【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic 」がnoteに投稿した記事 を、内容別に3つの記事に分割・転載したものだ。第1部 、第3部 も併せてチェックしてほしい。
スマホ版YouTubeであるTikTokの特徴的なUI
TikTokはいまだと誰でも聞いたことはあるアプリになった。2019年6月時点では15億人のMAU、その年の10月にはDAUで10億人を超えるとTikTok米国代表が話していた。ユーザーを考えたUI判断とかなりアグレッシブなグロース戦略でここまで来た。
動画ファーストなUIと簡単なオンボーディング
TikTokのUIで一番重要なのは最初の動画ファーストなインターフェース。アプリをロードした瞬間からプレーし始めてユーザーをアプリへ引き寄せるコンテンツを先出しすること。
まず象徴的なのはアカウントを作成する必要がないこと。新規ユーザーとして登録する際には、最初に何に興味があるかを指定するだけ(しかも選ばなくてもいい)。以下がその様子で、約10秒でオンボーディングが終わる。これは2014年のYik YakのUIと似ている(Yik Yakはロケーショントラッキングの許可と通知の許可だけ)。すぐにコンテンツを楽しめるように、わざと最小限のオンボーディングにしている。
TikTokは裏側でデバイスID別に裏アカウントを作っている。そのため、ほとんどのTikTokユーザーはアカウントを作らずコンテンツを見ている。できるだけ大きく動画を見せて、必要があるボタン(プロフィールページ、いいね、コメント、共有)のアイコンだけ出している。Toutiaoのようにアプリ内の行動を見てデータプロフィールをTikTokが作っている。他社のサービスも同じようにアルゴリズムを使ってコンテンツを提供しているが、TikTokとのUIを比較するとどちらがデスクトップベースで作られ、どちらがスマホベースで作られたがわかる。
Instagramでさえスクリーンスペースを無駄にしている。上記の動画、もしくは広告を見ると、スクリーンの100%のTikTok、16%のWeChat、31%のInstagramのどちらをユーザーは選ぶか?
ショートフォーム動画
TikTok上のコンテンツは短い。もともと15秒のリミットがあった(中国のDouyinでは2分まで伸びた)。スマホでは短めのコンテンツが好まれるので、それ専用のプロダクトを作るとUI/UX、ユーザーの期待値も変わる。アテンションスパンが短くなっている中、10分のYouTube動画でも見られなくなっている。有名YouTuberのDavid Dobrikも3分〜5分動画の方がパフォーマンスがいいと発言している。このロングフォームコンテンツからショートフォームのトレンドは多くの人が感じていると思う。
ショートフォーム動画は制作と消費の摩擦を減らしている。いま現在はほとんどのTikTok動画はクリエイター1人で作っていて、1日複数の動画を投稿している。2018年のByteDance広告主向けの資料によると34%のユーザーは毎日コンテンツをアップしているとのこと。
これがロングフォームコンテンツであればスマホで撮影と編集はせずに、チームで撮影を行うことが多い。TikTokクリエイターは自分自身でコンテンツを編集しているため、視聴者を理解するためにTikTokコミュニティに入り込んで自分自身でコンテンツを消費しなければいけない。
そしてコンテンツを消費するユーザー側からするとショート動画だからこそコミットしなくてもいい。すぐに始まり、すぐに終わる動画は最悪でもたったの15秒の無駄。各動画は最後のほうにきちんとクライマックスを用意して、もし一部見られなくてもデフォルトで動画がリプレイするので何回も見てしまう。TikTokは裏では各動画の視聴長さ(どこまで見たのか)や複数回見たときはアルゴリズム上かなり高い評価をつける。
短い動画のため、他社サービスより圧倒的なスピードでデータ収集ができて、それでよりアルゴリズムを改善できる。10分間のYouTube動画の時間帯でTikTokでは40個の15秒動画のデータを取得できる。下記データを見ても他のSNSと比較すると圧倒的な差があることがわかる。
TikTokの一番近い競合はYouTubeだが、YouTubeはテレビやデスクトップ向けのコンテンツ。実際に2020年3月では1億人はYouTubeをテレビで見ていた。そしてYouTube、Twitter、Instagram、TikTokの1セッションあたりの消費されるコンテンツ量を見るとすごい。
そして今後ショートフォームの動画の間に広告を入れられることを考えると、かなりマネタイズポイントがあると思われる。
The InformationでもTikTokの特徴的なUIをうまくまとめている。
TikTokは「ソーシャルではないSNS」
TikTokのすごいところは、これだけ大きいSNS企業なのにソーシャルグラフを必要としていないところ。Facebookは10日以内で7人の友達が「マジックナンバー」と言われていたり、TwitterやInstagramも人気になるにはフォロワーが重要。逆にTikTokは、友達、フォロワー、アカウントですらいらない。人ではなく、完全にアルゴリズムがコンテンツ、タグ、そして動画内のアクションやものを把握しながらユーザーの視聴履歴、見直した動画、いいね、コメント、共有、視聴後の行動をすべてモニタリングしている。a16z(Andreessen Horowitz)パートナーのConnie Chen(コニー・チェン)氏が言うように、TikTokは初めてC向け商品の中でAIがプロダクトであること。これは過去のFacebookなど、ユーザーとその周りのユーザーのインタラクションを元に作られたアルゴリズムとはかなり違う。
このアンチソーシャルなアプローチはもしかしたら他社プラットフォームと比べて、より長持ちできる施策かもしれない。ほとんどのSNSは友達やフォロワーが増えるとプロダクトのバリューが下がる傾向にある。以前SNSについて説明した記事でもソーシャルメディアからステータスメディアへ進化する話をした。そのフォロワーや友達の概念がそこまでないTikTokはもしかしたら有利なポジションにあるかもしれない。
実際の事例を見てみよう。ハリウッド女優のジェニファー・ロペスのTwitterとTikTokのフォロワー数は、
Twitter:4,400万人
TikTok:280万人
だが、
TwitterにアップしたTikTok動画:100万再生回数
TikTokにアップしたTikTok動画:1790万再生回数
とTwitterのフォロワー数が多くてもTikTokのほうがバズった。
TikTokの拡大戦略
チェン氏が言うように、TikTokは初めてC向け商品の中でAIがプロダクトであること。これは過去のFacebookなど、ユーザーとその周りのユーザーのインタラクションを元に作られたアルゴリズムとはかなり違う。計画的な拡大戦略をとっていた。
まず、スマホで最も優れたショートフォームの動画編集ツールを作った。簡単にクリッピングしたり、フィルター、音楽を追加できるようにした。そして他社プラットフォームへ簡単に共有できるようにした。そこでTikTokがとった戦略は動画をTikTokからエクスポートする際には必ずTikTokで投稿すること、そしてエクスポートされた動画は必ずTikTokのウォーターマークが自動的に付けられたこと。それによって、もともと動画編集ツールとして使ってたクリエイターはTikTok上でファンがつき始めたらTikTokで投稿することに注力してくれるようになる。
さらにInstagramのように鍵がかかったアカウントが存在しないこと。Instagramコンテンツを共有したが、そのアカウントが鍵がかかったアカウントだったのでコンテンツが見られない不満はある。TikTokは全世界に公開しているので、そこを気にすることはない。
そしてクリエイターをプライオリティーと置くようにした。クリエイターにはTikTokスタッフからのサポート、どう言うコンテンツを投稿するべきかのメールを送ったり、TikTokスタッフと1対1のデモ、TikTokクリエイターコミュニティ用のイベントやコラボ企画を勧めたりもしている。しかもスマホを安定させるためのスマホスタンドも送ってくれるらしい。以下クリエイター向けのイベントがどのようなものかを見せている動画だ。
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初期では各SNSの有名インフルエンサーを囲い込むようにオペレーションチームが託された。うわさによるとTikTokに投稿してもらう代わりにお金を払ったと出ているが、実態はわからない。中国ではセレブにお金を払ってDouyinの初期コンテンツを作っていた。タレントショーのオーディション動画や、Michael Korsとのイベントパートナーシップを行なってグロースした。中国では他のプラットフォームの動画を勝手にとって自社プラットフォームにアップしたも言われている。そして米国とヨーロッパに入るためにMusical.lyを10億ドルで買収。ByteDanceとMusical.lyは同じ株主がいたため、その株主が間に入ってM&Aを仲介したと言われている。
そしてTikTokクリエイターにすぐにソーシャルキャピタルを与えられたのが重要なポイント。過去だと各プラットフォームの初期ユーザーが一番ソーシャルキャピタルを獲得できる仕組みになっていた。TikTokだとフォロワー数関係なく、前コンテンツをプロモーションする。TikTokでは既存のクリエイターに十分なソーシャルキャピタルを与えながら新規ユーザーにも割り当てられるようにしなければいけなかった。Musical.ly創業者で現在TikTokのプロダクトのトップを務めるAlex Zhu(アレックス・チュー)氏はこのプロセスを新しい国を作るように例えている。
このソーシャルキャピタルのアロケーションを計画的に割り振るためにはTikTokとしてはショートフォーム動画、アルゴリズムからのコンテンツディスカバリー、フォロワーに重きをおかないこと、ソーシャルグラフを使わないこととオンボーディングを最小限にすることが重要だった。
SNS事業含め、ビジネスの多くではよりユーザーにリーチできる会社が長期的に勝つ。リーチがなければより良いプロダクトで勝ちに行くのが大まかな戦略だ。TikTokはプロダクトのイノベーションでより大きいユーザーベースにリーチできるようにした。Twitterだと何か投稿したときに基本的にフォロワーが見てくれるため、フォロワー数が少ないほど広がるチャンスが少ない。TikTokはフォロワー数を無視しているため、よりコンテンツが広がる仕組みを作っているからこそ、みんなが使いたがる。これはInstagramがSnapchatをコピーしてStories機能を追加した時と同じ。SnapchatよりInstagramでフォロワーが多かったクリエイターはSnapchatではなくInstagramでStoriesを投稿し始めた。クリエイターは多くのユーザーに一気にリーチするのが目的なため、TikTokに行く理由はわかる。
TikTokがコンテンツの共有を強調するのもリーチを広げるため。動画が2回ループするとシェアするアイコンが緑になる(日本の場合はLINEのアイコンが出る)。そこをタップすると他社プラットフォーム含めて共有できるように見せている。TikTokはモバイルウェブ対応もしていて、友達から受けた動画はかなり高い確度で見てくれると確信している。しかもこのオフプラットフォームで共有するとTikTokは裏側でそのデバイスID別にソーシャルグラフを作れて、将来的にSNSを作る際には役に立つデータを取得できる。
引用:TikTok
そして最後の拡大戦略は圧倒的なマーケティング。2018年から2019年にかけて、1日3000万人のユーザー獲得とPRに使ったと言われている。他社プラットフォームを資金を溶かしたケースも多々ある。
2018年ではGoogle広告で3億ドル、インドだけで毎月1000万ドル使っていた。2019年Q1ではFacebookのAndroid版アプリでは見られた13%の広告はTikTokだった。ピークは2018年9月で、Facebook配下のプラットフォームで米国で見られた広告の22%はTikTok関連だった。
しかもこのようなインフルエンサー動画もTikTokのウォーターマークを入れてTikTokを告知してくれていた。
Instagramのユーザー数はTikTokの2倍、合計利用時間はTikTokが上
初期のTikTokの米国の新規ユーザーの30日リテンションの数字は10%と言われていた(だいたい20%が「良い」アプリと分類されるが、SNSだともっと高いケースが多い)。これはおそらく最初のターケティングの問題でもあった。徐々に改善してアプリ調査会社のApp Annieによると2019年初旬では28%〜40%の間にまで上がっていたらしい。
ByteDanceは多額の資金を使って多くの批判を受けたが、これも1つのネットワークを作る戦略である。InstagramもFacebookフィードを活用したからこそ新規ユーザー獲得ができた。以下グラフのように、50〜75%のInstagramダウンロードはFacebook買収のあとに来ている。特に買収直後のグロースはFacebookから来たユーザーが多かったのは間違いない。
ByteDanceはFacebookみたいなプラットフォームがなかったので、ハイマージンな広告ビジネスが生む70億ドルの売上とソフトバンク・ビジョン・ファンドからの30億ドルの出資を受けて似たようなことを資金力で解決できた。
そして他社プラットフォームのグロースが遅まっている中、TikTokのユーザー数と平均利用時間が爆発的に伸びている。このグラフを見ると、明らかにInstagramのダウンロードに影響を及ぼしている。
さらに2019年1月と2020年4月の米国での月次のリーチ数を見ると、Instagramの広告プラットフォームは1.2億人でフラット。
いまのところ、FacebookやInstagramのユーザー成長率を見て投資家は心配ではなさそうだが、今後は変わりそうだ。App Annieのデータを見ると、米国のユーザーはInstagramはTikTokより2倍のユーザーがいるのにもかかわらず、合計利用時間はTikTokのほうが上回っている。ComScoreもTikTokの利用時間が2019年10月から2020年3月で93%増したと報道している。そして過去半年では利用時間が倍増したとも報道がある。
TikTokのダウンロードも2020年Q1でかなり加速している。しかも去年末あたりから広告費用を下げると発言しているので、もしかしたらコストを下げながらユーザー獲得ができているかもしれない。
TikTokの成長振りは2019年のVidCon(米国で毎年開催される多ジャンルのオンラインビデオテクノロジー会議)でも明らかだった。いつもYouTubeインフルエンサーが行くイベントとして知られていたのが、2019年はTikTokインフルエンサーが評判だった。そして全TikTok関連のセッションは満員にお客さんが入っていた。
TikTokのYouTube 2.0へのカギは「音楽」と「ミーム」
SNSを始める際にはだいたい、コンテンツの消費と制作の摩擦を減らす新しいコンテンツ制作ツール、もしくはコンテンツフォーマット、さらにはクリエイターにソーシャルキャピタルを与えられるように仕組みが必要。うまくいけばグロースサイクルが作られ、ネットワーク効果が生まれる。TikTokのグロースサイクルは数字を見るだけでもきちんと回っているのがわかる。
YouTubeは動画フォーマットの大きな成功事例で動画市場では大きなプレーヤーとして存在しているが、YouTubeのプロダクトは横型動画向け、いわゆるデスクトップとテレビ向けのプロダクトで、YouTubeクリエイターはスマホで動画編集をしない。このスマホファースト(縦型)、尚且つショートフォームの動画プロダクトにギャップがあった。このニーズを表しているのがSnapchatとInstagram Storiesだった。
そして米国ではミーム文化が進んでいて、今では若手層がミームをコミュニケーションツール、時にはニュース情報を得るためのものとなっている。ミームの特徴としてはリミックスされることが多くて、一つのミームがリミックスされるほどより世の中で受け入れられているミームとなっている。例えば映画ロード・オブ・ザ・リングから生まれた人気ミームの「One does not simply」をGoogleで検索してもこれだけのバージョンが出てくる。
Instagramが公開したデータによるとミーム投稿はミームではない投稿と比べて7倍以上シェアされる。そしてReddit上では新しいミームの人気度を予測するスレッドまで出てきている。
TikTokは2つのトレンドに乗っかって成長してきた。それはミームとAirpods。Musical.lyを統合した時には最初はMusical.lyで人気だったリップシンク系のユースケースが多かった。2018年中旬から下旬でTikTokアプリを見ると、元々のMusical.lyコンテンツからVineっぽいコンテンツに進化していくのが見えた。そして使ってたGen Zはミレニアル世代が好む「完璧」なインスタ映えとは違く、より皮肉なジョークやリアルなものを好んでいたため、TikTokがフィットした。
Vineに近しい部分は多かった。Vineも若手層が皮肉なジョークを共有し合う場、そしてリミックスする場でもあった。
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そしてVineユーザーのリミックス文化をスケールさせられたのがTikTok。TikTok(Musical.ly)のリップシンク編集ツールを使うと同じ音楽で動画をリミックスできるようにした。TikTokの重要なUIの1つとして、動画内の曲ベースで検索が可能なところがある。これはどの他社プラットフォームも出していない(一瞬Vineも同じような機能を出したが、すぐにシャットダウンした)。
タイミングも重要だった。TikTokが米国で人気になり始めていたときにはAirPodsが爆発的に売れ始めていた。2017年にはApple(アップル)は1600万個のAirPodsを売り、2018年には3500万個、2019年は6000万個、2020年には1億個売ると言われている。AirPodsユーザーは音声付きのミームを聞くのに最適なユーザー層だった。それで生まれたのが音声ミーム。音声ミームの初期の有名事例はAdele(アデル)の「Someone Like You」という曲だ。
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その他TikTokのミーム活用法について知りたい方は、以下のポッドキャストでTIkTokが作り上げたミームからのソーシャルコマースの話「#22 TikTokから生まれたOK, Boomerって? 」を聞いてほしい。
Lil Nas XとアーティストのTikTok活用方法
Musical.lyのルーツが音楽にあった中、TikTokもそこを強調した。TikTok上で人気になった多くのミームは音楽ベースでもあった。その中で最も有名なのはやはりLil Nas X(リル・ナズ・X)の「Old Town Road」だ。
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17週間連続でBillboard Hot 100の1位にランクイン。しかしこれはたまたまTikTokでバイラル化して伸びたのではなく、Lil Nas X自身がTikTokのリミックス文化を活用して伸ばした。
Lil Nas Xは音楽のキャリアをやるために大学を中退した。中退したものの新しい曲作りにフォーカスしなかった。まずはTwitter上で友達作り、ミームをひたすら投稿してフォロワー数を3万人まで伸ばした。フォロワー数を伸ばした後に自分の音楽の投稿をすればバズると思っていたが、そんなに簡単に行かなかった。
面白いミームを投稿すると2000リツイートされるが、歌を投稿すると10リツイートぐらいしかもらえない(Lil Nas X)
それを見たLil Nas Xは戦略を変えて、SoundCloudのURLを出すのではなく、ミームに合わせた歌のプロモーションを考えた。
短く、キャッチーで、面白くなければいけなかった(Lil Nas X)
その結果が「Old Town Road」。踊っているカウボーイと合わせてフォロワーに共有した。
その動画がバイラルになったので、Lil Nasはこれで新しいプレイブックを作った。
Old Town Roadに合わせた
短いバイラル動画
曲のリンクは動画の下にリンクする
Twitterで広がり始めた曲がついにTikTokまで、そして爆発的に伸びてBillboardのカントリー・ミュージックカテゴリーに載った。
Lil Nas Xはカントリー・ミュージックのカテゴリーの競争率がほかと比べて低いと知っていて、わざとカントリー・ミュージックとリストしていた。その1週間後にBillboardがカントリー・ミュージックではないと判断し、ランキングから取り除いた。この判断がLil Nas Xにとって良い展開だった。これによって全米でニュースになり、2週間後にはBillboardの全体ランキングで1位になった。
この勢いをさらに加速するためにLil Nas Xは、次に音楽業界のスターとOld Town Roadのコラボ(リミックス)曲を出した。Billboardのちょっと変わったルール上で、リミックス曲はオリジナル曲の再生回数としてカウントされる仕組みになっていた。
リミックス曲が出るたびに何百万と再生回数が増え、Old Town Roadのランキング首位を堅持した。そして17週間後にはマライア・キャリーの記録を破った。5カ月前まで大学中退で銀行口座がマイナスだったと考えると、すごい成長だ。
Lil Nas X自身もこれはラッキーなことではなく、計画性がちゃんとあってここまで伸びたものとのこと。その一例、Old Town RoadがTwitterでバズり始めた1つのきっかけが、1人の男性が馬の上に立ちながら馬が走っている動画だ。この動画はいろんなバージョンが出てきたが、すべての動画はOld Town Roadが音声となっていた。
一番最初のこの動画は2018年12月24日に投稿されていた。そのTwitterユーザーになぜその動画を作ったかと聞いたところ、Lil Nas Xが彼にDMを送ってそのアイデアを提案したとのこと。しかもその動画を見て曲を検索すると知っていたLil Nas Xは、YouTubeとSoundCloud上で曲のタイトルを変更し、バイラル動画で入っている歌詞を追記したのだ!
TikTokでもLil Nas XはTikTokを活用してチャレンジを作り、さまざまなユーザーがOld Town Roadに合わせてミームを作り始めていた。
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そして2018年からTikTokから生まれた人気曲が出てきたが、今はアーティスト側がリリース前にTikTokに曲の一部を出してバズらせている。ネットで有名ダンサーのToosieがDrakeから直接連絡もらって、まだタイトルが付いてない曲の一部を渡され「ダンスを考えてくれないか?」と聞かれた。
それで出来上がったのが「Toosie Slide」で、それを踊るチャレンジが出てきた。
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最終的にTikTokでヒットして、Drakeが音楽配信アプリで公開した。
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これはDrakeだけではなく、多くのアーティストが一部公開をしてTikTokで流行らせてから公開する流れになり始めている。
TikTokは徐々にリップシンクからミーム、そして今ではコメディー、教育(チュートリアル)、アートなどさまざまなコンテンツに広げている。コンテンツ領域を広めるとターゲットユーザー層も拡大するし、TikTokにとってはユーザーの興味グラフを作れるようになる。これはByteDanceが今後YouTubeやほかのSNSと対抗に戦うためには重要な要素となる。
引用記事
・The Rise of TikTok and Understanding Its Parent Company, ByteDance (Turner Blog)
・Old Town Road: The Best Entertainment Case Study of 2019 (Medium)
・Here Are The Songs That Went Totally Viral On TikTok In 2019 (BuzzFeed News)
・TikTok’s Underappreciated Wins (from a former Yik Yak employee (Zack Hargettブログ)
・The 10 Ways TikTok Will Change Social Product Design (The Information)
・TikTok Top 100: Celebrating the videos and creative community that made TikTok so lovable in 2019 (TikTok)
・Songs Are Becoming Hits on TikTok Before They’re Even Released (Rolling Stone)
・Why Fintech May Be the Future of Ridehailing for Grab, Uber (Fortune)
・TikTok owner ByteDance scores video game hit in Japan, sharpening rivalry with Tencent (South China Morning Post)
・ByteDance’s move into gaming is already paying off (Abacus)
・四处挖人,字节跳动横扫教育圈 (36Kr)
・Bytedance tiktok Douyin viamakershort video china regulation cyberspace administrationBytedance launches consumer lending app on Android (TechNode)
・TikTok owner ByteDance scores video game hit in Japan, sharpening rivalry with Tencent (South China Morning Post)
・TikTok Owner’s Plan: Be More Than Just TikTok (The Wall Street Journal)
・Introducing TikTok Donation Stickers with British Red Cross and Help Musicians (TikTok)
・China’s Bytedance is buying Musical.ly in a deal worth $800M-$1B (TechCrunch)
・The popular Musical.ly app has been rebranded as TikTok (The Verge)
・China’s $11 Billion News Aggregator Jinri Toutiao Is No Fake (Forbes)
・Chamath Palihapitiya – how we put Facebook on the path to 1 billion users (YouTube)
・Memers are Taking Over TikTok (The NewYork Times)
・Inside the New York City Bodegas Going Viral on TikTok (The NewYork Times)
・The Original Renegade (The NewYork Times)・The owner of TikTok is reportedly in talks with major record labels to launch a music streaming service (Business Insider)
・TikTok’s Videos Are Goofy. Its Strategy to Dominate Social Media Is Serious (The Wall Street Journal)
・TikTok Owner’s Value Exceeds $100 Billion in Private Markets (Bloomberg)
・Musical.ly’s Alex Zhu on Igniting Viral Growth and Building a User Community | #ProductSF 2016 (YouTube)