【コラム】VCは気候変動との戦いで極めて重要な役割を果たすが、すべてを行うことはできない

TechCrunch Global Affairs Projectでは、ますます関係が複雑化しているテック業界と世界政治の関係を検証する。

先にグラスゴーで行われたCOP26は、大惨事を食い止めるだけでなく、気候変動との戦いで民間セクターが果たす役割の重要性を明確にした。メタン排出対策とすり減った経済協力の再燃などいくつか注目すべき政治的成果があったものの、最も期待されていたのは民間セクターの新たな関与だ。

去る2006年、アル・ゴア氏の映画「不都合な真実」は、250億ドル(約2兆8410億円)のベンチャー投資をクリーンテックのために引き出すきっかけとなり、ソーラーとエタノール分野がその中心だった。投資家たちの楽観をよそに、投資のほとんどは数年後に燃え尽き、その結果ベンチャー投資家の多くがその後10年間の大半でクリーンテック分野を回避した。

最初のクリーンテックブームで成功したおかけで、我々はごく自然に、革新的クリーンテックソリューションへの資金提供と規模拡大におけるVCの役割に関して楽観的でいる。COP26が終わり、気候変動に取り組むためのクリーンテックの迅速な導入に世界が依存する今、我々はVCのさらなる可能性だけでなく、その限界も理解する必要がある。

VCの強み

最もうまく行った場合、このベンチャーモデルは若い企業がリスクを負って早期テクノロジーに取り組み、大企業にできないイノベーションを追求することを可能にする。直感に反するかもしれないが、ベンチャーの支援を受けたスタートアップは、パフォーマンスの高いファウンダーと組織が魔法を生み出すだけことに加えて、ずっと大きく資産も豊富な大企業よりも多額の資金を費やすことがよくある。

Tesla(テスラ)はアーリーステージのスタートアップだった10年間、電気自動車(EV)の技術、設計、生産においてVW(フォルクスワーゲン)、Ford(フォード)をはじめとする大手自動車企業より多くの資金を費やし出し抜いた。同様に、スタートアップのJoby Aviation(ジョビーアビエーション)とLilium(リリウム)は、Boeing(ボーイング)とAirbus(エアバス)を電動垂直離着陸機(eVTOL)でを引き離して、QuantumScape(カンタムスケープ)は次世代全固体電池の先頭を走っている。

任期の短さ故に、大企業のCEOは絶え間ない成長やコスト削減その他の「市場主導」の必須要因に集中し、破壊的イノベーションの開発と商業化に必要なリスクを消化することができない。歴史は革新に関する鮮明な教訓で埋め尽くされているが、今も大企業のCEOはリードできていない。その結果、我々は時間軸が長く高リスクでリーダーのいない、VC独自のチャンスを提供する分野を探し続けている。顕著な例を挙げると、Teslaから20年後の今も、輸送分野の電動化にまだチャンスがある。例えば、EV革命が起きている今、EVとバッテリーのリサイクルは持続的成長のために不可欠になりつつある。バッテリーをリサイクルするこの生まれたばかりの分野でトップを占めるのはここでもスタートアップのRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)だ。

ベンチャー投資家は、気候に優しい革新を多くの伝統的産業で推し進めることができる。例えば化学と製造業を見てみよう。これらや他の重工業分野の既存企業は、行動が遅く、カルチャー的に革新への対応能力に欠けている。対してVCマネーは、適応さぜるをえないテクノロジーの開発を支援する。たとえば再生可能エネルギーを使って水から水素を、空気から炭素を分離して持続的に炭化水素を調達し、これらの元素を組み合わせることによって、これまで石炭、石油、ガスから作られていたあらゆる化学薬品を作ることができる。Electric Hydrogen(エレクトリック・ハイドロジェン)やTwelve(トゥウェルブ)などの若い会社はまさしくそれをやっている。

ベンチャー投資家は、核融合エネルギーなどの実験的技術への資金提供でも有利な位置にいる。政府以外で、事実上この分野にいる伝統的企業はなく、成功を掴もうとする大胆な参入企業がない中、この分野はスタートアップに頼っている。2021年、Helion Energy(ヘリオン・エナジー)とCommonwealth Fusion Systems(コモンウェルス・フュージョン・システムズ)など、いくつかのスタートアップが5億ドル以上の投資資本を獲得した。

VCはすべてを解決できない

影響を与える能力に関する私の楽観に関わらず、テクノロジーは、そしてもちろんベンチャー投資は、気候変動に取り組むパズルの1ピースにすぎないことを我々は忘れてはならない。執拗に進む気候変動と戦うために、我々はクリーンテックソリューションを著しく速くスケーリングしなくてはならない。そしてVCは、その重要な挑戦に関わるセクターとして十分に組織化されていない。

まず、低リスクですでに確立されているソーラー、風力、ストレージなどのテクノロジーを、通貨が弱く、ほとんど自由な米国と比べて高い金融コストの国々へ送り込むために、今のVCと比較にならないほど膨大な資金が必要だ。我々の推計によると、30兆ドル(約3409兆2000億円)以上、すなわち現在世界で投資可能な全資金の10%以上が、次の10年に投資される必要があり、リターンは数パーセント程度だ。さもなければ、容赦ない気候変動の波と戦える速さでクリーンなインフラストラクチャーを拡大することはできない。

幸い、現在巨額の資金が再生可能エネルギー投資以下のリターン率で債券に停滞している。向こう10年の課題の1つは、金融市場のその他のセクターに対して、特に新興市場で需要が急増している電力、輸送、材料、食糧などの分野に資産を再配分するインセンティブを与えることだ。高リターンと不釣り合いなスケールの資金が求められるVCは、この巨額にほとんど関与しないだろうが、中枢となるインフラストラクチャーとチャンスに関わっていく。

多くの人々が、この問題を回避する方法として「インパクト投資」を挙げる。そしてそれは正しい。ベンチャー投資の早い時期、我々は新しいスタートアップが資金を手にする唯一の方法であることがよくあり、それに乗じて高いリターンを要求した。自分たちの金銭的インセンティブを犠牲にすることなく、高インパクトなプロジェクトに投資することができたからだ。

しかし、クリーンテックの機会を追求する多くの新ファンドが参入するにつれ、インパクトとリターンのバランスを取ることが難しくなってきた。我々は高リターンと高インパクトの不一致の可能性を認識する必要があり、現在のVCは高いコストと資金を正当化する特異な価値を付加した上で、セクター内の大きな熱狂の中で規律を保たなくてはならない。「ホットな」機会を追求し、より主流のテクノロジーの増殖に焦点をシフトしたい誘惑は非常に大きい。私の見るところ、クリーンテックは今も技術革新のブレークスルーの機が熟しているので、最高の最も影響力のあるVCたちは逆張り哲学を維持して、不人気でアーリーステージで資金を集めるすべが他にない分野に焦点を当てていくだろう。

第2に、政府介入の重要性は無視できない。エネルギーその他の工業分野を汚れた化石ベースのシステムから他へ転換させるために、市場の圧力だけでは十分ではない。株主の要求による実質ゼロ誓約と結果に対する説明責任改善の約束にも関わらず、政府の命令はこのプロセスのスピードアップを要求し続ける可能性が高い。

最後に、慈善活動が重要な役割を担う。私は、非営利団体のMethaneSAT(メタンサット)設立に協力したことが大きな誇りだ。世界の石油、ガス利用から排出されるメタンを衛星画像で監視する組織だ。その影響が明らかであるにもかかわらず、オープンで客観的なポリシー執行という同組織の役割は、営利活動とは合致しにくい。他にも資金を提供し、追求すべき重要な非営利介入が数多くある。

クリーンテックで最も象徴的で需要な企業やテクノロジーのいくつかを初期段階から支援してきたことは大変光栄だ。しかし、これらのテクノロジーとその周辺のスタートアップを活用することは、気候変動に対する我々の戦いの一材料にすぎない。新技術に関する熱狂が、近い将来必要となる歴史的インフラストラクチャー事業から、我々の注意をそらすことがあってはならない。世界の金融資本のかなりの部分がこの分野に注意を向ける必要がある。そして資産、社会、政治、慈善事業といった別の形の資産もまた、今後の世代のより安定した未来を確保するためには供出される必要がある。

編集部注:本稿の著者、Ion Yadigaroglu(アイオン・ヤディガログル)氏は,Capricorn Investment Groupのパートナー兼CapricornのTechnology Impact Fundのゼネラルパートナー。同氏はTesla、SpaceX、Planet、Saildrone、QuantumScape、Joby Aviation、Hellon Energy、Twelve、electric Hydrogen、Redwood Materials、他著名なディープテック企業の早期出資者である。現在非営利団体、Ceresの役員およびMethanSATの技術顧問を務めている。

画像クレジット:Iván Jesús Cruz Civieta / Getty Images

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(文:Ion Yadigaroglu、翻訳:Nob Takahashi / facebook

3Dプリンターがプラスチックでなく濡れた紙パルプを使ったら楽しいアートができる

紙弾(かみつぶて)を撃って遊ぶ子どもたちのように、デザイナーのBeer Holthuisも、いたずらをするための最良の素材は濡れた紙だ、と考えた。彼の3Dプリンター、RepRapの粗末なクローンは、文字通り紙パルプの長い紐(ひも)を吐き出して、プラスチックよりも持続可能性のある3Dオブジェクトを作る。

3DPrint.comの記事によると、Holthuisは、大量の廃棄物で汚染を増大させない素材を探していた。そして彼は、すりつぶした紙に到達した。濡れた紙を押し出すと、パルプの太い飾り紐のようなものができて、それを重ねると装飾的なオブジェクトを作ることができた。

“そうやってプリントしたオブジェクトのデザインは、この技術の可能性と美しさを示すものだ”、とHolthuisは語る。“触感がいいし、紐の太さやプリントのスピードを変えていろんな形を作れる。しかも、意外と強度があって、長持ちする”。

おもしろいのは、彼は天然バインダーを使って層をくっつけているので、完全にリサイクル可能であることだ。紙をマシンに放り込んで、自動的にパルプを作らせたら、リサイクルの過程も自動化されるだろう。でも、このお話の最良の部分は、作品がまるで、高度な知性を持った蜂のコロニーが他の集団と交易するために作った物のように見えることだ。そう思うと、楽しいよね。

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Google Mapsでは水飲み場水汲み場が分からないからTapは水のWazeになってプラスチック瓶を世界から減らそうとする

レンタル倉庫サービスMakeSpaceのファウンダーで元CEOのSamuel Rosenが次のベンチャーを立ち上げようとしているが、それはオンデマンド経済とはほとんど無関係だ。今回Rosenが目指すのは、水の世界だ。

Tapがねらうのは、世界で初めての飲料水のための公開インデックスとグローバルな検索エンジンだ。

水を売るために使われているプラスチックボトルは、いろんな意味で、この惑星を苦しめている。プラスチック製の水の瓶が環境に与える悪影響の90%以上は、製造過程で起きており、そしてGuardianの記事によると、2016年には世界中で毎分100万本以上の、プラスチックのボトルに入った水が売られた。

再利用できる瓶や水筒も使われているが、その場合は水を再充填できる場所を見つけるのが難しい。そこで、Tapの出番だ。

創業まもなくのTapは、水のためのWazeのようだ。ユーザーが提供する情報と、噴水式水飲み器のメーカーからのデータを組み合わせて、Tapは水を見つけるための公共的検索エンジンになることをねらっている。今Tapは、30か国の34000箇所あまりの水汲み場をそのアプリ上にインデクスしている。

Tapはまた、水飲み器のメーカー企業のためのバックエンドシステムを提供したいと考えている。これらの企業は通常、空港や商業施設、公共施設などに装置を売っている。据え付けは顧客が指定した場所に行なうが、どこに売れるか据え付けられるかは、水飲み器メーカー企業の関与の外にある。

しかし、これらの企業は水飲み器のメンテナンスも行なう。フィルターを交換したり、壊れた部品を修理したりしなければならない。常時人の多い場所に置かれた水飲み器は、メンテナンスの頻度も多くなる。

Tapが考えているこれらの企業のためのSDKは、それで作ったIoT的なシステムで、ユーザーがフィルターの劣化や水飲み器の故障を報告する。そしてそれらの情報がダッシュボードに表示される。

そしてRosenが考えている水の検索の収益源は、Googleの検索と同じく広告だ。

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空気から水を採取する技術のコンテストWater Abundance XPRIZEの優勝チームが決定

XPRIZEのWater Abundanceコンペ、空中から水を採取する持続可能でスケーラブルな技術の懸賞は、5月に5社のファイナリストが決まった。その後一社が脱けて、奇しくも代わりに入った一社が優勝をさらった。

コンペの課題は、“1日に2000リットル以上の水を1リットルあたり2セント以下の費用で、再生可能エネルギーだけで大気から収集する”ことだった。それは、不可能と思えるほどの難題だ。

でも多くのチームがさまざまなやり方でこの難題に挑戦した。そして二位入賞のハワイのJMCC Wingは、効率のきわめて高い風力発電機と市販のコンデンサーを併用した。

優勝したSkysource/Skywater Allianceは、すでに海外で多くの実績がある(女優Miranda Kerrの家にも設置)。彼らは商用電力や代替電源を使わず、きわめて効率の良い断熱蒸留法を用いる。

それは海水の脱塩化よりも効率がよく、雨などの水源を必要としない。Skywaterのボックスはさまざまなサイズがあり、冷蔵庫より大きなものもあるが、最大で一日300ガロン(1135リットル)の水を生産できる。これでコストが低くて再生エネルギーだけを使用するなら、2基でコンテストの要件を満たす。

これらの要件への適合ががすべてXPRIZEの検査チームに対して示された結果、最初に予選落ちになった同社が150万ドルの優勝賞金を授与された。

“接戦だったけど、うちのシステムから実際に水が出てくるところを見て感動した。世界中の人びとの命に関わっていることだから”、と同社のJay Hastyが授賞式ビデオで語っている。

しかし、これで水不足の問題が解決したわけではない。でもこのようなコンペは今後の開発を刺激し、人びとの関心も喚起するだろう。Skywaterのシステムが、それを必要とするところにどんどん設置されてほしいが、優勝しなかったチームも研究開発を今後も必ず継続するだろう。

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海を護る非営利アクセラレーターOcean Solutions Acceleratorが最初の育成候補5社を選定

今年の初めにSustainable Oceans Alliance(SOA)は、自然保護に的を絞ったアクセラレーターを立ち上げる、と発表した。そしてそのアクセラレーターOcean Solutions Acceleratorがこのほど、支援する最初のスタートアップ5社を発表した。それらはとっても多様で国際的なので、そのどれかに誰もが積極的な関心を持てるだろう。

NPOのSOAは、謎の暗号通貨億万長者が管理する謎のファンド、Pineapple Fundから資金をもらっているので、アクセラレーターとしての十分な活動もできるはずだ。

今度選ばれた5社は、最初に得られた投資により、この夏ベイエリアで8週間を過ごし、企業の経営など、いろんな人たちからいろんなことを勉強する。つまり投資するだけでなく、彼らに、企業として長続きしてほしいからだ。

募集要項では、ファウンダーの年齢が35歳以下となっていた。自然保護の世界に、若い血を導入したいからだ。選ばれた5社の名前とロゴは、これらだ(下図):

●ロンドンのSafetyNetは、漁網に取り付ける発光デバイスを作っている。それは設定により、寄り付く魚種を特定できる。大量の望まざる魚種を捕獲して廃棄する、という巨大な無駄を防ぐ。

●カリフォルニア大学バークリー校出身のCalWaveは、波力発電の試験と改良を繰り返している。昨年、エネルギー省の巨額な助成金をもらった。今はプロトタイプから大規模インストールによる実機テストへの、移行の段階だ。

Loliwareの食べられるコップ。

Loliwareは、海藻でストローやコップを作った。還元性が良いので、ユーザーが自分で堆肥などへ還元できる。食べて、あなたの胃へ還元してもよい。飲み物を入れると一日しかもたないが、捨てたら約2か月で完全に分解する。あるいは、そのまま食べてもよい。ニューヨーク出身の彼らはShark Tank(マネーの虎のアメリカぱくり版)に出演して、実際にカメラの前で食べたそうだ。Amazonで買えるし、食べた人によると、けっこうおいしいそうだ。

●メキシコのクリアカンのEtacは情報が乏しいが、SOAのプレスリリースによると、“エネルギーや環境目的の機能性ナノ素材を設計製造している。それらはたとえば、石油流出や工場廃液などを浄化できる”そうだ。これは、すごそうだ。

●そして、いまどき、ブロックチェーンなしで済ませられるアクセラレーターはいない。シドニーのBlockcycleは、産廃リサイクルのマーケットプレースを作ろうとしている。単純に埋め立てに向かうよりはリサイクルして再利用した方が経済性が良い、という。なお、今回のスタートアップ募集では、Pineapple Fundからの投資のあと、ブロックチェーン関連の応募が増えたそうだ。

以上5社は、9月11日に行われるイベント(一種のお祭り)でプレゼンを行う。ちょうどその日は、カリフォルニア州知事Jerry Brownの「グローバル気候アクションサミット」がサンフランシスコで行われる。そして10月には、バリで行われるOur Ocean Youth Summitで再度プレゼンを行う。

SOAのファウンダーでCEOのDaniela Fernandezはこう述べている: “イノベーションを促進し私たちの惑星の健康を維持するために、新しい大胆なアプローチが必要なとき、これらの海洋起業家たちは希望のかがり火である。これらのすばらしいスタートアップたちを支援することによって、若者たちが環境の危機を自分たちが直面している問題として捉え、気候や海を害するのではなく、市場がこれらの大勢に逆らう運動から利益を得るよう、発想を転換していくことを期待したい”。

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Google StreetViewの撮影車がロンドンの大気汚染を地図化

来月から二台のGoogle StreetView撮影車が、大気の質を調べるセンサーを乗せてロンドン中を走り回り、イギリスの首都の空気のクォリティを30メートル間隔で地図に落としていく。

またとくに汚染が激しい地区や、汚染があってはいけない地区には街灯や建物などに計100個のセンサーを取り付け、ロンドン市長のSadiq Khanが“世界に類がないほど高度な”という、大気質監視ネットワークが出来上がる。

この1年がかりのプロジェクトの目標は、ハイパーローカルなデータを得てそれらを政策に反映させることだ。Khanは、大気汚染対策を優先課題の上位に挙げている。

StreetViewの撮影車が汚染の監視に利用されるのは、これが初めてではない。3年前には、サンフランシスコのスタートアップAclimaが作ったセンサーを載せた撮影車が、ベイエリアの大気質を地図化した。

ロンドンのプロジェクトは、イギリスのAir Monitors社が作ったセンサーを使っている。

この大気質監視プロジェクトは、大ロンドン政庁(Greater London Authority)とC40 Citiesネットワークの共同事業だ。後者は、気候変動を調べ健康と福利を増進することを目的とする世界中の大都市の連盟だ。

このプロジェクトは慈善団体Environmental Defense Fund Europeが指揮し、Air Monitors, Google Earth Outreach, Cambridge Environmental Research Consultants, University of Cambridge(ケンブリッジ大学), National Physical Laboratory, そしてアメリカのEnvironmental Defense Fundのチームが賛助する。

King’s College Londonは、学校にフォーカスした関連研究を行う。

結果はC40 Citiesネットワークのメンバーと共有され、世界中の何百万もの都市住民のために大気の質を良くしていくための政策に反映される。

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乾燥した砂漠の空気から水を集めるボックス…エネルギーや消耗品不要、キーワードは‘MOF’

私たちにとっては、きれいな飲用水は水道の蛇口から出てくる。でも世界にはそうでない人たちが何十億もいて、研究者たちがその対策を探している。たとえばカリフォルニア大学バークリー校ではあるチームが、電力不要で砂漠の乾燥した空気からでも水を採取できる器具を開発している。サボテンにそれができるのなら、人間にだってできるだろう。

空気から水を集める方法は、従来からいろいろあるが、電気や交換部品(〜消耗品)を必要とするものが多い。でもOmar Yaghi教授が開発した方法は、どちらも要らない。

その秘密は巧妙なソーラー集光集熱器でも、摩擦係数の低いファンによる風力利用でもない。素材がすべてだ。化学者のYaghiは、金属有機構造体(metal-organic framework, MOF)と呼ばれるものを作った。その多孔質の物質は、水を熱心に集めて、それらを放出する。

彼のMOFは小さな結晶の粉末で、気温が下がると水の分子を捕らまえる。そして気温が上がると、その水を空中に放出する。

Yaghiは昨年小規模なデモを行ったが、今回彼とチームは実用量の水が得られる現場テストの結果を発表した

彼らは一辺が約2フィートの箱の中にMOFを敷き詰め、外気にさらした。毎晩、気温が下がると湿度が上がり、水がMOFの中へ捕捉された。朝になると太陽の熱が水を粉末から追い出し、それが箱の側面にたまり、一種のカバーのようなものによって冷水が保存された。その結果、1ポンドのMOFで一晩に3オンス(85グラム)の水が得られた。

それはまだとても少ない量だが、改良は進んでいる。現在のMOFはジルコニウムを使っているが、今テスト中のアルミニウムのMOFはその1/100の費用で倍の水が得られる。

新しい粉末といくつかの箱を使えば、電力も消耗材も使わずに一人の人間の飲用水をまかなえる。水を集めて保存する仕組みが完成したら、上水道システムに依存しないポータブルな給水装置ができるだろう。

バークリー校のニュースリリースでYaghiは説明している: “これまで、このようなものはなかった。それは常温で晴天の環境でも使用でき、エネルギー不要で砂漠で水を集められる。アルミニウムのMOFは安いので、十分に実用性がある”。

彼によると、すでに商用製品を開発中だ。今後さらにテストを行い、機構を改良し、新しいMOFを試して、暑い夏に間に合う製品が完成するだろう。

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