イオンおよびイオンスタイル全店舗・約360店でVR従業員教育を導入、140カ国5万社が採用するInstaVRを活用

イオンおよびイオンスタイル全店舗・約360店でVR従業員教育を導入、140カ国5万社が採用するInstaVRを活用

イオンリテールは3月31日、新人および既存従業員教育にInstaVR提供のVRプラットフォーム「InstaVR」(インスタブイアール)を導入すると発表した。対象は、イオンおよびイオンスタイル全店舗(約360店舗。運営する北陸信越、関東、東海、近畿、中四国エリアの店舗)。全店舗にVRを従業員教育に導入する取り組みは国内小売業で初という。

同社は、顧客視点と現場を基盤とする全員経営を重視するとともに、業務プロセスの標準化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による生産性改善に取り組む構造改革を加速させているという。

そううした中、さらなる「お客さま満足」の実現に向けて、従業員の教育機会拡大と習得レベルの標準化を目的に、人材育成においてもDXを推進する。今後も、VR学習コンテンツの拡充を進めることで現場力を強化し、顧客満足度の向上に取り組むとしている。

2015年12月設立のInstaVRは、VRの事業活用を推進するVRコンテンツ制作・配信・分析プラットフォーム「InstaVR」の製品開発・導入支援を行う、日本発のVRスタートアップ。世界140カ国5万社に採用されているという。

イオンリテールは、VR導入のポイントとして「『やり方がわかる』だけでなく『できるようになる』OJT教育へ」「多様な業務に対応する1000以上の研修コンテンツを共同制作」「入社時の導入教育における教育時間を約40時間削減(1店舗/1カ月あたり)」の3点を挙げている。

「やり方がわかる」だけでなく「できるようになる」OJT教育へ

VR従業員教育では、場所の制約や教育担当者の数にとらわれず、これまでのEラーニング動画では対応しきれなかった実務トレーニングが可能になることで、従業員の教育機会拡大と習得レベルの標準化につながるという。また、多くの業務手順が「わかる」だけでなく実際に手を動かしながら「できる」ようになるための実習を1人でも行えるため、教育担当者の負担も減らしながら、実務レベルの向上が期待できるとしている。

同社は、2020年12月から一部店舗において、約5000名の従業員を対象にレジ操作や接客基本応対などの入社教育をVRで行う実証実験を実施。一般的に、VR活用の効果として、実際の機器がなくてもVR上でレジ操作をしたり、顧客がいなくてもVR上で応対をしたりなど現場で「体験」している感覚で学習ができることや、没入感が高く集中して学習でき、学習定着率が非常に高くなるとされる。体験後のアンケートにおいても、約9割が「テキストや動画での学習より作業手順の理解が深まった」「事前に体験できることで自信を持って売場に立てる」「何より楽しく学習できた」との回答があったという。イオンおよびイオンスタイル全店舗・約360店でVR従業員教育を導入、140カ国5万社が採用するInstaVRを活用

多様な業務に対応する1000以上の研修コンテンツを共同制作

InstaVRが提供する高速VR化システム「100倍速VR化」を活用し、レジ業務や接客などの顧客対応、売場作り、防災・防犯など、多様な業務に対応する1000を超えるイオンリテールのオリジナル学習コンテンツを、企画からシナリオ作成・撮影に至るまで共同で制作。同夜がすべての工程に入り込み、ともに制作を行うことで実務に即した効果的なVRによるOJT教育を実現した。

入社時の導入教育における教育時間を約40時間削減(1店舗/1カ月あたり)

VRを入社時の導入教育プログラムに組み込むことで、1人でも学習が可能になったこと、また入社日時に関わらず随時個別に導入学習が可能になったことから、指導者側の業務時間を平均約40時間(1店舗/1カ月あたり)削減することにつながったという。今後配属後の教育もVR化することで、さらなる業務の効率化も進めるとしている。

ECサイト制作サービスのSTORES、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

ECサイト制作サービスのSTORESがPayPayと連携、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

商売のデジタル化を支援するhey(ヘイ)は3月29日、ネットショップ開設サービス「STORES」(ストアーズ)において、キャッシュレス決済サービスのPayPayと連携したことを発表した。今回の連携により、STORESで開設したネットショップでは、従来のクレジットカード、コンビニ決済、銀行振込、キャリア決済などに加えて、PayPayでの決済も可能となったECサイト制作サービスのSTORES、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

heyは、2021年6月に実店舗オーナー・従業員へのアンケート調査を実施(n=444)。その結果「実店舗とネットショップの両方を運営している」「今後、両方を運営していきたい」と回答した事業者は82%に上り、同社は実店舗とネットショップを融合したマルチチャネル化、OMO(Online Merges with Offline)化の動きが進みつつあると指摘。今回、中小規模の店舗でも多数の導入実績を持つPayPayと連携したことで、今後も双方の特性を活かし「実店舗とネットショップの融合」を支援することで、より多くの中小事業者の成長に貢献できるようサービスを展開していきたいという。

ECサイト制作サービスのSTORESがPayPayと連携、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

PayPayは登録ユーザー数4500万人以上、加盟店数355万カ所以上のキャッシュレス決済サービス(店舗やタクシーなど、PayPay登録カ所数の累計。2021年12月時点)。

STORESは、ASPカート型のネットショップを開設できるサービス。ひな型となるデザインテンプレートを多数提供し、ウェブサイトデザインやネットワーク関連の知識がなくともECサイトを作ることが可能。商品の予約販売機能、電子チケットの販売機能、顧客管理機能なども備えており、中小事業者を中心に利用されている。

アパレル事業者向けクラウドを展開するpark&portがプレシリーズAファーストクローズとして8000万円調達

アパレル・ライフスタイル製品事業者へ向けた業務クラウド「PORTUS CLOUD」(ポルタスクラウド)を展開するpark&portは3月17日、プレシリーズAラウンドのファーストクローズとして、第三者割当増資による8000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、新規投資家のHIRAC FUND(マネーフォワードベンチャーパートナーズ)、BDJキャピタル。調達した資金は、プロダクト開発および拡大に向けた人材採用にあてる。引き続きセカンドクローズへ向けて動き、必要資金を調達する予定。

PORTUS CLOUDでは、アパレル事業者の中心的業務が「商材」にひも付いていることに着目し、商材情報のデジタル化を起点とした業務効率化・フローのデジタル化を実現させたという。park&portによると、アパレル業界は、消費者の趣味嗜好が多様化していることを受け、今後小売企業はより細分化し、商材品種も増えると見ているそうだ。PORTUS CLOUDでは、そうした商材情報をデジタル化することで既存業務を効率化するとともに、リソースの最適が図れるとしている。さらにデジタル化した商材情報をアセットとした、新しいビジネスの可能性も切り開く。

park&portは、「自分のスキを手に取れる世界の実現」をパーパスに据え、「ファッションプロダクトの流通最適化」をミッションとして掲げるスタートアップ。アパレル業界出身の代表とITベンチャー出身の共同創業者により、2019年4月に設立された。PORTUS CLOUDの開発と運営を事業として展開している。

お店のキャッシュレス決済サービス「STORES 決済」が自動入金の振込手数料を完全無料化

お店のキャッシュレス決済サービス「STORES 決済」が自動入金の振込手数料を完全無料化

STORES(ストアーズ)プラットフォームを運営するへイ(hey)は3月16日、お店のキャッシュレス決済サービス「STORES 決済」(ストアーズ決済。Android版iOS版)において、2022年3月分の売上入金時より、「自動入金」の振込手数料を完全無料化すると発表した。従来売上合計に応じて必要だった振込手数料の完全無料化することで、長引くコロナ禍の影響を受ける事業者の負担を軽減し、より柔軟なキャッシュフローを提供する。

STORES 決済は、お店の方向けのキャッシュレス決済サービス。クレジットカード、電子マネー、QRコード決済に対応しており、インターネット環境があれば屋内外問わず、いつでも・どこでも・誰でも利用できる。

STORES 決済では、「手動入金」「自動入金」の2種類の入金サイクルを提供しており、両サイクルとも売上合計が10万円未満の場合は200円の振込手数料を事業者が負担する必要があったが、今回の対応により「自動入金」の振込手数料が売上合計に関わらず無料になる。

お店の売上規模や事業状況にあわせて、着金までのサイクルが短い「手動入金」と、振込操作が不要な「自動入金」を効果的に活用することで、さらなるお店のキャッシュフロー改善に役立てることが可能としている。

また今後も、多様化する店舗・中小事業者のニーズに応え、入金に関する改善を行うことで、お店のキャッシュフロー改善およびデジタル化を促進するとしている。お店のキャッシュレス決済サービス「STORES 決済」が自動入金の振込手数料を完全無料化

「自動入金」振込手数料の無料化について

  • 対象売上:2022年3月分の売上から適用(入金日:2022年4月20日)
  • 対象入金サイクル
    ・自動入金
    ・自動入金の場合、振込手数料が売上合計金額に関わらず無料
    ・口座の制限はなく、地方銀行・ゆうちょ銀行を含めた国内すべての金融機関に対応
    (手動入金は、従来通り売上合計が10万円未満の場合200円の振込手数料を事業者が負担)
  • 入金方法の設定:初期設定は手動入金。用途に合わせて設定変更が可能
  • 自動入金への設定変更方法:手動入金から自動入金に変更する場合は、ウェブ管理画面かアプリで切り替え操作が必要。すでに自動入金を設定している場合は、変更は不要。振込手数料の無料化は自動的に適用される
  • 詳細売上の入金について

体験型ストア運営のb8ta Japanが日本における全ライセンス取得し米国b8taから独立、アジア進出も視野

体験型ストア運営のb8ta Japanが日本における全ライセンス取得し米国b8taから独立、アジア進出も視野

体験型ストアb8ta(ベータ)を国内で3店舗運営するb8ta Japan(ベータ・ジャパン)は2月24日、米国b8ta inc.から、日本国内向け事業における商標権およびソフトウェアのライセンスをb8ta Japan JV, LLCにおいて2021年12月末独占的に取得したと発表した。

b8ta Japanでは現在、合同会社から株式会社への移行の準備を進めており、これを機に第三者割当増資を実施し、日本のb8ta事業を一気に加速させる。体験型ストア運営のb8ta Japanが日本における全ライセンス取得し米国b8taから独立、アジア進出も視野

b8ta Japanは、米国VCのEvolution Venturesとb8ta.incの合弁会社、ベータ・ジャパン合同会社として2019年に設立。日本国内における事業を運営してきたが、2020年9月には米国b8taとの資本関係を解消、b8taの商標とソフトウェアの日本国内での使用に対してライセンス料を支払うモデルに移行していたという。

そして今回、約1年にわたる協議の末、日本国内における事業に関わる「b8ta」の商標権およびソフトウェアのライセンスをb8ta Japan側で独占的に取得することで合意に至った。

なお2022年2月18日、米国b8taは全店舗閉店したが、b8ta Japanは米国b8taから独立した法人であり、日本国内における運営には一切影響はない。事業継続に必要な資産はすべてb8ta Japan側で確保しており、今後とも米国の事業に左右されることなく日本での事業展開を継続する。

代表の北川卓司氏は、「これからも創業者の掲げたミッションである『リテールを通じて人々に新たな発見をもたらす』を体現し、日本国内でb8taの店舗事業、また付随するRaaS(Retail as a Service)の新事業を拡大して参ります。また、日本からアジアの他地域への進出も計画しており、売ることを主目的としない店舗の更なる拡大を進めていければと考えております」と述べている。

ソフトバンクとゴールドマン、インドの小規模小売店プラットフォームElasticRunにユニコーン出資

ソフトバンクが世界第2位のインターネット市場における商業的な賭けをさらに強化する中、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)は、ElasticRun(イラスティックラン)の3億ドル(約345億2000万円)の最新ラウンドをリードした。

ElasticRunがインド時間2月7日に規制当局へ提出した書類によると、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)と既存投資家であるProsus Venturesも、プネーに本社を置く同社のシリーズEラウンドに参加した。今回のラウンドで、ElasticRunの評価額は15億ドル(約1727億円)となった。

TechCrunchは1月初め、ソフトバンクとゴールドマン・サックスがElasticRunを支援する交渉を行っていると報じていた。

ElasticRunは、インドの数百の市町村にある数十万の小規模小売店が、トップブランドの在庫や運転資金を確保できるよう支援している。ElasticRunは、eコマース企業やその他の大手ブランドとの協業をサポートすることにより、これらの近隣店舗の収益向上を支える。EC企業やブランド側は、これまで参入が難しかった巨大な市場へのアクセスを得ることができる。

今回のラウンドにより、ElasticRunの累計調達額は4億3000万ドル(約495億円)以上となり、これまでのすべての資金調達を合わせた額よりも多くの資金が同社にもたらされた。

ElasticRunはクラウドソーシングにより、近隣店舗(キラナとして知られているパパママストア)にサービスを届けるパートナーの物流ネットワークを構築してきた。ElasticRunと協力してこのネットワークを利用している大手企業には、Amazon(アマゾン)、Tata Consumer Products(タタ・コンシューマー・プロダクツ)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、PepsiCo(ペプシコ)、インド最大の小売チェーンであるReliance Retailなどがある。

このスタートアップは、ソフトバンクがインドのコマース市場で行ってきた一連の賭けの中で最も新しいものだ。ソフトバンクはこれまでにも、Flipkart(Flipkart)やソーシャルコマースのスタートアップであるMeeshoなどを支援している。

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

地元のコンビニや商店に配達を提供するLulaのサービスが急成長

Lulaの共同創業者アディット・グプタ氏とトム・ファルザニ氏(画像クレジット:Lula)

コンビニエンスストアはクルマに給油しているときや、軽食が欲しいときに立ち寄るところだが、パンデミックで誰もお店の中に入らないようになると、店の生き残りも難しくなる。

Adit Gupta(アディット・グプタ)氏の親も、ニュージャージーのコンビニのオーナーだったため、客が来ないことに苦しんだ。そこでグプタ氏と彼のドレクセル大学時代の学友Tom Falzani(トム・ファルザニ)氏は、数週間かけて、何らかの配達アプリを使って店が存続する方法を編み出そうとしたが、グプタ氏の両親の2020年半ばの閉店を止めることはできなかった。

「お客さんが店に来れなくなりましたが、コンビニでは電話などで店にオーダーすることもできません。そこで配達アプリを作ることを考えました。オンラインなら3000、4000もの品数を揃えることができることに、改めて驚きました。親が閉店した後に考えたのは、コンビニエンスストアは全国に15万以上もあるが、その1つひとつを有能な起業家が経営する小さなフルフィルメントセンターだと考えればいいということです。そこには配達するためのテクノロジーがないだけなのです」とグプタ氏はいう。

他のコンビニが親の店のような運命にならないために彼らは2020年後半、フィラデルフィアにLulaという会社を立ち上げた。今では数百のコンビニやドラッグストアやその他の店舗が、Lunaの手数料ゼロのツールを使い、配達という第二の販売チャネルを確立し、サードパーティの業者と契約して配達を行っている。

関連記事:三菱電機がCartkenの自律走行ロボットを使った配送サービスの実証実験をイオンモールで開始

そのような店舗は店員の数も少なく、デジタルのスキルも弱いため、Lulaはすべての店のすべての商品をデータベースに登録し、すべての配達業者に配信する。そして注文が来れば、その情報は店と配達業者の両方へ同期される。

そのツールは「初めてのマルチベンダーの30分配達プラットフォーム」だとグプタ氏は自画自賛する。これまでオンラインで注文を受けても配達手段がなかったお店が、サードパーティのプラットフォームすなわちLulaで配達手段を得る。

「コンビニエンスストアやその他の商業者が搾取されるビジネスモデルにはしたくなかったため、料金は毎月のサブスクだけです。店は2、3日で元がとることができます」。

Amazonは実店舗TortoiseCartkenは配達ロボットと、リテールのこの部分に関心を向ける企業が最近は多い中で、特に配達の要望が多いのはコンビニエンスストアの食品や食材だ。消費者分析企業Edison Trendsの調査報告では、2020年の1年間でコンビニエンスストアへのオンライン支出は346%成長した。

Lulaは2021年に100万ドル(約1億2000万円)のプレシードを調達し、最初の10社ほどの顧客にサービスを提供したが、今回は550万ドル(約6億3000万円)のシードを発表し、2022年内に米国のすべての州から2000の顧客を獲得するつもりだ。

その最新のラウンドを共同でリードしたのはRipple VenturesとOutlander VCとUp Partnersだ。このラウンドに参加したの、SOSV、Simple Capital、NZVC、Stonks.com、EasyPost、Park City Angels、Alumni Ventures、Broad Street Angels、Ben Franklin Technology Partners、そしてエンジェル投資家たちのグループとなる。

同社は前月比で30%以上店舗数を伸ばしており、すでにヨーロッパとメキシコの両方で大手コンビニエンスストアチェーンと商談中で、全米の独立系店舗からオーガニックなインバウンドトラフィックを受けているとGuptaはいう。そのため、今回の資金調達は、製品開発と、営業およびカスタマーサクセスチームによるLulaの人員拡大にも充てられる予定だ。

現在、Lulaの従業員数は35名だが、グプタ氏はカスタマーサクセスチームを50名以上に増強し、最終的には年内に100名のチームを結成する予定だ。

Ripple VenturesのマネージングパートナーであるMatt Cohen(マット・コーエン)氏は、「Lulaが、地元の企業がデリバリーサービスを利用できるようにするために、事業を拡大していることに興奮しています。パンデミックは高級店や大型店を直撃し、Lulaは地元の商店が急成長する宅配需要にアクセスするためのすばらしい方法です。アディットとトムが見つけたのはとても大きなビジネスチャンスであり、Ripple Xを通じたアディットの旅を非常に誇りに思っています」という。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ウォルマートがホームサービスの提供を拡大、Angiとの新たなパートナーシップ

Walmart(ウォルマート)はホームサービスを拡大している。同社は米国時間1月31日、Angi(アンジー、Angie’s List)との新たな提携を発表した。全米50州の約4000店舗でWalmartの顧客がサービスのプロを利用できるようにする。Walmartの顧客が店頭やオンラインで買い物をする際、床張りや塗装、フェンス設置、さらには家具の組み立てや大型テレビの取り付けといった細々とした作業など、150種の一般的なホームプロジェクトでAngiのプロを予約できるというものだ。

Walmartは2018年にHandy(ハンディ)と提携し、2000超の店舗で家庭内の設置・組み立てサービスを販売し始め、その後オンラインにも拡大してホームサービス市場への最初の一歩を踏み出した。これは、顧客が家具などのアイテム購入時に、新アイテムを自宅に設置するための設置作業の予約もすぐに入れられるというものだった。この動きは、ライバルのAmazon(アマゾン)が2015年に小売サイト上にホームサービス専用のハブを立ち上げてホームサービスに参入したことに続くものだった。

WalmartがHandyとの提携を発表した直後、同社はAngi Homeservicesに買収された。そして2021年、Handyの共同創業者であるOisin Hanrahan (オイシン・ハンラハン)氏が、統合会社のCEOに就任した。潜在的な市場を踏まえ、後に自らの契約を拡大し、どこかの時点でHandyのホームサービス全般を含めることで、Walmartはこの買収を利用することもできると予想されていた。

同社は1月31日、HandyではなくAngiがホームサービスのパートナーになると説明した。これにより、Walmartは自社の顧客と25万人を超えるAngiの専門家のネットワークとを結びつけることができるようになる。HandyのブランドがWalmartのウェブサイトで紹介されることはなくなる、とWalmartはTechCrunchに語った。代わりに、Angiのブランドだけが店舗とオンラインの両方で見られるようになる。これはまた、Angiが2021年にリブランドしたことによるものでもある。同社はその際、もはや「Angie’s List」が単なる「リスト」ではなく、顧客がサービスのプロやその他の住宅建設業者を調べて予約し、予定を組んで支払いもできるサイトとして、ブランド名が自社のサービスを正確に表現できないと判断した。

画像クレジット:Walmart

Handyとの提携と比較すると、WalmartとAngiの新しい契約では、提供するサービスの数が増えることと相関して、以前の統合よりもはるかに幅広いSKU数となる。Handyとの提携は主にテレビや家具の設置など、小規模なプロジェクトにおける家庭内での設置・組み立てサービスが中心で、テレビ設置が45ドル(約5200円)、家具の設置が79ドル(約9000円)〜だった。しかし、Angiとの提携ではさらに踏み込んでいて、塗装、床張り、フェンス設置などより複雑なサービスも新たに提供するようになった。Walmartによると、さらに複雑なサービスにも手を広げていく予定だという。

この提携の財務的な内容や収益への影響についてWalmartに尋ねたところ、同社は詳細を明らかにすることを却下した。例えば、同社のサイトを通じて予約されたAngiのサービスに対して、どれくらい仲介料を取る可能性があるかなどは明らかにしていない。ただし、WalmartはAngiのサービスを提供する最初の期間限定独占小売店となる。

画像クレジット:Walmart

顧客は、オンラインおよび店舗で対象商品と一緒にAngiのサービスを予約するか、2月中旬に公開されるWalmart.comのAngi専用ランディングページから予約できるようになる(URLはまだ最終決定されていないとのことだ)。購入後、Angiが予約の調整を行う。大規模なサービスについては、専任のプロジェクトアドバイザーが顧客にカスタムメイドの見積もりを提供し、プロフェッショナルを探し、プロジェクトが成功するよう作業を管理する。

AngiのCEO、Oisin Hanrahan(オイシン・ハンラハン)氏は、今回のサービス開始について次のように述べた。「当社初の小売との統合として、世界有数の小売企業であるWalmartと立ち上げることができ、これに勝る喜びはありません。パンデミックが始まって以来、家庭が注目され、全米の人々はこれまで以上に住まいの改良やメンテナンス、修理を行っており、そうしたプロジェクトを始めるのに必要なツールや材料を探すためにしばしばWalmartを利用しています。新しいスマートTVを設置してエンターテインメント空間を華やかにしたり、増えた家族のために子ども部屋にペンキを塗ったり、屋外スペースを改造してパティオを設けたりといったことは、今やWalmartの顧客がWalmartでのショッピング体験の一部として、Angiのプロの助けを借りてシームレスに行えるプロジェクトになっています」と述べた。

Walmartの小売サービス部門シニアディレクターであるDarryl Spinks(ダリル・スピンクス)氏は「Angiは経験豊富で高い評価を得ているプロを顧客に案内し、家庭内の作業を支援します。Angiの便利で簡単なサービスをお客様に提供することに胸躍らせています」と述べた。

画像クレジット:Nicholas Kamm/AFP / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

PinterestのARショッピング機能が家具やインテリアにも拡大

Pinterest(ピンタレスト)の新機能は、拡張現実(AR)を使って、家具やその他のインテリア用品が自分の家でどのように見えるかを、消費者が確認できるようにする。同様の技術は、Amazon(アマゾン)、IKEA(イケア)、Wayfair(ウェイフェア)などの大手小売業者や、Houzz(ハウズ)のような住宅デザイン分野の企業によってすでに実用化されている。Pinterestの場合、Crate & Barrel(クレート&バレル)、Walmart(ウォルマート)、West Elm(ウェストエルム)、Wayfairなどの米国の小売業者と協力して、オンラインの買い物客がPinterestアプリの「Lens camera(レンズカメラ)」を使って自宅に仮想的に商品を配置できるようにする。そして、ユーザーが気に入れば、小売店から直接商品を購入することができる。

このインテリアのバーチャルショッピング体験は、米国で8万以上のショッパブルピンで開始され、Pinterestにとってこれまでで最大のARショッピングへの投資となる。

また、これは、Pinterest が過去2年間に発表した「Try On(トライオン)」の3つ目の製品でもある。最初の試みは美容市場で、消費者がさまざまな口紅の色合いやアイシャドウを仮想的に試すことができるトライオン機能で、合計1万4000のショッパブルピンを提供した。Pinterestはまだ、部屋の中に直接商品を置くことはやっていなかった。つまり、ユーザーの顔の上にだけ商品を置いていたのだ。これまでと同じ技術ではないが、Pinterestのトライオン体験はすべて、商品のインスピレーションを購買につなげるという同じ目標を掲げている。

iOSまたはAndroidでこの機能を利用するには、米国のユーザーは、サポートされているホームデコレーションのピンをクリックし「Try in your Space(トライ・イン・ユア・スペース)」をクリックすると、カメラレンズを通してバーチャル製品を見ることができる。ユーザーは、自分のスペースで製品を調整し、価格などの製品情報を閲覧することができる。購入する場合は、再度ピンをクリックし、販売店のウェブサイトのレジに進む。

画像クレジット:Pinterest

このように、消費者の気軽なブラウジングを小売の取引につなげる試みは、Pinterestが長年にわたって力を入れてきたものだ。しかし、同社は、例えば、買い物のインスピレーションとして、静止画像から動画への移行など、さまざまな市場の変化への対応が少なくとも最近までは遅れていた。2021年、同社は遅ればせながら、動画優先のデビュー商品「アイデア・ピン」をリリースしてこの分野に参入し、以来、オンラインインフルエンサーが自分のコンテンツから収益を上げられるようにするためのクリエイターツールに投資している。

Pinterestはまた、家具やインテリアのショッピングのための新しいAR機能で、明らかに市場に先駆けているわけではない。しかし、ARショッピング市場はまだ初期段階だ。この市場では、Apple(アップル)のARKitのように、AR開発者が利用できるツールによって初期の導入が制限されており、時間の経過とともに着実に改善され、エンドユーザー体験が煩雑でなくなってきているのだ。また、アプリメーカーは、ARショッピングを消費者にアピールする方法をまだ探している段階だ。例えば先に、Snapchat(スナップチャット)は自社の AR 機能をアップグレードし、消費者が複数の商品をリアルタイムの価格で一度に閲覧できるショッピング・レンズが追加された

ARショッピングの初期の実験のいくつかは、よりギミック的なものに感じられたが、ARをうまく使えば、小売業者のコンバージョンを増やすのに役立つという兆候もある。そして、このような体験に対する消費者の需要もあるのかもしれない。例えば、2019年のGoogle(グーグル)の調査では、66%の人が買い物の際にARを使ってみたいと答え、ARに対する消費者の関心が示されている。実際の調査やコンバージョンに関するデータはより限定的なものだった。しかし、eコマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)は、自社の社内データを引用して、ストアに3Dコンテンツを追加しているマーチャントは、平均で94%のコンバージョン上昇を確認していると共有した。そして、ARで3Dモデルを使用した一部のマーチャントは、最大250%もコンバージョン率が上昇したとShopifyは述べている。また、同社は、Vertebrae(ヴァータブレイ)による2020年の調査を引用し、ARを利用する顧客は利用しない顧客と比較してコンバージョン率が90%上昇することを明らかにした。

一方、Pinterestは、自社のユーザーが「トライオン」可能なピンから購入する確率は、通常のピンの5倍であると述べている。また、2021年の検索クリック数は33.7億回で、ホームデコレーションがサイト内のトップカテゴリーであると述べている。そのため、この最新のARの取り組みは、ARビューティーショッピング機能よりも多くの利用者がいる可能性があるものとなっている。同社は、ビジュアル検索機能の利用が前年比126%増加したことをアピールしたが、総検索数については明確な数字を示さなかった。

「パンデミックが始まって以来、何百万人もの人々が意思決定プロセスの一環として、購入前に試したり、パーソナライズされたレコメンデーションを見たり、情報収集するための仮想およびモバイルオプションを期待しており、これまで以上にデジタルに精通した買い物客が増えています」と、Pinterestのエンジニアリング担当SVP、Jeremy King(ジェレミー・キング)氏は発表で述べている。「これらの行動は、毎日Pinterest全体で起こっています。だからこそ、私たちはAR Try Onのような技術を進歩させ続け、Pinterestを、アプリ内のどこでもインスピレーションから購入まで人々を導くフルファネルの買い物先にするのです」。

同社はTechCrunchに対し、現在、ARショッピング機能を収益化していないと語った。しかし、この取り組みにおける小売パートナーは、すでにPinterestでオーガニックと有料広告の両方の成功を収めているブランドであり、消費者が有機的に商品を発見するための別の方法を利用しようとしている。

ARショッピング機能は、発売当初はiOSとAndroidで米国のみだが、後にグローバル市場にも展開されるとPinterestは述べている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

ワシントン州による調査後、「Sold By Amazon」での価格操作に対してアマゾンは2.6億円を支払い、プログラムも終了

Amazon(アマゾン)は、225万ドル(約2億6000万円)を支払い、中断していた販売プログラムを永久に停止しなければならない。同社が実質的な価格操作を行っていたとする、ワシントン州司法長官による調査および訴訟を受けたものだ。

「Sold By Amazon」は基本的に次のような仕組みだった。Amazonがサードパーティの販売者と連絡を取り、商品の最低価格について合意する。Amazonがそれ以上の値段でその商品を売れば、利益を分配する。ある意味、卸売りで大量に仕入れて転売するのとあまり変わらない。しかし、Amazonがストアで商品の価格や見せ方を激しく変えるその手法のために、実際にはまったく異なったことが起こった。

州司法長官室の説明によると、Amazonは結局、他の小売業者に合わせてその商品の価格を上げ、売り手が割引を提供するのを防いでいた。その結果、購入者は、Amazonが好きなように価格を設定できるAmazon自社ブランドの購入に走ることが多かった。

Sold by Amazonに登録されている商品の大半は、価格が人為的に高く設定されたままになっていた。

価格が上昇すると、一部の販売者は、プログラム対象製品の売上とそれによる利益が著しく減少した。価格上昇に直面したネットユーザーは、Amazonの自社ブランド商品、特にプライベートブランド商品を購入することを選択することもあった。その結果、消費者が「Sold by Amazon」プログラムに登録された商品に高い値段を払うか、あるいはAmazonで提供される同一または類似の商品を購入するかにかかわらず、Amazon自身の利益が最大化されることになった。

これは売り手にとって不利な取引に聞こえる。だが、より根本的には、ワシントン州のBob Ferguson(ボブ・ファーガソン)司法長官は、この行為は州の反トラスト法に違反していると主張した。Amazonは店舗かもしれないが、自社の商品も販売しており、問題のサードパーティの販売業者とは競合関係にある。そして、競合する2社が商品のコストをコントロールする密約を結ぶことは、価格操作の定義とほぼ同じだ。

Amazonはファーガソン司法長官の見解に反論し、すべては顧客のためであり、完全に対等だと述べた。また「司法長官の調査とは無関係なビジネス上の理由」でプログラムを停止したと主張している。「私たちはプログラムが合法的であったと強く信じていますが、この問題が解決されることを歓迎します」と同社はTechCrunchに声明で述べた。

それにしても、2018年から拡大していたプログラムが、独禁法当局が嗅ぎ回った直後にほぼ停止してしまうとは、何という偶然だろうか。「調査は2020年3月に開始し、Amazonは6月にプログラムを停止した」と、州司法長官室のDan Jackson(ダン・ジャクソン)氏は述べた。おそらく、単にタイミングの問題だったのだろう。

とにかく、Amazonは法廷で争うよりも、225万ドルの支払い(これは州司法長官室の反トラスト部門の財源に直接充てられる)と、同社がこのプログラムの再開をいかなる形であっても禁じることを求める同意協定に同意した。

「Amazonのような巨大企業が利益を上げるために価格を固定すると、消費者が損をします。今日の措置は、製品の革新と消費者の選択を促進し、ワシントン州および全米の販売者にとって市場の競争力を高めるものです」とファーガソン司法長官は述べた。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンが同社初の衣料品実店舗をLAにオープン

Amazon(アマゾン)は、2021年からの噂を裏づけるように、ハイテクを駆使したショッピング体験を約束する初の衣料品実店舗「Amazon Style(アマゾン・スタイル)」をオープンする。同社によると消費者が「知っていて好きな」ブランドを提供し、アプリでアイテム、サイズ、色を選び、試着室や受け取りカウンターに直接送ることができる。最初の店舗は、ロサンゼルスのThe Americana at Brandに「2022年後半」のどこかでオープンする予定だという。

Amazonはファッションクリエイターが選んだ「数百のブランド」と「Amazon.comで買い物をする数百万人の顧客から提供されたフィードバック」を提供すると述べている。具体的な言及はなかったが、同社のオンラインストアでは現在、Oscar de la Renta(オスカー・デ・ラ・レンタ)、Altuzarra and La Perla(アルチュザラ、ラ・ペルラ)といったデザイナーの商品を扱っている。しかし、多くの高級品やハイエンドブランドは、Amazonに商品をオンライン掲載することに抵抗してきた

店舗では、従来の店舗の2倍のスタイルが提供される一方、正しいサイズや色を顧客に手作業で探させないようにしている。気に入った服があれば、Amazon Shopping Appを使ってそのQRコードをスキャンし、サイズや色、顧客評価などの詳細を確認することができる。そして気になる服を試着室に送ったり、試着不要の場合は受け取りカウンターに直接送ったりすることができる。また、想像がつくかと思うが、顧客がすでに選んだ商品をもとにさらに多くの商品を推薦するAI搭載のアルゴリズムを使っている。

アプリを使って試着室のドアを開けると、中には選んだアイテムがすべてそろっている。それぞれの試着室にはタッチスクリーンがあり、その場を離れることなく買い物を続けたり、新しいアイテムの試着を依頼したりすることができる。Amazonがフルフィルメントセンターでも使っている技術により、商品は「数分」で到着する。

店舗で見つけた商品をオンラインで購入することも可能で、価格はどちらも同じだ。商品は店頭で返品でき、スキャンした商品はショッピングアプリに保存されるので、後でもう一度見ることができる。

Amazonはすでに、書店美容室などとともに、多数のFresh食料品店を出店している。FreshやWhole Foodsに見られるレジなし技術「Just Walk Out」を使うかどうかは明言しなかったが、レジには手のひら認証サービス「Amazon One」を利用する予定だという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Amazon

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

新型コロナで加速、小売商の決済インフラ管理を支援するオーケストレーションプラットフォーム「Gr4vy」

小売企業では決済処理やルーティングを自動化するために独自の「オーケストレーション」プラットフォームを構築することが多い。だが、それらの保守は複雑になりがちであるため、Spreedly(スプリードリィ)のような企業が求められるわけだ。2021年、米国で設立された新たなスタートアップ企業であるGr4vy(グレイヴィ)は、より迅速な方法でこれを実現すると主張している。

Gr4vyは、そのために2021年1110万ドル(約12億7000万円)のシリーズA資金調達を実施したが、米国時間1月13日、March Capital(マーチ・キャピタル)が主導するシリーズA拡張ラウンドで、さらに1500万ドル(約17億2000万円)を調達したことを発表。同社のシリーズAステージにおける資金調達総額は(過去のシード資金調達も含め)2720万ドル(約31億2000万円)に達した。これにより、同社の評価額は2倍の1億1500万ドル(約131億8000万円)になったとされている。

サンマテオに拠点を置く同社は、Nyca Partners(ナイカ・パートナーズ)、Activant Capital(アクティヴァント・キャピタル)、Plug and Play Ventures(プラグ・アンド・プレイ・ベンチャーズ)からも出資を受けている。

オーケストレーションプラットフォームとしては珍しく、Gr4vyのクラウドネイティブなペイメントオーケストレーションプラットフォーム(POP)は、クラウド上で小売商のインフラストラクチャを供給するインスタンスも提供している。Gr4vyは現在、GoCardless(ゴーカードレス)、Banked(バンクド)、Akoova(アクーヴァ)などの企業と提携している。

Gr4vyの創業者兼CEOであるJohn Lunn(ジョン・ラン)氏は、筆者に次のように語った。「新型コロナウイルス感染拡大は困難な状況をもたらしましたが、すべてがオンラインになったことで、大きなチャンスにもなりました。多くの企業や小売業者のシステムは、こんな状況に向けて準備が整っていなかったり、目的に適合していませんでした。それまでオンライン取引は全体の5%に過ぎず、それ以外はすべて店舗で処理していたのが、突然100%オンラインになったわけですから。新型コロナウイルスの影響で部分的にデジタル化が加速したことは、大きな利点になったと私は思います」。

コンサルティング会社のMcKinsey(マッキンゼー)では、2025年までに世界の決済収入は2兆5000億ドル(286兆5000億円)に達し、2024年までに電子商取引による小売売上は、全世界の小売売上の21.8%を占めるようになると予測している。

March CapitalのパートナーであるSolomon Hailu(ソロモン・ハイル)氏は次のように述べている。「現代のデジタル決済の方法は、かつてないほど多様化しており、その結果、小売商は圧倒されるように感じています。【略】このeコマース戦略が重要な時期に、クラウドネイティブで使いやすいオーケストレーションプラットフォームを提供することで、小売商が決済インフラを簡素化し、管理できるようにするジョンとGr4vyのチームとパートナーシップを組めることに、Marchは興奮しています」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新資金で潤うFoxtrotの「未来のコンビニ」があなたの近くにやってくる

シカゴにあるFoxtrotの店舗の1つ(画像クレジット:Foxtrot)

Foxtrot(フォックストロット)は、コンビニエンスストアに対する考え方を変えようとしている。同社は、今後2年間で実店舗を50店舗まで拡大するために、新たに1億ドル(約115億5100万円)のシリーズC資金を調達した。

前回、シカゴを拠点とするFoxtrotに注目したのは2020年初頭、世界的なパンデミックに世界が震撼する直前のことだった。成長ラウンドで1700万ドル(約19億6300万円)を確保し、商品を店舗で購入するか、オンラインで注文して配送するかという選択肢を顧客に提供していた。そして当時、ダラスとシカゴに小売店舗を構えていた。

関連記事:窮地のコンビニを再構築するFoxtrotが19億円を調達

2014年にMike LaVitola(マイク・ラヴィトラ)氏とTaylor Bloom(テイラー・ブルーム)氏が創業した同社は、街角のコンビニエンスストアを再構築しようとしている。その起源は、デジタルファーストのコマースプラットフォームだが、彼らはそこに小売り店舗の体験を追加した。Foxtrotの主力商品であるコーヒー、すぐに食べられるカフェ料理、ワインに加え、同社は現在地元の職人による最高レベルの食品を探し求めている。

前回、FoxtrotはワシントンD.C.をマーケットリストに加え、その後、この3都市で16の小売店をオープンした。5分以内のピックアップ、迅速なオンデマンド配送「Foxtrot Anywhere」という全国配送ツールなどを提供している。

加えて、同社は1年前にプライベートブランド商品にも着手し、現在では同社の小売商品の約30%、小売とeコマースの売上のほぼ半分を占めるまでになったと、CEOのLaVitola(ラヴィトラ)氏はTechCrunchに語っている。同氏は、今後1年間に約200の新しいプライベートブランド商品が発売されると期待している。

米国時間1月11日の新たな資金調達は、D1 Capital Partners(D1キャピタル・パートナーズ)が主導し、既存の投資家であるMonogram Capital(モノグラム・キャピタル)、Imaginary(イマジナリー)、Almanac(アルマナック)、Wittington(ウィッティントン)、Fifth Wall(フィフス・ウォール)、Beliade(ベリアード)、Lerer Hippeau(レラー・ヒポー)、Revolution(レボリューション)が参加したものである。このシリーズCにより、Foxtrotの総資金額は1億6000万ドル(約184億円)に達した。

パンデミックでの現状で見られるように、ほとんどの販売はオンラインに移行した。しかし、ラヴィトラ氏はFoxtrotの小売店舗へのアクセスが増加したことに気がついた。小売店舗へ足を運ぶのは、新しいスナックを発見するのにはそれほど激しくなく、かつレストランや食料品店に行くよりも「人々の日常の中の20分の楽しみとなった」ことに言及した。

同社は2021年、事業を倍増させたが、小売店の導入は、新たな資金を使って2022年に25店舗を新たにオープンするための原動力の1つにもなっている。新店舗には、ボストンのバックベイ地区、オースティン初となる2店舗、シカゴのウィリスタワー、トリビューンタワー、リグレーフィールド付近への追加店舗が予定されている。2023年には、ニューヨーク、ナッシュビル、マイアミなどの新市場にも進出し、現在の都市でも店舗を拡大する予定だ。

「私たちが見た最大のトレンドは、顧客が小売体験に完全に傾倒し、それがオンラインビジネスの主要な顧客獲得ポイントになっているということです」と、ラヴィトラ氏は述べている。「配送は今後も続くでしょうが、お客様は最終的に私たちの商品の価値を理解するようになります。その結果、私たちは、誰が一番おいしいドーナツ、コーヒー、トルティーヤを持っているかという点にとことんこだわりながら、対面での体験に私たちの90%の時間を費やしています」。

Foxtrotは小売店舗に加え、新たな資本を商品化モデルの拡張に投資し、エンジニアリングの人材を追加採用し、2023年にはチームの規模を3倍にする計画だ。ラヴィトラ氏は物流、店舗決済、在庫管理、パーソナライゼーション、Foxtrotのロイヤルティプログラムである「Perks(特典)」の分野でも採用を予定している。

Perks自体は2021年に110%以上の成長を遂げ、同時期に、5分以内マーケットピックアップは250%、カフェオーダーは375%の成長を遂げたという。

Monogram Capitalの共同創業者でFoxtrotの取締役を務めるJared Stein(ジャレド・スタイン)氏は、Foxtrotがオムニチャネルブランドとローカルプロダクトキュレーターとして支配力を発揮している点を「カテゴリーキリングモデル」と称した。

「Foxtrotは、我々の中では、稀有な存在です。Foxtrotは、一から技術スタックを構築しました。それに、同じレベルのキュレーションとおもしろいブランドとのローカルなパートナーシップを持つ会社を見つけるのは難しいものです。それが、人々が物語に入ってくる理由なのです。他の企業もこれをやっていますが、複雑です。Foxtrotは、それをスケールアウトする前に取り組んだのです」。

編集部注:1月11日6:29 a.m. PT:Foxtrotは、投資家のリストにM3 VenturesのBeliadeへのブランド変更を含むように修正しました。

画像クレジット:Foxtrot/シカゴにあるFoxtrot社の店舗の1つ

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

仏の卸売マーケットプレイスAnkorstoreが起業2年で評価額約2296億円に

フランスのスタートアップAnkorstore(アンコールストア)は、2億8300万ドル(約327億円)のシリーズC資金調達ラウンドを実施した。2019年11月に設立されたAnkorstoreは、資金調達後の評価額が20億ドル(約2296億円)に達するまでに約2年を要した。同社は、ヨーロッパ全域で独立系小売業者向けの卸売マーケットプレイスを運営している。

Ankorstoreは、独立系ブランドが独立系小売業者に製品を販売できるようにする。そして、小売業者は、それらの商品を自社の顧客に販売することができる。これは、チェーンの末端のオフラインでの販売に焦点を当てたB2B2Cモデルだ。

Ankorstoreでは、家庭用品からメープルシロップ、キャンドル、ヘッドバンド、入浴剤、文房具まで、ちょっとしたものが手に入る。特に、生鮮食料品、美容製品、自宅用アイテムなど、かなりうまくいっている分野もある。

そして、同社の軌跡を考えると、非常にうまくいっている。現在、20万人の小売業者が同マーケットプレイスを利用し、1万5千のブランドから商品を調達しているす。2021年5月、AnkorstoreがシリーズBを調達したとき、同社は5万店舗と5000ブランドと取引していると話していた。

これが今日の資金調達ラウンドにつながる。Bond(ボンド)とTiger Global(タイガー・グローバル)がシリーズCをリードし、Eurazeo(ユーラゼオ)とCoatue(コータツ)もこのラウンドに参加した。Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Bain Capital Ventures(ベインキャピタル・ベンチャーズ)、GFC、Alven(アルヴェン)、Aglae Ventures(アグライ・ベンチャーズ)など、既存の投資家の中には、さらに資金を投入する者もいた。

この分野で競争している企業はそれほど多くはない。卸売マーケットプレイスで最も有名なのは、10億ドル(約1157億円)以上を調達した米国を拠点とするFaire(フェア)だろう。最近、ヨーロッパへの展開を開始した。Creoate(クリオネ)Orderchamp(オーダーチャンプ)もヨーロッパで卸売マーケットプレイスを運営している。

在庫を持たないマーケットプレイス

Ankorstoreは、フランス、英国、ドイツ、オランダ、スウェーデンの5カ国にチームを持っている。ヨーロッパの23の市場で商品を販売している。小売業者は、注文から60日以内での支払いが可能であり、隠れた手数料はかからない。基本的に、Ankorstore は、小売業者がキュレーションやサービスに集中できるよう支援し、同社が調達の面倒を見る。

Ankorstoreに商品を掲載しているブランドは、Ankorstoreを通した最初の注文で20%カットされるのに続き、各取引ごとに10%のカットを受ける仕組みだ。

ブランドによっては、まだ百貨店などの巨大小売業者と直接取引をしているところもある。そして、Ankorstoreは、ブランドが販売スタッフを雇ったり、フェアに出たりすることを妨げるものではない。同マーケットプレイスは、単なる販売チャネルであり、顧客を見つけるための新たな機会なのだ。

そして、これこそが卸売マーケットプレイスというビジネスモデルのすばらしさでもある。Ankorstoreは倉庫を持たず、在庫も持たない。同社は、ブランドと小売業者間の取引を促進するだけで、資本投資は一切必要ない。

「私たちは、プロフェッショナルのネットワークであり、プロフェッショナル同士のつながりをサポートするという点で、LinkedInに近い存在だと考えています」。と、共同創業者で共同CEOのNicolas Cohen(ニコラス・コーエン)氏は私に語ってくれた。

他のソーシャルネットワークと同様、このプラットフォームが大きくなればなるほど、強力なネットワーク効果が期待できる。特に、Ankorstoreは、生鮮食品など新しいカテゴリーへの拡大を期待している。

同社は、すでにUPSと契約しており、ブランドの配送を支援している。しかし、小規模なブランド向けの倉庫のソリューションに関しては、まだあまり手をつけていない。これも、この先の新たなチャンスと言える。

400人の従業員と多額の資金を持つAnkorstoreは、この非常に断片化された業界を統合するレイヤーとして機能する可能性がある。

画像クレジット:Christelle Bourgeois / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

企業向けソフトSageが小売管理プラットフォームの英Brightpearlを買収

企業向けソフトウェア大手のSage(セージ)は、英国ブリストルを拠点にクラウド小売管理プラットフォームを手がけるスタートアップ企業のBrightpearl(ブライトパール)の残りの株式を、3億4000万ドル(約389億円)で買収する。Brightpearlは、小売業の顧客にSaaSベースのオペレーティングシステムを提供することで、リアルタイムのビジネスインサイトを可能にする会社だ。

Sageは、英国のシリーズA投資家であるMMC Ventures(MMCベンチャーズ)が2014年に支援したBrightpearlの17%を以前から保有していた。このスタートアップ企業はこれまで、2018年に1500万ドル(約17億円)、2016年に1100万ドル(約12億6000万円)を調達している。

Sageがまだ所有していなかったBrightpearlの83%の対価は、2億2600万ポンド(約347億円)と見られ、Sageは既存の現金および利用可能な流動資産からその資金を調達することになる。

BrightpearlのCEOであるDerek O’Carroll(デレク・オキャロル)氏は次のように述べている。「2つのチームが一緒になることで、Brightpearlの小売業界における強みと、Sageの規模、ブランド、財務の専門知識を結びつけることができます」。

Sageは声明の中で、2021年12月期のBrightpearlの年間売上高は2000万ポンド(約30億円)と、前年比で約50%の成長が見込まれ、営業利益は損益分岐点レベルに達すると述べている。

今回の買収は、米国のHart-Scott-Rodino Act(ハート・スコット・ロディノ法)に基づく規制当局の許可を得られれば、2022年1月に完了する予定だ。

Sageの最高経営責任者であるSteve Hare(スティーブ・ヘア)氏は、次のようにコメントしている。「Sageの目的は、すべての人が成功できるように障害を取り除くことです。SageとBrightpearlが一緒になれば、小売業者や卸売業者を阻む障壁を取り除き、システムを合理化して成長に集中できるようになります。Brightpearlの経営陣や従業員をSageに迎えることができてうれしく思います。また、戦略的優先事項をともに実行し、加速的な成長を実現することを楽しみにしています」。

元共同創業者のAndrew Mulvenna(アンドリュー・ムルベンナ)氏は、LinkedIn(リンクトイン)に次のように書いている。「14年前、Chris Tanner(クリス・タナー)氏と私が、すべての小規模小売業者がデータとワークフローをデジタル化し、オムニチャネル・リテールを導入して、明日のサクセスストーリーの1つになることを支援するというビジョンのもとに事業を起ち上げたときに始まった章が、すばらしい形で幕を閉じます。私たちのCEOであるデレク・オキャロル氏とそのチームは並外れた存在であり、他にも言及しきれないほど多くの人たちが関わっています。現在の成功には、彼らの功績も大きく寄与しています」。

画像クレジット:Brightpearl Team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド競争当局がアマゾンによるFuture Group企業への出資取引を取り消し、事実隠蔽で罰金約30億円

インドの独占禁止監視当局は、Amazon(アマゾン)が2019年にFuture Group(フューチャーグループ)傘下の企業に出資することについて認めていた承認を取り消し、事実を隠蔽したとしてAmazonに約2630万ドル(約30億円)の罰金を課した。

インド競争委員会(CCI)は、2019年にFuture Coupons(フューチャークーポンズ)に出資したAmazonが「結合の実際の範囲と目的を隠し」、商業上の取り決めのいくつかを届け出なかったと指摘した。

インド最大の小売チェーンReliance Retail(リライアンス・リテール)は1年前、Future Groupの小売・卸売事業と物流・倉庫事業を34億ドル(約3870億円)で買収することで同社と合意したと発表した(CCIはインド2大小売チェーン間の取引を承認している)。

事態がややこしくなったのは、その直後からだ。AmazonはFuture Groupを契約違反で訴え、Future Groupへの先行投資の権利があると主張して、Future GroupとReliance Retailの取引停止を求めてシンガポールの仲裁センターに申し立てた。この問題はインドの最高裁にまでおよび、最高裁は8月に取引停止というAmazonに有利な判決を下した

当初、AmazonとFuture Groupの取引を承認していたCCIは、Future Groupからの申し立てを受けて再度審査を開始した。

「フォームIの項目8.8に基づく開示要求に対して、Amazonが関連する重要な文書を隠蔽した行為は、法45条1項(c)に反する 」とCCIは現地時間12月17日に59ページにわたる命令を出した[H/T ロイターのジャーナリストAditya Kalra(アディティア・カラ)氏]。

60日以内の罰金支払いを求められたAmazonは、命令をレビューしている、と声明で述べた。

「我々はインド競争委員会が下した命令をレビューしており、次のステップについては今後決定します」と、広報担当者はTechCrunchに語った。

命令の数日前に、Amazonはインドの反トラスト機関に、Future Groupとの2019年の取引を取り消せば外国人投資家にネガティブなシグナルを送り、インド最大の小売チェーンを所有するRelianceが「さらに競争を制限する」ことを可能にすると警告していた

インドの数百万の小売業者を代表するロビー団体、全インド商業者連合(Confederation of All India Traders)は、CCIの命令は「画期的なものであり、Amazonはその不正行為と、法律や規則の継続的な違反とともに、あらゆるレベルでの多くの嘘を完全に露呈した」と述べた。

画像クレジット:NOAH SEELAM / AFP Photo / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

新興ブランドと小売業者を繋ぐPod Foodsが食料品のサプライチェーンを改革

Pod Foods(ポッドフーズ)は、消費者が求める新興の食品ブランドを小売店の棚に並べている企業間デジタル卸売市場だ。同社はそのサービスの開発を継続するため、シリーズAラウンドによる1000万ドル(約11億4000万円)と未発表のシードラウンドにおける300万ドル(約3億4000万円)、合わせて1300万ドル(約14億8000万円)の資金調達を行ったと、米国時間12月9日に発表した。

オースティンを拠点とする同社の創業者、Larissa Russell(ラリッサ・ラッセル)氏とFiona Lee(フィオナ・リー)氏については、2019年にMoment Ventures(モメント・ベンチャーズ)が主導し、M12も参加したラウンドで300万ドルを調達した際にTechCrunchでも紹介した。同社の技術は、データを活用したアプローチで、小売店がブランドから調達するプロセスを効率化するとともに、新進気鋭のブランドを含むより多様な商品と消費者を結びつけるものだ。

シードラウンド後、Pod Foodsはシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスでサービスを開始。また、適切な商品を適切な小売店にマッチさせる在庫管理をより容易にするモバイルアプリも発表した。

その後、新型コロナウイルス感染流行が世界中を襲った。小売店では店頭の在庫を確保するために、Pod Foodsが注力しているニッチな新興ブランドの品が、有名ブランドに押されて店頭から消えていることに同社は気づいた。そこで同社は、ブランドの認知度を高めることに乗り出した。

「それは加速度を生み、私たちが変えようとしたすべてのことを増幅させました」と、ラッセル氏はTechCrunchの取材に語った。「私たちは2020年、ウイルス感染流行拡大の結果として生じた課題に取り組み、事業に邁進したのです」。

Industrious Ventures(インダストリアス・ベンチャーズ)が主導した今回のシリーズAでは、M12とMoment Venturesが再び参加した他、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)、Barrel Ventures(バレル・ベンチャーズ)、Relish Works(レリッシュ・ワークス)、X Factor Ventures(Xファクター・ベンチャーズ)、XRC Labs(XRCラブズ)、K2 Global(K2グローバル)、Graphene Ventures(グラフェン・ベンチャーズ)などの投資家が参加。Pod Foodsが調達した資金の総額は1600万ドル(約18億2000万円)となった。

今回の投資は、Pod Foodsの成長軌道に沿ったものだとラッセル氏は述べている。同社はすでに7都市で展開しており、今後10都市に拡大する予定だ。ウイルス感染流行前のデータと比較すると、現在はブランドのリピート購入が20%増加しているという。

Pod FoodsはこのシリーズAで調達した資金を使って、2020年12月には33名だった従業員を58名に増員することができた。さらに同社は、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)での経験を持つTimothy Wee(ティモシー・ウィー)氏という最高技術責任者も確保し、新しいサービスや製品を構築するためのデータにも投資していくと、リー氏は述べている。

デリバリーサービスは、より早く商品を届けて欲しいという消費者の期待を背景に、過去2年間で急速に成長し、小売業者が需要に追いつくのに苦労する原因となっている。その結果、Pod Foodsは2019年以降、売上高と顧客数の両方が前年比で3倍に増加したという。同社では、何が売れて何が売れないかというデータに基づき、小売業者がより早く商品をリセットできる状況が作れるように支援していると、ラッセル氏は述べている。

「私たちは適応する必要がありました」と、リー氏は付け加えた。「以前は買ったらそのまま食べられるような食品が売れていましたが、ウイルス感染流行の際には、冷凍食品や飲料などの商品が売れました。迅速に方向転換する必要がありましたが、私たちは小規模で機動力があるため、お客様の要望をすぐに伝え、ブランドを採用し、小売店の棚を確保することができました」。

Pod Foods 2021 from Blank Space Studio on Vimeo.

Pod Foodsは今後、太平洋岸北西部や、同社最大の市場であるニューヨークとシカゴの拠点周辺、さらにはフロリダでの事業拡大を計画している。

Industrious VenturesのパートナーであるChristian Gammill(クリスティアン・ガミル)氏は、Pod Foodsのアプローチについて「食料品のサプライチェーンを全面的に見直し、小売店とブランドの両方が繁栄できる真のエンド・ツー・エンドのシステムを構築するために必要な物流インフラを提供する初めての企業」であると述べている。

コマースがサプライチェーンの基調を決定づける中、Pod Foodsはデジタルを最優先し、データを活用したインテリジェントなオペレーションを構築することで、差し迫った変曲点を利用しようとしている。同社のような企業がデータプレーを正しく行うことができれば、顧客やブランドの助けになるだろうと、ガミル氏はいう。

「ラリッサとフィオナはすばらしい2人組で、互いに相性の良いスキルを持っています」と、ガミル氏は付け加えた。「この分野はあまり注目されていませんでしたが、他のサプライチェーンは多大な注目を集めています。だからこそ、私たちはこの分野に参入しようと思ったのです」。

画像クレジット:Pod Foods / Pod Foods co-founders Fiona Lee and Larissa Russell

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新興ブランドと小売業者を繋ぐPod Foodsが食料品のサプライチェーンを改革

Pod Foods(ポッドフーズ)は、消費者が求める新興の食品ブランドを小売店の棚に並べている企業間デジタル卸売市場だ。同社はそのサービスの開発を継続するため、シリーズAラウンドによる1000万ドル(約11億4000万円)と未発表のシードラウンドにおける300万ドル(約3億4000万円)、合わせて1300万ドル(約14億8000万円)の資金調達を行ったと、米国時間12月9日に発表した。

オースティンを拠点とする同社の創業者、Larissa Russell(ラリッサ・ラッセル)氏とFiona Lee(フィオナ・リー)氏については、2019年にMoment Ventures(モメント・ベンチャーズ)が主導し、M12も参加したラウンドで300万ドルを調達した際にTechCrunchでも紹介した。同社の技術は、データを活用したアプローチで、小売店がブランドから調達するプロセスを効率化するとともに、新進気鋭のブランドを含むより多様な商品と消費者を結びつけるものだ。

シードラウンド後、Pod Foodsはシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスでサービスを開始。また、適切な商品を適切な小売店にマッチさせる在庫管理をより容易にするモバイルアプリも発表した。

その後、新型コロナウイルス感染流行が世界中を襲った。小売店では店頭の在庫を確保するために、Pod Foodsが注力しているニッチな新興ブランドの品が、有名ブランドに押されて店頭から消えていることに同社は気づいた。そこで同社は、ブランドの認知度を高めることに乗り出した。

「それは加速度を生み、私たちが変えようとしたすべてのことを増幅させました」と、ラッセル氏はTechCrunchの取材に語った。「私たちは2020年、ウイルス感染流行拡大の結果として生じた課題に取り組み、事業に邁進したのです」。

Industrious Ventures(インダストリアス・ベンチャーズ)が主導した今回のシリーズAでは、M12とMoment Venturesが再び参加した他、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)、Barrel Ventures(バレル・ベンチャーズ)、Relish Works(レリッシュ・ワークス)、X Factor Ventures(Xファクター・ベンチャーズ)、XRC Labs(XRCラブズ)、K2 Global(K2グローバル)、Graphene Ventures(グラフェン・ベンチャーズ)などの投資家が参加。Pod Foodsが調達した資金の総額は1600万ドル(約18億2000万円)となった。

今回の投資は、Pod Foodsの成長軌道に沿ったものだとラッセル氏は述べている。同社はすでに7都市で展開しており、今後10都市に拡大する予定だ。ウイルス感染流行前のデータと比較すると、現在はブランドのリピート購入が20%増加しているという。

Pod FoodsはこのシリーズAで調達した資金を使って、2020年12月には33名だった従業員を58名に増員することができた。さらに同社は、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)での経験を持つTimothy Wee(ティモシー・ウィー)氏という最高技術責任者も確保し、新しいサービスや製品を構築するためのデータにも投資していくと、リー氏は述べている。

デリバリーサービスは、より早く商品を届けて欲しいという消費者の期待を背景に、過去2年間で急速に成長し、小売業者が需要に追いつくのに苦労する原因となっている。その結果、Pod Foodsは2019年以降、売上高と顧客数の両方が前年比で3倍に増加したという。同社では、何が売れて何が売れないかというデータに基づき、小売業者がより早く商品をリセットできる状況が作れるように支援していると、ラッセル氏は述べている。

「私たちは適応する必要がありました」と、リー氏は付け加えた。「以前は買ったらそのまま食べられるような食品が売れていましたが、ウイルス感染流行の際には、冷凍食品や飲料などの商品が売れました。迅速に方向転換する必要がありましたが、私たちは小規模で機動力があるため、お客様の要望をすぐに伝え、ブランドを採用し、小売店の棚を確保することができました」。

Pod Foods 2021 from Blank Space Studio on Vimeo.

Pod Foodsは今後、太平洋岸北西部や、同社最大の市場であるニューヨークとシカゴの拠点周辺、さらにはフロリダでの事業拡大を計画している。

Industrious VenturesのパートナーであるChristian Gammill(クリスティアン・ガミル)氏は、Pod Foodsのアプローチについて「食料品のサプライチェーンを全面的に見直し、小売店とブランドの両方が繁栄できる真のエンド・ツー・エンドのシステムを構築するために必要な物流インフラを提供する初めての企業」であると述べている。

コマースがサプライチェーンの基調を決定づける中、Pod Foodsはデジタルを最優先し、データを活用したインテリジェントなオペレーションを構築することで、差し迫った変曲点を利用しようとしている。同社のような企業がデータプレーを正しく行うことができれば、顧客やブランドの助けになるだろうと、ガミル氏はいう。

「ラリッサとフィオナはすばらしい2人組で、互いに相性の良いスキルを持っています」と、ガミル氏は付け加えた。「この分野はあまり注目されていませんでしたが、他のサプライチェーンは多大な注目を集めています。だからこそ、私たちはこの分野に参入しようと思ったのです」。

画像クレジット:Pod Foods / Pod Foods co-founders Fiona Lee and Larissa Russell

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

大手がメタバースに夢中になる中、ARを食料品店での現実的な活用を構築する英Dent Realityが約3.9億円調達

AppleやFacebookが「メタバース」の未来に巨額の資金を投じる一方で、近年はARに勝機を見出そうとしているスタートアップに関するベンチャーの動きは明らかに低下している。Magic Leapなどの大型案件への投資で消耗した多くのVCはAR技術の短期的な成果についてテック大手にはチャンスが大いに残されていると見ているが、小規模のスタートアップも投資家にアピールするような参入の道を見つけようとしている。

ロンドンに拠点を置くDent RealityはARテクノロジーとハイパーローカルなマッピングの力を示す小規模なエクスペリエンスに特化し、まずは食料品店のような場所から取り組みを始めている。食料品店では、同社のARプラットフォームを利用して店内通路の詳しいレイアウトを買い物客に示し、店舗のデータベースと統合して特定の商品が置かれている棚のデータも提供する。AR機能を使うユーザーはスマートフォンをかざして目的の商品への経路を表示できる。

CEOのAndrew Hart(アンドリュー・ハート)氏は、オンラインの買い物客に対してパーソナライズをするツールが有益さを増しているため、小売店はオンラインのツールセットを実店舗の買い物客のエクスペリエンスに活かす方法に広く関心を持っていると語る。Dent Realityは食料品店で商品を見つけることに特化したプラットフォームではないが、同氏によれば食料品店は商品の密度が高いため技術のストレステストをするには理想的な場所だという。

同氏はTechCrunchに対し「我々が解決したい課題に対して最も難しい場所として食料品店を選びました」と述べた。

投資家はDent Realityの取り組みにチャンスがあると見ている。同社はPi Labsが主導するシードラウンドで340万ドル(約3億9000万円)を調達した。このラウンドにはSugar Capitalと7Percent Venturesも参加した。

Appleが開発者向けARプラットフォームのARKitをリリースしてからの数年間、ハート氏は自分が作った未来のAR技術のデモの多くをTwitterで紹介してきた。Dent Realityは未来へ向けたそうしたユースケースのいくつかを現在の開発者向けテックプラットフォームにしようとする取り組みだ。スマートフォンはARを利用するには完璧なデバイスではないが、同社は消費者に3Dインターフェイスの体験と操作を提供している。ハート氏は、3Dインターフェイスの利用の中心となるのは今後到来するARメガネだろうと考えている。

画像クレジット:Dent Reality

同氏は「一般にインターフェースは平らなスマートフォンの画面に制限されています。ARには平面のインターフェースでは実現できない、多くの可能性があります」と語る。

Dent Realityは今後、大規模なオフィスビルから病院、大学のキャンパスなどあらゆる場所で、ハイパーローカルなマップデータとAR、同社独自のアプローチによって、建物に新たなハードウェアインフラを導入することなく、公共のWi-Fiデータとスマートフォンのセンサーからユーザーの居場所を特定する取り組みを進めたい考えだ。

画像クレジット:Dent Reality

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(文:Lucas Matney、翻訳:Kaori Koyama)

イタリアがアマゾンとアップルに約264億円の制裁金、Beats製品の再販で

Amazon(アマゾン)とApple(アップル)は、AmazonのイタリアのeコマースマーケットプレイスでのAppleおよび(アップル所有の)Beats製品の再販に関する調査の結果、イタリアの反トラスト当局から総額約2億3000万ドル(約264億円)の制裁金を科せられた。

当局によると、両社は共謀し、AmazonイタリアのマーケットプレイスでAppleおよびBeatsの製品を購入する消費者が受けられる割引の水準が低下した疑いがあるとのことだ。

また、再販業者に対する制限を廃止するよう両社に命じた。

AGCM(イタリア競争・市場保護委員会)は現地時間11月23日、制裁措置を発表し、調査の結果、Amazon.itにおけるBeats製品の一部の「正当な」再販業者を阻止するために、2社間で制限協定があったことが判明したと述べた。

制裁金の内訳は、Amazonが1億3450万ユーロ(約174億円)、Appleが6870万ユーロ(約89億円)となっている。

問題の協定は、2018年10月に2社間で締結された。

AGCMのプレスリリースによると、この協定には、AppleおよびBeatsの製品の公式および非公式の再販業者がAmazon.itを使用することを禁止する多くの契約条項が含まれていることがわかった。Amazon.itでのAppleおよびBeatsの製品の販売をAmazonと、当局が「個別に差別的な方法で選ばれた」とするいくつかの再販業者に限定するという制限があり、これは欧州連合の機能に関する条約第101条に違反する。

「調査の結果、小売業者の数に純粋に量的な制限を設け、Amazonと差別的な方法で選ばれた特定の小売業者のみがAmazon.it上で販売できるようにする意図があることが判明した」と当局はリリースに記している(TechCrunchはイタリア語をGoogle翻訳で翻訳した)。

「この協定条件は、小売業者が地理的に差別されているため、国境を越えた販売も制限している。協定の制限は、サードパーティがAmazon.itで提供する割引の水準に影響を与え、その割引の度合いを縮小させた」。

当局は、Amazonのローカルマーケットプレイスが、同国における家電製品購入の少なくとも70%を占めており、そのうち「少なくとも40%は、Amazonを仲介プラットフォームとして利用している小売業者だ」と指摘している。

「それゆえ、競争ルールの適用は、特に今日の状況において、商業活動をする上でますます重要な場所としてマーケットプレイスを利用するすべての小売業者にとって、競争を制限する差別的行為を避け、公平な競争条件を確保することが不可欠だと思われる」と付け加えている。

「こうした観点から、当局の決定は、EU司法裁判所の判決に沿って、競争規則に適合するためには、販売システムは差別的ではなく、すべての潜在的な再販業者に等しく適用される質的基準に基づく必要性を認めている」。

さらにイタリア当局は、Amazon・Apple間の協定に関する調査を踏まえ、ドイツとスペインの競争当局が同様の手続きを開始したことを指摘している。

スペインのComisión National de los Mercados y la Competencia(国家公正競争市場委員会)は今夏、AmazonとAppleに対する懲戒手続きの可能性を発表し、独自の調査を開始した(調査完了までに最大18カ月かかるとされている)。

一方、2018年には、ドイツのBundeskartellamt(連邦カルテル庁)が、Amazonのマーケットプレイス販売者からの苦情を受けて、同社に対する不正行為の手続きを開始した。Amazonが販売者向けの一般取引条件を修正し、競争上の懸念を軽減するための追加変更を約束したことで、翌年、2019年には手続きを終了した。

直近では、デジタルプラットフォームに関するドイツの競争法が大幅に改正されたことを受けて、連邦カルテル庁が両社の市場支配力の審査手続きを開始した。同法では、両企業が「市場間競争にとって極めて重要である」ことが確認された場合、連邦カルテル庁は、市場濫用のリスクを抑制するために、AmazonとAppleがドイツ国内で事業を行う際に積極的に条件を課す事前措置を適用することができる。

今回のAGCMの決定について、AmazonとAppleにコメントを求めた。

本稿執筆時点ではAppleからの回答はなかったが、Amazonは控訴することを明らかにし、広報担当者は以下の声明を発表した。

「当社は、イタリア競争当局(ICA)の決定に強く反対しており、控訴する予定です。提案された罰金は不釣り合いで不当なものです。

当社のビジネスモデルは販売者の成功に依存しているため、販売者を当社のストアから排除することでAmazonが利益を得ているというICAの指摘は受け入れられません。協定の結果、イタリアの顧客は当社のストアでAppleおよびBeatsの最新の製品を見つけることができ、より良い価格、そしてより迅速な配送をともなう、2倍以上に増えたカタログの恩恵を受けています」

また、Amazonは、Appleとの協定は消費者にとって有益だと主張し、マーケットプレイスで購入できるApple製品の量が増えたことや、一部のApple製品に割引が適用された個別の事例を紹介した。

Amazonは、同社のマーケットプレイスが世界の小売市場の1%にも満たず、イタリアを含む同社が事業を展開しているすべての国に、より規模の大きい小売業者が存在すると述べ、いかなる市場支配も否定しようとしている。また、企業はApple製品を販売するために、オンラインと店頭の両方で複数のチャネルを持っていると主張している。

Amazonのマーケットプレイスにおける売上の約60%はサードパーティの販売者が占めており、その中にはAmazonで販売しているイタリアの中小企業約1万8000社も含まれる、とも付け加えた。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi