テスラがソーラールーフの施工を開始、ソーラーパネルより安価

Tesla(テスラ)は、住宅用のソーラー屋根材の3つ目のバージョンを、米国時間10月25日のブログ記事と記者会見で発表した。テスラのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、この3代目Solar Roof(ソーラールーフ)の解説から記者発表を開始し、いくつもの質問に答えていた。同社は、数週間後にはソーラールーフの設置を開始し(すでに始まっているものもあるとマスク氏は言っていた)、1週間に1000件の新規設置を目指しているという。

設置後の外観は通常の屋根材と変わらず、それでいて発電ができるようデザインされたテスラのソーラールーフ屋根材は発展途上の技術だと言える。テスラでは、このコンセプトを発表してから3年間、ずっと改良を重ねてきおり、今までに、2つのバージョンを試験施行している。「バージョン1とバージョン2は、模索段階のものでした」とマスク氏は、先週開かれた収支報告会で話していた。加えて彼は「バージョン3で、ついに成功の準備が整いました」と語った。

テスラのソーラールーフのウェブサイトには、およその見積もりを計算できるページがあるが、それによると10KW(キロワット)のパネルで、平均的な2000平方フィート(約186平方m)の屋根の場合、4万2500ドル(約460万円)となっている。米国の8550ドル(約93万円)の税額控除を受けると3万3950ドル(約369万円)になる。家の住所を入力すれば、その地区での施行費用と、その地方の税額控除から価格を割り出してくれる。テスラのホームバッテリー「Powerwall」(パワーウォール)を追加した価格も知ることができる(2000平方フィートの場合は3台が標準で付属)。

「このソーラーグラスの屋根は、比較的新しい屋根をお持ちの方には経済的なメリットはないでしょう。これそのものが、発電する屋根材だからです」とマスク氏は説明する。続けて彼は、このバージョン3の製品により、テスラは「標準的な屋根の建設費用と(その屋根に載せる形の)ソーラーパネルの価格を下回る」プライスポイントを実現できたと述べていた。

「効果的な設置方法は実に簡単に知ることができます。私たちは、その目的でインストラソンを開催する予定です」とマスク氏。インストラソン(施行マラソン)とは、2つのチームが、小さなあるいは凝ったデザインの屋根にいかに早く施行できるかを競わせる企画だ。「施行方法だけに関しても、かなりの研究開発を行った」とマスク氏は後に繰り返し述べていた。

またマスク氏は、最初は専門の職人を雇い訓練するという。この計画は、最終的にはあらゆる外部の施工業者にも広げる予定だ。収支報告会では、マスク氏とテスラの担当者たちが、施行時間を通常の屋根材をふいて、その上にソーラーパネルを設置する場合よりも短くなるように力を注いでいると話していた。そしてマスク氏は、このソーラーグラスの屋根材を、通常の屋根材よりも早く施行できるようにすることが最終目標であると語った。これはバージョン2と比較して雲泥の差があると、マスク氏は言い足している。

「私たちは、今後数週間以内にできるだけ早く施行を開始します」とマスク氏は準備が整っていることを告げると目標は「数カ月以内」に「1週間に1000件」だと語った。

2018年9月付けのCNBCの記事は、発表から彼らが調査を行った日までの間に2年のギャップがあるにも関わらず、テスラはソーラールーフの施行をほとんど行っておらず、同年1月にニューヨーク州バッファローにあるテスラのギガファクトリーでソーラールーフの製造が開始されたが、ほとんど作られていないと伝えていた。だが、6月に開かれたテスラの定期株主総会では、マスク氏は3代目のソーラー屋根材の準備は進んでおり、正確な数は明らかにしなかったものの、その時点で米国の8つの州で施工を進めていると話していた。

マスク氏は、今日までに一部の製造に遅延があったこと、以前までのバージョンは施工が難しかったことを認めた。そして彼は、テスラのモデル3の増産に触れ、「この1年から1年半の間、ソーラー部門からは実に多くの資源を融通していました」と話した。モデル3による障害が大幅に取り除かれたことで、会社としてこちらのチャレンジに本腰が入れられるようになったという。

マスク氏は、この製品の到達可能市場を世界の住宅1億軒のオーダーで見積もっており、実際に世界展開を意図していると強調した。

ローンチ時点では、ソーラールーフの仕様は1種類しかないが、できるだけバリエーションを増やしてゆくとマスク氏は話していた。それには、陶器やその他の素材に似せたものも含まれる。

ソーラー屋根材と施行には、耐風雨性(最大風速約58m毎秒など)と発電性能に25年間の保証が付く。ソーラールーフは、同等サイズの従来式の後付けソーラーパネルよりも多くの電力を発生する。しかし一方、個々のタイルの発電効率は従来式のソーラーセルよりも低い。それでも、カバーできる屋根の面積が広いためにソーラールーフのほうが高性能ということになるのだ。

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(翻訳:金井哲夫)

アメリカで増加するシェアハウススタートアップーー住宅不足解消への一手となるか

【編集部注】筆者のJoanna GlasnerCrunchbaseのレポーター。

実家から巣立った若者の行動はある程度パターン化している。まずルームメートを見つけてどこかに一緒に住み、次は一人暮らしもしくはパートナーとの同居。その後、家族で住むための家を購入し、もしかしたら芝刈り機にも手を伸ばすかもしれない。

新設住宅市場の様子を見てみると、この常識が未だにしっかりと成り立っているとわかる。今年に入ってからアメリカで新たに建てられた住宅のうち、約3分の2がこぎれいな庭と大きな駐車スペースのある核家族向けのものだったのだ

しかしスタートアップ界では、住宅の未来について少し違った意見を持つ人が多いようだ。というのも、現在ハウスシェアリングが徐々に盛り上がりを見せているほか、短期契約物件や人との触れ合いを重視したサービス、人気エリアにある小さな部屋などが人気を呼んでいるのだ。

ルームメートとベンチャーキャピタルを求めて

住宅に特化した不動産スタートアップに関するCrunchbase Newsの分析の結果、シェア物件や短期賃貸物件を運営し、ここ1年前後で資金調達を行った企業が多数存在することがわかった。

これはアメリカだけの現象ではない。中国やヨーロッパ、東南アジアなど、世界中でシェア・短期賃貸物件を扱い、資金調達に成功したスタートアップの数が増加している。しかし本稿ではアメリカのスタートアップに絞って話を続けていく。下の表は、最近資金調達を行った企業をまとめたもの。

何か気づくことはないだろうか? そう、上の表に含まれる企業すべてがニューヨークかサンフランシスコのベイエリアに拠点を置いているのだ。両都市は住宅不足、そして家賃の高さでよく知られている。ただし、彼らは主要都市で住居スペースを提供しつつも、ロサンゼルスやシアトル、ピッツバーグといった街へも進出し始めている。

白いピケットフェンスからパーテーションへ

1950〜1960年代にかけ、アメリカ郊外の開発にあたったディベロッパーは、単に家を売っていたわけではない。彼らは芝で覆われたクォーターエーカー(約1000平方メートル)の庭や食器洗濯機、そして広いガレージのある家ーーつまりアメリカンドリームという名のビジョンーーを売っていたのだ。

同様に、シェア物件を扱うスタートアップもアメリカンドリームとは違うビジョンを販売していると言える。そしてそのビジョンには、部屋を借りるだけでなくコミュニティに参加し、友達を作り、街を知りたいという若者の想いが反映されている。

HubHausのスローガンのひとつに「rent one of our rooms and find your tribe(部屋を借りてあなたの仲間を見つけよう)」というものがある。たった3年ほど前に設立された同社は、現在ロサンゼルスとサンフランシスコのベイエリアにある合計約80件もの物件を管理しながら、ルームメートのマッチアップサービスやグループで参加できるイベントの企画を行っている。

別のスタートアップStarcityは、自分たちのことを”孤独感に対する薬”と呼ぶ。「社会の中で孤独を感じる人は急増している。そこで、私たちは人を集めて意義ある関係性を構築することで、この問題を解決しようしている」と同社のウェブサイトには書かれている。

サンフランシスコを拠点とするStarcityのサービスは、単位面積あたりの居住者を増やすことにつながるため、同地の住宅不足の解決にも寄与していると言われており、Starcityのアパートには通常のアパートの3倍もの人数を収容できるのだという。

コストとメリット

シェアハウススタートアップのサービスは、一般的にアメリカのなかでも一番地価が高いエリアで提供されているため料金は決して安くはない。とはいっても、自力でアパートを借りるよりは安いことが多いようだ。

彼らの狙いは、プライベートな空間が限られていても、ロケーションが良く引っ越しも簡単で、すぐに誰かと知り合えるような物件なら入居したいと考える若者向けに、価格を抑えた住居を提供すること。

Starcityの場合、家賃は滞在期間に応じて月2000〜2300ドル(約22〜25万円)に設定されており、ここには公共料金などの基本コストも含まれている。他方HomeShareは、ツーベッドルームの高級アパートをパーテーションで区切ってスリーベッドルームに改造した部屋を貸し出しており、Starcityよりもスペースは広く、家賃は安い部屋で1000ドル(約11万)程度。

またシェアハウスサービスでは、通常1〜3か月の最短滞在期間が設定されたフレキシブルな賃貸契約が利用できるため、結果的にユーザーは住宅周りのコストを削減できると謳われている。さらにほとんどの物件は家具付きで、Wi-Fiを自分で設定する必要もなければ、別途電気代を支払う必要もない。

今後の動き

シェア・短期賃貸物件を扱うスタートアップは最近登場し始めたばかりなので、どの企業が優勢かを判断するのはまだ難しいが、将来的には同市場が成長し、高バリュエーション企業が多額の資金を調達することがあっても不思議ではない。Airbnbを見れば納得がいくだろう。使われていない部屋や住宅を旅行者や短期滞在者向けに貸し出すビジネスによって、彼らのバリュエーションは300億ドルにまで上昇したのだ。さらに主要都市における住宅不足を考慮すると、Airbnb以外のオプションへのニーズも十分あるだろう。

ここまでは住宅についての話を進めてきたが、短期かつフレキシブルでさまざまサービスを利用できるスペースは、すでに法人ユーザーのあいだで人気を呼んでいる。たとえば賃貸期間がフレキシブルな高級オフィススペースを運営するIndustriousや、カスタマイズ可能なオフィスを提供するKnotel、会議室とオフィスの貸出に特化したBreatherはそれぞれ多額の資金を調達しており、3社の合計調達額は3億ドルにのぼる。

タイミングとしては、今シェアハウススタートアップに人気が集まっているのが不思議に映るかもしれない。1980〜1994年前後に生まれたミレニアル世代は、すでにほとんどが大人の階段を登りきっており、「これから家を探す若者」という彼らのターゲット像とは重ならない。ミレニアル世代の平均年齢は28歳で、上になると30代も半ばにさしかかる。芝刈り機さえ持っている人もたくさんいるだろう。

しかし心配はご無用。その次に控える1995年以後生まれのジェネレーションZも人口全体に占める割合はかなり大きいのだ。そのため人口予測が正しければ、もしもミレニアル世代がシェアハウスから卒業しても、まだまだパーテーションで区切られた部屋を求める20代の若者の波は途切れないだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Image Credits: Bryce Durbin

工事店の便宜のため一般住宅の3Dモデルを作るHoverがGV(元Google Ventures)らから$25Mを調達

世界を3Dスキャンするスタートアップがこのところ増えているが、では3Dスキャンに対する一般消費者のニーズは奈辺にあるのだろうか? 多くの人びとにとって、家が人生最大の投資だろう。だからサンフランシスコのHoverは、そこからスタートすることにした。

Hoverは消費者の家の3Dモデルを作り、さまざまな工事などの見積を得やすく、そして理解しやすくする。同社は今日、GV, Home Depot, およびStandard IndustriesがリードするシリーズBのラウンドで2500万ドルを調達したことを発表した。同社の累計資金調達額はこれで5600万ドルあまりになる。

Hoverのユーザーは、特殊なハードウェアを買わなくてもよいし、3Dスキャンの技術的詳細を知っている必要もない。ユーザーは家を外から撮った写真を数枚撮り(ドローンは要らない!)、それらをHoverのアプリケーションに読ませるだけだ。アプリケーションはコンピュータービジョンの技術を使って写真を消化し、ユーザーの家の3Dモデルを吐き出す。

消費者にとっての利点は二つある。ひとつは、工事の検討。サイディングや窓の改良などの方針を検討し、決められる。もうひとつは、3D画像があると業者はより正確な見積を作りやすい。

同社のHover Connectというプロダクトは、消費者ではなく工事店が使って、さまざまな工事のセールス〜営業を行うために利用する。見込み客段階で3Dモデルを作らせてもらえると、いろんな提案もやりやすい。その後の見込み客との商談も、円滑に進むだろう。

スマホ用のアプリをここでダウンロードできるから、ご自分の家の3Dモデルを作ってみるのも、おもしろいかも。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SoftBank、Lemonadeの1.2億ドルのラウンドをリード――不動産損保投資にはGV、Sequoiaも参加

SoftBank Groupはやっと不動産事業でテクノロジーに投資する気になったようだ。

44億ドルをWeWorkに投資したSoftBankだが、この会社は本質的にオフィス・スペースの短期賃貸業務だ。4億5000万ドルを投じた Compassは金持ちのためのZillowだろう。しかし日本の巨大投資会社が今回リード1億2000万ドルの投資ラウンドをリードした対象はLemonadeだ。これは家屋の賃貸者と居住者の双方に保険を提供するスタートアップだ。

既存投資家、Alphabetの投資会社GV、有力ベンチャーキャピタリストのGeneral CatalystとSequoia Capitalも今回のラウンドに参加した。

損保業務というのは非常に難しいビジネスで、データサイエンスのための広汎なデータ、業務を成り立たせる顧客数を必要とする。Lemonadeはスマートフォン時代の新しいテクノロジーと市場の状況を利用してゼロから新らたに損保業務に参入する企業のパイオニアの1つだ。

Lemonadeの保険約款策定業務の大部分はチャットボットを利用したコンピューター処理によって自動化が図られている(AI利用かどうかについては明言できない。なるほど複雑な業務であるが、単に効率的なアルゴリズムかもしれない)。

まずこの点で大幅なコストダウンが図られている。しかしLemonadeはまた保険契約者が損害請求を当って正直に申告することを動機づける興味あるビジネスモデルも採用している。ユーザーはアプリから保険契約を行う際、まずお気に入りのチャリティー団体を選定する。保険請求を行わなかったことによって生じた期末の利益の一部はこチャリティー団体に寄付されるという仕組みだ。

つまりユーザーは保険契約から生じた利益が、どこかの顔のない企業役員のボーナスを増やすのに消えるわけではなく、自分の支持するチャリティーを後押しするために使われると知っていれば、苦労して請求額を水増ししようとしなくなるだろう、というわけだ。

Lemonadeによれば、同社は今回調達した資金を「史上初の消費者の方を向いた保険会社として、こうした業務を世界に拡大するために利用する」ということだ。また2018年には新たな保険商品を開発して顧客に提供していくという。ただしLemonadeが進出を予定していない分野の一つは自動車保険だという。CEOのDaniel Schreiberによれば「確かに巨大な興味ある市場だが、条件が厳しすぎる」とのことだ。

「Lemonadeはすでに9万件の保険契約を持っており、保険の対象の物件の総額は数十億ドルに達する」とSchreiberは述べた。

長年無風だった損保市場にTrōvCoverHippoSwyfftなど、最近多数のスタートアップが参入を試みている。

SoftBank Groupの上級投資専門家、David Thevenonは「ビッグデータとAIをシームレスに結合して新たなユーザー体験を創出することによってLemonadeは損保業界に本当の革命を起こそうとしている」と声明に書いている。

ただしSoftBankの広報担当者は、「投資が完了するまで大部分の質問に対する回答を保留する。また当社の投資専門家は出張中のため現在コメントできない」と述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook <A

Googleの検索でいちばん多い‘ハウツー検索’は何か?国別カテゴリー別に分かるサイトを立ち上げ

GoogleのNews Labが、検索のデータを利用する新しいWebサイトを立ち上げた。対話的ビジュアルデータが専門のジャーナリストXaquin G.V.が協力している。このサイトは、何らかの“ハウツー”を知ろうとする検索に関連したデータを集めているが、実はGoogleの検索ではこの「ハウツー検索」がとても多いことに、最近彼らは気づいたのだ。

このサイト上のビジュアルエッセイでXaquinが書いているところによると、彼は自分の検索経験からこれを思いついた。家にいると、自分には知識も経験もない小さな事件や事故がよく起きて、途方に暮れるのだ。ぼくもそう思う。トイレの水洗機能を直したり、ドアベルの配線をしたり、そんな単純なことでいつもGoogleを長時間利用してしまうのだ。

この新しいサイトはXaquinがデザインし、Google検索とそのTrendsツールを利用している。サイトを訪ねたユーザーはまず、ハウツーのトレンドを知りたい国の名前を入力する。自分の国でなくてもよい。すると、家の中の何/どこの修理に関する検索が多いかが、上図のようなイラストとともに表示される。たとえばカナダでは、ドアの修理がいちばん多く、次いで冷蔵庫やトイレの修理も多い。

世界中のハウツー検索の‘トップ100’も載っている。なかなか参考になる。それら100種はカテゴリーで分類され、その検索頻度が視覚化されている。

多くの人が知りたがっているのは、パンケーキの作り方、お金の儲け方、体重の減らし方、卵のゆで方などだ。キスの仕方、妊娠する方法、ネクタイの締め方、などを尋ねる人たちも、実は少なくない。あ、これはぼくも/わたしも知りたいな、と思ったら、イラストの上をクリックすると実際の検索結果のページへ行く。

サイトは、モバイルでも見やすいようにデザインされている。Google News Labのデータ編集者Simon Rogersによると、こういうビジュアルなストーリー展開を実験するのは、今後のモバイルのパフォーマンス向上対策のためでもある。そのためにはまず、オーディエンスの何割がモバイルで見ているかを、知る必要がある。

また、Googleの検索や、そこからの派生データが、将来のデータジャーナリズムや、人びとの興味をひく記事の構成および展開に、どのように利用されうるか、それを知りたいという目的もある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

不動産代理店の住宅販売案件をGmailのアシスタントで顧客ごとに管理するAmitreeが$7Mを新たに調達

リアルエステートテックのスタートアップAmitreeは、不動産代理店の仕事を楽にして、さらにその結果として、そのお店を利用する住宅購入者の人生をもっと楽にすることをねらっている。同社は、そのためのプロダクトFolioのためにこのほど、700万ドルを調達した。

Amitreeはここまで来るために、長くて奇妙な旅路を経験した。同社が最初に(2013年)ローンチしたのは、住宅購入者の権原移転手続きを一歩々々ガイドする消費者向けのツールだった。そのClosing Timeと名付けたプロダクトは、消費者が家の購入の完了までにやるべきすべてのことを順番に羅列した、トゥドゥリスト(to-do list)のようなものだった。

でも、誰もが知ってるように、人が家を買うサイクルは短くても10年に一度ぐらいだ。だからそのプロダクトは、消費者ビジネスに不可欠なリピーターを獲得できない。そこでAmitreeは振り出しに戻り、不動産代理店をターゲットとするFolioという新しいプロダクトを作った。

AmitreeのCEO Jonathan Aizenは曰く、“消費者が良質な住宅購入経験を得るために何よりも重要なのは、不動産代理店が有能であることだ”。しかし少なくともこれまでは、不動産市場におけるイノベーションといえばもっぱら、代理店とバイヤーの関係をディスラプトすることだった。それに対してAmitreeがねらうのは、不動産代理店の仕事を楽にするツールを作ることだ。

住宅購入者の場合と同じく不動産代理店にも、お客を商談の完結に向けて一歩々々導いていくためのトゥドゥリストがある。ただし住宅購入者と違って代理店は多くの場合、複数の商談を抱えている。顧客ごとの条件や商談の進捗状況などがさまざまに異なる購入案件を、ひとつひとつ正しく進めることは、ものすごく難しい仕事である。

そこでAmitreeのFolioが役に立つ。FolioはGoogle Chromeのエクステンションで、不動産代理店のメールアカウントに接続してスマートアシスタントになり、大量のメールを処理して、彼らが管理しているひとつひとつの商談が今どうなってるかを理解する手助けをする。

このツールは商談ごとにフォルダを作って、代理店のワークフロー管理を助ける。ひとつのフォルダーの中に、そのお客さんとのメールのやり取り、文書のファイル、関係先のコンタクト情報などをすべて入れておく。これにより、お客さんごとに毎回いちいち関連文書を探す手間がなくなる。また、商談の次の段階へ行くためにはどんなリマインダーをメールすべきかも、すぐに分かる。

約1年前に立ち上げたFolioは、不動産業界に根付きつつある。このChromeエクステンションは3万回あまりダウンロードされ、これまでに20万件あまりの商談を管理した。Amitreeの推計では、これはアメリカの不動産商談の総件数の約5%に相当する。

この成長ペースを維持したい同社は、Vertical Venture Partnersがリードするラウンドで710万ドルを調達した。これにはAccel PartnersやSeven Peaks Venturesなど既存の投資家も参加し、同社の総調達額は1300万ドルになった。

Aizenによると、今回得た資金の主な用途は、エンジニアリングとデータサイエンス方面の人材獲得だ。最初の三年半は7名の社員でやってきた同社も、おかげで今ではその倍になっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

リフォーム仲介のHouzzが巨額$400Mを調達、コマース部門はディープラーニングとARをフル活用

住宅リフォームのHouzzは成長を続けており、再び大きな資金調達に臨もうとしている。同社によるとその金額は4億ドル、複数の報道が告げる評価額は40億ドルだ。

2009年に創業したHouzzはリフォーム仲介サービスのほか、必要な家具や設備を見つけるためのツールも提供している。ユーザーは世界中におり、その市場はアメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス、ドイツ、ロシア、日本、イタリア、スペイン、スウェーデン、デンマーク、インドと幅広い。

同社の主な収益源は、各地元のリフォーム店や工事店などの紹介料(リスト掲載料)だが、同社のWebサイトやモバイルアプリからの、ディープラーニングやARを利用した直販にも熱心だ。

昨年の秋に導入したディープラーニングツールは、サイトに載ったユーザーの家の写真を分析して、そこに写っているのと同じような製品を同社のページから買うよう勧める(リコメンドする)。またモバイル上のAR機能で、新しい家具などと今のユーザーの家との相性をチェックできる。

最新の投資ラウンドは、Recodeの報道によるとIconiqがリードし、これまでにHouzzがSequoia, New Enterprise Associates, GGV Capitalなどから調達した2億ドルあまりに上乗せされる。

〔訳注: 写真はHouzzの協同ファウンダーでCEOのAdi Tatarko。このほか、最優秀アプリ賞インパクトの大きい女性ファウンダーなど、記事多し。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))