専門家ネットワークプラットフォームを提供するproSapientがシリーズAで約10.4億円を調達

数年前から、オンラインで「専門家」を活用する方法が話題になっている。企業やセクターのリサーチであれ、投資目的であれ、効率的に情報を得るために「専門家の頭脳を吸い上げる」にはどうすればいいかということだ。この分野を手がける主な企業としては、GLG、Third Bridge(サードブリッジ)、Guidepoint(ガイドポイント)、Alphasights(アルファサイツ)などが挙げられる。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、会議やイベントなど専門家の意見を聞く手段が壊滅し、全世界がリモートワークの実験場と化している今、これらのプラットフォームは以前よりもずっと実質的な価値が高まっている。

だから、専門家ネットワークと一次調査のプラットフォームであるproSapient(プロサピエント)が、Smedvig Capital(スメドヴィグ・キャピタル)が主導するシリーズA投資ラウンドで1000万ドル(約10億4000万円)の資金を調達したことは、驚くに値しないだろう。このラウンドには、著名な投資家であるGuy Hands(ガイ・ハンズ)氏や、既存の投資家である24 Haymarket(24ヘイマーケット)も参加した。これにより、proSapientが現在まで調達した総額は1800万ドル(18億7000万円)となった。同社はこの資金を使って国際的に事業を拡大していく予定だ。

proSapientは、基本的には専門家ネットワークを管理するSaaSプラットフォームだ。主にデータを収集する投資家やコンサルタントを対象としている。このプラットフォームは、専門家とプロジェクトをマッチングし、トランスクリプトを提供する。顧客は電話や対面でインサイトを収集したり、独自の調査を開始したり、少人数の専門家グループと小規模な戦略プロジェクトを実施することに利用できる。検索やメッセージのフィルタリングもできる。このプラットフォーム上で協業も可能だ。現在、欧州と米国で100社以上のクライアントにサービスを提供しており、前年比100%以上の収益を上げていると、同社は主張している。

proSapientの共同設立者であるMargo Polishchuk(マーゴ・ポリシュチュク)氏は、声明で「今回の資金調達ラウンドは、プライベートエクイティおよびコンサルティング業界をリードする一次調査プラットフォームになるという当社の戦略的目標を促進するものです」と述べている。

Smedvig Capitalでマネージングディレクターを務めるRob Toms(ロブ・トムス)氏は、次のようにコメントしている。「私たちは、マーゴ(・ポリシュチュク)とJordan(ジョーダン)に協力し、彼らの素晴らしい成長と国際的な拡大を継続するための力となれることに興奮しています。彼らには、素晴らしいチームと市場における強固な地位があり、そしてビジネスの方向性について明確なビジョンを持っています」。

さらに、proSapientは先日、Just Eat plc(ジャストイート公開有限会社)の元グループCFO(最高財務責任者)であるMike Wroe(マイク・ロー)氏を会長に指名した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:proSapient資金調達

画像クレジット:proSapient

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(翻訳:TechCrunch Japan)

経費精算を効率化する法人クレジットカードプラットフォームのMossが約26億円を調達

ドイツのスタートアップMoss(モス)は、Valar Venturesが主導したラウンドで2550万ドル(2100万ユーロ、約26億4000万円)の資金を調達した。既存の投資家であるCherry VenturesとGlobal Founders Capitalも参加している。Mossは、ドイツの中小企業向けにクレジットカードと支出管理プラットフォームを提供している。

同社は独自のリスクエンジンを開発し、企業のクレジットカードの限度額を割り出している。米国のBrexのように、Mossは従来の金融機関が提供するクレジットカードと比較して、より高いクレジットカード限度額を約束するという。

繰り返しになるが、Mossはプリペイドカードやデビットカードを提供しているわけではない。あくまでもクレジットカードに焦点を当てている。限度額の範囲内で利用し、月末に支払いをするサービスだ。使用し始めるのに、Mossのアカウントをトップアップ(前払い)する必要はない。

同社のクレジットカードはMastercardネットワーク上で利用できる。アドミンは、各従業員やチームごとに物理的なカードを発行することができる。また、オンラインでの支払いやサブスクリプションのためにバーチャルカードを発行することもできる。そしてカードごとに、異なる限度額を設定することが可能だという。

管理パネルからは、経費の追跡、特定の経費の検索、現在進行中のサブスクリプションの確認ができ、重複する経費を特定するのに役立つ。ユーザーは会計上の目的のために、各購入にレシートや情報を添付することができる。

Mossはこれまでに1000枚のクレジットカードを発行し、1万件の決済を処理してきた。現在、同社の顧客にはスタートアップやハイテク企業が含まれている。しかし、今回の資金調達ラウンドにより、Mossは他の業界にも程なく拡大していくと見込まれている。

MossはSpendeskRevolut Businessなどと競合している。これらの法人カード商品はデビットカードに焦点を当てている。クレジットカードを提供することが差別化する重要な特徴になり得るか、これから見どころだ。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

採用イベントのオンライン開催ツール「Bizibl」(ビジブル)を提供するBizibl Technologiesは1月19日、第三者割当増資による総額4300万円の資金調達を発表した。引受先は、プライマルキャピタル、インキュベイトファンド、 F Ventures LLP、鈴木悠人氏を含む複数の個人投資家。

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

同社では、オンライン開催に適した体験設計や既存業務フローとの連携を進めることで、採用イベントを「真に」場所から解放し、企業と候補者がよりシームレスに出会える社会の実現を目指す。調達した資金は、その根幹となるプロダクトの開発体制強化にあてる。「選考説明会」といった複合型の開催形式にも対応するなど、採用イベントのオンライン開催体験を磨き込むとともに、効率的な採用業務をサポートするためのATS連携にも取り組んでいく予定。また、合同イベントを主催する企業・自治体向けの管理機能なども実装予定としている。

Biziblは、オンライン開催に最適化された環境で、会社説明会/座談会/グループディスカッションなどを開催できる採用ツール。準備や当日の開催、ふり返りや候補者管理がワンストップで可能なブラウザー完結のサービスとなっている。現在β版としてトライアル利用を受け付け中で、春頃リリース予定だ。

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

代表取締役CEOの花谷燿平氏によると、現在の著名ビデオ会議ツールは参加者が対等な関係という前提でのサービス設計になっており、会社説明会や座談会、グループディスカッションといった採用活動イベントで利用するには課題が多いという。

これら採用活動には「採用担当者」と「候補者」という明確な線引き(非対称性)が存在する上、さらに各候補者のプライバシー情報を保護する必要があるが、従来ビデオ会議ツールではこれは難しい。

誰が進行役(採用担当者)なのかや、発言タイミングなどの進行も把握しにくい点が課題となる。顔や氏名、やりとりの内容といったプライバシー情報が候補者間で見えてしまう環境も、候補者側の参加ハードルといえる。その結果、候補者体験が落ちて志望度が醸成されず、選考フローから離脱してしまうといった採用課題にも直結していると指摘した。

一方Biziblでは、採用イベントにおける属性・形式などの「非対称性」に応じて、開催画面やコミュニケーション機能・プライバシー環境をオンデマンドに設定可能な点がまず大きく違うとした。例えば、参加者間での顔/氏名の表示設定やセッション情報などの共有設定なども柔軟に設定できるという。

グループディスカッションは現在開発中

グループディスカッションは現在開発中

またCEOの花谷氏は、採用活動は、多岐に渡る業務が同時並行で進むような複雑かつ超多忙なものであり、その中で候補者情報という非常にナイーブな情報を管理する必要があると説明。ビデオ会議ツールやスプレッドシート、アンケートフォームなど、独立したツールを複合的に利用する運用方法は、業務の煩雑化だけでなく、候補者情報の取得・管理の効率を下げる原因にもなっているという。

これに対してBiziblでは、企業の業務フローにフィットする形でのサービス設計を目指しており、告知ページ作成などの準備や、開催後の分析や候補者情報のデータベース管理などの運用の効率化を提供。細やかな準備や運用工数を削減し、より重要な採用業務に集中できるとした。

会社説明会など採用活動イベントのオンライン開催ツールを展開するBiziblが4300万円調達

また、開催画面内で記入できるアンケート機能などを活用することで、動機づけや就活状況把握に利用できる情報を、早期から回収率高く収集するが可能という。CEOの花谷氏は、これまでのような紙を利用したアンケートや、単独のアンケートフォームのみでは答えてもらえることが少ないため、候補者が開催画面で記入しやすいよう配慮していると明かした。

今後のサービス展望としては、現在の機能のブラッシュアップに加えて、説明選考会や座談会イベントなど複合型の開催形式への対応、複数企業が参加する合同イベント・合同説明会の主催に合わせた管理画面の展開を計画しているそうだ。

人材企業や地方自治体による合同説明会では、例えば主催者の地方自治体の下に参加する複数企業が連なる形になるが、これまでのビデオ会議ツールやウェブサイト(上のリンク)を組み合わせて活用する体裁が多く効率的といえず、候補者情報の取得・管理が行いにくい。花谷氏は、Biziblによりこれを解決するという。

Bizibl Technologiesは、2018年10月に設立。CEOの花谷氏は、大阪大学大学院工学研究科 博士前期課程 修了。工学がバックグラウンドであり、バイオテクノロジーを専攻していたという異色の経歴の持ち主だ。大学在学中進路に迷っている頃参加したシリコンバレー研修を機にスタートアップ事業に興味を持ち、研究や学内プログラムを通してものづくりや事業構築を経験。大学院進学後の2018年に創業した。

当初は他領域事業や転職系メディアを手がけていたものの、転職フェアなどに市場調査に行く中で、「なぜ、いまだにこんなに非効率なことをしているのか」と疑問に感じたのがきっかけでピボットしたと、花谷氏は明かす。大阪の大学生として就活をしていた頃、東京・大阪間を何度も往復するなど体力面・金銭面で苦労した経験もあり、より「自分ごと」として捉えられるBiziblで効率化を目指すこととした。

花谷氏は、採用イベントは対面で行うのが従来常識とされてきた一方で、企業と候補者間に存在する地理的距離が情報格差や雇用格差を生む大きな原因となっていると指摘。Biziblを提供することで、付け焼き刃的な運用ではない、採用活動のオンライン化および効率化を推し進めたいとしている。

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ビジネス書の要約サービスflierが2億円調達、法人向けSaaS強化と2022年の累計会員数120万人目指す

ビジネス書の要約サービスflierが2億円調達、法人向けSaaS強化と2022年の累計会員数120万人目指す

ビジネス書の要約サービス「flier」(フライヤー)を手がけるフライヤーは1月18日、第三者割当増資による総額2億円の資金調達を発表した。引受先は、マイナビ、VOYAGE VENTURES(ボヤージュベンチャーズ)、社会人向け研修サービス大手のインソース(東京・千代田)の3社。累積資金調達額は約4億7000万円となった。

調達した資金は、法人向けSaaSビジネスを強化するため人材確保やサービス開発、広告宣伝にあてる。また、目標に掲げる2022年内の会員数120万人達成に向けてアクセルを踏むとともに、事業提携を進める。累計契約社数は200社超まで伸びており、今後は法人営業部隊を増員しながら、2022年に同契約社数を500社まで引き上げるという目標も掲げている。

また今後、引受先との間で人材育成領域やデジタルマーケティング領域などにおける事業提携を進め、事業基盤をより強固かつ柔軟なものに進化させる。今回の資金調達ラウンドで事業拡大に弾みをつけたい考えで、以降もさらなる資金調達を検討しているとした。

2300冊(2020年12月時点)のビジネス書の要約が読めるflierは、これまでの一般利用に加えて、企業の人事部や教育研修部から「人材育成に役立つ」との評価を得ており、需要が拡大しているという。個人と法人を含む累計会員数は75万人(2020年12月時点)を突破、法人プランの契約社数は2年前の3倍強の増加率となっており、急成長しているそうだ。

flier法人版」は、SaaSの事業モデルを採用した月額の継続課金サービス。調達した資金は主に、flier法人版の新サービス開発と、それに伴うエンジニアの確保、CMなど広告宣伝にあてるという。またサービスでは、各企業や個人に最適な学習を提供するための、書籍のレコメンド機能を開発し、学びを効率化する。

人事とテクノロジーを掛け合わせたHRテック領域において今後、一層高まるであろうオンラインかつ個人に最適化した学習・研修ニーズに応えられるようサービス強化を図るとしている。

同社は、好調の背景に、人材育成の「非対面化」があると指摘。テレワークが浸透する中、対面での職場内訓練(OJT)が難しくなり、各社の人事部や教育研修部は対応を迫られているという。本質的な人材育成につながる読書をネット上で提供できる手段として、企業からの関心が高まっているとした。また導入企業の傾向として、メガバンクを含む金融系や生命保険大手からの引き合いが特に強く、大口契約が増えているという。

2013年6月設立のフライヤーは、flierを運営するITベンチャー。2016年11月に電子書籍取次大手メディアドゥの子会社になり、経営基盤を固めて事業を拡大してきた。

flierには、新刊(掲載書籍の9割)を中心に、毎日1冊の要約文をアップ。要約記事は自社の編集者に加えて、経験豊富な外部ライター約50人が作成している。要約の文字量は4000字ほどで、10分程度で読めるよう工夫しているという。

flierの特徴は「書評」(レビュー)ではなく「要約」である点という。書き手の主観が入る書評とは異なり、著者の主張や論理(重要ポイントや全体像)を忠実にまとめ、読者に伝えるとしている。また書評でないため、出版社と著者から要約の許可を得る必要があり、要約した原稿にも目を通してもらうことで、高品質なサービスを提供しているとした。

AIの音声読み上げ機能や、ユーザー同士で要約から得た学びを情報交換(シェア)するSNSサービスなども実施しているという。

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カテゴリー:EdTech
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通信衛星オペレーターの英OneWebがソフトバンクなどから約1450億円調達

破産を申請し、英国政府とBharti(バーティ)から救済の資金提供を受けるなど波乱の1年を乗り越え、2020年12月に一部の衛星打ち上げで再浮上したロンドン拠点のブロードバンド衛星オペレーターOneWeb(ワンウェブ)は米国時間1月15日、14億ドル(約1450億円)の資金調達をクローズしたと発表した。第1世代衛星648基の残りを打ち上げるのに十分な額だと同社は話している。

2020年12月にOneWebは新たに36基の衛星を打ち上げ、現在軌道にある衛星の数は110基になった。つまり、打ち上げる第1世代衛星はまだ500基超残っていることを意味する。

同社は野心を削ぎ落とし続けている。米国時間1月11日の週の初めOneWebは「コンステレーションを合理化」し、その結果米当局に出していたライセンスのリクエストを減らしたと発表した。元々同社は米連邦通信委員会にマーケットアクセスのために衛星4万7884基を申請していた。いまその数字は6372基に減っている。

SoftBank(ソフトバンク)グループとHughes Network Systems(ヒューズ・ネットワーク・システムズ)が資金を提供すると、OneWebは述べた。1カ月前にOneWebは3回目となる打ち上げで衛星36基を軌道に乗せた。当時、同社会長のSunil Bharti Mittal(スニル・バーティ・ミタル)氏は4億ドル(約415億円)調達に向け順調だと話していた。それが実現したようだ。

「OneWebのミッションはすべての人、すべての場所をつなぐことです。11月の連邦破産法11条から脱却して以来、我々は事業を再出発させるべく飛躍的に進歩を遂げました」と同社のCEOであるNeil Masterson(ニール・マスターソン)氏は声明文で述べた。「目標達成に向けて進歩していることの証拠としてのソフトバンクとHughesによる投資を、当社は歓迎します」。

OneWebは、バリュエーションを公開しないと広報担当は筆者に語った。今回のラウンドにより、同社の累計の調達額は約45億ドル(約4668億円)になったようだ。ただし、破産はかなりの資本増強と事業の再評価を意味し、そしてそうした数字にはリストラする前からの資金が含まれている。

ソフトバンクとHughesはどちらも過去にOneWebに投資し、パートナーでもあった。そのため今回の投資は以前の投資が完全に無駄にはなっていないことを確かめる保険証券のようなものだ(少なくともその一部は報道されている。ソフトバンクは数年前に部分的にOneWebへの投資のために240億ドル、約2兆5000億円という目を見張るような損失を計上した)。

一方のHughesは親会社EchoStar(エコースター)を通じて投資し、2017年にOneWebと同社の衛星と連携する地上インフラを建設する契約を結んだ。衛星テクノロジーの世界での建設と展開は何年もかかり、往々にして遅延に直面する。そのため3年間(あるいはそれ以上)契約から何も得られないというのはさほど驚くことではない。

OneWebは、投資家との長期の付き合いを受け入れ、地上ネットワークがまだHughesによって建設中であることを認めた。

「ソフトバンクとHughesから投資を受けることをうれしく思います。両社とも当社の事業に精通しており、未来に向けた当社のビジョンを共有しています。そして両社のコミットメントにより今後の急成長する機会に投資できます」とミタル氏は声明文で述べた。「両社の経験と能力から得るものがあり、当社は他に類を見ないLEO(地球低軌道)ネットワークを世界に提供します」。

Hughesは元々、最初のサービスを2019年に開始する計画だった。しかしそれはOneWebと同社のLEO衛星がまだかなり輝かしいアイデアで、ベンチャーファンディングで17億ドル(約1764億円)を集めたころのことだ。

最初のアイデアはいつでも素晴らしい。しかし、ムーンショット(壮大な挑戦)でもある。LEO衛星は他の手法ではリーチできない多くの遠隔地に地上波ネットワークがブロードバンド接続を提供するのを支え、有用なものであることがすでに証明されている。OneWebのアイデアはサービスを便利なものにし、400Mbpsという約束で地上のかなり多くのユーザーに使われるようにするというものだった。

その間にブロードバンド使用は爆発的に増えた一方で、OneWebがおそらく想定していなかったのは接続を提供するための非衛星システムの構築がネットワークの進歩において進むだろうということだった。あるいは、衛星を約束したタイムラインで打ち上げるためにどれくらいかかるのか、どのくらいの資金調達が必要なのかということだった。

高まる5Gユビキタス、IoT、接続生のニーズは全体的にまだOneWebのアプローチの力強いユースケースだと同社は話す。そこには「グローバル・ゲートウェー・ステーションのネットワークと、異なる顧客マーケットにリーズナブル価格で速く、広帯域、そして低遅延のコミュニケーションサービスを提供できる広範のユーザーターミナルが含まれます」と話す。

英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)長官のKwasi Kwarteng(クワシ・クワーテング)氏は声明文で以下のように述べた。「OneWebへの我々の投資は英国の宇宙部門への継続的な取り組みの一環であり、最新の技術進歩の最先端に英国を押し出すものです。今日の投資によりOneWebはグローバルなブロードバンド接続を人々、事業者、政府に提供するというミッションの達成に一歩近づきます。その一方で英国においては新たな研究、開発、製造の機会を生み出すものになる可能性があります」。

ソフトバンクは今回のディールでOneWebに役員を1人送る。

「OneWebがキャパシティを増やし、商業化に向けて加速している中で、同社をサポートすることに興奮しています」とソフトバンクのCEOである孫正義氏は述べた。「世界中のインターネットアクセスを変革するというOneWebのミッションの達成をサポートするためにBharti、英国政府そしてHughesとの提携を継続することに胸躍らせています」。

Hughes社長のPradman Kaul(プラドマン・カウル)氏は次のように述べた。「OneWebは引き続き業界をインスパイアし、LEOコンステレーションの実現に向けてともに力を合わせるために業界におけるベストプレイヤーを引きつけています。Hughesとソフトバンクによる今日の投資は、世界中のブロードバンド需要に応え、そして加速させるという点において弊社の静止衛星サービスを補強する複数のトランスポートサービスでもって、企業、政府、モビリティの顧客をつなげるというOneWebのあらゆるポテンシャルの具現化をサポートします」。

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カテゴリー:宇宙
タグ:OneWebSoftbankHughes Network Systems資金調達

 画像クレジット:OneWeb

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(翻訳:Mizoguchi

果菜類の植物工場および完全自動栽培の実現を目指すHarvestXが5000万円を調達

果菜類の植物工場および完全自動栽培の実現を目指すHarvestXが5000万円を調達

果菜類の植物工場、完全自動栽培の実現を目指すHarvestXは1月18日、総額5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、独立系ベンチャーキャピタル「ANRI 4号投資事業有限責任組合」(ANRI)、東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)が運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(AOI1号ファンド)、河合聡一郎氏、曾川景介氏、田中邦裕氏。

植物工場市場は、食料問題や農業人口の不足、また昨今のコロナウィルスによる食の衛生面・安全に対する関心の高まりとともに注目が高まっているという。しかし、レタスなどの葉物類の植物工場は展開を広げつつあるものの、果物類はミツバチを媒介とした虫媒受粉に多くを依存しており、受粉収穫の不安定さ、また飼育管理のコストが課題となっているそうだ。

HarvestXは、ミツバチに代わる手段としてロボットを活用した授粉・収穫技術の開発に取り組み、現在はイチゴを対象に受粉から収穫までの栽培の完全自動化を目指している。

同社は、農作物の完全自動栽培による食糧問題の解決をミッションとして掲げるスタートアップ。その実現の一歩としてイチゴの完全自動栽培の実現に取り組んでいる。東京大学主催「本郷テックガレージ」の支援プログラムにて立ち上げ、South by Southwest(SXSW)のTrade Show出展を目指す「Todai To Texas」や未踏IT人材発掘・育成事業を通じて、ロボットによる授粉・収穫技術の基礎となるプロトタイプの開発を推進してきた。

HarvestXが開発するいちごの自動栽培ロボットの自動授粉・収穫実証試験機「XV1」。デプスカメラとHarvestXが開発した画像処理アルゴリズムを用いて花と果実の認識を行い、特許出願中の専用アタッチメントで授粉と収穫を行う。さらに、初めて採用した自走台車により広い農園内における農作業を実証することを目指している

HarvestXが開発するいちごの自動栽培ロボットの自動授粉・収穫実証試験機「XV1」。デプスカメラとHarvestXが開発した画像処理アルゴリズムを用いて花と果実の認識を行い、特許出願中の専用アタッチメントで授粉と収穫を行う。さらに、初めて採用した自走台車により広い農園内における農作業を実証することを目指している

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:資金調達(用語)東京大学(用語)東京大学協創プラットフォーム開発 / 東大IPC(用語)農業(用語)HarvestX日本(国・地域)

輸送テックの波に乗るデジタル道路運送のドイツSennderが約166億円調達、欧州事業拡大へ

自らを「デジタルな道路運送会社」とする、ドイツを拠点とするSennder(センダー)が、シリーズDの資金調達で1億6000万ドル(約166億円)を調達した。このラウンドは匿名の投資家が主導したが、ラウンドの参加者にはAccel、Lakestar、HV Capital、Project A、Scaniaなどが含まれている。情報筋によると、Hedosophiaが匿名の成長投資家だという可能性があるが、Sennderはコメントを避けた。現在までに同社は2億6000万ドル(約270億円)以上の資金を調達しており、10億ドル(約1038億円)の潜在的な評価額を主張することができる。

Sennderは、企業の荷主とトラック運送会社を直接結びつけることで、従来の輸送モデルを中抜きしている。Sennderは2021年に、100万台以上のトラック輸送を予定しているという。これまでのところ、同社は収益性の高い欧州市場に集中している。2020年6月にはフランスの競合企業であるEveroadと合併し、同年9月にはUber Freightの欧州事業を買収した。欧州の物流・貨物部門の市場規模は4270億ドル(約44兆3100億円)といわれる。

Sennderは、WincantonやCH Robinsonのような大手の既存業者や、OnTracやInstafreightのような他のスタートアップと競合している。

現在、デジタル貨物輸送市場全体が活況を呈している。2020年11月には、ドイツのデジタル貨物輸送会社Fortoが新たに5000万ドル(約52億円)の資金を調達し、同社の調達総額は1億300万ドル(約107億円)に達した。

Sennder社の新たな投資は、欧州市場での事業拡大を意味している。同社はすでにイタリアのPoste Italiane、スウェーデンのScania(スカニア)、Siemens(シーメンス)と提携しており、現在ではドイツのDAX30に上場している10社以上の組織と、ユーロ・ストックス50を構成する11社の企業に輸送サービスを提供しているという。

2015年にDavid Nothacker(デイビッド・ノーサッカー)氏、Julius Köhler(ユリウス・コーラー)氏、Nicolaus Schefenacker(ニコラウス・シェフェナッカー)氏によって設立されて以来、同社は800人の従業員と7つの国際事務所を持つまでに成長した。

Sennder社の共同創業者兼CEOであるノーサッカー氏は次のように述べている。「当社は現在、この分野の昔からの先駆者と対等な立場で業界をリードする存在となっていますが、創業時の精神は維持しています。データ駆動型企業として、ロジスティクス業界を持続可能な未来に適合させ、物流の透明性、柔軟性、効率性を確保することに貢献しています。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは、デジタル化されたロジスティクス業界の重要性を明らかにしました」。

AccelのパートナーであるSonali De Rycker(ソナリ・デ・リッカー)氏は次のようにコメントしている。「投資先企業がこのような重要なマイルストーンを達成するのを見るのはいつも素晴らしいことです。2020年は、Sennderの革新的なデジタルサービスが運送業界にもたらすバリューを浮き彫りにする年でした」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ロジスティクス 資金調達Sennder

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(翻訳:Nakazato)

月定額のマイカー賃貸サービス「カルモ」を展開するナイルが50億円超の資金調達

月定額のマイカー賃貸サービス「カルモ」を展開するナイルが50億円超の資金調達

デジタルマーケティング事業、メディアテクノロジー事業、モビリティサービス事業を営むナイルは1月18日、総額約37億円の第三者割当増資を実施し、さらに複数金融機関から合計13億円を上限とする融資契約を締結、総額で50億円超の資金調達を実施したと発表した。

引受先は、DIMENSION、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、環境エネルギー投資、博報堂DYメディアパートナーズ、SBIグループ、日本ベンチャーキャピタル、グリーベンチャーズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、その他個人投資家。累計資金調達額は55.7億円となった。

今回の資金調達により、同社は「おトクにマイカー 定額カルモくん」におけるマーケティング活動を強化、またより価値あるサービスとすべく、自動車整備工場や自動車ディーラー、サービスステーションなど自動車関連事業者様とのアライアンスを強化・拡充していく。さらに、モビリティサービス事業のみならず、同社運営の各事業との親和性が高い企業のM&Aについても積極的に検討するとしている。

月定額のマイカー賃貸サービス「カルモ」を展開するナイルが50億円超の資金調達

同社は、2018年1月に定額カルモくんをローンチ。頭金なし・ボーナス払いなし、税金、自動車損害賠償責任保険料コミコミで月1万1700円という月額料金から新車に乗れるサービスとなっている。

同サービスは自動車購買プロセスにおけるDXをテーマとし、完全非対面でのインターネット販売にて展開。過去3年間で累計4万5000件に及ぶサービス申込みがあったという。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:カルモ資金調達(用語)日本(国・地域)

新卒・中途を一元管理できる採用管理システム「SONAR ATS」のThinkingsが9.5億円調達

新卒・中途を一元管理できる採用管理システム「SONAR ATS」のThinkingsが9.5億円調達

新卒・中途採用の一元管理が可能な採用管理システム「SONAR ATS」を提供するThinkingsは1月18日、シリーズAラウンドとして、第三者割当増資および金融機関からの借入による総額9.5億円の資金調達を発表した。引受先はインキュベイトファンド、XTech Ventures、i-nest capital、みずほキャピタルの4社。

調達した資金は、SONAR ATSのサービス強化、SONAR ATSと連携しているHRサービスを掲載するマーケットプレイス「SONAR Marketplace」実現に向けた機能開発および人材採用などに充てる予定。

また2月1日より、インフォデックスとイグナイトアイはThinkingsへ合併することを明らかにした。

Thinkingsは、企業が最適なHRサービスを選択・活用し、より自社とマッチした人材をストレスなく採用できるよう、2013年からSONAR ATSを中心にHRTech事業を展開。各就職ナビやイベントなど、全ての応募経路からのデータを一元管理し、直感的なユーザーインターフェースにより、応募者へのLINE連絡や状況の分析、さらに応募者への効果的な動機形成を図ることが可能。通年採用化に伴う、年度に縛られない採用管理にも活用できるそうだ。現在SONAR ATSは、業界・業種・採用規模などを問わず約800社(2021年1月時点)の幅広い企業に導入されているという。

また今回Thinkingsは、採用の「解像度」を上げ、真のマッチングを実現するという新たなビジョンを定めたとしている。候補者それぞれにピントを合わせ共感を構築する採用活動や、各企業ごとの最適な採用戦略など、採用活動の「解像度」を上げていくことで、「採用管理」にとどまらず、候補者と企業の双方が幸せになる真のマッチングを生み出していくとしている。

採用管理システム「SONAR ATS」の事業拡大

これまでSONAR ATSでは、採用管理システムとして高い柔軟性と効率性を追求し、あらゆる採用の管理を可能にしてきたという。また、現在22のSaaSとAPI連携しており、スムーズな情報連携が可能としている。今後、機能改善に加えてさらに連携サービスを増やし、SONAR ATSと様々なHRサービスを組み合わせてシームレスな採用管理が行えるよう、利便性を向上させる。

またこれにより、多様な採用課題に対応できる採用管理システムとして、2023年度(2024年7月)中に2000社の企業への導入、2021年度(2022年7月)までに100のHRサービスとのAPI連携を目指す。

HRサービス提供ベンダーがサービスを販売・提供、採用担当者が相談・購入できるマーケットプレイスを目指す「SONAR Marketplace」

Thinkingsは新たにSONAR Marketplaceサイトを開設し、採用管理システムで培った知見を元に、HRサービス活用ノウハウやSONAR ATSと連携しているHRサービスを掲載。採用管理システム事業専業で展開してきたからこそ、様々なHRサービスを中立的な立場でユーザーに提案できる「マーケットプレイス」を創ることが可能と考えているという。

新卒・中途を一元管理できる採用管理システム「SONAR ATS」のThinkingsが9.5億円調達

同社は、このSONAR Marketplace事業によって企業のHRサービス購買プロセスの最適化を目指すという。SONAR Marketplaceを通して、企業は自社の目的や課題に合った最適なHRサービスを選定し、活用方法を理解し、購入まで完結することが可能となるよう、システム開発を推進する。

新卒・中途を一元管理できる採用管理システム「SONAR ATS」のThinkingsが9.5億円調達

また現在「SONAR Marketplaceで購入可能なサービスの増加」、「購買システム開発」の2点を進めているそうだ。

  • SONAR Marketplaceで購入可能なサービスの増加:現在SONAR ATSとHRサービスとのAPI連携を推進。将来、SONAR Marketplace内で採用担当者が様々なHRサービスを購入可能とするため、ThinkingsはHRサービス提供ベンダー各社との連携を強化していく。各HRサービスベンダーはSONAR Marketplaceに参画することで、業界を問わず様々な企業との接点を持ち、自社サービスを企業に販売・提供できる市場を得ることが可能になる
  • 「SONAR Maketplace」サイト・オンライン購買システムの開発:現在SONAR Marketplaceにおいて、採用担当者は、Thinkingsに対し掲載サービスに関する購入や導入に関する相談が可能。将来的には、SONAR Marketplace内で、各HRサービスの単体購入や、企業の採用課題に合わせ最適なHRサービスを組み合わせたパッケージも購入できるよう、設計・開発を進めている。SONAR MarketplaceはSONAR ATSユーザーに限らず利用が可能で、誰でも「0から採用を始める」ことができる場を作る

今後SONAR Marketplaceにより、次々と生まれる多様なHRサービスを迷わず導入することを可能とし、企業ごとに最適な採用戦略を構築できるようにすることで、採用の「解像度」を上げていくことを目指す。また、2021年度中にHR領域の新規事業立ち上げを予定している。

カテゴリー:HRテック
タグ:資金調達(用語)ThinkingsSONAR ATSSONAR Marketplace日本(国・地域)

救急サービスを改善する次世代プラットフォーム開発のCarbyneが26億円調達

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックへの対処に関しては救急サービスが引き続き主力だ。米国時間1月14日、救急サービスの改善を支援するテクノロジーを開発する企業が、事業を拡大し続けるための資金調達ラウンドを発表した。

Carbyne(カーバイン)は救急サービスを対象としたクラウドベースのプラットフォームを開発するイスラエルのスタートアップだ。このプラットフォームは、電話をかけてきた人々に関するより完全な情報を特定し、より迅速に応答するための新しい遠隔医療サービスとなる。同社は2500万ドル(約26億円)を獲得した。

同社の計画は、開発中のテクノロジーおよび同社のサービス提供先となる市場や組織の観点から、サービスを次のレベルに引き上げることだ。このサービスはパンデミックの前からすでに力強い成長を遂げていた。

「Carbyneは昨年創業したわけではありません。私たちはすでにかなり長い間、クラウドサービス、ビデオ、ロケーションを911に売り込んでおり、パンデミック前に2億5000万人にサービスを提供していました」とCEOのAmir Elichai(アミール・エリチャイ)氏はインタビューで述べた。「しかし、緊急サービス向けのクラウドソリューションは、新型コロナで『あると便利』から『なければならない』ものになりました」。

同社は、公衆衛生プロバイダーや、CentralSquare、Global Medical Response(GMR)などのグループと提携しており、米国では市場の約90%をカバーすることが目標だという。

シリーズB1はHanaco VenturesとELSTED Capital Partnersがリードし、元CIA長官のDavid Petraeus(デービッド・ペトレイアス)氏、Founders Fund、FinTLV、その他の既存の投資家も参加した。

これがB1ラウンドであるという事実は、今後数カ月の間に同社に対しさらに多くの資金が提供されることを示している。いずれにせよ、2500万ドル(約26億円)は同社が調達を予定していた金額よりも多かった。

「2020年に1500万ドル(約16億円)を調達する計画でした。新型コロナが始まり、私は従業員の誰にも去ってほしくないと思いましたが、状況がどうなるかわかりませんでした。そのため、代わりに一律に給与を削減しました」とエリチャイ氏はいう。「しかしその後、第2四半期から収益が倍増し始め、第3四半期と第4四半期に160%増加しました。今回、資金を集めるのは簡単でした」。

資金調達は同社の非常に力強い成長、特に昨年の急成長の後に行われた。

Carbyneのサービスは現在約4億人をカバーしており、2020年3月から10日ごとに新しく導入されている。

CTOのAlex Dizengoff(アレックス・ディゼンゴフ)氏およびエンジニアリングリードのYony Yatsun(ヨニー・ヤツン)氏と会社を共同で創業したエリチャイ氏はインタビューで、過去9カ月間にCarbyneが救急医療サービス(EMS)チームに約1億5500万のロケーションポイントを提供したと述べた。新しい製品も増えている。EMSチームがリモートで支援を提供するサービスは、その間130万分相当のビデオを蓄積したと同氏は述べた。

TechCrunchの理解によると、この資金調達によりCarbyneの評価額は「1億ドル(約104億円)以上」になる。エリチャイ氏は具体的な数値を示すことを拒否した。参考までに、同社は直近2018年に資金調達したときに「約」1億ドルと評価された。それは1500万ドル(約16億円)のラウンドで、Founders Fundがイスラエルのスタートアップに投資したのはこれが初めてだった。

2020年の成長とビジネスに対する継続的な需要は、その「以上」が大きいことを示している。確かに前回のラウンド以来、世界全体そしてCarbyne自体もいくつかの重要な変化を遂げた。

2018年や当時私たちが経験したどんなドラマも、現在の危機のいくつかと比較すると、遠い昔の出来事で、ほぼ平穏だったように感じられるだろうか。特に、新型コロナのパンデミックはCarbyneと直接関係がある。

ウイルスに起因する病気である新型コロナ感染症は悪性でしぶとい病気であることがわかっており、最も悲惨で深刻な症状(呼吸不能や臓器不全)を抱える人々を襲うことがよくある。しかも、回復しつつあるかもしれないと彼らが思い始めたときにだ(もちろん、幸いなことにすべての人に当てはまるわけではないが、それでも無視できないほど頻繁に発生する)。

それが救急対応サービスに大きな負担をかけている。それは最初の呼び出しへの対応から、患者との最初の接触、そして最も深刻な患者を病院に運び込みケアするサービスにまで至る。多くの場合、こうしたサービスに従事する人々は、対応可能な能力の限界を超えて働いている。多くの都市の状況は悲惨だというほかない。

Carbyneのテクノロジーは、より多くのデータを提供することで人々の仕事を改善するだけでなく、電話をかけてきた人々にデータを送り返す手段にもなることで、独自性を発揮している。

同社はここ数年でサービスの提供方法に大きな変化を加えた。

たとえば2018年に同社の最後の資金調達ラウンドを取り上げたときは、EMS組織に直接サービスを提供していた。だが基本的にサービスが機能するには、ユーザーがアプリをインストールするか、ユーザーに別のアプリからそのテクノロジーを提供する必要があった。

エリチャイ氏は、Google(グーグル)などの企業が提供する位置情報サービスを統合し、ユーザーがアプリからプラットフォームに接続する必要をなくしたと述べた。

同様に、同社は自治体と協力して業務を効率化するサービスを提供するだけでなく、自治体の対応能力が限界を超えるのを緩和する方法についても、しっかりとリードしている。

その流れの中を受けたプロジェクトがニューオーリンズでの最近の取り組みだ。エリチャイ氏によると、そのプロジェクトで同社はニューオリンズ市が新型コロナの発生に対し真面目に取り組み、管理するのをサポートしたと述べた。詳細は次のとおりだ。

長期的には、米国やその他の国々では、911スタイルの救急対応における多くのレガシーサービスが何年にもわたって必要としてきた刷新をいよいよ行うべきだという強い議論がある。

具体的には、2021年1月月初めに議会で承認された1.5兆ドル(約156兆円)のインフラ法案が、次世代の911サービスの展開のために120億ドル(約1兆2500億円)の資金を割り当てた。

Carbyneは2023年までに約15億人にサービスを提供すると考えている。米国ではこのような動きがあり、新型コロナかどうかにかかわらず、これほどまでに普及していないのはなぜかという点に焦点を当てている。

「市民、緊急通報センター、ファーストレスポンダー、州および地方自治体の間で透明性のある緊急通信を行う機能が緊急対応システムに統合され、確実に命を救い、結果を改善するにつれて、非常に重要であることがわかるでしょう」と元CIA長官のペトレイアス氏は声明で述べた。「Carbyneが提供するものは、最も重要な瞬間のコミュニケーションを劇的に強化します」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Carbyne医療資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンなどの「プラットフォーム経済」上で成立するスタートアップを支援するCrossbeamが26億円調達

数多くのベンチャー投資家は次なるAmazon(アマゾン)やShopify(ショッピファイ)に資金援助したいと考えるだろうが、Crossbeam(クロスビーム)はそれらのプラットフォーム上で成立するスタートアップを支援する新しい企業だ。つい最近、初めての資金調達を2500万ドル(約26億円)でクローズした。

これまでも、SellerX(セラーエックス)、Perch(パーチ)、Heroes(ヒーローズ)など、Amazonで事業を行う業者を買収し拡大させる潤沢な資金を持つスタートアップを紹介してきたが、CrossbeamのゼネラルパートナーであるAli Hamed(アリ・ハメド)氏も同様に、大きな好機を示す場所としてAmazonを指名する。Amazonでのサードパーティーの売上げが2019年には2000億ドル(約20兆8000億円)に達したことを挙げ、ハメド氏はこう話した。「このスペースでの勝者は100社にのぼるでしょう」。

さらに彼は、同社はAmazonだけに特化しているわけではないと語る。Thumbtack(サムタック)、Spotify(スポティファイ)、 Shopify(ショッピファイ)も、Crossbeamが投資対象とする「プラットフォーム経済」だという。2020年の秋に発行されたMedium(メディアム)の記事で、彼は詳しく説明している。

「Facebook(フェイスブック)の株を持つより、私たちはInstagram(インスタグラム)のアカウントを持ちたいと考えます。Amazonの株を持つより、サードパーティーの小売業者をたくさん所有したいと考えます。さらにGoogle(グーグル)の株を持つより、YouTube(ユーチューブ)のライブラリーを持ちたいと考えます。

なぜか?そうした株の魅力を高めている追い風は、そのプラットフォーム上で商売をしている業者にも及んでいるからです。しかし、資本市場はまだそのスペースに本格的に乗り出していません。従来型のファンドは、そうしたプラットフォームの構成要素に資金提供するようには作られていないからです。一番の問題は、それらプラットフォーム上の経済エコシステムの多くは、成熟したばかりなので、それぞれの資産を評価するための既存のモデルがないことです」

ハメド氏と、ゼネラルパートナーのSavneet Singh(サブニート・シン)氏は、ともにCoVenture(コベンチャー)のパートナーでもある。この企業は、もともとは技術的なサービスを提供する代償にエクイティを得ていたが、今ではスタートアップへの資金貸付に重点を置いている。CrossbeamはCo Venture、Moelis Asset Management(モエリス・アセット・マネージメント)、Fenway Summer(フェンウェイ・サマー)とのジョイントベンチャーだと彼は説明している。ビジネスが軌道に乗ったときに、CrossbeamはCoVentureから追加資金の貸付を受けている。

1つのプラットフォーム上に事業を構築するスタートアップのリスクについて尋ねると、ハメド氏は、1つのプラットフォームでオーディエンスを固め、後に多様なプラットフォームに展開するほうが理に適っていることもあるが、それはプラットフォームによる、と話す。鍵となるのは「そのプラットフォームが自分に代わって儲けを生んでくれるか」だと彼は主張する。

「他のプラットフォームに手を広げてみると、稼ぎを助けてくれるところと、そうでないところとがあります」とハメド氏は電子メールで述べた。「YouTubeは助けてくれます。私たちに代わって広告で稼ぎ、その一部を私たちに分けてくれるからです。Instagramは違います(特別なケースを除いてInstagramは広告収入を分けてくれません)。【略】そのため各プラットフォームの『ありがたさ』は、それぞれなのです」。

最初のファンドをクローズする前にも、Crossbeamはすでにデジタルメディアの企業Wave.tv(ウェーブ・ティービー)、訴訟のための融資企業Litty(リッティー)、オンデマンドの訴状送付スタートアップProof(プルーフ)、サードパーティーのAmazon小売り業者を買収する企業Acquco(アクコ)の6社に投資を行っている。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:eコマースCrossbeam資金調達

画像クレジット:jayk7 / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

ヘルスケア企業の意思決定結果を予測するLumiataが14.5億円調達

ヘルスケアのシステムは常に節約を求めている。Lumiataはその節約を助けるサービスでこのほど1400万ドル(約14億5000万円)を調達した。

すでに同社にはKhosla VenturesBlue Venture Fundが投資しているが、上記の最新のラウンドはDefy.vcとAllegisNL Capitalがメインの投資家だった。

Lumiataのソフトウェアは、医療データセットをクリーンアップしてから分析し、医療機関や医療機関の保険引受リスクとコスト削減を調べる。

同社によると、今回の資金は新しいプロダクトとサービスへの投資を加速し、また営業とマーケティングを強化するために費消される。また2021年にはメキシコのグアダラハラに新たなオフィスを開く予定だ。

FGC Healthの会長で社長、CEOでLumiataの顧客でもあるDalbir Bains(ダルビル・ベイン)氏は「Lumiataは、顧客との信頼関係を築くことが上手だ。彼らが提供する結果により、消費者の共存症リスクを管理することができた。長年のパートナーシップにより、長期的な依存関係できており、それによって弊社の薬剤提供ビジネスを管理できている」と述べている。

同社のプロダクトは、ヘルスケア企業の意思決定をサポートするために、保険引受査定や臨床費用、およびその他のリスクの管理を助けている。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Lumiata資金調達

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

パーソナライズされたプロテインシェイクやスポーツドリンクを届けるGainfulが7.8億円調達

パーソナライズされたプロテインパウダーと水分補給ドリンクの定期購入サービスを提供するスタートアップGainfulは、シリーズAのラウンドで資金750万ドル(約7億8000万円)を調達したと発表した。

CTOのJahaan Ansari(ジャハーン・アンサリ)氏とともに同社を設立したCOOのEric Wu(エリック・ウー)氏はTechCrunchに取材に対し、Gainfulは自身の経験から様々なプロテインパウダーを試してみて、試行錯誤の末やっと、自分の目標や食事のニーズに最適な組み合わせを見つけたことから始まったと語った。

「私の個人的な経験では、(自分に合った)プロテインパウダーを見つけようとすると、圧倒されてしまいます」とウー氏はいう。「成分は無数にありますが、溢れる情報のノイズをカットしてくれる誰かに相談したいと思うものです」。

ユーザーはGainfulに申し込むと身長、体重、運動パターン、フィットネスの目標、プロテイン製品を摂取する頻度などを聞くクイズに答える。それに合わせ、ニーズに合ったプロテインパウダーを推薦してくれるだけでなく、その他の質問にも答えてくれる管理栄養士にも継続的にアクセスすることができる仕組みだ。

ウー氏は、舞台裏でGainfulは「何百種類もの異なる(プロテイン)ブレンドを」開発し、その後、(NBAバスケットボールチームのGolden State Warriorsや Sacramento Kingsで働いてきた栄養の専門家を含む)科学諮問委員会と協力して、「限られた数のブレンドに絞りました」と語った。会社が実際に何種類の製品を販売しているのか詳細を尋ねると、ウー氏はその数を「かなり」とし、「常に検討され続けている」と述べた。

画像クレジット:Gainful

Gainfulの製品はすべて人工着色料、香料、甘味料を使わずに作られており、グルテンフリー、大豆フリーにも対応している。新しい電解質ドリンクミックス(これは著者が試して楽しんだもの)で、同社はプロテインを超える範囲に動き出しており、ウー氏は今後も新製品や新フレーバーを追加していくと述べている。同時に、追加製品にアクセスするには、プロテインパウダーのサブスクリプション(価格は39ドル、約4000円から)が必要なことに変わりはない。

この比較的高いコミットメントのアプローチを説明するために、ウー氏はこう語る。「私たちは、すべての製品が補完的な利点を持っており、本当に相乗的に機能するシステムを作成したと信じています。適切な水分補給をしていれば、運動時により多くの力を発揮することができますし、パーソナライズされたプロテインパウダーがより一層の効果を発揮してくれます。これらはすべて、簡単な特効薬としてではなく、手っ取り早い減量のためのソリューションとしてではなく、健康であるための方法として提供されています。一時的な成功のためではありません」。

シリーズAラウンドはBrandProjectとCourtside Venturesが共同で主導し、AF Ventures、Round13 Capital、Barrel Ventures、そしてPolaris Sportsの創業者が参加した。

GainfulはY Combinatorの2018年冬のバッチの一部だった。また、2020年初めにはリーダーシップの移行も行われ、ウー氏はCEOからCOO(製品開発にもっと集中できるとのこと)に移行し、Dean Kelly(ディーン・ケリー)氏がCEOに就任した。

ウー氏は、eコマースへの一般的なシフトに加え「本当に困難だった時に、人々が充実した健康的で幸せな人生を送るというのはどういうことかよく考えた」ことから、パンデミックの間に同社は大きな成長を遂げたと付け加えた。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Gainful資金調達

画像クレジット:Gainful

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(翻訳:Nakazato)

旅館・ホテルなどサービス業用おもてなしシステム「OMOTE-Bako」のラトナが3.8億円調達

旅館・ホテルなどサービス業用おもてなしシステム「OMOTE-Bako」のラトナが3.8億円調達

旅館・ホテルなどのサービス業向けおもてなしアプリーケーション「OMOTE-Bako」(おもてばこ)などを手がけるラトナは1月15日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資およびデットファイナンスによる合計3.8億円の資金調達を発表した。

引受先はスパークス・グループが運営する「未来創生2号ファンド」、マネックスベンチャーズ運営の「MV1号投資事業有限責任組合」、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル、静岡キャピタル。借入先は三井住友銀行など。

資金調達により、特許技術であるエッジにおけるコンテナオーケストレーション技術を活かした製造業向けIoT/エッジコンピューティング分野での事業拡大・技術開発を強化。また自社製品「OMOTE-Bako」の販売促進・マーケティングを強化する。さらに、事業拡大に伴う組織の拡充へと継続投資を行い、企業価値の向上に努めていくとしている。

OMOTE-Bakoは、旅館やホテルなどのサービス業務おける受付業務および館内業務の効率化と、宿泊客に対する安心・安全なおもてなし接客を実現可能なシステム。

最大の特徴は、AIを用いた顔認証による、非対面・非接触の接客を実現する、自動チェックイン・チェックアウトにあるという。素早く受付手続きを済ませられるほか、宿泊客の情報や宿泊・予約データをセキュアかつ安全に保管可能。施設側にとっては、宿泊客ひとりひとりに合った接客をする手助けになるとしている。

またディスプレイには、タッチパネルを採用し、簡単に操作が可能。今後は宿泊客自身で完結する完全非対面・非接触まで実現する予定。

OMOTE-Bakoにおけるこれらの機能は、ラトナが取得した国内・国際特許技術であるエッジコンテナオーケストレーション技術によって支えられているという。

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カテゴリー:IoT
タグ:AI / 人工知能(用語)エッジコンピューティング(用語)資金調達(用語)ラトナ日本(国・地域)

現在と将来の収入で限度額が決まるクレジットカードX1 Cardが12億円調達

X1 Card(エックスワンカード)は1200万ドル(約12億円)を調達する。同社はクレジットスコアではなく、現在と将来の収入に基づいて利用限度額を設定するクレジットカードを構築している。

この資金調達ラウンドはSpark Capitalがリードし、俳優Jared Leto(ジャレッド ・レト)氏、Box共同責任者Aaron Levie(アーロン・レヴィ)氏、Yelp共同創業者Jeremy Stoppelman(ジェレミー・ストッペルマン)氏、PayPal共同創業者Max Levchin(マックス・レヴチン)氏、Pixar元CFOのAli Rowghani(アリ・ロガーニ )氏も参加している。American Express(アメリカン・エキスプレス)のベテランであるAsh Gupta(アッシュ・グプタ)氏がアドバイザーとしてX1 Cardに加わっている。

X1 Cardは、これまでにウェイトリストに30万近くの登録があったと話す。筆者は2020年9月にX1 Cardについて記事を書き、多くの読者を引きつけた。なので30万という数字には驚かない。

X1 Cardは、異なる発想のステンレスVisaクレジットカードだ。カードを申し込むとき、クレジットスコアに基づいて利用上限額を決めるのではなくX1 Cardはその人の現在と将来の収入を参考にする。

同社はクレジットスコアシステムが時代遅れで、申込者の信用力を反映していないと考えている。だからこそ同社は利用制限額を算出するのにクレジットスコアを使っていない。それでもクレジットスコアは変化しやすい年率(12.9〜19.9%)に影響するが、それだけだ。

X1 Cardのクレジットカードには多くのソフトウェア機能がある。たとえばX1アプリからサブスクリプションを追跡でき、また自動で期限切れになるバーチャルカードを作ることができる(要クレジットカード)。返金の通知も受け取れる。

特典として、すべての購入で2倍のポイントを獲得する。もしヘビーユーザーで、年間1万5000ドル(約155万円)超のカード利用があればアップグレードして3倍のポイントを獲得することができる。口コミの要素もあり、友達を紹介すれば特典レベルがアップし、1カ月間ポイントが4倍になる。集めたポイントは提携小売店で使うことができる。

X1 Cardは多くの機能を約束し、そして現在、約束を現実のものとするために十分なキャッシュを銀行口座に持っている。カードが発行された後に同社が期待に応えるかは今後明らかになる。しかしクレジットスコアシステムが時代遅れなのは明らかだ。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:X1 Card資金調達

画像クレジット:X1 Card

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(翻訳:Mizoguchi

暗号資産領域スタートアップ「日本暗号資産市場」が4000万円を調達、一般向けERC20普及目指す

暗号資産領域スタートアップ「日本暗号資産市場」が4000万円を調達、一般向けERC20普及目指す

日本暗号資産市場は1月15日、約4000万円の資金調達を発表した。1月14日までのi-nest capitalを引受先とする第三者割当増資、村口和孝氏(日本テクノロジーベンチャーパートナーズ 代表)に対する株式譲渡、既存株主の新株予約権行使によるもの。

調達した資金は、サービス認知向上のためのマーケティング費用、ブロックチェーン周辺事業開発にかかる人件費にあてる。

具体的には、1月下旬販売の一般向けERC20前払式支払手段「JPYC」(JPYCoin)流通に向けたマーケティングや、JPYCやビットコインなどの流通のボトルネックとなるトークンウォレットの普及のための企画・開発を進める。

前払式支払手段とは、事前にお金(対価)を支払っておき、買い物時などに決済を行うもの。商品券やカタログギフト券、プリペイドカードなどが該当する。

また事業開発に際しては、監督当局と十分なコミュニケーションを取り、リーガル面に配慮しつつ、適切な法務コストをかけながら進めていく。

2019年11月創業の日本暗号資産市場は、「全てのニワトリ・タマゴ問題を解決する」をミッションに掲げるスタートアップ。2020年2月に古物商許可、3月に古物市場主許可を取得。

2020年8月、日本円・BTC・ETHで購入可能な事業者用前払式支払手段ERC20トークンであるICB(ICHIBA)の発行とともに、販売を開始。ICBは順調に流通量を増やしているという。

また同社は、ERC20前払式支払手段をさらに多く流通させるため、JPYCの発行および販売を2021年1月下旬に開始する。事業者向けのICBと異なり、JPYCは一般向けであるため誰でも入手でき、発行枚数は第一段階から1億枚を予定。Uniswapなどの二次流通市場での取引は、ICB同様に利用者が自由に行える。

暗号資産領域スタートアップ「日本暗号資産市場」が4000万円を調達、一般向けERC20普及目指す

日本暗号資産市場は、JPYCの発行により、日本国内でのブロックチェーンを活用した決済手段と物の取引のさらなる活性化を図るとしている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)資金調達(用語)日本暗号資産市場ブロックチェーン(用語)日本(国・地域)

YCの支援を受けるTikTokのような英語教材ショート動画のBlaBlaが1.6億円を調達

短くて、さくっと見ることができる楽しい動画が、若者が情報を受け取るための当たり前の手段として、広がり続けている。ならば英語をTikTok的な動画で学んでもいいだろう。それがAngelo Huang(アンジェロ・ホアン)氏がBlaBla(ブラブラ)を立ち上げるきっかけとなった。

台湾出身のホアン氏は、10年以上シリコンバレーで働いた後、2019年に上海に移住し、Blablaを立ち上げた。1年後、BlablaはY Combinatorの2020年夏クラスに選ばれた。その当時、米国では新型コロナウイルス(COVID-19)が流行し始め、何百万人もの人が自宅に閉じこめられ、遠隔学習への関心が復活していた。

「YCに応募するのは8回目でした」。BlaBlaの前に2つの会社を設立したホワン氏は、インタビューの中でTechCrunchにそう語った。

今週BlaBlaはAmino Capital、Starling Ventures、Y Combinator、スペインの通信大手Telefónica(テレフォニカ)のイノベーション部門であるWayra X(ワイラX)が主導するシードラウンドで154万ドル(約1億6000万円)を調達したことを発表した。最大の英語学習市場の1つである中国におけるBlaBlaの拡大に対して、Y Combinatorに特に支援してもらえたわけではないが、有名なアクセラレーターの名前は、若い会社に投資家を紹介する上で大きな助けになった、と創業者は述べている。

BlaBlaアプリは、世界中の英語学習者に合わせた短くて魅力的な動画を作成する英語のネイティブスピーカーに、時給ベースでの支払いを行う。コンテンツ制作者は、シーンを認識してタグづけできるBlaBla独自のソフトウェアや、動画に字幕を付けることができるサードパーティ製の翻訳ツールを利用している。生徒たちはサブスクリプション料金を払い、習熟度に応じてパーソナライズされたおすすめ動画を視聴することができる。彼らは、アプリに内蔵されている音声認識を使い、スピーキングコンテストやポップクイズのようなコンテンツを通して練習することができる。

BlaBlaのビデオクリエイター向けチュートリアル動画

同社の挑戦する分野は競争相手がとても多い。中国では、オンライン英語学習市場は、Tencent(テンセント)とSequoia Capital(セコイアキャピタル)が支援する、VIPKIDのような実績ある企業によって占められている。VIPKIDのマンツーマンの家庭教師モデルと比較すると、BlaBlaの開始価格は月39元(約600円)でお手頃だとホアン氏はいう。

「(メインストリームの英語学習アプリを利用している)生徒は、教師と有意義な会話ができるようになるまでには、数千元(数万円)を費やす必要があるかもしれません。私たちはその代わりに動画をリサイクルすることで、はるかに安い価格でレッスンを提供することができます」。

現在、このアプリの週間ユーザー数は約1万1000人、有料ユーザー数は300〜400人だ。全体の80〜90%が中国のユーザーで、2021年の目標は生徒数30万人に到達することだ。今回の資金調達により、BlaBlaは東南アジアとラテンアメリカでの事業拡大が可能となり、さらにWayra Xが全世界で3億4000万人のTelefónicaユーザーへの拡大に貢献できる可能性もある。またアプリはTikTokやYoutubeのようにインフルエンサーとのブランド取引を模索することになるだろう。また新資本により、BlaBlaに対して、言語学習者の興味やプロフィールに基づいてペアリングを行うなどの新機能を追加することが可能になる。

Blablaは英語を教えることだけに限定せず、他言語の教師たちを呼び込むことにも意欲を持っている。「私たちは、グローバルな知識のためのオンライン支払いプラットフォームになりたいと考えています」とホワン氏は語っている。

カテゴリー:EdTech
タグ:Blabla語学学習資金調達

画像クレジット:Blabla

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(翻訳:sako)

AIマットレスのBryteが25億円調達、商品販売からのライセンス供与へ

米国時間1月13日、BryteはARCHina Capitalが主導するシリーズAで2400万ドル(約24億9000万円)を調達したと発表した。Bryteは8000ドル(約83万円)のマットレスを消費者に直接販売していたが、今後は同社のテクノロジーを利用するマットレス業者と提携することにともない、今回の資金調達を実施した。

Bryteは提携の話がいくつか進んでいると述べている。

Bryteによれば、このピボットは常に計画の中にあった。人々の睡眠体験を向上させるという目標をライセンス供与を通じてより良いかたちで達成できると見ている。同社はコンシューマブランドを目指すのではなく、最高品質のマットレスを支えるテクノロジーを提供する方針だ。

Bryteのオリジナルの製品はRestorative Bedという製品名で、現在も購入できる。このマットレスにはセンサーとコンピュータ制御の空気式コイルが100個内蔵され、所有者の睡眠パターンを学習してそこで眠る2人に合わせて調整するプラットフォームと連携して動作する。同社は、このテクノロジーで温度や体圧がかかるポイント、部屋の環境をモニターしてマットレスを調整することにより睡眠パターンが改善されると説明する。

ユーザーは最初にマットレスのシステムの設定をいくつか選択する。システムは眠る人に合わせてシステムを調整する。毎晩眠るたびにマットレスのデータポイントが増え、設定の調整が続けられる。2〜4週間で効果が、90日以内に最適なレベルに到達することが多いという。

今回の資金調達ラウンドで、Bryteはミッションの達成にとって重要なキャッシュを得た。

このラウンドはARCHina Capitalが主導し、ARCHinaの共同創業者であるAmy Huang(エイミー・ファン)氏がBryteの経営陣に加わる。このラウンドにはAdobe共同創業者のJohn Warnock(ジョン・ワーノック)氏とRambusのプレジデントだったDave Mooring(デイブ・モーリング)氏も参加した。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Bryte資金調達睡眠

画像クレジット:Bryte

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(翻訳:Kaori Koyama)

遺伝子工学にブレイクスルーを起こす「遺伝子プログラム技術」のTessera Therapeuticsが238.4億円を調達

技術者たちはコーディング生物学にますます習熟していて、VCたちは新世代のスタートアップたちがその技術を遺伝子技術革新の次の波にのせることができるように、現金を注ぎ込んでいる。

このたびFlagship Pioneering(フラッグシップ・パイオニアリング)のスピンオフ企業であるボストン拠点のTessera Therapeutics(テセラ・セラピューティクス)が、より優れた生物学的プログラミングのためのプラットフォームを開発するために、2億3000万ドル(約238億4000万円)の新たな資金調達を行い、その競争に飛び込んだ。

このラウンドを主導したのはAlaska Permanent Fund Corp.、Altitude Life Science Ventures、SoftBank Vision Fund 2たちで、Qatari Investment Authorityやその他の非公開投資家たちが参加した。

同社は2020年、さまざまな遺伝子の編集技術、製造技術、合成技術を組み合わせて、遺伝子コードに対してよりオーダーメイドの治療指示を提供することのできる遺伝子ライティングサービスを公開した。

同社はその声明の中で、遺伝物質への指示をより多く提供することで、標的とできる病原体や突然変異の数を増やしながら、治療の精度を高めることを目指していると述べている。

この主張は、今月初めに1億500万ドル(約108億9000万円)を調達したアーリーステージバイオテック企業であるSenti Bio(センチ・バイオ)のような企業のアプローチに似ている。

Tessera Therapeuticsの共同創業者でCEOであると同時に、Flagship PioneeringのパートナーでもあるGeoffrey von Maltzahn(ジェフリー・フォン・マルツァーン)氏は「生命体のコードに書き込みを行うことができる能力は、今世紀における決定的技術となって、医療に根本的な変革を促すことになるでしょう。今回いただいた支援は、Tesseraの優れた科学者チームと、遺伝子ライティングの驚異的な可能性を患者さんにもたらすことに注力していることに対する信頼の証です」と語った。「この強力な技術を医療の新しいカテゴリーへと変えることができるのを楽しみにしています」。

Tessera Therapeuticsは、Flagship Pioneeringの傘下で開発されてきた遺伝子治療や遺伝子編集技術に特化した数多くの企業の一部である。Tesseraの共同創業者で会長でもある、Flagship Pioneeringの創業者で最高経営責任者のNoubar Afeyan(ヌーバー・アフェヤン)氏によると、Tessera TherapeuticsはmRNA、標的化膜融合ベクター、エピジェネティックコントローラーを利用した新しい治療法の開発に注力しているという。

Senti Bioは既存の遺伝物質にさらなるプログラミングを加えるものだが、Tesseraは体内に最も多く存在する遺伝物質である可動遺伝因子(mobile genetic elements)を利用して、ヒトゲノムを書いたり書き換えたりするための新たなベクターを生み出す。

同社はその技術を、より良い治療法を提供できる遺伝子工学のブレイクスルーだと主張している。なぜなら、この技術はゲノム内の特定の部位を標的にして、遺伝子コードに対して任意の置換、挿入、削除を行うことができるからだ。Tesseraはまた、その技術は、二本鎖切断を行わず、DNA修復経路にほとんど頼らないことで、より効率的に体細胞ゲノムのエンジニアリングを行うことができると述べている。

遺伝子ライティング技術は、自然界で最も豊富に存在する遺伝子のクラスである可動遺伝因子によって触発され、その上に構築されている。Tesseraの持つ計算ならびにハイスループット実験室プラットフォームのおかげで、チームは、ヒトゲノムの書き込みと書き換えのために、何千もの遺伝子操作され合成された可動遺伝因子を設計、構築、テストすることが可能になった。

また同社によれば、RNAのみを与えることで、まったく新しいシーケンスをゲノムに書き込むことも可能だという。

Tesseraは、新しいラウンドによって調達された資金を使って、技術をさらに発展させ、より多くのスタッフを雇用し、プラットフォームとプログラムに不可欠な、製造と自動化能力を確立することを目指すと述べている。

関連記事:遺伝子回路テクノロジーでガン制圧を目指すSenti Bioがバイエルから109億円を調達

カテゴリー:バイオテック
タグ:Tessera Therapeutics資金調達遺伝子

画像クレジット:MR.Cole_Photographer (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:sako)

スニーカー特化型フリマ「スニーカーダンク」運営がソフトバンク系ファンドなどから累計25億円調達

スニーカーに特化したフリマアプリ「スニーカーダンク」を運営するSODAは1月14日、シリーズBラウンドとしてSoftbank Ventures AsiabasepartnersコロプラネクストTHE GUILDを引受先とする第三者割当増資を実施し、22億円の資金調達を実施したと発表した。なお、同社はこれまでに未公開のシリーズA(3億円調達)も実施済みで、累計の調達金額は25億円となる。

SODAが展開するスニーカーダンクは、ユーザー同士がスニーカーを売買できるフリマアプリだ。既存のサービスとは違い、スニーカーという商材に特化することで、業務提携先の「フェイクバスターズ」と共同の真贋鑑定をすべての取引において提供し、安心安全な取引を実現している。スニーカーは、モノによっては定価よりはるかに高いプレミア価格がつく品物。だからこそ、真贋鑑定による安全な商取引はユーザーを惹きつける。

SODA代表取締役の内山雄太氏は「自分でもフリマアプリでスニーカーを販売していたが、次第に偽造品が市場に出回るようになり、買うのが怖くなった。その時、真贋鑑定という付加価値をつけることで、スニーカー特化型のマーケットプレイスがうまくワークするのではないかと考えた」と、スニーカーダンクのアイデアが生まれた背景を語る。

スニーカーダンクによる真贋鑑定(画像クレジット:SODA)

そんなスニーカーダンクはもともと、スニーカーファンたちが集うメディアとして始まったサービスだ。同メディアでは、どのメーカーがどのスニーカーをいつ販売するかという情報を網羅。年間1000~2000足が販売されるというスニーカーの販売情報を網羅することを重視して、スニーカーファンが集まる基盤を作ってきた。その後、スニーカーファンたちが自身のコーディネート写真などをアップロードできるコミュニティ機能も追加。2017年のメディア開設以降、スニーカーファンのコミュニティの醸成と拡大に注力してきた。現在でもスニーカーダンクのウェブページトップにはユーザー投稿やニュース、自社開発の読み物コンテンツが配置されており、SODAが継続してコミュニティ醸成に力を入れていることがわかる。

スニーカーダンクのトップページ

スニーカーダンクは2017年のメディア開設後、順調にトラクションを伸ばしている。2019年8月のフリマ機能追加時にはアプリのダウンロード数が10万件を突破。翌2020年8月には50万件のダウンロード数を記録している。現在の取引量に関するトラクションは非公開だが、内山氏によれば「昨年対比の3000%以上」というスピードでこの1年間は成長しているという。

SODAは今回の資金調達により、プロダクト開発、マーケティング、ロジスティクス、カスタマーサポートの人材採用および設備投資に注力する予定だ。リード投資家を務めたSoftbank Ventures Asia(前Softbank Ventures Korea)はアジア圏のAIスタートアップへの投資でも知られるソフトバンクグループの投資ファンド。同社ポートフォリオ内のAIスタートアップとの協業により、真贋判定やロジスティクスへのAI活用を今後進めていく。スニーカーダンクは現在、真贋判定をすべて人の目で行っているが、AIによるスニーカーの真贋判定は「十分可能だ」と内山氏は話している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:フリマアプリスニーカーダンク資金調達スニーカー