メディアプラットフォーム「note」運営が日経らから4億円を調達、新サービスの共同開発も

写真左からピースオブケイクCXOの深津貴之氏、ピースオブケイクCEOの加藤貞顕氏、日本経済新聞の渡辺洋之氏

クリエイターメディアプラットフォーム「note」やコンテンツ配信プラットフォーム「cakes」を運営するピースオブケイクは8月3日、日本経済新聞社、日本ベンチャーキャピタル、新潟ベンチャーキャピタルを引受先とした第三者割当増資により、約4億円を調達したことを明らかにした。

そのうち日経新聞社とは業務提携も締結(日経新聞側では今回3億円を出資したことを発表)。合わせて日経新聞社の常務取締役である渡辺洋之氏がピースオブケイクの社外取締役に就任している。

今後両社では双方の強みを生かした新しいサービスの開発・運営を共同で推進していく方針。具体的にはnote上での日経コンテンツの展開、日経上でnoteクリエイターの表現活動の展開、新サービスの共同開発などを進めるという。

ピースオブケイクは2011年の設立。代表取締役CEOの加藤貞顕氏がアスキーやダイヤモンド社で雑誌や書籍、電子書籍の編集に携わったのちに立ち上げたスタートアップだ。

2012年に公開したcakesは週150円でクリエイターの記事が読める定額制のサービス(8/3時点では2万本以上の記事が読み放題)。2014年からは個人がコンテンツを配信し、個人間で販売までできるプラットフォームnoteの運営も始めた。

特にnoteに関してはミレニアム世代を中心に月間600万人を超えるユーザーが集まるサービスに成長。多方面のクリエイターからTechCrunchにも登場したことのある起業家まで、さまざまな個人がnoteを通じて自分の意見を発信したり、コンテンツを販売したりしている。

今回日経新聞社と提携するにあたって加藤氏は「ピースオブケイクのミッションは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」ということです。創業以来一貫して、クリエイターが活躍できる場をつくることに注力してきました。今回の提携により、我々のサービスを利用するクリエイターが、ビジネスという新しい活躍の舞台を得られます。新しいものをつくる、次代のリーダーとなる人々が、活躍する場を一緒に作っていければと思います」とコメントしている。

なおピースオブケイクは2013年4月にフェムトグロースキャピタルとジャフコから3億円を調達。そのほか金額は非公開ながら、2012年から2017年の間にサイバーエージェント・ベンチャーズ電通デジタルファンドTBSイノベーション・パートナーズイードからも資金調達を実施している。

エイベックス、米Techstarsの音楽特化アクセラレータに参画ーー音楽スタートアップへの出資も発表

8月3日、エイベックスはアクセラレーターの米Techstarsが運営する音楽特化プログラム「Techstars Music」に参画することを発表するとともに、主に運動時に利用する携帯音楽プレイヤーを開発する米Mighty Audioに出資したことを明らかにした。出資金額は公表されていないが、関係者からの情報によれば数十万ドル規模だという。

Techstars Musicは、米国ロサンゼルスを拠点とする音楽特化型のアクセラレーターだ。2017年に第1回プログラムが始動し、これまでに合計で21社のスタートアップを支援してきた。エイベックスが参画するのは2019年2月より始まる第3回目プログラムから。

日本のエイベックスが米国を中心に実施されるアクセラレータープログラムに参加する理由として、エイベックスグループの投資会社Avex Venturesの長田直己氏は、「日本のストリーミング音楽ビジネスは欧米に比べて立ち上がるのが遅れ、(CDなどの)パッケージ依存から脱却しきれていない。その結果、全体の音楽市場はまだ下降カーブの途中にある。今後、私たちも音楽・エンタメ領域で新規事業を生み出して成長しなければ生きていけないが、そのためには海外にもアンテナを張る必要があると考えた」と話す。

今後、エイベックスはTechstars Musicへの参画を期に、共に新規事業を創出するスタートアップのパートナーを探し出し、出資などを通してオープンイノベーションを加速させていく方針だという。

その第一弾として同社が出資を発表したのが、米国スタートアップのMighty Audioだ。同社は運動時の利用を想定したわずか17gの音楽プレイヤーを開発している。スマートフォンを利用してあらかじめSpotifyの音楽を同期しておけば、あとは単体で音楽を再生することが可能だ。僕もデモ機を実際に触ってみたのだけれど、ほとんど重量を感じない重さなので、トレーニングウェアにクリップで留めておけば運動の邪魔にはならないはずだ。

Mighty Audioの携帯型音楽プレイヤー

Mighty Audioの音楽プレイヤーは現在のところ日本国内では正式販売されていないが、第2世代が販売される2019年初頭をめどにエイベックスが独占流通パートナーとして正式流通を始める予定だという。

「日本市場に悲観的であるわけではない。日本の音楽市場はかつて世界1位の規模を持っていたことからも分かるように、日本人は音楽に対する情熱、高い技術力、文化的センスを持ち合わせていると思う。オープンイノベーションを通して、ストリーミングへの移行というパラダイムシフトに貢献していきたい」(長田氏)

みんなのウェディング元代表が立ち上げたsoeasyが1.1億円を調達、動画×AIで組織の生産性向上へ

お役立ち15秒動画SNS「soeasy(ソーイージー)」や動画とAIを使ったノウハウ共有サービス「soeasy buddy(ソーイージーバディ)」を展開するsoeasy。同社は8月2日、ジャパンベストレスキューシステムと複数名の個人投資家を引受先とした第三者割当増資により、総額1.1億円を調達したことを明らかにした。

soeasyは6月にTechCrunchでも紹介した通り、以前みんなのウェディングで代表取締役を務めていた飯尾慶介氏が2016年12月に設立したスタートアップだ。同社では動画を通じて知識やノウハウをシェアするサービスを、個人向けと法人向けにそれぞれ運営している。

最初に立ち上げたのは職種や国籍などバックグラウンドが異なる人同士が、自身の知恵を15秒の動画でシェアできるsoeasy。例えばブロッコリーの下ごしらえの方法といった料理ネタや、最速のTシャツたたみテクニックといった生活ネタをはじめ、防災対策、冠婚葬祭のマナー、笑いをとるコツ、お役立ち商品の紹介など幅広い動画TIPSが集まっている。

2016年の8月にFacebookページとWeb版からスタートし、2017年9月にはiOSアプリをリリース。現在Facebookページのいいね!数は50万を超え、大手クライアントとのタイアップ企画や店頭サイネージへの動画提供などにも取り組む。

そして「動画を軸にしたノウハウを共有サービス」という概念をチームに持ち込んだものが、前回紹介した2018年4月リリースのsoeasy buddyだ。

同サービスでは商談時の営業トークや理想的な接客方法など、お手本となる動画をスマホで撮影してアップすることで動画マニュアルを作成。そこに現場スタッフが実践して得た知見やシェアすることで、このマニュアルがどんどんアップデートされていく仕組みになっている。

実際には質問・投稿画面や情報・共有画面を通じて自身のノウハウを共有していく形式。その際の投稿内容や頻度、それに対して行われたリアクションをもとに、AIを用いて「貢献度偏差値」をスコアリングしている点がポイントだ。

このスコアは人事評価に活用することもできるので、上手く機能すればメンバーが積極的にノウハウを社内へ還元し、お互いに高め合うような文化を構築することにも繋がるだろう。

soeasy buddyでは自社で投稿した動画に加え、社会人の基礎スキルやビジネスマナーなどの基本研修動画がデフォルトで搭載。管理者側の画面からは各メンバーの視聴状況が把握できるほか、課題を設定することでスキルの定着も促進できる。

6月の時点で「化粧品業界やブライダル業界を中心に数十社へ導入済み」という話があったけれど、直近では建設業界や美容業界、飲食業界など業種が広がってきているそう。

soeasy取締役の​中野慧氏によると「人手不足の環境の中で、今いる社員に今ある接客の型をしっかりと教育して提供サービスの質を向上させたい」「現場のスタッフが、接客や営業で得た発見をどんどん自発的に発信することによって、組織の成長速度をどんどん早めていきたい」というニーズから導入に至った企業が多いという。

同社では今回調達した資金をもとに開発や販売体制を強化する方針。また調達先のジャパンベストレスキューシステムとは、soeasy buddyを活用した現場の課題解決やノウハウ共有の効率化に向けて事業面でも協業していく予定だ。

「soeasy buddyでは国内の様々な業界で使っていただけるように営業活動を行なっていくとともに、『現場が自発的に発見をストックしていく』というサービスの鍵となるUXに磨きをかけていく。soeasyに関しては面白いコンテンツが全てなので、引き続き投稿者を増やしていくべく、様々な仕掛けを準備している」(中野氏)

3Dキャラ作成がタダ、VTuberアプリ「Vカツ」公開 スマホ版も月内

eng-logo-2015IVRは、世界初をうたうVTuber支援アプリ「Vカツ」をSteamで公開しました。Windows 7 / 8.1 / 10に対応。スマホ版も8月中の公開を予定します。

Vカツは、3Dキャラクターの作成からアニメーション、さらには表情付けを無料で行えるツールです。顔・髪・体・衣装・アクセサリーなど、300を超える設定項目から自分だけのキャラクターを生成することが可能。人ではないアバター、例えばロボットなども生み出せます。

作成したキャラクターは、モーショントラッキングを備えるVRデバイス(HTC Vive / Oculus Rift / Win MR)で意のままに動かすことが可能。VRM規格に対応し、バーチャルキャスト経由でニコニコ動画やYouTubeでもライブ配信できます。商用利用も可能です。

「現在は300万円~400万円ほどが必要になるVチューバーアバター作成費用がなんと無料!Vカツは、コストを理由に作成を断念していたユーザーを後押しして、爆発的にVチューバーを生み出し 『Vチューバーの民主化』『1億総Vチューバー』を目指しています!」(公式ホームページより)

なお、Android / iOS版も2018年8月の配信開始を予定しているとのこと。

今回の配信開始を記念して、総数200点以上のアバターをカスタムできる追加パーツを「アバター強化パック」として無料配布。また、VTuberデビューに必要なVR機器をプレゼントするキャンペーンも実施するとしています。

Engadget 日本版からの転載。

採用面接や履歴書はもういらない、2ステップですぐに働ける「タイミー」がリリース

写真中央が代表取締役の小川嶺氏

本日リリースされたばかりの新アプリを1つ紹介しよう。人手が足りない飲食店などのお店と、暇な時間を有効活用したい人たちをマッチングするサービス「タイミー」だ。同アプリでは、個別のお店ごとの応募や採用面接が不要で、アプリに空いた時間を入力するだけで、数多くの候補から“サクッと働ける”お店を探すことができる。

タイミーの特徴はその直感的なUIだ。例えば、タイミーを利用するユーザーが、ある特定の日に正午から17時まで空いているとすれば、正午から17時の場所まで時計型のUIを指でなぞることで自分の暇な時間を入力できる。

あとは、「渋谷駅周辺」など自分が働きたい場所を入力すればお店の候補が表示される。タイミーはこのときのUIにもこだわっていて、Google Mapのようにマップ上に候補のお店が並び、自分が指定した場所からの位置と時間給を一目で把握できるようになっている。

冒頭で述べたように、タイミーは基本的に“採用面接不要”で働けることをウリにしているサービス。でも、タイミーに登録するお店側からすればこの点は心配の種となるだろう。

そのためタイミーでは、働く人がお店から評価され、それがプロフィールに評価データとして蓄積される仕組みになっている。応募を受け取ったお店は、「指定した時間になっても現れない」、「真面目に働かない」など評価の悪いユーザーからの応募を断ることもできる。その逆に、働く人がお店を評価する仕組みもあり、タイミーのユーザーは安心してお店を選べるように配慮されている。

リリース時点で、タイミーには約50店舗のお店が登録されていて、その約半数は飲食店だという。慢性的に人手が不足する飲食店でタイミーが歓迎されやすいという理由はあるだろうが、それだけでなく、タイミーは将来を見越して戦略的に飲食店の登録を増やしてきたことも事実だ。

タイミー代表取締役の小川嶺氏は、「タイミーの仕組みやUIは、働く人とお店のマッチング以外にも適用できる。例えば、構想として考えているのは、ユーザーが暇な時間を入力するだけで、その時間に予約ができる(席がある)お店がマップ上に表示されるなどのサービスだ」と話す。そのために、飲食店の登録を増やし、今からお店のデータを蓄積していこうというのがタイミーの考えのようだ。

タイミーは2017年8月の創業。現在同社はリリース後のサービス拡大に向けて資金調達ラウンドを実施中だという。

良質なレビューにはトークン報酬、グルメSNS「シンクロライフ」が新バージョンのβ版公開

AIを活用したパーソナライズエンジンによって、ユーザーのレストラン探しをサポートするグルメSNS「シンクロライフ」。このグルメサービスがトークンエコノミーの仕組みを持ち込んで、新たにバージョンアップしたようだ。

シンクロライフを運営するGINKANは8月2日、同サービスの新バージョンのβ版を公開した。

新しくなったシンクロライフでは良質なレストランレビューを投稿したユーザーに対し、報酬として独自のトークン(SynchroCoin)が付与される仕組みなどが追加。トークンエコノミーを活用することで、自律性を持ちながら成長し続けるレストランレビュープラットフォームの構築を目指すという。

なおGINKANでは2017年9月に香港法人SynchroLife LimitedにてICOを実施。今回のβ版は同プロジェクトのロードマップにおいて、最初のマイルストーンとしていたものだ。

シンクロライフは「AIとユーザーが作るレストラン格付けガイド」をコンセプトとしたグルメSNS。各ユーザーごとの食の好みなどを学習し、レストラン検索やフィードをパーソナライズすることで、自分に合ったお店を探しやすい環境を作っている。

同サービスには現在17万件以上のレビュー、42万枚の写真が掲載。全登録ユーザーのうち19.68%のユーザーがレビューを投稿しているという。日本語からスタートしたのち、2017年7月には英語・韓国語・中国語にも対応。世界中で利用できるグローバル版の展開を開始した。今は82ヶ国でユーザー登録、48ヶ国でレビュー投稿がされているそうだ。

そして冒頭でも触れた通り、今回の新バージョンでは従来の仕組みにトークンという概念やウォレットという機能が加わることになる。

シンクロライフでは現在のレビュー貢献度のスコアをより合理的なアルゴリズムへとアップデートするとともに、良質なレビュー投稿者がSynchroCoinをインセンティブとして受け取れる仕組みを導入。レビュー、翻訳、レストラン情報の作成や更新などへ報酬が提供されるようになる。

この報酬制度はレビュアーの信頼スコアが反映される構造のため、しっかりと機能すれば不正やレストランから依頼を受けて投稿することを抑制し、健全なグルメSNSを育てることにも繋がりそうだ。

また今回全てのユーザーが利用可能な暗号通貨ウォレット機能も追加。報酬として受け取ったSynchroCoinが管理できるほか、ETHを始め様々な暗号通貨を追加予定とのことだ。

なお今後加盟店で飲食をした場合に、食事代金から還元リワードとしてSynchroCoinを受け取れる仕組みを展開する計画。トークンを受け取る際にもこのウォレット機能を利用することになるという。

当然ながら細かい機能や特徴に違いはあると言えど、レストランのレビューを投稿したり美味しいお店を検索できるプラットフォーム自体は「食べログ」や「Retty」などを含め複数存在する。

ただ今回のシンクロライフの取り組みはとてもユニークかつ興味深いものではないだろうか。アプリを見ている限り、2018年冬以降にはSynchroCoinをレストランの食事券と交換したり、食事代金の決済で利用したりできるような仕組みも予定しているようだ。

これは勝手な想像だけど「レビューを投稿して獲得した報酬を使って新しいレストランで食事を楽しみ、そのレビューを書いてまた報酬を手にする」といった新たな経済圏のようなものが誕生する可能性もありそうだ。

“社食版オフィスグリコ”の「オフィスおかん」運営が7億円を調達、累計で約1200社に導入

オフィスに冷蔵庫と専用ボックスを設置することで、従業員が惣菜やご飯、カレーといった健康的な食事を低価格で楽しめるサービス「オフィスおかん」。同サービスを提供するおかんは8月2日、複数の投資家より総額7億円の資金調達を実地したことを明らかにした。

今回おかんに出資をしたのはグローバル・ブレインと楽天(楽天ベンチャーズ)、それから既存株主でもあるYJ キャピタル、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルだ。なおグローバル・ブレインについてはグローバル・ブレイン6号投資事業有限責任組合と31VENTURES Global Innovation Fund 1号(三井不動産とグローバル・ブレインにより組成されたファンドで運営はグローバル・ブレイン)からそれぞれ出資をしている。

おかんは2014年にサイバーエージェント・ベンチャーズとオイシックスから、2015年にもYJ キャピタルなど4社から資金調達を実施。今回も含めると累計の調達額は約10.5億円になるという。

同社では調達した資金をもとに、主力サービスであるオフィスおかんの拡大に向けてマーケティングや開発体制を強化する計画。また新規事業にも予算を投じていく。

働き方改革の波にも乗って、累計1200社に導入

オフィスおかんについては前回の資金調達時にも紹介しているが、“社食版オフィスグリコ”と言えばイメージがわきやすいかもしれない。

導入企業の従業員はさばの味噌煮、ひじき煮、玄米ごはんといった約20種類のメニューを1品100 円で購入できるのが特徴。冷蔵庫と専用ボックスを設置するスタンダードなものに加え、最近では規模が大きい企業用に自販機型のプランも始めている。ビジネスの構造としては法人向けのサブスクリプション型サービスとなっていて、企業が月額利用料を負担する仕組みだ。

もともとは個人向けサービス「おかん」からスタートし、2014年3月にオフィスおかんをリリース。主力事業へと成長したオフィスおかんの導入企業数は、2015年11月の約200社から3年弱で累計1200社まで増えている。

おかん代表取締役の沢木恵太氏によると「初期はIT系の企業に偏っていたが、最近では病院やクリニックといった医療福祉業界や百貨店やカラオケ店のバックヤードなどサービス業をはじめ、多様な業種で導入してもらえている」とのこと。規模も3名ほどの所から5000人を超える企業まで幅広く、対象エリアも1都3県から全国の企業へと拡大した。

近年は働き方改革や健康経営といったキーワードが徐々に浸透し始めていることもあり、ここ数年で導入を検討する企業のニーズも「健康経営を推進するための手段として導入したい、ホワイト500の取得に向けたひとつの施策として導入したい」といったより具体的なものが増えてきたという。

オフィスおかんは今後日本で高齢化と労働人口の減少が進んでいく中で、健康・育児・介護といったライフスタイルと仕事の両立をサポートするべく立ち上げたサービス。ここ数年で新たなトレンドが生まれ企業の意識が変わってきたことは、同社にとっても追い風だ。

導入企業では従業員の食のサポートに加えて「ロイヤリティ・満足度の向上」「社内コミュニケーション活性化」「女性の育休復帰率向上」など、社内の課題を解決するツールとして活用されているそう。特に最近では人材採用が難しくなっていることを受け、人材の定着や新規の採用促進の目的でオフィスおかんを導入するケースも増えているという。

裏側のサプライチェーンを磨いてきた4年間

表向きはシンプルでわかりやすいサービスに見えるだけに、特に初期は大企業に真似されたらどうするの?と言われることも度々あったそう。

ただ沢木氏によると裏側のサプライチェーンの構築が思った以上に面倒で、かつ事業を成長させるためのカギとなる部分であり、この仕組みを時間をかけて磨いてきた。

「一定日持ちするとは言え賞味期限があるので需要予測の重要性が高く、オペレーションによってもコスト構造がかなり変わってくる。そういった部分を4年以上やり続けてきた。ある意味エンドユーザーではないものの、ラストワンマイルを抑えている。そこに対するサプライチェーン部分をシステムなども絡めて構築できてきているので、真似しづらい独自の仕組みができてきたと思っている」(沢木氏)

現在オフィスおかんで提供しているメニューは、地方にある6〜7箇所の工場とタッグを組み共同開発という形で製造。一部定番のメニューはあるものの毎月3分の1ほどは入れ替えているそうで、だいたい3ヶ月でほぼ一新されるのだという。

各メニューについては販売データをウォッチしながら定量的なアプローチを中心に企画・開発していて、その点はD2C(Direct to Consumer)型のプロダクトに近い構造とも言えるだろう。

オフィスおかんの成長と新規事業の創出目指す

今回の資金調達のひとつの目的は、一連の仕組みができてきた中でさらにオフィスおかんの成長スピードを上げることだ。

「オフィスおかんについてはかなり社会的ニーズが強まっていて、自社としても形ができあがってきているのでスケールアップを目指していく。SaaSに近しいモデルなので、ユニットエコノミクスを見ながらマーケティングをしっかりやれば伸ばしていける感覚がある。(規模の拡大を目指す上で)提供している商品の品質やサプライチェーンの仕組みをさらに良くするための投資もしていく」(沢木氏)

また現時点ではまだ詳細は言えないとのことだが、オフィスおかんとはまた異なるアプローチで「『働く』と『ライフスタイル』の両立」を実現するための新規事業にも力を入れていく計画だ。沢木氏によると、新サービスはオフィスおかんよりも「HRや健康経営よりのプロダクト」になるという。

「高齢化や労働年齢人口の減少は重要な社会問題になっている。これを解決するためには個々人の努力だけでなく、企業側が正しい課題意識を持ち、正しい施策に対して投資をしていくことが必要。それを促せるような事業を目指していく。足りてないピースがまだまだあるので、そこをひとつずつ埋めていきたい」(沢木氏)

フリマアプリ、経済効果は年間最大約752億円ーーメルカリが調査結果を発表

メルカリを含むフリマアプリは個人間での物品売買をより手軽にした。だが、その登場は消費行動の変化や周辺サービス業界に一体どのような影響をもたらしているのだろう。そんな疑問をメルカリが調査し、結果を7月31日に発表した。

同調査によるとフリマアプリの周辺サービス市場への経済効果は最大で年間約752億円にもおよぶ。また、以前にも増して、梱包材などを買うために100円ショップに足を運んだり、衣類や靴の修理のためにミスターミニットなどのリペアショップに通うユーザーが増えてきているそうだ。

「フリマアプリの利用によって以前より増して使うようになった店やサービスは何か」という問いに対し、43.9%が商品発送の目的で郵便局の利用が増えたと回答。39.9%はコンビニの利用、33.3%は包装や梱包資材購入目的で100円ショップの利用が増えたと答えている。年間の利用頻度の変化が最も大きかったのが郵便局で1.8回増、次いで宅配便営業所とクリーニングが1.6回増だった。

そのような店やサービスの利用金額の変化は1人当たり年間平均で合計約4143円増加。クリーニングの利用金額変化が最も大きく683円、洋服の仕立て直しが538円、そしてホームセンターがハンドメイド・DIY資材の購入目的で533円増加している。

これらは「より良い状態で洋服などを次のオーナーに届けたい」といったユーザーの想いからきている。42.5%が「修理が必要だがまだ使えるモノを修理して出品してみたい」という意向を持っており、年代別にみると、20代の51. 9%、30代の43.4%、40代の39.1%が同様だった。

だが、上でも説明した「フリマアプリの利用によって以前より増して使うようになった店やサービスは何か」という質問に対し、クリーニングと答えたのは4%、靴・カバン・時計の修理は3.6%、洋服のお直しは2.5%、家電修理は2.4%にとどまっている。

メルカリの小泉文明社長兼COO

メルカリの小泉文明社長兼COOは当日行われた発表会で「リペアはまだ小さいパーセンテージ」だと話したが、「徐々に目に見える形になってきた。変化を感じた」と加えた。

調査を監修した慶應義塾大学大学院経営管理研究科の山本晶准教授いわく、上記パーセンテージは「過去1年間の利用経験者の数字」。同氏は「利用の”意向”を聞くともっと数字が高くなる」と捕捉し、「変化の兆しを感じる」と語った。

修理してフリマに出品して見たいと思う理由は「修理した方が高く売れるから」、と答えた人が65.1%。「修理した方が買った人が喜ぶと思うから」が36.7%、「修理した方が早く売れるから」が28.9%となっている。

本調査は全国のフリマアプリ利用者1032名を対象に7月6日から7日に行われた。対象は20代から50代。男女比は1対1となっている。

視界に「速度」「位置情報」──HUD付きスマートヘルメットをJDIが発表

eng-logo-2015JDI(ジャパンディスプレイ)は、バイク用のスマートヘルメットを開発しました。HUD(ヘッドアップディスプレイ)を内蔵し、オートバイで走行しながら視界の中に速度やGPS、着信・メールなどの情報を投影することができます。

このスマートヘルメットは、車載HUDに採用されているユニットの小型化により実現。オートバイをはじめとするモータースポーツでは、スピードメーターなどの確認時に視線を移す必要がありますが、HUDを組み込んだことで、走行時の視線を維持した状態で情報を確認できます。

現時点ではコンセプトモデルであるものの、2019年に同様の機構を備えた製品の発売を目指しているとのこと。また、オートバイやモータスポーツだけでなく、サバイバルゲームや建設現場・警備などさまざまな分野で活用できるといいます。

ソニー・東芝・日立の中小型ディスプレイ事業を統合して設立したJDIは、「モノづくり」から「コトづくり」への転換を掲げ、B2Cへの参入を表明。自社のディスプレイ技術を活かしたユニークな新基軸の製品・サービスを投入し、経営再建を図りたい考えです。

Engadget 日本版からの転載。

あと9年で僕たちは宇宙に行けるかもしれないーー民間による有人宇宙飛行を目指すSPACE WALKER発足

「2027年にスペースプレーンで人間を宇宙に飛ばす」ーーそんな大きな目標をかがけた日本のスタートアップがいる。本日プロジェクトの発足を発表したSPACE WLAKER(スペースウォーカー)だ。同社はこれから、九州工業大学、IHI、JAXA、川崎重工業などと共同で2021年に無人のサブオービタル宇宙飛行用の機体を飛ばし、2027年には民間事業として有人宇宙飛行の実現を目指す。

SPACE WALKERのプロジェクトのルーツとなったのは、2005年より開始した九州工業大学の有翼ロケットプロジェクトだ。この研究は現在も継続中で、8月末には実験機である「WIRES #014-3」の打ち上げが予定されている。

WIRES#014-3の全長はわずか1.7メートル、総重量も42キログラムとその規模は小さい。だが、SPACE WALKERと九州工業大学は今後も機体の共同開発を続け、有人飛行に耐えうる安全性と性能をもった機体の開発をめざす。2027年の有人飛行では、IHI製のLNGエンジンを3基搭載した、全長15.9メートル、総重量18.7トンの機体が開発される予定。このスペースプレーンに乗り、乗員2人、乗客6人の計8人が宇宙に飛び立つことになる。

8月末に打ち上げられる「WIRES#014-3」の実機

有人飛行用のスペースプレーンは、発射から約4分ほどで高度120キロメートルに到達する。地球が丸く見え、無重力状態となる高度だ。乗客は約3〜4分のあいだ無重力状態を楽しみ、その後地球に帰還する。ちなみに、この「スペースプレーン」とは一般的な航空機と同じように特別な打ち上げ設備を必要とせず、自力で滑走し離着陸および大気圏離脱・突入を行うことができる宇宙船のことを指す。

この壮大なプロジェクトを構想したSPACE WALKERの創業メンバーは全部で10人。ファウンダーで九州工科大学教授の米本浩一氏(SPACE WALKERファウンダー)、宇宙ステーション「きぼう」の運用会社のJAMSSで代表取締役を務めていた留目一英氏(同取締役会長)など、創業メンバーの約半数は宇宙領域の専門家だが、残りの半数はスペースプレーンのデザインやブランディングなどを手がけてきた大山よしたか氏(同CEO)、元ミクシイ執行役員の辻正隆氏(同取締役)など専門領域や世代を超えたメンバーで構成されている。

代表取締役COOの眞鍋顕秀氏は、「ベンチャー企業であるSPACE WALKERの役割は、これまで日本が培ってきた宇宙関連技術をインタグレーターとして取りまとめて、民間事業として有人宇宙飛行を実現すること」と話し、そのために世代や業種を超えた組織体制を構築したという。

今後SPACE WALKERが開発予定のスペースプレーン

オールジャパンの技術と人材により、民間による宇宙旅行事業の実現を目指すSPACE WALKER。でも正直なところ、少なくとも現時点では同プロジェクトはまだブループリントの域を出ないという印象だった。

米本氏は「2021年の無人飛行には100億円規模の開発費用が必要。2027年の有人飛行では、1000億円を超える規模まで考えないと、安心して人間を乗せられるレベルのものはできない」と話す一方、設立段階のSPACE WALKERの資本金はわずか100万円。現在同社はいわゆるエンジェルラウンドとしてエンジェル投資家、シード投資家を対象とした資金調達ラウンドを実施中としているが、そこで資金が集まるかもまだ定かではない。

また、民間企業として宇宙飛行ビジネスを行うと聞けば、事業化まで食いつなぐための資金調達計画や、事業を立ち上げたあとのマネタイズ方法が気になるところだけれど、眞鍋氏は「これまではとにかくチームの構築に注力してきた」として、資金調達計画や宇宙飛行事業の“値段感”を具体的に示すことはなかった(値段が分からなければ、貯金のしようもない!)。

それでも、テクノロジー好きのTechCrunch Japan読者のみなさんがSPACE WALKERの話を聞いてワクワクしないはずがない。“2027年”と書くとなにか遠い未来のように感じるかもしれないけれど、彼らの計画では、あと9回だけ年を越せば僕たちが宇宙に行ける未来がやってくる。その胸踊る未来が実現するために、SPACE WALKERはこれから今のブループリントを現実味を帯びたロードマップにしていく必要がある。これから、その過程に注目が集まりそうだ。

さて、先日ニュースにもなった「スターウォーズ」を見返して、宇宙旅行の予習をしておくとしよう。

人の声から感情を解析するAI開発のEmpathが総額3億2000万円を資金調達

音声から感情を解析する人工知能を開発するEmpath(エンパス)は、SXキャピタルSBIインベストメントの2社が運営する各ファンドから7月31日、総額3億2000万円の資金調達を完了した。

Empathが開発するのは、音声のスピード、ピッチ、トーンなど物理的な特徴量から、気分の状態を独自アルゴリズムで判定するプログラム。数万人の音声データベースをもとに、喜怒哀楽や気分の浮き沈みを判定する。プログラムは開発者が利用できるよう、Empath APIとして提供。TechCrunchでも過去にApple Watch用アプリ「EmoWatch」に組み込まれたAPIとして、この技術を紹介したことがある。

EmpathのAIは言語に依存せずに感情解析が可能なことから、現在世界50カ国、約1000社に利用されているという。活用分野はメンタルヘルス対策やマーケティングなどさまざま。奈良先端科学技術大学院大学との共同研究やNTTドコモとの被災地支援事業で採用されたほか、ロボティックスやコールセンターなど幅広い分野で使われているそうだ。

Empathは、スマートメディカルのICTセルフケア事業部門としてスタートし、2017年11月にスマートメディカルの子会社として独立した企業。ルクセンブルクで開かれる世界的なイベントITC Spring 2018で開催されたスタートアップピッチでは日本企業として初めて優勝するなど、海外のピッチコンテストで複数の優勝経験を持つ。

同社は今回の資金調達により、Empath AIの機能拡充と、Empathの感情解析を利用した新しいコールセンターAIの開発に取り組む。また感情コンピューティング領域の人材獲得にも投資していくという。

CAMPFIRE、APAMANグループ会社と資本提携——fabbitとの業務提携に続きスタートアップ支援を推進

クラウドファンディングプラットフォームの「CAMPFIRE」などを運営するCAMPFIREは8月1日、APAMANグループに属する子会社を通じて出資を受け、資本提携を結んだことを明らかにした。この提携は6月に行ったAPAMANのグループ会社fabbitとの業務提携に続くもの。出資金額などは公開されていない。

コワーキングスペース運営やスタートアップ支援を行うfabbitとの6月の提携では、クラウドファンディング実施時のプロジェクトページの作成サポートやイベント実施時の会場レンタル、プロダクトの常設展示場所提供による「スタートアップ支援プログラム」を開始した。

このプログラムは、CAMPFIREの持つ資金調達ノウハウと、国内外で35カ所のコワーキングスペースを運営、約3000社(名)の会員を持つfabbitの施設と会員をつなげてサポートを実施することで、個人やスタートアップ企業の資金調達を支援するというもの。fabbit会員はCAMPFIREの手数料を、CAMPFIRE会員はコワーキングスペースやイベント会場を特別価格で利用することができる。

今回のAPAMANグループ資本提携により、両社はスタートアップ支援プログラムをより強力に推進することを目指すとしている。

CAMPFIREはこの数カ月、他社との連携を積極的に進めている。6月1日には老舗アパレル企業のワールドと資本業務提携を締結。ファッション領域でクリエイターや企業などを支援する取り組みを始めている。またパルコとの業務提携により、7月26日からパルコが運営していた購入型クラウドファンディング「BOOSTER(ブースター)」の共同運営を開始している。

動画にクリック可能なタグを埋め込み行動促す、インタラクティブ動画のMILが資金調達

インタラクティブ動画の編集ツール「MIL(ミル)」を提供するMILは8月1日、Reality Acceleratorとクリエーティブエージェンシーのトリクルから5000万円を調達したと発表した。同社は日本政策金融公庫から3000万円の借り入れも行なっており、それを含めた調達総額は8000万円となる。

MILが提供するのは、動画のなかに映る人物やモノにタグをつけることでインタラクティブ性をもたせた動画を編集するためのツールだ。ユーザーは動画上に配置されたボタンなどをクリックすることで、例えば動画に映るモノの商品ページに飛ぶことなどが可能になる。

同業他社の編集ツールには広告代理店をメインユーザーとして捉えているものが多いが、MILは例えばスタートアップなどの一般企業でも簡単に使えるようなUI/UXを追求し、価格についてもスタートアップ用プランであれば月額1万円からと安く設定しているという。ユースケースとしては、自社で制作した採用動画にインタラクティブ性を持たせて採用ページに誘導したり、その動画に映る社員をクリックすることで“社員インタビュー”動画を重ねて再生するなどが考えられるだろう。

僕が個人的に面白いと思ったのがこの動画。採用を目的として作成した動画なのだけれど、古き良き時代のアドベンチャーゲームのようなちょっとしたゲーム性も持たせている。ユーザーに3つの選択肢を与え、その答えによってその後の動画が変化する。これを見て、だれか全編動画で制作した本格アドベンチャーゲームを作ってくれないかなと期待してしまった。

インタラクティブ動画がもつメリットについて、MIL代表取締役の光岡敦氏は、「現状では動画広告を通して取れるデータが少なく、それが実際に売上に繋がっているのかが分かりづらいという課題がある。商品ページに遷移させる、クーポンを発行するなど、ユーザーの行動を促すことができるインタラクティブ動画では、売上向上を目的とした動画運用がしやすい」と話す。

2017年12月にリリースのMILはこれまでに150社を超える企業に導入されている。同社は今回調達した資金を利用して、MILの機能拡張や自社アドネットワークによる配信の強化など、重点分野への投資を行うとしている。

スマホ1台でVTuberのように生配信、ライブ配信アプリ「Mirrativ」にアバター機能「エモモ」登場

今年に入ってバーチャルYouTuber(VTuber)の盛り上がりがすごい。

つい先日には大手芸能事務所のワタナベエンターテインメントにVTuberが所属するというニュースが話題になっていたけど、ユーザーローカルが公開しているランキングを見ていても、次々と新しいタレントが生まれ多くのファンを獲得していることがわかる。

IT業界界隈でもグリーがVTuber特化型のライブエンターテインメント事業を手がける新会社を、サイバーエージェントがVTuberに特化したプロダクションを設立するなど関連する動きが加速。以前紹介した「ホロライブ」を提供するカバーを始め、この領域で事業の拡大を目指すスタートアップも増えてきている。

VTuberが活気付いた背景には、テクノロジーの進化によって誰でもキャラクターになりきって動画やライブ配信ができるような環境が整ってきたこともあるだろう。自分の分身とも言えるアバターを使うことができれば、顔出しに抵抗がある人でも参加できるようになるし、普段の自分とは違ったキャラクターを演じやすくなる。

かなり前置きが長くなってしまったけれど、8月1日よりライブ配信プラットフォーム「Mirrativ」に追加された新機能「エモモ」はまさにそのような世界観のサービスだ。

スマホ1台でVTuberのように独自のアバターを作成し、生配信やゲーム実況ができることが特徴。まずはβ版として一部のユーザーから限定的に公開する。

アバターの作成からライブ配信やゲーム実況まで完結

Mirrativについてはこれまでも何度か紹介している通り、自分のスマホ画面を共有しながらライブ配信ができるプラットフォームだ。特にゲーム実況で使われているケースが多く、スマホゲームの配信者数では日本一の規模(2018年7月時点、ミラティブ調べ)になるという。

今回リリースしたエモモ(現時点ではiOS版のみ)はこのMirrativ上で使えるアバター機能という位置付け。Mirrativで配信できるスマホ端末が1台あれば、作成したキャラクターを声に合わせて動かしながら生配信することが可能。アバターの目や口、輪郭、髪型、髪や肌の色、洋服は自由に着せ替えられ、設定した喜怒哀楽の感情に応じて表情や動きも変化する。

iPhoneXや外部ツール等の特殊機材は不要。カメラ機能も使用しないため、自分の姿を配信に映すことなくキャラクターになりきれる。

すでにインカメラ等を使ってVTuber風に自分をキャラクターとして表示するサービスは存在するが、カスタマイズの自由度があり生配信まで完結する点、そしてゲーム実況と融合する点がユニークなポイントだ。

現段階でエモモを通じてできるのは、上述したことに加えてゲーム実況時に視聴者の画面上で配信者のキャラクターを表示すること。ミラティブ代表取締役社長の赤川隼一氏の話では、今後ユーザーの反応を見ながら「ボイスチェンジャー機能や、運営側で用意したモデルだけでなく自分で作ったものなどを持ち込めるような仕組みも検討していく」という。

同機能はまずMirrativのまいにち配信者(7日以上連続で15分以上配信している配信者)に向けて提供し、徐々に他のユーザーにも開放する予定だ。

独自の身体やアイデンティティを持つことで会話が豊かに

今回Mirrativにアバター機能を取り入れた背景には、多数の配信者が顔出しをせずゲーム実況をしていること、そして共通の好きなゲームを通じて繋がったユーザーの間で多くの雑談配信が生まれていることがある。

「海外のゲーム実況や韓国のMirrativユーザーの配信を見ていると顔出しをするのが多い一方、日本のユーザーは真逆で顔出しを好まない。エモモのイメージとしてはそこにTwitterのアイコンのようなサムネイルを提供するような感覚。ユーザーが独自の身体やアイデンティティを持つことで双方のことをもっと身近に感じ、コミュニケーションが豊かになるのではないかと考えた」(赤川氏)

赤川氏によると数ヶ月前からMirrativを使ってファンとコミュニケーションをとるVTuberが自然発生に出始めていたそう。実際にVTuberのゲーム実況を見てみると、実況中はキャラクターの顔が画面に写っていないにも関わらず配信が盛り上がっている様子を目の当たりにした。

「見ている人が配信者の声から顔や身体まで想像できるのであれば、仮に配信者が写っていなくてもその人のコンテンツとして消費される。これはバーチャルYouTuberに限った話ではなく、もっと普遍的なもの。Mirrativユーザーの体験をもっと良くできると腹落ちしたのでエモモの開発を決めた」(赤川氏)

ゲーム視聴時の様子。画面下にキャラクター(エモモ )が表示される

自分独自のキャラクターを作成できれば、顔出しをしないゲーム実況文化を豊かにするだけではなく、“なりたい自分”を表現しやすくもなる。赤川氏自身もディー・エヌ・エー(DeNA)で執行役員を務めていた際に「執行役員ぽく振る舞わないといけない、(SNSなどでも)うかつな発言ができない」といった考えが頭にあったそうだ。

もちろんそれも必要なことではあるけれど、現実のしがらみから解放されて好きなものを好きと言える空間もまた、個々人の人生を良くしていくためには必要だというのが赤川氏の考えであり、Mirrativを作っている理由でもある。エモモはこの空間をアップデートする上で重要な機能になるという。

ちなみにエモモという名前について見覚えがある人もいるだろう。もともとDeNA内で運営していたMirrativの事業を承継するため、赤川氏が設立していた会社の社名がエモモだった(現在はミラティブに変更)。

「Mirrativ自体がリアルタイムで人と人が話すことで熱量が伝わりどんどん仲良くなるサービスで、ユーザーの感情みたいなものを増幅させる装置として機能している。それを踏まえるとアバター機能によって身体を持つことはこの感情をさらに加速する行為であり、よくよく考えるとエモモという言葉にもハマるかもしれないと思った」(赤川氏)

社名を決めた当時からこのアバター機能を見据えていたわけではなく、メンバーからの提案で決まったそう。最初はないだろうと思っていたが、次第に「意外とエモモかもしれない」という思いが強くなっていったようだ(なおエモモはEmotional Modelingを略したものでもあるとのこと)。

スマホゲーム実況とアバターで世界へ

このエモモをひとつのフックとして、ミラティブではさらなるグローバル展開も見据えている。

「ちょうど先日韓国で初めて韓国語のバーチャルYouTuberが出てきたが、本質的に自分以外の何かに変身したいという欲求は人類の根元の欲求であり、グローバルでもポテンシャルはあると考えている。正しいサービスを作って正しく展開すれば、日本人が大勝ちできるチャンスのある領域だ」(赤川氏)

赤川氏の話ではライブストリーミングに関して先進国と言える中国ではゲーム実況だけがぐんぐん伸び続けているそう。5月にはライブ配信サービス「YY」の子会社でテンセントも出資していた「Huya(虎牙)」がニューヨーク証券取引所に上場するなど、ゲーム実況はグローバルにおいてホットな市場になっている。

スマホにフォーカスしたゲーム実況に取り組むスタートアップは海外で出てきているものの、大きく成功するには至らずまだ空いている分野だというのが赤川氏の見解。日本で活発な「バーチャルキャラクター」という概念を組み合わせることで、ユニークな存在にもなりうるという。

「自分としてはDeNA時代にソーシャルゲームのグローバル展開を本気でやって惨敗した経験がある。Mirrativはもう1回グローバルで挑戦する価値とその可能性がある事業。世界で受け入れられるようなプロダクト、機能を作り込んでいきたい」(赤川氏)

任天堂のSwitchの成功から何を学ぶべきか?

ソニーのPlayStation 2が発売されたとき、私は家電量販店のCircuit Cityで働いていたので、何週間にわたって入荷する端から売り切れが続くのを目撃することになった。ゲームコーナーのブルーのデモ機の回りにはいつも人だかりができていた。後から考えればPS2がなぜあれほどのヒットとなったか理解するのはたやすい。パワーがあり創造的で地元のゲーム環境でも段違いに優れていた。当時のゲーム環境では理想的なデバイスだった。

最近の任天堂の成功から教訓を学べるとするなら、将来の環境に適合させるより現在の環境に適合させるほうがはるかに重要だという点だろう。

Nintendo Switchのスマッシュヒットで今期の営業利益は対前年比で88%アップするという記録的な好成績となった。任天堂はSwitchの発表以来、2000万台弱のシステムを販売することに成功している。これは Wii Uのトータル販売台数を抜き、Gamecubeの2170万台に迫る勢いだ。

いくら言っても足りないぐらいだが、Switchは偉大なシステムだ。そして、他の成功したプロダクトと同様、現在の環境に適合している。軽く、小さく、ポータブルであり、クラウドサービスに強く依存している。Switchは市場でもっともパワフルなシステムではないし、4kビデオやVR機能もない。SwitchはYouTubeもNetflixもサポートしていない。純然たるゲーム専用機だ。

Switchは任天堂にとって大きな賭けだった。同社は発売後ほどなくWii Uに見切りをつけた。このデバイスはMario Kart 8とSplatoonを除けば、よいゲームに恵まれなかった。任天堂は魔力を失ったかに見えた。しかし、ある意味で、Wii UはSwitchを生むために任天堂が通らねばならない段階だった。 Wii Uはゲームを居間のテレビから引き離し、ゲーマーの手に戻した。だがWii Uの場合、ゲーマーはベースステーションが置かれている部屋に留まる必要があった。Wii Uではゲーマーのテレビからの解放は十分とはいえなかった。

Switchが登場したときには、モバイル・ゲームの脅威は過去のものになっていた。数年以前にはスマートフォンがカジュアル・ゲームの市場も飲み込んでしまうだろうと真剣に考えられていた。ソニーでさえこの考え方に影響され、ゲーム機とスマートフォンのハイブリッド、Xperia Playを発表したほどだ。なるほど現在もスマートフォン・ゲームは健在だが、ゲーム専用機の世界まで飲み込むようなことは起きなかった。Xbox OneとPlayStation
4が発表されるとゲーマーは居間のソファに腰を落ち着けた。しかしSwitchが提供したものはこれと違っていた。しかもタイミングが絶妙だった。

当たり前のことを繰り返すようだが、Switchはモバイル・デバイスだ。そしてこれが現在の環境で必須だった。モバイルであることがXbox OneやPlayStation 4にない機能であり、しかも実装が優れていた。それまでの任天堂製品と同様、グラフィックスの精度は平均をやや下回っていたし、その他の機能のスペックもライバルほどではなかった。しかしその点は問題にならなかった。Switchはゲーム体験が優れていた。ともあれ私にとってはそうだ――私はSwitchを長旅の飛行機に持ち込んだが、PS4ではそうはいかない。

多くのゲーマーも同意見だったことは2017年の発売以来、2000万台という販売台数が証明している。ちなみに2013年発売のXbox Oneの販売台数が2500万台から3000万台の間とみられている。この世代のゲーム専用機の勝者はもちろんPlayStation 4で8000万台近くの台数が販売されている。またここでもソニーはPlaystation 4を現在のゲーマーを対象として作ったことが成功の原因だと主張することができるだろう。ソニーはMicrosoftがXbox Oneでサポートしたさまざまな付加機能をすべて省き、純然たるゲーム機としてデザインした。

実は任天堂がこうした方法で成功したのは今回が初めてではない。Wiiが発売されたのは2006年だった。その後の売上トータルは1億台を超えた。2006年にソニーはPlayStation 3、MicrosoftはXbox 360でHDゲームを強くプッシュした。これにはもっともな理由もあった。消費者は争って最初のHDTVを買っていた。そこでソニーとMicrosoftは未来の環境のためのシステムを用意した。PS3もXbox 360も長期に渡って健全な売れ行きを示した。しかしどちらもWiのような桁外れの成功を収めることはできなかった。

Wiiは新しく、見た目にも快かったので2006年と2007年のクリスマスでなくてはならぬプレゼントの地位を占めた。PS3と比べるとWiiのグラフィックスは子供っぽいといっていいくらいだった。しかしこれがかえって魅力の一部となっていた。初代のゲーマーたちは成長し、家庭を持つようになっいた。Wiiは両親から子どもたちまであらゆる年齢層にフィットした。誰もがWiimoteを振り回してテニスのボールを打つのに興じた。コアなゲーマーは別として、カジュアルゲームファンにはWiiは十分に魅力的な魔法だった。Wiiは時代環境に適切なタイミングで適切にフィットするシステムだった。

さて任天堂にとってはこの次がもっとも困難なステップとなるだろう。Switchは大成功を収めた。任天堂は活気あるエコシステム維持することができるようなゲームを開発し、サポートしていかねばならない。任天堂が優れたゲームをすべて内製することは不可能だ。任天堂はゲームのデベロッパー、パブリッシャーと協力し、そうしたサードパーティーがエコシステムに貢献する熱意を失わないよう努めていく必要がある。それができるなら、任天堂にはWiiに続いてSwitchでも一世代をまるごと飲み込むような成功を収めるチャンスが生まれるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

最大で50億円規模目指す「ドローンファンド2号」が設立へ、初期投資家として本田圭佑氏やKDDIらが参画

インターネットに接続されたドローンが当たり前のように空を飛んで、モノを運んだり、監視をしたり、それをクラウドで管理できる「ドローン前提社会」が5年以内に実現すると思っている——少し先の未来を見据え、個人投資家として知られる千葉功太郎氏がドローン領域に特化した「Drone Fund(ドローンファンド)」を立ち上げたのは2017年6月のこと。

それから約1年が経過した本日7月31日、千葉氏は新たに2号ファンド(Drone Fund2号 / 正式名称は千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)を8月1日に設立することを発表した。

1号ファンドから目指していたドローン前提社会の実現に加え、空飛ぶクルマを用いた「エアモビリティ社会」の実現を目指し、ドローンスタートアップ企業に特化して投資を加速させていくという。

今回立ち上げた2号ファンドには初期の投資家としてみずほ銀行やKDDI、セガサミーといった大企業に加えて、サッカー日本代表の本田圭佑氏(個人投資用のKSK Angel Fund)やマブチモーター創業家一家の馬渕喬氏、麗子氏、健彦氏が新規投資家として参画を表明。

合わせてMistletoe、キャナルベンチャーズ、日本アジアグループ、FFG ベンチャービジネスパートナーズ、オークファン、リバネスといった面々が1号ファンドから継続して出資する。

千葉氏によると2018年9月末をファーストクローズ、12月末をファイナルクローズとして「最大で50億円規模のファンド」に向けて動いているそう。すぐに中国やアメリカでそれ以上のファンドができる可能性はあるとした上で、これが実現すればドローンに特化したファンドでは世界でも最大級の規模になるという。

「想定よりも1年前倒しで進んだ」日本のドローン市場

Drone Fundを立ち上げてから約1年。この期間で日本のドローン市場はどのように変わってきたのだろうか。総額16億円規模の1号ファンドを通じて20社のドローンスタートアップに投資をしてきた千葉氏は、「当初2年ぐらいかかると思っていたイメージが、1年前倒しで実現している」と話す。

「1号ファンドを立ち上げた際は、まだ市場も法整備も進んでおらず手探りで始めたような状態だった。この1年を振り返ると、まずはこんなに日本国内で(投資の対象となる)ドローンスタートアップが生まれていたことに驚いている。もちろん実証実験や法整備が進んだことに加えて、大企業の動きも活発になってきた」(千葉氏)

法整備に関しては自民党の議員で構成されるドローン議連や官民協議会のような場において、ドローンを取り巻く制度や今後の方向性に関する議論が定期的に開催されている。また政府では年内を目処に経産省と国交省に「空飛ぶクルマ」に関して官民で議論する協議会と、ロードマップを策定する予定だ。

もともとドローンに関しては空の産業革命に向けたロードマップが準備されていたけれど、それとは別でエアモビリティのロードマップが作られるのは珍しい。「そんな国は先進国でもまだ例がなく、かなりアグレッシブ。製造では中国、ネットサービスではアメリカの勢いがあるが、法整備においては日本はかなり良いペースできている」(千葉氏)という。

茨城県にある竜ヶ崎飛行場で行われた記者会見ではドローンの飛行デモも実施した

実証実験に関しても農業や物流、検査などさまざまな分野で実施が進んだ。千葉氏いわく「次の1年は社会実装の段階。大企業が自分たちのビジネスの中でドローンを取り入れていくフェーズ」になる。

大企業内でドローンビジネスへの関心度が高まっていることはDrone Fundへ投資している企業を見ていてもわかるだろう。35社が投資家として参画した1号ファンドに続き、今回の2号ファンドではKDDIやみずほ銀行、セガサミーが加わった。

「まだ先が見えづらい市場にも関わらず35社が投資家として一緒にチャレンジをしてくれたことは、ひとつのムーブメントとして大きい。当初はふわっとしていた状態だったけれど、次第に投資家と投資先がひとつのグループになって活動できるようになってきた」(千葉氏)

Drone Fundでは設立時からスタートアップと投資家や大企業をつなぐ役割を目指していたけれど、同ファンドがハブとなることで、大企業がドローンビジネスにエントリーしやすくなる土壌が少しづつできてきているようだ。

ドローンの日本国内市場は2024 年までに2530億円を超える規模に成長すると予想されていて、世界で見ると2022年におけるドローンの潜在利用市場は18兆円を超える規模にまでなるという予測がある。今後の成長を期待して、これから大企業とドローンスタートアップのコラボレーションもさらに活発になっていくのではないだろうか。

2号ファンドの投資家にもさらなる国内の大手企業や個人投資家が参画予定だという。

日本企業が世界のドローン業界をリードする未来を目指して

Drone Fundが目指すドローン前提社会のイメージ。2023年に六本木ヒルズから見た景色だという

冒頭でも触れた通り、Drone Fundが目指すのは「ドローン前提社会を創る」こと。これは東京のような都市で多数の自立飛行ドローンが活躍する社会(レベル4)を指している。このドローン前提社会と同じく期待が集まるエアモビリティ社会に向けて、世界で戦える日本のスタートアップを育てることが2号ファンドの目標だ。

今回、日本マイクロソフトの業務執行役員でDrone Fundのアドバイザリーを務める西脇資哲氏にも少しだけ話を聞けたのだけど「(ドローン市場において)日本企業にも勝てるチャンスはある」というのが、千葉氏と西脇氏双方に共通する見解のようだ。

「日本では移動手段として自動車が定着していて、自動車メーカーだけでなく部品やタイヤに至るところまで技術力があり、世界でもトップクラスのシェアを築いてきた。だからこそ空でもできないわけがないはず。今後ドローンが機体登録制になれば日本の優れた車検制度の仕組みは生きるだろうし、同じように発展している自動車教習所の仕組みも活用できる。あとは『ドローンでイノベーションを起こして、世界を取っていくんだ』という気持ちだけ」(西脇氏)

Drone Fundではこれまでも千葉道場ドローン部としてスタートアップ経営手法を取り入れるための合宿を実施。特許共同出願を専門としたDrone IP Labやリバネスとの連携も通じて投資先のサポートを行ってきたが、今後もこのスタンスは崩さず「日本ドローン株式会社」のようにひとつのチームとして投資先を支援していきたいという。

「ドローン産業における『日本の台風の目』を目指していく。この業界に関わるありとあらゆる大企業とスタートアップが集結するような場所を通じて、国内のドローン関連企業が世界の第一線に立ち、ドローン業界をリードする未来を作っていきたい」(千葉氏)

最後に今回Drone Fundが発表したドローン前提社会やエアモビリティ社会の近未来予想図に関するイラストをいくつか紹介したい。千葉氏によると実現される年度についても実現可能性を踏まえて作成しているとのこと。今後ドローンがどのように身の回りで普及していくのか、これを見ながら想像してみるのもよさそうだ。

  1. VRと組み合わせたドローン観光(2020年)
  2. プロジェクターとなる室内型のドローン。スマートスピーカーと連携(2021年)
  3. ナンバープレートを付けて公道を走るホバーバイク(2022年)
  4. 消費者向けのドローンサービス。子供見守り、忘れ物配達、犬の散歩、自動追尾の日傘(2024年)
  5. 幼稚園送迎サービス(2025年)
  6. 墨田区のビル屋上で離発着するドローンタクシー(2025年)

ディップがチャットボットツールのhachidoriに約8.2億円の資本参加

アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」などを展開するディップが、チャットボットツール「hachidori」や店舗とアルバイトのコミュニケーションアプリ「CAST」を開発するhachidoriに資本参加をするようだ。両社は7月31日、それぞれのサイトで本件について発表している。

ディップでは約5億円の第三者割当増資を引き受けることに加えて、hachidoriの既存株主から発行済み株式の一部を約3.15億円で取得する予定。具体的な持ち株比率については非公開だが、今回の資本参加によってhachidoriはディップの持分法適用関連会社になるという。

hachidoriについては6月にTechCrunchでも紹介した通り、プログラミング不要のチャットボット開発ツールを軸に事業を成長させてきたスタートアップだ。同プロダクトを通じて作られたチャットボットの数は5000を超えるほか、企業や学校に法人向けのソリューションも提供している。

また5月から6月にかけて、新サービスとしてアルバイトやパートと店舗間の業務を効率化するチャット・シフト管理アプリCASTを公開。従来時間がかかっていたバイトのシフト管理をチャットボットのスマホ店長が半自動化することが特徴。専用のチャット機能を備えているほか、今後は給与管理の機能も追加していく計画だ。

同社で代表取締役を務める伴貴史氏によると「現在1万人のアルバイトが10万以上のシフトを入れている状態」であり、「(店舗側については)9月に有料版を出す予定だが、現在約400店舗が導入を決めている」という。

ディップは日本有数のアルバイト・パート求人情報サイトを運営していることもあり、同社とタッグを組めることはCASTの今後においても大きな影響があるだろう。伴氏はユーザー、クライアント双方の面で大きなシナジーがあるとした上で「今後求人や金融といった分野に参入していく上で、スタンドアローンでやるよりもスピード感を持てると考えた」と今回の提携の背景について話す。

hachidoriでは調達した資金をもとに、エンジニアを中心とした人材採用の強化とマーケティングの強化を進める方針。ディップの持つ営業網や求人分野の知見も活用しながらhachidoriとCASTの拡大を目指すとともに、求人や金融分野への事業展開にも力を入れる。

なお同社では本ラウンドで追加の調達も予定していて、2018年9月末のクローズを目安にファイナンスを進めていくという。

hachidoriは2015年5月の設立。2017年2月にはベクトル、コロプラネクスト、エボラブルアジア、オークファンと島田亨氏を含む個人投資家数名から1億円を調達している。

月額1950円で自分だけの“AI先生”が最適な問題を出題、タブレット型教材「Qubena Wiz Lite」公開

AIが個人個人の得意・不得意を分析し、解くべき問題へと誘導するタブレット型教材「Qubena(キュビナ)」。同サービスを展開するCOMPASSは7月31日、この仕組みを家庭でも気軽に利用できるiPadアプリ「Qubena Wiz Lite(キュビナ ウィズ ライト)」を公開した。

Qubenaに関してはこれまでも何度か紹介している通り、生徒一人ひとりの問題の解き方や間違え方をAIが分析し、数万問の中から個々に合った最適な問題(簡単すぎることもなく、難しいすぎることもない)を出題してくれるサービスだ。

現在は小学算数と中学数学に対応。ペンを使ってタブレット上に手書きするスタイルで、定規やコンパス、分度器を使った作図もでき、タブレット1台あれば全ての学習が完結する。

間違え方によって次の問題が変わるのはもちろん、その単元の基礎となる部分でつまずいているような場合には、学年をまたいで本来解くべき問題へと誘導してくれるのが特徴。COMPASSで執行役員を務める坂井祐太氏の話では、このような仕組みによって「自分が解ける問題だけを解いたり、反対に難しすぎる問題ばかりに挑んでやる気を失ったりすることもない。モチベーションを保ちながら自信をつけていくことができる」という。

結果的に効率的な学習をサポートできるため、自社運営の学習塾では中学校の数学1年分の学習範囲が平均32時間で修了するという成果もでているそうだ。

これまでCOMPASSでは河合塾や練成会といった学習塾にQubenaを提供しているほか、自社運営の塾やフランチャイズ教室で同サービスを活用。また個人向けのプロダクトとして、Qubenaの教材と講師のチャットサポートをセットにしたオンライン家庭教師サービス「Qubena Wiz」を展開してきた。

今回リリースしたQubena Wiz Liteは、月額9800円で提供しているQubena Wizから教材部分だけを切り出して、月額1950円で提供するというもの。

「Qubena自体がまだまだ成熟しておらず、知名度も高くない段階。体験して初めて使い勝手がわかるプロダクトなだけに体験者を増やすことが目標だったが、月額9800円というのは価格面のハードルが高く想定ほど増やせなかったのが課題となっていた。アプリのみを提供することで価格を抑え、体験のハードルを下げていきたい」(坂井氏)

今までよりも安い価格で提供するといっても、アプリの機能自体は変わらず小学算数と中学数学をカバー。保護者がサイトから学習履歴や達成状況を確認することも可能だ。

ユーザーの要望によってQubenaを導入する学習塾やフランチャイズ教室を紹介することも、オンライン家庭教師サービスを紹介することもできるだろう。現在Qubenaのユーザー数は1.7万人とのことだけど、今回の新サービスは「ユーザー数を増やすための窓口のひとつ」(坂井氏)として機能することも期待されているようだ。

なお運営元のCOMPASSは2012年12月の設立。2015年6月にインフィニティ・ベンチャー・パートナーズと個人投資家から4000万円、2017年3月に7人の個人投資家から2.2億円、2018年4月に伊藤忠テクノロジーベンチャーズなどから6億円を調達している。

LINE Pay専用の決済デバイス発表、「決済手数料ゼロ」は対象外

eng-logo-2015LINE Payが独自開発の決済端末を発表しました。

3Gネットワーク対応のSIMスロット&7000mAhバッテリーを内蔵し、レジに置くだけで決済機能を利用可能。中小店舗向けに年内に申込受付を開始します。

決済方式はQRコードに対応。紙などにQRコードを印刷せずに利用できる点を売りにします。なお、NFCにも対応しますが、リリース当初はNFC決済には非対応としています。

まず日本と台湾でリリースし、その後グローバルでも展開予定。LINE Pay以外のスマホ決済には非対応となります。

なお「LINE Pay店舗用アプリ」とは異なり、8月1日から3年間提供する「加盟店手数料ゼロ」のキャンペーンは対象外。決済ごとに3.45%の決済手数料がかかるとしています。

Engadget 日本版からの転載

JapanTaxiがNTTドコモから約22億円調達、提携タクシーでd払いが可能に

日本交通のグループ会社で、タクシー配車アプリの「全国タクシー」などを提供するJapanTaxiは7月30日、NTTドコモとの資本業務提携を締結したと発表した。これにより、NTTドコモからJapanTaxiへの出資総額は22億5000万円だ。

全国タクシーのダウンロード数は現時点で500万件。車両登録数は日本全体のタクシー車両の4分の1にあたる6万台以上だという。JapanTaxiはこの全国タクシーのほかにも、QRコードによる決済機能がついたデジタルサイネージ「Tokyo Prime」を展開中だ(Tokyo Primeについてはこちらの記事も参考にしていただきたい)。今回の資本業務提携により、NTTドコモの「d払い」など新しい決算手段が追加される予定。

QR決済機能付きデジタルサイネージの「Tokyo Prime」

また、両社は共同で、数時間後にある特定のエリアにいる人の数を予測する「近未来人数予測」などのNTTドコモの技術と、JapanTaxiが展開する配車プラットフォーム、広告プラットフォームを組み合わせた新サービスの開発も目指す。

JapanTaxiは今回の資金調達以前にも、2018年2月にトヨタから約75億円を、そして未来創生ファンドから10億5000万円を調達している。同社とNTTドコモはこれまでにも、全国タクシーとNTTドコモのAIエージェントサービス「my daiz」の連携を行うなどしていたが、その連携をさらに深めるために今回の資本業務提携の締結が決定されたようだ。