新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界を変え、消費者は多くのものを頻繁にオンラインで買い物するようになった。IBMのU.S. Retail Index(米国小売インデックス)の新たなデータによると、パンデミックは実在店舗からデジタルショッピングへのシフトをおおよそ5年分加速させた。その結果、デパートはかなりの売上減となっている。2020年第1四半期のデパートや「必要不可欠ではない」小売の売上高は25%減った。そして第2四半期には75%減と減少幅は拡大した。

レポートは、デパートの売上高が通年で60%超減少することが見込まれる、としている。一方でeコマースは2020年に20%近く成長する見込みだ。

パンデミックではまた、どの部門の商品が必要不可欠かを消費者が選別するようにもなった。例えば多くの消費者が家から働いたり授業を受けたりし始め、また政府のロックダウン措置のもとでのソーシャルディスタンシングが導入されたのに伴い、衣類の重要度は下がった。ただ他の部門をみると、食料品が12%、アルコールが16%、日曜大工材料は14%成長した。

画像クレジット: IBM

デパートの小売業者は新たな環境で競争力を維持するために配送のオムニチャネル化に迅速に軸足を移す必要がある、とレポートは指摘している。特に、オンラインで購入して店舗でピックアップするBOPIS(Buy Online and Pickup In Store)のようなサービスを通じて店舗に集客し、また店舗からの配送を拡充して提供する必要がある。

Walmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)などの大手小売はオムニチャネルの配送を展開している。両社ともeコマースへの早期の投資が奏功し、2020年8月に発表した四半期決算では上々の売上高となった。Walmartの場合、パンデミックによって第2四半期決算のeコマース売上高は97%増加した。Targetは同四半期に同日配送サービスが273%増えて過去最多の売上高となった。また両社はオンライングローサリーにも投資し、Walmartはグローサリーピックアップと、パートナー企業を通じた配達サービスを提供している。Targetもグローサリーピックアップをちょうど開始したばかりで、Shiptを通じた配達も展開している。

当然のことながらAmazon(アマゾン)もデジタルへの移行の恩恵を受け(BUSINESS INSIDER記事)ており、直近の四半期の利益は過去最高となり、売上高は40%増だった。

パンデミックによるeコマースの成長は、ベースライン成長にとって高いハードルとなる。米国勢調査局が発表した2020年第2四半期レポートによると、米国のeコマース小売は前年同期比31.8%増の2115億ドル(約22兆3300億円)に達した。eコマースは第2四半期の全小売売上高の16.1%を占め、これは前四半期の11.8%から増えている。

IBMのレポートの目的は、パンデミックによるオンライン支出が一時的にどのくらいシフトしたのか、長期的にどの程度影響するかを調べるというものだ。少なくとも予想の範囲内での答えは、パンデミックが業界を5年ほど前に押し進めた、というものだ。実在店舗からのシフトはパンデミックの前から起こっていたが、パンデミックが起こらなければまだ到達していなかったという水準に到達している。

似たような動向が、ストリーミングコードカッティング(ケーブルテレビの契約を解約してインターネットの動画配信サービスを選ぶこと)、ゲーミング、ソーシャルビデオアプリといった分野でも見られる。

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(翻訳:Mizoguchi

テクノロジー企業と法執行機関との協力の停止を訴える「テクノロジーは中立ではない」キャンペーン

法執行機関と協力したり、彼らに技術を提供している企業は少なくない。Amazonのドアベルカメラ企業Ringは1300以上の警察とパートナーしているし、Amazon Web Services(AWS)はそのプロダクトを移民税関取締局(ICE)に売っている。また、GoogleはG Suiteツールを警察に売り、Microsoft(マイクロソフト)にはシアトルの警察との契約があって、同社のGitHubにはICEとの契約がある。そしてNextdoorは、そのAgenciesアプリで警察とパートナーしている。

このようなパートナーシップを警戒する人びとによって、Tech Is Not Neutral(テクノロジーは中立でない)と名乗るキャンペーンが生まれた。創始者はチャリティNPOのKairos Fellowshipで、これにThe Movement for Black LivesやMedia Justiceなどの団体がパートナーしている。

Kairos FellowshipのキャンペーンマネージャーJelani Drew-Davi氏は、TechCrunchに次のように語った: 「Black Lives Matterのような黒人解放運動が起きると、テクノロジー企業とそのCEOたちは一応賛意を示すが、しかしテクノロジー企業は実際には、人の命や民主主義ともっと深く関わっている。テクノロジー企業の製品は人びとに現実的な結果をもたらし、それが良くない結果であるときには黒人などの有色人種がいちばん被害を受ける。このキャンペーンは、テクノロジーのこのような不公平をなくすことが目的だ」。

このキャンペーンは7月初めに立ち上がり、まず大手テクノロジー企業のCEOらに公開書簡を送った。その書簡の宛先は、AmazonやMicrosoft、Nextdoor、およびGoogleのトップで、Black Livesのためのアクションを要求している。しかしDrew-Davi氏によると、キャンペーンの現在のフォーカスはNextdoorとMicrosoftだ。6月にはNextdoorが、情報を警察に送る機能を無効にしたが、Tech Is Not Neutralキャンペーンの人たちは、ほかにもやるべきことがある、と言っている。

Drew-Davi氏はこう言う: 「Nextdoorは近隣社会の何千人もの人びとを結びつけるが、その人種差別問題は何年も前から詳しくドキュメントされている。それは、警察とのパートナーシップにより人びとが一方的に黒人を悪人として通報できることだ。それが、問題なのだ。Nextdoorはモデレーターを教育訓練すると言うが、警察との関係を断つとは言わない。彼らのプラットホームの上で黒人を保護するために、第一番にやるべきことがそれなのに」。

Microsoftの場合は、シアトル警察との契約に加えて、同社は米国防総省との100億ドルの契約を他社と競っている。またMicrosoftには2016年以来、国防総省やそのほかの法執行機関との5000件を超える下請け契約がある

Drew-Davi氏は曰く、「Microsoftには、国と州の両方のレベルで政府との深く絡み合った関係があり、それに関する情報の公開はない。われわれも、あの記事を読むまでは知らなかったのだ。Microsoftは、監視を要する重要な企業だ。Microsoftに光を当てれば当てるほど、このおなじみの名前の企業が私たちに害を与えていることが、分かってくる」。

Kairos Fellowshipのこのキャンペーンの直近のステップは、これらの企業との会話と、具体的な要望の提出、そして要望に彼らが同意しなければこれらの行為を一層強化していくことだ。Kairos Fellowshipの常務取締役Mariana Ruiz Firmat氏は、TechCrunchにそう語った。

Firmat氏は曰く、「これまでは、テクノロジーは中立であるという主張を隠れ蓑にして、テクノロジー企業は人種差別を許容し、権威主義を広め民主主義を破壊するやり方で彼らの技術が使われてきた。私たちがとても重要と感じているこの戦いは長期戦になると思うが、これまでテクノロジー企業に対して漠然と想定してきた中立的という見方を一掃して、実際には偏向があることを私たちは認めるべきだ」。

Microsoft(マイクロソフト)は、この記事に対するコメントを拒否した。そしてNextdoorとGoogleとAmazonは、本誌のコメントの求めを無視した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アマゾンがNYやダラスなど米6都市で3500人追加採用

Amazon(アマゾン)は米国時間8月18日、米国の6都市で新たに3500人を採用すると発表した(Amazonリリース)。多くの産業が新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響で採用を凍結し、全米の失業者数は増える一方の状況にあって、このニュースはもちろんかなり注目に値するものだ。同社は都市部で採用するようだが、このところ都市居住者の中には郊外への引越しを模索する人が多い。

新型コロナによるロックダウンの影響に多くの企業が苦しんでいるが、その一方でアマゾンは好調を維持している。同社の巨大なeコマースプラットフォームは必要不可欠なサービスと認識され、AWSプラットフォームは企業のオンライン化のさらなる加速で大きな役割を果たした。

アマゾンによると、新たに採用する職種は「コーポレートとテック」で、AWSやAlexa、Amazon Advertising、Amazon Fashion、OpsTech、Amazon Freshなど多部門にわたる。採用する都市はダラス、デトロイト、デンバー、ニューヨーク、フェニックス、サンディエゴで、これらの都市のオフィス面積は計90万平方フィート(約8万平方メートル)になる。

このうち、Lord&Taylor(ロード・アンド・テイラー)のマンハッタン旧五番街旗艦店を買収したニューヨークのオフィスは約63万平方フィート(約5万8000平方メートル)ある。報道によると(The Wall Street Journal記事)、アマゾンはこの物件をWeWork(ウィーワーク)から10億ドル(約1054億円)強で購入した。デパートの旗艦店だったところをオフィスに変えるのは、同社が Sears(シアーズ)とJ.C. Penney(J.C. ペニー)の旧店舗を配送センターに変えるという噂を裏付けるばかりでなく、2020年における米国の小売を象徴するすものだ。

また、ニューヨーク・クイーンズ地区のロングアイランドシティに「第2の本部」を置く計画よりはかなり物静かなアプローチとなる。「第2の本部」計画は地元の反対にあい、撤回するハメになった。追加採用の大半はマンハッタンオフィス人材で、2000人を雇用する。ニューヨークやサンフランシスコに居住するテックワーカーがちょうど今、都市脱出を検討している中での動きとなる。

アマゾンはオフィスで働く従業員を2021年1月まで引き続き在宅勤務とするが、従業員の大半はそれより前にオフィス出社すると同社は見込んでいる。追加採用のタイムラインは特に示されていない。

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アマゾンがインドでオンライン薬局サービス「Amazon Pharmacy」を開始

Amazon(アマゾン)はインド南部カルターナカ州の州都ベンガルールでオンライン薬局を立ち上げた。同社は、主要海外マーケットの1つであるインドでさまざまな部門に触手を伸ばしている。

同社は米国時間8月14日、Amazon Pharmacy(アマゾン・ファーマシー)という新たなサービスで市販薬と処方薬の注文受付をベンガルールで開始した、と発表した(インドでは抗生物質や一部の医薬品は処方箋なしに薬局で購入できる)。

Amazon Pharmacyはまた伝統的な生薬、そして血糖値測定器や吸入器、ハンドホールドマッサージ機などのヘルスデバイスも販売する。

「顧客が在宅して安全を確保しながら必要不可欠なものを手に入れることができるようにするという、今の時代に特に合ったものだ」とアマゾンの広報担当は声明文で述べている。

オンライン医薬品販売に関してインド政府は現在明確な規制を整備しておらず、これまでにインドのオペレーションに65億ドル(約6900億円)超を投資しているアマゾンにとって大きな機会だ。同社はインドでWalmart傘下のFlipkartと競合している。

アマゾンにとって、医薬品販売は新しいものではない。近年ヘルス専門家を雇い、2018年にはオンライン薬局スタートアップのPillPackを10億ドル(約1065億円)近くで買収した

1mg、Netmeds(ネットメッズ)、Medlife(メッドライフ)、PharmEasy(ファームイージー)といった多くのスタートアップが現在インドで薬をオンライン販売し、国内ほとんどの地域に配達している。例えば、これまでに1億7000万ドル(約180億円)超を調達した1mgは1000都市に注文品を配達している。

eコマースプレイヤーとしてこれらスタートアップはマーケットシェアを増やすために魅力的な割引を顧客に提供している。この点に関しては、Amazonは全オーダーを最大20%割り引くと話す。

ここ数カ月でアマゾンはインドでいくつかの新分野に進出した。5月にベンガルールの一部でフードデリバリーサービスを立ち上げ、その1カ月後に西ベンガル州でアルコールの販売・配達の許可を取得した。

2020年7月に同社は自動車保険の販売を開始(未訳記事)し、将来は健康やフライト、タクシーをカバーする保険サービスへと拡充させる計画だと述べた。

アマゾンが新たな分野に進出するにつれ、Flipkartも7月下旬にベンガルールで超ローカールデリバリーを試験展開するなど新規分野を開拓している。Flipkart はインドの2都市でアルコールを配達するために大手Diageoが支援するスタートアップと提携した、とロイターは政府文書を引用して報じている。

そしてアマゾンとFlipkartは今、新たな挑戦者に直面している。インドで最も富裕なMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が所有するインド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテイル)が2019年末にeコマースベンチャーのJioMart(ジオマート)のテストを開始した

JioMartはいまや、インド中の200を超える町村で展開されていて、2020年7月は1日あたり40万点もの商品を販売したとのことだ。この数字は、グローサリーデリバリースタートアップBigBasket(ビッグバスケット)とGrofers(グロファーズ)のピーク数字を超えている。

地元のメディアは、アマゾンがReliance Retailへの数十億規模の出資を狙っている(観たく記事)と報じた。アンバニ氏の他のベンチャーである通信大手のJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)はFacebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)、そのほか11の著名投資家からここ数カ月で200億ドル(約2兆1300億円)を調達した。同氏は7月にJio Platformsの資金調達は終了し、数四半期内にグローバルパートナーや投資家をReliance Retailに受け入れることを楽しみにしている、と述べている。

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンのインドにおけるプライム会員数が100万人超え、プライムデーも大成功

Amazon(アマゾン)のインドにおけるプライム会員数が100万人を超えた。同社が8月10日、世界で2番目に大きいインターネットマーケットを有するインドで先週開催したプライムデーについての長い概要の中で明らかにした。

先週開催された48時間のプライムデーイベントまでの2週間で、100万人を超えるインドのプライム会員が零細事業者から買い物した、とブログへの投稿で同社は述べた。グローバルパンデミックが続いている中、アマゾンは7月に2020年の初プライムデー開催マーケットとしてインドを選んだ。

インドで年間13.30ドル(約1420円)するプライム会員の登録者数をアマゾンがおおまかに明らかにするのは今回が初めてだ。プライム会員になるとPrime VideoとPrime Musicのサービスもついてくる。同社は4年前にインドでPrimeを立ち上げた。グローバルでは1億5000万人超のプライム会員を抱える。

インドの9万1000以上の零細事業者(セラー)がプライムデーに参加し(この数字は過去最多だ)、5900の郵便番号エリア(インドの97%超をカバーする)に住む顧客に販売した。4000以上の事業者が1万3350ドル(約142万円)超を売り上げた(2019年のプライムデーでの数字4500事業者を少し下回った)。そして3万1000の事業者が、先週の2日間の売上が同プラットフォームでの最高売上額となったことを報告した。

これまで同様、中国企業のXiaomi(シャオミ)とOnePlus(ワンプラス)がスマホ部門を独占した。スマホ部門はプライムデー期間中に最も売上が大きいトップ3部門の1つだ。また、これらの企業のアクセサリーやラップトップ、テレビも人気だったとアマゾンは明らかにした。こうした反応は、ここ数カ月の間、インド国内でかつてないほど高まっている反中国感情とは対照的だ。

Amazon Indiaの上級副社長でカントリーマネジャーのAmit Agarwal(アミット・アグラワル)氏はテレビでのインタビューで、先週のプライムデーでは多くのローカルセラーがプロダクトを立ち上げ、世界中の顧客にリーチする出発点としてアマゾンを使う傾向が強くみられたと語った。ただし、数字は明らかにしなかった。

「今回のプライムデーは、事業を継続するためにアマゾンに目を向けつつある零細事業者(SMB)パートナーのためのものだった。これまでで最大の零細事業者のためのプライムデーであり、事業者をサポートすることができて光栄だ」と同氏は声明で述べている。

プライムデーはアマゾンが世界で展開する最大のセールイベントの1つだ。インドではこれまでDiwali(ディーワーリー)という地元の人々の支出が多い時期に開催して商品を販売していた。

しかし先週のプライムデーに参加したセラーは9万1000で、この数字はこれまでで最多だ。たとえば2019年のDiwali期間に開催されたセールには6万5000のセラーが参加した、と同社は明らかにしている。

インドでWalmart(ウォルマート)のFlipkart(フリップカート)と競合する(未訳記事)アマゾンは明らかにここ数四半期、セラーの拡大を急いでいる。2020年初め、アマゾンの創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、同社がインドの零細事業者のデジタル化をサポートするのに10億ドル(約1067億円)を投資し、アマゾン上での累積輸出を増やして2025年までに100億ドル(約1兆670億円)とすると述べた。

同社はインド中の街角の店とのタイアップに注力し、より多くの人をオンラインショッピングに誘導しようとしている。100を超える都市の1000店超が先週のプライムデーでデビューを果たしたと同社は述べた。

アマゾンはまた、プライムデー期間中に人々がAlexaを介して行ったリクエストの件数が100万を超えたとも述べた。そしてプライム会員登録の数が2019年のプライムデー期間中の倍になったことなど、様々な分析も明らかにした。しかし具体的な数字がなければこうした分析は意味がない。

画像クレジット:Pradeep Gaur / Mint / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンのTwitch PrimeがPrime Gamingとしてリニューアル

米国時間8月10日、AmazonプライムにPrime Gamingが登場しゲームのサービスが強化された。

Prime GamingはTwitch Primeの新バージョンだ。Twitch Primeは、Amazon(アマゾン)が2014年に人気のゲームストリーミングプラットフォームを買収し(未訳記事)、2016年に始めたサービスだ(未訳記事)。

これまでのTwitch Primeと新しいPrime Gamingのどちらも、通常のプライム会員特典の一部として追加料金なしでゲーム、ゲーム内コンテンツ(武器やスキンなど)、Twitch.tvのサブスクリプションを利用できる。今回の発表でアマゾンは、Prime Gamingには「さらに多くのゲームのための新しいコンテンツに加え、多くの無料ゲームやTwitchチャンネルの月ごとのサブスクリプション」が含まれると述べた。

eスポーツの専門家であるRod Breslau(ロッド・ブレスロー)氏は米国時間8月10日の早朝に、このリブランドがリリース間近であることをツイートしていた。

Prime Gamingでは現在、GTAオンライン、レッドデッドオンライン、Apex Legends、EAスポーツFIFA 20、League of Legendsなど、20を超えるPC、コンソール、モバイルゲームのゲーム内コンテンツが提供されている。毎月、PCゲームを無料でダウンロードすることもできる。今月はSNKの40周年コレクション、Metal Slug 2、Treachery in Beatdown Cityなど20種類以上の無料ゲームが対象となっている。

Prime GamingのLarry Plotnick(ラリー・プロトニック)GMは発表の中で「Prime会員にはすでに最高のTV、映画、音楽を提供してきた。今回は最高のゲームなどエンターテインメントのサービスを拡張する。我々はお客様に、すべてのプラットフォームで好きなゲームをもっと楽しむための新しいコンテンツを提供する。お客様はPrime Gamingを利用すれば、どんなゲームでも、どこでプレイしても、これまで以上に楽しめる」と述べている。

画像クレジット:Amazon

関連記事:Amazonプライムビデオにユーザープロフィールが加わる、子供用含め最大6人ぶん

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(翻訳:Kaori Koyama)

使われなくなったショッピングモールはAmazonの次の物流センターになるかもしれない

Wall Street Journal.(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙によると、米国のショッピングモール大手の1社であるSimon Property Group(サイモン・プロパティ・グループ)が、同社の主力デパートをAmazon(アマゾン)の流通ハブに変身させることについて、アマゾンと話し合っているという。

Simon Propertyの場合、かつて安定した収益源であった J.C. Penney(J.C.ペニー)やSears(シアーズ)のような主力テナントが今では経営者の悩みのタネとなっており、マネキンだけが並ぶ人気のないホールをアマゾンの注文のための倉庫に変身させることは、単純に理にかなっている。

これまでのショールームから、本やセーター、キッチン用品、電子機器まで、あらゆる商品を発送するための倉庫への転換は、連邦破産法第11章の保護を申請した企業の空き店舗を活用する用途としては無理筋ではない。

WSJが5月に不動産デベロッパーから提出された書類を引用して報じたところによると、SimonはJC Penneyを63店舗、Searsを11店舗保有しているようだ。

Amazonが新たなフルフィルメントセンター構築のために、ショッピングモールに目を向けたのはこれが初めてではない。同社は2019年、オハイオ州アクロンにある巨大な店舗を買収し、物流センターへと変貌させた実績がある。

ひと昔前は、子どもたちイライラした親たちと一緒に地元のショッピングモールに行ってフロアをぶらぶらしていたが、そんな時代はもう終わった。いまや買い物客はオンラインでじっくり商品を見ることを好み、子供たちはFortniteがお気に入りのホットトピックだと思うようになった。

この取引が成立すれば、ベビーブーム世代やX世代の消費者の記憶の中に存在する20世紀後半の1つの文化が、新しく生まれ変わるだろう。

最近のモールは、万人向けのものが揃っていた大規模なデパートよりも、ブティック・ブランドのショップが並ぶライフスタイル向けの場所になっている。WSJがアマゾンが交渉していると報じた大型モールのスペースは、10万平方フィート(9300平方m)の複数階建ての巨大なものだ。

最近の消費者は、20世紀後半のデパートの既製品のような大衆向けのワンストップショップではなく、個人や財布の中身に訴えるブランドを求めている。WSJによると、もし契約が成立した場合、Simonは他の小売業者が支払う金額よりもかなり安い料金でスペースを提供することを考えているという。同紙によると、倉庫の賃貸料は1平方フィート(約930平方cm)あたり平均約10ドルであるのに対し、モールの賃貸料は1平方フィートあたり4ドルから19ドル程度と推定されている。

いまショッピングモールは、稼ぐための何かを探している最中だ。すでに、学校、医務室、高齢者の生活施設を試してきたが、新型コロナウイルスの流行は、これらの計画のすべてを水泡に帰してしまった。

またWSJが指摘するように、モールはすでに魅力的な流通拠点となる場所に立地している。同紙によると、アマゾンはすでにいくつかの場所を購入しており、フェデックスやDHLも同様のことを行っているという。

現時点ではアマゾンがこれらの不動産を所有することは、80年代ロックのサウンドトラックの余韻が残る空き地として放棄するよりも、不動産にとっては良い運命をたどるのかもしれない。

画像クレジット:The Starcourt Mall! | Hawkins, Indiana / YouTube

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アマゾンによるオンデマンド料理配達アプリDeliverooの16%株式取得を英当局が承認

ようやく正式なものとなった。Amazon(アマゾン)のCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が、同氏のeコマース帝国のマーケットパワーを懸念する米国の議員から変な質問責めにあった(未訳記事)数日後、英国の競争・市場庁(CMA)はアマゾンによる英国のオンデマンドフードデリバリーアプリであるDeliverooの16%株式取得を承認した。

CMAは、この件について15カ月にわたって調査してきた。調査第1段階を12月に終了した際、懸念が残るために第2段階の調査を行うことを決めた。アマゾンがオンラインレストランフードマーケットに再参入し、「英国におけるオンラインコンビニエンスグローサリー配達マーケットでさらにシェアを拡大する」ことを認めるべきかどうかを吟味するというものだ。

CMAが作業を開始してほどなくして、新型コロナウイルス(COVID-19)が欧州を襲った。新型コロナがDeliverooの事業に影響を及ぼしたように、調査も影響を受けた。当初、新型コロナの影響はネガティブなものでDeliverooはアマゾンの株式取得なしでは倒産する、と主張した。CMAはDeliverooを「破綻会社」として扱い、Deliverooのマーケットからの撤退が競争を悪化させることになるとして同社の意見に同意した。そして2020年4月にアマゾンのDeliveroo株取得を暫定的に承認した(英国政府リリース)。

そして6月に再びCMAはこの件を暫定承認した(未訳記事)。ただ、4月からはDeliverooを破綻会社としては扱っていない。というのも、レストランフード配達マーケットの回復が予想よりも早く、レストラン「ミックス」(脱大手フードチェーン、小規模の独立レストランへの回帰)の動きが認められたからだ。いずれも、Deliverooの金庫に金が流れ込む結果につながった。同社の財政は「急回転」を経験したが、それでもCMAは競争阻害のリスクの「実質的な評価」を完了させる必要があるとした。

そして最終的に、アマゾンによるDeliverooの16%株式取得に競争阻害のリスクはないとの結論が出た。そのためベゾス氏は大喜びできる。もちろん、彼はDeliverooが一体何かを知っているはずだ。

CMAは、競争の観点からの今回の承認は「アマゾンとDeliverooが提出した内部資料の集中的な分析、消費者3000人を対象に行った調査、利害があるサードパーティからの意見提出」(英国政府リリース)によるものだと述べた。

アマゾンによる16%の株式取得が、今後のレストランデリバリーとオンラインコンビニエンスグローサリー配達において、Deliverooと独立して競うためのインセンティブにどのように影響するかを調査した、とCMAは説明した。

「CMAはこのレベルの投資はいずれのマーケットにおいても競争を実質的に阻害しない、との結論に至った。ただ、アマゾンが例えばDeliverooの支配持分を取得するなどしてDeliverooの支配力を高めようとすれば、CMAによるさらなる調査につながる」と付け加えた。

声明文の中で、CMAパネル委員長のStuart McIntosh(スチュアート・マッキントッシュ)氏は「調査第2段階で適用した法的基準を考慮し、株式取得の取引はレストランデリバリーとコンビニエンスグローサリー配達の両方において実質的に競争を阻害しないと結論づけた」と述べた。

マッキントッシュ氏はまた、決定が投資の規模とアマゾンの「2つのマーケットにおける競争するためのインセンティブ」を反映したものだとわざわざ強調した。つまり、アマゾンがDeliverooの持分を増やそうとすれば、調査が行われることを警告した。

アマゾンがDeliverooアプリ事業の5億7500万ドル(約607億円)のシリーズGラウンドをリードすると発表したのは2019年5月のことだ(未訳記事)。

この動きは、eコマース大企業のアマゾンが2016年にPrime(プライム)会員向けにロンドンのレストランのオンデマンドフードデリバリーを立ち上げた(未訳記事)後の次なる行動を合図するものだった。しかし、同社はDeliverooやUber Eatsのような手強い競合相手に直面し、数年後にデリバリーサービスを取りやめた(未訳記事)。

CMAの承認について、DeliverooはCMAが調査の拠り所としてきた5つの「競争阻害要因にかかる理論」がいずれも実証されなかった、と強調した。

同社の広報担当は以下の声明を出した。

CMAが15カ月に及ぶ調査を終え、アマゾンのマイノリティ投資が前に進められることを喜んでいる。

これは英国の顧客とレストラン、そして英国経済にとって素晴らしいニュースだ。英国生まれのDeliverooは、今回の資金を顧客のための選択肢と価値の増加に、そしてレストランのサポートに使う。また、社が拡大するにつれライダーにさらに多くのフレキシブルな仕事を提供できる。

世界で最も顧客第一主義でイノベーティブな企業であるアマゾンが当社にかなりの信頼を示し、そして当社の未来への出資を選んだことに興奮している。

Deliverooは、アップデートされたビジネス指標のいくつかを示した。同社プラットフォームには現在、世界のレストラン10万店が登録されていて、今年だけで3万店が加わった。同社は、新型コロナ危機によりレストランが売上の生命線としてデリバリーに対応するようになったことが貢献している、と指摘した。

「Deliverooと協業している世界のレストランの7万5000店は小規模の独立経営レストランで、パンデミックで最も影響を受けている」と同社は付け加えた。

画像クレジット:Deliveroo

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(翻訳:Mizoguchi

マイクロソフトやアマゾンが音声認識チップの新興メーカーSyntiantに出資

Microsoft(マイクロソフト)のベンチャーキャピタルであるM12が南カリフォルニアのアーバインに本拠を置く音声認識のチップメーカーであるSyntiantの資金調達ラウンドをリードした。参加した投資家には著名なベンチャーキャピタルが多数含まれている。Syntiantは音声認識の半導体の新興メーカーだ。

SyntiantのCEOであるKurt Busch(カート・ブッシュ)氏は「我々は機械学習を利用した専用プロセッサーを作っている。最初に出荷したのはバッテリー駆動で常時動作するデバイス向けの音声認識チップだ」と述べた。

ブッシュ氏によれば、こうしたチップのデザインには従来とは異なるアプローチが必要だという。伝統的なコンピューティングはロジック処理を中心とするが。深層学習ではメモリアクセスが重要となる。また伝統的なチップのデザインはメモリへの並列的アクセスにあまり向いていない。

またブッシュ氏によれば、Syntiantの新しいチップは従来の製品に比べて二桁以上効率性が高い。これは深層学習学習に特化したデータフローアーキテクチャを採用しているためだという。

この効率性の高さがマイクロソフトのM12を含む多数の有力ベンチャーファンドの関心を引くことになった。今回のラウンド参加したベンチャーキャピタルにはAmazonのAlexa Fund、Applied MaterialsのApplied Ventures、Intel Capital、Motorola Solutions Venture Capital、Robert Bosch Venture Capitalなどが含まれる。

今回の投資家には米国のテクノロジー産業を代表するチップメーカーやソフトウェアの開発企業が含まれている。これらの大企業が力を結集して南カリフォルニアの新興チップメーカーを支援することになったわけだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

AmazonのAlexa FundのディレクターであるPaul Bernard(ポール・バーナード)氏は次のように述べている。

Syntiantは音声テクノロジーを利用してイノベーションを推進していこうとする企業の努力に理想的にマッチする。同社のテクノロジーはAlexa、特にバッテリー駆動のデバイスでのAlexaのアプリケーションをさらに進化させるために膨大な可能性を秘めている。Amazonは音声認識テクノロジーのデバイスと環境を整備するために今後Syntiantとの提携を強化していく。

Syntiantがリリースした最初の製品は1.4×1.8ミリのマイクロチップで消費電力は140マイクロワットだ。このチップはアプリケーションによってはボタン電池1個で1年以上作動するという。

一方、Applied MaterialsのApplied VenturesのプリンシパルであるMichael Stewart(マイケル・スチュワート)氏は次のように述べている。

Syntiantのニューラルネットワークを利用したメモリー処理はApplied Materialsの中心的テクノロジーに極めて適合する。これはメモリー製品において根本的な飛躍をもたらし、デバイスのパフォーマンスを高め、新素材を利用したチップの可能性を広げる。またニューラル意思決定プロセスを利用したチップは非常に低消費電力であり、この種のチップのマーケットを大きく拡大する可能性がある。音声とビデオに対するニーズが大きく高まっている現在、同社の製品はソリューションは非常に有望だ。

現在Syntiantの製品をプロダクトに組み込もうとしている顧客は80社ある。十数社はすでに具体的なデザイン段階にありスマートフォン、スマートスピーカーのリモートコントロール、補聴器、スマートモニターなどのデバイスに音声認識チップを統合する計画だ。Syntiantは音声認識チップの最初のバージョンを既に100万個出荷している。

Syntiantのブッシュ氏は「今年中に会社の規模を10倍にする計画だ」と述べた。

Syntiantのチップセットはデバイスの起動、各種の命令の認識に対応している。ブッシュ氏によれば同社のチップセットはユーザーが自分の声に合わせて認識精度を改良したり独自のコマンドを設定したりすることができるという。

SyntiantはAtlantic Bridge、 Miramar aAlpha Edisonといった欧米のベンチャーキャピタルの支援を受けて2017年10月に資金調達ラウンドを成功させている。ブッシュ氏によれば同社は現在までに総額で6500万ドル(約68億7000万円)の資金を調達している。

Microsoft M12の投資を機に同社のSamir Kumar(サミル・クマル)氏がSyntiantの取締役に就任した。クマル氏は「Syntiantのアーキテクチャは現代のコンピューテーションを特徴づける並列処理と深層学習ネットワークによく適合しており、人工知能やIoT の分野でブレークスルーをもたらす可能性があると考えている」と述べている。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アマゾンのインターネット衛星コンステレーションKuiperがFCCの承認を獲得、1兆円超の投資を発表

Amazon(アマゾン)は、これまで計画していた3236基のインターネット用衛星コンステレーションの打ち上げに対する米国連邦通信委員会(FCC)の承認を得た(Amazonリリース)。その衛星群はアマゾンのProject Kuiperの柱であり、それまで高速インターネット接続を得られなかった米国の世帯に高速低遅延のブロードバンドインターネットサービスを人工衛星から提供しようとするものだ。

当局からの重要な承認と並行してアマゾンは、Kuiperに100億ドル(約1兆500億円)あまりを投じると発表した。その費用は衛星の構築や試験ばかりでなく、顧客が実際に接続を利用できるために必要な地上局ネットワークのインフラストラクチャの構築も含む米国に雇用を生み出すものだ。

アマゾンのKuiperの計画には、消費者直通のサービスだけでなく、キャリアのための中継回線(バックホール)のネットワークサービスも含まれる。これによりキャリアは、高速のLTEおよび5Gワイヤレス接続を、対応した地上局がない圏域の顧客にも提供できる。アマゾンによると、これは米国だけでなく全世界に提供される。つまりKuiperのネットワークは最初は米国市場だけのものだが、その後グローバルに拡張される計画になっているのだ。

実際のところ、アマゾンはSpaceXの後を追う形になっている。後者はすでにそのStarlinkネットワークのために衛星を打ち上げており、2020年の夏にはベータテストが行えるようになるという。しかしJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が率いるeコマースの巨人は、ワシントン州レドモンドにKuiperの開発専用の新たなR&D施設をオープンさせること。そして同じくベゾス氏の宇宙への打ち上げ企業であるBlue Originもそのパートナーであることから、この強力でパートナーシップによりKuiper用衛星の打ち上げサービスは比較的早く準備が整うかもしれない。

低地球軌道衛星と呼ばれるこの新興市場において、勝者は1人ではない。遅延と速度と接続の質に関してこれらのネットワークがその約束を十分に守れるのであれば、複数のプロバイダーが文字通り地球規模で十分に競争できるだろう。アマゾンによる100億ドルの投資も、その実現することに賭ける理由の1つだ。大きな衛星コンステレーションの打ち上げには、その前段階のインフラの費用も膨大であるため、それだけの資金を確実に用意できる競合他社はそれほど多くはない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米下院はアマゾンのハードウェア事業を反競争的と攻撃

大手テクノロジー企業の反競争的行為に対する米国時間7月29日の議会の審問は、もっぱら各社のコアビジネスが対象だったが、その長時間にわたる質問の中ではAmazon(アマゾン)のハードウェアも厳しく審議された。

これは小さな一歩だが重要な意見交換だ。なぜなら、同社のサービスの幅広さに触れているほか、ある部分での優勢がアマゾンビジネスのほかの部分における反競争的な行為を意味していることもありえるからだ。

関連記事:テック企業大手は新型コロナ蔓延で利益を得ているので規制が必要」と米議員が主張

メリーランド州選出の下院議員であるJamie Raskin(ジェイミー・ラスキン)氏にとっては、アマゾンのベストセラー製品であるEchoFire TVデバイスの両方が、両デバイスをめぐる同社の事業戦略と他社との交渉に関する最近の報道の影響でターゲットになった。

Echoは同社がスマートホーム市場へ進出するための製品であり、その市場は消費者向けテクノロジーの次の主戦場であると多くの人が見なしている。Echoは、アマゾンのテクノロジーの中でも人気の高い製品であり、ラスキン氏によるとスマートホーム市場の約60%を捉えている。

議員はアマゾンのCEOあるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を、Echoに関する2つの点で攻撃した。第一は同社の価格政策で、Echoの価格は製造原価を相当下回っているので、他社が競合製品を出すのが不可能なこと。

「Echoの高い普及率のため、アマゾンはそのほかの反競争的な行為に関与している」とラスキン氏は主張した。その一部は、コロラド州選出下院議員のKen Buck(ケン・バック)氏がWall Street Journalの記事を引用しながら前の質問で概説している。それによると、アマゾンは同社のEcho製品と音声アシスタントAlexaにフォーカスした投資部門を用いて、小さなスタートアップ企業の技術をコピーした。

しかも他社の知財のコピーだけでなく、Amazonは、顧客が同社の音声サービスを利用したときにEchoのプラットホームを使って自社製品を他社製品よりも良いと宣伝した。

ラスキン氏は、「Alexaはアマゾンの製品を気に入るように訓練されているのですか?」とベゾス氏に尋ねた。ベゾス氏は、Alexaがアマゾンのサービスを第一とするように、あるいは同社のブランドの製品を宣伝するように特に訓練したかは定かではありませんが、そうだとしても意外でありません」と答えた。つまり同氏「Alexaがときどきアマゾンの製品を宣伝したとしても意外ではない」と述べた。

ラスキン氏はまた、最近のWarnerMedia(ワーナーメディア)との交渉でもベゾス氏を責めた。ワーナーメディアは、大手映画会社とストリーミングサービス、巨大ネットワーク企業から成る大企業グループ。ラスキン氏が特に問題にしたのは、ワーナーメディアのストリーミングサービスであるHBO MaxをアマゾンのFire TVデバイスへの配給する際の交渉で、ワーナーメディアが所有する映画コンテンツの供給をめぐる議論が含まれていたことだ。

ラスキン氏は「金銭的条件だけでなく、ワーナーメディアのコンテンツも求めている。ストリーミングデバイスの市場における指導的立場を、コンテンツの優先的な配給入手権などのビデオストリーミングの市場における競争者としての立場を有利にするために利用することは公正だろうか?」と述べた。

ベゾス氏は、その交渉は「通常の商談だった」と答えたが、ラスキン氏は、Fire TVへのアクセスをめぐる交渉が、1つの市場での優位を別の業界の競争者に対する同社の不正なアドバンテージとして利用しようとするやり方の例だったとして、同社をあくまでも追及しようとした。

ラスキン氏は「要するに、アマゾンによる管理を人々のリビングルームに適用しようとしている。そのデバイス市場での優位性を利用して、アマゾンが望むクリエイティブなコンテンツを優先的に得ようとしている。1つの領域でのアドバンテージを、無関係な別の領域における優勢へと変換しているのではないか?」と指摘した。

ラスキン氏の意見や質問は、この公聴会の主題とされる「米国の4大テクノロジー企業が振り回す反競争的で独占の可能性もあるパワー」を追撃したと思われる、濃密な質疑合戦の一部だ。Facebook(フェイスブック)とApple(アップル)、Alphabet(アルファベット)も議会の質問責めで古い話を蒸し返されたが、反競争的な行為に対する最も支持された批判はベゾス氏とアマゾンに残されていたようだ。

関連記事:Bezos ‘can’t guarantee’ no anti-competitive activity as Congress catches him flat-footed(未訳)

画像クレジット: GRAEME JENNINGS/POOL/AFP/Getty Images

米独禁法公聴会

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ウォルマートが従業員向け音声アシスタント「Ask Sam」をローンチ、商品の価格や位置を声でお知らせ

米小売り流通大手のWalmart(ウォルマート)が、音声技術の利用を広げている。米国時間7月29日、「『Ask Sam』と名付けた従業員用の音声アシスタントを全国5000店あまりの同社店舗の従業員が利用していく」と発表した。このツールを使うと、ウォルマート社員は価格を調べたり、店内の地図にアクセスしたり、製品を見つけたり、販売情報を見たりできる。個人向けのメール機能もある。最近ではAsk Samが、新型コロナウイルスに関する注意情報や安全教育のためのビデオも提供している。

Ask Samは最初、ウォルマートの姉妹店であるSam’s Club(サムズ・クラブ)のために開発され、2019年に全国展開(Chainstore Age記事)された。音声を使うので、小さな画面に質問をタイプすることに比べて情報を得るための時間が早い。しかも社員は、情報の入手に時間を取られないので顧客対応が充実する。新型コロナウイルスの蔓延が始まってからは、もう1つの利点も注目されている。音声アプリは手袋をしていても容易に使えることだ。

値段や製品の場所を調べるといった一般的な機能のほかに、Ask Samからプリンターを使ったり、メールをしたり、スタッフの誕生日などのイベントを調べたりといったことができる。その「緊急通報機能」で、管理職が全社員に対する警報や指示をメッセージで送信できる。「ロックダウンなので店にとどまれ」という指示や「お客さんを正しく誘導して早急に店から出ろ」という指示もありうるだろう。

同店の音声アシスタントは、機械学習の技術を使っているので使い込むにつれて次第により賢く、より正確になる。また、これまでの質問を調べてそのパターンを知ったり、見逃したかもしれないトレンドに気づいたりできる。例えば「最近最も多く検索されたアイテムはなんだろう」など。

同店が音声技術の利用を実験するのはこれが初めてではない。Ask SamもSam’s Clubの店ではすでに利用していたし、昨年はウォルマート自身がGoogleと提携(未訳記事)して、Googleアシスタントを利用する音声発注をトライした。家庭向けの音声技術ではAmazonのAlexaが成功しているが「ビジネス利用ではGoogleアシスタントが十分対抗できる」と考えたのだ。3年前にもウォルマートは、配送サービスのGoogle Expressが閉鎖する前に、GoogleとパートナーとしてGoogle Homeのデバイスを使った音声ショッピングを開発した。

「Ask Samには今後、顧客の便宜のためのバージョンが登場するのか」という問いにウォルマートは答えなかったが、すでに商品の価格や場所といった顧客が知りたい情報も提供しているのだから、近い将来顧客向けのサービスとして提供することは不思議ではない。

画像クレジット: Walmart

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Alexaの新モバイルアプリはサードパーティスキルよりもアマゾンならではの機能を重視

Alexaの新しいデベロッパーツールを先週発表(未訳記事)したAmazon(アマゾン)は米国時間7月27日に、Alexaの消費者向けモバイルアプリのアップデートを発表した。この新しいアプリは特にホーム画面でのパーソナライズ化されたユーザー体験に力を入れており、Alexaの使い方ガイドも充実している。特に目立つのは、サードパーティ製スキルの案内をメインの画面から外し、あくまでもAlexa本来の使い方を重視していることだ。

ホーム画面のデザインもアップデートされ、上部に大きなAlexaボタンがある。そして、Alexaを始めるにはそのボタンをタップするか、「Alexa」と呼びかけると教えてくれる。

画像クレジット:Amazon

その下にはパーソナライズ化のための提案のリストがあり、ユーザーのリマインダーや最近再生した音楽、Amazonオーディブルの本、ショッピングリストなどの情報や、ユーザーの使い方から、その人にとって重要なことを推測する。

またユーザーがよく使う機能や、例えばEchoデバイスの音量といったアクティブな機能のコントロールも行える。アマゾンによると、以前の音量を指定することもできる。ちなみにこれらのEchoデバイスには、Alexa対応のワイヤレスイヤーバッドも含まれる。これは最近発表されたモバイルアプリをコントロールするためのAlexaの新しい機能(未訳記事)を有効にする計画の中では、特に重要なデバイスだろう。

初心者ユーザーのためのモバイルからAlexaの使い方の説明も詳しい。例えばAmazon Musicで音楽を聴いたり、Alexa Shoppingのリストを管理するなど初心者向けの提案がある。

一方、Reminders(リマインダー)やRoutines(ルーチン)、Skills(スキル)、Settings(設定)などの高度な機能は、今回のデザイン変更により「More(もっと見る)」ボタンの下へ移った。しかしながら、これらの変化によってAlexaのホーム画面がすっきりしたわけではない。

アップデートではAlexaボタンが画面上部にあるため、ナビゲーションバーの空いたスペースには新たに「Play」ボタンが加わった。これはもちろん、メディアの再生だ。この新デザインではAlexaの専用アプリが、ユーザーの毎日の生活の一部になるようなスイートスポットにはない。

以前は日付やお天気などが画面上部にあり、これらのアプリの日常性が意識されていた。しかしこれからは「ユーザーはAlexaではAlexa固有のことをしたいのだ」とアマゾンは理解したようだ。そのため最近のアクションへのアクセスが容易になり、例えばEchoのスマートスピーカーでやっていたことなどを前回、止めたところから、効果的に再開できる。

現在のAlexaアプリ(画像クレジット:TechCrunch)

Alexaの世界では、スマートフォンでサードパーティ製のアプリと呼んでいるものをスキルと呼ぶが、今度のアップデートではその優先度が下がったようだ。やはりまだまだAlexaのスキルは、iOSアプリのためのApple App StoreやAndroidのGoogle Playほどまでのアプリのエコシステムには進化していない。調査によると、大量のAlexaスキルが未使用(Voicebot記事)で、そのため新しいスキルのリリースのペースも鈍化している

そこで従来のようにホーム画面で人気スキルを顔見世するのをやめて、それらの「Skills & Games」機能は「More」タブへシャッフルされた。サードパーティではなくアマゾン自身のファーストパーティ機能、すなわちショッピングやメディアの再生、コミュニケーションなどが、今やホーム画面での良い位置を占めている。

アマゾンによると、このアップデートされたアプリはiOSとAndroidとFire OSデバイスで、1カ月ぐらいで全世界に展開される。8月の終わりごろには、全ユーザーが新しいユーザー体験へ移行するのだろう。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

カリフォルニア州がAmazon倉庫の新型コロナ安全対策を調査

裁判所に提出された書類によると、カリフォルニア州の複数の地方当局は新型コロナウイルス(COVID-19)が米国中でいまだ猛威をふるっている中、Amazon(アマゾン)が従業員の安全確保で適切に対応したかを調査している。

ロイターが報じたところによると、書類の中でサンフランシスコ上位裁判所の判事Ethan Schulman(イーサン・シュルマン)氏は、カリフォルニア州司法長官のXavier Becerra(ザビエル・べセラ)氏、カリフォルニア州労働安全衛生局、サンフランシスコ公衆衛生当局がオンライン小売大企業であるアマゾンのパンデミックに関する労働慣行について調査を開始したとしている。司法長官のオフィスはTechCrunchのコメント要求に応じなかった。

アマゾンはパンデミック以前も頻繁に労働者のウェルビーイングに関して批判されてきたが、現在進行中の新型コロナ危機ではそうした懸念がさらに顕著になった。ホワイトカラーの労働者が在宅勤務をしている間に、ソーシャルディスタンシングが強制されなかった全米各地にある工場や倉庫で働く労働者の間であっという間に新型コロナが広まった。ペンシルバニア州ポコノマウンテンズやオレゴン州にあるものを含め、アマゾンの出荷センターでクラスターが発生し、2020年5月までにアマゾンの倉庫で働いていた従業員8人が新型コロナで死亡した(未訳記事)。

カリフォルニア州などによる調査は、アマゾンがサンフランシスコにあるフレッシュフルフィルメントセンターで働く労働者を十分に守らなかったとする訴えがきっかけとなった。3月にアマゾンを提訴した同センターの労働者Chiyomi Brent(チヨミ・ブレント)氏(The Mercury News記事)は、冷凍室に入るのに着用するスーツを使用ごとにクリーニングすることなく共有させるなど、リスクを負わせたと同社を批判した。ブレント氏はまた、カリフォルニア州労働安全衛生局も提訴した。同局は現在アマゾンの配送センターの慣行を調査している。

関連記事:ベゾス氏がアマゾン全従業員の新型コロナ検査の詳細を株主へのレターで説明

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

GAFAの全CEOが出席する米議会の反トラスト公聴会は東海岸時間7月29日に開催

議会とテック企業最大手数社のCEOによる公開対決というレアな出来事は、先週延期された後も順調に進んでいる。当初米国時間7月27日の月曜日に予定されていた下院司法委員会の公聴会は、東海岸時間7月29日正午(日本時間7月30日午前2時)に開催されることが決定した。日程変更は、人権運動のリーダーでジョージア州選出のJohn Lewis(ジョン・ルイス)下院議員の死去を受けたもので、同氏の葬儀は27日に議事堂で執り行われた(The New York Times記事)。

オンラインプラットフォームと市場支配力:Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、およびGoogle(グーグル)の支配力を検証する」と題された公聴会は、テック業界で最強のリーダーが勢揃いした異例の顔ぶれが議会と対峙する。

テック企業のCEO1人(未訳記事)だけでも(バーチャルであれ)ワシントンDCに呼び出すことは注目に値するが、29日の公聴会では4名のCEOが証言する。Amazon(アマゾン)のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏、Apple(アップル)のTim Cook(ティム・クック)氏、GoogleのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏、およびFacebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が、各社のビジネス慣習、および反競争的行為がテック界の重要市場に負の影響を与えている懸念について質問を受ける。

この公聴会は下院司法委員会反トラスト小委員会が2019年に発表し、数多くのテック界最大最強企業に対して進めている反トラスト捜査(米国下院委員会リリース)の最終章である。

「6月以降、当小委員会は少数のデジタルプラットフォームの支配状況、および既存の反トラスト法と執行方法の妥当性を調査してきた」と下院司法委員会のJerrold Nadler(ジェロルド・ナドラー)委員長と反トラスト小委員会のDavid Cicilline(デビッド・シシリン)委員長は共同声明で語った。

「これらの企業が米国市民の生活で中心的役割を果たしている状況を踏まえると、各社のCEOが包み隠さず話すことは極めて重要だ。当初から述べてきたように、彼らの証言は我々がこの捜査を完了するために不可欠である」。

本誌は7月29日の公聴会を詳しく取材する予定だ。また当日、以下のリンクからストリーミング中継を見られるはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

家族経営の小規模配車事業者のデジタル化を助けるSwoopにとって新型コロナ流行はチャンスにもなる

運転手付きの集団輸送という業態は主に企業の外出や特別のイベント、結婚式などでも利用されるが、とても断片化された業界で、何百もの小さな事業者がアナログなシステムで顧客の予約を受けている。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)が流行する現在では旅行や観光が減り、企業は社員に在宅勤務を求めているため、これらの事業者は困窮している。

ロサンゼルスの運送業予約サービスであるSwoopは、新しいSaaSプラットホームにより、小規模でローカルな事業者を新型コロナの時代に適応させようとしている。最近資金を調達した同社は、総年商400億ドル(約4兆2450億円)というこの業界を狙い、SaaSプロダクトに磨きをかけようとしている。

このたびSwoopが調達したのは320万ドル(約3億4000万円)のシード資金で、ラウンドはSignia Venture PartnersとSouth Park Commonsがリードし、それは、元UberのCPOであるManik Gupta(マニック・グプタ)氏、Facebook(フェイスブック)でLibraを作ったチームのKevin Weil(
ケビン・ウェイル)氏、元Uberの役員であるKim Fennel(キム・フェンネル)氏、元Andreessen Horowitzと137 VenturesのパートナーであるElizabeth Weil(エリザベス・ウェイル)氏といった面々が参加した。

SwoopのCEOで共同創業者のAmir Ghorbani(アミール・ゴルバニ)氏は、声明で「事業者たちが、ビジネスの多くの部分を紙とペンで行なっていることに心を惹かれた」と述べた。ゴルバニ氏は、小規模事業者たちの制約を身近で目撃している。というのも高校生と大学生のときに彼は、親のリムジン事業を手伝ったからだ。その体験により彼は、解決策を模索するようになった。

「これらの小規模な家族経営を助けることが、大きな商機であることに気づいた。そこはまだデジタル化されていない業界であり、マーケットシェアが1%以上の事業者はどこにもいない」とゴルバニ氏はいう。

ゴルバニ氏は最初に、AirbnbやGoogle(グーグル)、Nikeのような企業が利用する集団輸送の予約プラットフォームを構築することから始めた。この予約システムを通して、自動車を運用する事業者のためのビジネス管理ソフトウェアを構築する機会を得た。

SwoopのSaaSプラットフォームを利用すると事業者は乗車の予約と配車、車両の追跡、顧客とのコミュニケーションなどができる。また、決済やその他の帳簿仕事を集中管理もできる。このツールの利用で帳簿仕事も楽にスムーズに行うことが可能になり、車両の利用率を上げられる。それは現状4.9%だ。また、企業などから予約が入ると、それを見込み客として事業者に渡すこともできる。当面は地元の輸送企業が対象で、Uberが追っている公共交通は狙わない。

新型コロナウイルスで人びとが集団で遠出をしなくなったため、ローカルな交通事業者も困っている。Swoopは、同社プラットフォームの機能多様化でそんな事業者の生き残りを助けたい、という。例えば、ただ家にあるの車両を、人間だけでなく貨物輸送にも利用するのだ。また、企業の集団遠出に使われていた大型バンなら、食品の卸しやパッケージ配送企業が使えるだろう。あるいは、在宅で仕事を行えない工場労働者のためのシャトルサービスをAmazonなどを窓口として運用することもできる。

Swoopによると、新型コロナウイルスは一種のアクセラレーターのように機能して、事業者たちが自分のビジネスを再評価し、新しい売上源の生成とコストの削減に向かわざるをえないようにするという。

画像クレジット:Swoop

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アマゾンが米国でのプライムデーの遅れを認める、インドでは8月に開催すると発表

Amazon(アマゾン)の年に一度の大型セールイベント、プライムデーはこれまで世界中で開催されてきた。規模が大きく、アマゾンの販売サイトが落ちることもしばしばだった。しかし今年は新型コロナウイルス感染拡大によって、アマゾンの計画は混乱している。米国時間7月20日、アマゾンは米国でのプライムデーの開催が2020年内のいずれかの時点まで遅れるという報道を正式に認めた。また、インドでは8月6日〜7日にプライムデーを開催する。

プライムデーの対象となっているすべての市場で同一日程の開催にならないのは、今年が初めてだ。アマゾンはプライムデーの対象を米国以外にも年々広げてきた。

プライムデーは米国、英国、スペイン、シンガポール、オランダ、メキシコ、ルクセンブルク、日本、イタリア、インド、ドイツ、フランス、中国、カナダ、ベルギー、オーストリア、オーストラリアで開催され、2019年には新たにアラブ首長国連邦が加わった。

プライムデーの開催が遅れていることはすでに明らかだ。2019年のイベントは7月15日〜17日で、それ以前も同じ時期に開催されていた。

新型コロナウイルス感染拡大によってアマゾンの関心がシフトしたのは、驚くようなことではない。売り上げが低迷する夏にスペシャルイベントを開催してテコ入れする必要はなくなった。米国政府がロックダウンを実施したことでオンラインの注文が殺到し、当初は家庭用品や医療用品など注文の多い商品の需要に応えるために一部の商品の発送を制限せざるを得なかった(未訳記事)。またアマゾンは4月30日に、需要の増加に対応するためにフルフィルメントと配送ネットワークの業務にあたる従業員を新たに17万5000人以上雇用した(Amazonブログ)と発表していた。

パンデミックの影響でeコマース市場全体が急成長している。eMarketerによると、eコマースの売上は2020年は18%増えて7097億8000万ドル(約76兆174億円)に達し、米国の小売全体の14.5%を占める見込みだという。アマゾンは2020年に市場シェアを38%にまで伸ばすとeMarketerは予測している。

つまりアマゾンは今年、プライムデーを開催する必要がないのだ。順調にやっています、ありがとうございます。

プライムデーの遅れに関するニュースは、ここ数カ月間繰り返されてきた。

4月にはロイターが、プライムデーは新型コロナウイルスの影響で早くても8月になるだろうと報じた。7月にはCNBCが、プライムデーは10月に延期されると伝えた。

アマゾンは米国のプライムデーを今年も開催する意向であるとしているが、時期は明らかにしていない。また米国以外の市場でこれまでのように米国と同時に開催するかどうか、あるいはインドのようにそれぞれの市場で独自にプライムデーを開催するかどうかも発表していない。

インドのプライムデーは8月6日午前0時に開始し、8月7日まで開催される。エンターテインメントも含めた特別なサービスや割引を提供するとアマゾンは述べている。

アマゾンの広報は日程に関する発表の中で「過去5年間以上にわたってプライムデーは特別なお祝いで、プライム会員にとっては自分自身や友達、家族のために驚くほどお得に買い物ができる期間となった。我々も毎年楽しみにしていた」と述べた。そして「今年のプライムデーは従業員の安全を確保しお客様と販売パートナーを支援しながら、例年よりも遅く開催する。インドのプライム会員には8月6日〜7日にセールを実施し、世界中のプライム会員に対しても年内にプライムデーを開催することを楽しみにしている。詳しくは近々お知らせしたいと思っている」と付け加えた。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

アマゾンは小型ロボット「Scout」での配達サービスを拡大、ジョージア州とテネシー州でも開始

Amazon(アマゾン)のロボット「Scout」について、確かなことが1つある。それはScoutはブランドのアンバサダーであると同時に、ラストマイル配送の未来の実験でもあるということだ。2019年初めにデビューした後、同社は限定した地域でのみScoutを展開していた。カリフォルニア州アーバインと、アマゾン本社があるキング郡に隣接するスノホミッシュ郡だ。このロボットは、6輪を備えたアマゾンのサービスのための移動する広告塔のようなものである。

アマゾンによると、新型コロナウイルス(COVID-19)による閉鎖の間、ロボットは必須の労働力という地位を維持できたため、ロボットは有用なツールとなっている。人間の「スカウトアンバサダー」と一緒に、パンデミックの間もクーラーボックスサイズのロボットが働き続けている。

そして今週から、Scoutは米国南東部の2都市であるジョージア州アトランタとテネシー州フランクリンで運用を拡大する。フランクリンはナッシュビルのすぐ南に位置する人口約8万人の非常に小さな都市だ。どちらのケースでもScoutの配達はかなり小規模で、これらの都市の「特定の顧客」をターゲットにしている。

画像クレジット:www.erinleeallender.com

ロボット配送業界のすべての企業と同様に、アマゾンは運用拡大の計画を慎重に検討する必要がある。ニューヨークやサンフランシスコといった大都市は、すでに都市部の歩道が混雑しているため、この構想を歓迎していない。Scoutの運用拡大は主に住宅地をターゲットにしているが、アトランタは明らかに例外だ。

アマゾンは発表の中で、安全性に関する懸念を解消しようとしており「Scoutの配送ロボットは本質的に安全に設計されている。これは小型のクーラーボックスほどの大きさで、歩くようなペースで移動する。それぞれの配送ロボットはペットや歩行者、その他の物体(サーフボードでも)を避けて移動できる」と説明しているが、おそらくほとんどの人口が多い都市の議会は、注意してこのトピックに取り組み続けるだろう。

またアマゾンはScoutを利用して、新たな都市におけるロボット工学やSTEM(科学技術)関連の活動を支援する計画など、地域社会へのさらなる支援活動を推進している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Amazonが支援するAuroraが自動運転トラックへの取り組みを強化するためにテキサスに進出

Amazon(アマゾン)が支援する自動運転車両技術のスタートアップであるAurora(オーロラ)が、自動運転トラックの開発を加速することを目的としてテキサス州に進出している。

同社は、フィアットクライスラーのパシフィカミニバンとクラス8トラックを組み合わせて、ダラスとフォートワースエリア間の商用ルートをテストする計画であると語った。パシフィカの小編成がまず登場する。同社によれば、年末までにトラックはテキサス州で走行することが予定されている。

Auroraのテキサスオフィスは約24人のスタッフを擁するが、ほとんどが新規採用社員だ。Auroraによれば技術者、チームリーダー、トラックの運転手、車両操作者などさまざまな職種を採用しているとのことだ。

Autoraは自らが「Driver(ドライバー)」と呼ぶ、自動運転車用のフルスタックソリューションを開発している。2017年の立ち上げ以来、同スタートアップは、その自動運転スタック(ソフトウェアと自動運転の頭脳を提供するハードウェアの組み合わせ)が、いかなる車両にも適用できると述べている。とはいえ、Auroraの最初の2年間のパートナーシップと公式コメントは、物流ではなくロボタクシーを中心としたものだった。

それが変わり始めたのは昨年のことだ。 2019年10月に、Auroraは乗用車よりも自動運転トラックの開発を優先するというブログ投稿を行った。この数カ月、同社の共同創業者たちは、トラックを優先事項にすることについてより率直に話し合ってきた。

「私たちのDriver製品は、最終的には人とモノの両方を動かしますが、最初の商用製品はトラックになります。今日その市場は最大であり、ユニットエコノミクスが最高で、サービス要件のレベルが最も融通が効くからです」と同社は7月20日に発表したブログに書いている(medium投稿)。

ユニットエコノミクスが原動力ではあったが、同社によればはライダー企業Blackmore(ブラックモア)の買収とその技術の自動運転スタックへの統合が、トラックへの移行を可能にしたのだという。Auroraは同社のFirstLight Lidar(ファーストライトライダー)が、高速自動運転において決定的な競争上の優位性を与えるという。

自動運転トラックは、かつて自動運転車技術業界においてニッチなカテゴリーと見なされていた。それが変化したのは、ロボタクシーの運行の複雑さはもちろん、ユニットエコノミクスの厳しさに各企業が気が付き始めたからだ。

自動運転トラックには独自の課題がある。しかし収益性への道はより明快だというコンセンサスが高まっている。

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(翻訳:sako)

FedExはロボットアームを使ってメンフィスの施設で荷物の仕分けを行う

宅配大手のFedEx(フェデックス)は、これまでもロボット技術にトライしたことがある。よく知られているのは自律配送ロボットのRoxoだが、2019年にニューヨークでデビューしたときは市長のBill de Blasio(ビル・デブラシオ)氏に冷たくあしらわれた(未訳記事)。しかし最近では、新型コロナウイルス(COVID-19)のために多くの企業がサプライチェーンから人を減らすことを考えるようになり、ますます自動化が急務になっている。

このロジスティクスの大手から今週、TechCrunchにここ数カ月、以前とは違う方法でロボットを使っていると連絡があった。FedExは同社のメンフィスの施設における大量の荷物の仕分けを支援するためにYaskawa AmericaとPlus Oneから4台のロボットアームを導入した。

しかしこの分野に詳しい人はよくご存知と思うが、様々な理由で、その工程において人間の役割は依然として大きい。同社ではこれまで仕分けを担当していたSmall Package Sort Systemチームの数名が、ロボット従業員の働きを監督している。

FedExによると、この技術には新型コロナウイルスの流行前から積極的に取り組んでいたという。「新型コロナがこの技術の採用を加速したわけではないが、ウイルスのためにメンフィスのハブを通過するeコマースのパッケージの量が急激に増加し、そのため新型コロナがこの技術の必要性と、メンフィスで働くチームへの支援の必要性を確認した」という。

そもそもこの業界はしばらくの間、この方向を目指してきた。ロボティクス企業への投資や買収に大金をつぎ込んできたAmazon(アマゾン)は、人間とロボットが一緒になって大量の荷物をさばいていく工程の、ベストモデルといえるだろう。UPSもやはり、さらなる自動化を目指している。2019年に同社は、パッケージの80%を自動化施設で処理するという目標を掲げた(BUSINESS INSIDER記事)。新型コロナウイルスのような現在進行中の大規模な健康危機は、労働者と顧客の両方にリスクをもたらしており、自動化の拡大は多くのこの種の企業にとって、当然やるべきことになっている。

FedExによると、同社はこれまでのところロボティクス企業への投資は行なっていない。

画像クレジット:FedEx

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa