警視庁の協力のもと「指名⼿配被疑者」過去写真から現在の姿をAI予測するプロジェクト開始

警視庁の協力のもと「指名⼿配被疑者」の写真から今の姿をAIで予測するプロジェクト開始

ヤフー(Yahoo! JAPAN)・電通デジタル・パーティー(PARTY)の3社は9月30日、警察庁から写真や情報提供などの協⼒を得たうえで、AI(画像解析・⽣成技術)を⽤いて指名⼿配被疑者の現在の姿を予測するプロジェクト「TEHAI」を始動し、情報提供を呼びかける特設サイトを公開すると発表した。警視庁による指名⼿配被疑者捜査強化⽉間の11⽉実施に伴い、指名⼿配被疑者の情報提供の促進を⽬的とするもの。実施期間は12⽉31⽇まで。

TEHAIは、AI(画像解析・⽣成技術)を⽤いて指名⼿配被疑者の過去の写真から現在の姿を予測するプロジェクト。今回は、約630名(2020年8⽉末⽇時点)の指名⼿配被疑者の中で、警察庁指定重要指名⼿配被疑者12名のうち5名の現在の姿をAIによって予測している。

同プロジェクトは、指名⼿配被疑者の存在を広く認知してもらい、情報提供により指名⼿配被疑者の検挙の可能性を⾼めることを⽬指す。

またTEHAIサイトでは、5名の指名⼿配被疑者の予測イメージを公開。被疑者の顔をクリックすると、AI によるシミュレーションと体型変化を加味し、被疑者1⼈につき9パターンの予測イメージを閲覧できる。

5名いずれも検挙に結びつく有⼒な情報を提供した⽅に対し報奨⾦が⽤意されており、⼼当たりがある際にはすぐに情報提供ボタンから連絡できる仕組みを採用している。またYahoo! JAPANでは、同社広告枠を通じて同サイトの認知拡⼤を⽬指すとしている。

今回は、AI(画像解析・⽣成技術)を使って、⼤量の顔写真データから加齢に応じた特徴(シワの⼊り具合、⽪膚のたるみ⽅など)を抽出し、過去撮影された被疑者の顔写真にその特徴を適⽤することで現在の姿を予測した(TEHAIによる⽣成画像は、AIが予測する加齢変化の特徴を捉えた予測イメージ画像となり、実際の姿を保証するものではない)。

加齢変化を得意とするAI、⽼化前後のペア画像から特徴を抽出して変換するAIなど、AIが備える特徴から複数のAIを採⽤し、被疑者1⼈あたり9パターンを公開することで、予測の幅を設けた。いずれも数万枚の顔写真データセットから数万回の学習を実施し、⼗分な検証を⾏っている。また、実際の被疑者での⽣成を⾏う前に、実在する⼈物の若い頃の写真を元に⽣成した写真と、その⼈物の現代の写真を⽐較することで「AI による⽼化加⼯」の確からしさを検証している。

東大・松尾研発のAIスタートアップACESと陸上自衛隊がAI技術活用の助言について合意

東大・松尾研発のAIスタートアップACESと陸上自衛隊がAI技術活用の助言について合意

画像・映像認識AIアルゴリズムの力でリアル産業のDXを目指す東大松尾研発のAIスタートアップであるACES(エーシーズ)と、防衛省陸上幕僚監部人事教育部人事教育計画課は9月29日、ACESが陸上自衛隊の各種分野におけるAI技術活用について助言を行うことで合意したと発表した。

この合意に基づき、ディープラーニングの基礎研究に関係する分野において、AIに関する技術的な知見を講話などを通じて提供し、陸上自衛隊のAI活用を推進する。ACESは引き続き人事領域などにおいてAIを活用し、ヒトの働き方をデジタルの力で自動化・効率化することで、誰もが生き生きと生きられる社会を実現するとしている。

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人間味のあるロボアドバイザーを運営するシンガポールのSyfeが1860万ドルを調達、Valar Venturesが主導

シンガポールを拠点とし、アジアにおける投資をより身近にすることを目指すスタートアップのSyfeは今日、フィンテックに特化した投資会社Valar Venturesが主導するシリーズAを2520万シンガポールドル(約19億6000万円)でクローズしたと発表した。

今回のラウンドにはPresight Capitalの他、Syfeが昨年実施したシード資金調達ラウンドをリードしたUnboundも再び参加した。

2017年にCEOのDhruv Arora(ドルブ・アローラ)氏が設立したSyfeは、2019年7月に事業を開始した。RobinhoodやAcorns、Stashといった「ロボアドバイザー」たちと同じく、Syfeが目指すのは投資にもっとアクセスしやすくすることだ。投資を始める際の最低預入残高は必要なく、その手数料体系はすべての費用込みで年あたり0.4%から0.65%である。

Syfeは23か国で顧客サービスを提供するが、現在はシンガポールでのみ精力的なマーケティング活動を行っている。シンガポールにおいて同社はシンガポール金融庁の認可を受けている。新規調達資金の一部は、新たにアジアの国々へ進出するための投資に充てられる見通しだ。Syfeは正確なユーザー数を公表していないが、今年の初めから顧客数と預かり資産が10倍に増加しており、新規顧客のほぼ半分が既存ユーザーからの紹介で運用を開始したと述べている。

Valar Venturesのポートフォリオに含まれるその他の企業には、TransferWise、Xero、そしてデジタル銀行のN26がある。創業パートナーのAndrew McCormack(アンドリュー・マコーマック)氏は、Syfeに関する声明の中で「資産の拡大を目指す富裕層が急増しているアジア地域が持つ可能性と、チームの経歴と力強い牽引力が相まって、揺るぎない絶好の機会をSyfeにもたらしています」と述べている。

Syfeを起業する前、アローラ氏は香港のUBS Investment Bankで投資銀行業務に従事していた。後にインド最大のオンライン食料雑貨デリバリーサービス会社のひとつであるGrofersの副社長になる。UBS時代、アローラ氏は上場投資信託(ETF)を担当していた。

「銀行の顧客である多くの機関投資家と一部の超富裕層がETFを運用している様子を見ることができました。この商品は個人にとっても、すばらしいツールだと考えたのです。しかし、ETFの活用方法が実はそれほど良く知られていないということがわかりました」とアローラ氏はTechCrunchに語る。

アジアの多くの国々では資金を銀行に預金するか不動産に投資するほうが好まれる。とはいえ、預金利率と不動産価格は停滞し、消費者は投資を行うための別の方法を探しているところだ。Syfeは現在3種類の投資商品を提供している。1番目は株式、債券、ETFを組み合わせた国際分散ポートフォリオで、投資家が選んだリスクレベルに応じて自動的に資産運用されるものだ。2番目はシンガポール証券取引所のiEdge S-REIT Leaders Indexに基づくREITポートフォリオである。最後は全世界の1500社以上の株式を含むETFで構成されるSyfeのEquity100ポートフォリオだ。

この他のアジアに焦点を合わせた「ロボアドバイザー」サービスにはStashawayとKristal.aiがあり、Grab Financialも最近「マイクロインベストメント」商品を発表した。アローラ氏は今後、この分野への参入者が増える可能性があることを認識している。ただし現時点でのSyfeの主な競争相手は、それでも銀行に預けるのが一番、という考え方だと同氏は言及する。カスタマー教育もSyfeの業務の一部だ。「お金を銀行に預けるというのは、私自身も含めて多くの人の心に、文化的にしっかりと根付いていることだからです」というのがその理由だ。

Syfeでは財務アドバイザーのチームを編成して差別化を図っている。アドバイザーにはゴールドマンサックス、 Citibank、モルガンスタンレーの出身者がおり、ユーザーの相談を受けている。アローラ氏によれば、Syfeのユーザーのほとんどがプラットフォームへの加入時にアドバイザーと面談し、そのうち20%がこのサービスを継続的に利用している。投資にはクレジットカードを使うべきかという質問もあった。これについては、アローラ氏によれば金利が高いため止めるようアドバイザーが説得するという。

「当社はもちろんテックファーストのプラットフォームを目指していますが、そこには価値観というものが存在することを理解しています。50代や60代のお客様に対応するときは特にそうです。そういった皆さんはテクノロジーに適応している最中なのです。そこに人がいて、資産を運用してくれるということが分かる必要があるのです」と同氏は言う。

Syfeの平均的なユーザーは30才から45才だが、増加しているグループのひとつが退職に向けて、あるいは年金生活を補うために資産作りに意欲的な50代の人々である。ユーザーは大体、初回の投資を1万シンガポールドル(約76万7000円)で開始する。5人のユーザーのうち4人が定期的にこの残高に追加している。

一部のユーザーは投資連動型保険などの別の投資商品を試したことがあるが、多くの人にとって株式、債券、ETFに投資するのはSyfeが初めての経験だとアローラ氏は述べる。

「そこそこの人数のお客様が、それぞれの分野のプロフェッショナルで非常に裕福であり、30代後半で、多額の財産を築き上げたものの投資の機会がなかったか、投資の方法について適切なアドバイスを受けてこなかったことがわかりました。これは私たちには最大の新事実で、当社のプラットフォームに人間味を持たせるべきだと考えるきっかけになったのです」とアローラ氏は語る。

同社のプラットフォームは、投資チームとアルゴリズムの組み合わせで資産を運用する。このことが人間のバイアスを回避するのに役立つとアローラ氏は言う。Syfeのアルゴリズムは、グロース株かバリュー株か、株のマーケットキャップ、ボラティリティ、セクターのモメンタムを織り込んでいる。リスクのバランスを取るべく、個々の資産が同じポートフォリオの他の資産とどのように相関するかも分析する。

アローラ氏によれば、Syfeは現在いくつかの国の規制当局と協議を進めており、来年末までに少なくとも2か国の新しい市場に参入する見通しだ。また、チームの規模を倍に拡大し、さらなる消費者向け財務商品を開発する計画もある。

COVID-19の流行期間中、アローラ氏によればSyfeのポートフォリオはS&Pなどのインデックスに比べ大幅な下落局面が少なく、解約したユーザーはわずかだったという。むしろ、投資金額を増やしたユーザーも多かった。

「皆さんがファイナンスと将来について考え直し始めていると感じます」と同氏は述べ、さらに「世界中で銀行が金利を下げています。シンガポールもそうです。多くの人々が別の選択肢を検討し始めています」と語った。

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カテゴリー:人工知能・AI

タグ:ロボアドバイザー 投資 シンガポール

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(翻訳:Dragonfly)

マーケティングプラットフォームの変革を追求するMailchimpが、新しいAIツールをローンチ

Mailchimpは、使いやすいメールマガジン作成ツールを提供することからスタートした。それはほぼ20年前に遡る。同社は今でもメールマーケティングを手掛けているが、現在中核をなしているのは中小企業向けのマーケティング自動化プラットフォームであり、ウェブサイトビルダー、基本的なオンラインストア、デジタル広告サポート、およびそれらを把握するための分析サポートを提供している。フィールドは違っていても、同社の主要な目標はこれまでと変わらず、こうした機能すべてを中小企業ユーザーにとって活用しやすいものにすることだ。

外部からの資金調達を一度も行うことなく、Mailchimpは本日、AIベースのツールセットをローンチし、大企業が現在使用しているものと同じような機能を中小企業が簡単に利用できるサービスを担う新たな一歩を踏み出した。具体的には、買い物客向けにパーソナライズされた商品レコメンデーションや、どのユーザーが何を購入する可能性が最も高いかを判断する行動ターゲティングのための予測ツールの提供などが含まれる。さらに、ビジネスオーナーによるビジュアルアセット設計をサポートするAIベースの新しいツール(Sawaの買収に一部基づく)や、より効果的なメールのサブジェクトライン作成を支援するツール、

また、企業が次善の策を選択するための新しいツールもある。サービスにより収集されるすべてのデータを解析し、メールキャンペーンのパフォーマンスを改善するための実践的な推奨事項をユーザーに提供する。

Image Credits: Mailchimp

「この取り組みは4年ほど前に始まりました」と、Mailchimpの創設者であり、CEOのBen Chestnut(ベン・チェストナット)氏は語る。「私たちは高みへの成長を続けていました。メールマーケティングは当社にとって魅力的なビジネスであり、順調に進んでいました。そうしたなか、事業を売却して多大な利益を得る選択肢が巡ってきました。いくつかのオファーがあったのです。もちろん、それを受けることも考えました。メールマーケティングビジネスの成功者としておさまり、シンプルに収益を確保していくのか。あるいは、あらたな挑戦に向かうことで、Mailchimpの第2幕を切り拓くことができるだろうか。正直なところ、どうなるかはわかりませんでした。4年前のことになりますが、あらゆる可能性が渦巻いていました」。

しかし、当時データアナリティクスの責任者で現在はCPOを務めるJohn Foreman(ジョン・フォアマン)氏を含めたチームとの話し合いの結果、チェストナット氏は、マーケティング自動化分野を追求する新たな道を歩むことを選択した。その理由の一つは、メールマーケティング領域の競合が激しくなってきたことにあると同氏は説明する。「結果は見えています。つまり、これほど多くの競合と永続的に向き合うわけにはいきません。もっと技術や能力を高めなければならないと認識したのです」。

それは、メール関連のサービスを超えて、多様な新製品を創出することを意味した。

Image Credits: Mailchimp

「私たちにとって大きな変革でした」とチェストナット氏は語る。「eコマースをはじめ多様な顧客セグメントに向けた構築を整備する必要があり、そうしたことも当社にとって新しい取り組みでした。あらゆる種類の新規分野を追求することになりました。このような変革を従業員に促すことは、本当に大変なことです。社員が喜んで一緒にこの旅路を歩んでくれたことに、心から感謝しています。彼らは私を信頼してくれました。この秋のリリースは、私たちが4年間取り組んできたことの集大成です」。

助けとなったのは、Mailchimpがすでにeコマースの顧客を有していたことだった。彼らはシステムを限界まで推し進めてくれたとチェストナット氏は指摘する。ほんの数年前までは、Mailchimpの企業文化は彼らを少々厄介な存在と見なしていた。非常に要求の厳しい顧客だったと同氏は振り返る。大きな利益をもたらす存在でもなかった。当時、Mailchimpの最大の顧客は非営利機関であったが、彼らはテクノロジーを高度に追求することはなかった。

こうした変革にもかかわらず、Mailchimpはプロセスを加速するための買収はあまり行っていない。同社が行っていることの多く(ダイレクトメールの追加など)は、同社がすでに得意としていたことの延長線上にあるものだとチェストナット氏は主張する。一方で、社内に適切な専門知識を配するためにAIとMLの小規模の買収を行い、さらにLemonStandを含むeコマースを2社獲得している。直近では、英国の雑誌、ニュースレター、ポッドキャストを提供するCourierを買収し、出版業界への参入を開始した。

Mailchimpは、この新しいプロダクトとサービスによって、大手のeコマース企業が長い間有していたものと同等の機能を、複雑さを伴わずに中小企業が利用できるようにしようとしている。

機械学習に基づくツールを構築するにはデータが必要だが、それはMailchimpがすでに持っているものだ。

「私たちは何十年もマーケティングに携わってきました」とCPOのフォアマン氏は説明する。「当社のプラットフォーム上には何百万もの中小企業が存在します。ツールを構築し、ビジュアル設計の観点からそれらを統合する(必ずしも買収ではありません)だけに留まりません。何百万もの企業、何十億もの顧客を対象にした長年にわたるマーケティングビジネスで蓄積してきた共通のデータセットを有していますので、人工知能や機械学習などのインテリジェンスをどのように使用して、ツールをどのように連携させるかを検討しました」。

チェストナット氏は、しばらくは会社を同様の変革に導くことはないだろうと語る。「10年に1度しか大きな変化を起こせないと信じています」と同氏は続ける。「ですから、適切な選択をした上で投資するべきです。当社は、eコマースを可能にしたこのオールインワンのマーケティングプラットフォームに全社をあげて注力しています。それは無比の取り組みといえるでしょう。私が会社に求めるのは、徹底的に追求していくことです」。

関連記事:MailchimpがSquareと提携してユーザーのランディングページにeコマース機能を導入

カテゴリー:人工知能・AI

タグ:Mailchimp

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(翻訳:Dragonfly)

自動目視検査など製造業にAI外観検査システムを提供するMENOUが8000万円を調達

自動目視検査など製造業にAI外観検査システムを提供するMENOUが8000万円を調達

自動目視検査システムの提供など、ディープラーニング技術を製造現場に適用するMENOU(メノウ)は9月28日、約8000万円の資金調達を発表した。引受先はDEEPCORE、シーシーエス、三菱UFJキャピタル。

調達した資金により、専門知識を持たなくても高度なAI外観検査システムをノーコードで社内開発できるソフト「MENOU-TE」(メノート)の機能拡張を加速加速させ、応用範囲を拡げる。

ディープラーニング技術の進化に伴い、AIによる検査は理論的に可能なものの、実際に製造現場への導入となると、多くの障害があるのが実態という。

MENOUでは2019年の設立以来、熟練した目視検査員の手法を模した高速・高精度のAIソリューションを多くの製造業に提供。MENOU-TEでは、AI導入の障害を取り除くための以下のような機能を取り揃えているという。

  • GUIによるAI検査モデル作成
  • GUIによるアノテーション・ラベリング(学習操作)
  • 精度の検証
  • 画像ファイル管理
  • 複数AIモデルの管理

外観検査の画像取得については従来通りMENOU-INサービス(導入サービス)も提供。照明やカメラなどの最適な撮像構成を提案し、AI外観検査の導入を総合的にサポートする。

有害コンテンツと戦うAIプラットフォーム開発のSpectrum Labsが1000億円超を調達

米国大統領選挙を40日後に控え、米国人の目はネット上の会話に集中している。同時に、人々の判断を惑わそうとネットで拡散される本物そっくりの偽動画やフェイクニュースや誤解を招く広告にも強い関心が寄せられている。

だが政治的発言は、もちろん、インターネット利用者が制作したコンテンツを悪用し、有害な結果を引き起こそうとする目論見の一手段に過ぎない。米国時間9月24日、AIでそうした行為全般に対処しようというスタートアップが資金調達を発表した。

Spectrum Labs(スペクトラム・ラボズ)は、コンテンツのモデレーション、追跡、警告を行い、さらには、嫌がらせ、ヘイトスピーチ、暴力の扇動、その他40種類の有害行為を、英語の他数カ国語で阻止するためのアルゴリズムと一連のAPIを開発し、1000万ドル(約10億5000万円)のシリーズA投資を獲得した。同社はこの資金を用いてプラットフォームの拡大を計画している。

このラウンドはGreycroftが主導し、Wing Venture Capital、Ridge Ventures、Global Founders Capital、Super{set} が参加している。現在までに同社は1400万ドル(約14億8000万円)を調達した。

Spectrum Labsが有害な政治的発言と戦うようになったのは偶然ではない。

CEOのJustin Davis(ジャスティン・デイビス)氏によれば、このスタートアップは、2016年の前回の大統領選挙の余波の中で創設された。そのとき、彼と、マーケティング・テクノロジー畑出身の共同創設者で現CTOのJosh Newman(ジョシュ・ニューマン)氏は、オンライン上のあらゆる有害コンテンツとの戦いを支援する何かを作りたいと感じていた。それは、選挙の行く末ばかりでなく、インターネットやそれ以外の場所で毎日繰り広げられ、固定化されてきた大きな仲違いにおいても大きな役割が果たせる。ちなみに、2人の共同創設者と9名ほどの従業員は、みなKrux(ク kjラックス)での、そしてKruxを買収した後のSalesforce(未訳記事)での同僚だった。

「私たちは、みんなでそこに介入する方法を探りました」とデイビス氏。「自分たちのビッグデータの経験を生かしたいと考えたのです」。Kruxは、マーケターのためにオンラインコンテンツを分類し、キャンペーンの効果をより正確に測定する事業を専門としていた。「世界の役に立つためにね」と。

現在Spectrum Labsは、Riot Games(ライオット・ゲームズ)をはじめとするゲーム業界の大手、Pinterest(ピンタレスト)などのソーシャルネットワーク、Meet Group(ミート・グループ)などの出会い系サイト、メルカリなどのマーケットプレイス、DTCブランド、さらには社内の会話をトラッキングしたいと考える企業など幅広い分野の顧客を有している。

同社の主要プラットフォームはGuardian(ガーディアン)と呼ばれ(ロゴはよく似ているが同名の新聞とは異なる)、必要に応じてダッシュボードの形態になる。また、内部システムに統合して単にサービスのセットとして使うこともできる。

利用者はこの技術を使って、既存のポリシーの確認や検査をしたり、ポリシー改善の手引として利用したり、またはこれをフレームワークとして新しいサンプルを作り、コンテンツのトラッキングが上達するようラベリングしてモデルのトレーニングを行うこともできる。

コンテンツのモデレーションのためのツールは、もう数年前から出回っているが、たいていのは人の言葉を単純に補完したり、キーワードを検出するといった程度のものだ。今なら大量の誤検出が心配される。

最近になって、人工知能がその作業をパワーアップしてくれたのだ、ソーシャルメディアやチャットが一般に大人気となり、ネット上の会話が飛躍的に増加したこともあって、その登場には相当待たされた。

Spectrum LabsのAIベースのプラットフォームは、現在40種類以上の有害な行為を検出できるよう設定されている。嫌がらせ、ヘイトスピーチ、詐欺、いい顔をして人につけこむ、不法な勧誘、人の個人情報をさらすなどの行為のプロファイルを、世界の研究者や学会の意見を元にあらかじめ用意していたのだが、さらに多くのデータをウェブから取り込みつつ洗練を重ねている。

有害な行為を止めようとAIを活用しているスタートアップは、他にもある。たとえば今年になって、やはりソーシャルメディアでの会話に焦点をあてたSentropy(セントロピー)というAIスタートアップが資金調達(未訳記事)してステルスモードから姿を現した。L1ght(ライト)もネット上の有害コンテンツに立ち向かう事業に資金を調達(VentureBeat記事)した。

実際に注目すべき点は、善なる戦いをビジネスとするスタートアップの台頭だけではない。そんな企業を支援したいという投資家が現れたことだ。大儲けできるスタートアップとは言えないかもしれないが、長い目で見て社会を良くする努力であることに間違いはない。

「ジャスティンとジョシュには根性と立ち直る力があり、それが独創的なリーダーとチームをまとめています」と、GreycroftのベンチャーパートナーAlison Engel(アリソン・エンゲル)氏は言う。「しかし投資家として私たちは、体系的問題を解決するには資金が必要であることも承知しています。彼らを支援しなければなりません。それを成功させるためには連帯が欠かせません。プラットフォームを統合するのです。その多くはデータに起因する問題なので、そこを頑強にすることです。次にそれを支える人、そして3番目に資金です」。

「スタートアップ投資家の間で潮の流れが、そして投資先の選択が変化してきている」とエンゲル氏は感じている。「投資コミュニティーの支援を求めるなら、コミュニティーが発展して栄えることを望むなら、私たちは、そこにおける自分の価値体系は何かを考えることが重要です。私たちは、より大きな公益の一部となるプラットフォームに投資する必要があります。そうすれば、投資家もそこに関与するようになります」と締めくくった。

画像クレジット:Towfiqu Photography / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

受取請求書の自動処理サービス「sweeep」のオートメーションラボが6500万円を調達

受取請求書の自動処理サービス「sweeep」のオートメーションラボが6500万円を調達

請求書の受取から仕訳・振込・保管を自動化するOCR付き請求書処理AI「sweeep」を手がけるオートメーションラボは9月25日、KVPおよび銀行融資により6500万円を調達したと発表した。調達資金は、電子帳簿保存法の対応機能開発、ワークフロー機能の開発、全職種における採用強化、COO、CMO、その他CxOの獲得に利用する。またsweeepの製品リニューアルを行ったことを明らかにした。

sweeepは、AI-OCR機能(学習・光学式文字認識を使った読み取り)をはじめ、請求書の回収から仕訳・振込・保管など経理上の課題となっている業務フローを一気通貫で解決できるサービス。請求書のクラウド受取が可能なatenaやクラウド会計freeeとの連携を行い、製品内に留まらず業務全体を俯瞰しユーザの利便性を高めることをモットーとしている。また現在、RPAやiPaaSとの連携も進めているという。

またsweeepは、2018年12月のクローズド版リリースより大手企業を中心にユーザーの開拓を行い、請求書の処理を自動化するための機能を開発。今回、ユーザー拡大に伴いUI/UXを刷新したことでパフォーマンスが50%改善し、各機能もアップデートした。

オートメーションラボは、「働くを楽しく」をミッションに掲げ、AI技術を用いた業務自動化サービスを開発運営。顧客の生産性向上、新たな価値創出への貢献を目指し、2011年の創業から経理・人事・営業事務などバックオフィス領域のBPR事業・BPO事業を展開。2016年にはRPAコンサルティングを提供開始している。

 

東大発スタートアップTRUST SIMITHが創業以来金融機関からの融資のみで総額1.1億円を調達

東大発スタートアップTRUST SIMITHが創業以来金融機関からの融資のみで総額1.1億円を調達

数理アルゴリズム実装を手がける東大発スタートアップ「TRUST SIMITH」は9月25日、金融機関からの融資のみで総額1.1億円の資金調達を実施したと発表した。「技術⼒への⾃負」と「プロジェクト成功への確固たる⾃信」とともに⾦融機関からの融資にこだわっており、2019年1月の創業以来第三者割当増資を一切行っていないという。

TRUST SIMITHは、機械学習・ディープラーニング・数理アルゴリズムなどの最先端技術を実⽤化し、ロボティクス・ドローン・医療・製造業など様々な分野でイノベーションの実現を⽬指すスタートアップ企業。

調達した資金は、優れた研究者の採⽤⼒強化、研究開発に必要な設備投資、知財戦略の遂行に用いる。

同社には、東京⼤学・京都⼤学はじめ、学術レベルにおいてその領域の第⼀⼈者として最先端の研究開発を⾏う研究者が多数在籍。今後、R&D部⾨の取り組みを拡充させるため、社内に技術研究所を創設予定という。優秀な研究者に対し、能⼒に⾒合う適切な報酬設計と働きやすい開発環境の整備を⾏い、研究者の採⽤⼒強化に努めるとしている。

また同社は、ソフトウェアだけでなく、アームロボットやフォークリフトなどハードウェアへの実装までを含めた研究開発をR&D部⾨にて総合的に実施しているという。実証実験に必要な⾃社⼯場の準備や、製品開発に必要な機材の購⼊などにあてる。

さらに、イノベーションの創出、事業競争⼒の強化、組織・基盤の強化などを⽬的として、同社の発明における特許取得や、事業性の⾼い知財を持つ⼤学の研究室および企業様との連携を図っていく。技術⾯における競合優位性を維持しながら、同社だからこそなせる課題解決を追求し続けるとしている。

不確実性の⾼いスタートアップにおいて、創業期からIPOまでのエクイティファイナンスの基本パターンが確⽴されつつある中、無謀な戦略ともとれる「異例の」デットファイナンス(借入金融)に同社がこだわる理由は、「技術⼒への⾃負」と「プロジェクト成功への確固たる⾃信」があるからという。

とりわけAI開発においては、専⾨知識を持たないソフトウェア企業が、概念実証という名⽬のもと成功する⾒込みのないAIプロジェクトを安易に受託し、プロジェクトが失敗に終わるケースがあり、いわゆる「PoC倒れ問題」が近年話題となっている。

同社の経営⽅針は、⾃社技術の押し売りではなく、顧客企業にとっての「リスクの排除」と「利益の最⼤化」に対して責任を持つこととしている。徹底的なヒアリングと、世界中の技術論⽂のサーベイを重ねることで、プロジェクトの成功確率とプロジェクトがもたらす企業様の経済メリットについて事前に⼗分精査し、説明などを行っているという。

また、話題性のある技術であっても、顧客企業にとって投資対効果が⾒合わないケースや、プロジェクトが失敗するリスクを排除しきれないケースにおいては、固辞しているとした。

顧客企業のリスクの排除と利益貢献について徹底的に考え続けた結果、数多くの上場企業や⾦融機関
から信頼を積み上げることができ、創業2期⽬にして、融資のみでの1.1億円の資⾦調達に成功したという。

同社は、クライアントの株価を5年で最低でも2倍、最⼤で10倍以上に成⻑させることにコミットするとしている。

PDFをモバイル用にAI自動変更する アドビの「Liquid Mode」とは?

みんなも経験があるだろう。Google(グーグル)検索沼にはまって1時間もスマホと格闘。そしてやっとのことで、自分が探し求めていた情報が確かにあると思われるリンクを発見する。それをタップすると、なんと50ページのPDFだった。画面をつまんで拡大して、どう考えてもスマホの画面に対応していないPDF文書を読み進める。

間もなく誕生から30年を迎えることを思えば、PDFというこのファイル形式がモバイル機器を考慮して作られたものではないことは明らかだ。しかし、PDFもスマートフォンも、今すぐ消えてなくなるとは思えない。そこでAdobe(アドビ)は、双方が仲良く共存できる方法を探ってきた。

米国時間9月23日朝、アドビは「Liquid Mode」(リキッドモード)と呼ばれる機能をローンチした。残念ながら現在のところ日本語未対応だが、同モードはアドビのAIエンジン「Sensei」(センセイ)の力を使ってPDFを分析し、自動的にモバイル画面に合った形に組み直してくれるというもの。機械学習でPDFを細かく調べ、必要な処理を行う。例えば、新しい章が始まる部分でのフォントの設定や、表の中のデータの表示方法を調整し、全体を小さな画面に合わせて流し込む。

数カ月間、密かにテストを続けてきたが、本日iOS用とAndroid用のAdobe Acrobat Readerアプリで一般向けに利用可能となった。いずれデスクトップにも対応させる計画だ。同社CTOのAbhay Parasnis(アベイ・パラスニス)氏は、ゆくゆくはアドビ製品以外のアプリにも同様の機能を与えるAPIを開発中だと話してくれた。

Acrobat ReaderでPDFを開くと、アプリはその文書がリキッドモードでの処理が可能かどうかを判別する。可能だとわかれば、リキッドモードのボタンがタップできる状態になる。ボタンをタップすると、文書はAdobe Document Cloudに送られ処理される。完了した後は、ユーザーによるフォントサイズや行間などの微調整も可能になる。リキッドモードでは、検出したヘッダや文章構造から、元の文書に備わっていなかったタップ可能な目次も新たに生成される。これを使えば、章を簡単に飛ばすことが可能だ。すべては非破壊的な調整であるため、オリジナルのPDFに変更が加えられることはない。リキッドモードを解除すれば元どおりのPDFに戻る。

アドビのこの取り組みについては最初に知ったのは、今年の1月に行われたExtra Crunchのインタビューでのことだ。パラスニス氏は、同社が行うほぼすべてのことにAIと機械学習を導入するという計画の概要を私に話してくれた。リキッドモードは、Senseiに文書を理解させるための第一歩に過ぎないと、パラスニス氏は言う。また、いずれはユーザーがSenseiに30ページのPDFを読ませると、数ページの要約が出来上がるようにしたいとも話していた。

画像クレジット:Adobe

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(翻訳:金井哲夫)

アマゾンのエンジニアが創業した機械学習運用の透明性を高めるWhyLabs

Allen Institute(アレン・インスティテュート)からスピンアウトした、新しい機械学習(ML)スタートアップのWhyLabs(ホワイラブス)が、米国時間9月23日ステルス状態から抜け出した。元Amazon(アマゾン)機械学習エンジニアのグループであるAlessya Visnjic(アレッシャ・ヴィスニッチ)氏、Sam Gracie(サム・グレイシー)氏、Andy Dang(アンディ・ダン)氏、およびMadrona Venture GroupのプリンシパルMaria Karaivanova(マリア・カライバノワ)氏によって設立されたWhyLabsは、機械学習モデルの作成ではなく、そうしたモデルがトレーニングを受けた後の、ML運用に焦点を当てている。

またチームは同時に、Madrona Venture GroupBezos Expeditions、Defy Partners、Ascend VCからシードラウンドとして、400万ドル(約4億2000万円)を調達したことも発表した。

同社のCEOであるヴィスニッチ氏は、かつてアマゾンの需要予測モデルに取り組んでいた。

「チームメンバーは皆リサーチサイエンティストで、私は第一線の運用経験を持つ唯一のエンジニアでした」と彼女は語った。「そのとき私は『どれくらいまずいことが起きるのだろう?』と考えたのです。私は以前、小売ウェブサイト用のポケットベルを持ち歩いていました。それはアマゾンで大規模に行われた、初のAI展開事例の1つでした。それまで実用的なツールがなかったので、ポケットベルの仕事は非常に楽しいものでした。しかし、変なことが起きたとき、例えば青色に比べてものすごく大量の黒色ソックスを注文したとか、なぜそんな問題が発生したのかを解明するために、多くの手作業が必要になりました」。

アマゾンのような大企業は、データサイエンティストやAIアナリストが、AIシステムを運用するのに役立つ独自の内部ツールを構築しているものの、ほとんどの企業はそれに苦労し続けている。そして多くのAIプロジェクトはただ失敗し、実運用されることはない。「そうした問題が発生する大きな理由の1つは、運用プロセスが、極めて手作業に頼ったものだからだと思っています」とヴィスニッチ氏は語る。「そこでWhyLabsでは、その問題に対処するためのツールを開発しています。具体的には、データ品質を監視および追跡してアラートを発します。AIアプリケーション用のDatadog(データドッグ)と考えることができますね」と続けた。

チームはさまざまな目標を持っているが、まず手始めに可観測性に焦点を合わせている。チームは、オーバーヘッドの少ないエージェントを使用して、AIシステムの中で何が起こっているのかを継続的に記録する新しいツールを開発し、同時にオープンソース化を行っている。そのプラットフォーム独立のシステムは、WhyLogs(ホワイログス)と呼ばれ、AI/MLパイプラインを移動するデータを実務家が理解することを助ける。

ヴィスニッチ氏は、多くの企業にとってシステムを流れるデータの量は非常に多いため、「将来必要となる調査のために、針が入っているかもしれない大量の干し草の山」を維持することには意味がないと指摘した。そのため、一般的に行われていることは、すべてのデータを単に破棄してしまうことなのだ。WhyLabsは、提供するデータロギングソリューションを使用して、そうした企業に対して、パイプラインの入口でデータを調査し、問題を見つけるためのツールを提供することを目指している。

カライバノワ氏によれば、同社にはまだ有料顧客がいないものの、多くの概念実証に取り組んでいる最中ということだ。そうしたユーザーの中には、同社のデザインパートナーでもあるZulily(ズリリー)がある。同社は当面、中規模企業を対象に考えているものの、カライバノワ氏が指摘するように、同社の強みを生かすためには、顧客は10〜15人のML実務家を擁する独立したデータサイエンスチームを持っている必要がある。チームはまだ価格モデルを検討中だが、それはおそらくボリュームベースのアプローチになるだろうとカライバノワ氏はいう。

MadronaのマネージングディレクターであるTim Porter(ティム・ポーター)氏は「私たちは最先端の企業内で大規模なソリューションを構築し、適切なタイミングでより広い市場に製品を提供できる、優れた創業チームに投資するのが大好きです。WhyLabsチームは、実務家のために開発を行う実務家たちです。彼らはAI開発者が直面している困難を、アマゾンでの経験から肌感覚で理解していて、その経験と知見を顧客のために役立てようとしているのです。WhyLabsに投資し、彼らと提携して、クロスプラットフォームモデルの信頼性と可観測性を、爆発的に拡大中のML運用カテゴリに持ち込めること以上に、興奮できることはありません」と語る。

画像クレジット:WhyLabs

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(翻訳:sako)

産業用オープンソースハードウェアのビズライト・テクノロジーがエッジAIカメラをJVCケンウッドと共同開発

産業用オープンソースハードウェアのビズライト・テクノロジーがエッジAIカメラをJVCケンウッドと共同開発

産業用オープンソースハードウェアの企画・製造スタートアップ「ビズライト・テクノロジー」は9月23日、JVCケンウッドと共同開発したIoTエッジAIカメラ「BH3-AI-VISION」を発表した。10月下旬より発売する。

またJVCケンウッドは、同カメラを人間の五感機能をセンサーで補う「EXensors」(エクセンサーズ)シリーズの第1弾として展開し、総代理店として販売する。JVCケンウッドは、今後も多くのAIベンダーや関連ソリューションを持つ企業とパートナリングを創出し、事業への展開を目指すとしている。

BH3-AI-VISIONは、JVCケンウッドのプロ用・家庭用ビデオカメラやドライブレコーダー開発で培った映像光学技術と、オープンソースハードウエアを活用した産業用途展開で実績を持つビズライト・テクノロジーとの協業により開発。

同カメラは、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)ベースの汎用エッジボックス「BH3」のカメラ一体型モデルとなっており、PoE+に対応。単体またはアクセラレートデバイスを接続することで、エッジAIカメラシステムを構築できる。

小型・軽量ながら高精細な映像を記録できるほか、カメラ側でディープラーニングにおける推論処理のカスタマイズが可能。人数カウントや駐車場のナンバープレート確認、マーケティング用途などで活用できるという。また、すでにプロトタイプを活用した銀行の実店舗における振り込め詐欺を未然に防ぐソリューションの実証実験も2020年7月に開始している。

産業用オープンソースハードウェアのビズライト・テクノロジーがエッジAIカメラをJVCケンウッドと共同開発

JVCケンウッドのEXensorsは、「外付けする追加機能」を意味する「EX」とデータを感知する「Sensor」の組み合わせによる造語。JVCケンウッドは、同カメラを核に各種エッジセンサー製品やIoTシステム製品と組み合わせることで、「外付けする追加機能」により人間の五感機能をサポートするエッジセンサー群として、工場での製品不良検品やアナログメーターの読み込みなど、膨大な映像・画像のデータ処理を必要とする様々な分野に展開していくという。

また、骨格推定エンジンをはじめ、顔認証・年齢推定などのAIエンジン・ソフトをエッジAIカメラに搭載することで、幅広いソリューションの提供が可能としている。

産業用オープンソースハードウェアのビズライト・テクノロジーがエッジAIカメラをJVCケンウッドと共同開発

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Sentinel、ディープフェイク検出の戦いに約1憶4000万円を投じる

合成メディア(すなわちディープフェイク)を特定するための検出プラットフォームを開発している、エストニア拠点のSentinel(センチネル)は、Skype(スカイプ)のJaan Tallinn(ヤーン・タリン)氏、TransferWise(トランスファーワイズ)のTaavet Hinrikus(ターヴェット・ヒンリクス)氏、Pipedrive(パイプドライブ)のRagnar Sass(ラグナー・サス)氏とMartin Henk(マーティン・ヘンク)氏をはじめとするベテランのエンジェル投資家たちや、エストニアに拠点を置くアーリーステージ向けベンチャーキャピタルUnited Angels VC(ユナイテッドエンジェルズVC)から135万ドル(約1億4000万円)の資金調達をするシードラウンドを終了した。

ディープフェイクを検出するためのツールを作り上げるという挑戦は、軍拡競争に例えられてきた。最近では、大手IT企業Microsoft(マイクロソフト)がこれに取り組んでおり、11月のアメリカ大統領選挙をターゲットにした虚偽情報を見つけ出すための検出ツールを今月初めに発表した。 マイクロソフトは「学習し続けることができるAIによって(ディープフェイクが)生成されるということはつまり、ディープフェイクが従来の検出技術を打ち負かすことは避けられないということだ」と警告した後、それでも「高度な検出技術」を使って悪質なでっちあげをあばこうとすることに短期的な価値はある、としている。

センチネルの共同創設者であり最高経営責任者(CEO)のJohannes Tammekänd(ヨハネス・タメケン)氏はこの軍拡競争という捉え方に賛同している。そのため、この「着地点が定まらない」問題に対する同社のアプローチには、サイバーセキュリティのスタイル テンプレートに従って、複数層の防御の提供が必要となる。一方、タメケン氏が競合ツールとして挙げたマイク ロソフトの検出ツールと、もうひとつのライバル会社Deeptrace(ディープトレース)、別名Sensity(センシティ)は、彼によれば「欠陥を検出しようとするとても複雑なニューラル ネットワーク」にただ頼っているだけだ、という。

タメケン氏はTechCrunch(テッククランチ)にこう語る。「我々のアプローチは、たった1つの検出方法だけですべてのディープフェイクを検出することは不可能だ、という考えだ。我々には複数層の防御があるため、1つの層が破られても次の層で攻撃者が検出される可能性が高い。」

タメケン氏によると、センチネルのプラットフォームは現在のところ、4層のディープフェイク防御を提供している。第1の層は、出回っているディープフェイクの既知の例をハッシュして照合する。(これは「ソーシャル メディアプラットフォーム」のレベルまで拡張可能だと同氏は言う。)第2の層は、細工を見つけるため機械学習モデルでメタデータを解析する。第3の層は、オーディオの変化をチェックして合成音声などを探す。そして最後の層は、視覚操作の形跡がないか調べるために「1コマごとに」顔を分析する技術を使う。

「最高レベルの確実性を得るために、この検出層すべてから入力データを受け取り、 出力データを(総合スコアとして)合わせて確定する」という。

タメケン氏は加えて、「ある動画がディープフェイクであるかそうでないかを、100% の自信をもって言えない場合もある、という状況まですでに来ている。その動画をなんとかして『暗号で』証明できれば、もしくは複数の角度からの元の動画などを誰かが持っていれば別だが」と述べた。

またタメケン氏は、ディープフェイク軍拡競争においては特定の技術に加えてデータも重要である、と強調している。センチネルがこの点に関して誇れることは、出回っているディープフェイクの「最大の」データベースを蓄積していることだ。このデータを使ってディープフェイクのアルゴリズムを学習させることができる。

同社は社内検証チームを設置しており、メディアの真実性を探るための独自の検出システムを利用したデータ取得に取り組む。3人の検証スペシャリストがおり、最も精巧で自然なディープフェイクを検証するためには、その3人のすべてが同意しなければならない。

「我々は大手ソーシャルプラットフォームのすべてから、毎日ディープフェイクをダウンロードしている。YouTube(ユーチューブ)、Facebook(フェイスブック)、 Instagram(インスタグラム)、 TikTok(ティックトック)、さらにアジアやロシアのプラットフォーム、そしてアダルトサイトからも」とタメケン氏は述べる。

「もし、例えばフェイスブックのデータセットを基にディープフェイク モデルを学習させた場合、それが一般化することはない。それ自身と似たようなディープフェイクを検出することはできても、出回っているディープフェイクと合わせてうまく一般化することはできない。 だから検出は本当に80パーセントがデータエンジンなのだ。」

センチネルが常に確信を持っているわけではない。タメケン氏は、中国の国営メディアによって公開された、軍に殺されたとされている詩人の短い動画を例に挙げている。この動画の中で詩人は、自分は健在であると言い、心配しないよう伝えているように見える。

「画像処理はされていないということを、われわれのアルゴリズムはかなり高い確実性をもって示しており、この人物がただ洗脳されているだけという可能性が非常に高いが、100パーセントの自信を持ってこの動画はディープフェイクでない、ということはできない」と同氏は述べている。

NATO(北大西洋条約機構)、Monese(モネーゼ)、イギリス海軍の出身者で構成されるセンチネルの創業者たちは、実のところ2018年にSidekik(サイドキック)というスタートアップ企業で、とても珍しいアイディアに取り組み始めた。通信データを取り込んで、音声を似せたチャットボット(またはオーディオボット)の形で、ある個人の「デジタルクローン」を作るという、『Black Mirror(ブラック・ミラー)』シリーズのような技術を構築するというものだ。

ベーシックな管理型タスクをこの仮想の代役に任せることができたらいいのではないか、という発想だった。 しかし彼らはこれを悪用される可能性について懸念するようになった。それゆえにディープフェイク検出に転換した、とタメケン氏は言う。

彼らは自分たちの技術を政府機関や国際メディア、防衛機関向けにと考えている。今年の第2四半期にサブスクリプションサービスを開始してからの、欧州連合対外行動局やエストニア政府を含む初期のクライアントも存在する。

彼らは、虚偽情報を広める活動やその他の悪質な情報操作から民主主義を守る助けになることを目指している。つまり、彼らの技術に誰がアクセスできるかということに関して、細心の注意を払っているということだ。タメケン氏は述べる。「われわれは非常に厳しい審査プロセスを備えている。例えば、われわれはNATO加盟国とのみ連携する。」

それから「サウジアラビアや中国からの要望はあるが、我々の側からすると明らかにNGだ」と加えた。

このスタートアップ企業が実施した最近の調査で、出回っている(すなわち、オンラインでどこでも見つけられる)ディープフェイクが急増していることがわかっている。2020年にはこれまでに14万5000件を超える事例が確認されており、前年比の9倍を示している。

ディープフェイクを作成するツールは間違いなく入手しやすくなっている。顔交換アプリのReface(リフェイス)のようなものなど、多くは表面上害のない、楽しみやエンターテイメントの提供を目的とするものであるが、(ディープフェイク検出システムなどで)慎重に管理しなければ、何の疑いも抱いていない視聴者をだますために、利用可能な合成コンテンツが悪用される可能性がある。

現在ソーシャルメディアプラットフォームで行われているメディア交換のレベルまでディープフェイク検出技術をスケールアップすることは、とても大きな課題である、とタメケン氏は述べる。

「フェイスブックやGoogle(グーグル)は(自分たちのディープフェイク検出を)スケールアップすることが可能だろうが、現在のところかなりのコストがかかるため、多額の資金を投入しなければならず、収益は明らかに激減するだろう。よって、基本的にトリプルスタンダードだ。ビジネスインセンティブは何なのか、という話になる」と同氏は言う。

非常に知識があり、非常に豊富な資金を持つ相手によってもたらされるリスクもある。彼らは「ディープフェイク・ゼロデイ」と呼ぶものを標的にした攻撃をする(おそらく国家主体で、非常に高価値のターゲットを追っているようだ)。

「基本的にサイバーセキュリティにおける場合と同じことだ」とタメケン氏は言う。「ビジネスインセンティブが適切であるならば、基本的には[大多数の]ディープフェイクを押さえることができる。できるはずだ。しかし、知識のある相手によってゼロデイとして開発される可能性のあるディープフェイクは常に存在するだろう。そして、現在のところ、誰もそれらを検出する素晴らしい方法、あるいは例えば、検出する方法へのアプローチを知らない。

「唯一既知の方法は多層防御だ。その防御層のいずれかがディープフェイクを検知することを願っている」。

センチネルの共同創業者、Kaspar Peterson(カスパー・ピーターソン)氏(左)とヨハネス・タメケン氏(右)。写真提供者:センチネル

 

あらゆるインターネットユーザーにとって、もっともらしいフェイクを作って拡散することは確実に安価で容易になってきており、ディープフェイクによってもたらされるリスクが政治的・企業的な議題を盛り上げている。 例えば欧州連合は、虚偽情報の脅威に対応するために「民主主義行動計画」を用意している。その中でセンチネルは、自社のディープフェイクデータセットから得た知識をもとに、ディープフェイク検出だけでなく、個別対応のコンサルティングサービスも扱う企業として自らを位置づけている。

「われわれには多くの成果がある。つまり『ブラックボックス』だけでなく、予測・説明可能性やバイアスを軽減するためのトレーニングデータの統計、すでに既知のディープフェイクとの照合、コンサルティングを通したクライアントへの脅威モデリングも提供できるということだ」と同社は語る。「このような重要な要素があるからこそ、これまでのところクライアントに我々を選んでいただいている。」

ディープフェイクが西洋社会にもたらす最大のリスクは何だと思うか、という問いに対し、短期的には、主な懸念は選挙干渉だ、とタメケン氏は答えた。

「1つの可能性としてはこんなものがある。選挙運動期間中、あるいは選挙当日の1日か2日前、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が『私は癌です。私に投票しないでください』と言ったらどうだろう。その動画が拡散したら」彼は極めて近い未来のリスクを描いて示す。

「そういった技術はもうすぐそこにある」と同氏は続ける。一般向けディープフェイクアプリの1つに関わるデータサイエンティストと近ごろ電話で話したところ、正にそのようなリスクを心配するさまざまなセキュリティー組織からコンタクトがきている、と言っていたそうだ。

「技術的な観点からすると、うまくやられてしまうだろうことは確実だ。そしてそれが拡散されれば、人々にとっては直接見たほうがより効果的、ということになる。すでに大きな影響をもたらしている『安っぽいフェイク』を見たとして、ディープフェイクは完璧である必要はなく、実際、背景がきちんとしている中で信用できればいいのだ。そうすると、多くの有権者がそれに騙される可能性がある」と語った。

長期的には、このリスクは非常に大きなものだと同氏は主張する。人々はデジタルメディアに対する信用を失くす。そういうことだ。

「動画に限ったことではない。画像ということもあるし、音声ということもある。実際、すでにそれらを融合させたものも出てきている」と同氏述べる。「そんな風に、すべての事象を実際に偽造できる。ソーシャルメディアやさまざまな表現活動の場すべてにおいて見ることができる事象を。

「だから我々は検証されたデジタルメディアだけを信じることになるだろう。基本的に、なんらかの検証手法を備えているものだ。」

さらにいっそう反ユートピア的な、AIに歪められた別の未来では、人々はもうオンライン上の何が現実かそうでないかを気にも止めなくなるなるだろう。何であれ彼らの先入観に付け込む、操作されたメディアをただ信じるだけだろう。(オンライン上に投稿されたちょっとした言葉の暗示をかけられて、奇妙な陰謀にはまった人が多くいることを考えると、この上なく可能性があるように思える。)

「 そのうちみな気にしなくなる。それは非常に危険な前提だ」タメケン氏は言う。「ディープフェイクの『核爆弾』はどこにあるのか、ということが大いに議論されている。ある政治家のディープフェイクが現れ、それが大きな被害を及ぼすのは、単なる時間の問題だとしよう。しかし、そのことは現在の最大の組織的リスクとは考えられない。

「最大の組織的リスクは、歴史という観点から見た時に、それまでより安価で容易に情報が生産され、素早く共有されるようになってきている、そういうことが起こっているということだ。グーテンベルクの印刷機から、テレビ、ラジオ、ソーシャルメディア、インターネット、すべてそうだ。我々がインターネットで消費する情報は別の人間によって生産される必要はない、ということが今起こっている。そしてアルゴリズムのおかげで、大規模に、しかも超パーソナライズされた方法で、情報を2つの時間尺度で消費することができる。つまりそれが最大の組織的リスクだ。我々はオンライン上の何が現実なのか、基本的には理解できなくなるだろう。何が人間で、何が人間ではないのか。」

そういったシナリオによって予想される先行きは多種多様だ。極端な社会的分断によって、さらなる混乱と無秩序を招き、拡大する無政府状態や激しい個人主義を生み出す。あるいは、広い範囲の主流派の人々がオンラインコンテンツの多くを無意味だとして、あっさりインターネットの情報に耳を傾けなくなった場合、大衆は興味を失くす。

そこから事態は1周して元に戻る可能性さえある。人々が「再び信頼度の高い情報源を読む」ようになる。タメケン氏はそう述べた。しかし、多くが変化していく危機にさらされる中、1つだけ確かなものがあるようだ。これまで以上に無節操で疑わしいメディアの世界をナビゲートする手助けをしてくれる、高性能なデータ駆動型のツール。これが求められるようになるだろう。

この記事はTechCrunchのSteve O’Hear(スティーブ・オヘア)の協力による。

関連記事:マイクロソフトが米大統領選挙を前にディープフェイク検出ツールVideo Authenticatorを発表

カテゴリー:人工知能・AI

タグ:ディープフェイク

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(翻訳:Dragonfly)

食品や栄養補助食品に使用される植物栄養素の識別技術を開発するBrightseedが約28億円調達

米国の植物性食品メーカーのHampton Creek(ハンプトンクリーク、現在Eat JUST)の元研究開発責任者であるJim Flatt(ジム・フラット)氏が立ち上げたBrightseed(ブライトシード)は、人間の健康を高めると考えられる植物に含まれる特定の栄養素の存在を特定するために、最新の資金調達ラウンドで2700万ドル(約28億円)を調達したと発表した。

同社は調達した資金の一部を利用して、植物栄養素の効果を証明するための臨床研究を完了させ、同社とそのパートナーが求めている主張を実現する計画だ。最初の製品は、メタボリックヘルスに有益と考えられている植物栄養素化合物であり、脂肪肝疾患の管理と治療に役立つと考えている。

同社は、「Forager」と呼ばれる機械学習プラットフォームを使って、植物の種に含まれる植物栄養素の存在を識別できる。そして、それらの植物を栽培し、その化合物を製造して、消費者向け食品の原料を製造する。

これはHampton Creekでフラット氏が研究した論文(未訳記事)が基になっている。論文でのアイデアは、動物由来の食品のタンパク質代替製品を作るための、植物タンパク質の組み合わせを識別するために機械学習を利用することだった。

フラット氏は、タンパク質の代替品を広く検討するのではなく、Brightseedの焦点をヒトの健康と機能成分、主にこれらの植物性栄養素に合わせている。同氏はインタビューで「栄養学の強みと力は、健康に重要な効果をもたらすようなささやかな変化を長期間にわたって行うことにあります」と語る。

同氏は、糖尿病前の患者を対象にした米国ニュージャージー南部への地域医療機関であるGeisinger(ガイジンガー)の研究を紹介し、代謝の健康に集中することで、どのように状態をコントロールし、改善することができるかを示した。

「米国のオーガニックや自然食品を扱うスーパーマーケートであるWhole Foods Marketに200ドルを費やした患者は、HbA1c(血糖)値が40%も低下していました。これは既成薬が達成できることの2倍以上の効果です。経済的な観点から見ると、彼らは入院やインスリンの使用量が減り、医療費が80%削減されました」とフラット氏は述べる。

同氏によると、Brightseedは独自の成分を発見して市場に投入する計画だが、Foragerシステムを使用しているパートナー企業とも協力して、生産者と共有できる新しい成分の発見にも協力していく予定だという。

市場への二重の道筋は、BrightseedがLewis & Clark AgriFoodや、Seed 2 Growth Ventures、Horizons Ventures、CGC Ventures、Fifty Years、Germin8、AgFunderなどの既存投資家から新たな資金調達を行うことができた理由の1つであると思われる。

「今回の資金調達は、栄養学の暗黒物質の探求を本当に加速させることができそうです。私たちが構築したForagerのAIプラットフォームは、私たちが知っている植物栄養素はすべて把握しています。私たちが開発した独自のライブラリは、世界で知られているものの約5倍の情報量があります。Foragerの力の1つは、既知の化合物や新しい化合物を見つけることで、健康に関する有用性を予測できることです」と説明する。

同社は今年初めに世界的食品メーカーであるDANONE(ダノン)の北米支社(Danone North America)との主要な提携関係を発表済み(Danone North Americaリリース)だ。

北米ダノンの研究開発部門でSVP(上級副社長)を務めるTakoua Debeche(タクア・デベチェ)氏は発表時の声明で、「北米ダノンは、植物由来の食品と飲料のリーダー企業として、製品の味、食感、栄養面の改善と最適化を支援し、生物多様性のビジョンに貢献する外部パートナーシップを重視しています」と述べていた。

「Foragerが擁する栄養成分識別技術は、成分科学をはるかに超えた意味合いを持っている」とフラット氏は主張する。そして「Foragerができることは、より生物多様性に富んだフードサプライチェーンの採用を促し、より再生可能な農法への移行を促す好循環を生み出すことです」と続けた。

例えばBrightseedは、すでにある企業と提携してあまり人気のないスーパーフルーツを評価し、栽培の改善と向上に取り組んでいるとのこと。

「限られたデータではありますが、従来の農法がこれらの植物栄養素の含有量に影響を与える可能性があることを示しています。Foragerは、これらの植物性栄養素を評価し、消費者がより再生可能な農法で作物を生産でき、作物により多くの栄養素をもたらし、より多くの回復力のある製品の需要を喚起するストーリーを作り上げることです」と同氏。

現在同社の収益は1000万ドル(約10億5000万円)以下で推移しているが、フラット氏と投資家はこの状況が急速に変化することを期待している。

農業系のスタートアップへの投資を展開しているLewis & Clark AgriFood(ルイス&クラーク・アグリフード)の運営パートナーであるDr. David Russell(デビッド・ラッセル博士)氏は声明で「Brightseedのテクノロジーの応用は、私たちの健康と幸福のために自然界に存在する資源を理解する方法を変えつつります。これらの発見は、すでに成分の選択や、私たちが毎日消費するものをどのように調合しているかに大きな影響を与えています。これは、植物と人間の間の生物学的なつながりをより深く理解するための新しいアプローチです。私たちは、これらのブレークスルーをリードする同社をサポートすることを楽しみにしています」と述べている。

画像クレジット:Rachen Buosa/EyeEm  / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

カネボウ化粧品が約7000通りのメイク提案を行えるAIカウンセリングCOFFmiを「コフレドール」ブランドで開始

カネボウ化粧品が約7000通りのメイク提案を行えるAIカウンセリング「COFFmi」を「コフレドール」ブランドで開始

カネボウ化粧品は9月18日、トータルメイクアップブランド「コフレドール」において、いつでもどこでもメイクカウンセリングを受けられるLINE活用のデジタルサービス「COFFmi」(コフミ)を9月17日に開始したと発表した。LINEをダウンロードし、COFFmiサイト上などから友だち登録を行うことで、利用可能となる。

カネボウ化粧品が約7000通りのメイク提案を行えるAIカウンセリング「COFFmi」を「コフレドール」ブランドで開始

COFFmiは、デジタルメイクカウンセリングをが可能なデジタルサービス。主機能の「COFFmi CHECKER」(コフミチェッカー)は、顔写真を撮影し、簡単なアンケートに答えるだけで、水分・油分・シミ・キメ・顔の特徴を分析し、ユーザーに最適なメイクアイテムと色のアドバイスを実施。約7000通りのメイク分析・提案が可能という。

分析結果はマイページ上に蓄積され、ユーザーのスコアをダイアリー形式で見返すことが可能。また、カメラに自分の顔をかざすだけで、コフレドールのアイテムをバーチャル体験(試用)できる「デジタルテスター」も採用。このほか、コフレドールの新商品・限定商品・キャンペーンなどの最新情報をいち早くお届けするとしている。

カネボウ化粧品が約7000通りのメイク提案を行えるAIカウンセリング「COFFmi」を「コフレドール」ブランドで開始

コフレドールは、パーフェクト社のAIシステム「AI フェイスアトリビュート」を世界で初めて採用。ユーザーの顔の特徴を識別するYouCam メイク機能「AI フェイス アトリビュート」の導入もコフレドールが世界初という。

COFFmiは、24時間365日、いつでもどこでも、美しさを一緒に発見して作っていきたい、時間や距離の制約で店舗に足を運べずカウンセリングが十分にできないといった人たちにも、美のサポートをしたいというコフレドールの想いから開発したという。

COFFmi CHECKERは、的確なデジタルカウンセリングで、ユーザーにぴったりのメイクアイテムやカラーを提案することで、ユーザー専属のデジタルビューティパートナーとして毎日の美に寄り添うとしている。また10月以降、カネボウ化粧品のビューティカウンセラーは、店頭のカウンセリングにおいてCOFFmi CHECKERを使用予定という。

COFFmiの対応OSは、macOS、Windows、iOS、Android。Windows用ウェブブラウザーとしてはChrome v69以降、Firefox v.63.0以降、Edge v17以上をサポート(Internet Explorer非対応)。macOSではChrome v69以降、Safari v12.0以降。iPhoneはiOS11以上、Safari v11.2以上。AndroidではOS6.0以上、Chrome v73.0以上。

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東京大学JSK発のロボット開発スタートアップ「キビテク」が6840万円を調達

東京大学JSK発のロボット開発スタートアップ「キビテク」が6840万円を調達

ロボットの高度自律型遠隔制御システム(HATS)の開発およびロボット用制御ソフトウェアの受託開発を手がけるキビテクは9月18日、第三者割当増資として6840万円の資金調達を発表した。引受先は、シンク・アイ・ホールディングス、匠、ウイルテック。

キビテクは、今回調達した資金と出資企業との連携により、来年度の本格サービスインに向け、各種現場の知識に基づいた遠隔アシスト機能実現のためのソフトウェア開発・オペレーションセンター体制の構築を加速する。また、製造現場におけるFA系への取り組みを推進するとしている。

同社は、様々な高難度業務への自律ロボット導入を促進するため、自律ロボットが搭載するAIを遠隔オペレーターが効率よくアシストすることで、「常識を扱えない」「大量の事前知識を必要とする」などのAIの課題を克服する「HATS」(Highly Autonomous Teleoperation System))の開発を進めている。

東京大学JSK発のロボット開発スタートアップ「キビテク」が6840万円を調達

近年、物流現場や店舗などで自律型のロボットが様々な現場で活躍を始めている一方、AIにも限界があり(人間にとっては当然に思える)常識や社会的文脈に沿った臨機応変な対応ができるとは限らない。しかし、様々な状況に対応できるよう、事前にその状況をすべて洗い出してAIに教え込ませることは不可能だ。

東京大学JSK発のロボット開発スタートアップ「キビテク」が6840万円を調達

その結果、わずかに残存する異常状態への対応ができないために自律ロボットの導入に踏み切ることができないか、導入できる業務が限定されてしまうという課題があるという。また、すでに導入済みの場合でも、AIの限界によってロボットが停止してしまい、現場での復旧作業が必要となり、運用効率の低下というケースも見受けられるという。

同社が開発を進めているHATSは、遠隔オペレーターが簡単な操作で要点のみをロボットに指示することで、1名で担当できるロボット台数を格段に多い状態で運行できるようにするという。これにより、停止したロボットの復旧対応などを効率的に行えるようにするサービスとしている。

この事業を通して、障害者、リモートワークに縛られる方、途上国の低所得者などにオペレーター業務を担ってもらうことで就労の機会を増やし、貧困や格差固定化の問題の低減につなげ、より幸せな社会の実現に貢献するとしている。

キビテクは、東大の人型ロボット研究室JSK(情報システム工学研究室)出身者を主として2011年に創業した、知能ロボットの開発を行うスタートアップ企業。企業名「キビテク」の「キビ」は心の「機微」を意味しているという。同社の得意な技術を通して、未来の世界の人々の心の幸せに貢献することを最も大切にしている。

自分の過去の会話を検索するLuther.AI、Google検索とは異なるアプローチ

ポップカルチャーとか企業の役員、歴史に関する質問などになると、それらの知識が全部自分の記憶にあって思い出せるということはないので、多くの場合Google検索に頼る。でもGoogle検索は、あなたのクライアントの配偶者の名前や、先日の会議の席でひらめいたすごいアイデアを思い出してはくれない。

そこで登場するのが、あなたの記憶のためのGoogle検索を自称するLuther.AIだ。このツールは音声を録音して書き起こし、AIを利用してあなたの仮想メモリーバンクにある情報を、ネットで会話をしたり検索をしているときに取り出してくれる。

同社はそのプロダクトのブラウザーを使用するバージョンを今週のTechCrunch Disruptでリリースし、TechCrunch Disrupt Battlefieldの優勝賞金10万ドル(約1060万円)を狙っている。

Luther.AIの創業者によると同社は、人間の記憶は不完全で、その弱さが個人の知能を制約している、という前提で創業された。Luther.AIが考えたのは、人間の脳の記憶力や記憶の想起力を強化するツールだ。難しい注文だが、同社の創業者は人工知能の今後の進歩とそのほかの技術でそれが可能だと信じている。

創業者でCEOのSuman Kanuganti(スマン・カヌガンティ)氏は「このプロダクトは、神経科学と自然言語処理とブロックチェーンの一体化により可能になりました。それにより、シームレスで瞬間的な記憶想起を提供する。GPT-3(OpenAIが作成した第3世代言語予測モデル)は、公開されているインターネットの記憶の上に構築されていますが、Lutherはあなたのプライベートな自己の記憶により構築されます」と説明する。

それにはまず、あなたのその日1日中の対話を録音する。ブラウザーを使って行われているオンラインのミーティングは、中でも対話の量が最も多いだろう。同社の今後の展望としては、ユーザーが高品質な5Gの録音デバイスを職場でも身につけ、対話を録音できるようにすることだ。

プライバシーが心配な人のためには、ハイエンドな暗号化などの安全措置が提供されている。また他人の発言は、当人からはっきり許可を得た場合しか保存できない。カヌガンティ氏は「我々の技術では、ユーザーが自分が喋っていることのオーナーになります。そこで例えば、あなたと私が物理的世界で会話をしていても、その会話のあなたの記憶を、特別の許可がないかぎり私が共有することはできません」と説明する。

また、各人が自分自身のデータをLutherに持ち、ほかの誰もがLutherやほかの個人からその会話にアクセスすることはできない。このようなオーナーシップ、所有権の強制の管理には、今後ブロックチェーンを使うつもりだが、同氏氏によればその実装は今後のバージョンになるという。

画像クレジット: Luther.ai

カヌガンティ氏によると「このプロダクトの真価は、会社内で少数の個人が使っている場合には発揮されないかもしれませんが、ネットワーク効果で何十人何百人の人が使うようになるとよくわかるはずです。しかし今後は、個人が一人で使っても記憶の想起を助けることのできるユーティリティを提供していきます」とのことだ。

同社は今週、ブラウザーを使用するプロダクトをリリースするが「最終的にはスタンドアロンのアプリを作り、またAPIも公開してほかのアプリケーションがLutherの機能を組み込めるようにしたい」と語る。

同社は今年の初めにカヌガンティ氏と3人の共同創業者によって設立した。3人とは、CTOのSharon Zhang(シャロン・チャン)氏、デザイン部長のKristie Kaiser(クリスティ・カイザー)氏、そしてサイエンティストのMarc Ettlinger(マーク・エトリンガー)氏だ。これまでに調達した資金は50万ドル(約5200万円9、社員は創業者を含めて14名だ。

画像クレジット:Jan Hakan Dahlstrom / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AIナビアプリ開発のAILLが九州経済連合会と協業、9月18日より「婚期創出事業」での導入開始へ

AIと深層学習でチャットの内容を解析して恋人候補同時の円滑なコミニュケーションを支援する「Aill」(エール)を開発するAILLは9月17日、一般社団法人九州経済連合会との協業を発表した。AILLは、TechCrunch Japanが昨年開催した「TechCrunch Tokyo 2019」のピッチイベント「スタートアップバトル」のファイナリスト。120社以上の応募スタートアップの中から選ばれた20社のうちの1社だ。

九州経済連合会は、九州地域の経済活性化を目的とした団体で九州・山口地域に事業所を有する法人企業等約1000社が加入している。具体的には同連合会が、9月18日よりAillを活用して加盟企業間で社外の独身社員の出会いの場をアプリで提供する。加盟企業の福利厚生として導入を進めていくという。

九州経済連合会によると「近年、日本の人口減少は大きな社会問題となっており、。特に地方圏では、若者の都心への移住(社会減少)と未婚者の増加(自然減少)による人口減少で地方経済は後退し、雇用も減少するという負のループに陥っているという。九州地方でも福岡県を含めた7県すべてが人口減少県となり、地域衰退の懸念が増している。

これらの問題を解決するために「Aill」導入し「婚期創出事業」を発足。本事業を通して、九州と山口県を魅力的な働き口として加盟企業が率先してアピールをしていくという。さらに、加盟企業が安 心・安全な出会いの場を提供することで、人口減少や地域経済の後退を抑止する姿勢を示していきたいとのこと。

九州経済連合会の観光・サービス産業部の升本喜之部長は「これまでも九州地域で婚活パーティーなどの開催などを手掛けてきたが、時間や場所の制約もあり、なかなかうまく進まない面もあった。もちろん、こういった事業を否定するわけではないが、なにか違う方法で未婚者の増加を食い止めることはできないかと模索しているときに、すでに大手企業で導入が進んでいるAILLさんと出合い、協業することになった」と語る。「現在ではネット上のやり取りは一般的になっている点と、Aillでは九州経済連合会の加盟企業の独身男女だけが参加できるという安全性も評価した」と続ける。

升本氏の発言のように、九州経済連合会がAillを導入した理由としては、加盟企業の社員という身元がしっかりした独身男女しか登録できないプラットフォームである点だ。また、同じ社会的レイヤーの企業の社員と出逢えることで、価値観・ライフプラン・キャリアプランが合いやすく、共働き夫婦増加の後押しなることも期待している。さらには、新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの推進などの、人と人の出会いの場が減っている現状も、Aillを利用すればある程度解消できる。

Aillは、「安心して恋愛をしたい」「信頼できる人に会いたい」「仕事だけで なく私生活(恋愛)も充実させたい」という想いを実現すべく開発されたAIナビゲースンシステム。紹介、会話、好感度という3つのナビゲーションを利用者に提供することで、男女のコミュニケーションのすれ違いを緩和、出会った後の関係進展をサポートする。実際の二人のやり取りも深層学習で解析され、ナビゲーションの精度が高まる仕組みだ。

Aillの開発は、ナビゲートエンジン開発を担当する北海道大学情報科学研究科・川村秀憲教授、AIシステム設計を担当する東京大学システム情報科学部・松原仁教授、感情と数値化を担当する東京大学 工学系研究科システム創成学専攻・鳥海不二夫准教授の3人の研究者が加わっている。

写真に向かって左から、AILL代表取締役の豊嶋千奈氏、北海道大学の川村秀憲教授、東京大学の鳥海不二夫准教授、東京大学の松原仁教授

川村教授は「ひと昔前で一般的だった、お見合いおばちゃんをAI化することを目的としている」とのこと。現在は社会構造の変化などにより、人を介してのお見合いというのはなかなか難しくなっているが、その一方で初対面の二人の円滑なコミュニケーションはなかなか難しいという現状もある。「これまでのお見合いおばちゃんは、二人の最初のコミュニケーションから、見合い後に問題が起こらないようにさまざまなノウハウやテクニックを駆使してきました。こういったノウハウやテクニックをAIに導入して社会課題の解決に結びつけたい」と川村氏は語る。

Alexaのウェイクワードにサミュエル・ジャクソンが加わる、荒っぽい言葉も使うが野球結果をサミュエルが教えてくれる

ついさっきAlexa(アレクサ)が米国時間9月15日の野球の結果を読み上げてくれた。これが素晴らしい理由は2つある。1つは、ダブルヘッダーの第2試合でオークランド・アスレチックスがシアトル・マリナーズを9対0でシャットアウトしたこと。もう1つは、それをSamuel L. Jackson(サミュエル・ジャクソン)の声で話したことだ。Amazon(アマゾン)の本拠地はシアトルなので、本稿では後者の事実に注目する方が会社は喜ぶだろう。

Alexaの責任者であるToni Reid(トニ・リード)氏とRohit Pradad(ロヒト・プラダード)氏は米国時間9月16日のDisrupt 2020の壇上で、このスマートアシスタントの歴史や最大の障壁、そして未来について語った。さらに二人はこの場を利用して、史上最高の興行収入を上げた俳優が、自分の声をウェイクワードにしたことを公表した。サミュエル・ジャクソンのセレブボイススキルをインストールすると、Alexaユーザーは「パルプ・フィクション」のスターをデフォルトの音声にすることができ、「Hey Samuel」(ヘイ・サミュエル)がウェイクワードになる。

私は今週Echo Showでこのスキルを使っているが、なかなか楽しい。ただし、決してファミリー向けとはいえない。本物のサミュエル・ジャクソン同様、普通のAlexaよりも汚い言葉をかなりよく使うのでインストールには注意が必要だ。ほとんどのコマンドは標準のAlexaのセリフをジャクソンの声にしただけだが、映画「スネーク・フライト」で機内の爬虫類について質問したりすると、ちょっとしたお宝話が聞ける。彼は自身の最近の作品についてはあまり詳しくないようだ。

Alexaへのサミュエル・ジャクソン氏のボイススキルの追加は、Google(グーグル)がJohn Legend(ジョン・レジェンド)氏とIssa Rae(イッサ・レイ)氏をセレブボイスに採用したのに続くものだ。両社とも、ちょっとしたスターの力がバーチャルアシスタントにユーザーを引きつけておく大きな力になると信じている。中でもジャクソン氏は、知名度においても目新しさにおいても最高の選択だと私は思う。この人を超える名前をあまり思いつかない(オバマ?オプラ?ピーウィー・ハーマン?)。

アマゾンが伝えたかった話の1つは、第二のウェイクワードを設定するのがどれほど難しいかということだった。サミュエル・ジャクソンのスキルは以前にもあったが、ユーザーは 「Hey Alexa, ask Samuel」などと言わなくてはならなかった。スマートアシスタントの伝言ゲームのようなものだ。正直なところこれでは新規性がたちまち薄れる。

「Alexaのウェイクワードは毎週何十億回もやり取りされる」とAlexaの機械学習担当シニアマネージャーであるShiv Vitaladevuni(シヴ・ビタラデヴニ)氏が投稿に書いた。「しかし、ウェイクワード 『Hey, Samuel』の学習データはほとんどない。『Hey, Samuel』とAlexaという複数のウェイクワードモデルを作るためには、過去の学習を利用するだけでなく、新しい学習方法とデータモデリング技術を開発しなくてはならなかった」と語っている。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

コーセーが「NAIL HOLIC」ブランド全色を試せるネイル試着AI+ARアプリ配信、季節限定色や発売前の新色も

コーセーが「NAIL HOLIC」ブランド全色約200色を試せるネイル試着AI+ARアプリ配信、季節限定色や発売前の新色も

コーセーは9月16日、ネイルブランド「NAIL HOLIC」において、スマホでネイルホリックの全色をバーチャル試着できる「NAIL HOLICアプリ」(Android版iOS版)をリリースした。9月16日現在約200色を試着可能なほか、季節ごとの限定色や発売前の新色も試せる。

NAIL HOLICアプリは、スマホのカメラで撮影した自分の爪に、好きなカラーを試せるネイル試着ARアプリ。AI機能で爪を検出し、実際に爪にネイルを塗った時と同様のリアルな体験を提供する。SNSや雑誌などで魅力的に見えたカラーが、自分の爪に実際に塗ってみるとイメージと違ったという声を反映しアプリを開発したという。

NAIL HOLICアプリでは、季節ごとの限定色や発売前の新色もいち早く試せるほか、カラーは爪に塗った色や質感を忠実に再現し、実際にネイルを塗ったようなリアリティのある試着を試せるとしている。

また、所持カラーを管理できるストック機能とお気に入り機能も搭載。自分だけのネイルリストを作成できるので、事前に試すことで買う時に迷わなくなったり、アプリで試着したカラーをそのままオンラインストアで購入したりできる。試着から購入までいつでもどこでもスマホひとつで完結可能という。

コーセーが「NAIL HOLIC」ブランド全色約200色を試せるネイル試着AI+ARアプリ配信、季節限定色や発売前の新色も

NAIL HOLICアプリは、コーセーでは初となる取り組み。AI学習機能で爪の認識力を高め、使うほどに精度が向上するという高度な技術を要するネイルの試着を実現した。同社は今後もAI機能の開発を継続するとしている。

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物流スタートアップDatumixが通販物流センターにおける立体シャトル自動倉庫作業の効率化AIアルゴリズムを開発

物流スタートアップDatumixが通販物流センターにおける立体シャトル自動倉庫作業の効率化AIアルゴリズムを開発・特許申請

AIとデジタルツイン技術で、物流の課題を解決する物流スタートアップ企業Datumix(データミックス)トーヨーカネツは9月17日、2020年4月7日に物流の倉庫出庫作業を効率化するAIアルゴリズムを共同開発し、特許を申請したと発表した。時間予測の技術を使用したものとして新規性があると主張している。

通販ビジネス(Eコマース)市場が拡大する中、通販物流センターは多くの商品アイテムを保管する必要があるため自動化設備の導入が進み、GTP(Goods To Person。歩行レスピッキング)対応の高速順立て出庫が可能な「立体シャトル自動倉庫」の仕組みを採用する事例が増加しているという。

しかし、膨大な商品アイテムを保管する必要がある通販センターでは、設備規模が大きくなるほど、その順立て出庫の制御ロジックが複雑になり、人手によるプログラミングで立体シャトル自動倉庫を最適稼働させることが困難になりつつあるという課題がある。

そこでDatumixは、複行オーダーにおいて複数商品アイテムの出庫指示から商品を集約ピッキングするステーションに出庫するまでの過程で、商品トレイの集約にかかる時間が出庫処理全体の84.6%(Datumix調べ)を占めることに着目。「ディープラーニングによる時間予測」を用いて注文の引当から商品トレイ集約の処理に要する時間の削減に取り組んだ。

また今回は、3Dモデリングにより物流設備を精密に再現する同社の物流最適化プラットフォーム「OPTIMUS AI」を用いてデジタルツイン環境を構築。このデジタルツインとは、現実世界の製品・製造設備・オペレーション・環境データの情報を収集し、これを基に仮想世界空間上に同じ状態・状況を再現するモデルを構築し、シミュレーションを行うというもので、製造業の生産性向上に貢献する技術として期待されている。

デジタルツインのモデル元となったトーヨーカネツの立体シャトル自動倉庫は、商品保管棚の一部エリアを使って複数の通路棚に点在しているピッキング対象の商品トレイを1通路に集約してピッキングステーションに供給できる機能を有しており、従来システムに比べ順立て集約出庫時間を大幅に短縮できるものだったが、今回はそれをさらに大きく時間短縮することに成功した。

DatumixのAIアルゴリズムと既存アルゴリズムを同社内で比較した結果、立体シャトル自動倉庫からのオーダー集約出庫作業において、出荷される多品種の商品アイテムをオーダー単位に集約する時間を約20%短縮できることを検証したという。

Datumixは、同AIアルゴリズムにおいて立体シャトル自動倉庫デジタルツイン上で出庫にかかる時間を最小限に抑える検証結果を得られたことで、今後、実際の立体シャトル自動倉庫での検証も行う。またこの技術は、主に立体シャトル自動倉庫とAGV(Automatic Guides Vehicle。無人搬送車)・AMR(Autonomous Mobile Robot。自律走行搬送ロボット)への応用で培ったもので、さまざまな物流設備や機械に応用できるとしている。

Datumixは、同AIアルゴリズムを用いて、自動倉庫だけではなく、さまざまな物流設備や機械での技術応用を実現し、今後さらなる多様化・簡素化が見込まれる物流業界やEC事業に高い技術と革新性を伴った技術の提供を目指す。