米国家幹線道路交通安全局がテスラ車のタッチスクリーンの不具合を調査、NANDフラッシュメモリが原因か

米国家幹線道路交通安全局(NHTSA)が、テスラの古いModel Sにおけるタッチスクリーンの故障の申し立てについて、予備調査を開始した。

同連邦機関が調査を開始したのは、2013年から2015年までのModel S車両に搭載された、タッチスクリーンの故障に対する苦情を、テスラの所有者から13カ月の間に11件受け取ったことによる。この問題は、問題のあるフラッシュメモリデバイスが原因となって発生し、タッチスクリーンが黒くなってしまうというもので、バックギアを選択すると背面カメラの画像が表示されなくなる現象も含まれている。

NHTSAの予備評価の焦点は、8GB eMMC NANDフラッシュメモリデバイスを内蔵したNVIDIA(エヌビディア)のTegra 3プロセッサだ。フラッシュデバイスには、書き込みと消去のサイクル数に基づく有限の寿命がある。中央ディスプレイ、すなわちメディアコントロールユニットに、時期尚早に障害が起きるのは、eMMC NANDフラッシュ内のメモリが故障するためだと言われている。

NHTSAは当初、このフラッシュメモリデバイスを使用する6万3000台のModel S車両が影響を受ける可能性があると推定した。だが同機関は、その数は最大15万9000台におよぶ可能性があるとも指摘している。Tegra 3プロセッサーは、2012年から2018年にかけてModel Sのセダン、および2016年から2018年にかけてModel XのSUVで使用された。

インフォテインメント、ナビゲーション、ウェブブラウジングなどを提供するテスラのタッチスクリーンは、そのデザインが高く評価されている一方で、特にフラッシュメモリデバイスを中心とした故障しやすさが批判されている。

NHTSAによると、このeMMCメモリは、パフォーマンスが次第に低下する期間が過ぎると故障する。最終的な障害は、音声ならびに視覚的機能の喪失を引き起こす。その中にはバックギアを選択した際にリアカメラの画像表示が失われる現象も含まれている。

MCU障害のその他の影響としては、エアコンの温度制御がデフォルトで自動モードになってしまったり、バッテリー充電電流や再充電時の最大状態に制限がかかったりする。なおこの故障は、ブレーキ、速度制御、ハンドルなどの車両制御システムには影響しない。

画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:sako)

InstagramがTikTokクローン「Reels」を新市場へと拡大

Instagram(インスタグラム)は、昨年のブラジルでの開始に続き、「Reels」(リール)として知られるTikTok(ティクトック)のライバル(未訳記事)を、新しい市場へと拡大している。米国時間6月24日から、InstagramはフランスとドイツでのReelsの提供を始めた、これによってユーザーは15秒の短いビデオを録画し、音楽やその他の音を添えて、Instagramプラットフォーム上で共有してバイラルを狙うことができる。

Reelsの機能はTikTokに似ていて、クリエイティブなビデオを撮影することを容易にする編集ツールを各種提供している。たとえば、提供開始時にReelsは、カウントダウンタイマー、ビデオ速度を調整する機能、その他の効果を提供していた。

同社はブラジルで行った初期のテストから学び、それ以来Reels体験のキーとなる側面を再考してきた。

以前は、ReelsはInstagramのストーリー内のみで共有されることが意図されていた。しかし、Instagramコミュニティからは、より永続的な方法でReelsをフォロワーや友人と共有する機能が必要であり、必要に応じてその配布をより広く行なう機会も必要だとする反応が返された。

さらには、コミュニティからは簡単にReelsを編集たり他の人のReelsを見ることができたりする専用スペースが必要だという希望も寄せられている。

同社の広報担当者がTechCrunchに語ったところでは、ドイツとフランスでの拡大に伴い、InstagramはReelsをユーザープロフィールや検索ページ(後者は公開アカウント用)の専用スペースへと移動し たので、ユーザーは新しい視聴者と共有したり、Instagramフィード上で共有したりすることができる。

これらの変更により、Reelsがアプリの目的地の1つになるにつれて、Reelsとそのクリエイターたちにさらに多くの露出のチャンスが生み出されるだろう。例えば、現在のストーリーのように。

ところでReelsは、TikTokの人気の高まりに挑戦したFacebook(フェイスブック)の最初の試みではない。

Instagramの親会社であるFacebookは、以前に短い形式のビデオアプリLasso(ラッソー)を立ち上げていたが、これまでのところ大きな牽引力を発揮できていない。これに対して、Reelsでは、Instagramは既存のクリエイターベースを利用し、ユーザーのビデオ編集ツールへの慣れを活用することができる。

Reelsの課題は、Instagramユーザーが現在フィードへの投稿やストーリーで現在行っているものとは異なるタイプのコンテンツを、作成してもらうようにすることだ。そうしたビデオは、例えば誰かの日常のクリップやVlogのように、どうしてもより個人的なものになる傾向がある。その一方で、より専門的なクリエーターコンテンツはIGTVへと移動されてきた。

これに対してTikTokビデオでは、リハーサルや振り付けが行われる傾向がある。ユーザーたちはダンスを学び、トリックを実行し、ジョークを語り、曲やオーディオにリップシンクしたり、人気のミームを独自の方法で再現したりしている。こうしたビデオは通常、Instagramで見られるような即興的なものではない。こうしたコンテンツの作成を奨励するには、Reelsが現在提供しているものとは別の種類の編集ツールセットとワークフローが必要だ。

Instagramは、Reelsをグローバルに展開する予定の時期や、米国に持ち込む予定の時期は明らかにしなかったが、さらなる拡大によって、同社は既存の経験を基に引き続き製品を進化させることができると語っている。

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(翻訳:sako)

ニュース媒体向けGoogleアナリティクスツールに読者を増やすためのリコメンデーション機能などが加わる

Google(グーグル)が、ネット上の読者をもっとよく理解し、なんとか自分のビジネスに組み入れたいと思っているニュース制作部門のための新しいツールを発表(Google News Initiative Training Centerリリース)した。

これらは、2018年に始まったGoogle News Initiativeに含まれるもので、上質なジャーナリズムを育て、ニュースを産業として支援するためのものだ。同社はGoogle Analyticsを利用するジャーナリズムにフォーカスした2つのプロダクトを導入。1つはパブリッシャーが読者を増やして利益を上げるためのツール「News Consumer Insights」、もう1つはニュースルームのユーザーがさまざま時点のトレンドを知るための「Realtime Content Insights」ツールだ。

グーグルでニュースと出版のためのアナリティクスと収益最適化部門を担当しているディレクターを務めるAmy Adams Harding(エイミー・アダムス・ハーディング)氏によると、「『ニュースの世界の人たちは膨大な量のデータに溺れそうになっている』という話を何度も聞いている。彼らは数の津波の中で具体的なアクションに結びつく情報を選り分けることが困難と感じている」とのこと。

同氏は「Google Analyticsを使っている人なら誰でもアクセスできることが、チームにとって 『重要』だった」と付け加えた。

米国時間6月24日に同社は、News Consumer InsightsとRealtime Content Insightsのバージョン2をリリースし、さらに、News Tagging Guide(NTG)と呼ばれる新たな機能を加えた。

画像クレジット: Google

NTGは、パブリッシャーが必要なデータを容易に集められるようにする。そのためにまず、データを3つのカテゴリー、ビデオのアナリティクスとユーザーのエンゲージメント、そして購読売上に分類する。パブリッシャーがカテゴリーと必要なデータタイプを指定すると、グーグルがJavaScriptのコードを発行する。パブリッシャーがそのコードを自分のウェブサイトにコピーすると、Google Analyticsに関連のデータが入ってくるという流れだ。

一方のNews Consumer Insights(NCI)は、パブリッシャーのためのパーソナライズされたリコメンデーションが加わった。例えば、パブリッシャーのニュースレターの申し込みが増えてないと指摘し、読者を増やすさまざまな方法を提案する。ハーディング氏は「NCIのリコメンデーション機能は前からあったが、パブリッシャーがたえず一般的なプレーブックに戻らないと見つからないし、単純にデータを見ているときにもっとも適切なリコメンデーションが高輝度表示されるのではなかった」と語る。。

そしてRealtime Content Insightsは、ビデオコンテンツの場合と同じようなデータが含まれるようになるほか、パフォーマンスの履歴も見られるので各記事の一定期間の人気、そしてその順位がわかる。基になるデータはページビューだけでなく、ソーシャルな共有とエンゲージメントなども含まれ、記事の人気を通りすがりの読者と定着読者(1カ月に複数回訪問)、および愛着読者(月に15回以上)に分けて判断できる。

グーグルでNews Consumer InsightsとRealtime Content InsightsとGoogle Surveys for Publishersを担当しているAnntao Diaz(アンタオ・ディアス)氏は「記事に優劣をつける気はない」と語る。同氏によると「むしろ重要なのは、どの記事がどんな読者を引き付け、どんな目的に役立っているかだ。そういった記事は全体的な読者増に貢献し、今後のサブスクリプションにもつながる固定客(定着読者や愛着読者)を増やすだろう」と語る。

グーグルはすでに、TIME誌や、地方紙を発行しているLee Enterprisesなどとともに、これらの機能をテストしてきた。Lee Enterprisesのアナリティクス担当ディレクターであるKyle Rickhoff(カイル・リッホフ)氏は、声明で「Lee Enterprisesは新聞業界の中でも読者層が増え続けているほうだ。そんな中でGoogle News Initiativeとのパートナーシップは、我々の成績を定量化して判断するための優れたインサイトを提供してくれる。News Tagging Guide機能が加わったNews Consumer Insightsのニューバージョンは、読者のエンゲージメントに関する理解をより正しくし、ビデオやエンゲージメントのコンバージョン、よりよいデータによるオンサイトのサブスクリプションなど、さまざまなビジネス機会の優先順位をより正しく付けられるようにしてくれた」と語る。

関連記事:Googleはジャーナリスト向けの新たなリアルタイムデータ製品を発表

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

中国のGPS代替システム「北斗」が最後の測位衛星を打ち上げ

数十年にわたり米国は位置情報、ナビゲーション、時間測定などで独占的地位を維持してきた。軍が運用する通信衛星群を利用した全地球測位システム(GPS)は、全世界で数十億台のデバイスに位置情報を提供する基幹システムである。

このテクノロジーが軍事目的だけでなく、近代経済の根幹をなすようになるにつれ、世界中の政府が米国中心システムから脱皮する方法を探ってきた。ロシア、日本、インド、英国、EUのいずれもが、GPSの代替手段の開発に手を染め、カバー範囲を広げるために追加の衛星を打ち上げてGPSシステムを強化しようとしている。

しかし、GPS代替システムとしてBeidou(ベイドゥ、北斗)ほどの投資をした国は中国以外にまずいない。過去20年間に同国は数十億ドルを費やし、30基近い衛星を打ち上げてまったく新しい位置情報システムを作ろうとしてきた。中国国営メディアによると、中国の端末の70%近くがBeidou衛星からの信号を処理できるという。

そしてパズルの最後のピース、Beidou星座最後の衛星が6月23日午前、軌道に向けて打ち上げられたことをPeople’s Daily(人民日報)が伝えた。

これは,市場参入や人権に対する考えの相違を巡って関係の悪化している米国、中国に続いている数々の分離の一環に過ぎない。2国間の貿易交渉は行き詰まり、トランプ政権の上級顧問の1人は全面中止を主張(NewYork Times記事)している。H-1Bビサの新規発給一時停止の発表もそのひとつで、米国移民局(USCIS)によると中国はH-1Bビザ申請数世界第2位である。

Beidouの現行計画の完了は、この基幹技術の新たな柔軟性と回復力を中国政府にもたらすが、究極的測位テクノロジーというのは本来敵対関係を生むものではない。衛星が増えれば全ユーザーにとって冗長度が上がり、この種の技術の多くは相互に協力することで端末メーカーの柔軟性を高める可能性を持っている。

とはいえ、GPSのなりすましや測位技術のハッキング全般が深刻な脅威(MIT Technology Review記事)であることに変わりはない。今年トランプ政権は、GPS信号をハッキングから守るためのより強固なツールの開発を政府機関に強制する大統領令を発出した。

世界の物流と日々の我々の生活がどれほどこの技術に支配されているかを踏まえると、この最重要な資産を守るために国際協力を強化する必要がある。中国が完全に稼働するシステムを手に入れた今、米国がGPSと測位システムをさらに広く提供し最大限の信頼性を追求するのと同じくらい、中国には自らの基盤を保護する動機がある。

画像クレジット:STR / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

顔認識ソフトを利用した犯罪予測ソフトウェアには人種的偏見と欠陥があるAI研究者たちが非難

1000人を超える人工知能の研究者、学者、専門家の集まりが、まもなく発表される予定のニューラルネットワークを使用して「犯罪を予測する」と主張する研究に対して反対している。この記事を執筆している時点ではFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)などの企業でAIに取り組んでいる50人以上の従業員が、研究に反対し、出版の再考を促す公開書簡(Medium記事)に署名している。

論争の的となっている研究は、ネイチャーの出版元である、Springer(スプリンガー)による書籍シリーズで、今後取り上げられる予定になっている。その研究の著者たちは、彼らの自動顔認識ソフトウェアはある人物が犯罪を犯すか否かを予測することが可能で、このような研究の法執行機関による予防的治安維持への応用の有用性を主張している。

「潜在的な脅威の識別を、偏見なく自動化することで、私たちは暗黙の偏見や感情的反応による影響を受けにくい犯罪予防活動、法執行機関そして軍隊に役立つツールを生み出そうとしているのです」と、ハリスバーグ大学教授で共著者のNathaniel J.S. Ashby(ナサニエル・J.S.・アシュビー)氏は語る。

他の研究者として名前が載せられているのは(Harrisburg Universityリリース)、ハリスバーグ大学のRoozbeh Sadeghian(ルーズベ・サデギアン)助教授、そしてプレスリリースの中でNYPD(ニューヨーク市警)のベテランとして強調された、Ph.D学生のJonathan W. Korn(ジョナサン・W・コーン)氏らである。コーン氏は、犯罪行為を予測できる彼らのソフトウェアの能力を「法執行機関に対して重要な強みを与える」ものとして称賛している。

研究の発表に反対する公開書簡の中で、AIの専門家たちは研究に対する「重大な懸念」を表明し、Springerのレビュー委員会にその出版を取り下げるよう要請している。同書簡はまた、他の出版社に対しても同様の将来的な研究の出版を辞退するよう呼びかけ、顔認識技術と犯罪予測技術に対して細心の注意を払ってアプローチすべき理由や、すでに脆弱なコミュニティに対して利用してはらない理由を連綿と綴っている。

関連記事:グーグル社員が警察への同社技術の提供に抗議

今回の出版に対する反対者たちは、単に研究者たちが倫理的な困難さを引き起こしたことだけを心配しているのではなく、こうした研究そのものに対して疑問を投げかけ「私たちのそれぞれの分野にまたがって何年もの間否定されてきた不健全な科学的前提、研究、方法だ」と批判している。

顔認識アルゴリズムは、この種のソフトウェアに対して頻繁に提起される他の多くの科学的および倫理的懸念の中でも、非白人の顔を識別するパフォーマンスが低いことを、長い間批判されてきている(参考1参考2参考3)。問題の研究が、予防的治安維持目的に適用可能な顔認識ソフトウェアを開発したことを考えると、技術への懸念はこれまでになく高いものとなった。

「機械学習プログラムは中立ではない。研究計画とそれが扱うデータセットには、しばしば世界についての支配的な文化的信念が継承されているからだ」と、書簡の著者たちは警告している(Medium記事)。

「デフォルトの仮定の無批判な受け入れは、必然的にアルゴリズムシステムの差別的な設計につながり、社会階層を固定化し疎外されたグループに対する暴力を正当化する考えを、繰り返し生み出すことになる」。

関連記事:IBMが顔認識技術から撤退、CEOは偏向と不平等の廃絶を訴える

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(翻訳:sako)

メルセデス・ベンツとNVIDIAのタッグが「ソフトウェアを中心に据えた」自動車を2024年に市場投入

2020年版メルセデス・ベンツ(もしくはほぼすべての最新の高級車)の中身を詳しく見てみよう。そこには何十個という電子制御ユニット(ECU)が登場する。従来の自動車メーカーは、これまでも多くの技術の追加にともなって、ECUを追加してきた。これは限界があるだけではく、複雑さとコストをもたらしてきた(こうした問題をテスラのような新しいライバルたちはうまく回避している)。

米国時間6月23日、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)とNVIDIA(エヌビディア)は、新世代車両のパフォーマンスと自動運転機能を向上させながら、複雑さの解消を目的としたパートナーシップを組むことを発表した。

その成果が、NVIDIAのDrive AGX Orin SoC(システムオンチップ)に基いた、ソフトウェアを中心としたコンピューティングアーキテクチャである。Daimler AG(ダイムラーAG)の会長でメルセデス・ベンツAGの社長でもあるOla Källenius(オラ・ケレニウス)氏は発表のライブストリーミングの中で、この基礎アーキテクチャーは2024年末までに発売されるメルセデスの次世代車両の標準となる予定だと語った。

NVIDIAのOrin SoCは、最近発表されたNVIDIA Ampere(アンペア)スーパーコンピューティングアーキテクチャに基いている。NVIDIA Driveプラットフォームには、自動運転AIアプリケーション用に設計された完全なソフトウェアスタックが含まれる予定だ。両社は共同で、レベル2並び3のドライバー支援機能を持つAIと自動運転車アプリケーションを開発する。同様に最高レベル4に達する自動駐車機能も開発する予定だ。ちなみに、自動車技術者協会(SAE)は自動化に5つのレベルを指定している。レベル2システムは、2つの主要な機能が自動化されていることを意味するが、依然として常に人間の運転手が運転に関与する。またレベル4は車両が特定の条件下で、人間の介入なしに運転のすべての局面を処理できることを意味する。

NVIDIA Orin SoCは、毎秒200兆回の演算を提供する。(画像クレジット: NVIDIA)

この新しい車載コンピューティングアーキテクチャは、無線による(OTA)ソフトウェアのアップデートもサポートする。これは、テスラが電気自動車の機能を継続的にアップグレードするために長年採用してきた技術戦略だ。これが意味するのは、メルセデスの2024年モデルのオーナーは、購入後何カ月さらには何年経っても、その先進ドライバー支援システムが改良されていくところを目撃することになるということだ。

ケレニウス氏は米国時間6月23日に、この新しいコンピューティングプラットフォームへの移行は、自社のビジネスモデルにとって重要であると述べている。

「多くの人が現在の自動車、最新の自動車のことを、車輪付きのスマートフォンのようなものだと話しています。もしそのアプローチを採用したい場合には、全体的な観点からソフトウェアアーキテクチャの根底を見直す必要があります」と彼は述べている。「ここで最も重要なドメインの1つは、ドライバーアシスタントドメインです。それは、私たちがソフトウェア駆動型アーキテクチャと呼んでいるものにうまく組み込まれ、(高い計算能力で)顧客のユースケースを追加できるようになっている必要があります。この場合は、自動運転に向けたドライバー支援という意味です」。

ケレニウス氏は、このことはビジネスに継続的な収入源を加える役に立つ、と付け加えた。この新しい車載コンピューティングプラットフォームは、メルセデスの車両をソフトウェアアプリベースのシステムへと移行させる。これにより、理論的にはメルセデスがサードパーティのアプリを車両に導入できるようになる。ケレニウス氏が新しい収入源について言及したときに意識していたものがこれである可能性が高い。ソフトウェアベースのアプリシステムを使うことで、車のユーザーは、車両の利用を続ける中で、機能やソフトウェアアプリケーションそしてサブスクリプションサービスを無線ソフトウェアアップデートを使って、購入し追加するこができる。

これは、1回限りものでも単なる試行でもない。このソフトウェア中心のコンピューティングシステムは、メルセデスの次世代車両全体の標準となる。そして、もしメルセデスがMBUXと呼ばれる次世代インフォテインメントシステムと同じ戦略に従うとするなら、最初にこのアーキテクチャが採用されるのは、フラッグシップのSクラスではなく、Aクラスになるだろう。

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(翻訳:sako)

オンラインM&AマッチングのM&Aクラウドが2.2億円調達、マッチング後の成約サポート機能を強化

M&Aクラウド

オンラインM&Aマッチングプラットフォームを展開するM&Aクラウドは6月24日、シリーズBの投資ラウンドにおいて、総額約2.2億円の資金調達を実施したと発表した。

引受先は、トグル、野口哲也氏(アイモバイル 代表取締役社長)、岩田真吾氏(三星グループ 代表取締役社長)、文野直樹氏(イートアンド 代表取締役会長)、高谷康久氏(イー・ガーディアン 代表取締役社長)、柳橋仁機氏(株式会社カオナビ 代表取締役社長)、インキュベイトファンド、SMBCベンチャーキャピタルなど。

今回調達した資金は、同社プラットフォーム「M&Aクラウド」の新機能として、売り手企業の概要と買収メリットをまとめた企業概要書の自動生成機能、M&Aクラウド上以外の案件も含めて管理できる案件管理機能などの開発に利用。あわせて、M&A仲介の経験豊富なスタッフの知見を活用した売り手サポート体制を整備し、マッチングから成約までをトータルに支援するプラットフォームとして成長させる。

M&Aクラウドは、売り手が無料かつオンラインで、買い手の情報を閲覧し、直接打診できるM&Aおよび資金調達のマッチングプラットフォーム。2018年4月ローンチからの約2年間で、掲載買い手企業は約250社、登録売り手企業は2600社超に達した。また累計1000件超の面談を実現したという。

一方で同社は、マッチング後M&Aや資金調達の成約に至るプロセスに関しては、これまで積極的にサポートする仕組みを設けてこなかった。ファイナンス知識が不足しているユーザーの中には、プレゼンやデューデリジェンスにのぞむ際別途サポートを必要とするケースがあることから、これらを一貫してM&Aクラウド上で行うことで、マッチング成立した企業が成約まで至る率を高め、「希望のM&A/資金調達が成立する」プラットフォームに進化させることを目指すとしている。

Zoom活用の有料オンラインイベントを簡単に開催できる「amply」ローンチ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でイベントやセミナーのオンライン化が加速している。本日6月24日にtrevaryがローンチした「amply」はそんなオンラインイベントを簡単に開催できるようにサポートするサービスだ。

amplyはページ作成から決済、ゲスト管理、当日のURL共有まで「Zoomを活用したオンラインイベントを開催する際に必要な作業がワンストップで完結する」ことが最大の特徴。ZoomとAPI連携しているため、主催者がイベントURLを発行して共有せずとも参加者はイベントページのボタンをクリックするだけで直接イベントに参加できる。

仕組みや使い方はとてもシンプルで「オンラインイベントに特化したイベント管理ツール」だと思ってもらえればわかりやすいだろう。amply上からイベントのタイトルや説明文、開催日時、定員、参加料金などを入力した後にZoomアカウントと連携すると、自動でZoomイベントのURLが発行される(Zoomのスケジュールに追加される)。

なお参加者総数が3名以上で40分より長いイベントを開催するなど、Zoomの無料アカウントでは対応できないイベントの場合にはあらかじめ主催者が有料プランの登録を済ませておく必要がある。

「Peatix」や「ストアカ」を始めとした既存のサービスを使ってもオンラインの有料イベントやセミナーを主催することはできるが、もともとオフラインを想定したものも多く必ずしもオンラインに最適化されているわけではない。trevary代表取締役の金城辰一郎氏は「amplyではオンラインイベントをワンストップでものすごく簡単に実施できるように、ZoomとのAPI連携を含めそこに最適化した仕組みを作った」と話す。

初期費用や月額利用料などは無料で売上の15%がプラットフォーム利用手数料になる仕組み。初期はZoomイベントに特化し、特にインフルエンサーやアーティストの利用を見込む。イベント情報をカスタマイズすることでエントリー時に参加者に住所を入力してもらうこともでき、たとえば限定のグッズを絡めたセミナーやレッスンなど「ライブコマースとはまた違った形の物販を絡めたZoomイベントにも使ってもらえると考えている」(金城氏)という。

trevaryはBASEでマーケターとして働いていた金城氏が2016年に設立したスタートアップ。当初はokinawa.ioという社名で沖縄県内の企業のwebマーケティング支援を行なっていたが、現在は自社プロダクトとして立ち上げたグルメ動画サービス「trevary」がコア事業だ。2019年にはサービス名に合わせる形で現在の社名に変更。これまでにサイバーエージェント・キャピタルとF Venturesから出資も受けている。

金城氏の話ではコロナの影響も受けて、trevary1本に絞るのではなく別軸の新プロダクトを開発することを決めたそう。様々な事業案を検討した結果、最終的にオンラインイベントのニーズが高まっていることやそこに特化したサービスがないことなどを踏まえてamplyのアイデアに絞ったという。

トランプ大統領がITエンジニアも多く利用するH-1Bビザの新規発給を一時停止する大統領令に署名

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、高度な技術を持つ労働者のためのH-1Bビザのような就労ビザのプログラムを一時停止する大統領令に署名した(White Houseリリース)。これはすでに技術系人材の不足に悩んでいるテック企業にとって、外国人労働者確保の大事なソースを失うことを意味する。

米国内にいるビザ保持者やすでにビザを受け取った申込者は対象外となる。ビザ新規発給の規制は2020年末まで続き、米国の新会計年度が始まる10月に新規ビザを発行する政府の通常プロセスは混乱することになりそうだ。

トランプ政権の高官は、ビザ新規発給の一時停止は米国の雇用を守るためだとWall Street Journalに語った。しかしテック業界の幹部たちはビザの制限はテック業界における米国の競争力を損なうとこれまで再三警告を発してきた。テック業界は米国の経済成長のエンジンであり、戦略かつ財政面でも大きな存在だ。

移民の抑制によって、企業は高度なテック人材を獲得・維持するためにオペレーションを米国外に移さざるを得なくなるかもしれない、とテック業界の代表は指摘する。

「グローバルパンデミックの間も、テック業界はフードデリバリーサービスやテレヘルスケア、コラボ的なビジネスソリューション、家族や友人同士が連絡を取り合う方法を提供することで、米国人が互いにつながっていられるように取り組んできた」とテック業界団体TechNetの最高責任者Linda Moore(リンダ・ムーア)氏は声明で述べた。「今後もテクノロジーは経済再建で必要不可欠な存在であり続ける。大統領令は、企業が既存の労働力と新規雇用の従業員を最善の方法で展開する方法を決定する能力を阻害するものだ。これはイノベーションの停滞を招き、米国が前代未聞の出来事から復活するのをサポートしようというテック業界の取り組みを邪魔している」。

報道によると、当局はこうした新たな規制が2020年末まで続き、トランプ大統領が2020年4月に発効させた移住禁止を拡大する。移住禁止措置では米国市民の家族が移住できなくなり、米国への移住を模索する高度な技術を持つ労働者向けのビザの数を大幅に削減した。

Wall Street Journalに政府高官が示した予測では、移住規制の拡大の結果、約52万5000人が米国に入国できなくなる。ここには、4月以降米国入国を禁止されている17万人の永住権保持者も含まれる。トランプ政権の高官はこの措置について、失業している米国人に50万の雇用が確保できる「米国第一復興」だと表現した。

テック企業の経営者たちはこのビザ発給一時停止に対し反発している。「すべてのH-1Bビザの発給禁止は、私のようなCEOが移民を受け入れているカナダのような国にオフィスを開設し、雇用しなければならないことを意味する。今回のビザ発給停止は道徳的に間違っていて、経済的には馬鹿な行為だ」とテクノロジースタートアップSkyflowのCEOであるAnshu Sharma(アンシュ・シャーマ)氏はツイートした。

投資家らも今回の決定が米国の競争力に及ぼすインパクトについて憤慨している。

「トランプ政権が認識しているかどうかはわからないが、米国のイノベーションにとってかなり不利な状況を作り出している。我々のポートフォリオにある最もイノベーティブでインパクトのある企業や、そうした企業で働く従業員の多くがH-1Bビザ保持者としてスタートする」とテック投資ファンドUrban.usの共同創業者であるStonly Baptiste(ストンリー・バプティステ)氏は話した。「文字通り、H-1Bなしにはポートフォリオは築けなかった。しかも我々は移民にフォーカスしたファンドではない」。

また今回H-2BやJ-1、L-1のビザも規制の対象となる。H-2Bは短期の非農業季節労働向け、J-1はキャンプカウンセラーやオペア(外国にホームステイしながら子供の面倒をみる人のこと)向け、L-1は企業内転勤向けのビザだ。

「米国企業のための人材を制限することで、米政府は強固で防御可能な組織を構築する能力を阻害している」とヘルスケア専門のスタートアップElektra Labs(エレクトラ・ラボ)のCEOであるAndy Coravos(アンディ・コラボス)氏はTechCrunchに寄せたメッセージに書いた。「外国人労働者へのビザ発給を一時停止するというトランプ政権の大統領令は恐れがベースになっているだけでなく、我々のコミュニティ内で恐れを永続させるものだ。我々の社会にとって利益にはならない」。

ヘルスケアワーカー、新型コロナウイルス(COVID-19)研究者、食品供給業界ワーカーはビザ発給一時停止の対象外となる。

ビザ発給ルールの厳格化に反対しているのはテクノロジー業界の経営者たちだけではない。サウスカロライナ選出の重鎮の上院議員Lindsey Graham(リンゼイ・グラハム)氏、テキサス州選出の上院議員John Cornyn(ジョン・コーニン)氏を含む共和党の上院議員9人のグループは5月27日に共同声明を出し、噂のあった就労ビザ規制について再考するよう大統領に請願していた。

「外国人労働者は米国の雇用を奪っておらず、米国のビジネスを押し上げるために必要だ」と書いている。

画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

フェイスブックがOculusで最も成功した「Lone Echo」を開発したVRスタジオReady at Dawnを買収

Facebook(フェイスブック)はこの1年の間、ゲームスタジオの買い上げを続け、最も人気のあるVRタイトルを制作した開発者たちを買収してきた。

今もその傾向が続いていることは、Oculus(オキュラス)で最も成功したゲームシリーズの1つである「Lone Echo(ローン・エコー)」の開発会社であるReady at Dawn(レディ・アット・ドーン)の買収を見てもわかる。このスタジオは、ここしばらくパブリッシングパートナーとしてフェイスブックおよびOculusと密接に協力してきた。今回の買収により、「Lone Echo」の続編のリリースに向けて準備を進める同チームは、Oculusの仲間入りを果たす。なおフェイスブックは、「Lone Echo II」の開発状況に関するアップデートを提供しなかった。同作品は当初2019年と発表されていたリリース日から延期を重ねてきている。同タイトルは、2020年中にリリースされる予定だ。

フェイスブックはチーム全体を参加させるといっているものの、取引条件は明らかにされていない。スタジオは、カリフォルニア州アーバインとオレゴン州ポートランドにあるフェイスブックのオフィスから独立して運営される。

「Lone Echo」は、より洗練され革新的なVRタイトルの1つとして知られ、シングルおよびマルチプレイヤーによって繰り返されるプレーが、VRユーザーの間での高い評価につながっている。このシリーズは、仮想現実(VR)ゲームを常に受け入れるとは限らないeスポーツの世界でも採用されている。VRに本格的に取り組む前のReady at Dawnは「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズのいくつかのライセンスゲームを含む、ゲーム機向けのタイトルを開発していた。

フェイスブックは以前、「Beat Sabrer」を制作したスタジオであるBeat Games(ビート・ゲームズ)と、Riftゲームの「Asgard’s Wrath」を制作したSanzaru Games(サンザル・ゲームス)の買収を発表した。フェイスブックの買収戦略は、より多くのVRスタジオたちが生き残りのために苦労することなく次のVRタイトルに投資し続けための多大な余裕を与える。

VR空間の進展は遅い。今回の自宅隔離(shelter-in-place)の動きの中で、使用量が少し上がったことに気が付いたVR開発者もいたものの、そもそもハードウェアの普及が不足しているために、成長度合いにはどうしても上限がある。他のVRハードウェアメーカーたちがゆっくりとこの分野を手控えてき、Magic Leap(マジック・リープ)のような没入型プラットフォームがコンシューマー市場を去る中で、高品質のタイトルを作成しようとするVR開発者にとって、生き残りはさらに困難になっている。

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(翻訳:sako)

自動野菜収穫ロボのinahoが実証事業・補助金プロジェクト3種類に採択

inaho RaaS

自動野菜収穫ロボット開発のinaho(イナホ)は6月23日、「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」「イノベーション創出強化研究推進事業」「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」と3カ月連続でプロジェクトに採択されたと発表した。AIを使った自動野菜収穫ロボットを開発するとともに、RaaS(Robot as a Service)として生産者に「派遣」し、日本の農業が抱える人手不足と経営課題を解決する。

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」の事業概要は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う産地の労働力不足に対応し、強い生産基盤を構築するため、スマート農業技術の実証を緊急的に実施するというもの。inahoは、自動収穫ロボットをアスパラガス農家へ導入し、収穫作業の自動化・省力化を通じて労働力不足の解消を図る。

また、同機構の「イノベーション創出強化研究推進事業」の概要は、革新的な技術・商品・サービスを生み出していくイノベーションの創出に向け、「知」の集積と活用の場による研究開発事業の推進を目的に研究を委託するもの。inahoは、平畝(ひらうね)対応の自動野菜収穫ロボットが枠板式高畝栽培システムでも利用可能となるよう画像診断システムの改良などを行う。

経済産業省の「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」は、ソフトとハードの融合領域におけるスタートアップ(ディープテック系)のエコシステム構築を目的に、スタートアップが製品開発・量産化設計・試作の実証などを行う費用の一部を補助する。inahoの取り組み内容は、自動野菜収穫ロボットの開発において、安全性・環境耐性・コスト低減の実現に向けた量産化設計・試作としている。

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アップルのApp Storeに対して開発者によるアプリのリジェクトやルールへの異議申し立てが可能に

Apple(アップル)が、近く実施されるApp Storeのルール変更を発表した。これにより、このマーケットプレイスの運用が大きく変わる可能性がある。もうすぐ開発者は、アプリのリジェクトだけでなく、その根拠となったルールにも異議を唱えられるようになる。また、ルール違反のせいでバグ修正のアップデートが保留になることはない。

重要な追加事項にも関わらず、アプリと開発者の変更点についてのブログ記事は淡々としたものだ。

まず第一に、開発者はアプリがApp Store Review Guidelinesの特定のガイドラインに違反しているかどうかの決定に抗議できるだけでなく、ガイドラインそのものに異議を唱える仕組みがある。第二に、すでにApp Storeで公開されているアプリに関しては、法律な問題に関連するものを除き、ガイドラインへの違反のためにバグ修正が遅れることはなくなる。

App Storeのルールは、今週大きく報道された。それは、収益化をめぐる論争のせいであり、メールサービスアプリのHeyが、サブスクリプションの収入をAppleと共有することをためらった(未訳記事)からだ。

これは前からよくある問題であり、Basecampの共同創業者であるDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)ともあろう人が、自分のHeyについてそれを知らなかったとは思われない。しかも、アプリに関するAppleの一方的で画一的なビジネスモデルが批判されたのも、これが初めてではない。

本誌TechCrunchとのインタビューでAppleのマーケティング担当上級副社長Phil Schiller(フィリップ・シラー)氏は、ルールを変えてHeyのようなアプリが収入をAppleと分けずにApp Storeで売られるようにするつもりはない(未訳記事)と語った。

関連記事:Interview: Apple’s Schiller says position on Hey app is unchanged and no rules changes are imminent

しかし、アップルは発表で直ちにルールを変更しないが、そのうち変えるかもしれない、と言っている。開発者からのフィードバックがどのように入手され処理され評価されるのか、それはわからないが、おそらく今週の多くの開発者セッションでさらに聴取を重ね、多くの提案を受け取ってから最終的に決まるのかもしれない。

2つめの変更は、Heyがそうだったようにビジネスの問題があるせいで、セキュリティアップデートもできなかった開発者をほっとさせるだろう。開発者との交渉が行き詰まることで、ユーザーを困らせることはアップルもしたくないだろうから、両者を分離することは完全に正しい。これによって、扱いにくい開発者に対してアップルが振るう鞭(むち)が短くなり、しかもユーザーなど他の関係者のリスクは少なくなる。

App Storeのルール変更は今夏に発効するため、それまでに詳細が決まるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

世界中の日本酒消費者・ソムリエと酒蔵をつなぐSakeistアプリをKhariisが公開

Khariis Sakeist

Khariis(カリス)は6月23日、世界における日本酒の消費市場拡大およびプロモーションを目的に、海外の消費者・ソムリエと日本の酒蔵がつながるアプリ「Sakeist」(サケイスト)のiOS版Android版を公開した。公開時のバージョンは日本語および英語のみサポートしており、2020年以内にフランス語版をリリース予定。

Sakeistでは、ユーザーが日本酒ラベルをスマホで撮影すると、お酒の画像がSNSのニュース・フィードのように表示される日本酒版SNS機能を用意。レビュー投稿可能なほか、世界中のレビューを閲覧できる(自動翻訳機能搭載)。世界中のSakeistユーザーが、自分が知らなかった日本酒に出合いやすくしている。

また日本酒自体については、ワインテイスティングを軸としたマトリックス「Tasting Matrix」によりどんな味わいなのかひと目でわかるようにしたほか、酒蔵公式の画像により造り手の歴史背景も解説。日本酒を扱うレストランの検索も行え、もし登録がない場合は、Sakeistユーザーが自分で新たに登録できる。

Khariis Sakeist

「日本酒クイズ」では、日本人をはじめ海外の消費者やソムリエが日本酒造りにおける手間のかけ具合がわかるよう、さまざまなクイズを用意。「用語ディクショナリー」では日本酒ラベルに記載されている「山田錦」「あらばしり」「袋しぼり」など、日本酒特有の専門用語を検索し学べるようにしている。
Khariis Sakeist

日本酒輸出市場は、和食が2013年にユネスコ「伝統的無形文化遺産」として登録されたことなどがあり右肩上がりに成長を続けており、2019年の輸出総額は約234億円に上るという。しかし、日本酒ラベルの多くは日本語のみが記載されており、「純米大吟醸」のような種別を表す用語の意味を理解できる消費者は海外では極めて少ない状況にある。そのため、海外における消費者数・消費量の拡大において日本酒業界は課題を抱えている。

Khariis Sakeist

さらに、海外ソムリエと消費者の多くは日常的にワインを愛飲しているため、ワイン目線での用語解説や味わいについての多言語での解説・紹介する情報源が求められているそうだ。世界のワイン業界では、ワイナリー(造り手)のストーリーが重要視されるものの、日本酒の酒蔵ごとのストーリーを英語などで紹介する例が少なく、課題となっていた。

これら状況の解決とともに、日本酒を「世界酒」として定着させることを目指し、消費者・プロフェッショナル(ソムリエ)・酒蔵が繋がる強固なコミュニティの育成も目指し、KhariisはSakeistアプリを2019年から開発したという。

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iOS 14でマップにルートの最適化や急な坂を知らせる自転車用オプションを追加、まずNYや上海などで導入

Apple(アップル)のiOS新バージョンでは、マップに多くの新機能が加わる。その中の1つが、自転車ユーザー向けにルートを最適化したり、そのルートに勾配のきつい登り坂が含まれているかどうかを知らせたりする自転車オプションだ。

アップルはこの新機能を米国時間6月22日に開催された年次デベロッパー会議のWWDC 2020バーチャル版で発表した。

Apple Mapsはすでに公共交通機関や徒歩での移動ルートを案内している。だが、同社のシニアディレクターであるStacey Lysik(ステイシー・リシック)氏によると、自転車オプションのリクエストが最も多く寄せられていたという。

自転車オプションは、iOS 14でまずいくつかの都市を対象に導入される。差し当たってはニューヨーク市、サンフランシスコのベイエリア、そして中国の上海と北京だ。数カ月以内にさらに多くの都市が追加されるとのことだ。

「自転車で街を移動するのに使える、ものすごくいいサイクリングエクスペリエンスを構築した」とリシック氏は話した。

自転車オプションでは、かなり勾配がきつい坂を登ることになるのか、あるいは楽しい平坦な道のサイクリングになるのかなどを調べてユーザーに示す。また、ルートに静かな通り、あるいは賑やかな通りが含まれるのか、険しい道があるのか、自転車を担いで階段を昇らなければならないのかもわかる、とリシック氏は述べている。

階段は明らかに理想的なものではない。そのためこの機能では、階段を回避するルート設定も用意される。

画像クレジット: Apple

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(翻訳:Mizoguchi

アップルがデザイン一新した「macOS 11.0 Big Sur」を発表、新美学と再設計アプリを導入

ここ最近Apple(アップル)はその焦点をモバイル向けOSにシフトており、macOSには取り残されていた。昨年のCatalinaではSidecarを含むいくつかの重要な変更もたらされたが、最近のアップデートの多くはOSをよりiOSに似せたものにすることが中心だった。そして次期バージョンでは、カリフォルニアの最も美しいスポットから名前を拝借するという例が維持されている。今回は、中央海岸のBig Surだ。バージョン番号はライブデモによれば、macOS 11.0となっている。

アップルは新しいデザインのアイコンやサウンド、改善されたアニメーションなど、さまざまな美的要素を洗練させている。アプリの角はすべて丸くなり、ツールバーも改善された。全体的に色数が増えており、新しいキーカラーによってそれぞれの会社の製品が区別される。アップルのファーストパーティーアプリはすべて再設計され、メニューバーもiOS風の半透明デザインになった。

iOSにもあるControl Centerはモバイル版から借用した最新機能で、明るさを調整したり、ナイトモードに切り替えることができる。正直なところ、最近のmacOSの多くの再設計と同様に、Big SurはiOSからウィジェットや通知センターを含む多くの要素を借用している。いくぶん無機質だったメッセージアプリも大きく改善された。これにはMemojiの編集とメッセージのピン留めが含まれている。

デスクトップにiOSアプリを持ってくるためのCatalystでも、開発者向けのアップデートが発表された。実際には、Big Surに搭載されるメッセージとマップの最新バージョンで使用されている。

Safariにも今回大きなアップデートがあり、スピードが大幅に改善される。アップルによると、同ブラウザは頻繁に訪れるページをChromeより最大50%高速に開くことができるという。それ以外にも不要なアプリの追跡を監視するなど、いくつかの重要なセキュリティアップデートが提供される。またパスワードを監視し、データ漏洩と照合する。iOS同様、ブラウザに翻訳機能が組み込まれ、Googleと同様の機能が提供される。

関連記事:WWDC20関連記事まとめ

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Apple WWDC

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(翻訳:Tsukamoto)

アップル、Mac搭載CPUをARMベース独自製品「A12Z SoC」に移行

Apple mac A12Z SoC

Apple(アップル)は6月23日、開発者向けカンファレンス「WWDC20」の基調講演において、Mac搭載CPUをIntel(インテル)製からARMベースの独自製品「A12Z SoC」に変更すると発表した。

 

A12Z SoC

Universal Binary(ユニバーサルバイナリー)をもとにしたUniversal 2(ユニーバーサル バイナリー 2)技術を利用しており、Intel(インテル)向けバイナリーとApple Silicon向けバイナリーを単一のアプリケーション内に同梱するような形態となっている。またRosettaや仮想化技術を利用し、従来ソフトウェアの動作も可能としている。

このほか、iOSアプリなども次期macOS「macOS Big Sur」(ビッグサー)上で動作可能となった。

詳細は追って掲載する。

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Appleも翻訳アプリ投入、オフラインで日本語など11言語に対応

翻訳は何百万という人が毎日スマホで使っている機能だ。しかしいくつかのマイナーな機能を除き、Apple(アップル)は概ねライバルに遅れをとっている。しかしこうした状況は一変する。同社は「Translate」という機能そのままの名称の新たなiOSアプリを発表した。11言語に対応し、インターネット接続は不要だ。

このアプリは話し言葉あるいは短いテキストで使用するためのものだ。言語のセレクター、テキスト入力スペース、録音ボタン、そのほかお気に入りや辞書といった追加のウィジェットが用意されている。

差し当たってTranslateが対応する言語は英語、北京語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、日本語、韓国語、アラビア語、ポルトガル語、ロシア語で、今後他の言語も追加される。使うには、言語2つを選び、文言をペーストするか音声を録音する。すると、翻訳されたものがすぐに表示される。

インターフェースをシンプルにできるランドスケープモードもある。

このアプリの最も優れている点は、他の翻訳アプリと異なり完全オフライン仕様となっていることだ。つまり通信状況に関係なく、あるいは普段使っている通信会社のサービスが届かないところでも利用できる。通信データ量を節約するのにもいい。

リリース詳細はまだ明らかになっておらず、おそらくiOS 14へのアップグレードで使えるようになる。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

【随時更新】WWDC20関連記事まとめ

ついに今年もWWDCの季節がやってきた。TechCrunch JapanではWWDCでの発表を逐一記事としてみなさんにお伝えしていく予定だ。この記事では、今年のWWDCに関連する記事をまとめて随時更新していく。

更新中…

アップルが開発者向けイベントWWDC20で「macOS Big Sur」を発表

macOS Big Sur

Apple(アップル)は6月23日、開発者向けカンファレンス「WWDC20」の基調講演を開催。次期macOS「macOS Big Sur」(ビッグサー)を発表した。

macOS Big Sur

詳細は追って掲載する。

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【WWDC20前に知っておくべきこと(その1)】CPUの変遷から見るアップルOSの歴史

まだまだ油断のならないコロナ禍の中、オンラインで開催される今年のWWDC20で、アップルはインテル製ではなく、自社設計のARMプロセッサーを搭載したMacを発表するのではないかという噂が流布されている。そうした話は何年も前から出てはいたが、今回まことしやかに語られるようになった発端は「Apple Plans to Announce Move to Its Own Mac Chips at WWDC」というタイトルのBloomberg(ブルームバーグ)の記事だ。この記事では、最初にARMを搭載するのがMacのどのモデルなのかについては述べていない。しかし、それは復活する12インチのMacBookだとか、新しいデザインのiMacだとか、また別のソースからの噂もいろいろと聞かれる。

真偽のほどは、実際にWWDCの基調講演が終わった時点でなければ判明しないが、これまでも、そうした噂が語られてきたのは、それがまったく荒唐無稽というわけではなく、むしろありそうなことだからに違いない。言うまでもなく、iPhoneやiPadは、最初からARMコアのプロセッサーを採用している。そしてそのOSは、元をたどれば、現在はmacOSと呼ばれているMac用のOS、Mac OS Xから派生したもの。しかも、その後はiPhone用のiOSから、逆向きにmacOSが機能やデザインを取り入れるという動きも見られるようになっていった。

また実際に、iPhoneやiPad用のアプリとmacOS用のアプリは、Xcodeという単一の開発環境で作製することができる。こうしたことからアップル製デバイスのOS本体は、少なくともソースコードレベルでは、かなりの共通点を持ったものとなっていることが容易に想像できる。決定的に違うのは、コンパイラーのスイッチでターゲットのCPUを選ぶ部分くらいかもしれない。つまり、MacがARMベースになっても、少なくともアップルとしては、それほど大した苦労もなく、涼しい顔でARM用のmacOSと標準アプリをリリースできるのではないか。その体制は、もう十分に整っているのではないかとすら考えられるのだ。

MacのCPUとOSの変遷

言うまでもなく、現在のMacは多くのWindows PCと同様に、インテル製のCPUを搭載している。最近のユーザーは、そうした状況が当たり前だと思っているかもしれないが、Macは最初からインテル製のCPUを採用していたわけではない。むしろMacは、そこらのPCとは違うのだということを強調するためもあって、あえてインテル製とは趣向が異なるCPUを採用し、他社に頼らず独自のOSを開発してきた歴史がある。ここで、その経緯を簡単に振り返っておこう。

最初のMac、オリジナルのMacintoshが発売されたのは、今から遡ること36年にもなる1984年のこと。当初採用していたCPUは、モトローラ製のMC68000だった。これは当時としては先進的なCPUで、データバスは16ビットながら、内部のデータレジスターは32ビットとなっていて、16/32ビットCPUと呼ばれていた。当初Macが採用していた自社製のOSは、まだマルチタスクも実現しておらず、今の感覚ではOSと呼ぶのがはばかられるようなものだった。

しかし、いったん発売したものは、なかなか変更するのが難しい。その後、CPUの世代が進み、MC68020/68030/68040といった高性能のCPUを搭載するに至っても、OS自体は、少しずつ改良を加えつつも、古いアーキテクチャから脱却できずにいた。いわゆる協調型のマルチタスクは実現したものの、メモリ管理などは不完全なもので、アプリの不具合がOS全体のクラッシュにつながることも珍しくなかった。

こうしたモトローラの68K(68系)と呼ばれるCPUは、いわばCISC(Complex Instruction Set Computer)の代表的なもの。CPUのアーキテクチャとしては旧世代に属するものだった。1990年代になると、そうしたアーキテクチャでは性能向上の限界が見え始め、新世代のアーキテクチャとしてRISC(Reduced Instruction Set Computer)がもてはやされるようになった。そしてMacも、モトローラとIBM、そしてアップル自身が共同開発したRISCプロセッサーであるPowerPCを採用するに至った。最初は1994年に登場したPower Macintoshシリーズからだった。

CISCとRISCの違いからも明らかなように、両CPUの間には少なくともソフトウェア(機械語)の互換性はまったくない。この機会は、OSを刷新するチャンスでもあったが、ここでもOSのアーキテクチャに、大きく手が入れられることはなかった。サードパーティ製のアプリや周辺機器も含め、それ以前にMac用として積み上げてきたものが大きすぎたためかもしれない。乱暴に言えば、それまでのソースコードを単にPowerPC用にビルドし直したようなものだった。そして、それ以前からあった68系用のアプリは、ビルドし直すことなくそのまま動作できるよう、68系CPUのエミュレーターをOSに内蔵することまでした。いわば後ろ向きの互換性を重視したものだった。

MacのOSが、誕生以来初めて大きく刷新されたのは、しばらくアップルを離れていたスティーブ・ジョブズ氏が復帰し、その際に持ち込んだ技術を利用して開発したMac OS Xの登場によるものだった。正式版のリリースは、今世紀に入ったばかりの2001年だ。このときは、逆にハードウェアアーキテクチャの刷新のチャンスだったはずだが、やはり見送られた。そのころには、MacのCPUは、すでにPowerPCに一本化されていた。当時のMac OS Xは、それを前提としたハードウェアアーキテクチャの上で動作するものだった。

そして、Macにとって大きなくくりで3世代目となるインテル製CPUの採用は、OSの変遷とはほとんど無関係に、すでにMac OS Xが定着した2005年に発表された。実際の製品としては、翌2006年に発売されたiMacが皮切りとなった。その際には、やはりPowerPCの機械語コードをインテル製プロセッサー上で実行できるようにするエミュレーターが提供された。そのソフトウェアが優れた完成度だったこともあって、PowerPCからインテルへの遷移も、かなりスムーズに成し遂げられた。

こうしてざっと振り返ってみると、MacのCPUとOSは、あえて無関係と思われるようなズレたタイミングで切り替えてきたからこそ、インパクトを最小限にすることができ、Macという製品が、発売から36年を経て、今日まで生き延びることができたのかもしれないと思えてくる。そして近い将来に、ARMコアのCPUを採用したMacが登場しても驚くには値しない。何事もなかったかのように切り替えが進行することも十分に期待できる。あるいは、現在同じインテルでもXeonプロセッサーを搭載するMac ProやiMac Proのようなハイエンドの製品はインテルに留まりながら、ミドルレンジやローエンドのMacだけをARMベースに転換していくのかもしれない。今後のMacが、そうしたヘテロな環境になっていったとしても、すんなり受け入れられそうな気がしてくる。

いまARMコアを採用したMacが登場したとすれば、どのようなインパクトが考えられるのか。その2では、アップル自身、サードパーティのデベロッパー、そして一般のユーザーごとに考えてみることにしよう。