つまらない記事は爆破、リクルートがギミック満載のニュースアプリ公開

SmartNewsGunosyLINE NEWSなど、国内ではスマートフォン向けニュースアプリへの参入が相次いでいるが、この激戦区にリクルートも参入する。同社の研究機関であるメディアテクノロジーラボが29日、iPhone向け無料アプリ「知るか! NEWS」を公開した。「ふーん」という記事を「爆破」させて受信箱から消去するギミックを備えるなど、話題のニュースを爽快なエフェクトで気持ちよくチェックできるのが特徴だという。

アプリがおすすめする2ちゃんねるまとめブログやエンタメ系ニュースサイトの候補の中から、好きなRSSフィードを選ぶことで最新記事20件が配信される。ユーザーが購読したいサイトのRSSフィードを自由に登録することもできる。

つまらない記事は右スワイプすると「爆破」エフェクトとともに受信箱から消えたり、あとで読みたいと思った記事は左スワイプすると「お気に入り」登録される。本当にどうでもいい記事はタイトルを長押しすると、必殺技のアニメーションが発動して虚空の彼方に滅却。必殺技のバリエーションは、記事を振り分けた数に応じて新しいものを覚えていくのだとか。

そのほかには、右スワイプと左スワイプを繰り返すことで、アプリがユーザーの好みを学習する機能も搭載。といってもGunosyのように、好みに応じたニュースを配信するわけではなく、爆破されるやすそうな記事には「爆破おすすめボタン」を表示し、右スワイプしなくてもタップしただけで爆破できるようにする。

このニュースが爆破されないことを祈るばかりだ。


本の要約サイト「flier」がサイエンス領域を強化、理系集団「リバネス」と提携で

話題の書籍の全体像を10分程度でわかる内容に要約して配信するサービス「flier(フライヤー)」は1月28日、サイエンス領域のコンテンツ配信を開始した。すべての社員が理系修士号・博士号取得者であるリバネスと提携して要約をアウトソーシングする。今後は理工書の要約コンテンツを毎月5冊ペースで配信していく。リバネスはサイエンスに特化した教育事業や研究開発などを手がけている。

同様のサービスは欧米を中心に展開し、1000万超のユーザーを獲得するgetAbstractが有名。flierはコンサルティング会社で執筆経験がある創業者らが2013年10月にローンチし、毎月20冊ペースで要約コンテンツを配信している。20冊のサンプルを閲覧できる無料プランのほか、有料コンテンツは月額525円で5冊、月額2100円で読み放題。要約する書籍はすべて出版者から許諾を得ていて、その内容は出版者の担当編集者がチェックしている。

運営元のフライヤーによれば、これまでに要約したコンテンツは約100冊。会員数は昨年11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登壇して以降、順調に伸びているといい、現在は7000人に上るのだとか。今回のリバネスとの提携は、難解でとっつきにくいと思われがちな理工書を、文系出身者にもわかりやすく要約できるのがメリットだとしている。


専門知識いらずのクラウド会計「マネーフォワード」正式版、価格優位でシェアトップ狙う

専門知識がなくても確定申告や会計処理を可能にするクラウド型会計ソフトといえば、2012年のTechCrunch Tokyo(TC Tokyo)でデビューを果たし、翌年3月にローンチした「freee」がある。その対抗馬と目されるのが2013年のTC Tokyoでお披露目となった「マネーフォワード 確定申告」および「マネーフォワード For BUSINESS」だ。1月27日に正式版サービスを開始した。料金プランは個人版で無料プランを用意したり、法人版ではfreeeを意識して安めに設定し、一気にシェアトップを狙う考えだ。

トップ画面のイメージ図

マネーフォワード 確定申告/マネーフォワード For BUSINESSは、確定申告や会計・経理業務を可能な限り自動化するクラウド型会計ソフト。銀行やクレジットカードなど1400以上の金融機関から入出金データを自動取得したり、学習機能で仕訳のルールを作成したり、仕訳データをもとにキャッシュフロー計算書や決算・税務申告関連のレポートを作成するなど、手入力の手間が大幅に省けるという。クラウド型サービスであるため、会計ソフトが少ないMacやiPadなど端末を選ばず、ブラウザー経由で使用できるのも特徴だ。

仕訳画面のイメージ図

料金プランは個人向けのマネーフォワード 確定申告が、基本機能無料のフリーミアムモデル。無料版は仕訳登録数が月間15件まで、仕訳の精度を高めるための学習ルールを登録できるのが月間5件までという制限がある。月額800円のプレミアムプランに加入すれば、これらの制限がなくなるとともに、帳簿データを他社ソフトの形式でエクスポートしたり、同時に閲覧・編集するユーザーを最大3名まで招待する機能なども利用できる。法人会計向けのマネーフォワード For BUSINESS(法人会計)は45日間無料で利用可能で、その後は月額1800円。

マネーフォワードは2013年11月にベータ版を公開(関連記事:マネーフォワードがクラウド会計に参入、専門知識不要の自動入力サービス)。正式版開始に伴い、青色申告・白色申告用の申告書の作成、家族や社員、税理士などと共同でデータを閲覧・編集するためのユーザー招待機能、「弥生」「会計王」「勘定奉行」など他社会計ソフトのデータのインポート機能などを追加した。また、領収書やレシートをスマートフォンで撮影し、データを自動で取り込む無料アプリも公開。レシートを読み取るアプリは数多くあるが、形式が複数ある領収書を読み取れるアプリは日本初だという。

実はベータ版公開時、料金プランはfreeeと同じで個人向けが980円、法人向けが1980円と発表していたが、正式版のリリースにあたって価格を下げたかたちだ。以前、マネーフォワードの辻庸介CEOにインタビューした際には「競合との価格競争は避けたい」と漏らしていたが、なぜ価格を下げたのか。

改めて聞いてみたところ、「今年中にクラウド会計ソフトのナンバーワンシェアを取る意気込みの表れ。今後もお金のプラットフォームになるための機能やサービスを追加する予定で、お金を払ってGmailも使えばカレンダーも使うGoogle Apps for businessのような存在になりたい。そのためには(値段を下げてでも)使ってもらわなければ」と話している。

マネーフォワードの辻庸介社長


全自動の無料家計簿アプリ「Dr.Wallet」はレシートで収益化を図ろうとしている

レシートをスマートフォンで撮影してアップロードするだけで、専属オペレーターがデータ化し、自動で家計簿が付けられるアプリ「Dr.Wallet」を運営するBearTail。昨年12月に約1億円を調達したことは伝えたけれど、いよいよ収益化に向けて動き出そうとしている(関連記事:人力でレシートを読み取る家計簿アプリ「Dr.Wallet」運営元が1億円調達)。このたび消費財メーカーと協業し、対象商品のレシートをアップロードしたユーザーの中から抽選でAmazonギフト券が当たるキャンペーンを開始した。

Dr.Walletは、ユーザーからスマホで撮影したレシートを150人以上のオペレーターが手動で人力し、データ化してくれる家計簿アプリ。人力でデータ化しているだけに入力精度は99%を謳っている(関連記事:レシートを人間が読み取るクラウド家計簿「Dr.Wallet」がローンチ)。今回、森永製菓とコクヨ、カンロと提携し、各社の対象商品のレシートをアップロードした人の中から、20人に1人の割合でAmazonギフト券500円分が当たるキャンペーンを開始した。期間は1月24日から3月31日まで。

BearTailの黒崎賢一社長によれば、今回のキャンペーンは実証実験のような位置づけで、メーカーに課金することはないという。キャンペーン経由の購買率が良ければ、今後は成果報酬型(購買人数×報酬単価)でメーカーに課金するビジネスモデルを構築する。ゆくゆくは、A社の商品のレシートをアップロードしたユーザーに対して、競合メーカーであるB社のクーポンを配信する「ブランドスイッチ広告」も展開したいと話している。

BearTailは、KDDIが運営するインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」の第5期採択企業。BearTailの黒崎社長によれば、今回のキャンペーンを実現するにあたっては、KDDIのメンターに「各消費財メーカーで決済権のある担当者を紹介してもらったことが大きい」と感謝の意を表しているが、これはKDDIという大企業がインキュベーションプログラムを手がける1つの意義かもしれない。


ビズリーチが「肉リーチ」を開始、将来有望な学生にお肉をおごる企画サイト

最近のスタートアップは「肉」にご執心なのかもしれない。1月14日にはホリエモンこと堀江貴文氏がファウンダーを務める「株式会社部活動」が、一緒に焼き肉を食べにいくペア同士をマッチングするアプリ「焼肉部」をリリースしたばかり(関連記事:ホリエモンが新たにプロデュースするのは焼き肉を通じた出会い系アプリ)だが、今度は転職サイトの「ビズリーチ」が学生にお肉をおごるサービス「肉リーチ」をローンチした。

ビズリーチ社員の有志が集まって結成した「日本肉英会」の会員が、将来有望な学生にお肉をおごるという企画サイト。サイトから氏名や大学名、希望職種などを登録すると、肉英会会員から「一緒に肉ご飯を食べにいきませんか?」」というメールが届く可能性がある。学生は完全に無料。その代わり、お肉を食べながらビズリーチの話を聞いて欲しいのだとか。

ビズリーチは、管理職や専門職などのハイクラス人材に特化した会員制の転職サイト。ふだん、学生はサービスの対象外だけれども、肉リーチを通じてビズリーチに興味を持ってもらった学生を採用するのが狙いのようだ。肉英会の理事長を務めるビズリーチの竹内真CTOによれば、肉リーチを公開してから早速50人近くの学生が登録し、中でも最も多いのは東大生なのだという。


独自SNSが作れる「Revolver」にネット通販機能が追加、無料EC「BASE」と提携で

アーティストやブランドが熱狂的なファンと交流するための独自SNS構築サービスといえば、レディー・ガガさんの「LittleMonsters.com」を仕掛け、Google Venturesなどから580万ドルを調達した米国のスタートアップ「Backplane」が有名だ。日本では、昨年11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登場したリボルバーが同様のサービス「Revolver」を手がけていて、芸能人の倖田來未さん板野友美さん、ジャーナリストの佐々木俊尚さんらがファンコミュニティを構築している。そのリボルバーが23日、ECサイト構築サービス「BASE」と提携し、RevolverにSNSを開設したユーザーが商品を販売できる機能を追加した。

第一弾として、元AKB48の板野さんが開設するSNS「Team Tomo」上に専用ECサイトを公開。彼女がプロデュースしたジャージの販売をスタートした。Team Tomoは、板野さんのブログやTwitter、Facebookページを集約する場として機能するとともに、専用ECに送客する。リボルバーは今回の提携を通じて、年内に著名人を中心とする約100サイトにECサイト機能を追加したいという。

RevolverはHTMLやCSSなどの知識がなくても、専用の管理ツールを使うことで「最短で数分」(リボルバー)でPinterest風のコミュニティサイトを開設できるのが特徴。PCやMacだけでなく、スマートフォンやタブレットにも最適化される。2013年11月に正式公開し、これまでに約1400件のSNSが開設されているのだとか。リボルバーの小川浩CEOによれば、今後はクローズドなSNSをリリースし、Yammerといった社内SNSの領域にも参入したいと話している。


セカイカメラで知られた「頓智ドット」が「tab」に社名変更して4億円調達

現実の背景に情報を重ねて表示する「拡張現実(AR)」技術を用いたスマホ向けアプリとして一世を風靡した「セカイカメラ」を1月22日にサービス終了した。これにあわせて運営元の頓智ドット株式会社が同日、社名を「株式会社tab」に変更した。セカイカメラの進化版と位置付けるアプリ「tab」を中心に事業展開を加速するため、サービス名と社名を統一した。既存株主のDCM、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ジャフコの3社と、新たにDBJキャピタル、三菱UFJキャピタルの2社から総額約4億円を調達したことも明らかにした。

tabは、サイトで見つけた「行ってみたい」と思ったスポットを位置情報付きでクリップし、実際にその場所周辺に来た時に通知を受け取れるアプリ。外出先でスマホのカメラをかざすと、カメラ越しに「行ってみたい」場所の方角や距離がわかるAR技術も搭載している。tabは2012年6月にサービスを開始。現在までにダウンロード数は70万件、登録されたクリップ数は350万以上に上るという。同社は昨年12月、tabにリソースを集中するためにセカイカメラを1月22日に終了すると告知していた(関連記事:セカイカメラ終了のお知らせ……開発元・頓智ドット「目指した思想は諦めていない」)。


暗記帳を共有する無料アプリ「zuknow」、転職サイトのビズリーチがEdTech参入

ビズリーチは21日、個人の学習ノウハウを共有するアプリ「zuknow(ズノウ)」のiOS版を公開した。第一弾の機能として、外国語や資格試験などを覚える「暗記帳」コンテンツを作成・共有するサービスを開始。紙や参考書を使っていた学習をスマホに置き換え、スキマ時間に学習できるのが特徴だという。学生時代、テスト前に優秀なクラスメイトが作ったノートを借りるようなやりとりがアプリ上で実現するのだとか。

暗記帳コンテンツは表・裏で構成されるカード形式で、文字や画像を付けられる。例えば表に英単語、裏に意味を記載する単語帳のような使い方から、表に人物や動物の画像、裏に名前を記入する画像付きカードなどを作成できる。Siriの音声機能を使って発音をチェックする機能も備える。

覚えたカードにはチェックを入れ、覚えていないカードだけを表示することが可能。すべてのカードには自動的に4択のクイズが生成され、自分がどれだけ覚えたかを確認できる。クイズの正解数をグラフ化したり、学習の進捗状況に応じてさまざまな絵柄のバッジを付与するなど学習の継続を促す機能も備える。

コンテンツは、アプリ内の“いいね”の数や、学習者の多いコンテンツをランキング形式で表示。現時点では、昨年から提供してきたベータ版登録ユーザーが作った約1万の無料コンテンツに加えて、NHKの語学番組で紹介されたフレーズを紹介する有料コンテンツを用意している。

自分が作成したコンテンツはすべてのユーザーに公開・非公開のどちらかしか選べないが、今後は指定したユーザーとだけ共有する「クラス機能」を追加する予定。現在はコンテンツのほとんどが語学や資格試験に関するものだが、ビズリーチの南壮一郎社長はクラス機能を活かすことでユニークなコンテンツが生まれると話す。

「リリース前のクラス機能を試すにあたって、社員の名前と写真を紐付けたコンテンツを使っています。ビズリーチは毎月10人ペースで採用していて、社員の顔と名前がすぐに一致しなくなってきたが、そんなときにズノウが便利。すべての社長が使うべきです(笑)。そのほかにも、社内用語集を共有するといった使い方も考えられます。」

ビズリーチ南社長は社員の名前と写真を紐付けたコンテンツを使っているという

ビズリーチは、エグゼクティブに特化した転職情報サイト「ビズリーチ」や、分社化したルクサでネット通販などを手がける企業。既存事業とズノウの相乗効果は「一切ない」(南社長)という。教育とテクノロジーを組み合わせるEdTech事業に参入することになったのは、日本と海外で教育を受けてきた南氏の実体験が影響しているという。

「幼少期から大学時代にかけて、日本、米国、カナダの3カ国で教育を受けてきました。国は違えども、共通していたのは学校の仲間が勉強のノウハウを教えてくれたこと。その一方で、一生懸命作ってみんなと共有していたノートは、学年が変わると捨てられている。こうした資産を有効活用して世界に伝えたいと思ったのがズノウを思いついたきっかけ。」

今後は3月にAndroidアプリをリリースし、2014年で30万ユーザー、3年後に300万ユーザーを目指す。


スマホアプリ向け動画アドネットワーク「AppVador」がローンチ

昨年12月に設立されたスタートアップのアップベイダーは1月20日、同社と提携するスマホアプリ内にビデオ広告を配信するアドネットワーク「AppVador」を開始した。全国規模で広告展開するナショナルクライアントの出稿を見込み、1年目で7億7000万円の売上を目指すという。

AppVadorは、SDKをインストールしたアプリ内に固定設置された広告枠だけにビデオ広告を配信する。このため、ウェブページのようにスクロール操作で広告枠がスクリーンから隠れることがなく、常にビデオ広告を表示することができる。

ビデオ広告はバナーサイズ(320×50ピクセル)とアイコンサイズ(60×60ピクセル)の2種類で、広告露出時に自動再生する。いずれもタップされた場合は、全画面広告またはランディングページに誘導することが可能となっている。

課金方式はコンバージョン単価(CPA=Cost Per Action)ではなく、インプレッション単価(CPM=Cost Per Mille)を採用。アプリ開発者に対しては、モバイルバナーサイズとアイコンサイズはCPM110円以上、フルサイズはCPM220円以上を保証する。

出稿先としては、携帯電話キャリアや家電、自動車、PC、テレビ・映画の番宣など「TVCMのジャンル」(アップベイダーCEO兼CTOの佐野宏英氏)を想定。今後は広告代理店と協業し、全国規模でTVCMを展開するナショナルクライアントに出稿を呼びかけていく。

佐野氏によれば、ナショナルクライアントが広告予算でネットに割く予算は1%程度。予算の多くはTVCMに投入しているわけだが、AppVadorはTVCMと同じ世界観をスマホアプリで実現することで、広告出稿の受け皿になることを目指すという。

「スマホアプリ向けのビデオ広告は4G・LTE環境が整うまでは始めたくても始められなかった」と語る佐野氏は、いち早く市場参入してマーケットを開拓しつつ、事業売却も視野に入れているようだ。こうしたイグジットはスマホ向けアドネットワークを手がけるノボットがKDDI子会社に買収されたケースを思い出すが、ノボット出身者もアップベイダーの外部パートナーとして協力している。


日本上陸間近? Spotifyがソーシャルメディアウィークにやってくる

2月17日から5日間、東京を含む世界8都市で「ソーシャルメディアウィーク」が開催される。東京で3度目の開催となる今回は、初の試みとしてハッカソンを実施。そこでは、数年前から「日本上陸間近」と言われている定額制音楽配信サービス「Spotify」がAPIを提供するとともに、イベントスポンサーにも名を連ねている。Spotifyの一部UIはすでに日本語対応していることもあり、いよいよ立ち上げ準備が最終段階に入ったのかもしれない。

Spotifyのイメージ

Spotifyは2008年10月にスウェーデンでサービスを開始。Sony Music EntertainmentやEMI、Warner Music、Universal Musicといった主要音楽レーベルと提携し、2000万曲を配信している。一定間隔で広告を配信するかわりに無料で聴けるFree版と、広告がなくオフラインでも聴ける月額9.99ドルのPremium版がある。2013年12月時点では欧米など55カ国に展開し、月間アクティブユーザー数は2400万人、うち600万人が有料会員だという。

そのSpotifyがソーシャルメディアウィークでAPIを提供するのは「Music Hackday」と題するハッカソン。アーティストやデザイナー、プログラマー、デベロッパーが集まり、SpotifyのほかGracenoteやThe Echo NestなどのAPIをもとに、ソフトウェア、ハードウェア、モバイル、ウェブ、楽器、アートなど、音楽が関係していれば何を作ってもアリというイベントだ。東京・原宿の会場で2月22日から夜通し24時間ハックに打ち込める環境を用意している。一度帰宅して2日目に再参加することも可能だ。

日本でSpotifyの立ち上げ準備を進めているハネス・グレー氏は、Music HackdayでAPIを提供するにあたって、TechCrunchからの取材に対して次のようにコメントしている。「日本の音楽産業は活気に満ちていて、テクノロジーコミュニティも賑わっている。ハッキングの精神で音楽と技術を組み合わせるのは心が踊る。Spotifyはさまざまな音楽体験を可能にするAPIをいくつか用意しているので、Music Hackdayでお会いしましょう」。

ハッカソンはこのほか、エンジニアやマーケター、デザイナーでチームを組み、サービスが成長段階で持つ課題を解決することを目的とした「Social Media Week TOKYO 2014 グローサソン」を2月18日に、記者やエンジニア、アナリスト、ウェブデザイナーが1つのチームとなり、社会問題をデータに基づいて分析し、わかりやすいビジュアルで伝える「データジャーナリズム・ハッカソン」を2月20日に開催する。


スタートアップに朗報! 特許料が3分に1に軽減されることが決定、4月以降

スタートアップに朗報だ。中小・ベンチャー企業が国内で特許を出願する際にかかる費用が約3分の1になる。経済産業省が1月14日に発表した。特許庁によれば、平均的な内容の国内・国際出願で約60万円かかる特許料が21万円程度に軽減されるという。軽減措置は2014年4月以降に審査請求が行われた場合に適用され、2018年3月までの時限措置となる。

軽減措置の対象となるのは、従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)で事業開始から10年未満の個人事業主、および従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)で設立後10年未満、資本金3億円以下の法人。法人については大企業の子会社など支配法人のいる場合は対象外となる。

特許庁によれば、日本における特許出願総数のうち、中小企業・個人による出願は全体の12%と、米国の25%と比べて半分以下にとどまっている。スタートアップにとって、優れた特許を持っていればライセンス契約で収益を得たり、事業売却時の有利な武器にもなる。「日本の特許料の水準は日米欧中韓の5大特許庁の中でも最も低い料金水準になる」(特許庁)とのことなので、特許の裾野が広がることが期待される。

photo by
Dick Johnson


ホリエモンが新たにプロデュースするのは焼き肉を通じた出会い系アプリ

焼肉部のイメージ

元ライブドア社長の堀江貴文氏は刑務所からの出所後、執筆活動やメディアへの露出に加えて、昨年11月にはグルメアプリ「テリヤキ」を手がけるなど多岐にわたるジャンルで活躍している。そんな堀江氏がこのたび、Facebookを通して集まったユーザー同士で一緒に焼き肉を食べに行き、素敵な異性と出会えるかもしれないアプリ「焼肉部」をプロデュースした。iOSアプリAndroidアプリがあり、自らファウンダーを務める「株式会社部活動」が運営する。

焼肉部ではまず、Facebookで仲の良い友達を招待してペアを組むと、1日に1組だけペアが紹介され、一緒に焼き肉を食べたいと思ったペアにオファーを送ることができる。相手のペアが承諾すればマッチングが成立し、アプリ内で日程や店舗を設定できる。ログインにFacebookアカウントを利用するため、匿名の出会い系サイトと比べて安心して使えるのだという。ペアを組む相手は同姓・異性を問わないけれども、同姓のペアで異性のペアと焼き肉に行くことを想定しているようで、堀江氏は次のように語っている。

1対1でマッチングすると出会い系っぽくなってハードルが高いけれど、カジュアルに2対2で焼き肉を食べるという目的があれば行きやすくなる。別に肉じゃなくてもいいと思うんですけど、食事をすることで始まる関係もあるんじゃないかと。マッチングについては、できるだけ知り合いではなく、同じ地域の異性同士のペアにするようにしている。

基本的には無料で利用できるが、1日にもう1組以上のペアを紹介してもらいたい場合は有料チケットが必要。新たに1組が紹介されるチケットは500円で販売している。FacebookやTwitter、LINEで友達に焼肉部のアプリを紹介すれば、無料で紹介ペアを1組増やすことも可能だ。当面は有料チケットが主な収益源となるが、今後は集客に応じて焼肉店に課金するモデルも検討していくという。

焼肉部は昨年末からクローズドβ版としてリリースされていて、現時点では主に東京在住の20〜30代のユーザー約2000人が利用する。男性は堀江氏の友人である経営者やIT系の社員、女性はアプリ運営元である株式会社部活動の七尾エレナ社長のモデル友達らが多く登録しているといい、堀江氏は「今ならすてきな男性や美人に遭遇する確率が高い」とアピール。「すぐにでも軽く数万ユーザーを超えたい」と意気込んでいる。

堀江貴文氏と七尾エレナ氏

よく似たサービスとしては、「はあちゅう」の愛称で知られるブロガーの伊藤春香氏が代表を務める肉会プロジェクトと、DVD販売・レンタルのDMM.comが共同運営する「肉会(にくかい)」がある。ペア単位でのサービス利用や、Facebookアカウントでのログイン認証、相手ペアの飲食代を支払う「おごります」機能なども類似しているが、堀江氏が焼肉部をプロデュースした経緯を聞いたところ意外なエピソードが返ってきた。

そもそもは、はあちゅうから「見てほしいサービスがある」と買収を持ちかけられたのがきっかけ。僕が社会にいない間にこんなサービスがあったのかと思ったんだけど、値段が折り合わなくて結局DMMが買収することになってしまって。それでも興味を持っちゃって、やりたいモードになったので「じゃあ作るか」と。肉会はピクシブの片桐くん(※編集部注:ピクシブ株式会社の片桐孝憲社長)とペアを組んで4回くらい実際に使った体験をもとに、(焼肉部では)動作を改善している。

肉会にインスパイアされて開発された焼肉部だが、翌日に焼き肉に行きたいペア同士をマッチングする「すぐ焼き肉」や、1人のユーザーがペアを2つまで組めるなどの独自機能も搭載。さらに、美人が手書きボードで時刻を教えてくれるサービス「美人時計」に出演するモデルのペアと焼き肉が食べられるキャンペーンも開催する。ちなみに、無料ユーザーよりも有料チケット購入者のほうが、美人時計のモデルとペアになる確率が上がるそうだ。今後は焼き肉だけにとどまらず、ゴルフをペアで楽しむなど「ソーシャル部活動」をテーマにした横展開も考えているのだという。


「経費節減ちゃいまっせ」吉本がクラウドソーシングでチラシ作り、クラウドワークスと提携

クラウドワークスとよしもとクリエイティブ・エージェンシーは13日、若手クリエイターの発掘を目指すクラウドソーシングサービス「クリコン」を開始した。吉本といえば「ケチでギャラが安い」と言われることもあるけれど、経費節減のためではなく、新しい時代のコンテンツ開発体制を作るのが狙いという。まずは吉本に所属する芸人のライブチラシや番組ロゴなどの制作を発注し、今後はメディアと連動したクリエイター発掘も行う。

クリコンでは、全国9つの劇場で年間1万回以上開催される吉本所属お笑い芸人のライブのチラシ・ポスターの制作、番組ロゴやウェブサイト制作、映像編集、ネーミング&キャッチコピーなどを募集する。具体的には、よしもと幕張イオンモール劇場での定期イベント「爆ハリ」のロゴ作成(5万円)や、お笑いトリオ「ジューシーズ」単独ライブのポスター作成(3万円)などがある。一般の企業や団体も仕事を発注できる。

クラウドワークスは、クラウドソーシングのシステムを提供するとともに、サービス運営をサポートする。クラウドワークスによれば、吉本にとって今回の協業は経費節減のためではないと強調しているけれど、クラウドソーシングを使うことで従来よりもデザインや制作にかかるコストは抑えられそうだ。「スキルはあるがコネがない」という若手のクリエイターにとっても、コンペで仕事を受注できるのはとてもありがたい話だろう。


LINEがスパム電話を撃退する無料アプリを公開、台湾スタートアップの技術活用

LINEは9日、アドレス帳に登録していない番号からの電話・SMSの発信元情報を表示したり、着信拒否ができるアプリ「LINE whoscall」をAndroid向けに無償公開した。アプリは世界で600万ダウンロードを超える「whoscall」を、LINE向けにカスタマイズしたもの。LINEを傘下に置く韓国のNAVERのグループ会社は12月、アプリ開発元のGogolookを子会社化していた(関連記事:Lineのオーナー、Naverが台湾の電話番号データベース・アプリのスタートアップ、Gogolookを買収)。

LINE whoscallは、世界で6億件以上の電話番号を収録するデータベースと着信番号を照合することで、企業や店舗からの着信なのか、セールスや勧誘などの迷惑電話と思われる番号からの着信なのかが確認できるのだという。日本の電話番号については、タウンページの掲載情報など約1500万件を収録している。

データベースに収録されているのは、企業や店舗などがイエローページに掲載したり、ネット上で公開されている電話番号、ユーザーが迷惑電話として報告した電話番号が含まれる。迷惑電話として識別した着信は、LINE whoscallのブロックボタンを押すだけで着信拒否が可能となっている。

現時点でLINEとの連携機能はいっさいなく、アプリをリリースしたのは「より安心してスマートフォンを利用してもらいたいため」だという。LINEはこれまでも同様の理由で、既存事業と関連性の低いセキュリティ対策アプリ「LINEアンチウイルス」を公開している。将来的にはLINE whoscallとLINEを積極的に連携させたいとしている。


有名店の弁当宅配「ごちクル」、全国47都道府県から注文可能に

法人向け弁当宅配サービス「ごちクル」を運営するスターフェスティバルがこのたび、全国にサービスエリアを拡大した。ごちクルは弁当の製造以外の商品開発や受注、配送までを代行することで、これまでデリバリーに対応していなかった飲食店の弁当を販売している。700円以下の低価格弁当から、ミシュランガイドで星を獲得した京料理「たん熊」、仙台に本店を構える牛たん専門店「利久」など560ブランド、6300種類の商品を扱っている。

8月にはジャフコを引受先とする第三者割当増資などにより総額10億円を調達し、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡の全国6支社の体制を強化。本社や現地のスタッフが各地域の飲食店とのパートナーシップを開拓した結果、これまで主要提供エリアだった関東圏だけでなく、全国47都道府県から注文可能となった。

グルメな読者であれば、全国津々浦々の名店の味が食べられることを夢見るかもしれないが、現時点で注文できるのは主に自分が住んでいる地域に店舗を構える飲食店の弁当のみ。しかし、ごちクルでは飲食店のレシピをもとに各地域の工場で弁当を製造するOEM展開を強化していて、2014年からは「あのエリアの料理をどのエリアでも」という体制を作っていくのだという。北海道で人気の名店料理が沖縄で食べられる日も遠くないかもしれないね。


2013年に日本でイグジットに成功した注目のIT・ネット系スタートアップ

2013年もそろそろ終わりを迎えるわけだけれども、今年も数多くのテック系スタートアップが新規株式公開(IPO)や合併・吸収(M&A)によるイグジット(EXIT)に成功した。そこで今回の記事では、日本で2013年にEXITを果たした主なIT・ネット系スタートアップを紹介しよう。

新規株式公開(IPO)

オイシックス
http://www.oisix.co.jp/
有機野菜や自然食品などを定期的に配送するサービス「Oisix」を運営。3月にマザーズ上場。公開時の時価総額は64億円、12月27日時点での時価総額は254億円

オルトプラス
http://www.altplus.co.jp/
RPGカードゲーム「バハムートブレイブ」をはじめとするモバイル向けソーシャルゲームの企画。3月にマザーズ上場。公開時の時価総額は60億円、12月27日時点での時価総額は192億円

オークファン
http://aucfan.com/
ヤフオク・楽天・Amazonの商品を比較・検討できる「オークファン」を運営。4月にマザーズ上場。公開時の時価総額は45億円、12月27日時点での時価総額は265億円

フォトクリエイト
http://www.photocreate.co.jp/
スポーツイベントなどの写真をプロのカメラマンが撮影しネットで販売する「オールスポーツコミュニティ」などを運営。7月にマザーズ上場。公開時の時価総額は19億円、12月27日時点での時価総額は23億円

じげん
http://zigexn.co.jp/
求人や住まい、結婚、クルマなどのライフイベント領域に特化したサイトを多数運営。11月にマザーズ上場。公開時の時価総額は306億円、12月27日時点での時価総額は970億円

メディアドゥ
http://www.mediado.jp/
電子書籍を中心としたコンテンツ販売を手がける。11月にマザーズ上場。公開時の時価総額は73億円、12月27日時点での時価総額は269億円

アライドアーキテクツ
http://www.aainc.co.jp/
企業のソーシャルメディアを利用したマーケティングの企画・運用・分析を展開。11月にマザーズ上場。公開時の時価総額は70億円、12月27日時点での時価総額は171億円

ホットリンク
http://www.hottolink.co.jp/
SNSやネット掲示板の投稿データを分析・監視するクラウドサービスを展開。12月にマザーズ上場。公開時の時価総額は49億円、12月27日時点での時価総額は354億円

ブイキューブ
http://jp.vcube.com/
ビデオ会議ソリューション「V-CUBE」などを展開。12月にマザーズ上場。公開時の時価総額は141億円、12月27日時点での時価総額は277億円

オウチーノ
http://www.o-uccino.jp/
新築マンション・中古マンションなど新築・中古物件の不動産専門サイト「オウチーノ」を運営。公開時の時価総額は43億円、12月27日時点での時価総額は64億円

M&A

エンタークルーズ
http://www.entercrews.com/
「ブラウザ銀河大戦」などのブラウザゲームを提供。ソーシャルゲームのモブキャストが1月に子会社化を発表。買収額は約6億円と言われている

ドリパス
https://www.dreampass.jp/
リクエストの多い映画を映画館で上映するオンデマンドサービス「ドリパス」を運営。ヤフーが3月に子会社化。買収金額は1〜2億円と言われている(関連記事:ヤフーが映画館でのオンデマンド上映を実現するドリパスを買収

コーチ・ユナイテッド
http://cunited.jp/
語学や楽器の対面個人レッスンのマーケットプレイス「Cyta.jp」を運営。クックパッドが9月に子会社化。買収額は約10億円(関連記事:クックパッドがCyta.jpを運営するコーチ・ユナイテッドを買収

ブラケット
http://bracket.co.jp/
ECサイト構築サービス「STORES.jp」を運営。ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を手がけるスタートトゥデイが8月に子会社化。買収額は約6億円(関連記事:「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイが「Stores.jp」のブラケットを完全子会社化 — 時価総額は約6億5000万円

スポットライト
http://www.smapo.jp/
チェックイン型のポイントサービス「スマポ」を運営。楽天が10月に子会社化(関連記事:楽天が「スマポ」を運営するスポットライトを買収、創業2年1カ月で

スケールアウト
http://www.scaleout.jp/
広告配信システム「ScaleOut DSP」などを提供。KDDI子会社で広告事業を展開するmedibaが8月に子会社化。買収額は十数億円程度と言われている(関連記事:KDDI子会社のmediba、アドテクベンチャーのスケールアウトを買収――買収額は10億円程度

と、ひと通りリストアップしてみたけれど、もし漏れがあるようだったらコメント欄にてご指摘いただければ幸いだ。来年も今年以上にスタートアップ熱が高まってイグジットがさらに増えるかもしれない。


人力でレシートを読み取る家計簿アプリ「Dr.Wallet」運営元が1億円調達

レシートをOCRで自動読み取りする家計簿アプリといえば、クックパッドが出資した「zaim」や「ReceReco」などが人気だが、人間の手の力を借りてレシートを読み取ることで認識精度を高めようとしているアプリが「Dr.Wallet」だ。今年8月のローンチ時にも紹介したこのサービスを運営するBearTailが27日、第三者割当増資を実施して約1億円を調達した。引受先はニッセイ・キャピタル、インキュベイドファンド、SMBCベンチャーキャピタルの3社。

Dr.Walletのサービスイメージ

Dr.Walletはレシートを撮って送るだけで、99%の精度で1日以内にデータ化するという無料クラウド型家計簿アプリ。11月に東京・渋谷で開催した「TechCrunch Tokyo 2013」のスタートアップバトルにも登壇したBearTailの黒崎賢一氏は、OCRを活用したレシート読み取りには、撮影環境によって認識精度にばらつきがあり、結局は自分自身の手で修正しなければならない点を問題視。ならば「人間の力」を借りてデータ化すればいい、という発想でDr.Walletを開発している。

ユーザーが投稿したレシートのデータは、同社と守秘義務契約を結んだ約100人のオペレーターが手動で入力する。人間が入力するため、食券や長いレシートなど、既存のスマホアプリでは読み取りにくいレシートのデータも取り込めるのだという。商品名や店名から自動でレシートのデータをカテゴリ分類する機能も備える。

今回の資金調達では、データの誤入力を検出するシステムを構築する。具体的には、手動で何度も登録された品目と、文字列は似ているが意味を成さない単語を検出し、オペレーターに再度確認を促すようにする。レシートの商品名をもとに、ユーザーにクーポン付きの商品をオススメするサービスも来年1月から開始する。BearTailとしては、クーポン発行元の企業から徴収する費用を主な収益源としたいようだ。

今後は、独自のOCRエンジンを開発し、画像処理や機械学習なども組み合わせていく。データ化の費用は非公表だが、自動読み取りも併用することでデータ入力のコストを抑えていきたいという。


gumiがフジテレビグループとモバイルゲームの新会社設立、あわせて19億円調達

フジ・メディア・ホールディングス(FMH)gumiは、スマートフォン向けオンラインゲームを開発する新会社「Fuji & gumi Games」を2014年1月に設立する。資本金は2億4000万円で、出資比率はFMH子会社のフジ・スタートアップ・ベンチャーズ(FSV)が79.2%、gumiが20.8%。新会社の社長には、フジテレビジョンでコンテンツ事業局ゲーム&インキュベーション事業部長を務める種田慶郎氏が就任する。

日本や韓国などのアジア圏を中心にモバイルゲームが拡大する中、gumiはシンガポールや韓国、中国に開発拠点を設けてきた。一方、FMHの中核会社であるフジテレビは現在、放送外収益を事業戦略の重要なミッションに掲げ、特にモバイルゲームを最重要領域として位置付けている。新会社のFuji & gumi Gamesでは、フジテレビグループの企画・マーケティング力とgumiの開発力を融合し、世界各国の市場にゲームタイトルを提供していくという。

これまでもFMHは、子会社のFSVを通じてモバイルゲームの分野などに投資してきた。FMHとgumiはすでに、モバイルゲーム開発のエイリムを設立するなどの協業関係を構築してきた経緯もある。エイリムがリリースしたロールプレイングゲーム「ブレイブフロンティア」は日本だけでなく韓国や台湾、北米で展開され、プレイヤーは130万人を超えているのだという。

新会社設立に先行してgumiは12月25日、FMH、B Dash Ventures、East Ventures、新生企業投資、DBJキャピタルなどを引受先とする第三者割当増資により総額19億円を調達したことを明らかにした。同日付でエイリムを連結子会社化している。


ランサーズで組織単位の受注が可能に、仕事の幅が広がる「マイチーム」機能

クラウドソーシングサービス「Lancers(ランサーズ)」は12月20日、オンライン上で作成したチームで仕事を受注できるサービス「ランサーズマイチーム」を開始した。国内のクラウドソーシングではこれまで、発注者と受注者で仕事をやりとりするのが主流だったが、オンライン上でチームを作って仕事を受注できるのは日本初だという。

例えば「デザインだけは自信がある」という人が、エンジニアやライター、ウェブディレクターと一緒にチームを作ることで、ホームページやアプリ開発など自分の専門外のスキルが必要な仕事を受注できる。発注者側としては、複数のスキルを要する仕事や、1人の受注者では難しかった規模の大きな仕事を依頼できるのがメリットだ。

チームはプロジェクト単位で作り、知り合いだけでなく、面識がない人も招待できる。仕事はチームを作成したリーダーが発注者に提案し、受注した場合はメンバー全員が報酬金額に同意してからスタートする。納品完了後は、発注者が事前にランサーズに仮払いした報酬金が自動的に各メンバーに支払われる。メンバーはメッセージやファイルをランサーズ上でやりとりして仕事を進めていく。

ランサーズによれば、当面は知り合い同士でのチーム結成が多いと想定しているが、チームでの仕事の実績が増えるに連れて、海外に住む見知らぬ人とチームを組むようなケースも出てくると見込んでいるのだという。


Linkify SDKを使うとモバイルの検索がらくちん&すっきり(東京のStudio Ousia発)

モバイルでWebを検索しようとすると、一つのウィンドウで複数のアプリやタブを操作するから、相当めんどっちくなる(私はスマートフォンとタブレットをお手玉しながらアプリの使用とWeb閲覧を同時にやることが多い)。そこで、日本のスタートアップStudio Ousiaは、LinkifyというSDKでモバイル上の検索のかったるさを減らそうとする。

Linkifyは、今ユーザ登録するとiOSバージョンの非公開ベータを使える(Android用のSDKはもうすぐ出るし、ほかのモバイルプラットホーム用も今開発中)。テキストの多いアプリで使うよう設計されているので、ニュースリーダーFlipboardのようなものに適している。機械学習のアルゴリズムを使ってキーワードを見つけ、それらをリンクに変える。そしてそのリンクをクリックすると、検索エンジンの検索結果やWikipediaなどの当該ページのウィンドウがポップアップする。だから、新しいタブを開いたり、ブラウザにリダイレクトされたり、ほかのアプリへ行ったり、などなどがまったくない。

このようにユーザ体験が良くなるだけでなく、Linkifyはデベロッパを二つの点で助ける。まず、自分が作ったアプリのユーザ滞留時間が長くなる(検索でほかのところへ行かされないから)。第二に、検索結果に文脈広告を入れられるので、Google Ad Senseによるマネタイジングが可能だ。このSDKの重要機能の一つが、Studio Ousiaが開発した機械学習アルゴリズムで、それがキーワードを見つけて妥当なリンクを生成する。つまりデベロッパのコーディングにおいて言葉を一つ一つ見つける必要がなく、Linkifyが適切な用語にリンクを張ってユーザのクリックを誘う。そしてユーザが検索結果の中に文脈広告を見つければ、さらにめでたしだ。

協同ファウンダのIkuya Yamadaは次のように言う: “まずキーワードを見つけるのが今でも難しい。Japan(日本)のようなあまり役に立たないキーワードも見つけてしまうが、でもユーザの役に立つのはKyoto(京都)のような特定性のあるキーワードなのだ。それを避けるために、似たような語句でも両者を区別できる方法を工夫した”。

東京のStudio OusiaがLinkifyを開発したのは、モバイルの検索が今後儲かる市場だからだ。調査会社Bia/Kelseyの推計では、2015年にモバイルの検索件数がデスクトップのそれを抜く。Yamadaは曰く、同社の目標は“モバイルでWebを閲覧する体験を向上させること”だ。それには、タッチ画面のデバイスも含まれるし、Semantic Webがサポートする拡張現実(AR)も同社の視野にある。

Studio Ousiaはまだ、Linkifyのマネタイズの方法を模索中だ。たとえばそれは、同社のSDKを使うアプリが得る広告収入の分有になるかもしれない。同社はこれまで、約1億円の資金を、Nissay CapitalとSeed Technology Capital Partnersから調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))