近隣の小売り店舗の回帰など、意外な2021年の米不動産業界のトレンド

パンデミックにより、誰もが予想していたよりも早く、リモートワークやオンデマンドデリバリーが日常的なことになった。世界がパンデミックから抜け出そうとしている今、「場所」は1年前ほど重要ではなくなった。

現代社会は、超高層のオフィスビルや高級マンションが立ち並ぶ洗練された大都市を生み出した。そして今、これらの都市の中心で活躍していた人々は、ポストパンデミックの世界での都市のあり方を考えている。

ここでは取材を元に、不動産のプロパティテクノロジーに注目する10人のトップ投資家がどのように未来を見据えているかを探る。

投資家らは総じて楽観的だ。というのも、本来なら氷河期にあるはずの不動産業界では、不動産テックが将来不可欠なものになると考えているからだ。しかし、少なくともパンデミック以前の戦略を知る者からすれば、オフィス分野は最も見通しが難しいようだ。

投資家らは、リモートワークが将来的に重要な役割を担うと考えており、郊外や比較的小さな都市での住宅需要が引き続き高いと予測している。そして、一戸建て住宅の販売や賃貸などの分野に焦点を当てたフィンテックやSaaS製品を特に高く評価している。多くの投資家は大都市への投資を続けているが、代替住居(敷地を共有する付属住宅ユニット)や気候関連のコンセプトを中核に据えている。

最も意外だったことは、一部の投資家が小売りのリアル店舗に期待していることだ。最新のデータを見れば、それも納得できる。大げさに聞こえるかもしれないが、地方の小規模ビジネスにとっては、より良い時代を迎えているのかもしれない。詳細は後にしよう。

オフィスがより贅沢品となるとき

パンデミックと既存のトレンドが相まって、オフィスの賃借人は「より高級品の消費者に近くなった」と、Bain Capital Ventures(ベインキャピタル・ベンチャーズ)のベンチャーパートナーであり、古くからの不動産テック投資家および不動産事業者であるClelia Warburg Peters(クレリア・ウォーバーグ・ピーターズ)氏はいう。

「1950年代以降、優位な立場にいた」家主は、これからはテナントを第一に考えなければならないと同氏は言い「賢明な家主は、単に物理的なスペースを提供していれば良かったものが、テナントにマルチチャネルのワークエクスペリエンスを提供していかなければならないというプレッシャを感じているだろう」と続ける。

それには、複数のオフィスを行き来する従業員を管理するためのソフトウェアやハードウェアなど、具体的な付加サービスが含まれる。しかし、今日の市場では、新たな姿勢が求められている。同氏は「これらの資産は、テナントのニーズに応えることを重視した、より人間的な関係の中で提供される必要がある」とし「リース期間は必然的に短くなるため、テナントに対してこれまで以上に積極的に売り込み、サポートしていく必要があるだろう」という。

こういったオフィス環境の変化は、郊外では供給側に有利に働く可能性がある。

MetaProp(メタプロップ)のZach Aarons(ザック・アーロンズ)氏は「都市部に本社のある企業は、従業員にスペースを提供しなければならなくなるだろう」と語る(同氏の会社は、この分野に関して非常にポジティブなレポートを発表したばかりだ)。しかし、多くの企業は「時折、従業員が家を出て働く必要が生じたとしても、電車で1時間もかからないよう、郊外に何らかの代替オフィスも提供したいだろう」という。

そして「メタプロップチームの多くのメンバーが前職で行っていたように、今でも(資金提供ではなく)実際に不動産の購入をしていたとしたら、郊外のオフィスの購入を積極的に検討していただろう」と付け加えた。

ほとんどの人が、リモートワークは今後根づいていき、将来的にオフィススペースのあり方に影響を与えると考えている。

Wilshire Lane Partners(ウィルシャー・レーン・パートナーズ)の共同設立者でマネージングディレクターのAdam Demuyakor(アダム・デムヤコール)氏は、概して大都市には強気だが、スタートアップ企業自身がすでに特定の場所から移転しつつあると指摘する。これは重要な先行指標であるとTechCrunchは考えている。

「この1年を振り返って興味深かったのは、パンデミックによって地理的な柔軟性を得たことで、スタートアップ自身がどのように進化し始めたかということだ」と同氏は語り「以前は、スタートアップ(特に不動産関連のスタートアップ)は、顧客や見込みのある資金源、人材の集まる場所の近くに「本社」を置かなければならないというプレッシャーを感じていた。しかし、ここ数カ月でこうした変化が見られるようになった」と述べる。

実際、筆者の元同僚で、現在はInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)のパートナーであるKim-Mai Cutler(キム-マイ・カトラー)氏は、同社のポートフォリオ企業に対して定期的に行っている最近の調査で、こうした傾向を明らかにしている。パンデミックが始まった頃、創設者が会社を設立したい場所の1位はまだベイエリアだった。今では、リモートファーストが1位になっている。一方、投資先の企業では、リモートファーストか、本社を小さくして遠くにオフィスを置くハブ&スポークモデルのどちらかに移りつつある。何らかのオフィスを維持している企業は、週5日よりも大幅に少ない日数しか使われていないと答え、また、3分の2近くの企業が、勤務地による給与調整は行わないと回答している。

これは小さなサンプルだが「スタートアップは(a)効果的なリモートワークに必要なテクノロジーの活用に長けていることが多く、(b)同時に、人材獲得のための激しい競争にさらされている。そのため、パンデミックが過ぎ去った後、スタートアップの動向を観察することで、『仕事の未来』がどのようなものになるか推測できるだろう」とデムヤコール氏はいう。

一部の(大きな融資を受けている)家主や(大きな予算を持っている)大都市は、オフィスの再配置を早急に進めており、一部の大企業はオフィススペースを増設したり、現在の所在地へのコミットメントを改めて明確にしたりしている。

そういった努力に加え、直にネットワークを築きたいという自然な欲求が、産業クラスターを元に戻し、人々を以前の場所に引き戻すことになるのかもしれない。ともすれば、以前の100%近くまで戻るかもしれない。その場合、それはどういったものになるのだろうか。

RET Ventures(RETベンチャーズ)のパートナー兼マネージングディレクターであるChristopher Yip(クリストファー・イップ)氏は、このようなシナリオでは、パンデミック時のような傾向が持続するだろうという。そして「公衆衛生への配慮に敏感になった人々は、大量輸送機関より自動車や自転車などの単独の交通手段を好んで使うようになり、駐車場関連やバイクシェアリングのテックツールが伸びる可能性がある。また、不動産管理の観点からも、タッチレステクノロジーやセルフリースを可能にするツールに消費者の関心が高まり、密集した環境での生活をより快適に、より健康的にするテクノロジーが増えていくだろう」と同氏は続ける。

もう1つのシナリオとして「多くの仕事が完全なリモートであり続ける場合」を挙げる。

同氏は「理論的には、小売店やオフィスビルは、経済的構造上苦しい状況が続く可能性があり、ある地域の政府関係者からは、オフィスビルを手頃な価格の住宅に転換するという話も出ている」と実情を話し「都市の市場の空室率が高いままであれば、住宅に対する需要が高くない市場でも家主がホテルタイプの滞在から収益を得ることができるAirbnb(エアビーアンドビー)Kasa(カーサ)のような短期賃貸プラットフォームへの需要が高まるだろう」と語る。

Fifth Wall(フィフスウォール)のパートナーであるVik Chawla(ヴィック・チャウラ)氏は、中間的なシナリオを描いている。「大都市はパンデミック後も知識労働者や優秀な人材を惹きつけると思うが、リモートワークが労働経済にとってますます重要な要素となり、オフィスとそれ以外の場所で過ごす時間の中で柔軟性が増すと予想している」。

これはやはり、ある種の長期的な価格の下落を意味する。「都市レベルでは、需要の減少により、パンデミック前の水準に比べて賃料は右肩下がりになるはずだ」と同氏は主張する。「そうは言っても、パンデミックを通して成長を遂げた都市の不動産エコシステムは、イノベーションの時期を迎え、それに伴い、住宅密度、ADU、モジュラービルディング技術の増加が見られるだろう」。

DreamIt Ventures(ドリームイット・ベンチャーズ)で都市開発テック部門のマネージングディレクターを務めるAndrew Ackerman(アンドリュー・アッカーマン)氏も、商業オフィスの価格はそのうち緩やかに下落し、その後、スペース管理に関する複雑な問題が発生すると見ている。

「仕事が平常に戻ることは、オフィスの終焉ではなく、より柔軟なワークアレンジメントをもたらすだろう。しかしそのことで、今後5年から10年で賃貸契約が更新されていく間に、オフィススペースの需要は壊滅的ではないものの、徐々に減少していくことになる。問題は、その後、余ったオフィススペースをどうするかということだ」。

「オフィスを住居へ転換することはなかなか厄介だ」と同氏は言い「レイアウトが一番の制約だ。最近のオフィスの多くは、窓がなく内部に深い空間を持っており、再利用することを難しくしている。たとえ、狭いレイアウトであっても、構造的な要素が住居には適さない場所にあることが多い。水道管やガス管を適切な場所へ移すために、建物のコンクリートに何千もの穴を開けるのは大変な作業だ」と説明する。

これは、まだ価値のある物件の新しいタイプの利用法につながりそうか、と問うと「共同生活やマイクロユニットがより魅力的な転用方法かどうかというのは、今調査している分野の1つだ。オフィスの休憩室やビル内側の大部屋を、共有のキッチンやダイニングエリア、そしてレクリエーションや仕事のためのフレックススペースに変えれば、多額の費用をかけて改装しなくても、ビル内部の深いスペースを再利用できるかもしれない。また、配管のルートをあまり変更する必要がないのであれば、時間とともに変動するオフィスや住居スペースに対する市場の需要に応じて、個々のフロアを転換することも(さらには元に戻すことも)可能かもしれない」と同氏は答えた。

投資家10人全員が、オフィス自体に対する見通しが強気か弱気かは別にして、(当然のことながら)不動産テックは次の時代の大都市の中核をなすものだと考えている。

住宅の新たな均衡

パンデミックの間、ほとんどの場所で住宅の供給は大幅に制限され、購入を希望する人が増え、売却を希望する人は減った。今まで注目を集めていた都市で、賃貸価格が大きく下落していることとは裏腹だ。

住宅問題とそのソリューションの1つとして共同生活に注目しているウィルシャー・レーンのデムヤコール氏は「パンデミックにもかかわらず、ミレニアル世代やZ世代にとって、現在の賃金水準では、物件の価格が最も高い都市(ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスなど)は依然として高嶺の花だ」という。そして「そのため、大都市での生活のコスト負担を軽減するための物件やソリューションに対する需要は、今後も継続すると考えている。例えば、その中核として、共同生活は経済的に1つの判断となるだろう。住みたい場所に住むことをより容易にするソリューション(ADUもその一例だ)は、今後も発展していくだろう」と続ける。

Camber Creek(キャンバー・クリーク)のマネージングディレクター兼ゼネラルパートナーであるCasey Berman(ケイシー・バーマン)氏は「都市がより充実した生活、仕事、遊びを求める人々を惹きつけ続けるのは、そういった体験を実現する住宅密度と機会を提供しているからだ。このような事実がある限り、その欲求を満たす都市空間と不動産に対する新たな需要が生まれるだろう」と主張する。

また同氏は、密度の高い生活をより安全に、より便利にする製品やサービスに投資しており「そのためのソリューションがますます普及していくことを期待している。Flex(フレックス)は、オンラインによる分割払いでテナントの賃料の管理と支払いを容易にし、それに伴い、家主にとっては期日通りに支払いを受ける可能性が高まる。Latch(ラッチ)の入退室管理システムは、新築の集合住宅の10棟に1棟の割合で導入されている。また、この1年で多くの人がペットを購入した。PetScreening(ペットスクリーニング)は、ペットが介助動物や支援動物の場合、ペットの記録の管理と確認を容易にする」と述べる。

Picus Capital(ピカス・キャピタル)のパートナーであるRobin Godenrath(ロビン・ゴーデンラス)氏とJulian Roeoes(ジュリアン・ルーエス)氏は、おおむねこの視点を共有しており、都市での新しい生活スタイルが、人々の暮らし方により根本的な変化をもたらす可能性があると述べている。

「柔軟な生活ソリューションにより、リモートワーカーは短期か長期かにかかわらず、都市生活のために完全に管理された手頃な価格の安全な賃貸オプションを使って、さまざまな都市で時間を過ごすことができる」と両氏はいう。そして「一方で、商業施設から住宅への転換は、単位面積あたりの価格を下げる効果があり、長期的に戻ってくる居住者がよりゆとりのある空間を購入できるようになる。共同生活は集合住宅を高密度化するが、リモートワークへの移行が進むことによる仕事での社会的交流の希薄化を考慮すると、私生活におけるコミュニティの重要性が増すため、今後も興味深い分野だと考えている」と述べる。

しかし、現代の不動産テックは、長期的には郊外やその他の地域も魅力的にしていると多くの人がいう。生活の役に立つすばらしい新技術は、あらゆる場所に導入することができる。

不動産テックは、新たな郊外ブームの火付け役にもなっている。「都市部への回帰の傾向が続いており、郊外型の生活への需要が高まっている」と両氏はいう。「不動産テック企業は、特に住宅の売買や賃貸の取引プロセスをデジタル化することで、このシフトを可能にする重要な役割を果たしている(iBuyer、代替融資モデル、テクノロジー対応仲介業者など)。さらに、不動産テック企業は、遠隔鑑定、3D / VR映像、デジタルコミュニケーションなどにより、物理的なやり取りの低減にも関与しており、パンデミックの間も住宅の購入者と販売者の効率的かつ安全な取引に大きく貢献している」。

最終的には、都市部の価格帯をより手頃にするテクノロジーが、郊外でも同様に役立つだろう。「当社は、住宅売買プロセスのデジタル化が加速していることに加え、郊外型住宅への需要が大幅に増加していることや、買い手のプロファイル(テクノロジーに精通したミレニアル世代など)が進化していることから、建設、交通の便、ライフスタイルなどの面で、不動産テックが郊外の生活に大きな影響を与える多くの機会が広がっていると確信している。これには、賃貸専用住宅の建設、モジュール型住宅の建設、低価格住宅、コミュニティの構築、デジタルアメニティなどに注力する企業が含まれる」と両氏は述べる。

インタビューを行った投資家の多くは、一戸建ての賃貸市場のトレンドを重視していた。再びRETのクリストファー・イップ氏の見解に戻る。

同氏は「過去10年間注目されなかったトレンドの1つに、一戸建て賃貸(Single-Family Rental、SFR)市場の成長がある」とし「多くの大手投資家がこのアセットクラスに参入している。SFR市場は都市部からの移住の恩恵を受けることができ、SFRを支えるテクノロジーは業界全体にポジティブな波及効果をもたらすだろう」という。

また「SFRの物件は、効率的かつ大規模に運営することが特に難しい。多世帯住宅と比較して、多種多様なレイアウトのユニットがあり、地理的にも分散している」と同氏は説明する。そして「テクノロジーによって、SFRの運営者はオペレーションとメンテナンスを合理化できるようになった。SmartRent(スマートレント)のようなスマートホームツールを使えば、分散した物件をリモートで監視し管理することができる。当社はこの分野を有望視しており、この市場で効果を上げる不動産テックツールに注目している」と述べる。

ドリームイットのアンドリュー・アッカーマン氏も同意見だ。「一戸建て市場は軽んじられてきたが、ここしばらく、資産と不動産テックの両方の観点から、徐々に関心を集め始めている。例えば、パンデミック前には、NestEgg(ネストエッグ)Abode(アバウド)など、この業界のエコシステムにサービスを提供するスタートアップに投資していた。新型コロナウイルス感染症はこれらのスタートアップにとって良い方に働き、概して一戸建て住宅の物件が注目を集めた」と同氏はいう。

Urban.us(アーバン・ユーエス)の共同設立者であるStonly Baptiste(ストンリー・バティスト)氏とShaun Abrahamson(シャーン・エイブラハムソン)氏は、共同生活や短期賃貸などの選択肢により人々が新しいライフスタイルを見つけることができ、地理的な自由度が増した世界が広がっていると考えている。「共同生活はコスト面だけでなく、コミュニティとのつながりという見過ごされてきた重要な問題を解決してくれるので、Starcity(スターシティ)のようなポートフォリオ企業は非常に成長している。また、ノマド的なライフスタイルが生まれる余地もある。マイアミについて話されることの多くは、移住についてだが、多くの場所にとって関心の高い問題は、人々が1年のうち何カ月をそこで過ごすかということだろう。つまり、リモートワーカーから見れば、例えばマウンテンバイク、サーフィン、スノーボードなど、特定のアクティビティにアクセスしやすい場所になるかもしれない。スターシティは都市間の移動を容易にし、Kibbo(キボ)はバンライフを中心としたコミュニティを構築することで、都市を超越したサービスを提供している」と両氏は語る。

ベインキャピタル・ベンチャーズのクレリア・ウォーバーグ・ピーターズ氏は、こういった変化が郊外不動産市場に与える影響を次のようにまとめている。

「住宅取引の混乱は、現在、iBuyers(インスタントバイヤー、売主から直接住宅を購入し、最終的には売主として物件を再販する)、ネオブローカー(一般的にエージェントを雇用し、権原ローンや権原保険などの二次サービスを利用して収益を上げる)、エリートエージェントツール(トップエージェントに焦点を当てたプラットフォームやツール)の3つのコアカテゴリーに落ち着いている」。

こういったイノベーションの組み合わせは、今までの住宅用不動産を変えつつある。「消費者は、ホームエクイティーベースの融資モデル(自宅を株式化して販売したり、自宅の完全な所有権を時間をかけて購入したりする)など、代替的な金融手段の活用にますます積極的になっている。このような新しいモデルの成長と普及により、住宅市場全体が統合され、仲介業者の販売手数料や、住宅ローン、権原保険、住宅保険の販売による手数料が、機能的に1つの大きな、そして絡み合った複雑な市場となっている」と同氏は語る。

近隣の小売店の驚くべき復活

人は、にぎやかで歩きやすい地元の店が並ぶ昔ながらのメインストリートのような雰囲気が好きなようだ。しかし、独立した小売店をやりくりしようとしている人々には難しい状況が続いている。

Amazon(アマゾン)をはじめとする90年代に登場した「Eテイラー(電子小売業者)」などの電子商取引は、薄利の従来型小売業に打撃を与えた。さらに最近では、アートギャラリーや高級レストラン、ブティックなどが多くの都市でジェントリフィケーション(富裕化)の前兆となっている。そういった場所ではより高い賃料を払える借り手が増えたため、小売業店舗の家主が積極的に賃料を値上げし、結果的に一等地では家賃が払えない店舗が続出することになった。

パンデミックの影響で地元の店が閉まっている間に、得意客さえもオンラインで注文するようになり、決定打となったようだ。

しかし、複数の投資家が妙に楽観的な見方をしている。パンデミックは1年以上にわたって社会・経済活動に大混乱をもたらしたが、ほとんどの人が、実生活において小売店の存在は現代生活に欠かせないものだと認めている。

「人間は基本的に社会的な動物であり、安全に人と会えるようになれば、誰もが直接対面での交流を求めるようになると考えている。さらに、週5日のオフィスワークからの解放は、自宅でも規律正しいオフィス環境でもない、『第3の空間』への欲求を高めることになるだろう」とピーターズ氏はいう。

「商品を販売することよりも、顧客が実際に商品を手に取りウェブサイト以上にブランドコンセプトを体感できる環境を整えることに重点を置く、『Apple Store』のような小売店が今後も増えていくだろう。パンデミックが終わる頃には小売店の賃料が大幅に下がっていると予想されるため、新型コロナウイルス感染症以前よりもさらに実験的な試みが行われると考えられる。小売業にとっては非常に興味深い時代になるだろう」。

小売関連のテクノロジーを専門に投資しているか、第3の空間のアイデアに広く投資しているかにかかわらず、他にも、複数の投資家がこの視点で見解を述べている。

「小売業が10年以上前から変化しているのは事実だ。eコマースで普通に買えるものは、書籍や衣料品だったものが今では惣菜や食料品にまで拡大している。また、パンデミックがeコマースの成長を加速させ、リアル店舗の小売業が損失を被っているのも事実だ」とRETのイップ氏はいう。そして「しかし、人はやはり人間であり、直接会って交流することを求めている。たとえ都市の完全な立ち直りまで時間がかかっても、大都市にはかなりの数の小売店を支える客足があり、ポップアップショップのような革新的なモデルを導入することで、空き店舗の問題に対処できるだろう。また、大衆市場では、小売業に対する信頼がまだあることも留意する必要がある。主要なREITは2020年初頭から半ばにかけて苦戦したものの、多くは大幅に回復しており、いくつかは実際にパンデミック前の数値を上回っている。小売業にとってはひどい10年であり、この1年は最悪の年だったが、このセクターの幕を引くにはまだ早すぎる」と述べる。

ピカスのゴーデンラス氏とルーエス氏によると、映画館は、パンデミック後に一般市民の生活が一斉に再開された場合の成功を待ち構える小売セクターの一例に過ぎないとのことだ。

「ショッピングセンターの目玉テナントである映画館は、予約席、4DX映像、劇場内のレストラン、カフェ、バーなど、より総合的な体験型ソリューションの提供により、すでに従来型の営業スタイルを刷新しており、さらにパンデミックをきっかけに、プライベートシアターのレンタルやイベントなどのサービスを拡大している。こうした傾向は、レストラン(実体験のように感じる料理エクスペリエンス)から伝統的な小売業(オンラインとオフラインを統合したショッピングエクスペリエンス)まで、小売不動産業界全体に拡大していくだろうと見ている。また、小売不動産オーナーが見込みのあるテナントを特定して物件を売り込んだり、小売業者が店舗内での顧客エンゲージメントを促進し、カスタマージャーニーに関する重要なインサイトを得たりする時にも、不動産テックが決定的な役割を果たすと考えている」。

意外なことに、最近ではインターネットも味方になっている。「また、オンラインとオフラインの体験を巧みに融合したハイブリッドモデルにも大きな可能性があると考えている」と両氏はいう。「フィットネス分野を例にとると、スタジオでのコースを配信してより多くの参加者を募ったり、スタジオでのレッスンや自宅でのワークアウトを通じてトレーニングや健康状態の推移をアプリでトラッキングしたりするという新しいスタイルが考えられる」。

インタビューで投資家から聞いたものではないが、小売業の未来を信じる理由は他にもいくつかある。

また、小売業が、投資家が出資している他の多くのソリューション、特に都市の魅力を高め、気候変動などのマクロな問題を解決するためのソリューションとどのように関わっているかもわかるだろう。

バティスト氏とエイブラハムソン氏は「都市には活用されていない多くの資産があるが、最大のものは自動車に割り当てられている公共スペースだろう」とし「永続的に変っていくだろうと思われることは、駐車スペースを自家用車からマイクロモビリティ(自転車、スクーター、キックボード用のレーンや駐輪場など)に再配分することだ。Coord(コード、スマートゾーンという技術を使い商用車などの縁石スペース利用を管理)、Qucit(キューシット、多くの大都市で自転車やスクーターのシェア事業を管理)、Oonee(ウーニー、安全な自転車、スクーター、ボード用の駐車場)などのポートフォリオ企業に多くの需要があると考えている」と述べる。

これは、両氏が予見する好循環の始まりに過ぎない。

「(自動車の排除)が起こると、物流のようなユースケースはマイクロEVにシフトできる。同様に、パークレット(車道の一部を転用して人のための空間を生み出す取り組み)やシーティングエリアによって公共のスペースが増える。EUでは自動車使用の禁止を推進しているが、全体的に道路で自動車の往来が減れば、大きな変化が起きるだろう。確かに個人の生活の空間を明け渡すことになるが、共有スペースや社会的なスペースが増え、都市を魅力的なものにする可能性がある。こうしたことにより、共同生活が促進され、都市で生活するためのコストを下げることができるとともに、低密度のコミュニティでは比較にならないほど共有スペースから多くのものを得ることができる」と両氏は話す。

ウィルシャー・レーンのデムヤコール氏も同様の見方をしている。

同氏は「当社の全体的な戦略を立てる上での原則の1つは、常にスペースの活用に焦点を当て、有効に活用されていないスペースを、テクノロジーによって収益化する最良の方法を見つけ出すことだ。このことは、StufNeighbor(スタッフ、ネイバー、地下室、駐車場、その他の空きスペースの収益化)MealCo(ミールコ、空きキッチンの収益化)WorkChew(ワークチュウ、レストランのシーティングエリア、ホテルのロビー、会議室の収益化)Saltbox(ソルトボックス、空き倉庫の収益化)など、当社の直近の投資案件の多くに明確に表れている。家主は、このようなタイプの戦略を適切に利用すれば、今日の不動産業界で見られる空室の増加を中期的に緩和できる」と述べる。

この主張が正しければ、小売業は、より共有スペースのような存在になるかもしれない。「特に、先に資金調達を発表したばかりのワークチュウの製品は、需要側と供給側の両方で多くの需要がある。ホテルやレストランは、あまり利用されていないスペースやインフラを収益化するために、同社との提携に対する関心は極めて高い」とデムヤコール氏は述べる。そして「もちろん、雇用主や企業は、本社のオフィス以外で過ごす時間を増やしたいと考えているハイブリッドな従業員に提供できる簡単なアメニティとして、この共有スペースに満足している」と付け加える。

インタビューした投資家らから明確に聞いたわけではないが、小売業の将来を信じる理由がいくつかある。

  • まず、経済学者や政策立案者さえも驚くほど、パンデミックの間に何百万もの新しいビジネスが生まれている。その大部分は、非常に地域に根ざしたもので、食品の宅配(カップケーキ)やサービス(出張ヘアカット)、地域で強い支持を得ているインターネットファーストの製品(Etsyの多く)などが挙げられる。これらの起業家らは、インターネットで事業を始め、商業施設の賃料が下がった今、実店舗を構えるに十分な収益を上げている。
  • 第2に、新型コロナウイルス感染症の期間を耐え抜いた地元企業の多くは、インターネットで成功する方法を見つけ出した。近隣でどの企業が嵐を乗り切っているかは、好みのオンデマンドデリバリーやサービスのアプリを開いて注文すればわかる。
  • 第3に、投資家の回答や入手可能なデータが示すように、家主はすでに賃料を下げ始めており、数十年ぶりに借り手市場が形成されている。
  • 第4に、従来のビジネスでも新しいタイプの資金調達が可能となり、オンラインでの副業や趣味(あるいはより大規模なプロジェクト)で成功を収めている企業は、拡大のための資金を得ることができるようになる。(この理由はおそらくかなり推測的なものだが、著者らは、ここTechCrunchで未来を見極めようとしている)。例えば、Shopify(ショッピファイ)は、新しい「定期収入を取引するためのプラットフォーム」のcom(パイプ・ドット・コム)に資金提供をしたばかりだ。両社はこの関係について今は多くを語っていないが、ショッピファイで成功している多くの小規模ビジネスが、リアル店舗の採算の目処が立ったときに速やかに新しい種類の資本注入を受けることの想像はできる。

こういったすべてのことを、都市の密度や自転車レーンの設置による気候変動への配慮など、都市に対する考え方の他の広範な変化も含めて考慮すると、パンデミック以前の世界というよりも、ニューアーバニストの空想といわれそうな世界が見えてくる。

同時に、これらのコンセプトは小規模な都市、郊外、そして町にも展開されている。産業クラスターの古いネットワーク効果が奇跡的な復活を遂げない限り、すべての都市が最高の生活の質を提供するために競争することになる。

仮に、産業クラスターがかつてのように集結しないとしよう。そうすると、多くの家主や金融業者、市の予算はすぐに支出を削減せざるを得なくなり、魅力的な都市の経済の足を引っ張ることになるかもしれない。

そのような場合でも、ニューヨークやサンフランシスコのように、住宅や小売店、アメニティを中心に据える都市が再生することは想像に難くない。もしかしたらいつの日かこの数十年を、パンデミックで全世界が底を打ち長期的に正しい答えを決める必要が生じる前の古き悪し時代だったと振り返る日が来るかもしれない。

ということで、読者には、著者がインタビューした投資家らの回答全文を紹介したい。各投資家の回答は、このすでに十分に長い記事より更に濃い内容であり、詳細を読む価値はある。このような変化に関する継続的な記事の支援のため、Extra Crunchを購読して欲しい。

不動産テックと都市の未来については、近々さらに掘り下げる予定だ。この件について他に考えがあればeldon@techcrunch.comにメールして欲しい。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:新型コロナウイルス不動産リモートワーク住宅アメリカeコマース店舗小売

画像クレジット:Boston Globe / Getty Images

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(文:Eric Eldon、翻訳:Dragonfly)

移住者が急増するテキサス州オースティンの住宅問題を解決するスタートアップ「Homebound」

莫大な数の人々が米国全土からテキサス州オースティンに移住している。中でもサンフランシスコ・ベイエリアからの移住が最近見出しを賑わしている。

続いている移住の結果、起きていることの1つが住宅費の急騰であり、需要の増加と2021年になってほぼゼロに近くなっている空き物件の少なさが原因だ。そこへやってきたのが、カリフォルニア州サンタローザ拠点のテック系住宅建設のスタートアップHomebound(ホームバウンド)だ。既存住宅購入の代替手段を提供して、この街の悩みを解決すべくオースティン市場に参入した。

Homeboundはここ数年に約7300万ドル(約79億5000万円)の資金を、Google Ventures、Fifth Wall、Khosla、Sound Ventures、Atomic、Thrive Capitalなどから調達している。2020年4月に3500万ドル(約38億1000万円)のシリーズBを完了し、2020年末には2000万ドル(約21億8000万円)の転換社債を発行した。CEOのNikki Pechet(ニッキ・ペシェ)氏とAtomicのマネージングパートナーであるJack Abraham(ジャック・アブラハム)氏が2017年に同社を設立した。アブラハム氏が山火事で自宅を失った後のことだった。

Homeboundは、実質的に仮想ゼネコンの役割を果たし、IT技術と「厳選された」資格のある建築「専門家」のネットワークを組み合わせて、新しいかたちの住宅建築を設計から完成まで管理する。同スタートアップは住宅建築に関わる数百にわたる作業項目を追跡・管理するツールを開発した。

これまでHomeboundは、カリフォルニアの山火事の後にホームオーナーが住宅を立て直す際の課題や複雑さを支援することに焦点を当ててきた。しかし2021年4月、Homeboundは自身初の非災害地市場であるオースティンに進出した。住宅再建で培ったカスタム住宅建築のための「テクノロジーを駆使した合理的なプロセス」を、選択肢の1つとして地域のホームオーナーに提供することを狙いとしている。

HomeboundのCEO・共同ファウンダーであるニッキ・ペシェ氏に詳しく話を聞いた。

Homeboundは「次世代」の住宅建築業者として「誰もがどこにでも家を建てられる」ようになるための会社だと、彼女はいう。

オースティンの住宅市場は間違いなく過熱しており、住宅価格は10~30%値上がりしている例もある(私にはわかる、ここに住んでいるから)。

「ホームオーナーは全米から私たちに連絡をしてきて、自分たちの地域に来てくれと頼みます」とペシェ氏は言った。「すでにオースティンは、かつての当社の市場よりも早く成長しています。当社にとって巨大な市場になりつつあります」。

これは、ペシェ氏がマイアミ、タンパ、レイリー、シャーロットなど同じような住宅供給問題を抱える他の都市でも再現しようと考えているモデルだ。

「これは始まりにすぎません」とペシェ氏は言った。「私たちはこのプラットフォームを全米の市場に広げて、この同じ問題を解決するお手伝いをします」。

同社はまず、住宅希望者が自分で家を建てる土地を選ぶのを助けたり、Homeboundがすでに準備した在庫から探すのを手伝う。そこから、建築計画から設計、実際の工事にいたるまですべてを同社のプラットフォームが支援する。Homeboundは、いくつかの用意したプランから客に選ばせ、さまざまなレベルのカスタマイズを行う。

オースティンの典型的一家族用住宅の建築費用は30万ドル(約3270万円)程度からで、大きさ、家の複雑さ、ロットサイズ、地域によって異なる。土地の価格は含まれていない。既存の持ち家の土地に2軒目を建てる人もいる。

「現状多くの場合、既存の住宅を買うよりも安く新しい家を建てることができます」とペシェ氏はいう。

カテゴリー:その他
タグ:Homebound住宅不動産テキサスオースティン

画像クレジット:Homebound

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクによるBetter.comへの約548億円出資で住宅ローン業界の魅力が証明された

デジタル住宅ローン融資のBetter.com(ベター)は、日本の投資コングロマリットであるSoftBank(ソフトバンク)から5億ドル(約548億円)の資金調達を行い、同社の価値を60億ドル(約6571億円)とした。

この資金調達はいくつかの理由で注目されている。まず、同社の60億ドルという新たな評価額は、2020年11月にシリーズD投資ラウンドで2億ドル(約219億円)を調達した際の評価額40億ドル(約4381億円)から50%アップしていること。2019年8月のシリーズCラウンドで資金調達した当時の6億ドル(約657億円)という評価額からは10倍にもなっている。

2つ目の理由としては、伝統的に「魅力的ではない」業界で、長い間分裂を必要としてきた住宅ローンが、公式にホットであるとさらに証明されたということだ。ソフトバンクが投資すれば、間違いなく人々は注目する。

新型コロナウイルスの大流行と過去最低水準の住宅ローン金利は、誰も予想しなかった方法でオンライン住宅ローン融資の分野を加速させた。これにベンチャー投資における全体的な熱気が合わされば、Better.comがわずか数カ月の間に7億ドル(約767億円)を調達したことも大きな驚きは与えない。

今回の投資によって、2014年の創業以来、Better.comが調達した資金総額は9億ドル(約986億円)を超えた。ソフトバンク以外の支援者には、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、American Express(アメリカン・エキスプレス)、Activant Capital(アクティバント・キャピタル)、Citi(シティ)などが含まれている。

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、ソフトバンクはBetterの既存の投資家から株式を購入し、同社創業者でCEOのVishal Garg(ヴィシャル・ガーグ)氏に、同社に投資する「熱心さの表れ」として、すべての議決権を与えることで合意したという。

2020年10月に開催されたバーチャルイベント「LendIt Fintech(レンディット・フィンテック)USA 2020」で筆者が行った個別インタビューの中で、ガーグ氏は「IPOは間違いなく実現する」と語っていた。

「適切な時にやるつもりです」と、彼は言った。「米国資本主義の核となる信条の1つは、ある会社の顧客がその会社の株を買えるということです」。

そして2021年2月には、Betterが米国での新規株式公開に向けて、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)と Bank of America Corp(バンク・オブ・アメリカ)を起用したと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じた。IPOの前に多額の資金を調達することは珍しいことではない。例えば、後払いや分割払いによる決済サービスを提供するフィンテック企業のAffirm(アファーム)は2020年それを行った

2020年10月にヴァーグ氏が筆者に語ったところによると、新型コロナウイルス感染流行前のBetterは月に約12億ドル(約1315億円)のローンを処理していたが、2020年10月の時点では月に25億ドル(約2739億円)以上の資金を調達し、スタッフも1500人から世界中で約4000人に増えていたという。

「新型コロナウイルス感染拡大が始まったとき、私たちの収益は月に5000万ドル(約54億8000万円)にも満たないものでした。今はその2.5倍です」と、当時ヴァーグ氏は語っていた。

その後、この数字はさらに上昇している。同社の広報担当者によると、Better.comは2021年の第1四半期だけで140億ドル(約1兆5300億円)のローンを提供し、現在は月に40億ドル(約4380億円)以上のローンを提供しているとのこと。ちなみに、同社が2020年の全期間で提供したローンの総額は、250億ドル(約2兆7400億円)だった。また、現在の従業員数は6000人で、2020年10月からさらに2000人増加しているという。

関連記事:米不動産販売が急増しIPOが迫る中、住宅ローンのBetter.comのCTOにダイアン・ユー氏が就任

カテゴリー:フィンテック
タグ:Better.comソフトバンクグループ資金調達ローン不動産

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

創業5カ月でユニコーン企業に、別荘の共同所有をサポートするPacasoが83億円調達

創業からまだ1年にも満たないPacasoが、10億ドル(約1100億円)の評価額で7500万ドル(約83億円)の成長資金を調達したことを発表した。

GreycroftとGlobal Founders Capitalが共同で主導したこの7500万ドルのエクイティファイナンスには、注目に値する要素がいくつかある。

1つはそのチームだ。CEO兼共同創業者のSpencer Rascoff(スペンサー・ラスコフ)氏は、Zillowの元幹部であるAustin Allison(オースティン・アリソン)氏とともに約18カ月前にZillow(時価総額は329億ドル、約3兆6300億円)を去った後、Pacasoのコンセプトを打ち立てた。同社は、人々がセカンドハウスを共同所有を支援するサービスを展開している。

「セカンドハウスを持つことは、私たち双方の生活に非常に大きな影響を与える贅沢であったことに気づきました。私たちは2人とも幸運にもセカンドハウスを手に入れ、それは自分たちや友人、家族に大きな変革をもたらしたのです」とラスコフ氏は述べている。「私たちが目指したのは、セカンドハウスへのアクセスを一般に普及させることでした。そうすることで、1%の人々だけが享受できる贅沢にとどまらず、願わくば世界中の何千万人もの人々がセカンドハウスを利用できるようになるのです」。

Crunchbaseのデータを使った本誌の社内分析によると、2020年10月にローンチしたばかりのPacasoがユニコーンになったのは、他のどの企業よりも早い。

「Pacasoは驚異的な速さで成長しており、これは私が経験したことのないものです」とラスコフ氏はTechCrunchに語った。「これほど急速に成長している理由は、消費者がこのコンセプトに魅せられ、はるかに安価な価格でセカンドハウスを所有できるというアイデアを喜んでいるからでしょう」 。

サンフランシスコに拠点を置くPacasoは、米国時間3月24日に発表した株式発行による資金調達に加えて10億ドル(約1100億円)の負債調達も行った。2020年秋のローンチ時点で、同スタートアップはMaveron率いるシリーズAで1700万(約19億円)ドルを調達し、同時に2億5000万ドル(約276億円)の融資も受けている。

Acrew Diversify Capital FundのSukhinder Singh Cassidy(スキンダー・シン・キャシディ)氏とTheresia Gouw(テレジア・グー)氏、First American Financial、Shea Ventures、Amazon Worldwide Consumerの元CEOであるJeff Wilke(ジェフ・ウィルケ)氏など、著名なエンジェル投資家たちも今回の資金調達に参加した。

不動産に特化したLLC(有限責任会社)を設立し、独自の共同所有モデルを可能にすることで、同社はセカンドハウスのコストと手間を削減することを目指している。また、セカンドハウス所有者は不動産を貸し出すという選択肢も得る事ができる。

Pacasoのモデルは、コンドミニアムやホテルで一定の期間使う権利を販売するタイムシェアの古いコンセプトとは一線を画している。Pacasoでは、小規模の共同所有者グループを集めて一戸建て住宅のシェアを購入し「年間を通して継続的なアクセスを楽しむ」事ができるのだ。

仕組みとしては、まずPacasoが家のシェア、またはすべてを購入する。その後同社は不動産を販売するために地元の不動産業者と提携する。そして同社が持ち家の8分の1程度、あるいはそれ以上の割合で持ち家のシェアを売却する。

Pacasoは、ナパ、レイクタホ、パームスプリングス、マリブ、パークシティなどの複数の人気セカンドハウス市場で仲介ライセンスを保有している。購入者は同スタートアップのウェブサイトで厳選されたリスティングを見ることができ、有効な物件や、購入希望を基に購入を検討する住宅のプレビューを見ることができる。

このリスティングのキュレーションに加えて、Pacasoは統合ファイナンス「高級路線の」インテリアデザイン、専門性の高い不動産管理、独自のスケジューリング技術も提供している。

画像クレジット:Pacaso

ローンチ以来50万人以上がサイトを訪れ、これまでに6万人もの「購入希望者」がセカンドハウスの共有について詳しく知るためPacasoに問い合わせてきたと同社は伝えている。これまでのところ同社は、約100世帯に向けてセカンドハウスの共同所有者になる支援を行ってきた。

アリソン氏の推定によると、世界には約1億戸のセカンドハウスが存在し、その大半は1年のうち10カ月から11カ月ほど空室になっているという。

「月ごとにその数は急増しています」と同氏は続けた。

同社は今回調達した資金の一部を、西海岸から東海岸への新規市場開拓に充てる計画だ。最終的にはヨーロッパ、さらにはメキシコやカリブ海にも進出する展望を持っている。同社の負債は、さらに多くの住宅の持ち分を取得する方向に向かっていくだろう。

「裁量所得があるほど十分な収入を得ている世帯は何千万もあり、そのうちの約75%はセカンドハウスを持つことを夢見ています」 と同氏はいう。「しかし、コストの問題、あるいはそのような購入を正当化できないといった理由で、彼らの行動は妨げられています。この大きな問題に直面して私たちが考え出したのは、真に革新的なソリューション、つまり共同所有でした」。

アリソン氏によると、同社は今後、低価格の住宅を含め、より幅広い価格帯の住宅を提供したいと考えているという。

Greycroftの共同創業者でパートナーのDana Settle(ダナ・セトル)氏は、Pacasoのビジネスの活力を「極めて意義深いもの」と表現している。

「Pacasoは、人々がセカンドハウスを購入し、所有する方法を劇的に変える新しいカテゴリーを作り出しています」と同氏は付け加えた。

多くのベンチャー企業がそうであるように、GreycroftもPacasoの創業チームの力量に魅力を感じている。

「このチームは市場を熟知しており、かつてともに働いた経験を有しています」とセトル氏はTechCrunchに語った。「彼らがいかに迅速に稼働し始めたかを見れば、まさにそのことが証明されています」。

同氏はまた、PacasoをUberやAirbnbになぞらえた。これらの企業もまた、十分に活用されていなかった資産を事業化している。

「テクノロジーを活用して市場でのアクセス性を向上させる、新たな機会です」とセトル氏はいう。

事業拡大を進めるにあたり、Pacasoは最高財務責任者としてNina Tran(ニナ・トラン)氏を迎え入れた。トラン氏は、Waypoint HomesをStarwood Waypointと合併して株式公開し、同社をInvitation Homesに売却してCFOを務めた人物だ。

ラスコフ氏は最近、多忙を極めている。同氏はSupernova Partners Acquisition Companyの責任者でもあり、同社は最近Offerpadと合併して上場することを発表した。ラスコフ氏はDoma(以前のStates Title)の投資家でもある。SPACの合併によって上場された別の専門技術企業だ。同氏はまた、多くのスタートアップを支援しており、その中には最近ローンチした、アジア系米国人コミュニティを主な対象とするデジタルバンキングプラットフォームCheeseも含まれている。

関連記事:不動産テックスタートアップのOfferpadがSPACとの合併により公開へ

カテゴリー:その他
タグ:Pacasoセカンドハウス資金調達ユニコーン企業不動産

画像クレジット:Cory Sherwood Photography / Pacaso

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

Knotelの共同創業者が会社を去り投資家のNewmarkを「ストーカーだ」と批判

2021年の初め、TechCrunchはフレキシブルワークスペースを運営するKnotel終焉を取り上げた。

一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったこのスタートアップは破産申請を行い、その資産が投資家と商業不動産仲介のNewmark7000万ドル(約77億円)買収されると発表したばかりだった。

わずか1年前には16億ドル(約1800億円)と評価されていたKnotelにとって、それは厳しいものだった。

5億6000万ドル(約620億円)の資金を調達したKnotelにとって、終わりの始まりを正確に特定するのは困難だった。新型コロナウイルスのパンデミックが同社の命取りになったという人もいれば、パンデミックが発生する前からこのプロップテックはすでに訴訟や立ち退きといった問題に直面していると指摘する人もいる。

先週末、Knotelの共同創業者であるAmol Sarva(アモル・サルバ)氏は状況をさらに明らかにした。そして、2018年のシリーズBで7000万ドル(約77億円)を調達したNewmarkを公に批判した。

サルバ氏は不特定の人々に送ったメールの中で、Knotelが「2020年初めには4億ドル(約440億円)近いランレートを達成し、粗利益を計上し、顧客の継続性をサポートし、家主のパートナーと友好的に協力するためにできる限りのことを行いながら、収益の3分の2以上をそのまま維持していました」と指摘している。

さらにサルバ氏はNewmarkを、破産法を利用して約1億ドル(約110億円)の新資本でKnotelを支配下に置いた 「ストーカー」 と表現した。その過程で重要な関係を損ない「多くの顧客やパートナーに損害を与えた」 と述べている。

「私はこのような方向に進んでしまったことにとても失望しています。その過程で、私は新しいオーナーが進める方法の一部になることを選ばないことを明確にしました」とサルバ氏は続けた。

サルバ氏はさらに、Newmarkが 「会社を前進させるためにAdam Neuman(アダム・ノイマン)時代のWeWorkの兄弟グループを雇った」 と批判した。

TechCrunchはNewmarkにコメントを求めたが、記事執筆時点では回答は得られていない。サルバ氏は事態がどうなったかについて苦々しく思っているだろうが、この結論に至った正確な時期を知ることは興味深い。

なおサルバ氏はKnotelが最初に開発されたラボに戻り、Knoteの共同創業者兼CEOとして働くと述べている。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Knotel不動産シェアオフィス

画像クレジット:Knotel / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:塚本直樹 / Twitter

【コラム】WeWorkはサービスをバラ売りすることで立て直しを図っているがその戦略はうまくいくのか

長年にわたり、WeWork(ウィーワーク)はテック企業と不動産企業のどちらに分類されるかという議論があった。WeWorkについて大部分の人々は当初、テック系スタートアップを装った不動産系スタートアップだと考えていた。

WeWorkが多くの不動産を手に入れることで、その分類は曖昧になっていった。そしてご存じのとおり会社の評価額が急落したため、IPO計画が白紙となった。現在、SPAC株式を公開することがうわさされているWeWorkの評価額は100億ドル(約1兆894億円)だが、2019年1月にSoftBank(ソフトバンク)によるシリーズHラウンドで10億ドル(約1089億円)を調達後の470億ドル(約5兆1204億円)という評価額と比べると、評価が大幅に下がっている。

Adam Neumann(アダム・ニューマン)氏は、傲慢でお粗末な経営について批判を受けた共同創業者で当時のCEOだったが、その年の後半に辞任したことで有名だ。それ以来、WeWorkは名誉を挽回し、投資家や一般の人々の印象を良くしようと努力してきたことはよく知られている。

Marcelo Claure(マルセロ・クラウレ)会長は、5年にわたる戦略的再建計画を2020年2月に作成した。窮地に立つ同社は同じ月に、新しいCEOにテック系ではなく不動産を担当する幹部を指名したことで話題になっている。

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WeWorkはその後、評価額の引き上げと投資家の信頼回復を目指した計画の一環として、2022年までにフリーキャッシュフローの黒字化という目標を再設定した。

ライバルのKnotel(ノテル)が経営が悪化したため破産申請し、投資家に資産を売却するのを目の当たりにし、ノテルの失敗から教訓を得るべきだとWeWorkは気づいたようだ。

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ここでふと、WeWorkは本当に危機を脱したのかという疑問がよぎる。

オープンしていないロケーションや採算がとれないロケーションからWeWorkが撤退した件数は、再建計画の策定以降で100件を超えるという(同社のウェブサイトによると、世界中に800件以上のロケーションが残っている)。さらに、WeWorkの純損失は、2019年第3四半期の12億ドル(約1308億円)から2020年第3四半期には5億1700万ドル(約563億円)に減少した。

一方で収益が悪化した原因は、新型コロナウイルス感染症の影響と思われる。2019年第3四半期に9億3400万ドル(約1018億円)だった収益が、2020年第3四半期には8億1100万ドル(約884億円)に減少した。

WeWorkはパンデミックで苦戦を強いられているが、これはチャンスであるという意見もある。

テレワークでの業務により、人との距離を保たなければならないため、ほとんどのオフィススペースは苦戦している。WeWorkもこの状況を乗り切らなければ、評価額や収益に大きな打撃を受ける可能性が高い。

世界中の不動産会社と同じように、WeWorkも頭を抱えている。テレワークが一時的なものではなく、多くの企業が今後も継続していく方向性を検討している状況であるため、物件の所有者も対応しなければならない。

たとえばMcKinsey(マッキンゼー)が最近指摘したように、物件の所有者には柔軟性がさらに求められ、テナントのリース契約を考え直すことを余儀なくされている。つまり、商業不動産スペースの経営者には、WeWorkのような柔軟性が必要であるということだ。

状況に適応しようとすでに動き出しているWeWorkは、同社の会員専用プランがうまくいっていなかったことに気づいた。会員数が減少していることからそれは明らかだ。そのため同社は、On Demand(オンデマンド)オプションとAll Access(オールアクセス)オプションを新設することで、多くのユーザーに建物を開放することにした。例えばテレワークにうんざりしている人に対して週に1回、仕事をする場所を提供することが目的だ。さらにWeWorkは企業や大学と協力し、オールアクセスの特典としてオフィススペースを提供するチャンスや、学生に学習場所を提供するチャンスを見いだした。

たとえばジョージタウン大学は、WeWorkとかなりユニークなパートナーシップを結んだ。WeWorkのロケーションの1つを「ジョージタウン大学の代替図書館および共用スペース」として提供している。Brandwatch(ブランドウォッチ)などの企業も最近、これまで使用してきたWeWorkのスペースの代わりにオールアクセスのパスを従業員に渡して、世界中にあるWeWorkのロケーションを利用するようにしている。

WeWorkは2021年初めに、週末と営業時間外にスペースを使用する予約サービスも新たに始めた。

スペースのバラ売り

筆者はWeWorkの新戦略について、Prabhdeep Singh(プラッブディープ・シン)氏から話を聞いた。同氏はWeWorkのマーケットプレイスグローバル責任者で、新しいサービスを統括し、WeWorkのオンライン化に向けて指揮をとっている。

「私たちが取り組んでいるのは、スペースをバラ売りにすることです。これまで当社のスペースを利用するには、サービスがまとめられたサブスクリプションと、月額制の会員サービスしかありませんでした。新型コロナウイルス感染症によって世界が変わりつつあるため、当社のプラットフォームをより多くの人々に開放し、できる限り柔軟に利用できるようにしました。例えば、部屋を30分だけ予約したり、1日利用券を購入したりできます。いろんなユースケースが可能です」と彼は述べた。

シン氏によると、2020年8月にニューヨーク市でオンデマンドサービスが試験的に開始されて以来、サービスの需要が着実に伸びており、2020年第4四半期と比べて予約数は65%、売上は70%増加している。ただし、これはまだ初期段階で、サービスは小規模に開始されたにすぎない。オンデマンドサービスの予約のほぼ3分の2はリピーターによるものだと、シン氏は付け加えた。

「私たちは1年半をかけて、注力するべきものとそうでないものを真剣に考えてきました。スペースを柔軟に提供する企業として、今後の状況を注視しています。商業オフィススペース業界で当社は小さな存在にすぎませんが、テクノロジーを駆使しつつアプリを改善しながらスペースのデジタル化を進め、柔軟にワークスペースを提供できるように取り組んでいます」とシン氏はいう。

今のところ、わずかながら状況はよくなっているようだ。WeWorkによると、2月のアクティブユーザー数は1月の約2倍になった。勤務時間外に利用することを希望するユーザーが多いようで、週末の予約数が予約全体のおよそ14.5%を占める。

WeWorkによると、既存メンバーがパンデミック期間中に、すでに利用しているプライベートオフィススペースに加えて、2020年2月にオールアクセスパスを購入した件数は1月の2倍になった。

新型コロナウイルス感染症の流行が始まった頃、WeWorkの利用を中止する数が多かったのは大企業の会員よりも、中小企業(SMB)会員だった。SMBはその事業の性質上、キャッシュフローを迅速に管理することが必要であるというのが一因だが、2020年第3四半期には、SMB向けの売上高が第2四半期に比べ50%増加した。

WeWorkを使用する大企業の割合は、パンデミックの期間中にSMBの2倍近くになり、現在ではWeWorkの会員数の半分以上を大企業の会員が占めているのは興味深い。

WeWorkは特定の市場で不動産に新たに投資する速度を緩めるのと同時に、物件を売却することで規模の「適正化」に取り組んでいる。

WeWorkの財務状況に関して言えば、3月2日時点で、同社の債権は株式公開に失敗した2019年夏以来の高値で取引されているという。これは、下落率が約28%の52週安値から大幅に上昇している。

「利回り約10%に対して約92%となっており、債権者は明らかに肯定的に反応しています。ワークスペースを提供するWeWorkの柔軟なサービスが、不動産の将来において有望な役割を果たすという市場全体の信念を、債権者の反応が証明しています」とスポークスマンはTechCrunchに語った。

2020年の3月、WeWorkの債権1ドル(約110円)に対して43セント(約50円)で取引されており、S&P Global(S&Pグローバル)はWeWorkの信用格付けを「投資不適格」に引き下げ、さらなる格下げを警戒して同社に目を光らせている、とForbes(フォーブス)誌は報じた。

この状況にWeWorkは適応しきれていない。シン氏がTechCrunchに語ったところによると、WeWorkの価値提案をさらに拡充するために「Business in a Box(ビジネス・イン・ア・ボックス)」の提供に取り組んでいるという。2020年末、WeWorkは複数の企業と提携し、SMBやスタートアップに給与計算、ヘルスケア、ビジネス保険などのサービス提供を開始した。

「WeWorkを利用するユーザーの多くがビジネスを拡大させています。当社はビジネス面での主要サービスを提供し続けています。その一方で、中小企業で管理が煩雑になりやすく、コストがかかる人事などの重要な分野でも、サービスをさらに提供できるように取り組んでいます」とシン氏はいう。

さらにWeWorkは、オンデマンドのサービスをグローバルに提供することで、世界中のWeWorkのスペースでユーザーが仕事を進められるように尽力している。

「現在、テレワークの実験が最大規模で進められています。今後、職場に復帰する実験が最大規模で始まるでしょう。当社は非常に有利な位置にいると言えます」とシン氏は述べた。

WeWorkは、一歩先を行く不動産会社になろうとしているようだ。アダム・ニューマン氏が同社を率いていた頃ほどの派手さはないかもしれないが、需要がある安定した会社になりつつある。ただ、多くのことをあまりにも短い期間で進めようとしているのではないか?

今後の展開が楽しみだ。

カテゴリー:その他
タグ:WeWork不動産コワーキングスペースコラム

画像クレジット:KAZUHIRO NOGI/AFP / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」を運営するMFSは3月31日、第三者割当増資および社債発行により、総額6億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、あおぞら企業投資。

MFSは、2021年2月15日、ベンチャーキャピタルおよび事業会社の数社を引受先として、総額6.3億円の第三者割当増資および融資を実施している。これにより、今回のラウンドの資金調達額は総額12億8000万円、これまでの累計資金調達額は約23億6000万円となった。

今回調達した資金により、「住宅ローン審査に通る確率を上げるために個人の信用力をいかに向上させるか」に関連する提案機能や、人工知能の開発およびエンジニア採用を拡大する予定。

今後MFSでは、JICベンチャー・グロース・インベストメンツの他の投資先企業との様々な連携などを通じ、日本社会における住宅ローンのさらなる最適化を目指すとともに、引き続きユーザー目線に立ったサービスを追求する。また、あおぞら銀行グループが培ってきた地銀とのネットワークを軸に、オンラインで住宅ローンが比較・申込ができる「モゲチェック」の地域金融機関への導入をさらに加速させ、住宅ローン業務のオンライン化を進めるとともに、日本における住宅ローンプラットフォームの定着を図る。

2015年8月提供開始のモゲチェックは、オンライン上でユーザー属性に応じた最適な住宅ローンを紹介する無料のオンライン住宅ローンサービス。12項目を入力するだけで、自分が住宅ローン審査に通る確率が高い金融機関がランキング化され、自分の条件に合う住宅ローンを簡単に選んで申し込んだり、住宅ローンのプロから提案を受けたりできる。過去5000件以上の審査結果データを分析して構築した独自のロジックで、住宅ローン選びを最適化しているという。2021年3月にサービス利用者が5万人を突破、また1年間では3万人以上増加した。

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

コロナ禍により、2020年2月からは家計の見直しを図るため住宅ローン借り換えの需要が高まり、12カ月連続で前年同月比の2倍以上の申し込みがあり、現在も前年を上回る水準で利用されているという。また、在宅勤務が普及したことによる住環境の見直しや、低金利がつづく住宅ローンが要因となり、2020年9月からは新規借り入れの申し込みが増加し、前年同月比2倍以上のお申し込みが現在まで続いているとした。

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タグ:MFS(企業)資金調達(用語)住宅(用語)不動産 / 不動産テック(用語)モゲチェック(製品・サービス)
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不動産販売員の独立を支援するSideが企業価値1087億円で163億円を調達

Sideは不動産の個人販売員を独立ブランドへと変えようとする不動産テックのスタートアップだ。米国時間3月22日、シリーズDラウンドで1億5000万ドル(約163億円)を調達したことを発表した。

Coatue Managementがリードしたこの調達ラウンドで、サンフランシスコ拠点のSideの企業価値は10億ドル(約1087億円)となり、2017年の創業以来の総調達額は2億ドル(約217億円)になった。既存出資者のMatrix Partners、Trinity Ventures、およびSapphire Venturesも今回のラウンドに参加した。

このラウンドの調達金額は、2019年11月のシリーズCラウンドで調達した3500万ドル(約38億円)よりも著しく多いことは注目に値する。企業価値もシリーズCの1億5000万ドルと比べて7倍近くに増えた。Sapphire Venturesが当時のラウンドをリードし、元TruliaのCOO(同社のIPOとZillowによる数千億円の買収による)マネージングディレクターのPaul Levine(ポール・レヴィン)氏がSideの取締役に加わった。

スタートアップの2020年の売上は3000~5000万ドル(約33億〜54億円)で、2021年は倍増すると予想されている。2019年、Sideは同社の全パートナーを通じて年間50億ドル(約5436億円)の住宅販売を仲介した。現在、同社の不動産販売員コミュニティは、合わせて年間150億ドル(約1兆6037億円)を販売している。

Sideを設立したのはGuy Gal(ガイ・ギャ​​ル)氏、Edward Wu(エドワード・ウー)氏、Hilary Saunders(ヒラリー・サンダース)氏の3名で、伝統的不動産仲介モデルのためにほとんどの独立販売員は「十分な報酬と評価を得ていない」という想いが理由だった。

CEOのギャ​​ル氏は、現在の仲介業務は「平均的」不動販売員を意図した構造になっており、トップセールスの販売員は「大きな負担」を強いられている。

Sideのホワイトレーベルモデルは、もっぱら販売員やチームの独自ブランドを売り込み、バックエンドに必要な技術とサポートを提供する。パートナーが実績を「計画どおり伸ばし」、生産性を向上するのを支援することが目標だ。

「Sideのやっていることは、Shopifyがeコマースで何をやっているかを考えればわかります。【略】Sideと提携することで、成績優秀な不動産販売員やチームや独立仲介人は、史上初めて、ブローカー会社を設立することなく、独自ブランドと事業の権利をすべて得ることができます」とギャル氏はいう。「不動産販売員というこの特別のコミュニティの問題解決に何年も取り組んだことで、ソフトウェアを使ったこれまでになかったやり方で、彼らに膨大な効率をもたらすことができるようになったのです」。

既存の不動産業務の仕組みは、不動産販売員やチームがトップセールスを達成する意欲を削ぐように作られていると彼は指摘する。なぜなら、顧客の少ない販売員は取引のたびに高い手数料を払うことを余儀なくされるため、ブローカーと販売員との間に動機の不一致があるからだ。

「トップ販売員は売上を伸ばして差別化したいと考えますが、ブローカーは販売員が高い手数料で少ない仕事をして、自分のブランドの一員でいることを望んでいます」とギャル氏は言った。「Sideはトップセールスの販売員やチームとの競争意欲を削ぐのではなく、彼らが成長して自分の事業とブランドを拡大できるよう支援します」。

現在Sideは、カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州全体で1500人のパートナー不動産販売員を支援している。

同スタートアップは新たな資金を「大規模な雇用」と現在運用しているカリフォルニア、テキサス、フロリダの3州以外への進出に使う計画だ。現在300名以上いる従業員はさらに200人増やす予定。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Side不動産資金調達

画像クレジット:Volanthevist / Getty Images (画像加工済み)

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

不動産DXのWealthParkが25億円調達、オルタナティブ投資のプラットフォーム目指す

株式や仮想通貨を運用する人にとって、アプリやウェブで資産管理をすることは、いまや常識となった。しかし現在、不動産オーナーの多くは「紙」で資産管理を行っている。この状況を変えようとするスタートアップがWealthParkだ。

2021年3月22日、WealthParkはJICベンチャー・グロース・インベストメンツから25億円を調達したと発表した。同社は、不動産オーナーと不動産管理会社をデジタルにつなぐシステム「WealthParkビジネス」を提供している。

収支報告書をワンクリックで送信

不動産管理会社は、オーナーが所有する物件の管理を委託されている。入居者からの家賃回収や部屋の修繕依頼への対応などに加えて、毎月、オーナーに収支報告を行う。いわばオーナーと管理会社は「経営パートナー」のような間柄といえる。問題は、大半の管理会社とオーナーのコミュニケーションの方法が「電話・FAX・紙」であることだ。例えば管理会社は、毎月の収支報告書を郵送してオーナーに届けている。その数が多ければ印刷代や人件費は馬鹿にならないものであり、オーナー側としても書類の保管・整理に手間がかかってしまう。

WealthParkは不動産管理会社向けのシステム「WealthParkビジネス」を提供することで、この課題の解決を目指す。同システムを利用すると、管理会社は管理物件別の賃料・共益費・駐車場代などをダッシュボードで一覧することができる。毎月の収支報告書は自動で作成され、ワンクリックでオーナーのスマホに送信可能だ。また、オーナーとシステム内のチャット機能で会話ができるため、工事の見積もり費などの確認作業がスピーディに完結できる。つまり、管理会社とオーナー双方が、従来よりシンプルかつ気軽にコミュニケーションをとれるというわけだ。

画像クレジット;WealthPark

不動産小口化商品の取り扱いも

2014年にローンチされたWealthParkビジネスは着実な成長を見せている。現在、国内大手の東急住宅リース三菱地所ハウスネットを含む80の不動産管理会社が同システムを導入しており、約1万7000人の不動産オーナーが利用する。管理戸数は10万室を超え、同社CEOの川田隆太氏は「ようやく基盤が固まってきた」と自信をのぞかせる。

WealthParkのビジネスモデルは、管理会社から毎月のサブスクリプション手数料を得るというもの。管理会社は、WealthParkビジネスを自社のコスト削減に加え、顧客である不動産オーナーへの「CRMツール」として活用できるため、顧客満足度向上の観点でも導入するメリットは大きい。

またWealthParkは今回の資金調達により、不動産小口化商品の取り扱いもスタートする。川田氏によると「不動産オーナーには、毎月数十万円から数百万円という家賃収入があります。しかし、その利息分をそのまま眠らせてしまっていることが多い」。そのようなオーナーに対して、管理会社から不動産小口化商品を提案する。オーナーはすでに現物資産(不動産)をWealthParkのシステム上で運用しているため、小口化商品も同一ダッシュボード上でシームレスに管理できるのがメリットだ。オーナーにとっては資産運用の効率化につながり、管理会社にとっては新たなビジネスチャンスになる。

Amazonや楽天で売っていないもの

「賃貸管理業務のDX」という分野で存在感を放つWealthPark。CEOの川田氏がこのサービスを始めた理由は、以前経営したスタートアップでの「苦い経験」にある。同氏は若年層の女性向けアパレルECを4年半経営するなかで、リーマンショックや東日本大震災を経験し「資金があと3、4カ月で底をつく」という状況に陥ったことがある。株主からの資金援助はすべて断られ、自分自身の手持ち資金だけでは足らず、親・親戚・友人を回り、会社を存続させるための資金をかき集めた。その後同業大手による買収提案があり、川田氏の経営者としての最初のキャリアは幕を閉じた。

酸いも甘いも知った川田氏はこう振り返る。「前の会社の経営では、『マーケット選定の重要さ』を思い知りました。IPOを目指してあらゆる手段を講じましたが、結局はターゲットのTAM(獲得可能な最大市場規模)が小さかったので採算が合わなかった。だからこそ、次の事業はこの反省を活かそうと思ったのです」。

川田氏は、次のビジネスのマーケットを選ぶために「Amazonや楽天で売っていないもの」は何かと考えた。そのなかでも、TAMが大きく、かつDXが遅れている不動産を次のステージに選んだ。「不動産を含むオルタナティブ資産は、株や債券にはない『期中管理』が付き物です。例えば不動産であればトイレや水道の故障を直したり、アートやワインであれば適切な温度・湿度で保管したりなど、『管理の仕方』で資産の価値が大きく変わります。だからこそ、管理会社へのDXソリューションを提供することで、道が開けると考えたのです」。

川田氏は将来への想いを語る。「WealthParkは不動産に限らず、あらゆるオルタナティブ投資をサポートする存在になりたいと考えています。例えば、クリスティーズでレオナルド・ダ・ヴィンチの絵が100億円で売りに出されたとしても、今はアラブの石油王みたいな人しか買えないですよね。でもWealthParkを通して、10万人が10万円ずつ出資してオーナーになり、それをデジタルに管理できたらカッコいいじゃないですか。そんな世界をつくっていきたいと思っています」。

オルタナティブ資産とは「代替資産」を意味し、株式や債券などの「伝統的資産」の対になる存在として考えられてきた。しかし、WealthParkが推進する不動産小口化商品をはじめ、ワインやアート、金、仮想通貨、NFTなどが今後メインストリームに躍り出ることで、オルタナティブ資産がもはや「代替」ではなくなるということも、十分にありえる未来だろう。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:WealthPark資金調達不動産DX日本賃貸

不動産テックスタートアップのOfferpadがSPACとの合併により公開へ

Offerpad(オファーパッド)はSPAC(特別買収目的会社)との合併により公開する最新のプロップテック(不動産テック)企業だ。

アリゾナ州フェニックスに拠点を置く同社は米国時間3月18日、Supernova Partners Acquisition Companyと合併し、公開する計画を発表した。合併取引は30億ドル(約3270億円)で評価された。

取引は2021年第2四半期または第3四半期初めに完了する予定。合併後の社名はOfferpad Solutions。ニューヨーク証券取引所で「OPAD」のティッカーで取引される。

2015年創業のOfferpadは、主にiBuyer(オンラインでサインアップした売り手から住宅を購入)として始まり、その後住宅を売買したい人々のためのワンストップショップになるべくプラットフォームの進化を進めてきた。たとえば今では、住宅改修のための貸し付けだけでなく、所有権移転や住宅ローンのサービスも提供している。同社は、長年にわたって負債で調達してきた数億ドル(数百億円)に加え、LL Fundsなどの投資家から1億5500万ドル(約205億円)を株式で調達した。

Offerpadは創業以来3万件の取引を実行し、総取引額で70億ドル(約7630億円)近くを達成したと述べている。同社は売上高について、2020年の見込額である11億ドル(約1200億円)から、2021年は14億ドル(約1530億円)に増えると予測している。ちなみに2016年の売上高は1億ドル(約109億円)だった。またOfferpadは2016年以来「住宅あたりの貢献利益がプラス」であると述べている。

同社は野心的な目標を掲げており、2022年に24億ドル(約2620億円)、2023年に39億ドル(約4210億円)の売上高を予想している。現在、16の市場で活動しており、最近デンバーとナッシュビルをリストに加えた。

この取引のためにSPACを設立したSupernova PartnersはSpencer Rascoff(スペンサー・ラスコフ)氏が率いる。同氏はシリアルアントレプレナーでHotwire、Zillow、dot.LA、Pacasoを共同で設立し、ZillowではCEOをほぼ10年務めた。

PIPE(上場企業の私募増資)の投資家には、Black RockとZimmer Partners、全米規模の住宅建設業者であるTaylor Morrison HomeCorpなどが管理するファンドや会社が含まれる。

Offerpadは、Supernovaと提携して公開会社になることで、市場の「より多くを得るために成長を加速」できると述べた。同社は現在、全国の900以上の市や町で事業を展開しており、全国への拡大を計画している。

ラスコフ氏は、Offerpadがオンライン不動産市場での「巨大なピースをつかむのに非常に良い位置にいる」と信じている。

「iBuyingは、世界最大の規模をもつ市場の1つである不動産のほんの表面をなでているに過ぎません」と同氏は声明で述べた。「一般的に、食料品、自動車、製薬などの他の業界とは対照的に、不動産は引き続き極めてアナログですが、消費者はオンラインソリューションを求めています。消費者が多くの取引をオンラインで行うようになり、私たちはオンライン不動産全体が今後数年間で急速に成長する準備が整ったと信じています」。

Offerpadは、Opendoor、Redfin、Zillowなどの企業と競合している。

取引の一環として、既存のOfferpadの株主は、保有株式の100%がそのまま合併後の会社の株式となり、クロージング時に合併後の事業体の約75%を所有する予定だ。Offerpadの創業者でCEOのBrian Bair(ブライアン・ベア)氏は、合併後の会社の議決権の約35%を保有する多議決権株式を受け取る。

2021年3月初め、不動産テックのスタートアップであるDoma(以前はStates Titleとして知られていた)は、SPACのCapitol Investment Corp. Vとの合併により、債務を含めて30億ドル(約3270億円)の評価で公開すると発表した。

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カテゴリー:その他
タグ:OfferpadSPAC不動産

画像クレジット:manusapon kasosod / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

フリーランスの「借りられない」問題の解決目指すアプリ「smeta(スメタ)」

フリーランスは、その名のとおり「自由」に仕事をして生きていけるという魅力がある。一方で、会社員と比較すると与信審査が通りにくく、賃貸契約が難しい場合があるなど、その自由に対して支払わなければならない代償も決して小さくない。

REASEが運営するアプリsmeta(スメタ)は、このような課題の解決を目指す。スメタはフリーランスに加え、スタートアップ起業家、高齢者、外国人などに特化して与信を行い、スムーズな賃貸契約をサポートするサービスだ。

最短3日で契約が可能

REASEのCEOである中道康徳氏は「現在、日本で賃貸契約を行う際には、ほとんどのケースで賃貸保証会社による審査に通らなければなりません。その審査基準は、勤務先・勤続年数・収入がメインです。しかし、これらが安定していないフリーランスは、審査に落ちてしまいやすい」という。

smetaは、物件紹介と賃貸与信の両方の機能を兼ね備えるサービスだ。ユーザーが自分の年収を入力すると「目安家賃」が計算され、当てはまる物件が一覧表示される。その中で気になった物件があれば、本人確認書類と収入証明を提出することで、smetaから「与信枠」を得ることができる。この「与信枠」は「上限家賃」でもあり「この金額以下の賃貸物件であれば確実に入居できる=家賃保証を行う」ことを意味する。ユーザーは、上限家賃以内の賃貸物件をsmetaアプリから申し込むことで、入居審査に落ちることなく確実に契約できるようになる。

smetaの大きなメリットは「無駄な時間がなくなる」ことだろう。従来の賃貸契約では、申し込みから契約までに約2週間はかかる。しかも、賃貸保証会社による与信審査に落ちてしまうと、また振り出しに戻ってしまうというリスクもある。中道氏は「私が聞いた中で最悪のケースでは、3回連続で与信審査に落ちてしまい、最終的な賃貸契約までに約1カ月半かかったというフリーランスの方がいました」と話す。

これに対して、smetaは与信審査を最初のステップで完了するため、ユーザーは安心して申し込みを進められる。申し込みから契約まで「最短3日」程度で完結させることも可能だという。

ランサーズでの仕事内容を評価する

ここで疑問になるのは「smetaはどのような評価方法でフリーランスに与信を行っているのか」という点だろう。その答えは、申込者のランサーズなどのプラットフォーム上での業務内容を加味するというものだ。

現在、smetaはランサーズやKasookuPE-BANKをはじめとする国内フリーランス向けのプラットフォームや人材マッチングサービスなど24社と提携している。例えば、フリーランスとして活動するライターが、ランサーズ経由でsmetに賃貸契約の申し込みを行うと、ランサーズは申込者の業務内容や実績をsmetaに一部共有する。これらのデータを元に、smetaは申込者の与信枠(上限家賃)を決定するのだ。

中道氏は具体的な例を挙げる。「その申込者がランサーズ上で2万文字・10万円の仕事を受注していたとします。それを3日後に納品し、クライアントから最終的な支払いを受けている。ここからは、申込者が案件を獲得できたという営業力や、与えられたタスクを完了できる業務遂行能力、そして最終的に売上を得たという実績を確認できます。smetaでは、このような事例を多数収集して分析し『申込者が家賃を払い続けられるかどうか』という判断をしています」。

smetaでは「仕事の中身・能力」という部分まで詳細に分析することで、これまで審査に通りにくかった人たちへの与信を実現するというわけだ。この方法を実践しているのは、国内の家賃保証業界では同社が初めてという。

保証会社自らが集客することでリスクを減らす

しかし「新しい尺度」で審査をするにはリスクがつきものだろう。ましてsmetaを運営するREASEはスタートアップであり、大手の賃貸保証会社などと比較すると資本力にも欠ける。これに対して中道氏は「smeta自身がエンドユーザーを獲得して与信を行っているということが、リスクヘッジになる」という。

これはどういうことか。通常、賃貸契約を行う人は、不動産仲介業者から申し込みを行う。仲介業者の主な収益源は仲介手数料(家賃半月〜1カ月分など)であるため、顧客が支払える範囲でなるべく高い家賃の物件を契約したい、というインセンティブがある。中道氏は「商売だから当然です。しかし賃貸保証会社にしてみると、それはリスクにもなり得ます」という。

REASEは、自らのアプリsmeta経由でエンドユーザーを獲得し、上限家賃(与信)を設定する。つまり、REASE自らリスクコントロールを行うことで、ユーザーが余裕を持って支払える家賃の物件のみを案内できるため、家賃滞納や未払いなどの事態を未然に防げるのだ。

smetaは2020年の1月より本格稼働を始め、現在、そのダウンロード数は6000を超えている。不動産会社からの紹介顧客も含め、保証契約数は合計1300に及ぶという。また、REASEはPlug and Play Japanが主催するWinter/Spring 2021 Summitでは、Fintech部門の最優秀国内スタートアップに選出され、今後さらに勢いに乗りそうだ。

これまで、フリーランスとして独立すると「社会的信用度が下がる」のはなかば常識だった。これを懸念してフリーランスになるのを躊躇する人も多かったのではないだろうか。しかしsmetaの新しい評価基準により、フリーランスがさらに「自由」に生活できる日が来るのも、そう遠くないかもしれない。

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タグ:REASEsmeta不動産賃貸フリーランス日本

表記揺れの影響を受けず不動産物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

表記揺れの影響を受けず物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

Geolonia(ジオロニア)不動産テック協会は3月15日、国内の土地や建物等の不動産情報に対して付与する共通ID(不動産共通ID)ベータ版を4月15日に提供すると発表した。不動産共通IDはAPIとして提供し、無償利用が可能。正式サービス時には正規化された住所や物件名を逆引き取得できる有料の上位プランも提供予定。

また「不動産共通ID β版利用 先行エントリーフォーム」において、事前利用登録の受付を開始した。

不動産共通IDは、Geoloniaが2020年8月にオープンデータとして公開した日本全国の「住所マスターデータ」(Geolonia 住所データ。ライセンスはCC BY 4.0)を基に、不動産取引における企業間での情報連携やデータ連携などの実現を目的として不動産テック協会が整備するID。

不動産事業において統一されていない住所や物件名の表記に対して、同一の物件を示す情報に共通のIDと付与することで、表記揺れに影響されることなく物件の特定が容易となるインフラ環境を構築、不動産情報のデータ連携にかかるコストの大幅削減を図る。

表記揺れの影響を受けず物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

不動産共通IDはなぜ必要なのか?

現在、不動産に関する情報は不動産事業者各社において、「住所」「物件名」などで物件を特定して管理されている。しかし、その表記方法が統一されていないため、同一物件の住所でも「三丁目」と「3丁目」といった表記ゆれや誤入力が発生しており、同一物件であるという特定が難しく、様々な企業が持つ不動産情報の連携が困難という課題がある。こうした課題を乗り越え、生活や企業活動のうえで有用・必須な不動産情報の利用可能性を広げるため、不動産テック協会とGeoloniaは共同で「不動産共通ID」プロジェクトを2020年7月よりスタートした。

不動産共通IDの整備は、行政においても長年の課題であり、不動産業界だけでなく、物流業界や行政などにも幅広く応用できるインフラとなるという。企業ごとに管理方法や管理表記の違う不動産情報に対して、同一物件を示す情報に共通のIDを付与することで、表記ゆれがある住所と物件名が入力されても同じIDが得られる技術により、物件の特定が容易となるインフラ環境を構築する。

不動産共通IDで物件を特定することで、物流の誤配送を防ぎ再送コストを削減できるほか、在宅情報との組み合わせにより在宅の家のみに配送する、夜間光街画像との組み合わせで空き家を特定するといった活用が可能という。また、特定物件に対して複数の工務店・施工会社が行った修繕をひとつに集約し、建物の修繕履歴を一元管理することも可能になるとしている。

表記揺れの影響を受けず物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

2019年9月設立のGeoloniaは、位置情報基盤を通じて、社会が抱える様々な課題を解決できる企業を目指すスタートアップ。IoT、スマートシティーなど、国、自治体、企業のDXが進むにつれて重要な「地図」「地理空間情報」「ロケーションデータ」の分野で、ウェブ地図提供事業、位置情報開発支援事業、ロケーションプラットフォーム事業を展開している。

不動産テック協会は、現在100社超(そのうち不動産テック企業72社)が属する、日本最大の不動産テック企業の団体。加盟企業には、仲介や管理業務、価格査定、ローン・保証など、多岐にわたる不動産業務の効率化や収益化のために、テクノロジーを活用しサービス提供する企業が加盟している。各社ごとに保有する不動産情報は、数千~数億に及ぶという。

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タグ:オープンデータジオコーディング(用語)Geolonia(企業)不動産 / 不動産テック(用語)不動産テック協会(組織)物流 / ロジスティクス(用語)日本(国・地域)

不動産エージェントマッチングサービスのTERASSがシリーズAで2.2億円を調達

不動産相談ができるTerass Agent、ならびにプロの不動産エージェントとのマッチングサービスAgentlyを展開するTERASSは、グロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家とし、三菱UFJキャピタルおよび既存株主であるインキュベイトファンドの計3社より新たに計2億2000万円の資⾦調達を実施した。累計資⾦調達額は3億2000万円となる。

TERASSは、不動産市場の中でも拡大が見込まれる中古物件の流通市場をターゲットとしている。欧米にはプロの不動産エージェントが独立して活躍する文化が存在するが、日本では、サラリーマンとしてノルマを課せられながら一定給与下で働くケースが多い。同社は米国の不動産エージェントマッチングサービスexpREALTYをベンチマークしており、日本においても不動産業界での個のエンパワーメントを目指すという。

TERASSは業務委託として所属する不動産エージェントたちに対して成果報酬制度を導入しており、手数料売上の75%が還元される。フルリモート、フルフレックスで副業も可能と、イマドキの働き方も実現できる。経験豊富な元不動産出身者の他、経営コンサルタントやパーソナルトレーナーを営む一方でパラレルキャリアワーカーとして活躍し、クライアントの多様な要望に応えるエージェントもいる。

代表の江口亮介氏はSUUMOを提供するリクルート住まいカンパニー出身。「いい家探しはいいエージェントから。社会全体としても個人が活躍する時代になっていっている中、不動産業界でもエージェントが個人として活躍しやすい環境を作りたいと考えた」と江口氏は語る。同じくSUUMO出身の広報・鈴木氏も「不動産購入は人生の中でも大きな買い物。同じ手数料を払うのならば、偶然アサインされる人とではなく、自分と合う人と一緒に物件を選んで欲しい」と語った。

TERASSは純粋な無店舗運営とは異なり、エージェントが手間になりがちな契約書のやりとり、行政への届け出、住宅ローン手続きなどを簡素化するツール提供している点や、広告型であるため物件の写真撮影を不要にしている点など、エージェントの作業を極力なくしているところが特徴。今回の調達ではこのツールの強化により、エージェントがより顧客に向き合う時間を作ることを目指す。エージェントは現在35名程度だが、3年後には500名超を目指す(業界最大規模の企業で、2000名所属と言われている)。

登録されたエージェントと不動産を探すエンドユーザーは、Agentlyというマッチングアプリで、無料でコミュニケーションをとることができる。希望条件を入力すると複数のエージェントから物件の提案が届き、気に入ったエージェントと匿名チャットでやりとりを進められる。また、不要な物件情報の営業がこないのも忙しい人にはメリット。今後はエージェントのレーティングを強化し、マッチング精度も上げていく。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TERASS資金調達不動産日本

ソフトバンクなどから総額約1710億円調達した不動産仲介スタートアップ「Compass」が上場申請

総額16億ドル(約1710億円)のベンチャー資金を調達したニューヨークに拠点を置く不動産仲介のスタートアップCompassがが新規上場のために証券取引委員会にS-1申請書を提出した。新型コロナウイルスによるパンデミックで経済活動が急減速したこととにともない、スタッフの15%のレイオフを余儀なくされたのはちょうど1年前のことだ。

同社は現在、SoftBank Vision FundがCompassの3分の1強を保有して筆頭株主となっている。Crunchbaseによれば他の投資家にはカナダ年金投資委員会、Fidelity、Wellington Management、Qatar Investment Authority(カタール投資庁) どが含まれている。

同社が最新の資金調達は2019年7月で、会社評価額64億ドル(約6835億5000万円)で3億7000万ドル(約395億2000万円)のラウンドを実施した。同社はハイテクアルゴリズムにより売手、買手、仲介者の三方を益する不動産業界向けマーケットプレイスを構築している。

企業が上場を申請すると我々は、その財務状況を非常に詳しく知ることができるようになる。Compassは通年ではまだ赤字だがここ数年、売上は急増している。

S-1上場申請書によれば、同社の収入は2016年の1億8680万ドル(約199億5000万円)から2020年にはなんと37億ドル(約3951億9000万円)に膨張している。売上増加は主として直近の2年間の成長によるものだ。Compassは多数の不動産エージェントと契約するビジネスモデルであるため、売上の大部分は代理店に直接支払われる。2020年には約30億ドル(約3204億3000万円)の手数料が支払われた。Compassは2020年の純損失は2億7000万ドル(約288億4000万円)で、これは過去2年間とほぼ同額だ。

プラットフォームを利用した取引総数は2018年の2万7000件から2020年には14万5000件に急増し、総取引額(同社が仲介した不動産の価値)も340億ドル(約3兆6320億円)から1520億ドル(約16兆2360億円)へ約5倍に増加した。手数料は不動産価値に対する一定の割合で計算されるためトランザクションの額は売上に直接反映されることになる。2020年12月31日現在、同社のラットフォーム上に登録しているエージェントは1万9385人となっている。

ただしCompassはパンデミック以前からもそれなりのトラブルを抱えていた。2019年9月にWall Street Journalは過去18カ月間に最高財務責任者、最高マーケティング責任者、最高技術責任者を含む多くの幹部社員が同社を離れたと報じている。

【更新】この記事はCopassプラットフォーム上のエージェントの数をアップデートしている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:CompassIPO不動産Softbank Vision Fund

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo, Danny Crichton、翻訳:滑川海彦@Facebook

フードデリバリーのFavorを設立した2人が不動産賃貸のSunroom Rentalsで11.6億円を調達

不動産テックのスタートアップSunroom Rentals(サンルーム・レンタルズ)は、不動産管理者やアパートのオーナーに代わって賃貸を行う会社だ。このほどシリーズAで1100万ドル(約11億6000万円)を調達した。Gigafundがラウンドをリードした。

Ben Doherty(ベン・ドハティ)氏とZachary Maurais(ザカリー・モーライス)氏は、フードデリバリーアプリであるFavorの共同ファウンダーで、2018年5月に中規模の不動産管理者とアパートオーナーに賃貸業務をアウトソーシングする手段を提供することで「収益性を高める」ことをミッションとしてSunroomを設立した。

2人は2018年にFavorをテキサスの食料品会社H-E-Bに売却すると、すぐに方向転換してSunroomの設立を目指した。テキサス州オースチン拠点の同社は、賃貸者が物件の内覧、申し込み、契約まで「すべてオンライン」で行えるようにするアプリを開発した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、多くの賃貸者が物件の調査、確保をバーチャルに行う方法を求めるようになった。

「私自身、消費者の最も基本的なニーズを満たす商品を作ることが大好きなのです」と社長のモーライス氏は言った。「食料品の経験を元に、住宅に焦点を当てることを決めました」。

フードデリバリーと住宅に、消費者ニーズを満たすこと以外に共通点があるのか気になるところだが、CEOのドハティ氏は、2021年の賃貸市場は2013年のフードデリバリー市場とよく似ている、という。

「2013年に、Grubhubは多くのレストランのメニューをオンライン化することに成功しましたが、注文や配達プロセスの大部分はオフラインのままでした」と同氏がTechCrunchに話した。「私たちは賃貸市場で同じような位置にいます。なぜなら、ほとんどの賃貸物件はオンラインで見ることができますが、物件の申込みや賃貸契約は未だにオフラインで行われているからです。

Sunroom Rentalsは、設立以来2000件の賃貸契約を完了し、10万以上の賃貸者が急成長するオースチン市で同サービスに登録した。会社が最初にビジネスの焦点を当てた場所だ。

「米国国勢調査局によると、その数字はオースチン都市圏の賃貸者の約10%に当たる」とモーライス氏は言った。「広く浅く全米を対象にする代わりに、市場に深く入り込んでネットワーク効果を得ようという決断を下しました。これはFavorのときにうまくいった戦略です。

Sunroom Rentalsは、市場平均よりも5日早く物件を貸し出しているという。これは不動産管理者にとって成長を早め「賃貸効率を高められる」恩恵があるとドハティ氏はいう。

今後同社は、調達した資金を使ってヒューストン、サンアントニオ、ダラスをはじめとするテキサス州全体への拡大を計画している。また、パートナーのポータルにも投資して、オーナーや管理者が賃貸状況をリアルタイムで監視できるようにする。

Sunroom Rentalsの社員は現在18名で、2021年中に2倍以上にすることを目標にしている。中でもエンジニアリング、プロダクト、営業の各部門に力を入れている。

先に述べたように、シリーズAラウンドはGigafundがリードし、NextGen Venture Partners、Calpoly Venturesの他、GoolgeおよびSquareのGokul Rajaram(ゴクール・ラージャーラム)氏、HomewardのTim Heyl(ティム・ヘイル)氏をはじめ多数のエンジェル投資家が参加した。既存の出資者には、Founders Fund Seed、Draper Associates、Boost VC、Capital Factoryらが名を連なる。このラウンドはSunroomにとって初めての「Priced Round(株価を決定した上で株式による調達)」であり、初めて株を手放したことを意味している。

NextGen Venture PartnersのマネージングパートナーであるJonathan Basset(ジョナサン・バセット)氏は、Sunroomはまさしく正しい位置に正しい時にいる「新型コロナ以前から非接触賃貸のトレンドに乗っていた」と評している。

「私は、彼らがFavorで競争の激しい市場で収益の上がる消費者マーケットプレイスを作り上げたのを見て、彼らの鋭敏さに感心していました」とバセット氏はいう。「この種のビジネスには驚くほど多くの類似性があり、彼らが困難を乗り越えることを確信しています」・

先週、TechCrunchはこの益々競争の激しくなる分野で新たなスタートアップが育っていることを報じた。シアトル拠点のKnock は、不動産管理会社に競争力を与えるツールを開発し、最近Fifth Wall Venturesがリードしたグロースファンディング(成長のための資金調達)ラウントで2000万ドル(約21億1000万円)を調達した

Knockの目標は、CRMツールを提供して不動産管理会社の事務部門を近代化して、バーチャルツアーやテキストメッセージ、メール、ソーシャルメディアによる賃貸者とのやりとりを「1枚の会話画面」でできるようにすることだ。Knockは賃貸者のために、もっと簡単に家主と会話をし近づくための手段を提供している。

モーライス氏は、Knockが賃貸業社向けのCRMであるのに対して、Sunroomはマーケットプレイスとして賃貸者が賃借人と出会い、内覧し、提携物件に購入申込みをする場である点が異なっていると指摘する。

「Sunriseは、パートナーに一連の賃貸・分析ソフトウェアも提供し、取引だけでなく定期収入も生み出せるようにします」とモーライス氏は付け加えた。

カテゴリー:その他
タグ:Sunroom Rentals不動産資金調達

画像クレジット:Sunroom Rentals

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook