ビジネス動画編集クラウドVideo BRAINが視聴分析含む動画配信機能追加、作成した動画を自社サイトなどに埋め込み可能に

オープンエイトは11月15日、クラウド型ビジネス動画編集「Video BRAIN」(ビデオブレイン)に、作成した動画を自社サイトなどへ表示させることができる配信機能と視聴回数や平均視聴時間などが分析できる機能をリリースした。

Video BRAINは、AIのサポートにより誰でも簡単にストーリー性のある動画を制作できるクラウドサービス。今回追加された機能により、Video BRAIN上で発行されたHTML埋め込みタグを自社サイトなどに貼り付けるだけで動画プレイヤーが設置できるようになり、閲覧者側は再生ボタンをタップするだけで視聴可能となる。動画投稿サイトの埋め込み動画とは違い、広告が表示されたり、関係のない動画がリコメンド表示されたりといったことはない。動画ファイルはVideo BRAIN側のセキュアな環境で保存されるため、動画コンテンツを保存しておくストレージや配信用のサーバーを用意する必要もない。

また、SNS投稿・分析サービス「Insight BRAIN」が動画視聴分析にも対応。HTML埋め込みタグを利用し公開した動画や公開用URLにより発行した動画に関して、視聴回数や平均視聴時間など視聴に関するKPIがリアルタイムに可視化および分析可能になった。分析情報は、CSV形式ファイルとして書き出し可能。

これら機能による配信と分析の利用イメージとしては、自社サイトでの動画版プレスリリース公開、またメディア側にHTML埋め込みタグを送付し記事内に貼り付けてもらうなどを挙げている。採用向けHRコンテンツ、オンラインイベント向け資料動画、マニュアル動画などの配布と視聴ログ計測などにも活用できるという。

2015年4月設立のオープンエイトは、「AI × SaaSであらゆる企業の情報流通戦略の成長ドライバーとなる」ことをコンセプトとするコンテンツテクノロジーカンパニー。動画広告事業および動画メディア事業で培った動画コンテンツ制作・配信ノウハウとAI技術を組み合わせ、Video BRAINやInsight BRAINを開発した。また、自然言語処理とコンピュータービジョンを中心とする独自のAI技術を有し、「OPEN8 CORE TECHNOLOGY」としてアルゴリズム・ソフトウェアモジュール群をAPIの体裁で提供している。

ドコモとエアバスが高高度無人機Zephyr Sを使い高度約2万メートルの成層圏から電波伝搬測定実験を実施

ドコモとエアバスが高高度無人機Zephyr Sを使い高度約2万メートルの成層圏から電波伝搬測定実験を実施

高高度無人機(HAPS)「Zephyr S」(ゼファーエス)離陸時の様子

NTTドコモは11月15日、エアバスの高高度無人機(HAPS)「Zephyr S」(ゼファーエス)を使った高度約2万mの成層圏から地上の受信アンテナへのUHF帯電波伝搬測定実験を実施し、成層圏から地上のスマートフォンなどへの通信サービスの実現可能性が実証されたことを発表した。

実験は、2021年8月25日から9月13日までの20日間、アメリカのアリゾナ州ユマにて行われた。飛行中のゼファーから地上のアンテナに向けてUHF帯の電波を送信するというものだが、距離、天候、ゼファーの飛行パターンなどさまざまな条件下で測定が行われた。また、高高度無人機1機に対して接続するユーザー数が増えれば、それだけ帯域幅が狭くなりスループットが低くなることから、スループットを3段階に変えて汎用性の検証も行った。

さらに、通常は2GHzなのに対して、速度は落ちるが長距離の通信が可能な450MHzの電波を使った実験も行われ、約140kmの長距離接続も試みられ、成功した。これらの実験により、UHF帯の電波を使う高高度無人機と地上のスマートフォンの直接通信において、十分な通信品質が実現可能であることがわかった。

ドコモとエアバスが高高度無人機Zephyr Sを使い高度約2万メートルの成層圏から電波伝搬測定実験を実施

山間部、離島、海上など、地上にはまだネットワーク接続が困難な地域がある。また、災害対策、イベントなど人が密集する場所での通信容量の確保、建設現場での重機の遠隔操作などにも非地上ネットワーク技術への期待が集まっているが、この実証実験の成功により、そうした地域への通信サービス提供への可能性が広がった。

ちなみにこの実験で、ゼファーは最高到達高度7万6100フィート(約2万3195km)を記録し、国際航空連盟(FAI)公式の世界記録を樹立した。この記録も含め今回の飛行により、成層圏の極低温環境でも持続的なネットワーク提供が可能であることが実証された。

データサイエンスでストーリーを分析・編集し人気作品を生み出す自費出版プラットフォームの独Inkitt

パンデミック渦、本の売り上げが上昇した。それにともない人々の読書量も増えているInkitt(インキット)は誰もがストーリーを書いて公開できる同名の無料プラットフォームを運営しているスタートアップだ。同社はさらにデータサイエンスを用いてそこに掲載されたストーリーを分析し、選ばれたストーリーを別の有料アプリGalatea(ガラテア)で長編作品として発表するという仕組みをとっている。この絶好の時期を捉え、同社は5900万ドル(約66億円)の資金調達を達成した。シリーズBでの評価額は公表されていないが、筆者が信頼できる情報源から得た情報によると、3億9000万ドル(約436億円)程度だという。

ベルリンを拠点とするInkitt。今回の資金調達はアルゴリズムとテクノロジーの構築を継続するために使用される予定だ。無料アプリから有料アプリに飛躍させる長編作品の選択、ストーリーの方向性のバリエーションのA/Bテストを行う「編集者」としての役割など、ストーリーのキュレーションは人間ではなくすべてアルゴリズムによって行われるため、アルゴリズムとテクノロジーの構築はとても重要な要素になる。また今回の資金は、特に北米市場へのさらなる進出に向けたより多くの人材雇用のために使用される予定だという。さらに、長期的にプラットフォームを拡張する方法についても検討をすすめている。そのためには読書以外のフォーマットも含まれる可能性があり(例えば現在オーディオにも着手し始めている)、またAPIやSDKを構築し、他の出版社などがこのツールを使って書籍化の可能性のある短編作品をテストできるようにするというようなことも考えている。

Inkittはここ数年間著しい成長を続けている。同社は現在700万人のユーザー(つまり読者)と30万人のライターのコミュニティを抱えており、筆者が前回の資金調達ラウンドを取材した2019年の時点では、160万人の読者と11万人のライターだったので、約3倍に増えていることになる。一方、有料のGalateaアプリのランレートも3800万ドル(約42億5000万円)を超えている。2年前はわずか600万ドル(約6億7000万円)だったため、この数字は6倍以上である。

同スタートアップは出版業界のさまざまな企業からも注目されており、今回のラウンドに投資する企業の顔ぶれがそれを物語っている。

NEAのマネージングジェネラルパートナーであるScott Sandell(スコット・サンデル)氏と、ドイツの出版大手Axel Springer(アクセル・シュプリンガー)が今回の投資を共同で主導。これまでにPenguin Books(ペンギン・ブックス)のCEOを務め、Disney Publishing(ディズニー・パブリッシング)を立ち上げたこともあるDisney(ディズニー)の元上級幹部で現在Snap(スナップ)の会長であるMichael Lynton(マイケル・リントン)氏の他、Macmillan(マクミラン出版社)などを所有し、自身の名を冠した出版大手の会長を務めるStefan von Holtzbrinck(ステファン・フォン・ホルツブリンク)氏、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、HV Capital(HVキャピタル)、Redalpine(レッドアルピン)、Speedinvest(スピードインベスト)などが参加している。ちなみにKleinerはInkittのシリーズAを主導している。

このプラットフォームに参加している作家(少なくとも最初の章がInkittのアルゴリズムに合致し、それを読者に響くような長編作品に仕上げた作家)も、かなり大きな数字を達成しており、その中にはおとぎ話のようなサクセスストーリーもいくつか含まれている。

インドの中でも貧しい州の1つであるオディシャ州出身のSeemran Sahoo(シームラン・サフー)氏は、スマートフォンのみを使用してInkittに発表した小説「The Arrangement」でこれまでに270万ドル(約3億円)を稼いでいる。イスラエルのSapir Englard(サピア・エングラード)氏は、当初Inkittで発刊した「The Millennium Wolves」の収益を、ボストンのバークリー音楽院の学費に充てたいと考えていた。米国の高等教育機関の学費は高いものの、それでも彼女はその目標には十分すぎるほどの額を達成、これまでに小説で800万ドル(約9億円)を稼いだという(注:いずれもInkittの前回の資金調達ラウンドの前に出版されたものであり、彼らはその後も売り上げを上げ続けている)。

この2人は異例の成功だが、Inkittの創業者兼CEOのAli Albazaz(アリ・アルバザズ)氏(下記写真)は、Galateaに選ばれた人のほとんどが、他の出版環境に比べて非常にうまくいっていると話している。

「Galateaの作家の大半は10万ドル(約1100万円)以上の売り上げを記録しています」と同氏はいう。しかし、今は書籍、それも特に超大作がInkittの活動の中心にあるわけだが、同社の今後の大きなビジョンは単なる読書に留まらないとアルバザズ氏は話している。同社はオーディオブックの開発にも着手し始めており、映画、テレビ番組、マーチャンダイジング、ゲーム、さらにはテーマパークの開発も計画しているという。「21世紀のディズニー」というのは同氏の言葉である。

Inkittの創業者兼CEOのAli Albazaz(アリ・アルバザズ)氏(画像クレジット:Inkitt)

同社の道のりは一貫して順調だが、猛スピードでことが進んでいるわけでもない。これはアルバザズ氏が2019年に語ってくれた通りのシナリオである(しかし当初のプランから変わってきたものもいくつかある。例えば当初Galateaのユニークなセールスポイントには、本に付加する一連の「エフェクト」、つまり読書体験をより没入的にするための音や揺れがあった。これらエフェクトは今でも存在はするが、もはやすべての中核的な存在ではないようで、今回の我々の会話の中でアルバザズ氏もエフェクトについては後付けの要素としか言わなかった)。

なぜディズニーのビジョンがまだ実現されていないのかというと、パンデミックがあったから、というのが公平な言い分である。それに「Move fast and break things(すばやく行動し破壊せよ)」という考えがいつも正解なわけではない。

アルバザズ氏によると、同社には「テレビや映画、制作会社からGalatea / Inkittの本に対するコンテンツベースの依頼が毎週2〜4件きている」とのことだが(出版社であるInkittは映画化などの権利を保有している)、まだどれも契約には至っていない。その理由の1つはこのディズニーのアイデアにある。Inkittは次なるステージでも大きな役割を果たしたいと考えているからだ。

「何がベストなのかを検討中です。我々はGalateaに動画を設置するという選択肢を残しておきたいのです」と同氏。ちなみに、Sony Pictures Entertainment(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)のCEOを務めたこともあるマイケル・リントン氏がこの分野でも力を発揮してくれそうだ。

2021年初めに韓国のNaver(ネイバー)に約6億ドル(約671億円)で買収されたWattpad(ワットパッド)のような他の自費出版プラットフォームと同様に(Wattpadも彼らなりの「ディズニー」ビジョンを持っており、プラットフォームで芽を出した作品から、動画などさまざまなコンテンツを生み出していた)、Inkittは文章で生計を立てたいと夢見ているクリエイティブな人々や、自分の作品を世に送り出したいと思っている人々のために市場への新しいルートを開拓した。もちろん、FanFiction(ファンフィクション)のようなサイトからAmazon(アマゾン)やその他あらゆるサイトまで、同様のことができる場所はすでにたくさん存在する。

後者についてアルバザズ氏は、書籍の「マージンをすべて奪い、利益を押し下げ」、Kindle(キンドル)によって読書体験を台無しにした巨大eコマースサイトへの嫌悪感を露わにしている。この気持ちが、Inkittに加えてGalateaを作った理由だと同氏はいう。以前は、Inkittアプリの短編フォーマットを超えた書籍をAmazonに移行させていたからだ。しかし、Inkittには皆が必ずしも納得するわけではない独自のひねりがあることも指摘しておきたい。

ある著名な作家(名前は非公表)は、新作がInkittマシンでどのように評価されるかに興味を持ち、そこに掲載するための章を提出した。

Inkittのデータサイエンスエンジンは誰が書いているかには無頓着で、何が「うまくいくか」だけを重視する。結果その本は「読者はこのストーリーに興味を持たず、すぐに読むのをやめてしまう」と測定されてしまったのだ。

アルバザズ氏によると、その著者は「激怒」し、著者の出版社も激怒したという。著者が「彼らの」本に対して勝手にそんなことをしたから尚更である。著者はフィードバックを無視して著者が書いたとおりの本を出版した(その章が提出されたときにはすでに本全体が書き終えられていた)。結局この本は100万部の販売を達成。まずまずの結果だが、著者のこれまでの大ヒット作には到底及ばない。

「その100万人は、作者の名前を見て買っただけです」とアルバズ氏は断言する。

長期的に見て、Inkittが今の成長を維持できるかどうかだけでなく、より大きなメディアプレーに活用していけるかどうかが見どころである。おそらく、Inkittの今後の実行方法だけでなく、より広い市場で何が起こるかにもかかっているのだろう。

読んだ記事から他のコンテンツのアイデアが生まれることが多いため、AmazonやByteDance(出版業界の一部ではすでに話題になっている)のような企業も今後この分野を掘り下げていきたいと考えていることは間違いない。Amazonは事業の他の部分にも広範なA/Bテストを行っており、またデータサイエンスとAIの強力な武器を事業のあらゆる部分で活用している。しかしこれまでのところ、これらすべてを自費出版の取り組みに活かせるような大きな進展は起きていない。

しかしポジティブに捉えれば、これは投資家が好きなビッグチャンスと現在の牽引力を表しているのではないだろうか。

スコット・サンデル氏は声明の中で次のように述べている。「Inkittには、ストーリーテリングの未来を担うための体勢が整っています。すでに従来のコンテンツ形式を超え、何百万人もの読者にとって革新的で魅力的な新形式に移行しています。人々の物語の消費方法に重要な変化が起きており、Inkittはそれをきちんと理解しています。アリ氏をはじめとするInkittの役員と緊密に連携し、エキサイティングで飛躍的な成長を遂げるであろうこの時期を後押しできることを大変うれしく思います」。

「Inkittの技術は並外れており、同社の成功はストーリーテリングの未来を如実に描いています。Inkittの多くの作家たちが商業的にここまで大きな成功を収めていることを見れば、同社が人々の本の消費方法をいかに深く変革しているのかがよくわかります。私たちは彼らのさらなる発展の一翼を担い、彼らの旅路をともに歩んでいけることに胸を躍らせています」とデフナー氏(Axel SpringerのCEO)は話している。

更新:Inkittは匿名の著者に別のプロットラインを提案しておらず、そのままでは読者の興味を引くことができないと著者に伝えただけである。

画像クレジット:PM Images / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

料理系クリエイターがレシピ・コンテンツを収益化できるマーケットプレイス「Foody」

Foodyの共同設立者Dan Stitzel(ダニエル・スティッツェル)氏とBrenna Stitzel(ブレナ・スティッツェル)氏(画像クレジット:Foody)

夫婦で共同創業したDaniel(ダニエル)とBrenna Stitzel(ブレナ・スティッツェル)氏は、グルメな人々が自分の作った料理を収益化する方法を開発しており、そのマーケットプレイス「Foody」を正式に立ち上げるためにプレシード資金として150万ドル(約1億7000万円)のラウンドをクローズした。

このラウンドはSerena Venturesが主導し、Goodwater Capitalと、Patreon(パトレオン)のJack Conte(ジャック・コンテ)氏、Postmates(ポストメイツ)の元COOであるVivek Patel(ヴィヴェク・パテル)氏、Greenoaks CapitalのNeil Mehta(ニール・メータ)氏、KeepTruckinのShoaib Makani(ショエイブ・マカニ)氏などを含むエンジェル投資家グループが参加した。

ほとんどの米国人(98%)は、少なくても週に一度は家で料理をするが、レシピを見つけるためには長い時間インターネットで検索したり、広告や料理ブログの記事をかき分けてレシピを見つけなければならない。

そこでFoodyは、ユーザーがレシピを購入したり、自分のレシピをアップロードしたりして、それらを広告なしで1つの場所に保管できる場所を提供する。また、Jeremiah Tower(ジェレマイア・タワー)氏のようなミシュランの星付きシェフやフードブロガーと提携し、彼らはファンとの関係を築きながら、レシピやその他のコンテンツを収益化している。

Foodyアプリ(画像クレジット:Foody)

この会社のアイデアは、ブレナ・スティッツェル氏が金融業界でのキャリアを経て、2020年に料理学校に行くことを決めた頃に生まれた。世界的なパンデミックで学校が閉鎖され、店の棚にある利用可能な食料品が減っていったとき、スティッツェル氏は友人たちから、手元にある基本的な食材で何が作れるかという問い合わせを受けるようになった。

「多くの人がコンテンツを求めていたので、レシピを発信し始めたのですが、既存のツールには満足できませんでした」と彼女は語る。「レストランから作家まで、あらゆる種類のフードクリエイターがコンテンツを収益化して世に出すための優れたソフトウェアはありませんでしたし、家庭のシェフがレシピを一カ所に保存、共有、保管できる場所もありませんでした」。

そこでスティッツェル夫妻は、クリエイターがレシピを公開・共有し、QRコードやURLでファンにアピールできるツールの構築に着手した。料理好きな人は、無料で登録してサイトを利用でき、少額の料金でレシピ集を作ることができる。

Foodyは、タワー氏や、Mister Jiu’sのシェフBrandon Jew(ブランドン・ジュー)氏、Rich TableのEvanとSarah Rich(エバン&サラ・リッチ)氏、Harold Villarosa(ハロルド・ヴィラロサ)氏、Gaby Dalkin(ギャビー・ダルキン)氏、Amanda Frederickson(アマンダ・フレデリクソン)氏、Amanda Haas(アマンダ・ハース)氏、LauraとSayat Ozyilmaz(ローラ&サヤット・オジルマ)氏、A16レストラン、Tu David Phu(トゥ・デイビット・フー)氏など、12の厳選されたシェフやレストランを含む30人以上のクリエイターが参加してスタートする。

Serena Venturesについて「クリエイターに力を与え、家庭での料理の作り手の日々の生活を向上させるすばらしいソフトウェアを構築するというビジョンを共有できる」パートナーを見つけた、とスティッツェル夫妻は述べている。

Serena Venturesの創設者で経営パートナーのSerena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏は、声明文の中でこう述べた。「仕事でも家族といるときも、食べ物と料理は、私の生活の大きな部分を占めています。Foodyで新しいレシピを試すことをとても楽しみにしています。そして、あらゆる文化やバックグランドを持つ料理クリエイターが、その創造性を収入につなげる機会を持つべきだと信じています」。

今回の資金調達は、新製品や機能を構築していく中で、エンジニアリングおよび開発部門の10人のチームを強化するために使用する予定だとダニエル・スティッツェル氏は語った。

「私たちは、毎週の食事のプランニングや、食料品の配達サービスと統合するなど、すばらしいキッチンソフトウェアを実現するための大きなビジョンを持っています」と彼は付け加えた。

画像クレジット:Christine Hall

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

カード取引プラットフォームAltが約85億円調達、代替資産カテゴリー拡大とモバイルアプリを準備中

3月にAlt(アルト)を取材したとき、同社は代替資産プラットフォームのために3100万ドル(約35億3500万円)を調達したばかりだった。同プラットフォームはこれまで、主に高価値のスポーツカードの調査、取引、安全管理を求める人々に利用されてきた。

それからわずか数カ月後、Altは、一流の投資家やプロスポーツ選手から7500万ドル(85億5400万円)のシリーズBを調達し、大規模な雇用を行い、モバイルアプリの立ち上げを準備している。その一方で、カバーする代替資産の範囲を拡大し始めている。

Altは当初、創業者のLeore Avidar(レオレ・アヴィダー)氏がよく知るスポーツカードというカテゴリーに焦点を当てていたが、最近では他の種類のトレーディングカードにも対応している。Altの取引所を覗いてみると、Charizards(リザードン)やYu-Gi-Oh!(遊戯王)の初版カードに加え、レアなKobe(コービー)氏やKaepernick(ケパーニック)氏のサイン入りカードなどが混ざっている。将来的には、カードだけでなく、他の代替資産への展開も視野に入れている。

「私たちの目標はスニーカー、時計からNFT製品まで扱うことです」とアヴィダー氏は語っており、スポーツカードを彼らの「証明書」として言及してくれた。

Altでカードを販売するためには、まずPSA、BGS、SGCといった定評あるグレーディング団体の審査を受け、その後、同社がよく「カードのFort Knox(フォート・ノックス)」と呼んでいる、光と温度をコントロールし、防火対策を施したAltの施設「金庫」へ送られる。ここでは、購入者から購入者へ、所有権を即座に移すことができる(Altは販売額の1.5%を受け取る)。デフォルトでは、購入したカードはこの金庫に保管される。所有者は自由にカードを金庫から取り出して発送することができるが、アヴィダー氏によると「99%」のカードは取引後も金庫に保管されているそうだ。彼らはほとんどの場合、これらのカードを展示するためではなく、投資として購入している。また、Altのユーザーはこれまでに7000万ドル(約79億8200万円)相当のカードを金庫に保管していると聞いている。

Altでは、カードに関するデータの多くを共有している。市場動向のページでは、ここ数週間で最も人気のあったカテゴリーを表示し、過去7日間でカードの価値が最も大きく変動したプレイヤーを紹介している。個々のリストには、そのカードが過去1年間に販売された価格が表示され「Altバリュー」と呼ばれる、Altが入手した最近の取引データに基づくZestimate(ゼスティメイト)スタイルの価値推定値が表示される。

Altのチームは急速に成長しており、アヴィダー氏によると、現在の従業員数は約60名だそうだ。特に最近では、eBay(イーベイ)のコレクターズアイテムおよびトレーディングカード部門のゼネラルマネージャーを務めていたNicole Colombo(ニコル・コロンボ)氏を初代社長として採用している。

では、同社のロードマップで次の課題はなんなのか?それは、モバイルアプリの立ち上げだ。これまでブラウザ上で展開してきたAltは、今月末にiOSとAndroidのアプリをリリースする予定だ。トップ画像はそのアプリのイメージだが、こちらの画像もある。

画像クレジット:Alt

その一方で、同社は新たな収益源を静かに模索している。それは、ユーザーがAltに保管しているカードを担保にして、ユーザーにお金を貸すという機能だ。アヴィダー氏は、銀行は一般的にスポーツカードのコレクションのようなものを「本物の担保」とは見なさないと指摘している。一方で同社は、あるカードが日々どれくらいの価値があるのかをかなり深く理解しており、カードはAltの金庫に保管されているため、カードが突然消えたり破損したりすることはないと想定している。このプログラムを「Alt Lending(アルト融資)」と呼んでいるが、現在はベータ版で、一部のユーザーにしか公開されていないとのことだ。

今回のラウンドは「3億2500万ドル(約370億円)以上」の評価額で調達されたとのことだ。今回のラウンドは、Spearhead(スピアヘッド)(Jeff Fagnan[ジェフ・ファグナン]氏とNaval Ravikant[ナヴァル・ラヴィカント]氏が共同で設立した新しいタイプのファンドだ。Spearhedに関しての情報はこちら)。また、Seven Seven Six(セブン・セブン・シックス)、Vibe Capital(バイブ・キャピタル)、Breyer Capital(ブライア・キャピタル)、Shrug Capital(シュラグ・キャピタル)、Apollo Projects(アポロ・プロジェクト)(Max[マックス]氏とSam Altman[サム・アルトマン]氏の会社で、別の似たような名前の新しい親会社のことではない)、Hyperguap(ハイパーグァップ)、A*、および多数の個人投資家(Tom Brady[トム・ブレイディ]氏、Giannis Antetokounmpo[ヤニス・アデトクンポ]氏、Alex Morgan[アレックス・モーガン]氏、Candace Parker[キャンデース・パーカー]氏、Marlon Humphrey[マーロン・ハンフリー]氏など、スポーツ界の大物を含む)が支援した。

画像クレジット:Alt

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】美的Vlogの大統一理論

まだパンデミックが始まったばかりの頃のこと。5人のルームメイトとともに薄暗いブルックリンのアパートで暮らしていたRian Phin(リアン・フィン)氏は、ストレスの多い仕事から一時解雇され、コンテンツの制作も思うように捗らず悩んでいた。やがて、天井が高く大きな窓が配された美的感覚が優れたアーティストロフトに引っ越したことで、同氏はようやく自分の生活を美しく演出したライフスタイルコンテンツを作ることに成功した。

若い頃からTumblr(タンブラー)で有名なファッションブロガーとして活躍し、現在はYouTube(ユーチューブ)で7万人以上のフォロワーを持つフィン氏。自身を「審美眼の持ち主」と名乗る彼女や多くの人々にとって、美的Vlog(ビデオブログ)とは、膨大な量の情報をすばやく処理して「美的な」ものへとまとめ上げる能力を披露する場である。美的Vlogのタイトルで最も人気があるのは、ライフスタイルそのものに沿った内容のもので、例えば「一緒にお出かけの準備を」「私が今日食べたもの」「お部屋を大公開」「私の朝の習慣」「おうち時間の朝の習慣」などがある。バンライフ本の紹介勉強、ウェルネス、ファッションなどジャンルが何であれ、これらのVlogの中核にあるのは、商業化されたメインストリームのインフルエンサーたちによって作り上げられてきた憧れの存在というものを拒絶する美学なのである(戦略や目的は同じようなものなのだが)。

しかしファッションサイトのSsense(エッセンス)で購入したルックやブラックを多く用いたフィン氏のスタイルは、他の美的ブイロガーたちとは一線を画している。同氏がメールで筆者に教えてくれたところによると、同氏の感性は他のプレイヤーたちと重なる部分はあるものの、かわいいものやガーリーなものは本質的に「市場性」が高く「売れるもの」であるため、そういったものは意識的に避けるようにしているという。「そうすることでブランドがビデオのスタイルに合わせて、商品やデジタルなどの広告キャンペーンを展開してくれるようになります」。

情報や映像の見せ方に注意を払うことはあっても、大抵の人は美的価値よりも機能を優先させる傾向にある。しかし美的ブイロガーは違う。彼らはインターネットを美的対象として捉えて評価し、いかに見た目が美しいか、またはかわいいかを最も重要な要素としている。

無限にカスタマイズできる時代(Myspace、Tumblr、Neopets、Live Journal)は終わり、現代の美意識の高い人たちには、中期から後期にかけてのファッションブロガー(Lookbook.nu、The Sartorialist、Style Bubbleなど)や、2010年代のビューティーグルたちが残したコンテンツの空白を創造的に埋めるというタスクが課されている。

ファストファッションとデジタルショッピングがもたらしたトレンドサイクルの短縮化によって大量発生した無限コンテンツの世界では、もはやファッションブロガーが公共の場の壁の前でその日のルックを記録したり、ビューティーブイロガーがメイクアップについて議論したりする必要がない。突然変異的な形態である美的ブイロギングでは、High Fashion Twitter(ハイファッション・ツイッター)のようなサブカルチャーからEtsy(エッツィー)やDEPOP(ディポップ)のような販売プラットフォームまで、インターネット上のファッションに焦点を当てたさまざまなエリアが重なり合いながら、これらすべてを組み合わせているのだ。

世に出た新しくて美しいものをうまくコラージュするというのが基本の考え方であり、その根底には統一された美学が存在する。手書き風の筆記体のカラフルなサムネイル用フォントにポップな雰囲気のカラーパレット、かわいい洋服にすてきインテリアというところか。

フレンチガールのクールさや、なりたい自分を演出した理想の女性像を崇拝する美的ブイロガーも少なくない(参照:「That Girl」トレンドNotionアプリのチュートリアル)。

女性らしい身繕いに精を出し、食事や用事、社交、化粧、エクササイズなどの日常的な作業をカメラに収めて理想的かつ共感を持たれる「影響力」を振りまいて、あらゆるセルフケアが生産性や仕事と区別できない状況にあるにもかかわらず、頑張るという行為には不満を持っている(「I Don’t Dream of Labor(労働は目指さない)」のトレンド)。美的ブイロガーが、より明確な労力を必要とする他の種のインフルエンサーと異なるのは、彼らの放つ気楽さと、実際には収入という同じ結果をもたらす労働の一形態である労働を否定していることにある。

Elena Taber(エレナ・テイバー)、Jenny Welbourn(ジェニー・ウェルボーン)、Orion Carloto(オロオン・カルロト)などの最も有名な美的ブイロガーたちは、年齢や文化的環境の違いを超えて、ものや興味の集合体として自分自身を表現し、スプレッツァトゥーラ(「計算され尽くした無頓着さ」)とかわいらしさを融合させているのだ。古着、デザイナーズ、アップサイクル、コーチからのギフト(例えば個性的な小物やDetroit Floydのベッド)などのアイテムや、ヨガ、読書、映画写真などの興味にまつわる個性や歴史すべてが彼らを作り上げている。

スプレッツァトゥーラはこんな感じで小馬鹿にするのである。「15世紀の宮廷人とAlexa Chung(アレクサ・チャン)と最先端のデザイン会社が一緒になって努力しているように見える、意図的なデザインとキュレーションね。一体どうしてこんなことになるのかな。ははは」。努力の証は失敗であり、何も気にしていないように見えることが重要なのである。

これを見事に演出してくれるのが、ミニマルな白い壁とダークウッドのトリムとのコントラスト、むき出しのレンガ、質感、ダウンタウンクールな雰囲気、合わせガラスのテーブル、ラッカー仕上げのフローリング、パイン材の床に広げられ積み重ねられた本、1960年代から1980年代のパリやイタリアのモダニズムデザイン、ミッドセンチュリーモダンの家具や小物、アシンメトリー、高い天井、適当に投稿したように見せかけたエフォートレスなInstagram(インスタグラム)の「フォトダンプ」、レイヤリング、手描きやハンドメイドのもの、フィルム関連、アートコレクション、レコードコレクション、編み込みスローピロー、計算され尽くした散らかり方、フィルターなしの低解像度の自撮り写真、ブラウンやベージュの世界、自然光、植物や花など自然界への感謝、ハイパーリアルな個人主義、流行への雑食性、古着によるカウンターシグナリングなどである。

かわいらしさというのは、遊び心のあるガーリーな身振り、親密な雰囲気やアイテムの他、決してキャンプでもキッチュでもない、マキシマリズムなピンクや緑、黄色など、遠慮のないカラーパレットによって演出されている。

B21によるKOYAのぬいぐるみやキノコのランプなどのキュートなインテリアが、ボヘミアンデザインの個性と目新しさの中に入り混じっている。それは、さりげなく美しい生活品の中に生きる彼らの生活の記録であり、美的センスを厳選してコラージュすることであり「Instagramを再びカジュアルに」というムーブメントであり、大人になったオルタナ系女子の必死の自己表現なのである(ライフスタイルよりも教育的な観点からチャンネルを運営している美的ブイロガーたちは、既存のオルタナ系女子の持つべき美意識を事細かに描写し、執拗にカタログ化している)。

ヨーロッパで育ったMadelynn De La Rosa(マデリン・デ・ラ・ローザ)氏29歳は、ハイクオリティな映像コンテンツで人気の美的ブイロガーの1人である。3年ごとに軍事基地を転々とするという幼少期を過ごしたこともあり、美に対して幅広い視野を持つようになった同氏は、メイクアップ、映画、ファッション、アートなど、どの土地や文化でも適応できるあらゆることに興味を持つようになった。

彼女のYouTubeチャンネルでは、彼女の人生をアーティスティックかつロマンチックに表現した、手の込んだ美意識の高いVlogが公開されている。映像の中では美しく装飾されたスペイン風のアパートや、友人とビーチに出かける様子、持続可能なファッションやビーガニズムなどのテーマについての談話が繰り広げられている。

デ・ラ・ローザ氏は女性としての平凡さやスリルを記録し、それを美化する方法として自分の映像を記録し始め、芸術的に実体化しているのである。

10万人のフォロワーを獲得した後、Michelle Phan(ミシェル・ファン)氏が経営するIpsy(イプシー)から3年間の美容コンテンツ制作の契約を与えられたデ・ラ・ローザ氏。ロサンゼルスに引っ越すことになり、それから6年間をその地で過ごした。

しかし2020年のロックダウン中、デ・ラ・ローザ氏はフィン氏と同様、美しいコンテンツを制作することができず頭を抱えていた。人生の中の美しいものに対して、ここに来てもやはり真面目に取り組んではいけないのだろうか。しかしデ・ラ・ローザはこの前例のない時期こそ、成長のチャンスだと考えた。セルフケアを重視し、健康に配慮し、社会的にも距離を置いた、美しいライフスタイルを推進するVlogのあり方を考えたのである。

彼女の作った美しいコンテンツを見て褒め称えてくれる人々を、デ・ラ・ローザ氏は筆者との電話での会話の中でお茶目に真似てみせる。「どうしたらこんな素敵な生活ができるの?LAに生まれた時から住んでいるけど、こんなLA見たことない!」。

2019年、美的VlogはTikTok(ティックトック)やInstagramに移行し、世界的パンデミックの開始とともに注目を集めた。特に日常生活をロマンチックに描写した「主人公のエネルギー」的動画が人気を博すようになる。

主にZ世代の若者に浸透している美的Vlogコンテンツは、Emma Chamberlain(エマ・チェンバレン)氏をトップに押し上げたよりカジュアルなスタイルのライフスタイル・Vlogから発展したものだ。「エマ・チェンバレンは『That girl』の定義に近いものがありますが、彼女はあたかもそうなることを望んでもいないのになってしまった、という感じを演出しています」とメディアおよびYouTubeの専門家であるTiffany Ferg(ティファニー・ファーグ)氏はいう。

また、Z世代が作り上げてきた美学のほとんどには、彼らが生み出して普及させた用語が使用されている。Cringe-yやCringe(「イタい」や「ドン引き」)がCringeworthyに変わり、Aesthetic (美学や美的)は、かつては誤用だったものの今では「美しい」や「かわいい」という意味として使われている。もし何かが「Aesthetic」であれば、それは醜くなく、意図的にそうしているものなのである。また、Gaby Rasson(ギャビー・ラッソン)氏の造語である「Cheugy」という言葉はがんばりすぎているスタイルを指す。これらの用語はすべて美学に関連しており、態度や人々を表現するものなのである(「スターターパック」のミームが画像に一般的な記述を付け加えたのと同じように)。

新しいスラングの使い方に初めはとまどうが、やがて文化を牽引する若者たちのコンセンサスリアリティに誰でも適応できるようになる。自分の主観を、Z世代の思考、感情、関心事、不安、嗜好に合わせて再構成することを学んでいけば、長い間続いていた世代間の溝をなくすことができるだろう。

90年代半ばから2000年代初頭に生まれた人々が支配する市場トレンドを観察するミレニアル世代は、文化的に言えば、はるかに若い世代と大差ない存在となっている。その結果、若者がミレニアル世代に影響を与えるということを前提とした思い込みが人口統計学の崩壊をもたらし、後期資本主義下での女性性の過剰な優先順位付けが生じている。

若さを重要視する文化の中で、若者の文化的生産への固執は、女性性と美しさを若さと結びつけるという悲しい性質を悪化させるばかりである。キュートなスプレッツァトゥーラ精神は基本的には見ていて楽しいものだが、それを少しだけ崩し、通常女性らしさとは結びつかない被作用性を特権化している。ソーシャルメディアのフィードの一番下までスクロールした後に、かっこ悪くてダサい過去の自分に遭遇することによってもたらされる疲労感というどうしようもない現代の危機を、努力したという形跡、つまり失敗したという感覚を取り除くことによって軽減するのである。

くすんだピンクのアートプリントや大理石風デザインなど、ミレニアム世代の美意識に関連した大量生産のデザインや、洗練された贅沢で派手な消費は必然的に逆効果となる。

しかし本質的には、特に「かわいらしさ」が押し出されていると売れやすいというのは間違いない。リアン・フィン氏が自分の美学を市場に同化させないために、かわいらしさを取り除きたいという考え方は正しいのだろう。

しかし、かわいらしさとは見た目だけの話ではなく、非常に複雑なものである。理論家のSianne Ngai(シアナ・ガイ)氏は著書「Our Aesthetic Categories:Cute, Zany and Interesting」の中で「かわいらしさ」とは、消費性が高く、コピー可能で、女性特有の美的カテゴリーであり、無力感を「美化」して「エロティック」にすると主張している。私たちが老人をかわいいと思うのは、そのもろさのためであり、少女や女性にかわいらしさを押し付けるのと同じ理由なのである。そして少女や女性は意識的または無意識的に、自分自身をそのようにパッケージ化するのである。

例えばAudrey Tautou(オードリー・トトゥ)氏が演じるアメリや、Hello Giggles(ハローギグルス)の生みの親であるZooey Deschanel(ズーイー・デシャネル)氏、サンリオのハローキティなどのキャラクターは、非常に親しみやすく「かわいい」ものを見事に表現してみせている良い例だ。事実、彼らのように誰でもかわいくなれるのだ。美容と違って誰にでも手の届くものであり、飽和状態のクリエイター経済の中で、なんとか自分の居場所を確保しようとしているコンテンツクリエイターにとっては魅力的な領域なのである。

ジェニー・ウェルボーン氏 (YouTubeのスクリーンショット)

前述した、架空および実在の正統派キュートガールズは、現代のインターネット上で生まれた「it girl」やインフルエンサーたちと多少の摩擦をともないながらも共存している。ユーチューバーのAshley(アシュリー)こと@Bestdressedもその1人だ。倹約家の母親からサステイナブルなファッションを教わったという移民の少女によるコンテンツなのだが、彼女がAmazon(アマゾン)とのブランド契約を結んだことにより、それを理解できないZ世代の怒りを買っている。

情報密度の高い文化における市場ニーズと、Z世代が最も賢明な消費者であるという現実によって、思慮深く多才であるということが一種の前提条件のようなものになっている。インフルエンサーになる若者たちは、もはや影響を与えるというだけでは不十分なのである。

さらに彼らは、私は「おもしろい」のだということを証明しなければならない。これは「情報の美学」というもう1つの美的カテゴリーであり、ガイ氏は「Our Aesthetic Categories」の中で「個人とシステムの間のテンションがおもしろいという価値を補強している」と述べている。

こうした若い女性たちのモデルとなりうる存在なのがTavi Gevinson(タヴィ・ゲヴィンソン)氏だ。

文才に恵まれ、文化的にも鋭敏なゲヴィンソン氏は、当初ファッションブロガーとして登場し、やがてRookie Magazine(ルーキーマガジン)の編集長として活躍するようになる。彼女はYara Shahidi(ヤラ・シャヒディ)氏、Amandla Stenberg(アマンドラ・ステンバーグ)氏、Zendaya(ゼンデイヤ)、Willow Smith(ウィロー・スミス)氏など、同様にスマートで早熟なスターたちに影響を与えている(Tumblrで知り合ったスミス氏とステンバーグ氏は、ルーキーと類似しつつもより中心的ではない自分たちのためのスペースを作りたいと考え、強いビジュアル・アイデンティティを持つ若い女性アーティスト集団The Art Hoe Collectiveのメンバーとなった)。またこれは、人々の社会問題への意識が高まっていた時期と重なっており、この頃若い少女や女性の多くが、主流メディアでは見られない左派的な政治意識を展開し始めていた。新たなタイプの「it girl」の出現を象徴するゲヴィンソン氏は、これまでの「it girl」の前提条件(パッケージとして考えられた彼女の外見)を備えているだけでなく、パッケージの中にあらゆる種類の情報を忍ばせていたのである。

生まれつきのおもしろさに恵まれていない人にも、これが実現できるようだ。影響力にまつわるさまざまな領域の中で、この事実は映画「Ingrid Goes West(イングリッド -ネットストーカーの女)」のような偽者たちの基準を作り出しており、私はこれをTastefishing(テイスト・フィッシング)と呼んでいるのだが、彼らは俗物的な自分を暗号化して模倣というレイヤーをまとい、すでに起こっているミメーシスの引力を強めているのである。まるで半袖シャツの下に長袖シャツを着ることで、自分の個性を演出するかのように。

その例を挙げてみよう。Kendall Jenner(ケンダル・ジェンナー)氏は最近、テイストメーカーと呼ばれる、「高い神聖さ」や「高いステータス」を象徴するようなテイストを持つとされる人物となった。同氏のマネージャーであるAshleah Gonzales(アシュリア・ゴンザレス)氏が選んだ流行のフィクション小説や詩集と一緒にポーズをとり、男性の注意を引き、アートバーゼルから持ち帰った芸術品を自宅に飾り、自身のApple Radio(アップルラジオ)番組「Zaza World(ザザ・ワールド)」で古い曲を流す。5年前のVogue 73 Questions(ヴォーグの73の質問)で好きな映画に「Marley and Me(マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと)」と「The Notebook(きみに読む物語)」を挙げ、Tupac(2パック)をスピリットアニマルとして答えていた時とは大違いである。

しかし誰が彼女を責められようか。美人で金持ちであるだけではもはや十分ではないという状況下、ブックチューバーや美的ブイロガー、ゲヴィンソン氏の他、Kaia Gerber(カイア・ガーバー)氏、Emily Ratajkowski(エミリー・ラタコウスキー)氏、Emma Roberts(エマ・ロバーツ)氏など、スタイリッシュで文才があり、本好きで若い数え切れないほどの女性たちに遅れをとらぬよう、興味深い人物でなければならないというプレッシャーがあるのだ。

知的でおもしろい人物を演じる必要性、大きなアイデアに満ちた無限で漫然としたインターネットの世界をスタイリッシュに切り抜ける能力を示すことへの必要性は果てしない。この必要性によって彼らは圧倒的な情報量を、手に負えないものではなく、むしろ生成的なものに変えてしまい、ピクセルや16進コード、フォント、静止画、動画などの細かなディテールが私たちに美的感覚を与えるのである。

特に少女や女性などの美意識の高い人たちにとっては、イメージを重要視する文化の中で、YouTubeやTikTok、Snapchat、Instagramなどのパフォーマンス型のプラットフォームを介して自分のアイデンティティを演じることがより明白に求められている。そのため、視覚や聴覚、記憶、はかない感覚や印象の蓄積が生成的なものとなるのだ。

ライフスタイル系のインフルエンサーが憧れられるのは、それをマネタイズする能力があるからだ。ファンが彼らを尊敬するのは、自分も同じように生きたいと思うからだけでなく、自分の人生をマネタイズしたいと思うからなのである。

美的Vlogへの憧れは、美しいものに囲まれて優雅に生活したいという願望だけではなく、すべての静的なものを切り取り、溢れかえるものの中から美しくかつ売れるものを作り出す能力への願望なのである。オンライン上で美意識や経験を変化させたり、厳選したりするのに女性や少女ほど適した存在はいないだろう。結局のところ、彼らは「他人が自分を見る」のを見るという想像力を持っており、別の身体や経験の中にいるかのように自分自身を見つめる不思議な能力を持っているのだ。女たちの視線は、最先端のテクノロジーや男性の視線よりも優れた観察能力を持っているのである。

編集部注:本稿の執筆者Safy-Hallan Farah(セイフティ-ハラン・ファラ)氏は、TechCrunchの特別寄稿評論家。「Vanity Fair」「The New York Times」「Pitchfork」「NY Mag’s The Cut」などに寄稿している。

画像クレジット:Madelynn De La Rosa / YouTube

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(文:Safy-Hallan Farah、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックが新ショッピング機能「Shops in Groups」と「Live Shopping for Creators」を開始

Facebook(フェイスブック)は米国時間11月12日、新しいショッピング機能を展開することを発表した。「Shops in Groups(グループ内ショップ)」「商品のおすすめ」そして「Live Shopping for Creators(クリエイター向けライブショッピング)」のテストだ。

Shops in Groupsは、Facebookグループの管理者が、関連するFacebookページにオンラインストアを設置することができる機能だ。得た金をどうするかは管理者次第だが、この機能をテストしたページ、OctoNationの場合、利益は人々にタコ(タコ?) について教育するOctoNationの非営利団体に寄付された。明確な慈善活動を目的としていないグループにとってはこうしたことは難しいかもしれないが、これまでにもFacebookグループがドラマの舞台になったことがないわけではない。しかし、Meta(メタ)の製品管理担当副社長であるYulie Kwon Kim(ユリエ・クウォン・キム)氏は、多くのグループ管理者はボランティアであり、このようなショップは彼らの仕事に対する収入源になるだろうと指摘する。

「お金はグループ管理者に行き、彼らはそれをどう使うかを決めることができます」とキム氏はTechCrunchに語った。「これは、人々がグループを維持・継続するためのすばらしい方法です

Facebookは、2021年11月初めに開催された「Facebook Communities Summit」で、ショップ、募金活動、購読料など、グループの収益化機能の計画を発表していた

画像クレジット:Facebook

Facebookはまた、スキンケアやメイクアップのグループなど、ユーザーがグループ内で商品のレコメンデーションを求めることが多いと話す。このため、ユーザーがFacebookのショップに掲載されている商品について言及した場合、その商品をタグ付けしてコメントに埋め込むことができるようになっている。グループからの人気商品のレコメンデーションは、ユーザーのニュースフィード内に表示される。

Facebookは何年も前からLive Shoppingを展開しているが、ブランドとクリエイターのパートナーシップがより一般的になるにつれ、これらのコラボレーションをよりシームレスに見せる機能のテストを始めた。そしていま、インフルエンサーが商品を販売する様子を見せるためにファンを別のページに誘導したり、その逆を行ったりするのではなく、クリエイターとブランドが双方のページでクロスストリームを行うことができる。

画像クレジット:Facebook

いまMetaという会社名になったFacebookは2021年、企業やクリエイターのためのショッピングツールの構築に一貫して取り組んできた。だからこそ、ホリデーシーズンが近づくにつれ、Facebookアプリでお金を使う方法を増やしている。これらの機能は、今日からウェブ、そしてiOSおよびAndroidのFacebookモバイルアプリで利用可能だ。

現在、Metaの主な収入源は広告だが、ショッピングへの投資は別の収入源につながる可能性がある。創業者でCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は今夏、Metaがクリエイターやコマースのツールを充実させていく中で、2023年まで企業やクリエイターの収益をカットしない、と発表した。ザッカーバーグ氏は、Metaが売上シェアを導入する際には、Apple(アップル)の30%よりも少ない取り分にすると述べている。しかし今eコマースのための強固なインフラを構築することで、Metaは将来の利益に向かっている。

画像クレジット:Facebook

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

InstagramリールにTikTokのようなテキスト読み上げとボイスエフェクト機能を追加

Instagram(インスタグラム)は米国時間11月10日、Reels(リール)内に「Text-to-speech(テキスト読み上げ)」と「Voice effects(ボイスエフェクト)」という2つの機能を追加した。これらの機能は、TikTok(ティックトック)ではすでに人気の機能だが、クリエイターはInstagramでも使用できるようになる。Instagramでは、クリエイターにインセンティブを与えるために巨額のリールボーナスを提供しているので、短編動画に関して、TikTokに追いつこうとするInstagramの努力が見られる。

テキスト読み上げ機能とは、視覚障害者や弱視者が文字を理解するために必要なアクセシビリティ機能だ。しかし、このロボットのような声を使った動画がTikTokで不可解なほど人気を博したため、この機能を担当した声優が、自分の録音を使用する許可を与えていなかったとしてTikTokを訴えた。訴えられた後、TikTokは声優を変更した。

クリエイターがテキスト読み上げ機能を使用するのは、アクセシビリティの観点からではなく、単調でコンピュータ化された声がコンテンツのナレーションをするのがおもしろいからだ。このテキスト読み上げツールは、リールカメラのテキストツールの中に表示されている。ビデオを録画またはアップロードした後、プレビューに移動してテキストを追加する。テキストを追加すると、画面の下部にテキストバブルが表示され、ユーザーはそのテキストを表示するタイミングを調整することができる。これまでは、3つの点のアイコンをタップすると、それぞれのテキストバブルにメニューが表示され、テキスト読み上げのオプションを追加することができていたが、現在は、3つの点のアイコンをタップすると、それぞれのテキストバブルにメニューが表示され、テキストから音声ナレーションを追加するオプションが表示される。音声は2種類の中から選べる。

しかし、ボイスエフェクトを使えば、リールをさらにクリエイティブに仕上げることができる。この機能は、投稿の音声やナレーションを変更することができるというものだ。ボイスエフェクトを見つけるには、リールを録音した後に音符アイコンをタップして、オーディオミキサーを開く。すると、エフェクトメニューが表示され、そこでリールの音声やナレーションを変更することができる。

この新機能は、現在、Instagramのモバイルユーザーに展開され始めている。

画像クレジット:Instagram

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Akihito Mizukoshi)

数週間を1〜2日で、オンデマンドの家庭用修理サービスを提供するPuls Technologiesが約17億円調達

家に住んでいると、必ず何かが壊れるもの。そして、誰に連絡すればいいのか、修理費用を負担できるのかを把握するのは難しい。そこで、Puls Technologies(パルス・テクノロジーズ)の出番となる。

Hanaco Venture Capital(ハナコ・ベンチャー・キャピタル)から1500万ドル(約17億円)の出資を受けたPulsは、カリフォルニア州リバモアを拠点とし、モバイルアプリを使ってオンデマンドの住宅修理サービスを提供している。また、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、オーブンなどの家電製品を対象とした、月額約29ドル(約3300円)からの家電製品保証オプションを開始し、住宅保険市場も狙っている。

Pulsは、予測アルゴリズムを利用して技術者と仕事をマッチングさせることで、手間をかけずにタイムリーに修理を行い、通常は数週間かかるところを1〜2日で完了させることができる。同社は、米国の20都市で7000人以上の審査済みの技術者と連携している。

同社は当初、2015年に携帯電話の修理サービスとしてスタートし、2020年にビジネスモデルを会員制に転換する経営転換を行ったと、PulsのCEOであるGabi Peles(ガビ・ペレス)氏はメールで語っている。

従来の住宅保証サービスに関して顧客から寄せられる年間数千件の苦情を目の当たりにしただけでなく、米国人の61%もが予期せぬ出費として1000ドル(約11万3900円)も確保する経済的余裕がないことを知り、家電保証を狙うことにしたのだそうだ。

「高額な料金、細かい文字、費用のかかる問題の除外、作業員の派遣の遅れなどが、従来の保証プランの限界を表しています。Pulsは、ユーザーがリーズナブルな価格で、ほとんどの家庭用電化製品に対してより多くの保証を得ることを可能にします。また、技術者の体験を向上させ、1日にアクセスできる仕事の量を増やし、アップセルやクロスセルによる収入の機会を提供することで、新規ビジネスを促進するプラットフォームを提供することにも取り組んでいます」とペレス氏は述べている。

以前の経営体制では、Pulsは2018年に遡って5000万ドル(56億9600万円)のラウンドを含む9600万ドル(約109億円)を調達した。今回の1500万ドル(約17億円)は、同社の新たな経営陣のもとでは最初のものだとペレス氏は述べている。

Puls Technologiesのアプリ(画像クレジット:Puls Technologies)

同社は、過去1年間で従業員数を約2倍の60人に増やすなど、過去6カ月間で100%成長した。その中には、世界的な大流行により、人々が家で過ごす時間が長くなったことで、家の修理の必要性が高まったことに関連した需要もあったという。

ペレス氏の説明によると、平均的な冷蔵庫のドアの開閉回数は1日20回だが、家にいる時間が長くなると100回以上になり、ドアの修理依頼が増加するそうだ。

Pulsは、今回の資金調達を機に、40都市以上に拠点を拡大し、2022年末までに従業員を100名以上にする予定だ。

一方、Hanaco Venture Capitalのゼネラルパートナー兼共同設立者であるLior Prosor(リオール・プロソール)氏は、Pulsは、市場規模が大きいだけでなく、何十万もの異なるサービスプロバイダーによって断片化されている米国の住宅修理・メンテナンスサービス市場を狙っているとメールで述べている。

その状況のせいで、技術者と住宅所有者の両方がサービスを受けられずにいる。技術者は自分の仕事を向上させるためのツールを持たず、住宅所有者は精彩を欠いたサービスを受けなくてはいけなくなっているのだと彼は付け加えた。Pulsは、スケジュール管理、価格設定、請求書作成、顧客サービスを行うことで、技術者が顧客に専念できるようにする。

「私たちは、2020年に向けて、会社のオペレーティングモデルの変革をさらに推し進める絶好の機会を得ました。私たちは、Pulsの資産を活用して、インシュアテック市場で最高のホームケア企業を構築できるというガビ氏のビジョンに強い確信を持ちました」とプロソール氏は語る。

「この事業は、持続可能な成長軌道を示す、増加していてエキサイティングな事業指標を牽引している新しい会員制商品や保証商品の導入によって、明らかな転換期にあります。同プラットフォームは、費用対効果が高く、プロジェクトベースの仕事と『クリック& フィックス』サブスクリプションサービスの両方において、製品市場への適合性が証明されており、保証と住宅保険の新商品も期待されています」と付け加えた。

画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

SpotifyがFindawayを買収、オーディオブックに進出

Spotify(スポティファイ)は、音楽以外の分野にも進出するため、数億ドル(数百億円)を投じてポッドキャスト事業を強化してきた。そこで、オーディオの別の形態に狙いを定め、デジタルオーディオブック配信会社であるFindaway(ファインダウェイ)を買収した。

Spotifyは、この買収の金銭的条件について明らかにしていない。買収は、規制当局の審査と承認を経て、2021年第4四半期に完了する予定だ。

2004年創業のFindawayは、世界中のリスナーに、より多くのオーディオブックを届けることに注力してきた。

同社は現在、さまざまなブランドや製品を展開しており、その中心は、コンテンツ制作者と再販業者をつなぐ大規模なオーディオブック配信事業だ。再販業者には、Apple、Google、Scribd、Audible、Nook、Rakuten Kobo、Chirp、Storytel(Spotifyのパートナー)、Overdrive、Audiobooks.comなどがいる。

Findaway傘下のブランドには、著者とプロのナレーターを結ぶFindaway Voices、一流の出版社向けにオーディオをプロデュースするAudioworks、図書館や学校に対しプリロードされたオーディオブック製品を提供するPlayaway、リスナーに多様なオーディオカタログを提供するOrange Sky Audio、開発者がオーディオブックの幅広いカタログを自社のプラットフォームに統合する際に必要なツールや技術を提供するAudioEngineなどがある。

Spotifyは、Findawayの約150人のチームを招き入れる。また、Findawayが行ってきたオーディオ業界への投資を活用していく予定だという。また、Spotifyの3億8100万人の月間アクティブユーザーへのアクセスに、オーディオブックを加えることも計画している。

「この買収をテコに、プラットフォームを拡大し、オーディオブック分野への参入を加速する計画です」とSpotifyのオーディオブック部門の責任者であるNir Zicherman(ニール・ジッカーマン)氏は話す。Spotifyのユーザーがオーディオブックにアクセスする場合、現在は他のプラットフォームを利用する傾向にあるが、今後はSpotifyのアプリの中でオーディオブックの消費を可能にしたいと考えている、とジッカーマン氏は説明する。当面、Spotifyのユーザーは、同社の新しいオープンアクセスプラットフォーム技術(OAP)と既存の認証情報を使って、Findawayや、Storytelなど他のオーディオブックパートナーのオーディオブックにアクセスすることになる。

だがOAPの用途はもっと広く、出版社が自社のビジネスモデルに合わせてコンテンツの販売方法を柔軟に選択できるようにするものだ。この先、消費者がSpotifyでオーディオブックのコンテンツを視聴するためのさまざまな方法が導入される可能性がある。

Spotifyによると、OAPが最初に統合されるのは2022年初めになる予定だ。

「業界として、オーディオブックには大きな可能性と成長が待ち受けていると考えています」とジッカーマン氏はいう。「SpotifyとFindaway、2社のすばらしいチームとすばらしい技術を組み合わせ、別々の会社だった場合よりも早く、そのような未来を実現したいと考えています」。

調査によると、オーディオブック業界は、2020年時点の33億ドル(約3800億円)から2027年には150億ドル(約1兆7000億円)に成長すると予想されている。Findawayに投資する価値があるとSpotifyが考えたのはそのためだ。また、Spotifyは、今回のFindawayの買収をオーディオブック分野での野心の始まりと捉えており、将来的にはさらにチームを拡大することも考えている。

Spotifyの計画では、Findawayは現在と同じように、さまざまなブランドやサービスを、同じスタッフやパートナーとともに、クリーブランド地域の本社から運営していく予定だ。このアプローチは、Spotifyが買収したポッドキャスト制作プラットフォームAnchorが、Spotifyの競合他社を含む他のプラットフォームへの配信を継続した例と似ている。

今回の発表の前に、Spotifyはオーディオブックへの関心を示していた。1月には「フランケンシュタイン」「ジェーン・エア」「説得」などの古典作品に著名人のナレーションをつけて、オーディオブックのフォーマットのテストを始めた。また、Daniel Radcliffe(ダニエル・ラドクリフ)氏、David Beckham(デビッド・ベッカム)氏、Dakota Fanning(ダコタ・ファニング)氏などのスターがナレーションを担当した「ハリー・ポッター」の第1作も提供している。

さらに5月には、オーディオブックのプラットフォームであるStorytelとの提携を発表した。これにより、Spotifyのユーザーは、同じくOAPを利用したSpotifyのアプリを通じて、オーディオブックにアクセスできるようになった(Findawayの買収が、同じような提携の話から生まれたのかどうかについてSpotifyは言及していないが、その可能性は高いと思われる)。

11月11日の買収は、Spotifyがオーディオという新たな投資分野を追いかけるために、ポッドキャストへのコミットメントから離れるというわけではない、ということのようだ。

「ポッドキャストは、今後も当社のビジネスにおいて重要な位置を占めます」とジッカーマン氏はいう。「これは、消費者が求めている、そして多くの場合、すでに聴いていると思われる新しいタイプのコンテンツへの進出です。そして、そのコンテンツをSpotifyでも楽しめるようにしたいと考えています」。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Amazonプライム・ビデオにクリップ共有機能、オススメ作品のシェアが簡単に

Amazon(アマゾン)が、ユーザーが、テレビ番組や映画のビデオクリップを共有できるPrime Video(プライム・ビデオ)の新機能を展開中だ。ソーシャルメディア上やダイレクトメッセージで、クリップを共有することができる。現在、米国のiOSユーザーのみ利用できる。また、当面はテレビ番組に関しては「The Boys」のシーズン1と「The Wilds」「Invincible」「Fairfax」だけとなる。

これら4つの番組では「Share a clip」(クリップを共有する)ボタンをクリックして30秒のクリップを作ることができる。ボタンをクリックするとストリーミングサービスが番組をポーズして、ビデオをクリップして編集する画面になる。それにより観ていたシーンのクリップが作られるが、前や後にずらして調整することもできる。また、共有前にクリップのプレビューもできる。そして「Share」ボタンを押し、InstagramやFacebook、Twitter、iMessage、Messenger、WhatsAppなどにアップロードしたりシェアする。

画像クレジット:Amazon

Amazonによると、今後は同社のオリジナルムービーや連続番組からもクリップをシェアできるようになる。他のストリーミングサービスは、番組や映画からのクリップを共有する機能がないため、Amazonのこのやり方は独特なものだ。NetflixやDisney+、Huluなどは、ユーザーがコンテンツのスクリーンショットを取ることすら禁じており、それをやろうとすると画面が暗くなる。

Amazonのこの最新の機能は、同社がコンテンツの共有に関して他社とは違った考え方であることを示している。ユーザーにクリップの共有を奨励すれば、プライム・ビデオの視聴率の向上も期待できるかもしれない。友だちやフォロワーの人たちはクリップを見て、そんなオリジナルコンテンツがあることを知り、観たいなと思うだろう。

画像クレジット:Amazon

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

レブコム、Zoom面談のAI文字起こしとトーク分析が可能な「MiiTel for Zoom(ベータ版)」提供開始

レブコムがオンライン商談の会話をAIが解析・可視化する新サービス「MiiTel Live」開始

RevComm(レブコム)は11月10日、AIによる文字起こしとトーク分析機能によりZoom面談の可視化・社内共有を可能にする「MiiTel for Zoom(ベータ版)」の提供を開始した。音声解析AI電話「MiiTel」ブランドの新サービスにあたり、MiiTelとZoomとの連携により、電話だけではなくZoomでのオンライン会議も含めた会話を一元管理し、社内資産としてストック化できるようになる。

レブコム、Zoom面談のAI文字起こしとトーク分析が可能な「MiiTel for Zoom(ベータ版)」提供開始

MiiTel for Zoom(ベータ版)の特徴

  • 自動文字起こし・話者特定:Zoom面談の内容を自動で文字起こし可能。声紋を事前に登録すると、3人以上が参加する面談・会議でも話者を特定できる
  • 録画の共有:Zoom録画を「MiiTel」のダッシュボード上で管理することで、必要な動画を検索・再生でき、またURLをコピー&ペーストで共有できる
  • トークのスコアリング:AIが音声を解析し、「話す速度」「顧客との被り回数」「沈黙回数」などを定量評価

録画データについては、Zoomでクラウド録画した場合、会議終了時に自動的に録画データがMiiTel管理画面に保存され、録画データとともに音声認識結果、会議中のチャット履歴などが表示される。Zoomのクラウド録画を利用していない場合でも、録画ファイル(MP4形式)があれば、手動でアップロードできる。これにより、Zoom以外での録画や過去の録画データを社内共有に活用できるとしている。

MiiTel for Zoom(ベータ版)は、「MiiTel」を利用していない場合でも単体で利用可能。MiiTelとのセット価格の場合、利用料金は、月40時間までのトライアルプラン(税別1980円/ID/月)と、月100時間までのスタンダードプラン(税別3980円/ID/月)となる。単体契約の場合は別途、閲覧専用 ID利用料980円/月がかかる。また月次契約で10ID以下の契約の場合は、別途事務手数料がかかる。

MiiTelは、電話営業やコンタクトセンター業務における、会話の内容を解析し、高精度のフィードバックを行うことで商談獲得率・成約率を向上させる、日本発の音声解析AI電話サービス。顧客と担当者が「何を」「どのように」話しているか分からないというブラックボックス化問題を解消し、アナログな議事録作成も自動文字起こし機能により軽減するという。また、MiiTelにより蓄積された顧客とのリアルな音声データは、自社の教育研修、サービス開発、機能改善などに活用できるとしている。

InstagramがTikTokクローン「Reels」への投稿に最高114万円のボーナス、ただし米国内からのみ対象

Instagram(インスタグラム)は、Reels(リール)を投稿して欲しいと真剣に考えている。もし運がよければ、Reelsへの投稿に対して最高1万ドル(約114万円)までの報酬を得ることができる。

TikTokの月間アクティブユーザー数が10億人を突破したことで、YouTubeショート、Snapchat Spotlight(スナップチャット・スポットライト)、Instagram Reels(インスタグラム・リール)などの競合プラットフォームたちが、ユーザーに短編コンテンツを自社のアプリに投稿することを奨励している。YouTubeは「ショート」のために1億ドル(約114億円)のクリエイターファンドを創設し、SnapchatはSpotlightチャレンジへの投稿に賞金を提供し、そしていまInstagramは、月次ボーナスプログラムのReels Play(リール・プレイ)を強化する。

しかし、どのような要素がInstagramからのボーナスの大きさを決定するのかについてははっきりしておらず、Instagramもその懸念を払拭しようとしていない。InstagramはTechCrunchに対し、このプログラムは実験的なものであり、まだ初期段階にあると述べている。しかし、その透明性の低さは、これらのプラットフォームを利用して生計を立てているクリエイターにとっては悩みの種となる。今週、このボーナスプログラムに不具合が発生し、対象となるクリエイターたちに「実際には支払いの対象外でした」と伝えられたことがあった。InstagramはTechCrunchに対し、この不具合は修正されたと述べている。

インスタグラムで5万2000人近くのフォロワーを持つMaddy Corbin(マディー・コービン)氏は、1カ月の間に自分のリールに対して1000ドル(約11万4000円)近くの配当を受けた。しかし彼女は、他のクリエイターに別のオファーが行われていることに気がついた。

「私よりも多くのフォロワーがいるのに、600ドル(約6万8500円)しか稼げない人もいたんです」とコービン氏はTechCrunchに語った。より少ないフォロワー数で、800ドル(約9万1400円)を受け取ったひともいた。「報酬がどのようにして生まれたのかを、もっと知りたいと思います。想像するに、過去のリールの見られ方を参考にしているのではないかと考えていますけど」。

コービン氏の半分にも満たない約2万4千人のInstagramフォロワーを持つあるクリエイターがTechCrunchに語ったところによれば、先月、その月に投稿されたすべてのリールの再生回数が170万回に達した場合に、800ドル近くのボーナスが提供されたという。このボーナスはオールオアナッシングではない。このクリエイターが、ボーナス期間中、意図的に1日1リールを投稿し、149万回の再生回数を獲得したところ、689.90ドル(約7万8800円)の配当を得ることができたという。先月Metaが所有する、Instagramを含むすべてのアプリがサーバーの問題で6時間もオフラインになったときには、彼らは残念な思いをした。

だが、今月Instagramはそのボーナスを一段と高めた。現在このクリエイターは928万回の再生で最大8500ドル(約97万1000円)を手にすることができる。先月のレートよりもペイアウト単価が高く、もちろん10倍以上稼げる可能性もある。このクリエイターによれば、自身が3万2千人のフォロワーを持つTikTok(ティクトック)で得られるものよりも、1回あたりの報酬が高いそうだ。

Instagramのボーナスオファーがどのように計算されているかを判断するのは困難だ。あるRedditユーザーは、1カ月で5800万回以上の閲覧回数で3万5000ドル(約399万8000円)近くの報酬を受けている。Instagramのフォロワー数が800人程度のTwitch(トゥイッチ)ストリーマーのMiguel Lozada(ミゲル・ロザダ)氏は、2万4000人のフォロワーを持つクリエイターと同額の8500ドル(約97万1000円)の報酬を受けた。5万9000人のフォロワーを持つ別のユーザーは、今月は850ドル(約9万7000円)のボーナスを提供されたとTechCrunchに語っている。

InstagramはTechCrunchに対して「より多くのクリエイターに報酬を渡せるように、支払いのテストを続けています。まだ始まったばかりなので変化は続きます」と述べている。「私たちは、できるだけ多くのクリエイターを支援できるように、達成可能でそれなりの収益につながる方法でボーナスをデザインしました。目標は、ボーナスが時間とともによりパーソナライズされていくことです」。

ボーナスプログラムに参加したら、自分のリールが注目されなくなったと感じたと報告するクリエイターもいる。

「ボーナスプログラムに参加した最初の3日間は、1日に40ドル(約4571円)くらい稼げていましたが、1週間後には文字どおり暴落して、1日あたり数セント(数円)から数ドル(数百円)になってしまいました」とコービン氏は語る。「コンテンツの出し方をそれほど変えていないのにこうなったことは、興味深いですね」。

Instagramのサポートページによると、これらのボーナスは「ゆっくりと展開している」とのことで、まだすべてのユーザーが利用できるわけではない。そもそも、これらのボーナスは米国内にしか適用されない。

InstagramがTechCrunchに語ったところによると、これらのプロモーションの対象となるのは、ユーザーが18歳以上で、プラットフォームのパートナーマネタイズポリシーを満たしている必要があるとのことだが、これは少し曖昧だ。このポリシーによれば、クリエイターは「十分なフォロワー数」を維持する必要があるものの、Instagramは何をもって「十分なフォロワー数」とするかを数値化していない。TechCrunchは、フォロワー数が800~5万9000人のクリエイターたちがボーナスを支給されたことは確認している。

また、Instagramは今週、ボーナスプログラムReels Surprise(リール・サプライズ)を発表した。このプログラムでは、米国を拠点とするクリエイターたちが特に感動的で楽しいリールを制作した場合に、毎週最大150人に最大1万ドル(約114万円)の報酬が与えられる。対象となるのは、米国を拠点とする18歳以上のクリエイターで、Instagramのコミュニティガイドラインパートナーのマネタイズポリシーを満たし、1000ビュー以上の既存リールを持ち、まだボーナスを受け取ったことがないことが条件だ。

ユーザーがTikTokのコンテンツを再利用するのを阻止するために、Instagramのアルゴリズムは、他のソーシャルメディアプラットフォームからのウォーターマークがあるコンテンツの評価は引き下げる。しかし、YouTube Shortsは、人気のあるクリエイターを自社のプラットフォームに誘導するために、さらに積極的な戦術をとっている。今週Business Insider(ビジネス・インサイダー)は、一部の人気TikTokプレイヤーが6カ月間で100本のYouTube Shortsを投稿することを条件に5万ドル(約571万2000円)のオファーを受けたと報じた。このプログラムは公開されておらず、YouTubeの1億ドル(約114億円)のShortsファンドとは別のものだ。Business Insiderの取材に応じたタレントのマネージャーによると、クリエイターがYouTubeにショートフィルムを投稿した後、それを他のプラットフォームに再投稿するまでには7日間待たなければならないという。

TikTokは成長を続けているが、Google傘下のYouTubeやMeta傘下のInstagramのような長年の巨人によく対抗している。そうした巨人企業にとっては個々のユーザーの短い動画に1万ドル(約114万円)を投じることは、ビジネス上の大きな出費ではないのだ。

取材協力:Sarah Perez

画像クレジット:Instagram

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

MetaがWorkplaceとMicorsoft Teamsの連携機能を発表、Teamsから動画配信も可能に

Meta(旧Facebook)がWorkplaceとMicorsoft Teamsの連携機能を発表、Teamsから動画配信も可能

Meta

Meta(旧Facebook)は11月10日(現地時間)、同社のコラボレーションプラットフォームWorkplaceとMicrosoft Teamsの連携機能を発表しました。Teams内からWorkpaceのコンテンツに投稿が可能になるほか、TeamsからWorkplaceグループに動画のストリーミング配信が可能となります。

TeamsとWorkplaceを利用しているユーザーは、Teams用のWorkplace連携機能をダウンロードすれば、すでに連携機能を利用可能となっています。ただし、Teamsからの動画ストリーミングに関しては、2022年初めに提供予定とのことです。

Microsoft TeamsのCVP Product & EngineeringであるJeff Teper氏は、「パンデミックから学んだことの一つが、企業は1つのツールだけに頼って仕事をしているわけではないということです。よって、企業が使用しているツールが統合され、相互運用されるようにすることは、この分野のリーダーとしての責任です」と連携の意義を語っています。

MetaとMicrosoftは以前からエンタープライズ製品では協力しており、ExcelやWord、PowrPointなどは、すでにWorkplaceで利用可能です。また、スマートディスプレイPortal Goの発表時には、12月にTeamsのサポートを追加するともしていました。

(Source:MetaEngadget日本版より転載)

Slackでセールスと他部署のコラボを自動化するMomentumが約5.7億円調達

営業(セールス)という仕事は、いろいろなところからデータが入ってくるし関係者の数も多いため、混沌とした状態になりがちだ。2020年、Salesforceが270億ドル(約3兆845億円)でSalesforceがSlackを買収したのも、それが人やデータを整理してまとめる接着剤になると考えたからだ。アーリーステージのスタートアップMomentumは、そうした関係を利用して、営業と会社の他の部分とのコラボレーションを自動化するレイヤーを作りたいと考えている。。

同社は米国時間11月10日、Basis Set Venturesがリードするシードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)を調達したことを発表した。これにはInovia CapitalやLeadout Capital、South Park Commons、そして業界のエンジェルたちが参加した。

MomentumのCEOで共同創業者のSantiago Suarez Ordoñez(サンティアゴ・スアレス・オルドニェス)氏によると、同社は当初、Slackを利用した商談室を作りたいと考えていたが、SalesforceがSlackを統合する最初の段階で作ってしまったため、また違う課題に取り組もうと決めた。

「おもしろく、しかもSalesforceにできることとは違うことをやるには、最初に考えた商談室とコラボレーションというアイデアにもっと固執してみるべきだ、と私は考えました。そしてだんだんわかってきたのは、コラボレーションと営業は奥が深いということです」とスアレス・オルドニェス氏は語る。

彼によると、企業のトップが認識しているのは、営業の人たちはSlackとSalesforce以外のものにも接続する必要があることです。たとえば彼らはGoogleカレンダーやAsanaやJiraなどのツールに接続して1つの場所からフォローアップを自動化したいと考えている。

「Momentumは当初の構想から変更して、上記のような一連の仕事を効率化するプラットフォームになりました。Jiraへ行ってセキュリティチームのためのチケットを提出するやり方を知るのではなく、Momentumへ行って手を挙げ、単純に『セキュリティレビューが必要なんだ』といえばいい。そしてMomentumは、行き先を見つけたり、チケットを作ったり、その営業のためのチケットの中にある商談に関するすべての状況を共有したり、営業は現時点では何もすることがない、といったこともコードにしている」とスアレス・オルドニェス氏はいう。

彼によると、商談室の機能はまだ存在しながらも、タスク駆動型の機能もある。計画では、このことをベースとしてSlackの中に同じく自動化されたワークフローの完全なプラットフォームを作る。例えば割引率の承認を得たり、営業のための支援を技術の部門に求めるといったワークフローだ。

同社は8月にシードラウンドを終えた後、14人目の従業員を迎えた。同社の創業メンバーはダイバーシティに富んでおり、COOのAshley Wilson(アシュリー・ウィルソン)氏はCEOであるスアレス・オルドニェス氏の妻、それにCTOのMoiz Virani(モイズ・ビラーニ)氏なども含め、同社はチームのダイバーシティに極力気を遣っている。

「ダイバーシティとインクルージョンについては、上からも指示されている。投資家のうち1社は、投資条件にそれを含めている。同社を投資家に迎えるためには、それに従わざるをえなかった」とスアレス・オルドニェス氏。まだ初期である現時点でも取締役会の半分は女性であり、またラウンドに参加した投資家のパートナー3名のうち2人は女性だ。

同社はパンデミック中の2020年にローンチした。「最高にクレージーなのは、そのときすでに社員は6名いたし、顧客もいました。数百万ドル(数億円)を調達していました。それで、本社はどこだったかというと、自分の家のキッチンテーブルだったんだ。ひどいもんだね」とスアレス・オルドニェス氏は回想している。

現在、同社は共有スペースも利用しているが、キッチンのテーブルのようにみんなが一緒にいる方が実感があると彼はいう。「半年前にはリモートもやったけど、みんなが一緒にいないと、どうも仕事の実感がないね」。

関連記事:セールスフォースへのデータ入力をシンプルにするScratchpadがシリーズAで13.7億円獲得

画像クレジット:Visual Generation/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

予想より少なかった今期のDisney+の新規加入者数

この秋は、ディズニーのストリーミングの野望には優しくはなかった。第4四半期のDisney+(ディズニープラス)の加入者数は210万人にとどまり、合計1億1810万人となった。この数字は、同社がすでに慎重に見積もっていた数字(数百万人前半)とほぼ一致しており、総顧客数は前年同期比で60%増加しているが、一部のアナリストの予想を大きく下回っている。CNBCは、StreetAccount(ストリートアカウント)が今期の新規ユーザー数を940万人と予測していたことを指摘している

ディズニーのストリーミング配信事業Direct-to-Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)部門は、制作費、マーケティング費、および「技術コスト」の増加などにより、前年が3億7400万ドル(約426億円)だったのに対して6億3000万ドル(約718億円)の損失を計上した。これらは、サービスの拡大から予想されていたが、Disney+がサービス開始から2年経過してもなお、ディズニーにとって純利益をもたらしていないことを示唆している。同社のチーフBob Chapek(ボブ・チャペック)氏は、決算説明会において、加入者数の目標(2024年9月までに2億3000万人以上のユーザー)を達成し、利益を出すことに依然として自信を持っていた。

同社は「逆風」を警告していた。この問題について当初はあまり触れていなかったが、重荷を担う「モンスターズ・ワーク」や「ホワット・イフ…?」などのシリーズはあったが、Disney+にとって比較的静かな夏だった。また「ブラック・ウィドウ」と「ジャングル・クルーズ」という2本の大ヒット映画を配信したが、オリジナル映画はあまり強みにはならなかった。

秋に向けて、状況は明るくなってきている。Disney+は、11月12日に「シャン・チー/テン・リングスの伝説」を配信し「ホークアイ」や「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」などの番組を開始し、韓国などの国にも進出している。これらはすべて、加入者と視聴者を増やす可能性がある。問題は、特に同社が劇場でのプレミア公開に戻ったとき、それらがDisney+にとって十分に継続的なコンテンツと拡張になるかどうかということだ。

長期的な計画は、それだけではなかった。チャペック氏は、ディズニーのキャラクターが登場し、物理的な世界と仮想的な世界の両方を融合させるディズニー・メタバースの可能性を示唆した。しかし、CEOはこれが長期的な目標であることを強調し、タイムラインやその他の技術的な詳細については語らなかった。今のところ、これは具体的なプロジェクトというよりも、Facebook(フェイスブック)のMeta(メタ)に対抗するための試みといえるだろう。

編集部注:本稿の初出はEngadget

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Yuta Kaminishi)

ツイッターがウェブ版の画像プレビュー自動トリミングを廃止

2021年初めにモバイルでフルサイズの画像プレビューを展開したTwitter(ツイッター)は、ウェブでの画像プレビューの自動トリミングも廃止する。ウェブ版のTwitterでは、画像はトリミングされることなくフルサイズで表示される。これにより画像がタイムラインにどのように表示されるかを心配する必要はなくなり、撮影時と同じように画像は表示されることになる。

これまでは、ユーザーが画像プレビューをクリックせずにスクロールすることが多いタイムライン上で、より凝縮されて表示されるように、プラットフォームが自動的に画像をトリミングしていた。同社は3月、ユーザーに画像がどう見えるか正確なプレビューを提供するため、iOSおよびAndroidユーザーの一部を対象に、この変更を初めてテストした

これにより、ツイート作成画面は、画像を共有する人に、その画像がタイムラインに反映される前に、プレビューを表示することができるようになり、Twitterのアルゴリズムによるトリミングが白人の顔を強調する方向に偏っているという過去の懸念が解消された。また、画像の表示方法を自分でコントロールしたいと考えている写真家やアーティストにとって、画像の自動トリミングは煩わしいものだった。

今回の変更により、ウェブ上のユーザーのタイムラインでは、画像が縦方向のスペースを占めるようになるが、画像全体を見るために手動で画像をクリックしなければならないことに比べれば、手間はかからない。

今回の変更は、Twitterが自社のプラットフォームを改良し、サービスをより利用しやすくするために行ったものだ。最近では、ユーザーが自分のSpaces(スペース)へのダイレクトリンクを共有することで、他のユーザーがTwitterにログインすることなく、ウェブ上でライブオーディオセッションに参加できるようになった。また、2021年初めにカナダとオーストラリアで開始したプレミアムサブスクリプションサービスTwitter Blue(ツイッターブルー)を、月曜日に米国とニュージーランドでも開始した。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

ソフトバンクがプライベート5G商用化のための研究施設「AI-on-5G Lab.」をNVIDIAと合同で開設

集英社がXR事業開発課を新設し「集英社 XR」開始、NianticとLightship ARDKでパートナーシップも

ソフトバンクは11月10日、5Gの仮想化無線ネットワークvRANとMECが融合した環境でAI技術などのソリューションの実証や技術応用を行う研究施設「AI-on-5G Lab.」を、NVIDIAと合同で開設すると発表した。これより、プライベート5G向けのソリューション開発や、完全仮想化されたプライベート5Gの商用化を推進するという。

vRAN(virtualized Radio Access Network)とは、モバイル機器とインターネットとをつなぐ親局の専用ハードウェアの仕事を汎用コンピューター内のソフトウェアで仮想的に行う仕組み。MEC(Multi-access Edge Computing)は、マルチアクセス・エッジコンピューティングの略で、端末の近くにサーバーを分散配置するネットワーク技法のことをいう。これらを利用することで、事業所などが独自の5Gネットワーク、つまりプライベート5Gを構築できるようになる。「AI-on-5G Labs.」は、そうしたシステムをAIで最適化・自動化し、普及を目指そうとしている。

またvRAN普及のメリットとして、通信機器を汎用サーバー上にソフトウエアで構成することによるコストダウンをはじめ、通信以外の様々なアプリケーションを構成する役割を同時に提供可能な点を挙げている。例えばプライベート5Gを導入している工場において、通信を行っていない夜間帯に、MECに集積された情報をAI学習するための資源として活用することで、工場の生産性向上を図れるという。

この研究施設では、ソフトバンクが2018年から共同研究を行ってきたNVIDIAのGPUなどのハードウェアが使われ、それを用いてvRANとMECの機能を統合し、さまざまな検証が行われる。具体的には、ソフトバンクが提供するプライベート5G上で、NVIDIAのハードウェア、基地局の仮想化、AI処理のミドルウェア、アメリカのネットワークソフトウエアプロバイダーMavenirが提供する仮想化無線信号処理ソフトウェアとコアネットワークのソフトウェア、台湾のFoxconnの物理的アンテナを用いて完全仮想化プラットフォームを構築する。これを使って、プライベート5Gのユースケースの商用化に向けた検証を行うとのことだ。

またソフトバンクは、「6Gに向けた12の挑戦」として、ベストエフォートからの脱却、モバイルのウェブ化、電波による充電などといった目標を示しているが、その中の「AIのネットワーク」の開発検証を「AI-on-5G Labs.」で行うと話している。

Instagramがアプリ使用中の休憩リマインダー機能「Take a Break」をテスト中

Instagram(インスタグラム)のトップ、Adam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、今週から「Take a Break」という新機能のテストを開始したことを発表した。この機能は、ユーザーの好みに応じてアプリを使い始めて10分、20分、30分後に、アプリの使用を休憩するようにリマインドするというものだ。ただし、これはオプトインの機能で、ユーザーが自分で新しいコントロールを設定するには動機付けが必要なため、リマインダーの効果は限定的かもしれない。

同社は以前「Take a break」リマインダーを検討していると話していた。例えばモセリ氏は、Instagramが若いユーザー向けのサービス「Instagram for Kids」の構築を一時停止する計画についてコメントした際に、この機能の追加について触れた。同氏は、Instagramがユーザーのメンタルヘルスへの影響に関する問題に取り組んでいる一例として「Take a Break」のような「ナッジ」や「リマインダー」を組み込む計画に言及した。

Meta(旧Facebook)のセキュリティ担当グローバルヘッドであるAntigone Davis(アンティゴネ・デイビス)氏もまた、9月に上院で行われたティーンエイジャーのメンタルヘルスに関する公聴会で質問攻めにあった際、Instagramの「Take a Break」リマインダーについて言及した。デイビス氏は、ユーザーが長時間ブラウズした後にアプリを見るのをやめるよう促すための機能だと述べ、プラットフォームを利用する若者の体験を向上させるための同社の数多くの取り組みの1つとして挙げた。

しかし、Instagramが投稿から「いいね!」の数を削除する実験を行い、最終的にはオプトイン機能にすると決定したのと同様に、この新しい「休憩」リマインダーはデフォルトではないため、プラットフォームの利用には影響しなさそうだ。また、iOSやAndroidに搭載されているスクリーンタイムコントロール機能では、端末の所有者がモバイルアプリの利用時間を個別に、または「ソーシャル」などのカテゴリーごとに制限できるようになっているため、ユーザーが今回の新機能を採用するかどうかは不明だ。

言い換えると、Instagramはアプリの使用に影響を与えるような普遍的な変更を実際に行うことなく、メンタルヘルス機能を構築したことを評価してもらいたいようだ。

Instagramがこのような演出をするのは、今回が初めてではない。同社は2018年に「You’re All Caught Up」という通知を展開した。Instagram Feedで過去2日間のすべての新しいコンテンツの終わりに到達したときに表示されるものだ。しかし2020年に同社は逆行して「You’re All Caught Up」通知の下のスペースを使って、提案の投稿や広告を表示することにし、ユーザーが停止点に達した後もアプリの使用を維持しようとした。

Instagramがメンタルヘルスに真剣に取り組んでいるのであれば、アプリ内でユーザーにリマインダーを表示する時間を指定し、その上でユーザーがそれをオフにしたり、間隔を調整したりできるコントロールを提供できるはずだ。競合するTikTok(ティクトック)は、ユーザーのFor Youフィードに動画を挿入して、ユーザーが長時間スクロールした後に休憩するよう提案することで、すでにこれを実行している。TikTokは、何百万人ものフォロワーを持つインフルエンサーを活用してこのような警告を発しており、単なるポップアップ通知より効果的かもしれない。

モセリ氏によると、新しい「Take a Break」リマインダーは当面の間、限られた数のユーザーを対象としたテストとして今週から展開されているが、今後数カ月内に一般公開される予定だ。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

モバイルゲームでオーディオ広告を配信するAudioMobがシリーズAで約16億円調達、グーグルなどが支援

AudioMobは「押しつけがましくない」オーディオ広告をモバイルゲームに配信するスタートアップだ。ポップアップするようなちょっとした広告はプレイヤーの気に障るようなものではなく、AudioMobはそのメカニズムをどうにかして解明したようだ。

AudioMobは、Makers FundとLightspeed Venture Partnersが主導するシリーズAで1400万ドル(約15億9500万円)を調達した。Sequoia Scout ProgramとGoogleも参加した。これまでの調達金額の合計は1600万ドル(約18億2200万円)となった。

AudioMobは今後も実験的なオーディオテクノロジーの開発、複数の国での特許申請、ロンドンとアブダビにあるオフィスの拡大を続ける計画だ。同社は、評価額が1億1000万ドル(約125億3000万円)程度であると主張している。

筆者は2020年にCEOのChristian Facey(クリスチャン・フェイシー)氏とCTOのWilfrid Obeng(ウィルフリード・オベン)氏に会った。同社が活発に動き出し早期のトラクションを得て、Ed Sheeran(エド・シーラン)やNas(ナズ)、そしてIntel、Jeep、KitKatなどのブランドと協業したころだ。

AudioMobは現在、中国を除くすべての国のモバイルゲームにオーディオ広告を配信し、特にアラブ首長国連邦、ドイツ、カナダでは成長が目覚ましい。

フェイシー氏は「我々は、AudioMobのビジョンに対して長期的な成功と我が社の未来を期待する投資家の熱い思いに感動しています。我々はオーディオで業界全体に革新を起こそうとしています。業界を適切なやり方でディスラプトする技術とチームを作り、最終的にはテック業界の新たなユニコーンになるでしょう」と述べた。

オベン氏は「利用者は邪魔をされたくない、広告主は広告を聞いてもらいたい、ゲーム開発者はリテンションに影響を及ぼさずに収益を上げたいと考えるものです。我々はこの3つのニーズをすべて満たすプロダクトを開発しました」と述べた。

Googleは2021年6月に、ヨーロッパの黒人ファウンダー基金の対象とする30社のスタートアップの1つとしてAudioMobを選出した

画像クレジット:AudioMob、共同創業者のクリスチャン・フェイシー氏(左)とウィルフリード・オベン氏(右)

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)