海上ドローン船でハリケーン中心部の様子を米海洋大気庁が初撮影、将来の予報用データも取得

海上ドローン船でハリケーン中心部の様子を米海洋大気庁が初撮影、将来の予報用データも取得

Saildrone Inc

アメリカ海洋大気庁(NOAA)が水上ドローンを使って、初めてハリケーンの中心近くの様子を映像に捉えました。風速54メートル、波高15mという激しい嵐になっているハリケーン「Sam」の内部を海上から捉えたのはSaildrone Explorer SD 1045と名付けられたウィンドサーフィンのようなドローン船で、海上でのハリケーンの様子をデータとして収集しました。

SD 1045は、ハリケーンシーズンに大西洋に配備していた5艘のうちの1つ。これらのドローン船は、研究者がハリケーンについて寄り詳しく分析するためのデータを常時記録するようになっています。そして収集した情報は、将来のハリケーンに関する予報の精度向上のために役立てられ、ハリケーンの上陸予測を寄り確かなものにすることで、犠牲者が出るのを抑えることが期待されます。

「ハリケーンは数時間で急激にその勢力を増すこともあり、沿岸地域の人々にとっては深刻な脅威になり得ます。NOAAの科学者であるグレッグ・フォルツ氏は、NOAAが使用しているSaildroneやその他の無人機器が収集する新しいデータは、ハリケーンの勢力変化をより正確に予測し、早期にハリケーンの予想進路上のコミュニティに警​​告を発するのに役立ちます」と述べました。

ちなみに、ハリケーン「Sam」に関しては、予報では米国本土に上陸する可能性は低いと予測されています。しかし、今回の映像でみられるような激しい波がこの週末には米国東海岸沿い打ち寄せ、場所によっては非常に危険な離岸流を起こす可能性があると、米国立ハリケーンセンターが注意喚起しています。

(Source:NOAAEngadget日本版より転載)

花のような形状のMatternetのドローン自動発着ステーションがスイスの病院で初めて実用化

ドローンによる配送が物流の将来にどのように適合していくのか、誰にもはっきりとはわからない。しかし、1つ確かなことは、ドローンが大事な荷物を、注文主の家の芝生に直接落としてしまうわけにはいかないということだ。その解決策となりそうなのが、Matternet(マッターネット)の「Station(ステーション)」と呼ばれる、自動化されたドローンの着陸スペースと荷物の受け取り・送り出し機能を備えたタワーだ。この花のような形の構造物は、ついにレンダリング画像から現実の世界へ飛び出し、スイスの医療施設に設置された。

このStationは2020年初めに発表があったものだが、コンセプトのレンダリング画だけでは、最終的にアイデア通りのものになるかどうかはわからない。今回のケースでは、完全に60年代のSF映画の小道具のようなものができあがった。

しかし、この特異な形状は、荷物運び用ドローンが着陸してバッテリーを交換するための安全な場所を提供し、雨や風などの天候、そして罪のないロボットから医療用ペイロードを奪おうとする困り者から、ドローンと荷物を保護するという目的に適っている。

初めて実際に設置された今回のケースでは、ドローンが輸送するのは温度管理されたハードシェルケースで、中には通常は陸路で移送される多数のバイラル瓶が入れられる。これらは検査サンプル、血液、薬など、使用期限が短く、何らかの理由で施設間を移動する必要があるものが対象となるだろう。

ドローンで別の施設に運ぶために、スイスポストのキャリアに入れる小瓶を仕分けする女性(画像クレジット:Matternet)

Stationの内部で、ハードケースはドローンから取り外され、許可された人が取り出せるように保管される。支柱の部分には、病院の制限区域に入るときに使うようなIDバッジで開閉が保護された小さな収集用のドアが備わる。これは通常の認証システムと統合させることで、ドローンによって運ばれた荷物を、空気チューブやカート、マニラ封筒のように、しかし同じ建物内にいなくても、簡単に受け取ることができるようにするアイデアだ。

最初のStationはルガーノのEOC病院グループに設置されたが、最初の大規模な展開はアブダビで、市の保健局および同地のドローン配送会社SkyGo(スカイゴー)と協力し、市内の40カ所にStationのネットワークを構築する予定だ。これらも、比較的軽量で緊急性の高い医療品の搬送という基本的に同じ目的のために使用されるが、その規模はより大きなものになる。

アブダビで提案されているMatternet/SkyGoネットワークの地図(画像クレジット:Matternet/SkyGo)

2021年8月、Matternetはドローン企業として初めて、Pfizer(ファイザー)製ワクチンを拠点間で輸送した。これはどこの病院ネットワークや保健所も実現を望んでいる短期輸送だ。もし繁華街で大量の注射が必要になったら、多数の人々を避難させるのではなく、配給所や近くの診療所から数百人分のワクチンを空輸することができるようになる。

もちろん、このような貴重な荷物は、中庭や屋根の上に無造作に置き去りにするわけには行かない。だからこそ、Stationはこの種のネットワークに必須となるだろう。とはいえ、ネットで注文した食品を配達してもらうために、自宅の裏庭にStationを設置しようとは思わないほうがいい。

画像クレジット:Matternet

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Ringのホームセキュリティドローンが米国内で招待制で販売開始

2020年、Ringはセンサーとカメラを搭載したドローン「Always Home Cam」を発表した。このドローンは、Ring Alarmセンサーなどのトリガーや、Ringアプリからの手動コマンドに反応して、ユーザーが設定した経路に沿って家の中を移動することができる。このコンセプトは現実のものとなり、米国のユーザーに向けて出荷が開始された。ただし、最初は招待者のみの発売となる。トが現実となり、米国のユーザーに発売された。ただしそれは、最初のうち、招待制のローンチだ。

Ringは、1年以上前に249ドル(約2万7800円)のAlways Home Camを公開した。そのときは「2021年に出荷する」と述べていたが、それが実現した。約5×7×7インチ(約12.7×17.8×17.8cm)の小型ドローンは、玄関や廊下なども軽快に移動できるはずだ。このデバイスの背景にあるアイデアは、留守中にカメラを家のあらゆるところに設置する方法を提供することだが、実際にたくさんのカメラを用意して設置する必要はない。

Ringは、Always Home Camは、事前に設定されたトリガーまたは手動でユーザーが指示した場合にのみ飛行することを強調している。また、基地内で静止しているときは、デフォルトではカメラは起動しておらず、録画も行わない。これは「プライバシーとセキュリティー」を高めるための意図的な選択だという。

次世代の国内航空監視システムの1階に入りたい人は、今日からRingに招待状をリクエストするとよい。次世代の家庭用空中監視システムを早く体験したい人は、Ringに招待状を申し込もう。

画像クレジット:Ring

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

DJIの新型ドローン「Mavic 3 Pro」の情報がリーク、2基のカメラを搭載し飛行時間は46分間に

The Verge(ザ・ヴァージ)が入手したDroneDJ(ドローンDJ)とJasper Ellens(ジャスパー・エレンズ)氏のリーク情報によると、DJIの次期ドローン「Mavic 3 Pro(マヴィック3プロ)」は、前モデルよりも大幅にアップグレードされるようだ。飛行時間が大幅に延長されるとともに、1基のみではなく2基のカメラを搭載し、その1つには望遠レンズ、そしてもう1つにはより大きなフォーサーズ(4/3型)イメージセンサーを搭載する可能性があるという。もしそれが正しければ、2021年後半に登場すると伝えられるMavic 3は、映像作家や航空写真家にとって非常に魅力的なものになるだろう。

現行の「Mavic 2 Pro(マヴィック2プロ)」と「Mavic 2 Zoom(マヴィック2ズーム)」では、ユーザーはより大きなセンサーか、それとも24-48mm相当のズームか、どちらかを選択する必要があったが、新モデルでは1台のドローンで両方とも使えるようになる。Mavic 3 Proは、フォーサーズセンサーを採用した2000万画素、24mm F2.8-F/11のプライマリーカメラと、160mm相当の望遠レンズを搭載した1200万画素、1/2インチセンサーのセカンダリーカメラという2つの独立したカメラを搭載すると報じられている。

フォーサーズセンサーは、空撮をする人にとって大きな恩恵となるだろう。細部の表現に優れるとともに、概してより映画的な映像の撮影が可能になるからだ。現在、このフォーマットで撮影するには、大型で比較的高価なドローンと、多くの場合はDJIの「Zenmuse(ゼンミューズ)」ラインやPanasonic(パナソニック)の「BGH1」のような別のカメラが必要になる。同時に、2つめの望遠カメラがあれば、より汎用性が高まるだろう。

また、この新型機はUSB-Cによる直接充電が可能になるので、バッテリーを取り外す必要がない。これらのことから、重量はMavic 2 Proの907gから、Mavic 3 Proでは920gへと少し増加する。カメラやその他の新機能の追加により重くなるにもかかわらず、Mavic 3の飛行時間は46分と、Mavic 2の31分から大幅に伸びる見込みだ。

Mavic 3には「Pro(プロ)」モデルと「Cine(シネ)」モデルという2種類が設定され、Mavic 3 Cineには内蔵SSDと、より高速な転送を可能にする「1Gbps Lightspeed Data Cable(1Gbpsライトスピード・データ・ケーブル)」、そしてディスプレイを搭載したスマートコントローラーの新バージョンが付属し、最大動画伝送距離はMavic 2 Proの10kmから15kmに拡がるという。

Mavic 3 Proの価格は、現行のMavic 2 Proと同じ1600ドル(約17万7000円)になると伝えられている。Cineモデルの価格ははっきりしないものの、約1000ドル(約11万円)ほど高くなる可能性があるようだ。それでも、このようなハイテクカメラドローンとしては比較的お買い得と言えるだろう。エレンズ氏によれば、発売は両モデルとも11月15日になる見込みだという。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

関連記事
DJIが新型ドローン「Air 2S」を発表、カメラ機能が向上、伝送距離はプロモデル並に
ゴーグルも付属する一人称視点ドローン「DJI FPV」登場
スタートアップが大企業に勝つ方法とは、ドローンの巨人DJIと新興Skydioのケーススタディ
画像クレジット:DJI

原文へ

(文:Steve Dent、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

筑波大学発スタートアップFullDepthが地域で産業用水中ドローン(ROV)を共有し港湾施設点検に役立てる実証実験に参加

筑波大学発スタートアップFullDepthが地域で産業用水中ドローン(ROV)を共有し港湾施設点検に役立てる実証実験に参加

産業用水中ドローン(ROV。遠隔操作型無人潜水機)の開発を行う筑波大学発のスタートアップFullDepth(フルデプス)は9月21日、国土交通省の「海の次世代モビリティ利活用に関する実証事業」にて産業用水中ドローン「DiveUnit300」(ダイブユニット300)が採択され、機器の提供とROV使用に関する技術的指導を行うと発表した。

日本の沿岸地域や離島地域では、水産業・海上輸送・洋上風力発電・海洋観光など海洋利用が進んでいる反面、それを支える人材が高齢化・過疎化などにより不足し、施設・インフラの老朽化や環境劣化への対応が困難になっているという。そこで国土交通省は、小型無人ボート(ASV)、自律型無人潜水機(AUV)、ROVなど「海の次世代モビリティ」の技術活用と各地域への実装を目指した実証実験を行う。この事業の2021年度(令和3年度)公募でDiveUnit300が採択された。

採択事業名は「ローカルシェアモデルによるROVを用いた港湾施設点検の実用化実験」。ローカルシェア、つまり地域の企業や団体がROVなどの機材などを共有する形で、港湾施設点検を行うというものだ。DiveUnit300は、潜水士の点検業務の一部である目視検査と写真撮影を担う。この作業を実用化し、標準化することが狙いだ。

この実証実験は、静岡県清水市の清水港で行われる。9月27日のキックオフミーティングで始まり、ROVの操作研修に続き、10月上旬から実験が行われる。12月中旬に評価が行われ、2022年3月に結果報告会が開かれる予定。

DiveUnit300は、7基の推進器を備え、水深300mまで潜行可能。有線操作は3.7mmという細い光ケーブルで行われるので、水中の抵抗を受けにくく、機動力と安定性が保たれる。コンパクトにパッキングできるので持ち運びも楽に行える。またオプションとして、水中視界が悪い状況でも調査が行える「マルチナロービームソナー」、自己位置を把握できる「USBL音響測位装置」、濁った水中の映像を補正する「画像鮮明化装置」などが用意されている。

 

太陽光発電で「飛び続ける無人飛行機」を開発するSkydweller Aeroが分析プラットフォームのPalantirと提携

現在の飛行機やドローンは、その大きさや燃料の種類にかかわらず、いずれも「最終的には着陸しなければならない」という同じ制約を抱えている。

米国とスペインのベンチャー企業であるSkydweller Aero(スカイドゥエラー・エアロ)は、この制約から自由になりたいと考え、最終的には永久に飛行が可能となる太陽光発電による自動操縦型航空機を開発している。

シリーズAラウンドで3200万ドル(約35億2000万円)の資金調達に成功した同社は、Leonardo S.p.A.(レオナルド株式会社)、Marlinspike Capital(マーリンスパイク・キャピタル)、Advection Growth Capital(アドベクション・グロース・キャピタル)の3社から800万ドル(約8億8000万円)の募集枠を超えた追加資金調達を行った。また、同社はPalantir Technologies(パランティア・テクノロジーズ)とのパートナーシップも発表。Palantirの分析プラットフォーム「Foundry(ファウンドリー)」を使用して、通信、政府機関、緊急サービス用に設計されたSkydwellerの航空機に搭載し、大規模な情報処理を行う。

Skydwellerの共同設立者であるJohn Parkes(ジョン・パークス)氏は、TechCrunchのインタビューに答えて次のように述べている。「(Palantirは)データから価値を生み出すことに最も長けています。それは、我々の航空機をどのように飛行させるかという運用上の洞察を得るために、データを同社のシステムに入力する場合と、我々の航空機のセンシングシステムから出力されるデータや、航空機のネットワークを通じて得られるデータを、同社のシステムに入力してそこから得られるものについて解析する場合の両方においてです」。

そしてSkydwellerは、大量のデータを生成することになる。同社は現在、通信、地理空間情報、行政調査という、膨大なデータが関わる3つの市場に注力している。SkydwellerはFoundryのプラットフォームを利用することで、政府を含む同社の顧客が監視している地域を、より詳しく理解できるようにすることを計画している。

また、Foundryのプラットフォームは、飛行ルートやミッションの計画にも役立つ。Skydwellerは、天気や大気の情報を活用し、同社の航空機が太陽の光を効率的に利用して空を飛ぶことができるようにしたいと考えている。

「要するに、私たちが目指していることは、持続的な空中写真あるいは擬似的な衛星を作るということです」と、パークス氏はいう。「私たちは、永続的に飛行できる航空機を作ることに集中しています。我々の目標は、太陽が昇る限り、永遠に飛び続ける飛行機を作ることです」。

そのためには天候や大気のデータは特に重要で、航空機の飛行高度を決定する重要な要素となる。同社の飛行機は高高度を飛べるようになる予定だが、パークス氏によれば「より困難で、より実用的な問題」は、気象計画を利用して、十分なエネルギーを取り込み、低高度に留まり続けることだという。低高度飛行ではインターネットの通信品質や地理空間データが向上し、ペイロードのための電力もより多く確保できると、パークス氏は述べている。

画像クレジット:Skydweller Aero

Skydwellerの技術は、Bertrand Piccard(ベルトラン・ピカール)氏とAndré Borschberg(アンドレ・ボルシュベルグ)が指揮を執ったスイスのソーラー航空機プロジェクト「Solar Impulse(ソーラー・インパルス)」から生まれたものだ。このプロジェクトは14年間運営され、1億9000万ドル(約209億円)をソーラー航空機に投資してきたが、その背後にある財団が2019年に知的財産をSkydwellerに売却した。しかし、Solar Impulseは操縦するように作られていたため、それ以降の作業の多くはプラットフォームを無人で飛行できるようにし、機体に超長期耐久性を持たせることだったと、パークス氏は語る。

この航空機は、2200平方フィート(約204平方メートル)の太陽電池パネルを搭載した翼、600キログラムのバッテリー、水素燃料電池のバックアップ電源システムを備え、電気のみで駆動する。ソーラーパネルは飛行を維持するためだけではなく、地理空間カメラシステムや通信会社のペイロードなど、顧客のシステムにも電力を供給する。

同社は標準的な民間航空部品を使用しているが、そのほとんどは一定の使用時間以上にテストされているわけではなく、それはSkydwellerが計画している航空機の使用時間よりもはるかに短い。さらに、他の新技術を用いた航空機と同様、完全な認証の枠組みも確立されていない。

「時間のパラダイムを打ち破ろうとすれば、未知の領域に踏み込むことになります」と、パークス氏はいう。

2020年に飛行試験を開始したSkydwellerは、それ以来、自律システム技術の搭載とテストに注力してきた。今後は「非常に短期間で」この自律型航空機の離陸、フルフライト、着陸を含むテスト飛行を行い、将来的には長時間の飛行を実現することを目指している。顧客は1年から1年半以内にこの航空機のライセンス取得を開始できるだろうと、パークス氏は推測している。

関連記事
Wrightが大型機の動力源になる2メガワット電動旅客機用モーターの試験を開始
電動航空機用水素燃料電池システムの開発でHyPointとPiaseckiが提携
地方航空路線に最適な9人乗り電動航空機「P3」をPykaが披露
画像クレジット:Skydweller Aero

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アフリカでワクチンなどの必要物資を自社開発の自律走行型電動ドローンで届けるZiplineが278億円調達、物流ネットワークを拡大

アフリカ全土に医療用品を配送する事業として創業し、ドローンによる配送サービスを提供するスタートアップ、Zipline(ジップライン)が新たに2億5000万ドル(約278億円)の資金を調達した。今回の資金調達により評価額が27億5000万ドル(約3060億円)となった同社は、アフリカと米国における同社の物流ネットワークの拡大を今後さらに押し進める予定だ。

当初はルワンダで名を馳せたZipline。その後ガーナにも手を伸ばし、自律走行型電動ドローンを使って血液、ワクチン、救命薬などの必要物資を届けている。2014年に設立されたZiplineは、垂直統合型の企業である。つまり、無人のドローン、物流ソフトウェア、それに付随する発射および着陸システムの設計と製造をすべて自社で行なっている。TechCrunchの取材にて、ZiplineのCEOであるKeller Rinaudo(ケラー・リナウド)氏はこれは必要に迫られてのことだったと述べている。同社がドローン技術の開発を始めた当初、既製のものでは信頼性が低く、うまく統合することができないということにすぐに気づいたと同氏は振り返る。

「結局、フライトコンピューター、バッテリーパック、機体など、基本的にすべてのものをシステムから取り外さなければなりませんでした。そしてそれらすべてをゼロから作らなければなりませんでした」。

Ziplineは自らをドローン企業とは考えておらず、むしろ即席の物流プロバイダーであると同氏は強調している。また、同社は自律型ドローンのモデルを継続的に改善し続けているものの、過去5年間における成功の多くは、物流ネットワークの構築に関するものだった。困難に満ちていたとリナウド氏がいう初年の2016年に、ルワンダで事業を開始したその後、同社はルワンダにて物流会社のUPSとの提携を実現。日本でトヨタグループと提携し、またナイジェリアのカドゥナ州とクロスリバー州との連携も開始している。米国ではノースカロライナ州のNovant Health(ノヴァント・ヘルス)と提携して医療機器や個人用防護具を提供している他、小売大手のWalmart(ウォルマート)とも提携して健康・ウェルネス商品を提供している。

関連記事:米小売大手ウォルマートが医療品配達スタートアップのZiplineと提携、米アーカンソー州でドローン配送テストを拡大

パンデミックで打撃を受けた多くの企業とは異なり、Ziplineは個人用防護具だけでなく新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンの納入という同社の事業をさらに加速させる明白な機会を得た。同社によると、年内に240万回分の新型コロナ用ワクチンを納入する予定だという。

同社は、処方箋などの医薬品を人々の家に直接届けるいうようなサービスも今後視野に入れていこうと考えているという。「テレプレゼンスを完成させるためには、即席物流サービスの存在がとても重要だと病院は考えているようです。電話一本で医者と話せるようになっても、それでは必要物資はどうしようかという事になるからです」と同氏は話す。

画像クレジット:Zipline

同社は現在、パンデミックのため規制当局から与えられた緊急免除の下での運営から、完全な商業運営の認証に移行するため、連邦航空局(FAA)に働きかけている。FAAの認証プロセスにおいてZiplineが競合他社より有利な点は、Ziplineのシステムが安全であるということを示す何千時間もの飛行データを同社が持っているという点だ。成功すれば、同社はこのような認証を受けた初のドローン配送会社の1社となる。

長期的に見れば他の産業にも目を向ける可能性はあるが、現時点では医療分野に焦点を当てているとリナウド氏はいう。同氏によると、ここ数カ月だけでもナイジェリアで5件、ガーナで4件、新しく配送センターとのサービス契約を結んだ他、米国の病院システムとも「複数の新規サービス契約」を結んでいるという。今回の資金調達は、Baillie Gifford(ベイリー・ギフォード)が主導し、以前も投資したTemasek(テマセク)とKatalyst Ventures(カタリスト・ベンチャーズ)、新規投資家のFidelity(フィデリティ)、Intercorp(インターコープ)、Emerging Capital Partners(エマージング・キャピタル・パートナーズ)、Reinvest Capital(ラインベスト・キャピタル)の支援を受けて行われている。調達資金は新規契約のためのインフラ構築に使用される予定である。

今後3年ほどで、全米の一戸建て住宅の大半にZiplineのサービスを提供するというのが同社の目標だとリナウド氏はいう。

「トヨタやウォルマートなどの大企業がこの即席物流分野に大きな投資を始めているという事実は、人々がこの分野の到来を認識しているということの明確な表れだと思っています。変革の波が押し寄せているのです。これは医療システムや経済システムのあり方を大きく変えるものであり、物流によって人々に平等にサービスを提供できるようにするというのは、本当にエキサイティングなことです」。

画像クレジット:Zipline

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

屋内専⽤の産業⼩型ドローンIBISを手がけるLiberawareが4.2億円調達、自律飛行・AI強化で点検・計測・分析推進

屋内専⽤の産業⼩型ドローンIBISを開発するLiberawareが4.2億円調達、自律飛行・AI強化で点検・計測・分析推進

屋内空間専⽤の産業⼩型ドローンIBIS(アイビス)を開発するLiberaware(リベラウェア)は9月1日、第三者割当増資による約4億2000万円を発表した。引受先は、リード投資家のBonds Investment Group、また凸版印刷、オリックス、セントラル警備保障、みやこキャピタル、Drone Fund。これによりシリーズCラウンドの資⾦調達を完了し、累計調達額は9億7000万円となった。

調達した資金により、ドローン技術や画像処理技術にみがきをかけ、IBISの増産およびアップデート、自律飛行型ドローンの実用化、AIの開発、海外展開の足がかり構築を実施する。

2016年8月設立のLiberawareは、「正しく作る、自由に動かす、社会を変える」をモットーに、自由な発想でモノづくりに取り組むエンジニア集団。Liberawareという社名は、ラテン語で「自由な」を意味する「libera」と、「気がつく」を意味する「aware」、そしてhardwareやsoftwareの「ware」を組み合わせたものという。

同社のIBISは、製鉄業や電力業、建設業などにおける設備の点検、構造物のデータ化において活用が進んでいるという。また、建設現場の施工進捗管理、⼯場内の定期チェックや倉庫内の在庫管理、屋内施設巡回警備など、自律飛行型ドローンの引合いも増えているそうだ。2021年7月にはJR東日本グループと合弁会社「CalTa株式会社」を設立し、鉄道・インフラ業界のDXを促進するための事業展開も図っている。

小型無人飛行船でミドル・マイルの配達が抱える問題に挑むBuoyant

近年、飛行機やヘリコプターに取って代わられた技術である「飛行船」の復活を目指す企業が続々と登場している。

フランスのFlying Whales、英国のHybrid Air Vehicles、Lockheed Martin、億万長者のSergey Brin(セルゲイ・ブリン)氏などが、特に貨物輸送に重点を置いた飛行船プロジェクトを開発中だ。しかし、まだ顧客へのサービスを実際に開始したものはない。

Buoyantは、その最初の企業になりたいと考えている。

Buoyantは、ミドルマイルの貨物を運ぶ小型の無人飛行船を開発することを目的として、2021年Y Combinatorを卒業した。倉庫から家庭への配送ではなく、倉庫から倉庫への配送を考えてみて欲しい。創業者のBen Claman(ベン・クラマン)氏とJoe Figura(ジョー・フィグラ)氏は、小型飛行機やヘリコプターでの輸送に比べて、輸送コストを半分にできると述べている。また、他の企業が失敗している点については、小型であることで乗り越えられるという。Buoyantの最終的な飛行船は、建設に多額の資金と揚力に必要な大量のガスを必要とする数百フィート(数百m)の巨大な飛行船とは違い、約60フィート(約18.28m)の長さしかない。

クラマン氏とフィグラ氏は、MITのハードウェアエンジニアで、宇宙船やアンテナの製作に携わってきた。2人とも、以前の職場では、アラスカのような遠隔地(クラマン氏が育った地でもある)に低コストの通信手段を提供するプロジェクトに取り組んでいた。

Buoyantの創業者であるジョー・フィグラ氏とベン・クラマン氏(画像クレジット:Buoyant)

「ジョーと私がこれらの会社で働いていたときに話していたのは、インターネットだけでなく、実際の商品をこれらの地域に届けるのがいかに難しいかということだった」とクラマン氏はいう。「このような地域では、人々はオンラインで買い物をし、物を送ってもらっている。届くまでに何週間も何カ月も待たされることもある」。

クラマン氏は、Y Combinator参加時は、既存のプロトタイプに近い飛行船を作ることを想像していたと付け加えた。例えば、アマゾン(Amazon)のラストマイル配送ができる小型の機体だ。

「多くの企業と話をした結果、地方のラストマイルよりも地方のミドルマイルの方がはるかに大きな問題であることがわかった。例えば、ある地域に5000人の人が住んでいるとすると、その中の1人にラストワンマイルの配達を委託することができる。しかし、メインハブからその場所まで配達物を届けるのは、実際にはとても困難で、とにかくお金がかかる」。

この問題を解決するために、Buoyantは「ハイブリッド」なバッテリーを用いた電気飛行船を開発した。つまり、揚力の約70%を空気より軽いガス(この場合はヘリウム)で発生させる。残りの30%の揚力は、ティルトローター(垂直/短距離離着陸のための手法の1つ)の構造によるものだ。Buoyantによると、このハイブリッド設計により、貨物を降ろす際の困難な問題を解決することができる。ティルトローターを採用したことで、離着陸の際にヘリコプターに近い運用が可能になるからだ。

 

しかし、ヘリコプターには、カーボンファイバーやステンレススチールでできた1500~1万ポンド(約680〜4535kg)の重量を持ち上げる能力が必要だが、Buoyantの飛行船は、有効荷重自体とその機体の重量を持ち上げるだけで済む。これにより、資本コストを削減できるだけでなく、最終的には自律的に飛行することを目指して開発を進めているため、パイロットを使用する必要もない、とBuoyantは述べている。

Buoyantは、これまでに4隻の飛行船を試作し、飛行させてきた。最も最近飛行した小型スケールの船は、長さ20フィート(約6m)、最高時速35マイル(時速約56km)、積載量10ポンド(約4.5kg)だが、最終的な目標は、時速60マイル(時速約97km)前後の巡航速度で最大650ポンド(約294kg)の貨物を運搬できる飛行船を作ることだ。

この飛行船は、Part 107のライセンス(米国でドローンなど、航空機を飛行時に必要なライセンス)を取得して運航している。同社が顧客へのサービスを開始するには、飛行船の耐空性を証明する型式証明と、飛行船を操縦するグループに対する操縦証明の2つの証明を取得する必要がある。「どちらも多くの飛行時間を必要とするが、これが私たちの主な開発活動になる」とフィグラ氏はHackerNewsで述べている。

今後の予定としては、飛行制御システムの改良を続け、数カ月後には小型スケールのプロトタイプでフィールドデモを行う予定だ。Buoyantは、来年には実物大の試作機を作りたいと考えており、その際には自社で製造する可能性が高い、とクラマン氏は語っている。

Buoyantにとって、アラスカの地方航空会社を含む、複数の可能性のある顧客との間で交わした500万ドル(約5億4900万円)相当の趣意書を正式な契約に結びつけるためには、この先のいくつかのステップがとても重要になる。

また、今秋には小型スケールのプロトタイプ、1年後には実物大の機体で、いずれも物流・宅配会社を対象とした2つのパイロットプログラムを予定している。

「人間はコンピューターが登場する前から飛行船を建造していたし、空気力学を理解する前から飛行船を建造していたので、人類が飛行船を建造してきた期間の長さだけでもアドバンテージがある」とクラマン氏は付け加えた。「そこにはたくさんのデータがある。飛行船の開発が止まったわけではない。人類は基本的に、100年以上にわたって継続的に飛行船を開発してきた」。

関連記事:グーグル共同創業者セルゲイ・ブリン氏の災害救助用大型飛行船は水素燃料電池が動力

画像クレジット:Buoyant

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ドローン配達のWingがサービス開始から2年で10万回の配達を達成、豪パイロットサービスで

Alphabet(アルファベット)のドローン配達会社であるWing(ウイング)は、8月25日付のブログ記事で、同週末に10万件目の顧客への配達を達成する見込みであると発表した。このニュースが報じられたのは、同社がオーストラリアのブリスベン都市圏に位置する人口約30万人の都市ローガンでパイロットサービスを開始してから、間もなく2周年を迎える時期のことだ。

またそれは、Amazon(アマゾン)独自のドローン配達の取り組みが「内側で崩壊しつつある」とWiredが報じた数週間後のことでもある。Wingの広報責任者であるJonathan Bass(ジョナサン・バス)氏は、TechCrunchの取材に対し、このサービスが今後数カ月のうちに、さらに多くの市場に参入する予定であると語っている。

「私たちは、かなりの規模で拡大すると思います」と、バス氏はTechCrunchに語った。「今後6カ月以内に、オーストラリア、フィンランド、米国で新たにサービスを開始する予定です。この技術の能力はおそらく、今や規制当局の許可よりも先に進んでいます」。

画像クレジット:Wing

これまで行われた配達のうち、半分以上はこの8カ月間にローガンで完了したものだ。例えば、8月の第1週には4500件の配達が発注されており、これはWingの配送時間帯では30秒に1回の割合となる。

2020年1年間にWingのドローンがローガンで行った配達には以下のような品物が含まれている。

  • 1万杯のコーヒー
  • 1700個の子ども用スナックパック
  • 1200個のhot chooks(オーストラリアでローストチキンのこと)
  • 2700個のロール寿司
  • 1000食のパン

画像クレジット:Wing

Wingのドローンの航続距離は、バッテリー容量から6マイル(約10キロメートル)に制限される。つまり、移動時間はかなり短いため、ドローンの外部で品物が入ったパッケージを運んでいるにもかかわらず、食べ物が冷めたり温まってしまったりという問題はあまり起きない。制限されるのは主に重量で、最大3ポンド(約1.4kg)までの運搬が可能だという。卵のような非常に壊れやすいものでも問題なく運べると、同社は述べている。

ドローンは上空100〜150フィート(約30.5〜46メートル)で巡航し、目的地に到着すると約23フィート(約7メートル)の高さまで降下する。そこからロープで荷物を地上に降ろし、フックを外す。荷物を受け取るのに誰の手も必要としない。

画像クレジット:Wing

「テストと配達を合わせると、私たちは過去4〜5年の間に50万回近いフライトを行っています」と、バス氏はいう。「我々は徐々に密集した環境に移り、コミュニティに耳を傾けるようになりました」。これにはドローンの騒音レベルを下げるように求めるコミュニティからの意見も含まれる。

関連記事
AlphabetグループのWingがドローン宅配に初成功
Alphabetのドローン配送子会社Wingがドローンの空域承認アプリのOpenSkyを米国で公開

画像クレジット:Wing

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ノルウェー企業Nordic Unmannedが「線路検査」ドローンを開発中、列車が接近すると浮上して回避

ノルウェー企業Nordic Unmannedが「線路検査」ドローンを開発中、列車が接近すると浮上して回避

Nordic Unmanned

鉄道の安全な運行を維持するためには、延々と続く線路を検査し異常がないかを確認する作業が必要です。そのため鉄道会社は線路検査用の専用車両を、列車が走らない時間帯に走らせ、レールにクラックなどがないか、また寸法に狂いが出ていないかなどを確かめています。

ノルウェーの技術企業Nordic Unmannedは、このレール検査もっと手軽にするため、軌道台車にマルチコプタードローンの機能を融合させた無人線路検査機「The Staaker Railway Drone」を開発しています。

ノルウェー企業Nordic Unmannedが「線路検査」ドローンを開発中、列車が接近すると浮上して回避

Nordic Unmanned

このドローンは線路を走行しながら、鉄道インフラの重要な部分を検査します。燃料電池を動力源とするインホイールモーターによって7時間の連続走行が可能。最大航続距離は200kmで、その間にカメラやその他センサーを使って線路に異常がないかを確認、必要ならばポイント分岐器への給脂(グリスアップ)も可能とのこと。

そしてこのドローンの最も重要な特徴は、列車が接近したらすぐにレールから飛び立ち、線路脇で列車をやり過ごすことができるところ。列車が通過すれば再び浮上してレールに乗り、検査を再開できます。

この機動性は、通常の列車と同様の大きな車両を用いた検査では決して得られません。また、いくつもの線路が並行して敷かれている車庫や大きな駅などでは、いちいちポイントを切り替えて移動せずとも簡単に線路を乗り換えることができます。

Nordic Unmannedは、この軌道台車兼ドローンは欧州の大手鉄道会社と共同で開発中だと述べており、2022年前半から商用サービスを展開することを計画していると述べています。

写真や映像を見た感じではドローンに軌道走行用車輪を付けただけにしか見えず、本当に2022年前半に商用サービスを提供できるの?というのが正直な感想ですが、とりあえずは実用化が実現するのを楽しみに待ちたいところです。

(Source:Nordic Unmanned。Via New AtlasEngadget日本版より転載)

Paladinが初の行政向け緊急対応ドローン「ナイトホーク」を発売

緊急対応は一刻を争うものだ。火災が発生したりクルマが衝突した時、数秒が生死を分けることもあり、状況は制御不能になる。消防と警察にとって、気まぐれな交通渋滞と不完全な道案内の中でチームを現地に派遣することは大きな課題だ。

テキサス州ヒューストン拠点のスタートアップPaladin(パラディン)は、都市が緊急事態により早く、より良いデータを得て対応するために、ドローンによるハードウェアとソフトウェアのソリューションを開発している。同社は数年の開発期間を経て、同社はKnighthawk(ナイトホーク)とWatchtower(ウォッチタワー)という製品を公開した。

Knighthawkは緊急対応人員の特別なニーズに応えるために設計されたカスタムメイドのドローンだ。2台のカメラ(1台が光学10倍ズーム、1台がサーマル)を備え、昼夜を問わずわずか0.5秒の遅延で刻々と変化する現場の状況を高画質動画で伝える。重要なのは、ドローン飛行時間が55分間あるので何マイルも離れた場所にも到達できることだ、と同社は言う。離陸までの時間は911通報が届いてから数秒以内だ。

日中飛行するPaladin DronesのKnighthawk(画像クレジット:Paladin Drones)

ドローンを操縦して動画を見るためには、同社のソフトウェアWatchtower(アプリとして提供)を使い、マップ上で緊急現場と思われる場所にピンを置いてドローンを向かわせる。到着したら、アップロードされた動画はアプリ上だけでなく既存のコンピュータ化された911センター配備システムにも送られる。

Paladin DronesのWatchtowerを使って操縦者はKnighthawkドローンを誘導、操作して動画を見ることができる(画像クレジット:Paladin Drones)

この一般公開は同社にとって大きな一歩だ。TechCrunchが2019年に取り上げた時、会社はY Combinatorから登場したところで、Khosla、Correlation Ventures、Paul Buchheit氏らからシード資金を受け取っていた。当時の目標は、市販のDJIドローンに統合するソフトウェアの開発だった。Paladinが実験していたAndroidアプリでは、操縦者がマップにピンを置いてドローンを誘導していた。

しかしそのバージョンはその業務には不十分だったことがわかった。CEOで共同ファウンダーのDivy Shrivastava(ディビー・シュリバスタバ)氏は、プロダクトの開発が進むにつれ会社はハードウェアも持つ必要があることがわかった。「私たちが使っていたドローンは自動運転向けに作られてはいませんでした」と彼はいう。「結局ドローンには私たち自身の通信技術を組み込みました、接続が途切れないようにするためです」。

CEO・共同ファウンダーのDivy Shrivastava(ディビー・シュリバスタバ)氏(画像クレジット:Paladin Drones)

2018年の創業以来、同社のドローンは約1600件の緊急事態に対応したと同社の内部データはいう。彼らはヒューストンのMomorial Villagesとオハイオ州のOrange Twonshipという2カ所の現場で途方もない時間を費やしたが、1日数件決められた時間帯に緊急通報に対応するだけだった。

その制約が、このドローンスタートアップにとって最大の障壁の1つを示唆している。規制だ。FAA(連邦航空局)は操縦者の目視範囲に関して厳格なルールを定めている。完全にシームレスで簡単に配備できるシステムのビジョンを実現するために、Paladinは膨大なデータを集めてFAAに申請し免除を受ける必要があった。FAAは「First Responder Tactical Beyond Visual Line of Sight」、その他の関連する例外規定に沿って認可する。これまでにPaladinは同社が運用している2都市で正式な目視見通し免除を得ており、シュリバスタバ氏は、今後同社製品を購入する新しい都市でも使える繰り返し可能なプロセスを開発できたと自信を持っている。

インストールは比較的簡単だとシュリバスタバ氏はいう。ドローン自身はどこにでも、駐車スペースに置くこともでき、通常は警察または消防署に設置される。ドローンが地形を分析したり周辺を理解するための特別なハードウェアやセンサーやガイドラインを設置する必要はない。911通報受信者が使用するコンピューター管理の配備システムにドローンを統合するためには何らかのソフトウェア統合が必要になる。

一般公開され、これまで以上の実績を示さなくてはならない今、会社は売上の上昇に注力すると共に「私たちの長期的目標はすべての消防、警察、緊急対応機関が当社製品を使うことです」と言っている。

関連記事
1度の飛行で2ヘクタールの團場に農薬散布できる16リットルタンク搭載ドローン「ヘリオスアグリ16」販売開始
NTTドコモが「空の産業革命」実現にらみドローン向け新料金プラン「LTE上空利用プラン」日本初提供、月額4万9800円
Nixieのドローンを使った水質検査は都市行政の時間と費用を節約する
Alphabetのドローン配送子会社Wingがドローンの空域承認アプリのOpenSkyを米国で公開
画像クレジット:Paladin Drones

[原文へ]

(文:Danny Crichton、翻訳:Nob Takahashi / facebook

1度の飛行で2ヘクタールの團場に農薬散布できる16リットルタンク搭載ドローン「ヘリオスアグリ16」販売開始

16リットルタンクを搭載した農薬散布ドローン「ヘリオスアグリ16」正式販売開始

産業用ドローンの開発と販売を行う東京ドローンプラスは8月17日、1度の飛行で2ヘクタールの團場に農薬散布できる16リットルタンクを備えた「ヘリオスアグリ16」の販売を開始した。購入時は問い合わせる必要がある。

特に大規模農家では、農薬散布はコスト面でも体力面でも負担が大きいとされている。ヘリコプターによる散布は高額であり、夏場に防護服を着て散布を行うのは身体的負荷が高い。そんな農家のニーズに応えるべく、東京ドローンプラスは研究開発を進め、2017年に「ヘリオスアグリ5」(5リットル)と「ヘリオスアグリ10」(10リットル)を誕生させた。「ヘリオスアグリ16」は2018年から開発を始め、国土交通省の飛行認可も取得したものの、農家の期待に添った価格面と安定したサポート体制を実現するために改良を重ねていたという。

「ヘリオスアグリ16」には、次の3つの特徴がある。

  • 業界屈指の積載量:16リットルの液剤を2ヘクタールに一度に散布可能
  • 大容量のバッテリーと6枚羽形式の採用により、長時間の安定飛行を実現
  • 操縦が不安な方でも安心、経験豊かな講師による現地でのマンツーマン講習

16リットルタンクを搭載した農薬散布ドローン「ヘリオスアグリ16」正式販売開始

「ヘリオスアグリ16」の主要スペック

  • 全幅:1800mm、折りたたみ時900mm
  • 全長:1800mm
  • 全高:600mm
  • 本体材質:カーボン
  • 総重量:15.3kg
  • モーター:120KV ブラシレスモーター
  • プロペラ:32inch
  • ESC:80A
  • フライトコントローラー:JIYI K++
  • バッテリー:LiPo 6セルバッテリー×2(22000mAh)

飛行スペック

  • 最大飛行時間:19分(16リットル散布時13分)
  • 飛行モード:GPS・ATTI・ABモード
  • 送信機メーカー形式(技適済み):Skydroid T12
  • 仕様周波数帯:2.4GHz
  • 飛行制限距離:200m
  • 飛行制限高度:30m
  • 緊急時対応:緊急停止コマンド搭載

液剤散布装置

  • 最大積載重量:16kg
  • タンク容量:16リットル
  • タンク材質:ポリエチレン
  • 最大吐出量:毎分/0.8リットル
  • 吐出幅(3m上昇時):7000mm
  • ノズル:液剤対応(個数4)

関連記事
NTTドコモが「空の産業革命」実現にらみドローン向け新料金プラン「LTE上空利用プラン」日本初提供、月額4万9800円
NTT西日本・愛媛大学・青空がドローン空撮画像解析で野菜の生育状況を見える化し農作物生産をコントロールする共同実験
ソニーがドローン「Airpeak S1」を9月発売、ミラーレスα搭載や映像制作向け飛行プラン作成も可能
衛星データで耕作放棄地の把握や土壌解析を行い農業課題解決に取り組むサグリが約1.55億円調達
ブロッコリーの収穫期をドローン画像とAI解析で診断、スカイマティクスの葉色解析サービス「いろは」が生育診断提供開始
田んぼの自動抑草ロボットを開発する有機米デザインが2億円を調達し実用化を加速
遠隔操作者なしのレベル4自律飛行ドローンをExyn Technologiesが実現

カテゴリー:ドローン
タグ:東京ドローンプラス(企業)農業 / アグリテック(用語)日本(国・地域)

NTTドコモが「空の産業革命」実現にらみドローン向け新料金プラン「LTE上空利用プラン」日本初提供、月額4万9800円

NTTドコモが日本初のドローン向け新料金プラン「LTE上空利用プラン」提供、月額4万9800円NTTドコモが日本初となるドローン向け新料金「LTE上空利用プラン」の提供を開始しました。

同プランは、月額4万9800円(税込)で上空におけるLTE通信を120GBまで利用可能。また、同プランの契約者がドローンを利用する際に、利用場所や日時・台数・高度などを事前に予約できる「LTE上空利用予約」もセットで提供します。

従来、上空のモバイルネットワーク利用は、地上で利用する電波への干渉を避けるため、電波法のもと限定的な利用となっていました。

しかし、官民が提唱した「空の産業革命」のもと、上空での送信電力制御や、上空で利用する周波数帯の限定などを条件に、2020年12月に上空におけるモバイルネットワーク利用を拡大する制度が整備されました。

今回、同プランを活用することで、目視外への長距離飛行やリアルタイムデータ伝送も可能となり、広範囲の農薬散布や生育監視、遠隔地への長距離物流、災害発生時における遠隔地のリアルタイム映像伝送など、幅広いシーンに活用できるといいます。

なお、携帯キャリアがドローン向けの専用プランの提供を開始するのは国内初。ドコモは7月16日・19日に開催する5Gソリューションの展示会「docomo 5G DX MEETUP for business」に同プランおよびサービス内容の詳細を出展します。

(Source:NTTドコモEngadget日本版より転載)

関連記事
災害地域で高速通信回線を確保するための移動基地局車「THOR」をベライゾンが発表
NTT西日本・愛媛大学・青空がドローン空撮画像解析で野菜の生育状況を見える化し農作物生産をコントロールする共同実験
ソニーがドローン「Airpeak S1」を9月発売、ミラーレスα搭載や映像制作向け飛行プラン作成も可能
空中親機ドローンと子機水中ドローンを合体させた世界初の「水空合体ドローン」が開発、2022年度の商用化目指す
ブロッコリーの収穫期をドローン画像とAI解析で診断、スカイマティクスの葉色解析サービス「いろは」が生育診断提供開始
ドコモが猫型ドローン「にゃろーん」発表、プロペラを使わず超音波振動活用し空中移動
ドローンソリューションによる建設・電力・エネルギー業界DXを推進するテラドローンが15.1億円調達
エアロネクストとセイノーHDが無在庫・無人化を実現する新スマート物流事業化に向け業務提携
DRONE FUNDが目標調達額100億円とする3号ファンドからの新規投資活動を順次開始

カテゴリー:ドローン
タグ:NTTドコモ(企業)自然災害 / 火災(用語)通信 / 通信網(用語)ドローン(用語)農業 / アグリテック(用語)物流 / ロジスティクス / 運輸(用語)日本(国・地域)

Alphabetのドローン配送子会社Wingがドローンの空域承認アプリのOpenSkyを米国で公開

筆者はドローンのテストをするのが大好きだ。とても楽しいし、筆者のいつものレビューサイクルに組み込まれている。しかし自分が住んでいるニューヨーク市クイーンズあたりでテストをするのはすっかりあきらめている。このあたりは人口密度が高く、大きな国際空港が2つと刑務所が1つあるという独自の事情があり、規制のためこの辺で飛ばすのはほとんど不可能だ。

近隣で空いている空域を正確に知るのは、特にニューヨークのような大都市では難しい。米国時間6月29日、Alphabetのドローン配送子会社であるWingは、米国のGoogle PlayストアとiOSのApp StoreでOpenSkyアプリを公開すると発表した。

画像クレジット:Wing

このアプリは2019年にオーストラリアで趣味と商用の両方のドローンパイロットを対象に、CASA(Civil Aviation Safety Authority、民間航空安全局)のサポートを受けて公開された。米国版はLAANC(Low Altitude Authorization and Notification Capability、低高度の認可および通知機能)空域の飛行に関して連邦航空局の協力を得て作成された。

ドローンオペレーターはこのアプリを使って自分の近隣などの空域を飛行する承認を申請でき、これまでは数日から数週間かかっていたプロセスが短縮される。

WingはブログにQ&Aの形でこのように投稿している。「なぜドローン配送会社がオペレーター向けアプリに投資するのでしょうか?」「それは、米国には登録されたドローンがすでに200万機近くあり、すべてのドローンが規制を遵守すれば空を安全に共有できるからです。しかも規制を遵守すれば、ゆくゆくは緊急対応、商用の調査、非接触配送などドローンの利用が広がり、多くの人にとってメリットが大きくなります」。

このアプリは米国内で米国時間6月29日から利用できる。

関連記事
Alphabet、Microsoft、Pinterestの決算報告をまとめて読む
Alphabetが成層圏気球によるインターネット接続プロジェクトLoonを閉鎖
Alphabet傘下のAI技術企業DeepMindがAIベースのタンパク質構造予測で歴史的なマイルストーン

カテゴリー:ドローン
タグ:WingAlphabetアプリ

画像クレジット:Wing

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

Nixieのドローンを使った水質検査は都市行政の時間と費用を節約する

水路や貯水池の定期点検は、水道を提供する公益企業や行政にとって終わりなき務めだが、そのためには当然、ボートや防水長靴が必要だ。Nixieはその仕事をドローンにやらせて、より速く、安くそして人間があまり水で濡れないようにする。

水源を点検する方法が昔からあまり変わらないのは、それが簡単で有効だからであり、他の方法がないからでもある。川の中へ入って1リットルの水を採取してくれるソフトウェアやウェブサイトは、どこにもない。

しかしプロフェッショナルで頑丈な産業用ドローンの登場とともに、状況は変わった。Nixieはドローンの応用開発メーカーであるReign Makerのプロダクトで、使用するアームをカスタムすることで標本採取用としても、各種現場用センサーとしても利用できる。

標本採取では主に下の写真のような長いアームを使用し、その先端の施錠できるケージに標本容器を収める。そこに空の容器を入れたらドローンを採取現場まで飛ばし、アームが水面下になるように降下するする。ドローンが戻ってきたらホバリング状態で容器を取り出し、新しい容器と交換して次の採取地へ飛ばす。交換作業は最大風速8m/sまで可能、標本を採取は水流が5ノット以下の状況であれば行うことができる。

画像クレジット:Reign Maker

複数の場所で迅速なサンプリングを行えるが、ドローンの最大稼働時間は約20分間であり、天候や場所にもよるが2〜4回の採取が限度だろう。もちろんバッテリーを交換して、次の任務に飛ばしてもいい。

Reign Makerが挙げるニューヨーク水道局の使用事例では、水質標本の採取をボートなどの方法で行なうと1日で得られる標本数が30で、費用(人件費、ボートの燃料など)は1標本あたり100ドル(約1万1000円)だった。複数の作業員がNixieを使用すると、1日に得られる標本数は平均120で、1標本あたりの費用は10ドル(約1100円)だった。確かにニューヨークはすべての物価が高い都市だが、それでもなお、両者の差は大きい。水をすくうためのジッパーは、ドローンの標準装備ではないので850ドル(約9万4000円)で購入することになる。

ただし現在のところ自動操縦ではないのでパイロットの視界線を飛ぶだけだが、その方が規制とその要求も単純だ。これまでボートとそのクルーおよび少量の燃料を要した場所を、2人のチームとわずかな交換バッテリーがあればサンプルを収集できる。使用しているドローンは、DJIのM600とM300 RTKだ。

画像クレジット:Reign Maker

ドローンを使用すると、それぞれの標本のGPSによる正確な位置情報を得ることもできる。また、ボートを使うとどうしてもあたりの水(表層水)を動かしてしまうが、ドローンはホバリングしているだけなので標本にノイズがほぼ混入しない。将来、Nixieのサンプリングがもっと「スマート」になれば、複数のセンサーを搭載して、その場で水質検査ができるだろう。水温やpH、有害有機物、各種の化学物質などの検査が即座に可能だ。試料をいちいち持ち帰る必要がないため検査過程が非常に簡単になる。

現在、Reign Makerは、ニューヨーク市の環境保護局の仕事を行っており、他の部署からの引き合いもある。若干の初期投資と訓練や慣れが必要だが、そんなことよりも速くて安上がりな検査の魅力の方が大きい。

今後、同社の構想の中には、いかにも今風に水質検査とその広域マッピングをSaaSで提供することがある。しかもそのマップは、リアルタイムで自動的に更新される。今はまだ議題にも上がっていないが、もし2〜3の都市で実現したら市民にとって、とても魅力的な行政サービスになるだろう。

関連記事
Oculus創業者が起ち上げたAI防衛企業Andurilの評価額が約5000億円超に
空中親機ドローンと子機水中ドローンを合体させた世界初の「水空合体ドローン」が開発、2022年度の商用化目指す
ソニーがドローン「Airpeak S1」を9月発売、ミラーレスα搭載や映像制作向け飛行プラン作成も可能

カテゴリー:ドローン
タグ:Reign Maker公益事業

画像クレジット:Reign Maker

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Oculus創業者が起ち上げたAI防衛企業Andurilの評価額が約5000億円超に

テック業界の因襲打破主義者であるPalmer Luckey(パルマー・ラッキー)氏が設立したAI防衛企業のAnduril(アンデュリル)は、新たにシリーズD投資ラウンドで4億5000万ドル(約497億円)の資金を獲得し、わずか4年でこのスタートアップ企業の評価額は46億ドル(約5080億円)に達した。

2021年4月には、同社が新たな投資を求めており、2020年7月に19億ドル(2093億円)だったその評価額は、40~50億ドル(4407億〜5508億円)になる見込みと報じられていた。

今回のラウンドは、エンジェル投資家であり、シリアルアントレプレナーでもあるElad Gil(イラッド・ギル)氏が主導した。同氏は元Twitter(ツイッター)のバイスプレジデントで、Google(グーグル)出身者でもあり、急速な成長を遂げる企業への投資実績がある。このラウンドには、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)、8VC、General Catalyst(ジェネラル・カタリスト)、Lux Capital(ラックス・キャピタル)、Valor Equity Partners(バロー・エクイティ・パートナーズ)、D1 Capital Partners(D1キャピタル・パートナーズ)も参加した。

ギル氏は今回の投資について、ブログで次のように述べている。「ほとんど組織的な刷新が行われていない旧態依然とした機関が私たちの新型コロナウイルス対策に影響を与えたように、防衛産業も過去30年の間に著しく凝り固まってきました。これらの既存企業に直接挑戦する新しい防衛技術企業は、この何十年もの間、存在しませんでした……」。

Andurilは2017年にひっそりと創業したが、トランプ政権下で税関・国境警備局や海兵隊から契約を獲得し、急速に成長してきた。Oculus(オキュラス)をFacebook(フェイスブック)に売却した後、会社から追い出された若くて野心的な創業者のラッキー氏は、一般的にトランプを嫌うテック業界において、トランプ大統領の最も著名な支持者の1人として注目を集めた。

Andurilは、長時間飛行可能なドローンや監視タワーなどの防衛用ハードウェアを製造しており、これらは同社が開発した「Lattice(格子)」と呼ばれる共有ソフトウェアプラットフォームに接続されている。このシステムは、軍事基地の安全確保や国境の監視のために使用され、同社の対UAS(無人航空機)技術「Anvil(アンヴィル)」は、敵のドローンを空から叩き落とすこともできる。

比較的安価なハードウェアとセンサーフュージョンや機械学習技術を組み合わせ、防衛分野の大手企業よりも機敏に契約パートナーを介して提供するというAndurilのミッションを、共同設立者でCEOを務めるBrian Schimpf(ブライアン・シンプフ)氏は「変革」と表現している。

「国防総省が我々と同じ問題を認識しており、エマージングテクノロジーを陸・海・空・宇宙の各領域で大規模に展開することに真剣に取り組んでいるという我々の自信が、今回の資金調達には反映されています」と、シンプフ氏は語る。

Andurilは創業当初から国防総省との提携を視野に入れており、2020年には空軍がJADC2(Joint All-Domain Command and Control、全領域統合指揮・統制)プロジェクトのための技術をテストする50社のベンダーのうちの1社として国防総省から選ばれた。JADC2は米軍のすべての隊員、機器、車両をつなぐスマートな戦争プラットフォームの構築を目的としている。

米国の税関・国境警備局との協力関係も、2020年には試験的なものから正式な認定事業へと発展した。Andurilは、米国の国境付近を自律的に監視する能力を持つネットワーク接続型の監視塔を供給している。

Andurilは2021年4月、大型機から発射可能な小型ドローンの開発で知られるArea-I(エリアI)を買収した。Area-Iの顧客には、米国陸軍、空軍、海軍、NASAなどが名を連ねており、その関係性が今回の買収を後押ししたものと思われる。

関連記事:米空軍の入札企業にOculus VR創業者設立の防衛関連企業Andurilが選ばれる

カテゴリー:ドローン
タグ:AndurilOculus資金調達軍事国防総省

画像クレジット:Anduril

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソニーがドローン「Airpeak S1」を9月発売、ミラーレスα搭載や映像制作向け飛行プラン作成も可能

ソニーがドローン「Airpeak S1」を9月発売、ミラーレスα搭載や映像制作向け飛行プラン作成も可能ソニーグループは、これまで開発を進めてきたAirpeakの第一弾として「Airpeak S1」(ARS-S1)を2021年9月に発売します。価格はオープンですが、市場想定価格は税別100万円です。

Airpeak S1は、独自開発のモーターやプロペラなどを備え、センシングによる障害物検知や自動飛行、機体や飛行情報のクラウド管理などが可能なドローン。フルサイズミラーレス一眼カメラαも搭載でき、主に映像制作への利用を見込んでみます。

本機に搭載した17インチの軽量なプロペラは独自開発のもの。プロペラやブラシレスモーターを制御するESC(Electric Speed Controller)も搭載。推進デバイスと全てのセンサー情報を統合し、安定した飛行と高い操縦応答性を実現するといいます。

センシングによる安定飛行も特徴のひとつで、ソニー製イメージセンサー内蔵カメラを機体5方向(前後左右下)に配置。カメラ情報を同時に処理するソニー製ビジョンセンシングプロセッサと独自アルゴリズムも搭載します。

それらの視界情報とIMU(Inertial Measurement Unit)、コンパス、気圧、赤外線測距などのセンサー情報を統合し、自己位置・姿勢を高精度に推定して周囲の空間をリアルタイムに認識。屋内や橋梁下などGNSSを受信しづらい条件下でも安定して飛行できるとのことです。

用途に応じてカメラを選べるのもポイント。具体的には、低ノイズな撮影が可能なα7Sシリーズや FX3 のほか、高精細な撮影が可能なα7Rシリーズ、歪の少ない映像を撮影できるα9シリーズの搭載が可能です。

αの映像をリアルタイムで確認しながら、機体と各機材を一元的に操作できる iOS / iPadOS 対応アプリ「Airpeak Flight」も用意され、ユーザーは飛行距離やバッテリー残量などを確認できます。

iOS / iPadOS 対応アプリ「Airpeak Flight」
さらに、機材管理や飛行プラン作成、フライトログの管理が可能なWebアプリ「Airpeak Base」のほか、機体の緯度・経度・高度を設定し、ジンバルの向きや動画・静止画撮影のタイミングを指定することも可能です。

このほか、Airpeak Base の機能が使えるクラウドサービス「Airpeak Plus」と、保証サービス「Airpeak Protect Plan」なども用意され、詳細は商品販売開始前にAirpeakのWebサイトで公開されます。

 Airpeak Base を使えば、あたかも空中にレールを設置したかのように自動的に何度も機体を飛行させたり、タイムラインに沿って機体の位置(緯度・経度・高度)や速度を設定し、ジンバルの向きや動画・静止画撮影のタイミングを指定したりできる。再現飛行は過去に飛行したフライトログをもとに飛行ルートとジンバル、カメラの動きを自動で再現する自動飛行機能

Airpeak Base を使えば、あたかも空中にレールを設置したかのように自動的に何度も機体を飛行させたり、タイムラインに沿って機体の位置(緯度・経度・高度)や速度を設定し、ジンバルの向きや動画・静止画撮影のタイミングを指定したりできる。再現飛行は過去に飛行したフライトログをもとに飛行ルートとジンバル、カメラの動きを自動で再現する自動飛行機能

 

ちなみに開発中のAirpeakは2021年1月11~14日に開催された世界最大級の家電・技術見本市「CES 2021」で披露され、その後、ソニーの試作EV「VISION-S」が公道で走行する模様の撮影に使用されました。なお、AirpeakとVISION-Sは、ソニーがAI​ロボティクス事業の取り組みとして、CES 2021 で包括的に紹介しました。

ソニーグループは今後、クリエイターだけでなく、システムインテグレーターや産業パートナーなど、プロフェッショナルサポーターとの共創活動を推進していく考えです。

  • 外形寸法:約526.8mm(高さ) x 591.9mm(幅) x 511.8mm(奥行)
  • 対角寸法:約644.6mm(モーター対角、プロペラは除く)
  • 機体質量:約3.1kg(バッテリーパックは除く)
  • 最大積載可能質量:約2.5kg
  • 最大離陸質量:約7.0kg
  • 最大速度:25m/s(90km/h)(ペイロード無し、障害物ブレーキ無効時)
  • 最大上昇速度:7m/s(ペイロード無し、障害物ブレーキ無効時)
  • 最大下降速度:4m/s(ペイロード無し、障害物ブレーキ無効時)
  • 加速時間:約3.5秒(停止から80km/hまでの時間、ペイロード無し時)
  • 最大飛行時間:約22分(ペイロード無し時) / 約12分(a7SIII+SEL24F14GM搭載時
  • 最大無線伝送距離:2km(障害物や電波干渉がなく見通しがよい場合)
  • ビジョンセンサー:種別:ステレオカメラ、配置:前後左右下方向、動作環境:地表の模様が明瞭で適切な明るさのある状態、検知範囲・角度:0.5 – 54m、HFOV・VFOV 80°
  • 赤外線測距センサー:種別:赤外線、配置:上下方向、検知範囲・角度:0.1 – 2m、FOV ±20°
  • FPVカメライメージセンサー:1/4インチ 817万画素CMOSセンサー 30fps
  • ジンバル軸:2軸ジンバル(チルト、ロール)
  • 搭載可能ジンバル:GBL-T3(Gremsy製ジンバル)
  • 搭載可能なカメラ:ILCE-1 / ILME-FX3 / ILCE-7C / ILCE-9M2 / ILCE-7SM3 / ILCE-7RM4 / ILCE-7RM3 / ILCE-7M3 / ILCE-9
  • 搭載可能なレンズ:SEL14F18GM / SEL20F18G / SEL24F14GM / SEL24F28G / SEL28F20 / SEL35F28Z / SEL35F18F / SEL40F25G / SEL50F25G / SEL50F18F / SEL50M28 / SEL55F18Z / SEL85F18

(Source:Airpeak S1Engadget日本版より転載)

関連記事
空中親機ドローンと子機水中ドローンを合体させた世界初の「水空合体ドローン」が開発、2022年度の商用化目指す
ソニーが試作EV「VISION-S」を3月28日に一般公開、2021年事業化予定のドローン「Airpeak」も展示
ソニーが「α7S III」ライクな映画撮影用カメラ「FX3」発表、最大13時間連続の4K撮影対応
ソニーが最高性能・最高価格のプロ向けフルサイズミラーレス一眼カメラ「α1」を発表
ソニーがフルサイズミラーレス一眼αを搭載するドローン「AirPeak」発表
ソニーがAIロボティクス領域のドローンプロジェクト「Airpeak」始動、2021年春に事業開始

カテゴリー:ドローン
タグ:Airpeak(製品・サービス)Sony / ソニー(企業)ドローン(用語)日本(国・地域)

空中親機ドローンと子機水中ドローンを合体させた世界初の「水空合体ドローン」が開発、2022年度の商用化目指す

空中親機ドローンと子機水中ドローンを合体させた世界初の「水空合体ドローン」が開発、2022年度の商用化目指す

KDDIKDDI総合研究所、2015年1月設立の産業用ドローンメーカー「プロドローン」(PRODRONE)は6月10日、ダム・港湾設備の点検や水産漁場監視を行う「水空合体ドローン」を開発したと発表した。モバイル通信を利用して、点検現場まで空中を自律飛行し、潜水型子機を切り離して水中での測位、映像伝送を行う。この形式のドローンは、KDDI総合研究所の調べによると、2021年6月10日現在世界初となる。3社は今後、2021年度中に各用途に応じた実証を行い、2022年度の商用化に向け開発を行う。

水産養殖や水域インフラの点検分野では、人手不足が深刻化し、水中ドローンの需要が高まっているものの、従来の水中ドローンは船で点検現場まで運ばなくてはならなかった。一方この水空合体ドローンは、点検現場まで自律飛行するため、船を出す必要がない。親機である空中ドローンは、現場の水面まで飛行し子機である水中ドローンを切り離す。水中撮影、映像の伝送などの作業を遠隔操作で行った後、空中ドローンは水中ドローンを回収して、また飛んで帰ってくる。

自律飛行中の水空合体ドローン

着水した水空合体ドローン

潜行する子機

子機を回収し離水する水空合体ドローン

機体の開発はプロドローンが担当し、KDDIは、ドローンを日常生活を支えるインフラにすることを目的に開発したモバイル通信によるドローン管制システム「スマートドローンプラットフォーム」を提供。KDDI総合研究所は、水中の音響計測技術を提供し、プロジェクト全体の統括を行っている。

水空合体ドローンは、6月14日から開催される展示会「ジャパンドローン2021」のKDDIブースに出展予定。

関連記事
ブロッコリーの収穫期をドローン画像とAI解析で診断、スカイマティクスの葉色解析サービス「いろは」が生育診断提供開始
エバーブルーテクノロジーズが風だけで自動航行する海上貨物輸送ドローンの実証試験に成功
DRONE FUNDが目標調達額100億円とする3号ファンドからの新規投資活動を順次開始
日本のFPV Roboticsが水陸空のインフラ検査用ドローン「Waver」を発表
ドローンは「どこまでも飛んでいける」 長距離自律飛行・無人充電実験にKDDIが成功
テック業界を支配するスマホの「次」に何が起こっているのか?

カテゴリー:ドローン
タグ:KDDI(企業)KDDI総合研究所(企業)ドローン(用語)プロドローン(企業)日本(国・地域)

ドローンのためのデジタル道路を構築・管理するAirspace Linkが約11億円調達

Airspace Link(エアスペース・リンク)はシリーズAラウンドで、Altos Ventures(アルトス・ベンチャーズ)、Thales(タレス)などから1000万ドル(約11億円)の資金を調達したと、米国時間5月27日に発表した。ミシガン州デトロイトを拠点とするこのスタートアップ企業は、この追加資金を米国内におけるサービスの拡大と海外進出に充てる予定だ。

Michael Healander(マイケル・ヒーランダー)CEOは、同社が空域をまだ決定的な規制がなされていないデジタルインフラとして捉えていると説明する。「今日、道路には法規や規制があります」と、同氏は語り、この会社がドローンのためのデジタルの道路を構築し、管理していると説明した。Airspace Linkの斬新なプラットフォームは、ドローン事業者と地域社会の懸念を解消し、パイロットが地域の空域規制を遵守しながら安全に飛行できるようにするものだ。

Airspace LinkのAirHubは、国や地方自治体のニーズと、パイロットがすでに使用している運用計画ツールの融合に特化した業界初のクラウドベースのドローンプラットフォーム(画像クレジット:Airspace Link)

Airspace Linkはドローンの運用計画ツールを提供しており、その中には開発者がAirspace Linkのデータをサードパーティのプラットフォームに組み込むことを可能にするAPIアクセスも含まれる。同社のシステムは、FAA(米連邦航空局)のLAANC(低高度認可および通知機能)に準拠しているため、パイロットは飛行が制限されている空域でドローンを飛ばすための申請を行うことができる。Airspace Linkは、このサービスを提供するFAA承認企業7社のうちの1社だ。

今回のシリーズAの資金調達により、同社はできるだけ多くの交通機関グループと統合することを目指すと、ヒーランダー氏は語っている。

マイケル・ヒーランダー氏と、Daniel Bradshaw(ダニエル・ブラッドショー)氏、Ana Healander(アナ・ヒーランダー)氏が、2018年にデトロイトで設立したこのスタートアップでは、20人のフルタイムスタッフが働いている。プレスリリースによれば、同社は米国内の40以上の政府機関や自治体とパートナーシップを結んでいるという。今後はオーストラリアやカナダへの進出も視野に入れている。

ヒーランダー氏によると、Airspace Linkが市場の競合他社と異なる点は、自治体が使用しているマッピングツールと統合し、地上のリスクに関する情報を提供していることだという。

「当社の主要な目的は、ドローンを国の領空や地域社会と大規模に安全に統合させることです」と、ヒーランダー氏はいう。「共有される中立的で安価な無人飛行システムのインフラを構築し、ドローン経済への道を開くという、我々のビジョンに参加してくださったAltos VenturesとThalesに感謝します」。

Airspace Linkはヒアランダー氏が起ち上げた最も新しい企業だ。同氏は以前、屋内GPSトラッキングを提供するGeoMetri(ジオメトリ)という会社を設立し、Acuity Brands(アクイティ・ブランズ)が同社を買収した。

Airspace LinkのシリーズAラウンドは、Altos Venturesが主導し、航空交通管理システムのグローバルリーダーであるThales、以前から投資していたIndicator Ventures(インジケーター・ベンチャーズ)、2048 Ventures(2048ベンチャーズ)、Ludlow Ventures(ラドロー・ベンチャーズ)、Matchstick Ventures(マッチスティック・ベンチャーズ)、Techstars(テックスターズ)、Dan Gilbert(ダン・ギルバート)氏のDetroit Venture Partners(デトロイト・ベンチャー・パートナーズ)が参加した。

「無人航空機システム(UAS)の利用が拡大する中、地域コミュニティ周辺で安全に低空飛行を行うためには、空域管理に空と地上の両方の情報を組み合わせる必要があります」と、Thalesのエアスペース・モビリティ・ソリューション・アメリカ担当バイスプレジデントであるTodd Donovan(トッド・ドノバン)は述べている。「当社の空域管理に関する深い知識と、Airspace Linkの地理空間情報に関する専門知識は、この複雑な課題に取り組むための完璧な組み合わせです」。

関連記事
ドローンの交通警官を目指すAirspace Linkが4.4億円調達
1度のフライトで3回の荷物配達が可能な新型ドローンをWingcopterが発表
遠隔操作者なしのレベル4自律飛行ドローンをExyn Technologiesが実現

カテゴリー:ドローン
タグ:Airspace Link資金調達FAA

画像クレジット:Sean Gallup / Getty Images under a Getty Images license.

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)