高機能マスク「Xupermask」が商品化、換気ファン・HEPAフィルターやノイキャン対応イヤホンを搭載

高機能マスク「Xupermask」が商品化、換気ファン・HEPAフィルターやノイキャン対応イヤホンも搭載

Xupermask

実業家としても知られるミュージシャン will.i.am が、デュアル換気ファンや交換可能なHEPAフィルタ、アクティブノイズキャンセル対応イヤホンを組み合わせた高機能マスク『Xupermask』を商品化しました。当然(?) LEDで光ります。

デザインを手掛けたのは映画バットマンやスパイダーマン等の衣装で知られるコスチュームデザイナー ホセ・フェルナンデス氏。映画『トロン:レガシー』に出演したダフト・パンクのヘルメットや、SpaceXの有人宇宙船Falcon 9用宇宙服も担当しています。

高機能マスク「Xupermask」が商品化、換気ファン・HEPAフィルターやノイキャン対応イヤホンも搭載

Xupermask

見た目だけのアクセサリというわけでもなく、HEPAフィルタや換気ファンといったマスクとしての機能については、航空宇宙事業から産業用・家庭用の空気清浄機も手掛けるハネウェルとのパートナーシップによる製造です。

イヤフォンはBluetooth 5.0通信とアクティブノイズキャンセリングに対応。マイクはマスクを着けたままでもクリアに通話できるよう、マスク内の音を拾う構造になっています。

全体としては、柔軟なファブリック素材のマスクと、口と鼻を覆う部分は密閉性を高めるシリコン製の樹脂素材に換気ファンとHEPAフィルタ、LEDライト等とバッテリー内蔵、さらに個別に外せるイヤホンから構成されています。

マスク自体は換気フィルタ部分の重さや長時間の着用を考慮して、耳掛けではなく後頭部まで回すバンド式。イヤホンは取り外したときもポケットにしまう必要なく、マスクに固定できます。カラーはブラックとホワイト。

高機能マスク「Xupermask」が商品化、換気ファン・HEPAフィルターやノイキャン対応イヤホンも搭載

Xupermask

will.i.am は人気グループ BEP (Black Eyed Peas)のフロントマン。成功したミュージシャンが自身のパブリシティと資金調達力を活かして起業にも手を出すのはよくある話ですが、will.i.am は重度のテクノロジー愛好家・ガジェットおたくとしても知られています。

これまでもインテルの「クリエイティブイノベーションディレクター」に就任したり、自身のテクノロジー企業 i.am+ を通じてヘッドフォンやスマートウォッチなどの製品をリリースしてきました。Xupermask のイヤホン部分は、以前 will.i.am が自身のブランドで販売したワイヤレスイヤホン BUTTONS に似た形状です。

高機能マスク「Xupermask」が商品化、換気ファン・HEPAフィルターやノイキャン対応イヤホンも搭載

Xupermask

Xupermask は公式サイトを通じて299ドルで販売予定。読みは普通に「スーパーマスク」のようです。

XUPERMASK – Modern tech for the modern world

Engadget日本版より転載)

カテゴリー:ハードウェア
タグ:ガジェット(用語)デザイン / デザイナー(用語)ファッション(用語)ヘッドフォン / イヤフォン(用語)

着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化

着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化

AIコーディネート提案アプリ「XZ」(クローゼット。Android版iOS版)を運営するSTANDING OVATIONは、手持ち服を活かす着回しコーデ提案エンジンを活用したEC・店頭接客のOMO(Online Merges with Offline)ソリューションを三井不動産と共同開発したと発表した。

3月18日に「三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY」にオープンした「LaLaport CLOSET」(ららぽーとクローゼット)において、実証実験を開始している。

STANDING OVATIONはかねてより、三井不動産が運営する三井ショッピングパーク公式通販サイト「Mitsui Shopping Park &mall」(アンドモール)との取り組みを実施しており、ユーザーに対してAIスタイリストが手持ち服を使った着回しコーデを提案して商品購買率を向上させる施策を行ってきた。

LaLaport CLOSETでは、テナント横断のMIXブランド新品商品と手持ち服を組み合せた着回しコーデを提案することで店舗での試着を促し、「&mall」での購入につなげているという。

LaLaport CLOSETでは、来店客の手持ち服を見える化し接客

LaLaport CLOSETでは、来店客の手持ち服をタブレットで閲覧しながら接客を行うという。XZにより、従来の接客では把握しきれなかった来店客の手持ち服を見える化することで、来店客それぞれ合わせた質の高い接客・提案ができるようサポートするとしている。

着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化

表示される手持ち服は、過去に「&mall」で買い物した購入履歴だけではなく、追加の登録が可能。ららぽーと施設内で当日購入した商品や、当日着用している服、持ち込んだ服を代行登録してデジタル化するサービスも展開するという。

また、持っている服に似ているアイテムを手持ち服としてその場で登録できるため、ららぽーと施設内や「&mall」で商品を購入したことがない人でも利用できるという。

LaLaport CLOSET内の新品商品+手持ち服を使ったコーディネート提案

LaLaport CLOSETでは、商品についたQRコードを読み込むと、XZのAIスタイリストがブランド(テナント)横断MIXの新品商品とユーザーの手持ち服を組み合せたコーディネートを提案する。

AIスタイリストは、「瞬時」に「豊富」に提案することで「接触を軽減する接客」をサポートすると同時に、ユーザー側は、手持ち服に合う商品を買い足すことで着回しのバリエーションを増やせるとしている。

着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化またこのコーディネート提案では、LaLaport CLOSET内にある商品と「&mall」内にある商品を紹介しているため、店頭に在庫がある場合はその場ですぐに試着できる。気になってはいるがその場で購入に至らなかった場合には、来店客に対してQRコードの形で商品情報を渡すことが可能。後日ゆっくりと手持ち服との着回しコーデを確認することで、購入の再検討やあと買いを促進できるという。

STANDING OVATIONは、手持ち服を起点に、オンライン(EC)とオフライン(リアル店舗)の垣根を超えた融合(OMO)サービスを提供し、新たなショッピング体験を実現するとしている。

着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化

XZは、手持ちのファッションアイテムをアプリに登録することで、クローゼットの中身をデジタル化できるオンライン・クローゼットアプリ。AIスタイリストが手持ち服から着回しコーデを提案するため、今日明日の服装を決める際や買い物時に、いつでもどこでも持ち歩けるクローゼットとして利用されているという。

アプリの累計ダウンロード数は150万を突破。服・靴・バッグ・ファッション雑貨など、アプリ内の手持ちアイテム登録数は累計2800万点に上るという(2021年3月30日時点)。コーディネート作成数は420万点に到達しており(2021年3月30日時点)、XZにしか把握できないクローゼット・ビッグデータが蓄積しているそうだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:OMO / Online Merges with Offline(用語)STANDING OVATION(企業)ファッション(用語)三井不動産(企業)ららぽーと日本(国・地域)

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

ブランドのGucci が、VRChat などのアバター向け「デジタルスニーカー」を発売しました。価格は2プラットフォーム向けデジタルモデルとAR試着・共有機能の解禁、アーティスト壁紙等がセットで1400円程度。

Gucci 公式アプリに新設されたインタラクティブなスニーカー売り場「Gucci Sneaker Garage」から購入することで、ソーシャルVRプラットフォームの VRChat と、ソーシャルゲームプラットフォームの ROBLOX向けデジタルモデル「Gucci Virtual 25」を入手できます。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

公式アプリ内の Gucci Sneaker Garage は、グッチの実在のスニーカーをブラウズしてAR試着したり、そのまま購入できるスニーカー売り場。

「ジェネレーター」で自分だけの仮想スニーカーデザインを試して共有したり、アーティストのコラボレーション作品を鑑賞したり、デザインストーリーを学ぶこともできます。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

「Gucci Virtual 25」は、GUCCI Sneaker Garage からアプリ内購入できる「デジタルスニーカー」。

「Gucci Virtual 25スペシャルパッケージ」を購入するとAR試着写真をシェアできるほか、VRChat と Roblox で使えるアバターアイテム、アーティスト壁紙が入手できます。

価格は iOSの App Store では1480円。Google Playでは1320円。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

VRChat 向けには、一般的に3Dアクセサリとして売っている仮想アイテムと同様、Unity 用アセットファイルとしてダウンロード配布します。VRChat SDK や Unity など、本来は開発者向けのツールを使って追加する手順が必要です。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

「Gucci Virtual 25」は、スニーカーのAR試着・販売アプリ Wanna Kicks でも購入可能。iOSアプリ内購入で1100円と若干安くなっていますが、こちらはバーチャル試着してSNSでシェアできるだけで、アバターアイテムは含まれません。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

GUCCI Sneaker Garage 内の「ジェネレーター」は、グッチの用意したパーツやカラーを組み合わせ、仮想のカスタムスニーカーをデザインする機能。ソーシャルメディアでシェアしたり、アプリ上で人気投票もできますが、こちらでデザインしたスニーカーをアバターアイテムとして購入できるわけではありません

今回「Gucci 発のデジタルアイテム」として販売しているのは、あくまでデジタル限定の「Gucci Virtual 25」のみ。グッチの実物スニーカーは価格10万円前後からですが、そちらを買ってもバーチャル版はついてきません。

VRアバターアイテムや仮想コレクションアイテムの市場が広がり、複製防止などの技術が普及したころには、実在のブランドアイテムを購入すると仮想バージョンも付属するようになってほしいものです。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

Pokemon GO

なおGucciのアバターアイテムといえば、The North Face x GucciコラボアイテムをポケモンGOのゲーム内で配布していました。こちらは無料。

本来は世界100か所の特別なポケストップを訪問することで入手できる誘導策でしたが、コロナ禍で全プレーヤー向け無料配布になっています。

ポケモンGO、The North Face x Gucci コラボ着せ替えアイテムを全員コード配布。特別なポケストップ訪問不要

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:仮想現実 / VR(用語)Gucci(企業・製品)ファッション(用語)VRChat(企業・サービス)Unity(企業・サービス)

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

ブランドのGucci が、VRChat などのアバター向け「デジタルスニーカー」を発売しました。価格は2プラットフォーム向けデジタルモデルとAR試着・共有機能の解禁、アーティスト壁紙等がセットで1400円程度。

Gucci 公式アプリに新設されたインタラクティブなスニーカー売り場「Gucci Sneaker Garage」から購入することで、ソーシャルVRプラットフォームの VRChat と、ソーシャルゲームプラットフォームの ROBLOX向けデジタルモデル「Gucci Virtual 25」を入手できます。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

公式アプリ内の Gucci Sneaker Garage は、グッチの実在のスニーカーをブラウズしてAR試着したり、そのまま購入できるスニーカー売り場。

「ジェネレーター」で自分だけの仮想スニーカーデザインを試して共有したり、アーティストのコラボレーション作品を鑑賞したり、デザインストーリーを学ぶこともできます。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

「Gucci Virtual 25」は、GUCCI Sneaker Garage からアプリ内購入できる「デジタルスニーカー」。

「Gucci Virtual 25スペシャルパッケージ」を購入するとAR試着写真をシェアできるほか、VRChat と Roblox で使えるアバターアイテム、アーティスト壁紙が入手できます。

価格は iOSの App Store では1480円。Google Playでは1320円。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

VRChat 向けには、一般的に3Dアクセサリとして売っている仮想アイテムと同様、Unity 用アセットファイルとしてダウンロード配布します。VRChat SDK や Unity など、本来は開発者向けのツールを使って追加する手順が必要です。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

「Gucci Virtual 25」は、スニーカーのAR試着・販売アプリ Wanna Kicks でも購入可能。iOSアプリ内購入で1100円と若干安くなっていますが、こちらはバーチャル試着してSNSでシェアできるだけで、アバターアイテムは含まれません。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

GUCCI

GUCCI Sneaker Garage 内の「ジェネレーター」は、グッチの用意したパーツやカラーを組み合わせ、仮想のカスタムスニーカーをデザインする機能。ソーシャルメディアでシェアしたり、アプリ上で人気投票もできますが、こちらでデザインしたスニーカーをアバターアイテムとして購入できるわけではありません

今回「Gucci 発のデジタルアイテム」として販売しているのは、あくまでデジタル限定の「Gucci Virtual 25」のみ。グッチの実物スニーカーは価格10万円前後からですが、そちらを買ってもバーチャル版はついてきません。

VRアバターアイテムや仮想コレクションアイテムの市場が広がり、複製防止などの技術が普及したころには、実在のブランドアイテムを購入すると仮想バージョンも付属するようになってほしいものです。

グッチがVRChatアバター向けスニーカー「GUCCI Virtual 25」発売、デジタル限定モデル

Pokemon GO

なおGucciのアバターアイテムといえば、The North Face x GucciコラボアイテムをポケモンGOのゲーム内で配布していました。こちらは無料。

本来は世界100か所の特別なポケストップを訪問することで入手できる誘導策でしたが、コロナ禍で全プレーヤー向け無料配布になっています。

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Engadget日本版より転載)

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タグ:仮想現実 / VR(用語)Gucci(企業・製品)ファッション(用語)VRChat(企業・サービス)Unity(企業・サービス)

新規資金調達を行ったMaisonette、ファッション意識の高いファミリー層の御用達ブランドへの道のりとは

ニューヨークを拠点とするMaisonetteが4年前に創業したのは、幼い子供がいる家族に必要なあらゆるものが手に入るキュレーション型ワンストップ・ショップを目指したことがきっかけだった。

その計画はうまくいっているようだ。同社は手始めにプレッピースタイルの子供向けアパレルを立ち上げ、家庭用装飾品、家具、おもちゃ、家庭用機器、アクセサリーといったカテゴリーを順調に展開してきた。同社によれば、昨年は顧客数が2倍に増え、収益は3倍になったという。コロナ禍で子供向けのおしゃれ着の売り上げはしばらくの間低迷し、同社のスタイルは下火になってもおかしくなかったにもかかわらず、DIYとSTEM教育玩具の売り上げが1400%増となったのだ。

同社は売上高を公表していないが、その成長振りは興味深い。特に、Amazonが衰えを知らない成長ぶりで2018年末頃にアメリカ国内トップのアパレル小売企業になったことを考えればなおさらだ。

こうして見ると、Maisonetteの魅力はこれまでに築き上げた顧客との信頼に負うところが大きい。顧客は、子供向け市場にいっそう注力しているGucciBurberryのようなラグジュアリーブランドと比べて、同社の商品をハイエンドでありつつも購入しやすいと考えている。

詳しく言うと、従業員数75人の同社には、独立ブランドと提携して他のどこにもないような商品を世に出すことを得意とするマーチャンダイジングチームがあるのだ。

また、Maisonetteは2年半ほど前に「Maison Me」という自社のアパレルブランドを立ち上げた。より手頃な価格で手に入る「高級なベーシック」をターゲットとして中国で生産される商品は、子供が大きくなったり服がだめになったりするたびに繰り返し商品を購入するファミリー層向けに、好調な売り上げを見せていると同社は言う。

Maisonetteの創業者たちがシックなスタイルの目利きであることも幸いしている。共同創業者のSylvana Ward Durrett(シルヴァナ・ワード・デュレット)氏とLuisana Mendoza de Roccia(ルイザナ・メンドーサ・デ・ロシア)氏が出会ったのは、デュレット氏が15年勤務していたVogueマガジンだった。デュレット氏はプリンストン大学卒業と同時に同社に入社し、イベント担当ディレクターとなった(同氏がファッション界での名声を獲得した仕事だった)。ロシア氏は同じ2003年にジョージタウン大学卒業と同時に同社に入社し、Vogueマガジンのアクセサリーエディターを務めて2008年に退職した。

興味がある人のために言うと、彼らの元上司だったのがAnna Wintour(アナ・ウィンター)氏で、2人の擁護者でもある。他にも強力な支持者がおり、中でもNEAの投資家のTony Florence(トニー・フローレンス)氏は、e-コマースの事情通であり、彼の会社を代表しJet、Goop、Casperへの投資を主導した人物である。

NEAはThrive Capitalやグロースステージ・ベンチャーキャピタルのG Squaredと並ぶMaisonetteの出資者だ。G Squaredは3000憶ドル(約31兆8400億円)のラウンドを主導することを発表したばかりだが、これでMaisonetteの資金調達総額は5000憶ドル(約53兆円)になる。

もう一人同盟関係にあるのがMarissa Mayer(マリッサ・メイヤー)氏だ。同氏は2009年にデュレット氏と出会ったが、当時はGoogle初の女性エンジニアにして最もファッショナブルな役員として知られていた。友情が長く続いているだけでなく(メイヤー氏は名前を気に入って、双子の娘のひとりにシルヴァナと名付たそうだ)、メイヤー氏はMaisonetteのボードメンバーでもある。おそらくは、同社が本来の強みを持つ非常に若い顧客層についても、データ戦略の洗練に力を貸したことだろう。

「データとe-コマースに関して非常に役立つことは、特定のライフステージにいる人たちを捕捉できることです」とメイヤー氏は説明する。「ウエディング・レジストリが好まれたのはそうした理由です。結婚して子供を持つと、小売企業は子供の年齢に応じて顧客のニーズと、2年後に欲しくなるものを推測し始めます。」

「サプライチェーンの予測という観点からいうと、在庫の選択や、その瞬間を逃さず捉えるためにも、これらのライフステージを洞察することは非常に重要でありかつ役立つのです」とメイヤー氏は言う。また、メゾネットは事業を拡大し続けているため、このようなシステムは大きな利益をMaisonetteにもたらしてくれる可能性があると同氏は述べた。

確かに、すでに多くのことが同社の思い通りに進んでいる。メイヤー氏の指摘について、ロシア氏によればMaisonetteの昨年の売り上げの半分以上がリピーター顧客によるものだという。さらに、同社からのメールを受信したりソーシャルメディアのチャンネルをフォローしている人々はすでに80万人にのぼる。(Maisonetteでは充実した特集コンテンツをウェブサイトで提供している)

Maisonetteは一部のeコマース事業とは違い、アセットライト戦略を取っている。以前にいくつかのポップアップストアをオープンし、より大規模な小売りへの移行を検討したこともあったが(デュレット氏によれば「今はいったん中止している」とのこと)、同社は自らが管理する倉庫を持たず、商品は同社のサイトが特集するさまざまな小売業者から直接消費者へ発送される。

おそらく最も重要なのは、同社が巨大な成長市場で競争していることだ。米国だけでも子供向けアパレル市場は340億ドル(約3兆6800億円)規模と推定され、世界規模では見ると6300億ドル(約66兆8900億円)にもなる。Maisonetteが現在販売しているのは米国の顧客のみだが、今回の資金の一部を使ってグローバル市場に進出することを計画していると、ロシア氏は語る。同氏はパンデミックの期間中、子供4人とともにミラノで生活しており、一方デュレット氏は自身の子供3人から少し離れ自分の時間を確保するため、1月からほとんど誰もいないブルックリンにあるMaisonetteの本社で仕事をしている。

事実、遠距離のZoomコールで彼らが長い時間話すのは、子供を持つ在宅勤務者が今すぐにも新しい仕事スペースを必要としていることや、バーチャル授業を受けている子供たちの部屋をアップデートすることについてだ。世界的な活動停止を望んだ人はいなかったはずだが、コロナのために家庭用装飾品は「注目されているカテゴリー」だとロシア氏は付け加える。

今2人が追っている他のトレンドについて尋ねた。たとえばMaisonetteは、近年大規模なビジネスになったママと子供のペアルックスタイルを打ち出している。ロシア氏によれば、世界的活動停止が起きていても、これは「巨大なトレンド」であり続けているという。「これは休日のパジャマから始まったのです。それが一大ムーブメントを引き起こして、今は水着やカジュアルウェアがペアルック関連ビジネスのかなりの部分を占めるようにもなりました。」

デュレット氏が気付いたトレンドについて、同氏は笑って「ラマはすごいですね。同社はラマの音楽プレーヤーを販売しているのですが、ホリデーシーズンに何回もサイトに再掲載しなければならないほどでした。」と語り、さらにこう続ける。「虹とユニコーンも。虹とユニコーンは手に入れるのが難しいもののメタファーでもありますが、文字通り在庫を維持しておくのが難しいですね。」

ユニコーンについて、同氏は「ユニコーンは、ユニコーンをモチーフにした商品のことですが」と付け加えた。

関連記事:Allbirdsが2021年末にフェイクレザーの靴を発売、植物ベースの代替皮革企業に投資

カテゴリー:その他
タグ:ファッション 資金調達

[原文へ]

(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

Allbirdsが2021年末にフェイクレザーの靴を発売、植物ベースの代替皮革企業に投資

持続可能性を重視する靴メーカーAllbirds(オールバーズ)は、Natural Fiber Welding(ナチュラル・ファイバー・ウェルディング)という新しい会社に200万ドル(約2億1200万円)の小規模投資を行い、そのサプライチェーンをさらにグリーンな方向へ前進させた。

米国時間2月25日発表されたNatural Fiber Weldingへの投資は、2021年12月までに、完全植物由来の代替皮革という選択肢となってAllbirdsの製品に反映される予定だ。こうしたオプションが追加されることは、アパレル製造の一側面での環境インパクトを重視すると常に言明している同社としては、自然な流れだろう。

この頃のAllbirdsは、もうただの靴メーカーではない。Natural Fiber Weldingの製品には、同社独自の処理技術で作られた頑丈な綿繊維と植物由来の代替皮革が意図的に使われている。

これらの素材がソックス、靴、Tシャツ、下着、セーター、ジャケット、マスクなどのAllbirds製品に使われることになった。Natural Fiber Weldingはそのウェブサイトで、Porsche(ポルシェ)との提携を宣伝している。つまり、イリノイを拠点とするこのスタートアップの新素材Peoria(ペオリア)に熱を入れているのは、Allbirdsだけではないということだ。

PitchBookのデータによれば、Allbirdsからの投資以外にもNatural Fiber Weldingは1500万ドル(約16億円)の資金を調達している。その他の投資者にはCentral Illinois Angels、Prairie Crest Capital、Ralph Lauren Corp.、そして完全植物由来の製品に特化した投資会社Capital Vがある。

2020年、植物由来の素材に飛びついたアパレル企業は、決してAllbirdsだけではない。何かと話題のPangaia(パンガイア)は同年12月、Kintra(キントラ)というバイオ由来の代替ポリエステルのメーカに200万ドルを投資した。

現在、持続可能ファッションの世界で最も大きなスタートアップは、Bolt Threads(ボルト・スレッズ)という会社だ。同社は、Stella McCartney(ステラ・マッカートニー)、Adidas(アディダス)、Balenciaga(バレンシアガ) のオーナーであるファッションハウスなどと(もっと他にもあるが)契約を結んでいる

関連記事:Bolt Threadsがバレンシアガやグッチ、アディダスなどと新素材マッシュルーム代替皮革で提携

それ以外で、植物由来の繊維や素材で多額の資金を調達したスタートアップには、MycoWorks(マイクロワークス)などの企業がある。同社は2020年にJohn Legend(ジョン・レジェンド)氏、Natalie Portman(ナタリー・ポートマン)氏、さらにもっと伝統的な投資企業である台北のWTT Investment Ltd.、DCVC Bio、Valor Equity Partners、Humboldt Fund、Gruss & Co.、Novo Holdings、8VC、SOSV、AgFunder、Wireframe Ventures、Tony Fadell(トニー・ファデル)氏から4500万ドル(約47億8000万円)を調達した。

Allbirdsは、Natural Fiber Weldingの製品で人工皮革の環境への影響を大幅に減らせることを誇っている。Natural Fiber Weldingによれば、その素材では、石油から作られる合成皮革と比較して、関連する二酸化炭素排出量は40分の1、製造時の排出量な17分の1だという。

また同社では、植物由来皮革には天然ゴムが使われると話している。天然ゴム業界には人権を侵害してきた歴史があるが、是正の努力もなされているところだ

「ファッション業界は、あまりにも長い間、いかがわしい合成皮革や持続可能性のない皮革に依存してきました。環境よりもスピードとコストを優先させていたのです」とAllbirdsの共同創設者であり共同CEOのJoey Zwillinger(ジョーイ・ズウィリンガー)氏は声明の中で述べている。「Natural Fiber Welding(NFW)は、大規模に、持続可能な形で、皮革の解毒剤を作っています。しかもそれを、炭素排出量を98パーセント削減して業界の流れを変える可能性のある方法で行っています。NFWとの提携と、彼らの技術が生んだ植物由来皮革の導入で、私たちの旅は、ファッション業界から石油を一掃するというエキサイティングな段階に入ります」。

TechCrunchではAllbirdsに詳しいコメントを求めているが、現時点ではまだ返事がない。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Allbirdsファッション持続可能性投資

画像クレジット:Allbirds

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

AIでファッショントレンドを予測し商品開発を行うFinesseが4.7億円調達、Z世代がターゲット

ファッションのトレンドの予測から、当てにならない推測による時間の無駄を省くことを目指すスタートアップFinesseが、シードとプレシードのラウンドで450万ドル(4億7000万円)のベンチャー資金を調達したと発表した。

ファウンダーでCEOのRamin Ahmari(ラミン・アーマリ)氏は「ファッション業界が毎年、途方もない無駄を出しているのは公然の秘密です」と述べた。たとえば著名なアパレルブランドのBurberry(バーバリー)は売れ残った商品を焼却するという同社の慣行に対する批判の高まりに直面している。業界全体ではおよそ1300万トンの繊維製品が廃棄物となっていると推定されている

アーマリ氏は「Finesseの目的は、これを変えることです」と語った。ファッショントレンドがファッションショーというクローズドな世界からソーシャルメディアに移行している。これにより新商品がKylie Jenner(カイリー・ジェンナー)のようなインフルエンサーが実際に着用することで人気になるケースが増えている。

「インターネット上のデータなら我々は自由にアクセスできます。以前、働いていた金融ビジネスに比べればファッション業界ははるかに予測しやすい。自然言語処理やディープラーニングなどのツールをファッションビジネスに適用するテクノロジー・スタートアップがまだ存在していなかっただけです」とアーマリ氏は述べた。

「つまりカイリー・ジェンナーがInstagramに新しいファッションの写真を投稿し、人々がそれに夢中になっているとしましょう。【略】データはカイリーの投稿だけではありません。Instagram、TikTok、Google(グーグル)トレンド全体で何が起きているかを推測できます。我々は新しいファッションがブレークする前に、次のトレンドを予測できるのです」。

画像クレジット:Finesse

Finesseは予測データをベースに新商品を開発する。アーマリ氏はCLO 3Dモデリングソフトウェアなどのツールを利用すれば「サプライチェーンの大幅な高速化」が可能だとする。Finesseはトレンドの推定から25日以内に、ユーザーが実際に商品を購入できるようにすることができると述べた。

Finessは米国時間1月27日に正式スタートしたが、すでに「ドロップマーケティング」を通じて商品販売を行っている。ユーザーはほしいアイテムに投票し、予約する。商品は数量限定だ。アーマリ氏によれば、Finesseは売れ行きが予測しやすい定番商品ではなくユニークなアイテムに重点を置いているが、需要に自信があるため商品を手頃な価格にすることができるという。事実、現在販売されている商品は8ドル(約830円)から116ドル(約1万2100円)の価格帯だ。

また多くのファッション企業と違い、アーマリ氏は、Finesseは巨大で費用のかかるデザイン部門を抱える必要がないと指摘している。ただしプロダクト担当バイスプレジデントのAndrea Knopf(アンドレア・クノップ)氏、プロダクト開発責任者のBrittany Fleck(ブリタニー・フランク)氏などのメンバーについて「彼ら自身が優秀なアーティストです」と述べた。

「本当のAIが実現しない限り(これはもちろん遠い目標です)、AIがクリエイティブになることはできない。ユーザーからのフィードバックがどうしても必要です。【略】私たちが排除したいのは、この業界で給料の安いインターン社員がこなしている重労働です。私たちは非常に効果的なテクノロジーによってInstagramなどを通じて新しいファッショントレンドを見つけています」とアーマリ氏は説明する。

アーマリ氏はまた、持続可能性とLGBTQコミュニティとの関係も重視しており(アーマリ氏自身、自分が男女の性別に区分けされることを拒むノンバイナリーだと認めている)、プロダクトはすべてユニセックスのものとしてデザインされている。Finesseは「白人高齢シスジェンダーの男性」が支配するファッションにうんざりしているZ世代の消費者をターゲットにしている。

このスタートアップの投資家には、Hoxton Ventures、MaC Venture Capital、Mango Capitalなどのベンチャーキャピタルに加えて元Twitterのエンジニアリング責任者であるAlex Roetter(アレックス・レトラー)氏、Collective HealthのCEOであるAli Diab(アリ・ディアブ)氏、Fab Fit Funの共同ファウンダーであるSam Teller(サム・テラー)氏らの個人投資家も含まれている。

MaCのマネージングパートナーMarlon Nichols(マリオン・ニコルズ)氏は声明で「Finesseは、トレンド予測から持続可能なサプライチェーンの構築に至るまで、まさにファッションの未来であると信じています。Finesseによる創造的破壊から他のファッションブランドが学ぶべきことは多いと考えており、次に何をしてくれるのか大いに期待しています」と述べている。

関連記事:Amazon Fashionが写真を元にしたカスタムTシャツ作成サービスの提供を開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Finesseファッションネットショッピング人工知能

画像クレジット:Finesse

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

スニーカー・アパレル特化「板寄せ」売買プラットフォームの「モノカブ」が4.5億円を調達

スニーカー・アパレル特化「板寄せ」売買プラットフォームの「モノカブ」が総額4.5億円を調達

スニーカー/アパレル特化の売買プラットフォーム「モノカブ」(Monokabu。iOS版)運営のモノカブは12月15日、第三者割当増資による総額4.5億円の資金調達を発表した。引受先はGunosy Capital、ユナイテッド、Heart Driven Fund、YJキャピタルおよびW ventures。

調達した資金は、特に売買プラットフォーム「モノカブ」の価値提供の中心である鑑定および配送やCSなどオペレーション強化に資金を投資。

また、今まではスニーカー/アパレル特化のバーティカルCtoCサービスとしてサービスを運営しているが、今後はさらに商材の幅を広げ、より多くの方が安心して利用でき、利便性が高いCtoCサービスを提供していくとしている。

スニーカー・アパレル特化「板寄せ」売買プラットフォームの「モノカブ」が総額4.5億円を調達

スニーカー・アパレルの板寄せアプリ「モノカブ」は、スニーカー・ハイエンドファッション特化型CtoCマーケットプレイス。入札や出品、購入や販売が行えるという「もの」を「株」式の売買方法を取り入れた個人間の売買プラットフォームを提供。

特徴は、2018年のサービスリリース以来、CtoC売買マーケットプレイスで問題になる「偽物の流入」を徹底排除すべく、取引ごとに専任スタッフによる鑑定を行っている点。また、購入者・販売者双方が「指値」で取引できる「板寄せ」という証券取引所の売買成立方法を取り入れることで、入札と出品それぞれのオファーが可能となり、透明性の高いスニーカー相場を実現している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)ファッション(用語)モノカブ日本(国・地域)

オーダースーツなどD2Cブランド展開のFABRIC TOKYOが13.5億円調達、商品開発とテクノロジー投資強化

オーダースーツなどD2Cブランド展開のFABRIC TOKYOが13.5億円調達、商品開発とテクノロジー投資強化

オーダースーツなどのD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)は12月14日、新たな資金調達ラウンドにおいて、約13.5億円のファーストクローズを完了したと発表した。今回の資金調達はコンバーティブル・エクイティ(CE、J-KISS型新株予約権)発行やデットファイナンスなどを活用し実行。2021年に同ラウンドのセカンドクローズを実施する予定。

引受先は、新規株主としてD2C&Co.、ポーラ・オルビスホールディングス、千葉道場ファンド、Takram、複数の事業会社。またエンジェル投資家として、小泉文明氏(メルカリ会長)、児玉昇司氏(ラクサス創業者)、富島寛氏(メルカリ創業者)およびその他個人投資家。

調達した資金は、商品企画・開発およびテクノロジーへの投資に主に充てる予定。事業の提供価値をより一層強化し、顧客及び取引先工場へ還元していく。

FABRIC TOKYO」は、「Fit Your Life」をブランドコンセプトに、体型だけでなく、顧客それぞれの価値観やライフスタイルにフィットする、オーダーメイドのビジネスウェアを提供するD2Cブランド。

一度来店し、店舗で採寸した体型データがクラウドに保存することで、以降はオンラインからオーダーメイドの1着を気軽に注文できる。リアル店舗も自社で展開し、関東・関西・名古屋・福岡の合計14店舗を運営中。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)D2C(用語)ファッション(用語)FABRIC TOKYO日本(国・地域)

HIKKY主催VRイベント「バーチャルマーケット5」にVR来店できる「ディズニーストア」がオープン

HIKKY主催VRイベント「バーチャルマーケット5」にVR来店できる「ディズニーストア」が期間限定オープン

©Disney

VR法人「HIKKY」は12月14日、VR空間上で行う世界最大級のイベント「バーチャルマーケット5」において、ウォルト・ディズニー・ジャパンのディズニーストアが期間限定でオープンすると発表した。実際の店舗で販売されているアイテムの3D展示のほか、そのままディズニー公式オンラインストア「shopDisney」(ショップディズニー)に移動して商品を購入できる。バーチャルマーケット5は、2020年12月19日~2021年1月10日の23日間にわたり開催予定。

今回の取り組みは、日本発のバーチャルディズニーストアに、世界中からアクセスし、ディズニーストアの世界観を体験できるというもの。

記念すべきオープン初日の2020年12月19日から25日までは、店外にクリスマスツリーをあしらい、ディズニーストアのクリスマスグッズが並べるという。12月26日以降は、お正月グッズの「ETO DISNEY」にチェンジ。全期間通して「UniBEARsity」(ユニベアシティ)、「THE ARISTOCATS 50 YEARS」「101 Dalmatians」商品のVR展示も実施する。

巨大なユニベアシティが店舗内に登場。 ©Disney ©2020 MARVE

巨大なユニベアシティが店舗内に登場。 ©Disney ©2020 MARVE

オススメグッズを展示 ©Disney

オススメグッズを展示 ©Disney

バーチャルディズニーストア店舗内には、「マーベル」エリアと「ディズニー ツイステッドワンダーランド」エリアも用意。「ディズニー ツイステッドワンダーランド」エリアでは、寮ごとに精巧にモデリングしたイメージアクセサリーを展示。「マーベル」エリアでは、中央にBANDAI SPIRITSの受注販売フィギュアである「アイアンマン マーク6」を等身大で展示。また、こちらのエリアではディズニーストアとTHRASHERの共同企画品である「スパイダーマン」Tシャツの展示も行う。

「ディズニー ツイステッドワンダーランド」エリア ©Disney

「ディズニー ツイステッドワンダーランド」エリア ©Disney

マーベルヒーローたちのパネルがずらりと並べられている中、中央には等身大の「アイアンマン マーク6」を展示 © 2020 Marvel

マーベルヒーローたちのパネルがずらりと並ぶ中、中央には等身大の「アイアンマン マーク6」を展示 © 2020 Marvel

バーチャルマーケットとは、VR空間上にある会場で、出展者と来場者が、アバターなどのさまざまな3Dアイテムや、リアル商品(洋服、PCなど)を売り買いできるイベント。その他、バーチャル空間上で乗り物に乗ったり、映像を見たり、来場者間でコミュニケーションを楽しむことなどが可能。

VR機器やPCから気軽に誰でも参加でき、開催期間中は24時間運営することから、日本はもとより世界中から70万人を超える来場者が集まる、世界最大のバーチャルイベントとなっている。

また「バーチャルマーケット5」では国内外から通信、メーカー、小売り、アパレル、エンタテインメントなど、様々な業種から有名企業・アーティスト・団体の出展が決定。出展企業は自社ブランドと親和性の高いデザインや仕掛けを施した特別ブースを展開。ブース内では、さまざまな商品の売買、試乗・試遊体験や一流の店員からの接客まで、まるで実際のお店に来たかのような体験・コミュニケーションをいつでも誰でもどこからでも楽しむことが可能。

  • 名称:Virtual Market5(バーチャルマーケット5)
  • 主催:VR法人HIKKY
  • 会期:日本時間 2020年12月19日11:00~2021年1月10日23:00(計23日間)
  • 会場:特設会場(バーチャル空間)。後日URL発表

HIKKYは、エンタテインメントVRを牽引する注目のクリエイター達をメンバーとして、業界の発展やクリエイターの発掘・育成を目標に2018年5月に設立。VR/AR領域において大型イベントの企画・制作・宣伝、パートナー企業との合同新規事業開発を主業務とし、バーチャル世界の生活圏・経済圏を発展させ、クリエイターがより活躍できる場を支えていく。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Disney / ディズニー(企業)バーチャルマーケットHIKKYファッション(用語)日本(国・地域)

Xestoの3D足型採寸アプリがネットショップで靴を買う不安を解消

ネットショップで靴を買うとき、頭を悩ませるのはサイズだ。足型採寸に特化したスタートアップがこの不安を解消してくれるのをずっと前から待ち望んでいたのだが、ここにきて同時に2つ登場した。1つは、ブラックフライデーのセールに間に合わせる形で本日ローンチされたXesto(ゼスト)だ。ゼストは、先日取り上げたもう1つのNeatsy(ニーツィー)と同様、iPhoneのTrueDepth(トゥルーデプス)カメラを利用して3D足型採寸を行い、ユーザーに最適なサイズを提案するアプリを提供している。

カナダ発のスタートアップであるゼストだが、これまでずっと「足」について研究してきたわけではない。ゼストのCEOで共同創業者のSophie Howe(ソフィー・ハウ)氏は、母校であるトロント大学との長年にわたる共同研究を経て、2015年にゼストを創業したが、当初の目的はヒューマンコンピュータインタラクションの分野におけるビジネスアイデアについて研究することだった(ちなみに、もう一方の創業者で主任研究員のAfiny Akdemir(アフィニ・アクデミル)氏も同大学で数学の博士課程を専攻中である)。

しかし、2017年に3Dカメラを搭載したiPhone XがApple(アップル)から発売された直後に、ゼストはスマホを使った採寸アプリの開発に移行した、とハウ氏は語る。以降、iPhoneの後継モデルにも3Dセンサーが搭載され、3Dカメラを使えるiOSユーザーがさらに増えた。いくつものスタートアップがバーチャルな試着体験に関わるビジネスチャンスを探っているのは、こうした動向が背景にある。

「これだ!とひらめいたのは今年の夏です。私のボーイフレンドがネットショップで素敵な靴を見つけてくれたことがきっかけでした。すごくお得な割引価格で販売されていて、彼は私にプレゼントしようとしてくれたんですが、私の足のサイズがわからなかったんです。彼は、私がそのブランドの靴を持っていないことも知っていたので、私のクローゼットで同じブランドの靴を見つけてサイズを確認することもできませんでした」とハウ氏は語り始めた。「そのとき、そういえば誰かに靴をプレゼントすることはあまりないな、と気づきました。相手のサイズに合うものを選ぶのが本当に難しく、できればギフトを返品したり交換したりしたくないと誰もが思っているからです。私も以前、彼のために靴を買おうとしたときは、結局彼に電話しなければならなかったので、サプライズが台無しになりました。同じような経験をしたことがある人がほかにもいると思います。友人と話していてわかったのは、皆がこの機能を無意識のうちに望んでいたということです。靴は、クローゼットの中にあるどのアイテムよりも個人の思い入れが強いアイテムですが、ついにそれをギフトとして誰かに贈れるようになったのです!」。

ハウ氏は、TechCrunchの記者である筆者宛てにダイレクトメッセージでゼストの宣伝メールを送信してきたのだが、そのメールには、ゼストの3D足型採寸テクノロジーはニーツィーのものよりも正確であるという、目を引く主張が書かれていた。その主張の裏付けとして、ゼストのアプリで生成したハウ氏の足の3Dスキャン画像とニーツィーのサイズ測定とを比較したものがメールに添付されていた(ハウ氏が送信した文面:「当社の採寸誤差は1.5ミリメートル未満です。ニーツィーの測定値を実サイズと比較してみると約1.5センチメートルの誤差がありました」)。

ゼストがニーツィーと大きく違う別の点は、ゼストが靴の販売を手がけていないことである。また、対象をスニーカーに絞らず、あらゆるタイプの靴を視野に入れている。3D足型採寸によって、対象の足にぴったりフィットするサイズ選びのサポートを提供するというコンセプトなのだ。

今のところ、ゼストのアプリは3D足型採寸のプロセスと生成される3D足型モデルに力を入れている。これによりユーザーが自分の足を「3Dポイントクラウドビュー」という写真のようにリアルなビューで確認できるようになったほか、精度の高い採寸も実現した。

また、3D採寸データを共有できる便利な機能が備わっているため、例えば、3Dセンサーが搭載されたiPhoneを持っていない人は、友人のiPhoneを借りて自分の足をスキャンしスキャンデータを入手できる。

ハウ氏によれば、共有機能を追加した主な理由は、適切なサイズの靴をギフトとして購入したい消費者をサポートするためだ。「グループ購入に便利なように」1つのアカウントで複数の人の足型プロフィールを作成・保存できるようにしているという。

ハウ氏は次のように説明する。「ゼストは、自分用に靴を[オンラインで]購入する場合と、他の人のために靴を買う場合という、2つの状況へのソリューションを提供しています。1つ目の問題は、靴をオンラインで購入する場合、各ブランドやモデルのサイズ感がわからないということです。同じブランドの靴を購入したことがない場合はサイズ選択の判断材料がかなり限られるため、購入はイチかバチかの賭けになります。たいていは、それぞれのブランドで自分に合うサイズを見つける必要があります」。

「2つ目の問題は、靴を購入するのは自分のためばかりではないという点です。そこで当社は、足型プロフィールを共有することによって、ギフト購入や(同居している家族や離れて暮らす家族のための)家族購入ができるようにしました」。

ゼストのアプリは、ユーザーの足の採寸値(誤差は1.5ミリメートル未満)と、各ブランドが公式に出しているサイズガイドラインを比較照合して、適切なサイズを提案してくれる。現時点で150以上のブランドに対応しているということだ。

ハウ氏は、この提案機能に顧客からのフィードバックを反映させていく予定だという。提案された靴をユーザーが実際に履いてみて、期待していたサイズよりも大きいと感じたのか、あるいは小さいと感じたのかを知るためにオンラインレビューを分析し、採寸精度を向上させていく考えだ。

ハウ氏は次のように述べている。「ゼストのアプリでは、3Dスキャンで足型を採寸することによってサイズに関する不安を取り除き、測定値を各ブランドのサイズ表記(または、入手できる場合は靴型)に関連付けています。そして、各ブランドのサイズガイドと顧客からのフィードバックに基づいてサイズを提案します。現時点で150以上のブランドに対応しており、対応可能なブランドやモデルを随時追加しています。なお、(当社がすべてのデータを確実に収集し終えるまでは)お手数ですがユーザーがご自分でレビューを確認し、サイズを上げる必要があるかどうかご判断いただくことをおすすめします」。

3D足型採寸に関するこうした取り組みを行うゼストと競合する企業があるかどうか、ハウ氏に尋ねてみた。すると同氏は、バーチャルな試着体験をサポートするアプローチにはいくつかの方法があることを認めた。例えば、ブランド同士を比較してサイズ提案を行うアプローチや、なんと、紙を使って足をスキャンするアプローチもあるという。とはいえハウ氏は、ゼストの強みは精度の高い3Dスキャンとソーシャル共有機能にあると主張する。言い換えれば、ゼストは、親友が買い物をあきらめなくて良いように3D足型採寸データを送ってあげることができるというアプリなのだ。

ハウ氏は次のように説明する。「当社の技術がユニークなのは、使用するのが3D深度データとコンピュータービジョンだけであるにも関わらず、わずか数分で1.5ミリメートル未満の精度(当社が知り得る限り他に類を見ない精度)の3D足型採寸画像を生成できることです。足に関する情報や参照用オブジェクトは一切必要ありません。ゼストは、スキャンした足のデータのみに基づいてサイズの提案を行います。そして、ユーザーはそのデータを大切な人とシームレスに共有することができるのです。この共有機能は、業界でもほかに見たことがありません。とても誇らしく思います」。そして、「靴をプレゼントしてもらえるチャンスが増えるから、という理由だけで喜んでいるわけではありませんよ」と笑いながら付け加えた。

ゼストのiOSアプリのダウンロードは無料である。3D足型採寸データをすばらしい3Dポイントクラウド画像として生成するのも、それを共有するのもすべて無料で、ハウ氏によれば、今後もそれは変わらないという。同社の収益化計画は小売店とのパートナーシップ構築を中心としており、その実現は2021年になる予定だ。

「現在は収益を上げていませんが、来年にはブランドのエコシステム内で直接提携するパートナーシップを発表する予定です」とハウ氏は述べ、「でもその前に、アプリだけは、ブラックフライデーとホリデーシーズンのショッピングに間に合うように発表したいという思いがありました。2021年には、いくつかのブランドと提携してエキサイティングな新しい試みを展開する予定です。もちろん、アプリはずっと無料でご利用いただけます」と続けた。

ハウ氏によれば、ゼストは約5年前の創業から今までに、エンジェル投資家からプレシードラウンドの資金を調達したり、国から先進研究への助成金を獲得したりしたことがあり、いくらかの営業利益を得たこともあるという。なお、同社は自社技術について1件の特許を取得済みであり、もう1件の特許は申請中だ。

関連記事:3Dフットスキャンでスニーカーの返品を減らすNeatsyの挑戦

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ファッション

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(翻訳:Dragonfly)

3Dフットスキャンでスニーカーの返品を減らすNeatsyの挑戦

アメリカを拠点とするNeatsy AIは、心地よいスニーカーのフィット感を予測するための 3 Dモデルの撮影に、iPhoneのFaceIDに使われる深度センサー付きフロントカメラをフットスキャナーとして利用している。

同社のアプリは現在iOS向けにソフトローンチを行っており、来月には正式にローンチする予定。スニーカーのフィット感の好みについていくつかの基本的な質問に答えると、iPhoneのフロントカメラを使って足の3Dスキャンを撮影するステップに進める。アプリはスキャン結果を使用して、アプリ内で購入できるスニーカーを対象に、各モデルの横に緑色の文字でユーザー個人のフィットスコア(5 段階評価)を表示し、パーソナライズされたフィット感の予測を提供する。

靴のオンライン販売は、ブランドごとにサイズの規格が異なり標準化されていないため、実際に試着した後で返品される比率が高い可能性がある。Neastyはショッピングのプロセスにサイズとは別のもっと個人的なフィット感を伝えるシグナルを取り込むことで、この問題に同社のAIで取り組みたいと考えている。

2019年3月に創設されたこのスタートアップは、プレシードでエンジェル投資家から40万ドル(約4170万円)を調達してiOSアプリを市場に投入している。このアプリは現在、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、カナダ、ロシアで利用できる。

Neastyはアプリユーザーのフットスキャン結果を同社が開発した機械学習モデルで分析し、現時点ではPuma、Nike、Jordan Air、Adidasなどの大手スニーカーブランドを対象に心地よいフィット感を予測している。これはスニーカーのインソールのスキャン結果に基づくものだと、CEO兼創業者のArtem Semyanov(アルタム・セミヤノフ)氏は述べている。

また、同社は靴の素材も考慮に入れており、フィット感に関するユーザーからのフィードバックをもとに継続的にアルゴリズムに磨きをかけていくと、セミヤノフ氏は語る(同社によると、靴のレコメンド用3Dスキャニング技術の米国特許をすでに確保したとのこと)。

アルゴリズムの効率性は、今年の夏に実施されたいくつかの商用パイロットサービスでテストされた。同社によると、回答者140名のフォーカスグループで、スニーカーのサイズに起因する返品率は2.7倍減少し、返品全体でみても1.9倍減少することを実証できた。

返品の処理がオンライン小売店にとって大きなコストになるのは明らかだ。物流コストや破損、商品の紛失などの要因を考慮すれば、eコマース・アウトレットでのスニーカーの返品だけでも年間300億ドル(約3兆1300億円)に上るとNeastyは推定している。

「一般的に言って、靴のeコマースでの返品率は製品とショップによって 異なり30%から50%ほどです。このカテゴリーでいちばんよくある理由はフィット感とサイズのミスマッチなのです」とセミヤノフ氏は言う。同氏はNastyの創設以前はPrism Labsで機械学習チームを率いていた。

Zapposによると、最も高額なシューズを購入するカスタマーは最終的に購入品の50%を返品します。オンライン購入者の70%は年1回は返品しています。Statistaは返品配送による事業者のコストが2020年までに5500億ドル(約57兆3600 億円)に上ると推定しています」私たちのメールでの質問にセミヤノフ氏はメールでこのように回答している。同氏は次のように続ける。

「UPSの2019年の調査で分かったことですが、購入者の73%は返品にまつわる全般的な体験が同じ小売店から再購入するかどうかに影響を及ぼし、また68%が返品の体験はその小売店に対する全般的な見方に影響すると回答しています。そこにドラマがあるのです」。

「小売店は返品による高額な費用負担を受け入れざるを得ません。そうしなければ買ってもらえませんからね。でも私たちは対症療法的に問題を処理するのではなく、返品の根本的な理由に対処したいのです」。

Amazonのようなeコマースの巨大企業は物流に注力して配送プロセスの手間を減らし、配送と返品をスピードアップして、カスタマーが交換品を手に入れるまでの時間を短縮することでこの問題に対応するが、多くのスタートアップはサイズとフィット感の問題について、この5年間にデジタルツール(やあまりデジタルでない手段)で取り組んできた。3Dボディモデルから「スマート」サイズ計測スーツに至るまで、果てはブランドや衣料品に特化したサイズ計測用テープ(Nudeaのブラ用フィットテープ)さえも現れたが、誰でも何にでも使えるようなひとつのソリューションを考えついた人はいなかった。こうしたスタートアップの多くが沈んでゆき、あるいは成果を出せないままeコマースプラットフォームに買収されてきた

Neastyはフィット感について他の大勢の創業者たちがやろうとしたことに取り組んでいるが、少なくとも特定のニッチ(スニーカー)にターゲットを絞っている。比較的狭い領域に焦点を合わせることが有益なツールに育て上げるための手助けになるかも知れない。

また、広く普及しているiPhoneのセンサーハードウェアを利用できることからも優位に立てる(一方で、カスタムシューズデザインのスタートアップとして先行するSolely Originalはプレミアム料金を徴収して個人用のフィットキットを発送している)。

しかし、スニーカーの履き心地のよさに狙いを定めたとしても、Neastyのフットスキャンプロセスではユーザーが数々の操作を正しくやり遂げる必要がある(全体の手順は下のビデオを参照)。しかも無地の靴下を用意しなければならない(ストライプしか持っていない人は面倒かも)。スキャンは 1 回すれば済むのだが、2秒で完了ということはない。

本稿執筆時点で、私たちはNeastyのスキャンプロセスを自ら試すことはできなかった。というのも、FaceIDの深度センサー付きカメラを搭載したiPhoneが必要だからだ。執筆者の第2世代iPhone SEでは、アプリの指示に従ってスワイプして次のステップには進めるのだが、黒い背景に緑色の枠で左足撮影用のテンプレートが表示されて本来ならスキャン開始となるところで応答しなくなってしまう。

これはバグだそうで、必要なハードウェアを搭載していないiPhoneのモデルではスキャナーが全面的にオフになるように修正しているところだという(App Storeに掲載されている説明ではiPhone SE(第2世代)に対応と謳っているが、フットスキャン機能がそうだとは言っていない)。

Neastyアプリの現在のバージョンは、アプリに詳しいジェネレーションZやミレニアル世代をターゲットとして特選スニーカーを消費者直接販売(D2C)するeコマースだ。しかし小売店がこのテクノロジーを試してみるよう誘導する目的でこのアプリが製作されたのは明確である。

このことについてセミヤノフ氏に尋ねると、長期的に目指しているのはeコマースの世界でカスタムフィットモデルを当たり前にすることだと言う。

「Neastyアプリは、未来のオンラインショップがどうあるべきかについての当社のビジョンを示せる、最も手早い方法なのです」と同氏はTechCrunchに語る。「ユーザーを店舗に誘導し、スニーカーを買ってもらえれば利益の一部が分配されます。このアプリは小売業者にとって新しいローリターンの販売チャネルとして機能すると同時に、返品が及ぼす経済的な影響を自分で確認することもできるのです。

「長期的には、B2Bが当社にふさわしいビジネスモデルだと考えています。最終的にすべてのeコマース店舗がフィッティング技術を持つようになるでしょうが、それには当社製品が用いられると確信しています。オンラインショップで統一されたクレジットカード決済システムを導入するのと同じことになるのです」。

関連記事:バイオ素材のGenomaticaがナイロン加工のAquafilとの提携し再生可能な消費者製品生産

カテゴリー:ネットサービス

タグ:ファッション eコマース

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(翻訳:Dragonfly)

バイオ素材のGenomaticaがナイロン加工のAquafilとの提携し再生可能な消費者製品生産

バイオ素材の製造技術を開発しているGenomaticaと、ナイロン素材を大量生産しているAquafilが、新たなデモンストレーション用施設で提携した。この動きは消費者向け包装製品の持続可能性という世界的な問題に、大きな意味を持つかもしれない。

ナイロン6は、歯ブラシの毛やパンティストッキングや、カーペットのような産業素材、その他の丈夫さを要求されるファブリックなど、あらゆるものに使われている。

しかしGenomaticaの素材を使えば、再生可能な製品を開発可能になる。多くの企業がクリーンなサプライチェーンと製品寿命が尽きても環境にネガティブな結果をもたらさない製品を求めている中で、そんな市場に送り出すにふさわしい商品を作れるだろう。

両社の契約はGenomaticaの生産能力を50倍にし、同社の能力を大きく拡張する。

繊維産業は9600億ドル(約99兆6000億円)のビジネスで、世界最大の汚染源の1つでもある。その害は、化学的処置と温室効果ガスの排出の両面にある。世界経済フォーラムが引用しているデータによると、繊維産業は毎年、12億トンの二酸化炭素を排出し、自動車産業と肩を並べている。業界のデータによると、ナイロンの製造だけでも年間に約6000万トンの温室効果ガスを排出している。

ヨーロッパの企業であるAquafilとの複数年の協定により、両社の既存の関係が拡張される。2020年始めに両社は、バイオナイロン6の前身となる素材の最初の1トンをパイロット事業で作った。今回はそれが、パイロットからデモンストレーションスケールに移行し、Genomaticaは数社のブランドに製品を供給できるまでに前進する。

その中の1社である衣料品メーカーのFar Eastern New Centuryは、Genomaticaの製品を同社の衣料に使っている。同社によると現在は、その他のパートナーシップの確立にも努めているという。

Genomaticaを支えるのはCasdin CapitalとViking Global Investorsで、後者はいまでもGenomaticaの最大の株主だ。また有機体工学のGinkgo Bioworksともパートナーしている。

「バイオナイロンは、今何百万種類もの応用製品に使われている素材をリプレースできる。私たちの調査によると(Genomaticaリリース)、現在、健康と経済の両面で大混乱があるにもかかわらず、米国民は依然として持続可能性を優先している。米国民という大きなスケールで私たちはブランドパートナーたちに、持続可能性という目標を満たす重要な方法を提供し、彼ら自身を他社と差別化して、盛り上がっている消費者の要求に応えることができる」とGenomaticaのCEOであるChristophe Schilling(クリストフ・シリング)氏は語る。。

Aquafilはいま、プラントをスロベニアに作っている。そこでGenomaticaのバイオ素材の前身的素材を、バイオナイロン6の糸や、フィルム、工業用プラスチックなどに変換する。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:GenomaticaAquafilファッション持続可能性

画像クレジット:Getty Images under a GraphicaArtis license.

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

ももクロもVR接客、HIKKYとBEAMSがxR領域で業務提携しVRイベント「バーチャルマーケット5」初出展

「ももクロ」がVR接客、HIKKYとBEAMSがxR領域で業務提携しVRイベント「バーチャルマーケット5」初出展

VR法人「HIKKY」とBEAMS(ビームス)は11月19日、xR(空間拡張技術)領域での業務提携契約を締結したと発表した。HIKKY主催のバーチャルイベント「バーチャルマーケット5」(Virtual Market5)にビームスが初出展し、「ゴジラ」とのコラボ、「ももいろクローバーZ」とのコラボを実施する。

今回の提携により、HIKKYのxRを用いたイノベーション企画、VRイベント制作の知見と、ビームスのファッションとカルチャーにおける企画力を組み合わせ、VRとリアルで広がるファッション業界の新たな価値の創造を目指す。その第1弾として、HIKKY主催のバーチャルイベント「バーチャルマーケット5」(Virtual Market5)にビームスが初出展する。

「ももクロ」がVR接客、HIKKYとBEAMSがxR領域で業務提携しVRイベント「バーチャルマーケット5」初出展

バーチャルマーケットとは、VR空間上にある会場で、出展者と来場者が、アバターなどのさまざまな3Dアイテムや、リアル商品(洋服、PCなど)を売り買いできるイベント。VR機器やPCから気軽に誰でも参加でき、開催期間中は24時間運営されていることから、日本はもとより世界中から70万人を超える来場者が集まる、世界最大級のバーチャルイベントとなっている。

「ももクロ」がVR接客、HIKKYとBEAMSがxR領域で業務提携しVRイベント「バーチャルマーケット5」初出展

  • 名称:バーチャルマーケット5(Virtual Market5)
  • 主催:VR法人HIKKY
  • 開催期間:2020年12月19日~2021年1月10日(計23日間)
  • 公式サイト:https://www.v-market.work/v5/lp
  • 会場:特設会場(バーチャル空間)後日URL発表

バーチャルマーケット5では、東京・原宿にある実店舗BEAMS HARAJUKUをベースにデザインしたVR店舗において、リアル商品と3Dモデル商品の販売、人気コンテンツとの多数のコラボレーション、リアル店員によるバーチャル接客などのコンテンツを用意する。

また、2016年に行われたBEAMSと「ゴジラ」の大人気コラボレーションが期間限定でバーチャルマーケットに登場。人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」とBEAMSとの最新コラボ商品の販売に加え、ももクロメンバーが、それぞれをイメージしたバーチャルマーケット公式アバター「Vケットちゃん」の姿で、 BEAMSのバーチャルショップにお忍びで登場する。ももクロ本人たちによるバーチャル接客を体験できるシークレットチャンスとなっている(日時非公開)。

この他にもバーチャルマーケット5の開催期間内にBEAMSバーチャルショップで開催予定のコンテンツを用意しており、詳細は追ってプレスリリースで発表予定としている。

「ももクロ」がVR接客、HIKKYとBEAMSがxR領域で業務提携しVRイベント「バーチャルマーケット5」初出展

バーチャルマーケット5では国内外から通信、メーカー、小売り、アパレル、エンタメなど、様々な業種から有名企業の出展が決定済み。出展企業は自社ブランドと親和性の高いデザインや仕掛けを施した特別ブースを展開予定という。ブース内では、さまざまな商品の売買や、接客を受けるなどのコミュニケーションを楽しめる。

HIKKYは、バーチャル世界の生活圏・経済圏を発展させ、クリエイターがより活躍できる場を支えていく企業。「人の創造性を既存の価値観から解き放つ」を掲げ、エンタテインメントVRを牽引する注目のクリエイター達をメンバーとして、業界の発展やクリエイターの発掘・育成を目標に2018年に設立。VR/AR領域において大型イベントの企画・制作・宣伝、パートナー企業との合同新規事業開発を主業務としている。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:アイドルバーチャルマーケットHIKKYBEAMSファッション(用語)日本(国・地域)

ナタリー・ポートマンとジョン・レジェンは革ではなく菌糸の服を着る

女優のNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)とミュージシャンのJohn Legend(ジョン・レジェンド)は、ベンチャー投資家とMycoWorks(マイコワークス)が支援する無名のファッションブランドからなるグループに参加した。MycoWorksは、皮革に置き換わる菌類を材料にしたバイオ素材の技術を商品化しようと4500万ドル(約47億円)を調達したばかりだ。

その目的は、動物やハ虫類の皮を使った服飾品から菌類ファッションへと消費者に乗り換えてもらうことにある。

同社は、すでにいくつかの大手ファッションブランドとパートナー契約を交わしており、その素晴らしい菌類素材を、これまで伝統的に動物の皮で作られてきた靴、財布、ベルトといった製品に加工して多くの人に広めたいと考えている。

「私たちは高級ブランドやフットウェアの大手メーカー数社と緊密に協力しています」と、MycoWorksのCEO、Matt Scullin(マット・スカリン)氏は話す。

無名のファッションブランド数社は、靴、既製服、バッグなどの幅広い製品を販売店に向けてすでに生産を開始していると、スカリン氏はいう。

MycoWorksは、菌類素材の普及や植物ベースの繊維製品の定着を目指す他社との差別化を、その繊維製品の耐久性を強調することで図りたいと考えている。競合企業には、キノコを使うBolt Threads(ボルト・スレッズ)、パイナップルの繊維を使うAnanas Anam(アナナス・アナム)、サボテンの皮を使うDesserto(デザート)などがある。

「私たちは、さまざまな皮革製服飾品、室内装飾品、ハンドバッグや財布といった一般的な皮革製品など、広範にわたる応用方法で製品をテストしています。私たちが作る素材がキノコから作られた皮と大きく異なる点は、構造成分が非常に高いことにあります」とスカリン氏。「私たちは、さまざまな用途に対応できるこの素材の性能の高さに自信を持っています。そのため、これには幅広い使い道があります」。

ゆくゆくは、高級品市場への参入をMycoWorksは目指している。「ブランドは持続可能性のために性能を犠牲にしているという誤解がありますが、それは間違いです」とスカリン氏はいう。「このような業界では、高い性能を示せば、本格的に受け入れられるのです」。

スカリン氏は、MycoWorksの素材の価格について、またその素材で製品を作っている企業の具体的な名前は明かさなかった。ただ彼は、いずれは伝統的な皮革市場だけでなく、皮革代替品となるプラスチック市場においても価格で勝負できるようにしたいと話していた。プラスチック代替品市場の価値は1年間だけで700億ドル(約7兆3000億円)に達する。

スカリン氏によれば、同社では年間に数万平方フィート(約930平方メートル)の菌類素材を生産する能力があるとのこと。つまりMycoWorksは、数十億平方フィート(約930万平方メートル)の生産能力を誇る皮革業界に追いつくには、まだ時間がかかるということだ。

MycoWorksへの財政支援には目を見張るものがあるが、ファッション業界では、それぞれに牽引力を発揮する他社との戦いもある。

2020年10月、Bolt Threadsは長年のパートナーであるAdidas(アディダス)、Stella McCartney(ステラ・マッカートニー)、そしてBalenciaga(バレンシアガ)などのブランドを支えるファッションハウスとともに協議会を立ち上げ、キノコ革を使った製品の研究を行うと発表した。

台北のWTT Investment Ltd.、DCVC Bio、Valor Equity Partners、Humboldt Fund、Gruss & Co.、Novo Holdings、8VC、SOSV、AgFunder、Wireframe Ventures、Tony Faddell(トニー・ファデル)氏といったMycoWorksの投資家には、競合は折り込み済みだ。しかしその機能性から、彼らはMycoWorksは代替皮革界の王者だと信じている。

「Fine Mycelium(ファイン・マイシリアム、細かい菌糸という意味)の革は、クライアントの要望に応じてカスタマイズができます」とDCVC Bioの投資家Kiersten Stead(キルステン・ステッド)氏はいう。「形と用途においてカスタマイズ可能です。価格も用途と顧客が求める品質に応じて異なります」。

これまでにMycoWorksは6200万ドル(約64億5000万円)を調達しているが、今回の資金調達の発表は、カリフォルニア州エメリービルの新しい生産工場のオープニングと偶然にも重なった。これにより、現在の数万平方フィートという菌糸革の置換能力は大幅に強化される。

動物の皮に替わるものを求めるこうした動きの背景には、衣服や靴などの皮革素材の伝統的な製造方式にともなう問題点が次第に知られるようになったことがある。その製造では、非常に毒性の高い薬品や汚染物質が使われているのだ。皮をなめすとき、染めるとき、廃物処理の段階で環境が汚染される。また動物の皮革でもプラスチックの合成皮革でも、廃棄物の埋め立てという問題がある。

「菌糸体の育成プロセスはカーボンネガティブです。消費者は私たちの製品と動物の革を比べて、こっちを選ぶしかないというでしょう」とスカリン氏は話す。「加えてそこには、動物を傷つけないという側面と、プラスティックを使わないという側面があり、これらは現在、大変に多くの意志決定の動機になっています。私たちのブランドパートナーにとって、私たちの本当の姿は、進歩した製造業者です。持続可能性が私たちの原動力です。サプライチェーンを改革する道を、私たちは彼らに示しているのです」。

関連記事:Bolt Threadsがバレンシアガやグッチ、アディダスなどと新素材マッシュルーム代替皮革で提携

カテゴリー:バイオテック
タグ:MycoWorksファッション環境問題

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(翻訳:金井哲夫)

Psyckeは消費者の個性とファッションをマッチさせる製品でシード投資を調達

オンラン・ファッションブランドがひしめく市場では、消費者はサイトを選び放題だ。しかし通常は、各ブランドをひとつずつ訪ね、自分で取捨選択して好みのものを探し出すという手段を強いられる。これはあまり楽しい体験ではない。過去の購入履歴やクッキーは、ユーザー体験を仕立てるほどの役には立たない。たとえば、アーミーグリーンのミリタリージャケットを買った場合、その後のおすすめにアーミーグリーンのミリタリージャケットばかり出てくるようでは、そのeコマースサイトに成功の見込みはひとつもない。

それに対してPsycke(サイク:ブランド名はPSYKHE)は、AIと心理学を利用し、ユーザーの人物プロファイルと製品の「個性」をもとに製品のおすすめをするeコマース・スタートアップだ。たしかに、このような技術を主張するスタートアップはたくさんある。しかしPsyckeは、主立ったファッション小売り業者の製品情報のアグリゲーターになることで、ファッション製品の購入を簡易化するユニークなアプローチを売りにしている。それぞれのユーザーごとに異なる店頭が提示され、次第にパーソナライズされてゆくと同社は話している。

このほどPsyckeは、幅広い投資家から170万ドル(約1億8000万円)のシード投資を調達し、今後、他の消費者向け垂直市場のための企業間取引にも事業を拡大する新計画を発表した。

今回の投資に参加したのは、Net-a-Porterの最大のファンド投資家であるCarmen Busquets(カーメン・ブスケッツ)氏、北米の高級ファッション販売代理店MadaLuxe Groupの新しい投資部門SLS Journey、DAZNの会長でDisney Media Networksの前共同会長、ESPNの元社長でもあるJohn Skipper(ジョン・スキッパー)氏、Aser Venturesの最高執行責任者でありMP & Silva とFC Inter-Milanにも在籍していたLara Vanjak(ララ・バンジャック)氏。

Littel Black Doorは高級服の共有や売買、持続可能性にも配慮した現代女性のためのソリューション(日本語訳)

電子商取引ビジュアル検索プラットフォームのSyteが米国とアジアでの拡大のためにシリーズCで31.4億円を調達(日本語訳)

それで、これは何をしてくれるのか? 企業対消費者間取引のアグリゲーターとして、主要な小売業者の在庫をプールする。そして同社のプラットフォームが、機械学習と性格特性科学を用いて、ユーザーが登録時に行った性格テストの結果を踏まえた製品のおすすめを見繕う。この技術は国際特許を申請中であり、Moda Operandi(モーダ・オペランディ)、MyTheresa(マイテレサ)、LVMHのプラットフォーム24S、11 Honoré(イレブンオノレ)といった主要小売り業者とアフィリエイトパートナー契約を結んでいると同社は話している。

このビジネスモデルは、アフィリエイトパートナー・モデルに基づいており、売上げごとに5〜25パーセントの収益を得る。同社は、将来的にユーザーが自分の個性に合わせてアイテムを並べ変えられるプラグインを提供し、他の消費者向け垂直市場のための企業間取引にも事業を拡大する予定だ。

この性格テストの結果はどのように役立てられるのか? まずPsyckeは、パートナー取引先の100万点を超える実際の製品それぞれに、機械学習を使って(トレーニングデー対基づき)全般的な心理学的プロファイルを割り当てている。

そのため、たとえば金属の鋲打ちがされた革のブーツ(つまり「反抗的」な雰囲気)の場合、「同調性」の特性では中から低の点数が与えられる。ピンクの花柄ドレスの場合は、同じ特性では高い点数となる。保守的なツイードのブレザーは「開放性」という特性では点数は低い。なぜならツイードのブレザーは保守的なスタイルを主張する傾向にあり、従ってそうした人間性を示すからだ。

現在、Psyckeの小売パートナーには、Moda Operandi、MyTheresa、LVMHのプラットフォーム24S、Outdoor Voices(アウトドア・ボイセズ)、Jimmy Choo(ジミー・チュー)、Coach(コーチ)、サイズに大きな幅があるプラットフォーム11 Honoréなどが加わっている。

競合相手にはThe Yes(ザ・イエス)とLyst(リスト)がある。しかし、Psyckeの差別化の中心は、この性格の得点付けにある。さらに言えば、The Yesはアプリのみ、アメリカのみで、モノブランドだけをパートナーにしている。Lystは数千件のブランドのアグリゲーターだが、どちらかと言えば検索プラットフォームだ。

Psyckeは、ロックダウンの最中にある人々をオンラインに殺到させ、世界のeコマースを急成長させている新型コロナウイルスの今なお続く影響を、うまく利用できる立場にある。

このスタートアップは、CEOで創設者であるAnabel Maldonado(アナベル・マルドナルド)氏の発想から生まれた。創設チームには、CTOのWill Palmer(ウィル・パーマー)氏、主任データサイエンティストRene-Jean Corneille(ルネ=ジャン・コルネイユ)氏も加わっている(写真上)。マルドナルド氏は、故郷トロントで心理学を学んだ後、イギリスの国民保険サービス(NHS)で5歳未満の子どもの発達診断を行う専門家チームに就職した。

転機となったのは、ファッション誌Marie Claire(マリ・クレール)イギリス版の編集指導のコンペに勝ったときだった。その後彼女は、Christian Louboutin(クリスチャン・ルブタン)の出版部門に進み、さらにMail on Sunday(メール・オン・サンデー)とMarie Claireでインターンを経験した。こうして雑誌出版で数年間を過ごした後、CoutureLab(クチュールラボ)でeコマースの世界に足を踏み入れた。フリーランスとなった彼女は、いくつもの高級ブランドやプラットフォームと編集コンサルタントとして仕事を重ねた。ファッション・ジャーナリストとしては、The Business of Fashion(ザ・ビジネス・オブ・ファッション)、The New York Times Style(ザ・ニューヨーク・タイムズ・スタイル)、Marie Claireに業界コラムを寄稿している。

ファッション業界に10年間携わってきた彼女は、「ファッションに実際よりも軽薄な印象を与えた」言説にフラストレーションを募らせていったという。「これは1兆ドル規模の産業です。私たちはみな、美的なものに、自分自身の感覚で反応するはずです。しかし、みんなが口に出して語るのは、秋の流行のニューカラーや、みんなお揃いの、いわゆるマストアイテムのことばかりです」

しかし彼女はこう話す。「これまで、個人差の調査は行われてきませんでした。この世界は、本来あるべき深みを完全に失っています。そこで私は、誰もが美に対して高い感受性を持ち、服装の選択に、その人だけの内なる必要性に基づく心理学的な影響が大きく作用していることを、何らかの方法で証明したいと思ったのです」。そうして彼女はその「ファッション心理学」または彼女が言う「なぜ私たちはこれを着るのか」に対応するためのスタートアップを立ち上げたのだ。

アマゾンが月額約530円で毎月スタイリストが選んだ男性用ファッションアイテムが届くサービスを開始(日本語訳)

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(翻訳:金井哲夫)

Littel Black Doorは高級服の共有や売買、持続可能性にも配慮した現代女性のためのソリューション

Lexi Willetts(レクシー・ウィレッツ)氏とMarina Pengilly(マリナ・ペンギリー)氏は、所有していた高級服やアクセサリーをネットで販売すれば年間3万ポンド(約400万円)にもなることを知り、Instagram(インスタグラム)やシェアリングエコノミーの扱いにすでに精通している現代女性のためのソリューションを開発しようと決意した。そうして生まれたソリューション、Little Black Door(ザ・リトル・ブラック・ドア、LBD)が、iOSのアプリストアに登場した。そこでは女性たちが、友だちやフォロワーと持っている洋服を見せ合ったり、スタイリングしたり、共有したりできる。さらに、ユーザーは販売プラットフォームを利用でき、高品質なファッションを、より環境にやさしく持続可能なかたちで買えるようになる。新型コロナウイルス のパンデミックによりファッション業界が打撃を受け、消費者は新しいものよりも高級な中古品を求めるようになる中で、このアプリは利益を生む見通しだ。

それについて、ウィレッツ氏はこう話している。「これは、私たちの衣服にまつわる悪習を改める手段としてスタートしました。私たちは、つい買い過ぎてしまいます。今何を持っているかを忘れてしまうからです。また、友だちから借りるより、新たに買うことを考えてしまいがちです。さらに、売るものを一覧表にする作業も非常に面倒です。取引の大部分をオンラインで行なっていた私たちは、大変に豊富な電子領収書データを蓄積していることに気がつき、それを利用すれば、自分が持つ服への関心を高め、どうでもいい安物の服の買い過ぎをなくすことができないかと検討を始めたのです」。

この手のプラットフォームにありがちなこととして、そもそも自分が所有する服の管理を、どうやってデジタル化するかという問題がある。そんな面倒なことをやりたがる人間はいない。そこでこのアプリは、まったく新しいアプローチを導入した。服の購入データに着目し、ソーシャルシェアリングの習慣を活用して、服のデジタル管理が簡単にできるようにしたのだ。さらに、持っている服を販売に結びつけ、不要なアイテムを売却するという新習慣を、ずっと簡単に始められるようにしている。

その結果、LBDアプリは「InstagramとDepop」を足して2で割ったような初めての存在となった。ユーザーは、自分のアイテムをバーチャルワードローブに追加すると、画像認識AIと自然言語処理により、それが特定され、分類も試みられる。そしてTシャツ、黒、半袖、ミニマリズム、アーバンカジュアルといった分類結果をユーザーが確認すると、ワードローブ追加が確定する。

さらに興味深いのは、LBDアプリは電子メールで購入したアイテムのレシートを取り込むという点だろう。つまり新しいデータからも、ユーザーがすでに持っている既存のデータからもワードローブが作れるということだ。一度アプリ内にワードローブを設定すれば、ユーザーは服やカテゴリー、服に費やした総額を確認できるようになり、「ルックブック」を作成して友だちやフォロワーにシェアしてコメントをもらうことができる。それを通じて友だちが服を借りたり、「スワイプで販売」機能でアイテムを売却できたりもする。

他のワードローブアプリには、アプリを毎日使うことでインセンティブを得られるような「バイラルループ」を持つものはほとんどない。LBDはソーシャル機能を追加してコミュニティ主導のプラットフォームを構築し、「ファッションのInstagram」と呼べるものになっている。

これとよく似た従来の「ワードローブアプリ」は、服の認識能力に大きくこだわってきたが、まともに機能するものはほとんどない。LBDが考案したのは、レシートのデータと購入履歴をAIを活用して巧みに処理し、さらにワードローブに小売りパートナーのリンクも設けるというものだ。こうすることで、ワードローブのアイテムデータが主役となり、アップロード機能はさほど重要ではなくなる。これをベースに、彼女たちはより使いやすく、そして極めて重要なことに遊び心のある機能を生み出すことができた。

「私たちは娯楽性があり、ユーザーがワードローブに深く関わりを持てる機能をデザインしました。シェアリングエコノミーの考え方を念頭に、友だちと簡単にシェアできる方法を考えています。さらに、このアプリは『ファストファッション』の購入を控え、質の高い服やアクセサリーに消費を切り替えて、クローゼットの中身を共有するという『意識ある消費』の文化を築くようデザインされています」とウィレッツ氏は話す。

このように、このアプリはとてもおもしろい。しかし、ビジネスモデルとしてはどうだろう?実質的にLBDは、女性の服に関連するデータを生み出している。このデータを利用した適切で持続可能なブランド広告の制作、小売業者との提携、付加価値サービスの提供、買い取りプラットフォームでの手数料の徴収、認定販売者の設定、ハイエンドなワードローブを持つハイエンドユーザーのためのプレミアムなバージョンの創設などが考えられる。

LBDは4つの重要なトレンドをカバーしている。フリマアプリの流行(Real Real、Depopなど)、ワードローブのシェアリング習慣の流行(Rent the Runway、Hurrなど)、eコマースへのAIの導入の流行、そして、リレシートとオンライン販売の流行だ。

ファッション市場は大きい。国際的な服飾とアパレルの市場は7億5840万ドル(約800億円)規模に上り、その半分以上が女性向けだ。新型コロナウイルスのパンデミックによるロックダウンで人々の着飾る機会が減り、市場はその煽りを受けたものの、現在は回復傾向にある。しかも、顧客の持続可能性に対する意識が、以前よりもずっと高くなっている。つまりLBDは、世間の大きな「リセット」の恩恵を得られる立場にあるわけだ。

さらに来たるべき不況下では、よく知っている馴染みの相手(友だち)から中古品を買ったり、不要品を売ったりするほうが安くつく。提携小売業者にすれば、顧客が個人のワードローブで実際に行っていることに関するより有用なデータを入手できるため、それに沿ったより的を絞ったコレクションの制作と販売が可能になる。そしてそれは、在庫の無駄を削減し、環境にプラスの影響をもたらすことにつながってゆく。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Little Black Doorファッション

画像クレジット:Lexi Willetts and Marina Pengilly, founders, Little Black Door / Lexi Willetts and Marina Pengilly, founders, Little Black Door

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(翻訳:金井哲夫)

アマゾンが毎月スタイリストが選んだその人向けのファッションアイテムが届く男性向けサービスを月額約530円で提供開始

Amazon(アマゾン)は、男性用ファッションのパーソナルなショッピングサービスを導入する。これは、Stitch Fix(ステッチ・フィックス)に対抗して女性向けに始まったPersonal Shopper by Prime Wardrobe(パーソナル・ショッパー・バイ・プライム・ワードローブ)を拡張したもので、月額4.99ドル(約530円)で利用できる。これを使うと、その人のスタイルや好みに合ったファッションアイテムをアマゾンのスタイリストが選び、組み合わせてくれる。これが月に一度のペースで配達され、試着できる。気に入らなければ、同梱の密閉バッグに入れ、送料支払い済みの送り状を付けて返送できる。

ローンチ時点で、男性用パーソナル・ショッパーには、Scotch & Soda(スコッチアンドソーダ)、Original Penguin(オリジナルペンギン)、Adidas(アディダス)、Lacoste(ラコステ)、Carhartt(カーハート)、Levi’s(リーバイス)、Amazon Essentials(アマゾン・エッセンシャルズ)、Goodthreads(グッドスレッズ)など、アマゾン独自ブランドや外部のブランドも取り混ぜ、数多くのブランドが揃っている。同社によれば、パーソナル・ショッパー・バイ・プライム・ワードローブでは、トータルで1000件を超えるブランドの数十万点ものメンズスタイルが提供されるという。

サービス自体は、月々のファッションセレクションを、利用者へのスタイルに関するアンケートを通じてパーソナライズするなど、いろいろな面でStitch Fixに類似している。さらに競合する他のサブスクリプション形式のファッションサービスと同様、たとえば就職面接用のプロっぽく見える服装や、普段の好みから外れる特別な状況に合わせた服装が欲しいときなどには、スタイリストに直接、リクエストすることもできる。

しかし、リクエストしたアイテムの購入を決めたときに「スタイリスト料」として20ドル(約2100円)が可算されるStitch Fixとは違い、アマゾンのパーソナル・ショッパーは月4.99ドルの定額は変わらない。もう1つの違いは、パーソナル・ショッパーでは、発送前に利用者に内容の通知が送られる。そこから最大8点を選び受け取ることができるので、届いた箱を開けてビックリすることがない。

画像クレジット:Amazon

これまでアマゾンでは、プライム・ワードローブで購入前の試着ができるサービスを男性用ファッションでも提供していた。しかしそのサービスは、単にアマゾンプライム会員がアイテムを選び、購入を決める前に自宅で試着して、気に入らなければ返送できるというだけのものだった。今までのプライム・ワードローブの最大の欠点は、アマゾンで見つかるファッションアイテムの大部分が、自宅での試着に対応していなかったことだ。特に人気ブランドの多くがそこから外れていた。

これに対してアマゾンでは、自社ブランドばかりをプライム・ワードローブに詰め込んでいるわけではないと主張している。プライム・ワードローブの中でアマゾン独自ブランドが占める割合は1%未満とのことだ(もちろんときには、利用者が受け取ったパーソナル・ショッパーの箱の中身が、その割合を超えることもある)。

またアマゾンは、2019年のローンチ以来、数百万人の利用者がプライム・ワードローブの自宅試着オプションを選択し、「数十万人」の利用者がパーソナル・ショッパー・バイ・プライム・ワードローブでファッションプロファイルを制作しているという。

逆にいえば、現在パーソナル・ショッパー・サービスを毎月で利用している人は、わずか「数十万人」でしかいない。

つまり、有料利用者数の比較に限るならば、プライム・ワードローブは今のところはStitch Fixの敵ではないということだ。

Stitch Fixは、長い時間をかけてモデルを完成させ、見識を高めてきた。その甲斐あって、同社のアクティブ顧客数は350万人にのぼる。2020年9月の初めに最新の収支報告(CNBC記事)が公表された時点で、前年比9%増ということだ。さらに最近では、パンデミックの影響で人々がビジネスウェアからアクティブウェアにスタイルを変更したことにより、最初の受注残を消化した際には増収となった。

男性用のアクティブウェアの需要は特に高い。このトレンドは、この新サービスを立ち上げる前のアマゾンでも見られていたはずだ。

プライム・ワードローブによる自宅での試着サービスは、現在、米国、英国、ドイツ、オーストラリア、日本で提供されているが、パーソナル・ショッパー・バイ・プライム・ワードローブが利用できるのは米国のみ。しかも、モバイルデバイスでのみの対応となっている。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Amazon ファッション パーソナル化

画像クレジット:Amazon

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(翻訳:金井哲夫)

データサイエンスを活用し、インドのユニクロを目指すYCスタートアップSockSoho

SockSoho(ソックソーホー)は、「インドのユニクロ」になることを目指すD2Cブランドだ。同社は10か月前に男性用靴下の販売を開始し、最近Y Combinator(Yコンビネータ)のSummer 2020プログラムを終えたばかりだ。TripAdvisor(トリップアドバイザー)などの企業で勤務経験のあるデータサイエンティストPritika Mehta(プリティカ・メータ)氏とグロースマーケターのSimarpreet Singh(シマープリート・シン)氏が創業したソックソーホーの顧客は現在3万人以上を超えており、今後はメンズウェアに特化したバーティカルECの新規立ち上げを計画している。

メータ氏とシン氏は、ソックソーホーを立ち上げる以前はテクノロジーおよびコンテンツIPプロバイダーのMindBatteries(マインドバッテリーズ)で一緒に働いていた。同社の法人顧客には、The Times of India(ザ・タイムズ・オブ・インディア)、The Economic Times(エコノミックタイムズ)、Mercedes(メルセデス)、Infosys(インフォシス)、世界経済フォーラム、Uber(ウーバー)などが名を連ねる。

両氏は、インドが世界最大級にして急激に成長しているeコマース市場の1つであること、そして、事業の拡大に伴いチャットボットやAIベースのレコメンドエンジンなどを導入する独自の技術に、ソックソーホーの成長を賭けている。

ソックソーホーは、独自サイトとeコマースプラットフォームを使って販売するマルチプラットフォーム配信戦略でローンチしたが、主に売上を伸ばしているのは、ユーザー数が4億人以上にのぼるインドで最も人気の高いメッセージングアプリWhatsApp(ワッツアップ)だ。ソックソーホーの売上の約70%がWhatsAppを通じたもので、A/B製品テストにもこのアプリを使用している。

Y Combinatorパートナーであり、ソックソーホーに投資しているEric Migicovsky(エリック・ミジコフスキ―)氏はTechCrunchへのメールで、「ソックソーホーは表向きはファッションブランドに見えますが、運営はテック企業のように行われています。製品とeコマースの経路におけるあらゆる側面でA/Bテストを実施しているのです。これは、すべてのファッションブランドが行っていることではありません」と語ってくれた。

また、「ソックソーホーが成功に至った戦略はWhatsAppだと思います。WhatsAppを通じて独占的に顧客を獲得し、サービスを提供する方法を見つけたのです」とも述べている。

メータ氏はソックソーホーを立ち上げる前、バッファロー大学で人工知能を専門にコンピューターサイエンスの修士号を取得した。その後、トリップアドバイザーなどのテック企業に勤めながら数年間を米国で過ごしたが、母国であるインドには常に目を向けていた。

「インド市場の成長を見た時は、目を見張りました。人口がとても多く、データは安くなっていましたから。オンラインで買い物する人も圧倒的に増えていました。その時思ったのです。インドがこんなに盛り上がってるのに、私は米国で一体何をしているんだろうと」」とTechCrunchに話してくれた。

インドのオンラインファッションブランドの大半は女性向けの製品を中心に扱っているため、メータ氏とシン氏はメンズウェア業界への参入を決めた。インド都市部には、およそ2億人の男性がいるとされ、80億ドル(約8500億円)の潜在市場がある。両氏は消費者調査を行う前に、最初に販売する製品の候補として80個のアイテムをリストに書き出した。そして、サイズが合わせやすく発送が簡単で、販売利益が高く返品率の低い靴下を選んだ。

ソックソーホーでは、新しい靴下を販売する前にWhatsAppを通じて独自のA/Bテストを行っている。製造注文を行う前に、デザインのアイデアを顧客に送り、先行予約で顧客の関心を読み取っているのだ。

多くのD2C企業における課題となっているマーケティングコストの削減と顧客獲得には、データ分析がカギとなる。

「私たちは基本的にデータポイントを収集して、お客様の行動と消費のパターンを理解しています。こうしたインサイトによって、デザインからマーケティング、在庫計画、今後進出していくバーティカル分野まで、あらゆるものを絞り込むことができます」とメータ氏は述べている。

データ分析によって、すでにいくつかのサプライズがあった。たとえば、ソックソーホーでは顧客のほぼ全員が男性であると予測していたが、購入全体の約30%は女性によるギフト購入だったのだ。また、購入者のほとんどがデリー、ムンバイ、バンガロールといった主要都市に住んでいると仮定していたが、データではより小さな地方都市が成長の主力となっていたことが分かった。「こうしたインサイトはすべてデータから明らかになりました」とシン氏は語っている。

過去6か月で、ソックソーホーの顧客の58%がリピート購入しており、売上は3月からインドで始まった新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンの最中に増大している。

「新型コロナウイルスによって、人々のオンラインショッピングへの移行が加速しています。たとえば私の父はオンラインショッピングなんてしたことがありませんでしたが、コロナ禍により、今では歯磨き粉までオンラインで買っています。これはとても大きな変化です」とシン氏は言う。

ただし従来のリテールブランドの多くが、まだオンラインでのショッピングエクスペリエンスをものにできていない、とメータ氏は付け加えた。

「eコマースは、製品を売るだけのものではありません」とメータ氏は言う。

ソックソーホーでは、顧客をつなぎとめておくためにWhatsAppを使い、新製品や顧客の写真を共有しているが、そうしたレベルの個々のエンゲージメントは、ブランドが成長するにつれ、より困難になってくる。

そこで登場するのが、ソックソーホーが開発中の独占技術だ。これには商品交換などシンプルな質問に対応できるAIベースのチャットボットが含まれている。たとえば、間違ったアイテムを受け取った顧客は、その写真をアップロードすれば交換品が送られるようになる。より複雑な問題にはフラグが付けられ、カスタマーサービス担当者に引き継がれる。

「私たちは、有人対応の経験を実際に複製できる独自ソフトウェアを社内開発しています。言語、データ、お客様が求めるエクスペリエンスの種類を理解するために、お客様との現在のやり取りなどすべてのデータを収集しているのです」とメータ氏は語っている。

またソックソーホーでは、独自のAIベースのレコメンドエンジンを開発している。これは顧客のブラウジングやショッピングの傾向に基づき、関心がありそうな製品を顧客に勧めるものだ。同社は次に拡大を進めるバーティカル分野を明らかにはしていないが、すでに次の製品ラインに向けたA/Bテストを行っている。

「テックスタックと全体的なサプライチェーンを作り、靴下で確かな成功を達成できたら、ほかのバーティカル分野にも手を広げ、いずれインドのユニクロになることはとても簡単でしょう」とシン氏は述べている。

関連記事:D2C・オンラインブランド専門の卸仕入れサイト「orosy」のベータ版が登場、アカウント審査なしですぐに利用可能に

カテゴリー:ネットサービス

タグ:インド ファッション Y Combinator

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(翻訳:Dragonfly)

ファッションD2Cのpickiが1.2億円を調達、マーケティング・DX強化やM&Aに利用

ファッションD2Cのpickiが1.2億円を調達、マーケティング・DX強化やM&Aに利用

ファッションD2Cプラットフォームを展開するpicki(ピッキー)は8月18日、1.2億円を資金調達したと発表した。引受先はサイバーエージェント・キャピタル、セゾン・ベンチャーズ(クレディセゾンのコーポレートベンチャーキャピタル)、個人投資家。

「picki」は、「違いが魅力になる世界をつくる」をビジョンに掲げ、タレント、モデル、アーティストなど、個人のオリジナルアパレルブランドをプロデュースし展開するファッションD2Cプラットフォーム。

調達した資金は、pickiで展開するブランドの拡充、プロデュースするブランドのマーケティングおよびDXの強化、アパレルブランドのM&Aに充てる予定。pickiは、D2Cプラットフォームにとどまらず、ファッション業界におけるデジタルシフトの促進を加速させ、クリエイター個人が持つ世界観やセンスが、アパレル商品を通じて、価値あるものとしてより世間に届くような世界を目指すとしている。

昨今のコロナ渦の影響を受け、従来のオフラインを中心としたアパレルビジネス展開は変化し、ブランドの世界観の表現、消費者への届け方、購入方法など、さらにデジタルが中心になっていく中、今後pickiでは、自社で培ったデジタル・コミュニティを活かしたマーケティング、DXの強化による、ソーシャルを中心としてアパレルブランドを展開していく「ソーシャルネイティブブランド」の創出と、ブランドの拡充、さらにはM&Aも進めていく予定。

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