【コラム】東欧のスタートアップは見過ごされ、過小評価されている?

ロシア語圏や東欧のテクノロジー系の起業家は、世界で最も技術力が高い人たちだと言われている。

例えば、Coursera(コルセラ)が発表した「2020 Global Skills Index(2020年グローバルスキル指標)」では、60カ国6500万人の学習者の中で、ロシアの学習者がテクノロジーとデータサイエンスの分野で最も高い能力を持っていることがわかった。また、起業家精神のレベルも高く、今なお成長を続けている。

彼らの技術的な能力や起業家としての才能に加えて、1つ疑問が残る。彼らは投資対象になりうるのか?

推定では、英国、欧州、米国などにおける主要な拠点で活動するロシア語圏および東欧の起業家は、すでに1万7000人ほどいると言われている。

多くの人が知らないだけで、成功した事例に、Telegram(テレグラム)、Revolut(レボリュート)、TradingView(トレーディングビュー)、PandaDoc(パンダドック)、Preply(プリプリ)などの有名企業がある。2019年だけでも、ロシア語圏の起業家が設立した企業は、合わせて125億ドル(約1兆3760億円)以上で米国の企業に売却された。最も主要な案件としては、Veeam(ヴィーム)のInsight Partners(インサイト・パートナーズ)への50億ドル(約5500億円)の売却、MagicLab(マジックラボ)の米投資運用会社Blackstone(ブラックストーン)への30億ドル(約3300億円)の売却、DXC Technology(DTXテクノロジー)のLuxoft(ルクソフト)の20億ドル(約2200億円)の買収などが挙げられる。

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Leta(レタ)の私たちのファンドは、2017年のBright Box HK(ブライト・ボックス HK)のZurich Insurance Group(チューリッヒ・インシュアランス・グループ)への売却や、WeWork(ウィーウォーク)によるセールス&マーケティングプラットフォームUnomy(ウノミー)の買収など、国際的な企業に買収されたスタートアップを支援してきた。

このような実績と成功にもかかわらず、東欧の起業家は、自国で活動していても、投資家に見落とされ、過小評価されていると思う。

ロシアの伝統というスティグマ

その理由は、文化的な違いの認識、理解、信頼、自信の欠如、そして悲しいことに、ロシアや東欧のネガティブなステレオタイプに煽られてのリスク回避など、数え切れないほど挙げられる。実際、多くの起業家は「西洋」の同業者と同じ土俵に立つために、自分の伝統や経歴をわざわざ控えめにしているほどだ。

最近、当社のアナリストが行った調査によると、ロシア語圏や東欧圏の起業家のかなりの割合が、投資家を惹きつけることができず、シード資金の調達に成功していないということがわかった。

また、シード資金、シリーズA、シリーズBの資金調達に成功した場合でも、米国の同業他社に比べて平均65%、英国やEUの起業家に比べて40%以上少ない資金調達額となっているという。従業員1人当たりの資金調達額は、米国と英国の平均よりも2倍近く少なく、買収案件の発生比率は、米国とEUの企業がそれぞれ17%と20%であるのに対し、これらの企業は約5%だ。

では、これらの企業は成功率が低い、あるいは成長特性が異なると考えてよいのだろうか?

いや、そのようなことはない。私たちの分析対象となった起業家や企業は、成長と投資家への利益還元という点で、十分な力を発揮している。同業他社と比較しても、特にシードやシリーズAの段階で力強い成長を遂げており、資金燃焼率も低く、投資をリターンにつなげる効率性も高い。

チャンスの宝庫

いくつかの成功事例があるにもかかわらず、東欧のスタートアップ企業の多くはまだ見過ごされ、過小評価されていると思う。投資家にとっては、これは未開拓の大きなチャンスだ。

私自身がIT起業家であり、幸運にも自分の財布からお金を出すことができる立場にあるので、自分が成功したように他の人が成功するのを手助けし、その過程で非常にエキサイティングな企業や型破りな技術を世に送り出すことが私の使命だと考えている。

私たちは、より多くの安心感と説得力を必要としている他の投資家と協力して、この重要でエキサイティングな未開拓分野の市場をよりよく理解し、導いていきたいと考えている。自分たちの分析と自分たちのファンドのパフォーマンスから、投資家に魅力的なリターンを提供できると確信している。

編集部注:本稿の執筆者Alexander Chachava(アレクサンダー・チャチャバ)は、シリアルアントレプレナー、投資家、テクノロジー関連の投資会社であるLETA Capitalのマネージングパートナー。

画像クレジット:Juanmonino / Getty Images

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(文:Alexander Chachava、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アップルとグーグルがロシアでの圧力に屈しクレムリン批判者の戦術的投票アプリを削除

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は、それぞれのロシアのアプリストアから、現在収監されているクレムリン批判者の団体が作った戦術的な投票アプリを削除した。

先にロイターは、ロシアの州が連邦選挙に先駆けて外国のテクノロジー大手への圧力を強めていると報じた。それらは「選挙妨害」という言葉を使って、米国企業がプーチン大統領の高名な政敵を検閲するよう主張していた。

米国時間9月16日のTwitterでは、Navalny(ナワリヌイ)氏の中心的な側近であるIvan Zhdanov(イヴァン・ジダーノフ)氏が、彼の団体はアプリを削除したことでAppleとGoogleを訴訟することを検討している、とツイートした。その検閲行為を「重大な間違い」という。

ジダーノフ氏はまた、チーム・ナワリヌイへのAppleの返答だという文書を公開した。その中ではテクノロジー大手(Apple)がクレムリンによる分類を引用して、ナワリヌイ派の団体を「過激派」グループと呼び、ソフトウェアの削除を正当化している。

Appleの開発者への通知の詳細のスクリーンショット。ジダーノフ氏のツイートより

AppleやGoogleは、事業を展開する国の「すべての現地法」を遵守すると日常的に述べている。

しかしロシアにおいて、その姿勢は、政治的な検閲行為に加担していることを意味する。

Appleは、戦術的投票アプリの開発者に送った取り下げに関する通知の中で、「ロシア連邦検察庁およびモスクワ市検察庁も、このアプリが選挙への干渉を可能にすることでロシア連邦の法律に違反していると判断したことに留意します」と述べている。

「アプリはロシアのApp Storeから削除されましたが、あなたがApp Store Connectで選択した他の地域のApp Storeではまだ利用可能です」とAppleは付け加えている。

TechCrunchは、ナワリヌイ氏のアプリの削除について、AppleとGoogleにコメントを求めている。

アプリ削除の公式の理由はFBKが過激派組織と認められたこと。FBKが過激派組織と認められたやり方は裁判に依らず常識に対する虐待に依っている。@googleと@Appleは大きな間違いを犯している。 下図下部はAppleからの通知本文。

またジダーノフ氏はTwitterで支持者たちに、戦術的投票のミッションにフォーカスするよう促している。Googleが保有するYouTube上でホストされている動画のリンクをツイートして、本日から日曜日まで行われる議会選挙で反プーチンの投票を行なう方法を、ロシア人たちに勧めることがミッションだ。

ナワリヌイ氏の支持者たちはロシア中の有権者を動員して戦術的投票をしてもらい、与党の統一ロシア党に勝つ可能性のある候補者への投票によってプーチンを失脚させることを望んでいる。

その戦術的投票という戦略に対して批判もある。挙げられている対抗候補者の多くが、反プーチン勢力としては弱すぎる、というのだ。

しかしそれでもナワリヌイ氏の支持者たちは、システムそのものに欠陥があることは受け入れざるをえない、と言っている。

AppleとGoogleは当初、ナワリヌイ氏の「Smart Voting」アプリの削除を拒否したが、その後、2021年8月になってロシアの州は、彼の組織によるウェブサイトへのアクセスをブロックしようとしていた。

また、Googleドキュメントも狙われたという説もある。それは、ナワリヌイ氏の支持者たちが戦術的投票の取り組みを組織化するために使っていたツールだ。

英国のiOSアプリストアでのSmart Votingアプリ(画像クレジット:Natasha Lomas/TechCrunch)

2021年9月初めのロイターの報道によると、ロシアの通信規制当局Roskomnadzorは、Smart Votingアプリを削除しないと罰金を科すとAppleとGoogleを脅迫した。それは、従わなければ選挙妨害と見なす、という警告だ。

またロシアのニュース報道によると、選挙の前夜にAppleとGoogleは連邦議会の会議に召喚された。プーチン政権はそうやって、彼の反民主的な命令を強制しようとした。

Kommersantの報道によると、テクノロジー大手2社は、ロシア連邦が彼らの事業に対する規制強化を準備している、と警告された。そして、彼らが「レッドライン」上にいるという警告がまたしても為され「正気に戻れ」と言われた。

それにより、ナワリヌイ氏のアプリの削除をプラットフォームに対して強制する彼らの土壇場の努力が、成功した。

最近ではRoskomnadzorは、この国のVPNアプリも削除しようとしていた。それにより、ロシア人が外国のストアからソフトウェアにアクセスしてナワリヌイ氏のアプリの禁制をかいくぐることを、困難にしたいのだ。

ロシアの検索大手Yandexも、検索結果にSmart Votingアプリが出ないよう強制された、といわれている。

2021年初めには、プーチン政権はTwitterも狙った。禁止したいコンテンツの削除に失敗して、サーバーの能力を落とそうとした。ただしRoskomnadzorの主張では、それは政治的コンテンツとは無関係で、青少年の自殺や児童の性的虐待、ドラッグの使用などが対象だった。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ロシアYandexがYandex SDGなどのUberの持ち株を1102億円で買収、4事業を完全に所有

ロシアのインターネットおよび配車サービス大手のYandex(ヤンデックス)は、Uber(ウーバー)が保有するYandex Self-Driving Group(SDG、セルフドライビンググループ)の株式、およびUberが間接的に保有するYandex.Eats(ヤンデックスイーツ)、Yandex.Lavka(ヤンデックスラブカ)、Yandex.Delivery(ヤンデックスデリバリー)の株式を取得した。買収総額は10億ドル(約1102億円)で、Yandexが4つの事業を完全に所有することになる。

Yandex SDGとは、Yandexが2018年にYandex.Taxi(ヤンデックスタクシー)とUberのロシア事業を統合する形でUberと共同で設立した、配車サービスとフードデリバリーのジョイントベンチャー(JV)であるMLU B.V.から自動運転の技術をスピンアウトした企業だ。その当時、Uberは新会社MLU B.V.に36.6%の出資を行っていた。2020年SDGが分離独立したときには、Uberはその18.2%の株式を保有することになったが。この持ち分が今回Yandexに買われたということになる。またYandexは、Uberが保有していたYandexのフードデリバリーサービス、ラストマイル物流サービス、15分コンビニエンスストア配送サービスの、合わせて33.5%の持分を買い取った。

関連記事:ロシアYandexがUberとのJVから自動運転事業をスピンアウト、159億円を新会社に投資

2019年当時にYandexとUberは、モルガン・スタンレーが約77億ドル(約8484億円)の価値があると見積もっていたMLUのIPOを検討していると報じられていた。Yandexは、自動運転技術のことを「配車サービス、eコマース、フードテック事業を含むYandexのエコシステムとの相乗効果が高い技術です」と評価している。よってYandexが、その成長可能性のすべてをコントロールしたいと考えるのは自然な話だ。2021年の第2四半期に、EBITDA前5億900万ドル(約560億7000万円)の損失を計上したUberは、有利なエグジットを求め、より身近なところに優先順位を置き直そうとしているのかもしれない。

関連記事:Uberがドライバーへのインセンティブ支払いによる第2四半期の赤字からの業績回復を計画

Yandexの広報担当者は「今回の買収により、Yandexは自動運転技術に対する戦略的管理能力と柔軟性をさらに高めることができます」とTechCrunchに語っている。「このことは、YandexとYandex SDGの両者にさらなる成長の可能性をもたらし、株主のみなさまに新たな価値をご提供することができるでしょう」。

今回の買収は、MLU B.V.とYandex SDGの合弁会社の大規模な再編の一環であるということが、月曜日(米国時間8月30日)にUberがSECに提出した書類に記載されている。それらは2段階で行われる予定だ。第3四半期末までに完了する予定の第1段階では、Yandexは、新たに再編されて配車サービスやカーシェアリングなどのモビリティ事業に注力する予定のMLUの4.5%の株式を新たに取得することになる。これにより、YandexはMLUの合計71%を所有することになるが、そのうち2.8%は従業員の株式報奨制度のために確保されている。また、Uberが保有していたSDGの株式18.2%も第1段階で売却される予定だ。

そして年内に完了する予定の第2段階には、Yandex.Eats、Yandex.Lavka、Yandex.DeliveryのMLUからの分離と、それに続くこれらの事業に対するUberの持分の取得が含まれている。

Yandexは、Uberが保有するMLUの残りの持分を、合意された範囲内での増額が織り込まれたおよそ18億ドル(約1983億円)程度の、期限2年の米国型(期限内にいつでも行使可)コールオプションとして受けとることも決めている。この数字は、もし2023年に行使されれば20億ドル(約2203億円)にまで増加する。またYandexは、2030年8月まで、ロシアおよびその他の国でUberブランドを独占的に使用する。

Yandexは、ロシアおよびその他の一部の国におけるUberブランドの独占的使用権に関する現行ライセンスを、オプションの行使を前提に2030年8月まで延長する予定なのだ。Yandexの株価は、火曜日(米国時間8月31日)の市場終了時に5.16%上昇した。

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画像クレジット:Alexander RyuminTASS/Getty Images/Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

ArtMarie via Getty Images

Googleとアップルが共同開発した新型コロナ接触通知APIは世界各国のアプリに採用され、日本ではAndroid版の「COCOA」が数か月にわたって事実上機能していなかった一件もありつつも、英国では6000人もの命を救ったと推計されています。

しかしGoogleとアップルの本国である米国では、このAPIを使ったアプリはほとんど失敗に終わったとの調査結果が発表されています。

米Business Insiderの調べによると、米国の多くの州ではアプリ開発さえ行われず、作られても利用率も低く、わざわざアプリに感染記録を残しているユーザーもほとんどおらず、まるで役に立ってないと判明したとのことです。

この報告では、連邦政府から個人に至るまで様々な失敗例が紹介されています。まず最初の問題は、ホワイトハウス(米行政府)が米国で共通の接触通知アプリを作らず、各州に委ねていたことです。

FTC(米連邦取引委員会)の元チーフテクノロジストは、個々の州にアプリ開発を任せたことが全国的な認知度を高め、ユーザーに検査結果を入力してもらう努力を妨げたのではないかと推測。さらに「もし連邦政府がシステムを支援し、このアプリや同種のアプリを全米に広く展開していたら、この数字(使用率)はおそらく大きく変わっていたでしょう」と述べています。

第2に、米国の約半数の州がそもそもアプリを開発しない道を選んだことです。サービスを利用できた28州および準州の人口は約1億8680万人。つまり、残り1億4150万人(全人口の43.1%)もの米国人が一切カバーされなかったわけです。

第3にアプリを展開した州でも、プロモーションや教育が不十分であったため、利用率が極めて低かったことです。一部の州では住民にサービスを検討してもらうことさえ困難であり、たとえばアリゾナ州では人口の1.3%しかアプリを導入しないまま、2021年7月にはプログラムを終了したとのことです。ほかミシガン州では住民の6.3%、ワイオミング州では0.69%(約4000人)しかアプリを入れなかったという低調ぶりです。

最後に、新型コロナの陽性反応が出た人々のうち、実際にアプリに記録した人はわずか2%でした。接触通知アプリは、陽性診断を受けた本人がアプリを通じて報告し、その人と濃厚接触した可能性のある人々に警告することが目的のため、98%もの陽性ユーザーが記録を付けなければまったく意味を成さないことになります。

これは同じAPIを使っている英国民保険サービス(NHS)のアプリでは、実に感染ユーザーの40%以上が報告していたこととは対照的ではあります。

米9to5Macは、多くの米国人が接触通知アプリを「自分の居場所や会った人を追跡している」と勘違いしていたと指摘。その原因のひとつは偽情報ではあるのですが、もう一つは政治家らが接触通知アプリを使っても安心だと説得するどころか、アプリの使用に積極的に反対していたためだと推測しています。

新型コロナワクチンについてもYouTubeで誤情報を拡散する動画がはびこっているほか、ロシアが自国製ワクチン売込みのために偽情報を広めているとの報道もありました

人類と新型コロナとの戦いは、一方で人流を減らしたりワクチン接種を進めるといった物理的な対策をしつつ、他方では反ワクチン主義者の出会い系アプリなど誤情報を抑止することも必須のため、いっそう困難となっているといえそうです。

(Source:Business Insider。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

ランサムウェアの脅威を過大評価か、2021年5月の米企業へのサイバー攻撃に対する身代金を米司法省がほぼ回収

米国時間6月7日の午後、米司法省は、米国でパイプラインを運営するColonial Pipeline(コロニアル・パイプライン)が2021年5月にロシアのDarkSide(ダークサイド)と呼ばれるハッカー集団側に支払った暗号資産の身代金のうち、大半を回収したと発表した。支払われた暗号資産がハッカーグループの所有する複数のアカウント間を経由した動きを追跡し、連邦裁判所判事の承認を得て、そのアカウントの内の1つに侵入できたことで回収に成功したものだ。

2021年5月、同社へのサイバー攻撃により、主要なパイプラインが閉鎖を余儀なくされ、それが元でガソリンの買い占めによる燃料不足が引き起こされた(加えて、内部サーバーのオーバーロードとやらが原因で、その後パイプラインが再度閉鎖されたため苦境に陥った)ことを考えると、身代金回収の発表は気味の良い話であった。

しかし、実績のある連続起業家であり、政府や企業への攻撃を追跡して、独自のメディア手腕を発揮するセキュリティインテリジェンス企業Recorded Future(レコーデッド・フューチャー)を創設したChristopher Ahlberg(クリストファー・アルバーグ)氏によると、米国人はダークサイドを最初から過大評価してきたという。先に行われたインタビューの中で、同氏はダークサイドの運営方法について詳しく説明している。インタビューはここから視聴できるが、長いので会話の抜粋を以下に紹介する。

TechCrunch(以下「TC」):貴社の技術的な取り組みを大まかに教えてください。

Christopher Ahlberg(クリストファー・アルバーグ氏、以下「CA」):当社で行っているのは、インターネットをインデックスすることです。インターネットに書き込まれたすべてのデータを、電子の動きまで含めて把握しようとしています。いわば悪質なハッカーの頭の中に入り、どこで活動しているのか、彼らがデータを送信し不正なインフラを運営しているネットワーク上で何が起こっているのかを突き止めようとしているわけです。また、悪質なハッカーがさまざまな興味深い場所に残した痕跡を妨害するようにもしています。

TC:どのような顧客をお持ちですか。

CA:国防総省から世界有数の大企業まで、全部で1000ほどです。おそらく、3分の1は政府関係、別の3分の1は金融関係、残りは輸送機関を含むさまざまな業種です。

TC:貴社が提供するのは、攻撃を予測するサポートですか。それとも、手遅れになった事態で何が起きたかを突き止めるのでしょうか。

CA:両方です。

TC:どうやって危険を察知していますか。

CA:まずは、敵つまり悪質なハッカーを理解することです。大きく分けて2つの括りがあります。サイバー犯罪者と敵対する情報機関です。

ここ1、2カ月の間に世界や我々が注目している犯罪者は、ランサムウェアギャングです。彼らはロシアのギャングです。「ギャング」と聞くと、大きなグループ集団をイメージしがちですが、(しかし)通常は1人か、2~3人です。こういったギャングの規模を過大評価することはありません。

(一方で)情報機関は、非常に装備が整っており、大勢の人が(関与)しています。(我々の仕事は)1つには敵を追跡すること、もう1つは彼らが運営するネットワークを追跡すること、最後に、オンプレミスで実際のシステムにアクセスしなくても、サイバー攻撃のターゲットとなりうる人物のデータを入手することです。これら3つを、すべて自動化された方法で行います。

TC:情報機関と、これらロシア系ギャングの連絡係の間に交信があると見ていますか。

CA:簡単にいうと、我々の見解としては、これらのグループがロシアの情報機関から毎日、毎月、あるいは毎年のように任務を受けているわけではないと思います。しかし、世界の一連の国々、ロシア、イラン、北朝鮮は少し異なりますが、中国でもある程度は、政府がハッカーの成長を後押ししていることが観察されてきました。主にロシアでは、サイバー犯罪が規制されることなく野放しになっています。そして徐々に、FSB(エフエスビー)、SVR(エスブイアール)、GRU(ジーアールユー)といったロシアの情報機関が、それらのハッカーグループから人材を引き抜いたり、実際に任務を与えたりするようになりました。公式文書を見ると、長い時間をかけて、情報機関とこれらのグループがどのように結び付き、手を取り合ってきたかが分かります。

TC:サイバー攻撃の後、ダークサイドがBitcoin(ビットコイン)や決済サーバーにアクセスできなくなり、シャットダウンすると言った際には、どう思いましたか。

CA:もし、あなたがこのハッカー攻撃を仕かけた人だとしましょう。その時には、おそらくコロニアル・パイプラインが何かを全然知らなかったでしょう。「やばい、米国のあちこちの新聞に取り上げられてしまった」と思ったでしょう。そして、ロシアでおそらく数本の電話がかかってきて「なんてことをしてしまったんだ、どうやって隠そう」と考えたはずです。

一番簡単なのは「私はやっていない」というか「もうそのお金は失われた、サーバーにアクセスできなくなった」ということです。ですから、私はあれはフェイクだったと思います。痕跡を隠すために全部行っていたと思います。(そう仮定すると)後で、別の方法を試みていたこともわかっています。私たち、米国政府がすぐにこれらハッカーに反撃できると過大評価していたと思います。純粋にそう思い込んだわけですが、そんなにすぐにはできないでしょう。もちろんこれは、政府の内部情報か何かを見て言っているわけではありません。

TC:DarkSide(ダークサイド)は、フランチャイズのように運営されていて、個々のハッカーがソフトウェアを受け取り、ターンキープロセスのように使っていると書かれていました。これは新しい流れですか。今後もっと大勢の人がハッキングに関わるようになると思いますか。

CA:その通りです。ロシア系のハッカーがすごいのは地下で分散する性質を持っていることです。「すごい」というのは少し皮肉も込めてですが、実際ランサムウェアを書く人たちもいれば、彼らが提供したサービスを使って、システムに入り込みハッキングをする人たちもいます。また、ビットコインのタンブリングを通じて、ビットコインの取引を行う人もいるでしょう。興味深い点の1つは、エンドゲームで現金を手に入れるには、これらの換金処理を通らなければならないので、最終的により洗練されたビジネスになることです。マネーミュールが関係している可能性もあり、そのマネーミュールを運営する人たちもいます。彼らの多くは、クレジットカード詐欺を行っており、カードが有効かを確認したり、どうやってお金を引き出すかを考えたりするなど、一連のサービスを提供しています。これには、おそらく20種類ほどのサービスが関わっているでしょう。すべて、非常に高度に特化されています。これが、彼らが成功を収めている理由であり、対応するのが難しい理由でもあるのです。

TC:彼らは利益を分けているのでしょうか。もしそうなら、仕組みはどうなっていますか。

CA:はい、利益を共有しています。かなり効果的なシステムが運営されています。支払い方法が存在するという点で、ビットコインが、これを可能にする大きな要因となっていることは明らかです。(しかし)eBay(イーベイ)の出品者のような、ランキングや評価システムも持っています。整備された地下フォーラムが存在していて、これまでずっと彼らの運営場所となってきましたし、もしサイバー犯罪者内で詐欺を働く人がいるとすれば、それを告発することができるようなサービスも提供されています。これはインターネットと同じです。なぜインターネットがうまく機能するのか、それは非常に広く分散しているからです。

TC:貴社の顧客以外でも、安全を守りたいと思っている方々に何かアドバイスがありますか。

CA:どの業界がランサムウェアの攻撃を受けているかを示す円グラフを同僚が作ってくれました。興味深いことに、20の異なる業界にわたり、攻撃は非常に幅広く分布しています。コロニアル・パイプラインに関しては、多くの人が「ああ、石油関係ね」と思ったかもしれませんが、ハッカーはそこまで業界を気にしていません。一番動きが鈍いターゲットを狙ってきます。ですから、簡単に攻撃できるターゲットにならないことが大切です。

多くの企業が、基本を守り、システムにパッチを行い、(加えて)アップデートを確実に行っているのは良いことです。危険にさらされないよう、インターネットに置いておく情報をできるだけ減らすことです。外界と接する表面積をできるだけ狭めてください。すべての事に、取り扱うものにはすべて、強力なパスワードと二要素認証を使ってください。

簡単に狙われないための10項目から成るチェックリストを用意しました。昨今の非常に高度なギャングに対応するには十分ではないので、さらにしっかりとした対策を講じる必要がありますが、チェックリストにある基本を押さえておけば、かなりの効果が見込めます。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:米司法省ランサムウェアハッカー暗号資産アメリカロシアRecorded Future

画像クレジット:Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

NFT(非代替性トークン)をフェミニストのために使うバンドPussy Riotが「サイファーパンク」の力を示す

最近では、誰も彼もが非代替性トークン(NFT)を販売しているように思われるが、 Pussy Riot(プッシー・ライオット)の創設メンバーであるNadezhda Tolokonnikova(ナジェージダ・トロコンニコワ)氏は、ハイプ・サイクルを超えた戦略を立てている数少ない人物の1人だ。

「私はその前から仮想通貨を使っていました」と、トロコンニコワ氏はTechCrunchに語り、プッシー・ライオットのメンバーが2015年頃からブロックチェーン技術に興味を持っていたことに言及した。「マーシャ(プッシー・ライオット創設者の1人であるMasha Alyokhina[マーシャ・アルヨキナ])は銀行口座の問題を抱えていました。彼女が銀行口座を開設する度に、政府はその口座を閉鎖してしまうのです。それは彼女がお金の一部を抗議活動に使っていたからです。今、彼女は自分のクレジットカードすら持つことができません」。

トロコンニコワ氏は2021年3月、グループの最新シングル「Panic Attack(パニック・アタック)」のために制作されたミュージックビデオを4部に分けたNFTを公開し、数千万円相当の資金を集めている。彼女によると、これらの利益は東欧にある社会的規範に違反した女性のための秘密のシェルターに寄付されるとのこと。

「この領域の女性は、いまだにモノとして扱われています。汚名の烙印を押されているのです。彼女たちの多くは同性愛者であったり、見知らぬ人に微笑むようなことをして、家族全員の恥とされています。もし、このシェルターの場所を公表したら、見つけて破壊しようとする人が出てくるでしょう」と、トロコンニコワ氏はいう。「活動家として、どの政府にもコントロールされていないツールを見るのはとてもエキサイティングなことです」。

今回のNFTの取り組みを、2021年5月にリリースが予定されているプッシー・ライオット初のスタジオアルバム「Rage(レイジ)」の宣伝と片づけることは簡単かもしれない。さらに、プッシー・ライオットが使用しているNFTプラットフォーム「Foundation(ファンデーション)」は、プッシー・ライオットを検閲したり、購入者がNFTを閲覧や取引することを困難にする可能性がある。暗号資産作品とそれに対応する仮想通貨の収益は、民間企業のプラットフォームではなく、クリエイターの個人的なウォレットに保持されている場合にのみ、検閲に耐えることができる。

一方、トロコンニコワ氏は「この技術への関心は長く続いている」と述べ、性差別的な権力構造を覆すために暗号ツールを活用する方法をすでに模索していると語る。プッシー・ライオットは、活動家に仮想通貨を寄付するだけでなく、フェミニストアーティストのEthereum(イーサリアム)取引手数料を負担するNFT奨学金プログラムを後援している。

「今のところ、活動家や政治的な芸術作品のためだけに使っています」と、彼女はいう。「プッシー・ライオットのコミュニティを教育するようなことにも使っています。私たちはNFTをより低価格で利用できるようにする方法を検討しています」。

アラバマ州バーミンガムでパフォーマンスを行うプッシー・ライオットのナジェージダ・トロコンニコワ氏(画像クレジット:David A. Smith/Getty Images)

その一方でプッシー・ライオットは、障害を持つ人々のためのアバンギャルドなファッションで知られるViktoria Modesta(ヴィクトリア・モデスタ)氏など、他のNFTアーティストとのコラボレーションも進めている。トロコンニコワ氏の視点によると、NFTは女性アーティストが伝統的なアートの世界から認知されるための方法を提供するという。プッシー・ライオットはパフォーマンスアートやデジタルアートを中心に活動していたため、従来のギャラリーやコレクターが彼女の作品を真剣に見ることはほとんどなかった。しかし今では、暗号化された作品によって、美術館ギャラリーが注目している。

「これは多くのアーティストにとって、キャリアの中で初めて、アーティストとして認識されるようになるという画期的な出来事です」と、トロコンニコワ氏は語っている。「以前は、プッシー・ライオットの一員として、講演料やイベントなどによる収益を、パフォーマンスアートの資金に充てていました。私はアートに対して直接お金をもらったことはありません。今はNFTの活動に集中し、真剣に取り組んでいます」。

NFTブームでブレイクしたスターの多くは、Beeple(ビープル)として知られるMike Winkelmann(マイク・ウィンケルマン)氏やTrevor Jones(トレヴァー・ジョーンズ)氏のように、従来の実績や長年のプロとしての経験を持つ白人男性だが、トロコンニコワ氏のような女性は、暗号資産のエコシステムで急成長しているセグメントだ。仮想通貨取引所の調査によると、集計されたユーザーのうち女性が占める割合は、地域によっておよそ15%から50%となっている。Metapurse(メタパース)やShe256Meta Gamma Delta(メタ・ガンマ・デルタ)などの組織も、女性のためのメンターシップや資金提供の機会を提供している。

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「Metapurseはすでにこのような活動を行っていますが、私たちは自分たちの小さな一歩を踏み出して、より多くの女性やクィアのアーティストをこのスペースに呼び込みたいと思っています」と、トロコンニコワ氏は言い、次のように締め括った。「それはクリエイターズマーケットというビジネスにすばらしいツールが提供されているということだと私は思います。これはアートのためだけではありません。クリエイターの力を高めてくれます」。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTロシア暗号資産

画像クレジット:Pussy Riot and AR creator Asad J. Malik

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(文:Leigh Cuen、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ロシアがTwitterの通信速度を制限、その意図は?

政府が自らコントロールできないオンラインコンテンツに攻撃を加える最新の事例として、ロシアは、Twitter(ツイッター)の通信速度を絞っている。同国のRoskomnadzor(ロスコムナドゾ、通信・情報技術・電子メディア・出版の政策立案および規制監督の総合機関)は、禁止されたコンテンツを削除していないソーシャルメディアに対応する措置を取ったと、現地時間3月10日に発表した。3000以上の違法な投稿が放置されていることを確認したと主張し、サービス全体のブロックを実施する可能性もあると警告している。

しかしながら、ロシアにおけるTwitterの全モバイルとデスクトップユーザーの50%の通信速度を遅くするというこの通信規制当局による行動は、ロスコムナドゾル自身のウェブサイトもしばらくの間、ダウンさせてしまったようだ。

また、ロシア政府のウェブサイトも、kremlin.ruを含め影響を受けたという報告も、ソーシャルメディア上を駆け巡った。

本稿執筆時点では、これらのサイトにはアクセス可能だったが、先程はロスコムナドゾルのサイトにアクセスすることができなかった。

ロスコムナドゾルがブロックしようとしたウェブサイトの代わりに、自分自身をブロックしてしまったことはいうまでもありません(しかし、このツイートから明らかであるように、もちろんTwitterはロシアでオンラインです)。

この件については@CodaStoryに書きましたが、あれからほとんど変わっていないようです。

ディープパケット検査技術でTwitterがブロックされたため、ロシア全体のインターネットの質が低下する可能性があります: https://t.me/itsmymedia/2345

ロシア国家機関とTwitter間の対立は、獄中の野党指導者Alexei Navalny(アレクセイ・ナワリヌイ)氏を支持する反汚職デモ参加者を、ロシアが取り締まろうとした時から始まっている。ナワリヌイ氏は、この数週間、デモ隊に街頭へ出て政権への圧力を強めるよう呼びかけてきた。

ロスコムナドゾルの声明では、政治的な反対意見を検閲するために国家が行っていることについては何も言及しておらず、Twitterの速度を制限したのは、未成年者の自殺、児童ポルノ、薬物使用に関連するコンテンツを削除していないためだと主張。したがって、それは「ロシア市民を保護する」ための行動であるとも主張している。しかし、政治的な反対意見を黙らせようとする言論統制法の厳しい適用は、Putin(プーチン)政権下のロシアでは何も新しいことではない。

ロシアの政権は近年、外国のソーシャルメディアサービスから気に入らないコンテンツを削除しようと何度も試みてきた。時には今回のように、技術的な手段でアクセスを制限しようとすることもある。

最も悪名高いのは2018年、ロシアがメッセージングサービス「Telegram(テレグラム)」へのアクセスをブロックしようとした時のことだ。このブロックが何百万もの(Telegram関連以外の)IPアドレスをダウンさせてしまったため、他のサービスまでも混乱に陥れ、現地のインターネットに大規模な巻き添え被害をもたらした。

2018年にはまた、Facebook(フェイスブック)傘下のInstagram(インスタグラム)が、ロシアからナワリヌイ氏によって投稿されたコンテンツを削除するように要請され、応じたこともあった。このことは現在収監されているナワリヌイ氏のツイートで明らかにされた。

関連記事:ロシアの圧力でコンテンツを削除、Instagramは応じたがYouTubeは見合わせ

ナワリヌイ氏は、2021年2月に執行猶予つきの刑の条件に違反したとロシアが主張したことにより投獄され、現在は獄中にいるが、この著名なプーチン批判者は、彼の公式Twitterアカウントを、汚職を非難するためのメガホンとして使い続けており、2020年自身が毒殺未遂にあったこと(この件はロシアのFSBが関与している)に続き、現在も不正に勾留されていることを訴えている。

ナワリヌイ氏のアカウントから投稿された最近のツイートには、ドイツの新聞社Bild(ビルト)が、ロシア国営メディアであるRussia Today(ロシア・トゥデイ)のドイツ語チャンネル「RT DE」への調査を強めたことなどが含まれている。Bild紙は、ナワリヌイ氏とその仲間を標的にしたドイツ人によるスパイ行為を非難している(当時、ナワリヌイ氏は毒殺未遂事件から回復するため、ベルリンにあるドイツの病院に滞在していた)。

BILDはRT DEがどのようにスパイ活動に利用されたかを伝えています。

この物語には続編があるのでしょうか?いつまでRTはドイツ語の放送局としてライセンスを保持していられるでしょうか?

Twitterのアクセス速度を低下させることは、ロシアがこのプラットフォーム上におけるナワリヌイ氏の批判的な発言にフタをしようとするための1つの方法だ。同氏による最近の投稿には、ロシア市民の税金が2021年の冬、プーチンと彼の取り巻きによって、ヨット、ウイスキー、モルディブの休暇のために使われたと主張する動画のリツイートも含まれている。

ナワリヌイ氏のアカウントはまた、最近数時間の間にツイートしており、ロシア国家が彼を毒殺しようとしたことに続いて、彼を刑務所に入れたことを糾弾し「この状況は殺人未遂と呼ばれるものだ」と言っている。

このような状況は殺人未遂と呼ばれるものです。

ノボシビルスク裁判所のナバルニー氏の入院に関する判決を不服として提訴

本稿執筆時点では、Twitterはロスコムナゾルの措置について、コメントの求めに応じていない。

しかし、2021年2月にインドでも政府に対する抗議運動(この場合は、市場の規制緩和撤回を求める農民によるもの)に関して憂慮すべき事態が発生した。Twitterはインド政府の圧力に屈して、反政府デモに関連したアカウントを含む500のアカウントを停止したのだ。同社また、特定の抗議ハッシュタグの可視性を低下させることにも同意した。

関連記事:Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

【更新】Twitterから以下の声明が届いた。

当社では、ロシアにおいて、コンテンツ削除の懸念から、Twitterが意図的に広範囲かつ無差別に速度低下の措置を受けているとの報道を認識しています。しかし、ここで明確にしておきたいのは、私たちは児童の性的搾取については、ゼロ・トレランス・ポリシー(一切寛容しない方針)を掲げていることです。自殺や自傷行為を助長したり、美化したり、奨励したりすることはTwitterの規定に違反します。非合法な行為や薬物の売買を含む違法行為のためにTwitterを利用することは認めていません。私たちは、世界中で開かれたインターネットを擁護するために尽力しており、オンラインにおける公共の会話をブロックしたり制限したりする試みが増えていることに深い懸念を抱いています。

関連記事:Twitterがインド政府からの「法的要求」を受け、同地の著名人アカウントを停

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ロシアTwitterSNS

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「アナ雪」のCG技術やGMのシートベルト開発研究を組み合わせて60年前のディアトロフ峠事件の謎に迫る

ディアトロフ峠事件は、史上最大級の「未解決事件」として知られている。1959年にウラル山脈の奥地で9人の遺体が発見されたが、これまで誰も納得のいく説明ができなかった。しかし、新しい研究では、さまざまな時代のシミュレーション技術を組み合わせ、この悲劇的な謎についておそらく最も信じがたいであろう物語に迫っている。

米国時間1月28日付でNature Communications Earth and Environmentに発表されたこの論文は、National Geographic(ナショナルジオグラフィック)に非常に読み応えのある要約が掲載されており、一読の価値がある(「科学が解決した…?」という酷い見出しが付けられているにせよ)。

基本的に謎は次のようなものだ。8人の学生と彼らのスキーインストラクターは、安全だと思われる(ホラート・シャフイル山、現地では別名「死の山」と呼ばれている)斜面にテントを張っていた。しかし、後にその周囲から損壊したテントや衣服を脱いだ遺体が発見された。その惨状は、雪崩に遭ったというだけでは説明がつかないように見えたし、そもそも雪崩が発生した証拠も可能性もないように思われた。

60年以上もの間、この事件はさまざまな推測や疑惑を呼んだ。特に当時のソ連政府による隠蔽工作があったように見えたためだ。2019年にこの出来事を再調査したロシア当局でさえ、納得のいく説明は得られなかったようだった。

そこに登場したのが、スイスのETHチューリッヒとEPFLという2つの非常に権威のある高度な技術研究所のAlexander Puzrin(アレクサンダー・プズリン)氏と Johan Gaume(ヨハン・ガウメ)氏だ。それぞれの理由でこの事件に興味を持った2人は、何が起こったのかをはっきりと解明する方法を調べ始めた。興味深い個人的なディテールとしては、次のようなことも書かれている。

この科学的な調査には、ロシア人であるプズリン氏の妻もひと役買っている。「私がディアトロフの謎に取り組んでいることを話したとき、初めて彼女は私を尊敬の眼差しで見てくれました」と同氏はいう。

……なんと言えばいいのかわからない。

何はともあれ、研究者たちはいくつかのアイデアに基づいて新しい仮説を立てた。第1に、斜面は見た目ほど浅くなく、雪崩が発生するための最小限度に近いこと。そして表面の雪を滑りやすくする基底層を持っていた。凍った風が質量を増し、グループが斜面を削ってテントを張った部分の下に滑り台ができた可能性がある。

次に、ガウメ氏は、非常にリアルな雪のシミュレーションが見られる映画「アナと雪の女王」の制作スタッフを訪ねた。同氏はディズニーの雪シミュレーションの専門家に会い、そのコードを使用・改変する許可を得て、雪崩がテントで寝ている学生たちを直撃したらどうなるかをシミュレートしてみた。そのシミュレーションによると、当時の救助隊が目撃したような惨状を引き起こすには、大型自動車ほどの大きな氷った雪の塊は必要ないことがわかった。

画像クレジット:Gaume, Puzrin / Nature

さらに彼らは、シートベルトの開発のために100体もの死体の肋骨を折ったGMの研究成果を利用した。ロシアの学生たちはスキーの上で寝ていたので、固いものに支えられた死体が衝撃を受けたとき、どのように反応するかを調べたこの研究に、極めて近いのではないかと彼らは提唱したのだ。その結果、通常の雪崩の被害者に見られるような窒息ではなく、あのような酷い怪我を負うことが考えられた。

すべては推測の上に推測を重ねたものだが、大事なことは、これらのさまざま合理的かつ客観的な尺度を組み合わせることで、プズリン氏とガウメ氏がディアトロフ峠の事故の原因が雪崩であった可能性を示したということだ。

しかし彼らは、多くの人がこの説明を受け入れないかもしれないと率直に認めている。「あまりにも普通すぎます」とガウメ氏はいう。そして、そのような人たちは、この事件から半世紀の間に生まれた陰謀や空想を、これからも追求し続けるだろう。しかし、それ以外の人にとっては、この説明が慰めになるかもしれない。このかわいそうな9人の仲間たちは、間違った時間に間違った場所にいただけだと信じられる理由になるからだ。

カテゴリー:その他
タグ:ロシア

画像クレジット:Gaume, Puzrin / Nature

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

FBIとNSAが米連邦機関で進行中のハッキングは「ロシア起源の可能性が高い」と述べる

米国政府によると、ハッカーは「起源はおそらくロシア人である」とし、少なくとも10の米国連邦政府機関と、FireEyeやMicrosoft(マイクロソフト)などのいくつかの大手テック企業数社のネットワークに侵入したという。

米国時間1月5日の共同声明の中で、FBI(連邦捜査局)、NSA(米国家安全保障局)、国土安全保障省のサイバーセキュリティ顧問部門であるCISAは、政府は「侵害の範囲を把握するための作業を続けている」が、今回の侵害は「情報収集のためである可能性が高い」と述べている。

声明によると、「進行中」だという。

声明では侵害された機関名は挙げられていないが、財務省、国務省、エネルギー省が影響を受けたと報告されている(FedScoop記事)。

「これは深刻なものであり、修正のための継続的かつ献身的な努力が必要である。『共同機関の取り組み』は、我々のパートナーや米国国民との情報の調査、修正および共有のために必要なあらゆる行動を取り続ける」と声明では述べられている。

大規模なスパイ活動のニュースは、通常はサイバー攻撃の被害者が最初に電話をかけるサイバーセキュリティ大手のFireEyeが、同社のネットワークが侵害されていることを発見した後の2020年12月初旬に飛び込んできた。その後すぐに、いくつかの政府機関にも侵入があったことが報告されている。

被害に遭ったのはすべて米国のソフトウェア企業であるSolarWindsの顧客で、同社のOrionネットワーク管理ツールは、米国政府やフォーチュン500企業で使用されている。FireEyeによると、ハッカーらはSolarWindsのネットワークに侵入し、汚染されたソフトウェアのアップデートを顧客にプッシュしたことで、彼らはそのアップデートをインストールした数千社の企業や機関に簡単に侵入できるようになっていたという。

約1万8000人の顧客がバックドアが設けられたソフトウェアアップデートをダウンロードしたが、政府の共同声明によると「システム上でのハッカーによる追跡活動で危険にさらされた数ははるかに少ない」と考えているハッカーのシステムの処理によって被害を受けた人数ははるかに少ないとのことだ。

複数の報道機関がこれまでに報じたところによると、ハッキングはロシアの諜報グループ「APT 29」、または「Cozy Bear」によって行われたという。その中には、新型コロナウイルスのワクチン研究を盗もうとしたことも含まれている

今回の共同声明は、政府が選挙運動の背後にいる可能性が高い人物を初めて認めたものになる。

ロシアはこれまで、ハッキングへの関与を否定していた。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:ハッカーアメリカロシアサイバー攻撃FBINSA

画像クレジット:Bronte Wittpenn/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米司法省がロシア人ハッカーグループを起訴、ウクライナ停電事件とランサムウェアNotPetya関与の疑い

「世界一破壊的なマルウェア」(2015年12月のウクライナ電力網停止および2017年のNotPetyaによる世界的ランサムウェア攻撃を含む)を流布させた罪に問われているロシア諜報員6名が、米国司法省に起訴された。

検察は、ロシア GRU(参謀本部情報総局)で働くそのハッカーグループは「単一グループによる史上最悪の破壊的破滅的コンピューター攻撃」の首謀者であるという。

「わずかな戦術的優位性と悪意の感情を満足させるために、ロシアほど自国のサイバー能力を悪意をもって無責任に兵器化し、前例のない被害を理不尽に与えてきた国は他にない。本日10月19日、司法省はロシア諜報員らを、NotPetyaマルウェアの流布を含め、単一グループによる史上最悪の破壊的かつ破滅的コンピュータ攻撃を犯した罪で起訴した。このような振る舞いをした国が、今後偉大さを取り戻すことはないだろう」とJonh Demers(ジョン・デマーズ)司法次官補(米国国家安全保障担当)は語っている。

告発されたロシア諜報員6名(画像クレジット:FBI提供)

米国時間10月19日に発表された罪状によると、ハッカーグループはKillDiskおよびIndustroyer(別名Crash Override)を使って攻撃を仕かけ、ウクライナの電力供給源を標的にして破壊した結果、数十万の人々がクリスマスの2日前に電気のない生活を強いられた(ZDNet記事)。

検察はさらに、ハッカーグループは2017年に世界中に蔓延し、数十億ドル(数千億円)の被害を与えたランサムウェア攻撃、NotPetyaの首謀者であることも付け加えた(WIRED記事)。

またハッカーらは、2018年に韓国で開催された平昌冬季オリンピックの開会式中にインターネット接続を遮断する目的で作られたOlympic Destroyerを使ったとも言われている(NJCCICリリース)。

検察当局は6人のハッカーに対して、2017年のフランス選挙で「hack and leak」作戦を実行し(未訳記事)、当時大統領有力候補だったEmmanuel Macron(エマニュエル・マクロン)氏の信頼を傷つけようとしたことや、2018年の英国ソールズベリーにおけるロシア製神経剤ノビチョクの使用(未訳記事)および元ソビエトのジョージアを標的とした攻撃の調査を担当していた化学兵器禁止機関および英国の国防科学技術研究所に対する標的型スピアフィッシング攻撃の実行についても責任を追及している。

FireEye Mandiantの情報分析ディレクターであるJohn Hultquist(ジョン・ハルトキスト)氏は一連の罪状について、「これまで私たちが目撃した最重要なサイバー攻撃事象の多くが掲載されたリストのようだ」と語った。

容疑者のハッカーは、Yuriy Sergeyevich Andrienko(ユーリー・セルゲイビッチ・アンドリエンコ、32歳)、Sergey Vladimirovich Detistov(セルゲイ・ウラジミロビッチ・デティストフ、35歳)、Pavel Valeryevich Frolov(パベル・ヴァレリーヴィチ・フロロフ、28歳)、Anatoliy Sergeyevich Kovalev(アナトリア・セルゲイ・コバレフ、29歳)、Artem Valeryevich Ochichenko(アルテム・ヴァレリエヴィッチ・オチチェンコ、27歳)およびPetr Nikolayevich Pliskin(ペトル・ニコライエヴィチ・プリスキン、32歳)の6人で、いずれもハッキングの共謀、有線通信不正行為の実行、およびコンピュータ破壊など7件の訴因で告発されている。

容疑者らはロシアにいると見られている。しかしこの告訴は「ネーム・アンド・シェイム(氏名公表)」を目的とするもので、ここ数年、逮捕や身柄引き渡しが困難あるいは不可能である場合に司法省検察当局がよく用いている方法だ。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:米司法省ロシアマルウェアハッカー

画像クレジット:AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロシアの衛星兵器テスト疑惑で明確化する宇宙軍事化の証拠

米国宇宙軍は、ロシアが軌道上の既存探査機を使って実施していると疑われている衛星攻撃兵器(Anti-Aatellite Weapon)テストに関する詳細を発表した。問題のロシア探査機は2020年始めに米国のスパイ衛星を追尾している見られたことで大きく取り上げられたのと同じものだ。宇宙軍によると、その同じ宇宙船が何らかの投射物を発射し、現在地球軌道を周回している物体を監視していると見られている。

米国宇宙軍のJohn Raymond(ジョン・レイモンド)宇宙作戦部長は、The Vergeの取材に対して「『ロシアが宇宙ベースのシステムの開発、テストを続けている』こと、およびそれが米国および同盟国の宇宙資産を危険に晒す戦略を追及しているさらなる証拠である」と語った。

宇宙の軍事化は新しい話ではなく、あらゆる方面のあらゆる部隊が攻撃、防御両方の宇宙兵器技術の開発を追究している。考えられる最大のリスクの1つが、今回のように衛星から発射して他の衛星を破壊する兵器であり、地上の通信、諜報、監視など、あらゆる軍事行動の命令、制御に使用されている重要な宇宙基盤を破壊する可能性がある。

宇宙の軍事化に関して米国を悩ましているのはロシアだけではない。4月にインドが行ったテストで、同国は地対宇宙衛星破壊ミサイルシステムを誇示したが、NASA長官はこれを「人間の宇宙飛行と相容れない」ものとして否定した。もちろんこの種の能力を明らかにしたのはインドが最初ではなく、米国、中国、ロシアいずれも同様のテストを実施している。

軌道対軌道攻撃兵器によるリスクの高まりは、米国を始めとする各国軍隊の宇宙内資産の優先度に劇的な影響を与えた。例えば、米国防総省および他の米国防衛・情報機関は、従来利用してきた膨大なコストがかかる巨大な地球同期衛星への依存度を減らし、冗長性を内包する低地球軌道で動作する機敏な衛星群へと転換しているようだ。彼らは商用小規模打ち上げスタートアップにも積極的な投資を行っており、SpaceXなどの既存ロケット企業以上に迅速な軌道ロケット打ち上げサービスの提供を期待している。

宇宙の軍事化に関しては声高な批判者が数多くいることは明白だが、その膨大な戦術的優位に期待する世界の超大国が巨額を投じている事実は変われない。この種のテストの頻度は社会的注目の高まりを踏まえると、中でも米国にとっては、創造的で高度なソリューションを提供できる民間セクターの支援を大いに期待できる分野である。

画像クレジット:Erik Simonsen / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook