新型コロナ治療に道を開くワシントン大ベイカー教授の研究に3.2億円のブレークスルー賞

ブレークスルー賞財団(Breakthrough Prize Foundation)は画期的科学研究に対する総額23億8000万円に上る賞金の授与を発表した。ライフサイエンス部門の受賞者、ワシントン大学のDavid Baker(デヴィッド・ベイカー)教授には3億円が贈られた。

ベイカー教授の研究はクノロジーとサイエンスの統合により分子生物学の進歩を図るもので、過去20年にわたってコンピューターを利用して複雑なタンパク質の構造を解明、合成する試みを続けてきた。最新の成果は新型ウイルスに対する治療法の発見に道をひらくものと期待されている。

ベイカー教授はワシントン大学のタンパク質デザイン研究所の責任者を務めており、過去20年にわたってコンピューター支援分子生物学分野におけるリーダーだった。ベイカー教授のラボが開発してきたタンパク質モデリングソフトウェア、Rosettaは極めて複雑なタンパク質の構造を立体的に可視化できる。世界中のボランティアが所有するコンピュータの空き時間を活用し、ここで開発されたソフトウェア、FoldITをインストールして並列分散ネットワークを作り、タンパク質がどのように折り畳まれているかの解明に貢献している。

ベイカー教授は「進化によって新しいタンパク質が現れるのには数百万年かかるかもしれない。しかしデザインして合成すれば今すぐ手に入れることができる」という。

財団は「自然界には存在しない全く新しいタンパク質をデザインするテクノロジーを開発した。これには人間の疾病の治療に役立つ可能性のある新しいタンパク質も含まれる」ことをブレークスルー賞受賞の理由として挙げている。ベイカー教授のチームは分子生物学全般における進歩に貢献してきたが、財団は最新の研究が病気の治療に役立つ可能性がある点を特に重視したようだ。具体的には新型コロナウイルスのスパイク状の突起に付着するようデザインされた新しいタンパク質はウイルスが正常細胞に侵入することを妨げる効果があると期待されている。

刀に鞘をかぶせるようにウイルスにたタンパク質の覆いをかけてしまう仕組みだ。もちろん自然界にはウイルスの鞘など存在しないため、人間がそれをデザインしなければならない。言うは易く行うは難いという典型で、アミノ酸分子がどのように折れ曲がりどのように相互作用するかについては無限に近い可能性が存在する。ベイカー教授のチームが取り組んできたのはまさにこの点を解明するためのプラットフォームだった。

A rendering of a molecule created to bind to a coronavirus spike protein.

赤い部分がミニバインダーとしてコロナウイルスに付着する新しいタンパク質(画像:David Baker / UW)

TechCrunchの取材に対してベイカー教授は「ゼロからタンパク質をデザインする汎用的な手法を開発した。これにより特定のタンパク質と相補的な立体構造と化学的特質を持つタンパク質をデザインできる。我々はこれを新型コロナウイルスに当てはめたわけだ」と述べた。

自然界には存在しないタンパク質を作り出すことはde novo合成と呼ばれる。ベイカー教授のチームが作り出したde novoタンパク質は新型コロナウイルスのスパイク状突起に強固に付着し、分離しないという。そのため「超安定性ミイバインダー」と名づけられた。

「もちろん奇跡的な効果を期待してはならないが、ウイルスが正常な細胞に侵入することを防止する治療法の第一歩になる可能性がある。そのためにはまず効果と安全性を完全にテストする必要がある。今日Scienceに発表した論文でこのタンパク質について詳細に説明しているが、新しい治療法として非常に有望だと思う。我々は臨床前実験を行い、このままで治療薬として使えるか、さらに改良が必要かどうか確かめているところだ」とベイカー教授は述べた。

ベイカー教授によれば、FoldITやRosetta@homeをインストールしている世界のボランティアのネットワークは膨大なコンピューティングパワーを提供することによって新型コロナウイルス対策においても非常に重要な役割を果たしているという。

数学や基礎物理学の分野でも今年多数のグループが受賞している。詳細はこちらのページに

ブレークスルー賞財団(The Breakthrough Prize Foundation)の創立者はYuri and Julia Milner(ユリ・ミルナー)、ジュリア・ミルナー夫妻だ。ライフサイエンス賞の共同スポンサーはSergey Brin(セルゲイ・ブリン)、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)とPriscilla Chan(プリシラ・チャン)夫妻、 Tencentの創業者、馬化騰(ポニー・マ)、23&MeのAnne Wojcicki(アン・ウォジスキー)の各氏だ。

画像:TEK IMAGE/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルが新型コロナ接触追跡の新ツールをiOS 13.7でリリース

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は新型コロナウイルスの接触追跡の取り組みを支援するため、計画していた接触通知技術の普及に引き続き力を入れている。両社は、公衆衛生当局が独自のアプリを開発・維持しなくても、デジタルの接触通知をより容易に導入できる新しいツールを発表した。アップルは9月1日のiOS 13.7システムアップデートから利用できるようにするが、グーグルはAndroid 6.0で自動生成されるアプリケーションから今月後半に導入する予定だ。グーグルのほうはシステムサービスとOSのアップデートを管理する方法が非常に異なるため、対応策が必要となっている。

テクノロジーの仕組みの変更により、ユーザーは管轄の公衆衛生当局(Public Health Authority、PHA)が作成した専用アプリを実際にダウンロード、インストールする必要がなくなる。代わりに地域の公衆衛生当局から、接触通知システムとその機能に関する通知が届く。ユーザーはそこでオプトインを選択できる。iOSではプロビジョニングプロファイル(App Store以外からiOS端末にアプリを配信するためのバイナリファイル)をインストールすることになるが、Androidでは地域のPHA用に自動生成されたアプリが作成され、Google Playストアからインストールされる。アップルとグーグルは、Exposure Notification Express(接触通知エクスプレス)が既存の専用PHAアプリを置き換えるものではなく、共存するものであることを明確にした。

Exposure Notifications Expressを利用するPHAはアップルとグーグルに対し、連絡先情報、ケアに関するガイダンス、注意事項、次のステップに関する推奨事項を伝える。PHAは、その名前、ロゴ、接触通知が発信される基準のほか、テクノロジーに詳しくない人でも簡単にシステムが利用できるよう接触が起きた場合の通知内容を提示する。

地域の保健当局は、ユーザーが受け取るテキストメッセージを自らカスタマイズする必要があるが、アップルとグーグル双方の技術に基づくデジタル接触通知システムを使って接触追跡のために独自のアプリケーションを開発・配布する必要はない。保健当局は接触リスクの計算方法決定にも責任も持つ。専用アプリなら備えていた機能だ。これは大きい。なぜなら、アップルとグーグルによると、世界で20カ国がすでにAPIに基づくアプリを導入し、そして米国の25の州がシステムの利用を「検討」しており、これまでに6つの州がアプリをリリースしたからだ。こうした現状から、今回のシステムは開発者や医療当局が採用する際の技術的参入障壁は低くなっており、普及を早めるのに役立つはずだ。

アップルとグーグルは、まずワシントンDC、メリーランド州、ネバダ州、バージニア州がExposure Notification Expressを導入し、他の州もそれに続くと予想していると述べた。両社はまた、U.S. Association of Public Health Laboratories(米国公衆衛生試験所協会)と全米の主要サーバーに関して協業しており、ユーザーが地元の医療当局の管轄外に移動する場合であっても州境を越えて効果的に接触追跡ができるよう取り組んでいると述べた。

接触追跡が有効に機能するためには60%以上の採用が必要だという誤った情報が広まっている。これは、今年初めに発表されたオックスフォードの研究が誤解されたことによる。研究に携わった研究者たちはその後、実際にはデジタル接触追跡をサポートするアプリによるあらゆるレベルの接触追跡が、新型コロナ拡散軽減とそれがもたらす死亡数の減少にプラスの効果がある(MIT Technotogy Preview記事)と明らかにした。

このシステムには、アップルとグーグルがこれまで提供してきたものと同じようにプライバシー保護が含まれている。つまり、個人の位置情報が収集されたり、接触通知と紐付けられることはない。代わりに、技術者はランダムに生成されたキーを使用して、あるデバイスがソフトウェアを利用する他のデバイスのBluetoothの検出範囲に入った時間と場所を追跡する。システムはランダムな識別子のログを保持し、確認・報告された診断結果(完全に匿名化されている)と照合して接触リスクの有無を判断する。その判断は、各地域を管轄する公衆衛生当局時間と距離に関してが定める接触の定義に基づき行われる。

【Japan編集部追記】iOS 13.7であっても日本で新型コロナウイルス感染者と濃厚したかどうかを確認するには「新型コロナウイルス接触確認アプリ」のインストールが必要だ。

画像クレジット:Apple / Google

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(翻訳:Mizoguchi

GMとフォードが新型コロナで米政府と契約していた人工呼吸器生産を完了

米国内での新型コロナウイルスの広がりを受け、数多くの自動車会社やメーカーが個人防護具や人工呼吸器の不足を補おうと工場を改造する計画を発表した。

そしていま、米自動車メーカー2社がそれぞれ結んでいた数百万ドル規模の人工呼吸器製造の契約を完了した。2社合わせて8万台を米政府に納入した。

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)は9月1日、3万台の救命救急人工呼吸器を国家戦略備蓄向けに製造するという米保健福祉省(HHS)との契約を完了させたと発表した。GMは人工呼吸器の多くは病院に配備されたと述べた。Ford(フォード)でも契約の人工呼吸器5万台の製造が完了したBloomberg記事)

GMとフォードは単独で取り組んだわけではなかった。両社ともまったくゼロの状態から5カ月以内に数千台の製造体制に加速させるのにパートナー企業と力を合わせた。GMはインディアナ州ココモのエンジンプラントで従業員1000人体制で人工呼吸器を製造するのにVentec Life Systems(ベンテック・ライフ・システムズ)と提携した。GMとVentecの提携は、新型コロナ問題への対応としてし企業のマッチングをコーディネートするStopTheSpread.orgの取り組みから生まれたものだ。

一方、フォードはGE Healthcare(GEヘルスケア)と提携して、ミシガン州ローソンビルロードにあるプラントで人工呼吸器を製造した。フォードの3億3600万ドル(約357億円)の契約は、8月28日にモデルA-E人工呼吸器の最終ユニットを出荷して完了した。フォードの契約は当初7月中旬に完了するとされていたが、Bloombergによると、パーツ生産の新規サプライヤーの影響で遅れが生じた。契約の延長はHHSに認められた。

契約初期に両社はトランプ大統領に批判され、攻撃さらされたが、結局大統領は両社の取り組みを称賛した。

両社の生産は拡大し、車両やパーツの組み立てに使われていたかなりの工場を医療機器製造施設へと変換できることを示した。GMはVentecとの提携を発表する前に、VentecのVOCSNという救命救急人工呼吸器の製造に必要な700以上の部品を確保できるかどうか調査しさえした。VOCSNは2017年にFDA(米食品医薬品局)に承認された多機能人工呼吸器だ。

GMは当初、製造費用を7億5000万ドル(約797億円)と見積もった。ここには、エンジンプラントの改造、人工呼吸器製造のための材料購入、製造に従事する労働者1000人の賃金などが含まれる、と情報筋は話した。しかし、トランプ政権は見積もり額に尻込みし、契約を保留した。最終的にGMは8月末までに人工呼吸器3万台を製造するという4億9000万ドル(約520億円)の契約を政府と結んだ。この契約のもとで、GMは400種類パーツから構成される、VOCSNよりもシンプルなタイプのVOCSN V+Proという別の人工呼吸器を製造した。VOCSNのほうが高価で多機能性を備えた複雑な機器だ。

フォードとGMはまた他の医療用品も手掛けた。Apolloというプロジェクトを展開したフォードは3M(スリーエム)とのコラボレーションで、フェースシールド1900万個、フェースマスク4200万枚、洗濯可能な予防衣160万着、電動ファン付き呼吸用保護具3万2000点を生産した、と述べた。

GMはウォーレンにある施設にフェースマスク生産ライン2つ、N95医療用マスク生産ライン1つを稼働させていると話した。これまでにマスク1000万枚を生産し、GM施設で働く従業員向けと地域組織への寄付用のマスクの生産を続けている、と述べた。

画像クレジット: AJ Mast / GM and Ventec

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(翻訳:Mizoguchi

韓国内での新型コロナ感染再蔓延を受けサムスンがリモートワークの準備を進める

サムスンは一部の従業員を対象に、リモートワークのトライアルを始めると報じられている。これは3月以来最大の、新型コロナウィルスの感染拡大を受けてのことだ。同社の代表者の1人によると、このパイロットプログラムはサムスンの携帯電話および家電部門の一部の従業員を対象に行われる予定(ロイター記事)で、トライアルの評価後にさらに広範に実施される可能性があるとのこと。

韓国内で確認された新型コロナウィルス感染者数は、4月に一度安定した後、この数週間のうちに再び上昇を始めている。ジョンホプキンス大学のデータによれば、8月27日の時点で過去1か月で4503件の新規症例と13件の死亡が記録され、韓国内で確認された症例の総数は1万8706件、死亡は313件となった。

これまで韓国政府は、広範囲にわたる検査、接触者追跡、および移動制限命令を通じて、病気の蔓延をほぼ阻止することに成功(ウォール・ストリート・ジャーナル記事)していた。

しかし、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「新型コロナウイルスが我が国に入って以来最大の危機」と表現した最近の流行は、韓国が新型コロナウイルスに向けての緊急対応システムを再稼働させる(ウォール・ストリート・ジャーナル記事)ことを意味する。つまり、すべての集会を10人までに制限する、より厳格な物理的距離確保命令の再発令だ。

6月に、サムスンの韓国内研究センターの1つが閉鎖され、そしてある従業員の子供が新型コロナウイルスの検査で陽性となったことを受け、1200人の従業員が自宅で仕事をするように命じられた(Business Korea記事)。4月に同社は、世界中の従業員のために地域対応チームを設置したことと、「可能な限り在宅で働くよう従業員に強く助言した」ことを発表した(サムスンプレスリリース)。

TechCrunchはサムスンに対してコメントを求めている最中だ。

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(翻訳:sako)

新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界を変え、消費者は多くのものを頻繁にオンラインで買い物するようになった。IBMのU.S. Retail Index(米国小売インデックス)の新たなデータによると、パンデミックは実在店舗からデジタルショッピングへのシフトをおおよそ5年分加速させた。その結果、デパートはかなりの売上減となっている。2020年第1四半期のデパートや「必要不可欠ではない」小売の売上高は25%減った。そして第2四半期には75%減と減少幅は拡大した。

レポートは、デパートの売上高が通年で60%超減少することが見込まれる、としている。一方でeコマースは2020年に20%近く成長する見込みだ。

パンデミックではまた、どの部門の商品が必要不可欠かを消費者が選別するようにもなった。例えば多くの消費者が家から働いたり授業を受けたりし始め、また政府のロックダウン措置のもとでのソーシャルディスタンシングが導入されたのに伴い、衣類の重要度は下がった。ただ他の部門をみると、食料品が12%、アルコールが16%、日曜大工材料は14%成長した。

画像クレジット: IBM

デパートの小売業者は新たな環境で競争力を維持するために配送のオムニチャネル化に迅速に軸足を移す必要がある、とレポートは指摘している。特に、オンラインで購入して店舗でピックアップするBOPIS(Buy Online and Pickup In Store)のようなサービスを通じて店舗に集客し、また店舗からの配送を拡充して提供する必要がある。

Walmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)などの大手小売はオムニチャネルの配送を展開している。両社ともeコマースへの早期の投資が奏功し、2020年8月に発表した四半期決算では上々の売上高となった。Walmartの場合、パンデミックによって第2四半期決算のeコマース売上高は97%増加した。Targetは同四半期に同日配送サービスが273%増えて過去最多の売上高となった。また両社はオンライングローサリーにも投資し、Walmartはグローサリーピックアップと、パートナー企業を通じた配達サービスを提供している。Targetもグローサリーピックアップをちょうど開始したばかりで、Shiptを通じた配達も展開している。

当然のことながらAmazon(アマゾン)もデジタルへの移行の恩恵を受け(BUSINESS INSIDER記事)ており、直近の四半期の利益は過去最高となり、売上高は40%増だった。

パンデミックによるeコマースの成長は、ベースライン成長にとって高いハードルとなる。米国勢調査局が発表した2020年第2四半期レポートによると、米国のeコマース小売は前年同期比31.8%増の2115億ドル(約22兆3300億円)に達した。eコマースは第2四半期の全小売売上高の16.1%を占め、これは前四半期の11.8%から増えている。

IBMのレポートの目的は、パンデミックによるオンライン支出が一時的にどのくらいシフトしたのか、長期的にどの程度影響するかを調べるというものだ。少なくとも予想の範囲内での答えは、パンデミックが業界を5年ほど前に押し進めた、というものだ。実在店舗からのシフトはパンデミックの前から起こっていたが、パンデミックが起こらなければまだ到達していなかったという水準に到達している。

似たような動向が、ストリーミングコードカッティング(ケーブルテレビの契約を解約してインターネットの動画配信サービスを選ぶこと)、ゲーミング、ソーシャルビデオアプリといった分野でも見られる。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:ネットショッピング 新型コロナウイルス COVID-19 Amazon Walmart Target

画像クレジット:John Lamb / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ下でも成長を続けるDisney+が会員数6050万に到達

The Walt Disney CompanyのCEOであるBob Chapek(ボブ・チャペック)氏によると、Disney+の有料会員は8月3日現在で6050万人あまりに達した。

チャペック氏はその数字を、最新の決算報告で発表した。6月27日で終わるその四半期の報告には5750万という数字が載っているが、チャペック氏はそれをアップデートした。氏はその成長について「このサービスに関する最初の予想を大きく超えている」と語っている。

Disney+は2019年11月にローンチした(未訳記事)。そして4月の発表では、会員数が5000万を超えていた。数字にはインドのHotstarの会員や、TechCrunchの親会社であるVerizonの無料会員キャンペーンによる加入者も含まれている。

新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックが、一部のストリーミングサービスの成長を加速した。最も目立つのはNetflixの最新四半期における新会員が1000万を超えたことで、同社会員の全世界合計は1億93000人になった。ディズニーのその他のストリーミングサービスでは、ESPN+が前年比で100%以上成長し、6月26日現在で会員数850万、一方Huluは27%伸びて会員数3550万になった。このうち340万は、ビデオとライブのテレビの両方の会費を払っている。

そしてDisney+の場合は、7月4日の週末に封切られた「Hamilton(ハミルトン)」による増加も寄与している

ディズニーによると、同社のこのD2Cで国際的な事業部は四半期売上が前年同期比で2%伸びて40億ドル(約4223億円)、一方営業損失は5億6200万ドル(約593億円)増えて7億600万ドル(約745億円)になっている。

しかしディズニーのその他の事業がパンデミックで低迷ないし完全休業している中で(例えばリゾート部門であるParksは徐々に再開)、ストリーミングは比較的明るい。同社の総売上は前年同期比で42%落ち込み118億ドル(約1兆2457億円)、EPSは2ドル61セントの損失である。

アップデート:決算報告でチャペック氏は、「ムーラン」が9月4日にDisney+で封切られると発表した。29.99ドル(約3170円)の特別アクセスで観ることができる。

関連記事: Disney streaming exec Kevin Mayer becomes TikTok’s new CEO(未訳記事)

画像クレジット:Disney

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

遺伝子検査のHelixが新型コロナ検査体制拡大に向け米国立衛生研究所から約35億円獲得

米国立衛生研究所(NIH)は、Rapid Acceleration of Diagnostics(RADx、診断迅速化)プログラムの最初の受益者を発表した。サンマテオに本拠を置くHelix(へリックス)が連邦政府から3300万ドル(約35億円)を受け取ることになった。Helixは2015年創業のヘルステックスタートアップで個人の遺伝情報から得られる洞察に注目している。同社はRT-PCR法を用いてSARS-CoV-2(新型コロナのウイルス名)の存在を検出する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査も開発した。

資金は、新型コロナ検査の規模を拡大するHelixの取り組みを支援するために使用される。同社は今秋までに、1日当たり10万回のテストを達成し、その後スループットキャパシティ(単位時間当たりの処理量)をさらに拡大することを狙う。Helixの検査は2020年7月初めにFDAのEmergency Use Approval(EUA、緊急使用承認)を取得して以来、米国全体で利用可能になった。同社の検査は翌日に結果が出る。

Helixは第2のタイプの検査もEUAに申請した。これはNGS(DNAまたはRNA配列解析技術の1つ)検査で、より多くの検査量に対してより高いスループットを提供するとともに、偽陰性をなくしウイルスの存在を正確に検出する感度の良さを持ち合わせる。この検査は、承認されればということだが、RADxプログラムが最終的な目的とする今よりはるかに大規模な検査体制をHelixが実現するための鍵となる。

現在承認申請中の2つ目の検査システムは、1日当たり最大2万5000件を処理できる。この検査システムはサプライチェーンの負担を軽減する方法を使用している。

画像クレジット:Helix

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(翻訳:Mizoguchi

キャンピングカーと車中泊スペースシェアなど「バンライフ」のCarstayが約5000万円を調達

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キャンピングカーと車中泊スペースのシェアサービスなど「バンライフ」プラットフォーム事業を展開するCarstay(カーステイ)は8月3日、初の第三者割当増資として約5000万円の資金調達を発表した。引受人はサイバーエージェント・キャピタル、ライフタイムベンチャーズ、平井誠人氏、田端信太郎氏を含む個人投資家。これにより、金融機関からの借入を含めCarstayの資金調達の総額は1.3億円となった。

今回の資金調達は、2020年6月末に正式リリースした、日本初のキャンピングカーのカーシェアサービス「バンシェア」のデザイン改善、システム追加開発、ユーザー獲得のマーケティングに投じる。

また、CarstayのCMO(Chief Marketing Officer/最高マーケティング責任者)に、ZOZO 元執行役員の田端信太郎氏が就任。同氏はマーケティング・PRのプロフェッショナルとして、経営に参画、事業戦略の立案から遂行までを通じて、更なるバンライフの普及拡大、事業の成長を図るという。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止のため、3密(密閉・密集・密接)を避けられる旅行手段として車旅や車中泊、新たなライフスタイルとしても「バンライフ」が注目されており、Carstayのユーザーは急増、7月は過去最高の予約件数を記録したという。現在、「バン シェア」には50台のキャンピングカー、車中泊スポットのシェアサービス「カーステイ」には200箇所が登録されている。

2018年6月創業のCarstayは、「誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界をつくる」というミッションを掲げ、“移動”を基盤にあらゆるサービスを提供する概念「MaaS」(Mobility as a Service)領域で新しい旅と暮らしのライフスタイルVANLIFEをテーマに事業を展開するスタートアップ企業。今後、5G・自動運転社会の到来で必要となる「快適な移動」と「感動体験」を「VANLIFE」プラットフォームの提供を通じてデザインするとしている。

関連記事
「バンライフ」をスタイルではなくライフそのものにするKibboのキャンピングカーパーク改革

Impossible Foodsの植物肉がウォルマートで販売を開始、植物肉ソーセージの流通も拡大

Impossible Foodsによると、同社が開発した植物由来の人工肉製品を米国時間7月30日から米国最大のスーパーマーケットであるWalmart(ウォルマート)で買えるようになる。ウォルマートをはじめ、全米各地の小売企業との契約で同社の物理的な供給地域はこれまでの50倍になった。

今後Impossible Foodsの製品は、全米2000店あまりのWalmart SupercentersとNeighborhood Marketsで買えるようになる。さらに、動物の筋組織から作ったFrankenmeat(フランケンミート)については同社のウェブサイトやモバイルアプリでも購入可能だ。

さらにまた同社は、ソーセージ代替品であるImpossible Sausageの流通網の拡大も発表した。ほんの数カ月前にCESで発表されたこのソーセージは、いまでは2万2000軒以上のレストランで使われ、食品流通業者経由を合わせると米国内の採用レストランの数はもっと多い。同社は店舗や商品、サービスの評価サービスであるYelpと協力して、このクラウドソーシングな格付けサービスで上位になったレストランのメニューにもソーセージを載せてもらった。

同社はまた、D2Cのeコマースサイトでインフルエンサーマーケティングを展開し、米国の大陸部分からの75ドル以上の注文は送料無料としている。

さらに、同社の最近のアップデートとウォルマート進出の機会をとらえて、これまでの食肉業界に差をつけようとしている。同社の主張によると、その製造施設は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けておらず、食肉処理場がウイルスの深刻な被害地になったこと(The Guardian記事)と対照的である。

画像クレジット:Impossible Foods

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

XPRIZEが新型コロナの高速テストのコンテストを賞金約5.3億円で実施

XPRIZEは重要な分野における技術革新を促進するために賞金を提供するという実証済みのモデルを、新型コロナウイルス(COVID-19)テストの課題に転換しようとしている。この非営利団体は、Rapid COVID Testingとして賞金500万ドル(約5億3000万円)のコンテストを創設した。これは科学者、研究者、業界のリーダーによって結成されたOpenCovidScreenと呼ばれる組織と提携し、この課題に関するオープンな科学的コラボレーションを推進する。

このコンペティションでは、テスト能力を大規模に拡張し、安全な再開戦略への道を開くために、既存のものを補完できる低コストで高速な結果試験ソリューションの開発が参加者に求められる。自宅でのテスト、ポイントオブケアで実施されるテスト、分散型ラボテスト、そして最終的には高スループットなラボ・ソリューションなど、多くのカテゴリーの潜在的なソリューションを募集する。

最終的な賞金の審査では革新性、パフォーマンス、検索結果の高速な提供(最大許容ターンアラウンドタイムは12時間))、拡張性、使いやすさ、費用対効果(1回のテストあたり15ドルが上限)に重点が置かれている。XPRIZE団体はまた、サプライチェーンの多様化と持続可能性の確保のために、提案するソリューションでさまざまな技術を試すことを奨励している。

コンペティションに参加するためには、2020年8月31日までにチームが参加する必要がある。コンペは2021年1月末までに大賞受賞者を発表する予定で、5チームにそれぞれ100万ドル(約1億1000万円)を授与する計画だ。

コンペ終了後、参加者は「COVID Apollo Project」が設立した5000万ドル(約53億円)の基金を利用して、実際の生産・流通に向けたソリューションの開発、展開、スケールアップを図ることができる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

グーグルは新型コロナによる在宅勤務を2021年6月末まで認める方針

CNNによる報道を受けて、Google(グーグル)は来年、2021年6月末まで社員の在宅勤務を続けることを認めた。同社がTechCrunchに伝えたところによると、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はこの計画を米国時間7月27日に、従業員にメールで発表したという。

「従業員に先を見越した計画を立てられるように、オフィスにいる必要のない立場のための在宅勤務を、グローバルに2021年6月30日まで延長する」とCEOはメールに記載している。

この動きはグーグルにとって、これまでで最も積極的なリモートワークポリシーの延長となる。他の多くのテック企業と同様に、同社は数カ月後に事態が通常の状態に戻るかもしれないと、慎重ながらも楽観視していた。しかし最近では、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの脅威はすぐになくなるわけではないことが、明らかになっている。

ピチャイ氏は2020年5月に、社会的な距離感を維持し建物の稼働率を約10%に維持しながら、7月には少数の従業員がさまざまなオフィスに戻ることができるようにする計画を声明していた。同月、Twitter(ツイッター)は従業員が在宅勤務を継続できるようにするというメモを送っている

パンデミックがいつまで続くかにもよるが、最大級のテクノロジー企業でさえ、リモートワークへのアプローチを考え直しているようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

3万人が参加する最大規模の新型コロナワクチン治験をモデルナが米国で開始

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン候補の最大規模の治験が米国7月27日に始まった。製薬会社Moderna(モデルナ)が3万人の参加が想定されているボランティアの一部にワクチンの接種を開始している。治験は盲検テストで、参加者にはワクチンかプラセボ(偽薬)が接種される。各参加者への接種は2回行い、通常の生活の中でどちらのグループが新型コロナ感染の影響をより受けるか研究する。

治験は全米70カ所以上で行う。最初の治験場所はジョージア州サバンナだ。参加者の構成は、新型コロナの影響が深刻な地域やさほど影響が深刻ではないエリアを含めたさまざまな地域の在住者であるばかりでなく、人口統計的にも幅広いサンプルになるようになっている。

Modernaの治験は米国立衛生研究所(NIH)との提携のもとに行われ、これまでで最も早く進められているワクチン開発となる。同社のワクチン開発が始まってからまだ2カ月しか経っておらず、初の治験は実施済みだ。第1段階のテスト(小規模での治験)の初期データでは、実際に感染からの保護を示す有望な結果が示された。ただ、効果について最終的な結論を下す前に今回のような大規模治験は必須だ。

ワクチンが本当に効果があることを確認するのに加え、大規模治験では接種が安全であることを証明する意図もある。初期の治験結果では一部で副作用がみられた。しかし繰り返しになるが、それなりの規模で試すまでは副作用について最終結論を出すことはできない。

他のワクチン候補の治験も迅速に進んでいる。ここには、オクスフォード大学が開発したものも含まれる。Modernaは以前、すべてが順調に進んだ場合、2020年秋にも医療従事者向けに実験バージョンのワクチンを提供できるかもしれない、と話していた。

画像クレジット:David L. Ryan/The Boston Globe / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

家族経営の小規模配車事業者のデジタル化を助けるSwoopにとって新型コロナ流行はチャンスにもなる

運転手付きの集団輸送という業態は主に企業の外出や特別のイベント、結婚式などでも利用されるが、とても断片化された業界で、何百もの小さな事業者がアナログなシステムで顧客の予約を受けている。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)が流行する現在では旅行や観光が減り、企業は社員に在宅勤務を求めているため、これらの事業者は困窮している。

ロサンゼルスの運送業予約サービスであるSwoopは、新しいSaaSプラットホームにより、小規模でローカルな事業者を新型コロナの時代に適応させようとしている。最近資金を調達した同社は、総年商400億ドル(約4兆2450億円)というこの業界を狙い、SaaSプロダクトに磨きをかけようとしている。

このたびSwoopが調達したのは320万ドル(約3億4000万円)のシード資金で、ラウンドはSignia Venture PartnersとSouth Park Commonsがリードし、それは、元UberのCPOであるManik Gupta(マニック・グプタ)氏、Facebook(フェイスブック)でLibraを作ったチームのKevin Weil(
ケビン・ウェイル)氏、元Uberの役員であるKim Fennel(キム・フェンネル)氏、元Andreessen Horowitzと137 VenturesのパートナーであるElizabeth Weil(エリザベス・ウェイル)氏といった面々が参加した。

SwoopのCEOで共同創業者のAmir Ghorbani(アミール・ゴルバニ)氏は、声明で「事業者たちが、ビジネスの多くの部分を紙とペンで行なっていることに心を惹かれた」と述べた。ゴルバニ氏は、小規模事業者たちの制約を身近で目撃している。というのも高校生と大学生のときに彼は、親のリムジン事業を手伝ったからだ。その体験により彼は、解決策を模索するようになった。

「これらの小規模な家族経営を助けることが、大きな商機であることに気づいた。そこはまだデジタル化されていない業界であり、マーケットシェアが1%以上の事業者はどこにもいない」とゴルバニ氏はいう。

ゴルバニ氏は最初に、AirbnbやGoogle(グーグル)、Nikeのような企業が利用する集団輸送の予約プラットフォームを構築することから始めた。この予約システムを通して、自動車を運用する事業者のためのビジネス管理ソフトウェアを構築する機会を得た。

SwoopのSaaSプラットフォームを利用すると事業者は乗車の予約と配車、車両の追跡、顧客とのコミュニケーションなどができる。また、決済やその他の帳簿仕事を集中管理もできる。このツールの利用で帳簿仕事も楽にスムーズに行うことが可能になり、車両の利用率を上げられる。それは現状4.9%だ。また、企業などから予約が入ると、それを見込み客として事業者に渡すこともできる。当面は地元の輸送企業が対象で、Uberが追っている公共交通は狙わない。

新型コロナウイルスで人びとが集団で遠出をしなくなったため、ローカルな交通事業者も困っている。Swoopは、同社プラットフォームの機能多様化でそんな事業者の生き残りを助けたい、という。例えば、ただ家にあるの車両を、人間だけでなく貨物輸送にも利用するのだ。また、企業の集団遠出に使われていた大型バンなら、食品の卸しやパッケージ配送企業が使えるだろう。あるいは、在宅で仕事を行えない工場労働者のためのシャトルサービスをAmazonなどを窓口として運用することもできる。

Swoopによると、新型コロナウイルスは一種のアクセラレーターのように機能して、事業者たちが自分のビジネスを再評価し、新しい売上源の生成とコストの削減に向かわざるをえないようにするという。

画像クレジット:Swoop

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

コード・フォー・ジャパンが飲食店情報をオープン化する「OPEN EATS JAPAN」プロジェクトを開始

コード・フォー・ジャパン シビックテック OPEN EATS JAPAN

一般社団法人「コード・フォー・ジャパン」(Code for Japan)は7月20日、各地のシビックテック団体や民間サービスと連携し、飲食店情報をオープン化し社会で共有するためのプロジェクト「OPEN EATS JAPAN」を開始した。コード・フォー・ジャパンは、情報技術を活用し、全国の自治体・コミュニティと地域課題の解決に取り組んでいる。

新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために多くの飲食店が休業を余儀なくされた状況を受け、各地では飲食店を支援するためにテイクアウトやデリバリーが可能な飲食店情報を収集して公開する多くのプロジェクトが立ち上がったという。

これら取り組みを一過性のものに終わらせず、今後も地域で協力し飲食店情報の発信を進めるため、コード・フォー・ジャパンは、各地で収集された飲食店データを広く様々なアプリやサービスで利用可能にするための標準フォーマット「飲食店情報オープンデータ項目定義書」を作成し公開。詳細はOPEN EATS JAPANプロジェクトページから参照できる。

飲食店データの標準フォーマットの検討においては、すでに飲食店情報やテイクアウト・デリバリー情報の検索サービスを運営している民間企業、各地のシビックテック団体と協力し、互いの所有するデータやサービスデザインを共有しながら進めたという。

協力団体(五十音順)は、うちたべ、オープン川崎/Code for Kawasaki、KATTE、Code for YOKOHAMA、Save the tables、トレタ。

今後各協力団体において、今回作成した標準フォーマットに準拠した形での飲食店オープンデータの公開を進める予定。さらに、飲食店情報をより検索しやすくするため、飲食店の分類のための標準タグ(キーワード)の整備を進める予定としている。

また、同プロジェクトはオープンに議論を進めており、誰でも参加可能。コード・フォー・ジャパンは、すでに飲食店の検索サービスを運用している方や、飲食店情報の収集や公開を計画している方からの参加を呼びかけている。

オープンデータを進めるにあたり支援の必要な自治体担当者向けの問い合わせ先、シビックテックに興味があるエンジニア・デザイナーの方や、飲食店情報の標準化に興味がある方向けの参加方法に関する情報もプロジェクトページに掲載されている。

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オクスフォードと武漢の新型コロナワクチン候補の試験結果は良好、人体にも安全

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行拡大を防ぐために世界各国で努力が続けられているが、有望な結果が2つ現れている。1つはオクスフォード大学、他は国家重点研究開発計画の資金援助による武漢における研究だ。公表された情報によれば、初期段階の結果ではあるが双方のワクチン候補ともに新型コロナウイルス感染症を引き起こす原因となるウイルスに対する抗体値を高める結果を示している。これらのワクチン候補は人体に投与しても安全だったという。

オクスフォード大学の研究(The Lancet記事)は世界のワクチン開発の中でも最も重要であり、開発が進んでいるものの1つだ。研究対象の1077人は全員が過去にSARS-CoV-2との感染が確認されていない18歳から55歳までの健康な成人だった。この点は非常に重要だ。被験者は実験者側もどの薬剤が投与されているか知ることができないようにランダム化された二重盲検法とよばれる方法で試験を受けているためだ。プラセボ(偽薬)としては既存の髄膜炎ワクチンが用いられた。その結果、ワクチンの追加接種を受けたグループを含めて参加者の100%がウィルスを抑制する中和抗体反応を示した。

参加者の一部は「痛み、発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、倦怠感などの軽い副作用」を示した。いずれも深刻なものではなく、処方箋なしに薬局で購入できるアセトアミノフェンのような鎮痛剤によって緩和される程度のものだった。参加者の状態ははワクチン投与後28日間モニターされた。

この結果により、オックスフォードの研究者は参加者を拡大したフェーズ3の治験に進む 。これはワクチンの認可とこれにともなう大量生産、医療現場へ流通に進む前の重要なステップだ。従来のワクチン実用化は極めて時間のかかるプロセスだったが、今回のオクスフォード大学の開発は驚くほど迅速だった。

一方、中国における研究(The Lancet記事)では18歳以上の603名を対象とし、508名に絞り込んでワクチンないしプラセボを接種した 。報告によれば参加者は副作用を示さなかった。こちらのプログラムもフェーズ3の治験に進む可能性が高い。

2020年7月初め、米国の製薬企業であるModerna(モデルナ)はフェーズ1治験の結果を発表し、実用化を目指して進むと発表している。しかしこのテストは参加者が18歳から55歳までの45人と小規模であり、また今後の大規模な治験でモニターする必要がある重大な副作用の可能性も示されていた。規模が大きく深刻な副作用が報告されていない点でオックスフォードと中国のワクチン研究は非常に有望なようだ。

もちろんこれらは初期段階の治験であり、多くの推測をするには早すぎる。例えば、新型コロナに感染して回復した患者から採取した血清が抗体値のアップにどれほど役立つのかなどまだ研究は充分に進んでいない(NPR記事)。新型コロナウイルスに対する有効なワクチンの実用化まで、関連する人間の免疫システムの研究が今後も続けられる必要があるだろう。

画像クレジット:Pedro Vilela / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

FedExはロボットアームを使ってメンフィスの施設で荷物の仕分けを行う

宅配大手のFedEx(フェデックス)は、これまでもロボット技術にトライしたことがある。よく知られているのは自律配送ロボットのRoxoだが、2019年にニューヨークでデビューしたときは市長のBill de Blasio(ビル・デブラシオ)氏に冷たくあしらわれた(未訳記事)。しかし最近では、新型コロナウイルス(COVID-19)のために多くの企業がサプライチェーンから人を減らすことを考えるようになり、ますます自動化が急務になっている。

このロジスティクスの大手から今週、TechCrunchにここ数カ月、以前とは違う方法でロボットを使っていると連絡があった。FedExは同社のメンフィスの施設における大量の荷物の仕分けを支援するためにYaskawa AmericaとPlus Oneから4台のロボットアームを導入した。

しかしこの分野に詳しい人はよくご存知と思うが、様々な理由で、その工程において人間の役割は依然として大きい。同社ではこれまで仕分けを担当していたSmall Package Sort Systemチームの数名が、ロボット従業員の働きを監督している。

FedExによると、この技術には新型コロナウイルスの流行前から積極的に取り組んでいたという。「新型コロナがこの技術の採用を加速したわけではないが、ウイルスのためにメンフィスのハブを通過するeコマースのパッケージの量が急激に増加し、そのため新型コロナがこの技術の必要性と、メンフィスで働くチームへの支援の必要性を確認した」という。

そもそもこの業界はしばらくの間、この方向を目指してきた。ロボティクス企業への投資や買収に大金をつぎ込んできたAmazon(アマゾン)は、人間とロボットが一緒になって大量の荷物をさばいていく工程の、ベストモデルといえるだろう。UPSもやはり、さらなる自動化を目指している。2019年に同社は、パッケージの80%を自動化施設で処理するという目標を掲げた(BUSINESS INSIDER記事)。新型コロナウイルスのような現在進行中の大規模な健康危機は、労働者と顧客の両方にリスクをもたらしており、自動化の拡大は多くのこの種の企業にとって、当然やるべきことになっている。

FedExによると、同社はこれまでのところロボティクス企業への投資は行なっていない。

画像クレジット:FedEx

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロシアのハッカー集団が新型コロナワクチン開発を攻撃、と英米カナダが警告

西側の情報機関は、ロシアのサイバースパイ活動が、多くの国で展開されている新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン開発を攻撃している証拠を確認した、と明らかにした。

報告の中で、英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、ロシアとつながっているハッカー集団が2020年、医学的な研究開発や新型コロナウイルスワクチン開発を行っているカナダ、米国、英国のさまざまな組織を攻撃している(NCSCレポート)と指摘している。このハッカー集団は「APT29」として知られ、時に「the Dukes」「Cozy Bear」とも呼ばれている。

報告書によると、APT29は新型コロナワクチン開発を行っている世界の多くの組織を攻撃するために「WellMess」「WellMail」というカスタムマルウェアを使っている。

WellMessとWellMailはこれまで公にはAPT29と関連づけられていなかった、と書かれている。

英情報機関であるGCHQの一部門であるNCSCは、マルウェア攻撃の意図は新型コロナワクチン開発とテストに関連する情報とIPを盗むことである可能性が「極めて高い」としている。

レポートは、カナダの通信保安局と(CSE)と米国の国家安全保障局(NSA)との連名だ。

「新型コロナワクチンの研究・開発を標的としたこのところの攻撃では、ハッカーグループは研究機関が所有する特定の外部IPアドレスに対して脆弱さを見つけ出そうとスキャニングを行った。その後、特定した脆弱なサービスから情報を盗み出そうと試みた」と報告書にはある。

そして「APT29はパンデミックに関連する重要な疑問の答えを模索している」ため、新型コロナワクチンR&Dを行っている組織織への攻撃を続けるだろう、と結論づけている。

NCSCは「この報告書で詳細に書かれている動きを感知するために、ルールやIOC(セキュリティ侵害インジケーター)を活用することを研究機関に強く勧める」と注意を喚起した。

この勧告について、英国政府は新型コロナワクチン開発に対するロシアの「無責任な」サイバー攻撃だ、と非難した。

「ロシアの情報機関が新型コロナパンデミックとの戦いに従事している機関を攻撃していることはまったく容認できない」と英外相のDominic Raab(ドミニク・ラーブ)氏は声明で述べた。「彼らが無謀な行為で利己心を追求している一方で、英国と同盟国はワクチンを開発し、世界中の人の健康を守るために取り組みを一層強化する」。

「英国はそうしたサイバー攻撃を行うハッカーたちにこれまで同様立ち向かい、同盟国とともに犯人たちの責任を問う」と付け加えた。

先月EUの議員たちは、新型コロナに関する主な誤情報運動の裏にロシアと中国の存在を挙げた。そうした運動では地域のインターネットユーザーを標的にしていた。

欧州委員会は、オンラインでの有害な偽情報の拡大に対応するためにEU全体でのアプローチに取り組んでいる。

ロシアの選挙干渉

ラーブ氏の主張(The Guardian記事)に続き、NCSCの勧告はロシアが漏洩文書をオンラインで拡散することで2019年の英国総選挙に影響を及ぼそうと試みたことも指摘した。

ラーブ氏は7月16日の声明で「広範な分析に基づき、ロシアが不正に入手して漏洩した政府文書をオンラインで拡散することで2019年の総選挙に干渉しようとしたことはほぼ確実だと政府は結論づけた」と述べた。

ガーディアン紙は、451ページにわたる公的電子メールがいかに選挙運動中に野党の労働党にわたったのかを調べるのに英国の情報機関は数カ月を費やしたと報道した。この電子メールの書類により、労働党党首のJeremy Corbyn(ジェレミー・コービン)氏は英米貿易交渉の詳細を政争の具にした。

2017年に保守党の首相Theresa May(テリーザ・メイ)氏もまたロシアが西洋諸国の選挙に介入しようとしていると公に警告した。しかしメイ氏はオンライン上の誤情報による民主主義への脅威を調査した議会委員会からの一連の勧告に対し行動を起こさなかった(未訳記事)。

最新のロシアによるサイバー攻撃についての英情報機関からの警告のタイミングは、ロシアの選挙介入についての英議会のインテリジェンス・安全保障委員会(ISC)の報告書がかなり遅くなったという点で殊更興味深い。

報告書の開示は2020年、Boris Johnson(ボリス・ジョンソン)首相の命により阻まれた。しかし今週、首相官邸が前運輸大臣のChris Grayling(クリス・グレイリング)氏をISCの委員長に任命しようという試みは、保守党議員のJulian Lewis(ジュリアン・ルイス)氏が、官邸提案に反対の議員の側についたことで妨害された。

かなりずれ込んでいたロシアレポートの公開は間もなくだ。議会が夏休みで休会になる前の来週に公開することを委員会が無記名投票で決めた。

2019年11月にガーディアン紙はロシアマネーが英国の政治、特に保守党に流れ込んでいたという主張、そしてロシアが2016年にブレグジット支持で大きな工作を行ったという主張を調べる書類を報道した(The Guardian記事)。

2017年にDCMS委員会からの圧力で、 Facebook(フェイスブック)はロシアのエージェントがEUに留まるかどうかについての英国の国民投票に介入しようと自社のプラットフォームを使用したことを認めた(未訳記事)。ただし同社は広告購入者、あるいはブレグジット投票をターゲットにした政治的誤情報の「明らかな関連」は見つからなかった、と主張した。

2019年に前ISC委員長のDominic Grieve(ドミニク・グリーブ)氏は、ロシアレポートには投票者に「密接な関連がある」情報が含まれている、として投票日前のレポート公開を要求した(The Guardian記事)。

その代わりにジョンソン首相は公開を阻止し、総選挙において保守党圧勝で選出されることを選んだ。

画像クレジット:THIBAULT SAVARY / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

室内を紫外線で消毒する3Dマッピング搭載の自律型ロボ「SmartGuardUV」

Fetch(未訳記事)は、Amazon(アマゾン)などと直接競合して成功を収めた倉庫作業用ロボットで確かによく知られている。しかしうまくやっている自律型ロボティクスのプラットフォームはどこもそうだが、Fetchもさまざまな懸念の解決に適応できるようモジュール式のシステムを提供している。

ここ数カ月の新型コロナウイルスのパンデミックの中で、数え切れないほどの企業が、そしてFetchも自社技術のニーズを認識した。同社は6月に消毒スプレーロボットのBreezy One(PR Newswire記事)を発表した。それから1カ月も経たないうちに、今度はSmartGuardUVを発表した。Breezy Oneと同じ考えに基づくものだが、SmartGuardUVはPURO Lightingから厚意で提供を受けたキセノンUV装置を使い、UV-C、UV-B、UV-Aのライトで消毒をする。

Fetchのほかのロボットと同じくSmartGuardUVも自律的に動作するので、病院や店舗、小売業などの広いスペースや、再開にあたって安全対策に関心を寄せているオフィスで利用できる。

FetchのCPOであるStefan Nusser(ステファン・ナッサー)氏はリリースで次のように述べている。「新型コロナウイルス(COVID-19)から従業員と顧客を守るために十分な備えをしている施設は、消毒に細心の注意を払い、いつでも配備できる自動化ソリューションに信頼をおいている。どんな規模の企業も、信頼できる消毒手順の必要性を認識している。SmartGuardUVを使えば、従業員が通常の業務から手を離すことなく、1日中いつでも確実な安全対策をすることができる」。

このシステムでは3Dマッピングに加え、Piedmontの4Siteクラウド分析プラットフォームを利用して作業の際に消毒の指標も提供する。Fetchによると、最大で99.9%のウイルスと細菌を消毒する能力があるという。

画像クレジット:Fetch Robotics

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

アマゾンが従業員向け医療施設を倉庫近くで試験的に運営

Amazon(アマゾン)は米国時間7月14日朝に、Crossover Healthと提携しアマゾンのフルフィルメントセンターの近くに従業員用の健康管理施設を建設すると発表した(Amazonリリース)。計画はまだ試験段階だが、同社は企業クライアントのためのクリニックを構築するCrossover Healthのサービスを採用する。このスタートアップはApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)向けにも同様の施設を建設しており、数年前にはアップルによる買収の潜在的なターゲットであると噂されていた(CNBC記事)。

アマゾン初となるNeighborhood Health Centerはテキサス州のダラス・フォートワースに開設され、最大2万人の従業員にサービスを提供する可能性があり、その半数はアマゾンの業務に従事している。同社によると、最初の段階では5つの都市に20カ所のNeighborhood Health Centerを開設する予定であり、これにより合計で11万5000人の従業員をカバーする計画だ。その他の都市はフェニックス、ルイビル、デトロイト、カリフォルニア州のサンバーナーディーノ・モレノバレーとなる。順調にいけば、さらに多くの都市が追加される予定だ。

「米国では、プライマリケアの医師に容易にアクセスできない患者の数が増加しており、代わりとなる緊急または緊急ケアのオプションの利用は患者にとって高価なだけでなく、重要な予防ケアの機会を失うことになる」と、同社の人事担当VPのDarcie Henry(ダーシー・ヘンリー)氏はリリースで述べており、米国におけるヘルスケアの大きな体系的問題に対処する。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが4カ月以上止まる兆候が見られないため、米国内のリソースはさらに逼迫している。そんな中、必要不可欠な労働者に指定されているアマゾンの倉庫従業員は特に危険にさらされている。同社は新型コロナウイルスへの対応の議論のために非常に苦労しており、またその対応について労働者や政治家、メディアから非難を浴びている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

3MとMITが新型コロナを数分で診断できる安価な検査を共同開発

産業界とアカデミズム科学の強力な提携が重要なタスクに注力している。そのタスクとは、低コストでその場で結果がわかる新型コロナウイルス(COVID-19)検査の開発だ。化学産業のリーダーである3M(スリーエム)は、扱いが簡単で、大量販売・使用向けに安くで大量生産できる新型コロナの診断ツールを開発するためにマサチューセッツ工科大学(MIT)と提携した。

検査は研究段階にあり、化学エンジニアリングを専門とするMITのHadley Sikes(ハドリー・サイクス)教授がチームを率いる。サイクス氏のラボはタンパク質テストの成績を高める技術の開発にフォーカスしていて、これはつまり迅速で正確な結果を提供することを意味する。

3Mは大量生産向けのプロダクト製造における経験とともに、正体材料と正体処理工学の専門性で貢献する。最終目標はウイルス抗原を検知するテストを作ることだ。新型コロナでの使用が5月初めにFDA(米食品医薬品局)によって初めて承認されたテストだ。このテストではPCRベースの分子テストよりも早く結果がわかる。しかし偽陰性を示す可能性も分子テストより高い。それでも、現場ですぐに実施して数分で結果が判明するという性能は検査能力を拡大するのにかなり貢献する。特に、症状を有していないものの、もしかすると無症状なだけでウイルスを他人にうつすかもしれないというケースで有用だ。

3MとMITの新たなプロジェクトは、米国立衛生研究所が米国の検査体制を拡大できる開発に資金を提供するRADxテックプログラムの一環だ。最初の資金50万ドル(約5400万円)が3MとMITのプログラムに提供され、開発の成果が出ればさらに資金提供を受けられる可能性がある。

画像クレジット:3M

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(翻訳:Mizoguchi