スポーツ選手のNFTと独占コンテンツを販売するSportsIconが「7桁」ドルの資金調達

スポーツ選手の関連品は、主にその信奉者が支払う価格によって価値が決まる投機的資産の一種だ。非代替性トークン(NFT)は、このスポーツ・メモラビリアと相性が良い。新規スタートアップ企業のSportsIcon(スポーツアイコン)は、スポーツに特化したNFTを通じて、さらに多くの価値を提供することを目指しており、アスリートとの直接のコラボレーションや、プロスポーツ選手によるレッスンを、1品物のデジタルグッズに添えて提供する。

SportsIconは、Dapper Labs(ダッパー・ラボ)のCEOであるRoham Gharegozlou(ロハム・ガーレゴズルー)氏から支援を受けている。NFTの流行を牽引する同社は、「NBA Top Shot(NBAトップショット)」という人気ゲームサービスを展開している企業だ。他にも、ラッパーのNas(ナズ)氏(彼の投資先には、数々の新規企業に対する予見的な賭けが含まれている)や、元NBA選手のAndrew Bogut(アンドリュー・ボーガット)氏、Eniac Ventures(エニアック・ベンチャーズ)のパートナーであるNihal Mehta(ニハール・メフタ)氏などがSportsIconに出資している。同社は事業開始と合わせて初回の資金調達を発表したが、総額は明らかにせず「7桁台(数億円)」とだけ述べている。

SportsIconはまず最初に、アスリートたちとのコラボレーションにより、彼らのスポーツキャリアの歴史的な瞬間を記念して作成された15〜20のNFTを公開する予定だ。これらのNFTには「2時間のマスタークラス」が付属し「ファンは、彼らのメンタルとフィジカルのトレーニング方法、テクニック、ベスト・プラクティスを学ぶことができます」と、同社はプレスリリースで述べている。

このマスタークラスを提供するというやり方は、同社共同設立者であるChris Worsey(クリス・ウォージー)氏が、Coursematch(コースマッチ)をはじめとする数々の教育テクノロジー系スタートアップを起ち上げた経歴に由来する。この取り組みで重要なことは、市場に投入するNFTと一緒にパッケージ化される独占コンテンツであることだと、ウォージー氏はTechCrunchに語っている。このコンテンツは、アスリートと一緒に2日間の撮影を行って制作され、1日目は「彼らの道のりや過去についてのインタビュー」、2日目はトレーニングフィールドでの撮影となっている。このような独自コンテンツを作ることによって、SportsIconは差別化を図ると、ウォージー氏は述べている。

「これが重要なポイントです。コンテンツには希少性が備わっていることが魅力になります」と、ウォージー氏はいう。「私たちは、このコンテンツを他の場所で公開することはありません」。

「アイコン的なアスリートとの長期的な関係を築くことを望んでいる」と、ウォージー氏は語っているが、金銭的な詳細や分配は契約ごとに異なるという。場合によっては、アスリートが自分の選んだ慈善団体に収益を寄付することもある。各々の作品はオークションにかけられ、1パックあたり10ドル(約1080円)から999ドル(約10万7800円)で販売される見込みだ。ウォージー氏によると、より高価なパックは「アイコンが最高の瞬間を語っているような、本当に貴重なもの」になるという。パックの中には、サイン入りの記念品や試合のボックス席など、現実世界の物品も含まれる。

ウォージー氏によれば、SportsIconの真の差別化は、コンテンツに力を入れ、独自であるだけでなく、高品質なものを作ることだという。

「SportsIconが他と違うのは、私たちがコンテンツに投資しているからです」と、ウォージー氏はTechCrunchに語った。「私たちは世界レベルのディレクターを雇って、世界レベルのコンテンツを制作しています」。

このスタートアップ企業は、デビューとなるNFTで一緒に仕事をするアスリートについてはまだ明らかにしていないが、同社のプラットフォームに登場する最初のスポーツスターは、サッカー、テニス、MMA、バスケットボール、野球の選手で、それぞれの分野におけるスターとの契約交渉が現在進行中であると、述べている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SportsIconNFTスポーツ資金調達NBA

画像クレジット:Patrik Giardino / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【インタビュー】「ブロックチェーンとそのテックは政治から切り離すべき」元米通貨監督庁長官が語る可能性

Brian Brooks(ブライアン・ブルックス)氏は若い頃、生活費や教育費をクレジットで借りて賄った。今の同氏があるのはそのような信用貸しをする消費者向け金融サービスのおかげである。

ブルックス氏はコロラド州の小さな町の出身だ。この町は、経済を牽引していた唯一の製鉄所が閉鎖されて大きな打撃を受けた。数年後、彼が14才のときに父親が他界し「まっとうな人生」を送りたいなら自身で道を切り開くしかないと悟った。彼は大学とロースクールに行くために学費を稼ぎ、8%という高金利で10万ドル(約1100万円)以上の学費ローンを受けた。

彼はこの経験について苦々しく思うどころか、チャンスを得られたことに対して感謝している。

「クレジットがあれば、現金を出す余裕がないときでも、欲しいものを手に入れられる」とブルックス氏はいう。

その後同氏は、世界最大のデジタル通貨プラットフォームとなった時価総額数十億ドル(数千億円)のシリコンバレー発スタートアップCoinbase(コインベース)の最高法務責任者(CLO)を務めた。ブロックチェーンと暗号資産(仮想通貨)は、同氏が常に心にとめている目標である「ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)」を推し進めるための大きな潜在力を秘めた技術だ。

2020年5月、ブルックス氏は民間企業から公的機関へと移り、連邦通貨監督庁(OCC)長官代理の職に就いた。連邦通貨監督庁での在職期間は短かったが、そこでさまざまな経験をする。具体的には、当時法制化に関してさまざまな論争があった銀行設立免許、暗号資産、融資に関する法律の制定に尽力した。そして2021年1月、同氏は同職を辞任し、民間企業に戻ることになった。

2021年3月、ブルックス氏はデータ共有スタートアップSpring Labs(スプリング・ラブズ)に初代独立取締役として就任した。同氏は実は5年前にSpring Labsのアイデアを最初に思いついたグループの一員だったため、今回の就任はさまざまなキャリアを一巡してスタートに戻るかたちとなった。

同氏のSpring Labsでの目的は、革新的なマインドセットと、フィンテック企業が一変させようとしている旧態依然たる銀行システムに関する知識の両方を持つ同氏の経験を業務に活かすことだ。銀行システムの運営に実際に携わったことのある同氏は「何が問題なのかをよく理解している」と確信している。

「すばらしいアイデアを持ってはいるものの、自分たちが改善しようとしている分野の専門知識が不足しているテック企業が本当に多いと思う。私の場合、銀行とクレジット基盤システム運営組織の内部でかなりの期間キャリアを積んだため、改善する必要がある部分を明確に把握している。それは、安全面と匿名のデータ共有だ」と同氏はいう。

民間企業に戻ること、ブロックチェーンでファイナンシャル・インクルージョンを実現できる理由、政治をテクノロジーから切り離す必要があると考える理由について、同氏に聞いた。

このインタビューはわかりやすくするために編集されている。

TC:Spring Labsの業務について教えてください。

ブルックス氏:Spring Labsの目的は、ブロックチェーンを使って、データのネットワーク効果を強化することです。これにより、従来の信用調査システムでは排除されてしまう人たちの 弁済能力を信用調査機関等が予測できるようになります。すべてのブロックチェーンがオープンソースのノードネットワークであることを考えると、これはブロックチェーンが持つすばらしい潜在性の1つだと思います。

このネットワークに接続できるデータソースの数が増えるほど、利用者の弁済能力を査定するための環境が強化されます。Spring Labsが成功して規模が十分に拡大すれば、40億~50億人の人たちをクレジットシステムから排除せずに済むようになります。十分なデータがあるため、特定の個人について、信用リスクが低く、クレジットカードを発行しても問題ないと予測できるようになるからです。住宅ローンやクレジットカードの有無は関係ありません。当社の中核となる使命は、より多くの人たちがクレジットカードを使えるようにすることです。

TC:豊富なデータというのは、家賃を滞納せずに支払っているとかそういうことでしょうか。

ブルックス氏:はい、そういったことです。例えば、銀行の口座で繰り返される入出金に関する情報などもそうですし、サブクスリプション料の支払い、定期的に発生する支払い、資産や所得に関する情報などもそうです。これらはすべて、その人の信用リスクの判断材料になります。

TC:なるほど。同じような使命を掲げた他のスタートアップに関する記事をいくつか書いたことがあります。

ブルックス氏:ええ。ただ、私がここ4~5年、暗号資産とブロックチェーンに関する仕事に多くの時間を費やしてきたのは、分散ネットワークの方が、例えば米国のすべての家主に登録してもらって、家賃の支払い状況を追跡できるデータ共有サービスを提供するよりも、常に多くのデータを収集できるという考え方が基盤にあるからです。つまり、家賃の支払いは信用リスクを判断する点で確かに良い材料になりますが、他にも数百に及ぶ適切な判断材料があるということです。

クルマの所有者であれば、クレジットで購入したかどうかは弁済可能性に関する適切な判断材料です。近隣の不動産価格が上がっているか下がっているかといった情報も、良い判断材料になります。重要なのは、データの種類にとらわれず、特定の判断材料の有無に関係なく、どのような人でも査定できる豊富なデータ環境を生成することです。将来のクレジット支払い状況を予測するデータ要素もあります。こうしたデータは精緻化され、ネットワーク上にあらゆるデータが構築されていきます。これはいわばSpring Labsの秘密兵器とも言えるものです。

TC:OCCの在職期間中に成し遂げた最も大きな仕事は何ですか。

ブルックス氏:OCCを運営していたときに2つの規制を法制化しました。1つは「貸付時の利率を有効とする(Valid When Made)」ルール、もう1つは「真の貸し手(True Lender)ルール」と呼ばれるルールです。これらのルールの目的は透明性を強化することです。

私が在職中に行ったもう1つの仕事は、Anchorage(アンカレジ)という暗号資産企業に最初の設立許可を与えたことです。また、暗号資産の取り扱いが許可される銀行に関するガイダンスも作成しました。このガイダンスは、この1年で暗号資産の採用が促進されたことと大きな関係があると思っています。

暗号資産世界で最大の課題の1つは、暗号資産で取引している人が、暗号資産を使ってテロリストへの送金や資金洗浄を行っていないことを確認することです。これが問題となるのは、暗号資産は銀行による制限を受けることなく(銀行を介さずに)直接取り引きできるためです。通常、小切手を切ると、銀行のシステムの中で受取人について確認が行われ、その人物が何かのブラックリストに掲載されていないかチェックされます。現金を使用する場合は、現金取引報告書に記入する必要があります。しかし、暗号資産の場合はそのようなチェックはありません。ブロックチェーンによる検証の話に戻りますが、Spring Labsが構築した仕組みの1つは、政府も含め、取引を処理する人が「このビットコイン取引の送信先が誰であるかを確認できない」と言えるようにするソリューションです。

Spring Labsのソリューションを使えば、相手を特定できなくても、相手が悪意のある人物ではないことを確認できます。Spring Labsではデータを匿名化するため、相手の氏名は分かりません。しかし、当社のブロックチェーンには大量の個人識別情報が登録されているため、相手が安全かどうかは判断できます。しかも、通常ブロックチェーン上で保証される匿名性の基本原則に違反することもありません。匿名化データ共有の実現がフィンテック業界で最も重要なブレークスルーの1つであると言われる所以です。

TC:相手に悪意があるかどうかをどのようにして見分けるのですか。

ブルックス氏:ブロックチェーンの本人確認では、大量のデータに基づいて確率的判断を下します。そのため、例えばあなたがVladimir Putin(ウラジミール・プーチン)ではないことを確実に判定することはできません。ですが、あなたは、昨日パロアルトのスターバックスでラテを買った人であるとか、Netflixのサブスクリプション料を23カ月間支払い続けている人であるといったことは分かるわけです。確率的判断を下すというのは、あなたが何らかの違法行為に関わっている可能性が統計的に低いという判断ができるようにする、ということです。実はこの方法は、公的な機関のリストにあなたが掲載されているかどうかを調べるよりも、正確である確率がはるかに高いことが分かっています。公的機関のリストでは、タイポやミススペル、ときには、名前の姓と名が逆になっているなど、さまざまな間違いが含まれている場合があります。

TC:ある創業者が「今の若い世代は銀行システムに対して不信感を持っている。彼らがこうした新しいデジタルソリューションやネオバンクといったものを受け入れる理由もそこにある」と話していました。若い世代が銀行システムに対して不信感を持っているというこの指摘についてどう思いますか。

ブルックス氏:若い世代に限らず、もっと上の年代の人でも銀行に対して不信感を持っている人はたくさんいると思います。金融危機を体験した人なら誰しもそうした感覚を持っているでしょう。個人的に、銀行システムは、システムとしては強力で人々の信頼に値すると思っています。私がかつて率いていたOCCやその他の機関には数千人の経験豊富なプロフェッショナルたちがいて、銀行の安全性、確実性、コンプライアンスを毎日のようにチェックしているからです。間違いや違法行為があれば、リアルタイムで指摘されます。その点は確信があります。

しかし問題があります。これは金融の特性ですが、例えば、5年前にクレジットカードの返済遅延があるため、一定期間、融資を受ける際の利子率が大幅に高くなるといったことが起こります。こうしたことは、クレジット管理会社や銀行業務の本質的な部分であり、多くの人、特に若者が疎外感を覚える理由でもあります。

例えば、あなたが、2020年パンデミックの最中に大学を卒業したばかりの若者だとします。仕事も見つからず、信用(弁済能力)もないため、車を買ったり、クレジットカードを作るのも困難な状態です。こうなると、銀行システム全体があなたを何らかの方法で排除するために存在していると感じるようになります。このような銀行システムに不快感を覚える一方で、あなたでもクレジットを利用できる(銀行を介さない)直接融資プラットフォームや分散型ファイナンスプラットフォームの存在を知ると、当然ながらそのようなフィンテックに目を向けるようになります。フィンテックは、従来の銀行システムが残した(差別的な)ギャップを埋めるために存在しているのです。

銀行は信頼できますが、銀行のサービスを利用できるのは社会の6~7割くらいの人たちです。若者、低所得者、マイノリティ、移民といった人たちが銀行を利用しようとすると、大きなギャップに悩まされることになります。それこそ我々が改善しようとしている点です。銀行はこの国の標準層にサービスを提供するために存在しており、フィンテックは市場の意欲をうまくコントロールして、標準層から除外された人たちに向けたサービスを構築しています。

フィンテックが政治的論争の的にされた理由が理解できないと私が言っているのはそのためです。フィンテックを巡って戦いが起こっているようですが、これが一体どこから起こったのかよく分かりません。ある種の超党派の戦いのようです。少し前の話になりますが、米下院金融サービス委員会議長Maxine Waters(マキシン・ウォーターズ)氏がバイデン政権の移行チームに送った手紙を見ると、新政権への要望がいろいろ書かれているのですが、その中に旧政権がフィンテックに対して行った政策をすべて白紙に戻すこと、というのがあります。これを読んで私は「なぜ」と思いました。確かに、旧政権ではいくらか政治的な措置も行ってきたことは分かっていますが「Stripe(ストライプ)に銀行設立認可を与えるべきだと思う」という発言がなぜ政治的なのでしょうか。この発言のどの部分が政治的なのでしょう。Stripeは大規模な金融仲介サービスに従事している会社であり、銀行設立免許というのはまさにそうした企業に与えるものです。これのどこが政治的なのでしょうか。ここから、銀行設立認可や、先ほど触れた真の貸し手ルールへと話は拡大していきます。

TC:フィンテックが政治的論争の的になった背景について説明していただけますか。

ブルックス氏:どうやら、フィンテックを気に入らない人たちがいるようなのです。とりわけ民主党員に多いようです。私の前職の後任に特定の候補者がいたのですが、フィンテックについて肯定的な発言をしたために就任を拒否されたようです。これもそういう背景があったからだと考えられます。フィンテックの本質は、銀行システムからまともなサービスが受けられない人たちを救うことですよね。

例えば、米国人が本当に化石燃料を禁止すべきだと思っているなら、そうすべきです。政治家はそれを法制化し、それが人々が望んでいたものと違っていたら責任を持って対処するべきです。誰に融資するかの判断を、銀行のCEOが社会の代表として行うというのは望ましくありません。テクノロジーから政治を切り離す必要があります。

我々はみな、さまざまなことを行っていますが、それが隣近所で評判が良い行動なのかどうか、あるいは銀行の頭取に高く評価されて信用評価の向上につながっているかどうかといったことはまったくわかりません。自分が共和党員であるがために地元の銀行の頭取に住宅ローンを拒否されているように感じることなど起きてはならないのです。

TC:この国でファイナンシャル・インクルージョンを実現するというあなたの願望は、ご自分が大人になるまでの経験と関係があるのかもしれないという記事を読みました。その辺りについてお話しいただいてもよろしいでしょうか。

ブルックス氏:かまいませんよ。私がクレジットで借り入れをして若い頃の生活費や教育資金を調達したというのは秘密でも何でもありません。私は小さな町で育ちました。この話をするときはいつも、私の人生に大きな影響を与えた2つの悲劇についての話になります。悲しい言い方になりますが、私が子どもの頃にこの町は「死んでしまった」のです。私は幼少期をコロラドの活気のある工場都市で過ごしました。町はきれいで、鉄鋼労働者の組合が組織されていたため高い雇用水準を維持していました。すばらしい時代でした。ところが私が11才か12才の頃、工場が閉鎖され、突然、活気のある愛すべき小さな町は2桁台の高失業率を記録するまでになってしまったのです。最悪でしたし本当に悲しい思いをしました。

その2年後、父が他界しました。ですから、町が死んだ後すぐ、父も亡くなったのです。まっとうな人生を送るつもりなら、16才になったらすぐに仕事を見つける必要がありました。また、大学とロースクールへ行くための高額な学費も借りる必要がありました。これは公言していることですが、この学費は国の補助利率では借りることができませんでした。当時、所得税に基づいて学生ローンが減免されることはなかったため、数十万ドルの学生ローンを8%の利子で返済しなければなりませんでした。それでも、ローンが組めるだけでありがたかったのです。

そのため、私はクレジットで支払うことを悪いことだと思っている人たちとは違います。さまざまな研究によると、クレジットの利用額が多いほど貧困は少なくなることが分かっています。ツイッターなどでこのような発言をすると、政治に関心のある人から「いやそうじゃない。クレジットの利用額が多いほど借金が増えるのだ」という反応がありますが、これに対して私は次のように返します。「それは意味が分かりませんね。クレジットと借金は同じことでしょう。私が言いたいのは、クレジットを利用すれば、現金がなくて支払えない場合でも欲しいものを手に入れることができるということです。教育費、起業資金、住宅購入資金など、あらゆるものにクレジットが使えます」。

私は、実際、こうしたものすべてにクレジットを利用してきた人間として、他の人も自分でリスクを負うことができるようにすべきだという道徳的で偉そうなエリート主義的な立場は取りません。私は8%の利子というリスクを引き受けた結果、今の人生を手に入れることができました。ですから、そのようなリスクを負うべきではないなどと他の人に伝えることが私の義務だとは思いません。私はクレジットの利用を大いに勧めたいと思っています。クレジット利用額が大きいほど社会は良くなると信じています。フィンテックには、銀行システムからまともなサービスが提供されない人たちに然るべきサービスを提供できる可能性が十分にあります。私は、分散ネットワークによって(金融システムの利用者に対する)こうした差別の一部が解消されると考えています。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産Coinbase金融包摂Spring Labsインタビュー

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

暗号資産取引所Coinbaseが上場、初値は381ドル、時価総額は一時11.3兆円超

米国時間4月14日、直接上場したCoinbase(コインベース)の取引が始まった。基準価額250ドルだったCoinbase株の初値は1株当たり381ドルと約52%上昇した。この時点のCoinbaseの時価総額は完全希薄化ベースで996億ドル(約10兆8230億円)だった。本稿執筆時点でCoinbaseはさらに値上がりして1株あたり400ドルを超え、時価総額は1040億ドル(約11兆3040億円)を超えた。

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Coinbaseの基準価額に基づく時価総額は完全希薄化ベースで653億ドル(約7兆960億円)だった。

Coinbaseの市場デビューは、拡大する暗号資産(仮想通貨)経済を追い風に大きな期待を受け、莫大な価値を生み出している。同社の非上場企業時代には未公開株投資家らが資産を投じ企業価値は最大80億ドル(約8700億円)に上った。

同社の新たな価値は以前の数字を小さく見せるものであり、長年の出資者への大きなリターンを暗示している。今日からは一般投資家も同社の株式に手を出すことが可能になり、多くの人々がその権利を行使しようとしている。TechCrunchはこの上場について読者に尋ねた。取引開始前の調査結果は暗号資産ユニコーン株の行方を示す逆指標となっている。

Coinbaseに1株当り250ドルより多く払うか少なく払うか?

Coinbaseの前途は興味深い。同社は豊富な資産を有し、直近の四半期で莫大な利益を上げた。しかしCoinbaseは、暗号資産の価格水準とその結果による取引規模の影響と切り離し、Bitcoinなどの価値が下落した際の成長と収入の後退に耐えられる未来をまだ描いていない。

しかし暗号資産信者にとって、Coinbaseの上場は勝利だ。従来型取引所での伝統的企業上場が暗号化経済の記念すべき瞬間である、というのは皮肉だが、何ごとも段階的に進んでいくものだ。おそらく次の主要暗号資産企業の市場デビューは、分散型取引所で起きるだろう。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Coinbase新規上場暗号資産

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Coinbaseが直接上場の基準価額を1株あたり250ドルとし時価総額7兆円超に跳ね上がる

米国最大の暗号資産取引所であるCoinbaseが、その直接上場の基準価額を1株あたり250ドルに設定した。最新のSEC提出書類によると、同社の完全希釈後の株数は2億6130万株で、評価額は653億ドル(約7兆1110億円)になる。同社の最新のS-1/A文書による単純株数196,760,122(1億9676万余)では、Coinbaseの価値は492億ドル(約5超3580億円)とやや細くなる。

どちらの株数を使って計算しても同社の価値は、2018年の80億ドル(約8710億円)を大きく上回る。

同社の直接上場基準価額の発表直後には「もっと安くてもいい」という声が多かった。Coinbaseは新株発行で株を売ってはいないため、その株価が急上昇してもベンチャーキャピタルから責められることはないが、でも設定した基準価額が、同社の価値の保守的すぎる予想に対する反応なら、ややユーモラスではある。

いずれにしても、同社の非上場時からの投資者にとっては大当たりだ。およそ4年前の2017年には、CrunchbaseのデータによるとCoinbaseの価値はわずかに16億ドル(約1740億円)だ。そのときのラウンドの投資家や、もちろんもっと初期からの資金調達に対しては、1株250ドルの株価はそのときの彼らの出資額の約40倍に相当する。

Coinbaseの直接上場は、同社が2021年第1四半期決算報告の初見を発表したときギアがトップに入った。そのときTechCrunchは、同社の最近の成長は驚異的で、売上は2020第4四半期の5億8510万ドル(約640億円)から、2021年の最初の3カ月は18億ドル(約1960億円)にスケールした、と報じた。その新しい数字は、すでにホットな企業の上場デビューにさらに火をつけた。

今度のCoinbaseがどれぐらいから始まり、どこまで企業価値が高くなるか、この際、賭けてみよう。すごい見せ場になるだろう。

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カテゴリー:ブロックチェーン
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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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アフリカでの暗号資産の利用急増でLunoの顧客リーチは700万規模に

暗号資産(仮想通貨)は、価値の保存手段としてBitcoin(ビットコイン)を受け入れ出した機関投資家の参入による強烈な刺激を受け、全体として力強い成長の年を迎えた。2020年に起きたビットコインの急騰も、2020年第3四半期には1億人を突破した世界中の暗号資産ユーザーが、国際的にそれを受け入れ始めたことで加速された。

2013年、Marcus Swanepoel(マーカス・スウェインポール)氏とTimothy Stranex(ティモシー・ストラネクス)氏によって創設された英国の暗号資産取引企業Luno(ルノ)の場合、2020年1月から2021年1月の間に顧客が600万人に膨れ上がった。だが、それ以後さらに700万人に増えている。現在、ロンドンに本社を置く同社は、南アフリカ、マレーシア、インドネシア、ナイジェリア、シンガポールにも400人近い従業員を擁し、世界40カ国に顧客がある。

CEOのスウェインポール氏によれば、Lunoの数字はこの7年連続で前月比を上回る増加を見せているという。しかし、これだけの勢いの加速を経験するのは初めてのことだ。

Lunoの数字が急増した理由はいくつかある(どの暗号資産取引スタートアップも同じだが)。一般的に、ビットコインは暗号資産愛好家が日常的に使っているとか、BNY Mellon(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)、Mastercard(マスターカード)、Tesla(テスラ)などの機関投資家が興味を示しているといった話とは裏腹に、それが主流になるのはまだまだ先の話だ。

今のところ、暗号資産は主に投資目的で使われている。このたった1つの要因が、アフリカ人の間で大きな人気を呼んでいるのだ。彼らが、Lunoの成長と強大なトラクションの大半を支えるユーザー層となっている。

2020年、同社は現在の事業の対象となっている市場でアンケート調査を実施し、南アフリカ、英国、フランス、イタリア、インドネシア、マレーシア、ナイジェリアから1万5000件の回答を集めた。これによりLunoは、現在の金融システムにパンデミックがどれだけの影響を及ぼしたかを理解できた。調査の結果、アフリカ人の54パーセントは、すでに国際的なデジタル資産を1つ利用していた。これに対してアジアでは41パーセント、ヨーロッパでは35パーセントだった。

アフリカの優位性は、その数字にも現れている。同社が世界で有している700万人の顧客のうち、470万人がアフリカにいる。この数は、2020年1月には230万人だった。アフリカ大陸全体でのLunoアプリのダウンロード数は同じ期間内に271パーセント増加した。取引数は21倍に跳ね上がり、5億550万ドル(約607億円)から70億ドル(約7660億円)に拡大した。そこからわかるのは、Lunoの取引高は83億ドル(約9077億円)に達しているということだ。

だがこの成長は、市場でのLunoの初動によるところが大きい。この数年間、それまで暗号資産市場に対応できていなかった世界各地のインフラは、大幅に改善された。Lunoは、最初のプラットフォームの1つとして、現地の通貨を採り入れることで暗号資産市場の体験を向上させるという大きな役割を果たしている。また、人々にデジタル資産啓蒙のための下地作りにも貢献した。

「前回、2020年のようにビットコインが高騰したのは2017年と2018年でした。ほとんどが小売りによってもたらされましたが、そのころはまだ暗号資産の購入が困難でした。当時は信頼性の問題があり、アカウントの承認や、ウォレットの準備にさえ数日かかったものです」とスウェインポール氏はTechCrunchに話した。「今では、この3年の間に、私たちのような企業が、特にアフリカにおいて、インフラ、KYC、新しい決済方法、顧客エクスペリエンスとサポートを確立しました。エクスペリエンスはずっと向上し、教育レベルもうんと上がりました。私に言わせてもらえれば、これがあの大陸での暗号資産の受け入れに大きく貢献したと思います」。

2020年9月、Lunoはブロックチェーン企業の創設、買収、投資を行うDigital Currency Group(DCG、デジタル・カレンシー・グループ)に買収された。同社のポートフォリオ企業には、Coindesk(コインデスク)、Genesis(ジェネシス)、Grayscale Investments(グレースケール・インベストメンツ)なども含まれている。Lunoを買収する前に、DCGは2014年のシードラウンドで始めてLunoに投資した。そして2020年、とてつもない成長とプラットフォームでの取引量を目の当たりにして、Lunoの規模拡大の機会を感じたとスウェインポール氏は話している。

「最初の5年から6年は小規模な事業でしたが、今は大きく出たいと思っています。そこでDCGのようなグローバルなプラットフォームの力が役に立ちます。彼らには豊富な資本があり、他の大陸と同様に、アフリカへの投資にも取り組んでいるからです」と彼は述べた。

さらにスウェインポール氏は、DCGは暗号資産業界とそのトレンドに明るいと話す。この買収は、Lunoにとれば、単にDCGの見識を利用して時代を先取りするためのものであり、その努力は報われたように見える。買収以来、Lunoのアクティブユーザー数は167パーセント増加した。1月の時点で、ユーザーは平均してウォレットに7000ドル(約77万円)以上入れている。これは2020年12月から56パーセントの伸びだ。

永遠に続くものなどない。しかし、もし暗号資産市場の突進が続けば、暗号資産はかつて思われていたような一時的な流行などでないことがわかる。2021年第1四半期、Coinbase(米国時間4月14日に上場予定)やRobinhood(ロビンフッド)などの企業は怪物のような数字を示し、力強い成長予測が立てられた。急成長の継続を期待するLunoの場合、その軌道は2030年に顧客数10億人という大台に定められている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Luno暗号資産アフリカ

画像クレジット:Dan Kitwood / Getty Images

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:金井哲夫)

【コラム】もしものときにNFTや暗号資産を失わないようにする方法

本稿の著者Erin Bury(エリン・ベリー)氏は、トロントに拠点を置く総合的なオンライン不動産計画サービスWillfulのCEOで共同創業者。

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消費者が富を築く場合、その内容はたいてい、現金、投資、不動産、自動車、宝飾品、美術品をはじめとする「有形の」資産である。しかし、最近は新たなタイプの資産も増えている。暗号資産(仮想通貨)や、最近注目され始めたNFTなどの「デジタル資産」だ。

我々は今、史上最も大規模な「富の移転」を経験している。今後数十年で、16兆ドル(約1745兆円)に相当する資産の所有権が移転すると予測されているのだ。物理的な資産であれば、緊急時や死亡時にその所有権を比較的容易に移転できるが、デジタル資産の場合はそうはいかない。

カナダのオンライン遺書作成サービスWillful(ウィルフル)から委託されてAngus Reid(アンガス・リード研究所)が実施した最新の調査によると、自分のパスワードとアカウントに関する全情報を自分以外の誰かに伝えてある消費者はわずか4人に1人だったという。この調査結果を考えると「消費者はデジタル資産を相続させる準備ができるのだろうか、何十億ドル(何千億円)にも相当する暗号資産が誰にも受け継がれずにデジタルの世界に取り残されることになるのだろうか」と疑問に思わずにはいられない。

物理的な資産であれば、緊急時や死亡時にその所有権を比較的容易に移転できるが、デジタル資産の場合はそうはいかない。

2021年のニュースはデジタル資産に関する話題でもちきりだ。暗号資産は目新しいものではないが、その価値が急騰したり、Elon Musk(イーロン・マスク)氏などの億万長者が暗号資産を支持する発言をしたり、米大手銀行Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)をはじめとする従来型の金融機関がBitcoin(ビットコイン)の取引を取り扱うようになったりしたことで、2020年あたりから暗号資産への注目度が高まっている。何らかの形態の暗号資産を所有している場合、それにアクセスするには64桁のパスコードで構成されるプライベートキーを使うしかない。このプライベートキーがわからなければ、暗号資産にアクセスすることはできない。

ビットコインを購入した後にハードドライブを破棄したりプライベートキーを紛失したりしなければ、今頃は大金持ちになっていたのに、という体験談は数多くある。有名なのは、暗号資産取引所Quadriga(クアドリガ)を創設したGerald Cotten(ゲラルド・コットン)氏の例だ。コットン氏が2018年に急死した当時、同氏は顧客から預かった2億5000万ドル(約272億7000万円)以上の暗号資産を運用していたが、プライベートキーを知っているのが死亡した本人だけだったため、それらの暗号資産資産が実質的に凍結されてしまったのだ。

暗号資産と同じくブロックチェーンによってホストされるNFT(非代替性トークン)という形態のデジタル資産についても、最近、さまざまなニュースを見聞きする。中でも度肝を抜かれたのは、Beeple(ビープル)というアーティストのNFT作品が老舗オークションハウスChristie’s(クリスティーズ)に出品され6900万ドル(約75億円)で落札されたというニュースだ。他にも、トロントでNFTのバーチャル住宅が60万ドル(約6600万円)以上で売れたとか、昔流行ったNBA選手のトレーディングカード遊びのような感覚でNBA選手のプレー中の写真や動画を取引できるプラットフォームの取引高が2億ドル(約219億円)を超えたというニュースもあった。最近注目され始めたこのNFTという資産形態は、デジタル資産に、有形資産と同じか、場合によっては有形資産よりも高い価値が付される可能性があることを証明している。そして、暗号資産と同じように、NFT資産にアクセスする場合にもプライベートキーが必要のようだ。

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生前に遺言書が作成されていれば、故人の資産はその遺言に基づいて分配されるし、遺言書が作成されていない場合は法定相続割合に基づいて分配される。遺言書には、誰がどの資産を相続するか、という概要が記されていることはあっても、最新の資産目録や、パスワード、アクセスキーなどの情報が記載されていることはほとんどない。遺族または遺言執行人が故人のアカウント情報を知らないために引き取り手がおらず、銀行で眠っている資産は何百億ドル(何兆円)にものぼる

銀行口座であれば、遺言執行人が金融機関に連絡し、遺言書の写しや死亡証明書の提出等の必要な手続きを行えば、故人の口座の有無を確認したり、口座内の資産を動かしたりすることは可能だ。しかし、デジタル資産の場合はそう簡単ではない。遺族が銀行に連絡して、故人がNFT資産を所有していたかを問い合わせることはできない。NFTや暗号資産の全体目録のようなものは存在しないし、すべてを統括している中央管理組織もない。そもそも、意図的に分散化されている仕組みなのだ。これは、プライバシー保護の点では理想的なのだが、故人が価値あるデジタル資産を所有していたかどうかを知りたい遺族にとっては少し厄介な仕組みだ。

さらに言えば、故人がデジタル資産を持っていたかどうかを確認するだけでは不十分だ。その資産にアクセスする方法も知る必要がある。Angus Reid Forum(アンガス・リード・フォーラム)がWillfulの委託を受けて実施した最近の調査によると、35歳以下の消費者のうち家族や恋人にアカウント情報を伝えている人の割合は19%で、他の年齢層よりも低かった(ちなみに、55歳以上の消費者のうち家族や恋人にアカウント情報を伝えている人の割合は32%だった)。これは当然のことだ。年齢が若ければ、自分が死ぬことや死亡後の財産分与について考えることは少ないだろう。しかし、テクノロジーを使い慣れている若い世代こそ、その身に何かあった場合に、残された資産のせいで家族を困らせてしまう可能性がある。

では、デジタル資産を守るために消費者は何をすべきなのだろうか。第1に、1Password(ワンパスワード)などのパスワード管理ツールを使用することだ。このようなツールを使えば、アカウントに関するあらゆる情報、ログイン情報、デジタル資産用のプライベートキー、その他の重要な情報すべてをまとめておくことができ、管理者アクセス用パスワード1つを遺言執行人に伝えるか、自分の遺言書に記すだけで済む。

この方法を使えば、自分の身に何かがあった場合に、家族や遺言執行人が自分のアカウントに簡単にアクセスできる。しかし同時に、家族や遺言執行人にリスクを負わせる場合もある、とDirective Communication Systems(DCS、ディレクティブ・コミュニケーション・システムズ)の創業者Lee Poskanzer(リー・ポスカンザー)氏は指摘する。多くのウェブサイトやアプリではパスワードの共有が利用規約の中で明示的に禁止されており、一部の国や地域のプライバシー保護法ではアカウント所有者へのなりすましが禁止されているためだ(米国では「蓄積通信法」と「電子通信プライバシー法」がそれに相当する)。いうまでもないことだが、二要素認証を求められるアカウントが増えており、遺言執行人が故人のスマホにアクセスできなければ、二要素認証に必要な情報を確認するのは困難だろう。

DCSは、死亡時のデジタル資産移転をサポートするプラットフォームだ。しかも、そのためにDCSにパスワードを提出する必要はない、とポスカンザー氏はいう。DCSは遺産管理者と協力して、Google(グーグル)やソーシャルメディアなどのコンテンツプロバイダーに必要書類(死亡証明書、お悔やみ欄の記事、身分証明書など)を提出する。必要書類の内容はコンテンツプロバイダーによって異なるが、それを提出すると、コンテンツプロバイダーからDCSに対し、対象アカウントのコンテンツのデータダンプがクラウド経由で提供される。

第2に、デジタルウォレットやデジタル取引所を使ってデジタル資産を保管することを検討できる。家族がそのウォレットや取引所にアクセスにできれば(この場合でもプライベートキーは必要だが)、ウォレットまたは取引所が独自に定めている死亡手続きを実行できるかもしれない。

例えば、Coinbase(コインベース)は、アカウント所有者が死亡した場合に個人のデジタル資産を遺言執行人または遺族に払い戻すための手順を明確に定めている。万一の場合に備えて、プライベートキーを物理的な紙に書き、それを貸金庫や耐火金庫などの安全な場所に保管して、自分の死亡時に遺言執行人がその保管場所にアクセスできるようにしておくこともできる。

第3に、最新の資産目録を作成し、遺言執行人や家族の中でも特に親しい人物がその目録を見られるようにしておくことだ。この目録には、物理的な資産とデジタル資産の両方を記載し、年に一度か、あるいは新たな資産を取得したときや金融機関を変更したときなどに、定期的に見直して更新する必要がある。最後に、遺言書を作成して自分の資産をどのように分配したいかを明確に記し、デジタル資産の分配方法についても具体的な指示を書いておくことだ。

遺言書の作成は、種類を問わずあらゆる資産を守るため、あるいは未成年者の後見人などの重要な指名を行うためのベストプラクティスであるだけでなく、アカウント内の資産を遺族に引き渡してもらうためにも必要なステップだ(例えば、コインベースでは、故人のアカウント内の資産を遺産管理者に引き渡してもらうには、遺言書の写しを提出しなければならない)。

莫大な富が次の世代へと移転されていくにつれて、銀行、フィンテック企業、暗号資産取引所、ソーシャルメディアプラットフォームをはじめとするコンテンツプロバイダーは、死亡手続きを明確に定めるようになり、デジタル資産の有無を生前に誰かに伝えることや、遺族がそのような資産にアクセスすることは今よりも容易になっていくだろう。そうなるまでは、本記事で紹介した方法を実行することによって、自分が希望する人物や組織に遺産を確実に分配し、自分のデジタル資産が行き場を失ってデジタル煉獄に閉じ込められるのを防ぐことができる。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFT暗号資産コラムWillful遺言終活デジタル遺産資産管理

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(文:Erin Bury、翻訳:Dragonfly)

NFTとは何か?デジタル収集家たちのなぜ今、熱狂しているのか?

代替不可能なトークン(NFT、Non-fungible token)は、Ethereumなどのブロックチェーン上の唯一無二の価値を表現するデジタルアイテムの1つである。NFTは2年ほど前から存在しているが、猫のアニメーションNBAのクリップバーチャル家具といったビジュアルアートを収集する手段として急速な盛り上がりを見せている。

「突発的に」といっても過言ではない。Cointelegraph(コインテレグラフ)によると、2020年後半に900万ドル(約9億9000万円)相当のNFT製品が買い手に売れたという。2021年2月初めには24時間枠で6000万ドル(約66億円)相当のデジタル商品が取引されている。

いったい何が起こっているのか。2021年2月にNew York Times(ニューヨークタイムズ)がこのトレンドについて詳しく報じた記事に加えて、ウィスコンシン州在住のBeepleというアーティストについて書かれたEsquire(エスクァイア)の記事が新たな関心を呼んだ可能性が高い。Beepleはウィスコンシン州出身の父親でもあるデジタルアーティストで、過去13年間にわたり日々制作してきたデジタル描画作品が2020年12月に飛ぶように売れ始めた。転換点のさらなる裏づけが必要なら(現時点で豊富にある)、BeepleことMike Winkelmann(マイク・ヴィンケルマン) 氏の作品がChristie’s(クリスティーズ)を通じて公開されたことを考慮して欲しい。これは由緒あるオークション会社がデジタル作品だけを販売する初めてのケースとなる。

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この市場について、そしてなぜリアルタイムで爆発的に成長しているのかを詳しく知るために、元インターネット起業家のDavid Pakman(デイビッド・パックマン)氏に話を聞いた。同氏は数十年前にベンチャー企業Venrockに入社後、すぐにBitcoin(ビットコイン)の動向を探り始め、2015年からベイエリアにある自宅で暗号資産(仮想通貨)をマイニングしている人物だ(「コンピューターが並ぶ棚を見に来る人に『ちょっと説明しにくい』という感じだった」)。

同氏がNFTの将来性を早くから確信し、新興企業Dapper Labs1500万ドル(約16億4650万円)のシリーズAラウンドを主導するようVenrockを説得したのも驚くことではないだろう。Dapper Labsの主力製品は、暗号資産で購入して育てられる限定版のデジタル猫CryptoKittiesだった。

当初はこのコンセプトにとまどう向きもあったが、パックマン氏は以前から、Dapperが提供するものがさらに広がりを見せることを予想していた。実際、最近NBAと結んだDapperの収集可能なハイライトクリップの販売契約は、すでに多大な関心を集めており、Dapperは現在、評価額20億ドル(約2200億円)で新たに2億5000万ドル(約274億円)を調達したと報じられている。パックマン氏はこの数字を確認したり訂正したりすることを控えたが、その他の質問についてはチャットで回答してくれた。ここでは長さと明確さの観点から編集されている。

TechCrunch(以下「TC」):デイビッド、私たちにもわかりやすく説明していただけますか?なぜ世界は今、NFTに熱狂しているのでしょうか。

パックマン氏(以下「DP」):暗号資産の最大の問題の1つは、難解な用語を使ってごく基本的な概念を説明していることです。約4割近くの人々が、野球のカード、靴、アートワーク、ワインなどをコレクションしています。これにはたくさんの心理的な理由が存在します。セットを完成させることを求める人もいます。投資目的で行う人もいます。家宝としての相続を考えている人もいます。しかし、デジタルの所蔵品はコピーするのが容易であったため、実世界でしかコレクションを行うことができませんでした。

そしてブロックチェーンが登場し、デジタルコレクションを不変のものにし、コピーできないものを誰が所有しているかを記録し始めました。スクリーンショットをとることはできますが、デジタルの収集物を実際に所有していることにはならず、スクリーンショットは何の力もありません。売ることも取引することもできません。その強力な裏付けとなるものがブロックチェーンです。そこで私は、暗号ベースのコレクションの存在感は大きくなり、事実上暗号の主流を取り込み、一般の人々を暗号資産に深く関与させることになると確信していました。それが今まさに起こっていることです。

TC:人々がアイテムを集める理由について語ってくれましたが、ステータスについては触れていませんでした。それが動機の1つであると仮定すると、オンラインで集めたものをどのように顕示できるでしょうか?

DP:私たちが収集する理由としてステータスを顕示ことも挙げられますが、デジタルの世界でコレクションを顕示することはより簡単であると思います。私が車のコレクターだった場合、私の車を見せる唯一の方法はガレージに足を運んでもらうことですが、それは一定数の人にしかできません。しかし、オンラインでは、デジタルコレクションとして公開することができます。例えばNBA Top Shopは、自分が体験したことを容易に披露できます。誰もがページを持っていて、アプリが出てきて、アプリ内の誰にでもそれを公開したり、ソーシャルネットワークに投稿したりできます。そして、自分のコレクションがどれだけ大きなものであるか、どれだけエキサイティングなものであるかを示すのは、実に簡単です。

TC:2020年の10月にDapperはこの動画モーメントサービスを開始しています。ポケモンのセットのように、パックを買うと何か「すばらしい」ものがもらえることはわかりますが、何がもらえるかはわかりません。その売上のほぼ半分が先週に入って達成されましたが、どのような背景がありますか?

DP:現在の利用数は3万人から4万人程です。1日に50%から100%成長していますが、成長は極めてオーガニックなものです。このゲームはまだベータ版の段階で、Twitterに投稿する以外のマーケティングは行っていません。私たちはまだバグを解決していませんし、解決すべきバグもたくさん残っていますので、これを市場に出して多くの利用者を獲得しようという計画は今のところありません。

しかし、何人かのNBAプレイヤーはこれを見て「ソーシャルメディア上で」自分のモーメントに熱狂しました。そして「もう少し高い値段で取引したい」というような動きもあるかもしれません。しかし、私はこれを再生しているのはごく普通の人だとも考えています。クレジットカードがあれば再生でき、利用者の65%はこれまで暗号資産を所有したり取引したことがありません。そこで私は、暗号ベースのコレクションが主流のユーザーを暗号資産に引き込むことができるという主張が、私たちの目の前で展開されていると考えています。

TC:Dapperの報酬はどうなっていますか?

DP:二次売上の5%と、100%から一次売上の取引原価を引いた金額が得られます。もちろん、私たちはNBAとも提携しており、NBAもその一部を回収しています。しかし、それはシステムがどのように機能するかの基本的な経済性です。

TC:NBA側には毎年支払われるべき最低額があり、それ以上の額を受け取ることになっていますか?

DP:NBAや選手会との関係について、正確な経済条件は公表していないと思います。しかし、明らかにNBAが知的財産権の所有者であり、チームや選手が経済的に参加しているのは良いことです。なぜなら、彼らこそがここで知的財産を生み出しているからです。

ただ、こうした瞬間が高く評価された場合(パック販売の商品が高額で購入された場合)、その評価の95%は所有者に支払われます。したがって、これは野球カードに非常によく似ていますが、今では知的財産所有者は、製品のライフサイクルを通じて彼らの知的財産の下流の経済活動に参加することができます。これは、あなたがNBAであろうと、何十年もIPライセンスビジネスに携わってきたディズニーのようなものであろうと、非常に魅力的なことであると思います。

そして、このNFTスペースが起きているのはメジャーIPだけではありません。個人のクリエイター、ミュージシャン、デジタルアーティストがデジタルアートを作って、5枚だけコピーしてオークションにかけることができます。将来的には作品が売れるたびに少しずつ収集することも可能です。

TC:NBA Top Shotについては、同じ限定版クリップに何を支払うかという点で価格は大きく変動します。これはなぜでしょうか?

DP:理由は2つあります。1つは希少なアイテムのように低い数字の方が高い数字よりも価値があるということです。つまり、たとえば特定のレブロン社が500枚のコピーを作って、私がその1番を所有し、あなたがその399番を所有しているとすると、市場は低いほうの数字に高い価値を与えることになります。これは限定版のコレクター・ピースの典型です。おもしろいコンセプトですね。しかしとても人間的な概念です。

もう1つは、このゲームに参加する需要が徐々に増えているため、人々はより高い価格を喜んで支払うようになっているということです。そのため、時間の経過とともにこれらの瞬間の価格が大幅に上昇しています。

TC:暗号関連の難解な言葉の中には人々を不安にさせるものがあると指摘されましたが、パスワードを忘れたなどの理由で、世界のビットコインの20%が所有者から永久にアクセスできないという事実もそうだと思います。基本的にデジタルロッカーやデジタルウォレットに保存しているこれらのデジタルアイテムにリスクはありますか?

DP:これは複雑なトピックですが、Dapperは、Dapperのウォレットに自分のモーメントを保存している人たちのために、ある種のパスワード回復プロセスが効果的に存在するような方法でこれが起こらないようにしようとしています。

Dapperのアカウントから離れて別のアカウントに移動することもでき、パスワードの回復を自分で行うことができます。

TC:なぜ複雑なトピックなのですか?

DP:集中アカウントストレージはユーザーにとって便利ですが、何らかの理由で信用できなくなる可能性があると考える人もいます。つまり、企業がユーザーのプラットフォーム設定を解除したり、アカウントを無効にしたりする可能性があるということです。そして暗号の世界では、誰もあなたのプラットフォームを解除することができないようにすること、あなたが購入するもの(暗号資産やNFT)があなた自身のものであるようにすることについて、ほとんど信仰性に近い情熱が存在します。長期的には、Dapperはそれをサポートすることになるでしょう。どこでも好きな場所に自分のモーメントを移動できるようになります。しかし現時点においても顧客は「パスワードを忘れたからモーメントを取得できない」と心配する必要はありません。

Dapper Labsが独自のブロックチェーンを構築した理由や、米国がデジタル米ドルを設立したことについてパックマン氏が考えていることなどの詳細については、ここで私たちの会話を聞くことができる。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFT暗号資産Dapper Lab

画像クレジット:Cryptokitties

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

【コラム】NFTはより大きな金融資本の経済発展の一部でしかない

本稿の著者Dominik Schiener(ドミニク・シーナー)氏はIOTA Foundationの共同創設者で会長。2011年からブロックチェーンの世界にいてスイス、英国、ドイツのスタートアップにも関わっている。彼の主な焦点は、DLTやAIなどのデジタルインフラで物理インフラを改善する方法だ。

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非代替性トークン(NFT)は今、非常に熱いトレンドであり、このテーマについて扱った記事はこの数週間で数千本に達した。本記事でも同じテーマを扱うのは何だか申し訳ないのだが、トークン経済の潜在性が持つ重要な意義が見過ごされていることを考えると、書かずにはいられないのだ。

NFTは、金融資本の世界で起きているずっと大きな発展のわずかな一部でしかない。人々が今、少し困惑しながら苦笑いして見ているNFTは、シリコンバレーの台頭以来機能してきた投資モデルを今後10年もしないうちに完全に変えてしまうだろう。

何が「非代替」なのか

NFTが注目を集めるようになった最初の段階は奇妙なもので、一群のごくわずかな人が富を手にし、ほとんどの人はただ困惑するばかりだった。単に一時的な流行だとNFTを見限る前に、それは決して従来の投資の枠組みで使いやすいよう設計されたものではなかった、という点を考えておくのは意義のあることだろう。

NFTが具体的にどのように発展していくのかを想像するのは難しいかもしれないが、この新しい経済が従来の経済モデルの乾ききった表面からどのように浸透していくのか、その概要はすでに見え始めている。

オークションで6900万ドル(約76億円)のJPEG画像を販売することは、馬車の持ち主が小型原子炉を馬車の上に縛り付け、実際のところは相変わらず馬が引っ張っているのに「これは原子力で動く馬車なんです」と言い張るのとあまり変わらない。周りの人からは注目されるだろうが、根本的な変化は何1つ起こっていない。

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ニュースの見出しをにぎわす最近のNFTの販売例は、どれもこの種の後ろ向きな考え方の実例だ。そして「原子炉は過大評価されている」と言って馬車の持ち主を批判している傍観者たちは、このことが長期的に見て持つ意義にまだ気づいていない。もしかすると、馬が嫌いなだけかもしれない。

クジラとイヌとユニコーン

大航海のための資金調達手段という投資の概念の芽生えから、今日見られるようなベンチャーキャピタルの勃興に至るまで、金融資本の世界はいつでも選ばれし者たちだけの楽しみであった。これは、現在の投資モデルが、大きな投資をした者が大きな勝利を得られるというコンセプトに基づいているからだ。

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全世界の金融資本のほとんどすべては巨大なクジラ(大金を賭けられる投資家)やユニコーン(大成功を遂げた新興企業)といった伝説の生き物によって成り立っており、凡人はその一端を垣間見られるだけでも幸運だと思っている。資本の世界における成功者(ビッグドッグ)を生み出す理論は、最上位の投資家たちの意向を汲んで動く、強力な仲介者たちを基礎として築かれているのである。

Bitcoin(ビットコイン)の発明は、金融の発達史において画期的な出来事だ。ビットコイン自体は、結局のところ有力者たちの新たな遊技場になってしまったとはいえ、テクノロジーの面でビットコインの誕生が投じた一石は、今や世界を大きく変える波になろうとしている。そもそも、ブロックチェーンは分散台帳技術(DLT)の応用例の1つであり、この技術は地球の裏側にいる人へ即座にメッセージを送れることと同じほど重要なブレイクスルーなのだ。

DLTの実用化は、金融資本にとってもはや強力な仲介者が不要になったこと、もしくはいかなる仲介者も不要になったことを意味する。現在は、双方の当事者間で送金、取引契約、投資のための信頼関係を確立する時にどうしても中間者が必要となる。そのような中間者が提供するサービスに対する支払いは、大企業や大富豪ならばビジネスに不可欠なコストとしてあきらめられるだろうが、多くの人にとっては参入の障壁となる支出のままである。

DLTでは信用関係がネットワークのアーキテクチャによって確立され、アーキテクチャそのものに組み込まれているので、そのような障壁を打破できる。DLTを利用すれば、インターネットに接続する人なら誰でも、自分の経済力の許す範囲で大富豪と同じスタイルのビジネスを展開でき、それを支えるのがトークンによる決済なのだ。

柔軟に変化していくトークン経済

投資の分散化のメリットは無視できないほど数多くあるため、大手投資家は今後数年の間にDLT経済を導入するようになるだろう。オートメーションによって取引はいっそうスムーズになり、取引の結果や市況の変化はすばやく(リアルタイムで)反映され、透明性によってセキュリティは向上し、金融商品やサービスのさらなるカスタマイズが可能になる。大型投資家が分散型金融を導入することは、すべての人にとって純粋に好ましい影響を及ぼすだろう。

この新しいシステムの肝となるのがトークンであり、NFTはその一種にすぎない。台頭しつつあるこの経済モデルでは、決済トークンがお金の役割を果たし、証券トークンが株式と同様の意味を持ち、ユーティリティトークンが容量や帯域幅のような機能を提供する。そして、ハイブリッドトークンではこれらのトークンがミックスされて新たな形態が生まれる。なんだかよくわからないがおもしろそうだ、と思われただろうか。実際そうなのだ。

ここで理解しておきたいのは、トークンによって置き換えられるのは株式やその他の投資商品にとどまらず、何かを購入する時の仲介者役(投資ブローカー、クレジットカード会社、プラットフォームプロバイダー、銀行など)も置き換えられる、ということだ。分散型経済は今よりもっとオープンで、直接的な市場になることだろう。

トークン経済の真価とは

上述のようなことすべてがどのようにして起こるのか、具体的には想像しにくいかもしれない。しかし、この新しい経済が従来の経済モデルの乾ききった表面からどのように浸透していくのか、その概要はすでに見え始めている。その突破口は、現実の経済が不合理なものになっている分野で最もはっきり認めることができる。

現在急速に伸びているギグエコノミーでは、もはや誰も安定した職に就くことはなく、まるで傭兵のようにギグからギグへと渡り歩く。私たちの首にくくりつけられた石臼のような大量のサブスクリプションについてはどうだろう。ミュージシャンにとって苛立ちの元になっているストリーミングプラットフォームとの関係や、アーティストと画廊との関係についても考えてみよう。この惑星に根深く残る貧困問題に圧迫されている人の数も考えて欲しい。

これらはすべて、生活と仕事のモデルがいよいよ従来の入れ物には収まらなくなってきていることを示すものだ。それらの側面は最適化されているとはとても言えないものだが、その原因を指摘することも、どのような解決策があるかを指し示すこともできていない。トークンを使用した分散型経済には、これらのマイナス面、矛盾、機能不全をすべて除去し、それよりもはるかにわかりやすくエレガントなもので置き換えるだけのポテンシャルが秘められている。

新しい現実がどのようなものになるのか、それがもたらす結果の一部については比較的想像しやすい。例えば、9種類のサブスクリプションに支払うのではなく、欲しいと思った時に欲しいコンテンツに直接支払うことが可能になる。アーティストがギャラリーに稼ぎの半分を持っていかれたり、ミュージシャンがすべての稼ぎをストリーミングプラットフォームに渡したりする代わりに、そのような種類のコンテンツ向けに構築された柔軟なネットワークを通じて自分の作品に対する支払いを直接受け取れるようになるだろう。また、不動産投資のようなこれまで手の届かなかったセクターを含め、投資するためにブローカーに手数料を払う代わりに、関心のあるエンタープライズに直接投資できるようになる。そして、貧困による圧迫や、守りの固められた階級間の境界線が排除され、障壁を打破して誰もが価値にアクセスできるようになる。

トークン経済の展望について、まだ想定されていない側面が数多くあることだろう。だからこそ今後が非常に楽しみだ。インターネットに接続できる人なら誰でも参加でき、意義深い仕方で貢献できるような経済がグローバルに広がっていけば、まだ利用されていない資産が持つ何兆ドルもの価値が活用されることになる。ためらう理由はあるだろうか。どうすれば最短距離でそこまで到達できるだろうか。

何をすべきかは明らか

この新しい経済を実現させる上で最も難しい問題は、すでにクリアされている。合意形成システムを分散型に変え、取引と投資のために資産をデジタル化するシステムと組み合わせる方法に関する技術的な理解はもう得られているのだ。

このシステムを軌道に乗せるために必要な残りの作業は、かなり明確だ。まず何より先に、この新たなシステムがその草創期に生態系に与える影響について考えなければならない。マイニングファームを完全に法律で禁止するか、ファームが電力ソースとして非再生可能エネルギーを使用できる割合についてできるだけ厳しい制限を加えることが必要だ。新しい経済のバックボーンがこの惑星を破壊してしまうものならば、大きくなる前にシャットダウンし、完全に停止させなければならない。システムは生態学的にサステナブルであることが必須だ。

次に懸念されるのは、さまざまな暗号資産やトークンがあるのに、現状ではまだそれらに共通する規格も共通のネットワークも存在しないことだ。多様な暗号資産が存在しながら、そのことが話題にも上らないのは驚くべきことであり、非常にもどかしい。

それはまるで、多数の企業が電球を発明するのに飽き足らず、独自のソケットや配線規格まで発明し、それぞれが自分たちのやり方こそ最善で最後には勝利すると主張しているようなものだ。電球はすばらしいが、お願いだからソケットは統一してもらいたい、と思うのは当然のことだ。このすばらしいトークン経済も、私たちが中立的で相互運用性のあるネットワークを作らなければ決して羽ばたけない。さらに、そのネットワークは無料かつスケーラブルなものでなければならない。

差し迫った懸案事項の最後のものは、規制と法的枠組みだ。暗号資産の世界には、干渉されることを極度に嫌う無政府主義的な考えを持つ人々がまだ非常に多い。これは、私たちのコミュニティが長期的に目指している目標の達成に寄与しない。

バリューチェーンに存在するあらゆる仲介者を排除することには大賛成だが、それは、いかなる規制機関からも自由なおとぎの国を作るという意味ではない。分散型経済向けの法的枠組みは、オープンソースによるコミュニティ主導で構築された透明性の高いオペレーションという私たちの精神と調和するものだ。私たちすべてが、まだ発生期にあるテクノロジーに関する全面的かつ緻密な規制づくりに協力しなければならない。

エコロジー、相互運用性、規制を合言葉にすれば、ユーザーがこの新しい経済の力を活用するための実用アプリやその他のインフラの構築に取りかかることができるだろう。余剰電力を地域のスマートパワーグリッドに販売することから、自分の労働の対価を受け取ることまで、その用途は無限にある。そしてもちろんNFTの購入もその用途の1つであり、新しい経済においては今よりはるかに有意義な存在になることだろう。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFT分散型経済暗号資産コラム

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(文:Dominik Schiener、翻訳:Dragonfly)

上場間近のCoinbase、絶好調の2021年第1四半期決算を読み解く

一般向け暗号資産取引プラットフォームであるCoinbaseの2021年第1四半期決算が発表されたが、成長ぶりは著しく同時に着実に利益を出していることが判明している。

Coinbaseの今回の2021年第1四半期の速報値の発表直接上場を4月14日に控えたタイミングで行われた。同社は巨大な資金力があり、知名度も高いため新株を発行して一括売り出すという伝統的な方法ではなく、直接上場という新しい方式を採用する。

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我々は今回の発表でCoinbaseが明らかにした最新の数字を2021年の2月25日に公開されたS-1上場申請書の数値と比較して検討した。

  • MTU(月間トランザクション利用ユーザー)は 610万人で2020年末の280万人から大きく成長している。
  • プラットフォーム上の暗号資産は2230億ドル(約2兆4400億円)。2020年末は903億ドル(約9800億円)だった。
  • 取引高は3350億ドル(約3兆6600億円)。2020年末は1931億ドル(約2兆1100億円)。
  • 収入は18億ドル(約2000億円)。2020第4四半期は5億8510万ドル(約640億円)だった。
  • 純利益は「約7億3000万ドルから8億ドル(約800億円から880億円)」で、2020年第4四半期の1億7880万ドル(約200億円)から増加。
  • 調整後のEBITDAは「約11億ドル(約1200億円)」で、2020年第4四半期の2億8770万ドル(約320億円)から増加。

2020年第4四半期から2021年第1四半期までのCoinbaseの成長は極めて大きいため対前年比はあまり意味がない。たとえば2020年第1四半期の収入は1億9060万ドル(約208億8000万円)で2021年第1四半期の10分の1強だった。2021年第1四半期の同社の調整後利益だけでも前年同期の5倍以上だ。

こうした数字は同社が(近づいているとする)1000億ドル(約10兆1000億円)ないしそれを超える会社評価額の根拠を固めるものとなるかもしれない。

Coinbaseはプレスリリースでいくつかの警告を述べている。暗号資産の価値は「短期間で大きく変動するため、四半期末ごとの状態の代わりにサイクル全体の平均を測定する」という。同社はまた、将来暗号資産取引が減少しても投資が現象、停滞することはない述べた。

MTU、取引総額、これにともなう取引収入は現在、将来ともにBitcoinの価格、暗号資産価値の急激な変動により変動する。このため将来の収入の予測は非常に困難であり、四半期ごとの収益性に影響を及ぼす。支出面では、Bitcoin価格が下落する時期があり得ることを認識しているが、そうした時期にも投資を最優先する。これは会社規模をスケールさせることが使命の達成のために必須であり、この業界自体、発展の初期段階にあると我々が信じているからだ。(強調はTechCrunch)

簡単にいえば、収入が減少した場合、短期的に投資家の期待に沿うのではなく、収益性を犠牲にしても将来に向けた企業規模の拡大を優先するということだ。Coinbaseはこの点、投資家へのメッセージを明確にしている。「Coinsbaseは投資家の意を迎えるために四半期ごとの業績を調整しない。そういうことを期待しているなら我々の株を買うべきでない」ということだろう。

将来に関して、Coinbaseは2021年通期の業績についてガイダンスを示している。同社は3つのシナリオを提示した。1つ目は「暗号資産価の時価が増大し、暗号資産価格の変動がが中程度から高程度」という想定だ。この場合はMTU700万人と推定している。第2は「暗号資産時価総額は横ばい、価格変動は低~中程度」の場合で、550万MTU、3つ目は「2018年に見られたような大幅な暗号時価総額の減少が起き、その後の暗号資産価格の変動は低水準」の場合で年間400万MTUを想定している。

しかし、最高のシナリオでも610万から700万MTUを提示しているからといって同社が成長の停滞を予想しているわけではない。同社はリリースの中で「機関投資家による収入」というセクションで「2021年には、機Coinbaseの四半期はばかばかしいほど上出来だったが、これは同社のみにとどまるものではなく、暗号資産ビジネス全体がそうだった。関投資家の関心が高まり、取引手数料およびカストディフィーの収益が意味のあるレベルに拡大する」と予想している。つまりCoinbaseの株を買うことはBitcoinその他の暗号資産の先行きに賭けることとほぼ同義となる。というわけで4月14日はおもしろいことになりそうだ。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Coinbase暗号資産新規上場

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:滑川海彦@Facebook

【コラム】暗号資産とエネルギー消費をめぐる議論

暗号資産(仮想通貨)に関して昨今、エネルギー消費が議論の的となっている。批評家たちは暗号資産がエネルギーを大量に消費していると主張し、推進派は現在の世界経済に比べ、エネルギー消費量は少ないと評価している。

そんな批評家の1人であるDigiEconomist(デジエコノミスト)創業者のAlex de Vries(アレックス・ド・フリース)氏は「Bitcoin(ビットコイン)ほど非効率的なものは見たことがない」と話す。

一方、ARK Investment Management(アークインベストメントマネジメント)の調査によると、Bitcoinのエコシステムが消費するエネルギーは、従来の銀行システムに必要なエネルギーの10%以下であることがわかった。銀行システムの方がはるかに多くの人々にサービスを提供しているのは事実である一方、暗号資産はまだ発展途上にあり、他の産業と同様、インフラの初期段階では特にエネルギー消費量が多くなる。

2021年2月だけで14億ドル(約1520億円)近くを稼いだ暗号資産マイニング業界は、工業化した現代社会におけるその他の問題と比較すれば、環境にとって特別にひどい影響はまだもたらしていない。ド・フリース氏もTechCrunchに対し、環境に配慮した規制当局が「Bitcoinに対してありとあらゆる行動をとったとしても、すべての政府がそういったマイニング規制に賛同するとは思えない」という。

「理想的なのは、内部から変化が起こることだ」とド・フリース氏は話し、Bitcoin Core(Bitcoinコア)の開発者が、コンピューティングの消費エネルギーが少ないソフトウェアに変更することを期待しているとして、こう付け加えた。「Bitcoinは現在、世界中にあるデータセンター半分に相当するエネルギーを消費していると思われる」。

ケンブリッジ大学のBitcoin電力消費指数によると、Bitcoinのマイナーは約130テラワット時のエネルギーを消費していると予想されており、世界の電力消費量の約0.6%に相当する。これは、Bitcoin経済がスリランカやヨルダンのような小さな発展途上国の二酸化炭素排出量と同等であることを意味する。とりわけ、ヨルダンの人口は約1000万人だ。毎月何人の人がBitcoinを使っているのかはわからないし、アンマンの住民がヨルダンディナールを使うよりも、Bitcoinを使う頻度の方が少ないのは確かだ。しかし、CoinMetrics(コインメトリックス)のデータによると、100万以上のBitcoinアドレスが日常的にアクティブであることが示されている。暗号資産取引所Crypto.com(クリプトドットコム)の記録では、過去10年間のアクティブアカウントは最大1億600万である。

関連記事:ビットコイン購入がテスラの環境重視の評判と収益に悪影響をおよぼす可能性

「当社は上場している取引所のアドレス総数を数え、同じユーザーが複数の取引所で所有しているアドレスを差し引いて、Bitcoin(BTC)とEthereum(ETH)のユニークユーザー総数を算出している。その後、ETHとBTCの両方を所有するユーザーを考慮して、この総数をさらに減らしている」とクリプトドットコムの広報担当者は話す。

これにより、多くの人々がこれらの金融ネットワークを利用していることがわかる。さらに、Bitcoinマイニング事業の多くは、水力発電や油田から漏れ出る天然ガスなど、環境に配慮したエネルギー源を利用している。マイニング業界で経験豊富なCompass Mining(コンパスマイニング)のCOO(最高執行責任者)、Thomas Heller(トーマス・ヘラー)氏は、四川省や雲南省にある中国の水力発電所では、雨季になると電気料金が安くなると話す。乾季には採算が取れなくなるが、水力発電を1年中使い続けているという。

「5月から10月『雨季』以外の電気料金はずっと高くなるが、雨季以外で水を供給している発電所もある」とヘラー氏はいう。

基本的に、コンピューターはあらゆる供給源からの電力を利用できるため、暗号資産マイニングは本来、余分な二酸化炭素を排出しない。2019年、デジタル資産運用会社のCoinShares(コインシェアーズ)は、Bitcoinマイナーの最大73%が、少なくとも何らかの再生可能エネルギーを電力供給の一部として使用しているとする調査結果を発表した。そこには中国の巨大ダムによる水力発電も含まれている。Bitcoinのマイニングプール(マイナーが協力して利益を上げるための共同体)の上位5社は、いずれも水力発電を多く利用している。ド・フリース氏がこの調査結果に驚くことはない。同氏は、マイナーが消費する全エネルギーの39%は再生可能エネルギーであることを、ケンブリッジ大学の研究者が確認していると指摘した。

「私の発電所にはソーラーパネルを1台設置していますし、再生可能エネルギーを組み合わせて利用しています」とド・フリース氏はいう。

地域別でみると、中国のBitcoinマイニング作業が、ハッシュレートと呼ばれるネットワーク計算能力の約65%を占めていることが、ケンブリッジ大学のデータから明らかになっている。中国の新疆ウイグル自治区のような一部の地域では、Bitcoinマイナーたちが石炭を燃やして電気を供給することもある。同自治区は、暗号資産マイニング以外にも、ウイグル人に対する人権侵害で知られている。中国はこの地域にある天然資源を利用しようとさまざまな攻撃を仕かけており、その一環として、ウイグル人を激しく弾圧している。批評家が暗号資産マイニングとエネルギー消費に警鐘を鳴らすとき、彼らが懸念しているのはこの点である場合が多い。

一方、世界のハッシュレートの約8%は北米のマイナーが占め、ロシア、カザフスタン、マレーシア、イランのマイナーが僅差でそれに続く。イランのHassan Rouhani(ハッサン・ローハニ)大統領は、2020年に国家的なBitcoinマイニング戦略を策定することを呼びかけた。米国による銀行を対象とした制裁の下においても、この金融システムにおけるイスラム国家の影響力を強めることが目的だ。

自分たちに最も有利になるようなマイニング規制を加えている国や組織では、Bitcoinマイニングが盛んになっていく。これまで中国が優位であったのは、少なくとも部分的には、政府によるマイニング事業への補助金に依るところがあった。中国やノルウェーなどでは、Bitcoinマイナーが地元の水力発電所を利用することを奨励する補助金を出している。

ノルウェーに本社を置く60億ドル(約6500億円)規模の上場企業Aker ASA(アケル)が設立したSeetee(シーティー)の調査報告書には、こう書かれている。「マイニング事業の財務管理者は、最も安価なエネルギーの利用にこだわるであろうから、当然、その電気の利用は経済的にそれほど大きな意味がないだろう」

暗号資産マイニングをより環境に配慮したものにするためには、エネルギー源がすでに十分に活用されていない地域でマイニングを推進しようとする政治家を支援するのが一番だ。

北米に関していえば、Blockstream(ブロックストリーム)のCEOであるAdam Back(アダム・バック)氏は、300メガワットのマイニング能力を持つ同社のマイニング施設は水力発電などの産業用電源を組み合わせて利用していると話す。また、ブロックストリームは、古くなったマシンの「リタイヤメントホーム」のようなものとして、太陽光発電によるBitcoinマイニングを検討しているという。

バック氏は「太陽光発電を利用する場合、もし50%の時間しか稼働しないのであれば、コストを分析して検討する必要がある。機器のコストをすでに回収した後であれば、これは古いマシンの良い利用方法となる」という。

暗号資産の価格高騰により、今、Bitcoinのマイニング機器が世界的に不足している。需要が供給を上回っており、マシンの製造には1台あたり最大6カ月を要しているとバック氏は付け加えた。コンサルタント会社MMH Blockchain Group(MMHブロックチェーングループ)の創設者であるEmma Todd(エマ・トッド)氏によれば、この不足によりマイニングマシンの価格が押し上げられているという。

「例えば、2020年7月に中古市場で35~55ドル(約3800〜6000円)だったマイニングマシンのBitmain Antminer S9(ビットメインアントマイナーS9)が、今や275~300ドル(約3万〜3万3000円)ほどになっている」とトッド氏は言い、こう付け加えた。「つまり、新品機器や中古機器の購入を検討しているマイニング企業は、すべてではないにせよ、多くが同じような課題を抱えているということだ。世界的なチップ不足で、今後数カ月のうちに発売予定だった新しいマイニング機器のほとんどが、ほぼ確実に発売延期となるであろう」。

ド・フリース氏のような批評家は、効率的な新しいマシンを使っても、市場原理により、マイ二ング業者は電力消費量を減らすことはできないだろうと指摘する。

「より効率的なマシンがあっても、稼ぎ出す額が同じであれば、1台だけでなく2台のマシンを動かすことになるだろう」とド・フリース氏はいう。

それでも、暗号資産の価格は新しいマイニング機器を製造するよりも早いスピードで上昇しているため、再生可能エネルギーを利用する「引退した」古いマシンを使う方が、単に新しいマシンと入れ替えるよりも利益が大きくなると、バック氏は述べている。また、Bitcoinの強固なマイニングインフラは、電力を使い果たすといったことはなく、むしろコミュニティを支えることができると同氏は話す。Bitcoinのマイニング機器は、エネルギーを蓄え、売買で利益を出すことに役立つからである。

「価格が高騰する状況になればマイニング機器をオンにしたりオフにしたりできるし、緊急性や収益性が高ければ、人々のために電力を使って家を暖めることもできる。Bitcoinは事実上、電力網を支えることができる」とバック氏はいう。

一方、カナダ国境のすぐ北にあるUpstream Data(アップストリームデータ)の代表取締役Steve Barbour(スティーブ・バーバー)氏によると、伝統的な石油・ガス会社の中には、独自のBitcoinマイニング事業を密かに強化しているところが増えているという。

これは、Bitcoin経済が、スリランカやヨルダンのような小さな発展途上国の二酸化炭素排出量と同等であることを意味する。

バーバー氏は「現在大規模なマイニング事業の大半を占めているのは水力と石炭である。しかし、世界規模でみれば、天然ガスのような安価な電力にどんどんシフトしていくだろう。油田には、排出されるフレアや廃ガスを利用した安価なエネルギーがすでに存在しており、2021年は約160ギガワット(の採掘電力)が得られる可能性がある」という。

アップストリームデータは、石油会社がこれまで売却することができなかった廃棄物や低品質のガスを回収するという方法でBitcoinのマイニング機器の設置・運用を支援しており、北米で合計100件の導入実績がある。これらの企業のほとんどは、Bitcoinの批評家から否定的な意見を受けることを懸念し、マイニング事業について公表していないとバーバー氏はいう。

「確かに彼らは自社の評判に傷がつくことを懸念している。しかし、Tesla(テスラ)のような信頼できる大企業がBitcoinに関わっているのだから、そうした考えは間もなく変わるであろう」と同氏は付け加えた。

暗号資産業界においても、Bitcoinマイニングによる電力の大量消費が懸念され、さまざまなマイニング方法があちこちで試されている。例えば、Ethereum(イーサリアム)のコミュニティは、Bitcoinのエネルギー集約型のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)モデルではなく、保有コインの割合によってネットワークを動かすPoS(プルーフ・オブ・ステーク)のマイニングモデルに切り替えようとしている。

その名が示す通り、PoWは多くの計算「作業」を必要とする。それがマイナーの行う仕事だ。難しい数学の問題を大量に解くため、コンピューターは大量の電力を必要とする。Ethereumに関して言えば、現在はPoWで運用されており、数年後に原理的にはPoSで運用されることになるのだが、日常的にアクティブなアドレス数十万で、Bitcoinの半分ほどになることもある。Bitcoinと同様、中国に施設を持つ少数のマイニング事業のプロジェクトが、Ethereumネットワークの電力の半分以上を生み出している。Ethereumの1回の取引は、米国の家庭2軒が1日に使用するエネルギーとほぼ同量のエネルギーを必要とする。

ド・フリース氏は「Ethereumのコミュニティで気に入っているのは、少なくとも彼らが問題を解決する方法を考えているということだ。気に入らないのは、彼らが数年前からそのことについて語っているのに、実際には実行できていないことである」という。

Ethereumのエコシステムは、毎年、パナマの国全体に電力を供給できるほどのエネルギーを消費している。Bitcoinと同様、Ethereumの各取引にはおいしいランチを買えるほどの電気料金がかかる。Ethereumの1日の利用者数はBitcoinの利用者数100万人の半分以下だが、両ネットワークはいずれも小さな国を動かすのに十分な電力を必要とする。暗号資産の取引はVISA(ビザ)の取引よりも多くの電力を必要とすることは明らかだ。しかし、暗号資産は単なる決済会社ではない。それは、通貨システムそのものなのだ。

Bitcoinの時価総額を、通貨供給量の値を使い、1つの国としてランク付けした場合、Bitcoinは日本に次いで5位となる。これはEthereumのようなそれに次ぐエコシステムについては考慮すらされていない。つまり、世界のBitcoin経済における電力消費量は、他のいくつかの産業化された金融システムのそれに匹敵するものなのだ。新興経済国で使われている多くのシステムと同様、ド・フリース氏が指摘するように、これは非効率的である。何百万人ものユーザーがいる中、世界中何千人ものユーザーが収入源として暗号資産に依存しているが、彼らは暗号資産のエコシステムについて概して楽観的で、技術が成熟するにつれ今より効率的になると信じている。

カナダのビジネスコンサルタントの1人Magdalena Gronowska(マグダレーナ・グロノフスカ)氏は「クリーンで進歩的な、より分散化されたエネルギーシステムへの移行において、Bitcoinマイニングはますます重要な役割を果たすと考える。マイナーは、バランスのとれた電力網や柔軟なデマンドレスポンス(需要応答)サービスを提供し、再生可能エネルギーの統合を強化することができる」と話す。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産BitcoinEthereum電力マイニング

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(文:Leigh Cuen、翻訳:Dragonfly)

QuikNodeがAWSに対抗のブロックチェーン開発クラウドプラットフォームを開発中

このところブロックチェーンは、あれほど熱気を帯びているのに、分散アプリケーションを単純に安心して動かす方法はまだない。NFTのブームと暗号資産(仮想通貨)の相場の高騰が、ブロックチェーンを使って動くアプリケーションへの関心をやや増やしたが、クラウドサービスのメジャーなプラットフォームはどこも、これら新しいタイプの開発者のニーズに十分対応する用意がない。

最近Y Combinatorが投資を行い、シード投資を完了する過程にあるQuikNodeは、ブロックチェーンの開発者がアプリケーションを作りスケールしていくための、Web 3.0ベースのクラウドプラットフォームを作ってきた。この2017年に創業されたスタートアップは、YCの2017年創業の同期たちの誰よりも、先に行っているようだ。

現時点では、プラットフォームの基盤となるインフラストラクチャー関して頭痛のタネが多く、開発者の関心が実際のプロダクトから逸れがちだ。同社によると、最初のセットアップに数日を要し、最初のうちはダウンロードとネットワークの同期に追われて、メンテナンスのコストも高くなる。対してQuikNでは、アプリケーションの開発者がノードへのアクセスをレンタルし、自分が選んだブロックチェーンのネットワークで運用できるため、自分のノードのメンテナンスやモニタリングを回避できる。

ノードの管理やメンテナンスと並んでQuikNodeのプロダクトは、分散アプリケーションの実行を単純化するデベロッパーツールやアナリティクスを統合している。QuikNodeにとってチャレンジは、分散アプリケーションの市場がウェブ上で大きくなり、しかも継続性を持つようになってきたとき、クラウド大手の陰で研いできたシャープな刃をメンテナンスできるかだ。QuikNode自身が大手クラウドの顧客で、物理的にデータセンターを作るよりはソフトウェアに集中する方を選んできたが、それでもクラウドプラットフォームとしては大手クラウドと直接競合することになる。

CEOのDmitry Shklovsky(ドミトリー・シュクロフスキー)氏は「Amazon(AWS)には2年いたから、向こうもこっちに気づいていると思う」と述べている。

今のところは、QuikNodeは小さいので、他のクラウドベンダーの新しいプログラムに比べて料金的に有利だろう。同社のプランは、もっともベーシックなアプリケーションをローンチするユーザーなら9ドル(約1000円)で、構造的なプランなら「メソッド呼び出し」行った回数で料金が決まる。専用ノードのレンタルは月額300ドル(約3万3210円)だ。それに付加して、同社はブロックチェーン固有のアドオンを提供している。それらにはオプションがあり、たとえばArchiveモードならアプリケーションは、ネットワーク上のスマートコントラクトの中のヴァリューステートのすべての履歴にアクセスできる。Traceモードでは開発者がノードに、トランザクションの再実行をリクエストできる。

チームは現在1000あまりのノードを運用し、約400の顧客がいる。顧客ベースを大きくしたいQuikNodeは、シュクロフスキー氏によれば、ガイドが分散アプリケーションの開発者を教育して、もっともポピュラーなネットワークへの接続方法を教えることが、顧客獲得の一番の近道だという。

現在主にマイアミで仕事をしているチームは、Ethereum、Bitcoin、xDai、Binance Smart Chain、Polygon、そしてOptimismという6つのブロックチェーン上のネットワークをサポートしている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:QuikNode暗号資産

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Coinbaseが4月14日に直接上場へ、4月6日に最新の財務情報発表予定

米国時間4月1日に米国の代表的な仮想通貨取引プラットフォームの1つ、Coinbaseは「4月14日に直接上場を行う」と発表した。また同社は別のリリースで、4月6日の取引終了後に財務情報のアップデートを行うとしている。

Coinbaseの上場が迫ってきたのは市場にとって非常に興味深いタイミングだ。ハイテクスタートアップ企業には需要の低下を懸念して株式公開を延期するものも出ていたが、Coinbaseは株式公開に突進している。その理由の1つは、伝統的な新株発行による株式公開に付きものの売出し価格設定を行わないこととにもあるだろう。この直接上場方式では明示的価格設定による新株売出しを行わず、単に基準価格を示すだけで発行済株式が取引所で売買できるようにする。

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Coinbaseが取引開始前に新しい財務情報を発表するというのは興味あると同時に、ありふれた行動でもある。というのもTechCrunchは株式公開を目指す民間企業がこういうタイミングで財務情報を公開した前例を思い出せない。

しかし多くの企業が最初の申請から実際の上場までかなりの時間が経過した場合、S-1申請書で発表した情報を更新することはよくあることだ。つまりCoinbaseが「2021年第1四半期の実績(推定)」と「2021年の財務見通しを提供する」と決めたことはそう珍しい行動ではない。

公表予定の情報はCoinbaseの上場後の取引価格で影響を与えるだけでなく、特に仮想通貨の分野の場合、一般投資家の小口取引がどの程度の割合を占めるかにも洞察を与える。今日の市場では複数のスタートアップでは取引利益によって総収入の重要な部分を生み出している。最新情報の公開は歓迎されるだろう。

Coinbaseの上場後のティッカーシンボルは「COIN」となる。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Coinbase新規上場

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:滑川海彦@Facebook

ザ・ウィークエンドがNFTオークションで未発表曲とアート作品販売を予告

2021年のスーパーボウルでヘッドライナーを務めたミュージシャンのThe Weeknd(ザ・ウィークエンド)ことAbel Tesfaye(エイベル・テスファイ)氏は、NFT(非代替性トークン)に注目している最新のアーティストの1人だ。

その具体的な行動として、Nifty Gatewayとの提携を発表した。Nifty Gatewayは、2021年2月にアーティストのBeeple(ビープル)と協力してデジタルアート作品を競売にかけ、660万ドル(約7億3000万円で販売したNFTのマーケットプレイスだ(これは非常に印象的な数字だったが、Christie’sでBeepleの別の作品が6900万ドル、約76億円で落札されると、すぐに影が薄くなってしまった)。

The WeekndとNifty Gatewayが4月3日土曜日(日本時間4月4日)に開催するセールは、主に2つの要素で構成されている。1つは今後も他のプラットフォームでは入手できない未発表の楽曲で、もう1つはStrange Loop Studios(ストレンジ・ループ・スタジオ)がThe Weekndと協力して開発したビジュアルアートだ。

今回のセールでは、3種類のアート作品にそれぞれ異なるフィルターをかけた楽曲のクリップを添えて販売される。これらの作品は、期間限定だが、販売数は限定されない。また、24時間限定のオークションでは、世界に1つだけの作品が、フィルターを通さないフルバージョンの楽曲とともに出品されるという。

「ブロックチェーンは、歴史的に門番たちによって閉ざされてきた産業を民主化しています」とThe Weekndは声明で述べている。「私はファンのために革新を起こし、この古臭い音楽業界を変える方法を常に探してきましたが、NFTによってクリエイターが自分の言葉でこれまで以上に見られ、聞かれるようになる状況を見て、心から興奮しています。私もこの動向に貢献したいと考えており、近い将来、これが音楽業界の仕組みに組み込まれていくことを期待しています」。

NFTは基本的に、画像や音声、動画などのデジタルアートと結びついたブロックチェーン上の資産だ。デジタルアート自体は通常、複製することが可能だが、NFTはその真の所有権を証明する。

NFTに対する関心は、この数カ月で爆発的に膨れ上がった。オークションで目を見張るような価格がつけられたり、デジタルの世界でアーティストに経済的な利益をもたらす技術として期待が高まっているためだ。その一方で、大量のエネルギーを使用することや、それによる気候変動への影響などから、批判の声も上がっている。

The WeekndとNifty Gatewayによるオークションは、4月3日土曜日の太平洋時間午前11時(日本時間4月4日午前3時)に開始される。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTオークション音楽The Weeknd

画像クレジット:Pari Dukovic

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ConsenSysがエネルギー効率を99%向上したNFTエコシステムを発表、第1弾は現代アートの巨匠ダミアン・ハースト氏

昨今のNFT(非代替性トークン)の流行は、デジタルアーティストにとっては興味深い出来事だ。テクノロジーによって作品を制作する方法は飛躍的に進歩したが、それによって利益を得る方法はそれほど進歩していない。

これまでのところ、クリプトをいち早く採用したアーティストたちが最も注目を集めているようだが、より組織的に活動しているアーティストもトークンの世界に足を踏み入れている。大きな障壁の1つは、Ethereum(イーサリアム、ETH)ブロックチェーンに関連する環境問題だ。Ethereumブロックチェーンは、新しいアートワークを作成するために大量のエネルギーを必要とし、非常に高い取引手数料が発生する。気候変動への懸念から、初期のアーティストたちは物議を醸した。

ここ数カ月の間に、Ethereumの利点を保ちながら速度の向上、コスト削減、エネルギー使用量の削減を約束するブロックチェーン製品が数多く登場しているが、中でも注目を集めたDapper Labs(ダッパー・ラブス)のFlow(フロー)ブロックチェーンは、同社のNBA Top Shot(NBAトップショット)製品をサポートしている。そして米国時間3月30日、ConsenSysから「Palm」と呼ばれるレイヤー2(セカンドレイヤー)の新規参入者がデビューした。PalmはEthereumのメインネットワーク上のサイドチェーンとして動作するが、人気の高い仮想通貨ウォレットMetaMaskを通じてサポートされる。

Palmのローンチの一環として、英国の現代美術家であるDamien Hirst(ダミアン・ハースト)氏は、彼が初めててがけるNFTプロジェクト「The Currency Project」を、同プラットフォームのPalm NFT Studioで立ち上げることを発表した。

Ethereumは、よりエネルギー効率の高いプルーフ・オブ・ステーク(Proof-of-stake、PoS)方式のコンセンサス構造に移行することをすでに表明しているが、それがどれほど早く実現するかは不明だ。現在、Ethereumでは(ビットコインと同様に)プルーフ・オブ・ワーク(Proof-of-work、PoW)方式を採用している。PoW方式では、チェーン内の次のブロックを採掘する場所の優先順位を決めるためにエネルギーを大量に消費するが、ネットワークのトラフィックが増えれば増えるほど、エネルギー消費量も高くなる。そのため、暗号化されたマイニングを行う企業は、常に最新のハードウェアに投資して優位性を保ち、より多くの電力を使用しなければならない。PoSではそのようなパワー消費や機器のニーズを減らし、評判や資産保有量(stake、発行済の全コイン総量に対する保有コインの割合)に基づいて次のブロックを採掘するネットワーク上のノードを選択する。セキュリティ面では回避する必要があるいくつかのトレードオフがあり、クリプトコミュニティの多くはこの妥協に満足していないが、賛成派は環境問題が優先されるべきだと主張している。

Palmを開発したチームはプレスリリースの中で、このエコシステムは「PoWシステムに比べ、エネルギー効率が99%向上しています」と述べた。

Dapper LabsのFlowとは異なり、PalmはEthereum開発者コミュニティとの相互関係から利益を得ており、Nifty(ニフティ)を含むいくつかの業界パートナーシップを紹介した本日の発表にもそうした要素が見られた。このニュースは、折しもDapper Labsによる3億500万ドル(約337億8000万円)の資金調達と同じ日に発表された。この資金注入によりDapper Labsは、NFTスペース全体に現在起こっている熱狂をもたらしたTop Shotの勢いをさらに加速させることができるだろう。

関連記事:NFTトレカゲーム「NBA Top Shot」のDapper Labsはマイケル・ジョーダンやハリウッドに支援され評価額2879億円に

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:ConsenSysNFT

画像クレジット:Panuwat Sikham / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

仮想通貨ウォレットとブロックチェーン技術のimTokenがシリーズBで約33億円調達

ブロックチェーン技術のスタートアップで暗号ウォレットを開発しているimTokenは、Qiming Venture Partners社が主導するシリーズBで3000万ドル(約33億円)の資金を調達したと発表した。投資に参加したのは既存投資家であるIDG Capitalと、新規投資家であるBreyer Capital、HashKey、Signum Capital、Longling Capital、SNZそしてFosun Internationalの共同設立者であるLiang Xinjun(リャン・シンジュン)氏が含まれている。

2016年に設立されたスタートアップであるimTokenの前回の資金調達は、2018年5月にIDGが主導した1000万ドル(約11億円)のシリーズAだった。同社によると、Ethereum(イーサリアム)やBitcoin(ビットコイン)などの仮想通貨用ウォレットは現在1200万人のユーザーが利用しており、500億ドル(約5兆5000億円)以上の資産がプラットフォームに保管され、総取引額は5000億ドル(約55兆円)を超えているという。

imTokenは中国の杭州で設立され、その後に現在の本社をシンガポールに移転した。ユーザーの約70%は中国本土で、続いて韓国、米国、東南アジアなどの市場で利用されている。

imTokenは今回の資金調達を利用して「imToken 3.0」の機能を構築する予定だ。imToken 3.0にはキーレスアカウント、アカウントリカバリーおよび分散型金融サービスが含まれる。また「imToken Labs」と呼ばれるブロックチェーン技術の研究部門を拡大し、より多くの国にオフィスを開設する予定だ。現在は中国本土、米国、シンガポールの拠点で78名のチームを擁しているが、2021年中には100名まで増員する予定だという。

プレスリリースの中でQiming Venture Partnersの創業者でマネージングパートナーのDuane Kuang(デュアン・クアン)氏は「今後10年から20年の間に、ブロックチェーンは世界規模で金融業界に革命を起こすでしょう。imTokenはこのトレンドに乗り、市場で強力な地位を築いていると考えています」と述べている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:imToken資金調達仮想通貨

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:塚本直樹 / Twitter

爆発的な勢いのNFTアートのマーケットプレイス「SuperRare」が約10億円調達

NFT(非代替性トークン)のエコシステムは爆発的な勢いを見せており、その勢いに乗るべく準備をしていたスタートアップ企業が多くの資金を得ている。

ここ数週間で数千万ドル(数十億円)も売り上げているNFTアートプラットフォームのSuperRareは、投資家から数百万ドル(数億円)を調達した。900万ドル(約10億円)のシリーズAラウンドは、Velvet Sea Venturesと1confirmationがリードした。このラウンドに参加した他の投資家はCollaborative Fund、Shrug Capital、Third Kind、SamsungNext、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏、Guy Oseary’s Sound Ventures、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、Naval Ravikant(ネイバル・ラヴィカント)氏、Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏などだ。

資金調達の発表では、チームは暗号アートシーンを 「世界的な現象」 と呼んだ。

SuperRareは2018年にアートプラットフォームを立ち上げて以来、販売するアートをより綿密にキュレーションするクローズドなアーリーアクセスプラットフォームを維持することで、差別化を図ってきた。プラットフォーム上のすべての作品は、すべてがシングルエディションかつ一点のみの販売となる。来年には、チームは同サイトを大々的に立ち上げる予定だとしている。同社はこのプラットフォームでのアート販売に対して3%の取引手数料を得る他、さらに一次販売に対しては15%のギャラリー手数料を得ている。プラットフォームの特徴は、クリエイターが作品の価値を高めることで、2次販売時に10%の手数料を得ることができることだ。

NFTによるアート作品の販売はここ数週間で急増しているが、SuperRareが運営するEthereum(イーサリアム)のメインネットにはスケーラビリティの問題があるため、主流になるにはまだ多くの構造的問題がある。多くの企業がスピードを向上させ、エネルギー使用量と取引手数料を削減するレイヤーツーのインフラを構築している。米国時間3月30日、ConsenSysはPalmというプラットフォームをローンチし、アーティストのDamien Hirst(ダミアン・ハースト)氏をプラットフォームの最初のアーティストとして起用した。

ブロックチェーンのスタートアップは長い仮想通貨の冬を経て、スタートアップへの投資を急増させNFTへの熱意を高め、ビットコイン価格の高騰の中で復讐するように戻ってきている。また30日にはNBAトップショットのメーカーであるDapper Labsが、3億500万ドル(約340億円)のベンチャー資金を調達したことを発表した。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SuperRareNFTアート

画像クレジット:SuperRare

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(文:Lucas Matney、翻訳:塚本直樹 / Twitter

仮想通貨批判の的であるエネルギー消費量を95%も削減する二相式液浸冷却式データセンターを展開するLiquidStack

データセンターとビットコイン採掘事業は、膨大なエネルギーを消費しており、この2つの事業が爆発的に成長すると、世界的な温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みを帳消しにしてしまう恐れがある。これは仮想通貨事業に対する大きな批判の1つであり、業界の多くの人々がこの問題に対処しようとしている。

そこに新たに参入したLiquidStack(リキッドスタック)は、仮想通貨のハードウェア技術を開発するBitfury Group(ビットフューリー・グループ)から、1000万ドル(約11億円)の投資を受けてスピンアウトした会社だ。

以前はAllied Control Limited(アライド・コントロール・リミテッド)として知られていた同社は、オランダに本社を置き、米国で商業活動を行い、香港で研究開発を行う商業運営会社として再編されたと、声明で発表した。

この会社は、従来の空冷技術と比べてエネルギー消費量を95%削減するという二相式液浸冷却システムを採用した500kWのデータセンターを香港に建設した後、2015年にBitfuryに買収された。その後、両社は共同で160MWの二相液浸冷却型データセンターをいくつか展開してきた。

「Bitfuryは複数に渡る業界で革新を続けており、計算量の多いアプリケーションやインフラのためのLiquidStackによる革新的な冷却ソリューションに大きな成長の機会を見出しています」と、BitfuryのValery Vavilov(ヴァレリーヴァヴィロフ)CEOは述べている。「LiquidStackのリーダーシップチームは、我々の顧客やWiwynn(ウィイン)の戦略的サポートとともに、二相液浸冷却の世界的な採用と展開を急速に加速させると確信しています」。

今回の1000万ドルの資金調達は、台湾のコングロマリットであるWiwynnからのものだ。同社はデータセンターやインフラの開発を手がけており、2020年の売上高は63億ドル(約6900億円)に達している。

WiwynnのCEOであるEmily Hong(エミリー・ホン)氏は声明の中で「クラウドコンピューティング、AI、HPCの密度と消費電力が急速に増加しつつあるという問題に対処するため、Wiwynnは先進的な冷却ソリューションへの投資を続けています」と述べている。

LiquidStackの声明によると、同社の技術は空冷に比べてITラックあたりの排熱量を少なくとも21倍に向上させ、しかも水を必要としないとのこと。その結果、冷却に使用するエネルギーを41%削減し、データセンターのスペースを60%削減することができるという。

「Bitfuryは、組織のトップから草の根に至るまで、常に模範を示すことを重視しており、技術によって前進する企業です」と、LiquidStackの共同設立者でありCEOを務めるJoe Capes(ジョー・ケイプス)氏は述べている。「新たな資金調達を得てLiquidStackを起ち上げることで、我々は当社の強みと能力に集中することができます。クラウドサービス、AI、先進高性能コンピューティングの採用によって引き起こされる熱と持続可能性に関する困難な課題の解決に向けて、液冷技術、製品、サービスの開発を加速させていきます」。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:LiquidStack仮想通貨資金調達地球温暖化データセンター

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

その流行を裏づける仮想市場の投資家向け金融サービス「BlockFi」が381億円調達、評価額は3300億円

仮想通貨ブームに疑念があるとしたら、この分野における特定の企業の急成長に注目してみるのがいいだろう。

BlockFiはそうした会社の1つだ。同社は米国時間3月11日、シリーズDの3億5000万ドル(約381億円) の資金調達を完了し、評価額は30億ドル(約3300億円)に達したことを発表した。このニュース自体が注目を集めているのは確かだが、2020年8月にシリーズCで5000万ドル(約54億円)を調達し、評価額は4億5000万ドル(約490億円)だったことを考えるとさらに印象的だ。シードラウンドからシリーズCラウンドにかけての合計調達額は1億ドル(約109億円)となっており、今回の資金調達で同社の創業以来の総調達額は約4億5000万ドルに達したことになる。

BlockFiは、消費者金融出身のZac Prince(ザック・プリンス)氏がFlori Marquez(フロリ・マルケス)氏とともに2017年に設立したスタートアップだ。ニュージャージー州ジャージー市に拠点を置く同社は、2018年に完了したシードラウンドで160万ドル(約1億7400万円)を調達、このラウンドではConsenSys Venturesが主導し、SoFiの参加も得ている。

プリンス氏によると、BlockFiは仮想通貨市場の投資家向けに金融サービスを提供する会社で、小売や機関を対象とした一連の製品を提供しているという。同プラットフォームの小売側では、同社のモバイルアプリを利用して、保有する暗号の利回り(ビットコイン6%、ステーブルコイン8.6%)を得たり、暗号を売買したり、暗号ポートフォリオの価値によって担保される低コストのローンを受けたりできるため「売却せずに流動性を得ることができます」と同氏は述べた。具体的には、クライアントはデジタル資産(ビットコイン、イーサリアム、Linkをはじめ、ライトコイン、PaxG、および複数のステーブルコイン)をBlockFi上で直接売買することができる。

同スタートアップはまた、デジタル資産市場に参加している機関向けの取引執行サービスのレンダーおよびプロバイダーでもある。

このモデルはかなりうまく機能しているようだ。2019年末以降、BlockFiの顧客ベースは1万から22万5000以上に増加しており、現在までに資金提供を受けた小売顧客は26万5000社、機関顧客は200社を超えている。

小売、法人、機関投資家の顧客への融資額は100億ドル(約1兆円)を突破した。

過去1年間で、BlockFiは次のことも達成している。

  • プラットフォーム上の資産数が2020年3月の10億ドル(約1090億円)から150億ドル(約1兆6300億円)に拡大。貸出ポートフォリオ全体の損失率は当初から0%にとどまっている
  • 月間売上は5000万ドル(約54億4000万円)を超え、前年同期の150万ドル(約1億6300万円)から大幅に増加
  • 従業員数を2020年3月時の100人から約530人に増員

「シリーズCを完了して6カ月も経たないうちに、ビットコインや他のデジタル資産が多くの投資家のポートフォリオ、そしてより広範な金融市場において中心的な役割を担うようになっています」とプリンス氏は語る。「デジタル資産が金融の未来であるという私たちの信念は、2020年に前年比10倍に成長し、2020年末から倍以上になった顧客ベースによって証明されています」

シリーズDでは、新しい投資会社、Bain Capital Ventures、DST Globalのパートナー、Pomp Investments、TigerGlobalが共同で主導したが、ここには既存の投資会社Valar Ventures、Breyer Capital、Susquehanna Government Products、Jump Capital、Paradigmなど多数の企業も名を連ねている。1年以上勤務したBlockFiの従業員には、資金調達ラウンドの一環として、二次的な公開買い付けを通じて株式の一部の流動性を受け取る機会が与えられる。

BlockFiは、シリーズDラウンドへの投資家の熱意は、同社の力強い事業の成長と「資産クラスとしての仮想通貨への幅広い確信」の両方を反映していると考えている。

「個人投資家、機関投資家、企業の財務部門はいずれも、仮想通貨に投資する方法を模索しています」とBlockFiは述べた。

同社でオペレーション担当SVPを務めるマルケス氏は次のように語っている。「BlockFiの目標は一貫して、仮想通貨を主流化することでした。そして日々、そうした現象が今まさに起きているという証拠を提供し続けています」

Bain Capital Venturesのパートナー、Stefan Cohen(ステファン・コーエン)氏も同意見だ。同氏は、現在暗号保有者が利用できる銀行サービスは限られているため、BlockFiは有利な立場にあるとみている。

同氏はメールで「ビットコインはすでに時価総額で1兆ドル(約109兆円)を突破しており、価値の貯蔵を実現するべくさらに高値に向かう可能性があります。BTC保有者に富が蓄積されるにつれ、住宅や自動車、教育といった従来型の資産購入のために保有資産から利回りを得たり、借り入れたりする方法を模索する人が増えていくでしょう」 と述べた。「BlockFiは、仮想通貨保有者にシンプルで安全な日常的な金融サービスを提供するリーダーとしての地位を確立しています」。

この1年間の同スタートアップの大きな成長は「BlockFiのサービスには明らかに大きなニーズがあった」ことを証明している、とコーエン氏はいう。

「彼らのビジョンは、仮想通貨を主流にするための使いやすく信頼できるプラットフォームを構築することでした。そして、彼らは真の成功を収めました」と彼は付け加えた。

一方コーエン氏によると、Bain Capitalはビットコインが価値の貯蔵庫になるという長期的な考えを持っており、現在1兆ドルを超える市場を支える「ピックアンドショベル事業」に積極的に投資してきたという。

「信頼できる金融サービスはこの分野の重要な柱であり、私たちはそれを市場における極めて戦略的な要素だと考えています」 と同氏は続けた。

今後については、同社は第2四半期にビットコインのリワードクレジットカードをローンチする計画だ。これによりBlockFiの顧客は、取引ごとにビットコインのキャッシュバックを得ることができる。今回調達した資金は、同社の製品群の成長、新たなグローバル市場への進出、そして戦略的買収のために利用される。プリンス氏によると、同社は年末までに人員を倍増する計画だという。

BlockFiはすでに世界100カ国以上で小売事業者向けサービスを展開している。2020年、同社はロンドンとシンガポールに法人顧客サービスオフィスを開設した。2021年中にはヨーロッパ、アジアパシフィック、中南米でもサポート開始を予定している。

この1週間、BlockFiは別の理由でニュースになっていた。同社は、3月7日に攻撃者が偽のサインアップと暴言でプラットフォームにスパム攻撃を仕かけた「異常な攻撃」の被害者となったのだ。

最終的に同社は、3月7日に無許可の第三者がプラットフォーム上で一括サインアップを試み始めたことを認識したことを認めている。

「私たちはこれらの『サインアップ』に使われたメールアドレスの出所を把握していませんが、それらは私たちから発信されたものではなく、BlockFiクライアントのメールでもありません」と同社はTechCrunchに語った。「私たちはこのイベントを悪質なスパムと判断しています。影響を受けた有効メールの総数は1000件未満でした」

同社は、BlockFiのデータはアクセスされておらず、データは漏えいしていないと主張している。

「当社の顧客の資金とデータは、インシデントの間ずっと保護されていました」と同社は付け加えた。「それ以来、当社のエンジニアリングおよびセキュリティチームは、このようなできごとが今後発生しないように対策を講じてきました。さらに、有効なメール受信者全員に直接連絡を取り、この件について謝罪の意を伝えました」。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:BlockFi仮想通貨資金調達

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

NFT(非代替性トークン)がアート界にもたらす劇的な変革とインクルーシブな未来

デジタルコレクティブル(デジタル版のコレクターズアイテム)は今、大きな変化のときを迎えている。2021年2月、Beeple(ビープル)というアーティストのデジタルアート作品が、デジタルアート専門のオンラインマーケットプレイスNifty Gateway(ニフティ・ゲートウェイ)に出品され、660万ドル(約7億2000万円)で売れた。また、米ロックバンドLinkin Park(リンキン・パーク)のMike Shinoda(マイク・シノダ)氏は最近、オンラインマーケットプレイスのZora(ゾラ)で楽曲クリップを発売した。さらに、Dapper Labs(ダッパー・ラブズ)が運営するNBA Top Shot(NBAトップ・ショット)では、試合中のNBA選手の写真や動画1万631点のうちのたった1点を購入するために、20万人以上が何時間も順番待ちをした。

これらは、ブロックチェーンを利用したデジタル資産、別名「NFT(非代替性トークン)」を売買できるマーケットプレイスの例である。数週間前にNBA Top Shotを始めたばかりの筆者にとって、NFTはまったく未知の世界だ。そこで筆者は、NFTクリエイター数人に連絡を取って、NFTについて詳しく教えてもらった。またその際に、この分野の展望や全体的なポテンシャルに関する意見も語ってもらった。

「NFTとは『真の所有者と来歴が確認できるデジタル資産』のことだ、と説明できると思う。NFTは、その出どころを追跡でき、一度に1人しか所有できない資産だ」。そう語ったのはRonin the Collector(ローニン・ザ・コレクター)だ。

例えばNBAのStephen Curry(ステファン・カリー)選手が3点シュートを決めた瞬間を収めた動画など、自分のコンピューターに無料でダウンロードできる短い動画ファイルになぜお金を払う人がいるのか、疑問に思ったことがある人は、筆者の他にもたくさんいると思う。

ローニンは次のように説明する。「それを進んで認めるかどうかは別として、人間は本質的に『モノを所有したい』という欲求を持っているものだ。モノを所有することは人間として生きていくうえで欠かせないことだと思う。何かを所有するということは、何かとつながるということであり、それが生きる理由につながる。物を所有することには独特のの意義があるんだ。それに、所有していれば、例えばそれが動画なら、好きなだけ何度も視聴できる。でも、それを売れるかどうかはまた別の問題だ」。

その動画がNFTであるなら、売ることができる。例えば、CryptoSlam(クリプトスラム)を見ると2021年2月にLeBron James(レブロン・ジェームズ)選手のダンクシュート動画を20万8000ドル(約2270万円)で購入したユーザーがいたことがわかる。Top Shotのマーケットプレイス取引高は先月、約5000万ドル(約54億4600万円)に達した。さらに先週は、24時間の間に3700万ドル(約40億3000万円)以上を売り上げた日があった。これもCryptoSlamの情報だ。

これほど爆発的な人気を集めている理由は、パンデミックのせいでコンピューターを使用する時間が否応なく増えたことと、使い始めるのが簡単であることだとローニンはいう。例えばTop Shotの場合、筆者のような「超」初心者でも非常に簡単に登録できるようになっており、仮想通貨ウォレットを持つ必要はなく、クレジットカードが使える。これはNifty Gatewayも同じだ。

しかし、ローニンによると、Top ShotとNifty Gatewayは例外らしい。大抵のNFTプラットフォームは、Ethereum(イーサリアム、ETH)と呼ばれる仮想通貨のウォレットを持っていないと利用できない。Audius(オーディウス)でクリプト戦略を統括しているCooper Turley(クーパー・ターリー)氏は、TechCrunchへの寄稿記事の中で「つまりコレクターは、Coinbase(コインベース)などの仮想通貨取引所を通じてETHを購入し、それを、長い文字列と数字からなる自己管理ウォレット用アドレスに送信しないと、NFTプラットフォームを利用できない」と書いている。

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それこそまさに、筆者が(少なくとも個人としては)NFTの世界に飛び込めない理由だ。大抵のプラットフォームにおいて使い始めるまでのハードルが高いことは、以前からNFT業界の課題だった、とローニンはいう。

ローニンは次のように説明する。「どのNFTプロジェクトも、今やっと『使いやすさ』に注目し始めたばかりだ。これはまさにぎりぎりのタイミングだったと思う。Clubhouse(クラブハウス)で最近一番興味深いと感じたルームは、世界中の注目を集めているNFTプラットフォームをどうやってうまく発展させていくか、というトピックについて話し合っているものだった。Top Shotのように、使い始めるのも登録も簡単で、気軽にアイテムを購入できるサービスが出てきている。クレジットカードは必要だが、仮想通貨は不要で、誰もがオンラインで利用できる環境になり、まさにそのタイミングで、Beepleのデジタルアート作品が300万ドル(約3億2700万円)で売れた。これがきっかけで、全世界が突然、NFTに注目し始めた」。

しかし、NFTの領域においてTop Shotよりもさらに大きくて興味深いのは、NFTアートの世界だ。Sirsu(サースー)というアーティスト名で活動するAmeer Carter(アミール・カーター)氏は、2020年の夏に友人のすすめでNFTの世界に足を踏み入れたという。同氏は、始めてすぐに、このテクノロジーには大変革を引き起こす可能性があると感じたそうだ。

「文字どおり不朽のクリエイティブ作品を生み出せるようになったと感じた」と同氏はTechCrunchに語った。

とはいえ、アート界には昔から黒人や有色人種のアーティストを歓迎しない傾向があり、NFTの世界ではその傾向が特に顕著だ、とカーター氏は語る。旧来のアート界はエリート主義で、カーター氏自身も正統派のアートを学んだ経歴を持っているにも関わらず、旧来のアート界に参入することはできなかったという。

「努力が足りなかったわけではないんだ」とカーター氏はいう。

何人ものアートキュレーターが作品を気に入ってくれたが、どのキュレーターも「(カーター氏の)作品は、系統化して学術的に確立させられるものではない」と話した、とカーター氏は語る。NFTは、カーター氏のようなアーティストが、これまでは手が届かなかった方法で自分のアート作品を創作、共有することを可能にするテクノロジーだ。

カーター氏はこう続ける。「NFTは、アート作品を創作、共有できる環境を提供してくれる、非常にオープンで利用しやすいプラットフォームだ。私が目指すのは、アーティストが作品を発表できるそのような環境を整え、彼らの創作能力を強化することだ。売れない芸術家が経験する苦悩を取り除くのが私の使命である。私は、アートは安っぽいものではない。アートとは豊かなものだ。生活を豊かにして、生きがいを与えてくれるものだと思う」。

しかし、黒人のアーティストがすでに行ったことを、白人のアーティストがまるで自分が初めて試みたかのように見せて手柄を横取りしていく事例を目にするようになった、とカーター氏は語る。

ブロックチェーンを使った作品を初めて生み出したアーティストたちと、そのようなアーティストたちより著名であることを利用して「初めてブロックチェーンを使ってアート作品を生み出したのは自分たちだ」と周りに思い込ませようとしているアーティスト達がおり、この2つのグループの間で攻防が続いている、とカーター氏は説明する。

例えば、Connie Digital(コニー・デジタル)やHarrison First(ハリソン・ファースト)などの黒人アーティストは、ブロックチェーンを使ったファン向けのソーシャルトークンを初めて導入したアーティストたちの例だ。

「彼らこそアルバム、EP、シングル曲をNFTとして初めて売り出したアーティストたちだ。しかし、最近になってBlau(ブラウ)がNFTのアルバムを発表すると、人々はBlauこそがNFTでアルバムを売り出した最初のアーティストだと言い出した。本当は違うのに。しかし、『誰が初めて行ったか』という評判は、大きな話題として取り上げられるかどうか、大きな売り上げを達成するかどうかに左右される。それは今も昔も変わらない。より大きな注目を集めた方が『初めて試みた』というタイトルを手にする。私が興味深いと思うのは、NFTの場合はその来歴を文字通り追跡できて、Blauが最初ではないことを示す動かぬ証拠がある、ということだ」。

カーター氏はこのような現象を見て、自分がNFTのアーキビスト(保存価値のある情報を査定、整理、管理し、閲覧できるよう整える専門職)にならなければと思ったという。

カーター氏は次のように述べる。「私は必ずしも歴史家ではないが、NFTの分野に深く関われば関わるほど、私がNFT専門のアーキビストとしての役割を果たすことが緊急に必要だと感じるようになった。分散型で誰もが使える仕組みの中であっても、私たちのようなアーティストの存在が文化的な意味で消し去られないようにするためだ」。

カーター氏がBlacksneakers(ブラックスニーカーズ)のような黒人アーティストの作品をアーカイブするためにThe Well(ザ・ウェル)を立ち上げている理由の1つはそこにある。The Wellは、黒人アーティストが安全だと感じ、サポートを得られ、不当に搾取されない環境で自分のNFTをミント(創出)できるプラットフォームとしても機能する予定だ。

画像クレジット:Black Sneakers via SuperRare

現在利用されているさまざまなプラットフォームでは、ウェブサイトやソーシャルメディアにおけるプロモーションの面で、全体的に白人アーティストの方が黒人アーティストよりも優遇されているように感じる、とカーター氏はいう。

「黒人アーティストにも、アーティストとして成長し、進歩するそのようなチャンスを得る権利がある。それなのに、チャンスを手にしているのは、多くの自称アーティストばかりだ」と同氏は述べる。

カーター氏は、黒人アーティストにチャンスを提供することはNifty GatewayやSuperRare(スーパーレア)をはじめとするプラットフォームの義務だと言っているわけではない。同氏が指摘したいのは、そのようなプラットフォームには、黒人アーティストがよりよいチャンスをつかめる環境を整える力がある、という点だ。

それは、カーター氏がThe Well Protocol(ザ・ウェル・プロトコル)で目指している目標の1つでもある。同氏は、6月19日の奴隷解放記念日にローンチ予定のThe Wellを通じて、NFT作品のアーティスト、コレクター、キュレーター向けのインクルーシブなエコシステムを築きたいと考えている。作品を発表するにはいつもTwitterを使うしかないと感じているアーティストに、彼らを全面的にサポートして作品を増やしていくためのエコシステムを提供したい、と同氏は語る。

「どこを見ても、黒人ではないアーティストはメディアで好意的に評価されたり、ニュース番組で取り上げられたりしている。一方、黒人アーティストは彼らほど頻繁に注目されることはなく、同じ土俵に上がって競争する機会が少ない。私は、真の意味で公平な環境を築こうとしている。つまり、私たちが躍進していけるツールとエコシステムを作り上げていく」。

「アートは富裕層だけのもの、と考える時代は終わりにしたい」とカーター氏はいう。

同氏はこう続ける。「私たちには、そのような考え方を完全に覆せるだけの力がある。私たちの取り組みを機能させるには、検討を何度も、何度も、そう何度も重ね、協力して動く必要がある。しかし、すでにNFTを使っているアーティストを、金に物を言わせて排除しようとする者がNFTの世界に入ってきたら、私たちの目的は達成できない。アーティストが成長できる環境を整えるためのプラットフォームに、そのような輩を参入させてはならないんだ。概して不安をあおり、一部のアーティストをプラットフォームから排除しようとするような人を私たちの取り組みに関わらせることはできない」。

NFTを単に投資目的のコレクティブルだとみなさないことも重要だ、とカーター氏は述べる。

「一獲千金を狙ってNFTの売買を始める人ばかりだが、それは間違っている。NFTの取引にはアーティストの人生とキャリアがかかっているのだ」とカーター氏はいう。

ローニンによると、大きな注目を集め始めたNFTだが、今はまだアーリーアダプション(初期採用)の段階であるため、まだNFTの売買を始めていない人も焦る必要はない、とのことだ。

ローニンは次のように説明する。「正直なところ、そのアーリーアダプション期でさえ本格的に始まったとは言えないと思う。安定した取引が全体的に行われるようになってはじめて、アーリーアダプション期を過ぎたと言える。今はまだアルファ版のような段階だ」。

ローニンがこのようにいうのは、これから5年後、あるいは10年後には、NFTの可能性が今とは比べものにならないほど広がっていると考えているからだ。例えば、ローニンは将来的にVR、AR、XRを超えるNFTエクスペリエンスを実現しようとしているアーティストに会ったことあるという。

「そのアーティストが私と組んで仕事をしようと言ってくれて、とてもワクワクしたよ。アドバイザーの役目を仰せつかった。彼女はこのテクノロジーで世界を変えることができると思う」とローニンはいう。

それこそまさに、ローニンがNFTに大きな魅力を感じている理由だ。このテクノロジーには、人々の生活を変え、世界を変える力がある、とローニンは語る。

「NFTは誰もが自由に使い始めることができ、大きな夢を描くことや、その夢を実現させる方法を見つけることを可能にするテクノロジーだと思う。AR、VR、モバイル、インターネット、何でもアリだ。あらゆるものを使って、空間、時間、生活の中に存在する壁を越えるNFTエクスペリエンスを創造できる。NFTはそれほど強力なテクノロジーだ。人々はNFTにもっと注目すべきだと思う」とローニンはいう。

今後はブロックチェーンをつなげて「NFTをビットコイン、イーサリアム、WAXFlowなどで実現できるようにすることがかなり重要になってくる」とローニンは予想している。

カーター氏は、The Wellの取り組みにより、インクルーシブな前例を確立して、NFTへの門戸を広げたいと考えている。また、カーター氏が、初めてでもスムーズにNFTを作り始められるようアーティストをサポートするMint Fund(ミント・ファンド)を立ち上げようとしてることも注目に値する。NFTを制作するには、Ethereumネットワークの混雑具合に応じて50ドル~250ドル(約5400円~2万7000円)の費用がかかるのだが、NFT初心者のアーティストの場合はMind Fundがこの費用を負担して、NFTという新しい世界に踏み込む手助けをする仕組みだ。

「すぐに行動を起こし、適切なタイプのコミュニティ主導型アプローチでMind Fundを実現しなければ、機を逃してしまう。そうなると、単に『うまくいかなかった』では済まない、悲惨な結果になってしまう。持つ者がさらに富を得る一方で持たざる者はさらに貧しくなるという悪循環に再び陥って抜け出せなくなる。現在の経済とシステムにおいて常に最善の方法で富を再分配する方法を見つけなければならない。それを見つけられなければ終わりだ。少なくとも私はそう考えている」とカーター氏は語る。

NFTを制作するにはかなりのエネルギーが必要とされるため、それが生態系に与える影響についても議論が行われている。カーター氏によると、この点については現在、2つの意見があるという。1つは、NFTの創出は生態系に大きなダメージを与えるという意見、もう1つは、生態系への悪影響はミンターの責任ではなく「ミントだけでなく(ブロックチェーンに関わる)他のさまざまな処理を行うためにすでに構築されたシステム上でミントする」ことについて、ミンターが責めを負うべきではない、という意見だ。

カーター氏は、前者の意見が正しいかもしれないとは思うが、現時点では単に批判が飛び交っているだけの状態だ、という。

「私たちミンターは、このような批判によって全体的に困惑させられて『これ以上は身動きが取れない』と考えてはならない」とカーター氏は述べる。

カーター氏はまた、作品をまとめて印刷、出荷することにもエネルギーが必要であると指摘する。

カーター氏は次のように説明する。「私がミントした作品1点を販売する場合と、例えば印刷版1000部を20ドル(約2200円)で販売するのにかかる場合の、エネルギーコストと排出量を比べる必要がある。後者の場合、1000部をそれぞれ別の場所に販売し、それらを1000件の異なる住所に配送することになる。これが正しい比較方法かどうかはわからない。現時点でこのような計算をすることにあまり興味はない」。

最終的にはこの分野における再生可能エネルギー源の利用量を増やし、より革新的なハードウェアを使用することが必要だとカーター氏は考えている。

「そのような革新的なハードウェアの開発、生産にも再生可能エネルギーを使う必要がある。つまり、フレームワーク全体としてカーボンネガティブになることを目指すべきだ。ミンティングだけでなくマイニングや製作に至るまで、可能な限りカーボンニュートラルまたはカーボンネガティブにする必要がある。これはサイクル全体として取り組むべき課題だ」とカーター氏は付け加えた。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTコラムアートcrypto art

画像クレジット:TechCrunch/Bryce Durbin

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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Dragonfly)

仮想通貨ブームが続く中、ブロックチェーン分析のChainalysisが109億円調達

ブロックチェーン分析会社Chainalysis(チェイナリシス)は米国時間3月26日、1億ドル(約109億6400万円)のシリーズD資金調達をクローズし、評価額は20億ドル(約2192億9000万円)に倍増したと発表した。

今回のラウンドのわずか4カ月前のシリーズCラウンドで、同社は10億ドル(約1096億4500万円)の評価額で1億ドルを獲得したばかりだ。最新ラウンドはParadigmがリードし、既存投資家のAdditionとRibbitが投資額を倍増させた。Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏の投資ファンドTIME Venturesも参加し、Chainalysisの累計調達額は2億6500万ドル(約290億5500万円)となった。

今回のラウンドは同社にとって2年弱という期間で4回目の資金調達となる。既存投資家にはAccelとBenchmarkも含まれる。

Chainalysisは、当時世界最大の仮想通貨取引所だったMt. Gox(マウントゴックス)がハックされた2014年の創業だ。ニューヨーク拠点のChainalysisは現在、60カ国超の政府機関や取引所、金融機関、保険会社、サイバーセキュリティ会社にデータやソフトウェア、サービス、調査を提供している。中でも顧客の400社はSquareのようなフィンテック、Barclaysのような金融機関、そしてGemini、Bitstamp、BitPayといった仮想通貨の事業会社だ。

共同創業者のMichael Gronager(マイケル・グロナガー)氏とJonathan Levin(ジョナサン・レビン)氏(画像クレジット:Chainalysis)

Chainalysisが自称するミッションは「少ないリスクで金融のさらなる自由を促進するためにブロックチェーンにおける信頼を構築すること」だ。

データプラットフォームは調査、コンプライアンス、リスクマネジメントのツールを動かす、と同社は話す。これらツールは「世界で最も有名なサイバー犯罪を解決したり、消費者が安全に仮想通貨にアクセスできるようにするのに使われてきた」。

共同創業者でCEOのMichael Gronager(マイケル・グロナガー)氏によると、あらゆる企業がゆくゆくは事業を行うのにブロックチェーンを使うようになるという信念のもとにChainalysisは事業を展開している。

「仮想通貨業界の誰よりも当社はブロックチェーンで何が起きているかについてより多くの情報を集めてきました」とグロナガー氏は話した。「そうした情報で、当社の顧客はより良いデータ駆動の判断を下すことができます」。

同社は以下のことを2020年達成したと話している。

  • 年間経常収益(ARR)を前年比100%超増やした
  • 30カ国超の政府機関、60カ国超の民間事業会社を含む顧客ベースを倍増させた
  • 10のネイティブブロックチェーンにまたがる100超のデジタル資産のカバーへとサポートを拡大した。これは仮想通貨経済活動の推定約90%を網羅している
  • 2020年従業員数を現在の233人に倍増させた
  • FireblocksやFlashpointを含む50社超から成る提携プログラムを拡大した
  • 今後の展望として、2021年に数百人を採用する計画で、新たに調達した資金は主に企業データプロダクトを拡大するのに使う

「当社は引き続き、捜査とコンプライアンスのソフトウェアに投資しますが、既存の顧客と新たなオーディエンスのための新データプロダクトも構築します」とグロナガー氏は話した。

Chainalysisはアジア太平洋地域で存在感を高めることに特に注力している。

「仮想通貨はグローバルです。Chainalysisも同様です」と同氏は述べた。

Chainalysisにとって仮想通貨にはこれまでにない透明性がある。

「仮想通貨はいずれの組織も管理しない初のグローバル決済システムですが、ブロックチェーンは違法行為を含め、すべての取引の公で永久の記録を作ります」とグロナガー氏はTechCrunchに語った。

ブロックチェーン分析は人々が公のブロックチェーン台帳を解釈するのをサポートすることで登場した。Chainalysisのツールは、政府機関や仮想通貨事業所、金融機関がどの実在組織が互いに取引しているか理解するのをサポートすることを目的としている。

「例えば異なる2つの仮想通貨取引所間、あるいは仮想通貨取引所と闇ネットマーケットや制裁を受けている機関など違法な組織の間で行われた取引を当社は示すことができます」とグロナガー氏は話した。

Paradigmの共同創業者、Fred Ehrsam(フレッド・アーサム)氏は、Chainalysisが仮想通貨エコシステムのために鍵となるデータインフラやソフトウェアを提供する方法に惹かれた、と述べた。

「誰よりも規制の状況をよく知っているChainalysisのチームは、何年もかけてツールを洗練し、顧客が欲しているものをよく知っています。これはひと晩で起こるサクセスストーリーではありません。チームは複数の暗号サイクルを通じて長期的なビジョンでツールを構築しました。これによりChainalysisはマーケットにおける優位性を確保し、機会は複利式に増えます」と付け加えた。「仮想通貨が浸透するにつれ、Chainalysisのサービスに対する需要も成長します」。

仮想通貨ブームのさらなる証拠として、2021年3月初めにBlockFiは30億ドル(約3289億3500万円)の評価額で3億5000万ドル(約383億7500万円)という巨額のシリーズDラウンドをクローズしたと発表した。暗号マーケット投資家のための金融サービス会社である同社は、小売や機関向けプロダクトを提供している。

特筆すべきことに、BlockFiはChainalysisの顧客でもある。CEOで共同創業者のZac Prince(ザック・プリンス)氏は、ChainalysisがBlockFiに「事業開発活動を通知し、サービスをカスタマイズし、そして新たな売上源を特定するのをサポートできるコンプライアンスを超えた知見を与えるデータを提供している」と声明で述べた。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Chainalysis仮想通貨資金調達

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi