赤十字国際委員会のデータが流出、「弱い立場にある」51万5千人の個人情報が盗まれる

赤十字国際委員会(ICRC)の業務委託先がサイバー攻撃を受け、紛争や移住、災害などで家族と離ればなれになった「非常に弱い立場にある」51万5000人以上の個人データが流出していることが明らかになった。

赤十字国際委員会は、データの保存に使用しているスイスの業者の名前や、セキュリティ事故の原因については明らかにしていないものの、これらのデータは60以上の赤十字社および赤新月社のナショナルソサエティから提供されたものだと述べている。

声明の中で、赤十字国際委員会は攻撃者に対し、データの保護必要度を考慮して、情報を公に共有したり漏洩させたりしないようにと訴えている。

「あなた方の行為は、すでに計り知れない苦しみに耐えている人々に、さらに多くの傷と痛みを与える可能性があります。今、あなた方が手にしている情報の背後にいる実在の人物、実在の家族は、世界で最も無力な人々です。どうか正しいことをしてください。このデータを共有したり、売ったり、漏洩させたり、悪用したりしないでください」と、声明には書かれている。

この情報漏洩を受けて、同団体は紛争や災害で離ればなれになった家族を再会させることを目的とした「Restoring Family Links(家族のつながりの回復)」プログラムを停止した。

赤十字社の広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、盗まれた情報には、氏名、所在地、連絡先の他、同組織のプログラムの一部にアクセスするための認証情報も含まれていたとのこと。

今回のサイバー攻撃によって、51万5000人以上の氏名、所在地、連絡先などの個人情報が侵害された。被害を受けた人々の中には、行方不明者とその家族、親のいない子どもや親と離ればなれになった子ども、拘留者、その他の武力紛争や自然災害、移住により国際赤十字・赤新月社運動から支援を受けている人々が含まれる。また、これらのプログラムに従事する約2000人の赤十字社・赤新月社のスタッフおよびボランティアのログイン情報も流出した。赤十字の広報担当者であるCrystal Ashley Wells(クリスタル・アシュリー・ウェルズ)氏によれば、システムが細分化されているため、ICRCの他の情報が漏洩することはないという。

国際的な人権団体や災害救援機関がハッカーの標的となることは増えている。2021年、国連は正体不明のサイバー攻撃者にネットワークを侵害された。また、5月にMicrosoft(マイクロソフト)は、米国国際開発庁のメールアカウントがハッカー集団に乗っ取られ、数千人に悪意のあるメールが送信されたことを明らかにした。

画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

量子クラウドデータセンターから量子鍵配送まで、量子サービス(QaaS)目指すTerra Quantum

スイス・チューリッヒを拠点とし、サービスとしての量子(QaaS)プラットフォーム(最終的には独自の量子ハードウェアを含む)の構築を目指すスタートアップ、Terra Quantumは、現地時間1月20日、2019年のシードラウンドでも出資したLakestarが主導し、6000万ドル(約68億5000万円)のシリーズAラウンドを実施したことを発表した。今回のラウンドに参加した他の投資家は、匿名を希望している。Terraによると、世界的に有名なドイツ最大級のファミリーオフィス2社と、世界的に最も影響力のある暗号資産投資家1社が含まれているとのこと。

Terra Quantumの背景にあるアイデアは、新しいエンドツーエンド量子プラットフォームを構築することだ。同社が独自の量子チップを開発するのはまだ数年先のことで、現在は量子アルゴリズムのライブラリや、量子鍵配送サービスなどの量子セキュリティツールを顧客に提供することに注力している。

独自のハードウェアについては「超伝導量子ビットに非常に関心がある」とのこと。現在、同社は模擬的な仮想量子ビットへのアクセスをユーザーに提供しており、トポロジーやアーキテクチャを問わず、現在利用可能なあらゆるハードウェアプラットフォーム上でワークロードをサポートできる。

Terra Quantumの創業者兼CEOであるMarkus Pflitsch(マルクス・フリッチュ)氏は、次のように述べている。「今回のシリーズA資金調達により、ディープテック分野のスタートアップからグローバルな量子ビジネスへと発展した当社が、量子コンピューティング分野での主導的な地位をさらに高めることが可能になります。初のハイブリッド量子クラウドデータセンター(QMware)と、量子鍵配送(QKD)に基づく超安全なグローバル量子プロトコルを発表した最近のマイルストーンを非常に誇りに思うとともに、これまでも、そしてこれからも私たちの道を支えてくれるすべてのパートナーのサポートに感謝しています」。

Terra Quantumは現在、自動車業界やバイオテック業界のDAX40企業を顧客に抱えている。

Terra Quantumは、今回の資金調達により、研究開発能力の拡大(独自の量子ハードウェアを構築する場合に必要となる)と、量子サービスの拡大(そのためにはハードウェアが必要となる)を計画している。

LakestarのパートナーでありCTOのStephen Nundy(スティーブン・ナンディ)氏は次のように述べている。「当社は、優れた技術を持つ創業者とのパートナーシップを強く望んでおり、Terra Quantumの量子技術の素晴らしい可能性を最初から信頼していました。Terra Quantumは、第二次量子革命を推進する上で、主導的な役割を果たすことを一貫して証明しています。その先駆的な量子アプリケーションは、例えば差し迫った量子暗号の課題を解決するなど、非常に大きな可能性を秘めています。我々は、Terra Quantumの世界規模での継続的な成長をさらに支援できることを非常に嬉しく思います」。

画像クレジット:ALFRED PASIEKA/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

手首に着けて音楽を奏でるウェアラブル「テルミン」のMicticが約2.8億円調達

中国Mooer Audioがエフェクト・ドラムマシン・ルーパー内蔵のエレキギターを開発中

スイスを拠点とするMicticが、何もないところをコンサートホールにする2個1組のウェアラブルデバイスを開発した。本体のないテルミンで、スマートなループステーションと接続されていると想像すれば、だいたい合っている。デモと説明文からすると、CESで長い1日を過ごした後にバーで感想をしゃべって、その後はも話を聞くこともなくなってしまうスタートアップのようだ。しかしMicticはギミックの域を超え、PTK Capitalが主導したシードラウンドで250万ドル(約2億8000万円)を調達した。さらに音楽界の大スターであるMoby(モービー)氏も資本政策に加わっている。

Micticのデバイスは2個1組のリストバンドで、動きを計測するセンサーが付属している。これをスマートフォンに接続すると、アプリの力を借りて音楽のスキルがまったくない初心者も演奏を存分に楽しむことができる。発売時には、さまざまなスタイルやジャンルにわたる15種類のサウンドやサウンドスケープがアプリに内蔵されている。

Micticの創業にはちょっと珍しい話がある。それは、バドミントンから始まった。創業者たちはテニスをしに行ったのだが雨でできなくなり、代わりに室内でできるバドミントンになったのだ。彼らは盛り上がらないゲームについて聴覚の楽しみという観点から話をした。そしてバドミントンのシャトルを打つ音の1つ1つを迫力のある爆発音などの効果音に変えるプロダクトをハックした。そこから彼らはサウンドスケープをさらに追加し、インターフェイスを変え、ついにフル装備の楽器を作り上げた。

あらかじめ用意されているサウンドスケープだけでなく、きちんとした楽器としてのプロダクトの可能性に創業者たちは心をかきたてられている。

同社CTOのMatthias Frey(マティアス・フライ)氏は次のように述べている。「Abletonと接続し、MicticをMIDIコントローラと同じように使うことができます。我々は、ユーザーにこのプロダクトの新しい使い方を見つけて欲しいと思っています。プラットフォームビジネスをまもなく拡大する計画もあります。プロダクトの販売を開始した後、次のステップの1つとしてユーザーがオリジナルのサウンドスケープを簡単に作れるようにします」。

資金を調達して同社はこれから成長し、市場でプロダクトをテストする。同社のメンバーは現在10人で、さらに増やしたいと考えている。

MicticのCEOであるMershad Javan(マーシャド・ジャワン)氏は「我々はしばらくブートストラップでやっていかなくてはならなかったのですが、その後、今回の資金調達ラウンドを実施しました。次のステップはプロダクトを少しでも早く市場に出すことです。我々はプロダクトに自信があり、ユーザーの使い方を知るのを楽しみにしています」と述べている。同氏は250万ドル(約2億8000万円)では夢をすべて叶えるには足りないことを認めた。「十分な金額ではありませんが、我々にとってはプロダクトをお客様に届け、できればそこから生産を増やしていくことが課題です。重要なデータとビジネスのインサイトを実際に得ることができれば、さらに成長し、おそらく次の資金調達ラウンドもすぐに実施できるでしょう」(同氏)

Micticはプレス用の資料でモービー氏が同社の資金政策に加わっていることを大きく取り上げ、コラボレーションやアドバイザーとしての可能性に期待している。ただしモービー氏は今回のラウンドでは大きな投資をしたわけではなく、250万ドル(約2億8000万円)の1割未満であることも同社は認めている。モービー氏はMicticに直接投資しているだけでなく、Micticのラウンドを主導したベンチャーファーム、PTK Capitalのリミテッド・パートナー(つまり投資家)でもある。

Micticはすでに予約注文を開始しており、奇妙で楽しい楽器が119ドル(約1万3000円)で手に入る。12月ごろには出荷を開始する見込みだ。

画像クレジット:Mictic

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナワクチン輸送市場に参入するSkyCellがシリーズCで約39億円調達

医薬品やワクチンの輸送用スマートコンテナを開発するスイスのSkyCell(スカイセル)が、重要な資金調達ラウンドを発表した。2020年完了した6200万ドル(約69億円)のラウンドに続き、今回、新型コロナウイルスワクチンを含む、温度変化に敏感な医薬品輸送の改善に向け、3500万ドル(約39億円)をシリーズCで調達した。

このラウンドは、株式と負債を組み合わせた資金調達で、DisruptAD(アブダビを拠点とする政府系ファンドADQのVC部門)、SHUAA(UAEの大手アセットマネジメント会社・投資銀行)など、中東の投資家が名を連ねた。また、同社によれば「中国を拠点とする」および「チューリッヒを拠点とする」ファミリーオフィスや、スイスの大手民間保険会社であるMobiliarからの投資も含まれている。

今回のラウンドにより、同社の資金調達総額は1億3300万ドル(約149億円)に達した。

SkyCellは主に輸送用コンテナを開発している。同社のコンテナには温度維持と振動制御の機能があり、貨物の状態を継続的に報告するセンサーを備える。そのため、医薬品の劣化につながる温度変化や輸送中に発生するダメージを最小限に抑えることができる。

ワクチン物流の現場でよく言われるのが、2005年に世界保健機関(WHO)が発表した「ワクチンの50%が無駄になっている」という数字だ。これは、温度、物流、運送の問題が原因の一部だ。バイオ医薬品業界では、より楽観的な数字が使われている。SkyCellの共同創業者でCEOのRichard Ettl(リチャード・エトル)氏によると、この業界では通常、世界中に医薬品を出荷する際、先進国市場では約4%、新興市場では約12%の損失率を想定しているという。

外部の監査機関によると、SkyCellの温度逸脱率はこれまでのところ、0.1%未満だという。

TechCrunchが前回SkyCellを取り上げた2020年4月の時点では、同社は大手製薬会社8社と提携し、さらに7社と試験を行っていた。広報担当者によれば、同社は現在「上位20社の製薬会社の大半と提携している」とのことだが、それ以上の詳細は明かされていない。

同社は新型コロナ以前、合計で年間約2億5000万本の医薬品バイアル(容器)を輸送した。新型コロナ以降、この技術は1つの大きな進歩を遂げた。mRNAベースの新型コロナワクチンおよびその製造に必要な原材料を輸送できるよう再設計されたのだ。

新たに設計された容器はドライアイスを使う。ファイザー製ワクチンが求めるような摂氏マイナス80〜60度を実現するために必要となる(ただし、もはや常に必要なものではなくなった)。

ワクチンの超低温輸送には、基本的にドライアイスの使用が避けられない(UPS Healthcareは自社でドライアイスを製造しており、新型コロナワクチンの需要に応えるべく生産量を増やしている)。エトル氏によれば、SkyCellの技術は、他社に比べてドライアイスの使用量が圧倒的に少なくて済む。100キログラムのドライアイスで約120時間の使用が可能だが、到着時にドライアイスを追加すれば、ワクチンをさらに長く保管できる。

「競合他社は200キログラム以上のドライアイスを必要とします」と同氏はいう。「だからこそ、技術的にも偉業だったのです」。

同氏によると、同社は現在、新型コロナワクチンのトップメーカー3社の原料またはワクチンを輸送している(どのメーカーかは明らかにしていないが、極低温という条件から推測できるかもしれない)。

「3社のうち2社は、工場から出荷される原料のみを輸送しています」と同氏は話す。

もう1つの大きな前進は、飛行機輸送からトラック輸送への拡大だ。

ワクチンの多くは飛行機で各国に到着するが、医療用の集中倉庫にワクチンを運ぶのは多くの場合トラックだ。マッキンゼーの2021年のレポートによると、冷蔵トラックが理想的だが、常に利用できるとは限らないため、コールドボックスや大型の運搬用トラックも使われる。

トラック輸送への進出は、SkyCellのワクチン流通ネットワークの範囲を大きく広げることになる。同社は、ある大手ワクチンメーカーのヨーロッパでのワクチン流通に関与しているとエトル氏はいう。

「以前はトラック輸送を扱っていませんでした」とエトル氏は話す。「今では、私たちのコンテナは、マイナス80度と非常に低い温度の製品を輸送するためにトラックで使用されています。これは間違いなく大きな変化でした」。

同氏は、新型コロナワクチンの輸送は、同社の将来において重要な役割を果たすだろうと話す。しかし、それは彼らのビジネスの中核ではない。抗がん剤から他のワクチンまで、多くの医薬品がコールドチェーンの取り扱いを必要とするからだ。

国際航空運送協会(IATA)のCenter of Excellence for Independent Validators in Pharmaceutical Logisticsは、コールドチェーンを利用する医薬品および生物製剤の世界売上高が2024年までに4400億ドル(約49兆円)を超えると予想する。これには新型コロナワクチンの支出は含まれていない。

この業界では、3つのマクロトレンドがあるという。コンテナ再利用サービスの増加、リサイクル可能なコンテナの開発、そして電子機器を使ったリアルタイムでの貨物追跡だ。

SkyCellの動きは、こうしたトレンドと重なる部分がある。同社のコンテナが再利用可能であることは、製薬会社との提携を獲得する「大きな原動力」だとエトル氏はいう。また、箱の中にはセンサーが設置されており、出荷ごとにさまざまなデータを収集している。

エトル氏は、SkyCellが業界で起こる変化やコールドチェーン製品の需要増加に対応する態勢を整えていると考えている。これまでのところ、好ましい業績になっているようだ。

「当社の歴史上、製品の販売機会を失ったことは一度もありません」と同氏は話した。

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(文:Emma Betuel、翻訳:Nariko Mizoguchi

花のような形状のMatternetのドローン自動発着ステーションがスイスの病院で初めて実用化

ドローンによる配送が物流の将来にどのように適合していくのか、誰にもはっきりとはわからない。しかし、1つ確かなことは、ドローンが大事な荷物を、注文主の家の芝生に直接落としてしまうわけにはいかないということだ。その解決策となりそうなのが、Matternet(マッターネット)の「Station(ステーション)」と呼ばれる、自動化されたドローンの着陸スペースと荷物の受け取り・送り出し機能を備えたタワーだ。この花のような形の構造物は、ついにレンダリング画像から現実の世界へ飛び出し、スイスの医療施設に設置された。

このStationは2020年初めに発表があったものだが、コンセプトのレンダリング画だけでは、最終的にアイデア通りのものになるかどうかはわからない。今回のケースでは、完全に60年代のSF映画の小道具のようなものができあがった。

しかし、この特異な形状は、荷物運び用ドローンが着陸してバッテリーを交換するための安全な場所を提供し、雨や風などの天候、そして罪のないロボットから医療用ペイロードを奪おうとする困り者から、ドローンと荷物を保護するという目的に適っている。

初めて実際に設置された今回のケースでは、ドローンが輸送するのは温度管理されたハードシェルケースで、中には通常は陸路で移送される多数のバイラル瓶が入れられる。これらは検査サンプル、血液、薬など、使用期限が短く、何らかの理由で施設間を移動する必要があるものが対象となるだろう。

ドローンで別の施設に運ぶために、スイスポストのキャリアに入れる小瓶を仕分けする女性(画像クレジット:Matternet)

Stationの内部で、ハードケースはドローンから取り外され、許可された人が取り出せるように保管される。支柱の部分には、病院の制限区域に入るときに使うようなIDバッジで開閉が保護された小さな収集用のドアが備わる。これは通常の認証システムと統合させることで、ドローンによって運ばれた荷物を、空気チューブやカート、マニラ封筒のように、しかし同じ建物内にいなくても、簡単に受け取ることができるようにするアイデアだ。

最初のStationはルガーノのEOC病院グループに設置されたが、最初の大規模な展開はアブダビで、市の保健局および同地のドローン配送会社SkyGo(スカイゴー)と協力し、市内の40カ所にStationのネットワークを構築する予定だ。これらも、比較的軽量で緊急性の高い医療品の搬送という基本的に同じ目的のために使用されるが、その規模はより大きなものになる。

アブダビで提案されているMatternet/SkyGoネットワークの地図(画像クレジット:Matternet/SkyGo)

2021年8月、Matternetはドローン企業として初めて、Pfizer(ファイザー)製ワクチンを拠点間で輸送した。これはどこの病院ネットワークや保健所も実現を望んでいる短期輸送だ。もし繁華街で大量の注射が必要になったら、多数の人々を避難させるのではなく、配給所や近くの診療所から数百人分のワクチンを空輸することができるようになる。

もちろん、このような貴重な荷物は、中庭や屋根の上に無造作に置き去りにするわけには行かない。だからこそ、Stationはこの種のネットワークに必須となるだろう。とはいえ、ネットで注文した食品を配達してもらうために、自宅の裏庭にStationを設置しようとは思わないほうがいい。

画像クレジット:Matternet

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

コモディティ取引のデジタル化を進めるOpen Mineralが約36億円を調達

2018年に、コモディティ取引に透明性を取り込むことを目指しているOpen Mineral (OM)がどのようにして225万ドル(約2億5000万円)を調達したかを取り上げた。いやはや、長い道のりだった。そしていま、ようやくその時が来た。スイス拠点の同社はMubadala Investment CompanyがリードしたシリーズCラウンドで3300万ドル(約36億円)を調達した。既存投資家のXploration Capital、Emerald Technology Venturesに加えて、新規投資家のStatkraftとLingfeng Capitalも参加した。

Open Mineralは、サプライチェーン業者の活動を強固なものにするのに資金を使う、と話す。コモディティ取引マーケットは2000億ドル(約22兆円)の価値があり、今日でもいまだに紙の書類が飛び交っておりデジタル化が進行中だ。

Open Mineralのプラットフォームには世界の金属・鉱業の企業900社超が登録しており、コモディティサプライチェーンにわたってOpen Mineralの価格設定アルゴリズムを使用していると同社は話す。

業界のデジタル化と同様、売り手と買い手に「自然に優しい」ESG(環境、社会、ガバナンス)指標を組み込むためにサードパーティのプロバイダーと協業している、とも語る。

同社はまた「物理的な金属一次産品の取引をより効率的でよく情報が提供されたものに、そして収益性の高いものにする」自動化された材料ブレンド/製錬の最適化ソリューションを開発したと主張する。これらは炭素低排出への移行に影響を及ぼす、とのことだ。

CEOで共同創業者のBoris Eykher(ボリス・イーカー)氏は声明で次のように述べた。「金属取引産業の未来はデジタルデータと分析にあり、マーケット参加者がこれまでよりも迅速にコミュニケーションを取り、そしてすばやくデータ駆動の決定を行うことができます。eBayが買い手と売り手に多くの選択肢を提供して小売購入を刷新したように、当社はOpen Mineralプラットフォームのキュレートされ、信頼できる環境で物理的なコモディティ生産者のために同じことを行います」。

MubadalaでロシアとCISの投資の責任者を務めるFaris Al Mazrui(ファリス・アル・マズルイ)氏は「Open Mineralはデータ分析テクノロジーを活用することでコモディティ取引事業をディスラプトしています。卑金属商品の買い手と売り手はより効率的に取引し、そして恩恵を受けるためにユニークな専用データハブを利用することができます」。

画像クレジット:Open Mineral

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

大きな塊にもできる植物由来肉を開発したPlanted、シュニッツェルはじめさまざまな料理に

スイスの代替プロテイン企業Plantedが2021年の2度目のラウンドで、1900万スイスフラン(約23億円)を「プレB」の成長資金および製品開発資金として調達した。米国進出も予定にはあるが、当面はPlantedの顧客はヨーロッパに限定され、彼らだけが新製品の純植物性シュニッツェルを味わうことができる。

関連記事:スイスの代替肉メーカーPlantedが製品の多様化と市場拡大に向けシリーズAで約19.8億円を調達

Plantedは2019年に、スイスのチューリッヒ工科大学からのスピンオフとして登場した。同社の共同創業者たちは、植物のタンパク質と水分を、本物の肉のような繊維状の構造へ抽出する独自の技術を開発した。その後同社はそのタンパク源を多様化し、えん麦やヒマワリも加えて、プルドポークやケバブの代替製品も開発した。

その後、工程も改良された。CEOで共同創業者のChristoph Jenny(クリストフ・ジェニー)氏はTechCrunch宛のメールで「発酵やバイオテクノロジーの技術を加えて、味と食感を改良しました。それは(1)どんな形や構造でも作れる、(2)多様な風味を実現できるということです」。

同社の最新の進歩はシュニッツェルだ。これはもちろん、叩いて薄くした肉にパン粉をつけて揚げたもので、世界中で人気があるが、特に主な市場であるドイツとオーストリアとスイスでよく食べられている。ジェニー氏によると、Plantedのシュニッツェルは、細切れ肉を寄せ集めて押し固めたものではなく、一片の肉だ。「発酵により味と食感が良くなり、おいしそうな匂いとジューシーな食感が得られました」というが、残念ながら私はまだ食べていない。シュニッツェルの一般市販は、2021年第3四半期だという。

関連記事:スイスの代替肉メーカーPlantedが製品の多様化と市場拡大に向けシリーズAで約19.8億円を調達

どんな料理でも作れる大きな肉の塊としての代替肉はさまざまなところで計画されているが、Plantedのチームが主張するのは、同社の製品ならどんな形状も可能だとのこと。その形は、本物の肉をカットしたものとまったく変わらない。現在は大きな肉の塊を消費者にテスト、試食してもらってる。最終製品の味や形が決まれば、大量生産へ移れる。

今回のラウンドは、Vorwerk VenturesとGullspång Re:food、Movendo Capital、Good Seed Ventures、Joyance、ACE & Company(SFGの戦略的投資)、そしてBe8 Venturesが参加し、3月に行われた1700万スイスフラン(約20億円)のシリーズAの、続きのようなものだ。いうまでもなく、代替プロテインの爆発的需要急増と競争の激化が、Plantedの投資家たちの、もっと攻撃的な成長と開発戦略への欲求をかき立てている。

第3四半期と第4四半期にかけていくつかの新市場に進出する計画だが、新型コロナウイルスで旅行が制限されている間は、米国には疑問符が付く。ジェニー氏によると、可能な市場ならどこへでも出ていくが、現状のPlantedは主にヨーロッパ市場にフォーカスしているという。

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カテゴリー:フードテック
タグ:Plantedスイス資金調達代替肉プロテインチューリッヒ工科大学

画像クレジット:Planted

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

VRの力を借りて人工網膜が進歩、人体臨床試験に向けて開発が進む

視覚障害を持つ多くの人々にとって、人工網膜の開発はひと筋の光とも言えるが、いよいよその実現が現実味を帯びてきた。これまでとはまったく異なるアプローチを採用した最新のテクノロジーでは、光を電気に変換する極小ドットを用いる。そしてバーチャルリアリティを用いることで、この構想の実現性が高いことことが確認できている。

この光起電力人工網膜はスイス連邦工科大学ローザンヌ校によって開発されたもので、Diego Ghezzi(ディエゴ・ゲッツィ)氏がこのアイデアの実現に向けて数年前から取り組んでいる。

初期の人工網膜は数十年前に作られており、その基本的な仕組みは、体外に設置されたカメラ(例えば眼鏡など)からワイヤーを介して微小電極アレイに信号が送られるというものだ。微小電極アレイは、機能していない網膜の表面を貫通し、機能している細胞を直接刺激する多数の小さな電極で構成されている。

これの問題点は、アレイへの電源供給やデータ送信のために眼球の外側からワイヤーを通す必要があることだが、これは人工装具や身体全般において一般的に「すべきでないこと」とされている。また、アレイ自体の大きさによって配置できる電極の数が制限されるため、最良のシナリオでの効果的な解像度は数十から百「ピクセル」程度のものだった(視覚システムの仕組み上、このピクセルの概念は私たちがイメージするものとは異なる)。

光を電流に変える光起電力素材を使用することで、こういった問題を回避するというのがゲッツィ氏のアプローチだ。デジタルカメラの仕組みとさほど変わらないが、電荷を画像として記録するのではなく、電流を網膜に送り込むというわけだ。電力やデータを網膜インプラントに中継するためのワイヤーは必要ない。どちらも、網膜インプラントを照らす光によって提供されるためだ。

画像クレジット:Alain Herzog / EPFL

同校が開発中の網膜インプラントには何千もの小さな光起電力ドットが配置されており、理論的には眼球の外側にある装置がカメラからの検出結果に応じて光を送り込むことで、映像が映し出されるという。当然のことながら、これは非常に難しい技術だ。また、画像を撮影し、目を通して網膜インプラントに投影するメガネやゴーグルも必要である。

我々がこの方法を初めて耳にしたのは2018年のことだが、新たな資料によるとその後状況は多少変化しているようだ。

「ピクセル数を約2300から1万500に増やしました。そのため今では映像を個々に見るというよりは、連続したフィルムのように見えます」とゲッツィ氏はTechCrunchへのメールで説明してくれた。

当然、そのドットが網膜に押し付けられるとなると話は別である。何しろ正方形なら100×100ピクセルほどしかないのだから、高精細度と呼ぶには程遠い。しかし、人間の視覚を再現することが目的ではない。そもそもそれは不可能なことであり、特に最初のトライでそれを実現させることは現実的ではないだろう。

「技術的には、ピクセルを小さく高密度にすることは可能です。問題は、発生する電流がピクセルサイズに応じて減少するということです」とゲッツィ氏。

電流はピクセルサイズに応じて減少する。ピクセルサイズはもとより大きくはない(画像クレジット:Diego Ghezziその他)

そのためピクセルを増やせば増やすほど機能を果たすことが難しくなり、さらに隣り合う2つのドットが網膜の同じネットワークを刺激するというリスクもある(これはテスト済みだという)。しかし数が少なすぎると、ユーザーにとって分かりやすい画像が得られない可能性がある。10500個というと十分に聞こえ、またそれで十分なのかもしれないが、それを裏付けるデータがないのが実情だ。そこで同チームは一見まったく縁のなさそうな媒体に注目した。VRである。

研究チームが実験段階の網膜インプラントを人に装着してその効果を確かめるという「テスト」を正確に行うことはできないため、デバイスの範囲や解像度が物体や文字を認識するような日常的タスクに十分であるかどうかを判断する別の方法が必要だったのだ。

画像クレジット:Jacob Thomas Thornその他

これを実現するため、インプラントを介して網膜を刺激することで生まれるであろう光の「蛍光物質」が見える以外は真っ暗なVR環境に人々に入ってもらう(ゲッツィ氏はこれを、明るく移り変わる星座のようなものだと表現している)。そして蛍光物質の数や表示される範囲、画像が移り変わるときの光の「尾」の長さを変えて、被験者が文字や風景などをどの程度認識できるかをテストした。

画像クレジット:Jacob Thomas Thornその他

その結果、最も重要なのは「視野角」つまり映像が映し出される範囲の大きさであることが判明した。どんなに鮮明な画像でも、視界の中心部だけに映し出された場合理解しにくく、全体の鮮明度が損なわれたとしても、視野が広いほうが良いということが分かったのだ。脳内の視覚システムの強力な分析により、まばらな画像でもエッジや動きなどを直感的に理解することができる。

これにより、インプラントのパラメーターが理論的に正しいことが示され、同チームが人体臨床試験に向けて動き出すことが可能となった。このアプローチは以前のワイヤー式のものに比べて非常に有望なものの、広く利用できるようになるには早くても数年はかかるだろう。それでもこのタイプの網膜インプラントが実用化される可能性があるということは、非常にエキサイティングなことであり、我々もこのトピックから目を離さず見守っていきたいと思う。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:VR視覚網膜スイス

画像クレジット:Alain Herzog / EPFL

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

スイスの代替肉メーカーPlantedが製品の多様化と市場拡大に向けシリーズAで約19.8億円を調達

植物性の代替チキンの製法を独自に追求しているスタートアップ企業のPlanted(プランテッド)は、提供する製品と国際的な市場を拡大するため、シリーズAラウンドで1700万スイスフラン(約19億8000万円)の資金を調達した。ケバブやプルドポークの人工肉を製造しており、カットステーキのような代替肉も(文字どおり)開発中であることから、Plantedは中央ヨーロッパ以外の地域にも視野を広げ始めている。

同社はスイス連邦工科大学チューリッヒ校からのスピンアウトで2019年に設立。代替チキンの製法で成功を収めているが、それに留まることなく、他の代替肉の開発も続けている。同社の代替チキンの製法では、えんどう豆由来タンパク質とえんどう豆の繊維を押し出し成型して、鶏肉の繊維状構造をほぼ1:1で再現しているが、このアプローチは異なるスタイルや食材にも適応できることが証明されている。

「農業的にも食事的にも多様性があるため、私たちはさまざまなタンパク質を使用することを目指しています」と、共同設立者のChristoph Jenny(クリストフ・ジェニー)氏は語っている。

画像クレジット:Planted

「例えば当社で新しく発売した planted.pulled(プランテッド・プルド)はヒマワリ、オート麦、黄エンドウ豆のタンパク質で構成されており、構造も味も、鶏肉ではなく、プルドポークのように変わりました。ヒマワリのタンパク質ですばらしいところは、ヒマワリ油の生産から再利用することです。私たちは循環型経済のアプローチを確立しています」。

筆者が最初にPlantedについて書いたとき、その製品はほんのひと握りのレストランや食料品店で流通しているだけだった。現在ではスイス、ドイツ、オーストリアの3000以上の小売店で販売されており、レストランやフードサービスとも提携している。この強力な(いわば)有機的成長と、代替肉の全般的な市場が拡がっていることは疑いの余地もなく、これによって資金調達が以前と比べて楽になったことは確かだ。

今回調達した資金は、この段階にある企業に期待されるように、研究開発とさらなる発展に充てられる予定だ。

「この資金は、当社の技術の蓄積を拡大し、現在実験室規模で製造しているプライムカットステーキを商品化するために使われます」と、ジェニー氏は述べている。「製造面では、国際市場からの需要増に対応するため、現在の1時間あたり半トンの生産能力を大幅に増強し、まずは近隣諸国から、さらに欧州や海外へと拡大していきたいと考えています」。

画像クレジット:Planted

「私たちは、構造化と発酵のプラットフォームにさらに投資していきます。構造化技術と天然微生物の生化学的な働きを組み合わせることで、クリーンでナチュラル、健康的で美味しい、変革的な特性を備えた究極の新製品を生み出すことができます」と、共同設立者のLukas Böni(ルーカス・ベーニ)氏はプレスリリースで語っている。

これらのすべてが、価格を下げることにも役立つことは間違いない。それは同社の設立当初からの目標だったが、生産・販売の規模が拡大することによってのみ可能になることだ。

この分野では他の企業も資金を調達し(ちなみに、かなり大きな金額に上る)、市場を拡げているため、競争は熾烈になるだろう。

しかし、Plantedは一般的に製法が知られていない種類の代替肉に関しても、独自の知見を持っているように思われる。少なくとも米国では、代替肉といえばソーセージ、挽いた「牛肉」、そして「チキン」ナゲットが主な形状だ。

Plantedの製品が米国の食卓に並ぶのはいつになるのか、まだ言及されていないものの、ジェニー氏のいう「海外」は、少なくともそれが遠くない可能性を示唆している。

今回の資金調達ラウンドは、Vorwerk Ventures(フォアベルク・ベンチャーズ)とBlue Horizon Ventures(ブルー・ホライゾン・ベンチャーズ)が共同で主導し、スイスのサッカー選手であるYann Sommer(ヤン・ゾマー)氏や、従来の投資家がいくつか参加した。

カテゴリー:フードテック
タグ:Plantedスイス資金調達代替肉

画像クレジット:Planted

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スイス拠点の機械学習を用いたコードレビューのスタートアップDeepCodeをSnykが買収

スイスを拠点とする機械学習式コードレビュースタートアップのDeepCode(ディープコード)が、Snyk(スニク)によって買収された(いずれも未訳記事)。DeepCodeは自身を「プログラマーのためのGrammarly(グラマリー、英文チェッカーの製品名)」と自称している企業で、一方Synkは開発者がコードを安全なものにすることに焦点を当てた、サイバーセキュリティーのユニコーンスタートアップだ。

契約の金銭的条件は明らかにされていない。だが大規模なコード解析を行うDeepCodeは、CrunchBaseによれば2016年の創業以来わずか520万ドル(約5億8000万円)を調達してきたに過ぎない。しかもその大部分が最近行われた400万ドルのシードラウンドでの調達(未訳記事)で、昨年Earlybird3VCbtov Partnersから投資を受けたものだ。

DeepCodeのCEOで共同創業者のBoris Paskalev(ボリス・パスカレフ)氏によれば、「地球上のすべての開発者たちがセマンティックAI駆動型コード分析を利用できるようにするという使命」を継続するために、チームはSnykへの合流を『熱望』した」という。

「会社としてのDeepCodeは、Snykが完全に所有するかたちで存続し、今後もチューリッヒのオフィスを成長させる予定です。そしてこの地の素晴らしい人材プールにアクセスし、世界の開発者コミュニティのための最先端の製品を保守し拡張を続けていくつもりです」とパスカレフ氏はTechCrunchに語った。

DeepCodeの製品が今後もスタンドアロンとして存在し続けるのか、それともSnykのプラットフォームへの完全な吸収が、現在開発者に提供しているコードレビューボットの停止を含むことになるのかに関しては、彼はまだ決断していないと述べた。

「私たちはその件を詳細に検討している最中ですが、中心的な目標は私たちが開発者に提供しているメリットを維持/拡大すること、特にオープンソースへの採用と浸透を押し進めることです」と彼はいう。そして「明らかなことは、当面は何も変わらないということです。DeepCode製品はスタンドアロン製品として残ります」と付け加えた。

また「どちらの企業も、開発者第一主義に対する非常に明確なビジョンと情熱を持っており、世の中の開発者とセキュリティチームが、リスクをさらに削減して生産性を高めることを支援しています」とも付け加えた。

買収を発表した声明(Snykアナウンス)の中で「SnykはDeepCodeのテクノロジーを同社のCloud Native Application Securityプラットフォームに統合する予定だ」と語り、「さらにAIエンジンを組み込むことにより、開発者が『脆弱性をより迅速に特定』できるようになる」という利点を宣伝している。

「DeepCodeのAIエンジンは、Snykにとって、脆弱性の発見と修正対する速度を上げ、新しいレベルの精度を確保するのに役立ちますが、同時にSnyk脆弱性データベースから常にスマートになるための学習を続けて行きます」とCEOのPeter McKay(ピーター・マッケイ)氏。「それによって、開発者は追加のステップとして脆弱性のテストを行うのではなく、開発中に同時に問題点をテストして、より迅速な統合を行うことが可能になります。また、結果の精度がさらに向上することで、誤検知を追跡する無駄な時間がほぼ取り除かれるのです」と続けた。

マッケイ氏は、DeepCodeに関連したSnykの印象深い機能の中でも、特に「他の手段より10〜50倍速い」コードスキャンを称賛した。そして彼が「開発者向けの特別なUX」と表現した機能は、IDEとgitレベルでスキャンを行い「高精度のセマンティックコード分析をリアルタイムに行うこと」を可能にする。

チューリッヒ工科大学からのスピンオフであるDeepCodeの買収に関して書かれた大学当局のブログ投稿(チューリッヒ工科大学ブログ)によれば、このAIスタートアップの持つ「決定的な利点」は、「莫大なプログラムコードから素早く学習を行い、安全性ならびに信頼性に関するコードの問題点をAIを使って検知できることができるようにする」ということだ。

また続けて「DeepCodeは、データ(この場合はプログラムコード)から学習できる現代のAIシステムの優れた例だが、にもかかわらず、人間にとって透過的で解釈可能なものだ」と付け加えている。

また同じブログ投稿によれば、DeepCodeを支える大学の研究活動は2013年にさかのぼるという。共同創業者たちは、当時データ主導の機械学習手法と、シンボリックな推論に基づくセマンティックな静的コード分析手法を組み合わせる方法を見つけようとしていたのだ。

DeepCodeの技術は、現在400万人を超える開発者に提供されており、10万を超えるリポジトリがそのサービスを登録している。

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(翻訳:sako)