Zoom特化のオンライン授業を提供するClassがソフトバンクがリードしたラウンドで約115億円調達

Zoomだけを統合しているバーチャルクラスルームのClass(クラス)は米国時間7月28日、ソフトバンクのVision Fund IIがリードしたラウンドで1億500万ドル(約115億円)を調達したと発表した。今回を含め、創業10カ月のClassはこれまでに明らかになっているラウンドで計1億4600万ドル(約160億円)を調達し、この額は創業者Michael Chasen(マイケル・チェイスン)氏の以前の会社で現在上場しているBlackboardが調達した額を上回っている。

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まだ初期段階であるにもかかわらず、Classは急速にユニコーンステータスに近づいていて、現在のポストマネーの評価額が8億400万ドル(約884億円)であることを同社は認めた。同社の他の投資家にはGSV Venturesと、プレシードラウンドをリードしたEmergence Capital、それからReach Capital、Owl Ventures、Insight Partners、Learn Capitalなど米国の有数のEdTechファンドが含まれる。

以前Class for Zoomという名称だったClassは、ビデオ会議エクスペリエンスを支えるのに管理とインストラクションのツールを活用している。立ち上げ以来、同社はビデオ会議大手のZoomだけを統合している。Zoomはパンデミックの最初の数カ月でお馴染みのサービスになり、同期通信分野を代表する存在であり続けている。Classは2020年登場した一連のZoom代替・改良版サービスの1つであり、これまでに250以上の顧客を獲得した。

7月28日のソフトバンクによる太鼓判の発表は、Classの2つの意図を意味する。1つは同社がグローバル展開を真剣にとらえていること。もう1つは、筆者が思うに同社がZoomの買収ターゲットになろうと考えていないことを示している。

EdTechのグローバリゼーション

ソフトバンクは部門の「勝者」とみなした企業の支援を好み、そうした企業の国際展開をサポートするために何百万ドル(何億円)という資金を注ぐ。7月初めに同社は以前Clearbancという社名だった資本提供スタートアップのClearcoが欧州、カナダ、米国以外に事業を拡大できるよう数百万ドルを投資した。ソフトバンクは自然と国際展開が求められる独自のスタートアップを探し、そして資金を提供すると筆者は想像する。

Classについても同じだ。チェイスン氏は自社プロダクトに対する世界の需要が、シードラウンド発表以来、いかに大きくなってきたか説明した。一般展開する前に欧州、中東、日本の学校が同社に連絡を取ってきた。ClassのサービスがMac、Windows、iOS、Android、Chromebookで提供されているいま、チェイスン氏はウェイトリストに登録して待っている人へのサービス提供に注力している

Classの国際展開は、英国やアイルランド、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、南米、APAC(アジア太平洋地域)といったターゲット地域でのローカルチームの立ち上げにつながる。同社の従業員は現在200人だが、今後世界中で新たに100人増やす予定だ。

チェイスン氏は資金の65%が同社の国際展開に注がれ、残りは製品開発にあてられると考えている。懸念されるのは、同社のプラットフォームが高度な授業向けに提供しているのと同じエクスペリエンスを中度の授業にも提供していることだ。同社が今後のプロダクトに特異性、おそらく幼稚園〜12年生向けのゲーミフィケーションや高等教育向けの試験監督を加える必要があることをチェイスン氏は認識している。

「V1は、あなたがオンラインで教えるのに必要最小限のものを提供します」とチェイスン氏はテストやグレードトラッカーなどの機能に言及しながら述べた。「現在当社はどのマーケットでも機能するプロダクトを必要としていて、将来マーケットに合わせて強化します」。

これまでのところ、ユーザーはそうしたサービスにお金を払っている。2021年の四半期の売上高は前年同期の約4倍に成長した。

大型の資金調達と輝かしい評価額には麻痺効果があるが、Classの直近の資金調達は最終的にはZoomによる買収のために自らを高めているのではという疑念を払拭することができるかもしれない。

TechCrunchが最初にチェイスン氏と話したとき、ZoomはClassが提供したいと考えている深い専門性のようなものよりもスケールに注力している、と同氏は述べた。

それでもClassはZoomの初期投資家と共謀し、複数のマーケットにおけるZoom再販者として事業を展開していた。これは、将来の仮定において統合が極端におかしいものにならないことをうかがわせる。しかし今後Classが自らを独立した会社とみなすことは明らかだ。統合よりも大きなものになるという野心を持たなければ、スタートアップは経験豊富な投資家から9桁の資金を調達したりはしない。

今後Classは、学校や、授業フレンドリーなZoom環境を求める機関にとって頼りになるオプションとして自らのブランドを確立するのに調達した資金の一部を使う。Classの人材採用ページによると、同社が積極的に求めているのはマーケティングの人材だ。マーケティングチームで6人を募集していて、ここには国際マーケティングマネジャーやコンテンツマーケティングマネジャーが含まれる。

Classと最も競合するのは、2021年5月にシリーズAラウンドで3300万ドル(約36億円)を調達したEngageliだ。同社の共同創業者でCOOのJamie Farrell(ジェイミー・ファレル)氏は2021年2月に別のEdTech企業に移り、Engageliはオンラインではさほど積極的に人材採用をしていないようだ。詳細はまだ裏付けに乏しいが、Classが資金を調達し、グローバルの従業員数が増えつつあるいま、Engageliは処理能力やマーケティングという点で激しい競争に直面するかもしれない。

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カテゴリー:EdTech
タグ:オンライン学習Class資金調達ZoomSoftbank Vision Fund

画像クレジット:Bryce Durbin / Bryce Durbin

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

DNA検査で犬の健康問題を早期発見するEmbark Veterinaryにソフトバンクも投資

今や犬も新型コロナウイルスに感染するというが、そんなときでもEmbark Veterinaryは慌てず騒がずちゃんとDNA検査をして発病を防ぎ、次の10年間の犬の寿命を現在の予測よりも3年以上長くしてくれる。

犬の遺伝子治療を行っているこのボストンの動物病院は、このほどシリーズBで7500万ドル(約82億6000万円)を調達し「ペットのスタートアップのシリーズBとしてはこれまでで最高額」と自称している。ラウンドをリードした投資家はSoftBank Vision Fund 2で、これにF-Prime CapitalやSV Angel、Slow Ventures、Freestyle Capital、そしてThird Kind Venture Capitalらが参加している。

Crunchbaseのデータによると、2015年に創業したEmbarkの総調達額はこれで9430万ドル(約104億円)になり、投資後の評価額は7億ドル(約771億3000万円)になると、Embarkの創業者でCEOのRyan Boyko(ライアン・ボイコ)氏はいう。

犬好きのボイコ氏は、生物学と進化にも関心がある。特に彼にとって犬は、品種の多さが関心をそそるという。体重がわずか1kgでも、100kg近くても犬。形やサイズも非常に多様だ。そこで彼は犬の研究に関心を持ち、特に彼らの進化を理解したいと思った。

「健康の問題についても考えるようになりましたが、率直に言って、健康のために遺伝子を上手に利用している点では、犬の体の方が人間より上です。犬は交配によって新しい犬種を生み出すことができますが、交配は犬の健康に貢献すると同時に、健康問題の原因でもあります」とボイコ氏はいう。

Embarkの犬のDNA検査は199ドル(約2万2000円)で、犬の飼い主やブリーダー、獣医は犬のユニークな遺伝子プロファイルに基づいて、治療やケアのプランをそれぞれで作ることができる。これまで350種あまりの犬種を検査し、200種の遺伝子由来の健康問題や身体的特徴を特定してきた。人間の遺伝子を検査する23andMeと同じく、検査によってその犬の犬種や健康や祖先に関する特性を知ることができる。

たとえば検査によって、健康な犬が今後椎間板ヘルニアになりやすい遺伝子を持ってることが、わかったりする。そんな犬には、ケアのメニューに体重管理を重要な要素として含め、ソファーから跳び下りることを禁ずるなどの対応が必要だ。もう1つの、よくある遺伝子リスクが高尿酸尿症だ。尿酸値が高いために犬がミネラルを上手に処理できず、膀胱結石になりやすい。そんな場合、犬の食事を変えることによって、石ができることを防げる。結石は、痛いだけでなく治療費も高額です、とボイコ氏はいう。

同社の検査技術は独自の遺伝子型判定技術を軸とし、これまでに20万以上の遺伝子マーカーを分析している。ボイコ氏によると、それは現在市場にあるどのDNA検査と比べても2倍以上の情報量がある。これによってEmbarkは今や、犬の健康と生物学的情報に関する世界最大のデータベースを持ち、同社はさまざまな状況や条件へのインサイトを可能にして、健康のリスクや特性、また犬種に関する、新たな発見を可能にしている。

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Embarkは犬の飼い主や獣医にとっての、ケアのスタンダードになることを狙っている。同社は2019年から2020年にかけて235%成長し、年商は過去2年間で5倍増した。このような高い成長を支えるために同社は、今度の資金を新たな雇用とデータベースの拡大に充てるつもりだ。ボイコ氏によると、2021年から2022年にかけて100人増やすという。

ボイコ氏によると、米国のペット市場はまだまだ伸び代がとても大きい。実際、American Pet Products Associationによると、2020年のペットへの支出は1000億ドル(約11兆200億円)近くに達し、2019年の957億ドル(約10兆5400億円)と比べて大きく増えている。

またCrunchbaseのデータによると、米国のペット企業に対するベンチャーキャピタルの関心は、栄養食、旅行、ヘルスケアなどすべてを含めて2019年から2020年にかけて 29.5%成長した。Embarkの資金調達だけでなく、2021年はその他のペット関連スタートアップにとっても良い年で、たとえばペット保険のWagmoは1250万ドル(約13億8000万円)を調達し、犬の居場所を本人の首輪からWi-FiやBluetoothで教えるFiは3000万ドル(約33億1000万円)を調達、そしてドッグシッター / ウォーカーのRoverは、SPACという手法による上場を発表している

SoftBank Investment AdvisersのパートナーであるLydia Jett(リディア・ジェット)氏は、ペット関連の投資はこれが初めてだが、Embarkはこの分野に進歩をもたらそうとしており、それは、どんなことをしてもペットをできるかぎり長生きさせたいという、飼い主の願いにも応えるものだ、と語っている。

ジェット氏によると、同社の経営がDNA分析を軸としていることには将来性があり、ペットに対して遺伝子分析の大きな市場を初めて開き、ペットに対する愛情とその長寿のための技術を結びつけたことの市場性はとても大きい。

「同社は変化を推進しています。私たちは消費者市場への投資企業として世界最大ですが、消費者のプライオリティと選択に関する弊社のポートフォリオとEmbarkが目指すものは完全に一致しています。それは、とても大きなトレンドであり、しかもペットのための個体化は、まだまだ初期の段階です」とジェット氏はいう。

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カテゴリー:その他
タグ:DNAEmbark VeterinarySoftBank Vision Fund資金調達ペット

画像クレジット:Olga Gimaeva/EyeEm/ Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フィンテックM1 Financeがソフトバンク主導のシリーズEラウンドでユニコーンに

7500万ドル(約83億円)のシリーズDを発表してわずか4カ月、M1 Financeは米国時間7月14日、ソフトバンクのVision Fund 2が主導する1億5000万ドル(約165億円)のシリーズEを明らかにした。

既存投資家らも参加した最新ラウンドにより、シカゴ拠点のフィンテックM1は14億5000万ドル(約1595億円)というバリュエーションでユニコーンのステータスを獲得する。また今回のラウンドはわずか13カ月と少しという期間で4回目で、2015年半ばの創業からの累計調達額は3億ドル(約330億円)を超える。既存投資家にはCoatue Management、Left Lane Capital、Jump Capital、Clocktower Technology Venturesなどが含まれる。

M1の創業者でCEOのBrian Barnes(ブライアン・バーンズ)氏によると、3月のシリーズDの時点で同社は「ユニコーンに近いステータス」だった。

M1は従来型の3種のフィンテックサービス(自動投資、借入、預入・引出し)を1つに集約していて、ここ数年、急速に成長している。2021年3月初めの資金調達時点で、運用資産(AUM)は35億ドル(約3850億円)に達した。そしてバーンズ氏によると、現在のAUMは45億ドル(約4950億円)で、これは18カ月前の5倍超だ。

2020年7月1日以来、同社はユーザーベースを2倍超に、AUMを3倍に増やした。

画像クレジット:M1 Finance

人々が自分のお金を「無料のコントロールと自動化」で管理して増やせるようサポートするプラットフォームを構築するというミッションの下、M1は2016年後半にサービス提供を開始した(M1がどのように収益を上げているか、詳細はこちらのブログをチェックして欲しい)。

今では「数十万人」という顧客がM1のプラットフォームを通じて投資したり、デジタルチェッキングしたり、あるいは最大貸付金額のポートフォリオにアクセスしたりしている、と同社は話す。

他の多くの企業と同様、M1にとってもパンデミックは追い風となった。

特に、ミレニアル世代の投資への関心が高まったようだとバーンズ氏は指摘する。

M1 Financeの創業者でCEOのブライアン・バーンズ氏(画像クレジット:M1 Finance)

「ロックダウン(都市封鎖)により多くの人が支出を減らし、その一方で不確かな将来によって投資を通じて長期的に富を築くことへの関心が高まりました」とバーンズ氏はTechCrunchに語った。「M1はこれを直に体験しました。パンデミックが始まった2020年3月以来、当社の運用資産は4倍になりました。2021年1月の利用申し込みは前月の3倍超となりました」。

2020年12月、M1は「Plus」の顧客があらかじめ設定したルールに基づいて財政目標を自動化できるようにするSmart Transfersを立ち上げた。そして2021年2月には、M1 Plusの親や保護者が若いユーザーのためにポートフォリオに投資できるようにするCustodial Accountsをリリースした。6月にはM1 Plus顧客が物理的な小切手をM1 Spend Plus当座預金口座から送れるようにするSend Checkの展開も開始した。

「毎日の取引の手入力や画一的なポートフォリオに背を向けたように、当社は常に変化を追求する企業でありたいと考えています」とバーンズ氏は述べた。「投資、借入、支出を刷新し続けて複雑なプロセスをシームレスにする方法を模索するというのが当社の計画です」。

SoftBank Investment AdvisersのマネージングパートナーのMunish Varma(ミュニッシュ・バルマー)氏は、M1が「投資、支出、借入のプロダクトを持つワンストップのスーパーアプリでユーザーの財務管理を支えるのにいい位置につけている」と確信している、と話す。

M1は調達した資金を新たなプロダクトや機能、さらに「イノベーティブ」なプラットフォームの構築と人材採用に使う計画だ。同社の従業員数は2020年初めの40人から現在は250人に増えた。

筆者の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)氏がM1のシリーズDをカバーした記事で指摘したように、貯蓄や投資、支出の分野で2020年成長したのは同社だけではない。投資分野ではRobinhoodやPublicが好調で、支出や貯蓄の分野ではChimeが急成長した

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カテゴリー:フィンテック
タグ:M1 FinanceSoftBank Vision Fund資金調達ユニコーン企業

画像クレジット:Cattallina / Shutterstock

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

印EC大手Flipkartが評価額4兆円超で新たに約3973億円調達、ソフトバンクが3年ぶりに株主に復帰

Flipkart(フリップカート)はインド時間7月12日、36億ドル(約3973億円)の資金を新たに調達したと発表した。ポストマネー評価額は376億ドル(約4兆1492億円)。今ラウンドは、インドのECコングロマリットであるFlipkartが、早ければ2022年初めに上場するためのプレIPOラウンドであろうと見られている。

今回の資金調達はインドのスタートアップとしては最大規模のもので、GIC、カナダ年金投資委員会(CPP Investments)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)、Walmart(ウォルマート)の他、政府系ファンドであるDisruptA、Qatar Investment Authority(カタール投資庁)、Khazanah Nasional Berhad(カザナ・ナショナル)、Tencent(テンセント)、Willoughby Capital、Antara Capital、Franklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)、Tiger Global(タイガー・グローバル)が出資している。

12日の投資は、ソフトバンクがFlipkartの株主として復帰したことを意味する。ベンガルールを拠点とする同社が、2018年に220億ドル(約2兆4277億円)の評価額でWalmartに過半数の株式を売却した際にエグジットしたソフトバンクは、今回の新ラウンドで約5億ドル(約552億円)を再投資した。

「Flipkartでは、インドの消費者インターネットエコシステムを変革し、お客様にアクセスと価値を提供することに取り組んでいます。世界有数の投資家による今回の投資は、インドにおけるデジタルコマースの将来性と、この可能性をすべてのステークホルダーのために最大化するFlipkartの能力に対する信頼を反映したものです」と、Flipkart GroupのKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)CEOは声明の中で述べた。

「消費者の方々にサービスを提供すると同時に、キラナ(伝統的零細商店)を含む、何百万ものインドの中小企業の成長を加速させることにも注力していきます。新しいカテゴリーへの投資やインド発のテクノロジーを活用してコンシューマーエクスペリエンスを変革し、世界クラスのサプライチェーンを開発していきます」とも。

新たな資金調達の一環として、Flipkartは従業員に対し、彼らが保有する8050万ドル(約89億円)相当のストックオプションを売却する選択肢も与えると、クリシュナムルシー氏は12日に社内に伝えた。

Flipkartはもともと2021年初めに資金調達のために市場に出ており、当初は10億ドル(約1104億円)程度の調達を目指していたとTechCrunchは最初に報じている。

ベンガルールに本社を置くFlipkartは、インドでAmazon(アマゾン)と互角に競合している。米国のeコマースグループである後者は、南アジア市場に65億ドル(約7175億円)以上を投資している。

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両社とも、実店舗が小売売上の大半を占めているインドで、積極的に事業を拡大することに苦戦している。また、インドの新しい電子商取引ルールによって、大きな打撃を受けることが予想される。

インド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテイル)と、Google(グーグル)とFacebook(フェイスブック)が支援するJio Platforms(インド最大のテレコム事業者)との共同事業であるeコマースプラットフォーム「JioMart(ジオマート)」は、2020年、全国200以上の都市や町でサービスを開始した。

​​世界で最も急速に成長しているeコマース市場の1つであるインドは、初めてインターネットを利用するユーザーがオンラインで買い物をするようになるにつれて、今後さらに成長することが期待されている。Bain & Companyの推計によると、インドのeコマース市場は、2025年までに3億人以上の買い物客を獲得すると見込まれている。それまでにこれらの買い物客は、オンラインプラットフォームで1000億ドル(約11兆円)以上の価値のある商品を購入しているだろうと、同社は予測している。

近年、FlipkartとAmazonは、インドでの事業拡大のためにさまざまな賭けを行ってきた。両社ともヒンディー語への対応を開始し(Flipkartはさらにいくつかのインドの言語を導入した)、地元の商店との提携を展開している。

Walmart International(ウォルマート・インターナショナル)の社長兼CEOであるJudith McKenna(ジュディス・マッケナ)氏は声明でこう述べた。「Flipkartは、その成長と可能性がインド全体を反映しているすばらしいビジネスです。だからこそ、私たちは2018年に投資を行い、現在も投資を続けているのです」。

Flipkartは、ファッションeコマースのMyntraを含む同社のサービス全体で、国内に3億5000万人以上の登録ユーザーを抱えているという。「Flipkartの物流・サプライチェーン部門であるEkartは、10万人以上の従業員を擁し、インド国内のアドレス可能なピンコードの90%以上に配送を行っており、戦略的な倉庫インフラへの投資と相まって、グループの中核的な強みとなっています。Flipkartはソーシャルコマースの分野に進出し始めており、最近、地元の起業家を奨励するShopsyの立ち上げを発表しました」と同社は述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkartインドeコマースソフトバンク・ビジョン・ファンド資金調達

画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

進化したビデオ会議のmmhmmは半分ジョークの社名でもソフトバンクなどから約110.6億円調達

TechCrunchを頻繁に読んでいる方なら、おそらくmmhmm(ンーフー)という名前のスタートアップをすでにご存知だろう。これは創業者Phil Libin(フィル・リービン)氏のEvernote(エバーノート)に続く第2幕であり、おそらく他のどのスタートアップよりもパンデミックから生まれたといえる企業で、自動バックグラウンド除去や高度なプレゼンテーション機能など、改良されたビデオチャットツールを提供している。Bloombergの報道によると、設立から1年余りの同社は米国時間7月6日、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が主導した1億ドル(約110億6000万円)の新たな資金投入により、合計資金調達額を約1億4000万ドル(約155億円)まで引き上げた。私のように最初の初期ベータ版を使用した記憶がある人であれば、いささか驚異的なことだ。

くだらない名前のスタートアップが多額の資金を集めるのはテック分野では例外的なことではないが、リービン氏のスタートアップの場合は、名前がほとんどないに等しい(言ってみればただの音、日本語にすると「ふうん」「うんうん」というような感じ)という点で、ボーナスポイントに値する。

mmhmmは、既存のビデオツールでは、特にプレゼンテーションにおいて、現代のテクノロジーが提供するすべての可能性にユーザーがアクセスできないという考えに基づいて設立された。mmhmmの中核となるプレゼンターツールは、あなたの会議を、透明なスライドショーやホワイトボードの書き込みに少し色をつけてデジタル化したものではなく、プロのニュース番組のように見せてくれる。mmhmmは創業以来、頻繁な改良を重ねながら、着実に機能を追加し、パフォーマンスを向上させてきた。

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現在のところmmhmmは、Zoomをはじめとする、ユーザーがバーチャルミーティングに使用する既存のビデオサービスと連動するようになっている。しかしBloombergによると、mmhmmは近々、スタンドアローンのアプリとしても利用できるようになり、モバイルアプリ版も発表される予定だという。これは、SVFやSequoia Capitalなどから調達した新たな資金の有効な活用法といえそうだ。

パンデミック後の世界ではバーチャルミーティングの重要性が低下することが予想されるが、それでも、仕事の世界では欠かせないものになるだろう。しかし同時にmmhmmのフィーチャセットは、ワックスの翼を作って、調達額や評価額を上げようと高く翔ぼうとするスタートアップ企業への訓話として語られる「製品ではなく、機能」というコンセプトを定義しているようにも見える。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:mmhmmビデオ会議プレゼンテーションオンラインプレゼンテーションソフトバンク・ビジョン・ファンド資金調達

画像クレジット:mmhmm

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

物議を醸し出しながらも広く使われる顔認識のAnyVisionがソフトバンクなどから約261億円調達

顔認識は、人工知能の応用分野の中でも特に問題の多い分野だ。コンピュータービジョンを使って顔を識別し、その後、その人の身元を特定することは、プライバシーやデータ保護、仕事の目的やシステム自体を支える倫理観について多くの疑問を投げかけている。しかし、その一方で、顔認識はさまざまなユースケースで広く採用されている。今回、この分野で物議を醸しながらも成功を収めているスタートアップの1つが、大規模な資金調達を完了した。

イスラエルのスタートアップであるAnyVision(エニービジョン)は、顔で人を識別するAIベースの技術を開発するだけでなく、大勢の中から高い体温の人を検出する技術も開発している。同社は2億3500万ドル(約261億円)の資金を調達したと認めた。

今回のシリーズCは、AIスタートアップとしては大規模なラウンドの1つだ。ソフトバンクのVision Fund 2とEldridge Industriesが共同でリードし、既存投資家も参加した(表には出ていないが、Robert Bosch GmbH、Qualcomm Ventures、Lightspeedなどが名を連ねている)。同社はバリュエーションを公表しておらず、問い合わせ中だ。PitchBookによると、AnyVisionは過去に約1億1600万ドル(約129億円)を調達しており、2020年の前回のラウンド以来、多くの顧客を獲得してきた。

また、AnyVisionのCEOであるAvi Golan(アビ・ゴラン)氏は、ソフトバンクの投資部門の元オペレーティングパートナーであることも特筆すべき点だ。

今回調達した資金は、SDK(Software Development Kit)の開発継続のため、特にエッジ・コンピューティング・デバイス(スマートカメラ、ボディカメラ、その他のデバイスに使用されるチップ)を動かし、同社のシステムのパフォーマンスとスピードを向上させるために使用されるという。

AnyVisionのシステムは、ビデオによる監視、監視員による警告、会社などの組織が群衆を監視・制御するといったシナリオで利用される。例えば、人数の把握、小売店での滞留時間の分析、違法行為や危険な行為の警告などに利用される。

「AnyVisionの認識AIのイノベーションは、受動的なカメラをプロアクティブなセキュリティシステムに変え、組織が高度なセキュリティの脅威に対してより全体的な視点を持つことを可能にしました」とゴラン氏は投資を発表する声明で述べた。「Access Point AIプラットフォームは、人、場所、プライバシーを保護すると同時に、コスト、電力、帯域幅、運用の複雑さを削減するように設計されています」。

多くの報道に触れ、AnyVisionの名前を知っている人もいるかもしれない。

同社は2019年、その技術によりイスラエル政府がヨルダン西岸地区のパレスチナ人の監視を密かに実行していると報道された。

同社はこれを否定したが、この話はすぐに同社の評判に大きな汚点を残すことになり、同時に顔認識の分野全体にさらなる監視の目を向けることになった。

これを受け、ベンチャー部門「M12」を通じてAnyVisionに投資していたMicrosoft(マイクロソフト)は、その投資と、顔認証投資に対する同社の姿勢を全面的に監査することになった。最終的にマイクロソフトは株式を売却し、今後、このような技術には投資しないことを約束した。

それ以来、AnyVisionは、顔認識という大きな市場には多くの課題や欠点があることを認め、この分野での「倫理的」なプレイヤーになるべく懸命に取り組んできた。しかし、同社を巡っては論争が続いている。

2021年4月のReuters(ロイター)の報道では、ロサンゼルスのCedars Sinai(シダーズ・サイナイ)のような病院から、Macy’s(メイシーズ)のような大手小売店、エネルギー大手のBPまで、今日どれだけ多くの企業がAnyVisionの技術を使用しているかが紹介されている。AnyVisionの権力とのつながりは、単に大きな顧客を持っているということだけではない。ホワイトハウスのJen Psaki(ジェン・サキ)報道官は、かつてこのスタートアップのコミュニケーション・コンサルタントを務めていた。

また7月6日、The Markupに掲載されたレポートでは、2019年に発行されたユーザーガイドブックを含むAnyVisionのさまざまな公開記録を調べ、同社がどれだけの情報を収集できるのか、どんなことに取り組んできたのかについて、かなり不利な状況を描いている(ある試験運用とその報告書では、テキサス州の学区の子どもたちを追跡している。AnyVisionは、わずか7日間で5000枚の生徒の写真を収集し、16万4000件以上の検出を行った)。

しかし、AnyVisionの技術が役に立ち、有用となり、あるいは歓迎されると思われるケースは他にもある。例えば、体温を検知して、高い体温の人と接触した人を特定する機能は、新型コロナウイルスの不明瞭なケースをコントロールするのに役立つ。例えば、人が集まるイベントでウイルスを封じ込め、遂行するための安全策を提供する。

また、これは明確にしておきたいが、この技術を開発・展開している企業はAnyVisionだけではなく、監視の目にさらされているのもAnyVisionだけではない。米国のClearview AIは、何千もの政府や法執行機関で利用されているが、2021年初め、カナダのプライバシー当局から「違法」と判断された。

実際、こうした技術がどのように発展していくのか、どのように使用されるのか、そして一般の人々がこれをどうに見るようになるのかという点においても、物語は完結していないようだ。今のところ、論争や倫理的な問題があったとしても、AnyVisionの勢いはソフトバンクを動かしているようだ。

「視覚認識市場は初期段階にありますが、欧米では大きな可能性を秘めています」と、ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのパートナーであるAnthony Doeh(アンソニー・ドー)氏は声明で述べた。「我々は他のカテゴリーでAI、バイオメトリクス、エッジコンピューティングによる変革の力を目の当たりにし、AnyVisionが数多くの業界で物理環境分析を再定義するユニークな位置にあると信じています」。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:顔認識AnyVision資金調達Softbank Vision Fundイスラエルコンピュータービジョン

画像クレジット:Design Cells / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIの中心に人間を据える新しいアプローチのVianai SystemsをSoftBank Vision Fund 2が支援

インドのIT大手Infosysの元CEOであるVishal Sikka(ヴィシャール・シッカ)氏が立ち上げたAIスタートアップVianai Systemsは米国時間6月16日、SoftBank Vision Fund 2がリードするラウンドで1億4000万ドル(約154億円)のシリーズBを調達したことを発表した。

この創業2年のスタートアップによると、このラウンドには業界の名士たちが数多く参加し、これまでの調達総額は1億9000万ドル(約209億円)を超えた。同社はシードラウンドで5000万ドル(約55億円)を調達したが、同社のシリーズAに関しては数字の発表がない。

また、パロアルトに本社のある同社の業務についても、詳報はない。しかしプレスへの声明でヴィシャール・シッカ博士は、同社が開発しているのは「これまでよりもベターなAIプラットフォーム」であり、それは人間の判断を広範なAI能力を発揮するシステムの中心に置くことによって、むしろ人間の潜在能力を増幅する。現在54歳のシッカ氏は2017年にInfosysのトップの座を辞したが、そこに至る数カ月は取締役会や創業者集団との間で考え方の鋭い対立が続いた。

声明では次のように述べている。「VianaiはAIとMLの高度かつ多様なツールを駆使して顧客のデジタル変換(DX)のポテンシャルの増幅を支援しますが、それらのツールの使い方が他とはまったく異なり、人間とテクノロジーの能力を思慮深く結びつけていきます。この人間中心型のアプローチにより、Vianaiは他のプラットフォームやプロダクトの企業から差別化され、顧客がAIの本当の約束を得られるようにします」。

同社はすでに、保険大手Munich Reなど世界最大で高く評価されている企業の多くを顧客として惹きつけている。

主な投資家はJim Davidson(ジム・デビッドソン)氏(Silver Lakeの共同創業者)やHenry Kravis(ヘンリー・クラビス)氏とGeorge Roberts(ジョージ・ロバーツ)氏(KKRの共同創業者)、Jerry Yang(ジェリー・ヤン)氏(AMEの創業パートナーでYahooの共同創業者)である。そしてFei-Fei Li(フェイフェイ・リ)博士(スタンフォード大学の「人間中心型AI研究所」の共同ディレクター)が、Vianai Systemsの顧問団に加わった。

SoftBank Investment AdvisersのシニアマネージングパートナーであるDeep Nishar(ディープ・ニシャー)氏は声明で、次のように述べている「AI革命が進行している中で、Vianaiの人間中心型のAIプラットフォームとプロダクトはグローバル企業に、より良い経営意思決定ができるための、オペレーションと顧客の両面に亘るインテリジェンスを提供します。シッカ博士とVianaiのチームと協力して、AIの約束を満たし、より本質的なDXをサポートしていけることは、極めて喜ばしいことです」。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Vianai SystemsSoftBank Vision Fund資金調達

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ソフトバンクが支援する建設の巨人「Katerra」が約2200億円以上を使い果たし事業を閉鎖

20億ドル(約2200億円)を超える資金を使い果たしたSoftBank(ソフトバンク)が支援する建設スタートアップのKaterra(カテラ)は、事業を閉鎖することを従業員に伝えた。The Informationの報道による。

2020年、同社は世界で8000人以上の従業員がいると述べていた。

カリフォルニア州メンロパーク拠点のKaterraは、2020年末倒産寸前まで追い込まれた時、不動産デベロッパーに安く建物を販売する同社ビジネスの有効性に苦悩していた。会社はパンデミックによる労働コストと材料コストの高騰が苦闘の原因だと主張した。その後SoftBankから2億ドル(約220億円)の救援資金を受け取り最後のチャンスを与えられた。SoftBankは数十億ドル(数千億円)を注ぎ込んだ後、同社の過半数株式を買い取ったと報道されている。

Katerraの転落は、SoftBankにとって2019年のWeWork IPO以来最大の華々しい失敗だ。SoftBankは2020年、テック株の大規模な復調のおかげで同社のVision Fund(ビジョンファンド)投資先企業の多くで利益を上げてきたが、ここ数カ月でで利益の一部は消失した。

Barron’s(バロンズ)による2021年5月のインタビューでCEOの孫正義氏は、KaterraおよびGreensill(グリーンシル)への投資を「後悔」していることを強調した。Katerraの出資者には他に、Khosla Ventures、DFJ Growth、Greenoaks Capital、およびCelesta Capitalがいる。

TechCrunchはKaterraにコメントを求めている。

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カテゴリー:その他
タグ:Katerra建設SoftBank Vision Fund

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インド物流市場システムのデジタル化を進める最大手DelhiveryがIPOに向け約304億円調達

インド最大の独立系eコマース物流企業であるDelhivery(デリバリー)は、年内のIPO申請に向けた最終となる見込みの資金調達ラウンドで、2億7700万ドル(約304億円)を調達した。

グルガオンに本社を置くこのスタートアップ企業は、規制当局への提出書類の中で、ボストンに本社を置く投資会社のFidelity(フェデリティ)が主導するラウンドで、2億7700万ドルを調達したことを明らかにした。この名称が特定されていないラウンドには、シンガポール政府投資公社(GIC)、アブダビの投資会社であるChimera(キメラ)、英国のBaillie Gifford(ベイリーギフォード)も参加している(最初にこの申請を報じたインドのニュースサイトEntrackrは、シリーズHラウンドであることを示唆している。しかし、Tracxnによると、DelhiveryにはシリーズGラウンドの記録はない。米国時間5月30日の時点で、このスタートアップはコメントを出していない)。

この新ラウンドで、創業10年目のDelhiveryの評価額は約30億ドル(約3290億円)となった。同社には、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Tiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)、Times Internet(タイムズ・インターネット)、The Carlyle Group(カーライル・グループ)、Steadview Capital(ステッドビュー・キャピタル)なども投資しており、これまでに約12億3000万ドル(約1350億円)を調達している。

Delhiveryは当初フードデリバリーの会社としてスタートしたが、後にインドの2300以上の都市と1万7500以上の郵便番号を対象としたフルスイートの物流サービスにシフトした。

同社は、貨物交換プラットフォームを通じて、物流市場の需要と供給のシステムをデジタル化しようとしている数少ないスタートアップ企業の1つだ。

調査・画像クレジット:Bernstein

そのプラットフォームは、荷主と取扱業者、そして道路輸送ソリューションを提供するトラック事業者をつなぐものだ。Delhiveryは、このプラットフォームによってブローカーの役割が軽減し、(同社にとって最も一般的な輸送手段である)トラック輸送などの資産をより効率的に運用でき、24時間体制のオペレーションを保証すると述べている。

このようなデジタル化は、国の経済を長年にわたって停滞させてきたインドの物流業界の非効率性に対処するために非常に重要だ。インドでは、需要と供給の計画や予測が不十分であることが、輸送コスト、盗難、損害、遅延を増加させていると、Bernstein(バーンスタイン)のアナリストは、インドの物流市場について2021年4月に発表した報告書の中で指摘している。

Delhiveryのウェブサイトによると、同社には10億件以上の注文を配送した実績があり「インド最大のeコマース企業や大手企業のすべて」と提携しており、その顧客の数は1万を超えるという。配送の最後の区間を受け持つ同社の配達員には、2平方キロメートルを超えることのないエリアが割り当てられているので、時間を節約しながら1日に何度も配送を行うことができる。

インドの物流市場のTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)は2000億ドル(約22兆円)を超えると、Bernsteinのアナリストは述べている。

このスタートアップは2020年後半、新型コロナウイルス感染が流行する中、オンラインで買い物をする人が増えたことから、増大する注文需要に対応するため、2年以内に4000万ドル(約43億9000万円)以上の投資を行い、配達隊の規模を拡大することを計画していると語っていた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Delhiveryインド物流IPO資金調達SoftBank Vision FunTiger Global Managementeコマース

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中小の販売業者が扱う低価格製品にも「Apple Care」のようなサービス提供を目指すExtend

小売業者やブランドに費用対効果が高く効率的な方法を提供し、消費者の購入と補償請求を容易にする、延長保証のビジネスへの新しいアプローチを構築した企業が米国時間5月18日、ビジネスを次のレベルに引き上げるための大規模な資金調達ラウンドを発表した。

「Apple製品ではないあらゆる製品の『Apple Care』になることを目指している」と共同創業者でCEOのWoody Levin(ウッディ・レヴィン)氏が語るExtendが、16億ドル(約1750億円)を超える評価額で2億6000万ドル(約284億円)のシリーズCラウンドを調達した。

同社は今回調達した資金を事業の拡大に充てる計画だ。具体的には、メーカーや小売店の保証がなくなった後に適用される延長保証にとどまらないサービスへの漸進的な移行や、より広範な地理的拡大、そして(27カ月のオペレーションで16億ドルの評価額に飛躍するだけでは十分ではないとすれば)eコマースでの地位を確かなものにするためのさらなる活動などが挙げられるだろう。

レヴィン氏はインタビューの中で「即日提供、後払いなど、中核的なeコマースツールセットのあらゆる要素に私たちは携わっています」と語っている。「当社は2019年から販売を始めていますが、市場はまだ当社のようなビジネスを認識し始めたばかりです。私たちは、透明で公正な保証を行うことにフォーカスしています。これまで市場に見られなかったことです」。

同社によると、初年度の2020年に30万件の保護プランを販売したが、2021年は300万件を超えるプランの販売を予定しているという。顧客にはPeloton、iRobot、Harman/JBL、Backcountry、Balsam Hill、BlendJet、RealTruck、Traeger Grils、その他数百社の小売業者が名を連ねている。(Pelotonはおそらくいくつかの興味深いストーリーを生み出しているだろう)

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シリーズCの資金調達は、財務的投資家と極めて戦略的な投資家の興味深い組み合わせによるものだ。同ファンドはSoftBank(ソフトバンク)が主導しており、同社のVision Fund 2から最新の投資を受けている。(レヴィン氏は孫正義氏から直接の売り込みを受けたと語り「私たちが行っていることを孫氏はすぐに理解してくれました」という)

既存の投資家であるMeritech Capital Partners、PayPal Ventures、GreatPoint Ventures、また新規投資家として保険大手のNationwide、Tomales Bay Capital、Launchpad Capital、10X Capital、40 Northも参加した。

中でも注目に値するのはPayPal(ペイパル)だ。保証は販売時に売られることが多く、決済の大手がより多くのツールとコンバージョンレバーを投入することに関心を示すのは理に適っている。(また保証と保険の関連性を考えると、PayPalの主要な競合企業の1つであるStripeが2021年3月、大手保険会社が参加する大規模な資金調達ラウンドを受けたことも興味深い)。

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一方、ソフトバンクがT-Mobile(多くのガジェットを販売している)の株式の一部を保有しており、投資家も相当数いることも思い出して欲しい。これによりExtendは、保証期間の延長やその他の保護プランを統合して提供する可能性のある広範な領域への扉を開くことが可能になる。

超過応募となったこのラウンドは、Extendが4000万ドル(約43億5300万円)のシリーズBを発表してからわずか8カ月後に行われた。Extendは今回のラウンドでVCとの対話を大幅に拡大したといえる。

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延長保証と保護プランは、長い間消費者の間で論争の的になってきた。理論的には安心感があるように聞こえるが、苛立ちをともなうアップセルのようにも感じられる。会社がなぜか製品の持続性を認めていないという暗黙のメッセージがあるからだ。同時に、まったく期待外れとはならないにしても、実際に異議を申し立てるには時間がかかる。

Extendはレガシーモデルの落とし穴を十分に認識しており、より柔軟なサービス(価格に応じて保証期間の階層を提供)や、Extendが提供するすべての保証を1カ所で管理できる明確なポリシー、必要に応じてポリシーに対する請求を受け取るためのKaleyと呼ばれるデジタルアシスタントによる迅速なやり取りなどによって、レガシーモデルに対抗しようとしている。さらにバックグラウンドでは、機械学習とリスク分析を活用し、自社のプランが確実に実行されるようにしている。

現在のところ、これらすべてが有利に働いている。小売業者は自社で保証を扱うことにあまり興味を持たなくなってきており、その作業を外部の業者に委託している。Extendの初年度の売上は40倍に増加した(2020年)。多くの人が自宅で過ごすようになり、問題が発生した場合には顧客サポートとのやり取りを続けることに意欲的になった時期だ。同社によると、2021年の売上は400%増を見込んでいるという。

同社の顧客は引き続きD2C(消費者に直接販売する)企業が中心となっているが、小売業者とのいくつかの新たな契約は、Amazonのようなマーケットプレイスが提供し得る幅広いサービスに対抗するため、商品購入という基本的な提案に対してより多くのサービスを消費者に提供しようとしている企業に、さらに幅広い機会をもたらすことを示唆している。

SoftBank Investment AdvisersのマネージングパートナーNagraj Kashyap(ナグラジ・カシャップ)氏は次のように語っている。「オンラインで買い物をする消費者が増えるにつれ、小売業者は消費者が安心して買い物ができるようにしたいと考えています。Extendは、業界をリードするプラットフォーム、APIソリューション、消費者優先のアプローチを通じて、延長保証業界を改革していくと私たちは確信しています。レヴィン氏そしてExtendのチームと協働し、消費者の愛する製品を守るより良い方法を提供するという彼らの熱意を支援できることを、大変うれしく思います」。

カテゴリー:その他
タグ:ExtendSoftBank Vision Fund資金調達保証

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

韓国のRiiidはソフトバンクの支援を受けてAIベースの学習プラットフォームをグローバルに拡大する

「AIが教育の世界を食べている」。ソウルを拠点とするRiiidの共同創業者でCEOのYJ Jang(YJ・チャン)氏は、自分のLinkedInのプロフィールにそう書いている。米国時間5月24日、AIを利用して学生のテスト対策学習などをパーソナライズするRiiidが、AIが教育を食べるプロセスのプレイヤーとして地位を確立するための大型資金調達を発表した。

Riiidは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2のみから資金を調達する1億7500万ドル(約190億2000万円)のエクイティラウンドを完了した。

EdTechが好調な中での今回の資金調達となった。2020年にコロナ禍で学習がリモートに移行し、より良いツールを開発して教育市場に提供するチャンスが注目されたことを受けて、この分野の多くのスタートアップが多額の資金を調達してチャンスに挑戦している。Riiidは調達した資金で海外へ進出し、製品を拡充する計画だ。

Riiidは評価額を明らかにしていないが、このラウンドはこれまでで最大の規模で、同社のこれまでの調達金額の合計は2億5000万ドル(約271億7500万円)となった。これはEdTechの世界ではかなり大きい金額だ。

Riiidは主にSantaというTOEIC L&R対策アプリで有名になった。このアプリはこれまでに韓国と日本で250万人以上の学生に利用されている。英語のネイティブ話者でない場合、英語が使われている大学を志望する際にTOEICのスコアを求められることがよくある。

Riiidは他社との協力でTOEIC以外の試験対策にも乗り出している。Kaplanとの協力による韓国の学生向けのGMAT対策、教育サービスを各国に合わせて調整し提供するConnecME Educationとの協力によるエジプト、UAE、トルコ、サウジアラビア、ヨルダン向けACT対策、ラテンアメリカの大学受験生向けAIベースツールの開発などだ。ACT対策の開発の前には、ACTのCEOだったMarten Roorda(マーテン・ローダ)氏がRiiidの国際部門であるRiiid Labsに「エグゼクティブ・イン・レジデンス」として加わるとRiiidが発表していたため、ACT対策アプリを他のマーケットにも拡大するかもしれない。

同社は大学入試対策に加え、職業訓練アプリも開発している。不動産業者試験対策のSanta Realtorや保険代理店試験対策ツールを韓国で展開している。

EdTechがビジネスとして成長して全体の信頼性が高まり、対面での学習が一時的に中断したことによって生じたギャップを緊急に埋める必要がある中で、Riiidは成長してきた。AIをプラスアルファの要素として導入するのは、珍しいことではない。多くの企業が、1つで全員に対応する画一的なモデルにコンピュータビジョンや自然言語処理、機械学習の進化を取り入れて、エクスペリエンスをパーソナライズしている。ここで注目されるのは、Riiidが知的財産を考慮した研究開発を多く手がけてきたことだ。同社によれば、国内外で103件の特許を出願し、そのうち27件は取得済みだという。

RiiidのCEOであるチャン氏は発表の中で「Riiidは教育をAIで変革し、教育機会を真に民主化することを目指しています。今回の資金調達は我々が業界の新しいエコシステムをつくるジャーニーの始まりで、我々はグローバルなパートナーシップでこのミッションを実現していきます」と述べた。

ソフトバンクにとってはEdTech企業への大型投資の1つだ。他にはKahootに2億1500万ドル(約233億7000万円)を投資し、インドのUnacademyやブラジルのDescomplicaにも投資している。Riiidによれば、このラウンドはソフトバンクにとって教育アプリ用AI分野に特化した初の投資だったという。

SoftBank Investment AdvisersのマネージングパートナーであるGreg Moon(グレッグ・ムーン)氏は「Riiidは画一的なアプローチからパーソナライズされた指導へという教育におけるパラダイムシフトを牽引しています。AIと機械学習を活用したRiiidのプラットフォームは、教育関連企業、学校、学生にパーソナライズされたプランとツールを提供し、学習機会を最適化します。我々はYJやRiiidのチームと協力し、世界中で質の高い教育を民主化する目標を支援できることを喜んでいます」と述べている。

カテゴリー:EdTech
タグ:Riiid韓国ソフトバンク・ビジョン・ファンド資金調達AI

画像クレジット:Ivan Pantic / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

インドのフィンテック「Zeta」がソフトバンクのリードで約272億円調達、待望のユニコーンに

Zeta(ゼータ)は、銀行やフィンテックのサービス開発を手助けするスタートアップだ。このほど調達ラウンドを完了し、待望だったユニコーンの地位を獲得した。

このバンキングテック会社は、インドの連続起業家、Bhavin Turakhia(バーヴィン・トゥラキア)氏が共同設立した。現地時間5月24日に同社は、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)がリードしたシリーズCラウンドで、2億5000万ドル(約272億円)調達したことを発表し、TechCrunchが4月中旬に報じた内容が確認された。既存出資者のSodexo(ソデグソ)もラウンドに参加した。

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この最新ラウンドによって、ベンガルールとドバイにオフィスを構える同スタートアップの企業価値は14億5000万ドル(約1576億円)となった。Zetaが2019年7月に報告した企業価値3億ドル(約326億円)を大きく上回る金額だ。(トゥラキア氏は前回のラウンドを誤ってシリーズCと呼んでいたことを話した)。

Zetaは、銀行やフィンテックスタートアップ、およびその他のオンライン消費者プラットフォームに提供するテクノロジースタック(ツールのセット)を開発した。背景には、現代の銀行の多くが旧態依然のテクノロジーで運用されており、膨大な数の顧客やフィンテック企業に最高の体験を与える時間も専門知識も持っていない、という現状がある。

「銀行は1980年代のままです。その多くがCOBOLプログラミング言語をまだ使っていて、貧弱なユーザー体験を提供しています」とトゥラキア氏がこの日の記者会見で語り、それを改善するために銀行は何十というベンダーや技術パートナーの協力を得なくてはならないことを付け加えた。「銀行向けスタックを1から作ることなど誰も考えませんでした。今までは」。

顧客に金融サービスを提供するライセンスを持つ銀行は、ZetaのクラウドネイティブなAPIとSDKを使って、クレジットカード、デビットカード、ローンなどのサービスを開発し、顧客のユーザー体験を改善する。フィンテックもこれらのサービスを利用できる。

「あなたが思いつくどんな金融サービスでも、Zetaなら今すぐ提供します」と彼は言った。

現在同社は10社の銀行と25社のフィンテック企業にサービスを提供しており、新たな資金を使ってさらに顧客を拡大するとともに人員も増やす計画だ。

Zetaの道のり(画像クレジット:Zeta)

ZetaはSoftBank Vision Fund 2にとってインドで最新の投資先だ。日本のコングロマリットは2021年4月にもソーシャルコマースのMeesho(ミーショウ)をユニコーンに育てあげた他、インドのフードデリバリー大手Swiggy(スウィッギー)と交渉中で、さらにはSaaSのスタートアップWhatFix(ワットフィクス)への出資も検討している。

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「バンキングソフトウェアは世界で3000億ドル(約32兆6151億円)の業界です。ほとんどの銀行は顧客よりはるかに遅れたテクノロジーを現在も使っているため、ユーザー体験や顧客維持に影響を与えています」とSoftBank Investment AdviserのマネージングパートナーであるMunish Varma(ムニシュ・ヴァーマ)氏が声明で語った。

Zetaは2021年ユニコーンになった14番目のインド発スタートアップだ。Tiger Global(タイガー・グローバル)、Falcon Edge(ファルコン・エッジ)、SoftBankなどのベンチャーキャピタルが、世界第2のインターネット市場であるインドで出資のペースを加速した結果だ。

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トゥラキア氏は、弟のDivyank(ディヴャンク)氏とともに初めてのベンチャー企業を1998年に立ち上げた。その後2人は4つのウェブ企業を1億6000万ドル(約174億円)でEndurance(エンデュランス)に売却した。Zetaはそれ以降バーヴィン氏が共同開発した3番目のスタートアップで、あとの2つはビジネス・メッセージング・プラットフォームのFlock(フロック)とRadix(ラディックス)だ。

「デジタル世界は銀行に対して、セキュリティ、プライバシー、データ保護に関してますます多くの課題を突きつけています。業界はシステムを再開発してセキュリティ、プライバシー、スケーラビリティー、そして信頼性を中心基盤に据える必要があります。ZetaのOmni Stack(オムニ・スタック)はそのニーズに答えます」とZetaの共同ファウンダーで最高技術責任者、Ramki Raddipati(ラムキ・ラディパティ)氏が声明で語った。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Zetaインド資金調達SoftBank Vision FundユニコーンTiger Global

画像クレジット:Zeta

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

再び注目が集まる3Dプリント技術FormlabsがソフトバンクのVision Fund 2などから約160億円調達

3Dプリント業界で大規模な資金調達があった。マサチューセッツ州拠点のFormlabs(フォームラブズ)が5月19日、1億5000万ドル(約160億円)のシリーズEを発表した。同ラウンドはSoftBank(ソフトバンク)のVision Fund 2がリードし、Formlabsの評価額はユニコーンの2倍、20億ドル(約2180億円)となった。

このニュースは、かつて窮地に陥っていた産業がかなりの関心と資金を引き寄せて復活を果たす中でのものだ。注目すべきDesktop Metal、Shapeways、Velo3D、MarkforgedなどはすべてSPAC(特別買収目的会社)経由で上場する計画を発表した。Formlabsは、業界が2026年までに510億ドル(約5兆5570億円)超の規模に達すると予測する最近の研究に言及している。テクノロジーの進化、素材の多様化、そして企業が付加製造を大量生産に取り入れる方法を模索していることを反映している。

MIT Media Labの学生によって2011年に創業されたFormlabsは3Dプリント業界においては変わり種的存在だった。同社はそれまでの付加製造(光造形法)の手法をデスクトップのフォームファクタに変えた。それは業界がバブル崩壊する中で同社が存続し続けるのに十分なものだった。

「現代においては、大半の3Dプリント技術は幅広く浸透するにはまだ高価で扱いにくいものです」とCEOのMax Lobovsky(マックス・ラボフスキー)氏は資金調達に関するプレスリリースで述べた。「当社はユーザーエクスペリエンスとこれらの機器の質の向上にピンポイントでフォーカスしており、その一方で価格抑制は当社の成功ならびに業界の成長にとって重要です。今回調達した資金で、SLAとSLSのテクノロジーの現在のポートフォリオを拡大し、引き続き3Dプリント産業に注がれている期待に応えるために製品開発を加速させる計画です」。

大型ラウンドで獲得した資金は、世界の従業員数の増加、そして大半の3Dプリント技術にとって長い間障害だった大量生産向けテクノロジーの展開にも使われる。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:3DプリントFormlabs資金調達SoftBank Vision Fundユニコーン企業

画像クレジット:Formlabs

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクがインドのフードデリバリーSwiggyに最大543億円投資か

SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が最大5億ドル(約543億円)をインドのフードデリバリーのスタートアップSwiggy(スウィギー)に出資することで交渉がかなり進んでいる。この件に詳しい2人の情報筋がTechCrunchに明らかにした。新たな投資はSwiggyを55億ドル(約5975億円)で評価しているとのことだ。

新規の投資は、Swiggyが2021年4月初めに発表した8億ドル(約869億円)の資金調達に追加される。ソフトバンクは2021年初めにインドのフードデリバリーへの投資拡大を模索しはじめ、SwiggyのライバルZomato(ゾマト)にも目を向けた。しかし今週初め、ソフトバンクはSwiggyを選んだ、と情報筋は話した。

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Swiggyとソフトバンクはコメントを控えた。この件の詳細はまだ公になっていないため、情報筋は匿名を希望した。

新たな投資の交渉は、Zomatoがここ数カ月で9億1000万ドル(約988億円)を調達している中でのものだ。グルガオン拠点のZomatoは2021年のIPOに向け準備を進めている。最後の取引でのZomatoの評価額は54億ドル(約5866億円)だった。資金調達の間、Zomatoは「当社の事業のさまざまな分野における競合相手からの攻撃や価格競争」と戦うために資金を調達している、と話した。

サードプレイヤーであるAmazon(アマゾン)もまた、2020年インドのフードデリバリーマーケットに参入したが、事業展開はまだバンガロールの一部に限定している。

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Bernsteinのアナリストは、インドのフードデリバリーマーケットが2022年までに120億ドル(約1兆3036億円)に成長することが見込まれる、と2021年初めのクライアント向けのレポートに書いた。

8億ドル調達後、Swiggyの共同創業者でCEOのSriharsha Majety(シュリハルシャ・マジェティ)氏は従業員へのメモで「新たな資金は現在のビジネスラインのために計画していた投資よりも多くのパワーを与えてくれます。我々の野心は果てしなく、後に投資の準備が整うかもしれない将来のために引き続き新たなサービスの種を撒いたり実験などをします。我々は今、インドから永続するアイコン的企業を生み出すために、今後数年にわたって絶えず考案して実行する必要があります」と伝えていた。

同氏はまたメモの中で、同社の長期的な目標は今後10〜15年でユーザー5億人にサービスを提供することだと述べ、評価額が1000億ドル(約10兆8600億円)を超えた中国のフード大手Meituan(美団)を引き合いに出した。

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「2020年の新型コロナウイルスによる非常に厳しい局面から我々は脱しつつあり、嵐は乗り越えました。しかしここから取り組むすべてのことは長期的に成功するチャンスを最大化する必要があります」とも書いた。

Prosus Venturesを最大の投資家の1つに持つSwiggyは2020年一部の従業員を解雇し(Zomatoも同様だ)、インド政府が数カ月にわたるロックダウンを命令することになったパンデミックをしのごうとクラウドキッチン事業を縮小した

ソフトバンクの出資を確認したインドのニュースメディアCapTableは交渉についてより詳細に報じている。

TechCrunchは4月14日にソフトバンク・ビジョン・ファンド2がZetaへの出資についても交渉していると報じた。eコマース大手Flipkart、配車サービスOla、格安ホテルスタートアップのOyoにも出資している同ファンドは2021年4月初め、ソーシャルコマースのMeeshoにも出資した。

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カテゴリー:フードテック
タグ:SwiggySoftBank Vision Fund投資インド資金調達フードデリバリー

画像クレジット:Indranil Aditya / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

印フィンテックZetaがシリーズDラウンドに向けソフトバンクと交渉中、ユニコーン目前か

デジタル銀行プラットフォームのフィンテックスタートアップZeta(ゼータ)は、新たなラウンドに向けて投資家らと最終的な交渉を行っており、ユニコーンの地位に少しずつ近づいていると、この件に詳しい情報筋がTechCrunchに語った。

情報筋によれば、SoftBank Vision Fund 2(SVF2、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)は、設立5年目のZetaに2億5000万ドル(約272億3000万円)規模のシリーズDラウンドを提案しているとのこと。この投資提案では、著名な起業家であるBhavin Turakhia(バヴィン・ターアクヒア)氏が共同設立したインドの同スタートアップを、2019年に行われた初の外部資金調達(シリーズC)の際の3億ドル(約327億円)から大きく引き上げた10億ドル(約1090億円)以上に評価している。

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このラウンドはまだ終了していないと、3人目の情報筋は指摘した。

ソフトバンクの広報担当者はコメントを差し控えた。

5年前に設立されたZetaは、銀行が最新のリテールおよびフィンテック商品を立ち上げることを支援している。そのテーゼは、銀行は主として時代遅れの技術で運営されており、今日、何億人もの顧客やフィンテック企業に最高の体験を提供するための時間や専門知識を持ち合わせていないというもの。

Zetaは、銀行が同社のクラウドネイティブでAPIファーストのバンキングスタックをコアフレームワークとして使用するか、またはその上にサービスを構築して、モバイルアプリやデビット・クレジット機能の改善など、すべての顧客に優れた体験を提供できるよう支援しようとしている。また、銀行がフィンテック企業とより効率的に連携できるよう、API、SDK(ソフトウェア開発キット)、決済ゲートウェイも提供している。

同社は、アジアやラテンアメリカのいくつかの市場で多くのクライアントを獲得している。

ターアクヒア氏は、弟のDivyank(ディビャンク・ターアクヒア)氏とともに、1998年に最初のベンチャー企業を立ち上げた。その過程で、ウェブ企業4社をEndurance(エンデュランス)に1億6000万ドル(約174億3000万円)で売却している。Zetaは、バヴィン・ターアクヒア氏が共同設立した3社目のスタートアップで、彼が立ち上げた他の企業にはビジネスメッセージプラットフォームのFlockとRadixがある。

最終的に確定すれば、Zetaは2021年4月だけで7社目のインド発ユニコーンになる可能性がある。先週は、同じくSoftBank Vision Fund 2の支援を受けたソーシャルコマースのMeesho、フィンテック企業のCRED、e薬局のPharmEasy、ミレニアル世代に特化した投資アプリのGroww(グロウ)ビジネスメッセージプラットフォームのGupshup、そしてソーシャルネットワークのShareChat(シェアチャット)がユニコーンの地位を獲得した。

【更新】本記事はラウンドがまだ終了していないことを明確化して更新された。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Zeta資金調達インドSoftBank Vision Fund

画像クレジット:Zeta

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

独自の機械翻訳エンジンを使ったメディアローカライゼーションサービスのIyuno-SDI Groupが約180億円調達

翻訳字幕などのメディアローカライゼーションサービスを提供するIyuno-SDI Groupは、ソフトバンク・ビジョン2から1億6000万ドル(約180億円)の資金を調達したと発表した。これにより、同ファンドはIyuno-SDI Group最大の株主の1つになったと述べている。

Iyuno-SDI Groupは、Iyuno Media GroupがSDI Mediaの買収を2021年3月に完了した後に設立された。ソウルの大学に在学中の2002年にIyunoを立ち上げ、Iyuno-SDI GroupのCEOを務めるDavid Lee(デビッド・リー)氏は米TechCrunchとの最近のインタビューの中で、独自開発のクラウドベースのエンタープライズリソースプランニングソフトウェアにより、字幕、吹き替え、アクセシビリティ機能などのローカリゼーションサービスを大規模に行うことができると述べている。

またIyunoは人間の翻訳者がより迅速に作業できるように、特定のエンターテインメントジャンルのデータで訓練された独自のニューラル機械翻訳エンジンを開発した。同社のクライアントにはNetflix、Apple iTunes、DreamWorks、HBO、Entertainment Oneなどがある。

合併後のIyuno-SDI Groupは世界34カ国に67の拠点を持ち、100以上の言語でローカライズサービスを提供することができる。

ソフトバンクグループは2018年、同社のベンチャーキャピタル部門であるソフトバンクベンチャーズアジアを通じてIyuno Media Groupに初めて投資した。ソフトバンク・ビジョン・ファンド2はリー氏と投資家のAltor、Shamrock Capital Advisors、SoftBank Ventures Asia Corporationとともに、Iyuno-SDI Groupの取締役会に加わる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Iyuno-SDI Group資金調達機械翻訳SoftBank Vision Fund

画像クレジット:yongyuan / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:塚本直樹 / Twitter

インドのソーシャルコマースMeeshoが新たに330.3億円の資金を調達、評価額は約2312億円に

インドのソーシャルコマース系スタートアップMeeshoはインド時間4月5日「すべてのスモールビジネスがオンラインで成功できるようにする単一のエコシステム」になることを目指して、SoftBank Vision Fund 2(SVF2、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導する新たな資金調達ラウンドで3億ドル(約330億3000万円)を調達したと発表した。

この新しいシリーズEラウンドにより、設立5年目の同スタートアップの評価額は21億ドル(約2312億円)となり、2019年に行われたシリーズD時点での約6億ドル~7億ドル(約661億円〜771億円)から上昇した。これまでに総額約4億9000万ドル(約539億5000万円)を調達している同社は、既存投資家であるFacebook(フェイスブック)、Prosus Ventures、Shunwei Capital、Venture Highway、Knollwood Investmentも新ラウンドに参加したと述べている。

今回の出資はShunwei Capitalにとって、約1年ぶりのインドのスタートアップへの投資となるようだ。インド政府は2020年、中国の投資家がインド企業に出資する際に、当局の承認を必要とする規則を導入した。

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バンガロールを拠点とするMeeshoは、WhatsApp、Facebook、Instagram(インスタグラム)などのソーシャルメディアプラットフォーム上で売り手と顧客をつなぐ、同名のオンラインマーケットプレイスを運営している。同社の提供するサービスには、注文管理、物流管理、オンライン決済、ショップのリアルタイム更新、顧客にサブスクライブしてもらうためのシステムなどが含まれる。

同社はインドの約5千市町村に広がる、女性を中心とした1300万人以上の起業家と、10万以上のサプライヤーからなるネットワークを有しており、主に食料品、アパレル、家電、電子機器などを取り扱っているという。

Meeshoのミッションを短い言葉で表現するとすれば「女性の経済的自立」です。

ですから、@meeshoappがGoogle Indiaの女性デーにPlay Storeでフィーチャーされ、今度は独立記念日にスポットライトを浴びるのはふさわしいことだと思います。

大規模な真のインパクトが認められたのです! pic.twitter.com/jcFz2ZOrDA
– スダンシュ・シェカール (@sdhskr) 2019年8月10日

Meeshoはこの新たな資本を、国内で1億人いる個人事業主や中小企業のオンライン販売を支援するために投入するとのこと。Meeshoの共同設立者兼CEOであるVidit Aatrey(ヴィディット・アートレイ)氏は、声明の中で「この1年間で、オンラインでのビジネス展開を目指す中小企業や起業家が非常に増えました」と述べている。

インド政府が数カ月間のロックダウンを余儀なくされたパンデミックの中で、Meeshoは誰もがゼロ投資でオンラインの食料品店を始めることができる製品「Farmiso」をローンチした。アートレイ氏は5日に、FarmisoはMeeshoで最も急成長している事業に浮上したと述べている(パンデミック以前、Meeshoは東南アジアでの展開も始めていたが、ここ数カ月はその取り組みを縮小している)。

SVF2を運営するソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのパートナーであるSumer Juneja(スマー・ジューンジャ)氏は、声明でこう述べた。「当社は過去18カ月間にわたりMeeshoを注意深く追跡してきましたが、その成長、日々のエンゲージメント指標、ユニットエコノミクスへの注力、そして強力なチームを作る能力を高く評価しています。Meeshoは、中小規模のサプライヤーやソーシャルリセラーがインドのeコマース革命に加わるための効率的なプラットフォームを提供し、彼らが消費者にパーソナライズされた体験を提供するのに役立つと考えています」。

UBSのアナリストは最近のレポートの中で、ソーシャルコマースやB2Bマーケットプレイスが、インドにおいてはAmazon(アマゾン)やFlipkart(フリップカート)などのeコマース企業に対する潜在的な競争要因であると指摘している。

画像クレジット:Meesho

ソーシャルコマースは、AmazonやFlipkartが何十億ドル(何千億円)も投じたにもかかわらず、インドではなかなか浸透しなかった近代的なeコマースに対抗するための有力な賭けの1つだ。もう1つの賭けは、インドの何万もの町や都市、村に点在する、ソーシャルな要素をあまり含まない近隣店舗のデジタル化だ。世界的な大企業であるFacebookとGoogle(グーグル)は、これら両方の馬に賭けている

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ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのマネージングパートナーであるMunish Varma(ムニッシュ・ヴァルマ)氏は、声明の中で次のように述べた。「ソフトバンクは、世界各地の市場に独自のソリューションを提供するファウンダーを支援してきました。MeeshoはAIと機械学習の力を利用して、多くの中小企業オーナーが次世代ネットユーザーに販売するためのプラットフォームを構築しました。当社は、この旅の一部になれることを楽しみにしています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:MeeshoインドSoftBank Vision Fund資金調達ソーシャルコマースeコマース

画像クレジット:Meesho

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

ソフトバンク出資のインド保険プラットフォームPolicybazaarが81.7億円調達、UAEと中東に事業拡大

インドのオンライン保険プラットフォームPolicybazaar(ポリシーバザール)は7500万ドル(約81億7000万円)を調達し、UAE(アラブ首長国連邦)と中東に事業を拡大しようとしている。

CEOのSarbvir Singh(サーブビール・シン)氏は、同社は7500万ドルを調達したが、苦労しなかったとTechCrunchに語った。調査会社Tracxnによると、Falcon Edge Capitalがラウンドをリードし、Policybazaarの累計調達額は6億3000万ドル(約686億円)になった。

ソフトバンクグループのビジョンファンドやTiger Globalから出資を受けている創業12年のPolicybazaarは、州や銀行が支援する保険会社が牛耳っているインドの保険マーケットをひっくり返そうと試みている一握りのスタートアップの1社だ。

Policybazaarはユーザーが保険を比較して購入できるアグリゲーターとしてサービスを提供している。従来のエージェントを通さずにウェブサイト上で数十の保険会社の生命保険、健康保険、旅行保険、自動車保険、損害保険などをカバーしている。

Policybazaarのウェブサイトのスクリーンショット

人口13億人のインドでは、ほんのわずかな人だけが保険にアクセスしていて、デジタル企業は保険サービスを大衆に提供することの重要さを証明するかもしれないと一部のアナリストは話す。ICRA(インターネット・コンテンツ・レイティング協会)によると、2017年時点で保険商品は人口の3%弱に提供された。

世界銀行によると、インド人の平均年間所得は2100ドル(約22万8000円)だ。その中で保険を購入した人は2017年に50ドル(約5400円)弱を支出したとICRAは推定した。

Bernsteinのアナリストは直近のレポートで、Policybazaarがオンライン保険販売マーケットのシェア90%を握っていると推計した。Policybazaarはまたローンやクレジットカード、投資信託の商品も販売している。1カ月あたり100万の商品を販売していると同社は話す。

「インドは保険浸透不足のマーケットです。そうした中で、Policybazaarのようなウェブアグリゲーターを通じたデジタル販売は同産業の1%以下を担っています。これは成長する余地が大いにあることを示しています」とBernsteinのアナリストはクライアント向けに書いた。

2022年に予定するIPOに取り組んでいるPolicybazaarは、調達した資金をUAEと中東地域での事業拡大に使うと話した。

「Policybazaarはインドのオンライン保険アグリゲーション分野のマーケットリーダーとしての地位を確立する中で、輝かしいイノベーション、実行、そして絶え間ない努力を示してきました。同社が保険会社のために最も効率的な販売チャンネルにいた過去10年で確立した戦略はGCCでマーケットリーダーシップを獲得するための触媒として作用すると確信しています」とFalcon Edge Capitalの共同創業者Navroz Udwadia(ナブロズ・ウドワディア)氏は声明で述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Policybazaarインド資金調達保険ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

企業のR&D戦略をサポートするPatSnapがソフトバンクなどから約327億円調達

世界中の企業が競争力を保つために研究と発明に資金を注ぐにつれ、R&D費用の価値の分析に対する需要も増大している。

そうした役割を担っているのがPatSnap(パットスナップ)だ。共同創業者のJeffrey Tiong(ジェフリー・ティオン)氏は10年以上前に医療機器業界で働いていたとき、知的財産や特許がテックの世界でいかに重要かを認識した。

2007年にティオン氏はグローバルの特許検索データベースを構築するためにシンガポールでPatSnapを立ち上げ、他の特許絡みの分野へと事業を拡大した。同氏が「インベーションインテリジェンス」と名づけたPatSnapの直近のソフトウェアは、R&D戦略の分析、競合相手の追跡、そして科学論文や政府のR&D助成金、スタートアップ資金調達ニュースなどのデータ処理による潜在的パートナーの特定で企業をサポートする。

「わかったのは、多くの企業がイノベーションを部門、機能、そして組織内のKPIとして扱っているということでした」とティオン氏は話した。「企業の多くが、どんなテクノロジーがいまあるのか、それを誰が手がけているか、といったことを調べるスタッフを雇っています。すべてを自分で行うというのは最近は無理です。パートナーが必要です」。

投資家らはR&Dブームに注意を払っている。最新の資金調達ラウンドでPatSnapはリード投資家としてソフトバンクのビジョンファンドⅡとTencent(テンセント)を引きつけた。3億ドル(約327億円)のシリーズEラウンドには、中国の国有コングロマリットCITIC Group(中国中信集団公司)傘下のCITIC Industrial Fund、Sequoia China、Xiaomiの創業者Lei Jun氏のShunwei Capital、そしてVertexの投資部門であるVertex GrowthとVertex Ventures Southeast Asia & Indiaが参加した。

ソフトバンク創業者で億万長者の孫正義氏はPatSnapのディールで決断を下す前にティオン氏と30分弱電話で話した。孫氏は20代前半に、後に100万ドル(約1億900万円)で販売したデバイスを発明して特許を取得した。「なので彼は発明、IP(知的財産)、イノベーションの重要性を理解しています」とティオン氏は述べた。

ティオン氏はTechCrunchとのインタビューの中でPatSnapのポストマネー評価額を明らかにするのは却下したが、10億ドル(約1090億円)を超えたと話した。

特許出願ブームにある中国はPatSnapの売上源として急速に成長しているが、同社にとって最大のマーケットは米国だ。世界知的所有権機関(WIPO)は1999年に中国からわずか276件の申請を受け取った。2019年にはその数は5万8990件に増え、米国の件数を上回った。

しかし欧米に比べて、中国企業はソフトウェアに大金をかけることにさほど熱心ではなく、そのためSaaS企業が中国で収益を上げるのは難しい。PatSnapは中国ではZhihuiyaというブランド名で展開しており、顧客は小売ブランドから研究機関、AI会社、製薬大手など多岐にわたる。

特許の激増はすぐさま技術的影響力に結びつくわけではない。R&D支出という点で米国は依然として中国の先を行っている、とティオン氏は述べた。さらに「中国の特許の質はさほど強固なものではなく、多くは画期的な発明ではなく漸進的なイノベーションです」と付け加えた。

PatSnapは50カ国超に1万超の顧客を抱えると話す。従業員700人は米国、欧州、カナダ、日本、中国に散らばっている。名の知れた顧客にはTesla、General Electric、Siemens、Dyson、PalPal、Spotify、Megviiなどがある。新たに調達した資金でPatSnapはプロダクトをさらに開発して専門性を一層深め、グローバルで存在感を高め、そして人的資本に投資する計画だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:PatSnap資金調達ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:PatSnap’s software

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

大手バイオテクノロジー企業ElevateBioが細胞・遺伝子治療技術開発で約573億円を調達

遺伝子治療に特化した大手バイオテクノロジー企業のElevateBioは、シリーズCラウンドで5億2500万ドル(約573億円)という巨額の資金を調達し、2020年完了したシリーズBの1億9300万ドル(約211億円)の資金を倍増させた。今回の資金調達は既存の投資家であるMatrix Capital Managementからのもので、新たにSoftBank Vision FundとFidelity Management & Research Companyが加わり、ElevateBioの研究開発と製造能力の拡大を支援し、同社の研究に基づく新たな企業やパートナーシップのスピンアウトを継続するために使われる。

マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするElevateBioは、細胞および遺伝子治療の学術的な研究開発の世界と、商業化や生産規模の製造の世界とを橋渡しするために設立された。同社は特に重度あるいは慢性疾患の治療において、細胞および遺伝子編集を活用した治療法の開発で行われている有望な科学治療を市場に投入するための、より効率的な手段の必要性を認識している。ElevateBioのビジネスモデルは自社の治療法を開発・商品化することに加え、学術研究機関や他のバイオ企業と長期的なパートナーシップを結び、自社の技術を市場に投入することにある。

この目的のためにElevateBioは、特定の治療法に特化したスピンアウト企業を頻繁に設立し、新しい事業ではそれぞれ特定の治療薬に焦点を当てている。同社はこれまでにAlloVir(ベイラー医科大学との提携)、HighPassBio(遺伝子編集会社Fred Hutchinsonとの合弁事業)、Life Edit Therapeutics(AgBiome社との提携)の3社を発表している。ElevateBioによると他にもスピンアウトされた企業があるが、まだ公表されていない。

予測されていたように、ElevateBioは世界的なパンデミックとその影響によってバイオテクノロジー投資に対する需要が高まったことから、恩恵を受けたようだ。同社のスピンアウト企業であるAlloVirは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応するT細胞療法の候補を研究しており、これは患者のSARS-CoV-2に感染した細胞を排除して疾患の拡大を遅らせ、その重症化を軽減するのに有効である可能性がある。

カテゴリー:バイオテック
タグ:ElevateBio資金調達遺伝子SoftBank Vision Fund

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter