WhatsAppがインドで決済サービス拡大の承認を受ける

ユーザー100万人で2018年初めにインドで決済サービスのテストを開始したWhatsApp(ワッツアップ)は、世界第2位のインターネットマーケットである同国でいよいよ決済機能をより多くのユーザーに提供できるようになった。

広く使われているUPI決済インフラを展開するインド決済公社(NPCI)は11月5日夜、WhatsAppがUPIで動く決済をインドで提供することを承認したと明らかにした。

Google(グーグル)やSamsung(サムスン)、その他多くの企業と同様、WhatsAppもUPIの上に決済サービスを構築している。UPIはインドの大手銀行の連合が構築した決済インフラだ。NPCIは、インドでユーザー4億人超を擁するWhatsAppが決済を「段階的」に自社サービスのユーザーに広げることができ、手始めに2000万人への提供と複数行との協業が可能だと述べた。

インドのWhatsAppの広報担当は、コメントの求めにはすぐには応じなかった。

現在、グーグルとWalmart(ウォルマート)がインドのモバイル決済マーケットを独占していて、2社のUPIマーケットシェアはおおよそ80%だ。部分的には2016年後半のインド政府による紙幣流通の85%超を無効にする突然の動きのおかげで、UPIはインドで最も人気のデジタル決済手段となった。UPIの人気は、モバイルウォレット構築に何年も費やしたSoftBank(ソフトバンク)やAlibaba(アリババ)が支援するPaytm (ペイティーエム)を含む複数の企業の存在をかき消した。

WhatsAppはインドで2018年初めに決済を展開し始めたが、その後すぐに2年半におよぶ規制の迷路に入り込んだ。同国のさまざまな機関がユーザーの決済データについて、そしてFacebook所有のサービスが決済アプリにかなりの影響力やアドバンテージを持つかもしれないという懸念を表明したからだ。

NPCIによる11月5日の発表は、1つのアプリが1カ月にUPI決済の30%超を処理することがないよう、サードパーティのアプリに上限を設けると明らかにした直後にあった。WhatsAppが、ユーザー数では世界最大のマーケットであるインドで規制問題においてかなりの困難を抱えていたことは明らかだ。他のアプリに規制を設けるというNPCIの計画はゆくゆくはなんらかのかたちでWhatsAppにプラスに働くはずだ。しかしそれはまだ先のことだろう。

Credit Suisseによると、インドのモバイル決済マーケット規模は2023年までに1兆ドル(約104兆円)に達すると予想されている。

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(翻訳:Mizoguchi

インドの第3四半期スマホ出荷台数が過去最多、新型コロナロックダウンの反動

新たなレポートによると、インドの2020年9月末までの四半期におけるスマートフォン出荷台数が過去最多を記録した。世界第2位のスマホ市場であるインドは、新型コロナウイルスによる最初のロックダウン後はフル稼働していたからだ。

2020年第3四半期にインドでは約5000万台のスマホが出荷され、四半期の出荷台数としてこれは新記録だ。第2四半期の出荷台数は1730万台で(期間の3分の2はロックダウン下にあった)、第1四半期は3350万台だった調査会社Canalysが月29日明らかにした

インドにおけるスマホ出荷第1位の座を2018年後半に獲得したXiaomi(シャオミ)が依然マーケットを支配している。マーケットシェア26.1%を占め、次いでSamsung(サムスン)20.4%、Vivo(ビボ)17.6%、Realme(リアルミー)17.4%と続くとCanalysは説明した。

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しかし新型コロナで大きな混乱に見舞われたマーケットはさらにシフトするようだ。調査会社Counterpointは10月18日の週に、Samsungが第3四半期にインドでトップの座を再び獲得したと述べた(Counterpointは2020年10月末にフルレポートを公開予定だ)。

Counterpointによると、Samsungはこのところ積極展開していたオンライン販売が功を奏し、またインドにおける反中国感情の高まりの恩恵も受けた。

インドと中国の地政学的な緊張により、インドの消費者の多くが地元のブランド、あるいは米国や韓国に本社を置くブランドを選ぶようになった。また、中国大企業(今日のマーケットの80%超を牛耳っている)に敗れて5年前に撤退していた地元のスマホメーカーは復活を計画している。

かつてマーケットを支配していたインドのブランドMicromax(マイクロマックス)は2020年10月に、「In」という新しいスマホサブブランドの立ち上げを鋭意進めていると明らかにした。Micromaxの責任者Rahul Sharma(ラフル・シャルマ)氏は、同社が新しいスマホブランドに6790万ドル(約71億円)投資していると述べている。

先週Twitter(ツイッター)に投稿した動画の中で、同氏は中国のスマホメーカーが地元のスマホブランドを追いやった、いまが反撃する時だと話した。「我々の取り組みは『In』スマホで世界のスマホ地図にインドを登場させるということです」と声明で述べた。

インド政府はこのほど、インド国内でのスマホ生産を向こう5年間で増やすための66億5000万ドル(約7000億円)ものインセンティブプログラムにあったスマホや他の電子機器メーカー16社からの申し込みを承認した。Foxconn(フォクスコン)と他のApple(アップル)請負企業2社、Samsung、Micromax、インドブランドのLava(ラヴァ)などがインセンティブを利用できる見込みだ。

Oppo(オッポ)やVivo、OnePlus(ワンプラス)、Realmeといった中国メーカーはリストにない。

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カテゴリー:ハードウェア
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(翻訳:Mizoguchi

Uberがコスト削減のためにインドで数百人のエンジニアを雇用

米国時間10月15日、Uber(ウーバー)はインドでエンジニアを225人雇用しているところで、重要な海外市場であるインドで技術チームを強化していると述べた。同社は数カ月前に全世界で数千人の人員を削減していた。

インドではOlaと競合しているUberは同日、Amazon(アマゾン)でエンジニアリング担当ディレクターを13年近く務めたManikandan Thangarathnam(マニカンダン・タンガラスナム)氏をバンガロールにある同社プラットフォームのエンジニアリングチームのリーダーとして雇用したと発表した。9月にUberは、インドで140人のエンジニアを雇用する予定だと発表していた。今回は、さらに85人を追加で採用している途中だと述べた。

トップクラスのエンジニアたちがここ数カ月でUber Indiaを去りGoogle(グーグル)やアマゾンなどのテック大手に移ったことが、今回の動きにつながっている。最近Uberを退社したシニアエンジニアはTechCrunchに対し、同僚の多くがインドでのUberの将来に自信を持てなくなったと語った。

Uberは、インドにおける技術拡大計画は世界中のたくさんの都市でモビリティとデリバリーを「もっと利用しやすく」し、交通の「バックボーン」にするという同社のビジョンに沿うものだと述べた。

最近、グローバルのファイナンステクノロジーチームを率いるシニアディレクターとしてJayaram Valliyur(ジェラム・バリユー)氏も雇用した。同氏もアマゾンに14年間勤務していた。

7月にニュースサイトのThe Informationは、エンジニアリングの従業員をインドに移すというDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)CEOの計画をコスト削減のためと報じた(The Information記事)。この記事には、コスロシャヒ氏の計画は社内で議論を呼んだと書かれていた。

Uberで長く最高技術責任者を務め2020年4月に同社を去ったThuan Pham(トアン・ファム)氏(未訳記事)は、インドで短期間に多数のエンジニアを雇用するには「質の低い応募者を採用しなくてはならない」と忠告したと言われている。

UberとOlaはともにインド第1位のライドシェアサービスであると主張している。しかし両社に投資しているSoftBank Vision Fundの責任者であるRajeev Misra(ラジーブ・ミスラ)氏は9月に、インドではOlaがUberに対し「わずかなリード」を続けていると述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Uber、インド

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(翻訳:Kaori Koyama)

インドのインフルエンサー向けサービスプラットフォームCreatorOSを注目スタートアップ幹部が支援

安価なAndroidスマートフォンの出現と世界で最も安いモバイルデータ料金により、ここ数年でインドの数百万人のソーシャルメディアインフルエンサーに数千万人のユーザーを獲得する道を開いた。

インフルエンサーはクリエイターとも呼ばれ、毎日、さまざまな問題を扱ったVlogや意見をシェアし、一部のインフルエンサーには、ニッチで忠実な視聴者に製品を販売するために大手ブランドと提携している者もいる。eコマースの大手Flipkartや、その他の多くの企業が、今ではインフルエンサーと提携している

しかし2020年6月の終わりにインド政府はTikTokを禁止した。インドでも20億あまりのユーザーがいるこの中国のショートビデオアプリの禁止は、クリエイターにとって大きな打撃になった。彼らは他のプラットフォームも利用しているが、それらはTikTokに比べるととても影響力が小さいものだ。

しかし、あるスタートアップが、クリエイターがもっと自分の作品をコントロールできるプラットフォームを構築したと自負している。多くの著名な起業家も同じ意見だ。

米国時間10月9日、Madhavan Malolan(マダヴァン・マロラン)氏はクリエイターが自分のビジネスを構築、管理し、成長させていけるプラットフォームであるCreatorOSを発表した。このプラットフォームの共同創業者であるマロラン氏によると、2020年1月の時点ですでに、ショートビデオ製作者を含むおよそ1000名のクリエイターや教師、コンサルタントが、以前Socionityと呼ばれたこのプラットフォームに参加しているという。マロラン氏は以前、Microsoft(マイクロソフト)など数社で働いていた。

「私たちは、クリエイターがこれからの10年で起業家になると信じている。そこで私たちは、彼らがデジタルビジネスを行うために必要となるツールや人とのつながり、インフラを構築しています。現状、クリエイターの側に欠けているものが多く、より多くの人が発見できるようにバイラル化を目指して動画を制作しています」とマロラン氏はいう。

現在のCreatorOSのメインツールは、クリエイターが自分のアプリを作るためのアプリビルダーだ。CreatorOSでは、クリエイターがそのコンテンツを売り込み、コミュニティを作ることもできる。マロラン氏によると、CreatorOSのアプリビルダーを使えば、自分のアプリをシンプルなドラッグ&ドロップ方式で簡単に作ることができるという。

また10月9日に、同社は高名な投資家のグループから50万ドル(約5300万円)を調達したという。投資に参加したエンジェル投資家はチケット予約のRedBus.inの創業者で元CEOのPhanindra Sama(パニンドラ・サマ)氏、オンライン学習プラットホームのUnacademyの共同創業者でCEOのGaurav Munjal(ガウラヴ・ムンジャル)氏、Flipkart GroupのCEOであるKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)氏、B2BマーケットプレースUdaanの共同創業者であるSujeet Kumar(スチット・クマール)氏、ソーシャルeコマースMeeshoの共同創業者でCEOのVidit Aatrey(ヴィディット・アトレー)氏、モビリティ企業Bounceの共同創業者でCEOのVivekananda Hallekere(ヴィヴェカナンダ・ハレキレ)氏、そしてXiaomi IndonesiaのゼネラルマネージャーであるAlvin Tse(アルヴィン・ツェ)氏などだ。

マロラン氏は、多くの優れた起業家がCreatorOSに信頼を示したため、まだVC企業と関わる必要はなく、代わりにクリエイターへのサービス提供に全体の焦点を置くことを確信させたと述べている。また彼は、TikTokが禁止され、多くのスタートアップがショートビデオアプリの規模を拡大しようとしている(未訳記事)ことが、CreatorOSにとって計り知れないチャンスになっていると述べている。

同社は、年末までに5000人以上のクリエイターがプラットフォームに参加すると予想している。現在、マロラン氏はクリエイターと協力して、彼らの利益になるような機能をより多く理解し、構築しているいう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:CreatorOSTikTokインドインフルエンサーショートビデオ資金調達

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

約15兆円規模のインドのスマートフォン国内生産計画にアップルのパートナー3社とサムスンが参加

Samsung(サムスン)と、Apple(アップル)の主要な受託製造パートナー3社は、今後5年間でスマートフォン生産を強化するというインド政府の計画で66億5000万ドル(約7050億円)の奨励金を受け取る16社の中に含まれている。これらの企業は8月にその奨励事業に応募していた

インドの電子情報技術省(MeitY)は米国時間10月6日夜の声明で、これらの企業は今後5年間で1430億ドル(約15兆1700億円)以上の価値のあるスマートフォンやその他の電子部品を生産することになる、と述べている。その見返りとして、インドは2019年から2020年を基準年とした5年間の現地生産品の追加販売に対して4%から6%の奨励金を提供するという。

インド政府の狙いは、インドの製造業と輸出産業を振興し、国内の雇用を増やすことだ。国内で生産された製品の約60%が輸出されると同省はいう。これらの企業は今後5年間で20万以上の直接雇用機会を創出し、また同期間に60万人以上の間接雇用機会を生み出すことになるとのことだ。

政府のこの動きはまた、世界第2位の市場であるインドで、今後数年の間に主要なスマートフォンメーカー間における力学の変化の予兆でもある。FoxconnとWistronとPegatronが含まれていることは、インドにおける国内生産能力を急速に拡大したいというアップルの意思の表れである。Wistronは3年前、少量のiPhoneの組み立てをインドで開始し、Foxconnがそれに続いた。Pegatronはまだインドでの生産を始めていない。

「アップルとサムスンを合わせると携帯電話の世界的な売り上げの60%近くを占めており、今回の施策により、インドにおける彼らの製造拠点を大幅に増加させることが期待されている」と同省はいう。

さらに「産業界は、世界クラスの製造業の進出先としてのインドの驚異的な進歩に信頼を寄せており、これは『AtmaNirbhar Bharat』(自立したインド)という首相の明確な呼びかけに強く共鳴している」と同省は付け加えた。

Lava、Bhagwati(Micromax)、Padget Electronics、UTL Neolyncs、Optiemus Electronicsなどのインド企業も事業参加を認められている。しかしOppo、Vivo、OnePlus、Realmeなどの中国企業はリストにはなく、彼らは事業に応募していない。中国のスマートフォンベンダーはインド市場の約80%を支配しているかつてインド市場でトップだったサムスンは近年、XiaomiやVivoとの激しい競争に直面している。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:インド

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドでのクレカ利用拡大を目指すUniが約20億円調達、製品もサービスもないスタートアップにVCが熱い期待を寄せる理由

インドのクレジットカード業界は行き詰まっているようだ。業界の推計によると、現在インドでは3000万人から3500万人が少なくとも1枚のクレジットカードを持っており、そのうち最大5800万枚が流通しているという。しかし、これを約10億枚発行されているデビットカードと比較してみると、その規模がわかるだろう。

人口の大多数がクレジットカードを持っていない理由の1つは、彼らがクレジットスコアを持っていないからだ。銀行やクレジットカード会社は、信用度を判断するために古い方法論に頼っており、信用スコアを持っている人はほとんどいないのだ。

例えば、インドのほとんどの銀行は、銀行が管理している古いスプレッドシートに記載されている数百社のうちの1社にフルタイムで雇用されている個人にしかクレジットカードを発行していない。

金融サービスビジネスのベテランであるNitin Gupta(ニチン・グプタ)氏は、インドの金融サービス会社であるUniを設立して、これらの問題のいくつかに対処したいと考えている。

Uniの創業者、Nitin Gupta(ニチン・グプタ)氏

グプタ氏はUniを通じてこれらの問題を解決したいと考えている。同氏は国内でも数少ない、それを実行できる人物の一人であるからだ。なぜなら、フィンテック企業のPayU Indiaの共同設立者であり、その後に配車サービスのスタートアップであるOlaで金融サービス事業を運営していた実績がある。

PayUでの在職中に、Olaは国内の決済処理ビジネスで優位性を確立した。あとから乗車料金を支払うことができるサービスとしてOlamoney Postpaidをローンチ。Olamoneyは、昨年2億5000万ドル(約264億円)の評価を受けており、今では国内最大級の金融サービス事業者となっている。

そしていま、さまざまなVCがグプタ氏の新しい会社に賭ける気になっている。

10月6日、UniはLightspeedとAccelが主導するシードラウンドで1850万ドル(約19億5000万円)を調達したと発表した。現在、このスタートアップは製品やサービスを有しておらず、さらには世界的な新型コロナウイルスの流行の中で、インド最大のシード資金調達ラウンドの調達にわずか2カ月しかかかっていない。

コンサルティング会社のConvergence Catalystの創業者兼チーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤンス・コラ)氏は、「製品もまだ何持っていない2カ月のスタートアップが1850万ドルのシード資金を調達したことは、純粋に創業者の信用情報と経歴に基づいたものであり、インドにおける純粋なシリコンバレー型の資金調達の最初の例です」とコメントしている。

TechCrunchとのインタビューでグプタ氏は、Uniには金融サービスビジネスで優れた実績を持つLaxmikant Vyas(ラクスミカント・ヴィヤス)氏とPrateek Jindal(プラティーク・ジンダル)氏という2人の上級幹部が加わっていると述べた。

グプタ氏は、Uniの商品がどのようなものになるのかは明らかにしなかったが、現代の消費者向けクレジットカードを構築していることをほのめかした。

「Uniのサービスは非常にわかりやすく見えるだろうし、人々はなぜ他の誰もがそれを考えなかったのかと不思議に思うだろう」とグプタ氏。現在同氏は、複数の銀行と提携していると教えてくれた。

さらに「デジタル決済の採用は過去5年間で急激に成長しているが、クレジットカードビジネスはまだ進出に苦労している」と話し、「今後5年間でクレジットカードのベースを2億人に拡大する機会がある」と付け加えた。

Lightspeed IndiaのパートナーであるBejul Somaia(ベジュール・ソマイア)氏は「ニチンとUniのチームは、新しい技術を駆使したソリューションを使って、何百万人ものインドの消費者のために金融サービスの力を解き放つことに情熱を注いでいる。我々は彼らのミッションに興奮しており、初日から彼らをサポートできることを誇りに思っている」と語った。

カテゴリー:フィンテック
タグ:インド、資金調達

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Twitterが支援するインドのソーシャルネットワークShareChatが4000万ドルを調達

英語ではない言語でのサービス提供に特化したインドのソーシャルネットワーク、ShareChat(シェアチャット)は木曜日、複数の投資家から4000万ドル(約42億円)を調達したと発表した。同社はここ数か月間で数千万人の新規ユーザーを獲得している。

バンガロールを拠点とする創業5年の同スタートアップによると、大手二輪車メーカーHero MotoCorp(ヒーローモトコープ)の最高経営責任者兼会長であるPawan Munjal(パワン・ムンジャル)博士、化学製造会社のDCM Shriram(DCMシュリラム)の会長であるAjay Shridhar Shriram(アジャイ・シュリダー・シュリラム)氏、既存の投資家であるTwitter(ツイッター)の他、SAIF Partners(SAIFパートナーズ)、Lightspeed Ventures(ライトスピードベンチャーズ)、India Quotient(インディアクオティエント)が新たなラウンドに資金を提供したとのことだ。

ShareChatの共同創業者であり最高経営責任者であるAnkush Sachdeva(アンクシュ・サクデバ)氏はこの新しい資金調達ラウンドは「プレシリーズE」であるとTechCrunchのインタビューで話している。TechCrunchの理解では、ShareChatは今後数か月で1億ドル(約105億円)以上の資金調達を目指すべく、現在複数の大手VCファンドや巨大企業と交渉している最中である。同社はこれまでに約2億6400万ドル(約278億円)を調達済みだ。

今回得た新しい資本金は、ShareChatがプラットフォーム上のクリエイターをより万全にサポートするために使用される予定だとサクデバ氏は述べている。同社は当時インドに約2億人のユーザーを擁していたTikTok(ティックトック)をインド政府が禁止した数日後の7月初旬、ショートビデオアプリMoj(モジ)をローンチしている。

インドでTikTokが禁止となった数週間後には数多くのスタートアップが国内でショートビデオアプリを立ち上げている。DailyHunt(デイリーハント)はJosh(ジョシュ)を、Times Internet(タイムズインターネット)のMX Player(MXプレーヤー)はTakaTak(タカタック)を発表した。しかしショートビデオアプリの中ではMojが明らかに優位性を確立している。

ShareChatによるとMojは月間8000万人以上のアクティブユーザーを獲得しており、ユーザーはプラットフォーム上で毎日約34分を費やしているとのことだ。

インドに存在する15の言語でサービスを提供するShareChatの看板商品であり、その名を冠したアプリそのものも「飛躍的な」成長を遂げている。月間アクティブユーザー数は現在1億6000万人。昨年同期の6000万人からはるかに増加している。同社によるとユーザーは平均して毎日約31分をアプリに費やしているという。

「ShareChatは今年驚異的な成長を遂げました」とサクデバ氏。ソーシャルメディア分野におけるShareChatの成長はインドのスタートアップエコシステムにとっては珍しいサクセスストーリーだ。

India Quotientのパートナーであり、ShareChatの初期からの支援者の一人であるMadhukar Sinha(マダカー・シンハ)氏は、「2015年にShareChatが不可能に挑戦していなければ、インドで独自のソーシャルメディアプラットフォームを成功させることができるとは誰も夢にも思わなかったでしょう。ShareChatの成功はインドのスタートアップ業界に大きな希望を与え、インドのインターネットエコシステムに大胆な動きをもたらそうとする起業家たちの意欲をかき立てくれました」と述べた。

またShareChatは今週はじめ、従業員株式所有制度(ESOP)に1400万ドル(約15億円)を追加し、合計額が3500万ドル(約36億9000万円)に達したと発表。これはインドのスタートアップではあまり見られない取り組みである。

ShareChatのような規模のスタートアップにとって、従業員が大切にされていると感じられる環境は非常に重要だとサクデバ氏は考えており、「弊社最大の競合相手は米国と北京のグローバルな同業他社です」と述べている。

サクデバ氏によると、今回の新たな資本金はAI機能へのさらなる投資や新製品の構築、音楽レーベルとのより深いパートナーシップの確立のためなどに活用されるとのことだ。TechCrunchが今年初め、ShareChatが人知れず「Jeet11(ジート11)」というファンタジースポーツアプリを立ち上げたと報じたのを覚えているだろうか。

サクデバ氏によるとJeet11は好評を得ており、ファンタジースポーツやショートビデオアプリ分野への進出が同社のスピーディな動きを体現していると述べている。

また、ShareChatはマネタイズの手段を固めるために広告主との連携も進めていると同氏。「各ブランドにとっては、ユーザーと非常に強く関わることができるという事実が大きなメリットとなるでしょう」。

まだ計画は初期段階ではあるものの、同社はインド国外への進出も考えているようだ。今日のShareChatのユーザーの何パーセントかはすでにインド以外の国に住んでおり、同アプリは国外に住むインド人ユーザーも惹きつけていると同氏は述べている。

「驚くことに初代バージョンのShareChatは、当初ビーンバッグチェアの上でレッドブルを飲みながらたった数日の間に制作されたものでした。そして5年後にはMojでも同じことが起きました。Mojの新時代が始まるにあたり、私たちは再びこのチームをしっかりとサポートしていきたいと思っています。Mojがインド全土、そして今後数年でインドを超えて成功すると信じています」とIndia Quotientのシンハ氏は言う。

  1. インスタグラムはインドでの月間アクティブユーザー数が約1億5000万人に達しているが、アプリのユーザーベースの半数以上がReels(リールズ)を使用しているかどうかは不明だ。
  2. 業界のプレイヤーの多くは、自社のアプリやポートフォリオのスタートアップのアプリ、競合他社のアプリのパフォーマンスを追跡するために、モバイルインサイト企業のAppAnnie(アップアニー)やSensor Tower(センサータワー)を使用している。我々もAppAnnieとSensor Towerのデータを頻繁に引用している。

AppAnnieによると、ShareChatは先月インドでの月間アクティブユーザー数が2000万人を切っている。TechCrunchが取材したスタートアップの創業者やテック企業の幹部らは、AppAnnieのデータは通常非常に信頼性が高いと太鼓判を押している。企業が公開している数字のほとんどはAppAnnieのダッシュボードに表示されているものと一致していると言ってほぼ間違いない。

しかし、多くのスタートアップの創業者から聞いたもう一つの点として、AppAnnieのデータからはしばしば小規模な都市や町において、かなりの割合のユーザーベースが抜けているという点がある。これがShareChatのケースに言えることだろう。

著者はサクデバ氏にこれに関して聞いてみたが、ShareChatをはじめとするインドの小さな都市で人気のあるアプリの多くは、AppAnnieのSDKをアプリに統合していないとのことだ。AppAnnieは開発者らがSDKをアプリに統合することにより、そのアプリやモバイル機器にインストールされている他のアプリのパフォーマンスを評価できるようにする仕組みである。

インドの小さな都市や村のユーザーにも人気があり、インドでは4億人以上のユーザーがいると謳うWhatsApp(ワッツアップ)の主張と反し、AppAnnieがWhatsAppのユーザー数を約3億3000万人と推定している理由はまさにこれなのだろう。

ShareChatが公式に公開している数字と、最も信頼性が高く広く利用されているサードパーティ企業が提供している数字との対比があまりにも大きいため、これについて言及すべきと考えたまでだ(ある業界幹部がAppAnnieの数字をTechCrunchにシェアしてくれた)。

関連記事:TikTok似のインスタReelsで最大30秒のビデオを撮れるように、編集ツールも追加

カテゴリー:ネットサービス

タグ:インド SNS

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(翻訳:Dragonfly)

インドのスタートアップが集結しグーグルの「独占」に対抗するアプリストアを計画

インドでどの企業よりも多くのインターネットユーザーにリーチし、同国のスマートフォン市場の99%を占めるGoogle(グーグル)は、その世界第2位の規模を誇るインターネット市場において、意外な相手から挑戦を受けることになった。インドのトップ起業家集団だ。

インドの数十社のスタートアップや企業は、同盟を結成してアプリストアを開設し、グーグルへの依存度を減らそうと画策していると、この件に詳しい情報筋5人がTechCrunchに伝えてくれた。

この起業家の名簿には、インドで最高の評価額を誇るPaytm(ペイティエム)の共同創設者で最高責任者のVijay Shekhar Sharma(ビジェイ・シェカー・シャルマ)氏、オンライン旅行会社MakeMyTrip(メイクマイトリップ)のDeep Kalra(ディープ・カルラ)氏、そのほか、PolicyBazaar(ポリシーバザー)やSharechat(シェアチャット)の企業幹部など著名な人物が名を連ねている。

これに参加する起業家は増え続けており、インドでのグーグルの「独占的」な地位を懸念し、Playストアの不平等で一貫性のない同国での強制的なガイドラインへの不満を口々に表明している。

数週間前から始まったこの議論は、Google Playストアでアプリを販売する開発者は、来年からそれぞれのアプリ関連収益の30%もの分け前をグーグルに支払わなければならないと同社が発表したあとの9月29日火曜日からエスカレートしている。

インドの「トップのスタートアップと企業のほぼ全社」から企業幹部数十名が火曜日の呼び掛けに応じ、今後の対応を話し合ったと匿名を条件に一部の人たちが教えてくれた。「売り上げの30%をグーグルに収めるという話は、とうてい受け入れられない」と呼び掛けに参加した全員が同意した。

フィットネス・スタートアップGOQii(ゴーキー)の創業者であるVishal Gondal(ビシャル・ゴンダル)氏は、この話し合いがあったことを認め、Playストアに代わるアプリストアを開設すれば、インドのアプリエコシステムを即座に救済できると話していた。

TechCrunchは9月29日、Paytmに連絡を取ったがコメントは得られなかった。ここ数カ月、インドの主要スタートアップ数社は、この業界のいくつかの企業に対して、地元のエコシステムの育成に非協力的であるとして失望を表明した。

一部の企業とグーグルとの間の緊張は、同社がPlayストアの賭博的なポリシーのさらなる変更を受け、この数カ月間で表面化してきた。この変更は、クリケットのインド・プレミアリーグ・トーナメントが開催されている間にひと儲けしようと考えていたインドの数多くのスタートアップに衝撃を与えた。

グーグルは、Playストアのポリシーに再三違反しているとして、Paytmの看板アプリを同ストアから一時的に削除した。この同社の処置に失望したPaytmのシャルマ氏は、テレビのインタビューで「これはインドのアプリエコシステムの問題です。非常に多くの起業家が私たちのところへ訴えてきています。この国にデジタルビジネスが確立されていると信じる人は、それは他人の手による恩恵で支えられているものであり、そこにはこの国のルールや規制が及ばないことを知るべきです」と語っていた。

グーグルは、先月TechCrunchが記事にしたHotstar(ホットスター)を含む数社に通達を出した。インドの新聞Economic Times(エコノミック・タイムズ)は9月30日、食事の出前スタートアップであるSwiggy(スウィギー)とZomato(ゾマト)にも警告を発したと報じている。

ハーバード・ロースクールの ¥Labor and Worklife Program(労働および仕事と生活プログラム)名誉フェローのVivek Wadhwa(ビビェック・ワドワ)氏は、インドの起業家の結束を称賛し、シリコンバレーの巨人であるグーグルを、東インド会社が台頭しインドで略奪を働いていた時代になぞらえた。「現代のテック企業は、同様のリスクをもたらします」と同氏はTechCrunchに話した。

一部の参加者は、低迷する経済の自分たちの手で復興させようと市民に訴えかけているインド政府が、彼らの運動を支援することを期待している。

Androidの普及率とは別に、今のグーグルはインドのモバイル決済市場をも支配していることを、TechCrunchは今年の初めに伝えた。

インドのひと握りのスタートアップを支援するこの巨大企業は、いくつものインドの業界団体にも所属し、今年の初めにはMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏の電気通信最大手Jio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)に45億ドル(約4800億円)を投資している。

石油化学の大手企業Reliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)を経営するインド最大の富豪であるアンバニ氏は、インドのナレンドラ・モディ首相と仲がいい。Jio Platformsは今年、グーグル、Facebook(フェイスブック)、その他11の著名投資家から200億ドル(約2兆1000億円)を超える投資を引き出した。

このJio Platformsへの巨額の投資は、業界の大勢の企業幹部たちを困惑させた。「規制当局の協力が必要だという以外に、FacebookがJio Platformsに投資するビジネスケースを思いつきません」と著名なエンジェル投資家Miten Sampat(ミテン・サンパット)氏は9月30日水曜日に配信されたポッドキャストで述べていた。

グーグルは7月、Jin Platformsと低価格なAndroidスマートフォンで協力すると話していた。Jio Platformは、今後3年間で2億台ものスマートフォンを販売する計画を立てていると、複数の開発業者向けの勧誘で同社は公言している。Jio Platformsのスマートフォン製造計画を最初に報じたのはBloomberg(ブルームバーグ)だった。

このスマートフォンでは、現在4000万台近くが流通しているフィーチャーフォンであるJioPhoneの場合と同じく、Jioによって審査され認証された数十本のアプリのみを揃えたアプリストアが利用できるようになると、Jio Platformsの説明を聞いた開発者は話していた。業界のある企業幹部は、Jioのアプリストアは塀で囲まれた庭だと表現していた。

スタートアップ創設者の有望で現実味のある選択肢は、サムスンが支援するサードパーティーのアプリストアIndus OS(インダス・オーエス)だろう。先月、月間アクティブユーザーが1億人を超えたと言われている。今週初めの時点で、Paytmやその他の企業は「まだindusOSと話しをしていない」とこの件に詳しい人物は話していた。

画像クレジット:Anindito Mukherjee / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

アップルがインドでオンラインストアをオープン

インドで事業を始めて20年以上になるApple(アップル)が、世界第2位のスマートフォン市場の消費者に初めて自社製品を直接販売する。

アップルは9月23日にインドのオンラインストアをオープンした。オンラインストアではアップル製品のほぼすべてのラインナップに加え、さまざまなサービスもインドの消費者向けに初めて提供する。アップルのオンラインストアは、インドが38番目のマーケットだ。

インドの消費者は製品保証を延長するAppleCare+を購入できるようになり、新しいハードウェアの購入価格が安くなる下取りプログラムも利用できる。アップルはチャットや電話での顧客サポートも提供し、購入前にスペシャリストに相談できるとしている。さらにiMac、MacBook Air、Mac MiniなどのMacをカスタマイズして購入できる。Macのカスタマイズはインドでは5月後半に、アップルの認定パートナーを通じてのみオフラインで提供が開始されていた(未訳記事)。

月ごとの分割払いでも購入できる。TechCrunchは2020年1月に、アップルが7~9月の四半期にインドでオンラインストアをオープンする計画であると報じた。また、アップルがインド初の直営店を2021年にオープンする計画であるとも報じている

コンサルティング会社、Convergence CatalystのチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤント・コラ)氏は、アップルがインドでオンラインストアをオープンしたのはインドの消費者よりもアップルにとって大きな意味があると論じる。

同氏は、アップルは通常、ある場所にストアをオープンしてから、マーケティングやブランドの構築など市場への投資を始めるとTechCrunchに語った。

アップルはインドで出稿されるiPhoneなどの製品の看板や広告を監視しているが、それを実施し資金を出しているのはサードパーティのパートナーだとコラ氏は言う。「アップルはいくぶんかはマーケティング費用を出しているかもしれないが、広告などの取り組みを主導してきたのはいつもパートナーだ」(コラ氏)。

近年、アップルは世界で最も成長しているスマートフォン市場のひとつであるインドへの関心を明らかに強めてきた。現在、同社が契約している製造業者はiPhoneの最新モデルや一部のアクセサリをインドで作っている。これは2年前に始まったアップルの取り組みだ。

この動きによってアップルはインドでiPhoneの一部のモデルの値下げが可能になった。アップルはインドでは長年、関税を顧客負担にしてきた。米国でのiPhone 11 Pro Maxの価格は1099ドル(約11万6000円)からであるのに対し、インドでは1487ドル(約15万7000円)からだ(最近、iPhone 11の一部のモデルはインドでのみ製造されている)。AirPods Proは米国では249ドル(約2万6000円)であるのに対し、インドでの発売時の価格は341ドル(約3万6000円)だった。

アップルはここ数年、インドにストアをオープンしようとしてきたが、現地の規制のためインド国内での展開が難しかった。しかし最近の数四半期で、インドは規制の多くを緩和している。2019年にインド政府は単一ブランドの小売店の調達基準を緩和し(未訳記事)、アップルなどの企業が実店舗の市場を確立する前にオンラインストアをオープンする道が開かれた。

2020年にインドは国内でのスマートフォン製造を加速させるために66ドル(約7000億円)のインセンティブプログラムも開始した。韓国大手のサムスンとアップルの製造契約パートナーであるFoxconn、Wistron、Pegatronなどがこのインセンティブプログラムに申し込んだ

インド国外の企業の多くはインド国内で製品やサービスを無償もしくは世界的に見て安い価格で提供しているが、アップルはそれとは異なり、高い金額を支払える少数の人々に的を絞っているとコラ氏は言う。そしてその戦略はアップルにとってうまくいっていると同氏は強調する。アップルはインドでプレミアムなスマートフォンの市場を支配している

アップルがインドで価格戦略を変えていないわけではない。Apple Musicは米国では月額9.99ドル(約1050円)だがインドでは1.35ドル(約140円)だ。Apple Music、Apple TV+, Apple Arcade、iCloudがセットになったApple Oneは、インドでは月額2.65ドル(約280円)だ。

アップルの顧客の中には、アップル製品のエコシステムの方がAndroid機メーカーのエコシステムより好ましく、アップルのほかのサービスもインドで利用したいと望む人もいる。Apple NewsやApple Payなどのサービスは、いまだにインドで利用できない。

新しいiPhoneの発表が数週間後に控えると予想される中でアップルのオンラインストアがインドでオープンした。また、多くのインド人が贅沢に買い物をする時期であるインド最大のお祭り、ディワリのおよそ1カ月前でもある。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

インドのeコマース取引サイトCashKaroが、Korea Investment Partners率いるシリーズBのラウンドで10億円を調達

インドを拠点とするスタートアップのCashKaroは米国時間9月15日、シリーズBの資金調達で1000万ドル(約10億5790万円)を獲得し、eコマース向けのサービスの範囲を拡大する予定であると発表した。同社はインドにおける主要なキャッシュバック/クーポンサイトの一つである。このラウンドはKorea Investment Partnersが主導し、以前の投資家Kalaari Capitalも参加している。

TechCruchがCashKaroについて最後に取り上げたのは、同社がシリーズAで380万ドル(約4億円)を調達したのは5年前のことである。今回のラウンドで同社がこれまでに調達した資金の総額は1500万ドル(約15億8550万円)にのぼる。

過去5年間、同社は価格比較サービスや、約18か月前にローンチしたソーシャルコマースのキャッシュバックアプリであるEarnKaroなどの新製品を発表してきた。シリーズBの一部は、約100万人の登録ユーザーを持つEarnKaroの拡張に使われる。EarnKaroにより、ソーシャルコマースの販売者、もしくはソーシャルメディアプラットフォームやWhatsAppのようなメッセージングアプリを使って商品を販売する人々は、AmazonやFlipkartのような主要なeコマースサイトへのアフィリエイトリンクを作成して報酬を得ることができる。また、EarnKaroのローンチによりCashKaroは小都市や農村地区にも進出することができた。こうした地域では、買い物客は、eコマースサイトではなく信頼できるレコメンデーションを発信する人々(すなわち 「マイクロインフルエンサー」)への共感から注文する傾向がより顕著である。

2013年にSwatiとRohan Bhargava(スワティー/ロハン・バールガヴァ)夫妻によって設立されたCashKaroは、現在500万人のユーザーを有し、AmazonやFlipkart、Myntra、Ajioといったインドにおける最大手を含む1,500以上のeコマースサイトと提携している。同社は、CashKaroのリンクを通じて行われた取引の手数料をブランドに請求することで収益化を図っている。この手数料はCashKaroが買い物客に現金を還元する方法でもあり、顧客の銀行口座に入金したり、FlipkartやAmazonのギフト券と交換することができる。両氏によると、現在月間100万件以上の取引を処理しているという。

CashKaroは、オンライン消費者からの注目を得ようと、インドでクーポンやキャッシュバックサービスを提供する他の多くの企業としのぎを削っている。ライバルにはCouponDunia、GrabOn、GoPaisaなどがいる。

「当社はインドで唯一のVC出資によるキャッシュバックサイトです。資本そのものは差別化要因ではありませんが、資本を使ってできることが当社に希少な付加価値をもたらしています」とバールガヴァ氏はTechCrunchに語り、CashKaroのキャッシュバック率は市場で最も高い部類に入ると続けた。

「CashKaroとEarnKaroを経由したパートナーサイトへのGMVが5億ドル(約530億円)近くに達したため、パートナーサイトからより高いコミッション率を得ることができ、その結果、会員のみなさんに最大のメリットを提供することが可能になっています」。

新型コロナウィルス(COVID-19)は消費者の嗜好の急激な変化をもたらし、世界中のeコマースビジネスに影響を与えている。特にインドでは4月から5月にかけて全国的に封じ込めゾーンが設けられ、必需品ではない商品の配送が5月まで認められていなかったゾーンもあり、状況は複雑であった

「私たちは新型コロナウィルスに不意を突かれました。インドのeコマースは需要の急増に対処する準備ができていなかったですし、これほど多く供給サイドの問題や配送の問題が起こることを私たちは予想していませんでした」とバールガヴァ氏は語る。「CashKaroがあらゆるeコマースサイトで利用されていることから、当社もこうした傾向に対峙してきました」。

しかし、6月以降売り上げは回復し始め、人々が家に留まりオンラインでの買い物を続けるなか、売り上げは伸び続けている。

「当社のビジネスは毎月成長しています。事実、パンデミックが広がるに連れ、教育、ゲーム、オンラインビデオストリーミングなどの新しいデジタル分野への事業拡大に拍車がかかりました」とバールガヴァ氏は続ける。電子機器、家庭用品、台所用品、パーソナルケア、美容用品の売り上げもここ数か月で増加している。

同時に、パンデミック禍の経済的影響により、より多くの人々がキャッシュバックやその他の節約につながる取引を求めている。

「オンラインショッピング利用者の間で倹約意識が高まり、CashKaroやEarnKaroのようなサービスにこれまで以上の価値が見出されています」とバールガヴァ氏はいう。「クライアント側では、Amazon、Myntra、Ajioなどのパートナーも、このような困難な状況下で収益性を念頭に置いてスケールアップをはかるには当社のパフォーマンスマーケティングモデルが最適な方法であると考えており、私たちはより緊密な協働を進めています」。

新たに調達した資金は、登録会員数を現在の500万人から今後12か月で倍増させるというCashKaroの目標に向けて使われる。バールガヴァ氏がTechCrunchに語ったところによると、キャッシュバックの提供をクレジットカードや教育などのカテゴリに拡大し、近く開催されるフェスティバルやインドのプレミアリーグのシーズンなどのイベントに焦点を当てた新しいマーケティングキャンペーンを開始するという。

「当社はEarnKaroの成長を積極的に追い求め、この製品の主なターゲット市場である、より多くのインフルエンサー、リセラー、主婦、学生に向けたアピールを行っています」と同氏は付け加えた。最終的に、シリーズBの一部は、経営首脳陣のポジションを含む雇用のために使用される予定だ。

韓国最大のベンチャーキャピタル企業の一つであるKorea Investment Partnersにとって、CashKaroは、インドで急成長するeコマース市場に参入するチャンスとなる。マネージングパートナーであるHudson Kyung-sik Ho(ハドソン・キョンシク・ホー )氏は声明で次のように語った。「私たちはこれが極めてスケーラブルな機会であると確信しています。スワティーとロハンの両氏は真にエキサイティングな成長軌道に乗っていて、CashKaroとEarnKaroのユニット指標は共に類例のない優れたものです。私たちはインドのアフィリエイトストーリーの一端を担えることに大きな興奮を覚えています」。

関連記事:米国のモバイル上でのホリデーショッピングシーズンは過去最大となる見込み

カテゴリー:ネットサービス

タグ:インド eコマース

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(翻訳:Dragonfly)

GooglePlayストアがインドのPaytmアプリを一時削除、度重なるポリシー違反で

【更新】インド標準時9月18日19時(日本時間9月18日22時30分)にPaytmアプリが、インドのGoogle Playストアに復帰した。元の記事は以下のとおりだ。

Google(グーグル)はインドの金融サービスアプリであるPaytmを、ギャンブルに関するポリシーに違反したとしてPlayストアから削除した。Paytmはインドで評価額が最高のスタートアップで、月間アクティブユーザー(MAU)は5000万以上と主張している。インドでGoogle Payと競合するPaytmはユーザー間で送金できる機能も備えており、米国時間9月18日の朝Playストアから姿を消した。

グーグルによると、Playストアではインドでのスポーツベッティングを促進するオンラインカジノや、その他の規制のないギャンブルアプリを禁止しているという。「アプリ内でファンタジースポーツサービス推進してきたPaytmは、Playストアのポリシーに違反する行為を繰り返していた」とこの件に詳しい情報筋2人がTechCrunchに語った。Paytmのファンタジースポーツサービスは「Paytm First Games」と呼ばれ、スタンドアロンアプリとしても提供されていたが、これもPlayストアから消されてしまった。

【Japan編集部注】ファンタジースポーツサービスとは、実在する選手を使って仮想もしくは架空のスポーツチームをユーザーが作り、実際の試合での各選手のパフォーマンスによって自分のチームのポイントが加減され、最もポイントを得たユーザーが勝利するというルールのゲームで、一部はギャンブルと結びついているケースもある。

ほかのほとんどの市場でギャンブルの周りに同様のガイドラインを維持しているAndroidメーカーやアプリは、消費者がリアルマネーや賞金を獲得するために有料トーナメントに参加することができる。外部のウェブサイトにつながる場合、そPlayストアのポリシーに違反しているとみなされる。

グーグルがインドの多くの企業に送ったメールに対して、TechCrunchが各企業に調査したところによると、グーグルは開発者に対して、スポーツベッティングアプリのインストールファイルを提供するウェブサイトにユーザーを誘導するために、アプリ内のすべての広告キャンペーンを一時停止するよう求めているという。

ちなみにグーグルのGoogle Payアプリは現在、インドの決済市場を支配しており、Androidは同国のスマートフォン市場シェアの約99%を占めている。

Paytm:Paytmユーザーの皆さん

PaytmのAndroidアプリは、新しいダウンロードやアップデートのために、GoogleのPlayストアで一時的に利用できなくなっています。しかし、すぐに利用再開になります。

みなさんの資金はすべて完全に安全で、通常どおろりPaytmアプリを楽しむことができます。

本日のグーグルからの発表は、9月19日から始まる人気クリケットトーナメント「Indian Premier League」に先立って、ほかのデベロッパーにPlayストアのギャンブルについての方針を思い出させるための同社の先制的な試みでもある。

IPLのこれまでのシーズンは約2カ月間続き、何億人ものインド人の注目を集めた一方で、スポーツ賭博の宣伝や参加を目的としたアプリが急増している。インドではスポーツ賭博は禁止されているが、ファンタジースポーツで、好きな選手を選んで好きなチームや選手が活躍して優勝して賞金を得るというのは、インドのほとんどの州で違法ではない。

情報筋の話では、グーグルはインドで最も人気のあるオンデマンドのビデオストリーミングサービス「Disney+ Hotstar」に、ファンタジースポーツアプリの広告を見せる前には警告を表示するよう求めた。

Androidのセキュリティとプライバシーを担当している副社長Suzanne Frey(スザンヌ・フレイ)氏は「私たちは、万一の被害からユーザーを護るためにこれらのポリシーがあります。ポリシーに違反しているアプリは、開発者に違反を通告するとともに、そのアプリをコンプライアンスに準ずるまでGoogle Playから削除します」とブログと書いている。

加えて「ポリシー違反が繰り返される場合は、 Googleプレイ開発者アカウントの停止を含む、より重大なアクションを取る可能性があります。当社のポリシーは、すべての開発者に一貫して適用され、実施されます」と付け加えた。

CNBC TV 18とのテレビインタビューで、Paytmの共同創業者兼CEOのVijay Shekhar Sharma(ビジェイ・シェカール・シャルマ)氏は「グーグルはPaytmに新規ユーザの獲得を許可していない」と非難した。

同氏はグーグルが以前にもPaytmに接触したことを認め、Paytm First Gamesについて懸念を表明したものの、Paytmのメインアプリの問題は「顧客へのキャッシュバックにすぎない」とのことだった。

「キャッシュバックは、クリケットをテーマにしたスクラッチカードの形で発行された」とシャルマ氏は説明し、「もしPaytmが顧客にキャッシュバックを発行することが許されないのであれば、すべてのプレーヤーに同じルールが適用されるべきだ」と付け加えた。Google PayとWalmart(ウォルマート)のPhonePe(フォーンペ)は、インドで同様のインセンティブを顧客に提供している。

「これはインドのアプリエコシステムの問題です。非常に多くの創業者が私たちに連絡してきました。もし、私たちがこの国がデジタルビジネスを構築することができると信じるならば、この国の規則や規制ではなく、そのビジネスを祝福するのは誰か他の人の手にあることを知っておく必要がありますx」とシャルマ氏はコメントした。

Paytmの社長を務めるMadhur Deora(マデュール・デオラ)氏はTechCrunchとのインタビューで、「本日、グーグルはPaytm First Gamesアプリについて何の問題も提起しなかった」と語った。同氏によると、Paytmは9月18日の早い時期に、キャッシュバック用のクリケットをテーマにしたステッカーを公開したという。その数時間後、グーグルは異議を唱えてアプリを一時停止し、同社は新機能を取り下げ、アプリの改訂版をPlayストアに再提出したと述べた。

一方、インドファンタジースポーツ連盟(FIFS)は、いくつかのファンタジースポーツ企業を代表する「業界団体」であり、Playストアを通じてファンタジースポーツを配布したり、促進したりする企業への措置を取るためにグーグルに苦情を申し立てたと主張している。

マニッシュ:シン:一部のファンタジースポーツ企業を代表するDream 11の親会社が影響力を持つ「業界団体」は、グーグルに対してPlayストアを介してファンタジースポーツを販売・宣伝する企業に対して何らかの措置を講じるよう要求したと主張している。

インドで最も人気のあるファンタジースポーツアプリの「Dream11」の親会社であるDream Sportsは、FIFSの設立メンバーだ。現在Dream11アプリはPlayストアでは利用できない。TechCrunchが入手した会員へのメッセージの中で、FIFSは次のように述べている。

「私たちは、事業規模にかかわらずすべての会員を保護し、すべての会員と非会員を同じように扱うために日々努力しています。これは初めてのことではなくFIFSの中で定期的に実施されていることで、今回もメンバーに代わって報告・懸念を表明するものです」とFIFSの広報担当者は現地時間9月18日の夜にTechCrunchに声明を出した。

「過去には、Dream 11とMyTeam 11の姉妹ブランドである、FanCodeとSportsTigerがFantasy Sports Appsのプロモーションを行った際、Google Playストアのポリシーに違反したとして削除されたことがあります。PaytmのPlayストアアプリはPaytm First Gamesを宣伝し、Times Internet AppsはMPLを宣伝することが許されていたため、FIFSはすべてのファンタジースポーツアプリをPlay Storeアプリで宣伝できるようにすることで、公平な競争条件を確保することをグーグルに明確に要求しただけでした。FIFSは、MPLやPaytmのようないかなる企業に対しても、いかなる悪影響も及ぼすことを求めたり望んだりしていないことを記録したいと考えています」と付け加えた。

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タグ:Google Paytm インド

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルが9月23日にインドでオンラインストアをオープン、Androidが約99%を閉めるスマホ市場に本格参入

Apple(アップル)は9月23日、インドにオンラインストアを開設し、同国での営業開始から20年以上が経過した世界第2位のスマートフォン市場の顧客に向けて、さまざまなサービスを初めて提供する。

現在アップルは、インドでの販売はサードパーティのオンラインおよびオフラインの小売店に頼っている。オンラインストアでは、ハードウェア製品の保証期間を最大2年間延長する「AppleCare+」や、顧客が以前のモデルを返品して新しいiPhoneを購入する際に割引を利用できる下取りプログラムも提供する。これらはこれまでインドでは利用できなかったサービスだ。また、顧客はカスタム構成のMacも手に入れられる(未訳記事)。

アップルRetail+People担当シニアバイスプレジデントを務めるDeirdre O’Brien(ディアドラ・オブライエン)氏は声明で「私たちは、ユーザーがテクノロジを利用してインターネットに接続し、学習し、創造性を発揮していることを知っています」と述べている。

TechCrunchでは、アップルが今年の第3四半期にインドでオンラインストアを立ち上げる予定であることを1月に報告した。その1カ月後、同社のTim Cook(ティム・クック)CEOがこの動きを認めたうえで、アップルは来年にもインド初の実店舗を開設する予定であることも付け加えた。

アップルのウェブサイトによると、同社はインドの顧客にも融資オプションを提供する計画もあり、学生はアップルの製品やアクセサリについてさらに割引を受けることができるようだ。来月からは、プロのクリエイターによる音楽や写真に関する無料のオンラインセッションも開催される。希望すれば、AirPodsにインドのいくつかの言語で絵文字やテキストを彫ることも可能だ。

インドでのオンラインストアの開設は、Androidスマートフォンが市場の約99%を占めるインドにおけるアップルのビジネスの新たな章を記すことになる。同社はここ数年、インドで明らかに攻勢を強めている。7月にはiPhoneの委託製造パートナーであるFoxconn(フォクスコン)がインドでiPhone 11の組み立てを始めた。社がインドで現行世代のiPhoneを現地で組み立てるのは初めてのことだ。

インドで端末を組み立てることで、アップルを含むスマートフォンメーカーは、インド政府が輸入エレクトロニクス製品に課す約20%の輸入関税を回避することができる。なお同社はすでに、インドで「Apple Music」と「TV+」などのサービスを記録的な低価格で販売している。具体的には、Apple MusicとTV+の個人向けサービスの月額料金はいずれも99インド・ルピー(約140円)だ。

なおiPhone 11 Pro Maxの販売開始は、米国では1099ドル(11万4600円)から、インドでは1487ドル(15万5100円)からとなっている。米国で249ドル(約2万6000円)で販売されているAirPods Proは、インドでは341ドル(3万5600円)だ。

画像クレジット:Apple

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(翻訳:TechCrunch Japan)

バーチャルイベントプラットフォーム開発のインド拠点Airmeetが約12.6億円を調達

バーチャルイベントを開催するためのプラットフォームを提供する、インド・バンガロールに本社を置くスタートアップのAirmeet(エアーミート)は米国時間9月15日、同社がユーザーベースの成長を加速させている中、新たな資金調達ラウンドで1200万ドル(約12億6000万円)の調達を発表した。

Sequoia Capital Indiaは、1年前に設立されたAirmeetの1200万ドルのシリーズA資金調達ラウンドを主導した。Redpoint Ventures、既存の投資家であるAccel India、Venture Highway、Global Founders Capital(GFC)、DoorDashでCaviarリードのGokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏(未訳記事)もこのラウンドに参加した。ちなみにラジャラム氏が務めるCaviarリードとは、DoorDashが2019年にSquareから買収した、地図上で注文をライブで追跡する機能を擁するCaviarチームを率いる役職だ。

今回の資金調達に詳しい関係者によると、今回の新たなラウンドでのAirmeetの評価額は約5000万ドル(約52 億3800万円)で、3月に300万ドル(約3億1400万円)を調達した時の2倍以上になるという。

Airmeetは、ユーザーや企業がインタラクティブなバーチャルイベントを開催することを可能にしている。そのプラットフォームは、バックステージを提供したり、人々をテーブルにグループ化したり、参加者同士のネットワークを可能にしたり、イベント主催者がスポンサーと協力することさえ可能にしたりと、物理的なイベントの側面を直感的に再現している。現在パブリックベータ版として公開されているAirmeetは、使用量に応じて企業に課金するフリーミアムモデルで提供されている。

TechCrunchとのインタビューの中で、Airmeetの共同創業者であるLalit Mangal(ラリット・マンガル)氏は「広告への投資なしにプラットフォームの利用率が前四半期で2000%成長した」と語った。

ここ数カ月、Airmeetはプラットフォームのユースケースの拡大に取り組んできた。「Airmeetは現在、大規模な会議の開催に加えて、大規模な映画祭でのプロのミートアップにも利用されている」と同氏は説明する。最近では、大学のリソースフェアや技術産業のサミットも開催している。

Sequoia Capital Indiaの副社長であるAbhishek Mohan(アビシェク・モハン)氏は声明で「新型コロナウイルスは多くの業界で恒久的な行動シフトを加速させました。主に伝統的なスペースのデジタル化が数年で飛躍的に進み、8000億ドル(約83兆8000億円)以上の世界的なオフラインイベントスペースが手に入るようになりました。業界のオンラインイベントへの移行を推進するプレイヤーには大きな可能性があります」と述べている。

Airmeetは、ほとんどの最新ブラウザが採用している標準規格であるWebRTCの上に構築されている。「これにより、AirmeetはChromeとFirefoxから完全にアクセスできるようになりました。また、すべてのセッションはエンドツーエンドで暗号化されています」とマンガル氏。Airmeetにはモバイルアプリはないが、同氏によると「人々はプロのイベントではラップトップやデスクトップ、あるいはiPadを使う傾向にあります。ただし、ユーザーはモバイルブラウザからセッションを利用することができます」と説明する。

HopinやAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が支援するRun The Worldと同じ分野で戦うこのスタートアップは、今回調達した資金を使って「Airmeetに新機能を追加し、世界的に規模を拡大する予定だ」とマンガル氏は述べた。

「Airmeetのミッションは、世界中の何百万人ものコミュニティ管理者やイベント主催者が、視聴者との交流と拡大を可能にするグローバルなプラットフォームを作ることです。ラリットとチームの集中力、実行力、革新的な思考により、彼らはその目標を達成するために強力に配置されています」とSequoia Capital Indiaのモハン氏は語った。
画像クレジット:Airmeet

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米国のテック企業によるインド進出をものともせず、成長を続けるTimes Internet

Times Internetは木曜日、同社のデジタルサービスの一部がこの1年で力強い成長を示し、インドにおける同社の1月あたりのアクティブユーザーが5億5700万人に、また1日あたりのユーザーが1億1100万人を超えたと発表した。

インドの複合企業であるTimes Internetは、オンデマンドストリーミングサービスを提供するMX PlayerやGaana、日刊紙Times of IndiaやEconomic Timesを含め、30以上の事業を運営しており、3月に終了した会計年度に、1月あたり1億700万人のアクティブユーザーを新たに獲得したと述べた。

同社の2020年会計年度におけるページビューは、前年の470億回から670億回以上へと増加した。

Times Internetの副会長であるSatyan Gajwani(サトヤン・ガジワニ)氏は、TechCrunchとのインタビューで、1月あたり2億人を超すアクティブユーザーを持つMX Playerと、1月あたり1億8500万人のアクティブユーザーを持つGaanaは、2020年度に75%の伸びを見せたと語っている。

これらの数字により、創業182年を迎えるBennett Coleman and Company Limited(BCCL)の子会社であるTimes Internetは、同社が存在しなければGoogle、Facebook、Amazonに支配されていたであろう世界最大のオープンな戦場の中心に置かれることとなった。

分析会社Comscoreによれば、Googleは6月ウェブ(デスクトップおよびモバイル)でインドのデジタル人口の98%にサービスを届け、同じく6月、Facebookはデジタル人口の94.9%、Times Internetは77.7%、Amazonは76%で4位となった。(この数字にはアプリによる使用データは含まれていない)

創業20年を迎えるTimes Internetは、今日のデジタル界を支配するほぼすべての企業に対し大きなアドバンテージを持っていたが、批評家は、同社は数年の間それをうまく利用することができなかったと語る。 しかし、同社は現在のリーダーシップの下、安定した成長を見せている。

Comscoreによる5月のデータ (画像クレジット: Times Internet)

 

ガジワニ氏は、過去10年の初め頃はTimes Interneのサービスは芳しくなかったと振り返る。「そこで、私たちは2013年から2016年にかけては製品の質に絞って力を注ぎました。その後の数年で優れた製品を導入・開発しました。」

「競争力がないと判断した製品は売却や撤退をしました。現在では我社はかなり強力なポートフォリオを備えています。」

ガジワニ氏によると、Times Internetの成長に向け最近取り組んでいるのが、広告以外の収益チャネルを見つけることである。Gaana、MX Player、ET Prime(Economic Timesの無広告版)およびTimes Prime(様々なサードパーティのサブスクリプションサービスをまとめて再販)は定期契約者を見つけるのに役立っており、 一方MensXPのeコマースセクション、ETMoney、MagicBricks、GradeUp、Dineoutは取り引き業務を促進している。

Times Internetによると、全体として、同社の2020年会計年度の収益は24%の伸びを見せ、2億2150万ドル(約235億円)に達した。同社はサブスクリプションから得た収益がいくらになるのかは開示しなかったが、有料サービス利用者200万人以上を擁し、取り引き業務は68%、広告事業も22%の伸びを見せていると伝えている。

しかし、広告事業に大きく依存しているということは、同社もコロナウイルスによる打撃を受けたということを意味する。コロナウイルスにより消費者の支出は業界全体で大きく落ち込み、その結果広告主は予算を削減したのである。

3月には同社の広告収益は「大幅に落ち込んだ」が、その後の3ヶ月は「穏やか」であり、7月および8月には大きく回復したとガジワニ氏は述べている。「7月と8月の収益により、前年比で4月、5月、6月の損失を埋め合わすことができました。」

この数ヶ月のウイルスの流行と政府による中国のアプリの禁止は、同社にとって完全な打撃とはなっていない。MX PlayerおよびGaanaはインドでTikTokが禁止されたことで生じた空白を埋めようと試みており、業界のある幹部がTechCrunchに示したモバイルインサイト会社App Annieのデータによると、Twitterを後ろ盾に持つShareChatといったより潤沢な資金を持つ一部の企業よりも多くの顧客を引きつけているようだ。

MX PlayerによるショートビデオアプリMX TakaTakは、1日あたりのアクティブユーザーが1000万人を超え、1月あたりのアクティブユーザーは4500万人に達したと同社は今週初めに発表した。アプリには1500万以上の動画がユーザーによってアップロードされており、1か月の再生件数は10億回以上にのぼる。

今後とも、ガジワニ氏はユーザーとのつながりを深める努力を続ける意向である。ガジワニ氏は、ユーザー数の開示はしなかったものの、「当社のサービスを2つ以上利用している人の数は48%、3つ以上のサービスを利用している人の数は120%の伸びを見せています」と述べた。

情報筋によると、BCCLはTimes Internetの株式売却に向けてここ数ヶ月投資家との話し合いを持っており、この取り引きが成立した場合、従業員数が昨年の5000人から6000人以上に増えたTimes Internetは財政的により強力になり、より多くの買収を模索する機会を得られるようになる。ガジワニ氏はこれについてはコメントを拒否した。この話し合いについて最初に報道したのはBloombergであった。

関連記事:インドの教育系スタートアップByju’sのCEOが将来の買収、新型コロナ影響、海外展開について語る

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Times Internet インド

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(翻訳:Dragonfly)

インドの教育系スタートアップByju’sのCEOが将来の買収、新型コロナ影響、海外展開について語る

インドが3月下旬に全土でロックダウンを実施して学校や他の公共スペースを閉鎖して以来、バンガロール拠点のスタートアップByju’s(バイジュース)は世界で2番目に大きなインターネットマーケットであるインドの生徒にとってなくてはならないプラットフォームの1つになった。

Byju’sが生徒4000万人を集めるまでに4年半かかり、ロックダウン以降、Byju’sのユーザーベースは6500万人に膨らんだ。共同創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏が9月15日、Disrupt 2020カンファレンスで語った。

生徒はByju’sの教え方にひかれる、と話す。自身も教師だったレヴィーンドラン氏は、複雑な数学の問題を教えるのにピザといった現実世界にあるものを使う直感的な方法を考え出した。

同氏のスタートアップの評価額は先週時点で110億ドル(約1兆1600億円)近くで(これによりByju’sはインドで2番目に価値の大きなスタートアップになった)、いくつかの海外マーケットでもサービスを展開している。2019年後半にByju’sは黒字化を達成したことを発表した(未訳記事)。この3つの特徴のうち1つでも持っているインドのスタートアップはそう多くなく、ましてや3つすべてとなるとなおさらだ。

内容が多岐に渡るDisrupt 2020でのインタビューの中で、レヴィーンドラン氏はByju’sのこれまでの道のり(Byju’sは教室や講堂、スタジアムで生徒に教えるオフラインのプラットフォームとして始まった)、海外マーケットでの事業拡大計画、M&Aの機会についての考え、新型コロナウイルスパンデミックがいかに事業やインドの教育分野に影響を及ぼしているかなどについて語った。

「残念ながら、多くの人にとってパンデミックがデジタル学習を試すきっかけになった。保護者は今、オンラインセグメントをこれまでにも増して受け入れている。この部門は明らかに分岐点にある」とレヴィーンドラン氏は話した。

生徒がオンライン学習をより利用しやすいようにするために、Byju’sはパンデミック中、提供するサービスをすべて無料にした。しかし同プラットフォームの有料購読者は今や400万人超となり、着実に成長していると同氏は述べた。

同社は2020年、インドマーケットでの売上高が10億ドル(約1055億円)を超え、純利益は1億5000万〜1億8000万ドル(約158億〜190億円)を予想している。

「相対的に成功といえる。ターゲットオーディエンスとして念頭に置いているのは浸透率で、この分野での我々の浸透率は4%以下だ。学校に通う子供の3分の1以上がスマートフォンを持っていない。この事実に対応するために、やらなければいけないことはたくさんある」と話した。

パンデミックによってインドで引き起こされた別の現象は、エドテックスタートアップ業界における統合だ。Byju’sは生徒にコーディング技術を教える創業18カ月のスタートアップWhiteHat Jr.を3億ドル(約316億円)で買収した(未訳記事)。

Byju’sが他にもいくつかの企業と話し合いを進めていることについては、TechCrunchはすでにレポートした。ここにはインド企業のDoubtnutが含まれる(未訳記事)。同社のアプリでは生徒が数学の問題の写真を撮り、その解き方をステップバイステップで提供する。

M&Aに関してByju’sが語ったことは次の通りだ。「この部門の長期的なポテンシャルはかつてなく高まっている。当社は既存のユーザーベースあるいは新しいマーケットで獲得し得る新規の顧客に強固なプロダクトの構成要素を加えることができる企業を探している。または、新たなマーケット、特に英語が使用されているマーケットにおいてすぐさま事業を展開できるようディストリビューションで貢献してくれる企業が欲しい」。

「今後数社の買収を発表する。数社について真剣に検討している」とも付け加えた。レヴィーンドラン氏は「最も株に価値を置いている」ため、今後の買収はまたも全額現金払いとなる見込みだ。

IPO、資金調達、そして海外展開

Byju’sは少なくとも今後2年は上場を考えていない、とレヴィーンドラン氏は話した。「当社は強固なビジネス基盤を持っている。高成長と持続可能な成長の正しいバランスを見つけることができ、かなりの短期間で非常に収益性の高いモデルを構築した。しかし上場について真剣に考えていない」と述べた。

Byju’sに出資している投資家もまた急いでいないようだ。「一部の初期投資家にエグジットを与えるために上場する必要はない。というのも、事業そのものが十分な現金を生み出すからだ。投資家の大半が過去のラウンドで投資した額の金をすでに手にした」と同氏は語った。

Byju’sは今年、7億ドル(約740億円)超を調達した。レヴィーンドラン氏になぜ資金を調達するのか尋ねた。「調達した主な資本の使い方という点において、当社はかなり資本効率がいい。最初の5年間で主要資本のうち3億5000万ドル(約370億円)に満たない額を使った。これは当社がいかに効率的にモデルを展開してきたかを示している」と述べた。

「最近の資金調達の大半は、完全現金払いの買収のような無機的成長の費用を賄っている。当社はこれを強固なビジネスモデルの追加に使っている。当社は必要だからと資金を調達したことはない。常に適切なパートナーを加えるためだ。直近では、長期的で忍耐強い投資家を追加した」と同氏は話した。Byju’sは現在少なくとも投資会社2社と話し合いを進めていて一連の資金調達の動きはまだ終わっていないようだ。

海外事業の拡大については、レヴィーンドラン氏はいくつかの英語圏マーケットの子供を対象にしたデジタル学習アプリを立ち上げる計画だと述べた。オーストラリアやニュージーランドを含む複数のマーケットの顧客向けにWhiteHat Jr.が数学を提供するとのことだ。

またTechCrunchは、インドにおけるまだ黒字化を達成していない他のスタートアップ大企業についてどのように考えているか、インドのエドテック分野に新規参入の余地はあるか、などについても話を聞いた。完全インタビューは以下のビデオで閲覧できる。

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カテゴリー:EdTech

タグ:Byju’s インド Disrupt 2020

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(翻訳:Mizoguchi

インドのファンタジースポーツアプリ「Dream11」の親会社が230億円超を調達、クリケットトーナメントのメインスポンサーに

ファンタジースポーツアプリ「Dream11」の親会社であるインド・ムンバイに本社を置くDream Sportsは、世界第2位のインターネット市場でもあるクリケット好きの国で「エンドツーエンドのスポーツテック企業」と呼ばれている。同社は新たな資金調達ラウンドで2億2500万ドル(約237億円)を調達した。

今回のラウンドではTiger Global Management、TPG Tech Adjacencies(TTAD)、ChrysCapital、Footpath Venturesが、一次、二次の投資を通じて総額2億2500万ドルの資金を提供したことを、設立12年目のDream Sportsは明らかにしている。

今回の新たなラウンドによって「Dream Sportsの価値は25億ドル(約2638億円)以上になる」と情報筋はTechCrunchに語った。Dream11はこれまでに約3億2500万ドル(約343億円)を調達している。なお、ファンタジースポーツとは、特定のプロスポーツなどからユーザーがお気に入りの選手を選び、架空のチームを作って試合をするシュミレーションゲームのことで、ギャンブルと結びついていることも多い。

Dream11はクリケットの人気に乗じて、ディズニー(未訳記事)やFacebook(未訳記事)など複数の大手企業から大きな注目を集めている。同アプリは、ゲーマーが今後の試合で最高の選手を選ぶことができるように、そのファンタジーの部分を探求している。選んだチームの成績に応じて賞金を獲得することができるのだ。

Dream11は、世界で最も人気のあるスポーツイベントの1つであるインド・プレミアリーグ(IPL)のクリケットトーナメントの2020年シーズンのタイトルスポンサーでもある。このスタートアップは、以前は中国のスマートフォンメーカーのVivoが保有していたタイトルスポンサーの権利を3000万ドル(約31億円)の入札で獲得した。ちなみにVivoは、インドと中国という核武装国家間の地政学的緊張の中でスポンサーシップから突然撤退しなければならなかった。IPLの新シーズンは、新型コロナウイルスの発生に起因する遅延の数カ月後に今週後半に開幕する。

「スポーツ部門はインドで高い潜在成長力を持っている。ファン体験を向上させる大きな機会があり、Dream Sportsと提携してテクノロジーを活用することで、インドのファンと彼らの大好きなスポーツとのつながりを深めることができることに興奮しています」とTPGのマネージングディレクターであるAkshay Tanna(アクシャイ・タンナ)氏は声明で述べている。

近年Dream Sportsは、物販などのカテゴリーにも進出している。Dream Sportsの最高経営責任者兼共同創業者であるHarsh Jain(ハーシュ・ジェイン)氏は声明で「Dream Sportsは1億人以上のユーザーを獲得した」と主張する。ちなみにDream11アプリは、Google Playストアでは配布されておらず、人々がモバイル向けウェブサイトにアクセスするか、Androidアプリを別途インストール(サイドローディング)するしか利用する方法がない。

「地元で育ったインド企業として、我々は1億人以上のインドのスポーツファン、投資家、従業員、インドのスポーツエコシステム全体に価値を加え続けることを誇りに思っています。この2年間で、私たちはファンタジースポーツを超えて、スポーツコンテンツ、グッズ、ストリーミング、体験を提供する企業へと成長しました。私たちのビジョンは、スポーツテクノロジーとイノベーションを通じて、インドとインドのファンのために『スポーツをより良いものにする』ことです」とジェイン氏は付け加えた。

大手金融サービス会社であるAvendus Capitalは、今回の取引においてDream Sportsの財務アドバイザーを務めた。Dream11は、インドのファンタジースポーツ分野でニッチ市場を形成する唯一の企業ではない。Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インド)とTimes Internetが支援するMobile Premier Leagueも主要なプレイヤーであり、ここ数カ月でモバイルゲームにも進出している。Twitterが支援するShareChat(未訳記事)も、2020年初めにファンタジースポーツの実験をひっそりと始めた。

しかし、ファンタジースポーツはインドの一部ではまだ規制のハードルに直面している。アッサム、オディシャ、シッキム、テランガーナなどのインドのいくつかの州では、ファンタジースポーツ上での賭けが禁止されている

インドのゲーム市場の長年のアナリストであり、ニュースメディア「Mako Reactor」の発行者でもあるRishi Alwani(リシ・アルワニ)氏は「ファンタジースポーツビジネスの正統性を追求する試みが、ギャンブルではなくビデオゲームとして見られようと意図しているかどうかは重要ではない。インドのビデオゲーム開発者イベントのスピーカーパネルをざっと見ただけでもそれは明らかだ」とTechCrunchとの以前のインタビューで語っていた。

関連記事:韓国のPUBG開発元がインドでの配信停止から1週間後に中国Tencent Gamesとの配信提携を解消

カテゴリー:ゲーム / eSports

タグ:資金調達 インド Dream11 ファンタジースポーツ

画像クレジット:Robert Cianflone / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

データサイエンスを活用し、インドのユニクロを目指すYCスタートアップSockSoho

SockSoho(ソックソーホー)は、「インドのユニクロ」になることを目指すD2Cブランドだ。同社は10か月前に男性用靴下の販売を開始し、最近Y Combinator(Yコンビネータ)のSummer 2020プログラムを終えたばかりだ。TripAdvisor(トリップアドバイザー)などの企業で勤務経験のあるデータサイエンティストPritika Mehta(プリティカ・メータ)氏とグロースマーケターのSimarpreet Singh(シマープリート・シン)氏が創業したソックソーホーの顧客は現在3万人以上を超えており、今後はメンズウェアに特化したバーティカルECの新規立ち上げを計画している。

メータ氏とシン氏は、ソックソーホーを立ち上げる以前はテクノロジーおよびコンテンツIPプロバイダーのMindBatteries(マインドバッテリーズ)で一緒に働いていた。同社の法人顧客には、The Times of India(ザ・タイムズ・オブ・インディア)、The Economic Times(エコノミックタイムズ)、Mercedes(メルセデス)、Infosys(インフォシス)、世界経済フォーラム、Uber(ウーバー)などが名を連ねる。

両氏は、インドが世界最大級にして急激に成長しているeコマース市場の1つであること、そして、事業の拡大に伴いチャットボットやAIベースのレコメンドエンジンなどを導入する独自の技術に、ソックソーホーの成長を賭けている。

ソックソーホーは、独自サイトとeコマースプラットフォームを使って販売するマルチプラットフォーム配信戦略でローンチしたが、主に売上を伸ばしているのは、ユーザー数が4億人以上にのぼるインドで最も人気の高いメッセージングアプリWhatsApp(ワッツアップ)だ。ソックソーホーの売上の約70%がWhatsAppを通じたもので、A/B製品テストにもこのアプリを使用している。

Y Combinatorパートナーであり、ソックソーホーに投資しているEric Migicovsky(エリック・ミジコフスキ―)氏はTechCrunchへのメールで、「ソックソーホーは表向きはファッションブランドに見えますが、運営はテック企業のように行われています。製品とeコマースの経路におけるあらゆる側面でA/Bテストを実施しているのです。これは、すべてのファッションブランドが行っていることではありません」と語ってくれた。

また、「ソックソーホーが成功に至った戦略はWhatsAppだと思います。WhatsAppを通じて独占的に顧客を獲得し、サービスを提供する方法を見つけたのです」とも述べている。

メータ氏はソックソーホーを立ち上げる前、バッファロー大学で人工知能を専門にコンピューターサイエンスの修士号を取得した。その後、トリップアドバイザーなどのテック企業に勤めながら数年間を米国で過ごしたが、母国であるインドには常に目を向けていた。

「インド市場の成長を見た時は、目を見張りました。人口がとても多く、データは安くなっていましたから。オンラインで買い物する人も圧倒的に増えていました。その時思ったのです。インドがこんなに盛り上がってるのに、私は米国で一体何をしているんだろうと」」とTechCrunchに話してくれた。

インドのオンラインファッションブランドの大半は女性向けの製品を中心に扱っているため、メータ氏とシン氏はメンズウェア業界への参入を決めた。インド都市部には、およそ2億人の男性がいるとされ、80億ドル(約8500億円)の潜在市場がある。両氏は消費者調査を行う前に、最初に販売する製品の候補として80個のアイテムをリストに書き出した。そして、サイズが合わせやすく発送が簡単で、販売利益が高く返品率の低い靴下を選んだ。

ソックソーホーでは、新しい靴下を販売する前にWhatsAppを通じて独自のA/Bテストを行っている。製造注文を行う前に、デザインのアイデアを顧客に送り、先行予約で顧客の関心を読み取っているのだ。

多くのD2C企業における課題となっているマーケティングコストの削減と顧客獲得には、データ分析がカギとなる。

「私たちは基本的にデータポイントを収集して、お客様の行動と消費のパターンを理解しています。こうしたインサイトによって、デザインからマーケティング、在庫計画、今後進出していくバーティカル分野まで、あらゆるものを絞り込むことができます」とメータ氏は述べている。

データ分析によって、すでにいくつかのサプライズがあった。たとえば、ソックソーホーでは顧客のほぼ全員が男性であると予測していたが、購入全体の約30%は女性によるギフト購入だったのだ。また、購入者のほとんどがデリー、ムンバイ、バンガロールといった主要都市に住んでいると仮定していたが、データではより小さな地方都市が成長の主力となっていたことが分かった。「こうしたインサイトはすべてデータから明らかになりました」とシン氏は語っている。

過去6か月で、ソックソーホーの顧客の58%がリピート購入しており、売上は3月からインドで始まった新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンの最中に増大している。

「新型コロナウイルスによって、人々のオンラインショッピングへの移行が加速しています。たとえば私の父はオンラインショッピングなんてしたことがありませんでしたが、コロナ禍により、今では歯磨き粉までオンラインで買っています。これはとても大きな変化です」とシン氏は言う。

ただし従来のリテールブランドの多くが、まだオンラインでのショッピングエクスペリエンスをものにできていない、とメータ氏は付け加えた。

「eコマースは、製品を売るだけのものではありません」とメータ氏は言う。

ソックソーホーでは、顧客をつなぎとめておくためにWhatsAppを使い、新製品や顧客の写真を共有しているが、そうしたレベルの個々のエンゲージメントは、ブランドが成長するにつれ、より困難になってくる。

そこで登場するのが、ソックソーホーが開発中の独占技術だ。これには商品交換などシンプルな質問に対応できるAIベースのチャットボットが含まれている。たとえば、間違ったアイテムを受け取った顧客は、その写真をアップロードすれば交換品が送られるようになる。より複雑な問題にはフラグが付けられ、カスタマーサービス担当者に引き継がれる。

「私たちは、有人対応の経験を実際に複製できる独自ソフトウェアを社内開発しています。言語、データ、お客様が求めるエクスペリエンスの種類を理解するために、お客様との現在のやり取りなどすべてのデータを収集しているのです」とメータ氏は語っている。

またソックソーホーでは、独自のAIベースのレコメンドエンジンを開発している。これは顧客のブラウジングやショッピングの傾向に基づき、関心がありそうな製品を顧客に勧めるものだ。同社は次に拡大を進めるバーティカル分野を明らかにはしていないが、すでに次の製品ラインに向けたA/Bテストを行っている。

「テックスタックと全体的なサプライチェーンを作り、靴下で確かな成功を達成できたら、ほかのバーティカル分野にも手を広げ、いずれインドのユニクロになることはとても簡単でしょう」とシン氏は述べている。

関連記事:D2C・オンラインブランド専門の卸仕入れサイト「orosy」のベータ版が登場、アカウント審査なしですぐに利用可能に

カテゴリー:ネットサービス

タグ:インド ファッション Y Combinator

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(翻訳:Dragonfly)

インドでフードデリバリー事業を展開するZomatoが100億円超を調達しIPOに向けて準備

インドのフードデリバリースタートアップであるZomato(ゾマト)は、米国のVCであるTiger Globalから1億ドル(約106億円))を調達し、次の段階であるIPOに向けて準備を進めている。

規制当局のファイリングによると同社は、Tiger Globalが設立した「Internet Fund VI」を通じて資金を調達したという。Zomatoの主要投資家であるInfo Edgeは、米国時間9月10日の夜にこの資金調達を認め、新たなラウンドではZomatoの調達後の評価額が33億ドル(約3500億円)になったと付け加えた。

Zomatoの共同創業者で最高経営責任者のDeepinder Goyal(ディープンダー・ゴヤル)氏は、本日従業員に宛てたメールの中で「Zomatoは銀行に約2億5000万ドル(約265億円)の現金を保有しており、さらに数人の『大物』投資家が今回のラウンドに参加し、現金準備金を「すぐに」約6億ドル(約637億円)に増やす予定」と言及した。

「重要なことですが、これらの資金をどのように使うかについては、すぐには計画していません。我々はこの現金を将来のM&Aのための『軍資金』、そして我々のビジネスのさまざまな分野での競争相手からの挑戦や価格競争を立ち向かうために使う予定です」とTechCrunchへのメールの中で付け加えた。

今年初めにインドでのUberのフードデリバリー事業を買収したZomatoは、同国ではProsus Venturesの支援を受けたSwiggy(スウィギー)と競合している。第3のプレイヤーであるAmazon(アマゾン)も市場に参入しているが、現在はバンガロールの厳選された郊外のみでフードデリバリーを提供している。

ゴヤル氏は従業員に「創業12年になるスタートアップであるZomatoは『来年前半のどこか』でのIPOに向けて動いている」と語った。Zomatoがどのようにしてこの目標を達成するかは不明だが、おそらく米国や他の市場での上場を視野に入れているだろう。現在のインドの法律では、スタートアップはインドで上場する前に少なくとも3年間は利益を上げていなければならない。なお現在、この要件を緩和するという動きもある。

Zomatoの新たな公約は、ここ数四半期の事業が大幅に経済的に改善した結果だ。Zomatoは昨年半ばまで、激しい割引を提供することで顧客を獲得し、それを維持するために月5000万ドル(約53億円)以上の損失(未訳記事)を出していた。

首都デリーの南西部のグルグラム(グルガオン)に本社を置くこの会社は、新型コロナウイルスがオンラインでフードを注文するインド人の食欲を台無しにしたため、Swiggyと同様にここ数カ月で何百人ものスタッフを解雇したが「7月にはその月の損失は100万ドル(1億600万円)以下になるだろう」と語っていた。

Zomatoはまた、新しい資本を調達するうえでの障害に直面した。1年前に資金調達ラウンドを開始したが、1カ月前の時点では5000万ドル(約53億円)しか確保できていなかった。同社は当初、今年1月に約6億ドル(約637億円)でこのラウンドを終えると予想していた。

ゴヤル氏は4月にTechCrunchの問い合わせに電子メールで回答した際、「遅れの原因は新型コロナウイルスの蔓延にあるとし、5月中旬までにはラウンドを終了すると予想していた」と述べていた。同氏は本日、Tiger Global、シンガポールの国家投資部門であるTemasek、Baillie Gifford、Ant Financialが現在のラウンドに参加していることを業員に明らかにした。

画像クレジット:Nasir Kachroo/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インドの通信大手Vodafone IdeaがViにリブランド、Jio Platformsの参入で競争激化

インド最大級の通信事業者であるVodafone Idea(ボーダフォン・イデア)は、英国の通信大手Vodafoneグループのインド事業と、インドの億万長者、Kumar Mangalam Birla(クマール・マンガラム・ビルラ)氏が所有するIdea Cellular(イデア・セルラー)が国内で合併してから3年が経過した。同社はこのたび「新たなスタート」を切るために「Vi」とリブランディングした。

ボーダフォングループCEOのNick Read(ニック・リード)氏は米国時間9月7日のオンライン会議で「2つの事業の統合が完了した今、新たなスタートを切る時が来た。だからこそ、今こそVodafone IndiaとIdeaの強みを提供する1つの会社であるViを立ち上げる絶好のタイミングだと考えている」と語った。

かつて4億人以上の加入者を抱える国内最大の通信事業者であったVodafone Ideaは、近年、新規参入のJio Platformsに1億人以上の加入者を奪われている(未訳記事)。

インドの大富豪であるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が率いる通信ベンチャーのJio Platformsは、格安なモバイル通信料金で4億人近くの加入者を抱える最大の通信事業者となった。同社はここ数カ月でFacebook(フィイスブック)やGoogle(グーグル)などの著名企業から200億ドル(約2兆1250億円)以上の投資を集めている

Viのロゴ(画像クレジット:Vodafone Idea)

インドは世界第2位の通信市場で、世界最大のデータ消費国だ。インドでは、12億人が50万カ所の村々で世界で最も安い料金で音声およびデータサービスにアクセスしている。インドのこのユビキタス無線ネットワークは、人々の生活の中でそのリーチと影響力でほかの追随を許しません」と、本日の会議でAditya Birla GroupとVodafone Ideaの会長であるビルラ氏は述べている。そして「私たちの新しいブランドであるViでは、政府と協力してインドのデジタル経済への移行を加速し、何百万もの市民がデジタル革命に接続し、より良い明日を築くことを可能にしていきます」と続けた。

Vodafone Idea(Vi)は、合併以降にまだ利益を上げていない。同社は、現在インドで10億人以上に達している4Gワイヤレス技術に投資し続けることを表明し、合併発表時の2倍のカバー率を実現している。

同社は先週、34億ドル(約3600億円)相当の株式を売却し、社債を発行する承認を株主から得た。同社は2020年9月にインドの最高裁がVodafone Ideaと同じくインドの大手通信事業者Bharti Airtel(バーティ・エアテル)に向こう10年間の負債の支払い猶予を認めたこと(未訳記事)で、インドで必要とされてきた救済措置を受けた。

判決に先立ってVodafoneグループは「インド政府の3カ月という短い期限での負担金の支払いは通信会社にとって実現不可能であり、市場から撤退するしかないだろう」と警告していた。

朝方の取引で10%上昇していたVodafone Ideaの株は、9月7日月曜日の発表直後に3.30%上昇した。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Vi インド

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インドが中国関連アプリさらに禁止、PUBGやBaiduほか100種以上に拡大

国境を接する2大国間の地政学的緊張が激化する中、インド政府は人気モバイルゲームアプリPUBGなど100種類以上をインドのサイバーセキュリティに対する脅威として禁止した。

9月2日インドのIT省は「インドの主権、統合、国防及び公の秩序に対して有害な影響を与える」ことを理由に118種類のアプリを新たに禁止した。この措置は「何千万ものインドのインターネットおよびモバイルネットワークのユーザーを守るためのものだ」という。

今回の措置は2カ月前にインド政府が、TikTok、Alibaba傘下のUCブラウザ、UCニュースなど59種類のアプリを禁止したのに続くものだ。インドはTikTok最大の外国市場だった。

今回禁止されたアプリには、検索エンジンのBaidu(バイドゥ)、企業向け共同作業アプリのWeChat Work、クラウドストレージのTencent Weiyun、ゲームのRise of Kingdoms、ユーティリティのAPUS Launcher、TikTok用VPNサービス、eコマースのMobile Taobao、ビデオホスティングのYouko、ニュースポータルのSina News、カードリーダーのCamCardなどに加えて、PUBGのライト版などが含まれる(禁止されたアプリのリストはこちら)。

今回禁止リストに追加されたアプリの中ではPUBGが段違いにユーザー数が大きい。モバイルアプリの分析企業であるSensor Towerによれば、インドにおける7月の月間アクティブユーザーは4000万人以上だった。インドはPUBGの累計インストール数の4分の1を占めるという。PUGB自体の開発元は韓国企業だが、中国でのゲームの配信については中国のネット大手のTencent(テンセント)が手掛けている。

インドのエレクトロニクスおよびインフォメーションテクノロジー省は声明で「我々は多方面から繰り返しこの問題に関する指摘を受けていた。これにはAndroidとiOSプラットフォーム上のいくつかのモバイルアプリがユーザーデータを盗み、承認を得ないまま常習的にインド国外のサーバーに送信していたという複数の報告を含む。インドの主権とユーザーのプライバシーを害するこれらのアプリに対して厳しい措置を取るべきだとする公衆の意見が高まってていた」と述べている。

世界最大と第2位の人口を誇る両国間の緊張は今年に入って激しく激しさを増した。ヒマラヤの国境紛争地帯における衝突で20人以上のインド兵が中国軍に殺害されるという事件が起きた後、「中国ボイコット」がインドにおけるTwitterのトレンドのトップを占めるようになった。多くのインドのユーザーが中国製スマートフォンやテレビなどの製品を壊すビデオをソーシャルメディアにアップしている。

今年4月にインドは外国投資に関する規制を大幅に見直し中国の投資家に対し事前に政府の承認を得ることを義務付けた。これら中国の投資家は近年インドのスタートアップに対し数十億ドルの投資を行っていた。この後、インドのスタートアップエコノミーにおける中国投資家の地位は大きく後退している。先月アリババグループはインドにおける新たな投資を少なくとも向こう半年中止したと報じられた

8月31日にインド国防省は「先週末、両国の既存の取り決めに反し、国境地帯における領土拡大を図る中国軍によってインド軍が妨害を受けた」と発表している。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook