergy Systems(SES)は、寿命を改善する「アノードを使用しない」リチウムメタル電池を開発した。MITによると、SESのバッテリーは材料の進歩によってエネルギー密度が2倍になり、現在のスマートフォン、EV、ウェアラブル、ドローンなどに使われているリチウムイオンバッテリーに匹敵する安全性を維持しているという。バッテリーパックは小さく、軽量で必要とするスペースも小さくて済む。そのため車両を軽量にできるだけでなく、追加技術を搭載する余裕もできる。

Cairn Energy Research Advisorsの最新レポートによると、この技術とGM自身の知的財産を組み合わせることで、Tesla(最も安価なリチウム電池とEV用バッテリーパックを持つ自動車メーカー)に対する競争力をGMにもたらす。

GMの広報担当者Philip Leinert(フィリップ・ライナート)氏は「リチウムメタル電池に関しては、すでに多くの重要な知的財産があり、49件の特許が付与され、さらに45件が出願中です」と述べている。「リチウム電池のプロトタイプに関するSESとの共同事業で、IPの増加はさらに加速されるでしょう」。

GMには、EVに対して大きな野望がある。同社は2025年までに30種のEVをグローバルに導入し、2035年にEVのみを販売する計画だ。

今回のGMの発表は、同社がEV戦略の心臓部であるバッテリーとセルとモジュールとドライブユニットと電力関連電子回路のすべてを含むバッテリープラットフォームUltiumを発表した1年後のものだ。このUltiumプラットフォームは、「キャデラック」や「ビュイック」「シボレー」そして「GMC」といったGMの多様なブランドにまたがるEVで利用され、2020年に発表された自動運転シャトル「Cruise Origin」にも使用される。全電動の「GMVハマー」は2021年末に生産に入り、Ultiumの第1世代のバッテリーが搭載される最初のモデルとなる。

関連記事
GMが電気自動車戦略のコアとなるモジュラー式アーキテクチャー「Ultium」を公開
GMとホンダが協業開発した配車サービス用電動無人運転車が登場

またマーク・ルース社長は、Ultiumの次世代バッテリーにおけるブレークスルーについても触れた。具体的な話はなかったが、GMはコストを下げつつパフォーマンスを上げることを狙っているという。2020年代半ばにはエネルギー密度を倍増しバッテリーのコストを60%下げることが、同社の目標だ。そのために、SESとのパートナーシップが貢献することを期待しているという。

「EVの普及に必要なのは、低価格と航続距離です。この次世代のUltium化学技術により、エネルギー密度とコストが1世代に1度向上する時代が到来したと考えています。どちらの分野にも改良の余地があり、この分野で他社よりも早く革新を実現するつもりです」とルース氏は述べる。

GMがバッテリー開発の世界に参入するのはこれだけではない。同社は2010年に固体バッテリー企業のSakti 3に320万ドル(約3億5000万円)を投資しており、現在、米国に第2の大規模バッテリー工場を建設するための交渉を行っている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMバッテリー電気自動車

画像クレジット:General Motors

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラが大規模なエネルギー貯蔵プロジェクト施設をテキサスに建設と報道

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、大規模なバッテリー施設の野望をローンスターに持ち込もうとしている。

テキサス州の公益事業委員会(Public Utilities Commission of Texas)への申請書などの文書によると、これまで知られていなかったTesla(テスラ)の子会社がテキサス州アングルトンにて、100MWのエネルギー貯蔵プロジェクトの建設に取り組んでいるという。この文書を最初に報じたのはBloomberg(ブルームバーグ)で、これまで知られていなかった同子会社とTeslaを結びつけた。

Gambit Energy Storage LLCは2020年6月、テキサス州の電力会社を監督する規制機関であるテキサス州公益事業委員会に申請を行った。TechCrunchが閲覧した申請書によると、Gambitはテキサス州エネルギー信頼性評議会(Energy Reliability Council of Texas)の送電網で電力のホールセールとグリッドバランシングサービスを提供する意向だという。このプロジェクトはガルベストンから西に約50マイル(約80キロメートル)のメキシコ湾岸に近い町アングルトンで計画されている。

Bloombergの報道によると、このプロジェクトの商業運用の開始予定日は2021年6月1日となっている。

テキサス州の送電網は22021年月中旬以降、北極圏の未曾有の大規模な異常気象によりピーク時には送電網全体の発電容量の3分の1以上となる46万MWの電力が遮断され、監視の対象となっている。この災害により数百万人のテキサス州民が、数日間も氷点下の環境にさらされた。ERCOTの取締役会はCEOを解任し、PUCTの議長は大惨事を受けて辞任し、テキサス州の州都の議員たちは同州の電力市場運営の大規模な変更を検討している。

TeslaはすでにCalifornia Utilities Southern California EdisonおよびPG&Eとバッテリーストレージシステムの契約を結んでいるが、これは同社にとって他の場所での初の大規模プロジェクトとなる。

関連記事:イーロン・マスク氏がカリフォルニアに愛想を尽かしてテキサスへ転居

カテゴリー:その他
タグ:Teslaバッテリー

画像クレジット:David Paul Morris / Getty Images

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

ベイサンは3月4日、デスクトップパワーユニット「R-ARCA」を発表しました。価格は税別9万8000円です。3月5日(金)午前10時よりベイサンオンラインストアにて販売開始予定です。

「R-ARCA」は、国産電気自動車で使用していたリチウムイオンバッテリーを再利用して作成された製品です。オフィスや店舗での日常時の電源として活用しつつ、災害時は非常用電源としても利用できるよう設計されています。

ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

フラットなボディなので重ね置きをして運用もできます

ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

持ち運びが楽になるハンドルも付属します

ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

夜間停電時には照度センサーによりLEDランプが自動点灯

USB側は電圧5V、2ポートごとに最大4A出力が可能です。充電容量は63400mAh (317Wh) で、充電時間は12時間です。サイズは350mm×266mm×43mm(本体のみ)で、重さは5.7kgです。

(Source:ベイサンEngadget日本版より転載)

関連記事
Mophieの最新モバイルバッテリーはスマホ充電だけでなく自動車のエンジンもかけられる
バッテリーの命が難民の命、スマホに依存する難民の実情

カテゴリー:ハードウェア
タグ:電気自動車 / EV(用語)バッテリー(用語)ベイサン(企業)日本(国・地域)

GMとLG化学が米国で2番目となるバッテリーセル工場建設を検討

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、合弁パートナーである韓国ソウルのLG Chem(LG化学)と共同で米国で2番目のバッテリーセル製造工場の建設を検討している。

工場の建設が実現すれば、GMの電気自動車ポートフォリオの構築を目的とした一連の投資の最新の計画となる。LGとの合弁会社であるUltium Cells LLCは、すでにオハイオ州ロードスタウンに23億ドル(約2500億円)のバッテリーセル製造施設の建設を進めている

関連記事:GMのEV戦略のキモとなる新型バッテリー工場建設がオハイオ州で始まる

GMの広報担当者であるDan Flores(ダン・フローレス)氏がTechCrunchに伝えたところによると、両社は2021年前半に工場建設を決定したいとしている。フローレス氏は立地先の可能性については明言しなかったが、Wall Street Journalの報道によるとテネシー州が候補の上位になっているという。

GMは事業の脱炭素化に向けて野心的な目標を設定しており、目標達成のために多額の投資を約束した。2025年までに同社はブランド全体で30車種のEVを世界市場に投入し、電動化と自動化技術に270億ドル(約2兆9000億円)を費やすと述べた。これは2020年の出費から35%の増加である。またGMは2030年代半ばまでに自社のすべての車種をEVにするとしている。

関連記事:GMが2025年までに電気自動車開発に2.8兆円投資、「リーダーシップを失うつもりはない」

「将来のオール電化への取り組みにともない、多くのバッテリーセルが必要になることは明らかです」と、フローレス氏は述べている。

一方でフローレス氏は、EVメーカーのTesla(テスラ)やNikola(ニコラ)に影響を及ぼすバッテリーセルの不足が続いていることについてのコメントを避けた。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は2021年2月末に大統領令を発令し、連邦政府機関に対し蓄電池、半導体、その他の重要品目のサプライチェーンにおけるリスクを特定するよう指示した。

GMのMary Barra(メアリー・バーラ)CEOは先週実施された仮想投資家向けのプレゼンテーションで、バッテリー不足が自社によるバッテリーセル製造に投資している理由の1つであると述べた。バーラ氏は同社の電池製造事業を成長させる計画に言及したが、具体的な内容には触れなかった。

「すでに発表している以上のことが起こります」と、バーラ氏は語っている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMバッテリーEVLG化学

画像クレジット:GM

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

デュポンとVCはリチウム採掘が電動化が進む未来に向けての超重要な投資先だと考える

「採掘(マイニング)」は、テック業界では数年前から暗号資産と同義になっている。ビットコインは5万ドル(約5万3000円)の壁に穴を空け、GPUとASICは分散型暗号資産の恩恵に賭けて、世界中でハッシュ関数のシェア獲得合戦を繰り広げている。その興奮は、皮肉なことにベンチャー投資資金と起業家の思考をマイニング1.0(実際の鉱物資源の採取)に引き戻そうとする力に油を注いでいる。

関連記事:ビットコインが初めて5万ドルの壁を突破、Coinbaseの直接上場が迫る

中でも注目を集めるターゲットはリチウムだ。スマートフォンや電気自動車のバッテリー、さらには現代生活の利便性や産業の重要な部分を担うほぼすべての電気製品に欠かせない素材だ。中国は、自国のリチウムの採掘業とバッテリーの製造業が現在のところ世界をリードしていると考えている。それは、長年にわたるリチウムの供給統制と、世界の需要に応えるための大量生産能力の拡大を推進してきたおおかげ。だが米中関係の緊張が高まり、また世界がますます基盤システムの電動化を進めるようになるにつれいぇ、企業は別のサプライヤーを競って求めるようになった。

DuPont(デュポン)が抽出技術の実用化を推し進めているのは、そのためでもある。

水のろ過と浄化サービスを提供するDuPont Water Slutions(デュポン・ウォーター・ソリューションズ)は、リチウム採掘技術の開発と再生可能エネルギー事業を行うVulcan Energy Resources(バルカン・エナジー・リリソーセズ)と手を組み、リチウムの新しい直接抽出方式の試験を行うことにした。

現在、リチウムの採掘方法は、どう控えめにいっても環境に悪い。毒性の化学薬品を大量に使用し、水資源の汚染を拡大している。ドイツのアッパーライン渓谷で準備中のこの新しい合弁事業では、DuPontのリチウム直接抽出製品とろ過に関する専門知識を活かして、リチウムの採掘と精製を環境にやさしいかたちで行うものだと、同社は話している。

バルカンの業務執行取締役であるFrancis Wedin(フランシス・ウェディン)博士は、声明の中でこう述べている。「大きなスケールで製造されるDuPontの多様な製品群は、持続可能な方法でブラインからリチウムを抽出する方式への高い適応性を示しています」。

DuPontでは、この技術を鉱業全体に押し広げ、吸着剤、ナノろ過技術、逆浸透フィルター、イオン交換樹脂、限外ろ過、閉回路逆浸透などの同社のポートフォリオにある製品を広範な顧客グループに利用してもらおうと考えている。

DuPontがリチウム採掘事業に本格的に乗り出したことで、独自のリチウム抽出技術を開発したLilac Solutions(ライラック・ソリューションズ)などのスタートアップは、激しい競争に捲き込まれることになるだろう。Lilacは、カリフォルニアで最も環境汚染が深刻なソルトン湖でリチウムブラインの鉱床(プール)の開発を行うため、オーストラリアのControlled Thermal Resources(コントロールド・サーマル・リソーシズ)と提携した。

2020年はオークランドのスタートアップが、Breakthrough Energy Ventures(この人たちはどこにでも顔を出す)、MIT傘下の投資会社The Engine(ジ・エンジン)、設立当初からのUber(ウーバー)の投資家Chris Sacca(クリス・サッカ)氏の比較的新しい気候変動に特化した投資会社Lowercarbon Capital(ローワーカーボン・キャピタル)の主導による2000万ドル(約21億円)の投資を獲得したと発表している。

Lilacの他にも、ソフトウェアによって抽出企業の事業が効率化されるのにともない、ベンチャー投資金(暗号資産ではない)が、マイニングビジネスに流れ込んでいる。注目を集めた投資先には、ハイテク技術で鉱床を探し出すKoBold Minerals(コボンルド・ミネラルズ)がある(これもまたBreakthrough Energy Venturesのポートフォリオ企業)。この会社は、ビッグデータと機械学習を活用して有望な鉱床の選定を支援する。また、宇宙から衛星を使って鉱床探索を行うLunasonde(ルナゾンデ)もそうだ。

この他のリチウム問題のソリューションも、投資家たちの関心を集めている。バッテリー技術に投資するVolta Energy Technologies(ボルタ・エナジー・テクノロジーズ)の創設者であり最高責任者のJeff Chamberlain(ジェフ・チャンバーレイン)氏は、もう1つのソリューションを「都市鉱山」に見いだしている。つまり、使用済みリチウムイオンバッテリーのリサイクルだ。鉛蓄電池は、何十年も前から部品のリサイクルが行われてきた。チャンバーレイン氏は、リチウムイオンのサプライチェーンも、今ある資源の再利用がより効率的に行われるよう進化することを期待している。

チャンバーレイン氏の考えが正しいことを実証しようとする企業も数多い。米国時間2月16日、特別買収目的会社(SPAC)を通じて株式公開を果たしたLi-Cycle(リサイクル)もその1つだ。同社の評価額は、この時点で16億7000万ドル(約1770億円)と見積もられている。

一方、非公開またはベンチャー投資家が支援するスタートアップも、別のリサイクルソリューションを開発している。マサチューセッツのウースター工科大学からスピンアウトしたBattery Resourcers(バッテリー・リソーサーズ)は、回収したスクラップから新しい陰極材料を作り出すことに特化している。シンガポールのGreen Li-ion(グリーン・リアイオン)もまた、リチウムイオンバッテリーのの陰極を製造するリサイクル工場を開設しよううとしている。2016年に元Tesla(テスラ)の幹部によって創設されたスウェーデンのバッテリースタートアップNorthvolt(ノースボルト)は、すでにリサイクルの実験工場を稼働させている。

もう1つ、J.B. Straubel(ジェイ・ビー・ストローブル)氏がネバダに創設したスタートアップRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)もある。これは、Amazon(アマゾン)のClimate Pledge Fund(気候誓約基金)を通じて資金援助を受けた最初の企業の1つだ。

「究極的には、石からリチウムを抽出しなければならないことはないのです。ブラインプールや都市鉱山からもリチウムは採れます」とチャンバーレイン氏は話す。これは「マイニング1.0バージョン2」といえる。だがまさにそれが、気候の未来を確実に安定させたいと私たちが願ったとき、この世界が投資すべき分野だ。

関連記事:アマゾンとパナソニックが注目するバッテリーリサイクルスタートアップRedwood Materials

カテゴリー:EnviroTech
タグ:DuPontリチウムバッテリーリサイクル

画像クレジット:SeppFriedhuber / Getty Images

原文へ

(文:Jonathan Shieber, Danny Crichton、翻訳:金井哲夫)

Fraunhoferがリチウムイオン充電池の10倍のエネルギー密度で水素を蓄えられる素材を開発

独Fraunhofer研究所が、リチウムイオン充電池の10倍のエネルギー密度で水素を蓄えられ、圧力容器も不要という歯磨き粉状の素材「Powerpaste」を開発したと発表しました。

水素燃料電池車が使う水素は、圧力容器に35MPa(約345気圧)という高圧で圧縮して貯蔵され、使用されます。しかしこのタンクは大柄で重く、電動バイクやスクーターの水素燃料電池に利用するには不都合となります。Fraunhoferの研究者らは、この問題を解決するため水素化マグネシウムを使って水素を化学的に保存し、必要なときにすぐに放出可能とする安全な方法を作り上げました。

マグネシウムの粉末は約350°C、大気圧の5〜6倍のプロセスで水素と結合し、水素化マグネシウムになります。そこにエステルと金属塩を加えれば、カートリッジ型の容器に入れられる、歯磨き粉のようなペーストになります。

Powerpasteは、温度環境が250℃までの状態で安定して使え、同じ重さのリチウムイオン電池の10倍のエネルギーを蓄えられるとしています。具体的にわかる比較の仕方で言えば、ガソリン車を超える航続距離を実現できるほどのエネルギーを蓄えられるということです。

ペーストからエネルギーを取り出すには、必要な量のペーストをチャンバーに押し出し、制御した状態で水と反応させ水素を放出させます。そこから先は通常の燃料電池車と同じ。なぜここまでのエネルギー密度を取り出せるのかと言えば、最終的にエネルギーに変換される水素のおよそ半分がペーストと反応させるための水からも供給されるから。

Fraunhoferは、このPowerpasteを燃料電池式の電動バイクやスクーターに採用する場合、Powerpaste充填済みのカートリッジをステーションで交換する仕組みを想定しています。そうすることでまるでカセットコンロのボンベを交換するように、安全かつ即座に走行を続けることが可能になります。電動スクーターのように充電するための場所を探したり、電気自動車のように充電器の順番を待つことはありません。

またカートリッジ式にすることで、カセットボンベ式草刈り機や発電機といった別の用途へのエネルギー供給にも利用の幅が拡大できる可能性があります。カートリッジの重量にもよるものの、たとえば大型のドローンなんかにも使えるかもしれません。

一方、バイクよりも搭載スペースが大きく取れる乗用車や大型トラックなどにPowerpasteを使うことを考えると、カートリッジ式にするよりもペーストそのものを車体が備えるタンクに充填する方が簡単になる可能性もあります。この場合も比較的安価な機材を揃えるだけで、ペーストの交換が可能になるとのこと。高圧水素ガスを直接扱うよりも安全なのは言うまでもありません。

Fraunhoferは業界内でのパイロットプログラムのために年間4トンの生産能力を持つ製造設備をすでに建設中とのことです。

さて、いいことばかりのように思えるこのペースト状の水素燃料ですが、本当にそれが効率的かどうかは、おそらく大きな熱エネルギーを必要とする、Powerpaste製造時のエネルギー効率がどれぐらいかにもよるかもしれません。

また水素を取り出した後のマグネシウムをどう処理するのかはリリースには記されておらず、そのまま水素化マグネシウムとしてリサイクルできるのか、はたまた極端な話使い捨てになるのかで、全体的な効率は大きく変わってくるはずです。またペーストやカートリッジのステーションまでの輸送にかかるコストなども、厳密には考慮しなければならないはずです。

もし、Powerpasteが太陽光などクリーンエネルギーのみで製造、リサイクルでき、そして既存のガソリンスタンドなどで豊富にかつ安価に販売できるのなら、われわれにとっても安全かつ理解しやすい便利な次世代燃料として普及していくのかもしれません。

Engadget日本版より転載)

関連記事
核融合技術で新エネルギー開発に取り組む「京都フュージョニアリング」が約1.2億円調達
リチウム充電池を作った3名がノーベル化学賞を共有
テスラは材料科学の革新でバッテリーコストのさらなる低下を目指す、シリコンやニッケルを再研究
テスラが1万エーカーのリチウム粘土鉱床の権利を取得、リチウム採掘事業に自ら参入へ
航空機の鳥の衝突試験は義務化されているがドローンはまだまだこれから
スマホを物の上にかざすとスペクトル分析でその成分(毒物の有無など)を当てるアプリがもうすぐ完成
トヨタの燃料電池車コンセプトモデルは長航続距離と柔軟性が狙い

カテゴリー:ニュース
タグ:電気自動車 / EV(用語)燃料電池バッテリー(用語)Fraunhofer

イーロン・マスク氏が電動トラックTesla Semiの生産準備は整ったがバッテリー不足がネックと発言

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、2020年第4四半期の決算報告の場で、全電動パワートレーンを採用した貨物輸送セミトラックTesla Semi(セミ)の工学系の開発が完了したことを発表した。同社は2021年中にTesla Semiの出荷を開始したいと考えているが、第4四半期収支報告書とマスク氏の話によると、生産にブレーキをかけている問題としてバッテリーセルの供給不足があるという。

「現在、たとえばTesla Semiといった新型車の開発を加速できない最大の原因は、ひとえにセルの不足です」とマスク氏。「今すぐSemiの生産しようと思えば、すぐにでも簡単に始められますが、十分な数のセルが手に入りません」。

だがマスク氏は、同社の4680バッテリーパックの生産が始まれば、需要に見合う十分な数のセルが揃うはずだと主張する。このバッテリーパックは、いわゆる「タブレス」構造による高エネルギー密度のもので、走行距離が長い独自開発の新型セルだ。

「Tesla Semiには乗用車の5倍のセルが使われますが、販売台数は乗用車の5倍というわけにはいかないので、現在、生産するのは理に適いません」とマスク氏。「しかし、セルの生産制限が解消されたなら、ただちに生産を開始するのが最善策です」。

その制約は、同社バンの開発予定にも同じ影響を与えているとマスク氏はいう。そしてセルの制約が解消された場合には、同様にそのカテゴリーの車種も開発を進めることができるようになると彼は話す。

Teslaには、年間計200ギガワット時の生産能力を有するインフラを2022年までに整備することで、セルの製造を「飛躍的」に増大させる大計画があり、同年までには実際にそのおよそ40%の生産を可能にするという目標を掲げている(将来、製造工程の改善によりセルの電力量、つまりギガワット時は増加し、その後も次第に向上していくとのことだ)。

関連記事:未来のテスラ車のバッテリーは車体と一体構造で剛性、効率、安全性、コストを改善

カテゴリー:モビリティ
タグ:Teslaイーロン・マスク電気自動車バッテリー

原文へ

(翻訳:金井哲夫)

リチウムイオン電池のリサイクルに挑戦するRedwood Materialsが古いスマホなどの受け入れ開始

Redwood Materialsは、Tesla(テスラ)の元CTO、JB Straubel(J・B・ストラウベル)氏が創業したリサイクルスタートアップだ。これまで特にメディアに報じられることもなかったが、これからは一般消費者にも門戸を開き、彼らのガラクタだらけの引き出しに眠っているすべての古い電子製品を集めようとしている。

ネバダ州カーソンシティに本社を置くRedwood Materialsは、これまで主にPanasonic(パナソニック)やAmazon(アマゾン)といった企業顧客の、バッテリーセルの生産や消費者電子製品からのスクラップをリサイクルしていた。

同社ウェブサイトには「recycle with us(私たちでリサイクルしましょう)」というタブがあり、「リチウムイオンバッテリーや電子製品のゴミはありますか?私たちは、あなたのスマートフォンやタブレット、電動工具など、リチウムイオンバッテリーを使用するすべてのデバイスをリサイクルします」と書かれている。そのウェブサイトには住所以外の情報はほとんどなく、消費者はそこに自分の電子ゴミを送る。ウェブサイトには、「contact us(お問い合わせ)」ボタンもある。

ストラウベル氏は2020年10月にTechCrunchに対して、そのうちRedwood Materialsのビジネスモデルは、消費者も含めるようになる。すでに、消費者からの問い合わせがとても多い、と語っていた。その時が来たようだ。

同社の広報担当者によると、Redwood Materialsは消費者が送ることができるものに厳しい制限を設けていない。ケーブルでも受け入れているというだ。同社はTechCrunchに対して、消費者事業をもっと形式化して、箱やラベルを定型化し処理を容易にするなど、今後は消費者の考えも取り入れて、事業の拡張方向を探りたいと語っている。

当面、Redwoodはとにかく門戸を大きく開き、成り行きを見守りたいという。

スマートフォンなどの消費者電子製品に使われているリチウムイオンバッテリーは大半がリサイクルされず、所有者の引き出しにしまわれて忘れ去られたり、ゴミとして埋め立て地へ行っている。

Redwood Materialsは、循環的なサプライチェーンを作ることでこれを変えようとしている。同社はオパナソニックのバッテリーセルの生産やスマホ、ラップトップコンピューター、電動工具など消費者電子製品からスクラップを集める。そこから同社は、通常は採鉱されているレアメタルを取り出し、パナソニックなどの顧客に供給している。

ストラウベル氏は最終的に、Redwood Materialsを電気自動車のバッテリーの寿命を延ばすソリューションの一部にしたいと考えている。CEOは、このニーズを満たすために、世界中の戦略的な地域拠点に施設を設置することを望んでいる。現在のところ、カーソンシティにあるレッドウッドの2つの施設でリサイクルおよび処理された製品のほとんどは、パナソニックや他の匿名の家電関連企業のためのものだ。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Redwood Materialsリサイクルバッテリー

画像クレジット:Redwood Materials

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」開発のAPBが追加調達、福井県での第一工場設立目指す

次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」開発のAPBが追加調達、福井県での第一工場設立目指す

次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」(All Polymer Battery)の開発を行うAPBは12月21日、第三者割当増資により、追加の資金調達を実施したと発表した。引受先は、三洋化成工業、新東工業および三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合。前回(2020年6月30日)および前々回(2020年3月4日)に発表した第三者割当増資と合わせ、累計調達金額は100億円となった。

調達した資金は、現在福井県越前市にて立ち上げを行っている全樹脂電池の第一工場(APB福井センター武生工場)の設立・運営にあてる。全樹脂電池の量産技術の確立、製造販売に向けて事業をより一層加速していくとしている。

APBは、全樹脂電池の製造および販売を行うスタートアップ企業。全樹脂電池は、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成。このような独自の製造プロセスにより、従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現する。

部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特徴としている。これらを活かし、APBでは全樹脂電池を定置用蓄電池や各種モビリティ用途など、様々な用途に展開していくとしている。

関連記事
テスラが1万エーカーのリチウム粘土鉱床の権利を取得、リチウム採掘事業に自ら参入へ
リチウム充電池を作った3名がノーベル化学賞を共有

カテゴリー:ハードウェア
タグ:APB資金調達(用語)全樹脂電池バッテリー(用語)リチウムイオン電池日本(国・地域)

中古EVバッテリーのコンディションレポートを提供するRecurrentが3.6億円を調達

シアトルを拠点とするスタートアップのRecurrentは米国時間12月8日、電気自動車用バッテリー分野で車両履歴レポートを提供するCarfaxになることを目指し、350万ドル(約3億6000万円)の資金調達を完了したと発表した。

バッテリーシステムは電気自動車の最も重要な部分であり、中古電気自動車の市場が拡大するにつれ、バッテリーの寿命と航続距離に関する独立した検証により自動車購入者の決定に役立つとRecurrentは述べている。

投資家にはWireframe Ventures、PSL Ventures、Vulcan Capital、Prelude Ventures、Powerhouse Ventures、Ascend.VC、米国自動車協会(AAA)ワシントン支部などが参加している。

Wireframe VenturesのマネージングディレクターであるPaul Straub(ポール・ストラウブ)氏は声明で「中古車販売は、少なくとも新車販売の2倍になっています。Tesla Model 3の発売から3周年を迎え、すべての自動車メーカーに電気自動車が急速に導入されたことで、中古EVの販売は大きく伸びようとしています」と述べた。「強力なデータとテクノロジーの優位性を持つ企業が、これらの取り引きに信頼性と透明性をもたらすには適切なタイミングです」。

Recurrentによると、この資金は中古電気自動車購入者向けのサードパーティーによるコンディションレポートや、現在の電気自動車所有者向けのバッテリー分析統計を改善するための継続的な製品開発に投資するために使われるという。

Recurrentは現在、同社のサービスを利用している2500人の電気自動車運転手からボランティアで、車両のバッテリー情報を毎月収集している。

「業界に市場主導の機会があるのは明らかですが、私たちは特にバイデン政権の政策がEV導入に与える潜在的な影響に興奮しています」と、Powerhouse Venturesの創設者でマネージングパートナーのEmily Kirsch(エミリー・キルシュ)氏は声明で述べた。「私達はEUにおける有利な政策が大きな影響を与えていることを見てきました。米国でも同様に加速する可能性があると考えています」。

関連記事:アマゾンとパナソニックが注目するバッテリーリサイクルスタートアップRedwood Materials

カテゴリー:モビリティ
タグ:Recurrent電気自動車バッテリー資金調達

画像クレジット:Tesla

原文へ

(翻訳:塚本直樹 / Twitter

最新iPhone 12にも対応するMophieの最新モジュラー式モバイルバッテリーを使ってみた

充電バッテリーのJuice Pack Connectが先週発表された時、ちょっとした混乱があった。私自身も混乱していたことを認める。Apple(アップル)のiPhone 12の発売日と近かったことから、多くの人々が(当然のごとく)Mophieの新製品はiPhone 12の新しいMagSafeテクノロジーに対応していると思い込んだ。

このアクセサリーの将来のバージョンにその機能が搭載される可能性は高いが、モジュラー化が進んだこの新しいバッテリーパックの二大特徴といえば、ワイヤレス充電と昔ながらの粘着剤だ。これは、このシステムがQi規格のワイヤレス充電に対応しているどんな端末でも使えるという意味だ。

実際システムは、かなり必要最小限のものになっている。ケースすらついてこない。欲しければ自分で入手しなければならない。箱に入っているのはバッテリーパックとグリップ兼スタンド、そしてありがたいことにアダプターが2つついてくる。最後の点は、付け直す必要が生じた時や誰かとバッテリーをシェアしたいときなどにうれしい。

画像クレジット:Brian Heater

装着はいたってシンプル。中央に正確につけるためのボール紙製ガイドもついている。画面保護シートを貼る時のフレームのようなものだ。端末の裏に直接装着することもできるが、私はできればそこまではしたくないと思っている。ともあれ、別のアクセサリーを付けていない時、端末の裏に小さなアダプターの突起がある状態は受け入れる必要がある。

アクサセリーはアダプターの横から差し込む。バッテリーパックはシステム全体の中で最も見栄えがよく、オリジナルのJuice Packシリーズのデザイン思想を最もよく引き継いでいる。リング兼スタンドはちょっと安っぽく、充電していない時にはいかにも付け足しのように感じる。妥協点の1つが、バッテリーをコンパクトにするほど容量が小さくなるということだ。5000mAhは悪くないが、もっと大容量のケースをもっと安く買える。

画像クレジット:Brian Heater

もう1つの妥協点は、おそらくお気づきだと思うが、ワイヤレス充電は有線より遅いことだ。このため、システムはデバイスを長時間使い続けるのに向いていて高速充電目的ではない。それでも本当にピンチで適切なケーブルさえあれば、USB-Cポート(バッテリーの充電にも使用する)から高速充電することもできる。

Connect Standは使える。グリップとしてよりスタンドとしての方が役に立ちそうだ。Pop Socketのようにもっと頑丈なグリップなら良かっただろう。ただし、そこはモジュール式の良いところで、常に新しいアクサセリーを追加することができる。80ドル(約8300円)という価格は安くないが、いまだかつてMophie製品が安価だったことはない。

関連記事:Mophieがスマホの背面に付けるモジュールタイプのワイヤレスバッテリーを発売

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Mophieバッテリーレビュー

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Mophieがスマホの背面に付けるモジュールタイプのワイヤレスバッテリーを発売

Mophieは長年バッテリーケースのメーカーだったが、いまではZaggやBraven、iFrogzそれにInvisibleShieldなどと並ぶ各種スマートフォンアクセサリーの企業になっている。同社の新製品Juice Pack Connectは、充電器、バッテリーカテゴリーのアクセサリーだが、モジュールタイプでバッテリーパックを滑らせて取り付けることができる。

価格は80ドル(約8400円)で、5400mAhのバッテリーとスマートフォンを支えるリング状のスタンドが付属する。今後、追加モデルが出ることもあるだろうが、現状における最大のセールスポイントはアドオンというよりも、不要なときにこのバッテリーパックをケースから外せることだ。

画像クレジット:Mophie

以前、OtterBoxItのuniVERSEケースという同様のモジュールタイプの製品があったが、Juice Pack Connectは標準規格Qiを採用し、バッテリーをスマートフォンのポートに接続しなくてもQiで充電できるという大きな利点がある。

Mophieの製品は、決して安価ではない。また本製品はMagSafe対応していない。その代わり、アドオンのバッテリーは粘着剤でケースに取り付ける(ケースは充電が可能な十分薄いものである必要がある)。利点は多くの種類のスマートフォンで利用できることで、複数世代のiPhoneや、Samsung(サムスン)のGalaxyシリーズ、Google(グーグル)のPixelシリーズなど、ワイヤレス充電対応のモデルであればOKだ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:MophieバッテリースマートフォンQi

画像クレジット:Mophie

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

電動大型バス向け巨大バッテリーを作るProterraが210億円を調達

高耐久性電気自動車向けバッテリー技術を開発するProterra(プロテラ)が、新規調達ラウンドで2億ドル(約210億円)を獲得したことを発表した。

新たなキャッシュの出どころは、ラウンドをリードしたCowen Sustainable Investment Advosorsをはじめ、Soros Fund Management、Generation Investment Management、 およびBroadscale Group。Cowenが1億5000万ドルを出資し、残りの5000万ドルを3社が引き受けた。

新たな資産注入に前には、巨大バッテリーシステムデベロッパーのIPOを巡る一年に及ぶ憶測があった。TechCrunchは2019年8月に、Proterraが10億ドル(約1050億円)の評価額を得た(未訳記事)ことを、当時IPOを見込んでいた投資家らの情報として報じた。

調達した資金は、バッテリーと電動駆動系技術や事業開発など同社が商用自動車分野でさらに足場を固めるために使用するとのこと。またProterraは、電動車両の運営にかかる車両管理コストを削減する充電およびエネルギー管理技術にも目を向けている。

これまでにProterraは、株式と負債合わせて少なくとも約10億ドルを調達済みで、G2VP、Kleiner Perkins Caufield & Byers、Constelltion Venters、Mitsui & Co.、BMW i Venters、Edison Energy、Federal Transportation Administration、General Motorsのベンチャー部門、およびTao Cpital Partnersらが出資している。

Proterraが主に作っているのは、地方、州、国の行政機関向けのバスで1回の充電で350マイル(563 km)の走行が可能だ。カリフォルニア州バーリンゲームに拠点を置く同社には、経営陣に多くのTesla(テスラ)元社員が。その一人で元CEOのRyan Popple(ライアン・ピープル)氏は、他の高耐久・中耐久商用電気自動車メーカーに駆動系を提供するなど事業を多角化した。

現在同社は、Thomas Built Buses、Van Hool、FCCC、BusTech、およびOptimal-EVらのOEMと協同で、同社の部品を使った100%バッテリー電気自動車を市場に出そうとしている。

「バッテリー電気自動車と保有車両の100%ゼロエミッション化の需要が拡大する中、CSIをはじめとする投資家のみなさまの協力によって、クリーンで静寂な輸送を広く推進し、さらに多くのProterra搭載車を世界に提供できることを大いに喜んでいます」とProterraのJack Allen(ジャック・アレン)現会長兼CEOが語った。

なお、BofA Securitiesがこのラウンドの募集代理会社を務めた。

関連記事:アマゾンとパナソニックが注目するバッテリーリサイクルスタートアップRedwood Materials

カテゴリー:モビリティ
タグ:Proterra、バッテリー

画像クレジット:

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラが1万エーカーのリチウム粘土鉱床の権利を取得、リチウム採掘事業に自ら参入へ

1年ほど前、Tesla(テスラ)の2019年の年次株主総会でCEOのイーロン・マスク氏は、同社が「電気自動車のバッテリーに使われる鉱物の採掘事業に参入するかもしれない」と発言していた。

米国時間9月23日、年次株式総会後に開催されたイベント「Battry Day」で同氏は、米国ネバダ州にある1万エーカー(4047平方m)のリチウム粘土鉱床の権利を取得することで、同社が正式な第一歩を踏み出していることを明らかにした。

リチウム鉱山は、より安く、より効率的なバッテリーの製造を実現し、最終的には自動車の価格を下げることを可能にするというテスラの広範な計画の一部だ。また、テスラがサプライチェーンを自社に近づけようとしている一例でもある。

マスク氏と、同社のパワートレイン・エネルギーエンジニアリング担当SVPであるDrew Baglino(ドリュー・バグリーノ)氏は、最終的に年間10~20TWh(テラワット時)のバッテリー生産量を持つようにするための同社の計画と進捗状況を明らかにした。この計画の中心にあるのは、同社がイベントで発表した新しいタブレスバッテリーセルだ。両氏は開発中の新しい製造システムや、それをサポートするためのインフラの構築計画など、この大きなミッションのほかの部分についても概説した。リチウム鉱山と提案されているカソード施設は、いずれも北米に建設される予定で、テスラの工場と事業のポートフォリオに新たに加わった2つの施設になる。

「北米に独自のカソード(陰極、正電荷が流れ込むほうの電極)工場を建設し、北米に存在するニッケルとリチウムのすべての資源を活用し、カソードのサプライチェーンと生産を現地化することで、カソードで使用されるすべての材料の走行距離を80%削減することができます」とバグリーノ氏は説明する。

同氏によると、提案されているカソード工場の隣にはリチウム転換施設があるとのことで、同社は硫酸塩を含まない新しい製造プロセスに取り組んでおり、リチウムコストを33%削減できると主張している。

カソード工場がどこにあるのか、いつ建設されるのかは明らかになっていない。しかし、サプライチェーンを緊密にすることが目的ならば、テスラが最近採掘権を購入したリチウム粘土の区画の隣にできるかもしれない。

反応性のあるアルカリ金属を採掘するには環境コストがかかる。しかし、マスク氏は「より良いプロセスを見つけた」と主張している。従来のリチウムの採掘には大量の水が必要で、鉱夫は土地に穴を開け、地表にかん水を汲み上げ、そこから水が蒸発するまで放置する。そうして残るのが、マンガンやリチウム塩などの鉱物の混合物だ。そして、これをリチウムを抽出できるようになるまでろ過し続ける必要がある。

しかしマスク氏は「塩化ナトリウムや食卓塩を使って鉱石からリチウムを抽出する新しいプロセスがある」と説明する。「私の知る限りでは、これまで誰もやったことがありませんでした。このプロセスに含まれるすべての元素は再利用可能です。これは非常に持続可能なリチウムの入手方法です」と述べている。そのうえで採掘が行われる土地は「以前とほとんど同じように見えるだろう」と締めくくった。

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

テスラは材料科学の革新でバッテリーコストのさらなる低下を目指す、シリコンやニッケルを再研究

Tesla(テスラ)は、バッテリー設計の改善によって電気自動車とエネルギー貯蔵のコストを削減しようとしているが、米国時間9月23日の午後、電気自動車やエネルギー貯蔵のコストを削減するために追求している技術革新について発表した。その中で、すべての製品の心臓部であるリチウムイオン電池の主要部品の材料科学に新たな進歩があったことを明かした。

同社は開発中の製造プロセスから、あらゆるバッテリーシステムの基本構成要素であるカソード(外部回路へ電流が流れ出す電極)とアノード(外部回路から電流が流れ込む電極)に使う材料にいたるまで、バッテリーを改良するために上記のアプローチを採っている。その結果、カソードとアノードの材料コストが削減され、それだけで性能が向上するため「バッテリの動作範囲が20%拡大する可能性がある」と同社は主張する。

アノード側では、冶金グレードのシリコンを使用して、より多くのシリコンをバッテリに組み込む方法を検討しているという。地球上で最も豊富な材料の1つであるシリコンは、マイクロチップやバッテリー、さらにはソーラーパネルに使用されており、さまざまな用途で使えるように、高価かつ高度に処理されてきた。バッテリーの場合、問題はリチウムが完全に充電されると劣化する傾向があることだ。

「シリコンを使うとクッキーが崩れてドロドロになります」とイーロン・マスク氏は年次株式総会後に開催した「Battery Day」のプレゼンテーションで語った。そのねばねばした性質は、材料がそのエネルギー保持および貯蔵容量を失うことを意味し、バッテリーが充電されるたびに劣化するため、そのぶん寿命が短くなってしまう。

そのためほとんどの企業は、シリコンに何らかの処理を施して素材を硬くしたり、電池にシリコンをできる限り使わないようにしてきた。「シリコンの一部の利点は活用できますが、すべてを使うことはできませんし、十分な拡張性もありません」と同社のパワートレインおよびエネルギーエンジニアリング担当SVPであるAndrew Baglino(アンドリュー・バグリノ)氏は説明する。「しかしテスラは、シリコンを捨てるのではなく、安価かつ金属グレードのシリコンを使って、新しいバッテリー設計に組み込むことができる新しい処理方法に取り組んでいます」と続けた。

同氏は「我々が提案しているのは、性能とコストの段階的な変化であり、原料の冶金シリコン自体を対象としています」と続け、「拡張性を持たせるための設計と、電極の設計を考えてみてください。単純なシリコンを使用すれば、現在バッテリに使用されているシリコンよりも大幅に量は少なくなります」と説明した。

バグリノ氏は、新しい処理方法を使用することで、1kWh(キロワット時)あたり1.20ドルまでコストを下げることを期待しているそうだ。これには、生の冶金シリコンを低コストで弾力性のあるイオン伝導性ポリマーで安定化させ、高弾性バインダーで電極に組み込むという方法がある。

「この技術革新だけで、テスラの車の航続距離を20%伸ばすことができます。負極のコストを生産すると、バッテリーパックレベルで1kWあたり5%のコスト削減が期待できます」と同氏。

しかし、同社はアノードの改良だけに留まるつもりはない。カソードの効率を向上させるために、さまざまな材料科学のイノベーションを利用することも視野に入れている。

カソードもアノードも、荷電粒子を跳ね返しながら構造を維持する必要がある。カソードは基本的に電気を貯蔵する容器なので、電気が充放電しながら移動している間も電気を貯蔵できる。

マスク氏とバグリノ氏は、この材料を本棚に例え、カソードが本であり、アノードが棚であるとした。このたとえにおけるバッテリーは基本的には本棚、カソードは本を保管、アノードは図書館員が本(エネルギー)を読んだり使用したりできる世界に移動させる役割を果たす。

「イオンを入れるには安定した構造が必要です。イオンと一緒にその形を保持する構造が必要です。イオンを前後に動かすとサイクル寿命が短くなり、バッテリーの容量が急速に低下します」とマスク氏は説明する。なお、カソードにはいくつかの異なる材料を使えるが、圧倒的に安価なのはニッケルで、エネルギー密度も最も高い。しかし、ほとんどの電池はより安定な材料であるコバルトを使っている。

テスラは本日、「より堅牢な貯蔵材料として使用するためにニッケルを安定化する方法に取り組んでいる」と述べた。つまり、ニッケルはイオンを動かしたり劣化させたりする危険なしにエネルギーを貯蔵できるようになる。

バグリノ氏は「1kWあたりのカソードコストを15%削減できます」と説明する。

マスク氏は「テスラは既存の化学物質を捨てるわけではないが、新しいニッケルベースの電池を追加することでほかの目標のいくつかを追求することが可能になる」と述べた。

「バッテリーには3段階のアプローチが必要です」とマスク氏。「鉄は中位クラス、ニッケルマンガンを中位クラス以上、そしてCybertruck(サイバートラック)とクラス8の全電動大型トラックであるSemi(セミ)には高ニッケルを使用する」とのことだ。

画像クレジット:Tesla

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

テスラは材料科学の革新でバッテリーコストのさらなる低下を目指す、シリコンやニッケルを再研究

Tesla(テスラ)は、バッテリー設計の改善によって電気自動車とエネルギー貯蔵のコストを削減しようとしているが、米国時間9月23日の午後、電気自動車やエネルギー貯蔵のコストを削減するために追求している技術革新について発表した。その中で、すべての製品の心臓部であるリチウムイオン電池の主要部品の材料科学に新たな進歩があったことを明かした。

同社は開発中の製造プロセスから、あらゆるバッテリーシステムの基本構成要素であるカソード(外部回路へ電流が流れ出す電極)とアノード(外部回路から電流が流れ込む電極)に使う材料にいたるまで、バッテリーを改良するために上記のアプローチを採っている。その結果、カソードとアノードの材料コストが削減され、それだけで性能が向上するため「バッテリの動作範囲が20%拡大する可能性がある」と同社は主張する。

アノード側では、冶金グレードのシリコンを使用して、より多くのシリコンをバッテリに組み込む方法を検討しているという。地球上で最も豊富な材料の1つであるシリコンは、マイクロチップやバッテリー、さらにはソーラーパネルに使用されており、さまざまな用途で使えるように、高価かつ高度に処理されてきた。バッテリーの場合、問題はリチウムが完全に充電されると劣化する傾向があることだ。

「シリコンを使うとクッキーが崩れてドロドロになります」とイーロン・マスク氏は年次株式総会後に開催した「Battery Day」のプレゼンテーションで語った。そのねばねばした性質は、材料がそのエネルギー保持および貯蔵容量を失うことを意味し、バッテリーが充電されるたびに劣化するため、そのぶん寿命が短くなってしまう。

そのためほとんどの企業は、シリコンに何らかの処理を施して素材を硬くしたり、電池にシリコンをできる限り使わないようにしてきた。「シリコンの一部の利点は活用できますが、すべてを使うことはできませんし、十分な拡張性もありません」と同社のパワートレインおよびエネルギーエンジニアリング担当SVPであるAndrew Baglino(アンドリュー・バグリノ)氏は説明する。「しかしテスラは、シリコンを捨てるのではなく、安価かつ金属グレードのシリコンを使って、新しいバッテリー設計に組み込むことができる新しい処理方法に取り組んでいます」と続けた。

同氏は「我々が提案しているのは、性能とコストの段階的な変化であり、原料の冶金シリコン自体を対象としています」と続け、「拡張性を持たせるための設計と、電極の設計を考えてみてください。単純なシリコンを使用すれば、現在バッテリに使用されているシリコンよりも大幅に量は少なくなります」と説明した。

バグリノ氏は、新しい処理方法を使用することで、1kWh(キロワット時)あたり1.20ドルまでコストを下げることを期待しているそうだ。これには、生の冶金シリコンを低コストで弾力性のあるイオン伝導性ポリマーで安定化させ、高弾性バインダーで電極に組み込むという方法がある。

「この技術革新だけで、テスラの車の航続距離を20%伸ばすことができます。負極のコストを生産すると、バッテリーパックレベルで1kWあたり5%のコスト削減が期待できます」と同氏。

しかし、同社はアノードの改良だけに留まるつもりはない。カソードの効率を向上させるために、さまざまな材料科学のイノベーションを利用することも視野に入れている。

カソードもアノードも、荷電粒子を跳ね返しながら構造を維持する必要がある。カソードは基本的に電気を貯蔵する容器なので、電気が充放電しながら移動している間も電気を貯蔵できる。

マスク氏とバグリノ氏は、この材料を本棚に例え、カソードが本であり、アノードが棚であるとした。このたとえにおけるバッテリーは基本的には本棚、カソードは本を保管、アノードは図書館員が本(エネルギー)を読んだり使用したりできる世界に移動させる役割を果たす。

「イオンを入れるには安定した構造が必要です。イオンと一緒にその形を保持する構造が必要です。イオンを前後に動かすとサイクル寿命が短くなり、バッテリーの容量が急速に低下します」とマスク氏は説明する。なお、カソードにはいくつかの異なる材料を使えるが、圧倒的に安価なのはニッケルで、エネルギー密度も最も高い。しかし、ほとんどの電池はより安定な材料であるコバルトを使っている。

テスラは本日、「より堅牢な貯蔵材料として使用するためにニッケルを安定化する方法に取り組んでいる」と述べた。つまり、ニッケルはイオンを動かしたり劣化させたりする危険なしにエネルギーを貯蔵できるようになる。

バグリノ氏は「1kWあたりのカソードコストを15%削減できます」と説明する。

マスク氏は「テスラは既存の化学物質を捨てるわけではないが、新しいニッケルベースの電池を追加することでほかの目標のいくつかを追求することが可能になる」と述べた。

「バッテリーには3段階のアプローチが必要です」とマスク氏。「鉄は中位クラス、ニッケルマンガンを中位クラス以上、そしてCybertruck(サイバートラック)とクラス8の全電動大型トラックであるSemi(セミ)には高ニッケルを使用する」とのことだ。

画像クレジット:Tesla

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

テスラが10テラワット時の生産を目指すタブレス構造バッテリーの概要を公開

Tesla(テスラ)が自社で設定した年間10〜20テラワット時のバッテリー生産という野心的なゴールに到達するためには、バッテリーと生産方法を進化させる必要がある。

米国時間9月22日のTeslaバッテリーイベントで、同社はCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏がやり遂げると主張する一連のイノベーションを発表した。すべては、新構造のバッテリーから始まる。

この発表の中で、同社は新しいセルのデザインも公表している。新しい80ミリ長と呼ばれるもので、セルのエネルギー密度は5倍、出力は6倍となり、走行距離は16%伸びるという。

「私たちはこのセルの生産を、我々の10ギガワット試験製造工場で間もなく開始します」と、Teslaのパワートレーンおよびエネルギー工学上級副社長であるDrew Baglino(ドリュー・バグリーノ)氏はいう。

ただし、この新しいセルの製造システムは、まだ稼働していない。試験製造工場で「まもなく取りかかる」段階だとマスク氏は念を押した。

従来のバッテリーは、陽極、陰極、セパレーターの3つの要素で構成されている。この基本構造に加えて、セルのエネルギーを外部電源につなぐためのタブがある。大きなフォーマットのリチウムイオンセルでは、セル内のフォイルとタブは「フォイル・トゥー・タブ」溶接によって接続されている。

リチウムイオンは、陽極から陰極へセパレーターを通して移動し、バッテリーの充放電を行う。この方式は何十年も前から変わらず、変わった部分といえばほとんどが素材科学に関連するものと、バッテリーのサイズぐらいなものだ。

従来型のリチウムイオン・バッテリーと、その要素である陽極、陰極、セパレーターを示した図。(画像クレジット:Tesla)

出力と密度を高めたことで、熱の問題が引き起こされたとバグリーノ氏は言う。

「そこが、我々のチームが克服目標に定めた課題です」とバグリーノ氏。「私たちは、この等式から熱を取り除くタブレス構造を思いつきました。これでコストは格段に下がり、製造工程もうんとシンプルになります」。

Teslaは従来のフォイルにレーザーでパターンを焼き付け、「Shingled Spiral(シングルド・スパイラル)」を通して活性物質の中で数多くの接続を可能にする。この新デザインは製造を単純化し、部品点数を減らし、電気の通り道も短くできる。そのようにしてTeslaは、主張どおり発熱を抑えているとバグリーノ氏は話していた。

「円筒形にして電極を排除したことで、巻きとコーティングの工程が劇的に簡単になり、発熱対策と性能の面で高い性能を発揮します」とバグリーノ氏。

マスク氏も同意している。「タブがあることで大変な苦労を背負ってきた」とイベントで話していた。

電子の移動距離が短くなってセルの熱問題は縮小し、大型のタブレスセルでも電子の通り道は短くなると、マスク氏はいう。彼は、セルが大きくなっても、小さなタブ付きのセルよりも重量出力比は優れていると説明していた。

「とても難しい仕事です」とマスク氏。「誰もやったことがない。だから、タブレスセルなんてものをどうやって作り、実際に使えるものにして、トップキャップに接続するのか、それを考え出すために、Teslaのエンジニアは本当に大変な苦労を強いられることになります」。

これは、世界を再生可能エネルギーに大きく近づけようとするTeslaの冒険の旅の中で、電気貯蔵技術向上のための数あるステップの第一歩だ。

「数多くの試行錯誤をすることになりますが、ここまでたどり着けたことを大変に嬉しく思います」とバグリーノ氏は話していた。

関連記事
イーロン・マスク氏がバッテリーの技術革新でテスラの電気自動車が約260万円になると発言
未来のテスラ車のバッテリーは車体と一体構造で剛性、効率、安全性、コストを改善
イーロン・マスクが2021年後半発売のフラッグシップセダンTesla Model S Plaidを公表

カテゴリー:モビリティ

タグ:Tesla バッテリー

原文へ

(翻訳:金井哲夫)

未来のテスラ車のバッテリーは車体と一体構造で剛性、効率、安全性、コストを改善

Tesla(テスラ)はバッテリーパックの実装方法を根本的に見直し、単なる燃料源ではなく、車両の構造要素に変えようとしている。米国時間9月22日のTeslaバッテリーイベントで、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はこれを民間航空機の燃料タンクと比較して話した。かつては翼の中のタンクに燃料を入れていたが、タンクは内部構造にボルトで止められていた。後に、翼自体を燃料タンクにすることで、燃料の搭載量だけでなく、重量や部品使用に関してもずっと効率がよくなることに気がついた。

「現代の飛行機では、燃料タンクというより翼は燃料タンクそのものが翼の形をしているだけだ」とMマスク氏はいう。「これは間違いなく取るべき道だ。燃料タンクは二重構造になっており、もはや貨物ではない。それは飛行機の構造の基本であり、技術の大躍進だった。我々は車で同じことをやる」。

バッテリーセルを車体の構造要素に変えることで、現在存在しているバッテリーセルの構造支柱を取り除いたと想定した机上計算以上の質量を節約できる、とマスク氏は指摘する。それは、バッテリー自体が支柱のかなりの役割を果たすからだ。その結果、直感に反するかもしれないが、車両全体の安全性も高まると同氏はいう。

Teslaは、構造接着剤として働きさらに難燃剤としても機能する充填剤を作ることでこれを実現しようとしている。結果的に「バッテリーセルを車体の上部板と下部板に接着させ、上下の鉄板の間でせん断伝達が可能になる」とマスク氏はいう。

関連記事:Tesla introduces its tabless battery design on the road to 10 terawatt hours of production

「こうすることで驚くべき剛性が生まれ、実質的に二層の鉄板の間にハニカム構造をサンドイッチすることになる。これは超高速なもののあるべき姿だ」と彼はいう。「実際、飛行機よりもうまくいく、なぜなら燃料は液体なのでこうはいかないからだ」。

最終的に、Tesla車をどんな一般車よりも堅牢にできる構造ができ上がる。堅牢な設計は全体的安全面からも優れており、バッテリーはさらに効率的になるとともに、バッテリーセル自体にかかる応力やひずみによる「任意点集中荷重」を避けることができる。

「さらに、バッテリーセルを車体の中央に近づけることができる、なぜならあらゆる支柱の類がなくなるからだ」とマスク氏は語る。「つまり構造的パッケージの体積効率は非構造的パッケージよりもはるかに高い。しかも、バッテリーセルは中央に近づく」。

これで側面衝突の衝撃がバッテリーセルに到達する可能性が低くなり、バッテリー火災の原因になる衝撃を受けにくくなる。加えて、「極慣性モーメントを改善する」とマスク氏はいう。これは、車両の総合的操縦性や運転、操作の感覚が向上することを意味している。

最後に、構造的バッテリー設計では現在のTesla車のバッテリー設計より部品が370個少なくなり、これはコストおよび潜在的故障箇所を大きく減少させる。新方式は、彼が発表した他のバッテリー革新と合わせて、製造面でも大きな節約になるとマスク氏は語った。

関連記事:イーロン・マスク氏がバッテリーの技術革新でテスラの電気自動車が約260万円になると発言

カテゴリー:モビリティ

タグ:Tesla Elon Musk バッテリー

画像クレジット:Tesla

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク氏がバッテリーの技術革新でテスラの電気自動車が約260万円になると発言

Teslaは米国時間9月24日のBattery Dayイベントで、同社の自動車用バッテリー技術におけるさまざまなイノベーションを披露した。イベントでTeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏とパワートレインとエネルギー技術担当上級副社長であるDrew Baglino(ドリュー・バグリーノ)氏は、同社の新しいアノードおよびカソード技術と材料科学、リチウムの自社採掘、バッテリーをより安価にし持続可能にする製造工程の改良などについて解説。これらを統合することで、2万5000ドル(約260万円)の価格帯で電気自動車を消費者に提供できるようになるはずだと述べている。

「2万5000ドルという価格帯で、非常に魅力的な電気自動車を作ることができると確信している。しかもそれは、完全な自動運転が可能だ。2万5000ドルは、電気自動車の価格としてはとても安価なものであり、多くの人が気軽に電気自動車を買えるようになるだろう」とマスク氏はいう。

マスク氏がTesla車の2万5000ドルの価格帯について口にするのは、これが初めてではない。2018年8月に彼は、3年ほどでその目標価格帯を実現できると述べている。しかし同じく2018年8月にマスク氏とバグリーノ氏は同社が定時した技術を効果的な規模で量産するには2、3年先のことになると認めているため、2年経った現在、ゴールポストはまた遠くなったようだ。これはマスク氏によくある話だ。

Teslaは年間10〜20テラワットという世界的なバッテリー生産能力達成の実現に役立つ新しいタブレスバッテリーセルの設計も詳細に発表した。この設計は既存セルの5倍のエネルギー密度と6倍の出力を提供し、使用する車両の航続距離を16%伸ばすという。

関連記事
Future Teslas will have batteries that double as structure, making them extra stiff while improving efficiency, safety and cost(未訳記事)
Tesla introduces its tabless battery design on the road to 10 terawatt hours of production(未訳)

カテゴリー:モビリティ

タグ:Tesla Elon Musk バッテリー

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自己充電、電池寿命1000年以上を実現するNDBが主要テストを実施、初のベータ顧客も獲得

英国・プレザントンを拠点とするグリーンエネルギースタートアップのNDBは米国時間8月25日、ナノダイヤモンド電池(NDB)の2つの概念実証試験を完了し、重要なマイルストーンに到達した。そのうちの1つはローレンス・リバモア国立研究所、もう1つはケンブリッジ大学のキャベンディッシュ研究所で行われ、いずれでもNDBのバッテリー技術は40%の充電効率を達成し、これは標準的な市販ダイヤモンド電池の15%の充電効率(最大充電量に対するエネルギー損失率)を大幅に上回るものだった。

NDBのイノベーションは、バッテリーの製造に使用されるダイヤモンドからより効率的に電荷を抽出することを可能にする独自のナノダイヤモンド処理を開発したことにある。彼らの目標は最終的には最大2万8000年の寿命を持つ、炭素14の核廃棄物から作られた人工ダイヤモンドによる自己充電可能なバッテリーの製品化である。

このバッテリーは稼働中に二酸化炭素を排出せず、外気に触れるだけで作動する。技術的にはバッテリーではあるが、消費分が最終的には充電されるので、特定のデバイスや個々のユーザーの寿命よりもはるかに長い期間自ら充電し、実質的に充電不要のソリューションとなっている。

NDBは最終的に同社のバッテリーを航空機やEV、電車、スマートフォン、ウェアラブル、小さな産業用センサーなど、電力を消費するあらゆる用途のための実用的な電源にしたいと考えている。同社は現在、最初の商用バッテリーのプロトタイプを作成中で、年内には製品を発売する予定だ。

またNDBは最初のベータ版の顧客と契約したばかりで、彼らは実際に最初のプロトタイプを受け取り利用することになる。具体的な顧客の名前は明かされていないが、1社は「核燃料サイクル製品とサービスのリーダー」、もう1社は「世界的な航空宇宙・防衛・セキュリティ関連のリーディングカンパニー」だと述べている。明らかにこの種の技術はほぼすべての分野で魅力的だが、防衛と電力関連業者は最も潤沢な資金を投じることができるだろう。

カテゴリー:ハードウェア

タグ:NDB バッテリー

原文へ
(翻訳:塚本直樹 Twitter