トレッタキャッツ「Toletta」とNEC「waneco talk」が連携、ねこの排泄状況をLINEで飼い主にメッセージ

トレッタキャッツ「Toletta」とNEC「waneco talk」が連携、ねこの排泄状況をLINEで飼い主にメッセージトレッタキャッツは12月7日、ねこヘルスチェックサービス「Toletta」(トレッタ)と、NECの「waneco talk」(ワネコ トーク)を連携させ、ねこがTolettaで排泄するとそのデータをLINEで飼い主に送るサービスを発表した。2022年1月から提供開始する。

Tolettaは、ねこがスマートトイレ(Tolettaトイレ)に入ると、体重・尿量・尿回数・トイレ入室回数・滞在時間・経過時間の6つのデータが自動計測されるサービス。データは24時間スマートフォンで確認でき、体重や尿の量の変化もわかるため、ねこの体調変化に気づくきっかけとなる。AIねこ顔認証カメラが搭載されているので、多頭飼いをしてても、それぞれのねこが識別される。

waneco talkは、留守番をしている犬やねこの状況を、遠隔地からLINEのトーク形式で把握できるというサービス。ペット用IoT機器から取得したデータをNECの最先端AI技術群「NEC the WISE」で分析して、公式アカウントからペットが話しているようなLINEメッセージを飼い主に送付する。

この2つのサービスが連携することで、たとえばねこがTolettaで排泄をすると、飼い主に「トイレしたにゃ〜!」や「用を足したとこ……」といったメッセージと写真が届くようになる。「まるでねこちゃんと会話しているかのように、楽しく健康管理ができる」とのことだ。さらに、Tolettaから取得した排泄データをNECのAI技術により分析し、飼い主がねこの「いつもと違う変化」により早く気づけるような通知機能の追加も予定している。

waneco talkは12月19日まで、応援購入サイト「Makuake」で応援購入できる。応援購入を行うと、現在Tolettaを利用あるいは利用を検討している場合は、2022年1月から「waneco talk(Tolettaオプション)」が利用できるようになる。

また現在、Tolettaとwaneco talkの連携を記念して、ねこの排泄通知の大切さと楽しさを知ってもらうための「第2回 #ねこが入りました選手権」が開催されている。これは、Tolettaに入ったねこの写真コンテスト。Tolettaの「ねこ入室通知」画面の写真に「#ねこが入りました選手権」と「#wanecotalk」という2つのハッシュタグを添えてTwitterで応募する。募集期間は12月7日から12月19日。

ソーシャルアプリのIRLが最初の買収としてデジタル栄養の企業AeBeZe Labsと契約

SoftBank(ソフトバンク)が投資しているソーシャルアプリで、最近ユニコーンになったIRLが、最初の買収を行った。同社が価額非公開で進めている買収の相手は「デジタル栄養」企業のAeBeZe Labsで、そのIPポートフォリオには、IRLをより健康的で倫理的に設計されたソーシャルネットワーキングアプリにする、という目標が書かれている。

AeBeZeの共同創業者は元eBayの「グローバル・チーフ・キュレーター」Michael Phillips Moskowitz氏と、元MediumのプロダクトリードBrad Artizinegaで、彼らはAeBeZeのチームのそのほかのメンバーと共にIRLに加わり、同社の発見システムやそのほかの機能を作っていく。

IRLは、Facebookをあまり利用しない25歳未満の若者が主なユーザーで、ソーシャル化されたカレンダーとグループメッセージングとイベントを合わせたようなアプリだ。最初は、リアルの世界のイベントを見つけることが主な用途だったが、パンデミックの渦中にはフォーカスがバーチャルイベントに移った。そして今日ではその両方を提供し、グループチャットやユーザープロフィール、グループカレンダー、クロスプラットホームのサポートなどの機能もある、本格的なソーシャルネットワーキングアプリに育った。

この買収の前までは、IRLの収益化路線には広告が含まれず、広告は健康的なソーシャルアプリの構築を阻害する、と見なされていた。収益を広告に頼ると、そのアプリで過ごす時間を増やすために、ユーザーがのめり込むような体験を設計しなければならない。しかしIRLが狙ったのは、ユーザーを彼らの関心対象に接続することによる収益化だ。何らかのコミュニティの有料サブスク、イベントのチケットの購入などがその例で、IRLは彼らが得た売上の一部をいただく。

今度AeBeZeを買収したことによって、その技術により、ユーザーが関心を持つイベントやコミュニティの推薦(リコメンデーション)がもっとスマートになる可能性がある。またそれと同時に、なぜこんな推薦をもらったのか、その理由がもっと透明になる。今日のソーシャルネットワークではつねに、なんでこんなもんが来たんか分からん、というコンテンツがフィードに紛れ込むので、IRLのこのやり方は他と一線を画すものだ。


画像クレジット: AeBeZe Labs/IRL

AeBeZe Labsは、IPのポートフォリオを作っており、その中には消費者や米軍の将兵、エンタープライズのパートナーなどを対象とするソリューションがある。たとえば気分を追跡する消費者アプリMoodriseや、空軍用のモバイルツールDaybreak、YouTubeのコンテンツを分析するMoodTubeなどだ。出願している特許は16あり、特許が下りたのは3つ、審査中が13だ。そして同社の特殊な用語である「Digital Nutrition」(デジタル栄養)は、同社の登録商標だ。

その作品の多くは、ユーザーの「デジタル栄養」(主にネット上の視聴や参加体験)が脳心理学に及ぼす影響を、理解し自覚することの学習に関連している。そして、その学習で得た知識は、問題のあるインターネット利用やそのほかの危険な行為に導く習慣の防止に役立つ。


画像クレジット: AeBeZe Labs/IRL

これは、現代のソーシャルネットワークが、ユーザーの依存性/中毒性の心理をベースとして構築されていることと対照的だ。たとえばプルしてリフレッシュするジェスチャーや、新しいコンテンツを配布するアクションは、脳神経回路中に中毒性のドーパミンを放出する。あなたもきっとご存知のドキュメンタリー「The Social Dilemma」は、大手テクノロジー企業がプロダクトを、ユーザーを操作するために設計している、そのやり方を詳しく紹介している。

IRLがとくに関心を寄せているのが、AeBeZeのDaybreakだ。このモバイルカレンダーは終始、ユーザーの気分を追跡する。また、ユーザーの気分を高揚させるコンテンツを紹介し、それらを見る時間帯を一日の中に設定する。


画像クレジット: AeBeZe Labs/IRLのDaybreak

IRLの創業者でCEOのAbraham Shafi氏は次のように説明する。「私たちはインターネットに親密さを持ち込みたいし、基本的に、先人たちから学びたい。今は、ソーシャルメディアがドーパミンやセロトニンの放出について知っていることを利用して、さまざまな習慣や習慣的パターンを、私たちにとって不健康なものの周辺に作り出している。私たちは、それに手を染めないことに極めて関心があるが、しかし実際には、彼らとは反対に、健康的な習慣を作るものを提供している。自分一人で有意義な習慣を作るのではなく、友だちと一緒に作れるように」。

Shafi氏によると、IRLはDaybreakの技術を統合する計画だ。そうなると、ユーザーがアプリを立ち上げたとき、その日その時の自分の気分にマッチしたコンテンツに出会うだろう。Daybreakのユーザーがしているように、アプリを立ち上げたとき質問に答えて自分の気分を報告する機能になるかもしれない。

「それが正しく機能するためには、ダイレクトなインプットが不可欠だ。そのことを前提してアプリを作っていくだろう。そうすると、ユーザーと、彼/彼女が受け取るコンテンツとの間に明快な理解があるようになる」、とShafi氏は言っている。

AeBeZeの技術を統合したIRLの最初のバージョンは、来年前半に出す予定だ。AeBeZe Labsは現時点で創業わずか2年あまりの企業で、これまでに100万ドル強の資金を調達している。

訂正: 最初のAaBeZeは間違いでした。正しくはAeBeZeです。

(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: IRL

[原文へ]

AI・IoTを活用した在宅介護プラットフォームのウェルモが20.4億円のシリーズC調達、東京海上・凸版印刷との資本業務提携も

AIやIoTを活用した福祉プラットフォームサービスを提供するウェルモは11月30日、第三者割当増資による20億4000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先はDGベンチャーズ(デジタルガレージグループ)、Aflac、Ventures LLC、東京大学協創プラットフォーム開発(東京IPC)、東京海上日動火災保険など12社。累計資金調達額は41億2000万円となった。調達した資金と業務提携により事業展開を強化・加速する。さらに今冬から来春にかけて、エクステンションラウンドも予定している。

また同社は、東京海上ホールディングスや凸版印刷との資本業務提携の締結も明らかにした。ウェルモが保有する在宅介護ビッグデータ×AIのノウハウや在宅介護プラットフォームと、各社が保有する技術・製品等をかけ合わせることで、新たなサービス開発・ビジネスモデルを構築する。

東京海上ホールディングスとの業務提携では、介護領域における社会課題の解決に向けて、両社が保有するテクノロジーおよびネットワークを連携させることにより、介護現場のDX化の促進と新たなソリューション、サービス開発・展開を進めるためとのこと。

凸版印刷との業務提携では、ウェルモが保有する介護データと、医療機関などが保有する医療データとを、凸版印刷の資本業務提携先ICIが次世代医療基盤法に基づいて突合・匿名加工し、医療・介護の匿名加工統合DBを構築する。今後の国内市場の重要性が予測される「医療」×「介護」に関する匿名加工統合データベースの構築を検討するという。

さらに、凸版印刷が提供するセンシングデバイスサービスと、ウェルモのケアマネジメントDX事業におけるデータ・ノウハウを掛け合わせたヘルスケアレポートシステムの構築を行う。凸版印刷の同サービスと、ウェルモが保有する「ミルモネット」に集約されている地域情報資源(保険内外サービス情報)を活用し、介護予防などに役立つ情報をレポート形式にて様々な階層のシニア層に対して提示。超高齢化社会に向けた新しい価値を創造するとしている。

ウェルモは、「持続可能な少子化高齢化社会の実現」をミッションに掲げ2013年4月に設立。ケアプラン作成支援AI「ミルモぷらん」、介護の地域資源情報を集約するプラットフォーム「ミルモネット」、児童発達支援・放課後等デイサービス「unico」といった事業を展開している。

愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

ペットウェルネスブランド「PETOKOTO」を提供するPETOKOTOは12月1日、融資および第三者割当増資による総額約5億円の資金調達を発表した。引受先は、ベガコーポレーション、楽天グループ(楽天キャピタル)、ABCドリームベンチャーズ、DGベンチャーズ、Headline、15th Rock Ventures、既存株主のニッセイキャピタル、西川順氏、鈴木修氏。総調達額は約10億円となった。また、長期的なペットライフプラットフォーム構築に向け、住宅家具領域でベガコーポレーションと、トラベル領域・保険領域で楽天と業務資本提携を締結した。愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

調達した資金は、同社ミッションである「人が動物と共に生きる社会」の実現に向けて、プロダクト開発や顧客基盤・ユーザー基盤拡大に向けた営業・マーケティング、それらを支える優秀な人材の獲得などに使用する予定。経営および事業基盤をさらに強化することで、中長期的な成長を加速させる。

PETOKOTOは、「人が動物と共に生きる社会をつくる」というミッションの実現に向けて、2016年5月より専門家によるペットライフメディア「PETOKOTO」、同年12月より保護犬猫マッチングサイト「OMUSUBI」、2020年2月より愛犬のためのカスタムフレッシュフード「PETOKOTO FOODS」を提供。PETOKOTO FOODSにおいては、売上は前年比700%増加で成長しており、累計販売食数は500万食、会員数は1万人を超えたという。愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

今後同社は、家族品質のサービスを提供することでペットと暮らす体験を向上しペットライフのQOLを最大化するとともに、OMUSUBIを通じて殺処分問題をはじめ流通市場の課題解決を進めることで、ハード面・ソフト面でのペットライフの課題解決に取り組む。オンライン、オフラインでの接点の強化を進めるとともに、D2Cモデルを通じて取得した行動データから最良のプロダクト・サービスをパーソナライズに提案するペットライフのコンシェルジュプラットフォームの構築を進める。愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

レブコムの音声解析AI電話MiiTel、東京都の保健所が行うコロナ陽性患者への積極的疫学調査や健康観察などの電話業務に採用

レブコムの音声解析AI電話MiiTel、東京都の保健所が行うコロナ陽性患者への積極的疫学調査や健康観察などの電話業務に採用

RevComm(レブコム)は11月24日、音声解析AI電話「MiiTel」(ミーテル)が東京都福祉保健局に採用され、新型コロナウイルス感染症の陽性患者に対して行う積極的疫学調査や健康観察などの電話業務の効率化に向け活用されると発表した。公的機関において初という。

MiiTelは、電話業務における会話の内容を自動録音・文字起こしにより可視化、AIにより解析し、高精度のフィードバックを行うことで業務の効率化を実現するサービス。IP電話のため、固定電話は不要、工事・メンテナンスも不要で、即時導入できる。

RevCommは、患者との通話内容をAIで音声解析し、テキスト化・要約を行うMiiTelの提供により、保健所における電話業務の効率化、迅速な患者の療養支援に向け支援を行う。

血糖値に基づきリアルタイムでその人だけの減量アドバイスをするSignos、シリーズAで約14.8億円調達

日常的に歩数を数えて心拍数を測り、週に1度体重計に乗って体にどのくらいの変化が起きているかを時折確認する、というのでは効果はあまり期待できない。質量を告げるガラスのオラクルの上に1日に何度か立ってみても、実際には体重は後を追う指標であり、何が起きそうかではなく、何が起きたかを示すものだ。主要な指標の1つとなるのが血糖値だが、減量スタートアップのSignos(シグノス)は、自分の代謝の違いに興味がある人がリアルタイムの血糖値モニタリングに登録したり、健康状態を維持するためのアラートに登録することに期待を寄せている。そして同社の1300万ドル(約14億8000万円)のシリーズAラウンドをリードするという観点から、GVも同様の考えを持っていることが伺える。

基本的な科学は次の通りである。オートミールを1杯食べると血糖値が急上昇する。散歩やランニングをすると血糖値が下がり、体重増加が抑えられる。筆者の体の反応は、異なる日、異なる時間に、異なる種類の食べ物を接種することでさまざまな影響を受けているかもしれないし、自分の体に関する予測不能のあらゆる要素や、自分が何を食べ、その日どうしているかによっても違ってくるかもしれない。重要な点は、筆者の体を例に挙げても意味がないということだ。あなたの場合は違ったものになるだろう。Signosは、継続的に測定することで、人々が各自の健康に必要なデータを手に入れることができると考えている。少なくとも情報を得ることができれば、体に何を入れるべきか、体重を落とすためにどのくらいの頻度で体を動かすかを選択できる。

同社は米国時間11月10日、総額1700万ドル(約19億4000万円)の資金を調達したことを明らかにした。これには1月にCourtside Ventures(コートサイド・ベンチャーズ)、1984 Ventures(1984ベンチャーズ)、Tau Ventures(タウ・ベンチャーズ)がリードした400万ドル(約4億6000万円)のシード資金も含まれる。現在のラウンドはシリーズAで、GVがリードし1300万ドルを調達している。

同社の創業者は、減量の課題にはかなり密接な個人的関係があると筆者に語り、始まりの経緯を概説してくれた。

「私はかなり太りすぎの、肥満気味の子どもとして育ち、10代の前半まではそういう状態でした。それからスポーツを始め、減量し、実質的にまともなアスリートに成長しました。最終的には大学にホッケーをしに行き、NHLでのプレーの誘いを2回受けるまでに至りました」とSignosのCEOであるSharam Fouladgar-Mercer(シャラム・フーラドガー=マーサー)氏は語る。トップレベルのスポーツを経験した後、同氏の体は再び変化し、体重も大幅に増加した。「数年前にはまたかなり太ってしまい、私は何か良いガイダンスはないかと探し求めるようになりました。標準的なアドバイスとして、成人男性の1日のエネルギー摂取量は2500キロカロリーとされていますが、4000~5000キロカロリーを摂取しながら体重を増やしたことのない友人を持つ人も多いでしょう。また、1500キロカロリーの摂取量で体重を減らせない人もいます。そして私の家族が糖尿病と診断されたときに、持続血糖モニタリング(CGM:Continuous Glucose Monitoring)のことを知りました。家族からその仕組みの説明を受けながら、CGMを使って代謝が実際に体重減少にどのように影響するのかを解明したいという思いを抱いたのです」。

手短にいうと、フーラドガー=マーサー氏は会社を設立し、構築に取りかかった。

「すべての人の体に特有の代謝ニーズを可視化しています。以前はカロリー削減やマクロ栄養素の計算、炭水化物の除去にこだわっていましたが、現在では、効果のないダイエットを効果的なプランに変えるために、人々と協働できるようになっています」とフーラドガー=マーサー氏は説明する。「数日から数週間のうちにプランを考案し、最適な体重管理と全体的な健康のために時間をかけて洗練させていくことができます。優秀なアスリートや入念なダイエッターは多くの場合、膨大な量の試行錯誤を重ねて結果を出しますが、それと同じ成果を短期間で実現できます」。

Signosのプラットフォームは、何を食べるか、いつ食べるか、どのようなエクササイズが減量に役立つかといった基本的な質問に対する、パーソナライズされた回答を出すのに役立つ。このシステムの心臓部には、Dexcom(デクスコム)のG6持続血糖モニタリングデバイスが組み込まれている。これは一般的に糖尿病患者に使用されているものだ。Dexcomは戦略的投資家として、Signosの最新の投資ラウンドにも参加している。

ユーザーの血液中のグルコース濃度を数分ごとに測定するハードウェアコンポーネントに加えて、SignosはAIを強化したアプリを開発し、持続的な体重減少を促すためのリアルタイムデータとレコメンデーションを提供する。Signos体験の最初に、ユーザーは自分が食べたものをログに記録し、Signosのプラットフォームが特定の食べ物に対する体の反応を学習できるようにする。一度調整されると、Signosはそのデータを使用して、各ユーザーに最適な食品や、いつ食事を摂るべきか、いつ運動をすれば血糖値が最適な減量範囲内に戻るかなど、個別の栄養アドバイスを提示する。

「このデバイスを10日間、フルタイムで装着します。シャワーを浴びたり、ランニングをしたり、睡眠をとったりしながら、測定を続けます。測定が終わるとビープ音が鳴り、取り外して新しいものと交換するときが来たことを知らせます」とフーラドガー=マーサー氏は説明し、デバイスの性質上、環境に優しい技術という面では、ここしばらく私たちが目にした中でベストな水準には達していないことを認めた。リサイクルも再利用もできない。「これは医療機器であり、廃棄する必要があります」。

持続血糖測定デバイスを装着するには、地元の薬局に立ち寄って、小さな電子吸血鬼を内臓に解き放つだけでは不十分だ。医師がデバイスを処方する必要がある。

「米国では、CGMを取得するために医師の処方箋が必要であり、そのオーダーに対応するために薬局も必要です。私たちはすべてのオペレーションを水面下で行っています。サイトを訪問してくだされば、私たちがプロセス全体をご案内します」とフーラドガー=マーサー氏は続ける。「それを終えると、適切な州で認可された薬局を経由して、あなたの元にすべてが入った箱が届きます。さらに、ダウンロード可能な当社のソフトウェアも必要です」。

このシステムの魔法は、ほぼリアルタイムのモニタリングとアラートシステムにある。夜寝る前にスマートフォンをチェックし、午後1時35分に血糖値が急上昇したことを知っても役に立たない。行動を起こす適切な時期は、血糖値が上昇しているときだと同社は主張する。

「長期にわたってこのようなフィードバックループを即時かつ継続的に行うことで、当社のメンバーが達成しようと試みる健康上の成果を実現することができるのです」とフーラドガー=マーサー氏は強調した。

同社によると、10万人以上の潜在顧客がこのプロダクトの利用開始を待っているという。今回の資金調達により、2022年のどこかの時点で、このプロダクトが全米で利用可能になる見込みである。

画像クレジット:画像クレジット:Signos

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

名古屋市立大学が紫外線を使わない光殺菌技術の開発に成功、人体に害のない可視光線を瞬間的に照射

名古屋市立大学が紫外線を使わない光殺菌技術の開発に成功、人体に安全な可視光線を利用し殺菌

名古屋市立大学は11月24日、人体に有害な紫外線を使わず、可視光線を使った光殺菌技術を開発したと発表した。ウイルスや細菌の殺菌に使われる紫外線ライト(UVC。波長が200~280nmの光)は、人の細胞やタンパク質に強く吸収されるため有害とされている。名古屋市立大学が開発した技術は、人体に害のない可視光線を瞬間的に照射するというものだ。

名古屋市立大学大学院医学研究科細菌学分野の立野一郎講師、長谷川忠男教授、芸術工学研究科の松本貴裕教授らによる研究グループは、瞬間的な可視光パルス照射(ストロボのフラッシュ光のようなイメージ)により、ウイルスや細菌を効率的に殺菌できることを実証した。高輝度の可視光線をナノ秒(10億分の1秒)程度照射すると、小さなウイルスや細菌は瞬間的に300度ほどの温度に達して死滅する。人間の細胞はもっとずっと大きいため、温度はあまり上がらず安全が保たれるという。

この方法は、レーザー物理学の先端的な研究分野で用いられている共鳴励起という手法を、病原性ウイルスや細菌の殺菌手法に取り込んだ、最先端の研究成果としている。名古屋市立大学が紫外線を使わない光殺菌技術の開発に成功、人体に安全な可視光線を利用し殺菌

研究グループは、独自開発した「ナノ秒波長可変パルスレーザー殺菌装置」を使い、溶液に浸した細菌に見立てた金の微粒子にパルスレーザーを照射したところ、金の微粒子は瞬間的に1000度に達して溶解した。しかし溶液の温度は2度程度しか上がらなかった。

名古屋市立大学が紫外線を使わない光殺菌技術の開発に成功、人体に安全な可視光線を利用し殺菌名古屋市立大学が紫外線を使わない光殺菌技術の開発に成功、人体に安全な可視光線を利用し殺菌

今回の研究で用いられた高輝度可視光線のパルスフラッシュ光は、現在のLEDの技術で容易に構築できるという。今後は、LED照明に「パルスフラッシュ殺菌光」を搭載したハイブリッド型照明器具への展開が予想されるとのことだ。病院や一般家庭への普及が期待される。

メンタルヘルス分野のビジネスに科学と健全さをもたらすWave

子どもたちは大丈夫ではない。Wave(ウェーブ)の創設者によると、Z世代の75%が心の健康に悩んでいるそうだ。はっきり言って、彼らのすべてが診断可能な精神疾患の基準を満たしているわけではないのだが、彼らは固い握手と「がんばれ、息子よ」という言葉以上のものを必要としているのだ。若年層が利用できるツールやテクニックを提供するために、包括性を第一に考えたアプローチをとるデジタルプラットフォームで、Waveが主に狙っているのはこの市場だ。

このアプリは、2022年初めに一般ユーザー向けのテスト版をリリースし、年内にはより多くの消費者に向けて幅広く展開していく予定だ。同社の創業者は、スタンフォード大学の精神医学教授であり、臨床心理士でもあるSarah Adler(サラ・アドラー)博士だ。彼女は、このアプリが何をするかを世界に向けて発信したいと考えているが、アプリが広く一般に公開されるまでは、少し慎重に行動している。アドラー博士は、ユーザー中心のデザインによってケアへのアクセスを向上させる革新的なデリバリーモデルの構築にキャリアを費やしてきた。彼女は、データに基づいたデジタルソリューションと、ヘルスコーチのような訓練された低コストの人的資源を組み合わせることが、特に、従来は話題に上らず見落とされていた人々(GSRMやBIPOCなど)に対して、質の高いケアを大規模に提供するための最良の方法であると考えている。

アドラー博士に、このアプリで提供できるエクササイズの例を聞いてみた。

「私たちが基本的に信じていることの1つは、不安やうつに対するエビデンスに基づいた治療法であるアクセプタンス・アンド・コミットメント・セラピー(ACT)に由来するものです。私たちは、人生において誤った決断をしたり、気分が良くない決断をしたりするのは、自分にとって何が大切なのかがはっきりしていないからだと考えています。価値観を明確にするエクササイズは、もしあなたにセラピストがいて、そのセラピストに1時間250ドル(約2万8000円)払う余裕があるなら、セラピストと一緒に行うことができるエクササイズです。しかし私たちは、もっと魅力的なエクササイズを考案しました。それは、ビデオゲームのような経験で、価値観を明確にするエクササイズを行い、最後には、私と一緒にセラピーを受けるのと同じように、脳内で神経化学的に喚起したい感情を呼び起こします」とアドラー博士は説明した。アドラー博士は「自分の価値観が明確になれば、どのように意思決定をすればよいかが見えてきます。自分の重要な価値観に沿った私がとりたい行動とは何か? 今夜は友達と飲み明かしたいか? 自分の長期的な目標や価値観を知ることで、自分の行動を調和させることができます。それが意思決定の助けになるのです」。

同社は、2021年の夏の終わりに200万ドル(約2億2975万円)のプレシードラウンドをクローズしたことを発表したばかりだ。このラウンドは、Hannah Grey VC(ハンナ・グレイVC)がリードし、K50 Ventures(K50ベンチャーズ)、Tribe Capital(トライブキャピタル)、Alumni Venture Group(アラムナイベンチャーグループ)、Verissimo Ventures(ベリッシモ・ベンチャーズ)、Conscience VC(コンサイスVC)、および厳選された戦略的エンジェルが参加した。

「科学的な裏づけがなく、包括的なユーザーエクスペリエンスに深く関わっておらず、再現性のある成果を示していないプロダクトを構築し、拡張するために、メンタルヘルス分野には、2020年だけで25億ドル(約2871億円)を超える莫大な資金が投入されています」アドラー博士は言った。「Waveでは、ダウンロード、サインアップ、パイロットなどのビジネス指標にただ関心があるだけではなく、従来はケアを受けることができなかった人々に測定可能な成果をもたらす、具体的な結果を目指しています」。

「私たちはソーシャルメディアと戦っているわけではありません。ソーシャルメディアと統合しようとしているのです。私たちは、ユーザーに対応し、関心を持ってもらうためには、ユーザーがいる場所で出会う必要があると考えています。これは特に携帯電話と完全に結びついているジェネレーションだとより重要です。私たちはこれをデジタルエコシステムと呼んでおり、このエコシステムでは、エビデンスに基づく最高のコンテンツと、最高のビデオゲーム技術を用いた没入型の体験を統合しています。ただ、私はトークンエコノミーの話をしているのではなくて、ビデオゲーム業界が学んだ、人々が学ばなければならないことに興味を持たせ続けるための方法を意味しています」とアドラー博士は説明した。「私たちは、没入感のある体験を作り、人々が何度も利用するように提供します。それが、最終的には、人々がよくなることにつながるのです」。

画像クレジット:Wave

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Yuta Kaminishi)

専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUとNTT西日本が遠隔医療のエッジコンピューティング活用に関し共同実験

専門医による遠隔集中治療ソリューションを提供するT-ICU西日本電信電話(NTT西日本)は11月18日、「遠隔医療におけるエッジコンピューティング技術を活用した情報処理の実現方式」に関して共同実験を開始したと発表した。同実験の成果を生かし、ウィズコロナ・アフターコロナ時代を見据えたリモートワールド(分散型社会)を実現し、地域医療の人材不足といった社会課題の解決を目指す。実験期間は2021年11月~2022年2月(予定)。

共同実験では、実証実験に協力している病院からNTT西日本の閉域ネットワークを介して、サーバーが設置されているエッジコンピューティング拠点まで映像を転送する。T-ICUの技術でその情報処理を行い、モニタリングセンターからの医師・看護師などによる遠隔モニタリングを実現する。

共同実験では、遠隔モニタリングに用いる高品質な映像が病院からNTT西日本の閉域ネットワークへ転送できること、容体悪化の兆候に関してAIによる推論ができることを評価するとともに、エッジコンピューティング技術に必要とされる要件についても評価する。こうした取り組みを通じ、医療情報を電子的に管理する上で準拠すべきガイドラインを念頭に、今後遠隔医療を提供する際に必要となる要件や技術課題を把握することを目指す。

・T-ICU:遠隔ICU技術の提供、遠隔モニタリングに必要な情報処理技術の検討
・NTT西日本:エッジコンピューティング技術の提供、クラウド化にかかる要件の検討

同実証実験では基本的な動作確認と要件確認を行い、得られた知見を活かして新たな遠隔ICUサービスの実現について継続して検討する。T-ICUとNTT西日本は、同サービスにより、地域の人材不足など社会課題の解決を目指す。

2016年創業のT-ICUは、「Anywhere, we care. すべての病院に集中治療医を」をミッションに、遠隔ICUにおけるサポートサービスを実施。集中治療医・集中ケア認定看護師のチームを擁し、病院向けに専門性の高いサポートを提供している。

T-ICUは、遠隔相談システム「リリーヴ」を契約している病院からの相談に対応する一方で、院内での遠隔モニタリング支援するシステム「クロスバイ」を提供し、導入病院内での効率的な医療提供に貢献してきた。

リリーヴは、命に関わる重症患者診療を担う医療スタッフの不安に寄り添い、呼吸・循環管理、鎮静・鎮痛、感染症治療などの全身管理を最新の知見と豊富な経験で支援する遠隔相談システム。全国的に専門家が不足する重症患者診療の現場を、集中治療医・集中ケア認定看護師で構成されたメディカルチームが24時間365日サポートする。専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUとNTT西日本が遠隔医療におけるエッジコンピューティング活用に関する共同実験

クロスバイは、ベッドサイドに配置した高性能カメラを利用した遠隔モニタリングシステム。患者の表情や顔色、呼吸様式の観察といった患者観察が可能。また、人工呼吸器を含む各種医療機器と接続することで、多面的な患者情報を院内の離れた場所に届けられる。新型コロナウイルス感染症患者受け入れ病院での医療の提供、また医療従事者への感染防止策としても導入されているという。専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUとNTT西日本が遠隔医療におけるエッジコンピューティング活用に関する共同実験

クロスバイ導入施設においては、重症患者への看護人員が不足する中、医療従事者によるモニタリングが常時実施されており現場の大きな負担となっているという。このような中、医療現場からT-ICUに対し、重症患者管理を専門とする集中治療医が不在となる夜間などの時間帯において、T-ICUが遠隔でモニタリングのうえ重症度に応じたアドバイスを提供してもらいたいという要望があるそうだ。ただ、この要望の実現には、モニタリングの際に発生するデータを低遅延かつセキュアに処理することが必要不可欠としている。

RespiraのウェアラブルSylveeは肺の健康状態をモニター、COPDや肺機能低下を検知

この数年、身体のあらゆる側面を測定するウェアラブル製品が登場しているが、肺活量の測定はそれら他の側面よりも難解だ。Respira Labs(レスピラ・ラボ)が開発した「Sylvee」は、肺機能を継続的に測定するまったく新しいウェアラブルデバイスだ。COPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息患者をはじめ、一時的に肺機能が低下している人に最適だ。特に、肺機能に影響を与えるあのパンデミックが思い浮かびあがるだろう。

Sylveeは、胸郭の下部に装着する製品で、息を吹きかけなくても簡単に継続的に肺機能を評価できることを約束している。このパッチにはスピーカーとマイクが内蔵されており、音響的な共鳴の変化を測定する。同社によるとこれは、肺機能検査の基本である肺気量の変化をよく表しているとのことだ。

使われている技術は非常に巧妙だ。Sylveeは、スピーカーからノイズを発生させ、その発生した音をマイクで測定する。空洞があると音の質が変わるという理論で、ドラムセットのドラムヘッドを叩いた後に、綿や羊毛、液体を詰めて同じように叩いたときと同じだ。私は医者ではないが、肺の中には一般的に空気腔があるものと思われる。このウェアラブルは、収集したデータをもとに、肺の容積、容量、流量、そして空気の滞留を測定する。

「確立された科学では、低周波音を使って空気のとらえ込みを90%以上の精度で測定できることがわかっています。慢性閉塞性肺疾患患者と健常者では、音響共鳴スペクトルに明らかな違いがあります。慢性閉塞性肺疾患、新型コロナウイルス(COVID-19)、喘息の患者数は1億人を超え、高齢化も進んでいるため、肺機能を遠隔で正確にモニターし、問題を早期に発見して深刻な事態を回避することは、命を救うことにつながります。私たちの目標は、異常を早期に発見し、自宅での早期治療を可能にし、患者さんが自らの健康を管理できるようにすることです」。とRespira Labの創設者兼CEOであるMaria Artunduaga(マリア・アルトゥンドゥアガ)博士は説明してくれている。

Sylveeは、胸郭に装着して使用する。肺の健康状態を判断するために、音を出し、肺の共鳴をとらえる(画像クレジット:Respira Labs)

製品名のSylveeは、慢性閉塞性肺疾患を患い、発見できずに症状が悪化して亡くなったアルトゥンドゥアガ博士の祖母にちなんで名づけられている。

「このデバイスは、呼吸器系の患者が避けなければならない、急性の悪化の早期診断と管理を容易にしてくれます。私たちは、医師や患者に重要な情報を提供することで、より早い段階で治療法を切り替え、入院を防ぐことができます。これは私の祖母に起こったことです。彼女は慢性閉塞性肺疾患を患っていましたが、突然症状が悪化し、敢えなく亡くなってしまいました。私は、恐ろしくも、一般的なこの結果をきっかけに、医師としてのキャリアを捨て、このSylveeの開発に専念しました」とアルトゥンドゥアガ博士は述べている。

Respira Labsは、米国内外で500人以上の患者を対象とした大規模な試験を実施することで、空気のとらえ込み測定精度を90%にすることを目標としている。また、2022年後半には有名なジャーナルに論文を発表する予定だ。このデバイスは現在試作中で、今後18カ月以内にFDAの認可が下りる予定だ。

画像クレジット:Respira Labs

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

認知症領域の課題解決を目指す医療AIスタートアップSplinkが11.2億円調達、脳ドック用AIプログラムの全国普及・拡大推進

VRリハビリ機器を提供する「mediVR」が5億円のシリーズB調達、「成果報酬型自費リハ施設」開設を計画

認知症領域の課題解決を目指す医療AIスタートアップSplinkが11.2億円調達、脳ドック用AIプログラムの全国普及・拡大を推進認知症領域の課題解決を目指す医療AIスタートアップSplinkは11月17日、総額約11億2000万円の資金調達を発表した。引受先はジャフコ グループ、東京海上日動火災保険、三菱UFJキャピタル、博報堂DYホールディングス、個人投資家。調達した資金により、引受先とのシナジーを活用するとともに製品化・事業化を加速する。

Splinkは、2017年の創業以来、認知症予防の促進を目指し、脳ドック用AIプログラムとして「Brain Life Imaging」の提供を進めてきた。都内を中心に様々な医療機関が利用しており、今後全国への普及・拡大を推進するという。また、この先行サービスで得られた知見を活用し、開発を進めてきた「脳画像解析プログラムBraineer」では、診断・治療フェーズにおける認知症見逃しを防ぐ医療機器プログラムとして2021年6月に薬事認可を取得した。

同社は、今回の増資により主力製品Brain Life ImagingおよびBraineerの製品強化を引き続き進めるという。さらに、複数アカデミアとの共同研究を通じて開発パイプラインの製品化に向けた投資も実施する。認知症という高齢化社会における課題に対し、健常段階の予防から発症後の病気と共生できる社会に寄与すべく、認知症の予防から診断まで一貫したソリューションをワンストップで提供するとしている。

医療業界のデジタルインフラ構築に取り組むフランスのLifenが約66.2億円調達

フランスのスタートアップであるLifen(ライフェン)は、5800万ドル(約66億2600万円)の資金調達を行った。このスタートアップは、医療レポートを皮切りに、ヘルスケア業界のデジタルインフラに取り組んでいる。実際、600の医療施設が医療文書の送受信にこの製品を使用している。

また、各顧客は、毎月24万人の医師に送られる200万件の医療文書をLifenがまかなうため、Lifenを集中して使用している。患者はLifenから直接文書を受け取ることもできる。

Creadev(クリーデブ)Lauxera Capital Partners(ラクセラ・キャピタル・パートナーズ)は、米国時間11月15日のシリーズCラウンドを主導した。既存の投資家であるSerena(セレナ)Partech(パーテック)は今回の資金調達ラウンドに再び参加した。

Lifenは、アップグレードの機会を見据えて、ヘルスケア業界の通信方法から手を付けた。医療業界の多くの関係者は、医療文書の送付に昔ながらの物理的な手紙に頼っていた。病院では、データのプライバシー保護のため、電子メールに切り替えることができず、困っていた。

同スタートアップは、医療記録用に設計された複数の電子メッセージングプロトコルと連動するドキュメントプラットフォームを構築した。これにより、ペーパーレス化やレポートの自動送信が格段に容易になる。

また、Lifenは、ドキュメント製品の上に機械学習を追加した。同社は、重要な情報を自動的に検出し、ドキュメントを構造化されたデータに変えようとしている。例えば、同社は患者の名前や送信者の情報を自動的に識別しようと試みている。

そして今、同社は通信方法にとどまらず、ヘルスケア業界向けに本格的なデジタルプラットフォームを提供したいと考えている。医療機関は、Lifenを利用して他のe-ヘルス・アプリを使い始めることができる。

Lifenには独自のアプリストアがあり、Lifenのユーザー管理システムと連携するすべてのアプリを参照し、Lifenと接続することができる。この戦略は、Salesforce(セールスフォース)にとって特に効果的だった。

今回の資金調達により、同社は今後1年半の間に200人以上の従業員を雇用する予定だ。2025年までに、このスタートアップは1500の病院、200のe-ヘルスソリューションと連携したいと考えている。

画像クレジット:Lifen

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Pelotonがオンデマンドクラスに関連する特許侵害の疑いでライバルをまた提訴

オンラインのレッスン付きエクササイズ機器大手のPelotonがライバルのiFitとEchelonを提訴した。訴因は、両社がPelotonのオンデマンドクラス関連の最大4つの特許を侵害した、というものだ。その1つは先に、Bloomberg Lawが報じている。Pelotonは賠償金に加えて、特許の期限が切れるまでデバイスの販売を禁じる裁判所命令を求めている。Pelotonは両裁判で、競合他社を同社の技術に「タダ乗りした」と非難している。

iFitに対する不服申し立ては、同社のリーダーボードやActivePulseやSmartAdjust機能を使っているNordicTrackProForm、そしてFreeMotionプロダクトに関するものだ。「この訴訟の原因となった行為の前までは、Fit Functionalityにはライブのクラス、すなわちインストラクターが教えてユーザーのデバイスへ実質リアルタイムでストリーミングされるクラスはなく、リーダーボードを使って受講者同士が競争するクラスもなかった。iFit Functionalityは会員に、同社のマシン上で録画されたエクササイズクラスをやらせるだけで、コミュニティへの参加はまったくないものだった」とPelotonは訴状で述べている。

訴状はiFitを「この特許侵害により大きな利益を得た」と非難している。2021年10月にiFitは、市場条件の悪化により、IPOを中止した。

Echelonに関してPelotonは、バイクの「スマートコネクトEX1、EX3、EX4s、EX5、EX5s、EX-7s、EX-Pro、GT+」、トレッドミルの「Stride」「Stride 5s」、ローイングマシンの「Row」「Row-s」「Row-7s」、そしてアプリの「Echelon Fit」をターゲットにしている。Pelotonは、Treadをリリースする前は「トレッドミルがリーダーボードを提供することはよく知られていなかった」とし、Echelonは現在、「『オンラインフィルター』で、『誰が同時にオンデマンドクラスを受講しているか』を確認できる」という模倣「リーダーボード」を搭載していると主張している。

Pelotonは過去数年間、両社と険悪な仲だった。Icon Health and Fitnessという社名だったころのiFitを特許侵害で訴訟したし、逆に訴えられたこともある。Pelotonは Echelonを2019年にも訴訟しており、そのときは「Peloton Bikeのユーザー体験を模倣した」などが訴因だった。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Peloton

原文へ

(文:Kris Holt、翻訳:Hiroshi Iwatani)

猫専用IoTサービスCatlogのRABOが28億件を超えるイエネコ行動データを有する専門研究機関「Catlog総合研究所」設立

首輪型猫用ロギングデバイス「Catlog」が猫の食事バランスを見守る「Catlogフードケア」公開

首輪型デバイスやトイレで飼い猫の行動や健康状態を追跡できる「Catlog」(キャットログ)シリーズを展開するRABOは11月16日、Catlogを利用している猫から収集・蓄積した28億件(2021年11月時点)を超える行動ログデータや、体重や排泄のデータなどを活用する研究機関「Catlog総合研究所」の開設を発表した。

Catlog総合研究所は、室内飼育の猫、いわゆる「イエネコ」から収集したデータを有効活用するための研究所。すでに蓄積されているデータ量は世界最大級とのこと。そのデータは、猫1頭につき、属性・行動・排泄データ、飼い主のデータなどが含まれ、これらを組み合わせることで導き出される研究データは大きな価値をもたらすとRABOは話している。こうした猫ごとのデータを比較すれば、異変の検知や病気の早期発見にも役立つ可能性があるという。さらに、年齢やライフステージごとの行動情報を詳細に比較したり、属性データとかけ合わせることで個体に特化した統計データを導き出すことも可能になる。

Catlog総合研究所では、イエネコに特化した、「猫と飼い主が安心して暮らせる社会に役立つ有用な猫研究データ」のレポートを発表してゆくとのこと。その第1弾として、同研究所のアニマル・データサイエンティストでありバイオロギング研究者である渡辺伸一氏は、第17回日本バイオロギング研究会シンポジウムにて「1万匹のイエネコの行動をCatlogで見る」と題した発表を行った。そこで渡辺氏は、Catlogという統一したデバイスを使うことで膨大なデータロギングが可能になったと話している。また、イエネコと類似した特徴を持つ野生のネコ科の研究など、さまざまな研究に発展する可能性があるとも述べていた。

提供されるデータの例として、Catlog総合研究所は次のような情報を紹介している。

2歳未満の仔猫の運動時間は突出して長いため、この時期にたくさん遊んでやることが重要

2歳未満の仔猫の運動時間は突出して長いため、この時期にたくさん遊んでやることが重要

日が出ている時間から日没まで(日長時間)が短くなるほど、つまり冬になるほど猫の睡眠時間は長くなる

日が出ている時間から日没まで(日長時間)が短くなるほど、つまり冬になるほど猫の睡眠時間は長くなる

毛の長い猫ほど毛づくろいの時間は長い

毛の長い猫ほど毛づくろいの時間は長い

その他のデータは「Catlog総研 第1回レポーティング」で見ることができる

買い物データから栄養を分析し食材・レシピを提案するアプリ「SIRU+」が11月24日よりダイエー全店195店舗に導入へ

スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

買い物データから食事管理をするアプリ「SIRU+」(シルタス。Android版iOS版)を運営するシルタスは11月16日、ダイエーが展開している164店舗において11月24日より「SIRU+」の導入が開始され、ダイエー全店195店舗に導入が拡大されると発表した。また、イオングループの共通ポイントカード「WAON POINTカード」のみがアプリに連携可能だったが、10月7日より「イオンカード」との連携も開始した。

SIRU+は、スーパーのポイントカードなどに紐づく購買履歴から栄養の偏りを可視化、栄養バランスが整う食材やレシピをオススメするというスマホアプリ。繰り返し利用することで、食の好みをアプリが機械学習し、個人の食生活に合わせて最適な買い物を提案する。買い物データから栄養を分析し食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが11月24日よりダイエー全店195店舗に導入へ

最新のデジタル施策に積極的なダイエーは、デジタルを活用した顧客体験の向上に取り組んでおり、来店者の健康支援のために2019年3月より「SIRU+」の導入を開始し、すでに31店舗で利用可能となっているそうだ。コロナ禍により、消費者にとってスーパーがより生活に必要不可欠な存在となっている中、来店者の栄養状態や健康ニーズがわかることは、顧客理解を深めるとともに、新たなインサイトの発見に役立てられることから、SIRU+をより活用するため11月24日よりダイエー全店195店舗への導入が決まったという。

なお、SIRU+と連携してるダイエー店舗で買い物をしているユーザーの栄養傾向を分析したところ、不足しやすい栄養素や充足しやすい栄養素など、栄養傾向があることがわかったという(調査期間:2021年8月1日~31日。調査対象者:SIRU+ユーザーのうち、ダイエー店舗で買い物をしているユーザー約700名)。

今回の調査では、ビタミンA、ビタミンD、たんぱく質が不足している方が目立つ傾向があった。また「免疫力UP」に関心のあるユーザーが多く、免疫力を上げる働きのあるビタミンAが豊富な食品の購入を促進させることで、健康ニーズにマッチする食品提案ができるようになるとしている。買い物データから栄養を分析し食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが11月24日よりダイエー全店195店舗に導入へ

病気概要など医師の定型説明箇所を動画で効率化するインフォームド・コンセント支援クラウドのコントレアが1.4億円調達

病気概要など医師の定型説明箇所を動画で効率化するインフォームド・コンセント支援クラウドのコントレアが1.4億円調達動画を活用したインフォームド・コンセント支援システム「MediOS」(メディオス)を提供するコントレア(Contrea)は11月16日、プレシリーズAラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権発行による総額1億4000万円の資金調達を完了したと発表した。引受先はCoral Capital、千葉道場ファンド、個人投資家。調達した資金は、システムおよび動画コンテンツの開発強化、営業・マーケティング体制の強化にあて、2024年の医師の働き方改革に向けた医療現場のDXを推進する。

インフォームド・コンセント(医療従事者が患者に診療目的・内容を説明し患者の同意を得ること)の内容には、病気の概要や治療方法、合併症など前提となる知識を伝える「講義」の部分と、患者の気持ちのサポートや意思決定の支援、質疑応答などの「対話」の部分にわけられるという。

医師はどちらも口頭で説明するものの、医療知識を有さない患者への説明では多くの時間を要するため、がんなどの場合では1時間以上かかることも少なくないそうだ。その結果、厚生労働省の調査では医師の時間外労働の発生原因の第3番目に「患者への説明対応」が挙がるなど、全国的な課題として顕在化している。

一方、患者側は時間をかけて説明を受けても、「講義」の部分は専門性が特に高く一度で理解することは容易ではない。「対話」の部分にたどり着く頃には頭が「パンク」していることがあり、その場では質問が浮かばずに帰宅してから聞きたいことが出てくることもある。コントレアは、インフォームド・コンセントにおいて、医師・患者の双方に課題があると指摘する。

同社のMediOSは、「講義」ではなく、患者との「対話」に注力できるようにするための、医師・患者間のコミュニケーション支援システムという。病気の概要や治療方法・合併症などの「講義」に該当する部分は患者個別性が少なく、医師にとっては標準的で繰り返しの説明となるため、MediOSが「講義」部分をアニメーションを用いた動画でサポートする。

病気概要など医師の定型説明箇所を動画で効率化するインフォームド・コンセント支援クラウドのコントレアが1.4億円調達

医師は、患者の病状や治療法に応じて動画を組み合わせることで、患者ごとにカスタムされた動画を発行できる。また患者側は、医師から発行された動画を自分の都合のいい場所・時間に何度でも繰り返し視聴可能だ。さらに、システム内において事前に質問を登録できるため、医師への質問や疑問点の伝え忘れを防止できる。患者の自宅や病院内の待ち時間などでMediOSを利用することで、診察室を拡張可能としている。

患者の理解度が高まった状態で医師との対面の説明にのぞむことで、医師の「講義」の効率化、またより本質的な「対話」に注力できるようになり、信頼関係の強化にもつながるという。コントレアは、これまで人力に頼っていた領域にデジタルのエッセンスを加えることで、医療現場の効率化と患者エンゲージメント向上を両立できるプロダクトを目指しているとした。

MediOSは2021年1月にβ版をローンチし、大学病院を始めとした200~700床の病院で導入済みという。導入効果として医師の説明時間が患者1人あたり33%短縮された。また、高齢者が多い中にあっても7割以上の患者が自力で動画視聴を完了し、理解度も4.6点(5段階中)を取得するなど、医師および患者の双方に効果が出ているそうだ。

生理用品自販機を革新する「SOS」が約3.9億円調達

SOS(エスオーエス)はすでに数多くの自販機を設置済みで、拠点であるボストンの各地に点在している。最近同社は340万ドル(約3億9000万円)の調達ラウンドを終え、トイレ内の健康・ウェルネス製品自動販売機の設置拡大を目指す。自動販売機のタッチスクリーンは、万が一身の回りの深刻な広告不足を心配している人たちのために「ビジュアルに富んだ広告マーケティングプラットフォーム」としても機能する。

最新ラウンドをリードしたのは、For Laterで、ボストン拠点の小売業インキュベーター、For Nowの投資部門(うまく名付けたものだ)。他にもShahid Khan(シャヒド・カーン)氏ファミリー、Zoe Cruz(ゾーイ・クルーズ)氏、NFLニューイングランド・ペイトリオッツの元プレイヤーでありJerod Mayo(ジェロッド・)メイヨ氏、Hero Cosmetics(ヒーロー・コスメティクス)のJu Rhyu(ジュ・リュー)氏ら、著名なエンジェル投資家が名を連ねる。

SOSの自販機は、フェンウェイ・パーク、プルデンシャル・センター、ボストン小児病院、State Street Corporation(ステート・ストリート信託銀行)本社、などボストン周辺の数多くの施設に設置されている他、フロリダ州サンライズのFLAライブ・アリーナにもある。

「当社の販売機は、パニックの瞬間を自信とチャンスの瞬間に変えます」とSOSのファウンダーで共同CEOのRobina Verbeek(ロビーナ・バービーク)氏はいう。「利便性には、並外れた製品と高水準の購買体験がともなうべきだと私たちは信じています。『早くて簡単』は『手抜きの安物』であってはありません。女性の健康に関しては特に。誰もがもっと良い生活を享受すべきです」。

創業チームで会社の共同CEOを務めるのは、Susanna Twarog(スザンナ・トゥワログ)氏とRobin Verbeek(ロビーナ・バービーク)氏の女性2人。金融サービス会社のState Streetで出会い、故障と品切れというタンポン販売機の長期的問題を力を合わせて解決に乗り出した。

SOSの自動販売機(画像クレジット:SOS)

最初のバージョンのマシンを作ったのは2017年で、2020年に初めて現場に自販機を設置した。会社のミッションは、頼りにならない醜くて古い金属の箱を「パーソナルケアと美容に不可欠な一流ブランドの製品を届ける」機械とサービスで置き換えることだ。同社は、市場に足場を固めるまでの間、保有する5つのデザイン特許がライバルの追随を許さないことを願っている。

「SOSと協力して、当社のスタッフとファン、そして南フロリダ住民のウェルネスとパーソナルケアに貢献できることをうれしく思います」と、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)フロリダ・パンサーズの最高商務責任者(CCO)、Shawn Thornton(ショーン・ソーントン)氏は言った。「SOSの高度な自動販売機が、FLAライブ・アリーナでコンサートや試合やイベントを楽しみながら、ウェルネス製品をいつでも手に入れられる安心感をお客様に与えることを願っています」。

次の搬入では、フロリダ・パンサーズの本拠地、サンライズのFLAライブ・アリーナに35台、コーラルスプリングスのアイススケートリンク、パンサーズ・アイスデンに5台のSOSマシンを設置する。今後は、ニューヨーク、フロリダ、カリフォルニアをはじめとする全米各都市への拡大を目指している。

画像クレジット:SOS

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nob Takahashi / facebook

光を当て記憶を消去?京都大学、学習結果が長期記憶に移行する細胞活動を解明

京都大学は、光を当てることで記憶を起こしたシナプスのみを消す、つまり記憶を消すことに成功した。映画のように光を当てれば人の記憶を消せるというような単純な話ではないものの、この研究が重要な脳の働きを解明することにつながった。

京都大学大学院医学研究科後藤明弘助教、林康紀同教授らからなる研究グループは、海馬に保存された短期記憶が皮質に長期記憶される、いわゆる「記憶の固定化」がなされるときに起きるシナプス長期増強(LTP)という現象について調べている。このLTPが、いつどこで誘発されるかがわかれば、記憶がどの細胞に保持されるかがわかる。研究グループは、それを検出する技術の開発を目指した。

実は、この光によって記憶が消せる手法は、LPTがいつどこで起きるかを検出する手法として開発されたもの。LTPが起きるとシナプス後部のスパインという構造が拡大するのだが、これにはコフィリン(cofilin)という分子が関わっている。このコフィリンとイソギンチャク由来の光増感蛍光タンパク質SuperNovaを融合させ、特定の波長の光を当てると、SuperNovaから活性酵素が発生し、近隣のコフィリンだけが不活性化される。するとLPTが消去され、記憶が消える。

この手法を使うと、薬剤を使った場合と異なり、狙いどおりの場所と時間にLTPの消去が行える。これを利用して、学習直後と学習後の睡眠中の海馬に光を当てたところ、それぞれの記憶が消えた。このことから、学習直後と、その後の睡眠中の2段階でLTPが起き、短期記憶が形成されることがわかった。さらに、神経細胞の活性を調べたところ、細胞は学習により特異的に「発火」(スパイク信号を出力)し、学習後の睡眠中にはLTPによって細胞同士が同期して発火することが認められた。これにより、記憶を担う細胞が形成される過程が詳細に見られるようになった。また、記憶が皮質に移り固定化される時間を知るために、前帯状皮質でのLTP時間枠を調べたところ、学習翌日の睡眠中に前帯状皮質でのLTPが誘導されていることもわかった。

この研究により、LTPが誘発される時間枠を解析する技術が開発された。これは、記憶に関連する多くの脳機能を細胞レベルで解明できる可能性を示すものだ。LTPに関連するシナプスの異常は、発達障害、外傷性ストレス障害(PTSD)、認知症、アルツハイマーといった記憶・学習障害だけでなく、統合失調症やうつ病の発症にも関わることが示唆され、こうした病気の治療にもつながるという。

この研究は、京都大学大学院医学研究科後藤明弘助教、林康紀同教授、理化学研究所脳神経科学研究センター村山正宜チームリーダー、Thomas McHughチームリーダー、大阪大学産業科学研究所永井健治栄誉教授らの研究グループによるもの。

公的介護保険では支援が受けられない在宅介護ニーズと介護士をマッチングする「イチロウ」のLINKが1億円調達

オーダーメイド介護サービス「イチロウ」を提供するLINKは11月11日、プレシリーズAラウンドとして、政策金融公庫の融資を含め総額1億円の資金調達の実施を発表した。引受先は、既存投資家のブラッククローキャピタル、三井住友海上キャピタル、マネックスベンチャーズに、コムレイズインキュベート、LITALICOが加わっている。調達した資金により、オペレーション構築・システム開発といったサービス基盤とマーケティングの強化を加速する。

イチロウは、公的介護保険では支援が受けられない在宅介護ニーズに対して、オンライン上で介護士をマッチングし派遣するサービス。インターネットを活用した効率的なオペレーションで最短5分という素早いマッチングに加えて、公的介護保険適用外への対応に特化することで、利用制限のない介護サービスを提供する。これまで4500回以上のマッチングを行ない、99%というマッチング率を実現しているという。

同社によると、公的介護保険による訪問介護サービスは、介護保険法により内容が定められており介護を希望する本人や家族の求めるニーズに応えきれていないという。例えば、1時間以上の介護を受けたりできず、電球の交換など介護保険法で認められていないサービス内容は利用できない。またアナログな仕組みにより、サービスを利用するまでに1週間以上かかるなど、リアルタイム性が求められる在宅介護におけるニーズに応えられていない。イチロウは、こうした公的介護保険では対応しきれなかった介護のラストワンマイルをかなえるための取り組みを続けていくとしている。

LINKは、介護現場を10年以上経験した水野友喜氏が2017年4月に設立したスタートアップ。「年間10万人の介護離職の課題」「介護士の低所得・人材不足の課題」といった介護の社会問題をインターネットを活用したデジタル視点で解決することを目指し、介護業界のDXに取り組んでいる。

在宅ヘルスケア大手Roが家庭用精子保存サービスDadi買収に向けて交渉中

ヘルスケアのD2CであるRoは今やユニコーンで、投資家たちの評価額は50億ドル(約5710億円)に達する。同社に近い筋によると、現在Roは家庭で精子を保存できるサービスのスタートアップDadiを買収するという。これはRoにとって、Workpath、KitそしてModern Fertilityに続き、過去12カ月で4度目の買収になる。

買収は完了に近いが、それでもまだ不安材料はある。額面は明かされていないが某筋によると1億ドル(約114億円)に近いという。RoとDadiにコメントを求めたが、返事はない。

Dadiは2019年に創業し、温度管理された家庭用不妊検査と精子採取キットを発売した。共同創業者でCEOのTom Smith(トム・スミス)氏によると同社は「不妊は女性の問題ではない、男性と女性双方の問題である」というミッションを掲げている。Crunchbaseによると、同社はこれまでfirstminute Capital、Third Kind Venture Capital、そしてChernin Groupなど著名なベンチャーキャピタルから1000万ドル(約11億円)を調達している。

Dadiと並ぶ競合他社のLegacyも、精子の検査と冷凍保存で同様にベンチャー資本を調達している。Legacyは2018年のTechCrunchTechCrunch主催Disrupt Berlin 2018のStartup Battlefieldで優勝し、これまでにFirstMark、Y Combinator、Justin Bieberなどから約2000万ドル(約23億円)を調達している。

この買収は、Roの社内で緊張が高まっている時期にやってきた。同社では今、以前の社員と現社員が問題を提起し、成長目標にこだわりすぎると不平を述べている。従業員の一部は会社を辞めたが、我慢が限界に達したのは、成長のための買収が立て続けに行われるようになったときだという。同社に長く在籍する者たちは、企業文化と仕事の改善が先決だと主張した。

最近辞めた社員がTechCrunchのインタビューに応じ、同社の買収の頻度について「得体のしれない買収ばかりだった。買収した企業との統合は何もなかった。会社は一体、何をしてたのだろう?買収のせいでフォーカスは変わってばかりいた。上司たちは『成長企業ってこういうものだよ』という」と語る。

しかしRoの最近の2つの買収は、戦略としてDadiと合いそうだ。Roが6月に買収したKitは在宅診断を提供する企業で、指を刺して採血する血液検査キットや体重測定ツールなど、カスタマイズできるプロダクトがいろいろある。同社はDadi同様、消費者が気楽な自宅で楽に、予防や早期発見のための検査を行なう。

Roの共同創業者でCEOのZachariah Reitano(ザカリア・レイタノ)氏は、Kitの買収について「ヘルスケアには細分化現象があり、ケアのプロバイダーは分断化したデータの全体を把握できません。そのため、私たちのようなところの仕事が増えますが、Kitはそんなインフラの中では重要で不可欠なピースです。同じ屋根の下の患者たちに、さらに多くのケアを提供できる」。

2億2500万ドル(約257億円)でModern Fertilityを買収したことが示すように、このところRoは不妊治療にも力を入れているようだが、Dadiはその方面でも貢献するだろう。Carly Leahy(カーリー・リーヒー)氏とAfton Vechery(アフトン・ヴェチェリー)氏が率いるModern Fertilityは、女性用の在宅不妊検査を提供し、妊娠と出産に関わる健康の問題に、個人化されたサポートを多数提供している。

そしてもちろんRoは、勃起不全(erectile dysfunction、ED)をターゲットとする男性の健康問題でも事業を拡大しようとしている。今やこのヘルステックユニコーンの売上の半分が、ED関連だ。

画像クレジット:Dadi

原文

(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hiroshi Iwatani)