Huluが最大新しいウォッチパーティ機能を発表、仮想ビューイングとチャットが可能に

Huluは米国時間5月28日、Hulu Watch Party(フールー・ウォッチ・パーティ)と呼ばれる新しい機能を導入した。視聴者同士が離れた場所で仮想的にHuluを同時視聴し、Huluアプリ内で互いにチャットできるようにする、同サービス初のソーシャル機能だ。この機能は、まずHulu.com上でHuluの「広告なし」サブスクライバー向けにテストされている。

同社は、この機能はHuluのオンデマンドストリーミングライブラリの中にある多数の映画や番組に対して使うことができると述べている。番組の詳細ページに新しい「Watch Party」アイコンがあれば、その番組はウォッチパーティーでの視聴体験が可能だ。そのアイコンから家族や友人をウォッチパーティーセッションに招待するリンクが提供される。同時に8人まで参加できる。番組を見ながら、ユーザー同士は組み込みのチャット機能を介してリアルタイムでチャットを楽しめる。

さらに、ユーザーはグループの視聴体験に影響を与えることなく、自分のタイトルの再生を制御できる。つまり、類似のサービスのいくつかが提供するのと同じ種類の、共有ストリーム体験ではないということだ。この仕様により、接続不良に悩まされているユーザーやトイレ休憩が必要なユーザーは、準備が整ってからグループに再参加できる。チャットウィンドウに置かれた「Click to Catch Up」(クリックしてキャッチアップ)ボタンを押せば、簡単にタイミングを同期できる。

Huluによれば、ウォッチパーティーセッションを開始したりセッションに参加したりするには、視聴者は18歳以上である必要があるという。

ソーシャル機能は、パンデミックの中でストリーミングサービス中での仮想ウォッチパーティーを利用できるようにする、アプリや拡張機能への関心の高まりを受けて追加された。ブラウザープラグインの1つであるNetflix Partyも、新型コロナウイルスによるロックダウンで米国の消費者が在宅避難を余儀なくされたために人気が出た(Business Insider記事)。一方、HBOは最近、ブラウザ拡張Scenerと提携(未訳記事)し、最大20人をサポートする「仮想劇場」体験を提供している。

Huluのウォッチパーティは、これらの既存オプションとは異なり、ブラウザープラグインなどいかなる種類の拡張機能も必要としない。その代わりに、この機能はMacやPCを問わず、コンピューターのHuluのウェブサイト内で利用できる。これによってHuluは、サイト上で直接共同視聴体験を提供する最初の主要なストリーマーになる。

とはいえ、ほかの動画アプリもこれまでにも共同視聴の実験を進めてきた。ストリーミングサービスのPhilo(フィロ) はかつてこのアイデア試していたことがあるが、その機能は決してテスト段階から抜け出すことはなかった。YouTube(ユーチューブ)は数年前に共同視聴アプリUptime(アップタイム)をテストした。米国で提供されている韓国と中国のドラマアプリViki(ヴィキ)は、現在(非常に面白い)リアルタイムのコメント欄を提供しいて、グループチャットのような体験ができる。Amazon(アマゾン)傘下のTwitch(トウィッチ)は、Amazonプライムビデオ向けにウォッチパーティを開始(Variety記事)した。3月にはInstagram(インスタグラム)も共同視聴機能をロールアウト(未訳記事)し、HousePartyは今月イベントの共同視聴を開始した。

Plex(プレックス)も、共同視聴を可能にする独自のWatch Together(ウォッチトゥギャザー)機能を本日開始(未訳記事)した。

Huluウォッチパーティーは、Hulu.comで本日から開始される。

【Japan編集部注]現時点では日本のHuluでHulu Watch Party機能は提供されていない。

原文へ]

(翻訳:sako)

今週の記事ランキング(2020.5.24〜5.29)

今週もTechCrunch Japanで最もよく読まれた5つの記事を紹介しよう。ランキング1位だったのは、電気自動車を開発するテスラがその主要製品の価格を大幅に引き下げたというニュース。Model 3のベース価格は約410万円となり、以前よりも約22万円の値下げがなされた。また、高級路線のModel Sでは約54万円の価格が下がっている。

次によく読まれたのは、「unc0ver」と呼ばれるハッキングチームが、最新のiOS 13.5を含むすべてのiPhoneに対応した脱獄ツールを発表したというニュースだ。これまでいくつもの脱獄ツールがリリースされてきたが、今月発表されたばかりのiOS13.5でも脱獄可能ということで注目が集まったニュースだ。このハッキングチームが利用したiPhoneの脆弱性は今のところ明らかになっていない。

それではまた来週!

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    英政府がファーウェイの5Gネットワ​​ーク参入に関する方針を転換 複数の報道によると、英政府の保守的なメンバーはBoris Johnson(ボリス・ジョンソン)首相に、中国メーカーであるHuawei(ファーウェイ)製の通信機器を2023年までに5Gネットワ​​ークから排除する計画を策定するよう促した。 The Guardian(ガーディアン)紙とThe Telegraph(テレグラフ)紙によると、… 続きを読む

G6G4+CJ Delhi, India、グーグルのアドレスシステムPlus CodesでGoogleマップ上で容易に場所を共有可能に

2年前にGoogle(グーグル)がオープンソースにしたPlus Codesは、明確なアドレスがなくても場所を特定できるデジタルのアドレスシステムだ。同社は米国時間5月28日、「6桁の英数字を使うアドレスをAndroidデバイス上でもっと使いやすくする」と発表した。

AndroidのGoogleマップで、自分の現在位置を表す青いドットをタップすると、そのユニークな6桁の座標を見たり友だちとシェアしたりできる。そして誰でも、GoogleマップやGoogle検索では、そのコードで目的地の正しい位置がわかる。

そのコードは「G6G4+CJ Delhi, India」といった形式だ。同社によると「世界の地形面をタイル張りの床のように分割してそれぞれに6文字のコードを付け、その後に都市名や国名を続ける」とのこと。

世界中で20億以上の人々がアドレスを持っていないか、わかりにくいアドレスしか持っていない。インドのような開発の進んだ国でも、街路のアドレスが文章のように長いことがあり、アドレスの表記はほとんどの国で問題となっている。多くの人が、アドレスよりも近くのランドマークで道を覚えたりしている。

アドレスのシステムを単純化しようとしている企業はグーグルだけではない。英国ロンドン拠点のwhat3wordsは、世界を57兆個の正方形に分割して、それぞれにランダムに選んだ3つの言葉(未訳記事)を割り当てる。例えば「toddler.geologist.animated」のように。わかりやすくて共有もしやすい言葉になる。同社はすでに多くの企業とパートナーしており、その中には複数の自動車メーカーも名を連ねる。

しかしwhat3wordsも今年で5年になるPlus Codesのプロジェクトも、一般的な普及はまだまだ。グーグルがこのプロジェクトをインドで発表したときは「ロジスティクスの企業や、郵政省のような政府機関で広く採用されるようにしたい」とコメントしていた。しかしどちらも、実現していない。当時同社は、Plus Codesをインドのコンサート会場などで試したそうだ。

より広い普及を目指して同社は、2018年にPlus Codesをオープンソースにし、開発者や企業が独自のユースケースを見つけられるようにした。そして本日、「緊急時には自分の正確な位置を容易に共有できることが、救助などのために極めて重要だ。しかし、世界にはこの問題で苦労している組織がまだまだ多い」と述べた(グーグルのブログ投稿)。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

武田薬品からカーブアウトしたファイメクスが約5.5億円調達、タンパク分解誘導剤の研究開発加速へ

タンパク分解誘導剤の研究開発に取り組む創薬スタートアップのファイメクスは5月28日、東京大学協創プラットフォーム開発、ANRI、京都大学イノベーションキャピタルを引受先とした第三者割当増資により総額約5.5億円を調達したことを明らかにした。

同社は2018年に武田薬品工業からカーブアウトする形で創業したスタートアップ。冨成祐介氏(代表取締役)や蒲香苗氏(同取締役 / 共同創業者)らが前職在籍時に研究していたアセットのライセンス提供を受け、現在はがん免疫の領域に特化してタンパク分解誘導剤の研究開発を進めている。

ファイメクスでは2018年4月にもシードラウンドで武田薬品とコスモ・バイオから2.6億円を調達済みで(その後個人投資家などからの調達も実施)、今回はそれに続くシリーズAラウンドでの資金調達となる。

タンパク分解誘導剤は近年世界的にも注目されている創薬技術だ。冨成氏によると「人の体内には2万弱のタンパク質が存在することが知られてていて、そのうちのだいたい1500は疾患と関連することが報告されている」にも関わらず、現時点ではそのうちの300ほどしか薬になっていない。残り1200のタンパク質はというと、既存の低分子や抗体といった方法では標的にすることが困難な「Undruggable Targets(薬を作ることができない標的分子)」とされてきた。

つまり疾患との関連自体は明らかになっているものの、創薬研究が進んでこなかったのだ。

この残された1200ほどのタンパクを「どのように薬にするか」を各企業が必死で考えている状況であり、その技術として期待されているのが疾患の原因や増悪に関わるタンパクを直接分解するタンパク分解誘導剤だ(タンパク分解誘導剤の仕組み自体はファイメクスのサイトに詳しい解説がある)。実際にグローバルではこの領域で数十億円から数百億円規模の資金調達を実施しているスタートアップが複数生まれている状況で、その先駆者的な存在であるARVINASは2018年にNASDAQに上場している。

ただしタンパク分解誘導剤には既存の創薬手法を適応するのが難しく、最適な薬剤をデザインする難易度が高いなどの課題もある。ファイメクスの大きな特徴は最適な化合物を半自動合成によってスピーディーに合成できる基盤技術「RaPPIDS」を有していることであり、その技術によって実際に多くの化合物を合成した上でデータを見ながら評価できる点だ。

通常は合成科学者が合成を行なっていたためそこに多くの時間とリソースがかかっていたところを、ファイメクスでは半自動合成技術によって効率化するとともに迅速化する。また同社自身が薬剤設計の自由度を高める独自の分子を複数保有していて、それをRaPPIDSと組み合わせながら新薬開発のプログラムを進めている状況だという。

同社のビジネスモデルは自社で見つけてきた化合物を製薬企業にライセンスアウトするタイプ(社内プログラム)と製薬企業との共同研究タイプの大きく2つに分かれる。特に社内プログラムに関しては現在3つのパイプラインがあり、最も進捗のいいIRAK-M タンパク質分解誘導剤については非臨床試験の段階まで達している状況だ。

ファイメクスでは今回調達した資金を活用しながらIRAK-Mを軸に複数のタンパク分解誘導剤のプログラムを進めつつ、並行してRaPPIDSの改良などにも取り組んでいくとしている。

Vaya Africaが電気自動車タクシー配車システムを開始

ジンバブエの富豪であるStrive Masiyiwa(ストライブ・マシーワ)氏によって創業された、配車ベンチャーのVaya Africaは、電気自動車タクシーサービスとジンバブエ国内の充電ネットワークの運営を開始した。将来的には大陸全体に広げる計画だ。

南アフリカに本社を置く同社は、電気自動車である日産リーフEVの一群を購入し、独自の太陽光発電充電ステーションを開発した。

運用は今週ジンバブエで開始されるが、同時にVayaはオンデマンド電気タクシーとデリバリーサービスのためのパートナーシップを締結しようとしている。対象とする市場はケニア、ナイジェリア、南アフリカ、そしてザンビアなどである。

「ジンバブエは実際実験場です。私たちは、アフリカの様々な国でパイロットを行なう準備を進めています」とTechCrunchとの電話でジンバブエの首都ハラレから答えるのは、Vaya MobilityのCEOであるDorothy Zimuto(ドロシー・ジムト)氏だ。

Vayaはストライブ・マシーワ氏のEconet Groupの子会社だ、Econet Groupは他にも、南アフリカ最大の携帯電話会社の1つと、インターネットインフラストラクチャ企業である Liquid Telecomも傘下に抱えている。

マシーワ氏は、アフリカのビル・ゲイツ氏もしくはリチャード・ブランソン氏になぞらえられる人物となった、そして世界的には、オバマ元大統領ロックフェラー財団とのつながりや関係を持つ、ビジネスリーダーおよび慈善家として認められている。

Vaya EV製品でジムト氏と協力しているのは、Liquid Telecomのイノベーションパートナーシップの責任者であるOswald Jumira(オズワルド・ジュミラ)氏だ。

この動きは、アフリカのオンデマンドモビリティ市場が、ここ数年本格化していることを受けてのものだ。スタートアップ、投資家、そしてより大規模な配車事業者が人や物の移動にデジタル製品モデルをもたらそうと競い合っている。

エチオピアには、配車ベンチャーのローカル企業であるRide(ライド)とZayride(ザイライド)がある。Uber(ウーバー)は2015年からアフリカ大陸のいくつかの市場で活躍していて、競合他社のBolt(ボルト)と同様に、2018年にはアフリカ内でのオートバイタクシー事業に参入しした。

昨年大陸では、主に二輪車を中心に利用する配車やデリバリーに向けた、EV開発の動きが見られた。

2019年には、ナイジェリアのモビリティスタートアップの MAX.ngはヤマハの支援の下に700万ドル(約7億5400万円)のシリーズA資金調達を行ったが、その資金の一部は再生可能エネルギーを用いる電動二輪車の試験運用に使われた。

昨年ルワンダ政府は、EVスタートアップAmpersandと協力して、ガソリン式の二輪タクシーを電動式に徐々に移行する国家計画を策定した。

Vaya Mobility CEOのドロシー・ジムト氏(画像クレジット:Econet Group)

アフリカのタクシー市場に対して、電気自動車へのシフトが環境的なメリットを超えて持つアピール点は、長期的にメリットがあるユニットエコノミクスである。燃料のコストが大陸の大部分のドライバーたちにとって、個人の収入に比べて概して大きいという状況があるからだ。

「アフリカはエキサイトしています。なぜなら私たちは今やグリーン革命に乗っているからです。排出ガスなし、騒音なし、そして自動車のランニングコストという点での大幅な節約が可能なのです」とジムト氏は述べている。

彼女は、配車プラットフォームのドライバーたちの燃料およびメンテナンスコストが、40%削減できると見積もっている。

Econet Groupのオズワルド・ジュミラ氏によれば、現時点では、Vayaの最初の市場であるジンバブエの燃料価格は1リットルあたり約1.20ドル(約129円)であり、平均移送距離は22キロで運賃は19ドル(約2047円)である。

Vayaの充電ネットワークで日産リーフを使用した場合、移動距離150から200 kmで、チャージにかかるコストは約5ドル(約539円)となる。

画像クレジット:Vaya Africa

「恩恵を受けるのはドライバーです。より多くの収入を得ることができます。そしてそれはまた、配車企業の手数料を引き下げて、乗客の皆さまに、より手軽な価格を提供することを可能にするのです」とジュミラ氏はTechCrunchに対して語った。

同社は、アフリカにおける新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大に対して事業を対応させた。ジムト氏によると、VayaはドライバーにPPE(個人用防護具)を提供し、車を1日4〜5回消毒する。

Vayaは、配達からオートバイやトゥクトゥクタクシーなどの、他のオンデマンド輸送アプリケーションに対するEVオプションも模索している。

アフリカにおける Uberとの競争問題については、Vayaは、EVプログラムによって提供される割引運賃を1つの利点として指摘している。

Vaya MobilityのCEOであるドロシー・ジムト氏も、地域の文化や好みを知っていることの利点を指摘している。

「私たちは『アフリカ語』を話します。それが私たちが理解している言語です。私たちは人びとが、市場全体で何を望んでいるかを理解しています。それが違いを生むのです」と彼女は言った。

アフリカ全域でUberのような他の配車サービス会社と真っ向勝負する際に、VayaのEV注力と地元の消費者に対する知識の多さが、より多くの乗客の流れと収益の創出につながるかどうかが注目される。

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(翻訳:sako)

連邦控訴裁がGoogle、Apple、Facebook、Twitterに対する反保守偏向訴訟を棄却

ドナルド・トランプ大統領がTwitter(ツイッター)を規制と閉鎖で脅したのと同じ日、ワシントンDCの連邦控訴裁判所は、大手テック企業が保守派の声を抑制したと主張する訴えを退けた。2018年に非営利団体のFreedom Watch(フリーダム・ウォッチ)と極右活動家のLaura Loomer(ローラ・ルーマー)氏が起こした訴訟は、Apple(アップル)、Twitter、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)の4社が憲法修正第一条の権利を抑圧したと主張していた。

同訴訟は、テック界の四大巨人が「政治的に保守的なコンテンツを意図的に抑圧する陰謀に加担した」と訴えていた。具体的には、Loomer氏がlhan Omar(イルハン・オマル)下院議員に関するツイートを発信した後、TwitterとFacebookから追放されたことを挙げている。さらに、Google傘下のYouTubeでLoom氏が視聴者数と広告収入を伸ばせなかったことについて、トランプ大統領選出後、「成長は完全に止まり、視聴者数と収益は横ばいあるいは減少した」ことも指摘した。Appleに対する疑いははっきりしていない。

関連記事:Twitterのファクトチェック警告に怒り心頭のトランプ大統領、SNSを規制または閉鎖すると息巻く

連邦地裁のTrevor McFadden(トレバー・マクファデン)判事は、Freedom WatchとLoomer氏は各社が「国家主体」として表現の自由の規制に関与したとする主張を裏付けることができなかったと裁定で指摘した。

「原告団は、被告のプラットフォームによるとされる行為が、政府自身による行為として扱われたことの可能性を公正に示していない」と判事は語った。「たとえばFacebookとTwitterは民間企業であり、両社が公開されたソーシャルメディア・ネットワークであるというだけの理由で『国家主体』 になることはない」

言い換えれば、当該企業が修正第一条に違反することはない、なぜならユーザーを追放することは政府が言論の自由を奪うことにはならないからだ。判事は「Freedom Watchは、当該プラットフォームが国家主体的行動に携わっていることを証明できないため、修正第一条に関する有効な主張はできない」と裁定した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国で約1500万ユーザーを抱える育児メディア「Babily」が10.5億円調達、ユニ・チャームからカーブアウト

中国で育児メディア「Babily(ベイビリー、中国名は贝贝粒)」を展開するOnedotは5月28日、経営陣および東京大学協創開発プラットフォーム(東大IPC)など複数の外部投資家を引受先とした第三者割当増資により総額10.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

Onedotはもともとユニ・チャームとBCG Digital Venturesの共同プロジェクトとしてスタートし、両社が出資する形で2016年12月に創業されたスタートアップ。2017年より中国でBabilyを展開しているほか、そこで培った知見を活用して日系企業の中国向けマーケティング支援事業などを手がけている。

Onedotが外部投資家から本格的な資金調達をするのは今回が初めてのことだ。代表取締役CEOの鳥巣知得氏によると今後の事業拡大に向けて「他の事業会社との連携やプロダクトへの大きな投資をスピーディーに実施していける体制」を整えるべく、ユニ・チャームとも話し合いを進めた上で同社の持ち株比率を減らすことを決めたそう。今回の増資によりユニ・チャームの連結子会社から外れ(いわゆるカーブアウトの形式)、より独立性の高いスタートアップとしてさらなる成長を目指していくという。

調達した資金については主にBabilyのミニプログラムの開発やプロモーションの強化などへ投資をする。第三者割当増資の割当先は以下の通りで、東大IPCについては本日発表された新ファンドからの出資となる。

  • 経営陣
  • 東京大学協創開発プラットフォーム(オープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合)
  • 日本生命保険
  • 住友商事
  • みずほキャピタル(みずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合)
  • The Boston Consulting Group
  • xross
  • PKSHA SPARXアルゴリズム1号

Babilyは子育てや家族生活に関するさまざまなナレッジを扱う分散型の育児動画メディアだ。自作のショートムービーを中国国内のSNSや動画プラットフォーム、そしてWeChatなどのミニアプリ(ミニプログラム)上で展開。1500本以上の動画コンテンツを配信していて、各メディアのフォロワーやファン数は合計で1500万以上に及ぶ。

すでに中国国内では複数の育児専業メディアが存在し、上場している企業もある。Babilyは後発にはなるが、既存メディアとは異なる短尺動画×分散型メディアスタイルを採用することで20〜30代の若い世代を中心にユーザーを獲得。アプリについてもネイティブアプリを作らずミニアプリを軸とすることで、新世代の育児メディアとして一気にユーザーを拡大しようとしているところだ。

「中国ではここ数年で育児の方法のアップデートが加速していて、一世代前と比べてもやり方が大きく変わっている。最新の情報を求める人が増えている状況の中で、その人たちが普段接しているメディア上にキラーコンテンツを提供できたことで成長できた。開始初年度がちょうどWeiboがショートムービーに力を入れた時期と重なり、そこに離乳食のレシピなどのコンテンツがマッチした。翌年には中国内でTikTokが大ヒットするなど、育児トレンドの変化とメディア・コンテンツの変化の波に上手く乗れたのが大きい」(鳥巣氏)

日本国内でも料理レシピの領域においてクックパッドがテキストや画像を軸としたCGMコンテンツで多くのユーザーを獲得していたところに、クラシルやDELISH KITCHENがレシピ動画という新しいアプローチで市場に参入して注目を集めた。同様にスマホやショートムービー、ミニアプリが主流となった中国で、そこに最適化した育児コンテンツを提供することによりユーザーを集めてきたのがBabilyというわけだ。

「既存のプレイヤーは10年以上前から運営しているところも多いため、中にはコンテンツが古くなって最新の情報やフォーマットに対応していないものもある。Babilyの特徴は動画ベースのコンテンツが中心で、ミニプログラムへの対応もいち早く取り組んでいること。20〜30代のユーザーは長文のテキストよりも短い動画での情報収集に慣れていて、その方がストレスがない」

「またアプリをインストールした上で会員登録して使ってもらうという従来の方法も、必ずしも今のユーザーが好む形ではなくなってきている。BabilyはもともとSNSに強く、そこからミニプログラムにもユーザーを呼び込むこめると考え今はその開発にかなり力を入れている」(鳥巣氏)

現在同社には約50名のメンバーが在籍しているが、鳥巣氏を含めそのほとんどが上海在住だ。日本国籍のメンバー自体も数名ほど。日本発のプロジェクトから生まれたスタートアップではあるものの、中国現地に特化する形で事業を成長させてきた。

だからこそ同社の知見に頼る日系企業も多く、現地進出を目指す企業からの問い合わせも増えている。直近では広告やECなどBabily経由の売上に加えて、BtoBのデジタル戦略構築やマーケティングサポート、越境ECの運用支援などの売上が拡大。今回の資金調達はこれらの事業をさらに加速させることが目的だ。

新規の株主としては中国で事業を展開する大手事業会社が複数社含まれていて、それらの企業とは事業面での連携も模索していく計画。当面は中国内でBabilyをより多くのユーザーに使ってもらえることに注力するが、中長期的には他領域でのメディア開発や他国への展開なども検討する方針だ。

本田圭佑氏、元ネスレ高岡氏、元FiNC溝口氏が新ファンド設立で「21世紀の課題に挑む挑戦者」支援へ

サッカー選手であると同時にスタートアップ界隈では投資家としても知られる本田圭佑氏、2020年3月末までネスレ日本の代表取締役社⻑兼CEOを務めていた高岡浩三氏、そしてヘルスケアスタートアップFiNC Technologies創業者の溝口勇児氏——。それぞれのフィールドで様々な挑戦に挑んできた3人のプロフェッショナルが「21世紀の課題解決」をテーマに、新たなファンドを立ち上げる。

ファンド名は「WEIN挑戦者FUND」。3人が共同ファウンダー兼代表パートナーとなり、6月中にも設立する予定だ。国内スタートアップへ投資をするだけでなく自ら事業を立ち上げるほか、大企業やスタートアップとコラボして共同で事業を展開していく計画だという。

キーワードは「ウェルビーイング」

WEIN挑戦者FUNDの事業概要は大きく「スタートアップ投資」「自社事業」「共同事業」の3つだ。

すべてに共通するキーワードがWEINの由来にもなっている「Well-Being(ウェルビーイング)」という概念(WEINはWell-Being+LINKの造語)。同社ではウェルビーイングを「身体的、精神的、社会的に健康な状態」と定義していて、この領域に関する企業に対して投資をしたり、自分たちで事業を立ち上げたりするという。

「日本は20世紀最大の課題である『戦争・飢餓・病気』にいち早く対応を進めてきたが、その一方でWell-Beingの観点ではまだまだ課題を抱えている。自分たちが考える21世紀の課題は『孤独・退屈・不安』であり、今後はこれらの課題との戦いになる。あまりにテーマが広いので、自分たちでこの領域に関する事業を作るだけでなく、スタートアップへの投資や大企業・スタートアップとの共同事業にも取り組むことで課題解決を目指していくことを決めた」(溝口氏)

これからファンドを設立する段階ではあるが0号ファンドでは個人を中心に20億円程度、1号ファンドでは事業会社などをLPに迎えて100億円を超えるような規模を目指す。ウェルビーイング関連事業を手がける国内スタートアップを対象に、事業のステージや1社あたりの投資額などについては特に絞らず投資をしていく方針だ。

1つの特徴と言えそうなのが、ファウンダーの3人に加えてビジネス開発やファイナンス、マーケティングなど各領域の専門家が集まって投資先を支援するスタイルを採っていることだろう。溝口氏によると「スタートアップスタジオ」に方向性が近く、単に出資をするというよりは投資先と密に関わっていくイメージだという。

「投資の目利きをするというよりは、一緒に成長していくという感覚の方が近い。(3人のファウンダーは)みんな自分たちのことを投資家とは思っていなくて、経営者であり起業家であり、挑戦者だと考えている。たとえば自分自身は社員が誰もいないところから会社を始めて350人ほどになるまで経営してきた中で、小さな成功とたくさんの失敗をしてきた。自分たち自身が挑戦して積み上げてきたものを軸に支援することで本当の意味で大きな支援ができると思っている」(溝口氏)

これまで本田氏と溝口氏はそれぞれがエンジェル投資家として複数のスタートアップへ投資をしてきた。ただ個人でやれることには限界があり(特に経営者やサッカー選手として本業が別にある中ではなおさら)、組織化することでできることが増えるというのが溝口氏たちの考えだ。

今後国内スタートアップへの出資に関してはファンドの方に集約し、チームとしてサポートすることになるとのこと。WEIN挑戦者FUNDはすでに20人ほどのメンバーが在籍するチームになっていて、出資はしていないもののスタートアップの支援は始めているという。

また自社事業ではウェルビーイング×テクノロジー×コンシューマー向けを軸としてすでにプロダクトの準備を始めているそう。元ネスレ日本の代表であり自身でスタートアップの支援も手がけてきた高岡氏などを中心に、大企業やスタートアップとの共同事業にも取り組んでいく計画だ。

「国内No.1の挑戦者エコシステム」を目指す

WEIN挑戦者FUNDは昨年12月に溝口氏がFiNCの代表を退任するにあたって、それを知った本田氏が連絡をとったことから始まった。

「開口一番『おめでとう、これで一緒にやれるね』と声をかけられて、気持ち的にも救われた部分があった。彼がちょうど日本にいたこともあり、何度も会って一緒にやれるかをディスカッションしたのがきっかけ」(溝口氏)

お互いがエンジェル投資をしているが、その活動を合わせて1つのファンドを作ることによっていろいろなサポートができるのではないかという話が出てきたのもそのタイミングだ。一緒にやるなら何かテーマが必要だということで、「日本から孤独や退屈や不安をなくすことができれば、それが地球の未来を良くしていくことにも繋がる」と考え21世紀の社会課題を解決することを軸に設定した。

もう1人のファウンダーである高岡氏は溝口氏が尊敬する経営者であり、数年前に勉強会に参加してからの縁だ。実はFiNCで代表を務めていた頃にはCOOになって欲しいと何度かオファーも送っていたそうで、今回のタイミングで遂に一緒に挑戦することに至ったという。

WEIN挑戦者FUNDでは3人を中心に投資や大企業・スタートアップとの協業を進めていくことになるが、挑戦者を支援するだけでなく「自分たち自身も当事者としてチャレンジすることにこだわりがある」そう。そのため自社が主体となって事業開発を行うほか、挑戦に関わる人を増やすという目標のもと、社会課題の解決にコミットしたいメンバーが集まるクローズドのコミュティ作りも進める。

最後に3人のファウンダーのメッセージをリリース内から引用して紹介しておきたい。

「高校在学中からフィットネストレーナーとして一人ひとりの健康をサポートし、2012年には ウェルネス領域でFiNCを創業、より多くの人に生活の土台である心と体の健康を届けたいと思ってやってきた。健康がないと生活の全てが崩れるようなものであるが、人が生きる意味は幸せになることだと僕は思っている。 しかし、日本は自分が幸せだと感じている人が少ない。これは生産性が向上したことにより、あらゆる面でゆとりができ『孤独・退屈・不安』が生まれてきたことが原因だと考えている」

「日本は21世紀の課題『孤独・退屈・不安』先進国だが、この問題に真剣に取り組んでいる プレイヤーがいない。『孤独・退屈・不安』は挑戦し、挑戦に関わることで解消される。 だからWEIN挑戦者FUNDは、挑戦する人、挑戦に関わる人を増やす国内No.1のエコシステム を構築し、21世紀の課題解決に挑む」(溝口氏)

「これまでの経験から日本のイノベーションの推進におけるスタートアップ企業の役割が 極めて重要との想いをもっている。退任のタイミングで溝口さんから要請を受けたことから、 WEIN挑戦者FUNDで日本のイノベーションを加速させるために参画した。日本のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)におけるオープン・イノベーションの 成果が出ないのも、『何がイノベーション』で『真の社会課題が何か』が定義されないまま 投資されているからである。今後は、大企業およびスタートアップの経営とマーケティング のアドバイザリーとして、大企業のイノベーションに貢献し、スタートアップ企業の成⻑を加速させていく」(高岡氏)

「これまで日米あわせて50社くらい投資してきたが、もっともっと挑戦者をサポートできる んじゃないか、という思いがあった。ただ、サッカーもやりながら、しっかりコミットする ことができないというジレンマがあった。今回は溝口さん、高岡さんと一緒に行うことで、組織的、体系的にスタートアップをサポート できるようになる。投資した後もコミットし続けるという強みが出せる」

「WEIN挑戦者FUNDでやりたいことは2つある。日本を代表する企業を輩出するようなファンド にしたい。そして、社会をよくしたいという起業家に集まってもらい、21世紀の課題解決 に挑みたい。僕は遠隔での関わりになるので、個人のファンドであるKsk Angel Fundで学んだことを活 かしながら、さまざまなオファーを受けたり、情報発信したりする面で力を発揮する。投資 の意思決定には関わる。日々の事業サポートは、溝口さん、高岡さんが力を発揮する。Ksk Angel Fundにくる投資案件の全てを、今後はWEIN挑戦者FUNDを通じて投資していく」(本田氏)

データクリーンアップのスタートアップ、インドネシア拠点のDelmanが約1.7億円を調達

ジャカルタに拠点を置くデータ管理のスタートアップであるDelman(デルマン)が、シード資金として160万ドル(約1億7000万円)を調達した。このラウンドはIntudo Venturesによって主導され、Prasetia Dwidharma VenturesとQlue Performa Indonesiaが参加した。調達資金は研究開発センターの設立ならびにソフトウェアエンジニアとデータサイエンティストの採用に使われる。

Delmanの設立は2018年である。創業者はカリフォルニア大学バークレー校の同級生である最高経営責任者のSurya Halim(スーリヤ・ハリム)氏と最高製品責任者のRaymond Christopher(レイモンド・クリストファー)氏そして最高技術責任者のTheo Budiyanto(テオ・ブディヤント)氏の3人だ。彼らは卒業後、Google(グーグル)やSplunkなどのシリコンバレーのテクノロジー企業で働き、その後インドネシア市場に注力することを決断した。

元々はエンドツーエンドのビッグデータ分析プロバイダーとして立ち上げられたDelmanは、インドネシアのクライアントと議論を重ねる中で、データの準備と管理にその焦点を移した。多くの企業は、高価なデータ分析ソリューションに予算を割り当てていたが、データが複数のフォーマットに分散しているために、分析が始められる状態にないことに気がついたという。Delmanの使命は、データをクリーンアップして準備することで、データエンジニアや科学者が仕事を簡単に行えるようにすることだ。

ハリム氏によると、インドネシアの大企業の多くは通常、データのクリーンアップと保管に最大20万ドル(約2200万円)ほどを費やしているが、Delmanはそれよりも費用対効果が高く、より迅速な代替手段を提供するのだという。

「私たちもクライアント向けに分析とデータの視覚化を行う能力を持っていますが、それを行う企業はすでに多すぎるほど存在しています。それこそが私たちが自分たちのビジネスモデルを、よりニッチで必要とされているものにシフトした理由なのです」とハリム氏は語る。「また、こうすることでデータ分析サービスを行うすべての企業とのパートナーシップへの扉を開くことができるのです」。

ハリム氏によると、新しい会社やスタートアップのデータセットは比較的きれいだが、多くの古いインドネシアの企業、特に複数の都市に支店がある会社は手書きの台帳、Excelのスプレッドシート、その他のソフトウェアに、分散した大量のデータを持っていることが多い。そうしたデータには、修正が必要なコード、キーワード、タイプミスが含まれる場合もある。

「新しい会社にとってはそれは比較的簡単です、なぜならすべてがすでに標準化されているからでう」とハリム氏。「しかし、1970年代に設立された会社が、前世代のデータを自身のシステムに統合して、将来のライバルと競争するために、顧客の行動についての記録を残したい場合には、データ駆動型のポリシーが必要になります」。

Delmanは業界に囚われておらず、そのクライアントは大企業やコンサルティング会社から政府機関まで、多岐にわたっている。その顧客にはPWCとQlueも含まれている。ハリム氏は同社が他の東南アジア市場への拡大を計画していると語る。そして、新型コロナウイルス(COVID-19)が人々の働き方を変えるために、企業はITインフラストラクチャへの投資を増やし、中央以外の場所からデータベースにアクセスしやすくすることを望んでいるのだと語った。

Intudo Venturesの創業パートナーであるEddy Chan(エディ・チャン)氏は、プレス発表の中で次のように述べている。「Delmanは高度にローカライズされたアプローチとグローバルな技術的専門知識を組み合わせることで、インドネシアのビジネスにインドネシアで開発されたビッグデータソリューションを提供し、最終的にはエンドユーザーにより良い結果をもたらしているのです。2017年にシリコンバレーでDelmanの創業者チームに会って以来、経営陣としての成長を目の当たりにしています、今後も起業家としての旅で彼らをサポートできることを楽しみにしています」。

画像クレジット:3alexd  / Getty Images

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(翻訳:sako)

YouTube KidsアプリがApple TVで利用可能に

家庭内で年齢カテゴリを設定したり、タイマーやその他のコントロールを表示したりできるビデオプラットフォームYouTube Kidsが、Apple TVで利用可能になった

現在利用可能な国の一覧をここに示すが、より多くの国が追加されて行く予定だ。YouTubeによれば、安全コントロール設定は引き続きアプリのモバイルバージョンを使って設定する必要があるという。

YouTube Kidsは、YouTubeの安全な代替手段を子供たちに提供することを目的としている。YouTube本体は、たとえ制限付きモードをオンにしていても、暴力的なコンテンツや、保護者や保護者が子供に見せたくないものを見せてしまうことがあり得るからだ。そうしたものには、一見子供向けに制作されたようにみえる動画などがある。しばしば、人気のある漫画のキャラクターが描かれているが、不適切なコンテンツで埋められているのだ。「エルサゲート」と呼ばれた2017年の騒動の後、YouTubeはそうしたコンテンツにさらなる注意を向け始めたものの、今でもそうしたコンテンツはプラットフォームが自動生成するおすすめの中に定期的に登場してくるのだ。

一般的にみれば、メインのYouTubeアプリは人気の高い子供向けチャンネルや教育コンテンツで溢れてはいるものの、子供にとって危険な場所となっている。2019年にYouTubeは、暴力的な行動を阻止するために動画へのコメントを無効 にしたが、児童オンラインプライバシー法(COPPA)の違反に関して連邦取引委員会(FTC)から1億7000万ドル(約183億円)の罰金も課せられた。COPPAは子供向け動画に新しいルールを導入するものだが、クリエイターたちはルールは混乱を招き、収益の損失につながっているという。

YouTubeは、ブランドをより家族向けにするために、YouTube Kidsの利用方法を拡大してきた。例えばFTCとの和解が公式に発表される前に 、同社はYouTube Kidsのウェブサイトを立ち上げている

しかしYouTube Kidsの動画は今でもほとんどがアルゴリズムでフィルタリングされているため、アプリに不適切なコンテンツが表示される可能性は残されている。しかし完璧ではないものの、YouTube Kidsには、特定の動画やチャンネルをホワイトリストに登録できる機能など、保護者が有害なコンテンツを子供に見られないようにするために役立つ機能を提供している。

関連記事:FTCの決定に先立ち、YouTube Kidsは独自のウェブサイトを開設した(未訳)

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(翻訳:sako)

Twitterがトランプ大統領のツイートに「要事実確認」の警告を表示

米国のニュース専門放送局であるMSNBCのホスト、Joe Scarborough(ジョー・スカーボロ)氏を殺人者だと非難するツイートをめぐる騒ぎを受けて、Twitter(ツイッター)は密かにトランプ大統領のファクトチェックを始めていた。

Twitterユーザーに「郵送投票に関する事実を確認して」と促す新たな警告マークを大統領の一連のツイートに表示されていた。ツイートの中で大統領は、郵送による投票は「不正だ」と根拠なく主張している。

TechCrunchへの声明でTwitterの広報担当は、大統領の2つのツイートは「選挙プロセスに関する情報をミスリードする可能性があり、郵送投票について追加の情報を提供するために警告マークが表示された」と述べた。

誤情報ポリシーに関する同社の最近のブログ投稿を指しながら「今回の措置は2020年5月初めに発表したアプローチに沿うものだ」と説明した。

警告をクリックすると、ユーザーはファクトチェックページに案内される。そこでは、「トランプは、郵送投票が選挙詐欺につながると根拠のない主張をしている」というヘッダーで大統領の偽の主張を暴いている。また、そのページでは要約としてミスリードするツイートの文言を箇条書きにし、CNNやHill、Washington Post、その他のメディアの記事へのリンクを貼っている。それでも警告そのものはツイートの主張を間違い、あるいはミースリードと呼ぶまでには至っておらず、その代わり中立的な表現を使っている。

郵送による投票は安全なプロセスだと専門家による一致した見方があるにもかかわらず、トランプ大統領はこの数週間、郵送投票を認める動きを罵倒してきた。郵送投票はすでに不在投票に広く使われているほど安全なものであり、5つの州が投票方法として選んでいる。

Twitterが2つのツイートに警告マークを表示したことに対し、トランプ大統領は米国時間5月26日夜に、Twitterを攻撃した。ツイートの中でトランプ大統領は「2020年大統領選挙への干渉だ」とTwitterを非難し、郵送投票は詐欺が横行すると根拠のない主張を繰り返し、はっきりしない報復でTwitterを脅している。

画像クレジット: Photo by MANDEL NGAN / AFP via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

フォーミュラEドライバーがバーチャルレースに替え玉を使いアウディチームから追放

Audi(アウディ)はフォーミュラEドライバーのDaniel Abt(ダニエル・アプト)氏をチームから追放した。先週行われたバーチャルレース競技の「Race at Home Challenge」で、プロのシミュレーションドライバーを替え玉に使ったことが発覚したためだ。

同社はフォーミュラEを通じて、Audi Sportはアプト氏を「直ちに」出場停止としたと伝えた。しかし、事態はもっと深刻で決定的なものだった。アプト氏は米国5月26日にYouTubeで公開されたビデオメッセージで、Audiが彼をチームから追放したと語った。

「今日アウディと話した結果、私との縁を切ると伝えられた」とアプト氏は語った。「もうフォーミュラEでともにレースをすることはなく、協力関係は終わった。これは人生でこれまでに味わったことのない痛みだ」。

14分間のビデオは、5月23日のバーチャルレースで起きたことを説明することが目的だったとアプト氏は語った。すべてはジョークのつもりで、レース後に打ち明ける予定だったという。

アプト氏は18歳のプロシミュレーションドライバーであるLorenz Hoerzin(ローレンツ・ホルジン)氏に、フォーミュラEバーチャルレースの第5ラウンドで代わりにプレイするよう依頼した。実際のフォーミュラEレースシリーズと異なり、このレースはファンを楽しませてユニセフに募金することを目的としていた。

ホルジン氏はレースで3着になった。しかし、レース後のインタビューにアプト氏が現れなかったことから、すぐに疑問が湧き上がった。

アプト氏はビデオで以下のように計画を説明した。

「話の中で、プロのシミュレーションレーサーが私の代わりに運転して、他の本物のドライバーたちに彼の能力を見せつけ、戦う機会を与えたらおもしろいだろう、というアイデアが浮かんだ」とアプト氏はいう。「これを記録して、ファンの喜ぶストーリーを作りたかった」。

アプト氏は後に「結果を出したまま黙っていていい格好をするつもりは決してなかった」と述べた。

アプト氏は1万ユーロ(約118万円)の罰金も課せられており、これは募金に贈られる。

声明ビデオの全編を下で見ることができる。

画像クレジット:Britta Pedersen/picture alliance / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Looking Glass Factoryが8Kホログラフィック・ディスプレイの出荷を開始

Looking Glass Factory(ルッキング・グラス・ファクトリー)が2018年8月に初のホログラフィックディスプレイを披露したとき、確かにかなり印象的なコンセプトだったが、コンセプトの実証以外の何物でもないように感じた。そして2019年11月、ブルックリンを拠点とする同社はホログラフィック技術を活用した8Kディスプレイを発表した。

さほど没頭するような感じではなかったが、フォームファクターは納得のいくものだった。解像度は3320万画素で、45エレメントのライトフィールドで3Dエフェクトを生み出している。筆者はCES会場のホテルのミーティングルームで現物を目にした。本当にきっちりとしている。価格は明らかにされていないが、あなたも入手することができる。

Looking Glassのウェブサイトで注文すると出荷されるようになった。狙っているマーケットは医療用画像、マッピング、自動車関連、建築、エンジニアリングだ。プレスリリースには、こうしたテクノロジーが意味するもの、今後進む方向について感激している業界人数人の声を掲載している。Epic GamesのCTOであるKim Libreri(キム・リブレリ)氏は次のように述べている。

メガネ不要のホログラフィックディスプレイを利用できるようになるというのは感動的だ。没頭感のあるコンピューターグラフィックス、視覚化、コンテンツ制作に取り組む人にかなりの期待を抱かせる。ゲームエンジンUnreal Engineが生み出したコンテンツのサポートで生まれるイノベーションを目にすることを楽しみにしている。

同社はサイトを通じてのリクエストに基づいて見積もり額を出す。これは、リモートワーク用に検討する人にとっては法外な価格になりそうだということを意味する。初期に示されたように、同社は企業を狙っている。最新のハードウェアに金をかける余裕のある組織だ。ゲームなど、より消費者に照準を当てたアプリケーションは今後展開されるかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi

パンデミックの最中に中国の食品配達大手Meituanが10.8兆円の評価額を達成

Meituan(美团、メイトゥアン)の株価は米国時間5月26日に過去最高を記録し、その評価額は1000億ドル(約10兆8000億円)を超えた。

香港に上場するこの大企業は、旅行と輸送もある程度手掛けつつも食品配達に注力している企業であり、評価額がこの記憶すべき大台に乗った中国で3番目の企業となる。Tencent(腾讯、テンセント)とAlibaba(阿里巴巴、アリババ)はそれぞれ2013年2014年にその大台を突破している。

Tencentが支援するMeituanは、第1四半期の売上高が計画よりも減少し、第3四半期連続の黒字の後に15.8億人民元(約239億円)の純損失を計上したが、5月26日には株価が138香港ドル(約1919円)まで上昇した。

全国的なロックダウンが食品配達の必要性を高めたのかもしれないが、中国の消費者たちは新型コロナウイルス(COVID-19)がきっかけで引き起こされた経済悪化の中で、引き締めも行っている。結果として、全体的な食品配達取引は減少している。Meituanはまた、パンデミックの最中に働く配達員たちにインセンティブを支払わなければならず、店舗が潰れてしまわないように補助金を支払わなければならなかった。

希望の兆しも見えている。Meituanの1日あたりの平均取引数は18.2%減少して1510万回になったが、注文ごとの平均価格は14.4%上昇している。これは、従来はオフィスワーカーの習慣と考えられていたデリバリー式の食事が、自宅隔離中の家族にとって当たり前のものになったからだ。第1四半期には、Meituanのフードデリバリーサービスに多数の高級レストランが加わった。それらはパンデミック後の時代でも、高額の注文を引き受け続けるだろう。

しかし現時点では、Meituanの幹部は新型コロナウイルスによってもたらされた不確実性について警告を発している。「残りの2020年では、進行中のパンデミック対策、オフライン消費活動に対する消費者の信頼の不足、および店舗閉鎖のリスクなどの要因が、引き続き当社の業績に潜在的な影響を与えると予想しています」。

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(翻訳:sako)

“遊び”のスタートアップPLAYLIFEが約1.1億円調達、オンライン体験で組織課題を解決する新サービスも

遊びの情報に特化した体験共有メディア「PLAYLIFE」を展開するプレイライフは5月26日、環境エネルギー投資、みずほキャピタル、静岡キャピタル、HRテック投資事業有限責任組合、ドーガンベータ、オプティマ・ベンチャーズおよび個人投資家から総額で約1.15億円を調達したことを明らかにした。

PLAYLIFEはユーザーが実際に体験した遊びのプランを実名で投稿するウェブメディアだ。現在同サイトには2万件を超えるコンテンツが投稿されていて、デート、旅行/観光、ランチ/グルメなど目的やエリアに応じてさまざまなプランを検索できる。

特徴や立ち上げの経緯については以前の記事で紹介しているのでそちらに譲るが、ピーク時には月間約400万人が利用するメディアに成長(今は新型コロナウイルスの影響で数字自体は少し減っているとのこと)。現在はメディアの運営を通じて培ってきた遊びのノウハウやコンテンツ制作のナレッジを活かして複数の事業を運営している。

その1つがPLAYLIFEから派生した宿泊施設向けのプロモーションサービスである「コトプロ for ホテル」だ。このサービスでは体験取材のプロが実際にホテルや旅館を訪れて記事コンテンツを作成し、それを軸とした広告運用なども含めてプレイライフがまるっと集客支援を行う。小さい子どものいる家族やカップル、夫婦など細かくターゲティングした上でPLAYLIFEでの知見を用いた“凝ったコンテンツ”を作れるのが特徴で、約半年前からスタートしてから実際に成果も積み上がってきている状況だという。

プレイライフ代表取締役CEOの佐藤太一氏によるとコトプロに関しても現在は一時的にペンディングしているそうだが、コロナが落ち着いた後にはホテル業界を再び活性化すべく同事業に力を入れる計画だ。

またコトプロと並行して、月額2800円でさまざまな“部活”をオンライン上で楽しめるサブスクサービス「バヅクリ」の運営にも今後より積極的に投資をする。同サービスは2019年8月に遊びのサブスク「遊部」としてスタート。おとなの図工部、筋トレ部、マインドフルネス部、釣り部、寿司部、ドローン部などその領域のプロである“部長”から直接エッセンスを学べるのが特徴だ。

当初は毎月オフラインのイベントを開催するコミュニティとして運営していたが、現在はオンラインに特化して月10回以上のイベントを開催。たとえば住職のレクチャーに合わせてオンライン上でマインドフルネスを実践したり、寿司職人に教えてもらいながらビデオ通話越しにみんなでにぎり寿司体験をしたりといったように、ユーザーは月額定額で好きなイベントに自由に参加できる。

「PLAYLIFEを通じてさまざまな遊びの情報を蓄積してきた中で、近年はそのノウハウを使って企業向けに遊びの体験をプロデュースする事業も行なっている。そこで磨いてきた『コトを作るノウハウ』を活かした自社事業をできないかと考えた結果、バヅクリの前身である遊部に行き着いた。PLAYLIFEで発信していた情報から一歩踏み込み、『人と人との繋がり』によりフォーカスした事業を作りたいと考えていたこともあり、誰と繋がるかに重きを置いたサービスになった」(佐藤氏)

今月バヅクリとしてリブランディングを行なったばかりでまだユーザー数自体はそこまで多くないものの、百数十数名が参加し徐々に活発なコミュニティが形成され始めているとのこと。特に新しい趣味や繋がりを探したいという単身者・単身赴任者を中心に人が集まっていて、活動中の部活も20個近くになっている。

プレイライフは先生となる専門家の選定から実際のイベントの企画や集客までを総合的にプロデュースする役割を担うが、今後は個人向けだけでなく「法人向けバヅクリ」の展開も進めていく計画。今回調達した資金についても主に同事業の立ち上げに向けた体制強化とコンテンツ強化に使っていく予定だ。

法人向けのサービスは会社がアカウントを購入することで、社員が無料でバヅクリに参加できるというもの。20人以上が参加する場合には特定のイベントを1社で貸し切ることができるほか(その場合はプレイライフがイベントの補填を行うそう)、企業ごとのオリジナルイベントを提供する有料オプションも設けるという。

「これまで培ってきたノウハウを会社や組織向けに転換していくことで、エンゲージメントの向上やコミュニケーションの活性化などに繋げていけるのではないかと考えた。複数の企業にヒアリングをしてみても、リモートワーク環境になったことで今まで以上にコミュニケーション不足や帰属意識の低下、外出自粛によるストレスの増加などが課題となってきている」

「一方で毎回社内でオンラインイベントを企画するのは担当者の負担が大きい。バヅクリではリアルタイム参加型の対話と学びと交流が生まれる体験プログラムを提供することで、オンライン環境であってもチームに一体感が生まれるような機会を作っていきたい」(佐藤氏)

プレイライフは2013年6月の設立。これまでに複数回の資金調達を実施しており、今回も含めると累計調達額は約3億円となる。

こだわりコーヒーが平日毎朝自宅に届く、「TAILORED CAFE」が月額定額のサブスクデリバリー開始へ

おいしいコーヒーを毎朝自宅まで届けてほしい——。東京都内のごく一部地域という条件付きではあるけれど、そんな“stay home”中のコーヒー好きの要望に応えるサービスが6月1日にスタートする。

同サービスを手がけるのは今年2月に麻布十番にオープンした「TAILORED CAFE(テイラード カフェ)」だ。以前にも紹介した通りこのカフェを運営するカンカクは、コミュニティファクトリー創業者で元メルペイ取締役CPOでもある松本龍祐氏が立ち上げた。

TAILORED CAFEは専用のモバイルアプリから事前注文しておくことで待ち時間なくコーヒーを受け取れる完全キャッシュレスカフェ。月額3800円を支払えば通常1杯400円のスペシャルティコーヒーが飲み放題になる「サブスク型のメンバーシッププラン」を提供しているのも特徴で、こちらについては約1ヶ月で累計600人が加入したという。

このメンバーシップは来店するユーザーを対象としたものだったけれど、6月より始まる「WEEKDAY COFFEEプラン」は自宅でコーヒーを楽しみたいユーザーを対象にしたサブスク型のデリバリーサービスだ。具体的には月額6800円(税別)を払うことで、平日8時〜10時までの時間帯にファストブリュー(通常500円)もしくはコールドブリューのラージサイズ(通常600円)1杯を自宅まで届けてくれる。

6月1日時点ではTAILORED CAFE麻布十番店から2.0km圏内が対象。本日より事前登録の受付を開始し、まずは30名を限定にサービスを提供する。配送は自社の配送スタッフが自転車で行うとのことだ。

またサブスクデリバリーと合わせて通常のデリバリーも始める。対象エリアは同じく麻布十番店から2.0km圏内で時間帯は8時〜14時まで。送料は購入金額が1000円未満の場合には550円、1000円以上の場合には330円でメンバーシップ会員や朝の時間帯向けには特典も提供する。

「もともとカフェを立ち上げたのも自分自身が以前オフィスビルで働いていた際に毎日カフェに通っていて、その体験をもっと良くしたいと思ったことが大きい。その1つのアイデアとしてプロの淹れたコーヒーが毎朝家に届けば最高の体験になるのではないかと考えた」

「(外出自粛や企業のリモートワークが進む今の状況下では)どうしても家でずっと仕事をしていると時間の切り替えが難しかったりもする。朝の決まった時間にコーヒーが届いて、それを受け取って飲んだら仕事を開始するといったような形で、Work From Homeの環境下において良いライフスタイルを実現するためのきっかけになれば嬉しい」(松本氏)

店舗ビジネスのDXを支援する「はたLuck」運営が7.6億円を調達

店舗マネジメントツール「はたLuck」を展開するナレッジ・マーチャントワークスは5月25日、GMO VenturePartnersや三井不動産のCVCファンド(グローバルブレインが運営する「31VENTURES Global Innovation Fund 1 号」)などを引受先とする第三者割当増資により総額7.6億円を調達したことを明らかにした。

本ラウンドはシリーズBに該当し、同社にとっては2018年9月に2.7億円を調達して以来のもの。累計調達額は約10.3億円となった。

はたLuckは小売や飲食、サービス業などリアル店舗・施設を展開する企業の生産性向上をサポートする領域特化型のSaaSだ。現在は複数店舗を構える大手企業を中心に数十社へサービスを提供。店舗で行われる日々のコミュニケーションからマニュアル教育、情報の引き継ぎ、シフト作成などの各種機能を1つのアプリに搭載することで、現場の業務効率化を後押しする。

同サービスの顧客に共通するのは交代勤務制のアルバイト(ナレッジ・マーチャントワークスではシフトワーカーという表現をしている)が活躍する現場であること。曜日や時間帯によって様々なメンバーが入れ替わりで仕事をする状況において、常に高いクオリティを担保することが求められる企業たちだ。

ナレッジ・マーチャントワークス代表取締役の染谷剛史氏によると、そういった現場ではデジタルシフトが十分に進んでおらず、メンバー間の情報共有やコミュニケーションは現在でも「紙の大学ノート」が主流なのだそう。一部のコミュニケーションにはLINEなども使われてはいるものの、非効率な部分も多くアップデートの余地が大きいという。

「シフトワーカーが軸となって運営されている職場では、パズルのように人を組み合わせながら365日に渡ってサービスの品質を守っている。そのためには日々の情報交換や引き継ぎを相当しっかりやる必要があるが、近年は人手不足に加えて『好きな曜日に少しだけ働きたい』という働き手が増えていることもあり、2000年代初頭は30人で回っていたところが70人いないと回らないような状態だ。その現場をマネジメントする負担がかなり大きくなっている」(染谷氏)

はたLuckの特徴は、各スタッフが保有するスマホ上で日々の業務管理や情報共有が完結する点にある。染谷氏の話では「シフト作成ツール」など1つ1つの機能を見れば既存のサービスも存在するが、今まではそれぞれが連携していなかったために大きな効果が見込めなかったり、顧客にとって高コストになっていたりした。

はたLuckではそれらを1つのアプリに集約。利用店舗数とユーザー数(1ID200円)に応じて柔軟に導入できる形で提供する。

「たとえば教育の機能とシフト作成機能が連携することでメンバーのスキルを考慮した最適な人員配置が実現できるといったように、個々の機能が繋がることで本当の意味での業務効率化が実現できると考えた。その結果として必要な仕組みを網羅したオールインワンサービスというアプローチをとっている」(染谷氏)

はたLuckは店長のマネジメント業務の負荷軽減、ワーカーの業務効率化を実現するだけでなく、複数店舗を管理するSV(スーパーバイザー)の業務改善にも貢献する。

従来本社からは見えなかった“各ワーカーのスキルや貢献度”などのデータをアプリを通じて可視化することで、それを集約した各店舗の戦力値をスコアにして比較・分析することも可能に。たとえばA店に比べてB店の業績が悪い場合に「具体的にどこで違いが生じていて、改善するためには何をすればいいのか」がわかる。

今までは何も見えていなかったが故に「店長の責任」とされがちだったが、はたLuckの場合は全体の状況を俯瞰しながら各店舗ごとに適切な打ち手を講じられるのがポイント。今後は「SV pro」のような形で、高度な分析のできる管理者向けダッシュボードの開発も進める。

はたLuckの顧客はショッピングモールに出店している企業も多いため、予定していた全店舗展開の計画が遅れるなど「直近では少なからず新型コロナウイルスの影響も受けている」(染谷氏)そう。一方でスーパーマーケットやドラッグストアなど業界によってはむしろ需要が増えているところもあり、今はそういった業界に絞る形で事業を展開しているという。

中長期的にはアプリから取得できるデータだけでなく、顧客の購買プロセス、売り場づくり、販売方法などに関するさまざまな情報を統合して分析できるデータベースプラットフォームの構築を目指していく計画。並行してSMB向けの機能開発にも取り組んでいく方針だ。

【マイク編】自宅のテレビ会議環境を最大限に活用する方法

サウンドがリモートの世界を動かす

在宅勤務がすぐに無くなってしまうことはない。そして多くの企業が、リモートワークの実践を、延長または永続化するための、長期的な取り組みを発表している。ということは、現在の自宅のビデオ会議環境を、さらに改善する絶好のチャンスだと捉える人もいるということだ。そこで私たちは、様々な基本要素を詳しく眺めて、読者の方々ビデオ会議やライブ放送の改善に役立つものは何かという探求を始めた。今回取り上げるのは、オーディオに関するものだ。

マイクの基本

前回の特集では、MacまたはPCが単体で生み出すものよりも優れた音を得ることができる、素晴らしい入門レベルのアドオンマイクにスポットを当てた。その中の1つに挙げられたのが、USBを介して直接接続することが可能で、カスタマイズを必要とせずに素晴らしいフルボディのサウンドを得ることができる、ロングセラーのSamson Meteor Mic(サムソン・メテオ・マイク)だ。

また、シンプルで安価なワイヤレスマイクキットのRode Wireless GO(ロード・ワイヤレス・ゴー)も挙げられる。これは単体で使用することもできるし、Rode Lavalier GO(ロード・ラベリア・ゴー)などの小型マイクロホンと組み合わせて多少音質を向上させることもできる。Rodeはまた、Meteor Micと同様に、優れたUSBマイクも提供している、素直に動作して100ドル(約1万800円)程度の価格で売られているRode NT-USB Miniだ。Meteor Micと比較すると、特定の環境での利用をより柔軟にするための、マグネット式デスクスタンドのようなデザイン上の特徴を持っている。そして生み出すサウンドもまた素晴らしいものだ。

Rode Wireless GOの環境をより改善するために、もしく有線小型ウェアラブルマイクをコンピュータやオーディオインターフェースに直接接続して使うために、Sennheiser(ゼンハイザー)から優れた選択肢がいくつか提供されている。それは、たとえどのような使い方をしたとしても、わずかながらもはっきりと認識できる音質の向上をもたらす。

Sennheiser MKE Essential Omni(ゼンハイザー・MKE・エッセンシャル・オムニ)は、舞台制作やその他のプロフェッショナルな現場でよく使用される優れたピンマイクで、その小ささによって、付属のクリップを使用して衣服や髪の毛にさえ簡単に隠すことができる。あるいはイヤーセットホルダーに装着して、口に近い頬の位置に置くこともできる。装着方法によって若干異なるサウンド特性が得られることになるが、大抵の場合は素晴らしく温かみのあるサウンドが得られる。またコストも200ドル(約2万1500円)程度であり(サウンド機器の相対的価格としては)それほど高価ではない。

SennheiserのME 2-IIも、優れた結果を得られるまた別の低コストオプション(129.95ドル、約1万4000円)で、Rode Wireless GOなどのワイヤレストランスミッターと一緒に使うことができるが、MKE Essentialに比べると温かみや存在感がやや劣る。

サウンドに真剣に取り組む

ハイエンドの装着型小型マイクは、その時点で既に高額な領域に入り始めるが、ほとんどのオーディオ機器と同様に上をみたらきりがない。これは、ショットガンマイクにも当てはまる。これは、最高のサウンドを求めるためのまた別のオプションであり、画面の中に見苦しいマイクを写したり、(ピンマイクなどの)物理的に非常に小さなマイクを使うことによるある程度の音質トレードオフを受け容れたり、といった妥協を排することができる。

前回の投稿では、Rode VideoMic NTGをオプションの1つとして利用することについて説明した。これは、実際に試してみるのに最適なミドルレベルのショットガンマイクだ。そして内蔵バッテリー、コンパクトなサイズ、そして最新のさまざまなカメラとのインテリジェントな互換性によって、野外でカメラと組み合わせて利用する際の様々な利便性も備えている。

しかし、ホームスタジオで使用する場合に限れば、その用途にはるかに適したショットガンマイクがある。Rode NTG3が個人的なお気に入りだ。そしてそれは正当な評価によって、放送および映画業界でも人気のある標準だ。NTG3は、標準XLR出力を備え、48Vファンタム電源を必要とする筒状のマイクであり、カメラが固定位置に置かれ演者もどちらかといえば固定位置にとどまっているようなケース(すなわち大多数のひとの自宅作業環境)の動画撮影時には完璧だ。

とはいえ、Rode NTG3は多少お値段が張る ―― 699ドル(約7万5000円)だ。これは非常に高品質な標準のポッドキャスティングマイクよりも高価である。だがその価格に見合うだけのことはある、(必要があればだが)屋外での撮影用に向く耐湿性を備えた非常に高品質のハードウェアを手に入る。そしてカメラの視野から離れたところに設置されていてもそのサウンドは非常に優れたものだ。

また、そのピックアップパターンは超単一指向性だ。つまり、直接正面のサウンドを拾うことに関しては優れているが、側方からのサウンドはあまり拾わないということだ。これは、ロケ地での映画撮影と同じように、ほとんどの共有ホームオフィス空間では有利な性質である。

人気が高くより低価格で入手可能な、別のおすすめオプションは、Sennheiser MKE 600だ。価格はNTG3の約半分の価格である約330ドル(3万6000円)で、外に持ち出してカメラに接続したい場合に備えて、バッテリーが内蔵されている。ただしこれもXLRを使用しているため、コンピューターと一緒に動作させるためには、Focusrite 2i2や、最近リリースされたAudient EVO 4など(もしくは私のようにBlackmagic ATEM Miniのような機材を使っているならiRig Preなど)のプリアンプが必要だ。

MKE 600からのサウンドもトップクラスには違いないが、NTG3が持っているような自己ノイズの排除や、より深い声に適した深く豊かなトーンをキャプチャする能力には劣る。下のビデオでは、両方のショットガンマイクとSennheiser MKE Essentialを比較したものを確認できる。

 

また別のオプションは、一般にはポッドキャスターやラジオのパーソナリティが使っているところを見ることができる、ポールまたはブームに取り付けられたマイクを使用することだ。こうしたオプションには、Shure SM7Bなどの人気機種が存在している(その特徴的な形状からすぐに気がつくだろう)。私はオーディオポッドキャストの 自宅録音の一部をShure Beta 87A超単一指向性マイクで行っているが、下のビデオでもわかるように、無調整のままでも非常に優れたサウンドを提供してくれるにもかかわらず、ライブのビデオ会議やミーティング、そしてイベントなどでこのマイクを使うことをためらわせる理由がある。

 

もちろん、他にもさまざまなオプションがある。RodeとSennheiserの両方に価格の異なるオプションがあり、それらのほとんどは、支払った費用に見合う優れた品質を提供してくれる。オーディオの性質は、高音域、低音域、バランスのとれた音など、好みが分かれる非常に個人的なものだ。そのため自分に合うものを見つけるためには、多くの比較を行い、サンプルを聴く必要がある。

まとめ

結局のところ、映画やビデオ業界で定評のある質の高いブランドにこだわることが、自宅環境を最大限に活用するための優れた方法だ。上記で私が使用しているようなマイクには、さらに物理的な防音措置を施すメリットがある。例えばカーペットやタオルを敷くといった極めて簡単なものから、気泡パッドのような防音素材を買って壁に貼り付けるなどの手段だ。

サウンド はおそらく、ビデオ会議や仮想イベントの設定の中でも最も問題が発生しやすい部分だ。これは科学であると同時にアートでもあり、特にライブ環境では、最高の機器を使用しても制御が難しい変数がたくさんある。しかし、そこをさらに先に進んで行くことで、洗練されたプロフェッショナルに見えるのか、準備不足にみえるのかの違いが現れることになる。そのことはこの先増えて行く仮想フェイス・トゥ・フェイスワールドで差をつけることになるだろう。

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(翻訳:sako)

IoT投資会社としてのXiaomiの投資先が300社超え

安価なスマートフォンとコスパの良いガジェットで有名な中国のXiaomi(シャオミ)の5月21日の開示書類で、同社の投資先が3月末時点で300社を超え、その簿価が323億元(約4900億円)であること、第1四半期だけで投資売却益(純額)を2億2590万元(約34億円)計上したことが明らかになった。

エレクトロニクスの巨人である同社は、モノのインターネット、つまりIoTのエコシステムを構築するという野心に忠実に動いてきた。同社の投資の大部分は、提供する製品の幅を拡げることであろうと、デバイスを補完するコンテンツとサービスのライブラリを構築することであろうと、戦略的シナジー創出を目的としている。問題は、Xiaomiのハードウェアの品ぞろえが、同社が求めるタイプのサービス収入を生み出しているかどうかだ。

サービスのマネタイズ

Xiaomiの創業者である雷軍(Lei Jun)氏は2013年に、5年間でハードウェア企業100社に投資すると宣言した。狙いは、安価で競争力のあるデバイスによって広大なネットワークを築く過程で獲得した多数のユーザーに、フィンテック製品やビデオゲームなどのインターネットサービスを売り込むことだ。

そのためXiaomiは製品のマージンを非常に薄くしており、投資先やサプライヤーをがっかりさせることもある。売上のほとんどをスマートフォンやその他のハードウェアデバイスからを得ており、そのビジョンはまだ具体化されていない。ただ、第1四半期のサービス収入は売上高合計の12%にすぎないが、前年比では38.6%増加した。

今やXiaomiはあらゆる種類の日用品を販売するデパートに進化し、電子機器にとどまらず、文具、台所用品、衣料品、食品など、Mujiで見るようなものまでカバーするようになった。Xiaomiはスマートフォンなどの特定の製品は自社で製造し、その他の製品は資本提携先や単に販売契約を結ぶ第三者との利益分配モデルを介して調達している。

資本のゲーム

Xiaomiの販売網へ参加すべきか否か、多くの消費者製品メーカーが態度を決めてかねている。同社の巨大なeコマースチャネルや実店舗のネットワークを使えば世界中の何百万もの消費者にアプローチできるものの、利益の圧迫とXiaomiブランドへの過度の依存が心配だ。

そのため、Xiaomiを通じて販売する多くの企業も独自の製品ラインナップを用意している。XiaomiのMi Bandスマートウォッチを供給するナスダック上場のHuamiには、Fitbitに相当する独自のAmazfitウェアラブルがある。中国版ナスダックのSTAR Marketに上場している自動掃除機メーカーのRobotockは、XiaomiのMi Home掃除機を1年間製造した後に自社ブランドを展開し始めた。

新型コロナウイルスによる景気低迷が迫り来る中、キャッシュフローの流動性確保のためXiaomiや他の投資家に向かう製造業者がますます増える可能性がある。

またXiaomiは決算開示書類で、主要サプライヤーであるZimiの株式の27.44%を追加取得し、同社の持ち分を合計で49.91%保有することになったと発表した。この買収により、次世代モバイルブロードバンドテクノロジーとAIを活用したIoTの略語である「5G + AIoT」におけるXiaomiの競争力が高まると同社は述べている。Zimiにとってこの投資は、現在の困難な状況下で感じている財務面での圧力を多少緩和する可能性がある。

中国のIoT業界における競争は5Gネットワ​​ークの展開をめぐって激化している。5Gネットワ​​ークには幅広い種類のデバイスを接続することができる。多くの分野に手を出すAlibaba(アリババ)は今週、100億元(1500億円)を投じてAlexaのようなスマートボイスアシスタント「Genie」を立ち上げると発表した。これは、Alibabaのeコマースエクスペリエンス、オンラインエンターテイメントサービス、パートナーが提供する消費者向けハードウェアと統合される予定だ。

画像クレジット:Xiaomi via Weibo

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(翻訳:Mizoguchi

Boxでも2021年まで従業員の在宅勤務が可能に

リモートの長期化を計画している企業が、また1社増えた。Boxだ。

米国時間5月22日の朝、BoxのCEOであるAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏は、今後も同社は「デジタルファーストの企業であり続ける」と発表した。具体的に同社が何をどうするのかはまだよくわからないが、重要なことのひとつは、Boxの社員は少なくとも2021年の1月まで「どこから仕事をしてもよい」ということだ。

オフィスを完全に捨てる、という意味ではない。今回の変化に関するブログ記事でレヴィ氏は、オフィスで仕事をしたい人はたくさんいる、また会社もオフィスというハブがあることの意義を十分に承知している、と書いている。彼によるとその意義とは「人と人が直接会えること、教え合えること、ネットワーキングとクリエイティビティが生まれること」だという。そこでBoxは、オフィスにも人がいるというハイブリッド方式を目指す。一方、今後の全社会議はすべてバーチャル、リモート雇用のための面接や新人研修は適宜調整、そして自分のホームオフィスを構えたい社員にはそのための経費を助成する。

このところ、在宅勤務やリモートワークを有効だと考える企業がますます増えているが、まだその本気の程度には差がある。BoxはGoogle(グーグル)やSpotifyと同じく2021年まで公式に認めるとしている。一方、SquareやTwitterは、それを恒久的な方針にした。

レヴィ氏は米国時間5月28日のExtra Crunch Liveでインタビューに応じる。その詳細はこちらに

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa