駐車場シェア「akippa」が100万会員突破、エンジニア0人の営業会社からスタート

駐車場のシェアリングサービス「akippa」を運営するakippaは11月9日、同サービスの会員数が100万人を突破したことを明らかにした。合わせて会員数の推移やユーザーの属性、人気の駐車場などのデータをまとめたインフォグラフィックも公開している。

akippaは駐車場を貸し借りできるシェアリングエコノミー型のサービスだ。遊休スペースを保有する個人や事業所は、そのスペースを駐車場として貸し出すことで収益を得られる。一方の駐車場を探しているユーザーは、アプリから駐車スペースを検索し15分単位で予約することが可能。

事前に予約・決済する仕組みなので当日駐車場を探してさまようことも、いちいち財布を取り出して支払う手間もない。

akippaは両者を繋ぐプラットフォームという位置付けだ。駐車料金の50%が貸し手の報酬となり、残りがakippaの収益となる。サービスのリリースは2014年の4月。約4年半で会員数が100万人を超えた。

特に直近の約1年間で会員数が急激に伸びているけれど、代表取締役CEO金谷元気氏によると何か特別な施策をやったというよりは「これまで積み上げてきたものがようやく実った」という方が正しいようだ。

特にakippaのようなプラットフォームの場合は、そもそもユーザーが借りたいと思う駐車場が集まらないことには成り立たない。そこでakippaでは積極的に法人とタッグを組み地道に駐車場を増やしてきた。並行して貸し手ユーザーが自発的に登録した駐車場も少しずつ追加され、借り手にとっての選択肢が広がっていったことが大きい。

もちろんアプリ自体の使い勝手が改善されたこと、検索エンジンで「エリア名 駐車場」「スポット名 駐車場」などのワードで検索した時に上位表示されるようになったことなども影響するだろう。

金谷氏自身はひとつの転機として、開発体制が整い出した2016年ごろをあげる。

もともとakippaはギャラクシーエージェンシーという社名で2009年にスタートした会社だ。金谷氏を含め営業を得意とするメンバーしかいなかったため「akippaをスタートしたタイミングでは社員の95%が営業、残りの5%がバックオフィス担当者。開発メンバーは業務委託で仕事を依頼していたエンジニア1人だけだった」という。

2015年には社名をakippaに変更し、駐車場シェアサービスにフォーカスし始めてからは開発体制を強化。現在は15名の開発メンバーがいるそうだけど、ここ2年ほどでグッと会員数が増えた背景には、そのような組織体制の変化も関わっているようだ。

目下の課題はユーザーのニーズに応えられる数の駐車場を確保すること。現在akippaには2万4000拠点以上が登録されているが、それでも5月の資金調達時にも紹介した通り、ユーザーの需要に対して供給が追いついていない。

打開策としてゲート式駐車場をakippaに対応できるようにするIoT端末「シェアゲート」を開発。同業者にあたるシードと提携するなど、他社との連携にも取り組む。直近では奈良県生駒市と連携協定を締結したほか、トヨタと西日本鉄道が実施するマルチモーダルモビリティサービス「my route」の実証実験にも参画している。

今後も自治体や同じ業界を含めた他社と積極的にタッグを組みながら、サービスの成長を目指す計画。また満車で予約ができず困っているユーザーへのソリューションとして、プレミアムプランの提供も検討していくという。

akippa代表取締役CEOの金谷元気氏

コンビニの“ビニ傘”を代替、1日70円の傘シェアリング「アイカサ」が12月に公開へ

いきなりだけど、僕はコンビニのビニール傘(ビニ傘)のヘビーユーザーだ。

ズボラな性格のため天気予報をきちんと見ることもなく「今降ってないし多分大丈夫だろう」と傘を持たずに外出。結果的に雨が降ってきて、出先のコンビニで傘を買うことが頻繁にある(そもそも、もし雨が降ったらコンビニで買えばいいやと思っているからなのだけど)。

そんなことを繰り返していると玄関には傘が溜まっていくばかり。処分するのは面倒だし、どこかもったいない気もする。だから今回「アイカサ」の構想を聞いた時、1度は試してみたいなと思った。

1日70円で使い放題の傘シェアサービス

アイカサは12月に渋谷を中心とした都心部でリリースを予定している、“傘”のシェアリングサービスだ。

ユーザーはLINEでアイカサアカウントを友達追加し、盗難防止機能の付いたオリジナルの傘が置かれているアイカサスポットを検索。設置されている傘のQRコードを読み取り、ロックを解除してから利用する。アイカサスポットは店舗やオフィスビルなどの遊休スペースがメインで、ローンチ時点では40〜50箇所が登録される予定だという。

返却する際には傘立てにある返却用QRコードを読み込めばOK。返却場所はアイカサスポットであれば、どこでも好きな所を選べる仕組みだ。料金は1日70円で、24時間以内であれば違う傘を何度でもレンタルすることが可能。1ヶ月の上限金額も420円に設定されているので、月の利用回数が7日を超えた場合は追加料金なく使い放題となる。

1日70円という価格設定もそうだけど“複数の傘を何度でも使えて、好きな場所で返せる”というのがポイント。たとえば電車に濡れた傘を持って入りたくないので駅近辺のスポットで一度返却し、次の駅に到着したら今度は別の傘を利用することもできる。

目的地の近くに傘が余っているスポットがあればの話にはなるけれど、買い物の最中や映画館で映画を見ているだけ手荷物になる傘を手放す、といった使い方もありだろう。この点については、アイカサを運営するNature Innovation Groupを立ち上げた2人の話が興味深い。

「携帯電話は小さくなり、スマホの普及によってキャッシュレスなど色々なことが便利になっていっている。一方で傘はいまだに形もそこまで変わらず、ずっと持ち歩かないといけない。傘を手放せる方法を考えたのが最初のきっかけ。多くの人が当たり前に感じている不便を解決したい」(共同創業者の黒須健氏)

「もともとミニマリスト的な思考があり、買いたくもないものを買うのが嫌だった。急な雨のためにビニール傘を買う人の多くは、傘を買いたいわけではなく、濡れない体験を買いたいのではないか。そう考えた時により安く、より快適な形で濡れない体験を提供できれば面白いと思った」(共同創業者で代表取締役を務める丸川照司氏)

年間で約8000万本のビニール傘が消費される日本

2人の話では日本では年間で約8000万本のビニール傘が消費されているそう。「1本500円で換算すると400億円が使われていることになる。ここをリプレイスできれば、それだけでもビジネスとしては成立する」(丸川氏)という考えだ。

製造費は傘に広告を入れることによる広告収入で賄い、傘の利用料を軸に複数の収入源を見込む。たとえば傘に加えてアプリや傘立てに広告を入れることもできるほか、ユーザーの利用データが貯まればそれを活用したマネタイズプランも検討しているとのこと。傘の利用料に関しても、雨傘だけでなく日傘の展開もあるうるという。

どちらにせよそれらのプランが成り立つためには、一定数のユーザーの生活に根付いたサービスに育てる必要がある。そんな背景もあり、ユーザーの使い勝手を考えた上でモバイルアプリではなくLINE上で動くアプリとして開発。「(LINEアカウントを保有して入れば)アプリのダウンロードや新規登録などの手間もない。急に雨が降ってきた時でもすぐに使える」(丸川氏)ことにこだわった。

3月には渋谷エリアで150本のビニール傘を使ったβテストも実施。当時はテストということもあり、10分ごとに1円という料金で提供したところ、100人程度が傘のシェアリングを体験したそう。ある程度ニーズがある実感を得たため、アップデートを加えたものを正式版としてリリースすることになった。

カギはアイカサスポット、雨の日のインフラ目指す

アイカサを開発するNature Innovation Groupの共同創業者。左が代表取締役を務める丸川照司氏、右が黒須健氏

アイカサの使い勝手を決める要素としては、もうひとつ重要なものがある。実際に傘を借りたり返したりするためのアイカサスポットだ。黒須氏も「スポットの開拓がアイカサのUXに1番影響を与える部分」だと話していて、今後はスポットがどれだけ充実していくかがポイントとなりそうだ。

遊休スペースをアイカサスポットとして提供する提携店にとっては、使ってない場所を有効活用することで副収入を得られるほか(アイカサ利用料の一部をレベニューシェア)、既存顧客の満足度向上やこれまで接点のない顧客と新たな関係性を築くためのツールにもなりえるという。お店のページにクーポンを表示できるような機能も考えているようだ。

集客ツールとしても機能しうる点などは荷物の一時預かりサービス「ecbo cloak」などと近しい部分もあるけれど、傘の場合は店舗側のスタッフにほとんど余計なオペレーションが発生しない部分はひとつの特徴と言えるかもしれない。

昨今は様々な企業がSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを活発化させているけれど、アイカサでもシェアリングの仕組みを通じて継続可能な傘の在り方を推進していく計画。軍資金として8月にはIncubate Fundと他1社から資金調達も実施した。

今後はアイカサスポットの拡大に向けた企業や行政との連携も強化しながら、2020年には東京を中心とした全国で3万本の傘が流通するサービスを目指す。

「新しい『雨の日のインフラ』を作っていきたい。これまでしょうがなく買っていたビニール傘を買わずに済んだり、長時間雨宿りしていたようなことがなくなったり。大きい目標ではあるが、10年とか15年経った頃に『昔は雨が降った時にビニール傘を買っていたんだよ』という会話が生まれるような世界観を目指して取り組んでいく」(丸川氏)

日本版インスタカート「Twidy」が公開へ、まずはライフ渋谷東店を対象に最短1時間で買い物代行

スマホからサービス上に登録されているスーパーを選び、欲しい商品を注文すると、早ければ1時間以内で自宅まで届けてくれる買い物代行サービス「Instacart(インスタカート)」。“買い物にいきたいけれど自分で外に出るのは面倒”なユーザーの悩みを解決するプロダクトとして、年々アメリカでその勢力を広げてきている

クラウドソーシングのような形で個人のshopperに買い物を依頼できる仕組みが特徴で、シェアリングエコノミーの代表格として紹介されることも多い同サービス。2012年の創業以来10億ドル以上の資金を調達し企業価値も40億ドルを超えるなど、近年世界のスタートアップシーンを盛り上げてきた1社と言えるだろう。

そのインスタカートの“日本版”とも言えるプロダクト「Twidy(ツイディ)」がもうすぐ東京都内の一部エリアにてローンチされる。

第一弾としてTwidy運営元のダブルフロンティアではライフコーポレーションと提携。9月6日より渋谷区のライフ渋谷東店から、近辺のエリアの住民に対して同サービスの提供を始める。

Twidyは誰かに買い物を依頼したいユーザー(リクエスタ)と、代わりに買い物をしてくれるクルーを繋げるサービスだ。

ユーザーは希望の日時と買ってきて欲しい商品をサイト上から登録し、決済するだけ。リクエストを受けたクルーが買い物を代行して、最短1時間で自宅まで配送する。商品代金とは別で代行代がかかるものの、その分指定した商品がスピーディーに届くのが特徴。9月は代行代を無料で提供するという。

上述した通りまずはライフ渋谷東店からスタート。同社のネットスーパーの商品データベースと連携し、同じ商品をTwidy上で買える仕組みを構築した。今後は渋谷東店以外の店舗や他のスーパーなどが加わり、自宅の郵便番号を入れると対応している店舗が表示されるようになる予定だ。

メインの利用者として想定しているのは、小さな子どもを抱える育児中の共働き家庭。自分で買い物に行く時間が取れないという課題を解決するだけでなく、Twidyによってこまめに買い物ができるような環境を提供していきたいという。

ライフ渋谷東店でのTwidy対応エリア。11:00〜20:00の間で買い物のリクエストができる

買い物を代行する側のクルーについては、商品をピックするピッキングクルーと配達するドライビングクルーを分ける形を採用。まずはダブルフロンティアで雇ったパートスタッフが商品を選別し、それをパートナー企業のスタッフが運ぶ。今回は日経新聞と組み、新聞配達員が商品を届ける。

ダブルフロンティア代表取締役の八木橋裕氏によると、2月に実施した実証実験ではもともと配送を担当するスタッフがピッキングも担っていたのだけど、不慣れな場合も多く改善の余地があった。そこでピッキングについては買い物慣れしているパートスタッフに任せ、分業する形にしたのだそうだ。

八木橋氏が「将来的にはサービス名の通り、スーパーに足を運んだユーザーが“ついでに”他のユーザーの買い物も代行するような世界観を実現していきたい」と話すように、自分の買い物ついでにTwidyを使ってちょっとした副収入をゲットする使い方もできるようになるという。

収益源は利用時にユーザーが商品代とは別に支払う代行代金。現在は500円+α(商品の価格などに応じて一定%の金額が加算)を予定していて、Twidyの売り上げを差し引いた分をクルーやパートナー企業に支払う。実証実験時には20%をTwidyの取り分としていたそうだ。

パートナー企業にとっては空いているリソースを有効活用できる点がメリット。また商品を登録するスーパーにとっても、今まで逃してきたチャンスを掴むことができうる。

「たとえばネットスーパーをやっているような企業でも『物はあるのに運ぶ人がいない』ことがネックになって、機会損失が発生しているケースがある。まずはネットスーパーを持つ企業と組むところから始めて、ネットスーパーを持たないところとも連携を広げていきたい」(八木橋氏)

2019年3月中を目処にまずは8店舗まで拡大するのが目標。都心部をメインに、ゆくゆくは提供エリアや店舗のジャンル(たとえばドラッグストアやホームセンター、街角の和菓子屋など)も広げていく方針だ。合わせて商品をピックするクルーを選べるようにしたりなど、プロダクトの機能拡張にも取り組むという。

「最終的にはサザエさん(に登場する三河屋)のように、ご近所で助け合っていくような世界観のサービスを実現したい」(八木橋氏)

Twidyの運営チーム。1番右がダブルフロンティア代表取締役の八木橋裕氏

ダブルフロンティアは2013年の設立。代表の八木橋氏は前職のKDDI時代に「Skype auサービス」の立ち上げなどを担当した人物で、ダブルフロンティアでもこれまで海外発の新しいサービスとライセンス契約を結び、日本市場で展開するサポートをしてきた。

Twidyは自社ブランドによる新サービス。インスタカートをヒントに2017年に発案したもので、2018年2月に実証実験を経て今回のリリースに至る。

なおダブルフロンティアではTwidyの拡大に向けて6月にプラネットより5000万円を調達。今秋にも同社から5000万円の追加調達を予定していて、シードラウンドで合計1億円の資金調達を実施する計画だ。

オフィス家具通販サイト「Kagg.jp」が月額レンタルサービスを開始ーー中古品取り扱いも視野に

オフィス家具通販サイト「Kagg.jp」を手がける47インキュベーションは8月23日、新品オフィス家具の月額レンタルサービス「Kaggレンタル」を新たにスタートした。

Kagg.jpは45万点以上の商品数を誇る国内最大規模の家具通販サイト。先月には、累計売上10億円を突破した。これまでは販売に特化していたがレンタルを始めることで「時代に合ったオフィス家具利用」を提案する。

Kaggレンタルでは、Kagg.jpで販売中のチェアを、1脚あたり月額990円(税抜)からレンタルすることができる。家具は新品で、対象商品は10万点以上。サービス開始当初の対応エリアは東京23区内で、順次拡大予定。また、将来的にチェア以外の商品の取り扱いも計画している。

サービスの大きな特徴としては、初期投資が抑えられる、必要な数だけ借りられる、いつでも返却できる、などが挙げられる。Kagg.jpで人気のSylphy(シルフィー)というチェアの販売価格は74736円だが、レンタルだと月額2990円。レンタルを2年間継続した商品は、そのまま無償で譲り受けることができる。

同社取締役でKagg.jp事業担当の梁原立寛氏は「シェアリングエコノミーに代表されるように、モノにお金を使う・モノを持つという考え方は変化してきている。サービスに関してもサブスクリプション化しているというのが大きな流れとしてある」と新サービス開始の背景について語った。

たしかに、同氏が言うとおり消費形態は近年“所有”から“利用”へと大きくシフトしてきている。音楽を聴くなら「Spotify」、映画を見るなら「Netflix」、オフィス系だと「Adobe Creative Cloud」や「Office 365」、アパレルは「airCloset」や「Laxus」といった具合に、サブスクリプションサービスは若い世代を中心に徐々に浸透・定着してきている。

さらに「企業は多様化し、スタートアップ・ベンチャーが増加している」「WeWorkに代表されるようにオフィス自体も流動化している」という観点から、家具レンタルのニーズは高まっているはずだと梁原氏は睨む。

「必要な数だけ借りられる上、いつでも返却できる。スタートアップ・ベンチャーだと、一年後にどんな人数でどんな組織になっているかわからない。一月単位、一脚単位で必要な数だけ借りていただき、いらなくなれば返していただく」(梁原氏)

家具の分野ではKaggレンタルのほかに「CLAS」やTechCrunch Japanでも以前に紹介している「KAMARQ」などのサービスがすでに存在している。

KAMARQも7月30日に月額制のオフィス家具提供を開始しているが、Kagg.jpとの決定的な違いは商品数だ。KAMARQはテーブル、椅子、チェスト含む22種のオフィス家具を提供しているが、Kaggレンタルの対象商品は10万点以上。なので「既にある家具をもう一つ追加したい」といったニーズに応えられるのが強みだと梁原氏は語った。

なお、お気づきかもしれないが、Kaggレンタルにより貸し出される家具は全て新品だ。返却が相次いでしまった場合にはどのように対応するのか。梁原氏は「基本的には長くお使いいただけるという期待をしている」というが「新古品として販売」したり「中古品として販売またはレンタル」することも視野にあると説明した。

「中古オフィス家具のニーズはかなり強い。新品のレンタルあるいは何か別の入手方法によって在庫となったオフィス家具に関しては販売またはレンタルといった形で提供したいと考えている」(梁原氏)

「お客様のニーズに合わせた様々な利用形態を提供できるようにするのが理想的だ」と同氏は話していた。

個人的に、中古家具の在庫を抱えるのはリスクになりうると思う。だが、例えばフリマアプリ「メルカリ」では多くの中古品が流通していたりするし、「絶対に新品でないと」という価値観を持つ人は昔に比べると減ってきているはず。

中古家具のレンタルならスタートアップ・ベンチャーにとってさらなる初期投資の削減になる。同社のさらなるサービス展開に今後も注目していきたい。

飲食店で余った料理とユーザーを繋ぎフードロス削減へ、「TABETE」のiOS版がリリース

廃棄されてしまう食品(食品廃棄物等)などのうち、本来であれば安全に食べられるにも関わらず捨てられてしまうものをさす「フードロス(食品ロス)」。環境省の発表によると平成27年度には日本で実に約646万トンのフードロスがあったという。

この問題を解決するためのひとつのアプローチとして、飲食店や惣菜店などで余ってしまった料理とユーザーをマッチングする“フードシェアリング”サービス「TABETE」を開発しているのがコークッキングだ。

2018年4月のWeb版リリースから現在までで約4万人のユーザー、約200店舗が登録するTABETE。より使い勝手のいいプロダクトを目指し、コークッキングでは8月20日に同サービスのiOS版をリリースした。

TABETEは閉店時間や食品の入れ替え時間などの問題で、まだ安全に食べられる料理を廃棄せざるを得なくなってしまった飲食店と、その「食べ手」を繋ぐサービスだ。

たとえば急なキャンセルなどで食事が余ってしまった場合、飲食店は任意の価格と引取期限を設けて食事の情報をTABETEに掲載する。ユーザーはTABETE上からエリアを検索し、自宅の最寄り駅周辺などで気になる店舗をリサーチ。オンライン上で決済を行い、期限までに店舗に行けば食事を受け取れる。

ビジネスモデルは食事が売買された際の手数料で、販売代金の35%がTABETEの収益となる仕組みだ。

ユーザーにとってのメリットは割引価格でお得にテイクアウトできること。中食ではパン屋や弁当屋、外食では焼き鳥屋やイタリアンなど様々なジャンルの店舗が登録されていて、コークッキングCOOの篠田沙織氏によると「料理をするのは疲れたけど、コンビニやスーパーにも飽きてきた」という女性の利用が特に多いそう。ユーザーの7割を20〜40代の働く女性が占めるという。

一方の店舗側にとっても、せっかく準備した食事を捨てずに済むことはもちろん、従来は捨ててしまっていたものを売って売上の一部を回収でき、新しい顧客との接点を作るチャンスにもなり得る。

コークッキングCEOの川越一磨氏は新卒でサッポロライオンに入社するなど、飲食店での現場経験のある人物。日本の飲食店が抱えるフードロスを削減するサービスを考えていたところ、フードシェアリングの仕組みに行き着いた。

この仕組みは欧州などでは広く浸透していて、TABETEのアイデアもデンマーク発の「Too Good to Go」がヒントになったそうだ。

コークッキングでは8月にSocial Entrepreneur2投資事業有限責任組合、伊藤忠テクノソリューションズ、SFCフォーラムファンド、NOW、オプティマ・ベンチャーズ、222パートナーシップから数千万円の資金調達も実施。

セールスや開発など組織体制を強化し、今回のiOS版アプリを皮切りに今後はエリアの拡大なども含めてプロダクトの拡充を図っていくという。

中規模企業の後押しをするWeWorkの”HQ”

WeWorkが、最近新しいオフィススペースソリューションである”HQ by WeWork”を発表した。中規模の企業に、長期の賃貸契約なしに、彼らの必要とするプライバシー、柔軟性、カスタマイズ、そしてコスト効率のよいソリューションを提供することが目的だ。

米国国勢調査データによれば、11〜250人の従業員を抱える中規模企業の数は、米国内に110万社を数え、総従業員数はおよそ3000万人に達する。これらの企業は成長を始めてはいるものの、すぐにまた成長してしまうことを思うと(あるいは財政的理由によって)長めのオフィス契約にはなかなか踏み切れないことが多い。

「ずっと30人を超えることのないライフスタイルビジネス、小規模の法律事務所、あるいはハイテク企業など、私たちはその規模の企業が、地域経済にとってどれほど重要なのかを知っています」とTechCrunchに語るのは、WeWorkのChief Growth OfficerであるDave Fanoだ。「しばしば、それくらいの規模の企業にとってスペースの確保は非常に問題です。そして多くの場合そのオフィススペースの決定が、先々の成長の足枷になることもあるのです」。

こうした企業のニーズによりよく応えるために、HQ by WeWorkは、通常は最低でも12ヶ月から24ヶ月の賃貸契約が必要であるプライベートオフィスフロアを、企業に対して柔軟な期間でリースをする(リースと管理はWeWorkによっておこなわれる)。しかし企業はそのスペースから6ヶ月で成長して移動しなければならない。Fanoは、WeWorkがそうした成長をサポートするための助力を提供すると語った。

企業が自ら借りたスペースに、WeWorkによる管理を適用する、WeWorkのPowered by Weモデルとは異なり、HQ by WeWorkを使う企業はオフィスの不動産契約も含めて一切をWeWorkに任せることができる。

HQ by WeWorkでは、カスタマイズした色スキーム、ブランディングの組み込み、専用出入口、WeWorkマネジメントの軽量版モデル(必要なもの ―― IT、AVなど ―― は含まれているが、余分なもの ―― フル会議室やイベント ―― などは省かれたもの)が典型的なWeWorkオフィススペースと共に提供される。こうした設備の削減によって、典型的なWeWork設備よりも1人あたりの価格を安く抑えながら、スペースを提供することができる、とFanoは私に語った。とはいえ、HQテナントたちは、施設の不足を補うために、任意のWeWork施設を訪問して一時利用することが可能だ。

これまでのところ、WeWorkはニューヨークに6つのHQスペースをリースしている。現在はLos AnglesやTorontoなどの、会社が力を入れるすべての主要都市に、HQ by Workを拡大しようと活発に活動が行われているところだ。

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(翻訳:sako)

“物置き版Airbnb”の「モノオク」がANRIから数千万円を調達、トランクルームのリプレイス目指す

荷物を預けたい人と、空いたスペースを活用して荷物を預かりたい人をマッチングする物置きのシェアリングサービス「モノオク」。同サービスを運営するモノオクは7月25日、ベンチャーキャピタルのANRIを引受先とする第三者割当増資により数千万円を調達したことを明らかにした。

同社では今回調達した資金により開発人材を中心に組織体制を強化するとともに、モノオクを通じて荷物を預けることのできるスペース数の拡大を目指す方針。また双方のユーザーの利便性向上に向けてモノオクが荷物の中継地の役割を担う「モノオクハブ」の準備も進めていくという。

空きスペースを活用した物置きのシェアリングエコノミー

冒頭でも説明した通り、モノオクは個人間で荷物を預けることのできるシェアリングエコノミー型のサービスだ。Airbnbを知っている人であれば、”物置き版のAirbnb”と言った方がすぐにピンとくるかもしれない。

モノオクに登録することができるのは部屋の一角にある押し入れやクローゼット、使っていない倉庫や空き部屋を始めとした個人が保有しているスペース。ホストと呼ばれる荷物の預かり手となるユーザーは、これらの空きスペースを活用して荷物を預かることで収益をあげることができる。

一方で荷物を預けるユーザー側の視点に立つと、モノオクは物置きのシェアサービスという打ち出し方をしているように、家具や家電などダンボールに収まらないような大型の荷物でも預けられることが特徴だ。

モノオク代表取締役の阿部祐一氏いわく「トランクルームやコンテナをリプレイスするようなもの」であり、従来のトランクルームに比べて低価格で荷物を預けられる点がウリ。相場感としては都心部だと一畳のスペースが1ヶ月7000円ほどになるそうで、敷金や礼金といった初期費用も不要だ(トランクルームの場合は同じエリアだと1〜1.5万円かかるスペースも多く、かつ初期費用が別で加算されるようなものもあるという)。

これまでもTechCrunchでは荷物を預けられるサービスをいくつか紹介してきたけれど、例えばコインロッカーを代替する「ecbo cloak」とは預ける荷物のタイプや期間の点で大きく異なる。専用のボックスに荷物を詰めて送るだけのクラウド収納サービス「サマリーポケット」は一見近しいようにも思えるが、実際の利用シーンは違ってきそうだ。

サマリーポケットの場合はクラウド収納サービスという表現をしているように、預けた荷物を1点ずつ管理したり取り出したりすることができる。一方のモノオクは上述した通り物置きだ。荷物を頻繁に取り出したり、預けたものをクラウドで逐一管理したりといった使い方にはマッチしない。

阿部氏によると、今のところユーザーのニーズとしては「引越し時などに2〜3ヶ月間だけ荷物を預けるパターン」と「倉庫代わりに長期間保管するパターン」の2つが多いそう。前者の場合は家具一式や家電、後者の場合は書類やレジャー用品などが中心になるという。

もっと簡単に預けられる場所に向けて「モノオクハブ」構想も

モノオクはもともとLibtownという社名で2015年4月にスタート。過去に阿部氏が家電の置き場所に困っている知人から相談を受けて、数日間荷物を預かったことがモノオクを開発するきっかけとなった。

ベータ版の開発、テスト期間を経て2017年3月に正式リリース。当初は短期間の利用も想定していたものの、ユーザーの要望を受けて9月には1ヶ月以上の中期〜長期利用にも幅を広げ、それ以降は長期利用を軸としたサービスとして拡大してきた。

4月には社名をモノオクに変更するとともに、料金の見積もり機能などサービスのリニューアルを実施。メディアに取り上げられたことも重なって、特に空きスペースを運用したいホストユーザーが増加。現在掲載されている預かり場所は1000箇所を超えているという。

モノオクは預かり料金の20%が手数料となるビジネスモデル。そのため「どれだけ成約数を増やせるか」が成長の鍵となる。阿部氏によると今回の調達も踏まえて、今後1年を目標に預かり場所の数を1万箇所まで増やしていくことを目指すとともに、成約率を上げるための改善に力を入れていく計画だ。

その一つが近々実装を予定している「モノオクハブ」という機能だという。

「モノオクでは値段の相談やスケジュールなど、メッセージ機能を通じた個人間でのやりとりが必要になる。そのためホスト側の返信がなかったりスピードが遅かったりすると機会損失を生むことになり、それが課題にもなっていた。今後はユーザーから預けたいというリクエストがあった時点で”運営が一時的に荷物の中継地の役割”を担い、さらにユーザーの利便性を上げていきたい」(阿部氏)

モノオク代表取締役の阿部祐一氏

“持たない自由”実現するレンタルプラットフォーム「Alice.style」開発が3.5億円を資金調達

高額家電など、機能は気になるけれども「買って失敗したらどうしよう」と手が出せなかった経験、誰でも一度はあるのではないだろうか。また、ママ、パパの皆さんなら、子どものためにできる限りハイスペックなベビーバギーを手に入れたい、と思えども「どうせすぐに使わなくなるからなあ」と諦めた経験を持つ人もいるかもしれない。

ピーステックラボが現在リリース準備を進めている「Alice.style(アリススタイル)」は、そうした商品をメルカリのようなフリーマーケットでなく、個人対個人、企業対個人の「レンタル」でシェアするためのプラットフォームだ。

ピーステックラボ代表取締役社長の村本理恵子氏によれば、Alice.styleがターゲットとするのは、20代から40代の女性。美容家電や生活家電、マタニティーウェアやグッズ、ベビー用品などを対象商品として想定しているそうだ。

CtoCでは週単位での貸し借りを、BtoCではトライアルで商品貸し出しを行い、「気に入ったら買う」というインターフェイスを設けることで、ECにつなぐという。

村本氏は前職のエイベックスグループで、dTVサービスを手がけていた人物だ。デジタルコンテンツを月額500円で“シェア”する、というビジネスを進めるうちに「デジタルだけでなく、リアルでも同じようなサービスができないか」と考えるようになり、ピーステックラボを2016年6月に創業した。

「持たない自由、シェアリングエコノミーをリアルなモノにも展開したい、と考え、そのためのインフラとしてAlice.styleの開発を始めた」(村本氏)

ピーステックラボでは、8月にAlice.styleの正式ローンチを予定している。そのサービス開始を前に、7月11日、リコーリースとアスクルを引受先とした第三者割当増資により、総額3.5億円の資金調達を実施したことを発表した。

今回の資金調達は、2017年9月に実施したエンジェル投資家からの6000万円の調達に続くもので、シードラウンドに当たる。同社は創業から累計で4.1億円を調達したことになる。

同社では、アスクルについては物流の、リコーリースとはリースに関するノウハウの共有を検討しており、資金調達とは別に業務提携契約の締結を予定している。調達資金は事業拡大、開発体制の強化とマーケティング活動への投資に充てるという。

アメリカで増加するシェアハウススタートアップーー住宅不足解消への一手となるか

【編集部注】筆者のJoanna GlasnerCrunchbaseのレポーター。

実家から巣立った若者の行動はある程度パターン化している。まずルームメートを見つけてどこかに一緒に住み、次は一人暮らしもしくはパートナーとの同居。その後、家族で住むための家を購入し、もしかしたら芝刈り機にも手を伸ばすかもしれない。

新設住宅市場の様子を見てみると、この常識が未だにしっかりと成り立っているとわかる。今年に入ってからアメリカで新たに建てられた住宅のうち、約3分の2がこぎれいな庭と大きな駐車スペースのある核家族向けのものだったのだ

しかしスタートアップ界では、住宅の未来について少し違った意見を持つ人が多いようだ。というのも、現在ハウスシェアリングが徐々に盛り上がりを見せているほか、短期契約物件や人との触れ合いを重視したサービス、人気エリアにある小さな部屋などが人気を呼んでいるのだ。

ルームメートとベンチャーキャピタルを求めて

住宅に特化した不動産スタートアップに関するCrunchbase Newsの分析の結果、シェア物件や短期賃貸物件を運営し、ここ1年前後で資金調達を行った企業が多数存在することがわかった。

これはアメリカだけの現象ではない。中国やヨーロッパ、東南アジアなど、世界中でシェア・短期賃貸物件を扱い、資金調達に成功したスタートアップの数が増加している。しかし本稿ではアメリカのスタートアップに絞って話を続けていく。下の表は、最近資金調達を行った企業をまとめたもの。

何か気づくことはないだろうか? そう、上の表に含まれる企業すべてがニューヨークかサンフランシスコのベイエリアに拠点を置いているのだ。両都市は住宅不足、そして家賃の高さでよく知られている。ただし、彼らは主要都市で住居スペースを提供しつつも、ロサンゼルスやシアトル、ピッツバーグといった街へも進出し始めている。

白いピケットフェンスからパーテーションへ

1950〜1960年代にかけ、アメリカ郊外の開発にあたったディベロッパーは、単に家を売っていたわけではない。彼らは芝で覆われたクォーターエーカー(約1000平方メートル)の庭や食器洗濯機、そして広いガレージのある家ーーつまりアメリカンドリームという名のビジョンーーを売っていたのだ。

同様に、シェア物件を扱うスタートアップもアメリカンドリームとは違うビジョンを販売していると言える。そしてそのビジョンには、部屋を借りるだけでなくコミュニティに参加し、友達を作り、街を知りたいという若者の想いが反映されている。

HubHausのスローガンのひとつに「rent one of our rooms and find your tribe(部屋を借りてあなたの仲間を見つけよう)」というものがある。たった3年ほど前に設立された同社は、現在ロサンゼルスとサンフランシスコのベイエリアにある合計約80件もの物件を管理しながら、ルームメートのマッチアップサービスやグループで参加できるイベントの企画を行っている。

別のスタートアップStarcityは、自分たちのことを”孤独感に対する薬”と呼ぶ。「社会の中で孤独を感じる人は急増している。そこで、私たちは人を集めて意義ある関係性を構築することで、この問題を解決しようしている」と同社のウェブサイトには書かれている。

サンフランシスコを拠点とするStarcityのサービスは、単位面積あたりの居住者を増やすことにつながるため、同地の住宅不足の解決にも寄与していると言われており、Starcityのアパートには通常のアパートの3倍もの人数を収容できるのだという。

コストとメリット

シェアハウススタートアップのサービスは、一般的にアメリカのなかでも一番地価が高いエリアで提供されているため料金は決して安くはない。とはいっても、自力でアパートを借りるよりは安いことが多いようだ。

彼らの狙いは、プライベートな空間が限られていても、ロケーションが良く引っ越しも簡単で、すぐに誰かと知り合えるような物件なら入居したいと考える若者向けに、価格を抑えた住居を提供すること。

Starcityの場合、家賃は滞在期間に応じて月2000〜2300ドル(約22〜25万円)に設定されており、ここには公共料金などの基本コストも含まれている。他方HomeShareは、ツーベッドルームの高級アパートをパーテーションで区切ってスリーベッドルームに改造した部屋を貸し出しており、Starcityよりもスペースは広く、家賃は安い部屋で1000ドル(約11万)程度。

またシェアハウスサービスでは、通常1〜3か月の最短滞在期間が設定されたフレキシブルな賃貸契約が利用できるため、結果的にユーザーは住宅周りのコストを削減できると謳われている。さらにほとんどの物件は家具付きで、Wi-Fiを自分で設定する必要もなければ、別途電気代を支払う必要もない。

今後の動き

シェア・短期賃貸物件を扱うスタートアップは最近登場し始めたばかりなので、どの企業が優勢かを判断するのはまだ難しいが、将来的には同市場が成長し、高バリュエーション企業が多額の資金を調達することがあっても不思議ではない。Airbnbを見れば納得がいくだろう。使われていない部屋や住宅を旅行者や短期滞在者向けに貸し出すビジネスによって、彼らのバリュエーションは300億ドルにまで上昇したのだ。さらに主要都市における住宅不足を考慮すると、Airbnb以外のオプションへのニーズも十分あるだろう。

ここまでは住宅についての話を進めてきたが、短期かつフレキシブルでさまざまサービスを利用できるスペースは、すでに法人ユーザーのあいだで人気を呼んでいる。たとえば賃貸期間がフレキシブルな高級オフィススペースを運営するIndustriousや、カスタマイズ可能なオフィスを提供するKnotel、会議室とオフィスの貸出に特化したBreatherはそれぞれ多額の資金を調達しており、3社の合計調達額は3億ドルにのぼる。

タイミングとしては、今シェアハウススタートアップに人気が集まっているのが不思議に映るかもしれない。1980〜1994年前後に生まれたミレニアル世代は、すでにほとんどが大人の階段を登りきっており、「これから家を探す若者」という彼らのターゲット像とは重ならない。ミレニアル世代の平均年齢は28歳で、上になると30代も半ばにさしかかる。芝刈り機さえ持っている人もたくさんいるだろう。

しかし心配はご無用。その次に控える1995年以後生まれのジェネレーションZも人口全体に占める割合はかなり大きいのだ。そのため人口予測が正しければ、もしもミレニアル世代がシェアハウスから卒業しても、まだまだパーテーションで区切られた部屋を求める20代の若者の波は途切れないだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Image Credits: Bryce Durbin

駐車場シェアを超えたモビリティプラットフォーム目指す「akippa」、住商らから8.1億円を調達

駐車場シェアリングサービス「akippa」を運営するakippaは5月22日、既存株主の住友商事など7社を引受先とした第三者割当増資により、総額で8.1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回の調達は既存事業の拡大とともに、同社が今後見据えるMaaS(Mobility-as-a-Service)を軸としたモビリティプラットフォームの構築に向けたもの。調達先7社および各社との業務連携の内容は以下の通りだ。

  • 住友商事 : 2016年9月に業務提携、2017年にakippaへ出資。モビリティ部門と連携しカーシェアの駐車スペースやEVの充電スポットなど、中長期的にakippaの駐車場を活用。海外展開のサポートも
  • 日本郵政キャピタル : 郵便局等の駐車場や遊休地の貸し出しを検討
  • JR東日本スタートアップ : 2018年3月より保有する駐車場をakippaで貸し出し開始。今後もJR東日本沿線の駐車場をakippaを通じて提供、鉄道と2次交通とのシームレスな連携へ
  • ニッポンレンタカーサービス : 2018年内を目標にID連携を進めレンタカーと駐車場をセットで予約できる仕組みを目指すほか、カーシェアステーションとしてakippaの駐車場を活用
  • FFGベンチャービジネスパートナーズ : 九州エリアでのakippaの展開支援
  • 中部日本放送 : 東海エリアでのakippaの展開支援とグループの各種事業との連携
  • 千島土地 :大阪中心に関西エリアでのakippaの展開支援

なおakippaはこれまでに約16億円を調達していて、今回のラウンドで累計の調達額は約24億円となる。

会員数70万人、累積の駐車場拠点数も2万箇所を突破

akippaは2014年4月にリリースされた、駐車場のシェアサービスだ。貸し手側は空いている駐車場を貸し出すことで駐車料金の50%を収入として得られる点が大きなメリット。導入時に精算機や車止めなど初期投資が不要で、時間帯や日数も柔軟に選択できる。

一方の借り手はアプリから15分単位で駐車場を予約することが可能だ。もともとが空きスペースなので料金がリーズナブルなことに加え、事前予約制・キャッシュレス方式を採用(クレジットカードもしくは携帯料金と合算で支払う)。当日現地でコインパーキングの空きが見つからず焦ることもないし、支払いの手間もない。

akippa代表取締役社長の金谷元気氏によると、2018年4月時点で会員数は70万人以上、累積の駐車場拠点数も2万箇所を超えているという。特に1年で倍以上になったという拠点数については、個人のものだけでなく大手企業が提供する駐車場が増加傾向にある。

1月には東京都内のタクシー会社の車庫を貸し出す実証実験も実施するなど、幅広い業界との繋がりを強化。またコインパーキングやSUUMO月極駐車場を提供するリクルートなど、同業他者との連携も積極的に行ってきた。

「前回のラウンド(2017年5月)以降はとにかく駐車場を増やすことにフォーカスしてきた。それまでは需要に対して供給が全く追いついていない状況で、キャンセル待ちが多発するスペースも少なくない。駐車場がなくて困っている人が確実にいるのに、その課題を解消しきれていなかった」(金谷氏)

そこで明確な供給不足の打開策としてakippaが着手したのが、これまで導入が難しかったゲート式駐車場の開拓だ。ゲート式駐車場はコインパーキングや商業施設などでよく見かける、入り口で駐車券を取り、出口で清算するタイプの駐車場のこと。

akippaでは先日、このゲート式駐車場をakippaに対応できるようにするIoT端末「シェアゲート」を発表した。ゲート式駐車場でも事前予約・スマホ決済ができるようになるということなのだけど、これが同社にとって大きな意味を持つのだという。

「akippaに登録されている拠点数は順調に伸びてきているものの、拠点あたりの台数は5台くらいの所が多くすぐに埋まってしまう。一方のゲート式の駐車場は通常の駐車場と比べて規模が違う。200〜300台規模の駐車スペースを持つ拠点も珍しくなく、ニーズのあるエリアで開拓できた場合のインパクトが大きい。今後はシェアゲートを通じて1施設あたりの駐車台数を増やしていくことにも取り組む」(金谷氏)

金谷氏いわく、ARPU(アープ / ユーザー1人あたりの平均売上高)を増やす1番の方法は駐車場を増やすこと。特に東京ドームなど「予約ニーズの多い場所に、いかにたくさんの駐車スペースを持っているか」が重要だという。

引き続き多方面での連携も進めながら、2020年に拠点数を10万箇所まで増やすことが目標。シェアゲートについても2019年末までに1000箇所での導入を目指すという。

駐車場シェアに留まらない、モビリティプラットフォーム構築へ

ここからは少しだけその先の話をしてみたい。冒頭でも触れたように、akippaが見据えているのはMaaSを軸としたモビリティプラットフォームだ。これは駐車場や車といった移動に関連するツールを「モノ」としてではなく「サービス」として提供するということ。カーシェアや駐車場シェアがまさにその一例だ。

「akippaが考えるMaaSの第1フェーズは、車を持っていなくてもカーシェアと駐車場シェアを使って家から目的地まで快適に移動できるもの。ここではカーシェアを提供するプロバイダーのサービスに加えて、自社でC2Cのカーシェアをやることも視野に入れつつ、一連のサービスがakippaIDで予約決済できるようにする」(金谷氏)

金谷氏によると70万人のakippa会員のうち約50万人が車を保有しているそう。ただし約8割の時間は車を使わず持て余しているとのことで、その時間を使って残りの20万人にC2Cで車を貸し出すというモデルが成り立つと考えているようだ。

とはいえ、それだけではプラットフォームとしては車が足りないので、プロバイダーのサービスもakippaから利用できるようにする。その第一弾が調達先である日本レンタカーであり、今後の住友商事だ(住友商事は2018年4月に北米のカーシェア事業者Turoに出資。日本を含むアジアでサービス展開を進めていく方針を明らかにしている)。

もちろん車だけでなく駐車場も各地で必要になる。この点についても「日本でたくさん土地を持っているJR東日本や日本郵政と連携をとっていきたい」(金谷氏)とのこと。今回の資金調達は金谷氏が何度も言及していたが、足元の駐車場シェア事業の拡大だけでなく、その先にあるモビリティプラットフォームを見据えたものになっている。

「2020年までは駐車場シェアを中心に事業を成長させていく方針。そこから徐々にMaaSの第1フェーズに取り組む。最終的にはカーシェアの車が自動運転車に変わり、akippaで呼び出すと現地まで迎えに来る。そして目的地で人を降ろした後は車だけが駐車場兼充電spotにいく、という世界観を実現したい。akippaは困りごと解決屋。2030年に世界最大のモビリティプラットフォーマーになるということをビジョンに、モビリティに関する課題を解決していきたい」(金谷氏)

MITの調査により、UberとLyftのドライバーたちの過酷な状況が明らかに

配車サービスの巨人であるUberとLyftは、自分の車と運転スキルを提供して会社のコアサービスを支える何十万人もの米国の独立契約者たちに対して、お話にならない手取り金額しか与えていないことが、2つのアプリプラットフォームの経済性を調査したMIT CEEPRの調査によって明らかになった。

この報告書は、ギグエコノミー(ネットを通して一時的な仕事を請け負う労働形態)プラットフォームの労働者たちの、労働環境に関する議論を巻き起こしている。そして同時に、VCが資金を提供するテクノロジーの巨人たちが、税金を逃れることによる社会的影響についての深刻な疑問も引き起こしているのだ。

MIT CEEPR(MIT Center for Energy and Environmental Policy Research:MITエネルギー・環境政策研究センター)が実施した「The Economics of Ride-Hailing: Driver Revenue, Expenses and Taxes (配車サービスドライバーの収入、費用、税金の経済学)」と題された研究では、1100人以上のUberとLyftのドライバーに対して詳細な車両コスト情報を含めた調査が行われている。コストは燃料、保険、保守、修理などの各要素を考慮し、1時間あたりの利益の中央値を算出した。

その結果は?研究者たちが見出したのは、配車サービスから得られる利益は「とても低い」ことだった。時間当たりの利益の中央値は3.37ドルであり、ドライバーの74%が、運転している州における最低賃金よりも低い利益しか挙げていない。

彼らはまた、中央値のドライバーが運転1マイル当たり0.59ドルを得ているものの、同時にマイルあたり0.30ドルの費用を負っていることも発見した。およそ3分の1(30%)のドライバーたちが、収益を上回る費用を負担している、言い換えれば1マイル運転するごとにお金を失っているのだ。

また同研究では、配車サービスの利益に対してどのような課税が行われているかも報告されており、米国内では大部分のドライバーの利益に対しての課税が、走行距離控除のために行われていないことも報告されている。すわなわちUberとLyftの事業は公共の財布も損なっているのだ。

研究からの引用:

毎月の平均利益は、661ドル/月(中央値は310ドル/月)である。運転手たちは、標準走行距離控除(Standard Mileage Deduction)を受ける権利があり、2016年の段階ではそれは0.54ドル/マイルである。これはマイル当たりのコストの中央値である0.30ドル/マイルを遥かに上回っている。この控除のために、大部分の配車サービスドライバーたちは、大幅に低い利益を申請することができる。このため標準走行距離控除を使うドライバーたちの平均課税対象所得は、661ドルではなく、175ドルとなる。これらの数字が示すことは、ドライバーたちの利益のおよそ74%が課税されていないということである。

著者らは、その661ドル/月の平均利益が代表的な数字であるならば、米国の標準走行距離控除によって「米国中の数十万人の配車サービスドライバーたちの収入の数十億ドル」が課税されていないことになる、と付け加えている。

ということで、この調査が配車サービスのビジネスモデルに関して教えてくれるものは何だろう?「このレポートが語っていることは、そこは働くに値しない場所だということです」と語るのはMangrove Capital Partnersの共同創業者でCEOのMark Tluszczだ。彼はギグエコノミーモデルを現代版搾取工場と呼んでいる。そして彼のVCファームはその搾取的なビジネスモデル故にギグエコノミー企業には意識して投資しないようにしているのだと語る。

「もしあなたが経営側なら、そこは素晴らしい場所だと言えるでしょう。しかし、そこで被雇用者になったり、作業員になったりすることはとても辛いことなのです」。

配車サービスプラットフォームの非対称な搾取性が登場する理由は、働き手にはある程度の固定コストが掛かるのに、媒介をするプラットフォームは、自由にその手数料を引き上げたり、ライバルに対して競争を仕掛ける際にエンドユーザーに対するサービス料を、引き下げたりすることが可能だからだ。

「結局、日々(ドライバーたちには)ある程度の固定コストが掛かっています」とTluszczは言う。「車を買わなければならず、保険にも入らなければならず、ガソリン代も払う必要があり…そしてプラットフォームが請求する手数料は10%、15%、そして今や20%にも達しています。そして利用料金が競争相手に勝つために引き下げられて…ドライバーはコストは固定されているのに、収入は減少しています。率直に言えば、コストをカバーするために、より長い時間を車の中で過ごす必要があるのです」。

「それがこの研究によってあからさまに報告されていることなのです。こうした人たちは、時間あたりに換算したときのお話にならない位低い収入でコストをカバーしているので、より長い時間働くことを余儀なくされているのです。そして、まず自分自身の面倒を見るので精一杯になるため、それを社会に還元する余力が与えられていないのです」。

この記事を書いている時点では、UberもLyftもこのMITの研究に関するコメントの要請には反応していない。しかし、Uberの広報担当者はThe Guardianに対して、その研究方法論と調査結果には「深刻な欠陥」があると考えていると述べた上で「私たちは論文の著者たちに連絡して、私たちの懸念を伝え、この研究を共に深めるために協力が可能であると申し出ている」と付け加えた。

Tluszczはすぐにその批判を一蹴した。「この研究を行ったMITは、二流組織ではありません」と彼は指摘する。「私にとっては、MITが『ここに問題があるぞ』と指摘したように見えます…ビジネスモデルに何らかの欠陥があって、私たちは少しの間ならその問題点をやり過ごすことはできるものの、最終的には疎外された人たちを生み出してしまうのです」。

「これらのビジネスは、現実的ではない市場の状況の上に成り立っています」と同氏はTechCrunchに語っている。「彼らは立法上の穴を利用したのですが…行政がそれを許したのです。そしてそれは突然すべてのサービスを安くしました。しかし、人々は食べて行かなければなりません。生きて行かなければ。それは大変なことです」。

「英国のタクシー運転手たちは、億万長者ではありません。ただまともな生活を送っているだけです。しかし、彼らがまともな生活を送ることができるのは、サービスの提供に対してある程度の価格が維持されているからです。そしてどんな業界にも、そのようなまともな価格は存在しています。その業界で生きていくことができるための、ある公正な価格が存在しているのです…そして明らかなことは、配車サービス業界にはそれが存在していないということなのです」。

欧州では、Uberのビジネスは一連の法的係争に直面した。同社はそのプラットフォームを利用する労働者たちに対して、ある程度の保険料の補助を始めた。例えば欧州全域のUber Eats宅配業者に対するものや、英国のドライバーたちに対する個人向け傷害保険商品などだ。

またUberは1月には英国で、安全性のために、ドライバーが連続してプラットフォームから受注できる時間に上限を設けることをアナウンスした。これは安全性と労働条件に関する、政治的そして法的圧力の高まりを受けてのことだ。

昨年Uberには、ドライバーたちのグループは同社の主張していたような独立した提携先ではなく、同社の従業員であるという裁定が下された。つまり、ドライバーたちには休日や疾病手当金などの、労働者としての権利が発生するということだ。

Uberはまた、去年の秋にロンドンでの営業許可を失っている。地元の規制当局が、同社の安全性に取り組む意識と企業としての責任に関する懸念から、同社のプライベート配車免許の更新を許可しなかったからだ。

Tluszczの見解によれば、こうした動きは、欧州におけるより大きな動きの予兆となるものだと言う。世界的な労働者の搾取によって成り立つビジネスモデルにとって、恒久的な障害物として立ちふさがることになるからだ。

「労働者から見た場合の、ギグエコノミーの欠陥があまりにも大きいので、欧州の政府たちがこれを禁止し、これは欧州の精神に似合わないと述べることは、明らかだと思います。とにかく価値観に合わないのです」と彼は強調した。「こうしたこと全てが崩壊する瞬間が訪れることでしょう。そしてそれは正に、公正を重んじる欧州の価値観と、単に市場価値を求める米国の価値観の文化的衝突だと思います。

「1時間に3.37ドルしか稼げない人が、年金の掛け金や社会保険料を支払ったりできるとは思えません。どうやって生活するのですか?」と彼は付け加えた。

「私たちは、単純に生きるために必要な資金を持っていない、次の失われた世代を生み出しているのです。そして企業たちは安いサービスを消費者に提供することで、そうしたことを行っているのです…私は欧州がそうしたことを我慢するとは思えません」。

先月英国政府は、ギグエコノミーの勃興に伴う変化に対応することを意図した労働市場改革を発表し、この分野に対する対応を行う意志を明確にした。その戦略は”Good Work Plan”(良い仕事計画)と名付けられた。それは労働者の権利を拡大するもので、「何百万人」もの労働者たちが、正規雇用者と同様の権利を持ち、プラットフォームや企業が、疾病手当金や有給休暇に対するより厳密な運用を行うことを強制するものだ。

「私たちは我が国が、最高の雇用水準を維持していることを誇りに思っていますが、労働者たちの権利も確かに守られるようにしなければならないのです」と英国首相は語り、彼女の目標が「皆に役立つ経済」であることを強調した。

今年の後半には、雇用法改革の詳細が発表されることだろう。しかし、欧州のギグエコノミープラットフォームが進む方向性は明らかなものに思える。法的な抜け穴を自由に利用できるような状況を離れて、より厳密に管理された雇用と労働福祉規則の枠組みに向かい、巧みな工夫と法的手段によって裏をかかれないような構造にする(例えば英国における全国的な最低賃金の設定)ということだ。

「これは私にとって、私たちが欧州で想定するある程度の社会主義性と、資本主義の間に横たわる、切っても切れない矛盾点なのです」とTluszczは語る。「これは世界に対する、根本的に異なる2つのビューの衝突で、究極的には自らの役割を、企業として社会に貢献する一員として捉えなければなりません。そしてテクノロジー企業も事実から目をそむけるわけにはいかないのです。同じような行動が求められます」。

「残念なことに、配車サービスビジネスや多くのギグエコノミー企業たちは、単に法の抜け穴を活用しようとしているだけです。率直に言って彼らには『私が働くこの社会に良いことを為そう』という最低限の志を感じないのです。そう、彼らは全く、何も気にすることがないのです。

「これは、消費者として私たちが抱えるジレンマです。なにしろ一方では私たちはそれが安いことを喜んでいるからです。しかし私たちは、人びとがみなまともな生活を送ることができることを願っているのです」。

米国企業たちが、この先米国労働者との搾取的関係を弱めるかどうかはまだ分からない。

Tluszczの見解では、これらの企業が、ビジネスモデルの運用方法や、彼らが影響力を及ぼしている人びとについて再考するためには、何らかの政府の介入が必要になるだろうということだ。

「テクノロジー企業であっても、もちろん企業市民としての責任は同等です。そして、現段階では、特に多くのテクノロジー企業が米国生まれであるせいで感じることなのですが、まるで良い企業市民である必要はないということが、彼らの『アメリカ主義』を代弁しているようにも聞こえるのです。すなわち世界を自分と株主のために恣(ほしいまま)に利用しても良いという具合に」と彼は語る。

「私は資本家ですが、ビジネスを構築する際には、持っていなければならない道徳的指針があると思っています。そして、世界中で ―― もちろん欧州でも ―― 米国のテクノロジー企業激しく批判されています…道徳的なコンパスはどこにあるのでしょう?残念ながら、彼らはそれを失ったと言わざるを得ないのです」。

更新:Lyftの広報担当者の1人が私たちからのコメント要請に対して、以下のように電子メールで回答した:「ドライバーの皆さまはLyftの成功を支える一部です。国内で順調に増え続ける数の方々が、Lyftを収入を得るための柔軟な手段として利用なさっています。そして私たちはこれからもドライバーコミュニティと関わり、皆さまの成功をお手伝いします。研究結果に関してはまだ精査しておりませんが、ざっとみた限りでは疑問符のつく想定が行われているように思えます」。

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(翻訳:sako)

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コインロッカー革命へ「ecbo cloak」がJRやメルカリとタッグ、1万店舗への導入と配送サービスの実現目指す

写真右がecbo代表取締役社長の工藤慎一氏、左が取締役の藁谷ケン氏

店舗の空きスペースを活用した荷物預かりシェアリングサービス「ecbo cloak(エクボ クローク)」を運営するecbo。同社は2月6日、事業会社とVC、複数の個人投資家から資金調達を実施したことを明らかにした。

今回ecboに出資したのはJR東日本、JR西日本イノベーションズ(JR西日本のCVC)、メルカリ、エウレカ創業者の赤坂優氏、元グルーポン・ジャパン取締役会長の廣田朋也氏、ラクスルやビズリーチの創業メンバーである河合聡一郎氏だ。調達金額は非公開。ただ関係者の話を総合すると数億円規模の調達ではないかとみられる。

ecboでは今回の調達を踏まえ、引き続き各地で荷物預かり拠点を増やしていくとともに、新たな配送サービスなど機能拡充を進め”荷物のない世界”の実現を目指す。 同社のプロダクトを踏まえると、JR東日本・西日本とタッグを組めた今回のラウンドは、今後のビジネス拡大に向けてかなり大きい意味を持つだろう。

主要地域の開拓、大手企業との提携を通じて導入店舗を拡大

ecboは2015年の創業。当初はオンデマンドの収納サービスを手がけていたが、代表取締役社長の工藤慎一氏が「渋谷駅で訪日外国人旅行客のコインロッカー探しを手伝ったこと」をきっかけに、コインロッカー不足の課題に直面。

店舗の遊休スペースを使った荷物預かりプラットフォームecbo cloakを開発し、2017年1月から渋谷や浅草エリアを中心に約30店舗からサービスを始めた。

3月にANRIや個人投資家の渡瀬ひろみ氏、千葉功太郎氏から数千万円を調達。それ以降は関西(京都と大阪)や福岡、北海道、沖縄など各地域への展開を推進。同時に他社との業務提携、インキュベーションプログラムの参加などを通じて、導入店舗の開拓に力を入れてきた。

「観光は日本全国が対象。荷物を預ける場所の問題も各地で起こっていて、それを解決したいというのは変わらない。コインロッカーの設置は簡単ではないし、企業が預かり事業をやるのもハードルが高い。ecbo cloakならサービスに登録さえすれば、その場所がすぐに荷物預かり所に変わる。その世界観を広めながら店舗の開拓を進めてきた」(工藤氏)

直近では三越TSUTAYAの一部店舗も加わったほか、アパマンショップの18店舗にて試験導入され、東京駅の手荷物預かり所でのサービス提供もテスト的に実施している。2月21日以降は東京、神奈川の一部郵便局でも実証実験(2月21日より5局、3月1日より合計31局で導入)を始めるなど、大手企業との協業も活発だ。

ecbo cloakは2018年1月にサービス開始1周年を迎えた。現在の導入店舗数は非公開だが、直近の取り組みや今回JRとタッグを組むことで、目標とする1万店舗に大きく近づくという

郵便局とは2018年7月頃を目処に荷物配送サービスの実証実験にも取り組む予定。これは2017年12月に工藤氏がピッチコンテスト「Launch Pad」にてプレゼンをしていた、「ecbo delivery」という新たな構想の一環だ。

僕はよくコインロッカーを使うけど、目的が済んだ後でいちいちロッカーまで荷物を取りに戻るのは正直面倒。せっかくなら預けた荷物をそのまま次の目的地まで運んでくれたら楽なのにと思うけれど、ecboが今後実現しようとしているのはまさにそんな世界観。

将来的には預けた荷物をボタン1つで配送手配することを目標に掲げ、実証実験ではまず郵便局からecbo加盟店への配送サービスとして始める予定だという。

鍵を握る「駅前の好立地」を開拓、今後は預けた物の配送サービスも

これまでは「利用できる店舗を1万店舗まで増やすこと」をひとつの目標として、導入店舗数の拡大に注力してきた。地方進出も進めてきたが、工藤氏によると現状では東京や大阪といった都市部の売り上げが高いそう。「まずはこのエリアをしっかりと押さえきること」が今後のポイントだという。

「店舗数はもちろん、いかに駅前の好立地を開拓できるかがユーザーの利便性に直結する。その点では(JR東日本、西日本とタッグを組めた)今回のディールはすごく大きい。ビジネス規模が広がるだけでなく、もし今後大手企業などが参入してきたとしても立地面では優位に立てる」(工藤氏)

JR東日本と共同で、東京駅の手荷物預かり所にてサービスを提供

JR西日本とは業務提携も締結。駅構内の拠点の利用や関西地区の預かり所の開拓などを進める。上述した配送サービスにも東日本、西日本双方と取り組んでいく方針だ。

また今回はメルカリからも出資を受けている。同社の組織構築力やシェアリングエコノミー型サービスの広げ方などの知見をサービス拡大に活用。事業提携も検討する。

ecboでは調達した資金をもとに人材採用やプロモーションに力を入れ、まずは「この領域で圧倒的No.1の存在を目指して」全国1万店舗での導入やアプリ開発などに着手。その先では荷物の“保管“に“配送“の要素を加えた、新たなプラットフォームの実現に取り組んでいく。

「去年1年間は主に訪日外国人向けの荷物預かりサービスだった。ただ自分たちがやりたいのは、単なるマッチングサービスを超えたもの。今後はテクノロジーを活用して『ボタン一つで荷物を保管し、運ぶ』ことができる革新的なプラットフォームを目指していく。今回のディールはその目標に近づくものだ」(工藤氏)

Airbnbに関する新しい調査が示す、ニューヨーク市の賃貸事情に対する芳しくない影響

自分の住む都市をよく知るものにとっては、Aitbnbの爆発的な人気によって巻き起こった短期賃貸ブームが、色々な影響を及ぼしていることに気がつくことはたやすい。正確には何が変化しているのか、どれほどの速さで手に負えなさが進んでいるのかを見てみよう。ニューヨークでは、それらの影響によって、Airbnbと市の規制当局との間に、何が本当に都市のためになることなのかを巡って、何年にもわたる係争が続いている。その賃貸業界への深い関与は、ただ火に油を注いでいる。

McGill Urban PlanningのDavid Wachsmuth教授が行った新しい調査は、極めて印象的なデータを示している。なお、分析作業は独立して行われたものの、研究自身はHotel Trades CouncilとAFL-CIOの委託によって行われた。両者はホテルビジネスの活性化に関わる団体である。よってそのことは気に留めておいて欲しい。

まず初めに、研究によれば、Airbnbによってニューヨーク市の長期賃貸価格は、年間1.4%もしくは384ドル引き上げられたと推定されている。この調査は、長期賃貸市場における物件不足と、短期賃貸市場における金銭的インセンティブの両者が、この価格上昇の原因であることを示唆している。

これらの結論は、UCLAによって開発された比較モデルから引き出された(比較に際しては、ニューヨーク固有の事情によって値上げに影響を及ぼしたであろう要素は取り除かれている)。

UCLAのモデルでは、諸要素を包括的に調整したあと、あるエリアのAirbnbの登録数が10%増加した場合には(賃料の増加を招く他の要素は取り除いてある)長期賃貸料は0.42%上昇することが示されている。この関係を私たちのデータに適用した結果、私たちはAirbnbがニューヨークの長期賃料を上昇させたという強力な証拠を発見した。

この調査はまた、Airbnbがニューヨークの長期住宅の利用可能な物件数に及ぼす、潜在的な影響も説明している。それによれば、7000から1万3500件の長期賃貸物件が市場から消えたということだ。残念ながら、その問題はすぐにでもより悪化しそうに見える。

さらに、空間クラスター分析によれば、4700におよぶ「プライベートルーム物件」(家の中で、家主が住んでいる部屋とは独立してプライバシーを確保できるとされている部屋、本来は家全体の貸し出しではない)が、実際には(家主が住んでいない貸し出し部屋だけの)「ゴーストホテル」に属するものであり、1つのアパートメントまたは建物に、そのような多くの部屋が集められている。これはおそらく、ニューヨークでも現在最も急成長している賃貸カテゴリーである。おそらくAirbnbを展開する法人組織が、規制当局からの精査を避けようとして行っている戦術の結果だと思われる。

Airbnbは、平均的な賃借人のイメージを改善するための努力を重ねている。すなわちその家の主が余った部屋を貸し出して、ちょっとした収入をあげようとしているというイメージだ。しかしAirbnbの大部分が、都市中で多くの物件を扱う業者による運営であることは、秘密でもなんでもない。

McGillはこの点を調査し、ニューヨーク市地区におけるAirbnbの収益の3分の2が、(オーナーが居住していない3室以上ある建物で30日以下の短期賃貸を行うことを禁じた)ニューヨーク市の規制に違反した物件から挙げられていることを特定している。これを調べるために、今回の調査では、独自のデータと、指定された建物タイプに対する市勢調査情報を組み合わせた。

その結果:

…私たちの推定では、住居全体が賃貸されている物件の85から89%が毎月違法状態である。これは、たとえすべてのプライベートルーム物件が、合法的なものであったとしても、ニューヨーク市における予約の43%から47%のものが違法だということを意味している。月々、7600から1万2700件の物件が不法な予約を受け付けているが、これはアクティブな物件の42%から46%を占めている。昨年の合計では、予約の45%が違法と思われる。そしてこうした違法予約が、全ホスト収入の66%(4億3500万ドル)を生み出した。

こうした違法な物件や「ゴーストホテル」が優勢であることを考えると、Airbnbのトップ10%のホストが2017年の全収益の48%を稼ぎ出していることは、あまり意外ではないだろう。ささやかな家主を助けるために、市の規制当局と如何に上手くやっているかを演出しているAirbnbには、そぐわないイメージだ。

もしこうした話題に興味を持った場合は、ここで完全なレポートを参照することができる。この調査に資金提供したのはホテル業界ではあるが、調査方法は概ね健全であり、実際にあなたが裏庭で起きているところを目撃した、定性的変化を支持する定量的変化に反論することは難しい。

[原文へ]
(翻訳:sako)

FEATURED IMAGE: CHRISHEPBURN/GETTY IMAGES

Airbnbの予約時前金が安くなった、ただし総額250ドル以上なら

Airbnbが今日(米国時間1/16)、ユーザーのお勘定を楽にする機能を発表した。その機能は名前もずばりPay Less Up Front(前払いを少なく)で、予約時に少しだけ払い、残りはチェックインが近くなったら払う。

これまでは、Airbnbのユーザーは予約時に全額払っていた。週末旅行程度なら、それでも大した額ではないが、長期滞在で全額前払いはきつい。

Airbnbはこの前も決済方式の改定があり、団体旅行者に予約時の分割払いという便宜が提供された。

AirbnbがPay Less Up Front機能をテストしたときは、40%のゲストがこのオプションを選び、ちょっと高いのを予約した。またこのオプションを利用した旅客は、リードタイムが通常の予約の倍長かった。

これでチェックインの数日前に払う額は通常50%となったが、ただしそれは、チェックインの14日前に予約、総額250ドル以上、というルールがある。

この新しい機能は、すべてのプラットホームで使える。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

「リピート利用360%増」スペースマーケットがポイント機能と直前割を開始、ナレッジを生かした新事業も

2014年4月にリリースされた、遊休スペースをシェアできるプラットフォーム「スペースマーケット」。お寺や古民家、映画館や個人の住宅まで多様なスペースをレンタルし、会議や撮影、イベントなどに利用できるというユニークなサービスだ。

現在取り扱いスペースは1万2000件を超え、月間で数千件のイベントを生み出すプラットフォームになったスペースマーケット。同サービスではさらなる満足度向上を図るため、10月24日より「ポイント機能」と「直前割引サービス」をスタートした。

リピート利用が前年比で360%増加、継続者増やす新機能リリース

スペースマーケットのユーザー数は対前年比で約300%増加しているが、なかでも順調に伸びているのがリピートユーザーだ。会議や撮影などの法人利用に加えパーティーなどの個人利用も増え、リピート利用が対前年比で約360%増加しているという(3ヶ月以内に2回以上利用したユーザー数)。

リピーターが多いのは会議利用のほか、開発合宿や経営会議など社外で行うオフサイトミーティング、プロモーション素材の撮影、フリーランスのセミナーなど。スペースマーケット企画ディレクション室の堀田遼人氏によると、用途や活用する企業の幅も広がってきているそうだ。

「オフサイトミーティングではこれまでベンチャー企業の利用が多かったが、最近では大企業の利用も増えている。ミーティングをした後でそのままバーベキューをするなど、1日合宿で使えるスペースが人気だ。また専用の撮影スタジオの代わりにスペースマーケットに登録された住宅をレンタルして、動画・写真撮影を行う事例も増えてきている」(堀田氏)

今後さらに継続利用を増やす目的で、スペースマーケットでは新たにポイント機能と直前割引サービスを始める。ポイント機能はスペース利用額の3%がすべてのゲストに付与され、1ポイント1円換算で利用できる仕組み。直前割引は利用日の直前5日間に予約した場合に割引が適用されるというものだ(割引率はスペースごとに異なるが、10%以上になるという)。

スペースマーケットでは以前から一部のスペースを対象に、ホストの承認なしに即時予約できる「今すぐ予約」機能を提供。多くの反響があり利用数の増加に繋がったこともあり、直前割引サービスの開始に至ったという。

また法人利用を増やすべく11月からは法人専用アカウントもリリースする。後払いやコーポレートカードによる決済に対応し経費精算の負担を削減するほか、法人ごとに社員の予約を一元管理できることで使いやすさの向上を図る。

蓄積した資産も活用しながら、法人顧客数の拡大へ

機能追加に加え、スペースマーケットでは蓄積してきた資産を活用した企業のマーケティング支援事業「Memorable Moment Creations」や、空きスペースの再生プロデュース事業も始めている。

「企業が一方的に価値観を発信するのではなく、ユーザーと一緒にストーリーを作っていく『共創』が今のマーケティングのトレンド。スペースマーケットでは記憶に残るスペースに加え、これまで蓄積してきたイベントのナレッジを活用してイベントのサポートを行っていく」(スペースマーケット代表取締役社長の重松大輔氏)

ネスレ日本と実施した事例「とびっきりParty Market with PERRIER 」

どこで、いつ、どんなイベントが開催されるのか。スペースマーケットにはイベント開催者が気になるデータが蓄積されてきた。たとえばハロウィンなどプライベートのパーティー会場として活用される事例も増えてきているそうで、トレンドを踏まえて企業のマーケティング支援をできるのが強みだという。

空きスペースの再生プロデュース事業についても、不動産は保有しているがどのように運用するのがいいかわからないオーナーのスペース再生をサポートするというもの。これまでも「fika」というブランドで自社プロデュースのスペースを提供していたが、それを本格化する形でスペースの企画から運用までを行う。第一弾として大手不動産投資会社と提携し、池袋の地下空間をリノベーションしたFICTION池袋を10月にオープンしている。

引き続きスペースマーケットでは個人・法人双方に向けた施策を行っていく方針だが、特に重要視する指標のひとつとして、重松氏は「法人の会員数や顧客数」をあげる。プラットフォームの改善をしながら、イベントやスペースのマーケティング、プロデュースといった事業を強化し、法人顧客の拡大を目指していくという。

「このサービスを運営していると、働き方や遊び方の価値観が急速に変わってきていることを実感する。3年前だと少し早かった動きがちょうど普及してきたタイミング。自社でも事例を積極的に発信しながら、働き方や時間の使い方に関する価値観の変遷も伝えていきたい」(重松氏)

スペースマーケットでは2017年6月に成立した​民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づき、宿泊事業に本格参入することも9月に発表している。民泊事業も含め、今後の同社の動向が気になるところだ。

ヘリコプターのライドシェアサービス「CodeShare」がサービス開始、東京から成田は20分5万9800円

ライドシェア系のサービスと言えば車を浮かべるかも知れないが、今回紹介するAirXの「CodeShare(コードシェア)」は、ヘリコプターのライドシェアサービスだ。ヘリコプター運航会社の有休在庫を活用することで、安価にサービスを提供するという。AirXは10月11日、サービスを開始した。

CodeShareがまず提供するのは、東京と成田空港、初島、箱根を結ぶルート。サイトにもあるように定期便ではなく、1席以上の予約が確定したタイミングでフライトが決定する。チケットは無料会員登録後に購入できる。ヘリコプターといえばチャーターで予約するイメージがあると思うが、冒頭の通りCodeShareはライドシェアサービス。飛行機同様、席ごとにチケットを購入するかたちとなる。

1人あたりの料金は東京〜成田空港が5万9800円、東京〜箱根、東京〜と初島が6万9800円となる。通常通りのチャーターであれば数十万円かかってしまう(AirXの提供するチャーターサービス「AIROS」では、初島までの片道で26万6000円。これに離着陸場の利用費用などがかかる)。なお機体の都合上、1フライトあたりの最大乗員数は8人までとなっている。東京23区から東京ヘリポート(新木場)への無料タクシー送迎、箱根、初島、成田空港への無料荷物配送も行うため、フライト当日は荷物なしでの搭乗が可能だ。

「ヘリコプターは渋滞がなく、高速で移動できる。だがこれまではチャーターでの提供が一般的。渋滞がないとは言え。貸し切り料金でしか使えなかった。一方でヘリコプターの稼働率は15%ほど。今後は『空』の市場が一般化されていく。(移動時間を短縮することで)時間を作り出すサービスを作っていく」——AirX代表取締役の手塚究氏はそう語る。手塚氏と取締役の多田大輝氏はいずれもフリークアウトの出身。同社を退職後、移動領域、物流領域のビジネスを模索する中でCodeShareを提供するに至った。同社は2016年にANRIおよび個人投資家から数千万円の資金を調達している。

AirXではすでに複数のヘリコプター運航会社とパートナーシップを結んでいるが、今後はそれを拡大。発着陸場所も増やすことで、さらなる路線の提供をねらう。

AirXのメンバーら。中央左が代表取締役の手塚究氏、中央右が取締役の多田大輝氏

ソフトバンクC&S、Ofoと共同でシェアバイク事業を開始――まずは東京・大阪で9月から

WeWorkの日本進出支援を発表してから約1か月が経ち、ソフトバンクは新たなユニコーン企業の日本進出をサポートしようとしている。本日同社は、ドックレスシェア自転車を日本に広めるべく、中国のシェア自転車サービス大手Ofoと協業すると発表した。

これまでにAlibabaやDidi Dhuxing、DST Globalらから合計10億ドル以上を調達してきたOfo。登録ユーザー数は1億人以上、シェア自転車の数は800万台とされている同社のサービスは、モバイルアプリ上でQRコードを読み込むことで、どこでも自転車を乗り降りできるというものだ。

Ofoが協業することになるソフトバンク コマース&サービス株式会社は、IoTやロボット、クラウドソリューションを提供しているソフトバンクグループの1社だ。まずは今年9月に東京と大阪にOfoの自転車を配備するとのことだが、恐らくそれ以降サービス提供地域を拡大していくのだろう。

「日本のことは重要な市場と位置付けています。自転車文化が根付いている日本で、Ofoはより便利でコストメリットのあるサービスを日本の皆さまに提供していきます」とOfoのAPAC部門を率いるLawrence Caoは声明の中で語った。

ドックレス自転車の解錠について説明するOfo CTOのAustin Zhang

WeWorkとは違い、今回の協業には(少なくとも現時点では)資本的なやり取りは含まれていないが、既に両社はさまざまな点で繋がっている。これまでに幾度となくソフトバンクと共同出資を行ってきたAlibabaは、Ofoが7億ドルを調達した直近のラウンドでリードインベスターを務めたほか、ソフトバンクの投資先であるDidi昨年Ofoに出資している。

最近の報道では、ソフトバンクが中心のラウンドがOfoが10億ドル超を調達しようとしていると噂されていることを考えると、今回の日本進出が両社の長期的な関係のスタート地点となる可能性もある。

Ofoは今年中に200都市へ進出するという野心的な目標を掲げているが、2017年の前半だけで、既に中国を中心とする100都市への進出(もともとはこれが2017年の目標だった)を果たした。そして現在同社は海外市場へ果敢に攻め込もうとしている。これまでのところ、イギリス、シンガポール、タイ、カザフスタン、マレーシアには進出済みもしくは進出間近の状態にあり、今回このリストに日本が加わることになった。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

シェアリングサービス利用時、相手に電話番号を知られずに通話できる「トラストーク」がローンチ

最近、電話をする機会がめっきり減ったのだが、時折宅配便や清掃業者に電話をかける時がある。そんなとき、プライベートで使っている電話番号が知られてしまうのに抵抗感を持つ人は私だけではないと思う。

沖縄県に拠点を置くレキサスは、KDDIウェブコミュニケーションズと「Trustalk(トラストーク)」を共同企画し、本日より提供を開始した。トラストークは、クラウド電話APIサービス「Twilio」を活用し、互いの電話番号がしなくても通話できるサービスだ。

トラストークはスポーツインストラクターを派遣する事業や家事代行サービスと行った個人同士をつなぐC2Cプラットフォーム事業者の利用を想定したサービスだ。

事業者が050で始まるトラストークの番号に、サービスを提供するスタッフとエンドユーザーの携帯電話番号を紐付けると、スタッフとエンドユーザーはその番号を介して通話できるようになる。それぞれの携帯端末の通話履歴には050の番号が残るので、個人の番号は分からない仕組みだ。

トラストークでは発信者と受信者を指定して登録するため、スタッフからしか発信できない、あるいはエンドユーザーからしか発信できないという設定ができる。もちろん、双方から発信できるようにも設定可能だ。電話番号の登録と同時に通話可能な期限も設定するため、それを過ぎると電話は繋がらなくなる。事業者は通話回数や通話時間などのログを確認したり、通話内容を録音することが可能だ。

レキサスでは以前より会話を軸としたサービス開発を検討していたが、C2C事業者の悩みを聞いたのがトラストークを開発するきっかけになったとトラストークのプロジェクトマネージャーを務める白鳥健治氏は話す。

例えば、トラストークをクローズドベータ版で利用してきた家事代行サービスのカジーでは、家事を行うスタッフと依頼主の間で、電話で連絡を取りたいというシーンがあるという。ただ、スタッフも依頼主も互いの連絡先が知られてしまうのに抵抗感がある。また、スタッフと依頼主が直接連絡した場合では、事業者は利用者とスタッフとの間でどのようなやりとりがあるか把握することができないという課題があった。

トラストークではスタッフとエンドユーザーのプライバシーを守りながら、事業者にとっては通話ログを確認することができるようにする。C2C事業者にとって、こうした通話サービスの需要があるのではないかと考えたと白鳥氏は話す。

現在、トラストークを利用するのに初期費用や月額費用はなく、費用は番号代 1ヶ月108円と電話代のみだ。携帯電話に発信する場合は1分あたり27円で、固定電話への発信は1分あたり10.8円だ。通話内容の録音機能は1分0.125円となっている。また、SDKも用意していて、事業者は自社サービス内にトラストークを組み込むことができる。

現在ベータ版だが、通話内容のテキスト化とのオプションもある。今後、通話内容を後からでも検索しやすいようにする音声解析機能なども搭載する予定だという。

2017年6月、日本郵政はフリマアプリなどで購入した品物を送るのに、互いに住所や氏名がなくとも配送できる「e発送サービス」を発表したが、トラストークはその電話番号版に近いと言えるだろう。こうしたサービスは個人が互いに安心して取引するための一助となるかもしれない。

トラストークを提供するレキサスは1998年10月に設立し、本社は沖縄県うるま市にある。もともとはシステム開発を行っていたが、近年は自社プロダクトである獣医療者向けのクラウドサービス「Halope H」などの開発提供も行なっている。

トラックのセルフレンタルサービスFetch――料金は1時間10ドルから

家具の運搬は面倒な作業だ。

Fetchは、Uber XLの車のトランクにおさまらないようなものを運ぼうとしている人のためにサービスを提供している。アトランタを皮切りにローンチしたこのサービスでは、トラックやバンを最短1時間から最長数日間まで簡単に借りることができる。

現在はトラックのレンタルサービスを運営しているFetchだが、2015年にY Combinatorのプログラムに参加したときには全く別の事業に取り組んでいた。ウェビナーを簡略化するBreakout Roomというサービスの後に生まれたのがFetchなのだ。「ピボットしないで出来る限りのことをやろうとしていましたが、残念ながら私たちのサービスはそこまで人に求められていないという結論にたどり着きました」とCEOのAdam Steinbergは話す。「Breakout Roomのローンチから1年くらい経った頃、共同ファウンダーと私は互いの顔を見合わせて『自分たちは一体何をやっているんだ?』と尋ねあったほどです」

それから共同ファウンダーのふたりは、自分たちが体験したことのある問題の解決に取り組もうと考えた。その問題こそが、短時間の運搬作業だったのだ。そして昨年の10月、トラックのレンタルサービスというコンセプトを試すため、彼らは数台のトラックを使ってパイロット版をローンチした。その結果、需要は間違いなく存在することがわかったとSteinbergは言う。

Gataroundをはじめとする人気のカーレンタルサービスのおかげで、簡単に日帰り旅行ができるようになったように、Fetchはユーザーが何かを運びたいときに面倒な手続きや書類なしでトラックを借りられるようなサービスを提供しようとしているのだ。

料金は車の種類(ピックアップトラックから載積量の多いカーゴバンまで準備されている)によって変わってくるが、平均で1時間あたり10〜20ドルもしくは1日あたり50〜100ドルに設定されている。ユーザーは近くにあるトラックの検索から、Fetchのチームが開発した鍵の解錠まで全てモバイルアプリ上で行える。

車とトラックのレンタルというのはかなり似ているところが多いが、Fetchの強みになるような重要な違いもいくつかある。

「カーシェアリングサービスでは、車のダメージや修理というのが1番大きな問題になってきます。というのも、BMWやトヨタの車を借りるとき、ユーザーは傷のない綺麗なものを借りたいと思いますからね」とSteinbergは語る。「しかしトラックの場合は、ものを運ぶという具体的な目的があるため、安全に運転できさえすれば多少の傷は気にしないという人が多いんです」

現在のところ、Fetchは自社で保有しているトラックやバンの貸出のみ行っており、アトランタに15台の車両を配備しているが、今後は毎月4〜5台ずつトラックの数を増やす予定だ。また、3人という少数精鋭のFetchのチームは、まずアトランタ市内でしっかりと基盤を築き、それから近隣地域へ進出していこうと考えている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

LGBTQコミュニティ向けのAirbnb、Misterb&bが850万ドルを調達

ターゲットを絞った小規模な企業が、Airbnbの競合として生き残っていくだけの余地はまだ残っているのだろうか? この問いにイエスと答えようとしているのが、フランス発のスタートアップMisterb&bだ。この度、Project AVentechから850万ドルを調達した同社は、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア)ユーザーに特化した民泊プラットフォームを運営している。

名前からもわかる通り、もともとMisterb&bは男性の同性愛者向けサービスとして始まったのだが、今ではLGBTQコミュニティ全体を包括するようなプラットフォームに変わろうとしている。Airbnbも、いわゆるゲイ・タウン(同性愛者が集まる地域)の物件をたくさん扱っているが、ホストの素性についてユーザーは事前に判断することができない。

Misterb&bファウンダーのMatthieu Jostは、パートナーとの旅行時にホスト絡みで苦い経験をしたこともあり、この状況に警鐘を鳴らしている。さらに、同性愛が禁じられている国への旅行となると、リスクは一層高まってくる。

しかし、Misterb&bを利用する人たちは、全員がこの状況を理解しているので、わざわざホストに嘘をつく必要もない。また、現地で直接情報収集するタイプの人であれば、地元に住むホストにオススメ情報を尋ねるのが1番だろう。

現在彼らは135か国でサービスを展開しており、ホストの数は10万人にのぼる。ウェブサイトの見た目や雰囲気はかなりAirbnbに近いので、ユーザーが利用時に戸惑うこともない。

ここで、冒頭の問いについてもう一度考えてみたい。まず、Airbnbはこれまでに幅広い層をターゲットにした全方位型のサービスへと成長した。今となっては、彼らは潰れるには大きすぎるほどのサイズにまで成長し、別の企業がAirbnbを丸々代替するようなことは恐らくないだろう。しかし、Airbnbが力を入れていない分野やターゲットが存在するというのも事実で、新興企業にもまだ勝機が残されている。

だからこそ、Onefinestayは超ハイエンド版のAirbnbとして成功をおさめ、後にAccorHotelsに1億7000万ドルで買収されたのだ。Misterb&bも、ターゲットを絞りながら業界を先導する企業の類似サービスを提供しているスタートアップの良い例だ。

以上より、民泊市場には複数の企業がやっていけるだけの余地が残されていると個人的には考えている。市場が細分化しすぎない限りは、選択肢が増えるという意味で消費者には喜ばしいことだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter