Boltがオンライン小売業者たちにAmazon対抗のチェックアウト体験を提供する

Boltという名のスタートアップが、電子商取引の小売業者たちに、Amazonとの競争の機会を与えようとしている。これまで1年間、公表されることなく運用されてきたこの支払いプラットフォームは、現在100ほどのオンライン業者へと広がってきている。それぞれは、カスタマーチェックアウト、支払い処理、そして不正検知のエンドツーエンドソリューションを含む、様々な展開段階にある。

同社の公式な設立は2014年である、当初はオンラインチェックアウトにおけるデジタル通貨の利用に焦点を当てていた。同社を率いているのが、このアイデアの実現のためにスタンフォード大学を辞めたRyan Breslowと、Eric Feldmanである。しかし、設立から1年間の実験の後、Breslowは小売業者のサイトにおけるオンライン決済体験を向上させる、他の方法があることを発見した。

「チェックアウト体験は素晴らしいものではありません。顧客が『チェックアウト』をクリックしてオンラインショッピングの支払いステップに入りますが、それは裏で何十種類ものツールが動いているのです」とBreslowは説明する。

そこで動いているツール群は、クーポン、ポイント、税金、そして送料などの計算を扱わなければならないチェックアウト体験に加えて、実際の支払い処理、支払いゲートウェイ、不正検知などにも関わっている。

「このように、電子商取引はレイヤリングするという哲学があり、そのレイヤリングによって断片化が生じています」Breslowは続ける。「Boltで私たちが得た洞察は、この仕組の断片化が更に激しくなるほど、オンライン小売業者のパフォーマンスは悪化し、Amazonが更にマーケットシェアを占めるようになるというものでした」。

この問題に対処するために、Boltは体験を最適化するためにデザインされた新しいチェックアウトプラットフォームを開始した。そこには小売店が必要とするすべてのツールが束ねられている。

それには、ロードタイムを加速するために様々な技法が使われた、より迅速で高性能なチェックアウトページも含まれている。例えばフロントエンドコードの事前処理などだ、これによりコードと必要な要素が既にロードされているため、サイトが新しいページにリダイレクトして、ゼロからロードし直す必要はない。

また、チェックアウトページでは、購入を完了するために顧客が通常入力する必要のあるフィールドの数が減っている。これはカートを中途で放棄する比率を下げる効果がある。

チェックアウトを開始する際に、Boltは「ゲストとして続ける」かログインするかの選択肢を提示することはない、Breslowによれば、顧客は自分の選択肢を後悔することがあるので、こうした選択肢が示されると40%がそこで手続きを止めてしまうのだという。

その代わりにBoltは、チェックアウト後の登録機能を提供している。顧客はサイトが支払いを取り込んだ後に、アカウントにサインアップすることができるのだ。

またBoltでは、顧客が請求先住所を入力する必要もない。これは、今日のオンライン支払い処理と根本的な違いがある点だ。

Breslowは、詐欺行為を減らすための手段として一般的に受け入れられている「請求先住所の要求」は、そうしても実際にはほとんど役に立たないと言う。

「より多くのデータが漏洩することで、私たちの個人的な生活がダークマーケットに晒され、顧客を認証するための貴重な識別情報が減っていきます」と彼は言う。顧客に対してこの情報の入力を要求する代わりに(この要求によっても顧客は離脱しやすい)、Boltは不正に対抗するテクノロジーを採用している(そして実際、それが完全なチェックアウト体験を支えている)。

たとえば、ページ上でマウスがどこを移動しているか、情報をフィールドへコピー&ペーストしているかどうか、ミスタイプを行ったかどうか、どれくらいの速度でタイプしたか、その他沢山の要素を追跡している。Boltは、顧客の行動パターンを分析することで、請求先住所を尋ねるよりも、より良い不正行為防止を行うことができると言う。

彼はまた、現在市場にある不正検知会社よりもBoltの方が優れていると言う。なぜならそうした会社はより保守的だからだ。このことは、偽陽性(すなわち正しい注文が怪しいものとして拒絶されてしまう)につながり、電子商取引業者の利益が減少することになる。

Boltの不正検出が信頼できることを顧客に保証するために、同社は不正による支払い取り消しの100%をカバーしている。

Boltの顧客の中にはまだソフトウェアを試用しているだけの会社もあるが、もしそうだとしても、テストするためにはある種の決意が必要である。すなわちBoltに対してその全ての支払とチェックアウト体験を委ねることになるからだ。

Boltはまた、小売業者たちの現在の決済業者に比べて、遜色ない処理手数料を提示することで、切り替えを促そうとしている。

Boltには現在約100社のクライアントがいるが、そのほとんどが中規模、すなわち扱い高が7から8桁(100から1000万ドル)規模の業者である。ここにはInvicta(腕時計)、Watches.com、Robert Wayne Footwear、Brian Gavin Diamonds、Adiamor Diamond Jewelry、State Bicycle Co.などが含まれている。

同社の技術が競合相手に比べて、高価なものであることをBreslowは認めている(月額費用に関して)。しかし同時に、それは売上の向上で埋め合わせることができると主張している。同社はトランザクションごとに安価でフラットなパーセンテージベースの手数料を徴収するが、どの場合にも10から50%の売上増がみられるということだ。(数字の幅が広いのは、他に比べてチェックアウト実績が芳しくないクライアントがあるからだ)。

まとめると、Boltはその迅速なチェックアウト、A/Bテスト済のチェックアウト体験、そして不正検知によって、Amazonのワンクリックチェックアウトが支配的な世界での対抗手段を、その顧客たちに対して提供できると考えているのだ。

Boltの30名のフルタイムチームには、共同創業社のEric Feldmanの他に、Google、Facebook、Twitter、そしてAirbnbからの転職者や、(デジタルギフトカードの)CashStarでの経験をもつ人材が属している。

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同社の調達額は公開されていない(「シードよりは多額です」とBreslowは語る)が、PayPal、Intuit、Splunk、StubHub、Oculusの創業者たちを含む多くの投資家たちや、スタンフォードのStartXファンド、スタンフォードのコンピュータサイエンスの教授Jay Borenstein、Streamlined Ventures、Floodgate(Mike Maples)、Great Oaks VC、Trevor Traina、Brainchild Holdingsなどからの投資を受け入れている。

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(翻訳:sako)

Amazon Primeの月額会費が値上げされる、年額一括払いなら変化なし(アメリカのみ)

この寒い1月の朝に悪い知らせで申し訳ないが、AmazonのPrime(プライム)の会費が値上げされる。月額では10ドル99セントから12ドル99セントへ、合計の年額では24ドル増の156ドルになる。

Amazonは本誌TechCrunchに値上げを確認し、同社のPrimeのページでも告知している。重要なのは、値上げが月額会費のみであること。年額を一括払いしていた顧客は、今後も99ドルのままだ。ということは、Amazonはできるだけ多くの人を年額払いの会員にしたいのだ。なお、年額会費は2014年に改定され、20ドル値上げされた。

学生向けのPrime Studentも月額会費が値上げされ、今の5ドル49セントから6ドル49セントになる。年額一括払いの会費は49ドルのままだ。

Amazonのエコシステムにどっぷり浸かっている人なら、新しい会費になっても逃げ出す気にはならないだろう。送料無料があるし、ビデオや音楽などの無料アクセスがある。Amazonはそうやって、消費者のためのワンストップショップになることに大成功したのだ。これをきっかけに年額一括払いの会員が増えたら、さらに大成功だろう。

新料金は新会員には今日から適用される。既存の会員には2月18日以降の最初の決済から適用される。

〔1月20日午前現在、amazon.co.jpにはプライムの会費値上げに関する情報はない。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Robomartは街角の小売店に挑戦する最新のスタートアップ

つつましい近隣の小売店たちに対する、スタートアップたちの攻撃はますます激化している。

最初に登場したのは名称が物議を醸(かも)したBodegaだ。街角の小売店が扱う生鮮食品以外の食品や生活必需品を、様々な場所で売ることで、街角の小売店を「置きかえよう」という試みだが、その登場はいささか問題含みだった(※Bodegaという言葉はスペイン語で「お店」と言った程度の意味で、米国内に多く存在する「bodega」は南米からきた住民たちのコミュニティの中心となる機能を果たしている)。

そして今度はRobomartだ。卸売業者や大手小売業者が使うことを想定したサービスで、食品や雑貨、焼き菓子、スーパーの惣菜などを顧客の玄関先まで届けるというものだ。

創業者のAli Ahmedが、構想10年を経て生み出したRobomartは、自律移動する食品雑貨店だ。

Robomartは、この連続起業家の最新スタートアップなのだ。Unileverの従業員だったAhmedは、10年前に移動食品雑貨店のコンセプトを思いつき、その後メディアコンテンツのソーシャルシェアリングを行うLuteBoxを創業した。

LuteBoxの後、このロンドンに本拠を置く起業家は、現在はもう運営されていないDispatchを起業した。これは、Magicなどの米国に拠点を置くオンデマンドコンシェルジュサービスと競合するサービスだった。なおMagicはカスタムサービスを売りにしており、ユーザーは(料金を支払えば)およそ望むものを何でも手に入れることができる(とはいえ虎を手に入れることはできなかったが)。

最盛期にはDispatchは1500人の配達員を抱えていたが、入ってくる注文の多くは食品雑貨の配達を希望する人びとからのものだった(これはInstacartなどが食品雑貨の配達を始める以前の、オンデマンド黎明期の話だ)。

投資家たちがDispatchからAhmedを引き抜いた後、起業家はカリフォルニア州サンタクララに移り、Robomartを開始した。

「私たちは新しいカテゴリーを作り出していると信じています」とAhmedは言う。「私たちはサイドウォークロボット(街中で自動配達を行うロボット)と競合していると考えているのです」。とはいえ実際のところ、Ahmedは街角の小売店たちと競合しているように見える。そうした小売店たちと似たような品揃えの商品を少量だけ扱い、近隣性と便利さを武器として。

サイドウォークロボットたちがカリフォルニアで数々の抵抗に直面しているように、Robomartも様々な困難に直面することが予想されている。運行場所と駐車場所が、その中でも最大の課題だ。

Ahmedは、地元の小売店たちが共同で、大規模小売業者たち(もしくは直販手段を探している卸売業者たち)と競争するために、この自律配送車両を購入することができると主張しているが、そうした大規模小売業者たちこそがRobomartを採用する可能性が高い。

Robomartを採用する際には、プラットフォーム、車両などのすべてを24ヶ月のリースで契約する。「新しい店舗を開くよりもかなり安くつきます」とAhmedは語る。「そして消費者の皆さんは、事前注文しなくても商品を買うことができるのです」。

車両には冷蔵システムまたは保温システムが装備されている。Ahmedは卸売業者たちと、食品雑貨店の通路を模倣した複数のトラック(乳製品、肉類、野菜類など)を用意する話を進めていると語った。

小売業者たちの得られるメリットは、Ahmedの言うところによれば、この技術をライセンスした食料雑貨店や小売業者たちは、買い物客の情報を他者(Uber、Postmates、Instacartその他)に渡すこと無く、手元に留めることができるというものだ。

Nvidiaのスタートアッププログラムに参加しており、Architypeのインキュベーターならびにコンサルティングプログラムの卒業生でもある同社は、Corbinとの提携によって、現在プロトタイプを開発中である。Corbinはかつてもてはやされ、やがて失望を招いた過去をもつ、試作電気自動車の開発者である。そしてもう1社の協力社がHevo Powerだ。Hevo Powerは電気自動車へのワイヤレス充電を目指すスタートアップだがまだ製品の出荷はしていない(とはいえHavo Powerはカリフォルニアの砂漠にあるグーグルの最高機密自動運転車本部のプロトタイプに採用されていると伝えられている)。

これらはオペレーションの成功を確信させるパートナーたちではないが、Ahmedは食品卸売業者や大規模小売業者たちと車両の開発について協議していると語る。

そしてAhmedは、実際の展開が始まるときには、完全に自律的なものになると主張している。同社は、そのテクノロジーを食品雑貨店にライセンスすることを目指している。提供されるものはRobomartの車両、ワイヤレス充電装置(Hevo Powerによる)、そして自動車両管理システムならびにオンデマンド注文システムである。これらはRobomartの3人の技術者によってデザインされているものだ(彼らは皆LuteBoxの時代からAhmedと一緒にやってきた者たちだ)。

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(翻訳:sako)

Amazonのクリスマス商戦のトップセラーはEcho Dot

クリスマス商戦が終わったところでAmazonは売上データの一部を公開した。今年のクリスマス・シーズンにAmazon.comで一番売れた製品はEcho Dotだった。これはAmazon製デバイスだけでなく、すべてメーカーのすべてのカテゴリーを通してもっとも売れたデバイスとなった。数百万台が販売されたという。

AmazonのAlexa搭載デバイスでは、Echo Spot、Echo Dot、Echo Buttonsがいずれも売り切れた。ただし事前に予約して顧客は製品を入手できた。AmazonのAlexaアプリはAppleのApp Storeと Google Playの双方7でクリマス当日のトップを占めた。大勢の顧客が手持ちのデバイスにAlexaをインストールすることにしたようだ。Amazonによれば、トータルで「世界い数千万のAlexa搭載デバイスが存在する」ことになったという。

Echo Dotと並んで、Alexaによる音声認識リモコンを同梱したFire TVスティックもAmazonデバイスのトップセラーとなった。今年のクリスマス商戦では、昨年同期に比べて、Amazon Fire TVスティックは2倍以上売れた。昨年より「数百万台も余計に売れた」という。

クリスマス商戦ははAmazonにとって最大のセールとなった。 「世界中の顧客が買い物で新記録を作る勢いだった」とAmazonはプレスリリースで述べている。わずか1週間で400万人以上がプライム会員に登録し、無料のトライアルを始めたという。

Whole Foodsは今やAmazon傘下だが、Amazonはこの高級スーパーマーケット・チェーンについてもいくつか面白い数字を発表している。たとえば、今年のクリスマスにアメリカ各地のWhole Foods Marketのクッキーバーで227トンのデザートが売れたという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

コンテンツ・クリエイターたちのネット上の事業化を助けるPodiaがシード資金を調達

一年半あまり前に本誌で取り上げたCoachは、個人教師(tutor, チューター)やそのほかのフリーランサーに、ネット上で自分のビジネスを成り立たせるためのツールを提供していた。しかしその後同社は方向を大きく変えるとともに、最近300万ドルのシード資金を獲得したことを発表した

そして、名前をPodiaに変えた。

CEO Spencer Fryの説明によると、Coachのユーザーは個人教師がそんなに多くなくて、むしろいろんなタイプのコンテンツ・クリエイターが多かった。したがってスケジューリングとか請求事務など、個人教師のための機能はあまり利用されなかった。そこでFryは、“コンテンツ・クリエイターのためのデジタルショップを作るサービス”、に特化することにした。

“収益源としては、最近の広告はコンテンツ・クリエイターにあまり向いていないし、アフィリエイトは小さなニッチビジネスにとどまっている。売上は、コンテンツを売ることから得るべきだ”、と彼は語る。

PodiaのWebサイトでクリエイターたちのプロフィールを見ると、同社の顧客の多くは今でもオンラインのクラスやハウツーのコンテンツを売っている。そのテーマは、マーケティングプログラミング食べ物(健康食など)などさまざまだ。Podiaに登録しているクリエイターは今7500名あまり、そのうちのほんのひとにぎりが、昨年10万ドル以上を稼いでいる。

コンテンツ・クリエイターたちの収益化を助けるツールはほかにもあるが、でもFryによると、GumroadやPatreonなどは、ニッチ的なビジネスモデルにのみフォーカスしている。それに対してPodiaは、クリエイターたちがオンラインのコースに課金したり、何かのダウンロードを有料にしたり、また有料会員制を設けたり、どんなビジネスモデルでも展開できる。また、自分の顧客リストを利用して簡単なメールマーケティングを繰り広げるツールも提供している。

Podia

Fryの主張によると、Podiaのやり方は全体的に“とってもクリエイターフレンドリーである”。何よりもまず、それは完全にホワイトレーベルのソリューションなので、各人が自分のWebサイトやドメインでビジネスを展開できる。

そして決済も、支払いは直接、クリエイターのPayPalやStripeのアカウントへ行き、手数料はない(Patreonは最近、それで失敗した)。Podiaの収入は、月額39ドル(初回のみ)または79ドルの会費のみだ。だからPodia経由で数十万ドル稼いでも、月に79ドル払うだけだ。

ところでシード資金を提供した投資家は、Zelkova Ventures, Designer Fund, そしてNotation Capitalだ。

名前を変えたことについてFryは、“Coachという名前はすぐに嫌いになった。そもそもGoogleの検索で‘うちのCoach’がなかなか見つからない”、という。podium(土台)の複数形であるPodiaなら、その問題もないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Walmartがパーソナライズドショッピングサービスと、レジの無い店舗を開発中

Recodeの報道によれば、Rent the Runwayの共同創業者Jennifer Fleissによって率いられるWalmartのCode Eightが、ニューヨークの忙しいお母さんたちのためにパーソナルショッピングサービスの試験を開始した。Code Eightは、WalmartのスタートアップインキュベーターであるStore No. 8の一部である。Recodeによると、Code Eightのサービスコンセプトは「忙しいNYCのお母さんたち」が商品のおすすめを知り、それをテキストメッセージ(SMS)で購入できるというものだ。このショッピングサービスは現在、健康、美容、家庭用品、そしてアパレル/アクセサリーに焦点を当てているということである。

過去に出された求人リストによれば、Code Eigntは「信頼できるパーソナルショッピングコンパニオンとして、都会の消費者の皆さまに感動と喜びを届けたい」と述べている。

また他の求人リストに掲載されたものによれば「秘密のソースは、お客様の信頼を勝ち取るために、どの商品がベストであるかを決めるだけでなく、何故それがベストであるかも決めることです。私たちはスタイル、価格帯、有機/天然の嗜好、その他のパーソナルなデータに基づいて提案を行います」ということだ。

現行の求人情報では、Code Eightはその目標を「機械学習、自然言語処理、そしてパーソナライゼーションアルゴリズムの活用によって、従来のコマースでの主導権を取りながら、限界を押し広げていくことです」と述べている。

このテックインキュベーター(Store No. 8)が取り組んでいる、もう1つのプロジェクトがProject Keplerだ(Rocodeが最初に報告した)。アイルランドのダブリンにあるJetのオフィスが出したコンピュータビジョンエンジニアの求人情報で、WalmartはプロジェクトのKeplerの使命は「進化していく顧客の期待を捕らえ提供するために、新興技術を活用して店内体験の変革を創り出すこと」であると説明している。「その成功のためには、ミッションベースの複合機能チームが必要です。高い起業家精神を持ち、協力的で、未解決の問題の解決に対して情熱的である人を募集しています」。

報道によれば、目標は運営のために行列やレジを必要としない物理的な店舗を作ることだと言われている。昨年Amazonは、アプリベースの食品ショッピング体験を提供する、レジの無いAmazon Goのベータ運用を開始した。

これらの全ては、WalmartがJet.comと同社の創業者Marc Loreを、30億ドルで獲得してから起きた話だ。昨年WalmartがJet.comを買収したとき、Walmartは消費者基盤を拡大し、シンプルで簡単なショッピング体験を提供することを計画していると語った。これはまさにWalmartが、「富裕層」の個人的なショッピング経験に対して狙いをつけていることを物語っている。

Walmartに対してコメントを求めた。何らかの回答があった場合には記事を更新する。

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(翻訳:sako)

FEATURED IMAGE: JOE RAEDLE/GETTY IMAGES

Alibabaは間もなく巨大な自動販売機で車を売り始める

先週Alibabaは、中国国内でのFordの電気自動車販売を手伝う契約を結んだことを発表したが、大手メーカーの名前が挙げられたことの他に、その発表で最も興味深かったのは提案された販売用の自動販売機だった。そしてそれがどのようなものになるのかが、いま明らかになった。

その「自動車自動販売機」は、いわば「トイザらス」の店内でみかけるようなものが巨大になった、未来的建物である。

Alibabaはオンラインセールスプラットフォームを、オフラインの小売と統合する動きを推し進めてきている。その中には、例えば最近行われたスーパーマーケット運営会社Sun Artへの29億ドルの投資なども含まれている。しかし、今回の新しいプロジェクトは同社の最新戦略の明らかな例の1つとなるものだ。

試乗プロセスは、顧客がAlibabaの淘宝網(タオバオ)アプリを使って、試乗してみたい(そしておそらくは買いたい)車を、カメラを使ってスキャンするところから始まる。システムが車両を認識できると、次に色を選ぶことができる。そして基本情報と自撮り画像を送信して、もし車両が空いていれば試乗予約が行われる。

その後、顧客は無人の自動販売機施設に向かい、自分の顔を見せる(このために自撮り画像を送っていたのだ)、この段階で注文が参照され、車が出庫される。

試乗期間は3日間である。その後、淘宝網経由でそのまま車を購入したり、別のモデルの試乗を予約することができる。

Alibabaは、1月に2店舗をオープンすると発表している。1店舗は上海に、もう1店舗は南京だ。究極の目標は、コーラを買うようにお手軽に車を買えるようにすることである。そしてAlibabaは、2018年の内に中国全土に「数十」の店舗を構える計画だ。

誰でも3日間車を借りることができるというのは危険なビジネスである、2ヶ月間に行える試乗は5回以内といった利用条件に加えて、Alibabaは独自のファイナンシャルサービスを使って車の借り手を精査し識別を行う。

ユーザーは、Zhimaのクレジットスコアリングサービスで一定のレベルに達した場合にのみ、無料のテストドライブの資格を得るが、同時にAlibaba Super Membersである必要もある。

Alibabaが、車や飛行機のような高額商品をオンラインで売るのは、今回が初めてではない。しかし今回は物理的な購買体験と組み合わせているところが新しい試みだ。3分間の動画ではそれは素敵なものに見えるが、この先現実で試されることになる。

自動販売機型の車のショールームは新しいコンセプトではない。今年シンガポールでも1つ開始されている。そしてドイツとナッシュビルで行われている他のプロジェクトは、それ以上に長く続いている。

出典: Hat tip Tech In Asia

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(翻訳:sako)

東南アジアは世界で三番目に大きいインターネット市場だ…Googleらの調査報告より

東南アジアは今や、世界で三番目にインターネットユーザーが多い地域だ。そのオンライン人口はアメリカの全人口よりも多く、インターネットが地域に与える影響も、思った以上に大きい…Googleらが共著した最新の報告書が、そう言っている。

アジアの新興経済が話題になるときは、中国とインドがもっぱら取り上げられる傾向があるが、インターネットが人びとの生活を変えて新しい機会を作り出しつつある市場としては東南アジアが急速に脚光を浴びつつある。これまではデータが少なくて、そのポテンシャルを特定することも困難だったが、しかしGoogleとシンガポールの政府系ファンドTemasekが今日(米国時間12/12)リリースした、当時から多く参照された2015年の‘e-Conomy SEA’報告書の改訂版は、成長が当初の予測を超えていることをとくに強調している。

その最初の報告書は、2025年における東南アジアのインターネット経済の規模を2000億ドルと予測していたが、新しい報告書は、2017年には500億ドルに達しており、その成長率を2025年に延伸すれば2000億を超える、としている。

当地域におけるインターネット上で最大の支出項目である旅行関連は、2015年の191億ドルから2017年には266億ドルに飛躍している〔下図下から二番目の色分け〕。しかし成長率が大きいのは、eコマース〔下図いちばん下の色分け〕とライドシェアサービス〔下図いちばん上の色分け(黒)〕だ。

ここでのeコマースは中古品や消費者間取引を含まないが、2015年から2017年にかけての成長率が41%で、2017年には初めて100億ドルを超えている〔下図〕。そしてこの報告書の予想値としては2025年に880億ドルに達し〔下図〕、上記4分類の中では最大の項目になる〔上図〕。

UberとGrabが東南アジアのライドシェア市場を争っている中で、ご当地ユニコーンのGo-Jekは地元インドネシアを超える拡大をねらっており、そのことが今回の報告書の数字にも反映している。

すなわちライドシェアサービスへの支出は2年間で倍増以上となり、2017年には50億ドルを超えた〔下図〕。そして2025年の予測は200億ドル超、その額は最初の報告書では130億ドルだった。

東南アジア最大の経済圏インドネシアが最大のシェアを握ると思われるが、具体的な数字を挙げている2015年の報告書では、その売上シェアを40%超としている。

さらに旅客数については、2015年から2017年にかけて4倍超増〔下図左〕(2017: 600万/日)、ドライバーの数も同じく4倍超増〔下図右〕(2017: 250万)、としている。

このほか、以下のような所見もおもしろい:

  • 東南アジアにおけるモバイル上のインターネット時間は1日平均3.6時間で、世界最長。最長はタイの4.2時間、次位がインドネシアの3.9時間だ。アメリカは1日2時間、イギリスは1.8時間、日本は1時間だ。
  • 毎月のネットショッピング時間は140分。東南アジアの人びとがeコマースのマーケットプレースで過ごす時間はアメリカ人のほぼ2倍である。当地域のeコマースの市場規模は2025年で881億ドルだ。
  • ライドシェアサービスの一日の利用者数は2017年で600万人〔上図〕、東南アジアにおけるこの業態は2025年の売上が201億ドルとなり、2015年の4倍である。
  • 東南アジアのスタートアップは2016年以来、120億ドルあまりを調達した。それはGDPの0.18%に相当し、インドと並んでインターネットのポテンシャルへの信任は厚い。

報告書の全文はここにある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonのお宝トラックがイギリスにも登場へ――Treasure Truckは走る物理店舗

AmazonのTreasure Truckは最初に発表されてからアメリカで広く運用されるまで2年も待つ時間があった。Amazonでは最近このサービスの国際的拡張を開始したようだ。 「走る物理店舗」のサービスの展開では、アメリカ同様、イギリス進出でも入念な準備を行っており、当面、Treasure Truckはロンドンとマンチェスターの2都市を走ることになる。

具体的なスケジュールが明かされていないのはサプライズの要素を残したいかららしい。しかしTreasure Truckは今年中に左側通行の道路を走ることになりそうだ。イギリスの街は派手な塗装のトラックからお宝をゲットしようとする人々で活気づくだろう。

Treasure TruckはAmazonの実験として非常に成功しているようだ。最初のトラックがお目見えしたのは2016年始めだったが、たちまち大人気となった。現実店舗のように新たに存在をアピールする必要がない(Amazonはそれでもしきりにアピールしているが)。スマートフォンから注文し、トラックのルートを調べて便利な場所で商品を受取るのはオンライン通販と現実のブッリック・アンド・モーター店舗を巧みにミックスさせたシステムだ。

トラックは居場所と積んでいる「お宝」をテキスト・メッセージでユーザーに送る。これまでGoProのカメラや任天堂のNES Classicなどが数量限定の大バーゲンで販売されている。Amazonはまた地元に合わせたびっくりも用意してきた。シアトルではプロフットボールのシーホークスの元ランニングバック、マーショーン・リンチがトラックを運転し、ニックネームのビーストモードにちなんだデザインのAmazon Echoを販売したりした。

ロンドンとマンチェスターの後、「他の都市にもがたごと走って行きます」とAmazonでは約束している。

〔日本版〕TechCrunch記事によれば、ユーザーはTreasure Truckの商品をスマートフォンから注文し、トラックの運行ルートを調べて都合のいい場所に出向いてピックアップする。商品の多くは「一人一点限り」で大幅なバーゲンとなっている。ネーミングは海洋冒険小説の古典、「宝島(Treasure Islandのパロディー。上はAmazonが作成した海賊テーマの紹介ビデオ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

成功する消費者プロダクトのスタートアップを見分ける方法

【編集部注】著者のMatt HeimanはGreylock Partnersの投資家である。

ほぼ3年前、Saar Gurと私は、ベンチャーキャピタリストたちによって見過ごされてしまうことの多い、初期段階の消費者向けプロダクト企業たちが、如何に大成功を収める可能性を秘めているかについて、記事を書いた。 その当時、VCたちは、消費者向け直販ビジネスに大きな成果がみられないことや、どのブランドが成功するかが難しいことを理由に、このカテゴリーにほとんど関心を抱いていなかった。

その記事が出た後、ユニリーバはDollar Shave Clubを10億ドルで買収し、WalmartはBonobosを3億1000万ドルで買い、KelloggがRXBarを6億ドルで獲得し、そしてPurple Mattressは実質ほぼ10億ドルで公開を果たした。どの会社もまだ創業10年にも満たない企業ばかりだ。そしてWarby ParkerDaniel WellingtonGlossier、そしてAllbirdsといったその他の企業たちは、独立を保ったままではあるものの、いずれもわずか数年のうちに、数億ドルに達する売り上げを達成しているようだ。

これらのスタートアップたちは、ミレニアル世代の消費習慣の変化に恩恵を受けているだけではなく、まだ十分に活用されていないデジタルマーケティングチャネルを通して、消費者たちにリーチして、ブランドへの認知度を高めている。実店舗の棚をAmazonが置き換え、TVスターたちをソーシャル・インフルエンサーたち(ソーシャルメディアで影響力のある人たち、YouTuberなど)が置き換えたように、新しいブランドはこれらのチャネルを活用するだけではなく、プロダクトとビジネスモデルをそのチャネルを中心に構築している。

そうした領域での成功が、およそ想像できる限りの各プロダクト業界で、競合を仕掛ける企業を生み出していることは意外なことではない。とはいえ、全てのプロダクトが、テクノロジースタートアップによる破壊的挑戦(ディスラプション)に適しているわけではない。Andy Dunnは「Digital Native Vertical Brands(DNVB:デジタルネイティブな直販ブランド)の台頭」という素晴らしい記事を書いたが、どの”DNVB”が最も成功するのかを、どうすれば見分けることができるのだろうか?以下にその着目点を見ていこう。

dollar shave club

現行チャネルの不便さとユニークなデジタル体験の提供

DNVBの典型的な特徴は、オンラインで販売されることだ。そしてオンラインでの販売が最も効果を発揮するのは、既存のオフラインチャネルを通じて購入を行う際に、どうしてもつきまとう不便さがあるときだ。

例えばDollar Shave Clubが解消する不便さは、コンビニエンスストアにはカミソリとカミソリの刃が置いてあるものの、それらはしばしば保護カバーで覆われていたり、カウンターの背後に置いてあって、手にとるためには店員が関与することが多いという不便さだ。Warby Parkerは眼鏡店がしばしば、処方箋を持たない顧客を断ったり、対応に時間がかかったりしているという不便さを解決して伸びている。NurxRomanは、人びとがあまり喜んでは話したがらない薬(避妊薬や勃起不全治療薬)に対する処方箋を得る際の、不便さを解消している。

価格の非合理性も、購入時の不便さの一形態だ。たとえば、実店舗でマットレスを購入しようとする場合、製造者たちはそれぞれの店舗に対して少しずつ異なる商品管理単位で出荷しているため、消費者は単純に価格を比較することが困難になっている。CasperやPurple Mattressのようなマットレス直販のスタートアップたちは、そうした非効率性を解消することができた。

処方にきび薬も、生産コストに対して法外な価格が付けられているプロダクトの例である。これは現行、薬が処方され、購入され、そして支払いが行われている方法に起因している。Curologyは、同じ有効成分を含む薬をオンラインで、通常の数分の1の費用で提供することができた。

デジタルによる実現でも明らかに必要なことは、プロダクトをきちんと出荷できる能力だ。オンラインで何かを販売するためには、物理​​的な大きさと経済性を出荷時にうまく扱わなければならない。Casperの成功の重要な、しかし見過ごされている理由の1つは、彼らのマットレスが空気を多く含む素材で作られていて、比較的標準的でコンパクトな大きさの箱の中に圧縮されて届けられるということだ。また、そのマットレスは空気に触れると、勝手に広がって元の大きさに戻るので、顧客に要求される大変な作業は特にない。もしそうではなくて、Casperが完全な形のマットレスをそのまま出荷しなければならなかったとしたら、出荷のための物流はもっと複雑になり、そのことでより販売価格は高価になることだろう。

デジタルによる実現を考える際の、また別のやり方は、インターネットを介して直接消費者に販売することが、伝統的なチャネルでは実現不可能なプロダクトデザインや経済性を可能にする特性だ。

例えば、 Grove Collaborativeは、各種家庭用洗剤を濃縮された形(すなわち水が加わっていない状態)で販売し、出荷時の重量とコストを大幅に削減している。Windexのような既存の競合商品は、物理的な小売店舗の棚スペースに置くことを前提にデザインが最適化されているために、同様のプロダクト革新に踏み切れずにいる。

購入頻度が多いまたは平均注文額が高い

ソフトウェアと同様に、成功する消費者ビジネスは、一般に生涯顧客価値(lifetime values:LTV。1人の顧客がトータルに支払う金額)が高い。高いLTVを達成するには2つの方法がある。1度きりだが高額で高利潤の販売か、あるいはより低額で利潤も低いが何度も繰り返される販売である。

繰り返し、そして頻繁に購入される商品は、特に興味深い。こうしたビジネスでは、新しい顧客の獲得のためにより多くのコストをかけることができる。なぜなら一度顧客を獲得してしまえば、長期間に渡って収益を挙げ続けることが可能になるからだ。過去10年間で非常に成功した消費者ブランドのスタートアップの多くがこの特徴を備えていた。RitualDia&Co.Lola、そしてHubbleなどの、サブスクリプション型や高頻度リピート型のビジネスは、最近のそうしたビジネスのほんの一部だ。

しかしその一方で、それほど頻繁に買われることのない商品を売るブランドスタートアップも数多く存在している。例えば、家具や宝飾品などが良い例だ。これらのスタートアップは、高い平均購入価格に主眼を起き、最初の売り上げでマーケティング費用を回収できる程度の利益を挙げることに注力する。1度きりの高額商品を扱って、大きなビジネスを手にする道は、不可能ではないものの、より多くの困難が待ち受けている。顧客と繰り返し接触する機会が多くないために、新しい商品を紹介する機会を得にくいのだ。

Hubbleのコンタクトレンズは月額30ドル

プロダクトと販売店にとっての高いマージン

考慮すべきもう1つの重要な特性は、カテゴリのプロダクトマージンだ。何が「高くついている」かは、カテゴリ毎に大きく異なる。しかし一般的に言えば、70%以上の粗利益率を持つプロダクトは、特に魅力的なものだ。なぜならその場合はソフトウェアビジネスと同じような特性を示すことになるからだ、特にそれたが上で述べたように高い反復購入を期待できるものなら尚更である。実際、これらのタイプの製品を販売している企業の損益計算書は、ソフトウェアビジネスのものと似通ったものとなる。ほとんどの消費者プロダクトはマージンが30〜50%だが、スキンケア、化粧品、ビタミンなど、70%のマージンを継続可能ないくつかのカテゴリが存在している。

DNVBは通常、直接消費者に対して販売されるため、小売カテゴリ毎のマージンを考慮することも大切だ。食料品のようないくつかのカテゴリでは、小売りのマージンが少ないことは良く知られているが、旅行用カバン、アパレル、アイケアといった他のカテゴリのマージンは、はるかに多い。

よく耳にする都市伝説は、直販をする新しいブランドは、小売に渡すマージンを排除することができるので成功できるというものだ。しかしこれほど間違った認識はない。より大きな小売業者に頼る代わりに、ブランド自身が物流の重荷を自ら背負っているというだけなのだ。そもそも通常大手の小売業者の方が、スケールメリットによって物流をより効率的に捌くことができる。

直販を行なう結果、消費者ブランドのスタートアップは、eコマースプラットフォームの管理、顧客サービス、そして最も重要な顧客獲得といった小売コストを、自分で背負わなければならないのだ。こうしたスタートアップたちは、長期的にも既存の業者より高いマージンを期待してはならないので、マーケティングコストを賄うためには、最初からマージンを十分に高くとれるカテゴリーに参入する必要がある。

ソーシャルメディアでのシェアか、アーンドメディアでの賞賛か

最高のブランドとは、その顧客にブランドとの結びつきを誇らしく思わせるようなものだ。そのようなことが起きるのは、ブランドが顧客のアイデンティティに結びつくことができた場合である。口コミだろうが、最近ならソーシャルメディアだろうか、顧客が積極的にマーケティングしてくれるようなブランドは、顧客獲得のコストを劇的に下げることのできるメリットを有している。

Daniel Wellingtonには現在350万人のInstagramフォロワーがいる。これは従来の広告手段の代わりに、ソーシャルメディアによるシェアを使ってわずか数年で売り上げ2億5000万ドルを達成したブランドの好例だ。別の例では、Glossierが、オンライン販売の70%が個人からの紹介を経由していると述べている。

顧客自身がプロダクトを使っている自撮り写真を投稿しない場合でも、アーンドメディアがそのギャップを埋めることができる。アーンドメディアとは、レポーターやブロガーたちがプロダクトを取り上げてくれることだ。優れた商品にとっては、費用対効果の高いマーケティングチャネルである。魅力的なミッションと創業のストーリーを持った企業は、しばしば沢山のアーンドメディアを獲得することができる。靴と服のブランドTomsは、何か1つの売り上げがあるたびに、1足の靴を必要としている子供に寄付する運動をしているが、重要な社会的使命を掲げることで、継続的にアーンドメディアを獲得し続けている会社だ。また有名人を巻き込むことも、大型のアーンドメディア獲得のための選択肢の1つだ。

このタイプのマーケティングの利点を活かすことが可能かどうかを評価する1つの方法は、カテゴリーの中のブランドの歴史的重要性を考慮してみることだ。たとえば、靴やアパレルのようなプロダクトでは、長年にわたりブランドは重要だったが、マットレスや家具のような業界ではあまり重要ではない。しかし、未来が過去と同じように続いていくと仮定することもまた危険だ。最高の消費者スタートアップの中には、以前は存在していなかったカテゴリーの中で、重要なブランドを打ち立てることができたものもある。

Into the GlossのメイクアップブランドであるGlossierは、完璧なナチュラルルックセットを揃えている。

流行の影響を受けないプロダクト

アパレルなどの特定のカテゴリーは、急速に変化するファッションサイクルの影響を受ける。これらのタイプのビジネスを始めたり投資したりすることは格別に難しい。なぜならば、現時点での成功も確保した上で、消費者たちの未来の嗜好も継続的に予測して行かなければならないからだ。そして何かを象徴するようなブランドは、もし世間の嗜好がその精神とは離れてしまったときには、効果的な発展は難しくなるだろう。

変化する嗜好の移ろいやすさと予測の難しさが、投資家たちが初期の消費者プロダクトに近寄ってこない一般的な理由だ。しかし、消費者の好みが安定していて、その変化も季節ごとではなく何十年もかかって起こるようなカテゴリーも、沢山存在している。例えば、家庭用品、パーソナルケア、および市販薬のようなプロダクトたちは安定している。

おわりに

上記は、消費者プロダクトのスタートアップを成功に導くものを、完全に包括的に示したものではない。これらのルールの(すべてではないにしても)多くを破っていて、それでも大成功収めている例も確かに存在しているのだ。例えばAllbirdsは、上記の基準の多くにきちんと適合してはいないものの、大きな成功を収めているように見える最近の例である。

歴史的に見れば、各世代では常に、後によく知られた名前になる新しい消費者ブランドたちが生まれていた。現在の環境のユニークな点は、新しいブランドたちが、卸売チャネルの制約なしに対象となる顧客たちに直接アクセスできる可能性があるということだ。従って急速に拡張できる可能性もある。

もちろん、多くの新しい消費者ブランドのスタートアップたちは成功しない。それがこのゲームの特性なのだ。しかし、今や勝ち残れる者たちにとって、オッズは上昇し、得られる賞金は創業者たちや投資家たちが注目すべき程に多くなっている。

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(翻訳:Sako)

Amazon時代のeコマース投資を考える

【編集部注】著者のSunny DhillonはSignia Venture Partnersのパートナーである。

Amazonが800ポンド(362キロ)のゴリラとして立ち塞がっているために、私の投資家仲間たちの多くはeコマース市場を無視することにしている。実際この業界は、取引や投資の面で最近低迷している。しかし、WalmartによるBonoboの3億1000万ドルの買収や、Stich FixIPOが示すように、この業界にも投資家たちにとってのエキサイティングな機会がまだ沢山あるのだ。

投資機会を探る中で、私はさほど多額の資本を調達することなく多くの売り上げを果たしたあるブランドにも遭遇した。ただし、この売り上げは旧来の小売チャネルを通して達成されたものだった。残念ながら、私のようなベンチャー投資家にとってとても大切なチャネル、すなわちeコマースを通してのものではなかったのだ。

私がこの消費者に直結するeコーマスのチャネルを高く評価している理由は何だろうか?1つは、eコマースのマージンが優れているからだ(従来の小売チャネルなマージンが50%程度なのに比べて、80%ほどのマージンが期待できる)。しかし、さらに重要なことは、単純に小売では実現できないスケールの可能性を提供するからだ。私の祖父はその織物業を、取引相手や店を1つ1つじっくりと増やすという形で、段階的に成長させた。それぞれの取引に賭ける根性と情熱は、子孫の1人として称賛に値するものだった。しかし、今日では、Facebook広告の助けを借りたDollar Shave Clubの古典的な広告や、インフルエンサーや有名人による推薦などで、セールスを一晩で急上昇させることが可能だ。

人びとは、20年以上に渡ってオンラインでショッピングをしていて、私たちも多くの象徴的なブランドが、オンラインから生まれたことを知っている。こうしたブランドの背後の多くには、Forerunner Ventures(Warby Parker、Glossier、Bonobos)や、Maveron(Everlane、Madison Reed)といった素晴らしい投資家たちが控えているだけでなく、Kal Vepuri、Divya Gugnani、Rohan Ozaなどの、消費者ブランディングに通じた素晴らしい起業家たちやマーケッターたちなどの存在もある。彼らはクールな物品を手頃な価格で作る手段を知っているし、適切な時期が来た時には、その会社を大きなM&Aの対象として位置付けるやり方も熟知している。

これらの投資家や個人たちが知っているように、10億ドル規模の買収は、eコマーススタートアップを拡大し取り込む事で、買収側の拡大を助けるために行われる。Jet.com (Walmart)、Dollar Shave Club(Unilever)、 Chewy.comPetSmart)、そしてLazada(Alibaba)といった買収は、人材、売り上げ、EBITDA(金利・税金・償却前利益)、サプライチェーン、そして強いオンラインブランドの獲得のために行われた。

こうした経験を通して、私は直接販売ブランド取引にアプローチする際に使う、3つのレンズ(判断基準)を手に入れた。以下にそれを説明して行こう。

破壊する(ディスラプトする)対象はどこか?

現状の問題を特定することが、しばしば新しい会社が必要とされる理由の出発点となる。例えばそれは、非倫理的もしくは不健全なサプライチェーン(Everlaneが破壊したようなもの)や、古い消費者たちに結びついている退屈なブランドや、あるいは多大な利益をとっている現行ブランドよりも安価で格好良い類似製品を提供すること(Dollar Shave対Gilletteのようなもの)といったものだ。

私はCAC(costs of customer acquisition:顧客獲得コスト)についても気にしている。eコマースに対する一般的な認識では、米国内商取引のオンライン取引は10%未満であるため、最終的には製品に対する潜在顧客が枯渇してしまう。FacebookやInstagramの広告では、これまでのところデジタルオーディエンスにしかリーチできていない。もし日頃オンラインショッピング生活をしていない顧客へと拡大したいと思うなら、一般的なアプローチは、従来のブリックアンドモルタル小売業者(レンガとモルタル=実店舗を持つ小売業者)とのパートナーシップを持つことだ。

例としてCasperを見てみよう。1ヶ月で100万ドルの売り上げを達成し話題になったあと、最初の1年では1億ドルのビジネスを成し遂げたこの会社は、発展しつつあるオンラインベッド業界の紛れもない王者である。eコマースの領域を超えた潜在的顧客の一群を狙って、Casperはまず家庭用家具の小売業者であるWest Elm、次いでTargetと提携した――これはミネアポリスの小売の巨人(Target)が上でも述べたような10億ドル規模の買収をCasperに対して行おうとした後である。ともあれこのアプローチは上手く行ったようだ。Casperの昨年の収益はおよそ2億ドルであり、CEOのPhillip Krimは今年の春の時点で、2017年の収益はさらに倍になるだろうとコメントしている

Casperに限らずeコマースブランド一般で、GoogleやAmazon上での顧客のレビューは本当に重要である。私はかつて自分がマットレスをオンラインで買うことになるとは思ってもいなかった。ベッドのようなものを購入する前には、「耐久性」を徹底的にテストしなければと考えていたのだ。しかし、私もミレニアル世代のショッピング習慣を身に付け、ベッドが快適かどうかを確かめるために自分でベッドを調べて回る必要はないということに気が付いた。なぜならユーザーレビューを信じることができたからだ。

マットレス業界をディスラプト(破壊)するCasper

最終的に対象をどのように攻略するのだろうか。私はeコマース取引関係を改善するために、どのようにデータを利用しているかに関心がある。Constructor.ioのような企業は、巨大なeコーマス企業たちの検索機能を強化し、プロダクトに対するサイト内検索機能を構築する効果を実証している。人びとが探しているものを分析することで、ベンダーがストックすべき新規もしくは隣接したプロダクトカテゴリー戦略への、豊富な洞察が得られるのだ。

また、どの顧客に対してどのプロダクトのリピートが成功したのかという情報からも、多くの洞察を引き出すことができる。もし小売店舗を持っているのなら、顧客が物理的な店舗内にいる間に集められるデータを活用しているだろうか?例えばRetailNextは、戦略的に配置されたカメラとコンピュータービジョン技術を使って、顧客候補が来店してから売り上げに至るまでの全ての出来事に関する洞察を、小売業者たちに提供する。

中間業者を排除しサプライチェーンを圧縮して、どれだけプロダクトをより直接的に顧客のもとに届けことができるだろうか?

このような中間業者の人間たちを排除する

デジタルファースト(場合によってはデジタルオンリー)ブランドは、サプライチェーンに対する迅速なオペレーションから利益を得ることができる。一方大規模なブリックアンドモルタル事業は、依然として各ショップで働く販売員と、そうした大規模事業者に対する全国的な配送事業者を通じて行われている。eコマースの買い物客たちは、デジタルブランドが提供する、簡便な比較ショッピングや無料配送、その他の魅力に引き寄せられている。

新しいデジタルブランドが、破壊(ディスラプト)しようとしている既存のブランドと、同じ工場や調達先を使っていても問題はない。新しい会社はミレニアル世代が共感するライフスタイルを売っていて、これに対して既存の会社は両親たちや「老人」向けのものを扱っているからだ。

eコマースプラットフォームを運営しようと考える場合(それ自身がブランド化可能だが)には、Amazon Marketplace、もしくはSignaの投資先の1つであるBoxed Wholesaleのことを考えれば十分である。顧客が一度オンラインマーケットプレイスを信頼すれば、プラットフォーム自身から提供される独自ブランドの製品も信頼するようになる。サードパーティのプロダクトを販売するよりも、垂直統合されたサプライヤーになる方がマージンを高くとれるので、これは一般的に、プラットフォームに対してとても大きな利益をもたらすことになる。

プロダクトにはどのようなブランド化が可能なのか?

オンラインでのブランド化能力、特にInstagram上でのプランド能力は、成功したeコマースを現在構築するためには、欠かせない能力だ。以前の記事で、私はインフルエンサーマーケティングの重要性が増していることについて説明したが、同時にブランド自身の力も重要であることも以下のように指摘した。「インフルエンサーマーケティングが多くの形態をとる一方、偉大なプロダクト、偉大なストーリー、そして魔法を解き放つための優れたストーリーの語り口が常に必要とされている。インフルエンサーをブランドに連れてくるだけで、セールスが上手くいくようになると期待することはできない」。

「オフライン」でのブランド化も重要な考慮事項だ。消費者直販(D2C)ブランドが小売りに参入するときには、その戦略の一部には、CasperがWest ElmやTargetと行ったような、大規模な既存の小売業者とのパートナーシップが含まれることになる。他には、小売りのための「ブランドアンバサダー」(ブランド大使として振る舞う店舗)を開くことも含まれるかもしれない。たとえば、モンゴル系アメリカ企業である、高級カシミアブランドNaadamは最近、モンゴルの遊牧民のライフスタイルと、ブランドのエキゾチックな東洋のルーツのイメージに触発された工芸品を売る期間限定のショップを、ニューヨークに開設した。Glossierは最近ロンドンで期間限定ストアを開き、多くの美容業界のインフルエンサーたちを招いたディナーを主催した。こうした物理的なIRL(in real life:現実の生活)イベントや場の設定は、消費者たちを、彼らの愛するデジタルブランドにさらに固く結びつけるための、実世界でのブランド体験を与えることができる。

上に挙げてきた基準を満たすことは容易ではない、しかしそれらを満たすことのできるスタートアップたちは、私の注目と投資金を引きつけることになるだろう。他のベンチャー投資家たちには賛同して貰えないかもしれないが、eコマースは魅力的な投資機会を提供する、幅広い革新的企業を生み出し続けているのだ。

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(翻訳:Sako)

ブラックフライデーがAmazon CEO Jeff Bezosの総資産を1000億ドルに押し上げる

しかし世界でいちばんお金持ちでも、まだ足りないものがある。

ブラックフライデーでAmazonの株価が上がり、ファウンダーでCEOのJeff Bezosの総資産額はBloombergの推計によると1003億ドルになった。

今年Amazonの株価は急上昇し、それによりBezosは326億ドルの利益を得た。2017年だけで、だ。

彼はこの金で、何をする気か?

Bezosは、提案を求めている。この夏彼は、Twitterのツイートでアイデアを募った。彼によると、彼が求めるものは、“今すぐにでもできる短期的な人道主義的活動で、緊急のニーズに奉仕すると同時に持続的効果もあるもの”、だ。

12桁というとてつもない額に達したのは、彼が初めてではない。Microsoftの協同ファウンダーBill Gatesは、1999年にこの大台に到達した。

Gatesはその後、投資家のWarren Buffettと共にThe Giving Pledgeを開始し、彼の資産の半分以上を慈善的努力に捧げる、と約束した。彼はまた、全世界の貧困を減らすためのBill & Melinda Gates Foundationも創設した。

Bezosは先月、Gatesを抜いて世界でもっともお金持ちの人物になった。Buffettは789億ドルで第三位と推定されている。

今年のAmazonは、投資家たちがeコマースのトップとして他との差をさらに拡大する、と読んだために、株価が急騰した。同社は、音声アシスタントAlexaなどのハードウェアデバイスでも成功している。

さらに加えてAmazonは、同社のクラウドサービス事業Amazon Web Services(AWS)が成長している。そしてまた、そのほかの分野にも進出しようとしている。たとえば食料品に関しては、今年の早い時期にWhole Foodsを買収した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

独自技術のベッド用マットレスで勝負するPurpleが小売大手Mattress Firmに卸す契約へ

マットレスやベッドまわりなど、ベッド関連のスタートアップは昨年、その売り方が多様化してきた。たとえばCasperやTuft、Needleなどは、自己ブランドの実店舗を立ち上げた。

しかし、最近ニューヨークのシェル・カンパニーと合併したユタ出身のマットレスのスタートアップPurpleは別の道を選び、マットレスの小売大手Mattress Firmと流通に関して契約を結んだ。

なお、CasperもWest Elmや大手スーパーTargetと流通契約を結んでいる。

Mattress Firmは、全国に3500の店舗があるが、Purpleは当面ワシントンD.C.の13店舗のみとし、首都で成功したら今後はテキサス州オースチンやサクラメントにも展開するつもりだ。

Purpleによると、最初に選んだ地域は、市場調査が目的だ。Purpleの次世代製品の試販を行い、とくに同社のHyper-Elastic Polymer®技術のテストマーケティングを目指す。この新製品は、同社によると、“圧力分散が適正化され、ヒップや肩に優しく、しかも体の支持が優れている”。

Purpleの53000平方メートルの倉庫に同社のマットレスが数千個積まれている。

これまでの製品との違いがよく分からないのだが、Purpleは実際に試させてくれるそうだから、その日が来るのを待とう。

PurpleのCEO Sam Bernardsはこう語る: “Purpleは最初から、市場でもっとも快適で支持性の良いマットレスを目指している。快適さを増し、不快な圧力を減らすための改良にはこれからも終わりはなく、弊社で実証された睡眠の科学に基づいて、マットレス産業の革命を推進していきたい”。

発表のタイミングは、ブラックフライデーと合っている。同社の売り出し企画では、マットレスを買った人におまけで枕がつく。でも市場には、いろんな売り出し企画がひしめいているから、戦いは楽ではないだろう。

マットレスのレビューサイトとして人気のあるSleepopolisによると、オンラインのマットレス企業の多くが、ブラックフライデー特売として100〜300ドルの値引きをしている。マットレスのスタートアップLeesaは、125ドルの値引きプラス無料の枕だ。今私が使ってるマットレスのBrooklyn Beddingは、同社のAuroraマットレスが300ドル安だ。とにかく、今日はいろいろ調べてから買い物しようね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ネット上のブラックフライデーの売上は前年比20%近い増、トラフィックの60%はモバイル

アメリカでは、感謝祭のオンラインの売上が28億7000万ドルの新記録に達したが、ブラックフライデーはさらに大きな額になりそうだ。Adobeが提供している数字は、上位100のWeb上のリテイラーのオンラインの売上だが、太平洋時間の午前7時の時点で総額6億4000万ドルで、前年比18.4%の上昇だ。〔太平洋時間午後5時では35億4000万ドル、15.6%の上昇。〕

昨日の同じ時間には売上が3億6000万ドルだった。今日の半分だ。ブラックフライデーは、eコマースにとって強力な日になりつつある。

11月は今日まででeコマースの売上は332億6000万ドルとなり、前年比17%の増だ。

ブラックフライデーとその後の日々は、どの店も大幅な値引きをするので、消費者にとって重要だ。“何も買わなければ100%のディスカウントだ”、という主義の人以外はね。

オンラインのリテイラーにとっても、11〜12月の動向を占ううえで重要だ。とくに、今年のホリデーシーズンの好不調が、今日(米国時間11/24, ブラックフライデー)の売上で予想できる。〔この記事の原文がポストされたのは米西海岸11/24のお昼ごろ〕

昨日の感謝祭と同じく、そしてここ数年ずっとそうだが、ネットショップのトラフィックと売上を引っ張り上げる重要なチャネルがモバイルだ。eコマースの総トラフィックの61.1%がモバイルからだ(モバイルWebとアプリの合計)。そしてその半分強、50.9%がスマートフォンで、残りがタブレットだ。

Adobeのマーケティングと顧客研究担当VP Mickey Mericleはこう言う: “今年のホリデーシーズンの主役はモバイルショッピングだ。今やリテイラーたちも、オーディエンスがどこにいるかを知っているし、彼らに良い体験を提供しようとしている。感謝祭もブラックフライデーも、モバイルのトラフィックと売上のギャップは閉じつつある。ディスカウントを求めている買い物客は最近ますます、スマートフォンを使ってさっさと買い物を済ませようとしている。モバイルのコンバージョンレートは年々高くなっており、このシーズンでは10%以上伸びた”。

モバイルの占有率は、トラフィックの61.1%に対し、売上は46.2%だ。内訳は、34.4%がスマートフォン、11%がタブレットだ。全閲覧者を100としてコンバージョンレート(実買率)は、デスクトップが4.1%、スマートフォンが1.8%で、それぞれ11.4%と10.4%伸びた。

スマートフォンの高速化、使いやすさの向上、そして大型化により、ショッピングにおけるタブレットの重要性は下がりつつある。その傾向は数年前からあり、タブレットの斜陽化は今後も進みそうだ。

そしてAdobeのデータが指摘する最大の売れ線は、テレビとコンピューターに代表される電子製品だ。ChromecastやRokuも人気がある。そのほかの売れ線は、Apple AirPods, Sony Playstation VR, Nintendo Switch, そしてXbox One Xだ。

Adobeなどからさらにデータが得られれば、この記事をアップデートしていきたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

感謝祭のネット通販は28.7億ドル、前年比18.3%アップ――年末商戦はオンラインが主戦場に

以前は家族が静かにサンクスギビングデー(感謝祭)を祝った翌日のブラックフライデーが年末セールの開始を告げる日と考えられてきた。しかしここ数年のネット通販の普及で状況は大きく変化した。統計から見ると、年末セールはサンクスギビングデーその日から始まることになったようだ。

Adobe Digital Insightsによると、アメリカでのサンクスギビングのオンライン販売の売上は新記録の28.7億ドル、対前年比で18.3%のアップになったと推計している。これはAdobe自身の予測、27.9億ドルを上回る数字で、1日あたりの売上として突出している。これと比較して、たとえば、2016年のサンクスギビングの売上は19.3億ドルに過ぎなかった

サンクスギビングでの売上は年末セールの出足を占う重要な要素と考えられている。つまりオンライン通販企業に」とって非常に重要な日だ。今年の数字は年末商戦の主戦場がオンラインに移ってきたことと消費者がオンライン通販に信頼を深めていることを示すものだろう。

Adobe Digital Insightsでは 通販トップ100社のデータをもとにアメリカにおけるオンライン通販の80%をカバーしている。消費者はサンクスギビングの昼食に七面鳥を食べた後、
オンラインの買い物サイトに突進したもようだ。これによりサンクスギビングの午後だけで13億ドルの売上があった。われわれが得た最初の数字は同日午後2時(太平洋時間)の15.2億ドルだった。オンライン注文の半分弱、46%をスマートフォンからの注文が占めた。

アップ分について、16.8%は11月の平均が反映されている。11月1日から22日までの売上合計は対前年比で17.9%アップしており、この22日間で10億ドルの売上があった。これは消費者がオンライン通販を信用するようになったことと同時に、セールス活動が例年よりさらに前倒しでスタートしたことも影響しているだろう。

物理的店舗の多くがサンクスギビングの日には休んでいるか遅く開店する。逆にアメリカの消費者の多くは在宅しており、冬支度に目を向けている。こうした状況をオンライン通販企業は有利に利用して割引セールで攻勢をかけたようだ。【略】

スマートフォンなどのモバイル・デバイスはさらに大きな存在になっている。特にこういった休日に自宅の居間で家族に囲まれれている消費者はわざわざデスクトップの前に座ったりノートパソコンを開いたりするよりもスマートフォンから買い物をすることを好むだろう。

Adobeの調査によれば、スマートフォン経由の46%のうち、今朝の44.2%から2ポイント増加しているという。モバイル経由の注文数自体は対前年比で15%のアップだった。

Adobe Digital Insightsと並んでAmazonも統計を発表している。これによれば、今年のサンクスギビングのセールスは昨年に比べて50%アップだった。Alaxaの普及に力を入れているAmazonでは、Alexaの音声アシスタントを経由した注文に特別割引を実施した。

デスクトップからのネット注文の割合は時間とともに減少の傾向をみせた。トラフィックの44%を占めたものの朝の数字からは2%のダウン、昨年同期からは11%のダウンとなった。タブレットの割合も微減で、トラフィックの10%を占めたが昨年に比べて5.7%の減少だった。

とはいえ、スマートフォンは商品をブラウズするには良いが、高額商品の購入にはまだ向かないようだ。現在スマートフォンは売上の30.3%を占めている。これは昨年に比べて8ポイントのアップだが、今朝は34%だったから4ポイントのダウンだ。

デスクトップのセールスは57.2%を占めてたが7.3ポイントのダウンだった。タブレットは12.5%を占めて、こちらも7ポイントの減少。ただしこうした数字は時間とともに変化するので一日が終われば違った数字になっている可能性がある。IBMによれば、トラフィックではなくセールス全体の34%はモバイルからだという。

売れたアイテムを見ると、コンピューターは平均して11.2の割引、テレビは15.1%、おもちゃが11.4%の割引だった。ブラックフライデーにはさらにディスカウントの率がアップするはず。

Amazon.comについては、先日のPrime Day同様、Alexaデバイスが売れ筋のトップだった。Amazon以外のマーチャントではTP-LinkのSmart Plug、 SandiskのUltra 64GB Micro SDカード、Keurigのコーヒーメーカー、K55 K-Classic Single Serve Programmable K-Cup Podが強かった。Alexaの音声コマンドを通じて売れたトップ・アイテムはEcho Dot、Fire TV Stick with Alexa Voice Remote、新しいEcho、TP-Link Smart plugなど。

Adobe Digital Insightsの予測では今年の年末セールスは総額1074億ドルに達し、昨年にくらべて13.8%のアップになるだろうという。

当初の記事を最新の統計でアップデートした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Shopify、世界のブラックフライデー通販の状況を美しいビデオでライブ中継

ブラックフライデーの消費者行動をリアルタイムで見ることは可能だろうか? 上にエンベッドしたライブストリーミングされているビデオでようすを見ることができる。

画面上で点が光るのは販売が行われた場所を示す。そこから伸びる線はその販売業者への消費者の注文がどこから来たかを表している。ご覧のとおり、ブラックフライデーは今やきわめて国際的なイベントになっている。しかしやはりいちばん光っているのは北アメリカだし、買っているのもアメリカの消費者が中心のようだ。

幻想的にさえ見える美しいビデオだが、現実の数字に換算することもできる。Shopifyサイトで表示すると、このプラットフォーム上での販売額が分単位で表示される。この記事の執筆時点で毎分30万ドル以上、注文は毎分3300件程度入っている。

Shopifyではどのカテゴリーの商品が売れているか、どの都市での購入が多いかなどのリストも公開している(やや意外だが、現在はロンドンがトップ)。さらに詳しい情報はBlack Friday/Cyber Monday micrositeで見ることができる。

〔日本版〕リンク先サイトによれば毎分35万ドル、4100件(日本時間午前5時ごろ)を記録している。売れているカテゴリーはアパレルがトップ。この記事の執筆時点ではロンドンは午後3時ごろ、アメリカは早朝ないし午前中、日本は真夜中。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Shopifyのお店が配達に宅配だけでなく郵便(UPS)の特別料金制を選べるようになった

誰でもネットショップを開けるサービスの大手で老舗Shopifyが、UPS(合衆国郵便公社)と提携して、これまで大企業だけの郵便サービスだった特別料金制を、同社のお店(‘マーチャント’と呼ぶ)に提供することになった。お客がそれらのお店で買い物をすると、郵便による配達配送、課金、追跡などが自動的に処理される。

特別料金制の事前指定型国内および国際料金では、翌日航空便や地上便も含めて送料が安くなり、またお客に提供するオプション…配達の早さや料金…をお店が選べる。それはまるで、数量のない数量割引だが、大手eコマースと競合する小規模店には便利なサービスだ。

今この特別料金制が発表される理由は、もうすぐホリデーシーズンだからだ。UPSが送料の特別料金と荷造り素材を提供してくれるだけでなく、今月末までは毎日、配達に関するご相談電話を設ける。

ShopifyのサイトにはUPSのダッシュボードがあるので、各お店はそこで配達オプションを選んで指定できる。Shopifyは宅配のDHL Expressの事前指定型特別料金も提供しており、今回のUPSとの提携で各お店の配達や送料のオプションが増える。またUPSのアクセスポイント(荷物受け取り場所)や日時指定を利用できるようになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonが一部地域でのAmazon Freshサービスの停止は合衆国郵便公社のせい、と非難

Recodeの記事によるとAmazonは、一部の地域でAmazon Freshを停止した件で合衆国郵便公社(U.S. Postal Service, USPS, 郵政民営化前の郵政省に相当)を非難している。内部情報筋がRecodeに語ったところによると、問題の地域では多くの場合、USPSが配達を担当していた。

そしてAmazonが食品の製造/提供企業に告げたところによると、USPSは食料品を所定の時間までに、ときにはその時間を過ぎてさえも、配達することができなかった。またAmazonは、それらの地域は人口密度が低いので事業の経済性がより困難である、とそれらの企業に伝えたそうだ。

今月(2017/11)の初めにAmazonは、9つの州の一部でAmazon Freshサービスを停止した。ただし、サービスが停止された地域社会の数は、公表されていない。

この、一部地域でのAmazon Freshのサービス停止は、Amazonが137億ドルでWhole Foodsを買収してから数か月後に起きているが、Amazonは、Freshに起きたことと買収は無関係、としている。

今Amazonに問い合わせているので、何か得られ次第この記事を更新しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonはそのインフルエンサープログラムを、YouTubeに加えてTwitterとInstagramにも拡大する

Amazonは先週の木曜日に、そのインフルエンサープログラムを、YouTube以外にTwitterやInstagramも含めるように拡大すると発表した。今春の初めにベータ版が開始されたこのプログラムは、当初人気YouTuberを対象にしていた。これはAmazonアフィリエイトのような関係を通じて、自分たちのビデオで宣伝した商品からお金を稼ぐ方法を提供するプログラムだ。

現在一般に見られるインフルエンサーたちの多くは、通常自分たちの投稿――それがYouTubeでも、Instagramでも、Facebookその他でも――の中で定期的に商品の売り込みをしている。

Amazonが提供するプログラムの背後にあるより大きな考えは、Spark(買い物のできるInstagramクローン)のような他の試みと同様に、ソーシャルメディアがセールスを伸ばすというものだ。Amazonもそうした動きに取り組む必要があった。

これまでのところ、このプログラムは、YouTubeインフルエンサーに対して、彼ら自身のカスタマイズ可能なAmazon店舗(そこでファンたちがお勧めの商品を購入することができる)用の、覚えやすい特別URLを提供してきた。店舗そのものは特にユニークなものではない。一番上にロゴがあり、その下に製品のリストが続いたものだ。しかし、アマゾンが提供する amazon.com/shop/username というURLフォーマットのおかげで、ショップに簡単にアクセスすることができる。

インフルエンサープログラム自体は、Amazonアソシエイトプログラムの延長であるため、必ずしもインフルエンサーたちに対して高い手数料率を提供しているわけではない。単にカスタムストアを作成して宣伝するのが簡単になったということだ。

私たちが 8月にレポートしていたように、 Amazonは既に他のソーシャルメディアサービス上にプログラムを展開することを企画していた。それが現実のものになったということだ。

Web Summitカンファレンスでの発表によれば、このプログラムは、TwitterとInstagramのインフルエンサーたちに開放されたということだ。


イベントでは、新しい活動を推進するためにAmazonが昨年雇用したNavid Hadzaadが、このプログラムによる早期の成功例の洞察を語った。

「私はこれまでに、何万人ものフォロワーを抱えているインフルエンサーたちが…やがて私たちが提供する収入だけに基づいて『やあ、仕事を辞めて、これをフルタイムでやることにしたよ』ということができるようになるところを見てきました」と彼は言った。

さらに、YouTubeクリエイターでインフルエンサーのDan Markhamも、Web Summitのパネルにおいて、Amazonインフルエンサーとして観察できたインパクトについて説明した。

たとえば、彼があるビデオの中でFidget Cubeを宣伝したところ、Amazonアフィリエイトのクリック数は66万8777回、注文数は1万6369件となり、売り上げは16万755.98ドルに達した。また別のビデオではYetiマグを宣伝し、13万1967クリックと3万6520.92ドル相当の製品が販売された。Markhamは、これらの売上からおよそ8%のアフィリエイト収入を得たと述べた。

Hadzaadは、自社の収益の観点を離れても、この生きたデータは、インフルエンサー自身が、ユーザーたちがどのプロダクトに反応しているかを知るために役立つと指摘し、またブランドと宣伝交渉を行なう際の材料としても使うことができると述べた。

また、同プログラムの透明性は更なる利点でもあると強調した。現在、多くの人気YouTuberたちは、彼らのビデオにおけるブランドとの関係を明らかにしていないと批判されているが、Amazonのインフルエンサープログラムは、ブランドと直接仕事をすること以外の手段を提供する。

「信頼性を高めることは私たちと私たちのプログラムにとって重要なことです」とHadzaadは語る。「製品を宣伝して収益を上げるために、ブランドと提携する必要はありません。本当にお気に入りの商品を紹介することができるのです」。

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(翻訳:Sako)

Alibabaが「独身の日」に250億ドル以上の物品販売を行い新記録を達成

Alibabaは、中国最大のオンラインショッピングの日である「独身の日」(11月11日)に250億ドル以上の物品販売を行い、再び売上最高記録を達成した。

プラットフォーム上の「全ての商取引量」を示すGMVの総計は1682億人民元となり、これはおよそ253億ドルに相当する。Alibabaの場合、海外向けセールスや海外への出荷も行っているものの、その圧倒的強さは淘宝網(Taobao)市場と天猫(Tmall)ブランドストアから来るものだ。Alibabaは、24時間の間に14.8億件の取引を処理したと言われている。

これは昨年の売上総額である1207億人民元(約177億9000万ドル)を39%も上回る結果である、これは絶好調の中国内コアビジネスに支えられて、Alibabaの収益が61%も上昇した大ヒットの前四半期に続けての偉業だ。

比較のために、Alibabaの「独身の日」の結果を、米国最大のショッピングデーと比べてみよう。小売業者たちは、ブラックフライデー(11月第4金曜日)30億ドル、サイバーマンデー(ブラックフライデーの次の月曜日)に34億5000万ドルという最高記録を記録している。

関連:ライバルのJD.com(京東商城)は、11月11日のGMVが初めて1271億人民元(191億4000万ドル)を達成したことを明らかにした。

#Double11 2017: 24時の時点で GMV の合計は1682億人民元を超えた――これは253億ドル以上であり。このうちモバイルの売り上げが90%を占めた。

今年の数字は独身の日(11月11日)における成長が回復に転じたことも示している、投資家からみて重要な点であり、Alibabaは進展を見せなければならない。

この成長はAlibabaが2013年から2015年にかけて達成した60%という伸び率には及ばないが、昨年の32%を上回るものだ。これは今日達成された数字の規模とAlibabaのこの1年成長を併せて考えると、とても印象的なものだ。

この記念日は、もともと天猫のプロモーションとして、現CEOのDaniel Zhang(当時はビジネス部門担当)によって始められたものだ。目的は単身者の孤独感を軽減しようというものだったが、その後世界最大のシッピングデーになるまでに成長した。

GMVはチャートに示されていないが、それはAlibabaの売上を示すものではないことには注意が必要だ。同社が、電子商取引から収益を挙げる主な方法は2つある。1つは、天猫に出店したブランドから、販売手数料と「家賃」を徴収する。その一方、淘宝網は店舗に対して販売手数料は請求しない、その代わりに各店舗が商品の売上や認知度を上げるための広告費を徴収することで、収益を挙げる。

人民元(RMB)と米ドル(USD)の売上を見る際には、為替の変動を考慮に入れる必要がある。

今年の11月11日は、その日の最初の30分だけで約70億ドルの商品が売られるという、急速なスタートを切った。Alibabaはわずか12時間で、昨年の売上である180億ドルを上回った

もう1つの重要な指標はモバイルだ。このより高い数字は、Alibabaが新規のインターネットユーザーにリーチできていることを意味しているだけでなく、モバイルユーザーはより引きつけられやすく、明らかに重要な目標であることも示している。

今年Alibabaは売上高の90%がモバイルから行われたと発表した。この数字は2016年には82%、2015年には69%だった。

Alibabaが発表した多くの数字の中で、以下のものが特に目を惹くものだ:

  • 受注総件数は8億1200万件で23%増
  • インフラストラクチャーを担当するAlibaba Cloudは、ピーク時には32万5000件の注文を同時に処理した
  • Alipayは15億件の決済取引を処理し41%増
  • 1500万点以上のプロダクトが並ぶ天猫には、14万のブランド(そのうち6万は海外ブランド)が出店している。
  • 167の店舗が、それぞれ1億元(1510万ドル)以上の売上を達成した
  • 17の店舗が、それぞれ5億元(7540万ドル)以上の売上を達成した
  • 6つの店舗が、それぞれ10億元(1億5090万ドル)を売り上げた

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: XINHUA/WANG DINGCHANG VIA GETTY IMAGES