オフィス勤務再開需要に向けて、室内に新型コロナ感染者がいたかどうかを調べられるPhylagenが全力疾走

パンデミック開始から2年が経った今、世の中の企業は安全な対面業務の再開に向けて奮闘中だ。Apple(アップル)はオフィス勤務再開の計画を延期し、Google(グーグル)は2022年中には週3回のオフィス勤務を義務づける予定だが、ワクチン未接種者は最終的には職を失うことになると先日の発表で明言している。「従業員を守り、業務を進めるためには、ワクチン接種の義務化が最も効果的な方法となります」と同社は CNBCへの声明で伝えている。

しかし、ワクチンを接種した人でも感染力の強い新型コロナウイルスに感染する可能性はある。サンフランシスコを拠点とする設立7年目の企業、Phylagen(フィラゲン)は、微生物ゲノミクスとデータ分析を組み合わせて、物理的な空間に新型コロナウイルスの感染者がいたかどうかを調べることができるという。

その方法は次の通りだ。Phylagenは、センサー、スワブ、サンプルコレクターを活用し、これらを週に2回パッケージに入れて研究所に発送する。そして感染者が建物内(トラッキングのためにフロアやゾーンに分けられている)に細菌を持ち込んだかどうか、あるいは建物内の空気が安全かどうかを72時間以内にデータとして提供するという仕組みである。

同社はこれを「サービスとしての企業病原体モニタリング」と呼んでいるが、元生物学教授で、土木技師とマイクロバイオーム科学者の両方で正式な訓練を受けた創業者兼CEOのJessica Green(ジェシカ・グリーン)氏は、その実現可能性に長い間魅了され続けてきた。

しかしグリーン氏いわく、これまでの道のりは孤独なものだったという。「私たちは90%の時間を室内で過ごしていますが、自分が口から何を吸い込んでいるかについては何も知りません。この会話の間にも、私たちは何百万もの微生物を放出し、健康やウェルビーイングに深刻な影響を及ぼす可能性のある何百何千ものウイルス、バクテリア、カビを吸い込んでいるのです」。これは「何十年も前から分かっていた」ことだが、一般の人々の理解が「今回のパンデミックで結実した」のだと同氏は話している。

Phylagenは当初から我々が呼吸している空気に焦点を当てていたわけではなく、創業当初から2020年の春まで、同社はサプライチェーントラック&トレースと呼ばれる市場で事業を展開していた。これは企業が自社の製品が最終目的地に向かって予定通りの経路をたどっているかどうかを確認するためのセグメントである(迂回した場合、製品に手が加えられた可能性も出てくるため、企業の評判を落としたり、特に医薬品に関しては致命的な結果を招いたりすることもある)。

グリーン氏によると、パンデミックの発生にともない、新型コロナウイルスを追跡する手段として同社の製品にも関心が寄せられたという。しかし、ウイルスが表面ではなく空気を介して広がっていることが明らかになると、同社は同社の技術を別の用途に使用するため完全シフトすることにした。これまでに得た知見や増え続ける微生物のデータベースを、トレーサビリティーのためではなく、建物の中にいる微生物を捕獲し、その情報をデジタル化して顧客に提供するというのがその考えである。

顧客数も増え続けているようだ。グリーン氏は具体的な顧客名を明かしておらず、多数の大手テック企業や商業用不動産会社と密接に連携しているとだけ伝えているが、産業用バイオテック企業Solazyme(ソラザイム)を共同設立したHarrison Dillon(ハリソン・ディロン)氏とともに共同設立された同社の事業は2022年に向けて大繁盛しているという。

収入は前年比10倍、従業員も20人から40人へと増加した同社。Phylagenはこの夏、ヨーロッパの上場企業で、ビルの防火・空調・セキュリティ機器を製造しているJohnson Controls(ジョンソンコントロールズ)から戦略的資金をひそかに調達したこともあり、人員をさらに倍増させる計画だという。

Phylagenはこれまでに3M(スリーエム)、Breakout Ventures(ブレークアウト・ベンチャーズ)、Cultivian Sandbox(カルティビアン・サンドボックス)などから合計3000万ドル(約34億円)を調達している。

しかし当然、次々と現れるライバルたちを出し抜けるかどうかという疑問も残る。

「これがニューノーマルだからこそ、新たな競争相手が現れたのです」とグリーン氏は話す。「誰もが安全な室内空気を求めるようになるでしょう。現在、室内空気の質を測定できる方法は非常に古く、空気に関連する生物学的要素を検査する、手頃で信頼性の高い方法もありません」。

Phylagenが所有するサンフランシスコとマンハッタンの研究所や、提携研究所からの結果を72時間も待つと聞くと、Phylagen独自のプロセスも時代遅れだと感じる人もいるかもしれない。新型コロナウイルスがいまだに急速に広がっていることを考えれば、2~3日というのは決して迅速な提供とは言えない(更新:この記事の掲載後、Phylagenから連絡があり、グリーン氏の発言は誤りであり、Phylagenは24時間以内に顧客に結果を返すことができるとのことであった)。

この速度は近い未来に短縮されるだろうとグリーン氏は考えている。「次世代のテストではすべてが自動化され、現場で行われるようになるでしょう。CO2センサーや、温度と相対湿度の情報を提供するサーモスタット のNest(ネスト) を想像してみてください。これと同じように空気中のDNAやRNAを検出できるようになるのは確実で、私たちは今それを目指して取り組んでいます」。

確かにPhylagenがその潜在能力を発揮すれば、同社のチャンスは絶大なものになるだろう。新型コロナウイルス以外にも多くのものを検査することができ、アレルギー誘発物質も計画に含まれているという。

商業利用のみならず、家庭での使用にも可能性はある。初期投資家である3Mはすでにデータ駆動型の消費者向け製品の開発に取り組んでいるようだ。9月にはPhylagenの技術を使った家庭用清浄度キットの販売を開始しているが、Amazon(アマゾン)で約180ドル(約2万円)という価格はほとんどの家庭にとっては高価すぎるため、現時点では試験的なものなのだろう。

一方でグリーン氏は、今はまだ企業顧客に集中していると主張している。これには他の製品を検討する時間がないという理由もあるようだ。

「3Mの製品から得られる最大のポイントは、検査したい有機体の一覧を自由に作ることができるということです。しかし、現在最も重要で、最大の市場機会と市場ニーズがあるのは商業ビルの分野です」。

「私たちがどんな機能を提供できるかということにかかっています。今、私たちは需要に追いつくために全速力で走っています」。

画像クレジット:Phylagen

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

メルクのコロナ飲み薬「モルヌピラビル」米FDAが緊急使用許可、抗ウイルス剤として2番目

Pfizer(ファイザー)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抗ウイルス剤は、米国ではすでにいくつかの競争相手がいる。AP通信の報道によれば、米食品医薬品局(FDA)はMerck(メルク)の経口治療薬「Molnupiravir(モルヌピラビル)」について、緊急使用許可を出したという。この治療薬は、理想的には発症からすぐに投与し、ウイルスの遺伝コードに「エラー」を挿入することで、SARS-CoV-2ウイルスの複製を抑制し、リスクの高い患者の軽度または中等度の症例が重症化するのを防ぐというもの。

しかし、この薬は、PfizerのPaxlovid(パクスロビド)のようには広く使用されないかもしれない。若い患者の骨や軟骨の発達に影響を与える可能性があるため、Merckの薬は18歳以上の大人にしか使用できないが、Pfizerの製品は12歳以上の患者に使用できる。また、薬が胎児に影響するリスクがあるため、妊婦や妊活中の服用は推奨されていない。FDAは、治療中も治療後も避妊具を使用し、(妊娠を試みる前に)女性は数日、男性は3カ月待つべきだとしている。

さらに、MolnupiravirにPaxlovidほどの効果は期待できないようだ。Pfizerのソリューションが入院や死亡を90%減少させたのに対し、Merckの飲み薬は30%しか減少させることができなかった。この薬は、特にPaxlovidが使用できない場合の第二の選択肢となるかもしれない。両社の製品は変異したスパイクタンパク質をターゲットにしたものではないため、同ウイルスのオミクロン変異株にも引き続き有効だと考えられる。

それでも、新型コロナウイルスによる入院や死亡を最小限に抑えるためには、これも有効な手段の1つとなるかもしれない。米国が1000万人の患者に対応できるだけの量を発注した場合、Pfizerの薬が最も入手しやすくなるが、Merckの薬は310万人に対応できるだけの量があるという。たとえ効果が限定的であっても、それによって何十万人もの人々の命がこの病気の最悪の事態から救われるかもしれない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Jon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Merck

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(文:Jon Fingas、翻訳:Aya Nakazato)

米FDAがファイザーの新型コロナ経口薬を12歳以上に認可

米食品医薬品局(FDA)は、Pfizer(ファイザー)の抗ウイルス剤Paxlovid(パクスロビド)を緊急認可し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の軽度から中等度の症例を治療する最初の経口療法となった。この治療法は、重症化のおそれのある12歳以上のリスクの高い患者だ。FDAは数日以内に使用を認めているため、オミクロン株の襲来に対して有効かもしれない

Paxlovidは処方箋のみで入手可能で、新型コロナの症状に気づいてから5日以内に服用することになっている。Pfizerのテストによると、高リスクの患者でも入院や死亡を88%防ぐことができる。この治療薬は、ワクチン接種者と非接種者の両方に処方することが可能で、30錠を5日間かけて服用する。タンパク質阻害剤であるニルマトレルビルと、その阻害剤が体内で分解されないようにするリトナビルが含まれており、副作用として味覚障害、高血圧、下痢、筋肉痛などがある。

FDAの医薬評価調査センターのディレクターであるPatrizia Cavazzoni(パトリツィア・カヴァッツォーニ)博士は「この認可により、新たな変異種が登場したパンデミックの緊急事態において、新型コロナウイルスと戦う新しいツールを提供し、重症化のリスクの高い患者に抗ウイルス治療へのアクセス性を高めることができた」と述べている。

ニューヨーク・タイムズによると、これまで米国は1000万人分の薬を注文している。同社は、1週間以内に6万5000人の米国人をカバーするのに十分な錠剤を納入する予定だ。その後、2021年1月に15万個、2月に15万個と生産が拡大される予定となっている。この薬は唯一の抗ウイルス剤というわけではない。Merck(メルク)の対抗となる治療薬も間もなく承認される見込みで、Pfizerよりも容易に入手できるようになる可能性が高い。ただし同社の治療薬ははるかに効果が低く、入院や死亡を30%しか防ぐことができない(それでも、何も治療しないよりはましだ)。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のDevindra HardawarはEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Pfizer

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(文:Devindra Hardawar、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AIによる献立・栄養管理アプリ「おいしい健康」の買い物リスト機能がバージョンアップ、まとめ買いやSNS共有に対応

おいしい健康は12月21日、AIによる献立・栄養管理アプリ「おいしい健康」(Android版iOS版)において、レシピや献立に必要な材料を自動で一覧にして買い忘れ・買いすぎを防ぐ機能「買い物リスト」のバージョンアップを発表した。複数の献立を1つのリストにしてまとめ買いに対応したほか、SNSなどで買い物リストを共有するなどが可能となった。

おいしい健康は、健康な人からダイエット・生活習慣病対策を考えている人などの「予防・自己実現のための食事」から、何らかの病の患者・妊婦・高齢者など「医療上の制限がある人の食事」まで、幅広く支援する食事管理アプリ。難しい食事管理について、毎日のおいしい食事により誰でも行えるよう医学的な根拠(エビデンス)に基づきつつユーザーをサポートする。提示するレシピは個々のユーザーに適した栄養バランスに加えて、冷蔵庫の食材や好きな食べ物、料理の腕前、調理時間に合わせることで「究極の食のパーソナライズ」を実現するという。

今回バージョンアップされたのは、献立やレシピごとに必要な食材を表示する「買い物リスト」。新たな機能として、これまで献立やレシピごとに表示されていた買い物の内容について、複数分を1回の買い物リストとして表示可能となり、まとめ買いがしやすくなった。

さらに、買い物リストを家族やパートナー、友人とSNSやメールで共有する機能も採用。買い物を分担することで、料理を作る人の負担を軽減できる。また、過去の会物リストを日付別に自動保存する機能も新たに追加した。同じ献立を作る場合に、買い物リストを改めて作成することなく過去のリストを再利用できるようになった。このほかにも買い物を便利に、ラクにする機能が多数追加されているという。AIによる献立・栄養管理アプリ「おいしい健康」の買い物リスト機能がバージョンアップ、まとめ買いやSNSなどで共有可能に

 

同社によると、ユーザー調査において、全体の約8割が3日に1回程度の買い物をしていること、また料理の際の困りごと・負担として半数近くが「買い物に行くのが負担」と回答したという。実際、従来バージョンから買い物リスト機能の利用者は多く、機能改善の声があったことから、ユーザーの要望に応える形でバージョンアップを実施したそうだ。

2016年7月設立のおいしい健康は、AIやビッグデータ、最新の栄養科学によって「食事で病気の無い世をつくりだす」ことを目指す、ヘルスケア領域スタートアップ。献立・栄養管理支援アプリであるおいしい健康、食事タイミング支援アプリ「食べリズム」を提供している。医療機関・薬局・製薬会社と連携した患者支援、食品会社の健康領域事業を立ち上げて支援するDXヘルスマーケティング事業など、健康に関する多様な事業を通じ、世界の80億人が「いつまでもおいしく、食べられる」社会の実現を目指している。

睡眠計測サービスの筑波大学発S’UIMINがシリーズBファーストクローズで5億円調達、サービス拡大や新規デバイス開発

睡眠状態を可視化するサービス「InSomnograf」(インソムノグラフ)を提供する「S’UIMIN」は12月20日、シリーズBラウンドのファーストクローズにおいて、総額5億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、長瀬産業と帝国通信工業。累計調達額は約14億円となった。

調達した資金は、健康診断や人間ドックにおけるオプションサービスの拡大、新規デバイスの開発、電極量産のための資金、ビッグデータビジネスに向けての基盤構築などにあてる予定。

InSomnograは「InSomnia」(不眠症)と「Graf」(可視化)を合成した造語。サービス内容は、脳波を測定する独自ウェラブルデバイスから得られた情報をクラウド上のAIで解析し、睡眠状態を高精度で可視化するというもの。サービス利用者はPCやスマートフォンを通じ、その日の睡眠の「経過図」や「簡易評価」を即時的に確認できる。複数晩の計測後に作成するウィークリーレポートも、オンラインで確認可能。

2017年10月設立のS’UIMINは、筑波大学の「国際統合睡眠医科学研究機構」を母体とするスタートアップ。「世界中の睡眠に悩む人々にとっての希望の光となる」をビジョンに、睡眠障害へのあるべき予防・診断・治療の実現を通して、睡眠をキーワードとした健康寿命の延伸を実現を目指し、人類社会に貢献するとしている。

EU、マイクロソフトの音声認識技術企業Nuance買収を無条件で承認

欧州連合(EU)の競争当局は、Microsoft(マイクロソフト)が2021年初めに発表した音声認識(文字起こし)技術企業Nurance(ニュアンス)の197億ドル(約2兆2500億円)での買収を全面的に承認した。

EUは12月21日、買収実行にともなうEUでの競争上の懸念はないと結論づけ、条件を付さずに承認したと発表した

この買収は、11月16日に欧州委員会の規制当局に通知された。

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MicrosoftのNuance買収がEUの承認を得た一方で、英国の競争・市場庁は予備調査を開始したばかりだ。まだ精査が続く地域もあるということだ。

EU側では、欧州委員会の調査は、音声認識ソフトウェア市場におけるNuanceとMicrosoftの水平方向の重複を調査し、両社がまったく異なる製品(エンドユーザー向け既製ソフトと、アプリに音声認識技術を追加したい開発者向けのAPI)を提供していると判断した。

また、2社の統合後も、他のプレイヤーとの「強い」競争に引き続き直面することになるとも判断した。

EUは、MicrosoftのクラウドコンピューティングサービスとNuanceのヘルスケア向け下流音声認識ソフトとの垂直的な関連性にも注目したが、この分野で競合する音声認識サービスプロバイダーは、クラウドコンピューティングをMicrosoftに依存していないことがわかった。

また、欧州委員会によれば、この種の音声認識サービスプロバイダーは、クラウドコンピューティングの主要ユーザーでもないという。

同委員会の調査では、Nuanceのソフト(Windows版のみ)とMicrosoftの数多くの製品との複合的な関連性も検討されたが、統合後の企業は、(医療)音声認識ソフト、法人向け通信サービス、CRMソフト、生産性ソフト、PCオペレーティングシステムの市場において競合企業を排除する能力やインセンティブを持たないとの見解に至った。

そして、ここでもまたEUは、統合後の企業が依然として強い競争に直面することになると判断した。

おそらく最も興味深いのは、欧州委員会がNuanceのソフトによって書き起こされたデータの利用について調査したことだ。興味深い理由は、医療データの機密性が非常に高いからだ。Microsoftはアドテク分野では巨大プレイヤーではないが、同分野で事業を拡大する野心を持つ。ちょうど米国時間12月21日、同社はデジタル広告事業を強化するため、AT&Tからアドテク企業のXandr(旧AppNexus)を買収すると発表した

さらに、すでに大規模なデジタルマーケティング事業を展開している巨大テック企業のOracle(オラクル)が、電子カルテシステムを提供するCerner(サーナー)の買収を発表し、同社のヘルスケア分野への壮大な構想を示すことになった。

もちろん、アドテク企業が健康データを手中に収めるという見通しは、プライバシーに関して多くの人々を不安にさせる

しかし、MicrosoftによるNuance買収のデータ面に関する評価は、既存の「契約上の制約」とEU地域のデータ保護規制のおかげで、問題なしとされた。

その分析は主に競争の観点からなされたが、EUの反トラスト法評価で(さらに)データ保護に焦点が当たったことは注目に値する。(先例として、EUがGoogleのアドテクを現在も精査している件がある。欧州委員会は2020年、GoogleのFitbit買収を承認したが、プライバシー擁護派から多くの批判を受けた。このケースでは、承認にあたり、GoogleがFitbitの健康データを広告に利用することを制限するという条件を付した)。

「欧州委員会は、Nuanceが自身のサービスを提供するためにのみ健康データを使用することができると結論付けました」とEUはMicrosoftのNuance買収承認に関するプレスリリースに書いている。「データを他社が利用することはありませんし、契約上の制約やデータ保護法の関係で他の目的には使用できません」。

EUの反トラスト部門はまた、Nuanceのデータへのアクセスは、Microsoftに、競合する医療ソフトプロバイダーを締め出すことができるような優位性を与えることはないと結論付けた。「重要な音声認識情報は、Nuanceの断片的な音声データとは異なり、複数のソースからのデータを組み合わせた電子カルテシステムなどのサードパーティアプリケーションに通常格納されています」。

以上からだけでも、電子カルテシステムのプロバイダーであるCernerのOracleによる買収に関しては疑問が生じる。すなわち、EUの競争規制当局が、ハイテクヘルスケア分野の大型ディールを検討するようになれば、より厳しい質問をぶつけてくる可能性があるのではないかということだ。

ただし、Cernerは2020年欧州のポートフォリオの一部を売却しており、同地域の顧客が比較的少ないため、EUの懸念の範囲は縮小または限定されるかもしれない。

画像クレジット:Kena Betancur/VIEWpress/Corbis / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

大日本印刷とイリモトメディカル、肺がん早期発見支援など遠隔画像診断・遠隔読影ワークフローのAI活用に向け提携

大日本印刷(DNP)と、健康診断画像の診断支援や遠隔読影システムの運用などを行うイリモトメディカルは12月21日、健康診断の画像診断における事業競争力の強化と拡大を目指して資本業務提携したことを発表した。

DNPでは、2000年代からメディカルヘルルケア分野の研究開発や事業化を進めており、画像解析技術の開発に加え、診断支援サービスの提供も行っている。イリモトメディカルは、健康診断における画像診断の分野で全国139の医療機関(2021年12月現在)から年間77万件の読影依頼を受ける遠隔読影の大手事業者だ。遠隔読影とは、例えば胸部X線画像のデータを放射線診断専門医のいる施設が受け取り診断を行うことをいう。その需要は増加傾向にある。

そんな大日本印刷とイリモトメディカルが提携することで、AIの活用により画像診断のワークフローが最適化され、診断精度の向上が期待される。具体的には、イリモトメディカルが行っている遠隔読影のワークフローにAIを取り入れ、効果的・効率的な読影支援システムや業務支援システムを開発し導入することとしている。第1弾の取り組みとしては、肺結節を検出するAI診断ソフトを活用し、胸部X線画像の読影による肺がんの早期発見の支援を挙げている。今後は、画像診断できる部位や疾病を増やしてゆくという。

これによりイリモトメディカルは、読影のさらなる高速化、高品質化を目指し、診断精度の向上と、読影医師の業務負担の軽減を図るということだ。

Oracleが電子医療記録会社Cernerを約3.2兆円で買収、ヘルスケアに進出

ホリデーウィークはニュースが少ないなんて誰が言っているんだ?Oracle(オラクル)は、年末の記事執筆に疲れたテック系ジャーナリストのために、米国時間12月20日、いくつかのビッグニュースを提供してくれた。この大手データベース企業は、電子医療記録会社のCernerを、総額283億ドル(約3兆2000億円)で買収すると発表した。

「OracleとCernerは本日、OracleがCernerを1株あたり95ドル(約1万800円)、株式総額にして約283億ドルをすべて現金で支払い、買収することで合意に至ったと、共同で発表しました」と、同社はプレスリリースで述べている。

今回の買収により、Oracleは成長市場であるヘルスケア分野に大きく進出することになる。Synergy Research(シナジー・リサーチ)によれば、Oracleが最近起ち上げたクラウドインフラストラクチャ事業は一桁台に低迷しているというが、Cerner買収はこの事業の強化にもつながるはずだ。

Constellation Research(コンステレーション・リサーチ)のアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏は、買収を繰り返してきたOracleの歴史の中でも、今回は最大の買収になると述べている。

「Oracleにとって、これは賢明な行動です。同社のテクノロジーをヘルスケア分野にさらに深く浸透させ、現在と、そして特に将来の、多くの作業負荷をOracle Cloud(オラクル・クラウド)にもたらすことになります。Oracleが、最大かつ最速で成長している垂直型産業を買収するということは、いうまでもありません」と、ミューラー氏は筆者に語った。

この成長の可能性を、OraclのSafra Catz(サフラ・カッツ)CEOが見逃すはずはない。「当社がその事業を世界の多くの国に拡大していく中で、Cernerは今後何年にもわたって巨大な追加収益成長エンジンとなるでしょう。これはNetSuit(ネットスイート)を買収したときに採用した成長戦略とまったく同じです。違いは、Cernerの収益機会がさらに大きいということです」と、カッツ氏は声明で述べている。

だが、カッツ氏が国際的な事業拡大について語っている間に、Microsoft(マイクロソフト)が2021年4月、Nuance Communications(ニュアンス・コミュニケーションズ )を197億ドル(約2兆2000億円)で買収すると発表し、ヘルスケア分野で同様の取り組みを行っていたことにも注目しておくべきだろう。しかし、この買収は英国の規制当局からの逆風に直面している。年が明けて今回の買収が進むにつれ、同じ様に規制当局の監視にぶつかることになるかどうかは、興味深いところだ。

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Cerner側では、10月に社長兼CEOに就任したばかりのDavid Feinberg(デヴィッド・フェインバーグ)氏が、これを株主にとっての好機と見て掴まえることにした。もちろん、同氏はこの買収を、他の多くのCEOと同じように、独立した会社としては不可能な方法で市場を拡大するための手段と捉えている。

「Oracleのインダストリービジネスユニットに参加することで、電子医療記録(EHR)の近代化、介護者の体験の改善、そしてより接続された高品質で効率的な患者ケアを実現するための、当社の活動を加速させる、これまでにない機会を私たちは得ることができます」と、フェインバーグ氏は声明で述べている。

米国時間12月20日朝、このニュースを受けてOracleの株価は2.68%下落し、一方、Cernerの株価は0.92%とわずかに上昇した。

現時点で今回の発表は、米国証券取引委員会への正式な申請を含む一連のステップの最初の段階に過ぎない。現在の規制環境の中、この買収が順調に進んで最終的に完了するかどうかは、まだわからない。

画像クレジット:Justin Sullivan

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

虫歯治療をサポートする歯科AIソフトOverjet、前回からわずか4カ月で約48億円のシリーズB完了

Overjetの診療情報プラットフォームがX線写真と歯科AIの検出結果を表示している(画像クレジット:Overjet/PR Newswire)

2700万ドル(約31億円)のシリーズAラウンド発表からわずか4カ月後、歯科治療人工知能ソフトウェアを開発するOverjet(オーバージェット)は、既存投資社の支援を受けて4250万ドル(約48億円)のシリーズBラウンドを完了し、さらに前進した。

同社のシリーズA以前、TechCrunchは2020年に同社が785万ドル(約9億円)調達した時に紹介記事を書いた。直近のラウンドをリードしたのはGeneral CatalystとInsight Partnersで、Crosslink CapitalとE14 Fundも参加した。これまでの調達総額は8000万ドル(約91億円)をわずかに下回る。十分な資金を得たことで、Overjetの企業価値は4倍近い4億2500万ドル(約483億円)になった、とOverjetの共同ファウンダーでCEOのWardah Inam(ワーダー・イナム)博士はいう。

「前回のラウンドの評価額は1億1500万ドル(約131億円)ですから、これは非常に大きな伸びです」と彼女は付け加えた。「歯科企業でこの節目を達成したところは多くありません」。

関連記事:歯のレントゲン分析にAIを活用するOverjetが8.5億円調達

ラウンドを終えたばかりのイナム氏は、これは急なシリーズBで予定外のタイミングだったが、投資家からの問い合わせが多かった結果だとTechCrunchに話した。新規の投資家が興味を示したが、同社は既存出資者だけのラウンドにすることに決め、それは将来に向けた条件が満たされたからだった。

ボストン拠点のOverjetが開発した歯科AIソフトウェアは、歯科医がスキャン結果を見て虫歯の特定と進行を判断する手助けをする。同社の製品、Dental Assist(デンタル・アシスト)はFDA(食品医薬品局)の認可を取得している。10月に発表した50カ所の歯科医院からなるNew England Family Dentistry(ニューイングランド・ファミリー・デンティストリー)との提携など、多くの歯科が参加している団体をターゲットにする戦略の同社は、現在自社ソフトウェアを数千か所の施設に導入するのに忙しくしているとイナム氏は語った。

保険に関しては、同社の顧客には主要保険会社16社がいる。シリーズA時点で5000万人のメンバーをカバーし、現在は約7500万人になっている、とイナム氏はいう。

「調達した資金は歯科クリニックへの導入を進めるためです。十分な雇用が達成されたので、これから大量の受注残をこなしていきます」と付け加えた。「1年かかると思っていた節目が、結局数カ月で達成されてしまいました」。

12月にOverjetの従業員は50名になった。2021年初めは20名だった。次の6カ月間で人員を3倍にして、カスタマーサクセス(顧客を成功に導く)とエンジニアリングを強化する予定だとイナム氏はいう。同社はリモート優先の業務形態に切り替えたので、幅広く人材を集められるようになった。新たな資金は新製品開発にも使う計画だ。

今度も同社は、口腔衛生と口腔ケアの改善と技術開発に焦点を当てていく。歯科データをコンピューターで分析することで疾病の進行をより正確に判断し、価値に基づく治療にむけて結果を判断できるようする。このようなテクノロジーは「史上初めて」だとイナム氏は確信している。

歯科業界はテクノロジーの導入が遅いほうだが、過去10年間、伝統的に手作業だった部分を自動化して患者と医師を支援するべく多くのスタートアップが参入した。具体的には、クリアアライナー(透明歯列矯正)とデンタルスキャン、歯科衛生教育などだ。

2021年、X線画像を変換して虫歯を見つけやすくするAdra(アドラ)などの会社が資金調達を完了した。歯科保険のBeam Dental(ビーム・デンタル)もそうだ。

「歯科医院の経営は急速にビジネス的になり、彼らは治療と収益を改善するためにテクノロジーやその他のツールに投資する用意があります」とイナム氏は言った。「この分野で優秀なスタートアップが次々とでき上がっているのはそれが理由です。だれもが口腔衛生の価値を軽視しているからです。そして今、そこにはもっとすばらしいテクノロジーを提供するチャンスがあります」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nob Takahashi / facebook

JNCと山梨大学が世界最速レベルの下水中の新型コロナウイルス磁気分離技術を開発、下水疫学調査に貢献

JNCと山梨大学が世界最速レベルの下水中の新型コロナウイルス磁気分離技術を開発、下水疫学調査に貢献

山梨大学と化学企業大手JNCは12月16日、下水中の新型コロナウイルスを世界最速レベルで分離する技術を開発したことを発表した。これは、JNCのウイルス分離のための特許技術Pegcision(ペグシジョン)法を用いたもので、磁気を使ってウイルスを分離する。

下水中の新型コロナウイルスを定期的にモニターする「下水疫学調査」により、感染流行の早期探知が可能になるのだが、これまで大量の下水から新型コロナウイルスを効率的に分離し濃縮する方法がなかった。だが今回、山梨大学大学院総合研究部附属国際流域環境研究センターの原本英司教授とJNCが開発したウイルス分離技術は、新型コロナウイルスの分離を30分ほどで可能にする。その回収率は、2021年3月30日に公益社団法人日本水環境学会COVID-19タスクフォースより公開された「下水中の新型コロナウイルス遺伝子検出マニュアル」で推奨されているポリエチレングリコール(PEG)沈殿法(処理時間9時間以上)と同等であることが確認された。

Pegcision法は既存のウイルス分離技術と比較して「迅速、簡便、高収率でかつ低コスト」とのこと。また磁石で分離することからスループットが高く、一般的な磁気分離装置で大量検体の処理も可能としている。今後は「早期の新型コロナウイルスの下水疫学調査普及につながるよう」研究を進めるという。

AIを利用して神経疾患の治療薬開発を行うNeuraLight、神経学的評価とケアのデジタル化を目指す

NeuraLight(ニューラライト)は、AIを利用して神経疾患の治療薬の開発を進めるため、550万ドル(約6億3000万円)のシード資金を調達し、ステルスから脱してローンチを果たした。同社はCorus.ai(コーラス・ドット・エーアイ)の共同創業者で元社長のMicha Breakstone(ミカ・ブレイクストーン)氏によって共同設立された。Chorus.aiは2021年初め、5億7500万ドル(約656億円)でZoomInfo(ズームインフォ)に売却されている。ブレークストーン氏は現在、NeuraLightのCEOとして、共同創業者でCTOのEdmund Benami(エドモンド・ベナミ)氏とともに同社を率いている。

このシードラウンドには、MSAD、Kli、Tuesday(チューズデー)、Operator Partners(オペレーター・パートナー)、VSC Ventures(VSCベンチャーズ)が参加した。エンジェル投資家としては、Instacart(インスタカート)のCEOであるFidji Simo(フィジー・シモ)氏、Clover Health(クローバー・ヘルス)のCEOであるVivek Garipalli(ヴィヴェック・ガリパリ)氏、Immunai(イムナイ)のCEOであるNoam Solomon(ノーム・ソロモン)氏などが名を連ねている。

オースティンとテルアビブに本社を置くNeuraLightは、神経学的評価とケアをデジタル化することで、神経疾患に苦しむ人々を支援することを目指している。ブレイクストーン氏とベナミ氏は、Google(グーグル)、Chorus.ai、Viz.ai(ヴィズ・エーアイ)出身の同窓生の他、研究・医薬品業界から人材を採用してきた。

同社のチームは、顕微鏡での眼球運動の測定値を自動的に抽出するプラットフォームを構築した。この測定値は、神経疾患の信頼できるデジタルエンドポイントとして機能する。同社のプラットフォームでは、AIと機械学習を利用して動画から光と動きを取り除き、より正確な動画を得ることができる。

「この高度に拡張された高精度動画から眼の計測値を抽出することで、顕微鏡的な動きから神経疾患の進行を予測することを可能にしました。そして、神経学のためのより良い方法で薬を開発する手段として、製薬会社への販売が実現したのです」とインタビューでブレイクストーン氏は語っている。

このプラットフォームは、最終的には臨床試験を加速し、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、その他の神経変性疾患の将来的な治療の成功確率を高めることを目的としている。

同社のプラットフォームは専用のデバイスを必要としないため、製薬会社はNeuraLightを臨床試験やリモート環境に統合できる、とブレイクストーン氏は説明する。何千人もの患者から匿名化されたデータを収集することで、最大規模かつ独自の匿名化された眼球測定データベースを構築し、AIを適用してデータから洞察を得る。それがNeuraLightの見据える展望である。

画像クレジット:NeuraLight

ブレイクストーン氏の話では、この分野に競合する企業は多くなく、既存企業が提供するものにはカメラのアイトラッカーや瞳孔計などの専用デバイスが必要になるという。これらの企業とNeuraLightの違いについて同氏は言及し、NeuraLightのプラットフォームは、標準的なスマートフォンやウェブカメラの動画さえあれば機能する点を強調した。同社は開発中の技術を保護するための仮特許を申請中である。

NeuraLightは次のように指摘している。世界中で10億人を超える人々が神経疾患に苦しんでいるが、現在の神経学的評価は非常に主観的であり、症状の手動検査に依存するものとなっている。そのため、製薬会社は的確な治療法を開発するための有効なツールを持ち合わせていないのが現状だという。

「過去20年間製薬業界で働いてきましたが、デジタルエンドポイントは神経学の未来であると自信を持っていえます」と語るのは、NeuraLightでチーフイノベーションオフィサーを務めるRivka Kretman(リヴカ・クレティマン)氏だ。「この技術は、製薬会社が神経疾患の薬剤開発を効果的に、そして最終的にはより成功させるために必要としながらも、欠落していた要素でした。これらの会社の薬剤開発パイプラインのための新しい測定基準の確立に、この技術は大きな役割を果たすことになるでしょう」。

550万ドルのシード資金に関してNeuraLightは、製薬会社と提携して新薬開発の成功率を高め、開発コストを削減することを視野に入れている。同社はまた、製薬会社が医薬品を市場に投入するまでの時間を短縮できるよう支援することも目標に据えている。ブレイクストーン氏によると、NeuraLightはイスラエルでパーキンソン病の独自の測定を開始し、現在3つの製薬会社と協働しているという。製薬会社の名前は今のところ明らかにされていない。

「私たちは神経学の完全な変革を実現し、新世代の薬の開発につなげたいと考えています。世界の変革を担うことを実際に意識し、今日の神経学的ケア評価の方法を変える象徴的な会社の構築を支援したいと志す人々の雇用と招致を確実に進めました」とブレイクストーン氏は語っている。

NeuraLightの科学諮問理事会は、イスラエルのRabin Medical Center(ラビン・メディカル・センター)にある運動障害センターの責任者、Ruth Djaldetti(ルース・ジャルデッティ)氏が率いる。さらに、ノーベル賞受賞者のAlvin Roth(アルヴィン・ロス)氏、Flatiron Health(フラットアイアン・ヘルス)の元CTOのGil Shklarski(ジル・シュカルスキー)氏、Pomelo Care(ポメロ・ケア)のCEOであるMarta Bralic Kerns(マルタ・ブラリック・カーンズ)氏が理事会のメンバーとして、同社の科学的ビジョンに関する助言を行う。

画像クレジット:NeuraLight

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(文:Aisha Malik、翻訳:Dragonfly)

新型コロナ「ワクチン接種証明書アプリ」が配信開始、iOS 13.7以上 / Android 8.0以上対象

新型コロナ「ワクチン接種証明書アプリ」が配信開始、iOS 13.7以上 / Android 8.0以上対象

デジタル庁は、新型コロナウイルスのワクチン接種を証明する「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」の配信をiOS / Android向けに本日(12月20日)開始しました。

同アプリでは、日本国内用および海外用の接種証明書を発行&提示可能。発行にはマイナンバーカードが必要となるほか、海外用の発行にはパスポートが追加で必要となります。新型コロナ「ワクチン接種証明書アプリ」が配信開始、iOS 13.7以上 / Android 8.0以上対象

接種証明書はアプリを起動すればいつでも表示可能。証明書は二次元コードのほか、氏名・生年月日・接種記録(ワクチンの種類、接種年月日、ロット番号など)などが記載されます。加えて、海外用ではパスポートの国籍や旅券番号が記載されます。新型コロナ「ワクチン接種証明書アプリ」が配信開始、iOS 13.7以上 / Android 8.0以上対象

ダウンロードURLは下記の通りです。

iOS版(App Store)
Android版(Google Play)

(Source:デジタル庁Engadget日本版より転載)

曲がった笑顔を矯正、3Dプリントされたカスタムメイドの歯列矯正用ブラケットを提供するLightForce Orthodontics

歯並びは人それぞれ異なることから、従来の歯科矯正学は芸術性と医学的な魔術性を兼ね備えるものだった。1990年代後半、インビザラインはカスタマイズ可能なアライナーで業界を一変させたが、結局アライナーは歯科矯正患者の30%にしか対応していないことがわかった。それ以外の患者には、あまり革新的な技術はなかったーだがLightForceが登場し、状況を一変させた。LightForce Orthodonticsは「あなたにフィットするカスタムサイズ」という洒落たスローガンを掲げ、3Dプリントされたカスタムメイドの歯列矯正用ブラケットと装着トレーを製作している。カスタマイズの程度が大きければ大きいほど良い。患者にとっては治療期間が短縮され、矯正医にとっては1000分の1mm単位の精度の矯正治療計画を提案できるようになるからだ。

LightForce Orthodonticsは、過去1年間で収益が500%、チームが300%成長するなど高度な成長を遂げた。これには投資家も注目しており、特にある投資企業は、この会社に食いつき、資金調達に参入したがった。その名もKleiner Perkinsで、同社は25年前に歯科矯正ビジネスに参入し、インビザラインへの投資で巨額の資金を得た。同社は今回のチャンスにも参加しており、今回のシリーズCラウンドでは、Matrix Partners、Tyche Partners、AM Venturesなどの過去の投資企業の参加を得て、LightForceに5000万ドル(約56億7300万円)を投入した。

LightForceのCEO・共同設立者であり、今でも矯正歯科医として月に4日診療しているAlfred Griffin III(アルフレッド・グリフィンIII)博士(DMD、PhD、MMSc)はこう説明する。「当社でいつも話していることは、すべての決定において患者さんを第一に考えるということです。私たちが行うすべてのことは、常に『患者さんにとって最善かどうか』という観点で考えられています。全員参加のミーティングでさえも患者さんから始まり、どうやって誰かを助けたのかを考えます。私たちが開拓している市場は、米国の全症例の75%を占める10代・思春期の市場です。思春期の心理を考えてみてください。子どもたちは自己意識を形成する時期です。矯正歯科医として個人的に見てきた中で、母親があれやこれやのせいで『うちの子がいじめられているんです』といってくるケースをどれだけ見てきたかわかりません。LightForceを使えば、そのような患者さんをより早く治療することができ、診療回数や学校を休まなければならない期間を減らすことができます。テクノロジーを活用することで、より良い結果を得ることができるのです」。

同社はちょうど1年前に1400万ドル(約15億8800万円)のシリーズBラウンドを実施したばかりで、さらなる資金を求めていたわけではなかった。しかしKleiner Perkinsからの連絡を受け、LightForceはその声に応え、資金調達の可能性があるかどうかを探ることにしたのだ。

LightForceのカスタムブラケット(左)は、歯に合った形状であることに加えて、サブミリ単位の精度で配置・整列できる。右は従来のブラケット(右)(画像クレジット:LightForce Orthodontics)

グリフィンによると「当社は、計画していたよりも少し早く資金調達を行いました。過去に当社を知った非常に有名なベンチャーキャピタルが見守ってくれていましたが、彼らと取引するのは私たちには少し早すぎました。Kleiner Perkinsは、ぜひ一緒に仕事をしてみたいと常に思っていた会社の1つです。特にWen Hsieh(ウェン・シェー)氏は、3Dプリンティングやハードテクノロジーに精通しており、ハードテック分野の優れた案件を数多く手がけています。Kleiner Perkinsは、歯科矯正分野で大きな実績を残している唯一のベンチャーキャピタルグループでもあります。20年前のことですが、Align Technologyは歯科矯正を良い方向に変えたと思います。Align Technologyでは2つの価値が生まれました。1つは審美的なメリットで、これにより成人層の需要が高まりました。2つ目は、彼らが行っていることのデジタル性です」。

「このようなイノベーションの多くは、業界の人間ではない人から生まれます」と、今回の投資を主導したKleiner Perkinsのパートナー、シェー氏はいう。「アルフレッドは自分自身が歯科矯正医であり、それが世界を変えることになりました。アルフレッド自身が歯科医であるため、ワークフローのどこに導入すればいいのかをすでにわかっているのです。通常のワークフローのどの部分が不要になるのか、どの部分が強化されるのか、時間配分をどうするのか、歯科技工士にどのような影響を与えるのか、クリニックの面積にどのような影響を与えるのか、患者さんの来院頻度にどのような影響を与えるのか、などなど。一方でアルフレッドは、シミュレーションや3Dプリントなど、他の分野の知識も取り入れています」。

なぜインビザラインだけを使って矯正を終わらせることができないのかと頭を悩ませている人がいるかもしれない。私も非常に似たような疑問を持っていた。分かったのは、アライナーは押すだけで、引っ張ることはできないということだ。歯を引っ張って他の歯と並べるのは、歯科矯正が得意とするところだが、アライナーにはそれができない。もう1つはコンプライアンスの問題だ。アライナーは1日22時間装着しなければなりませんが、人間にとってはこれは苦手なことだ。グリフィンは次のように指摘する。「母親は、治療が遅々として進まない場合、子どもを怒ることはありません。親子して、歯科矯正医を責めるでしょう」。

LightForceのブラケットやトレーは3Dプリントされる。これにより、矯正医はブラケットを歯の上の必要な位置に正確に装着することができる。新しいブラケットは半透明であるため、歯と同じ色に見え、目立ちにくくなっている(画像クレジット:LightForce Orthodontics)

この投資は、歯のある人にとって朗報だが、3Dプリントファンにとっても朗報だ。歯科矯正は、3Dプリント技術の世界最大の商用ユーザーの1つであり、現在、インビザラインは世界最大の3Dプリント企業だ。LightForceが膨大な数のプリンタを自ら購入できるだけの資金力を手にした今、この傾向は変わらないだろう。

今回の5000万ドル(約56億7300万円)の資金投入により、歯科矯正のための戦いが本格的に始まる。この新しい資金は、LightForceの運営と市場開拓のために使用される。当社は米国内の多くの歯科矯正医院が、アライナー治療のデジタルな利点と、歯列矯正の歯を動かす効率と質を組み合わせることができるように取り組んでいく予定だ。これはワクワクするが、複雑な過程になるだろう。ハイブリッドのセラミック矯正装置を顧客ごとにカスタムプリントする事業を拡大することは、論理的にも運営的にも非常に困難だ。

「規模拡大やマスカスタマイゼーションは、理論的には語られることはあっても、実際に取り組んだことのある人はほとんどいない、非常にユニークな問題です」とグリフィンは認める。「今、当社には約200人の社員がいますが、来年にはおそらく倍になるでしょう。営業とエンジニアリングが最大の経費となるでしょうが、人員の面では、物理的な製造とデジタル製造の両方において、製造技術者を一番に増やす必要があります」。

画像クレジット:LightForce Orthodontics

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行う九州大学発KAICOが2.6億円調達

カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行うKAICOが2.6億円のシリーズA調達

カイコを利用したタンパク質の受託発現や、試薬、診断薬、医薬品原料の製造販売を行う九州大学発スタートアップKAICO(カイコ)は12月15日、第三者割当増資による2億6000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合、双日、東京センチュリー、ユーグレナ。これは2020年5月25日に公表したシリーズAの追加ラウンドにあたり、シリーズA累計調達額は5億2000万円となった。

KAICOは、2020年から新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を生産し、2021年9月からは、このタンパク質を利用した新型コロナウイルスの抗体測定サービスも開始している。また2021年4月には、KAICOは、開発したワクチン抗原タンパク質が経口接種によるワクチン効果があることを確認し、特許を申請している。ワクチンの原料となるタンパク質は、通常は経口接種するとアミノ酸に分解され免疫の獲得は困難となるが、一部のカイコ由来タンパク質は経口接種でも注射と同じように免疫を持つことが確認された。

経口接種ワクチンが実現すれば、医療機関で注射を受ける必要がなく、誰もがドラッグストアで購入して飲むことができる。また常温で保存が可能なため、世界中どこへでも運ぶことができる。家畜にも、1頭ずつ獣医師が注射をすることなく、餌に混ぜて接種できるなどのメリットが大きい。

カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行う九州大学発KAICOが2.6億円調達

KAICOのコア技術は、「カイコ・バキュロウイルス発現法」と呼ばれるもの。バキュロウイルスは、昆虫を宿主とするウイルスで、異種遺伝子を発現させるために使われている。目的のタンパク質の遺伝子をカイコに挿入すると、カイコの体内でそのタンパク質が作られる。医薬品やワクチンを量産したければ、カイコの数を増やすだけでよい。即座にスケールアップが可能ということだ。また、複数の薬を同時並行して開発することもできる。

今回の資金調達で、KAICOは経口ワクチンの実現を目指して、ヒト用(新型コロナウイルス、ノロウイルスなど)と動物用の開発を進めるとしている。経口ワクチンの前段階として、カイコを使ったサプリの開発、販売も予定しているとのことだ。

山口大学が温泉の入浴効果をカピバラで証明!? 肌荒れ改善や保温、リラクゼーション効果を検証

山口大学が温泉の入浴効果をカピバラで証明!?肌荒れ効果や保温効果、リラクゼーション効果を検証

温泉入浴後前後のカピバラの表情・行動比較。Aはカピバラのくつろぎ状態(リラクゼーション効果)をスコア化したもの。目と耳の状態で評価。Bは目の評価。入浴後にリラクゼーション効果が増している。Cは耳の評価。入浴後にリラクゼーション効果が増す傾向にある

山口大学は12月14日、美肌の湯として1200年の歴史を誇る湯田温泉の効能を、カピバラを使った動物実験で初めて実証したと発表した。今回、科学的に解明された温泉の効果は、ヒトにも適用できるとのことで、健康の維持と増進、長寿社会への貢献が期待されるという。

本来、南米のアマゾン川流域に暮らすカピバラは高温多湿の環境を好むため、寒い日本では温泉浴をする愛らしい姿が知られているが、実際、冬季には乾燥による肌荒れが認められている。そこで、山口大学大学院共同獣医学研究科実験動物学の井中賢吾氏と担当教授の木村透氏は、「白狐が見つけた美肌の湯」とのいわれがある山口県の湯田温泉で、カピバラを使って皮膚への効果を調べた。同時に、保温とリラクゼーションといった温泉の効果とされながらも科学的裏付けの乏しかったものの検証も行っている。

その結果、入浴21日後にカピバラの肌荒れは正常な状態に回復した。皮膚性状を表す指標も、水分量が増加し、pHは弱アルカリ性に留まった。色素沈着を数値化するメラニン値は下がり、血行状態を示す紅斑値は上がり、「美肌効果を数値で捉えることができた」とのこと。

温泉入浴でもたらされるリラクゼーション効果は、カピバラの表情と行動でスコア化した。特にまぶたの状態と耳の位置から、リラックスする様子が見てとれた。

保温効果においては、入浴後30分間の頭・体幹・四肢末端の保温状態を調べた。冷えた3部位は入浴によって温まり、その後の計測時間中の体温の低下は抑えられた。これで、温泉は湯冷めしにくいという言い伝えも実証されたことになる。

山口大学が温泉の入浴効果をカピバラで証明!?肌荒れ効果や保温効果、リラクゼーション効果を検証

ここでわかった効果はヒトにも適用できるため、健康の維持増進に貢献できる可能性がある。また、解明された効果を活用した山口県湯田温泉地区の地域観光産業との連携や、健康増進計画への展開も期待されるとのことだ。

なお、謝辞に「地元の山口市内湯田温泉配給協同組合および湯田温泉旅館協同組合の協力並びに秋吉台サファリランドの支援に深く感謝する」と記されている。

業務用フィットネス「OxeFit」が約68万円の筋力トレシステムで好景気に沸く家庭用市場に参入

OxeFit(オックスフィット)は2021年、堅調な1250万ドル(約14億2000万円)のシリーズAラウンドと「筋力トレーニングに高度なロボティクスと人工知能を持ち込む」という漠然とした計画とともにデビューした。4月、それはXP1の登場とともに具現化している。43インチタッチスクリーンを備え、最大500ポンド(約226.8kg)の筋力トレーニングが可能な業務用ジム / リハビリ / スポーツシステムだ。

さらに同社は、好景気に沸くホームフィットネスの世界に、XS1をひっさげて乗り込んだ。業務用を縮小した家庭用バージョンで、人気のホーム筋力トレーニングシステムであるTonal(トーナル)やTempo(テンポ)などに対抗するシステムだ。

XS1システムは32インチのタッチスクリーンを備え、250ポンド(約113.4 kg)までの広範囲な筋力トレーニング・エクササイズを行える。さまざまなアドオンアクセサリーを付加することで、標準筋力トレーニング、ローイング、ピラティスなど数多くのワークアウトが利用できる他、同社のAI / ロボティクスへの取り組みは、数多くのホームフィットネスプラットフォームと一線を画しているとOxeFitは強調した。

画像クレジット:OxeFit

「XS1は専門トレーニング施設で提供されているものと同じレベルのオールボディクロスファンクショナルワークアウトを提供する唯一のホームフィットネスシステムです。ロボティクスと人工知能を利用したパーソナルな計画とコーチングによって、あなただけの筋力強化プログラムを実施します」と共同ファウンダーでCEOのMohammed Shnableh(ムハンマド・シュナブレー)氏はリリースで語った。

過去数年間で激化した競争に加えて、同社は多くの地区でジムが再開したことによる業界全体の売上低下とも戦わなくてはならない。ちなみに、Peloton(ペロトン)Tempo(テンポ)が最近、500ドル(約5万7000円)以下のエントリー製品を発表しているのに対して、OxeFitのシステムは5999ドル(約68万2000円)からで、これに月額40ドル(約4500円)のソフトウェアサブスクリプションが加わる。これは他のタッチスクリーンベースのホームフィットネスブランドより2000~3000ドル(約22万7000〜34万1000円)高い価格だ。

関連記事:Pelotonがコネクテッド筋力トレーニングシステム「Peloton Guide」を発表、約5万6000円

同社は、プロアスリートを中心としたマーケティングに力を入れており、NFLのDak Prescott(ダック・プレスコット)やMLBのMatt Kemp(マット・ケンプ)の名前を挙げてシステムを宣伝している。

画像クレジット:Oxefit

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

情報通信研究機構が生活環境における携帯電話基地局からの電波曝露レベルを大規模測定、上昇傾向ながら低いレベルと判明

情報通信研究機構が生活環境における携帯電話基地局からの電波曝露レベルを大規模測定、上昇傾向ながら低いレベルと判明

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、この10年間の市街地・郊外・地下街の携帯電話基地局などからの電波強度を調査し、その変動傾向を明らかにした。約10年前と比較したところ、同一地域における電波曝露レベルは上昇傾向にあるが、国が定めた電波防護指針よりも十分に低いレベルであることがわかった。

日本では、携帯電話や無線LANなどの電波は、電波防護指針に基づいて人体に悪影響がない範囲で利用されているが、目に見えない電波への健康不安は残る。そこでNICTでは、2019年度に生活環境における電波曝露レベルの大規模な想定を開始した。市街地・郊外・地下街の500以上の地点で定点測定しているほか、携帯型測定器や測定器搭載自動車などを使った広域測定も組み合わせている。電波曝露レベルの情報を広く共有することが狙いだ。

NICTは、500箇所以上に接地した測定装置「電界プローブ」からのデータを統計処理し、地域の差異や過去の測定結果から変動などを解析した。地域別では、市街地が郊外よりも電波曝露レベルが高く(4倍程度)、この傾向は約10年間変わっていない。地下街は、郊外よりもやや高い結果となった。また市街地と郊外では、10年前と比べて電波曝露レベルは約3倍に上昇しており、地下街においては約100倍も上昇していた。これは、10年前は未整備だった地下街での携帯電話サービスが改善されたためだとNICTでは考えている。

電波曝露レベルの地域ごとのカラーマップ

情報通信研究機構が生活環境における携帯電話基地局からの電波曝露レベルを大規模測定、上昇傾向ながら低いレベルと判明

市街地・郊外・地下街の電波ばく露レベルの統計分布

全体に上昇しているとはいえ、電波防護指針からは、中央値で1万分の1以下と十分に低いレベルであった。またこのレベルは、海外の最近の測定結果と比較しても15分の1と低かった。

この調査結果は5Gサービスが始まる前のものであるため、これから5Gが本格的に普及するようになったときに電波曝露レベルがどう変化するかを知るための参照データになるという。今後は、少なくとも2040年までは測定を継続し、結果を公表するとしている。

情報通信研究機構が生活環境における携帯電話基地局からの電波曝露レベルを大規模測定、上昇傾向ながら低いレベルと判明

市街地・郊外・地下街における電波防護指針値と電波ばく露レベルの比

医療情報提供サービス「ユビーAI受信相談」、新型コロナ関連症状に対応可能な都内約2000件の発熱外来が検索可能に

医療情報提供サービス「ユビーAI受信相談」、新型コロナ関連症状に対応可能な都内約2000件の発熱外来が検索可能に

「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションとするヘルステック領域スタートアップUbie(ユビー)は12月8日、気になる症状から参考病名と適切な受診先が調べられるサービス「ユビーAI受診相談」で、発熱外来のある東京都内約2000件の医療機関を検索できる機能の提供を開始した。

東京都に住む人が、新型コロナウイルス感染症関連の症状に対応する、いわゆる「発熱外来」にかかるには、都の発熱相談センターに電話をして対応可能な医療機関を調べてもらう必要がある。しかし感染が急拡大した第5波においては、電話がなかなかつながらない状態が続いてしまった。そこで都では、2021年9月から、発熱外来のある医療機関をホームページで公開。これを受けて、Ubieと東京都医師会は、「ユビーAI受診相談」で、より便利に都内の発熱外来が調べられる「発熱外来検索機能」を提供することにした。

ユビーAI受診相談では、体調に関する20問ほどの質問に回答すると、その症状に関連する参考病名と、それを診てくれる近くの医療機関が示される。発熱外来検索機能では、地域は東京都内に限定されるものの、「熱がある」「喉が痛い」「咳が出る」「味覚がおかしい」といった新型コロナウイルス感染症に関連する症状を回答すると、発熱外来のある最寄りの医療機関が示される。

このサービスは、東京都が公表した発熱外来医療機関のデータを活用したもの。ユビー受診相談の新機能とすることで検索性を高めている。新型コロナウイルス感染症関連症状のある人が、最寄りの発熱外来を速やかに受診できるようにして、「重症化と感染拡大の防止につなげること」を目指すとUbieは話している。

米アマゾンが月額約2200円の家族向け高齢者介護サブスク「Alexa Together」を提供開始

Amazonは米国時間12月7日、まだ自立した生活をしているものの、さらなるサポートを必要とする高齢者を介護する家族を対象としたサブスクリプションサービスAlexa Togetherの正式な開始を発表した。この機能は、同社の2021年秋のイベントで初めて紹介されたもので、Amazonの既存製品Alexa Care Hubを拡張し、月額19.99ドル(約2200円)または年額199ドル(約2万2000円)のサブスクリプションサービスとしてパッケージ化したものだ。

関連記事:アマゾンが高齢者介護のサブスクサービス「Alexa Together」を開始

Alexa Care Hubは、家庭内のAlexaデバイスを高齢の家族を介護するためのツールにするという、同社の最初の試みだった。そのサービスには、家族が年老いた両親やその他の大切な人を(本人の許可を得て)見守り、例えば家族が助けを求めた場合などに、特定の行動に反応するような機能が含まれていた。

Alexa Togetherは、Care Hubの機能を拡張したもので、緊急時のヘルプラインへのアクセス、転倒検知対応機能、家族が高齢者のデバイスの設定を管理できるリモートアシストオプション、愛する人がAlexaや他のスマートホームデバイスを使っているときに通知したり、普段の活動が滞っているときに通知したりすることができる家族向けのアクティビティフィードなどを備えている。

これらの機能は、有効にするには、双方が一緒にサインアッププロセスを完了する必要があるオプトイン・コンセント型の環境で使用されるように設計されている。

一度設定すれば、高齢者の方が緊急時の助けが必要な時に「Alexa、助けを呼んで」と声をかけることができる。すると訓練を受けたエージェントが、警察や消防、救急車などを、他のホームセキュリティシステムと同じように、その場所に派遣することができる。しかし、Alexa Togetherシステムは、カスタマーが緊急支援を必要としているかどうかを検知するために、Assistive Technology Service(アシスタント・テクノロジー・サービス)やVayyar(ヴァイヤ)のサードパーティ製デバイスと連携することができる。

Vayyar Care(ヴァイヤ・ケア)は、転倒を検知することができる壁に取りつけるセンサーで、ATSのSkyAngelCare(スカイ・エンジェル・ケア)は、高齢のカスタマーが首から下げる転倒検知ペンダントだ。SkyAngelCareはペンダントのボタンを押すと検知できるように、どちらも転倒を検知する。Amazonによると、Alexa Togetherには今後さらに多くのデバイスメーカーが追加される予定だ。

リモートアシスト機能は、家族が高齢者のデヴァイスのさまざまな設定を管理できる機能だ。これには、リマインダーの設定、電話やメッセージの連絡先の追加、買い物リストの追加とチェック、音楽サービスのリンクなどが含まれる。これにより、高齢者の方がAmazonに助けを求める電話をしなくても、家族がITのサポートを行うことができる。

画像クレジット:Amazon

アクティビティフィードは、高齢の家族が1日を過ごし、Alexaやその他の接続されたスマートホームデバイスと初めて対話したことを知らせるために、家族にアラートを送信する。これは、家族が定期的にAlexaと関わることを前提としているため、家族が問題なく過ごしているかどうかを知るための代理として機能するという点では、不完全なシステムだ。しかし、何のアクティビティもない場合にアラートが送信されることは、家族が愛する人に連絡を取り、問題がないかどうかを確認することを思い出させることができる。

このサブスクリプションサービスは、このソリューションが適しているかどうかを判断するために、6カ月間の無料トライアルを提供している。また、Alexa Care Hubの既存顧客は、本日から2022年12月7日まで、Alexa Togetherを1年間無料で利用できるようになる。

将来的には、Alexa Togetherが家族や友人、さらには隣人など複数の介護者をサポートする機能などを展開していくと、Amazonは述べている。

Amazonは、Alexaを使った高齢者や病弱な人々の介護への投資を増やしている。Care HubやAlexa Togetherに加えて、2021年の秋には、Atria(アトリア)やEskaton(エスカトン)のリビングセンターや、Cedars-Sinai(シダーズサイナイ)、BayCare(ベイケア)、Houston Methodist(ヒューストン・メソジスト)などの病院にAlexaを導入することを発表した。また、K4Connect(K4コネクト)、Lifeline Senior Living(ライフライン・シニア・リビング)、Aiva(アイヴァ)、Vocera(ヴォケラ)など、高齢者介護市場に特化したソリューションを開発できるAlexa Smart Properties(アレクサ・スマート・プロパティ)のツールやAPIを活用できるパートナーと協力していくとしています。これらのソリューションを実現するために、AmazonはAlexaの医療スキルをHIPAA(医療保険の携行性と責任に関する法律)に準拠させることに取り組み、その他のHIPAA規制をナビゲートするヘルスケアチームを構築した。

関連記事:アマゾンがAlexaを病院や高齢者施設に導入、Alexaで家族の呼び出しやニュースの確認などが可能に

しかし、これらの既存の高齢者ケアソリューションの多くは、企業間取引(B2B)での販売を想定しているが、Alexa Care Hubと今回のAlexa Togetherのサービスは、消費者市場を対象としたサブスクリプション型のサービスとなっている。

Alexa Togetherは、Echo、Echo Dot、Echo Showなどの対応するAlexaデバイスで動作し、アドオンサービスまたはデバイスバンドルのいずれかで利用できる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

ユニ・チャームが新たに展開する「大人用おむつカウンセリング」がBodygramのAI身体計測技術を採用

ユニ・チャームが新たに展開する「大人用おむつカウンセリング」がBodygramのAI身体計測技術採用、体に合う紙おむつ選びを支援AI身体計測テクノロジーを提供するBodygram Japan(ボディグラム・ジャパン)は12月7日、ユニ・チャームが新たに展開する「大人用おむつカウンセリング」に同社技術が採用されたことを発表した。これが、Bodygram Japanの初めての介護領域への参入となる。

Bodygram JapanのAI身体計測テクノロジーは、年齢・身長・体重・性別を入力し、服を着たままスマートフォンで体の正面と側面の計2枚の写真を撮ると、その人のボディーラインを自動的に検出し胸囲・肩幅・手足の長さなど全身24カ所の推定計測ができるというシステム。これまでに、アパレル、ライフスタイル、ヘルスケア領域に採用されている。

ユニ・チャームは、大人用おむつの需要が増す一方で、選んだ紙おむつが体に合わないという悩みの声を多く聞いてきた。紙おむつは、少しでも大きすぎると漏れが生じ、小さすぎると皮膚を圧迫してしまうため、慎重にサイズを選ぶ必要がある。そこでユニ・チャームは、2018年にチャットボットを使った「大人用おむつNAVI」を開設し、24時間体制で相談の受け付けを開始した。すると4年間で相談件数は4倍にも増えたという。ユニ・チャームが新たに展開する「大人用おむつカウンセリング」がBodygramのAI身体計測技術採用、体に合う紙おむつ選びを支援

そこでわかったのは、大人用おむつを買いに店に来た人の約9割が着用する本人ではなく介護者であり、使用者に相談せずに、普段の洋服や下着のサイズを参考に紙おむつを選んでいるということだった。その結果、体に合わない紙おむつを着用している要介護者が約4割にも上っている。厚生労働省「令和3年度介護保険事業状況報告 月報(暫定版)」によると、2021年9月末の第1号被保険者数は3587万人、要介護(要支援)認定者数は688万人にもなる。

Bodygram JapanのAI身体計測は、ユニ・チャームLINE公式アカウントのチャットトーク機能内にある「最適サイズ診断」で利用できる。スマートフォンで体の写真を2点撮影し、身長・体重・性別・年齢を入力すると、おむつサイズの診断に必要な太もも・ウエスト・ヒップのサイズが自動計測される。これにより、体にぴったり合った紙おむつ選びを支援するとのことだ。

このサービスに対応する商品は以下のとおり。

チャームナップ 吸水さらフィアクティブショーツ
ライフリー スッキリスタイルパンツ(TM)
チャームナップ 吸水さらフィシリーズ
ライフリー さわやかパッド女性用シリーズ
ライフリー さわやかパッド男性用シリーズ
ライフリー 下着の感覚 超うす型パンツ
ライフリー その瞬間も安心
ライフリー さわやかパッド男性用 一気に出るときも安心用
ライフリー うす型軽快パンツ
ライフリー 長時間あんしん うす型パンツ
ライフリー リハビリパンツ
ライフリー ズレずに安心 紙パンツ用尿とりパッドシリーズ