クラウド上でAndroidアプリを動かすCanonicalのAnbox Cloud

Linuxの人気ディストリビューションUbuntuのCanonicalが、米国時間1月21日、クラウドサービスAnbox Cloudの立ち上げを発表した。企業はこのクラウドプラットホーム上でAndroidを動かすことができる。

Androidは、Anbox Cloudの上でゲストオペレーティングシステムになり、コンテナ化されたアプリケーションを動かす。これにより独自のエンタープライズアプリケーションやゲームサイトなど、さまざまなユースケースが期待されている。

Canonicalのクラウドサービスは、GoogleがChrome OSの上でAndroidアプリを動かせるようにしていることと似ているが、実装はまったく異なり、コンテナマネージャーLXDをベースとし、コンテナのプロビジョニングやデプロイの自動化などのためにJujuMAASといったCanonicalのプロジェクトを多数利用している。同社は発表声明で 「LXDのコンテナは軽量なので、仮想マシン上のAndroidエミュレーションと比べて、少なくとの2倍のコンテナ密度が得られる。ただし実際には、ストリーミングのクオリティーやワークロードの複雑さによって異なる」と述べている。

なお、Anbox自体はCanonicalとUbuntuの幅広いエコシステムから生まれたオープンソースプロジェクトだ。Anboxは2017年にCanonicalのエンジニアであるSimon Fels(サイモン・フェルズ)氏が立ち上げ、完全なAndroidシステムをコンテナで動かす。これによりユーザーは、Androidのアプリケーションを、どんなLinuxベースのプラットホーム上でも動かすことができる。

しかし、その意味は何だろうか? Canonicalの主張によると、Anbox Cloudを利用することで企業はモバイルのワークロードをクラウドへオフロード可能になり、それらのアプリケーションを社員のモバイルデバイスへストリームできる。またCanonicalによれば、5Gの普及により多様なユースケースが生まれるが、それに貢献するのは大きな帯域よりもむしろレイテンシーの低さだという。

Canonicalのプロダクト担当ディレクターStephan Fabel(ステファン・ファベル)氏は 「5Gのネットワークとエッジコンピューティングの普及により、多くのユーザーが、自分の好きなプラットホーム上で、超リッチなAndroidアプリケーションをオンデマンドで利用できるようになる。企業は高性能で高密度のコンピューティングをどんなリモートデバイスにも提供できるようになり、しかもその際の電力消費といった経費はきわめて低い」と発表で述べている。

Canonicalはエンタープライズ以外に、ゲーミングおよびゲームのストリーミングにも重要なユースケースを展望している。スマートフォンはますます強力になりつつあるが、それでも結局のところ、クラウド上のサーバーには敵わない。そこにCanonicalは目をつけている。

Canonicalが挙げるもう1つの重要なユースケースが、アプリのテストだ。デベロッパーはこのプラットホームを利用して、何千台ものAndroidデバイス上でアプリを並列させてテストできる。ただしAndroidのエコシステムは分裂が激しいため、重要なテストはエミュレーションでなく実機上で、となるかもしれない。

Anbox Cloudをパブリッククラウドで動かすことはできるが、CanonicalはエッジコンピューティングのスペシャリストをPacketとパートナーにして、それをエッジ上やオンプレミスでホストする。このプロジェクトのハードウェアパートナーは、AmpereとIntelとなっている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Canonicalはまず外部資金の調達を初体験してから将来のIPOに備えたいという

【抄訳】
Mark Shuttleworthが自分の投資でCanonicalとそのUbuntuプロジェクトを創業してから14年になる。当時はもっぱらLinuxのディストリビューションだったが、今では同社はエンタープライズサービスの大手としてさまざまなプロダクトサービス提供している。これまではShuttleworth自身がプロジェクトに資金を提供し、外部からの資金には関心を示さなかった。しかし今、それが変わろうとしている。

Shuttleworthによると、最近の彼はIPOを真剣に考えるようになり、そこへのひとつの過程として外部投資家を求めている。同社が最近エンタープライズへとフォーカスを変え、Ubuntu Phone(Ubuntuブランドのスマートフォン)やデスクトップ環境Unityを廃棄したことは、誰もがすでにそう思っていたように、どれもそれに結びついていた。Shuttleworthは外部資金の調達を、その方向へ向かう一歩と見なしている。そうやって、会社を徐々に、上場にふさわしい形に整えていくのだ。

“第一段階は、未公開株式だろう。外部投資家を募り、取締役会に外部のメンバーができたら、報告義務も生ずるし、それらはIPOに向かうプログラムの一部になる。私が考えてきた手順としては、未公開投資家たちが求めていたことにまず応じてから、そのあと、上場へ向かうべきだ。両者は、まったく違う文化だからね”。

最近はよく目立つひげを生やしているShuttleworthは、前はこれ〔未公開外部資金〕にも反対していたし、そのことを彼自身も認める。“それは私に関する正しい性格付けだった、と私も思う。私は、自分の独立をエンジョイしており、自分で長期の経営を構想できることも好きだ〔四半期決算報告などの短期的義務が生じないこと〕。今でも自分にその能力があると感じているが、人の金に対して責任が生じるのもすごく良いことだ。それが自分の金でなければ、金の使い方もやや変わるだろう”。

【後略】
〔IPOの前段としての未公開株式投資に関しても、投資家、金額、スケジュール等すべて未定。現状は、すべてShuttleworthの頭の中の構想である。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Ubuntuで自分のビジョンを追究したいCanonicalのMark Shuttleworthは買収よりIPOに関心あり

IBMがRed Hatを340億ドルで買収する計画を発表して以来、Red Hatと競合するSuseやCanonicalの今後の行方を云々する声が賑やかになってきた。しかしCanonicalのファウンダーMark Shuttleworthには、同社を売ることへの関心はまったくないようだ。少なくとも、今のところは。

今日ベルリンで行われたOpenStack Summitの会場近くで彼としばらく話をしたが、彼は、“重要なのは独立だ”、と言った。それはまず、彼は個人的にはお金を必要としていない、ということだが、CanonicalとUbuntuに懸けた彼のビジョンを最後までやり遂げたい、という意味でもある。

彼が1999年にThawte Consultingを5億7500万ドルでVerisignに売ったとき、人びとは彼に、死ぬまで休暇か?と尋ねた。そして彼はそのお金の一部を使って二人目の宇宙旅行者になり、慈善団体を立ち上げたが、そっち方面への関心がないことは、明らかだった。

しかし彼によると、売ってもよい状況が一つだけある。それは、彼のCanonicalのビジョンが加速されることだ。

しかし、何にでも価格はあり、そしてShuttleworthがお金を必要としていないとしても、売却は確実に、Canonicalの社員の多くにとって有意義な金銭的報奨になるだろう。

でも、よく知られているように、Shuttleworthの関心はCanonicalのIPOにある。今年の前半に彼は、それはまだ検討中、と述べたが、正しいタイミングというものも必要だ。最近同社は再びエンタープライズにフォーカスし、それとあまり関係のないUbuntu PhoneやUnityデスクトップなどを閉鎖した。結果は好調のようだから、IPOはまだ選択肢の一つとして生きている、と言える。

今週後半にShuttleworthへのもっと本格的なインタビューを予定しているので、お楽しみに。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

UbuntuのCanonicalがスマートフォンから撤退、デスクトップはUnityからGNOMEに戻る

人気の高いLinuxディストリビューションUbuntuを作っているCanonicalは、スマートフォンやタブレットでモバイルの世界に進出したい、という願いを持っていた。今やUbuntuで動くスマートフォンを買うのは(少なくともアメリカでは)容易ではないが、しかしここ数年、さまざまな機種が出たり消えたりを繰り返した。そしてCanonicalのファウンダーMark Shuttleworthの今日(米国時間4/5)の発表によれば、同社はスマートフォン事業への投資を終了する。

さらに、Ubuntuに関しては、18.04のリリースからGNOMEデスクトップに戻り、独自に開発していたUnity8デスクトップ環境を捨てる。

そしてCanonical自身は今後、クラウドとIoTに注力する。ただし、“数百万もの人びとが依存しているUbuntuデスクトップへの情熱と投資と責任感は今後も継続することを強調しておきたい”、とShuttleworthは書いている。“弊社は世界でもっとも使いやすいオープンソースデスクトップの生産を継続し、既存のLTS〔長期サポートバージョン〕のメンテナンスも怠らず、多くの商業的パートナーと協力してそのデスクトップを配布し、それに依存している企業顧客をサポートし、そしてそれらの上でイノベーションを志向する何百万ものIoTとクラウドのデベロッパーたちを喜ばせたい”。

今やパブリックとプライベートのクラウドの大半がLinuxの上で動いており、またその多くがUbuntuを使っている(もちろんRed Hatなどとの競合もある)。最近行われるクラウド関連のカンファレンスに、何らかの形でのCanonicalのプレゼンスがない、ということは一度もなかったと思う。同社はLinuxのディストリビューションがいちばん有名だが、UbuntuやOpenStackやコンテナを(多くの場合Kubernetesを伴って)自社のデータセンターで使う大企業顧客向けにサポートすることからも、収益を得ている。同社は数字を発表していないが、売上の大きな部分が、このようなエンタープライズ・サポートであり、しかもそれは急速に成長し利益も大きい分野だろう。

IoTの世界では、Ubuntu Coreと同社のSnapsコンセプト(サンドボックス化したアプリケーションをどのLinuxディストリビューションでもインストールし動かせる)が、徐々にユーザーを増やしている。たとえば先日のMWCでは、Shuttleworthが私を連れて、Canonicalのブースと、Snapsを使っているサードパーティ全社のブースを訪問した。このようなSnapsの人気には、Shuttleworth自身がかなり興奮していたようだ。

“究極の選択は、企業の成長に寄与している分野に投資することだ”、とShuttleworthは書いている。“それらは、デスクトップとサーバーとVMを提供するUbuntuそれ自身、弊社のクラウドインフラストラクチャ製品(OpenStackとKubernetes)、クラウドオペレーションの能力(MAAS, LXD, Juju, BootStack)、そしてSnapsとUbuntu CoreによるIoT路線だ”。

Unity8については、公平に言っても、多くのUbuntuユーザーがその消滅を悲しいとは思わないだろう。それを好きなユーザーも一部にはいるけど、なんといってもGnomeはLinuxのデスクトップ環境として長年、もっとも人気が高い(しかもこのところ、どんどん進化している)。分派行動で実装が多様化〜分裂していることもないから、デベロッパーにとっても使いやすいはずだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

CanonicalとPivotalのパートナーシップでUbuntu LinuxがCloud Foundryの推奨オペレーティングシステムになる

24497179980_9a4f7b4dde_k

オープンソースのクラウド開発プラットホームCloud Foundryを開発しているPivotalと、人気の高いLinuxディストリビューションUbuntuを作っているCanonicalが今日(米国時間7/6)発表したパートナーシップにより、UbuntuがCloud Foundryの推奨オペレーティングシステムになる。

両社はCloud FoundryがVMwareで開発されたオープンソースのプロジェクトだったころから仲が良い。2013年にVMwareとEMCとGEがPivotalを別会社としてスピンアウトしたときも、Cloud Foundryはその大きな部分であり、したがってUbuntuとの関係は今日まで続いている。CanonicalのUbuntuプロダクト担当マネージャーDustin Kirklandによると、むしろ両社の仲がこうしてオフィシャルになるまで時間がかかりすぎたことが、意外だという。しかしとにかく、今日の発表で公式なパートナーシップが確定したのだ。

これにより、Ubuntu Linuxを使っているCloud Foundryの顧客は、いろんなことが容易になる。まず第一に、Ubuntu Linuxのアップグレードが容易になり、セキュリティパッチの管理も自動化されるため、Cloud Foundryのユーザーは早く確実に重要なアップデートにアクセスできる。

また、Ubuntのサポート・レベルが自動的にLevel 3になる。これによりたとえば、Ubuntuの問題をCloud Foundryのサポートチームに解決できないときは、その問題がUbuntuの担当部署に回される。また、よくある、どっちの問題かはっきりしない状況では、両社が共同でサポートにあたる。どちらのチームも、サポート経験がきわめて豊富だ。

また、両社はセキュリティの証明でも協力し、スタンダードを起草する組織にも両社が一緒に関与することになるので、その結果Ubuntuはセキュリティの面で最先端のオペレーティングシステムになるだろう。しかもそれらのスタンダードは、両社のニーズを取り入れた規格になっていく。

“ベンチマークにも積極的に協力しているし、セキュリティガイドの策定においても、今後はより積極的な役割を担っていける”、とKirklandは説明する。

Crunchbaseによると、Pivotalは創業以来17億ドルという驚異的な額を調達している。今年5月のシリーズCでは、Ford Motor Company率いるラウンドにより、評価額28億ドルで6億5000万ドルを調達した

2004年に生まれたCanonicalは、これまで、一度のクラウドファンディングで1000万ドルを調達している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Linuxの新しいパッケージフォーマット、Ubuntu生まれのSnapsは、小アプリケーション群のためのコンテナのようだ

4772680734_489299f43f_o-1

Dockerのコンテナでアプリケーションを分散化する技術は、Linuxの世界の分裂をやや縫合することに役立っている。そして今度は、互いに会話/対話する、あるいは一緒にアップデートされる、複数の小さなアプリケーションのための新しいパッケージフォーマットが、同様の効果を期待している。それはUbuntuにアプリケーションをインストールするために、今年初めにCanonicalが導入したSnapsと呼ばれるパッケージングフォーマットで、今では複数のLinuxディストリビューションが、デスクトップやサーバー、クラウド、それに各種デバイスといった複数のプラットホームにわたって利用している。

2016-06-14_0957

Linuxの新しいパッケージングフォーマットは、RedHatのRPMやDebianのdebなどのフォーマットと競合するので、多くのディストリビューションがサポートしないかぎり、普及は難しい。Canonicalはしかし、Dell, Samsung, Linux Foundation, The Document Foundation, Krita, Mycroft*, Horizon Computingなどかなりの数のサポーターと、Arch, Debian, Gentoo, OpenWrt, Ubuntu, およびこれらのディストリビューションの派生系といったコントリビューターを集めることに成功した。そしてCanonicalによると、今ではSnapsはArchとDebianとFedoraの上、およびUbuntuベースのディストロであるKubuntu, Lubuntu, Ubuntu GNOME, Ubuntu Kylin, Ubuntu MATE, Ubuntu Unity, Xubuntuでネイティブに動き、またCentOS, Elementary, Gentoo, Mint, OpenSUSE, OpenWrt, およびRHELの上では目下検証が行われている。そのほかのLinuxディストリビューションの上でも、容易に利用できるそうだ。〔*: Mycroft, Microsoftではない!〕

Canonical自身が最初にSnapsのアイデアを実験したのは、Ubuntuの”Snappy”エディションの上だ。CanonicalのファウンダーMark Shuttleworthによると、Snapsは最初、CanonicalのディストリビューションであるUbuntuのために開発されたが、コミュニティの力でいち早くそのほかのディストリビューションにも広まっていった。

本誌のインタビューに対して彼は、“今日のニュースはUbuntu関連ではなくて、Linuxの分裂と多様化に関するニュースだ”、と語った。“多くのデベロッパーからのコントリビューションのおかげで、パッケージングアプリケーションSnapsは、すべてのメジャーなLinuxの上で、何も変えずにそのままで動く”。

Snapsのねらいは、ソフトウェアのベンダがLinuxベースのアプリケーションをもっと容易に配布できるようにすることだ。MozillaのFirefox担当VP Nick Nguyenが、声明文の中でこう述べている: “われわれは、ユーザーにすばらしい体験を提供し、Firefoxが多くのプラットホームで使えるよう、努力している。Snapsを導入したことによって、Firefoxの継続的最適化が可能になり、Linuxユーザーにも、もっともアップツーデートな機能を提供できる”。

Snapsの初期のユースケースとして彼が挙げるのは、Cassandraのような、複雑なデータベースを動かす必要のある、“依存性の巨大な塊のような”アプリケーションだ。それらのアプリケーションにはたくさんの依存性があり、インストールが難しい。またTelegramメッセージングやAtomエディターのような消費者アプリケーションはJavaScriptで書かれているので、Linuxで使えるけどLinux上に“インストール”はできない、そういうアプリケーションもSnapsは、部品を集めて束ねることができる。それらは互いに会話はできても、互いに、また他のデータからも隔離されている、とNguyenは述べる。そのためにSnapsは、カーネルの隔離機能と、特製のセキュリティ機構を使っている。

これらに加えて、Snaps中のアプリケーションはアップデートもできるし、旧バージョンへの復帰もできる。この機能はすでに、IoTで利用されている。

“IoTの市場は多様化が激しく、複雑であり、デバイスメーカーが完全なソフトウェアスタックを構築するのは高くつく”、と、Samsung Strategy and Innovation Center(SSIC)のエコシステム担当VP兼IoTゼネラルマネージャーのCurtis Sasakiは、声明文で述べている。“だからSamsung ARTIKモジュールをベースに新しいプロダクトを作るデベロッパーは、Snapsのエコシステムを利用してプロダクトのライフサイクルを加速したいのだ。そのためにこそわれわれは、ARTIKの上でSnapsが使えることを喜んでいる”。

Shuttleworthが創業したCanonicalは、Ubuntuのサポートや関連サービスが収益源だ。彼によると、Snapsにはそういう財務的事業的な視角はない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

DJIとCanonicalがパートナーしてUbuntu Linuxが動くドローン搭載専用コンピュータを発表

manifold-3

ドローンのメーカーとして世界最大といわれる中国のDJIと、Linuxの人気ディストリビューションUbuntu Linuxを作っている Canonicalが共同で、ドローンに搭載されることだけをねらったコンピュータManifoldを発表した(上図)。

今のところ対象機はDJIのMatrice 100だけなので、Phantomのドローンなどでは使えない。この3300ドルのMatrice 100はDJIの空飛ぶデベロッパプラットホームという位置づけの機種で、Manifoldのようなハードウェアや各種のセンサなどを装着できる。

Manifold 1

ManifoldのプロセッサはARM Cortex A-15クワッドコア、それにNVIDIA KeplerベースのGPUがある。GPUはグラフィクス用というより、画像処理や並列処理のためだ。〔OSはUbuntuをプレインストール。Manifoldの仕様等のページ。〕

DJIによると、ドローンがこのクラスのコンピュータを搭載することによって、コンピュータビジョンや深層学習など、最新の人工知能アプリケーションを利用できるようになる。USBとEthernetのポートもあるので、カメラ、大気測定装置、監視装置、多様なセンサなどを接続できる。HEMIポートもあるから、モニタに画像や音声を送るアプリケーションも可能だ。

“Manifoldを搭載したドローンは、新しい時代の、よりスマートで速くて強力な空中プラットホームになる。Manifoldで空中と地上のテクノロジが協働することにより、複雑な問題を解決できる”、とDJIの戦略的パートナーシップ担当部長Michael Perryが、今日の発表声明で述べている。“今後この新しいプラットホーム上でデベロッパコミュニティが作り出すアプリケーションが、楽しみだ”。

なお、デフォルトで搭載されているUbuntu Linuxは、14.04 Long Term Support(LTS)である。

Manifold 4

 

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

IBM、Canonicalと提携してUbuntu Linuxの動作するメインフレームを提供

linuxone

「Linux」と「メインフレーム」を「相反するもの」と捉えている人も多いのではなかろうか。しかしこの15年、IBMはメインフレームにLinuxの要素を取り入れてきているのだ。そしてついにIBMCanonicalは、メインフレーム上でUbuntsu Linuxを動かすことにした旨のアナウンスを行った。このプロダクトはLinuxOneと命名されている。

このLinuxOneではメインフレームの利用シーンを拡大したいという狙いに満ちてもいる。たとえば価格にはサブスクリプションモデルを採用し、またさまざまなオープンソースプロジェクトと連携し、さらには自らのメインフレーム上のコードもオープンソース化するという動きもみられる。

Canonicalとの連携にあたり、IBMが用意するメインフレームは2種類だ(もちろんペンギンにちなむものだ)。ひとつは「Emperor」(皇帝)という名前で、1月に記事にしたIBM z13を利用するものだ。もうひとつは少々コンパクトで「Rockhopper」(イワトビ)の名前を持つ。こちらはメインフレームユーザーの中では、エントリーレベルの層をターゲットとしている。

もしかすると、「メインフレーム」というのは恐竜のように絶滅したのだと思っていた人もいるかもしれない。実のところはまだまだ現役で、それどころか、世界中の大組織の中で積極的に活用されているものだ。こうした中でクラウドサービス、データ分析やセキュリティ面などでもメインフレームの活用の場を広げるため、Ubuntu LinuxおよびApache Spark、Node.js、MongoDB、MariaDB、PostgreSQLおよびChefなどメジャーなオープンソースのエンタープライズソフトウェアを動作させようとしているわけだ。

IBM SystemsのRoss Mauriによれば、IBMは四半期毎に10社ないし20社程度のメインフレームユーザーを獲得しているのだとのこと。IBMとしてはクラウドサービス並に柔軟な価格体系を用意して、メインフレームの導入コストに躊躇していた利用者をも獲得していきたい考えだ。

Mauri曰く、こうした価格体系にあってメインフレームはオンプレミスで提供されるものの、しかし課金についてはクラウド風に使用量に応じた形で請求されるのだそうだ。

これまでの歴史からみれば、CanonicalとIBMに接点はなさそうにも見える。しかしPund-ITのプリンシパルアナリストであるCharles Kingによれば、これは企業内でUbuntu Linuxの採用事例が増えていることに対するIBMの成長戦略のひとつなのであるとのこと。

Ubuntuを支援するCanonicalのJohn Zannosの話によれば、顧客層の中でのUbuntu利用が増える様子をみて、IBMの方からCanonicalにアプローチしてきたらしい。ちなみに、今回が両社がタッグを組む最初の事案というわけでもなくOpenPOWERプロジェクトでも協力した経験を持っている。

Zannosは曰く、IBMはZシステムやメインフレーム上でオープンソースの活用を積極的にすすめるなど、従来のパラダイムを転換する方向に動いているとのこと。

Charles Kingは、今回の連携は双方にとってもメリットのあるものだ(もちろんほぼすべての業務提携が双方にとってのメリットを強調してはいる)と述べている。「IBMはLinuxの強い市場でのプレゼンスを高めることになるでしょう。そしてCanonicalの方も、IBMのメインフレームを使っていたような大企業におけるシステム導入を増やすことに繋がることになります」と、明るい未来を描いている。

IBMとしては、セールス拡大に向けた新たなチャネルを獲得したい狙いがある。「主要ビジネスでの全面的な売上低下」に対応していきたいという考えているはずだと、Wall Street Journalは伝えている。

IBMにとっては、ともかくメインフレームの販売拡大が企業にとっての大きなメリットとなる。Canonicalとの提携や、各種オープンソースツールの採用により、小規模な、しかし成長著しいマーケットへの進出を狙いたいと考えているわけだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Linux Ubuntu OSを搭載したスマートフォンがこれまでのヨーロッパ限定から全世界発売へ

p1030818

Linuxの人気ディストリビューションUbuntuを提供しているCanonicalは、モバイル市場に遅れて参入し、Linuxスマートフォンには“潜在需要”があると主張して、OEMパートナーBQを味方につけた。その、最初はヨーロッパだけで発売されたハンドセットが、今日からは世界中どこからでも買えるようになる。

Ubuntu OSを搭載したスマートフォンは2月にヨーロッパでローンチし、6月には二つ目の機種が、やはりヨーロッパ限定で発売された。

この二つのUbuntuフォーンは、Aquaris E4.5 Ubuntu Editionと、やや大きいAquaris E5 HD Ubuntu Editionと呼ばれ、どちらもスペインのBQが作っている。それが今日から、BQのストアで世界のどこからでも買えるようになる。お値段は€169.90($189)と€199.90($220) だ。

Canonicalはこれまでも、このスマートフォンの売上台数などを公表していないが、今回グローバルに買えるようになったとは言っても、国により、あるいはキャリアにより、使える機能に制限があるかもしれない。同社のブログは、次のように述べている。

ネットワークの周波数やモバイル事業者によっては、合衆国など一部の国で、ヨーロッパのユーザが現在享受しているこのハンドセットとOSの機能の一部が、制限されるかもしれない。

AndroidやiOSのように、すでに全世界的に普及しているモバイルOSではないから、制約が生じてもやむを得ないかもしれない。

今年の初めに触ってみた経験から言うと、この製品はハードウェアとしてはふつうだが、ソフトウェアは広く普及しているApple iOSやGoogleのAndroidとかなり違う。iOS/Androidはアイコンをタップする、という使い方がメインだが、Ubuntuフォーンではテーマ別のカード(Scopeと呼んでいる)の上に関連のコンテンツやアプリを集め、それらをスワイプする使い方が主流だ。いわゆる、“ボタンレス”(ボタンがない)のユーザインタフェイスを実装している。

カードのテーマは、たとえば’Today’(今日)なら、そこには地域の天気予報やカレンダー情報が載る。’Nearby’(近所)なら、地域のさまざまなサービスがそこに集まる。テーマは自分で作れるから、たとえば仕事で必要な情報やサービスを分類して集めることもできる。いずれにしてもiPhoneやAndroidに慣れている人は、しばらくお勉強が必要である。

また、当然ながら、iOS/Androidの二大寡占勢力に比べると、アプリの数は多くない。だから当面、一部のオープンソースマニアを超えた大衆的な普及は難しいだろう。販売をグローバル化したことによって、スマートフォンの第三(第四?)のオルタナティブの存在に気づく人は、これまでよりも多くなる、とは思うけど。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

BQとCanonicalが第二のUbuntuフォーンをローンチ…ニッチ市場が定着か

bqe5_hero_straight-group-1-1

LinuxディストリビューションUbuntuを提供しているCanonicalが今日(米国時間6/2)、スペインのメーカーBQとのパートナーシップにより、第二のUbuntuフォーンをローンチする、と発表した。そのBQ Aquaris E5 HDの基本仕様は、今のAndroidハイエンド機と肩を並べるものではないが、同じBQによる最初のUbuntuフォーンよりは、やや仕様がアップしている。

初代Ubuntuフォーンは、ディスプレイが4.5インチ540×960と平凡、RAMは1GB、プロセッサはMediaTek A7で、人びとの買う気をそそるとは言いがたい製品だった。今度の二代目は、同じくMediaTekのクワッドコアプロセッサと、わずか1GBのRAMという仕様だが、そのほかの点では、いくぶん良くなっている。

ディスプレイは720×1280、最大輝度380cd/m2だから、かなり良いが、それでもまだ完全なHDディスプレイではない。13mpxのリアカメラ(フロントは5mpx)も、前の8mpxよりはハイスペックだ。フラッシュはデュアルフラッシュで1080pの録画が可能、そして二つのSIMをサポート。

発売は当面ヨーロッパのみで、小売価格は199ユーロ90セントだ。

BQE5_HERO_Straight Group 2c (1)

初代機と同じく、E5も最初からAndroidバージョンがある。その性能は最新のMoto G 4Gと肩を並べるから、悪くはない。Androidフォーンの仕様としては、Huawei Ascend G740などの同価格帯の製品とほぼ同じだ。

Canonicalのモバイル担当VP Cristian Parrinoがこう言っている: “新しいオペレーティングシステムを市場に持ち込むためには、現状を打破しようとするパートナーの強い意思が必要だ。BQは果敢なイノベーターであり、同社がUbuntuで背負ったリスクはすでに報われている。ヨーロッパにおけるこの第二のデバイスのローンチは、両社にとってすばらしい進歩の印(しるし)だ”。

モバイルの市場は競争が熾烈だから、新しいオペレーティングシステムをローンチするためにはまさしく、冒険を恐れないパートナーを必要とする。Canonicalの取り組みと似た立場にあるのが、MozillaのFirefox OSだろう。Androidはローエンドでも強いから、CanonicalやMozillaのようなマイナー勢力が食い込むのは至難の業だ。

Canonicalの今の立ち位置では、一部のオープンソース信奉者をファンにすることはできても、遠くない未来にモバイルUbuntuをメジャーに押し上げることはありえまい。来年が、‘携帯もLinux’の年にならないかぎり。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

CanonicalがCephやOpenStack Swiftと組んでソフトウェア定義ストレージAdvantage Storageをローンチ

ubuntu_logo_wood_cropped

Canonicalは今でもLinuxのディストリビューションUbuntuで有名だが、しかし最近の同社は、OpenStackを中心とする企業向け有料サービスで稼ごうとしている。カナダのバンクーバーで行われたOpenStack Summitで、CanonicalのファウンダMark Shuttleworthが、同社の最新のプロダクトUbuntu Advantage Storageを披露した。

Canonicalはこのサービスを、”ソフトウェア定義のストレージサポートサービス”と呼ぶ。企業が自分用のストレージサービスをコモディティハードウェアのクラスタ上にデプロイし、そのサポートサービスをCanonicalが提供する(デフォルトではLevel 1)。そのために同社は、ソフトウェア定義ストレージに関する既存のサービスCephやストレージモジュールOpenStack Swift、NexentaEdge、それにSwiftのベースであるSwiftStackなどとパートナーする。

Advantage Storageが既存の企業向けストレージサービスと異なるのは、ストレージの物理的容量ではなく、企業が実際に使っている容量に基づいて課金されることだ。レプリカやリダンダンシーやバックアップに関しては、課金されない。Shuttleworthは今日(米国時間5/18)のOpenStack Summitで、“オンプレミスのOpenStackの料金をパブリッククラウド並にしたい”、と語った。

DSC09938

Canonicalのファウンダ(趣味は宇宙飛行)Mark Shuttleworth。

CanonicalにはOpenStackクラウドの設営サービスBootStackがあり、今回のストレージサービスの料金は、ユーザ企業がすでに独自にクラウドをデプロイしているか、それとも新規にCanonicalに発注するかで、異なる。

また売上は、このサービスの基盤となっているCephやSwiftなどと分有する。

“弊社は世界最大のオープンストレージクラスタのサポートを提供しており、そしてこれからは、その提供物を顧客の実際の使用に基づいて課金することにより、新規顧客が利用を開始しやすいようにする”、とShuttleworthは述べる。“管理と統合を完全に自動化することによって、小さなクラスタの場合ですら、最初の日から第一級のユーザ体験をご提供できる”、という。

ついでにShuttleworthは、Canonicalのハイパーバイザ製品LXDについて簡単に触れた。彼はこのプロダクトを“lightervisor”(軽量ハイパーバイザ)と呼び、同社による最近のベンチマークではLinuxのKVMのハーパーバイザよりも大幅に高性能だった、という。具体的には、新しいインスタンスのローンチがKVMよりも94%速く(約2倍)、レイテンシは57%少なかった。

彼はまた、LXDをDockerのようなコンテナ技術と比較する報道が多いが、両者は完全に併用可能である、と述べた。LXDは仮想マシン技術であり、Dockerのようなプロセスコンテナではないからだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Ubuntuが今度は200ドル以下の中級機スマートフォンをヨーロッパで発売

スマートフォン市場に再挑戦したUbuntu LinuxのCanonicalが、Ubuntuベースのスマートフォンを“数日後に”発売すると発表した。アンロック機でお値段は€169.90(~$190)だが、一部のキャリアが売るSIMバンドル版もある。同機はスペインのBQのAndroid中級機Aquaris E4.5のUbuntuバージョンとして、’Aquaris E4.5 Ubuntu Edition’という名前で売られる。

Canonicalのモバイルへの挑戦は、まず2013年にスマートフォンとデスクトップコンピュータを合体させたようなハイエンド機Ubuntu Edgeをクラウドファンディングで立ち上げようとして失敗した。その、キーボードとモニタをつなげばUbuntu搭載のPCとしても使えるデバイスは3200万ドルという巨額を集めることができず、そこで今回は謙虚に中級機で行くことにした。

ハードウェアの仕様もごく平凡な中級機のそれで、画面は4.5インチ、RAM 1GB、クアッドコアA7チップ(最大速度1.3Ghz)、内蔵ストレージ8GB、リアカメラ8MP、フロントカメラ5MP、デュアルSIMスロット、等となる。でも、下のビデオでお分かりのように、独特なのはそのソフトウェアだ。

Canonicalが作ったジェスチャによるUIは、Scope(s)と呼ばれる。ホーム画面にはさまざまなコンテンツを表すカードがあり、それらをスワイプして必要な機能を選ぶ。アプリのアイコンは画面の横端や、そのためのカード上に並んでいる。たとえば’Today’カードには天気予報やカレンダーがあり、’Neaby’カードには近くのお店やサービスがある。そのほか、’Music’カードや’News’カードなどもある。

iOSやAndroidがデフォルトで提供しているグリッド状のインタフェイスとは確かに違うが、PalmのWebOSや新しいBlackBerry OS、あるいはJollaのSailfishなどと似ている側面はある。すでに最初からSongkickやThe Weather Channel、TimeOutなどがコンテンツを提供してはいるが、マイナーなOSが独自のUIを採用した場合、デベロッパにとっては手が出しにくくなる。それは、消費者にとっても同じだろう。この製品の販売はオンラインのみなので、どこかの店頭で触ってみることもできない。

Canonicalによると、Aquaris E4.5 Ubuntu Editionはまず、向こう数週間、BQ.comが複数のフラッシュセールスサイト(GROUPONなど)で売り出す。売り出しの案内はUbuntuとBQのソーシャルメディアチャネルに出る。それは、Xiaomiの‘新製品発売案内ふうの在庫一掃セール’に倣ったやり方だろう。ヨーロッパのような成熟市場でそのやり方はしんどいと思うが、Canonicalは長期戦を覚悟しているらしい。

同社のモバイル担当VP Cristian Parrinoは曰く、“対象はマスマーケットなので、一気呵成には行かない。むしろ、徐々に、慎重に、市場への浸透を図っていきたい。力よりも知恵の勝負だが、勝算はある”、と。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Ubuntuスマートフォンがbq(スペイン)とMeizu(中国)から年内発売へ

UbuntuのCanonical社が、Ubuntu Linuxを載せたスマートフォンをついに発売する。昨年、Ubuntu Edgeと名づけた派手なクラウドファンディングキャンペーンに失敗したにもかかわらず。そのスマートフォンを今年おそくに発売する計画の詳細がTheNextWebに載っているが、それによると発売元は同社のハードウェアパートナー、スペインのbqと中国のMeizuになるようだ。

まだ詳しい仕様は発表されていないが、同社の声明によると最初の製品は“ハイエンド寄りのミッドレンジ”となるらしい。つまり今後の過密なスマートフォン市場で競争力が期待される低価格機ではない。最初に発表されたEdgeが、出資者割引価格でも600ドルという超高級機だったから、今さら初心者向けの安価なスマートフォンを出したって、意味がないだろう。

Canonicalがモバイル市場で自己の一角を築く気なら、それは苦戦という生易しい言葉では表現できない歩みになる。たとえばFirefox OSは低価格入門機で市場に参入しながら、今だに足取りはふらついている。Canonicalが低価格機を指向しなかったのも、そのせいだろうが。

Canonicalの差別化戦略は、従来のスマートフォンのようにいろんなコンテンツやサービスを個々のアプリの中へばらばらに閉じ込めずに、それらをUIそのものにしてしまうことだ。Canonicalは、発売時にはEvernote、Grooveshark、Weather Channelなどおよそ50のアプリがUIから直接使える状態にしたい、と言っている(個々にアプリをインストールしたり立ち上げたりしない)。またEdgeのキャンペーンのときに同社が組織化したCarrier Advisory Group(Vodafone、EE、T-Mobile、Verizon、Deutsche Telecomなどなど)の協力も、求めていくつもりだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


‘収束コンピューティングデバイス’を目指すUbuntuスマートフォンが$32Mの資金を一般募集

Canonicalは前から、モバイルOS Ubuntu Mobileでもって、全世界的に急伸するモバイル~スマートフォン市場の分け前をねらっていた。そのCanonicalが今度は、クラウドファンディングサイトIndiegogoで、初の自社ブランドモバイルハードウェアUbuntu Edgeのために資金を募集している。Edgeはスマートフォンを超えるスマートフォンを自称し、デスクトップコンピューティングの領域もカバーしてしまおう、というコンセプトの製品だ。

Edgeの目標額は3200万ドルで、固定額方式なので31日以内にこの額に達しなければ一銭も得られない。初日(イギリス標準時7月23日16時まで)なら600ドルの出資約束で完成品が一台得られる。その後は830ドルだ。いずれにしても一日平均100万ドル以上を集めなければならないわけだから、相当厳しい。

しかしCanonicalは、単純にUbuntuで動くスマートフォンを作りたいわけではない。むしろ今回の開発コンセプトは、“高度な技術を盛り込んだ非大衆的なプラットホーム”で、“高度なマニアやモバイルコンピューティングのプロ”たちが資金的に支えるもの。目的は、“新しいテクノロジの採用を加速し、それらの先端技術の普及の下地を作ること”、とプロジェクトのページは説明している。つまり、一般向けの製品を考えたり作ったりする立場の人たちに、いろいろいじくったもらうための、ガジェットだ。高価格と意欲的なデザインが、そのねらいを反映している。

Edgeは、収束コンピューティング(converged computing, 一点集中型コンピューティング)を実現するための実験だ。スマートフォンが完全なデスクトップPCの中枢システムになり、いわゆる“スーパーフォン”になる。外殻は金属ケースで、4.5インチ1280×720の画面により最大限の画素密度を与える。ダイナミックレンジや色の精度は重視しない。画面をサファイアガラスがおおい、“現時点で最速の”マルチコアプロセッサ、4GBのRAM、128GBのストレージ、そして長寿命の電池を搭載する。内部には、ワイヤレスの広到達圈域を実現するためのデュアルLTEチップがある。

Edgeのソフトウェアは、Ubuntu Mobile OS + Ubuntuデスクトップの全内容だ。ワンストップコンピューティングが目的だから、Androidでもブートする。“モバイルおたく”の人たちが、今頃はよだれをたらしているのではないだろうか。実売されれば、飛びつく人も多いと思われる。

ただし、3200万ドルは相当高いハードルだ。でもCanonical自身は技術には定評のある企業だし、この製品はいかにもアーリーアドプター(early adopter, 新し物好き, 初物食い)たちの血を騒がせそうだ。これがCanonicalのモバイル進出を本格的に助けるかは未知数だが、初日(日本時間7/23 am11:00)…掲出から13時間あまり経過…ですでに270万ドル近く集まっているから、関心が相当高いことは事実だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))