LIFULLが不動産クラウドファンディング向けにブロックチェーン基盤デジタル証券化を支援・推進

LIFULLが不動産クラウドファンディング向けにブロックチェーン基盤デジタル証券化を支援・推進

不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」など住生活関連サービス提供のLIFULL(ライフル)は8月21日、デジタル証券プラットフォーム提供のSecuritize Japan(セキュリタイズ ジャパン)との業務提携を発表。

不動産クラウドファンディング事業を展開している不動産業者(不動産特定共同事業者)などが、不動産をブロックチェーン上のデジタル証券として発行・取引を行い資金を調達する不動産STO(Security Token Offering。セキュリティトークン オファリング)を行う際、セキュリティトークン発行アプリ・トークン譲渡スキームを提供すると明らかにした。

LIFULLが不動産クラウドファンディング向けにブロックチェーン基盤デジタル証券化を支援・推進

セキュリティトークンとは、資産などの「裏付け(Security)」をブロックチェーン上で表現したもの。ブロックチェーン技術の特性である「改竄耐性」「二重譲渡防止」「透明性」などを活かし、権利譲渡の利便性・安全性を高められる。

同スキームは、既存不動産クラウドファンディングの出資持分発行にセキュリティトークン発行をリンクさせることで、従来業務フローの変更を最小限に発行できるという。トークン発行は、米国で多数の発行実績を持つSecuritizeのDSプロトコルを用いており、発行操作はSaaS型専用アプリを利用。ブロックチェーンに関する複雑なシステム開発を必要とせず導入可能としている。

また、発行したセキュリティトークンを用いた投資家間の取引は、パブリックチェーンであるイーサリアム(Ethereum)上に記録される。取引先はスマートコントラクトにより制限され、匿名組合員以外への譲渡制限が可能となる。

不動産業界への幅広いチャネルを持ち、これまで複数のブロックチェーンに関するPoCによって培った不特法事業への適用に関するLIFULLの知見と、米国で多数のセキュリティトークン発行実績を持つSecuritizeのSaaSを組み合わせることで、セキュリティトークン発行を支援・推進するという。

同スキームは、リーガルアドバイザーのTMI総合法律事務所成本治男弁護士監修の元、不動産特定共同事業契約に基づく出資持分を表示するトークンを発行するとともに、出資持分譲渡におけるDVP(Delivery Versus Payment)を実現する。

なお、同取り組み発行のセキュリティトークンは、不動産特定共同事業法に定める不動産特定共同事業に基づく出資持分を表象したもの。⾦融商品取引業等に関する内閣府に規定される「電⼦記録移転有価証券表⽰権利等」には該当しないとしている。

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SorareがJリーグ全選手をブロックチェーン基盤のトレーディングカード化し発行

SorareがJリーグ全選手をブロックチェーン基盤のトレーディングカード化として発行

Sorareは8月18日、Jリーグ全選手をブロックチェーン(イーサリアム)基盤のトレーディングカード化すると発表した。Sorareのグローバル・ファンタジー・フットボール・ゲームでデジタルカードとして利用できるようになる。

ファンタジー・フットボールとは、プレイヤー自身が選んだ選手でオリジナルチームを作ってトーナメントに出場し、他プレイヤーとスコアを競い合うというゲーム。各プレイヤーのチームのスコアは、(各週末の)実際の試合における選手の戦績により上下する。自分のチームのスコアが上位にランクされると、報酬を獲得できる。

SorareがJリーグ全選手をブロックチェーン基盤のトレーディングカード化として発行

JリーグとSorareは、ブロックチェーン技術(イーサリアム)を用いた同社プラットフォーム上でJリーグ全選手のデジタルカードを発行するパートナーシップを締結。Sorareを通して、Jリーグは世界中のゲーマー、デジタルアイテムのコレクターにブランドを展開できる。またSorareのシステムは、ブロックチェーンを利用しデジタルカードを売買可能にしており、Jリーグにとって新たな収益源になるとしている。

スポーツの楽しみ方のひとつとして、スポーツファンは、様々な選手のトレーディングカードを収集し交換してきた。同様にSorareは、ブロックチェーン技術を利用することで、公式にライセンスされたデジタルカードという、新しいジャンルのコレクションカードを生み出したとしている。ブロックチェーン技術のひとつ、イーサリアムを利用しており、カードの所有者は自由に自分が保有するカードを売買、譲渡可能となっている。

Sorare開発チームのビジョンは、実際の試合を見にいく楽しみを増すような体験を作り出すこととしている。

Sorareは、ブロックチェーン技術をスポーツゲームに応用することにビジネスチャンスを見いだした連続起業家、ニコラ・ジュリア氏とアドリアン・モンフォール氏によって、2019年3月に設立。同社は、12ヵ月間で50カ国を対象に120万ドル(約1億2600万円)以上のデジタルカードを販売し、すでに収益を上げているという。

月次のカードのユーザー間取引のボリュームは、2019年12月の3万ドル(約317万円)から2020年6月には55万ドル(約5812万円)へと約10倍のボリュームになったとしている。

三井物産流通とNTTコミュニケーションズがイーサリアム基盤のサプライチェーンDX実証実験推進で合意

三井物産流通とNTT Comがイーサリアム基盤のサプライチェーンDX実証実験推進で合意

三井物産流通ホールディングス(MRH)と、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は8月17日、ブロックチェーン技術を活用したサプライチェーンDXの実証実験を推進することに合意したと発表した。イーサリアム(Ethereum)をベースとしたブロックチェーン技術に、NTT研究所が開発したブロックチェーン活用技術を適用。今秋から実証実験を行う。

MRHは、2020年6月に設立した、三井物産100%出資の流通持ち株会社。小売・外食事業者向け食品・日用品雑貨の中間流通機能をになう、三井物産100%出資の子会社4社(三井食品、ベンダーサービス、リテールシステムサービス、物産ロジスティクスソリューションズ)およびその保有事業を傘下としている。

同実験では、MRHが持つ流通分野での需給管理ノウハウを活用し、両社はブロックチェーン技術の流通業界への適用に必要な技術研究をさらに進めるとともに、新たなサービス提供領域に向けたビジネスモデルの構築とサービス提供に向けた具体的な機能構築を進めていく。両社は、DXの具体的な活用方法を確立することで、様々な業界におけるサプライチェーン領域での事業化を目指すとしている。

また今回の取り組みは、イーサリアム(Ethereum)をベースとしたブロックチェーン技術に、NTT研究所が開発したブロックチェーン活用技術(トークン追跡効率化技術)を適用。RFIDなどのIoTの情報と組み合わせた情報プラットフォーム「サプライチェーン情報基盤」の構築により、情報の活用に向けた検証を行う。トークン追跡効率化技術とは、トークンを商品などの来歴の追跡に適したデータ構造として設計することで、追跡処理の時間を最大100倍程度高速化するNTT研究所が開発した技術という。トークンは、ブロックチェーン上で通貨や商品等の来歴や所有権などを管理するために定義されたデータ形式。

さらに、「サプライチェーン情報基盤」と、請求など企業間取引を電子化し業界横断的に利用できる、NTT Comの企業間取引データプラットフォーム(仮称)を活用。複数の企業間の請求データをデジタル化・一覧化可能な「コネクティッドバリューチェーンを実現する基盤」との連携を目指す。コネクティッドバリューチェーンとは、各企業間の取引を電子化することで価値をさらに創出するつながりという。

今回の合意は、2020年7月に三井物産(三井物産)および日本電信電話(NTT)とともに締結した、「ブロックチェーンおよびIoT技術等の活用によるサプライチェーンDXに関する共同実験協定書」に沿ったもの。商品や物の流れを管理する「サプライチェーン情報基盤」と、企業間取引をデジタル化する「コネクティッドバリューチェーンを実現する基盤」との連携を目指し、今秋から実証実験を行う。

MRHにとってビジネス領域におけるICT企業との共同実証実験は初の取り組みであると同時に、NTT Comにおいてもサプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の実務適用は初の取り組みとなる。

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暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.9~8.15)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年8月9日~8月15日の情報をまとめた。

石川県加賀市、マイナンバーカードとスマホアプリ活用のオンライン行政手続きサービスを開始

石川県加賀市は8月13日、個人認証にマイナンバーカードとスマートフォンアプリを使用する、対面・紙・ハンコ不要のオンライン行政手続きサービスの提供開始を発表した。市民の利便性向上を図る目的で、自宅など身近な場所からインターネットを通じて行政手続きを行えるシステム「LoGoフォーム電子申請」を導入。手始めに、加賀市人間ドック助成申請(国民健康保険)手続きを電子申請に対応させ、サービスを開始した

石川県加賀市、マイナンバーカードとスマホアプリ活用のオンライン行政手続きサービスを開始

LoGoフォーム電子申請は、トラストバンクが提供する行政申請フォーム作成ツール「LoGoフォーム」と、GovTech領域に取り組むxID(旧社名:blockhive)提供のデジタルID(身分証)アプリ「xID」(クロスID。iOS版Android版)を連携させた行政手続きデジタル化ツール。加賀市は同ツールを導入し、全国の自治体に先駆けて初めてオンラインによる行政手続きサービスの提供を開始した。

LoGoフォーム電子申請による電子申請手続きは、マイナンバーカードとxIDアプリをインストールしたスマホを用意するだけで、住民は24時間いつでもどこでも、自宅や職場から行政手続きが可能になる。窓口での待ち時間が不要かつ、役所に行くために休暇を取るといった手間を省くことができる。加賀市は、市の人間ドック助成金申請といった一部の行政申請のオンライン化を手始めに、今後も順次、対象となるオンライン申請範囲を拡大していく予定と明かしている。

石川県加賀市、マイナンバーカードとスマホアプリ活用のオンライン行政手続きサービスを開始

LoGoフォーム電子申請は、自治体職員が電子申請やアンケートのウェブフォームを、高度なIT知識やプログラミングなしに簡単に作成・集計できるツール。テンプレートを使ったりパーツを自由にカスタマイズしたりするだけでフォームを作成でき、地方自治体のネットワーク環境LGWAN(総合行政ネットワーク)とインターネットの両方で利用できる。また、LGWAN上で事務サービスを提供するLGWAN-ASPを活用しており、自治体間でフォームを共有することも可能だ。

マイナンバーカードと連携し、手軽に本人認証を行えるデジタル身分証アプリ「xID」

電子申請に利用されるスマホアプリxIDは、マイナンバーカードと連携することで、手軽に本人認証を行えるデジタル身分証アプリ。xIDは、最初の設定でマイナンバーカードの基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)をスマホのNFC(近距離無線通信)を経由して読み取り、マイナンバーカードとxIDアプリをひも付ける。

以降、xIDと連携したサービスでは、個人情報の入力や身分証を使用することなく、本人確認、電子認証、電子署名が可能となり、個人情報を何度も入力する手間を軽減できる。また、事業者もxIDに対応することでマイナンバーカードに紐づく本人確認情報を取得可能となるため、従来の本人確認業務やコストを削減できる。

xIDでは、個人情報を暗号化した状態で記録し、xID運営者であってもその内容を確認できない仕組みを採用。個人情報は、ユーザーが暗証番号(PIN1)を入力し、同意した場合にのみ、事業者側に共有される。また、認証や署名のログは、ブロックチェーン上に記録されるため改ざんできない。なお、ブロックチェーン上には、マイナンバーカードから取得した個人情報が記録されることは一切ない。

石川県加賀市は「ブロックチェーン都市」

加賀市は、ブロックチェーンとICT技術を中核に、新たな産業・経済の創出、教育・雇用の創出、電子行政の推進を目指し、2018年3月に「ブロックチェーン都市」を宣言。2019年12月には、iXDと加賀市における行政サービスのデジタル化に向けた協定を締結し、「行政サービスのデジタル化推進」に向けて協業することに合意している

激闘体験型ブロックチェーンRPG「CHOJO -CryptoGirlsArena-」正式版がリリース

「ブロックチェーンゲーム」×「コンテンツ創出」をテーマにゲームを開発するSEVENTAGEは8月12日、激闘体験型ブロックチェーンRPG「CHOJO -CryptoGirlsArena-」(以下、CHOJO)のサービス開始を発表。3月よりオープンβテストを続けてきた「CHOJO」が、8月8日より正式にサービスをスタートした。

激闘体験型ブロックチェーンRPG「CHOJO -CryptoGirlsArena-」正式版がリリース

CHOJOは、格闘技と美少女がテーマの激闘体験型ブロックチェーンRPG。プレイヤーは個性豊かなファイター達を育成しながら「頂上」を目指す。PCの場合は、イーサリアム(Ethereum)対応ウォレット「MetaMask」をインストールしたウェブブラウザー、またスマートフォンの場合は専用アプリ(iOS版Android版)を利用し遊ぶことができる。

ゲームの内容は育成ゲームにあたり、ファイターらが格闘技を通して成長するストーリーを追いかけながら、所有するファイターを育てていく。ファイターや装備品(アーツ)がNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)として発行。これら所有権はユーザーにあり、ユーザー間での売買および譲渡が可能。

CHOJOは、所有するファイターで3人によるデッキを組み、他のプレイヤーやコンピューター相手にバトルを行うのが基本。ファイターそれぞれに、手に入れた装備品をセットし、ターン制でバトルをする。互いに技を繰り出したり、ファイターを交代させたりしながら、先に相手のファイターすべてを倒したほうが勝利となる。バトルに勝利することで、ファイターは成長し、装備などを入手できる。

激闘体験型ブロックチェーンRPG「CHOJO -CryptoGirlsArena-」正式版がリリース

ファイターには、「STR:打撃技」「GRP:締め技」「THR:投げ技」の3つの属性があり、それぞれ三すくみの関係にあり、有利な相手に対しては大きなダメージを与えることができ、不利な相手へのダメージは減少する。属性をいかしながらうまくバトルすることが必須となるゲームだ。大会やイベント等で他のプレイヤーとバトルすることができたり、与えられたクエストをバトルでクリアしたりしていきながら各ファイターを育成できる。

デジタルアセットをすべてイーサリアムのERC-721準拠のNFTとして発行

CHOJOは、世界的に有名なブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」(マイクリ)を開発・提供するdouble jump.tokyoのブロックチェーンゲーム開発支援プログラム「MCH+」のサポートを受け開発・運用を行っている。

MCH+は、マイクリを開発したシステムやノウハウをフレームワーク化した4つの支援プログラム(開発支援・エコシステム構築支援・ファイナンス支援・人材育成支援)でブロックチェーンゲームの開発をサポートする。ゲーム内に登場するキャラクターやアイテムなどのデジタルアセットをすべてイーサリアムのERC-721準拠のNFTとして発行している。CHOJOは、マイクリのNFTに準拠したデジタルアセットとなる。

CHOJOでは、新たにファイターや装備品を購入するには、ゲーム内通貨KOIが必要になる。KOIは、暗号資産イーサリアム(ETH)で購入でき、基本は0.05ETH=600KOIから販売されている。ちなみにゲームは、初めに手に入る3体のファイターのみで遊ぶこともできるので、最初にKOIを用意する必要はない。

正式リリースを記念したセール実施、YouTubeチャンネルの開設も

現在、CHOJOは正式リリースを記念し、ファイターセールを実施している。CHOJOには希少価値の高いファイターLIMITED LEGENDが存在するが、CHOJOリリース後は、LIMITED LEGENDは6種類までと発行上限を決められている。同セールでは、6種類の中から3種類のLIMITED LEGENDが登場する。LIMITED LEGENDは最大発行枚数が5枚となる。なお、今回販売される各ファイターは、セール後も異なる衣装およびレアレティなどで販売されるが、まったく同じものが再販されることはない。

またSEVENTAGEは、CHOJOリリースにあわせて、ゲームに出演する声優をキャスティングしたYouTubeチャンネル「CHOJOちゃんねる」を開設し、運用を開始。ゲーム内容の紹介ほか、今後、ブロックチェーンゲーム初心者に向けた情報や、ゲーム内大会の実況など、「CHOJO」の世界観を発信していく。

Qセルズとみんな電力が、初期投資ゼロの事業者向け再エネ導入サービスを提供

ハンファQセルズジャパン(Qセルズ)とみんな電力は8月12日、工場や建物に低価格で再生可能エネルギー(再エネ)を導入したい企業向けに、初期投資ゼロで再エネが導入できるサービス提供の開始を発表した

両社は、Qセルズが提供する初期費用ゼロ電力販売契約(PPA:Power Purchase Agreement)モデルの太陽光発電による自家消費電力と、自家消費ではまかなえない電力において、みんな電力の再エネ由来の電力供給を組みわせたサービスを提供する。

Qセルズとみんな電力が、初期投資ゼロの事業者向け再エネ導入サービスを提供

世界60ヵ国以上で事業を展開するQセルズは、太陽電池モジュールの生産・販売をはじめPPAモデルによる電力サービスを提供。みんな電力は、ブロックチェーンを活用した再エネ由来の電力マッチングサービスを提供している。両社は互いの強みを掛け合わせ、再エネ100%電力を通じて各社の事業活動をサポートしていく。また新たに開始する両社のサービスは、事業者が費用負担なしで再エネ供給ソリューション導入でき、CO2を削減可能となるという。

まず事業者は、工場や建物の屋根に、Qセルズが所有者となる自家消費型太陽光発電設備を設置することで、発電した電力の供給を受けることになる。サービスの契約期間は10/15/20年から選択可能で、導入時の設置費用、契約期間中の設備保守・メンテナンス費用はQセルズが負担する。顧客となる事業者は、発電設備からの供給電力の電気代を支払うだけで、発電設備に関する費用負担はない。

また、太陽光発電でまかなえない電力は、みんな電力を通じて再エネ由来の電力が供給される契約になっている。みんな電力は、FIT電気+再エネ比率75%の「ENECTプラン」のほか、再エネ比率100%を希望する顧客には「ENECT RE100プラン」を提供。契約期間終了後、顧客の希望により太陽光発電設備を譲渡することもできる。

Qセルズとみんな電力が、初期投資ゼロの事業者向け再エネ導入サービスを提供

同サービスは、太陽光発電により電力を自家消費する仕組みのため、導入することで非化石証書を追加購入することなくCO2排出量削減を実現できることがメリットとなる。さらに、みんな電力の「ENECT RE100プラン」を契約することで、再エネ比率100%を達成できる。同プランは、ブロックチェーン技術を活用したP2P電力トラッキングシステムで電力の発電源が特定可能なため、RE100の求める電源のトレーサビリティ要件も満たしている。RE100は、可能な限り早い時期に(遅くとも2050年までに)、再生可能エネルギー源から事業活動で使用する電力の100%を調達するという目標を掲げ公表する国際イニシアチブ。同サービスは、導入事業者においてもRE100達成を支援する。

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パーソルキャリアとNECがブロックチェーン技術を用いた外国人ITエンジニア採用サービスの実証実験

パーソルキャリアとNECがブロックチェーン技術を用いた外国人ITエンジニア採用サービスの実証実験

パーソルキャリア日本電気は8月13日、国をまたぐ新しいダイレクトリクルーティングサービスの実証実験を実施すると発表した。NECが独自に開発したブロックチェーン技術と、AONT(All-or-Nothing Transform)方式秘密分散技術を用いたアプリを使用する。

実証実験の対象はインド在住のITエンジニアと、外国人ITエンジニアの採用を検討する日本企業。GMOインターネット、ワイヤードビーンズなど計6社の日本企業が参画し、採用活動を行う。

実証実験のコンセプトは、Self-Sovereign Identity(自己主権型アイデンティティ)をベースとしたもの。これは、特定の管理主体が介在することなく、個人が自分自身のアイデンティティを自ら保有・コントロールできるべきという考え方。ダイレクトリクルーティングとは、企業が自社の求人要件にマッチする求職者に対して直接採用アプローチを行うリクルーティング方法。

検証内容は、日本で就労希望があるインド在住のITエンジニアのニーズ調査、日本の求人企業の採用負担削減効果、プログラミングスキルチェックの妥当性となっている。

同実証実験で両社は2020年8~10月の3ヵ月間の実証実験を通じて、転職希望者個人の経験や知識、実績を基にインド・日本の国をまたぎ、公平に仕事を得る機会を創出。その結果を踏まえ、NECは2020年度中のダイレクトリクルーティングサービス開始を目指す。新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、今後のインドおよび日本の採用、就労環境の変化に対応するサービスのあり方についても検討する。

参画するインド在住のITエンジニアは、現地でITスキルテストを行い、公平に自分の経験・スキル・実績を証明し、自身の履歴書やスキル情報の真正性を担保する。求人企業はそれらの情報によって、採用後の人材ミスマッチを防ぐことが期待できるという。

スキルチェックは、オンライン受験が可能となっており、結果はスマホアプリに自動連携される。今回の実証実験では、NECが独自に開発したブロックチェーン技術とAONT(All-or-Nothing Transform)方式秘密分散技術を用いたアプリを使用。転職希望者は、自身のパーソナルデータなどの秘匿性の高い情報をセキュアかつ簡単に管理(追加・編集・削除)したり、アクセスコントロールを行いデータの開示可否を設定したり、情報の改ざんを防ぎ真正性を高く担保することが可能。

AONTは、任意のデータから複数の新しい断片データを生成するデータ変換技術。断片データからは、全ての断片を集めて結合しないかぎり、元データについて何も知ることができないことを保証する。これを用いて、断片データをそれぞれ異なるクラウドサーバーに分散配置すれば、元のデータに関して高い機密性が実現できる。

これにより、転職希望者は自らのスキル証明書を信頼性の高い情報として保管可能という。またこの証明書は、転職希望者がアクセスを許可した企業が閲覧できるため、企業ごとに異なるスキルチェックテストを受ける手間が省け、転職希望者の選択肢の幅を広げることにつながるという。

パーソルキャリアとNECがブロックチェーン技術を用いた外国人ITエンジニア採用サービスの実証実験

このほか今回の実証実験では、インドでITスキルテストの開発・提供を行うHackerEarthと協力して実施する。同社は、オンラインでのコーディング評価やリモートインタビューを通じて開発者のスキルを測定できる開発者評価サービスを提供。世界中で450万人以上の開発者コミュニティをもち、開発者はコーディングスキルを習得し、就職に備えられる。

パーソルキャリアによると、国内でIT人材の獲得競争が激化する中、競争力を高めていくためには、優秀な人材を海外から呼び込み、定着させることが重要という。一方、新型コロナウイルス感染症の影響拡大により、採用活動や就労形態もオンライン化が加速しているとした。

そのような中、転職希望者は職務経歴書や面接だけでは測れない経験・スキル・実績について、リモートやデジタル上でどのように証明し信頼を得るか、また求人企業側は転職希望者の能力の見極めがより重要になっているという。さらには転職希望者自らが自身の個人データを管理し、アクセスコントロールする必要も高まっており、データ利活用のあり方が問われているとした。

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慶応FinTEKセンターとIGSがブロックチェーンによる学生の個人情報管理プラットフォームを共同開発

慶応大FinTEKセンターとIGSがブロックチェーンによる学生の個人情報管理プラットフォームを共同開発

慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンター(FinTEKセンター)Institution for a Global Society(IGS)は8月11日、ブロックチェーンを用いた個人情報の管理・活用を実現するシステム開発に関する共同研究「STAR(Secure Transmission And Recording)プロジェクト」の開始を発表した。

1業種1社に限定し20社以上の参画を目指しており、開始時点の参画企業は、三菱UFJ銀行、SOMPOホールディングス、住友生命保険となっている。3年間の研究期間の終了後もこのシステムを存続・発展させ、1業種1社に限ることなく広く企業の参加を募ることを目指す。

STARプロジェクトは、ブロックチェーンを利用して、学生と企業にとってメリットのある新たなデータ活用戦略について実証実験を行い、学生と企業を繋ぐプラットフィームの社会実装を目指すプロジェクト。

「学生の個人情報を、学生自身の手に戻す」をテーマとしており、参加企業と3年間の実証研究を実施する。目的としては、「学生の個人情報提供における安全性と透明性の確保」「学生と企業双方を利する個人情報活用戦略の研究」「学生と企業のマッチング精度向上」を挙げている。

同システムは、ブロックチェーンのトレーサビリティ機能に、暗号技術などを組み合わせて個人情報を保護することで、学生によるパーソナルデータの開示先、開示範囲、開示期限の自由かつ完全なコントロールを実現。また、学生自身による入力情報に加えて、第三者からの評価情報も入力可能にすることで、情報の信頼性や客観性の向上が期待できるという。

さらに、GDPRの「忘れられる権利」に対応。学生が開示したパーソナルデータも消去可能にすることで、学生と企業が安心して利用できる環境を提供する。

実証実験参画企業は、同システムを利用し個人情報保護に留意した上で、企業と学生のコミュニケーションを促進するシステム運営方法について実証研究を行う。

同システムを利用する学生のメリットは以下を挙げている。

  • 学生は、情報提供依頼があった複数の企業に対し開示先・開示範囲・開示期間を自ら選択できる
  • 教員、先輩や友人など、周りの人からの客観的な評価を企業に開示できる
  • 開示不要となった記録を消去できる

慶応大FinTEKセンターとIGSがブロックチェーンによる学生の個人情報管理プラットフォームを共同開発

また企業のメリットは以下の通りという。

  • これまで学生から得られなかった学内外での評価や授業内での発言などのパーソナルデータを活用し、潜在的な優良人材を発見し、アプローチできる
  • オンライン面接など学生との接点が制限される環境において、学生のパーソナルデータを活用することで、学生の能力や特徴を深く知ることができる
  • 個人情報の許諾作業・管理・廃棄が不要

慶応大FinTEKセンターとIGSがブロックチェーンによる学生の個人情報管理プラットフォームを共同開発

実証1年目は、ブロックチェーン技術によって、学生の個人情報の秘匿性を担保しつつ、企業がデータを有効活用する技術基盤を構築。慶應義塾大学の学生を中心に5000名以上が利用する想定。

実証2年目では、学内のサークル・ゼミ活動履歴、学外での活動を記録するアクティビティ要素を追加。ラーニングマネジメントシステムとの連携により、学生の学びや活動履歴を追加、学生が活発に情報発信するデザイン・機能へ拡張。
慶應義塾大学の大半の学生と他大学5校以上の学生1万名が利用を想定。

実証3年目は、慶應義塾大学の大半の学生の利用・他大学10校以上の学生2万名による利用を想定。学生数の増加に耐えうるスケールアップを行い、パフォーマンスをさらに改良する。4年目以降(実証実験終了後)は、実証研究参画企業以外の企業や他大学生の利用により、プラットフォーム化を目指す。

FinTEKセンターは、フィンテックに関する学際的研究と教育を目的とする組織。同センターは、情報通信技術・暗号学・経済理論・データサイエンスなどを活用した先駆的研究を促進するとともに、フィンテックが経済と社会に与える影響を実証的に分析し、適切な制度設計と経済運営のための政策提言を行う。

またIGSは、教育・HR領域において、多様な評価指標の研究や評価ビッグデータの分析を通じて、学生と企業のマッチング支援を進めてきた。

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.2~8.8)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年8月2日~8月8日の情報をまとめた。

ブロックチェーンゲーム「The Sandbox」がBinanceで約3億1700万円相当のSANDトークン販売

中国・香港を拠点とするゲーム開発会社Animoca Brands(アニモカブランド)は8月5日、暗号資産取引所Binanceが提供するIEOプラットフォームBinance Launchpadを通じ、ブロックチェーンゲーム「The Sandbox」のSANDユーティリティトークン300万ドル(約3億1700万円)相当の販売を発表した

ブロックチェーンゲーム「The Sandbox」がBinanceで約3億1700万円相当のSANDトークン販売

The Sandboxは、Animoca Brandsの子会社TSB Gamingが開発するブロックチェーンベースの仮想空間(メタバース)で、コミュニティ主導型ゲームおよびゲーム作成プラットフォーム。いわばブロックチェーン版のマインクラフトといったところ。SANDは、暗号資産Ethereum上で発行されたERC-20準拠トークンで、メタバースにて利用できる主要トークンとなる。The Sandboxにおいてコンテンツ制作者は、ゲームのアセットやゲーム体験を収益化することが可能になる。

SANDトークンセールは、Binance Launchpadにて8月13日より開始、SANDの総供給量の12%にあたる3億6000万SANDトークンが販売される予定。

The Sandboxゲームシリーズは、2012年に携帯電話向けに開発されたゲームプラットフォームで、その後、Windows版などが登場した人気のシリーズ。ブロックチェーンベースのThe Sandboxは2020年後半にローンチ予定で、現在開発中。一部、3Dボクセル(ブロック)アセットを作成できる「VoxEdit BETA」と、VoxEditで作成されたゲーム内アセットを取引するための分散型マーケットプレイス、無料で3Dゲームを作成できるビジュアルスクリプトツールボックス「Game Maker」のアルファ版が公開されている。

ユーザーは、アセットを使用しゲームを作ったり、他人の作ったゲームをプレイしたりできる。また、所有する土地(LAND)やキャラクター、アイテムなどデジタルアセットについても、NFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)としてマーケットプレイスで売買可能。アセットは、その希少性に応じてERC-721またはERC-1155規格のNFTになるという。

The Sandboxは、すでに仮想空間内の土地(LAND)を販売する4回のプリセールを行い、1万以上のLANDを売却し、数千ETHを超える資金を調達、売り出されたLANDおよびアセットはすべて完売している。

TSB Gamingは、ゲーム業界からも注目されている。2019年7月から9月の期間、SANDユーティリティトークンの発行およびSAFE債(将来株式取得略式契約スキーム)による資金調達を実施。スクウェア・エニックス、True Global Ventures、B Cryptosら複数の投資家を引受先として、現金83%、BitcoinおよびTetherの暗号資産17%からなる総額201万ドル(約2億1200万円)の出資を受けたことを発表している

さらにAnimoca Brandsは8月4日、以前よりパートナーシップ契約を結ぶビデオゲーム界の老舗メーカーAtari(アタリ)との契約を拡大し、70年代から80年代の名作ゲーム「Pong」「Asteroids」「Centipede」「MissileCommand」など全15種類のタイトルについて、ブロックチェーンやNFTなどを含む開発および流通(公開)の権利を取得したことを発表している

中国国営商業銀行がデジタル通貨ウォレットアプリの大規模テストを開始

ロイターおよび中国広東省下の国営経済情報紙21st Century Business Herald(21世紀経済報道)によると、中国の主要な国営商業銀行が、デジタル通貨(数字貨幣)ウォレットアプリの大規模内部テストの実施しているという。

21世紀経済報道は、「深センを含む都市の州の銀行の従業員が送金と支払いを行うためにアプリの内部テストを開始した」という情報筋による証言を引用している。

中国国営商業銀行がデジタル通貨ウォレットアプリの大規模テストを開始

中国政府が人民元の中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行に積極的な態度を示していることは知られている通りだ。21世紀経済報道によると、この動きは中国人民銀行(PBOC) デジタル通貨研究所が2020年4月中旬に公開した情報に沿ったものという。現在インターネット上で流通している、デジタル通貨電子決済(DC/EP)の情報は技術開発に関するクローズドテスト情報で、デジタル人民元が正式に公開されるわけではないと強調している。

また中国人民銀行 デジタル通貨研究所は、同じく4月の発表で、深セン、蘇州、雄安新区、成都の4都市でDC/EPシステムの内部閉鎖試験を実施しており、将来の北京冬季オリンピック会場でシステムを試験運用すると明らかにしたことも報じられている。

中国人民銀行は、2019年8月に開いた2019年後半の業務を確認するテレビ会議で、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の開発および暗号資産発展の研究を重要なタスクであることを明示している。CBDCの分野では、中国は先駆け的な存在になっている。中国は2017年に中国人民銀行デジタル通貨研究所を設立し、2018年6月には同研究所の100%子会社として深セン金融科技を設立するなど、積極的な活動を行っている。すでに、中央銀行デジタル通貨研究所は、CBDCに関する多くの特許を申請している。

ディーカレットと関西電力がブロックチェーンによる電力P2P取引決済自動化の有効性を確認

暗号資産取引所DeCurretを運営するディーカレットは8月5日、2020年3月より関西電力と実施していたデジタル通貨に関する実証実験について、その有効性が実証されたことを報告した

ディーカレットは両社の実証実験において、自社が開発するブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォームを活用し、関西電力向けに実験用の独自デジタル通貨を発行し、電力P2P取引における決済処理の自動化について有効性を確認することができたという。

ディーカレットと関西電力がブロックチェーンによる電力P2P取引決済自動化の有効性を確認

現在、電力業界における電力供給システムは、大規模集約型から個人や企業が電源を保有する分散型への移行期間にあるという。将来、分散型の電力供給システムにおいては、自身で発電した電気の余剰分を売電する生産消費者(プロシューマーという)と電力消費者は、専用プラットフォームを介し、電力が直接取引(P2P取引)される可能性があると見られている。

電力会社は、電力のP2P取引来歴を明確にするのは今後必須であり、取引来歴には耐改ざん性に優れ、透明性の高いブロックチェーン技術の活用が期待される状況であるという。来歴管理のブロックチェーン活用は、すでに国内外で多く実施されており、ディーカレットはデジタル通貨を用いて、プロシューマーと電力消費者のP2P取引と同時に発生する決済処理の自動化について実証実験を実施した。

実証実験では、プロシューマーと電力消費者の間で電力取引が行われると、スマートコントラクトがそれを記録し、取引量に応じた料金が電力消費者のウォレットからプロシューマーのウォレットへ送付されることを確認する。同時に取引手数料がプロシューマーウォレットからプラットフォーマーウォレットへデジタル通貨で送付される仕組みについて検証を行ったところ、その有効性が確認できたという。

実証実験に用いられたディーカレットのデジタル通貨プラットフォームは、利用企業が自身のブランドでデジタル通貨を発行できる機能を備えている。プラットフォームは、スマートコントラクトを利用した処理の実装も可能で、今回はP2Pによる電力取引まつわる一連のプロセスを実装した。

ディーカレットは同プラットフォームを活用し、商品やサービスの価格を需要と供給のバランスに合わせて変動させる価格戦略(ダイナミックプライシング)やリアルタイム決済といったブロックチェーンの特性を活かした幅広いサービスの展開を支援していくとした。今後、ディーカレットはプラットフォームの事業化を目指していく。

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JCBAとJVCEA、暗号資産の20%申告分離課税や少額非課税制度の導入等税制改正に関する要望書まとめ

一般社団法人「日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」は7月31日、一般社団法人「日本暗号資産取引業協会(JVCEA)」と共同で、2021年度税制改正に関する要望書を取りまとめ公開した。

毎年、JCBAは業界団体として自民党「予算・税制等に関する政策懇談会」に参加し、暗号資産の税に対する要望を行ってきた。今回は、2021年度税制改正にあたり、暗号資産交換業および暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体であるJVCEAと共同で、税制改正が求められる事項を整理してまとめた。両団体は、暗号資産市場の活性化、決済利用の促進を図り、関連産業の発展を期待し、以下の通り税制改正に関する要望を要望骨子として公開した。

  1. 暗号資産のデリバティブ取引について、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する
  2. 暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることとする
  3. 暗号資産取引にかかる利益年間20万円内の少額非課税制度を導入する

暗号資産取引における所得は、現在の税制では原則として雑所得に分類される。雑所得は、給与所得など各種所得と合計した金額に課税される総合課税となる。また、累進課税のため所得額に応じて税率が上がり、最大で55%(所得税45%+住民税10%)という高い税額になる。雑所得は、損をしても、給与所得や不動産所得のようなものと損益通算することもできなければ、翌年に繰り越すこともできない。

両団体は、2020年5月より暗号資産が金商法の枠内での規制を受けたことから、株やFXなど他の金融商品先物取引等同様に20%の分離課税とするなど、税制の公平性・中立性が担保されるよう要望をまとめた。

なお、今回まとめられた「2021年度税制改正に関する要望書」は、JCBA公式サイトにて公開しているので、誰でも閲覧できる。

FIX Networkによる、NEM次期バージョン「Symbol」を活用した携帯電話「SIMスワップ詐欺」防止ソリューションの詳細が明らかに

携帯電話(スマートフォン)の電話番号を搾取する「SIMスワップ」という詐欺手口をご存じだろうか?

近年、海外ではSIMスワップ詐欺が社会問題になっているという。SIMスワップは、携帯電話のSIMカードを強制的に切り替え、電話番号を乗っ取るという手法の詐欺。その手口は単純で、犯人は新品のSIMカードを用意し、電話会社に携帯電話を紛失したとウソの申告をする。電話会社に申告を信じさせた上で、新たに用意したSIMカードに、ターゲットとなる電話番号を紐付けさせて、その携帯電話を乗っ取るというものだ。

乗っ取り後は、携帯電話内に登録されているサービスをチェックし、ネットバンキングや暗号資産取引所口座、暗号資産ウォレットなど、金目のサービスを見つけては、パスワード再設定を試み、アカウントを乗っ取る。これらのサービスの多くは、SMS認証によるワンタイムパスワードで本人確認を行うことから、パスワードの変更が容易で、各種サービスにログインが可能になってしまうという。ログイン後は、犯人自身の口座等に資産を送金し、SIMスワップ詐欺の完了となる。

NEM.io財団(NEM財団)ブログによると、2018年から2019年にかけて、SIMスワップによる詐欺で米国だけでも5000万ドル(約53億円)以上の暗号資産がスマホの暗号資産ウォレットから盗まれたと推定されている。

NEM Symbol

NEM財団ブログおよびSymbol公式サイトは7月31日、NEM財団と提携するイスラエル・リトアニアの通信関連スタートアップFIX Networkによる、NEM次期バージョン「Symbol」を活用した携帯電話の「SIMスワップ詐欺」防止ソリューションの詳細を明らかにした

FIX Networkは、携帯電話のSIMカード上に秘密鍵とトランザクションを保護できるソリューションを提供するために設立された企業。NEM財団は、2019年11月に発表した「NEM Foundation Update: November 2019」のパートナーハイライトにて同社を紹介している。

NEM Symbol

同社の技術は、ブロックチェーンベースのセキュリティプロトコルを実装した上で、既存の携帯電話インフラを活用し、SIMを介した携帯電話加入者のための新しいプライバシー、セキュリティ、管理、安全性のソリューションを提供する。そのアーキテクチャーにより、携帯電話事業者は加入者のSIMカード上に秘密鍵を保管することで、デジタルID管理、暗号試算ウォレット、個人データファイアウォールなどのサービスを加入者に提供できるようになるという。NEM財団は、2020年3月11日にFIX Networkとパートナーシップを締結したことも報告している。

FIX Networkが提供する最初の製品「FIX ID」は、携帯電話加入者の最も貴重なデジタル識別子である電話番号を保護し、SIMスワップなどの不正行為を防止する。同サービスは、エンドユーザーアプリによって管理され、加入者が所有するグローバルな電話番号を通じて参加者を識別し、ユニークなデジタルIDとして機能する。電話会社は、FIX Networkを介して、暗号資産ウォレット、ネットバンキング、ID管理などのサービスを提供できる。

FIX IDソリューションを管理するセキュリティポリシーの初期実装は、ブロックチェーンベースではないが、今後FIX NetworkのソリューションはNEMの次期バージョンであるSymbolと統合され、ブロックチェーンベースになる予定だという。

NEMの次世代バージョンSymbolのローンチは、4月に発表されたロードマップによると、2020年11月中旬から下旬の予定だ。

NEM Symbol

日本でも次世代Webブラウザー「Brave」で暗号資産BATの受け取り・利用が可能に!

暗号資産取引所「bitFlyer」を運営するbitFlyerは7月30日、Brave Software International SEZCと共同開発する、オープンソースの次世代高速ブラウザー「Brave」(ブレイブ)内で使用できる暗号資産ウォレットについて、その詳細を発表した。Brave Software International SEZCは、Braveブラウザーを開発・提供するBrave Softwareの子会社だ。

日本でも次世代Webブラウザー「Brave」で暗号資産BATの受け取り・利用が可能に!

両社は7月9日に業務提携について合意し、Braveブラウザーの暗号資産ウォレット領域におけるパートナーシップ契約を結び、暗号資産ウォレットを共同開発することを発表した。今回の発表でbitFlyerは、サービス提供開始は2020年11月頃を予定していることを明らかにした。

Braveブラウザーは、広告ブロック機能を標準装備し軽快な動作や匿名性を実現するとともに、暗号資産イーサリアム上で発行されたERC-20準拠トークンBAT(Basic Attention Token)を用いたBrave Rewardsの仕組みを搭載。ブラウザー利用者はBraveが許可した広告を見ることで報酬としてBATが得られる。ただし2020年8月現在、日本では、改正資金決済法を遵守するためにBATではなくBATと対価のBATポイント(BAP)が使用されている。

これに対して、bitFlyerが開発する暗号資産ウォレットのサービス提供開始以降は、bitFlyerに口座を持つユーザーはBraveブラウザー上でbitFlyerアカウントとの連携が可能になる。金融庁が認定する暗号資産交換業者のbitFlyerのアカウントを連携することで、BAPではなく暗号資産BATを報酬として受け取れるようになるわけだ。

受け取ったBATは、Braveブラウザー上でコンテンツ(サイト)制作者にチップ(投げ銭)としての送金も行える。付与されたBATは、bitFlyerで売却し日本円に換金することも可能だ。これで、海外でBreveブラウザーを使用しているユーザーと、いよいよ同じ環境になる。

Brave Software Asiaがオンラインイベントを開催

Brave Softwareの日本法人Brave Software Asiaは、オフィスオープンを記念して、7月30日にオンラインイベント「Brave Software Asia Office Opening Party」を開催した。イベントは、Brave Software Asia代表取締役の嶋瀬宏氏(写真左)が司会進行となり、改めてBraveブラウザーについての紹介が行われ、Braveの日本展開について語られた。イベントではbitFlyer代表取締役の三根公博氏(写真右)も登壇し、その場でBraveブラウザーの暗号資産ウォレットサービスについて詳細が報告され、今回の発表へとつながった。

Brave Software Asia代表取締役の嶋瀬宏氏(写真左)とbitFlyer代表取締役の三根公博氏(写真右)

Braveは、何を問題としているのか

オンラインイベントは、JavaScriptの生みの親であり、Mozilla(Firefox)の共同創設者でもあるBrave SoftwareのCEO、Brendan Eich(ブレンダン・アイク)氏のビデオメッセージによる挨拶からスタートした。

Braveが目指す世界は、インターネットの再構築。現在のインターネットが抱えている問題を解決するために、Braveを設立したという。

インターネットの大きな問題点としては、まずコンテンツの質を指摘する。現在の表示回数が増えるほど広告収益がアップする仕組みは、コンテンツのクオリティーよりもページビュー数(PV)に重きを置くものが増え、結果、フェイクニュースや人の目を引くゴシップニュースなど、質の低いコンテンツが氾濫する状況を作り出してしまったという。PVを稼ぐためには何でもする昨今の迷惑系動画配信などもその例の代表ではないだろうか。

また、ユーザーを特定することで広告単価がアップする現在のネット広告は、広告トラッカーといったプライバシーを侵害する仕組みを作り出してしまった。トラッキングや非効率な広告システムは、ユーザーが意図しない通信を不用意に増やし、無駄な通信費用を発生させる結果にもつながっている。その費用は無視にできないほど増加していることもBraveは指摘する。

プライバシー保護と、暗号資産BATが得られるBrave Rewards

Braveはこれらの問題を解決するべく、消費者を中心としたインターネットの再構築に立ち上がったのだという。

その答えが、Braveブラウザーが作り出しているエコシステムなのだ。Brave Softwareは、高速でプライバシー保護機能を備えるWebブラウザーに、ブロックチェーンのデジタル広告プラットフォーム機能を統合する。基本は広告の表示やトラッカーをブロックし、軽快な動作や匿名性を実現する。その上で、Braveが許可した広告を見ることで報酬として暗号資産BATが得られるBrave Rewardsという仕組みを備えた。

ブラウザー利用者は、広告を見なくてもいいし、自分の意思で見て報酬を得てもいい。Braveブラウザーは、1時間に何回広告を表示させるかといった、その頻度もコントロールできる。これらは、オープンソースソフトウェアとして開発されているブラウザーを基礎としている点も特徴的だろう。

コンテンツクリエイターにチップとして寄付できる

また、報酬として得たBATを自分の気に入ったコンテンツクリエイターにチップとして寄付できるのも大きな特徴だ。この仕組みは、これまで広告収入がメインだったクリエイターが、チップを得るためによりよいコンテンツを作ることに専念できる仕組みとなる。

エコシステムに暗号資産を活用することで、マイクロペイメントの仕組みを導入できるようにもなる。たとえば、漫画を描くクリエイターは、漫画の一コマを1円以下の価格で切り売りするといったことも暗号資産では可能になるということだ。

広告を見て得られる報酬が暗号資産であるという仕組みは、従来のスマホコンテンツのような課金をすることもなくなるため、消費者、クリエイター双方にメリットがある。BATは暗号資産取引所に上場されている暗号資産であることから、もちろん課金システムにも対応することはできる。

Brave Softwareは、これら報酬などの仕組みで新しいビジネスモデルを構築しようとしているのだ。ユーザー、パブリッシャー、広告主のためになる新たなWeb環境を作り直すことで、消費者を中心としたインターネットの再構築を目指している。

Brave Software Asiaがオンラインイベントを開催

これらBraveブラウザーの輪の広がりは、インターネット上のエコシステムを本気で変えてしまうだけの潜在的な可能性があるのではないだろうか(筆者の個人的な感想だが)。

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LayerXが行政機関・中央銀行などと共同研究を手がけるLayerX Labs開設、デジタル通貨・スマートシティなど注力

LayerX Labs デジタル通貨 スマートシティ パブリックブロックチェーン

ブロックチェーン技術など活用した経済活動のデジタル化を推進するLayerXは7月29日、デジタル通貨およびスマートシティ、パブリックブロックチェーンの3領域を研究開発の柱にすえた「LayerX Labs」(レイヤーエックス・ラボ)を開設すると発表した。LayerX Labs所長は中村龍矢氏。

同社は、これまでブロックチェーンの社会実装にむけた研究開発を独自で多く手がけてきており、イーサリアムのプロトコルアップグレードプロジェクト「イーサリアム 2.0」の研究、次世代のプライバシー技術「Zerochain」、「Anonify」(アノニファイ)といったソフトウェア開発に取り組んできた。またブロックチェーン技術を活用した次世代金融取引サービスやアセットマネジメント事業、サプライチェーン分野における取り組みを通じて、様々な知見を蓄積している。

今後、ブロックチェーンの社会実装を推進すべく研究開発を一層発展させる上では、長期的な研究開発領域の柱を明確に据えることに加えて、外部知見を積極的に取り入れることが必要不可欠としている。

行政機関・中央銀行等・学術機関および民間企業との共同研究をさらに進めることを通じて、さらなる社会への適用を加速すべく、2020年8月より「LayerX Labs」を開設すると決定した。

LayerX Labsが本年度取り組むテーマは、「デジタル通貨・決済」、「スマートシティ」(特に、組織やサービスをまたぐデジタル化)、「パブリックブロックチェーン」の3点としている。

LayerX Labsでは、(1)行政機関・中央銀行等・学術機関および民間企業との共同研究、(2)基礎技術研究として学術論文の執筆やオープンソースコミュニティへの貢献(例:Anonify、Cordage)、(3)外部識者を招聘したアドバイザリーボード(仮)の設置、(4)ホワイトペーパーやニュースレターなどを通じた研究成果の発信を行う。

同社は、LayerX Labs設立を通じて、行政機関・中央銀行・学術機関・民間企業と連携しながら、これまで以上にブロックチェーン技術の実用化にむけた研究開発を加速していくとしている。

LayerX Labs所長は、LayerXに創業時より参画している中村龍矢氏。ブロックチェーンの研究開発に従事し、学術論文の執筆やOSS開発を行う。特に、イーサリアムのPoSプロトコル「Casper」コアリサーチャーを務め、改善案や脆弱性を複数提案。世界で初めて査読付き国際学会にてCBC Casperに関する論文を発表。また、ブロックチェーンのシャーディング技術の研究開発を行い、IPA 2020年度未踏IT人材発掘・育成事業に採択されている。

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ブロックチェーン関連スタートアップのHashHubが個人向け会員制レポート提供サービス「HashHub Research」を開始

HashHub Research HashHub Business

ブロックチェーン関連スタートアップ企業のHashHubは7月28日、ブロックチェーン関連レポートなどを企業に提供する「HashHub Business」(ハッシュハブ ビジネス)、また個人を対象とする「HashHub Research」(ハッシュハブ リサーチ)とを発表した。ブロックチェーン・暗号資産に関するレポートを会員に配信する部門d10n Labをリブランディングしたもの。

HashHub Research HashHub Business

HashHub Businessは法人向けの会員制フルサービス。DXや新規事業企画を行う中でブロックチェーン活用を実施・検討している企業に向けたもので、すでに開始済み。レポートの社内共有や調査内容のリクエスト機能に加えて、会員企業1社ごとにHashHubの担当リサーチャーがいつでもディスカッションを行えるようにして、企業の事業構築をサポートする。レポートとは別にブロックチェーン関連の技術支援・コンサルティングなども行い、企画段階から開発まで支援できる体制も整えている。

HashHub Researchは個人向けの会員制サービス。法人向けフルサービスからレポート購読のみできるようにし、個人の学習を支援する(一部利用できないレポートがある)。既存個人会員には、暗号資産で投資をしている方、エンジニアとしてブロックチェーンの技術・ビジネス動向を学びたい方などがいるという。

2018年4月設立のHashHubは、ブロックチェーン総合企業として自社プロダクト開発、ブロックチェーン業界リサーチレポート提供、主に国内企業をクライアントにしたブロックチェーン関連の開発支援などを実施。

また、東京大学周辺エリアを拠点に国内外の暗号資産・ブロックチェーンのスタートアップ・開発者が集うコワーキングスペースを運営。ブロックチェーンサービスが生まれる環境を整え、日本と海外、また他業界をつなぐハブになることを目指し事業を展開している。

HashHub Research HashHub Business

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暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年7月19日~25日の情報をまとめた。

次世代Webブラウザー「Brave」と「みんなのコード」が提携、独自ポイントBAPをみんなのコードに寄付可能に

不要な広告やトラッカーをブロックすることで高速ブラウジングを実現する次世代Webブラウザー「Brave」(ブレイブ)を開発・提供するBrave Softwareは7月20日、NPO法人 みんなのコードとのパートナーシップ契約の締結を発表した。両社は、Braveを使用することで報酬が得られるBrave Rewardsやブラウザー「紹介プログラム」などを利用した新しいNPO支援の仕組みを構築する。

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みんなのコードは、「全ての子どもがプログラミングを楽しむ国にする」をミッションに掲げ、学校向けプログラミング教材や、先生向けのプログラミング教育の実践事例集の提供など、公教育向けのプログラミング教育の普及に関する取り組みを行っている。

今回の提携によりBrave Softwareは、みんなのコードに対してBraveの「紹介プログラム」と「カスタムホームページ機能」を提供する。これによりみんなのコードは、Braveを通じて、同団体の活動を支援するサポーターから持続的な支援を受けることが可能になる。

具体的には、サポーターがみんなのコードの特設サイトよりBraveブラウザーをインストールし利用することで、みんなのコードはBrave紹介プログラムによりBrave Softwareから紹介報酬を受け取ることができる。サポーターは、みんなのコードの活動を間接的に支援できるという仕組みだ。

またBraveは、Braveが提供する企業の広告を通知、新規タブページを見ることで貯められるBATポイント(BAP)によるリワードプログラムBrave Rewardsを提供している。貯めたBAPは、Braveが認定したクリエイターコンテンツ(Webサイト)に対し、Braveブラウザーからチップとして寄付できる。寄付によるクリエイター支援が可能なのだ。

そして今回、みんなのコードに寄付もできるようになった。BAPは好きなタイミングで好きなだけ、もしくは自動的に毎月一定ポイントを寄付することが可能だ。

Braveは、Google Chromeにも活用されている「Chromium」をベースに開発されたオープンソースのWebブラウザー。特徴的な機能として広告ブロック機能を標準装備し、軽快な動作や匿名性を実現している。また、暗号資産イーサリアム上で発行されたERC-20準拠トークンBAT(Basic Attention Token)を用いたBrave Rewardsの仕組みを備え、ブラウザー利用者はBraveが許可した広告を見ることで報酬としてBATが得られる。ただし2020年7月現在、日本では、改正資金決済法を遵守するためにBATではなくBATと対価のBATポイント(BAP)が使用される。

すでにWindows、macOS、Linux、iOS、Android版が存在し、完全なクロスプラットフォーム化が完了している。各プラットフォームすべてにおいて同じ機能が利用できる。

世界で注目されているBraveブラウザーと暗号資産BAT

Brave Softwareは、高速でプライバシー保護機能を備えるWebブラウザーに、ブロックチェーンのデジタル広告プラットフォーム機能を統合し、前述の報酬などの仕組みで新しいビジネスモデルを構築しようとしているのだ。ユーザー、パブリッシャー、広告主のためになる新たなWeb環境を作り直すことを目指している。

Brave Softwareは2020年6月、Braveブラウザーの月間アクティブユーザー数(MAU)が1500万人を超え、1540万人に達したことをが発表している。MAUは過去1年で約2.25倍増加した。また、日間指標であるデイリーアクティブユーザー数(DAU)は、1年前の200万人から530万人に増えている。その結果からは、Brave Softwareの試みが世界中で支持されつつあることがうかがい知れる。

Braveブラウザー直近6ヵ月のMAU

Braveブラウザー直近6ヵ月のMAU

Braveブラウザー直近6ヵ月のDAU

Braveブラウザー直近6ヵ月のDAU

また、2017年5月にBrave SoftwareがBraveブラウザーで利用できる暗号資産として発行したBATにも注目度も高まっている。現在、BATの使途はBraveブラウザーの報酬としてのみならず、イーサリアムの分散型金融(DeFi。Decentralized Finance)プロジェクトMakerDAOでもステーブルコインDaiの担保金に採用されるなど、その流動性と価値を高めている。

暗号資産BATを新規に取り扱う取引所が日本でも増加

日本国内においても、暗号資産BATを新規に取り扱う暗号資産交換業者が、2020年になって増えつつある。GMOコインが3月18日に、bitFlyerが4月9日、そしてCoincheckが7月21日にそれぞれ取り扱いを開始した。2020年6月15日時点では、BATの時価総額は約344億円となっている。

さらにbitFlyerは7月9日、Brave Softwareの子会社でブロックチェーン関連業務を行うBrave Software International SEZCとの業務提携についての合意を発表した。同社は両社サービスの連携を目指し、Braveブラウザーの暗号資産ウォレット領域におけるパートナーシップを結んだ。今後は、Braveブラウザーのユーザー向けにウォレット機能を共同開発するほか、共同でマーケティング活動を開始することを明らかにした。

暗号資産BATを新規に取り扱う取引所が日本でも増加

国内においても続々と展開するBraveブラウザーおよび暗号資産BATの動向は、要注目のプロジェクトではないだろうか。

新作位置ゲーム「駅メモ! Our Rails」リリース決定!「駅トークン」でトークン化された駅のオーナーに

ビットファクトリーは7月20日、ブロックチェーン×位置情報連動型ゲーム「ステーションメモリーズ!」(略称、駅メモ!)シリーズの最新ゲーム「駅メモ! Our Rails」(略称、アワメモ!)のリリースを発表した。8月3日よりWebブラウザー向けに配信を開始する。「アワメモ!」は、iOS 13.1以降のブラウザー「Safari」、Android 6以降のブラウザー「Google Chrome」でプレイできる。

新作位置ゲーム「駅メモ! Our Rails」リリース決定!「駅トークン」でトークン化された駅のオーナーに

「駅メモ!」は、端末の位置登録機能を利用してゲーム内の女の子たちと一緒に旅をする、実在する鉄道駅(周辺)を巡る駅収集位置ゲーム。日本全国9100以上の駅を巡って全駅制覇を目指す、人気ゲームだ。

最新の「アワメモ!」は、ユーザーがプレイヤーとしてゲームをプレイするだけではなく、ゲームに参加することで実際の駅を盛り上げることや収入を得ることができるなどの新機能追加により、ゲーム内での行動が現実世界にも影響するゲームになっている。

「アワメモ!」には、「駅メモ!」の既存機能にユーザー自ら駅を盛り上げることができる「フェア機能」、トークン化された駅(駅トークン)を購入し、ユーザー自身が駅のオーナーになれる「ステーションオーナー機能」の2つの機能が追加されている。

新機能「ステーションオーナー機能」は、ブロックチェーン技術により発行される「駅トークン」を購入し、ゲーム内に登場する駅を自分の駅として保有可能。また「フェア機能」では、フェアマスターという新たな役割として、自分が盛り上げたい駅を選ぶことができる。フェアマスターは、ステーションオーナーに利用料を支払い、オリジナルのフェアを開催可能なほか、フェア開催によってゲームイベント運営の一部を担うことができる。

新機能「ステーションオーナー機能」「フェア機能」概要

ステーションオーナーは、フェアマスターと一緒に駅を盛り上げることで、対価として、フェアマスターが支払う利用料の一部を得ることができる。購入時価1万円の駅を保有するステーションオーナーが、フェアマスター1名(月額利用料500円)とともに駅を盛り上げた場合、その対価として年額4000円程度の収入(振込手数料を除く)が見込めるという(対価は、シミュレーション上の試算)。ちなみにステーションオーナー機能は、今後実装予定であり、実装されるまでの期間はビットファクトリーがステーションオーナーの機能を担うとしている。

なお、「駅トークン」は「ユニマ – Uniqys マーケットプレイス -」で購入でき、本人の所有物として保有が可能になっている。「駅トークン」は、全国9000駅以上の駅が対象で、2020年秋頃より順次販売予定。「駅トークン」は、購入後も返品可能であり、安心して購入できるとしている(返品の条件について、購入時に必ず詳細を確認すること)。

ビットファクトリーは、モバイルファクトリーの100%子会社。モバイルファクトリーがブロックチェーン関連事業を本格始動するにあたり、2018年7月に新たに設立した。ビットファクトリーは設立と同時に「Uniqys Project」(ユニキス プロジェクト)を発足。各方面から期待が高まるブロックチェーン技術を活用した分散型アプリケーション(DApps)の普及を目標に、DAppsを容易に開発できる環境の提供を目指すなどブロックチェーン技術の普及活動などを行ってきた。Uniqys Projectの一環としてDApps開発ツールキット「Uniqys Kit」をオープンソースソフトウェアとして公開している。

また、ビットファクトリーは新しいゲームの形である「ゲーム3.0」の実現に向けた取り組みを行ってきた。その取り組みの第1弾として、モバイルファクトリーの人気タイトル「駅メモ!」シリーズの最新作「駅メモ! Our Rails」の配信を開始する。「ゲーム3.0」では、ブロックチェーン技術を活かすことで、ゲーム内アイテムがゲームを超えた資産となるなど、既存ゲームの進化が見込めるという。同社は「駅メモ! Our Rails」を通してその可能性を実現していく。

暗号資産NEMを送金すると、レア楽曲を入手できる

東京・青山のクラブ「AOYAMA 0zero」で不定期開催されるミュージックイベント「Wa◉」は、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響を受け、8月8日開催のイベントを無観客ストリーミング配信に切替えた。8日20時より25時までオンラインにて開催を予定している。

イベントのオープニング60分を担当するDJ Takamasa Owakiがこの日、新たな試みとして暗号資産NEMによるアーティストへの募金を受け付ける活動を行う。DJ Takamasa Owakiはプレイ中のどこかにQRコードを表示する。

DJ Takamasa Owaki

リスナーはQRコードをスキャンし、暗号資産NEMを100XEM(7月24日時点では540円相当)以上送金することで、未販売楽曲「Planet Guitar(Extended Journy) – Takamasa Owaki(CactusExperience)」のダウンロードコードを入手できる。

暗号資産NEMを送金すると、レア楽曲を入手できる

ダウンロードコードはNEMブロックチェーンの持つ「0XEMの送金にも文字情報を載せる事が可能な機能」を使用し、送金への返信をする形で送られる予定になっている。提供される楽曲は14分を超える長編作品で、今後配信などで販売する計画がない、最新作とのこと。

なお、当日のストリーミング配信のプラットフォーム、アカウントは現在調整中で、最新情報は同クラブイベントの情報サイトより追って詳細が掲載される予定。今回の募金については、NEMブロックチェーンの利用により、募金をする側もされる側も共にプライバシーが守られ、またQRコードを使用することで送金アドレスのミスを防ぎ、より安全に利用することができる。
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米国の絵本作家ドクター・スースの作品がブロックチェーンを使ったコレクション用アプリに登場

ブロックチェーンゲームのCryptoKitties(クリプトキティ)からNBAまで、Dapper Labs(ダッパー・ラボ)はブロックチェーン人気を単なる金銭的な投機以上のものにする道を拓いてきたが、今度はDr. Seuss Enterprises(ドクター・スース・エンタープライズ)と組んで、新たなコレクション用アプリケーションを生み出そうとしている。

「世界中がオンラインへと進む中、消費者はお気に入りのアスリートやミュージシャン、有名キャラクターなどに一歩近づくことのできるデジタル記念グッズを発見し、収集したい欲求に駆られている」とDapper LabsのファウンダーでCEOのRoham Gharegozlou(ロハム・ガレゴズロウ)氏は声明で語った。「新しいドクター・スースのデジタルステッカーによって、我々は2つの世界のベストを融合させようとしている。ファンはまったく新しい何かを発見し触れ合うとともに、子供のころの大切な思い出を集めることができる。Dr. Seuss Enterprisesとともに、世界中のドクター・スースファンに喜びをもたらす初めてのこうした試みができることを大いに喜んでいる」。

2019年9月に、Dapper Labsは1100万ドル(約11億7000万円)の資金をAndreessen Horowitzs(アンドリーセン・ホロウィッツ)の暗号通貨ファンドをはじめAccomplice、AppWorks、Autonomous Partners、Fenbushi Digital、Warner Music Groupなどの投資家から調達した。

それ以前にも同社はUnion Square Ventures、Venrock、Digital Currency Group、Animoca Brands、SV Angel、Version One、CoinFundなど多数の投資家から資金を集めている。

ガレゴズロウ氏は、上記の投資家が評価しているのは賭けているのはDapperの開発した「Flow」と呼ばれるエンターテイメント業界向けに特化したブロックチェーンプラットフォームだ、という。

原文へ
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年7月12日~18日の情報をまとめた。

デジタル日本円の行方は? 日本における中央銀行デジタル通貨(CBDC)動向

日本銀行の「中央銀行発行デジタル通貨とは何ですか?」によると、一般には、中央銀行デジタル通貨(CBDC。Central Bank Digital Currency)とは「デジタル化されていること」「円などの法定通貨建てであること」「中央銀行の債務として発行されること」の3要素を満たすものという。簡単にいえば、デジタル日本円、デジタル米ドルなどにあたるデジタル通貨と考えて差し支えない。

国内におけるCBDCについて日本銀行は、現時点では発行は未定であるとするも中央銀行がCBDCを発行すべきかどうかは重要な検討課題であるとしている。

2017年9月6日、欧州中央銀行と共同で分散型台帳技術(DLT。Distributed Ledger Technology)に関する調査「プロジェクト・ステラ」による共同調査報告書を公表

2020年1月21日には、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)とともに、それぞれの国・地域においてCBDCの活用可能性の評価に関する知見を共有するために、グループを設立したことを報告した

また日本銀行決済機構局は2020年7月2日、「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題」と称したCBDCにおける課題についてレポートを公開した。レポートでは、CBDCが現金と同等の機能を持つためには、「誰もがいつでも何処でも、安全確実に利用できる決済手段」であることが求められることから、CBDCが多様なユーザーが利用可能になる「ユニバーサル・アクセス」と、通信・電源途絶への耐性を備えたオフライン決済機能等を備える「強靭性」という2つの特性が技術的に実現可能かどうかを検討することが重要なテーマになることを報告している。

7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(骨太方針2020)でも、短いながらCBDCの話題が登場した。「中央銀行デジタル通貨については、日本銀行において技術的な検証を狙いとした実証実験を行うなど、各国と連携しつつ検討を行う」としている。

タイ中央銀行がCBDCの実証実験を開始、実際に利用されている企業システムに統合

Facebook(フェイスブック)が支援するLibra(リブラ)プロジェクトへの懸念を皮切りに、中国のデジタル通貨/電子決済(DECP。Digital Currency/Electronic Payment。デジタル人民元)の試験運用などがすでに2020年4月には報じられており、積極的なスタンスを採っている国もある。

タイ中央銀行(BOT。Bank of Thailand)は、研究開発中のCBDCが次の段階へと進み、大手企業間の金融取引にて実証実験を開始した。この実験について、BOT副総裁のバチラ・アロムディー氏が語った説明をタイ英字メディア「The Nation」が7月16日に報じている

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BOTは6月18日、CBDCを利用した、企業向け決済システムのプロトタイプ開発プロジェクトを発表している。同プロジェクトは、実現可能性調査の実施に加えて、実際に企業で利用されているシステムにCBDCを統合するようで、バチラ氏の発言はその発表内容について公に語ったものとなっている。

また、バチラ氏は「中央銀行はCBDCの利用を一般向けに拡大することも考えているが、それには包括的な調査をする必要がある」と、課題についても述べている。CBDCが実現できれば金融取引のコストを削減できるだろうと、メリットについても言及。同氏は、中国においてはトークンの形でのデジタル通貨の公共利用は金融システムには影響を与えなかったことを引用し、付け加えている。

BOTのプロジェクトは、セメント・建設資材会社Siam Cementとそのサプライヤーの調達・財務管理システムに、プロトタイプCBDCを統合するという。プロトタイプCBDCは、企業間の資金移動の柔軟性を高め、サプライヤー間でより迅速かつ機動的な決済を実現するなど、企業にとってより高い決済効率を実現する金融イノベーションとして期待されている。同プロジェクトは年内には終了する予定で、その後、BOTはプロジェクト概要と成果を公表する予定。

また、BOTとタイの主要金融機関8社によるCBDC共同研究プロジェクト「Project Inthanon」では、ホールセール(機関投資家・公共機関等大口顧客対象の営業)CBDCを利用した国内ホールセール資金移動の研究・開発を行っている。同プロジェクトは、2019年5月より香港金融管理局(HKMA)とも共同研究を実施。越境決済のプロトタイプを開発し、タイバーツと香港ドルのリアルタイム交換および送金の実現可能性を探ってきた。2020年1月にプロトタイプの完成を報告している。バチラ氏は今回、2020年9月にはBOTと香港金融管理局との取引にCBDCを利用し始めることも明らかにしている。

マネックス証券が暗号資産CFD(差金決済取引)取扱い開始

マネックス証券は7月17日、新たに提供を開始した金融商品サービス暗号資産CFD(差金決済取引)に対応する専用アプリ「MONEX TRADER CRYPTO」のiOS版リリースしたAndroid版は公開済み)。

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同証券の暗号資産CFDは、ビットコイン(BTC)・ビットコインキャッシュ(BCH)・イーサリアム(ETH)・XRP(リップル)の4銘柄、最大2倍のレバレッジ取引が行える。専用アプリは、暗号資産CFDのストリーミング注文や指値・逆指値注文ほか、OCO、IFD、IFOなどの複合注文にも対応している。アプリは、マネックス証券に口座を開設していない場合も暗号資産の相場価格やチャートなどの機能のみ利用可能。

改正金融商品取引法(金商法)の2020年5月1日施行により、暗号資産のデリバティブ取引は金商法の「金融商品」と規定されたため、改正法施行後に暗号資産デリバティブ取引を取り扱うには、金融庁の第一種金融商品取引業ライセンスが必要となった。それに伴い、ライセンス取得済みの証券会社は、暗号資産デリバティブ取引を取り扱うことが可能となった。

マネックス証券は、7月8日より主要ネット証券では初となる暗号資産関連店頭デリバティブ取引の取り扱いを開始した

また、これまで(5月1日以前)暗号資産デリバティブ取引を行ってきた暗号資産交換業者(仮想通貨交換業者)は、第一種金融商品取引業ライセンスがなくとも「みなし金融商品取引業者」として業務を継続できるとした。また、経過措置として改正法施行日以後6ヵ月以内に金融商品取引業の登録申請を行うことで、原則1年6ヵ月間業務を継続できるとしている。ただし経過措置は既存の業務範囲に限られるため、新規の顧客を獲得するといったことはできない。

NFTマーケットプレイス「miime」で、ブロックチェーンゲーム内キャラクター・アイテムが日本円で取引・決済可能に

メタップスアルファは7月14日、ブロックチェーンゲームのキャラクターやアイテムなどNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)をの売買できるマーケットプレイス(取引所)「miime」(ミーム)において、日本円による決済機能を追加したことを発表した

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ブロックチェーンゲームにおけるデジタルアイテム(NFT)は、一般には(ゲーム会社のものではなく)プレイヤーの保有物として設計されており、プレイヤー間で自由に取引できるようになっている。

ただし取引の際、イーサリアム(ETH)など暗号資産を事前に準備しておく必要がある。暗号資産を保有していない新規ユーザーにとってこれが大きなハードルとして存在するとともに、NFT取引市場の発展における課題となっていた。

従来miimeも例外ではなく、取引にはイーサリアムを必要としていたため、その解決に取り組んできたという。

今回miimeでは、クレジットカード(VISA・マスターカード)による決済方法に加えて、グループ会社が運営する送金アプリ「pring」による決済手段を導入。暗号資産を保有していないユーザーもmiimeを介してデジタルアイテム(NFT)の取引を日本円で行えるようになった。

ちなみにNFTとは、イーサリアムのトークン規格ERC-721準拠など、代替不可能性を備えるトークンを指す。NFTは、発行するトークンそれぞれに固有の性質や希少性を持たせられるため、ゲーム内のアイテムやキャラクターをNFTとして設計することで、他と交換不可能(代替不可能)な世界にひとつしかないアイテムやキャラとして表現できる。またそもそもブロックチェーン技術を基盤としているため、NFT保有者(プレイヤー)は、所有権やその移転について、改ざん・偽造が不可能な形で透明性を保ちつつ管理できる。

miimeの場合は、ブロックチェーンと組み合わせたWebアプリケーションとして動作し、ブロックチェーン上において様々な処理を自動化する仕組み「スマートコントラクト」によりデジタルアイテムの売買成立と同時に所有権の移転を実行しているという。

現在miimeは、「My Crypto Heroes」 や「CryptoSpells」など、国内主要ブロックチェーンゲームタイトルのデジタルアイテム(NFT)を中心に、全9タイトルに対応している。今後は、コレクション要素を持ったカードアイテムや、ワイン・アートといった高付加価値商品など、非ゲーム領域におけるデジタルアイテムの売買も視野に事業展開を考えているという。

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NFTおよびNFTマーケットプレイスは、あらゆるデジタルアイテムの所有権売買の取引をユーザー間で行うことを可能にし、将来有望なブロックチェーン技術・サービスのひとつともいわれている。

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ブロックチェーンは幻滅期から脱し、2021年頃啓蒙活動期に到達か

米国に本社を置く調査会社のガートナーが独自に提唱する新技術の成熟度、採用度、社会への適用度などを示す指針ハイプ・サイクルにおいて、ブロックチェーン技術は現在「幻滅期」にある(ブロックチェーン・テクノロジのハイプ・サイクル:2019年)。幻滅期というワードは技術の衰退を感じさせる印象に聞こえるが、これは技術に対する評価ではなく、単に世間の関心が薄れつつある状況を指すものだ。

ハイプ・サイクルは、新技術に対して時間経過とともに変化する市場からの期待度を2次元の波形曲線で表す。新技術が市場に受け入れられる過程は、総じてこの曲線のような経過をたどるという。その経過は、「黎明期」「流行期」「幻滅期」「啓蒙活動期」「生産性の安定期」の5段階に分けられる。

市場に初登場した技術は、世間の関心・期待度が一気に高まる「黎明期」を経て、注目されることでメディアなどに過熱気味にもてはやされる「流行期」を迎える。しかし、技術が実用化されるまでに時間がかかることから、技術は世間の期待に応えられずに世の関心は薄れ、話題に挙がることも少なくなる「幻滅期」を迎える。ガートナーの分析では、ブロックチェーンは、今ここである。

幻滅期を迎えた技術は、その後いくつかの成功事例を示すことができた事業により市場浸透が始まり、「啓蒙活動期」に到達する。そして技術は市場に完全に認知される「生産性の安定期」をたどり、成熟した技術に至る。

ガートナーは、ブロックチェーンが幻滅期から啓蒙活動期に到達するのは2021年頃と分析している。2021年までに幻滅期を脱し始め、市場に浸透していくという。つまり、ブロックチェーン技術は今こそが市場浸透が始まる成功事例の多くが登場する機会を迎えているといえる。

そこで、ブロックチェーン技術が世に浸透していくさまをわかりやすく解説しお届けしたいという趣旨から、今週より暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから重要かつこれはという話題をピックアップし、1週間分の最新情報をまとめていきたい。ブロックチェーン技術のさらなる発展を共有していく。

コイネージが暗号資産交換業の登録を完了、マネーパートナーズの決済関連サービス動向に注目

金融庁は7月7日、「コイネージ」を資金決済法に基づく暗号資産(仮想通貨)交換業の登録業者に認定した(関東財務局長 第00021号)。これで、国内における金融庁認定の暗号資産交換業者は全24社となった。

コイネージ マネーパートナーズ

マネーパートナーズグループの完全子会社のコイネージは、暗号資産交換業登録に向けて準備を進めてきた。同グループは、すでに「マネーパートナーズ」にて暗号資産交換業の登録を受けている(関東財務局長 第00001号)。マネーパートナーズは、複数通貨対応プリペイドカード「マネパカード」との連携などによる暗号資産の決済関連サービス提供の実現に向けて取り組んでいるものの、昨今のマネーロンダリング対策強化の流れの中、マネーパートナーズの取引先である金融機関などには暗号資産の取扱いは高リスクであるとして暗号資産交換業者との取引を避ける傾向が見られた。このことから、現段階での暗号資産関連サービスの提供は、同社の暗号資産事業以外の既存サービスへの悪影響が懸念されることからサービス提供に至っていない。

そこで同グループは、子会社のコイネージが暗号資産交換業の登録を予定通り完了できたあかつきには、コイネージが暗号資産取引所を、マネーパートナーズが決済関連サービスを担う計画を公表していた。暗号資産は投資・投機的なものとして見られがちだが、新規暗号資産交換業者が増えることで、決済関連サービスをはじめ暗号資産に関し新たな展開が生まれる可能性は高まるだろう。

デジタル通貨やブロックチェーン技術の生命保険業への応用可能性を検証、インシュアテック(InsurTech)の実証実験

暗号資産取引所「DeCurret」を運営するディーカレットは7日、T&D保険グループの大同生命保険(以下、大同生命)と協働でデジタル通貨に関する実証実験を開始を発表した

大同生命は、ディーカレットが構築する「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」を用いて自社ブランドデジタル通貨を発行し、実証実験参加者(大同生命役職員、100名程度)に限定した仮想経済圏を構築する。実験参加者はスマートフォンアプリでデジタル通貨を保有し、物品購入や、送金・決済など取引に伴う様々な処理を自動化する仕組み「スマートコントラクト」を応用した自動積立などを行う。実験では、デジタル通貨やブロックチェーン技術の生命保険業への応用可能性を検証していく。

ディーカレット 大同生命保険 インシュアテック InsurTech

具体的には、物品購入や、日々の歩数など健康活動の成果に基づく自動積立のほか、募金とりまとめ者による集金など社会貢献活動にも活用するという。発行するデジタル通貨の有効期間は、2020年7月から8月の約2ヵ月間としている。

まだ実証実験段階ではあるものの、「保険分野におけるFinTech」と定義される保険(Insurance)×テクノロジー「インシュアテック(InsurTech)」分野の実証が行われることになり、より実用面における課題の解決が見込まれる。

日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)がステーブルコイン部会を発足し、法的分類や論点の共有、検討課題を議論

一般社団法人「日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」は7月8日、同協会内にてステーブルコイン部会を発足した。同部会は、暗号資産交換業者、金融機関、ブロックチェーン事業者、ウォレット業者といった暗号資産関連ビジネス業者、弁護士法人、税理士法人、監査法人など39社の会員企業が参加し、ステーブルコインの法的分類や論点の共有、検討すべき課題について議論を行った。

ステーブルコインは、日本円や米ドルなど法定通貨の価値にペッグ(連動)する暗号資産の一種。その技術的背景や、裏付けとなる資産に連動し価格が安定しているといった特徴があり、デジタル決済手段として利用される可能性を備えている。しかし、その定義は明確になっておらず、国内において取り扱いが難しいとされている。

そこで同部会は、ステーブルコインの法的整理や資産性の判断といった業務的観点、価格安定のメカニズムに対する信頼の観点、利用者保護、AML/CFT(マネーロンダリング/テロ資金供与対策)といった様々な観点から議論を進め、暗号資産関連事業者のビジネス環境整備を図る。

JCBAは、銀行・証券会社・金融商品取引業者が日本国内において暗号資産ビジネスを開始するにあたり、テクノロジー・会計・レギュレーション(規制)・商慣行などの面から、必要な情報の調査・研究、知見の集約、意見交換を積極的に行うなど、業界の健全な発展を目指すために設立された業界団体である。業界団体による新部会の発足は、取り扱いが難しいステーブルコインの実用化への兆しが見えてきたといえるのではないだろうか。

ネットラーニングがデジタル修了証明書「オープンバッジ」発行開始

eラーニング業界大手のネットラーニングは7月9日、同社提供のeラーニングコースの受講者向けに、デジタル修了証明書「オープンバッジ(Open Badge)」の発行サービスを開始した

なおネットラーニングは2020年5月、同社提供のLMS(ラーニング・マネージメント・システム)が、世界で初めてオープンバッジの全機能を装備するLMSとしてIMS Globalが規定・認定するバッジの発行資格を取得している

ネットラーニング デジタル修了証明書 オープンバッジ

オープンバッジ例

オープンバッジは、2020年7月現在22ヵ国約570組織が加盟するIMS Global Learning Consortium(IMS Global)が定める国際技術標準規格。ブロックチェーン技術を応用し、改ざんや偽造を不可能とし、信頼性が高く、インターネット上でいつでもその内容を証明できるデジタル修了証明となっている。

オープンバッジ規格の技術的な仕様などについてはGitHub上で管理されているほか、運用のためのBadgrサーバーは、GNU Affero General Public License v3.0(AGPL)のもとオープンソースソフトウェアとして公開されている。

元々は、米慈善基金団体マッカーサー基金の支援のもと、Mozilla Foundationが「Mozilla Open Badges」として2011年に発表2012年公開していたもので、2016年10月にIMS Globalに移管された

オープンバッジには、学習者が取得した資格や修了証明書とその発行機関情報、受講コースやプログラム名、学習者氏名などの情報がブロックチェーンにより記録される。SNSでの共有やメールでの送信が行え、取得資格や学習内容をグローバルな環境で見える化させることが可能になる。また、企業など採用側はSNSなどインターネット上で資格取得者を見つけ出すなど、雇用流通市場にも大きな影響をもたらす利用方法が考えられる。

ネットラーニングは、ネットラーニング情報技術シリーズ「C言語プログラミング」「Eclipseで学ぶ!実務 C言語プログラミング」「【Java SE 8 対応】 Java プログラミング」「Python プログラミング」など9コースでオープンバッジを発行する。これにより、受講者の自律的・自発的な学習を促進し、90%の修了率を誇るネットラーニングの講座修了率をさらに押し上げる狙いだ。

ネットラーニング デジタル修了証明書 オープンバッジ

オープンバッジ受領者画面:バッジを貯められるオープンバッジウォレット

 

シンガポール金融管理局のブロックチェーン構想「Project Ubin」が商業化に向けて始動

シンガポール金融管理局(MAS)と国営投資会社のTemasek(テマセック)は米国時間7月13日、ブロックチェーンを基盤とするマルチカレンシー決済ネットワークであるのProject Ubinが40社以上の企業とのテストを経て、商業運用が可能であることを証明したと発表した(Monetary Authority of Singaporeリリース)。

この取り組みは2016年に始まり(The Business Times記事)、TemasekとJ.P.Morgan(J.P.モルガン)によって開発されたプロトタイプのシステムは、商用ブロックチェーンアプリケーションとの統合性を確認するために2019年からテストを受け付けていた。

MASとTemasekの委託を受けて本日発表されたレポート(Monetary Authority of Singaporeリリース)によると、Project Ubinのプロトタイプは40社以上の金融・非金融企業とのワークショップを通じて検証されたという。潜在的な用途には迅速かつ低コストなクロスボーダー取引、外貨両替、エスクローや貿易のためのスマートコントラクトなどが含まれている。

報告書によればProject Ubinのプロトタイプは、中央銀行や他の金融機関と国境を越えたより良い決済ネットワークを構築するために、より多くの連携を可能にする道を開く可能性があると述べている。

TemasekのChia Song Hwee(チア・ソン・フウィー)副CEOは声明で「これはデジタルアイデンティティ、デジタル通貨、金融資産トークン化に焦点を当てたブロックチェーンのソリューションでの探索と構築におけるTemasekの努力を証明するのだ。我々はブロックチェーン技術のさらなる普及を促進する観点から、Project Ubin及び他の応用分野から生じる商業化の取り組みをサポートすることを期待している」と述べている。

原文へ
(翻訳:塚本直樹 Twitter

ブロックチェーンサービスのGaudiyとマンガアプリのコミックスマートがイーサリアム基盤の電子書籍事業を推進

Gaudiy コミックスマート ブロックチェーン イーサリアム 電子書籍

ブロックチェーンスタートアップのGaudiy(ガウディ)、およびマンガアプリ「GANMA!」(ガンマ)を手がけるコミックスマートは7月14日、業務提携を発表した。ブロックチェーン・プラットフォーム「イーサリアム」(Ethereum)と暗号技術を利用した、新たな電子書籍事業を共同推進すると明らかにした。今夏をめどに一般ユーザー向けに実証実験の開始を予定。

現在市場で流通している電子書籍では、書籍データを「所有する権利」ではなく、「読む権利」を購入する仕組みが主流。書籍データは、不正コピー防止のため、DRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)によって閲覧やコピーなどが制限・管理されており、このDRMは電子書籍を提供する事業者ごとに独自仕様が採用されている。

またこれにより読者(ユーザー)は、事業者指定の端末やビューアー上でのみ閲覧が可能で、書籍データの自由な移動や中古売買が行えない。さらに事業者の都合によりサービス提供が終了した場合は閲覧できなくなる。

これを受けGaudiyとコミックスマートは、電子書籍データの不正コピーを防止しつつ「所有」を実現するため、パブリック・ブロックチェーンであるイーサリアムを技術基盤として活用し、書籍自体の所有権を読者が持てる、自律分散型の流通システムを構築・提供を推進する。

読者は、自ら電子書籍の所有権を管理可能となり、販売者・プラットフォーマーの影響を受けることなく、世界中のマーケットで自由に売買できる。また、個別端末へデータをダウンロードする際に、購入した読者が保有する(公開鍵暗号方式の)秘密鍵で暗号化を行うことで、「データの所有」と「不正コピーの防止」を同時に実現する仕組みを実現する。

今回の「パブリック・ブロックチェーンを活用して所有権の提供」と「書籍データを暗号化した上で各自が所有できる形式」を両立する電子書籍の実現は、世界初の試みとうたっている。さらに電子書籍が二次流通市場で売買された場合でも、作者・出版社など権利保有者に適正な収益が還元される仕組みも実現するという。

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同時に今回の「データ所有型電子書籍」では、「読むこと」を超えた新たな電子書籍体験の実現にも取り組んでいく。ブロックチェーン技術のNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)を利用し、唯一無二の形で個々の書籍を発行することで、「電子書籍内のコンテンツにのみ作者のサインを入れる」、「初版購入者限定の書籍を販売」、「本編内容の販売後に、追加・変更」など、新たな体験を実現するという。

Gaudiy コミックスマート ブロックチェーン イーサリアム 電子書籍

Gaudiyとコミックスマートのデータ所有型電子書籍は、いわばシリアルナンバー入り書籍のようなイメージ。紙の書籍同様に読者自身が管理可能な一方、作者・出版社側が著作者サイン入り、初版限定バージョン、本編公開後の追加コンテンツなどが可能となることを目指している。

NFTとは、イーサリアムのトークン規格ERC-721準拠など、代替不可能性を備えるトークンを指す。代替不可能性とは、例えばゲームにおける「魔王を倒せる宝石」など、他と代替不可能な独自の特徴を備えるデジタルデータを指す。ノン ファンジブルという概念も存在し、これはゲーム内に存在する一般的な宝石など代替可能なデジタルデータを意味している。

Gaudiyは、ブロックチェーンを中心としたデジタル技術を活用し、エンターテインメント業界で「新たなユーザー体験の創出」と「ビジネスモデルの構築」を目指すスタートアップ企業。漫画やゲーム、アイドルなどの大手エンタメコンテンツ企業を中心にブロックチェーン技術を活用したDX事業やアプリケーション開発を国内外で推進している。

コミックスマートは、「マンガ家の職業価値を向上させ、子供たちの憧れの職業にする」ことをミッションとする、セプテーニ・ホールディングスの連結子会社。インターネット発の優れたマンガ作品作りを目指し、マンガ家の育成・支援およびGANMA!を運営。アプリは累計1400万ダウンロードを突破し、220品以上のオリジナルマンガを掲載している。

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ブロックチェーンハブが日本橋インキュベーションセンターへの入居希望スタートアップを募集

ブロックチェーンハブ

ブロックチェーンハブは7月2日、同社併設のインキュベーションセンター(東京都中央区日本橋本町)の機能・体制を強化を発表した。同社出資スタートアップはじめ、すでに創業したシード・アーリー期スタートアップの受け入れ・成長支援も行う。

申し込みの際は、ブロックチェーンハブのサイト上にあるコンタクトフォーム、もしくは同ページにあるメールアドレス宛てに問い合わせること。施設見学後、利用申し込みおよび審査を経て、入居可能となる。

利用対象者は、スタートアップ(主にシード・アーリー期を想定)および起業準備中の者、フリーランス・個人事業主。対象事業領域は、ブロックチェーン関連技術を活用したビジネス領域、ブロックチェーン関連技術との親和性の高いビジネス領域。

また利用条件は以下のとおり。この他詳細な条件は、面談時に照会すること。

  • 固定席の場合: 月額基本料金税別3万円(1名あたり)
  • 自由席の場合: 月額基本料金税別2万円(1名あたり)
  • ロッカー・会議室・イベントスペースなどの利用料金は別途申し込み

ブロックチェーンハブは、ブロックチェーンを活用した新事業の創造をミッションとして2016年1月に創業。2017年2月に日本初のブロックチェーン専門の創業支援拠点を設置し、2019年10月には客員起業家制度(EIR)を導入。これまで10社・団体が同社創業支援プログラムのもと創業、同社インキュベーションセンターに入居している。

同社は、創業出資先含め、より広い起業家層に、良き支援者・切磋琢磨する仲間・協業可能性のある企業との交流を目的とした物理的な「場」を提供するべく、利用者の募集を拡大するという。

みんな電力がブロックチェーン電力取引とトレーサビリティで特許取得、現在はIBMのStellarを採用

みんな電力

電気生産者や空気の「顔の見える化」プラットフォームを提供するみんな電力は7月2日、ブロックチェーン電力取引およびトレーサビリティシステムに関する特許に関する発表を行った。3件の申請のうち2件の特許権を取得。残る1件については特許審査を終了し、設定登録待ちとしている。

取得した特許は、「特許第6630425号 電力取引履歴生成システム」「特許第6675717号 電力取引履歴生成システム」。出願中のもの(特許審査終了・設定登録待ち)は「特願 2020-1771 電力取引支援システム」。

保有知的財産は、現在以下のとおり。需要家とは、電気供給サービスを受け使用している者を指す。またPPAは、Power Purchase Agreementの略称。発電事業者と、電気を利用者に売る小売電気事業者との間で結ぶ電力販売契約(電力購入契約とも訳される)のこと。

  • 電源・需要家間の電力取引をブロックチェーントークンのウォレット間移動にて記録する方法
  • 複数の電源からの電力を複数の需要家に分配する方法
  • 需要家が特定の発電所から購入した電力に応じてプレミアムを支払う方法
  • 電源と需要家との直接電力売買を可能とするPPAの実現方法

みんな電力は2018年、ブロックチェーンを活用した電力取引・トレーサビリティシステムを業界に先駆け商用化。インターネット上で広く公開されているパブリックチェーン(型のブロックチェーン)を重視するとともに、同社事業内容に合わせ、適宜利用するブロックチェーンの変更なども行っているそうだ。当初日本でも知名度の高いNEM(ネム)を利用していたものの、IBMが2018年に国際送金プロジェクトIBM Blockchain World Wireでの利用を発表したStellar(ステラ)を現在採用。今後も適切なブロックチェーンを選択・採用する方針という。

みんな電力は、今後も知的財産ポートフォリオを強化することで、再生可能エネルギーを直接取引するオープンプラットフォームの構築を推進。事業に利用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す「RE100」企業などに、再生可能エネルギー電力を直接発電所から購入できる「ENECT RE100」プランなどを提供してきた。

今後も低コスト化、高速化、高機能化に向けた開発を継続することで、需要家、発電事業者、小売電気事業者など幅広いユーザーに利用されることを目指し、分散型電源主体の新たなレネルギー利用拡大に貢献するとしている。

関連記事:野菜のように、顔の見える生産者から電気を買う「みんな電力」が11.8億円調達

OSS開発者を暗号資産で支援するフレームダブルオーがインフルエンサーマーケティングのFISMと地域活性化推進

FRAME00 FISM

フレームダブルオー(FRAME00)は7月1日、インフルエンサーマーケティングのFISMとの業務提携開始を発表した。

今回の提携によりFISMは、フレームダブルオーのDev(Devプロトコル)初の公式アプリケーションパートナーとして参画。FISMが開発・提供するインフルエンサーマーケティングのプラットフォーム「SPAD」(スペード)と連携し、研究開発を推進する。

今回の協業により、SPADとDevを連携するDApp(ブロックチェーンアプリ)を共同開発する。同DAppでは、地域事業者が扱う商品・サービスを資産としてトークン化し、ステーキングを通じて同地域の商品・サービスが受けられるといった、経済が循環する持続可能な仕組みの構築を目指す。アフター・コロナにおける大量生産・大量消費の対極で発展する新しい経済システムの創造を推進するという。

フレームダブルオーは、クリエイターを暗号資産で支援するプロジェクト「Dev」を展開(ホワイトペーパーはこちら)。クリエイターは、自分のプロダクトやサービスを登録しておくと、同社独自暗号資産「Dev」(暗号資産イーサリアムのERC-20規格準拠トークン)を入手数・利用数などに応じ報酬として獲得できる(クリエイターの活動成果を、暗号資産のマイニング・新規発行に見立てている)。またユーザーは、登録済みプロダクトを入手したり、Devを売買することでクリエイターをDevで支援できる。

FISMは、価値観やライフスタイルの多様化を前提に、趣味や嗜好性、哲学などの精神的距離をベースとしたコミュニティの在り方を探究。これまで国内外に広がる独自のインフルエンサーネットワーク(主に日本、中国、台湾、香港、東南アジア)に加え、同社SPADによるデータ解析技術を強みとしてきた。

SPADでは、情報発信者(インフルエンサー)、情報受信者(フォロワー)それぞれの属性をプロファイリングし、テキストマイニング、画像解析、ネットワーク分析などのデータ解析技術を用いて、インフルエンサーマーケティングの最適化を推進。現在、SPADアプリには1万人超のインフルエンサーが登録しており、これまでに300社を超える企業に活用されているという。

今回の協業におけるステーキングとは、ブロックチェーンにおけるガバナンス手法およびマイニング手法のひとつ。一般的には、自分が保有している暗号資産を任意のサービス・個人・組織などに預ける体裁で、その運営・管理を委任するという仕組みとなっている。またユーザーは、預け入れた見返りとして利子・配当などの報酬を得られる。

さらにステーキングは、暗号資産を一定期間「ロック」する状態にすぎず、ユーザーにとっては、自分の暗号資産をクリエーター側などに支払っているわけではない点も特徴だ。

フレームダブルオーは、この点が従来の寄付と異なっており、ユーザーが自分のための利益を得る資産運用の一種として、クリエイターを支援できるものとしている。

また同社は、オープンソースソフトウェア(OSS)を資産として見立て、OSS開発者支援およびステーキングによる収益化を図れる「Stakes.social」サービスをすでに開発している。

関連記事:オープンソース開発者を暗号資産で支援するフレームダブルオーが資金調達

無届暗号通貨が認められなかったTelegramはSECに罰金を払い投資家に全額を返金する

Pavel Durov(パベル・デュロフ)氏がメッセージングサービスのTelegramに投じた暗号通貨に対する壮大な夢は、米証券取引委員会(SEC)との1850万ドル(約20億円)の行政的和解で終わり、投資家たちがデジタルトークンTONに投資した12億ドル(約1290億円)を返却することになった。

この和解は、同社と規制当局との間の数カ月に及ぶ法的闘争を終わらせる。2019年10月にSECはTelegramに対して不服を申し立て、同社が29億Gramを売って資本を調達しその事業に投資した、と主張した。SECはTelegramが売っていたGramは有価証券であるとし、同社によるその配布を禁じようとした。2020年3月に、ニューヨーク南地区担当合衆国地裁はSECと合意し、仮差し止め命令を発行した。2020年5月にTelegramはTONの事業を閉鎖すると発表した(未訳記事)。

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閉鎖の発表でデュロフ氏は次のように述べている。

結びの言葉として私は、全世界の権力や富の分散と均衡と平等性を追究したみなさんの幸運をお祈りしたい。みなさんは正しい戦いを戦った。この戦いは、我々の世代の最も重要な戦いといっても過言ではない。私たちが失敗したところから、みなさんが再び立ち上がり成功されることを望む。

SECは和解に関する独自の声明で、デュロフ氏のこのような自己評価に反論している。

SEC執行部サイバーユニットのチーフであるKristina Littman(クリスティーナ・リットマン)氏は、次のように声明している。「新しい革新的な事業が私たちの資本市場に参加することは歓迎するが、国の証券関連法の登記要件に違反してそれを行うことはできない。この和解によりTelegramは、投資家に資金を返却し、正当な罰を科せられ、将来のデジタル提供物に関しては事前の通知を要する」。

規制当局の主張は、Telegramがルールを守らなかったということだ。いかなる監視も監督もない状態でトークンの提供を立ち上げるのではなく、規制当局と協力していたら結果は違っていただろうとSECは言っている。

SECニューヨーク支部の支部長のLara Shalov Mehraban(ララ・シャロフ・メーラバン)氏は「私達の緊急活動により、未登録の提供物としてプロジェクトに関する完全な開示がない状態で売られる証券で、Telegramが市場を洪水状態にすることから個人投資家を保護できた。私たちが達成した治癒効果は投資家たちに大きな安堵を与え、Telegramによる将来の不法な提供物から個人投資家たちを保護した」と述べている。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa