Spotifyがユーザーを駆り立て中毒性を高める通知機能「What’s New」フィードを導入

Spotify(スポティファイ)はFacebook(フェイスブック)などのソーシャルネットワークからヒントを得た新機能を導入する。モバイルアプリの「ベル」アイコンの下で通知を流し続けてユーザーに最新コンテンツを見せるやり方だ。米国時間7月26日、Spotifyは「What’s New」フィードを公開した。新着情報を見たいモバイルアプリユーザーに最新情報を送る。

同社によると、What’s Newフィードは、Spotifyユーザーが同サービスでフォローしている番組やアーティストが公開した新曲やポッドキャストの最新情報を追いかける新しい方法だという。これは普段、聴いている曲に基づいてパーソナライズされたフィードであり、万人向けのフィードでも個別に選んでカスタマイズしたものでもない。

このフィードは、ホームタブのトップに最近聞いた曲や設定アイコンと並んで右上に新設された「ベル」アイコンの中にある。

画像クレジット:Spotify

フィードはリアルタイムで更新され、前回アプリを開いた時以降に新しい曲やエピソードが届くと、ベルアイコンに青いドットがつく。これまで新曲に関する情報は、ホームタブやアプリの検索ページのハブの中などさまざまな場所にあった。

この新機能は、新しいものはすべてSpotifyアプリだけを見ればわかるようになるので便利に違いないが、ドットを利用した「通知」機能は、アプリの中毒性を高める心理トリックでもある。ドットは緊急な印象をあたえ、新着情報を見るため、あるいはドットをクリアするためにクリックしなくてはならないと感じさせる。実際、ソーシャルアプリにこの手のドットが多すぎると反感が高まり、Facebookも数年前目障りな赤い通知ドットをオフにするツールを配布した(正確にいうと、Facebookは赤のドットを完全に排除していない。デフォルト設定は今でも「オン」で、現在同サービスのウェブサイトのあちこちに通知ドットがある)。

Spotifyアプリに追加されたこの一見したところ大したことのなさそうな新機能も実はよく計算されている。そしてこれは、グロースハックやアプリの中毒性を高めようとする小技の過剰利用に反対して近年出現している人道的テクノロジー運動からは何歩か後退するものだ。

今、多くの企業は中毒性機能から離れようとしている。たとえばAppleは、アプリが通知を送れるタイミングをユーザーが制御できるようにする消費者向けツールを追加し、近日公開のiOS 15リリースでは重要性の低いアプリの通知を1日のサマリーにまとめたり、気を散らしたくない時のための「フォーカス」モードを提供する。一方TikTok(ティックトック)は、長い時間見すぎていることを知らせる動画を挿入している。Instagram(インスタグラム)は「You’re all caught up(コンテンツは以上です)」を2018年に導入した。

注意を促すための通知機能追加したSpotifyは、逆方向に進んでいる。たとえユーザーの心地よさと喜びを犠牲にしてでも、ユーザーエンゲージメントを増やしたいのだろう。

What’s Newは、今後数週間のうちに全世界のiOSとAndroidユーザーに公開される。

関連記事
アップルがiOS 15で「通知」を改良、新機能「フォーカス」「サマリー」でよりパーソナルに
SpotifyとGIPHYが提携、GIFを通じた新しい音楽の発見をサポート
Spotifyがポッドキャスト発見プラットフォーム「Podz」を買収

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotifyアプリ音楽ストリーミング

画像クレジット:Bryce Durbin

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Musicの空間オーディオとロスレスストリーミングがAndroidでも利用可能に

Androidのスマートフォンを使い、しかもApple Musicを利用する人は、やや変わった消費者かもしれない。しかし、ベン図のその小さな重なった部分は、今後もっと大きくなるかもしれない。2021年6月のWWDCでApple(アップル)は、Apple Musicの会員のための無料のアップデートにより、ロスレスオーディオストリーミングと空間オーディオをDolby Atmosのサポートで提供していくことになった。そしてこれからは、Androidユーザーもこれらの機能を利用できる。

2020年にGoogleは、Google Play Musicアプリを閉鎖して(ご冥福を)、ユーザーをYouTube Musicに移行させようとした。しかし長年のAndroidファンは今でもその決定が気に入らず、YouTube Musicに納得していない。オーディオファンは、Apple Musicのアップデートでその気になったかもしれない。ただしAndroidデバイスの中にはまだ、Atmosをサポートしていないものがある。

オーディオのクオリティを上げようとしているストリーミングプラットフォームは、Apple Musicだけではない。AppleがWWDCでオーディオのアップグレードを発表した同じ日に、Amazon Musicも、Atmosによるロスレスストリーミングと空間オーディオのサポートを発表した。Appleと同じくAmazonも、これらの機能強化は会員に無料で提供される。SpotifyもHiFiと呼ばれるロスレスオーディオを計画しているが、こちらはApple MusicやAmazon Musicと違って、無料のアップグレードではなく有料のアドオンだ。YouTube Musicはまだ、比べられる機能がない。

現在、音楽のストリーミングは有料会員が1億5800万いるSpotifyがトップだ。対して、Apple Musicは2019年6月で6000万、Amazon Musicは2020年1月で5500万とされている。その後両社とも最新の数字を発表していないが、YouTube Musicは有料ユーザーが少なくとも2000万はいると思われる。ロスレスのFLACファイルとmp3の圧縮ファイルは、一般消費者向けのヘッドフォンで聴いても違いはわかるが、マスター品質の音を聴きたいという熱心なオーディオファンでもないかぎり、Tidalで十分だ。

関連記事
Apple Musicが空間オーディオとロスレスオーディオの提供を開始
アマゾンがAppleに対抗して無料でロスレス音楽配信サービスにアップグレード、まずは北米などから
Spotifyが要望の多かった高品質サブスクプラン「Spotify HiFi」を提供へ
Apple Musicの有料会員数が6000万人を突破
Amazon Musicユーザー数が5500万人超え
YouTube Premium加入者対象にiOSホーム画面でのビデオ視聴をテスト中
フィンテックSquareが音楽配信サービスTidalの過半数株を取得、ラッパーのジェイ・Z氏がSquareの取締役に

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Apple MusicAndroid音楽ストリーミング

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

SpotifyとGIPHYが提携、GIFを通じた新しい音楽の発見をサポート

Spotify(スポティファイ)は現地時間7月22日、GIFを通じて新しい音楽を発見できるよう、オンラインGIFデータベースのGIPHY(ジフィー)との提携を発表した。あなたが思い浮かべているかもしれないので断っておくが、GIFそのものは曲のクリップを流さない。その代わり、SpotifyがリンクされたGIFを通じて、直接アーティストの音楽を聴くためにSpotifyに誘導されるボタンをクリックするというオプションがある。導入にあたって、Doja CatThe WeekndPost MaloneNicki MinajThe Kid LAROIConan Gray、その他のアーティストが、自身の公式GIPHYプロフィールページでSpotifyがリンクされたGIFを展開する。今後さらに多くのアーティストが加わる。

今回のインテグレーションの目的は、テキストやグループチャット、その他のGIFが使われている毎日のコミュニケーションからユーザーをSpotify音楽とつなげることにある。これはSpotifyのSnapchatInstagramのようなソーシャルメディアアプリとの既存のインテグレーションに似ている。これらのインテグレーションではユーザーは投稿したStoriesやメッセージを通じて音楽をシェアできる。基本的にはオンラインソーシャルアクティビティ(今回の場合はGIFの共有)を活用するユーザー獲得戦略であり、その一方で作品が露出することでアーティストにも恩恵がある。

SpotifyがリンクされたGIFはGIPHY.comのアーティストページ、あるいはGIPHYのモバイルアプリで探すことができる。サポートされているGIFには、シェアされたときにGIFの下に「Listen on Spotify(Spotifyで聴く)」ボタンが付いてくる。ボタンをクリックすると、ユーザーはGIFからSpotify上のアーティストのページにリダイレクトされ、そこでユーザーはアーティストの音楽をストリームしたり、もっと聴きたい曲を探すためにブラウズできる。GIPHYはアーティストの音楽をプラットフォームに持ってくるために、アーティストのレーベルではなくアーティストとコラボした、とTechCrunchは理解している。

画像クレジット:Spotify/GIPHY

Spotifyは今回の機能はGIPHYとの幅広い提携の一部であり、今後はよりインタラクティブなリスニング体験をユーザーに提供することに注力する、と話す。

GIPHYと提携するという動きは、GIPHYの親会社であるFacebookとSpotifyの間での既存の提携の拡大に続くものだ。ソーシャルネットワーキング大企業のFacebookは人気のGIFプラットフォームGIPHYを2020年に、報道されたところによると4億ドル(約442億円)で買収した。GoogleがGIPHYのライバル、Tenorを買収してから数年後のことだ。買収以来、FacebookはFacebookやInstagramといった自社のアプリへのGIPHY統合に取り組んできた。

関連記事
フェイスブックがGIFアニメのGIPHYを430億円相当で買収
Spotifyがポッドキャストのタイムスタンプ付き共有など新しいソーシャルシェア機能を追加
フェイスブックがSpotifyとの提携拡大を発表、新プロジェクト「Boombox」の一環で
フェイスブックがアプリ内でSpotifyをストリーミングできる新機能を導入、日本でも提供

2021年初めにFacebookとSpotifyは、FacebookユーザーがFacebookアプリをブラウズする際にSpotifyでホストされている音楽を聴けるようにする新しい「Boombox」プロジェクトでもタイアップした。これはミニプレイヤーによって動いており、共有された音楽を通じてやってきたユーザーがフィードをスクロールしている間にクリックしてコンテンツを再生できるようになっている。

SpotifyとFacebookの結びつきにもかかわらず、GIPHYはFacebookとは別に独立した機会としてSpotifyとの提携を模索したとしている。GIPHYは、ユーザーエクスペリエンスを将来もっとインタラクティブなものにするためにSpotifyとの関係が続く限り提携機会をさらに追求する計画だと述べた。

新しい機能は認証されたGIPHYアーティストのページから誰でも利用できるようになる、とSpotifyは話している

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SpotifyGIPHYFacebook音楽ストリーミング

画像クレジット:Spotify/GIPHY

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

リアルな会場が再開し始める中、コンサートライブストリーミングのMandolinが約13億円調達

Mandolin(マンドリン)は6月初旬に創業1年を迎えたばかりだ。にもかかわらずインディアナポリス拠点の同社はもう1200万ドル(約13億円)のシリーズAを発表した。2020年10月初旬に500万ドル(約5億5000万円)のシード資金を調達してから間もない動きだ。コンサートストリーミングプラットフォームを立ち上げて成長させるのに、世界的なパンデミックは思いがけず幸運な時間となった。

申し込み超過だったラウンドは645 VenturesとFoundry Groupが共同でリードし、High Alpha、TIME Ventures (マーク・ベニオフ氏)といった既存投資家からの追加出資も受けた。

もちろん、世界が以前の暮らしに戻り始めた時にMandolinのような企業はどうなるのかというのは大きな疑問だ。ツアーが取り止めとなりファンやアーティストが手段を模索する中でコンサートライブストリームは確かにかなり勢いづいた。しかし今、会場が再開し始めている。

「アーティストが完売御礼の会場での公演に戻るにつれ、Live+は間違いなくライブのショーを広める、なくてはならないデジタル補完になります」とCEOのMary Kay Huse(メアリー・ケイ・ヒューズ)氏はリリースで述べた。「新規の資金調達ラウンドは、すべての公演がLive+で展開されるよう、当社の中心的なソリューションであるイノベーションの促進、新しいデジタルサービスの展開、マーケットへのルート補強に役立ちます」。

画像クレジット:Mandolin

認めよう。かなり抽象的だ。しかしこの会社は必然的な再開よりも前に会場イベントの推進を目指していた、というのが単純な答えだ。基本的に同社は公演のためのコンパニオンアプリを作りたいと考えている。

ヒューズ氏は先週Varietyに次のように語った。「早ければ年末までに、参加者の50%以上が会場にいながらデジタルで何かを体験するようになればいいと思っています。参加者に使いたいと思わせる、人の心を掴んで離さないコンテンツを制作しています」。

同社は引き続きストリーミングにも注力する。ストリーミングはヒットとなったが、パンデミック後すぐに廃れそうにはない。今回の資金調達とともに、645 Venturesのマネージングパートナー、Nnamdi Okike(ナムディ・オキケ)氏が取締役会に加わる。

「新型コロナの間、ライブストリーミングはお気に入りのアーティストのパフォーマンスを体験したいファン、そしてエキサイティングなライブイベントをファンに届けたいアーティストと会場にとってゲームチェンジャーでした」とオキケ氏は述べた。「Mandolinはこうしたエクスペリエンスを可能にするために最高のテクノロジープラットフォームを提供し、そしてこの急成長中の分野のニーズを満たすために会社を成長させています」。

関連記事
ライブ会場の再開に合わせてMixhaloが対面式ライブイベント用音声ストリーミングの新技術を発表
奇祭Burning Manがバーチャルフェスのチケット販売開始、2021年も砂漠での開催は中止
アマゾンが毎月アナログレコードの名盤が届く新サブスク「Vinyl of the Month Club」を米国で開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Mandolinライブストリーミング資金調達音楽コンサート音楽ストリーミング

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ライブ会場の再開に合わせてMixhaloが対面式ライブイベント用音声ストリーミングの新技術を発表

全米各地のライブ会場が再開される中、Mixhalo(ミックスヘイロー)は、その対面式ライブイベント用のオーディオストリーミングプラットフォームに「Mixhalo Over Cellular(ミックスヘイロー・オーバー・セルラー)」と「Mixhalo Rodeo(ミックスヘイロー・ロデオ)」と呼ばれる2つの新機能を追加することを発表した。

1つ目の機能は、その名の通り。Wi-Fiに頼る代わりに5Gを活用する。これはMixhaloの初期のWi-Fi製品で魅力とされていた「超低遅延」を提供できると、同社では述べている。

Mixhaloはこの機能を展開するために、携帯電話会社と協力しているが、その社名は明らかにしていない。ただし、この機能はLTEでも利用できるものの、明らかな理由により、5Gの方が低遅延を実現できる機会が多いと言及している。

もう一方の「Rodeo」は、既存の会場の無線ネットワークと連動するように設計されているため、追加のオーバーレイシステムを導入する必要がない。

「Rodeoシステムでは、既存のアクセスポイントがMixhaloのトラフィックを認識し、それに応じてネットワークデータの準備やバッファリングを行うことができるため、実際にネットワークの負担を軽減することができます」と、CEOのJohn Vars(ジョン・ヴァース)氏はTechCrunchに語った。「2015年以降にワイヤレスシステムを導入した会場であれば、Rodeoをサポートするために必要なハードウェアを備えている可能性が高いです。会場のサーバールームにサーバーを設置する必要がありますが、これがRodeoの唯一のハードウェアコンポーネントです」。

画像クレジット:Mixhalo

Incubus(インキュバス)のギタリストであるMike Einziger(マイク・アインジガー)氏らが共同で設立したMixhaloは、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)氏の協力も得て、Disrupt 2017(ディスラプト2017)のステージでプロダクトを発表し、その超低遅延のストリーミング技術でライブイベントのサウンドを観客に届けることを約束した。

当然のことながら、2020年と2021年前半は、ライブイベントと結びついたスタートアップ企業にとって非常に大きな苦難の時となった。新型コロナウイルス感染流行の初期には、契約終了にともない人員削減を余儀なくされたとヴァース氏はTechCrunchに語ったが、その後は多くのパートナーシップのお陰もあり、なんとか成長していると付け加えた。

(左から)ファレル・ウィリアムス、Mixhaloの創業者でCEOのマイク・アインジガー、TechCrunchシニアライターのAnthony Ha。2017年5月17日にニューヨーク市のPier 36で開催されたTechCrunch Disrupt NY 2017 – Day 3のステージにて(画像クレジット:Noam Galai/Getty Images for TechCrunch)

「このような状況の中で明るい兆しが見られたのは、一歩下がって中核製品の改善に集中する機会が得られたからです」と、ヴァース氏は語る。「これらの改善には、今回発表したMixhalo RodeoやMixhalo over Cellularの他、会場内の物理的な位置に基づいて遅延を動的に調整する機能などが含まれています。新型コロナウイルス感染流行前のビジネスに全力投球していた中では、これらの改善に取り組む時間や機会が得られなかったかもしれません。これらの新機能により、スポーツ界のパートナーからの関心が高まり、Mixhaloの使用例が本格的に飛躍することを期待しています」。

関連記事:

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Mixhaloライブストリーミングイベント音楽音楽ストリーミングエンターテインメント5Gアプリ

画像クレジット:WIN-Initiative

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

復活したばかりの老舗音楽共有アプリTurntable.fmのそっくりライバル「tt.fm」がiOS・Androidベータ版アプリ発表

あなたが混乱したとしても無理はない。私自身このネタを追ってきて、まさに今書いているところだが、それでも混乱してしまいそうだ。「Turntable.fm」(オリジナルの、そして最近再リリースされた、ソーシャルミュージックアプリの名称)と混同してはいけないTurntable(または「tt.fm」アプリ)は、米国時間6月8日、同社サービスのiOS版、Android版、およびデスクトップPC版を提供開始したと発表した。

簡単に説明すると、オリジナルのTurntable.fmは、ライブ音楽プラットフォームに注力するために2013年に閉鎖された。このサイトで数え切れないほどの就労時間を費やした我々にとって、とても悲しい日だった。しかし、こういうこともある。人は変わり、企業はピボットするものだ。

もちろんそのノスタルジアは、この1年間、家の中に閉じこもって社会とのつながりを求めていたときに猛烈な勢いで戻ってきた。ある程度の年齢に達しており、おそらくTwitchにまだどっぷり浸かれていない我々のようなユーザーは、サイトを懐かしく思うようになった。そこで創業者のBilly Chasen(ビリー・チェイセン)氏は、Turntable.fmの復活を計画した。現在のベータ版では、ロイヤリティの問題を回避するためにYouTubeストリーミングを利用するなどいくつかの変更点はあるものの、ちょっとしたタイムカプセルのようなものだ。よくできている。私はこのところ使っている。楽しい。そしてつい先日、この会社は新しい10年に向けて750万ドル(約8億2000万円)を調達した。

ほぼ同時期に、Turntable.fmの初期の従業員がこのサービスを別の形で立ち上げることにした。モバイル利用に焦点を当て、クラウドファンディングのルートを選択したtt.fmは、懐かしさの波に乗り、2021年3月に発表された50万ドル(約5500万円)の資金調達に成功した。

6月8日、そのサービスがベータ版として開始される。同アプリは現在、Apple(アップル)App StoreとGoogle(グーグル)Play Storeで公開されている。また、ブラウザでアクセスすることも可能だ。Turntable.fmと同様に、tt.fm(ここではわかりやすくするためにそう呼ぶ)もサードパーティの音楽サービスに依存している。起動時には、リンクされたSpotify(スポティファイ)またはApple Musicのアカウント、およびSoundcloud(サウンドクラウド)から音楽を取り込む。YouTube機能は近日公開予定だという。

上の画像からわかるように、このサービスはTurntable.fmと同じフォーマットに基づいており、似ているが異なるグラフィックとなっている。DJがステージ上で曲をプレイし、観客がそれを気に入ったら頭を振ってうなずく。この新しいサービスの特徴の1つは、アーティストによるDJセットをホストすることだ。

Turntable(tt.fm)のCEOであるJoseph Perla(ジョセフ・パーラ)氏はリリースの中でこう語った。「オリジナルTurntableのファンは、ダンスフロアに戻ることを熱望しており、ライブDJセット、音楽ファンとのソーシャルネットワーキング、音楽の共有、オンライン音楽コミュニティなどのニーズに応える製品を求めていました」。

Turntable.fmのファンとしては、ゼロから突然2つのサービスになったことは、突如大金持ちになった恥ずかしさのように感じる。しかし、2021年の混雑したメディア環境の中で、ニッチを超えて本当に成功できるかどうかは疑問が残る。Turntable.fmのようなアプリが1つ存在する余地はおそらくあるだろう。

しかし、2つ?このすでに奇妙な物語は、さらに奇妙なものになりそうだ。

関連記事
Apple Musicが空間オーディオとロスレスオーディオの提供を開始
アマゾンがAppleに対抗して無料でロスレス音楽配信サービスにアップグレード、まずは北米などから
フェイスブックがアプリ内でSpotifyをストリーミングできる新機能を導入、日本でも提供

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ベータ資金調達音楽音楽ストリーミング

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

Apple Musicが空間オーディオとロスレスオーディオの提供を開始

Apple(アップル)は2021年5月に、間もなくApple MusicサブスクでDolby Atmos(ドルビーアトモス)によるロスレスストリーミングとSpatial Audio(空間オーディオ)を無料で利用できるようにすると発表した。そのアップグレードが利用できるようになった、とAppleは米国時間6月8日朝に発表した。ただ、多くの人はこのアップグレードが実際には6月7日のWWDCキーノートの後に行われたことに気づいていた

Apple Musicの7500万曲を超える全カタログでロスレスオーディオをサポートする。

ロスレスオーディオはCD品質の44.1 kHz/16bitで始まり、48 kHz/24 bitまでとなる、と Appleは以前言及していた。オーディオファイルは192 kHz/24 bitまで対応するハイレゾのロスレスを選ぶこともできる。こちらを利用するには外部のデジタル/アナログUSBコンバーターを使う必要がある。ヘッドフォンをiPhoneに差し込むだけでは機能しない。

Apple Music購読者は設定で音楽をタップし、オーディオの品質から新しいロスレスのオプションを選ぶことができる。そこではWi-Fi、データ通信、ダウンロードなど異なるコネクションのために使えるよう、いくつかの品質が用意されている。

設定で品質を選ぶと、ロスレスファイルが端末の「かなり多くのスペース」を使うとiOSは警告する。ストレージ10GBで約3000曲を高品質で保存でき、ロスレスだと1000曲、ハイレゾロスレスだと200曲だ。

画像クレジット:Apple

一方、空間オーディオは、H1チップやW1チップ搭載のAppleのAirPodsやBeatsヘッドフォンなどDolby Atmosに対応するハードウェアではデフォルト設定される。iPhone、iPad、Macの最新モデルもDolby Atmosに対応する。Apple Musicの空間オーディオは「間もなく」Androidデバイスでも提供される、とAppleは述べた。

提供開始に際し、Apple Musicは空間オーディオを案内するための新しいプレイリストの展開も6月8日開始した。プレイリストは以下の通りだ。

Appleはまた、 リスナーが違いを聞き分けられるようサポートする特別ガイドもApple Musicの空間オーディオに追加する。ここにはMarvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)やThe Weeknd(ザ・ウィークエンド)といったアーティストのトラックが含まれる。そしてAppleはZane Loweがホストするトップのサウンドエンジニアと専門家を招いた空間オーディオについての座談会を米国太平洋標準時間6月8日午前9時(日本時間6月9日午後10時)からApple Musicで提供する。

楽曲はDolby Atmos向けにリマスタリングされる必要があるため、これらのガイドやプレイリストは音楽好きの人が探し回らなくても新しいフォーマットを体験できるようにする。さらに多くの新規リリースとベストなカタログ曲を空間オーディオで加えるために、アーティストやレーベルと協業しているとAppleは話す。この点を強化すべく、Appleはさまざまな取り組みが進行中だと指摘する。主要マーケットでドルビーを利用できるスタジオの数を倍増させたり、独立アーティストへの教育プログラムやリソースを提供したりといったものが含まれる。

Appleはまた、音楽オーサリングツールを「Logic Pro」に直接組み込むと述べた。2021年後半には、ミュージシャンなら誰でも自分の曲をSpatial Audio for Apple Musicで制作しミックスできるLogic Proのアップデートをリリースする予定だ。

関連記事:Apple Musicがロスレス・空間オーディオを2021年6月から提供、追加料金なし

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleWWDCWWDC 2021Apple Music音楽音楽ストリーミング

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Spotifyがオーディオブックに進出、Storytelと提携し新プラットフォームを活用

Spotify(スポティファイ)がオーディオブックに手を広げる。といってもあなたが想像するような方法でではない。同社は米国時間5月20日、オーディオブックプラットフォームのStorytel(ストーリーテル)との提携を発表した。この提携では既存のStorytel購読者はSpotifyのアプリ内のオーディオブックにアクセスするのにSpotifyを通じてアカウントをつなげられる。提携は、クリエイターやパブリッシャーがリーチを広げられるようにすることを目的にSpotifyが最近導入したオープン・アクセス・プラットフォーム(OAP)で可能になった最初の注目すべき例だ。

同社は2021年初めの報道機関向けイベントStream OnでOAPの計画について手短に語っていた。イベントでは有料ポッドキャストサブスクSpotify HiFiその他の新機能についての詳細も明らかにした。OAPでは、顧客がSpotifyを通じてコンテンツをストリームできるようにすることで、コンテンツを既存サブスクベースに届ける新しい方法をパブリッシャーやクリエイターに提供する。StorytelはOAPを取り入れた初の主要パブリッシャーだが、StratecheryのBen Thompson(ベン・トンプソン)氏は自身もOAPを使っていると述べた

関連記事
Spotifyが米国で有料ポッドキャスト開始、2年間クリエイターの取り分は100%
Spotifyが要望の多かった高品質サブスクプラン「Spotify HiFi」を提供へ
Spotifyがオーディオ広告マーケットプレイス「Spotify Audience Network」を開始

クリエイターやパブリッシャーの既存ログインシステムの使用をテクノロジーがサポートし、リスナーとの関係を引き続き直接コントロールできる。例えば有料のポッドキャストは既存の購読者にストリームするためにシステムを使うことができる。しかしStorytelの場合、ポッドキャストではなくオーディオブックのコンテンツを提供している。

「みなさんにすばらしいストーリーへのアクセスを持って欲しいと考えています。本日、Storytelは世界25マーケットで50万超のオーディオブックを提供しています」と同社の創業者でCEOのJonas Tellander(ジョナス・テランダー)氏は発表の中で述べた。「Spotifyとの提携は驚くほどのオーディオブックエクスぺリンスにし、既存の作者はこれまで以上に簡単に当社の顧客にアクセスできます。その一方で現在Spotifyを利用しているもものオーディオブックのマジックをまだ体験していないという新たなオーディエンスにリーチする機会を当社は利用します」と付け加えた。

Audibleの競合相手であるStorytelは英語を含むさまざまな言語のオーディオブックを、月額固定料金で提供している(月約20ドル、約2200円だがマーケットによって異なる)。ライブラリーへの無制限アクセスは1カ月にオーディオブックを1つ以上聴く人にとってはお得かもしれない。通常、Storytelmの顧客はiOSかAndroidのモバイルアプリを通じてストリームする。

ロイターの報道によると、Storytelは購読者160万人を抱える。一方、Spotifyは178マーケットでの購読者1億5800万人を含む、ユーザー3億5600万人を抱える。

インテグレーションそのものは2021年後半に行われ、Storytelのユーザーは自分のアカウントでサインアップでき、その後アカウントをリンクさせることでSpotifyを通じてストリームできるようになる。Spotifyは自社アプリからStorytelのサブスク登録をユーザーに勧める計画は持っていないが、アカウントをリンクさせる時点でユーザーはログインではなく登録するよう案内されるかもしれない。

SpotifyはStorytelとの提携の前にオーディオブックを倍増させた。たとえば2021年1月にSpotifyは、セレブがナレーションを担当した「フランケンシュタイン」「ジェーン・エア」「説得」などいくつかのクラシック作品でフォーマットのテストを開始した。同社はDaniel Radcliffe(ダニエル・ラドクリフ)氏やDavid Beckham(デイビッド・ベッカム)氏、Dakota Fanning(ダコタ・ファニング)氏といったスターがナレーションを行った最初の「ハリー・ポッター」も以前提供した。

今夏、OAPのさらなるパートナーが発表される、とSpotifyは話している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SpotifyオーディオブックStorytel音楽ストリーミング

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpotifyがようやくApple Watchでオフライン視聴できるように

Spotify(スポティファイ)とApple(アップル)の関係においては、当然のことながらときに対立することがあった。結局のところ、AppleはSpotifyの最大のライバルとなっているストリーミングサービスを運営している。しかし、Apple WatchとSpotifyはそれぞれの部門で大差でトップの座を維持している。そして協業することは最終的にベン図で重なっている部分のかなりの数のユーザーに利便性を提供する。

Spotifyは米国時間5月21日、明らかに最もリクエストの多かった機能の1つをとうとうスマートウォッチに持ってくると発表した。プレミアム会員は同日から音楽とポッドキャストをオフライン視聴のためにApple Watchにダウンロードできるようになった。つまり、ユーザーはジョギングするときスマートフォンを家に置いたまま出られるようになる。

新機能は標準的なダウンロードとシェアとなる。ユーザーはアルバム、プレイリスト、ポッドキャストの横にある3つの楕円をクリックし、それから「Apple Watchにダウンロード」をクリックする。ダウンロードされると、緑の矢印がタイトルの横に登場する。そしてヘッドフォンをペアリングすると、ウォッチから直接ストリームできるようになる。

Samsungはすでに同様の機能を同社のGalaxy Watchシリーズを含むスマートウォッチに提供している。また、I/O開発者会議での発表によると、Google Wear OSのウォッチでも間もなく提供される。もちろんApple Musicはかなり前からApple Watchでのオフライン視聴を提供しており、Pandoraも同様だ。DeezerもSpotifyに負けず数日のうちにApple Watchにダウンロードできるようになる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SpotifyApple Watch音楽音楽ストリーミングスマートウォッチ

画像クレジット:Spotify

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックがアプリ内でSpotifyをストリーミングできる新機能を導入、日本でも提供

Facebook(フェイスブック)は先週、アプリ内で直接音楽やポッドキャストを聴く新しい方法を導入しようと、音楽ストリーミングサービスSpotify(スポティファイ)とのProject Boomboxという提携拡大を発表した。そして米国時間4月26日、両社は新しい「ミニプレイヤー」エクスペリエンスとして統合の展開を開始した。この新機能では、FacebookユーザーはiOSとAndroidのFacebookアプリを通じてSpotifyからストリーミングできる。無料のSpotifyユーザー、プレミアム購読者いずれも利用可能だ。

関連記事:フェイスブックがSpotifyとの提携拡大を発表、新プロジェクト「Boombox」の一環で

ミニプレイヤーそのものは、Spotifyのアプリ内ですでにサポートされているソーシャルシェアリングオプションの拡張機能だ。現在、SpotifyユーザーがFacebookで共有したいコンテンツを聴いているとき、既存の「シェア」メニュー(スクリーン右上の3つのドットのメニュー)をタップし「Facebook」か「Facebook News Feed」を選べる。

ユーザーが個人のトラックやポッドキャストエピソードをシェア機能を通じてFacebookに投稿するとき、投稿は新しいミニプレイヤーに表示されるようになっている。これにより、ユーザーの投稿を目にした他の人がコンテンツを再生したり、再シェアしたりできる。

Spotifyの有料購読者はフル再生もできる、と同社は話す。一方、無料ユーザーはクリップではなく、シェアされたトラックを聴くことができる。しかし結局、無料ユーザーはSpotifyのアプリでそうしているように、広告入りのコンテンツをシャッフルモードで聴くことになる。

これがどういう仕組みになっているのか、注意すべき大事なことは、統合によって音楽あるいはポッドキャストのコンテンツが実際にSpotifyのアプリから再生するようになっているということだ。ユーザーがミニプレイヤーでプレイボタンを押すとき、ユーザーがSpotifyにログインできるようにアプリの切り替えが起こっている。ミニプレイヤーはSpotifyアプリの立ち上げと再生を起動してコントロールしている。これがユーザーがFacebookをスクロールしたり、Facebookアプリを最小化しても再生が続く理由だ。

この設定はユーザーがスマートフォンにSpotifyアプリをインストールし、ミニプレイヤーを機能させるのにSpotifyアカウントを要することを意味する。初めてSpotifyを使うユーザーは、ミニプレイヤー経由でシェアされた音楽を聴くために無料のアカウントを申し込む必要がある。

Spotifyは、ミニプレイヤーのエクスペリエンスそのものを通じて有料アカウントを申し込むことはできない、と説明する。そのため、新規購読でFacebookと分け合う売り上げはない(ユーザーはSpotifyアプリをダウンロードし、アップグレードしたければさらに有料アカウントに申し込まなければならない)。

この提携でSpotifyは新型コロナウイルス特需による購読者の増加がなくなりつつある現在、配信を増やし、アカウント申し込みとアプリのリピート使用を拡大するのにFacebookのリーチを活用できる。しかし、ストリーミングを行なっているのは実際にはSpotifyのアプリであるため、これまで同様、ストリームで支払われるロイヤルティには責任を持つ、と同社はTechCrunchに説明した。Spotifyはまた、音楽カタログそしてコンテンツとともに流れる音声広告も全面的に受け持つ。

Facebookにとって、この契約はユーザーがFacebookサイトでもっと時間を費やすようにする貴重なツールを持つことを意味する。過去数年、ユーザーがFacebookで費やす時間は減ってきていると報道で指摘されている。

SpotifyとFacebookは、音楽に関する取り組みで協業してきた長い歴史を持つ。2011年にFacebookは、今回のように音楽サブスクのユーザーがFacebook上で直接音楽を楽しめるようにするアップデートを計画していた。しかしそうした計画は後に振り出しに戻った。おそらく音楽の著作権かテクニカル上の問題のためだ。SpotifyはFacebookのティッカーにおける最初のメディアパートナー企業の1社だった。ティッカーはユーザーに友達がFacebookや他のサービスで何をしているのかをリアルタイムに示すというものだ。Spotifyはかつて、モバイルアプリ向けにFacebookログインをデフォルトで提供してもいた。展開されてもう何年にもなるが、Facebookとの統合のおかげでデスクトップのSpotifyユーザーは、Facebookでつながっている友達がSpotifyで何をストリーミングしているのか知ることができる。

今回の提携の更新と拡張のタイミングは興味深い。FacebookとSpotifyには、Apple(アップル)という共通の敵がいる。Appleのプライバシーにフォーカスした変更はFacebookの広告事業に影響を及ぼしており、またAppleのApple Musicとポッドキャストへの投資はSpotifyにとって脅威だ。ここ数年のFacebookの自社による音楽の取り組みは、音楽レーベルとの合意による音楽ビデオの統合など、提携へとシフトした。Facebookの収益化ツールとクリエイター経済をターゲットとするサービスに関する幅広い取り組みを支える新しいストリーミング機能を稼働させるのに、Spotifyのようなパートナーに目を向けるのは理に適っている。

ミニプレイヤー機能は4月26日のグローバル展開の前にメキシコとタイでテストされた。

今回のインテグレーションは、米国に加えてアルゼンチン、オーストラリア、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、ガテマラ、ホンジュラス、インドネシア、イスラエル、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、南アフリカ、タイ、ウルグアイで展開されている。

関連記事
アップルがポッドキャストの有料定額サービス開始を発表、米国では番組あたり約53円から
Facebookとユニバーサルミュージックの提携によって、利用者は動画内で許諾された音楽を使うことができるようになった

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookSpotify音楽ストリーミングSNS

画像クレジット:Spotify

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックがSpotifyとの提携拡大を発表、新プロジェクト「Boombox」の一環で

Facebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは米国時間4月19日、Facebookは音楽ストリーミングサービスSpotify(スポティファイ)との関係を深め「Project Boombox」と呼ばれる新たなイニシアティブの一環として、ユーザーが同社のアプリをブラウズしながらSpotifyでホストされている音楽を聴けるようにしていく、と明かした。

Facebookは、ユーザーがプラットフォーム上で共有されている曲やプレイリストを、Spotifyのアプリやウェブサイトに外部リンクすることなく聴くことができるインラインオーディオプレイヤーを構築しているという。ザッカーバーグ氏はこの機能を、プラットフォーム上のクリエイターエクスペリエンスを向上させるために設計された新たな製品だと紹介し、特にミュージシャンが自分の作品を共有しやすくすることで「基本的には、オーディオをファーストクラスメディアにします」と述べた。

Spotifyとの統合に関する情報に詳しい関係者によると、このプレイヤーは音楽とポッドキャストの両方に対応するとのこと。すでにメキシコやタイなどの米国以外の市場でテストが行われており、おそらく約1週間後に利用可能となる予定だという。

このニュースは、FacebookがClubhouse(クラブハウス)のような新興の取り組みやポッドキャスティングの世界での活動増加に対応しようとしている中、レポーターのCasey Newton(ケーシー・ニュートン)氏との幅広いインタビューで、オーディオの世界における同社の今後の取り組みについて聞かれ明らかにされた。

「オーディオは第1級のメディアになると考えており、このスペクトル全体でさまざまな製品が作られると考えています」とザッカーバーグ氏は語った。「もちろんそこには、ポッドキャスティングやこのようなライブオーディオルームのように、最近人気のある分野も含まれていますが、この分野全体ではまだあまり検討されていない興味深いものもあると思います」とも。

Spotifyは、すでにFacebookやInstagram(インスタグラム)のプラットフォームとかなりの製品関係をサポートしている。音楽とポッドキャストのプラットフォームであるSpotifyは近年、ユーザーが同サービスのコンテンツを共有できるようInstagramストーリーズに深く統合されており、この機能はFacebookストーリーズにも組み込まれている。

関連記事:ビリー・アイリッシュも活用するSpotifyのループ動画がInstagramでも見られるようになった

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookSpotifyPodcast音楽音楽ストリーミング

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Lucas Matney、Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

Apple Musicでのストリーミング売上詳細をアーティストへの手紙に記載、やはり中堅や独立系たちには厳しい

ストリーミング収入はミュージシャンにとって長年の懸案事項であり、特にレコード会社が業界全体で崩壊したことにより何とか生活しているミュージシャンにとって、大きな問題だった。もちろんツアーが不可能になった2021年は、多くのミュージシャンにとって主要な収入源が完全に絶たれたため、こうした問題を浮き彫りになった。

Apple(アップル)はアーティストに送ったレターの中で、ストリーミング売上げに関する主要な疑問の一部を明らかにしたいと考えている。The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じたこのメモには、Spotify(スポティファイ)が支払う金額の約2倍に相当する売上高の概要が記されている。

「ストリーミングのロイヤリティについての議論が続く中、私たちは価値観を共有することが重要だと考えています」と、Appleは述べている。「私たちは、すべてのクリエイターに同じ料金を支払うこと、1回の再生には価値があること、そしてクリエイターはそのサービス上の最高のディスプレイスペースで音楽をフィーチャーするために料金を支払うべきではないことを信じています」。

Appleのコメントは、Spotifyのはるかに多様な支払いモデルを明確に指摘している。しかし、それが実際にどのくらいの金額になるのかはもう少し複雑な問題だ。Spotifyの支払いモデルは、最初は1ストリームあたり1ペニー(1円)程度だった(さらに下がることもある) 。この金額はレコード会社であれ出版社であれ、権利者に支払われる。この問題は、2021年に多くのミュージシャンが仲介業者の存在意義に疑問を持つようになった、一連の問題のうちの1つだ。

SpotifyのDaniel Ek(ダニエル・エク)CEOは2020年のインタビューで「3〜4年に1度も音楽をリリースせず、それで十分だと考えているような過去に成功を収めたアーティストは、将来はうまくいかない人もいるかもしれません」と述べ、この騒動を煽った。

結局のところ、多くのアーティストにとっては小銭、あるいはさらに小さな金額の奪い合いの戦いだ。そして、世界がストリーミングモデルに移行した現在、中堅や真の独立系アーティストたちが生活を維持するのは非常に難しくなっている。BandcampやSoundcloudのようなサービスは、小規模なアーティストがより管理しやすいように努力してきたが、現代のミュージシャンの生活は、特に新型コロナウイルス(COVID-19)の時代では依然として苦しいままだ。

関連記事:音楽は2020年を良いものにしてくれたが、私たちはミュージシャンを幸せにしていない

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleApple MusicSpotify音楽音楽ストリーミング

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Spotifyが車載用エンターテインメントシステム「Car Thing」を米国内でリリース

Spotify(スポティファイ)は米国時間4月13日朝、Spotify Premium加入者を対象とした初となるハードウェアデバイス「Car Thing」の米国内限定リリースを正式に発表した。なんと無料(送料のみ請求)で提供されるこの奇妙な名前のデバイスは、2019年に初めてテストが開始されて以来大幅に進化しているようだ。アップグレードされた今回のモデルには、タッチスクリーン、ナビゲーション用の大きくてつかみやすいダイヤル、音声コントロール機能の他、モバイルデバイスのSpotifyと同様に、お気に入りの音楽やポッドキャスト、プレイリストのための4つのプリセットボタンが上部に搭載されている。

関連記事:Spotifyが車載ハードウェア「Car Thing」をテストへ

同社によると、車内でも「よりシームレス」でパーソナライズされたリスニング体験を味わいたいというユーザーのニーズに応えることがCar Thingの目的だという。現在多くの自動車がApple CarPlayやAndroid Autoに対応しているが、実際には米国における自動車の平均使用年数は11年、自動車の平均寿命は18年であると同社は指摘している。つまり、最新の車載インフォテイメントシステムに対応していないクルマがまだ大量に走っているということだ。

Car Thingはこういった市場に対応するために誕生したわけである。また、Spotifyが車内のユーザーとより直接的な関係を築くことで将来的なビジネスモデルを検討する機会にもなると思われるが、同社は現時点では長期的な目標について言及していない。

画像クレジット:Spotify

新Car Thingは軽量(96g)で薄型(11.7×6.4×1.8cm)の音楽&ポッドキャストプレイヤーで、音声コントロール、ダイヤル、ボタン、タッチスクリーンディスプレイを組み合わせてメニューを操作し、聴きたいメディアを選択することができる。デバイスの設定は、普段カーステレオと携帯電話を接続して音楽を再生するのと同じ方法で、Bluetooth、AUXまたはUSBケーブルのいずれかを使用することが可能だ。

また、カーチャージャーとUSB-Cケーブルに加えて3種類のダッシュボードマウントとベントマウントが付属しているため、さまざまな方法でCar Thingをダッシュボードに取り付けることができる。

画像クレジット:Spotify

Car Thingの起動時にはクイックツアーが始まり、スタート方法を説明してくれる。ユーザーインターフェースはSpotifyのモバイルアプリと似ているため、初めてでもすぐに慣れることができるだろう。タップ、スワイプ、音声を使って画面を操作でき、またダイヤルを使えばすばやく曲を選ぶことができるため、車の内蔵ステレオのダイヤルに慣れている人にとってはより快適に感じるかもしれない。

本体上部には4つのプリセットボタンがあり、お気に入りのコンテンツを保存して簡単にアクセスすることが可能だ。デフォルトでは自分の「お気に入りの曲」、Spotifyの「Daily Drive(毎日のドライブ)」「Morning Commute(通勤時の1曲)」のプレイリストが設定されており、最後のプリセットは空になっている。そのままにしておくユーザーも多いかもしれないが、これはいつでも変更することができるという。

画像クレジット:Spotify

このデバイスのリリースに先立ち、Spotifyは「Hey Spotify」という音声コマンドのサポートを密かに開始しているが、Car Thingにもこれが活用されている。曲、アルバム、アーティスト、プレイリスト、放送局、ポッドキャストなどのリクエストをSpotifyに声で直接伝えると、Car Thingが上部にある4つのマイクでそれを「聞く」。(4つあるのは、音楽を爆音で流していたり窓を開けていたりして車内が騒がしくてもCar Thingが反応できるようにするためだという)。

関連記事:すでに利用可能なモバイルの「Hey Spotify」音声コマンド機能公開についてSpotifyは沈黙

モバイルデバイスでは「Hey Spotify」の使用は任意で、アプリの設定からオフにすることが可能だが、当然Car Thingではよりスマートで、より安全性を重視した音声コントロールの使用が必要とされている。画面やダイヤルを触る代わりに声で指令を伝えることができ、おそらく子どもたちが後部座席から選択肢を叫んでも大丈夫だろう。

画像クレジット:Spotify

Spotifyは音声データの使用に関するポリシーとして、ユーザーが話した内容の録音とトランスクリプト、およびユーザーに返されたコンテンツに関する情報を収集し、機能を改善するためにデータを使用することがあると説明している。同社は音声データ以外の情報は、モバイルアプリですでに収集している以上のものが新たに収集されることはないと説明しているが、Car ThingによってSpotifyは通勤時や長時間のドライブ中に人々が何を聴いているかをより直接的に知ることができ、それが将来の製品やプログラムプレイリスト、その他の機能に反映される可能性は大いにあるだろう。

「通常の1年間において、アメリカ人は合計で700億時間以上を車の中で過ごしており、現在アメリカの道路には2億5000万台の車が走っています」。Spotifyのグローバルカルチャー&トレンド部門の責任者であるShanon Cook(シャノン・クック)氏は説明する。「非常に多くの時間を路上で過ごしていることになりますね。だからこそ、車内での時間を乗り切るために何をするか、何を聴くのかというのは非常な重要な情報です」。

この限定リリース期間中、Car Thingは無料で提供され、選ばれたユーザーは送料のみを支払うことになる。これはCar Thingがまだ実験段階であるという理由からだという。

「これはSpotifyにとって初めてのハードウェアであり、当然成功させたいと考えています。最初に多くのことを知っておきたいため、この始め方が自然だと感じています」とSpotifyのハードウェア製品責任者であるAndreas Cedborg(アンドレアス・セドボーグ)氏は伝えている。

画像クレジット:Spotify

Spotifyによると、同デバイスの現在の小売価格は80ドル(約8700円)となっているが、いつ販売を開始できるか、または実際に発売されるかもわかっていないという。ただしソフトウェアのアップデートを行うことは可能なため、Spotifyがいつか別の方向に進むことになっても、少なくともデバイスがすぐに使えなくなることはない。

今回ハードウェア製造に挑戦したSpotifyだが、ハードウェア企業になることを目指しているわけではないと同社は強調している。どちらかというと、Spotifyは車内に特化した体験を提供することで、次のSiriusXMになることを考えているようにも受け取れる(ダッシュボードに物理的にCar Thingを取り付けなければならないため、SiriusXMよりは付加的ではあるが)。長期的に見ると、自動車が年々スマートになり、インフォテインメントシステムが標準化されていく中で、Car Thingの製品ラインを開発することに大きな意味があるかは分からない。

Car Thingはスマートフォンを持つ米国のSpotify Premium加入者を対象に、carthing.spotify.comを通じて招待制で提供される予定だ。同社は出荷台数については明らかにしていないため、興味のある読者は早めにウェイティングリストに登録することをおすすめする。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Spotify自動車音楽ストリーミングアメリカ

画像クレジット:

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

ソーシャルラジオサービスStationheadが毎月65%成長し月間アクティブユーザーが10万人超え

以前、Stationhead(ステーションヘッド)について書いたとき、筆者はStationheadがどのようにラジオ生放送のパーソナリティと相互性をストリーミング音楽に持ってこようとしているかにフォーカスした。しかしCEOのRyan Star(ライアン・スター)氏は、野心はさらに大きくなっていると述べた。「当社は世界で最大のソーシャルオーディオプラットフォームになります」。

Stationheadは急成長しており、月間アクティブユーザーは10万人だと話す。この数字は毎月65%成長しており、総ユーザーは50万人だ。プラットフォームには6300のホストがいて、2021年最初の3カ月間に200万近くのライブスストリームと録音ストリームを制作した。

COOのMurray Levison(ムライ・レヴィソン)氏は、パンデミックのためにより多くのアーティストがファンと交流する新しい方法を求めてプラットフォームにやってきた、と筆者に語った。例えばCardi Bは2021年3月、ファンの番組Bardigangradioに参加し、放送の間にApple MusicとSpotifyにある自身の新しいシングルが13万2000回有料でストリームされることにつながった。

と同時に、スター氏(自身ミュージシャンとして不満を抱えていたために会社を共同創業した)とレヴィソン氏は、音楽を流すことはかつてほどにビジョンの中心にはないとの考えを示した。その代わり、音楽があろうとなかろうとオーディオ生放送がStationheadのすべてだと述べた。

プロダクトの観点から、Stationheadは「クリエイター、そして使いたいという人のための最高の放送ツール」を構築しようとしているとレヴィソン氏は話した。そして「音楽はまだ我々が構築したものの中心にあります。Twitchにとってゲームがそうであるように、音楽は我々のソーシャルグルーです」と付け加えた。

画像クレジット:Shervin Lainez / Stationhead

ライブの体験(レヴィソン氏は「中核となる提案価値」と表現した)を強調する一方で、Stationheadは後に視聴するための番組録音もサポートしている。どうやらユーザーの50%がライブと録音番組の両方を聴いているようだ。同社はまたブロードキャスターが番組で収益をあげることができるチップ機能も試験展開してきた。

もちろん、Clubhouseに触れずしてソーシャルオーディオを語ることはできない。CEOのPaul Davison(ポール・デヴィソン)氏によると、Clubhouseは2021年1月に毎週200万人のアクティブユーザーを引きつけた。レヴィソン氏は、Clubhouseをめぐる騒ぎによって潜在的な買収者と投資家がソーシャルオーディオに関心を持つようになり、Stationheadにも恩恵をもたらしたと示唆した。そしてスター氏はこの業界の企業がかなり異なるアプローチを取っていると主張した。

「Clubhouseは排他的です」とスター氏は述べた。「成り上がりのためのもので、ステージに近づいています。StationheadはCardi Bがファンと交流するのに興奮する世界に存在しています、我々は99%の人のためのものです」。

【更新】筆者がアプリストア調査会社SensorTowerに最新のダウンロードデータについて尋ねたところ、同社はStationheadが世界で34万9000回ダウンロードされ、一方のClubhouseは1630万回だと話した。

関連記事:ソーシャルオーディオアプリClubhouseが800万ダウンロード超え、2021年2月前半に急増

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Stationhead音楽ストリーミング音声ソーシャルネットワークClubhouse

画像クレジット:Stationhead

原文へ

(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

Spotifyがパーソナライズされた新プレイリスト「Spotify Mixes」を公開

Spotify(スポティファイ)は米国時間3月31日、パーソナライズプレイリストを大幅に改定し、「Spotify Mixes」として3種類のカテゴリーを公開したことを発表した。新たなコレクションは「アーティストミックス」「ジャンルミックス」「ディケードミックス」の3つで、さまざまな新しいミックスを、2010s Mix、R&B Mix、Drake Mix(ドレイクmix)、Selena Gomez Mix(セレーナ・ゴメスMIX)といったわかりやすいタイトルで利用できる。個人のテイストや興味を反映したミックスもある。

Spotify Mixesのアイデアは、2016年秋に同社が公開したDaily Mixesにインスパイアされたと同社は言っている。

Daily Mixesは、同社のメインプレイリストであるDiscover Weekly以来の大規模なパーソナライズの拡張で、ユーザーのリスニング履歴を反映したさまざまなプレイリストが導入された。現在Daily Mixesはユーザーが最近聞いた楽曲にその他の楽曲をミックスしてユーザーをつなぎとめている。新しいSpotify Mixesは実質的に同じことをする。ユーザーの好きな音楽を集め、フレッシュな楽曲を加える。違うのは、新しいミックスには明快な名前がつけられ、焦点を絞ったミックスが作られる点だ。

Spotify Mixesは世界の全ユーザーに提供され、無料会員とプレミアム会員の両方が利用できる。Made for You(メイド・フォー・ユー)ハブのSearchの中にある。

もっと簡単に見つけることもできる。SpotifyがアプリのMade for Youハブのトップ3行にミックスのセレクションを表示しているからだ。「Your Genre Mixes」「Your Artist Mixe」「Your Decade Mixes」の3つがそれぞれ横スクロールするミックスセレクションとともに表示される。ミックスのカテゴリーは随時更新され、常に複数のプレイリストが利用できる、とSpotifyはいう。

この新機能と一部競合するのが、Pandora(パンドラ)が 3年前に公開した同様の機能だ。SiriusXM傘下の音楽アプリは同社のMusic Genomeテクノロジーを使って、さまざまな属性、ジャンル、ムードなどからパーソナライズプレイリストを作った。必ずしも直接比較できるものではないが、新機能によってPandoraユーザーはすぐに数十ものパーソナライズされたプレイリストを利用するようになった。実際、Spotifyが競合機能の提供にこれほど時間がかかったのは少々意外だ。

今回の発表は、今週SpotifyのWorkoutハブにセレブにちなんだプレイリスト が追加された直後のことだった。

新しいプレイリストは本日全世界のユーザーに公開される、とSpofityはいう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotify音楽ストリーミング

画像クレジット:Spotify

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Appleが独立系アーティストを支援する音楽配信プラットフォームUnitedMastersに出資

独立した音楽配信プラットフォームでツールファクトリーのUnitedMasters(ユナイテッドマスターズ)は、AppleがリードしたシリーズBラウンドで5000万ドル(約55億3600万円)を調達した。A16z(アンドリーセン・ホロイッツ)とAlphabet(アルファベット)もUnitedMastersのラウンドに再び参加した。UnitedMastersはまた、Appleと戦略的パートナーシップも結ぶ。

UnitedMastersについて説明すると、同社はInterscopeとSony Musicの元幹部Steve Stoute(スティーブ・スタウト)氏が2017年に立ち上げた配信会社だ。UnitedMastersは、ファンがコンテンツやコミュニティと関わっている方法に関するデータに直接つながるパイプラインをアーティストに提供することで、アーティストがチケット販売や宣伝、その他の販促活動を直接行えるようにしている。

こうした内容はいずれも音楽業界では一般的ではない。典型的なアーティストとの契約では、レコーディング会社がオーディエンスやターゲティングのすべてのデータ、そして所有権を持つ。これはコミュニティを育むために新しいテクノロジーを利用するなど、アーティストが機敏に動く能力を制限している。

Appleはさまざまな企業に投資しているが、通常は米国の製造を促進するため、あるいはシリコン鋳造ガラス製造など自社のハードウェア製品にとって重要な部品を作っているパートナー企業との戦略のために Advanced Manufacturing Fundを通じて行う。Appleは投資よりも買収を多く行っていて、自社の製品に関する取り組みを補うためにほぼ数週間おきに企業を買収している。そのためUnitedMastersへの出資は、特に音楽部門において比較的ユニークな提携となる。

関連記事:アップルが5Gや未来のワイヤレス技術の研究開発のためにドイツで1300億円投資

筆者はUnitedMastersのCEOであるスタウト氏に今回の資金調達について、そして現在と未来のアーティスト100万人のビジネスにとってそれが何を意味するのか話を聞いた。スタウト氏は、Appleの役員Eddy Cue(エディ・キュー)氏がUnitedMastersのビジョンと一致する哲学を持っていることが今回の取引につながったと考えている。

「我々は、すべてのアーティストに同じ機会を手にして欲しいと思っています」とスタウト氏は話す。「現在、独立しているアーティストが手にしている成功のための機会は少なく、そうした恥ずかしい点を取り除こうとしています」。

今回調達した資金は、UnitedMastersをグローバルな存在にするというミッションに燃える人材を雇用するのに使われる、とスタウト氏は説明する。UnitedMastersは世界中でプラットフォームを構築するためにローカルのテック人材とアーティスト人材を探している。

「どのアーティストもCTOにアクセスする必要があります。アーティストにとってのマネジャーの価値の一部は今日、CTOの役割に移行する必要があります」とスタウト氏は話す。

UnitedMastersは、アーティストがコミュニティレベルでファンベースを構築できるようにする先端技術を広範に提供したいと考えている。

画像クレジット:Steve Stoute

UnitedMastersは目下、通常はレーベルやマネジャーによって仲介される大きなブランドとの取引をアーティストが行えるようにする契約をNBA、ESPN、TikTok、Twitchなどと結んでいる。UnitedMastersはまた、すべての主要ストリーミングサービスに公開できるようにする直接配信アプリも展開している。さらに重要なことに、アーティストはストリームやファン、収益のデータをひと目でチェックできる。

「スティーブ・スタウト氏とUnitedMastersは、キャリアを積み、自身の音楽を世界に届けるための多くの機会をクリエイターに提供しています」とAppleのキュー氏はニュースリリースで述べた。「独立したアーティストの寄与は音楽産業のさらに発展させるという点で大きな役割を果たしています。Appleと同様、UnitedMastersはクリエイターに力を与えることに取り組んでいます」。

「UnitedMastersはアーティストがクリエイトし、作品の主有権を保持し、そしてファンとつながる方法を一新しました」とAndreessen Horowitzの共同創業者でゼネラルパートナーのBen Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏はリリースで述べた。「より良い、そしてさらに大きな、そしてより収益性の高い世界を音楽アーティストのために構築すべく、スティーブやUnitedMastersのチームに協力できることをうれしく思います」。

アーティストとファンが互いにつながるという点で、我々は現在ターニングポイントにいる。アーティストがソーシャルメディアや他のプラットフォームを使ってメッセージを出したり、ファンに話しかけたりする方法は無数にあるが、作品をコミュニティに配信し、そこから利益を得るという実際の業務は、レコーディング産業が始まって以来、完全にアーティストの手を離れてしまっている。NFT、DAO、ソーシャルトークンなどの最近の開発は、DTCフレームワークの爆発的な増加と同様に、そうした取引に変化をもたらしつつある。しかし大手は、この「アーティスト中心」の新世界を手にするために必要な、真にアグレッシブな姿勢にまだ転じていない。

配信のメカニクスは何十年もの間、DRMとDMCAによって定義されたフレームワークに基づいてきた。このフレームワークは常にアーティストのために価値を守る方法と宣伝されてきたが、実際のところ、配信業者のために価値を守るように設計されていた。我々は配信の仕組み全体を再考する必要がある。

筆者がUnitedMastersとTikTok(ティクトック)の取引を報じたときに言及したように、それはアーティストのためのより公平な未来において役立つ

カルチャーのクリエイターがそのカルチャーの恩恵を受けることは時間以上の意味があります。だからこそこのUnitedMastersのディールはかなり興味深いと考えています。レコーディング業界のヴァルチャーイズム(ハゲタカのように獲物を狙って自分のものにする風潮)の付き添いなしにオーディエンスに直接つながるパイプラインの提供は、本当にTikTokのようなプラットフォームとよく調和します。TikTokは「バイラルサウンド」をコラボレイティブなパフォーマンスにしています。従来の取引の構造は、数週間で変動させられるヴァイラルな誇大宣伝をとらえるのに適していません。

音楽業界では、Spotify(スポティファイ)のようないくつかの大手とともにAppleは激動の中心にいる。筆者の意見では、Apple Musicに近年欠けている最大のもの1つは、アーティストがファンと広くつながることができ、直接配信し、チケットを販売し、宣伝することができる、そして最も重要なことに自身のコミュニティを育てて保持することができる業界基準ポータルにApple Music Connectを変えなかったことだった。

UnitedMastersとのタイアップはその目標に直接つながらないが、材料を何かしら得ることができるはずだ。タイアップがどんなものを生み出すのか、楽しみにしている。

関連記事:音楽配信を支援するUnitedMastersがミュージシャン向けiPhoneアプリを提供開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleUnitedMasters音楽音楽ストリーミング資金調達Apple Music

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Matthew Panzarino、翻訳:Nariko Mizoguchi

Spotifyがテスクトップ用アプリとウェブ版プレイヤーをアップデート

Spotifyは米国時間3月25日、デスクトップ向けのストリーミングサービスを刷新すると発表した。MacおよびWindows用アプリの新バージョンを配信するとともに、ウェブ版プレイヤーをアップデートした。全世界のユーザーに提供される今回の変更では、ナビゲーションの改善に重点が置かれ、プレイリスト、検索、ラジオ、キュー、ライブラリなどの新しいコントロールや機能にアクセスできるようになっている。

今回の刷新により、Spotifyアプリは全体的に、従来のバージョンに比べて、より合理的で整頓されたルック&フィールになった。

画像クレジット:Spotify

特筆すべき変更点は、これまで画面の左上にあった奇妙な検索バーが廃止され、左側にあるすっきりしたナビゲーションバーの「Home」と「Your Library」の間に移動したことだ。

また、この新しいナビゲーションバーでは、これまで「Your Library」下にあった「Made For You(メイド・フォー・ユー)」「Recently Played(最近再生した曲)」「Albums(アルバム)」「Artists(アーティスト)」「Podcasts(ポッドキャスト)」という各項目がなくなった。代わりに新バージョンでこれらを選択するには「Your Library」をクリックして表示させる必要がある。

「Your Library」ページでは、ページ上部に4つのカテゴリーが表示される。まず「Playlists」には「Liked Songs」「Discover Weekly」「Daily Mixes」「Release Radar」などの項目がある。「Playlists」の隣には「Podcast」(今回のアップデートで2番めの位置にランクアップした!)「Artists」「Albums」が並ぶ。

画像クレジット:Spotify

「Your Library」の新しいドロップダウンメニューでは、各ライブラリを「Most Relevant(最も関連性の高い順)」「Recently Played(最近再生した順)」「Recently Added(最近追加した順)」「Alphabetical (アルファベット順)」、さらには設定可能な「Custom Order(カスタム順)」など、さまざまな方法でソートすることができる。

一方、プレイリストを作るのが好きな人には、今回のアップデートでいくつかの新機能が追加されている。

新しいプレイリストの作成画面(Create Playlist)では、説明文を書き込んだり、カバー画像をアップロードしたり、既存のプレイリストに曲をドラッグ&ドロップで追加できるようになった。上部に埋め込まれた新しい検索バーを使って、新しい曲やポッドキャストのエピソードを探し、プレイリストに追加することもできる。これによって楽曲を見つけてからプレイリストに登録するまでの手順が減り、面倒なプレイリスト作成作業が大幅にスピードアップするはずだ。

画像クレジット:Spotify

この変更は、特にキュレーターへの対応にSpotifyの関心が高まっていることを物語るものだ。このことは、同社共同創業者でCEOのDaniel Ek(ダニエル・エク)氏が最近、Clubhouse(クラブハウス)のPressClub(プレスクラブ)ショーに出演した際に言及していた。

エク氏は、サービスのコンテンツライブラリが増えるとキュレーターが必要になるため「キュレーターシップに期待している」と説明していた。

「Spotifyのプレイリスターはすばらしいと思いますが、そのプレイリスターとリスナーが相互に関わる機能が限られているように思われます。例えば、プレイリスターが、自分の作成したプレイリストを聴いている人について理解したり、他の人が体験できるコンテンツを見つけるのを手助けすることで間接的にクリエイトする、いわばセカンド・クリエイターを育てるような機能です」と、エク氏は語っていた。

この課題に対処するため、Spotifyはユーザーが(ソーシャルベースでなくとも、自分自身で)より良いキュレーターになれるようなツールを増やしていくという。

「ロードマップで我々が優先的に注力しているのは、例えば、プレイリストに登録した内容に関連するコンテンツを提案するなど、ユーザー自身がより良いキュレーターになれるようにすることです」と、同氏は続けた。

今回のプレイリスト作成ツールの更新は、Spotifyがこの分野でより大きな目標を達成するための然るべき第一歩と言えるだろう。

画像クレジット:Spotify

その他の変更点としては、リスナーのプロフィールページが刷新され、トップアーティストとトップトラックの両方が表示されるようになったこと、3つのドット(…)メニューから曲やアーティストのラジオセッションを開始できるようになったこと、デスクトップアプリケーションでキューの編集や「最近再生した曲」の表示が可能になったことなどが挙げられる。

プレミアムの有料会員なら、デスクトップアプリケーションのダウンロードボタンを使って、音楽やポッドキャストをダウンロードし、オフラインで聴くことができる。

Spotifyは、今回の変更を発表したブログ記事の中で、サービスの成長にともなうデスクトップアプリの開発が遅れていたことを認めており、今回のアップデートはそれを正すために行われた。

「Spotifyでは、リスナーのみなさまが常に音楽やポッドキャストを発見し楽しんでいただけるように、できる限り最高の体験を提供する方法を常に模索しています。その中には、ルック、フィール、そして機能が含まれます。私たちは絶えず新しい機能のテスト、開発、発表を続け、新しいデバイスに最適化し、提供するコンテンツを拡大していきます」と、このブログ記事には書かれている。「その過程で、私たちはデスクトップアプリケーションの体験が追いついていないと感じていました。そしてそれが変わる時が来たのです」。

アップデートされたMac用とWindows用のアプリ、そしてウェブプレイヤーは、これから順次展開されていく。このアプリの刷新とは別に、Spotifyは同日、新曲のプロモーション用ツール「Marquee(マーキー)」の利用範囲を拡大することも発表した。この機能は「Spotify for Artists」の新しいキャンペーン管理ツールを通じて、米国ではすべてのチームが利用できるようになる。

関連記事:2021年中にSpotifyのポッドキャストリスナー数がアップルを上回るとの予測

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotify音楽ストリーミングポッドキャスト

画像クレジット:Spotify

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Tencent Musicがワーナーと提携、これで3大レコードレーベルとジョイントレーベルを運営

Tencentの音楽ストリーミング事業が、主要ライセンスパートナーである「3大」レコードレーベル企業との結びつきを強めている。現地時間3月23日、Tencent Music Entertainment(TME)はWarner Music Group(WMG)と新たなジョイントレーベルを設立したと発表した。これは2018年1月にSony Music Entertainmentと、2020年8月にUniversal Music Group(UMG)と開始したのと同様の取り組みだ。

TMEは発表の中で、この提携は「Warner Musicのグローバルなリソースとアーティストのキャリアをサポートしてきた経験、そして中国の音楽とエンターテインメント市場におけるTMEの巨大な影響力」のメリットを活かすものになるだろうと述べている。

UMGとのジョイントレーベルも同様に、国際的なアーティストを急速に成長する中国の音楽市場で展開し、中国のミュージシャンを海外に広めることを狙っている。

TMEとWMGはジョイントレーベルに加えて複数年のライセンス契約にも合意し、10年間にわたる両社の提携をさらに延長した。

TMEは3大レコードレーベルと継続的なライセンス契約を結んでおり、一部では資本関係を構築している。2021年1月にTencentが主導するコンソーシアムはUMGの持株比率を20%に増やした。

TMEは中国で人気のオンライン音楽サービスも運営している。系列の音楽ストリーミングアプリにはQQ Music、Kugou Music、Kuwo Musicがあり、TMEは2020年第4四半期に合計6億2200万人の月間モバイルアクティブユーザーを獲得している。

ただし有料ユーザーの割合は依然として低く、2020年第4四半期では9%が有料ユーザーだ。しかし前年同四半期の6.2%からは増加している。

しかしTMEにはSpotifyなど欧米のストリーミングサービスとは異なる主要な収入源がある。それはソーシャルエンターテインメントだ。このジャンルにはカラオケアプリのWeSingがあり、バーチャルギフトの販売で収益化している。バーチャルギフトとはユーザーが購入して気に入ったパフォーマーに贈るもので、現実世界のファンとアイドルの関係性を再現している。

2020年第4四半期に、サブスクリプションとデジタル音楽販売の売上が4億2300万ドル(約460億円)だったのに対し、ソーシャルエンターテインメントは8億5400万ドル(約930億円)と売上に貢献した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Tencentワーナーミュージック音楽ストリーミング中国

画像クレジット:TME

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

フィンテックSquareが音楽配信サービスTidalの過半数株を取得、ラッパーのジェイ・Z氏がSquareの取締役に

個人と企業の両方にサービスを提供しているフィンテック企業Square(スクエア)は米国時間3月4日、音楽ストリーミングサービスTidal(タイダル)の過半数の株式を取得したと発表した。2億9700万ドル(約320億円)ほどのこの取引では、アーティストであるパートナーは株保有を維持する。

SquareのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は自身の別の会社Twitter(ツイッター)を使ってこの取引を説明した。同氏はこの取引が疑念を生むと予想したようだ。確かにそうだろう。冒頭に、「なぜ音楽ストリーミング会社と金融サービス会社は協力するのか?!」と同氏は修辞疑問を書いた。

まったくだ。ドーシー氏の予想は、自身の会社がCash Appや他のSquareのプロダクトの成功を音楽の世界で再現することができる、というものだ。「新しいアイデアは交差するところで見つかる」と同氏は指摘し「音楽と経済」の合流はそうした1つの集合点だと主張した。

この取引では、ミュージシャンで事業家のJay Z(ジェイ・Z)氏がSquareの取締役に就任した。

この取引に対する最初の反応の中には否定的なものもあった。SquareとTidalがペアというのが奇妙に思える、と繰り返すのは簡単だ。そしてSquareは過去に似たような、しかし最終的に維持できなかった買収を行っている。例えば同社は2014年にフードデリバリーサービスのCaviarを買収し2019年にDoorDashに売却した。Squareがベンチャーレベルのリターンをこの取引で得たことはここでの論点にとって重要ではない。

しかしSquareとTidalのタイアップという強気のケースは同様にリターンを作れる。Squareは自社の時価総額の1桁のパーセンテージの額を使っただけだ。そしてアーティストに株を持たせ続けるという選択を通じてSquareは首尾よくアンバサダーのホストをブランドに取り込んだ。

そしてSquareが展開するカードリーダーで、多くのオフライン事業者のためにコマースゲームを一新したという点でドーシー氏は悪くない。ここ数四半期の零細事業者のように過去数年で物理的な世界からデジタルの世界へと移行した経済の一部である音楽に一撃を加えるのはどうしてダメなのか。

「セラーのエコシステム」であるSquareのビジネスユーザーはますますデジタルに移行している。直近の四半期決算で、セラーの総支払額における「店舗でのみ」の使用の割合は落ち込み「オンラインのみ」と「オムニチャンネル」がその落ち込みを補った。

Squareは消費者にフォーカスしたCash Appサービスでよく知られている。同サービスは2020年12月に月間アクティブユーザーが3600万人に達し、この数字は前年同月の2400万人からアップしたものだ。音楽ストリーミング会社と若者の利用が多いCash Appのタイアップを想像できるだろう。そしてSquareの会議室のテーブルにジェイ・Z氏がいることは同社をイノベーティブにするはずだ。同氏は斬新な見方を持ち込むかもしれない。

それから非代替性トークン(NFT)の疑問がある。これは最近、仮想通貨コミュニティ人気を引き起こしたデジタル資産の新たな形式だ。SquareがCash Appを通じて成長している仮想通貨事業を持っていること、そしてビットコインそのものに何億ドル(何百億円)も投資したことを考えて欲しい。Squareが音楽ベースのNFTをより大きな消費者ユーザーベースに持ち込むスペースがマーケットにあるか、というのは興味深い疑問だ。もし答えがイエスなら、Squareは今そのマーケットを作り出す主要な位置にいることになる。

おそらくSquareとTidalの取引はSquareが想像しているような将来の成長は生み出さない。しかし取引は安く、リーダーとしてジェイ・Z氏を獲得したことは勝利であり、企業防衛を演じるだけでは勝つことは難しい。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Square買収音楽ストリーミング

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

SoundCloudがインディーズアーティストの収益モデルを変える「ファンによる」ロイヤリティを発表

音楽ストリーミングのロイヤリティの仕組みが根本的に壊れていることは前からわかっていた。収益が物理媒体による音楽の売り上げから切り離されシフトしていく中、多くの独立系アーティストにとって、録音された音楽で生計を立てることはますます難しくなっている。しかし、パンデミックが方程式からライブ音楽を完全に奪い取ったことで、問題は一気に顕在化した。

一部のサービスは、この流れに逆らっている。非常に人気のあるBandcamp Fridaysはその顕著な例で、月に1日だけアーティストとレーベルにすべての収益を提供している。そして今、SoundCloudは、独立系クリエイターへの支払い方法を大幅に改革しようとしている。この動きは、人気音楽サブジャンルの名前にまでなった同サービスで音楽を公開しているミュージシャンにとっては、朗報になる可能性がある

当サイトは来月初めから、新たな収益構造を導入します。Soundcloudは「Fan-powered(ファンによる)」ロイヤリティをこのように分類します。

「Fan-powered」ロイヤリティは、SoundCloudで直接マネタイズしているインディペンデントアーティストが、より公平で透明性の高い方法で支払いを受ける方法です。より多くのファンがSoundCloudを利用し、あなたの音楽を聴けば聴くほど、あなたはより多くの収入を得ることができます。

従来のモデルでは、あなたの熱心なファンからのお金は巨大なマネープールに入り、総ストリームのシェアに応じてアーティストに支払われていました。このモデルは、ほとんどの場合、メガスターに利益をもたらします。

新しい「fan-powered」ロイヤリティの下では、アーティストは自分のファンの実際のリスニング習慣に基づいて支払われる。熱心なファンが特定アーティストの音楽を聴いている時間が多いほど、アーティストはそれに応じてより多くの収入を得られる。このモデルは独立系アーティストにメリットがある。

このサービスは、一定のProアカウントを介して自分のページを収益化している独立系アーティストが利用可能だという。リスナーがサブスクリプションを持っているかどうか、他のアーティストと比較して特定のアーティストを聴いた量、聴いた広告など、最終的な支払い額には多くの要因がある(初回の支払いは2021年5月に実施される)。細則はこちらに掲載されている。

ミュージシャンは、過去1年の間パンデミックの影響により主要な収入源が断たれ、ストリーミング収入では生きていけないことをますます声高に訴えている。特にSpotify(スポティファイ)は、ミュージシャンに対し古い収益モデルを維持しながら、ポッドキャストの買収に数億ドルを費やしていることから、厳しい批判を浴びていた。

関連記事:SoundCloudに土壇場で救いの手――LjungはCEOから退く

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Soundcloud 音楽ストリーミング

[原文へ]

(文:Brian Heater、翻訳:Nakazato)