SpotifyとDiscordがダウン中

SpotifyとDiscordが両方ともダウンしているようだ。

Spotifyへのログインが困難になっているようだ。モバイル端末でSpotifyアプリを開くとログイン画面が表示されるが、正しいユーザー名とパスワードでもログインに失敗するとTwitterで報告されている。

音楽配信会社は、この問題をTwitterで認めている。

また、Discordでもメッセージの送受信に影響を与える問題が発生していることが確認されている。

この問題について、SpotifyとDiscordに問い合わせをしているので、回答があり次第、更新する。

以下、Spotifyがダウンしていることに関するツイートをお楽しみください。

【更新】Spotifyから回答があり、基本的に更新に関する情報はTwitterでと案内があった。今後もTwitterをチェックしていく。

Spotifyの返事

私たちはこの問題を認識しており、@SpotifyStatusに最新情報を投稿しました。正常に戻ったら、またアップデートを投稿します。

画像クレジット:Bryce Durbin

原文へ

(文:Jordan Crook、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Discord、一部のサーバーでフォーラム、新MODツール、ホットな話題を表示するホームページをテスト中

Discord(ディスコード)は先週、最大規模のコミュニティでいくつかの新機能のテストを開始した。この音声ソーシャル / チャットのプラットフォームは、ゲーマー同士をオンラインプレイ上で結びつけることから始まったが、現在はカスタム絵文字、ライブイベント、トピックチャンネル、その他あらゆることが可能になる多数のサードパーティ製プラグインなどを備え、活況あるオンラインコミュニティを構築するための主要な手段の1つに成長している。

関連記事:Discordが新機能を発表、音声イベントのポータルとなる「Stage Discovery」機能や有料チケット制の導入など

サーバーが成長すると物事が扱いにくくなることを、同社は認識している。Discordで最も人気のあるコミュニティの中には、常に数十万人が同時に接続しているものもある(大ヒットした中国のRPG「原神」の公式サーバーは、記事執筆時点で30万人以上が利用しているが、これはほんの一例だ)。

Discordサーバーは、リアルタイムの掲示板フォーラムのようなものだが、人々が会話に参加したり離れたりするのではなく、大量の人々が一度にライブでチャットしている。小規模なコミュニティでは、これは非常にうまく機能しており、容易に会話を把握していられるが、サーバーの規模が大きくなると(時には非常に大きくなり過ぎる)、多くが混乱の中に失われてしまう。

大規模なDiscordサーバーに初めて参加する場合や、会話から一度離れてしまった場合、どのようにして追いつけばいいのかと考えて途方に暮れることがある。ほとんどの大規模サーバーでは、新たに参加するメンバーのための入門チャンネルや、関連する各々の会話に人々を導くためのトピック別チャンネルを用意しているが、大規模で完璧なソリューションはない。そこで、Discordはすべてをスムーズに進めるために、先週から一部の大規模サーバーで、3つの実験的な機能を試している

1つ目の新機能は「より整理された会話」のためのハブとして、サーバーにフォーラムのようなチャンネルを提供する。これは、Reddit(レディット)と同じように、この特別なチャンネルに非同期的に出入りして、会話の内容を見逃さないようにできるというものだ。また、古いコンテンツであっても、今でも関連性のあるものは表面化させ、進行中のスレッドに人々をループさせることで、時間の経過とともに会話のトピックを発展させることができる。

Discordがテストしているフォーラムのような新機能(画像クレジット:Discord)

フォーラムとは別に、Discordでは新しいホームページスタイルの機能もテストされている。この2つ目の新機能は、ホットなトピックを集めて、その時々のサーバーに関連するタイムリーなコンテンツを、TL;DR型の要約として提供する。今でも、多くのサーバーでは専用のニュースチャンネルを使用して似たような機能を達成しているが、それらのスペースはあまり活動的ではなく、重大な発表を強調する以上のことを提供していない場合が多い。

そして3つ目。Discordはモデレーションの面において、新しい自動化ツールをテストしている。これは、コミュニティがサードパーティのモデレーションツールで得ている機能の一部を、自社で提供するというものになる。具体的な内容はまだ明らかにされていないが、Discordで最も人気の高いモデレーションボットには、新しいユーザーを歓迎するプロセスを自動化したり、不品行をスキャンしたり、さらにはルールを破った人を追い出したりするものもある。ちなみに、プレミアムサードパーティ製Discordボットの中でも最も人気のあるMee6(ミーシックス)は、11月にDiscordが足を踏み入れたNFT(非代替性トークン)に対する反発を、現在自ら味わっているところだ。

Discordは2021年7月、オンライン上における暴言や嫌がらせを検知するAIソフトウェアを作っているSentropy(セントロフィ)という会社を買収した。この買収は、自社の自動モデレーション機能を強化すると思われていたが、今回テストされる新機能がこの買収から生まれたものかどうかは、確認されていない。

これらの実験的な機能は、今のところクローズドベータでしか利用できず、Discordはいくつかの大規模なサーバーを使ってテストを行っている。テストに参加したコミュニティは、必ずしも即座にすべての実験的な機能が有効になるわけではない。Discordは、新しいツールがさまざまなサーバーで、どのようにニーズを満たすことができるかを見ているからだ。

今回の実験的な機能の導入は、今後の展開のほんの一例に過ぎないかもしれない。とはいえ、Discordは他に何をしようとしているのか、ヒントを見せていない。同社は最大級のアクティブなオンラインコミュニティを擁しており、それらのサーバーの成長に合わせて、より便利な機能を提供するように、賢明に進化している。

Discordのグループ・プロダクト・マネージャーを務めるRick Ling(リック・リン)氏は、TechCrunchに次のように語っている。「私たちはDiscordを成長する地域のように考えています。小さな友人グループから、数千から数十万人のメンバーがいる音楽、ゲーム、教育のコミュニティまで、Discordをホームとするコミュニティのすべての形と規模に合わせて、設計しなければなりません」。

「私たちは、管理者やモデレーター、そしてコミュニティのメンバーたちが、自分たちのスペースを自分たちだけのものにできるようにすることを、非常に大事に思っています。彼らが集まり、居場所を見つけられるようなツールや機能への投資を続けていきます」。

画像クレジット:Tiffany Hagler-Geard/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Discordがダウンしていたのはあなただけではなかった

グループチャットプラットフォームDiscordで、太平洋時間1月26日正午(日本時間1月27日5時)前からAPIの問題が広範囲に発生している。つまり、あなたがゲーマー / 暗号資産のプロ / Discord好きのどれかであるのなら、自身のポッドキャストのサーバー、#petsチャンネルに飼っている犬の写真をアップロードできなくなっている。スタートアップの中にはDiscordをSlackのように使っているところもあるため、短時間のシステム停止でも影響があったり、a16zが資金提供しているスタートアップの社員全員にお休みをもたらすかもしれない。

「API停止の根本的な問題を特定しましたが、データベースクラスタの1つで二次的な問題に対処しています。我々は、オンコール対応チーム全体がオンラインで、この問題に対応していま」と同プラットフォームは投稿している。本稿執筆時はサイトがダウンしてから約45分後であり、Discordはデータベースが再び健全な状態になり、ユーザーが徐々に再接続できるようになっていると述べていが、それでもすぐにログインできない可能性があり、エラーメッセージが表示される可能性が高いだろう。

Discord

最初の障害から1時間余り、Discordはサーバーステータスのページで、半分以上のユーザーがオンラインに戻ったことを掲示していた。

画像クレジット:Discord/Eric Szwanek

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ジャスティン・カン氏の新NFTプラットフォーム、詐欺師にユーザーの資金約1700万円を奪われる

ベンチャーキャピタルが数十億ドル(数千億円)の投資を行っているにもかかわらず、多くのWeb3.0暗号資産プラットフォームは、暗号の世界に慣れていないユーザーにとって、いまだに非友好的な場所である。

その適例を上げると、米国時間12月21日、Justin Kan(ジャスティン・カン)氏が運営するNFT(非代替性トークン)プラットフォームのFractal(フラクタル)で、セキュリティ侵害が発生した。

詐欺師が同社のDiscord(ディスコード)用告知ボットをハッキングし、10万人以上のユーザーに不正なリンクを送信して、新しいNFTを購入するためにお金を払うよう促したのだ。このメッセージは、Fractalの成功を記念して作成された3333個の記念NFTが入手できるとユーザーに約束する内容だったが、リンク先のfractal.isのURLは「i」と「l」を入れ替えて偽装されており、ユーザーはあるミンティングサイトに誘導されて資金を奪われ、何の見返りも得られなかった。

Zach Bussey

@justinkanの@fractalwagmiは順調に進んでいますが……。

同社の実際のDiscord Botがハッキングされ、3333のNFTを1Solana(約2万円相当)でミントするよう人々に勧めています。

しかし、リンク先はFractalではなくFractaiです…。3294個で合計60万ドル(約6800万円)近くが失われました。

その結果、詐欺師は実際に約15万ドル(約1700万円)を持ち逃げしたようだ。このハッキングは、Fractalが今週予定していたプラットフォームの起ち上げ前に行われた。カン氏のファンドであるGOAT Capital(ゴート・キャピタル)が支援しているこのスタートアップ企業は、すでにユーザーへの返金を約束しており「もしSolを失ったのなら、私たちが補償します。近々、さらなるアップデートを発表します」とツイートしている。

ちなみに、このような攻撃は特に珍しいものではない。Monkey Kingdom(モンキー・キングダム)と呼ばれるSolanaをベースにしたプロジェクトも、その数時間前にハッキングされて、130万ドル(約1億4800万円)以上の価値に相当する暗号資産が盗まれている。これら2つの攻撃がどちらもDiscord上で行われたことから、このチャットプラットフォームにもユーザーの認証に関して問題があることがわかる。

更新:火曜日の午後、FractalはMedium(ミディアム)への投稿で、373人のユーザーが詐欺の被害に遭ったことを確認したが、数日中に同プラットフォームから完全に補償されると述べている。SolanaベースのツールプラットフォームであるGrape Protocol(グレープ・プロトコル)は、管理者の1人がハッキングされたことを確認しており、これが今回のFractalとMonkey Kingdomの両方で悪用に使われたと思われる。

Grape Protocol

7日前に当社のセットアップ管理者の1人がハッキングされていたことが判明しました。

確実にこれは@fractalwagmiと@monkeykingdom_に影響を与えています。

ハッカーたちはDiscordのWebhookを悪用しています。

すぐにwebhookを確認してください。

詳細が分かり次第、更新します。

Fractalは、すでに他のNFTを中心とした多くのDiscordプロジェクトを悩ませているこのような攻撃が、可能性は高くないとしても、起こり得ることだと認識していたようだ。米国時間12月17日にFractalチームは、Discordに「詐欺対策」チャンネルを設け、ユーザーが悪質な行為者を警告できるようにしている。チームメンバーは、Fractalが「いかなるアドレスにも資金を送るように要求することは決してありませんし、記入を求めるGoogle(グーグル)フォームも一切ありません」と強調し、さらにユーザーに「目にしたリンクのスペルを再確認してください」と注意を促した。

Fractalのチームは、ユーザーを正しい方向に導こうとしていたようだが、より広範な問題は、NFT市場の根本的な誘引構造にある。発売されるNFTはすぐに売り切れてしまうため、ユーザーが懐疑的に関与することを妨げる傾向があるのだ。この世界にはあるゆるチャンスを掴もうとする文化があり、経験の浅い暗号資産購入者にとっては危険だ。

Fractal

SOLの最大級のエアドロップに取り組んでいます。

歴史を作ります。

画像クレジット:Fractal

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

TikTokがDiscordサーバーを設置、ユーザー同士が語り合う場に

多くのブランドが、メッセージアプリDiscordを使って、ファンの間にコミュニティ意識を醸成している。ファーストフードチェーンのWendy’s(ウェンディーズ)が6万人以上のメンバーを抱えるDiscordを持てるなら、TikTokのようなバイラルプラットフォームができないことがあるだろうか。

TikTokはDiscordサーバーを作っていることをTwitterで予告していたが、米国時間12月16日に自社のアプリでその事実を認めた。TikTokの新しいDiscordでは、見知らぬ人たちと、TikTokユーザーと語りたいことなら何でも話すことができる。Emily Mariko(エミリー・マリコ)氏のバイラルなサーモンレシピのベストな作り方とか?

「このサーバーは、あなたのためのフィードのようなものです。それはあなたのために作られ、そのコメントのいくつかは刺激的であり、あなたの両親はそれが何なのかわかりません」とTikTokはDiscordの歓迎チャンネルに書いている。Discordのルールには、NSFWコンテンツ禁止、暗号資産(暗号資産)の購入禁止などがある。チャットをする前に、ルールを読んだことをチェックマークのリアクションで示さなければならない。これはスパムを阻止するために、人気のあるDiscordではよくあることだ。また、サーバーのプロフィールに性別の代名詞を表示するオプションもある。

公開時点でDiscordには400人しかおらず、TikTokは「ソフトローンチ」だとTechCrunchに話した。TikTokからのモデレーターは5人で、サーバーが成長し続けると問題になる可能性がある。あるユーザーが言ったように「30万人が同時にチャットしようとしていないときに、(お互いに話す)利点を利用しよう」ということだ。

スパムを防ぐために(これもルール違反だが)、TikTokは「スローモード」という、30秒に1回しかメッセージを送れないDiscordの機能を利用している。しかし、ユーザーはすぐに、メッセージ間の時間制限が適用されないスレッドを作成することで、スローモードを回避した。ほどなくして、モデレーターがスレッドを作成する機能を削除した。

関連記事:Discordがスレッド機能導入、一定時間経つと自動的にアーカイブ化

現在、TikTok Discordの会話チャンネルは、軽い荒らしを除けば、比較的普通のものだ。自己紹介、TikTokの共有、TikTokサポート、サーバーのフィードバック、TikTokサウンドなどのためのチャットがある。「ゲームルーム」すらあり、TikTokのゲームへの関心が高まっていることがわかる。現在、このプラットフォームはTikTok Live Studioというデスクトップストリーミングソフトウェアをテスト中だ。

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

Discordがプレミアム会員制度を構築中、クリエイターの新しい収益手法に

Discord(ディスコード)は、コミュニティメンバーに有料購読者限定コンテンツへのアクセスを提供することで、クリエイターが収益を上げられるようにする新しい方法を導入する。この新プレミアム会員制度は最も要望の多かった機能の1つで、Discordのコミュニティが成長するために使用するツールを合理化するオプションを提供すると同時に、同社に新たな収益源をもたらす。

プレミアム会員になると、Discordコミュニティは、コンテンツの一部または全部を有料にすることができるようになる。サーバーはほぼ無料で開放したまま、最も熱心なメンバーのために有料のプレミアムチャンネルを設けることもでき、あるいはコミュニティ全体をプレミアム化して、アクセスにお金をかけることもできる。

プレミアム会員制度について同社は、現時点では「非常に初期のパイロット版」としており、有料機能をテストしてフィードバックを提供する少数のコミュニティに先行して導入される。プレミアム会員制度の小規模テストグループには、チュートリアルやアドバイスを提供するゲーミングブートキャンプ、Trans Community Center(トランスコミュニティセンター)、ストリーミング技術のチュートリアルを提供するサーバーStream Professorなどのコミュニティが含まれる。

Discordのクリエイター製品を統括するプロダクトマネージャーDerek Yang(デレック・ヤン)氏は「Discordコミュニティの運営をより持続可能なものにすることが重要です」とTechCrunchに語った。ヤン氏によると、プレミアムサブスクを広範に展開する時期は決まっておらず、製品を正しいものにするために一歩一歩進めているという。

多くのDiscordコミュニティは、プレミアムコンテンツへのアクセスを管理するために、Patreonのようなサードパーティのサービスをすでに利用している。Discordにこのオプションが導入されたことで、コミュニティは、メンバーがDiscordのプレミアムなNitro機能に支払うこれまでの決済と一緒にサブスクできるカスタマイズされた特典を作ることができるようになる。

同社は、有料会員サブスク料の10%を徴収する予定だが、クリエイターの収益化の実験結果によっては、この数字は将来的に変化する可能性がある。同社は5月に、クリエイターがプラットフォーム上で収益を上げることができる最初の機能として、チケット制のバーチャルイベントのテストを開始した。

関連記事:Discordが新機能を発表、音声イベントのポータルとなる「Stage Discovery」機能や有料チケット制の導入など

同社はブログへの投稿で「より多くのクリエイターと対話する中で、彼らがこのすばらしいコミュニティを構築するだけでなく、維持・継続できるようにしたいと考えました。そして、これらのコミュニティのメンバーが、作成された価値に対してクリエイターに対価を喜んで支払うことをすでに目の当たりにしています」と書いている。

関連記事:【コラム】Discordの可能性を知る。創業からマネタイズ、Web3でのチャンスまで

画像クレジット:Discord

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】Discordの可能性を知る。創業からマネタイズ、Web3でのチャンスまで

編集部注:本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説する「Off Topic」の投稿の転載だ。Off Topicでは、最新テックニュースの解説やスタートアップについてポッドキャストYouTubeも配信している。ぜひチェックしてみてほしい。

今回は1年以上ぶりの翻訳記事となる。2020年5月から愛読しているニュースレター「Not Boring」のPacky McCormick(パッキー・マコーミック)氏と2020年8月のスタートから読んでいるニュースレター「The Generalist」のMario Gabriele氏が一緒に組んでDiscordについての記事「Discord:Imagine a Place」を書いたと聞いたときに、どうしても翻訳しなければいけないと思った。仲良くさせてもらっているPacky氏にお願いしたところ、快く翻訳の許可をいただいた。少し要約する部分もあるかもしれないが、ぜひみなさんにもこの対策を共有したい。

また、まだNot BoringThe Generalistを購読してない方はぜひチェックして欲しい。毎週これからくる企業やトレンドについて深堀しているOff Topicでもよく参考にしている情報源だ。

はじめに

「人中心のサイトを想像して欲しい」。

「流行りのミームがハチミツのように流れる場所を想像してください」。

「人間とボットは平和に暮らせる場所を想像してください」。

上記はすべて、Discordの最新広告キャンペーンでフィーチャーされたものである。Discordがユーザーに対して、今まで使ったことがない人にDiscordをどう説明するかを聞いたところ、上記のような言葉が出てきた。ここまでおもしろいサービスの定義が出てくるのは、幅広いユースケースとユーザーの愛があるからかもしれない。

また、ナルニア国をルーシーとエドマンドが、ウィザードの世界をハリー・ポッターが、マトリックスから出たネオが瞬間を説明するのと似たような文章になる。

「クローゼットを開けたら、話すことができる動物の国があるのを想像してください」。

「自分の学校に行くために、壁を通り抜けないといけないことを想像してください」。

「飲むと世界が変わる薬を想像してください」。

これらの文章もDiscordをやや言い当てていることからも、Discordがどのような会社なのかがわかる。Discordはコミュニケーションプラットフォームではなく、隠れた世界なのかもしれない。

マーク・ザッカーバーグ氏は、自分が最もメタバースを構築できる立場にいると思うかもしれないが、すでに「メタバースネイティブ」になっているプラットフォームなのはDiscordかもしれない。メタバースのパイオニアといわれるるゲーム業界向けのプラットフォームとしてまず開発されたDiscordは、今では教育グループや投資コミュニティなど幅広いファンコミュニティに活用されている。さらには、NFTなどWeb3世界を作っているデフォルトのプラットフォームにもなっている。

これだけ盛り上がっている会社で、何百億円と売上を抱えながら直近で時価総額150億ドル(約1兆6995億円)でありながら、いまだ成熟されたアイデンティティを確立しておらず、これまでのSNSサービスとは違ってまだまだ進化する可能性を秘めている。Discordが次の進化をするには、ピボットするのに慣れているCEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏が新しい技術を受け入れたり、違う売上チャネルを検討したり、Web3の世界を取り込まないといけないかもしれない。Discordはメタバースのソーシャルインフラになり得る会社であり、同社の可能性は無限大だと思われる。

そんなDiscordの可能性を知るために、創業物語、課題、今後の取り組むべきことについてまとめてみた。

創業物語:Discordのストーリーは、いろいろなピボットや変化のある中で始まった

カオスなプロダクト:特にミレニアル世代にとって理解しづらいプロダクト

ユーザーの拡大:元々ゲーマー用ツールとして始まったのが、今では幅広いユーザーに使われている

遅いマネタイズ:ユーザー数は急成長しているが、ユーザーからのマネタイズはかなり遅れている

Web3のチャンス:現在、Web3企業のデフォルトプラットフォームになっているが、そのリードを広げるためには何が必要なのか。いくつかアイデアがある

オンラインゲームで勝つ:インターネットユーザーの居場所としてどう成立させるのか。

さぁ、サーバーを立ち上げて行こう。

スタート地点

いろいろな会社がピボットして成功した中で、最もピボットが上手いのがジェイソン・シトロン氏なのかもしれない。実は、ジェイソン氏は2回起業して2回ともピボットして成功している。Discordに関しては、たまたまPMFを見つけられた。

OpenFeint

始まりはAppleがアプリストアをリリースした2008年7月10日。ローンチと同時に500個のアプリを公開して、その中にパズルゲーム「Aurora Feint, the Beginning」が含まれていた。そのゲームを作ったのは当時23歳だったジェイソン・シトロン氏と、彼が参加していたインキュベーターのYouWeb。YouWebは元Webvan CTOのPeter Relan(ピーター・レラン)氏がY Combinatorとほぼ同じタイミングで設立したインキュベーターだ。ただし同社はYCと違って参加者を拡大せず、15年間で30社ほどインキュベートした。

当時のYouWebのモデルは会社の50%の株を取得する代わりにアイデア、マーケティング、採用周りを支援するというものだった。ジェイソン・シトロン氏が参加したときにはゲーム領域で何かしたいとは思っていたものの、それ以上の考えがなかったので、YouWebはEIRのDanielle Cassley(ダニエル・キャスリー)氏と組ませてAuroraのローンチまで導いた。

結果としては成功した。World of Warcraft的な見た目とテトリスやPuzzle Leagueに似たゲームだったAuroraは、初期アプリの中ではかなり人気だった。

アプリのレビューを見ても「最も楽しかった初期iPhoneゲーム」と書かれていたが、それはマネタイズには繋がらなかった。新しいバージョンのゲームを出したり、値段を8ドル(約900円)から1ドル(約110円)に下げたりしたが、なかなか売上が上がらなかった。それにも関わらず、いくつかの機能には可能性があった。特にジェイソン氏が導入したチャットルーム、プロフィール、リーダーボード、非同期型のマルチプレイヤーゲーム性といったソーシャル要素はかなりの可能性があり、他の大企業が作ったゲームにはないコミュニティ性がAuroraにはあった。

そこでジェイソン氏が初のピボットをした。

Auroraの未来について会話をしている中でジェイソン氏は「誰もiPhone用のXbox Liveを作ってない。Auroraのチャット機能などをスピンオフさせてiPhone版Xbox Liveを作れないか考えるときもある。とりあえずそれを出して人が欲しいかみても良いかもしれない」という

ジェイソン氏はすでに、将来どのゲーム開発者もプロダクトにソーシャル要素を入れたがると予想できていた。また、それを全員ゼロから作るよりも、すでに存在するツールにお金を払って開発したがると感じてもいた。OpenFeintという会社名にピボットして、TechCrunchでフィーチャーされた際に多くのクライアント候補先から連絡がとどき、この領域は必ずくるとジェイソン氏は確信した。調達も無事終了し、ゲーム間でソーシャルインタラクションを管理できるアプリをリリースして、通信キャリアAT&Tと提携して新しいスマホにプリインストールされることにもなった。

そこに興味を持ったのがGREEだ。2011年に1億4000万ドル(約158億7000万円)でOpenFeintを買収し、ジェイソン氏、そしてYouWeb含めたOpenFeintの株主が大金を得た。

数カ月間GREEで働いてから、ある日ジェイソン氏がYouWeb創業者のピーター氏にメールを送った。

「帰ってきたぞ」。

Discord

OpenFeintの話を聞くと、Discordの話が同じような流れのものに聞こえる。

ある若手起業家がインキュベーターに参加する。ビジネスプランは特にないが、ゲーム領域で何かすることを目標にする。すばらしいマルチプレイヤーゲームを作るが、大きなファンベースを抱えられず、PMFを探すためにインフラになる機能を見つけてそれが成功する。

OpenFeintの物語はDiscordと同じ物語。今回はより良い条件をジェイソン氏はYouWebのピーター氏と交渉して「Phoenix Guild」というゲームを作ることを決める。すぐに名前を「Hammer & Chisel」に変えるが、ジェイソン氏のOpenFeintの成功もあったおかげで110万ドル(約1億2000万円)のシード調達と820万ドル(約9億3000万ドル)のシリーズA調達を無事行う。シリーズAラウンドはジェイソン氏の2013年のTechCrunch DisruptのDemo Dayのプレゼンに惹きつけられたBenchmarkのPartnerだったMitch Lasky(ミッチ・ラスキー)氏がリードした。

Hammer & Chiselは2014年にタブレット向けのバトルアリーナゲーム「Fates Forever」をローンチしたが、思ったほど成功しなかった。OpenFeintでも行ったように、ジェイソン氏はゲーム内にコミュニケーション機能を組み込んでいた。

「ゲーム前、ゲーム中、ゲーム後にプレイヤーが集まれるサービスにチャンスがあると思ってはいたが、上手くいくかどうかは正直分からなかった」とジェイソン氏はいう

そこでジェイソン氏は、またピボットすることを決断する。

どうピボットするかを考えていた際にCTOのStan Vishnevskiy(スタン・ヴィシュネフスキー)氏が「もうモバイルゲームは作りたくない。チャットサービスを作ることを社内でも話しており、それについてアイデアがある」と発言し、そこから数カ月間、Hammer & Chiselチームはゲーマー向けのチャットサービスを開発した。アイデアとしては常にオンになっている電話会議、ゲームのプライベートカフェだった。

2015年にDiscordというプロダクト名でリリースしたが、まったく反応がなかった。数十人が毎日活用していたが、特に成長する感じではなかった。当時はTeamspeakやSkypeなどゲームコミュニティが活用していたツールはあったが、競合の力というよりも、初期ユーザーの信頼を勝ち取るまで認知されてなかったのが問題だと気づいた。

転換期はReddit経由で訪れた。Discordチームがファイナルファンタジーのsubredditメンバーと繋がっていて、そこでDiscordをメンションしてくれないかとお願いした。ジェイソン氏曰く、そのメンバーは「Discordという新しいボイスチャットアプリを知っているか?」と書いたらしい。

そこで数名のRedditユーザーが会話に入り込み、Discordを活用してDiscordの開発チームと試しに話した。そこで1人のユーザーが「あのチームの開発者とさっきDiscord上で話したけど、めちゃくちゃイケてた。これは要チェックなアプリだ」とフィードバックした影響で、一気にユーザーが入り込み始めた。ジェイソン氏曰く、その日がDiscordの本当のローンチ日だった。

そこから今となっては急成長し続けたDiscordは1億人以上のユーザーがいて、10億ドル(約1133億4000万円)弱の合計資金調達額を達成。それ以上にゲームカルチャーを取り入れながら、エバンジャライズしたことがすごいことかもしれない。

プロダクト

Discordは、ゲーマーがゲーマー向けに開発したプロダクトだ。もちろんコロナ禍の期間からゲーマー以外のユーザーを受け入れていたが、いまだにゲーム色がかなり強いため、ゲーム関係者以外の人からすると一見難しいプロダクトに思える。自分もテクノロジーにある程度慣れている方だと思っているが、Discordサーバーほど年齢を感じさせるものはなかなかない。時間を重ねてようやくDiscordという言語を学び始めたので、今回はDiscordのプロダクト解説・翻訳する。

Quartzは「DiscordはSlack、AOLメッセンジャー、Zoom、ちょっと怪しいチャットルームをかけ合わせたもの」と題して、Discordを既存のサービスの組み合わせたものとして比較している。

PCGamerはDiscordでユーザーが「無料」できることをリストアップして説明している。

Discordは無償で以下のことが可能だ。

  • 時間が無制限でほぼラグがない高クオリティの音声で何人の友達と話せる
  • ラグがほぼなくツークリックでサーバー内でゲームのライブ配信ができる
  • 複数の配信を見ながら各配信のボリュームコントロールが可能
  • 何年分もデータも保存してくれる無制限のテキストチャットルーム
  • 友達と小さめのファイルを共有
  • 音楽を流すなどボットを入れ込む
  • 動画配信やスクリーンキャプチャ含めてすべてスマホでできる

Discordは、既存のツールや機能などで説明するよりも自社のプロダクトをユーザーにどういう場所か想像するようにお願いしている。

画像クレジット:Discord

Discordは、自社プロダクトを白紙のキャンバスとして見て欲しいため、あのような初期ブランドマーケティングキャンペーンを行っている。ユーザーがその白紙のキャンバスで思い描くデジタルスペースを作れる場所にできるようになっており、実際にそのような場所になっている。

新型コロナ期間中にはさまざまなユーザーがDiscordに群がり、Discordのチャット機能、高クオリティの音声や動画チャット、プライバシー、直接繋がれる機能、そしてSlackと違って無償のサーバーに需要を感じた。

会社としてもちょうど良いタイミングでゲーマー以外の層にオープンになった。そしてどのコミュニティもコロナによってオンラインに移らないといけなくなった際に、2つの選択肢を迫られた。

・1ユーザーあたり毎月6.67ドル(約760円)支払ってSlackを使う

・Discordサーバーを立ち上げて無償で誰でも招待できるようにする

オプションを見ると、当然ながら2つ目を選ぶコミュニティが多かった。Discordとしても想像しなかったユーザー層も集まり始めた。

2019年に記者のTaylor Lorenz(テイラー・ローレンツ)氏がThe Atlanticの記事でインフルエンサーがDiscordに群がり始めたことについて書いた。FacebookやTwitterのアルゴリズムベースのフィードがミドルマンとして邪魔されるのではなく、直接ファンと話せるDiscordサーバーを立ち上げるインフルエンサーが増えてきたと記載している。ForbesによるとそのThe Atlanticの記事を読んだDiscord創業メンバーのジェイソン氏とStanislav Vishnevskiy(スタニスラフ・ヴィシュネフスキー)氏はゲーマー以外の領域に広がり始めたことについて驚いてたとのこと。

ピボット経験者の2人は、この新しいユーザー行動を調査することにした。Discordがコミュニティに23問アンケートを送った際に、Discordユーザーの3割以上が主要目的はゲームではないことが判明した。そのユーザーたちはブッククラブ、友達のグループチャット、ファンコミュニティ、そして会社の社内コミュニケーションとしても使っていた。Discordはインターネットのサードプレイスになり始めていた。

これを理解したジェイソン氏とスタニスラフ氏はすぐにこの情報を活用してよりユーザーにアットホーム感を与えるために会社のミッションを更新した。ゲーマー中心のコミュニティを作るミッションから、誰でも親密な関係性を作れる力を提供するミッションとなった。

画像クレジット:Colossus

さらにブランドとホームページも進化させた。

画像クレジット:Internet Archive Wayback Machine

そこで会社初のブランドマーケティングキャンペーンの「Imagine a Place」を5月にローンチした。

少しペースが早くてわかりにくい動画に見えるが、Discordの雰囲気も上手く捉えたものでもある。

一見、DiscordはSlackのようにも見える。各コミュニティのスペースをサーバー毎に分けて、各サーバー内ではチャネルで分けられている。中にはボイスチャネルもあり、さらには25人まで動画通話もできる。そのボイスチャネル自体は常にオンになっていて、ユーザーは自由に出入りできるスペースとなっている。

サイドバーには簡単にユーザーが参加しているサーバーを確認できるようになっている。いろいろなサーバーに入っていると未読のメッセージの数字がパッキー氏のように増えていくので、少し圧倒されるユーザーもいる。

Discordを始めるのは簡単。各サーバーはユニークなURLとなっている(discord.gg/サーバー名)、そしてそのURLをユーザーは自分のTwitterプロフィール、subreddit、チャットなどでシェアする。「Join the Discord」はYouTubeでいう「登録してください」と同じだ。

ユーザーも簡単にジョインできる。Discordアカウントを作成すると、さまざまなサーバーにアクセスできる。Slackは1つのコミュニティごとのスペースとして作られており、新しいSlackワークプレイスに招待されるとメールを再入力して登録フローを行う必要があるが、Discordは違う。Discordユーザーはサーバーからサーバーへの移動が簡単で、さらに他のDiscordユーザーへのDMまで簡単だ。

これがSlackとのもう1つの違いとなる。Slackでは1つのワークスペースコミュニティ内だとDMし合うことができるが、Discordだと相手のユーザー名さえ知っていればお互い同じサーバーに入ってなくてもDMが可能(DMを受け入れる設定にしていれば)。これは一見すると小さな違いのようだが、実はすごいことだ。Discordはこの機能によって組織内の活性化だけではなく、そのサーバーの上にもう1つソーシャルレイヤーを加えている。ユーザーとしては自分のコミュニティの中でコミュニティらしい話をしながら、まったく別の場所で直接友達と違う会話が可能になる。

そしてDiscordはこのソーシャルレイヤーを加えながら他のSNSっぽい機能を捨てている。フォロワーやフィードの概念がないため、アルゴリズムも存在しない。ユーザーは課金していればサーバーごとに異なるアバターを表示できるが、それ以上にソーシャルキャピタルを得られる手法はあまりない。

さらに、Discordのチャット機能とソーシャル要素の構成以外のおもしろいところがボットのエコシステムだ。2020年のDiscordブログによると300万以上のボットが作られていて、複数のボットは数百万以上のサーバーで使われている。比較するとSlackのアプリエコシステムでは2400個のアプリを抱えている。もちろん多くのボットはかなり特定のユースケースだったり一時的な物だったかもしれないが、これだけのボリュームの差があるのは気になる。

ボットは多種多様で、Memeを送るものもあれば、YouTubeやSoundcloudの音楽を流すものもあれば、モデレーション用のボットもある。

MEE6は特にモデレーションボットとして人気だ。1400万以上のサーバーで活用されており、カスタムウェルカムメッセージを作れたり、悪質なユーザーを取り除いたり、コミュニティの役割をユーザーに割り振ったり、より参加するユーザーにXP(経験値)を提供するボットだ。

よりクリエイティブなボットも存在する。IdleRPGはサーバーに組み込まれるとコミュニティメンバーがチャットのコマンドでRPGゲームを遊べる。さらにDiscordのボットエコシステムはクリプト領域にも拡大している。例えばCollab.Landでは、NFTや特定のトークンを持つとプライベートチャネルにアクセスできるボットなどではクリプト業界にとって欠かせないもの。それ以外にクリプト投げ銭を可能にするTipやクリプトリワード付きのRPGのPiggyなどがおもしろい事例だろう。

もちろんユーザー目線からするとおもしろみや機能面の拡張としてDiscordのボットエコシステムは重要だが、会社としてはボットは優位性作りのために存在する。Discord APIの上で多くの開発者にアプリ開発させることによって、いろいろなコミュニティに対応してロックインさせることができる。例えば今からDAOを始めたとすると、Collab.Land、MEE6、Tipなどのボットが含まれるDiscordを選ぶ確率が高い。他のコミュニティツールでは存在しないツールがあるからこそ、Discordは人気になる。

Discordはここにより投資をしなければいけない。2020年によりボット戦略にフォーカスすると発表したが、ボットのディスカバリー、マネタイズ、そして利用率を上げる施策を打たなければいけない。それを実現するためには、Discordはボットストアを作る必要がある。

今だとボットを探すにはとりあえずGoogle検索するか、ゲームのハイライト動画などを配信するMedalが抱えるDiscordディレクトリーのTop.ggに行くのがベストだ。別のスタートアップがこのサービスを提供するほどディスカバリーが需要があることを証明している。ボットストアを作ればDiscord内でボットディスカバリーが始まり、ボット開発者にも自分たちのボットの見せ場もでき上がる。他のアプリストアのオーナーと同じように、Discordは今後期待のボットをよりフィーチャーすることもできるようになる。

そしてデータが集まるとレコメンドを通してボットディスカバリーを強化できる。クリプト系のサーバーを立ち上げた人に対してCollab.Landや類似ツールをオススメできる。

開発者がDiscordでボットの販売なども可能になると、より開発者・クリエイターを招くことが可能になり、それによって新しいグロースサイクルができ上がる。Discordは人気・注目しているボットをフィーチャーして、そのボットを見たユーザーが使い始めて、ボットクリエイターはお金儲けして、その成功を見て新しいボットクリエイターが参加して、Discordのプラットフォームを強化して、強化されたプラットフォームがより多くのユーザーを引き寄せて、そのユーザーたちはより多くのボットを求める。


ボット戦略によってDiscordは本来ビジョンに掲げていたゲームストアのようなプラットフォームになるかもしれない。今ではDiscord内だけではなく、Discordの上に新しいプロダクトが作られている。例えばStirの新プロダクト「Newsroom」ではDiscordのカオスになりがちなサーバーをきれいなUIで表示している。

画像クレジット:Stir Newsroom

Discordをリプレイスするのではなく、改善してDiscordに慣れてないユーザーに対して新しいかたちでDiscordの強みを紹介してくれている。起業家が競合サービスではなくそのツールに連携したり相補するツールを開発するのは、最もDiscordがプラットフォーム化している証拠かもしれない。このトレンドはさらに続きそうだ。今ではDAOのオンボーデイングツールを開発する起業家も増えている。

Discordとしてはこのようなツールとの連携をシームレスにして、ボットストアを拡張してDiscordアプリケーションのエコシステムを広げるとリプレイスしづらくなる。Discordチームとしてはもちろんコアプロダクト自体は強化するのも重要だが、周りの開発者エコシステムを活用するとどんなユーザーの需要にも応えられる、変幻自在なサービスになれる。

ユーザー

Discordは全体で3億人のユーザーがいるといわれていて、そのうち1億5000万人が月次でアクティブなユーザーだ。さらに週次でアクティブなサーバー数だと1900万を超えている。会社の創業物語からの影響でDiscordのユーザーの多くはゲーマー。新しいサーバーを見つけられる「Explore」タブを見ても、フィーチャーされている10個のサーバーのうち9つはゲーム関係のサーバーだ。


唯一の例外は「Anime Soul Discord」という50万人のアニメコミュニティだが、このコミュニティは人気ゲームGenshin Impactの情報発信も行なっている。実際にアニメとゲーマーの組み合わせ自体は不思議ではなく、逆にDiscordが徐々にゲーム領域を起点に扱うトピックを拡大し始めている証拠でもある。ゲームという大きなニッチからアニメなど他のサブカルへ展開するのがDiscordの成長戦略の1つでもある。

アニメ以外だとDiscordで盛り上がっているサーバーのカテゴリーは教育、投資、そしてクリプトとWeb3。各グループで共通しているのはインターネットネイティブであることだ。そもそも米国のゲーマーの2割は18歳以下で、学生である。遊び場所・ツールと同じところで勉強すると考えると、Discordの教育カテゴリーがなぜ伸びているのかがわかる。もちろんすべての教育サーバーが高校生以下が所属している場所ではなく、英語や韓国語の勉強をするサーバーや、ゲームを上手くなるための教育サーバーも存在する。学生向けのサーバーだと宿題をお互い助け合い、教え合う、28万人以上いる「Study Together」コミュニティが存在する。実際にサーバー内では多くの人たちがテキスト・音声・動画などを活用して勉強の支援を行なっている。

Discordもこのユースケースを推薦している。新しいサーバーを作るとサーバーのアイデアとしてよくオススメされるのが教育関連の「スクールクラブ」や「勉強グループ」だ。

Discordの新機能として「Student Hubs(学生ハブ)」というものがあり、ここのサーバーでは高校か大学に所属している人たちのみが参加できる。このグループにアクセスするには正しいメールアドレス(.edu)で認証できる。

若者層へのリーチに苦しんでいるFacebookやInstagramを考えると、Discordがうまくこの層を取り組むチャンスがあると理解して動いているのかもしれない。

Discordの人気な投資関連のグループはゲームコミュニティにある擁護を上手く描き合わせたものとなる。これはトップ投資家が集まってアイデアを語り合うValue Investors Clubみたいなコミュニティではなく、かなりカオスな会話になりがちな場所。そういうことを考えると、RedditのWallstreetBets(WSB)がコミュニティのリアルタイム会話をDiscordに選んだのは正解かもしれない。57万人が集まり、本当に理解不可能なリアルタイムカオスがサーバー内で起きている。

WSBのDiscord活用方法はDiscordをソーシャルな場所としてのポジショニングを表している。Reddit以外にもTwitterなど非同期型な配信プラットフォームで存在するコミュニティがディスカッションの場を設けたいときにDiscordサーバーを作る傾向がある。実際にDiscordの「Explore」機能を見ると「Subreddit」系のサーバーが399個ある。

Discordの最後の人気カテゴリーはWeb3で、NFT、DAO、クリプト投資グループ、クリプトスタートアップとしては最も選ばれる連携プラットフォームになっている。これだけのスピードでDiscordを使うのが普通になったのはかなり驚きだった。今NFTプロジェクトを初めてSlackグループを作ると批判の声が大きい。これはHotmailのメールアドレスを使ってたり、デフォルトの検索エンジンをBingにしていると同じ扱いを受ける。

Web3での人気Discordコミュニティは80万人のAxie Infinity、15万人のSushi、8.6万人のSolana、8.3万人のLoot、7.2万人のUniswap、6.9万人のBored Ape Yacht Clubなどだ。

それ以外のカテゴリーだと職場向けとしては安全ではないNSFW(not safe for work)も人気になり始めている。Discordの人気チャネルの1つは「Sinful 18+」だ。

コミュニティ名にもあるが、これはアダルト系のコンテンツが含まれるコミュニティ。出会い系やアダルトコンテンツはSinful以外にもDating Lounge、Playroom、Paradiseなど複数存在する。

これもDiscordがどれだけ幅広く使われているかを証明している。サーバーのカテゴライズと利用率をモニタリングしているDiscordMeがDiscordのカテゴリー訳をした結果、ゲーム領域が未だに強いことと、人気領域のクリプトでさえまだサーバー数だけ見ると小さい。

サーバー数よりメンバー数の方が適切な指標かもしれないが、この情報だけ見るとゲーム以外にもアート、フィットネス、ミームなどどんなカルチャーの中でも使われ始めているのが分かる。

経営メンバー

Discordは読みにくい会社だ。この記事を書くために会社の経営メンバー、従業員、株主などに連絡したが、あまり良い回答は返ってこなかった。あまり表に出ない会社なので、我々の分析も外部からの情報をベースにしなければいけない。The Orgによると以下がDiscordの主要メンバーとなる。


先にも書いたが、ジェイソン・シトロン氏は平均Discordユーザーと近しい存在だ。OpenFeintの開発を見ても、Discordを見ても、話している内容などを見てもゲーマーであり、業界を本当に好きな人だ。Discordの成功は彼のミッションへの親近感を感じるユーザーが多いのが一部あるかもしれない。初期Discordユーザーで現Commsor CEOのMac Reddin(マック・レディン)氏と話すと、他社と比較してDiscordが成長した理由はゲーマー文化を理解していたからだという。マック氏によれば「ゲーマー向けのプロダクトが少なかった。あったとしても微妙だった」とのこと。Discordは何千億円の時価総額の会社だと考えないことが重要だと語る。

Discordはゲーマーの言語を話せることが重要で、それが可能なのはジェイソン・シトロン氏が創業者だったからだ。

共同創業者のスタニスラフ・ヴィシュネフスキー氏は似た経歴を持っている。彼はジェイソン氏とOpenFeintを買収したGREEで出会い、ジェイソン氏が会社を立ち上げたときにCTOとして誘った。GREEとDiscord(当時はHammer & Chisel)の仕事の合間にスタニスラフ氏はMMORPG向けのSNS「Guildwork」を立ち上げた。ファイナルファンタジー、World of Warcraft、Aionなどのゲームを対応するほどのプロジェクトだった。

元OpenFeintメンバーのSteve Lin(スティーブ・リン)氏以外のDiscord経営メンバーは実はあまりゲーム経験がないが、その分Discordを成長させる経歴を持っている。3月にジョインしたCFOのTomasz Marcinkowski(トマシュ・マルチンコフスキ)氏はPinterestで働いており、今後のDiscordのM&A戦略と上場に向けて担当すると思われている。DiscordのChief People OfficerのHeather Sullivan(ヘザー・サリバン)氏はユニコーン企業であるUdacityで同じ役割を果たしていた。

1つ抜けているバックグラウンドはクリプトかもしれない。経営メンバーでWeb3経験者はいないが、それは当然の話かもしれない。ちょうど大手クリプト企業が出始めたタイミングでもあり、現在はCoinbase経営メンバーよりGoogle経営メンバーの方が引き抜きやすい。

Discord自体も、Web3業界がここまでDiscordを受け入れることを予想していなかったはずだ。2021年前だとクリプトにフォーカスしても一般社員の採用に影響しなかったが、今後はそこは変わるはず。DiscordはWeb3領域に参入したければ、そのコミットを見せるためWeb3関連の経営メンバーを採用しなければいけないかもしれない。

ただ、Discordの経営メンバーを見ると最もユニークな特徴はマネタイズを嫌う傾向かもしれない。

急成長しながら遅いマネタイズ

8月に150億ドルの時価総額でDiscordは資金調達すると噂になった時にパッキー氏は可能であればできるだけ出資したいとツイートした。

いまだにその想いは変わらない。新型コロナウイルス、そしてゲーム領域とWeb3の成長によってDiscordは急成長しているプロダクトで世界的に重要なコミュニティを抱え始めている。Discordがより幅広い層にアピールするタイミングもピッタリだった。2020年は670万の週次アクティブサーバーがあったのが1年で3倍成長して今は1900万を達成している。

画像クレジットBusiness of Apps、Discord

毎分のように新しいNFTプロジェクト、DAO、DeFiプロトコルが立ち上がっている中、年内に週次アクティブサーバー数が2000万を超えてもおかしくない。サーバー数が増えているのはユーザー数が増えていると同等だ。2017年ではDiscordのMAUは1000万人を突破したが、4年後の2021年では1億5000万人を達成。4年で15倍成長とはとんでもない成長率だ。

画像クレジット:Business of Apps

比較するとMeta(Facebook)は合計30億MAUを抱えている(InstagramやWhatsAppを含む)。Snapchatは3億4700万人、Redditは4億3000万人のMAU。Twitterは2019年にMAUを共有しなくなったが、課金可能なDAU(mDAU)は2億1100万人で、2019年時点でのMAUは3億9600万人。それを考えると、Discordの2015年のローンチから6年でMeta以外にすでに現在のトップアプリが視野に入り始めたことになり、明らかに他社アプリより早く伸びている。

Discordの売上成長率はユーザー成長率を超えている。2016年では500万ドルの売上だったのが2020年には1億3000万ドルまで成長した。

画像クレジット:Business of Apps

これだけ成長しているが、まだマネタイズできるはずだ。プロダクトのマネタイズ度を見ると、Discord CEOのジェイソン氏はMetaのマーク・ザッカーバーグ氏よりも元TwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏に近しいかもしれない。2020年のDiscordのARPU(1ユーザーあたりの平均売上)はたったの1.30ドル(約147円)だった。上場しているSNS企業と比較すると、どれだけ差があるかがわかる。

画像クレジット:Atom Finance

現在のDiscordを見ると、唯一推しているマネタイズ要素がプレミアム課金「Nitro」なのでこの結果に至っていること自体はあまり不思議ではない。今はユーザーがDiscordプロダクトや参加しているコミュニティを応援する気持ちで課金してくれている。ジェイソン氏のこれまでのフォーカスは、広告や売上ではなくプロダクトとコミュニティの強化だ。その結果、かなりロイヤリティが高いユーザーを引き寄せることができた。しかもこのユーザー層はかなり価値がある人たちでもある。ゲームのARPUは大体20〜60ドル(約2670〜6810円)で、クリプトトレーダーたちは高いガスコストに慣れているので、Discordが本気でマネタイズに集中した時にはキャッシュが流れてくるはずだ。

株主側も、マネタイズ問題よりもDiscordの偉大なる可能性に賭けているように見えるので、まだDiscordには時間の余裕はある。Discordほど重要なSNSプラットフォームに投資する機会はなかなかないため、投資家側もかなり期待を高めているはずだ。

株主

初期投資家はよく会社の立ち上げ時ではアイデアより起業家・人の方が大事だという。アイデアは変わるかもしれないが、良い起業家は成功の道を見つける。Discordはこの理論に当てはまる会社だ。

2012年7月に当初の名前「Phoenix Guild」はYouWeb、Accel、General Catalystなどから110万ドル(約1億3000万円)のシードラウンドを実行。当時は「ポストPC時代のBlizzardを作る」という名目で調達していた。翌2013年に社名変更して「Hammer & Chisel」としてBenchmarkがリードで870万ドル(約9億9000万円)のシリーズA調達を発表。そこでは「タブレット向けのMOBAゲームFates Foreverを開発する」と語った。

2015年にHammer & ChiselはBenchmarkとTencentから450万ドル(約5億1000万円)のシリーズB調達を行い、時価総額は4500万ドル(約51億円)となった。当時のVentureBeatの記事ではゲーム会社へのファーストステップを歩んでいるとジェイソン氏が発言していた。ただ、ジェイソン氏は恐らくその時からFates Foreverが正しい道のりではないことを理解していたかもしれない。調達を発表した3カ月後の2015年5月13日にDiscordはローンチする。

Fates Foreverはコアユーザーがいたにも関わらずマネタイズができなかったが、初期投資家としてはDiscordにピボットして報われた。PitchbookによるとBenchmarkやシリーズAに参加した投資家は1.95ドル(約221円)の株価で出資した。2020年12月のDiscordの70億ドル(約7940億3000万円)の時価総額のシリーズHラウンドでの株価は280.25ドル(約3万1790円)まで上がったので、シリーズA投資家は143倍のリターンを出している(未実現だが)。直近の150億ドルの時価総額を考えると、今では存在しないゲームに投資したのにシリーズA投資家は約300倍のリターンを出している。

2016年1月にDiscordとして初めて資金調達を行なった。1億ドル(約113億4000万円)の時価総額でGreylockとSpark Capitalが2000万ドル(約22億7000万円)出資を行い、そこから成長は止まらなかった。

画像クレジット:Pitchbook、Crunchbase

そこから3年以内にDiscordはIndexとIVPから5000万ドル(約56億7000万円)のシリーズD調達、16億5000万ドル(約1871億9000万円)の時価総額で既存投資家から5000万ドルのシリーズE調達、そして20億ドル(約2268億7000万円)の時価総額でGreenoaksがリードで1億5000万ドル(約1701億5000万円)のシリーズF調達を行なった。そのあとはジェイソン氏からすると珍しく18カ月間の期間を空けて2020年6月にIndexから1億ドルのシリーズG調達、そして2020年12月にGreenoaksから70億ドル(約7940億5000万円)の時価総額で1億ドルのシリーズH調達を発表。

そして2021年3月にはMicrosoftが100億〜120億ドル(約1兆1339億〜1兆3607億円)でDiscordを買収しようとしたが、4月に交渉が途絶えたと報道があった。MicrosoftとしてはXBox、Minecraft、直近で買収したZeniMaxなどのゲームポートフォリオに上手く入り込めたはずで、Microsoft Teamsとの連携も考えれらた。さらに他社の大手テック企業とのメタバースへの戦いの中では重要アセットになったはずだが、120億ドルのオファーは断られた。

結果として2021年9月に150億ドル時価総額でDragoneerが5億ドル調達をリードした。クロスオーバー投資家のBaillie Gifford、Coatue、Fidelity、Franklin Templetonも参加したので上場が遠くないことを匂わせた。

2020年の売上を見ると、Discordの150億ドルの時価総額は115倍の売上マルチプルとなる。これは一見高く見えるが、Discordは売上を伸ばせるチャンスはいくらでもある。今世界で最も価値があるものはアテンションで、Discordはそれを十分取れている。アテンションをコントロールするものは世界をコントロールする。

DiscordのMAUが50%以上の成長を保ちながらPinterest級のARPUに行くとこの150億ドルは安く見える。そしてもう1つ大きなチャンスがWeb3への参入だ。

Web3の機会

多くの大手テック企業を見ると、メタバース戦略はコアビジネスの上で何かしらのメタバース事業を立ち上げられるオプションを持っている。Metaは広告事業の上にメタバース事業を乗せることができ、Tencentは中国で最も利用されるアプリとDiscord含む世界トップレベルの投資実績を持った上にメタバース事業を乗せられる。

Discordは急成長しているユーザー数と売上のSNSでWeb3のバリューチェーンでは欠かせない立ち位置のプロダクトになっている。疑問としてはこのWeb3の良さを理解してそれに合わせてWeb3戦略を思い切って進めるか?会社としてもWeb3戦略をわざと曖昧にしているが、8月に複数のDiscordユーザーはあるアンケートを受けるように求められた。

2019年にアンケート結果によってDiscordはユーザー層を広げることを決意したため、アンケートはDiscordの未来を揺らぐ重要なものだ。2021年の8月に出たアンケートの質問をHsakaTrades氏がツイートしたが、そこでDiscordの次の動きをヒントしていたかもしれない。

画像クレジット:@HsakaTrades

漠然としたアンケートだったが、唯一のプロダクトに対しての質問はDiscordネイティブのクリプトウォレットについてだった。これはDiscordがWeb3コミュニティの利用率が上がっていることを理解した証拠でもあり、その領域に入るべきか検討しているのを示した。

それ以外の情報がないため、ここからは我々の想像で、どうWeb3にDiscordが参入するべきかを考えた。

Discordウォレット

8月のアンケートでは唯一のプロダクト関連の質問はDiscordのネイティブクリプトウォレットについてだった。Web3に参入するのであれば当然な展開になる。アイデアとしてはすべてのDiscordアカウントに対してクリプトウォレットを提供すること。ウォレット自体はMetamaskRainbowみたいにイーサリアムエコシステムをサポートしたり、PhantomみたいにSolanaのエコシステムをサポートするウォレットかもしれない。中立的な立ち位置のDiscordとしてはどのクリプトエコシステムも対応すること、そしてDiscordプラットフォームではクリプトユーザーがまだ少ないため、クリプトウォレットっぽくない形で提供するのが大事かもしれない。これを実行するには技術的にもUI的にも難しい。

ただし、Discordはどの会社よりもユーザーのディストリビューションと信頼を得ているので、Discordがこのような展開をすると多くの人たちがWeb3に参入できる。そしてウォレット連携をすることによってDiscordのプロダクトが拡張される。

  • ユーザー同士でメッセージだけではなく、トークンや暗号資産の送金できるようになる
  • Collab.landなどサードパーティボットに頼らずにDiscord内でトークンがないとアクセスできないサーバーやチャネルの機能を提供できる
  • 簡単にコミュニティがメンバーにトークンをairdropできるようになる
  • そしてウォレットを自社で開発するのはDiscordにもメリットがある。
  • 取引、スワップ、ステーキング、レンディングなどをマネタイズできる
  • Discordがインターネット全体のパスポートになる
  • ユーザーのウォレットに入っている物に関する体験作りができる

ウォレットはWeb3上ではアイデンティティとアカウントの役割を果たすので、ユーザーがオンライン上で常に持ち歩くものになる。そこにアクセスできるのは非常に重要なポジション。もちろん、これを実行するにはいくつものハードルがある。そもそもDiscordはクリプト経験者がチームにいない。ただ、ウォレット企業を買収することも可能なので、Discordが本気でWeb3領域へ参入したければウォレットが鍵となりそうだ。

DAO_OS

数週間前にMario氏がおもしろいミームをツイートした:

この「DAOスターターパック」でDiscordが一番最初に出てくるのは偶然ではない。多くのDAOが連携・コミュニケーションするためにDiscordがコアなツールとなった、いわゆるDAO文化に根付いたプロダクトだ。

以前、TwitterやRedditで立ち上がった非同期型のコミュニティがDiscordへ流れ込む話をしたが、Web3の場合はDiscordがより初期段階から利用されている。

DAOをどう始めるかというと、まずTwitterやTelegramで数名の友達に直接連絡して、アイデアや興味度合いを把握する。ある程度の興味があるとわかったタイミングでDiscordサーバーを立ち上げてそこで会話を続けて初期オーディエンスを作るのが一般的な流れ。この後にマルチシグネチャウォレットを立ち上げて調達をしたり、Snapshotなどのプラットフォームでガバナンスを決め始める。NFTコミュニティ、ソーシャルDAO、さまざまなWeb3ユースケースでプロジェクトのスタートは大体Discordから始まる。

これを考えるとDiscordがDAOのOS的なレイヤーを取りに行くチャンスがあるかもしれない。例えば財務管理プラットフォームやガバナンス管理を提供する会社との連携を行うことによってDiscordを出ずにコミュニティマネージャーが一括管理できる場所を用意する。

DAOのスタート時点として使われるほどのDiscordだが、同時に一部のユーザーから嫌われているのも事実。以下ユーザーは大型コミュニティの管理やDAOの連携としては適したツールではないが、今は仕方なく使っていると語る。

現在、DAOを立ち上げる際にはDiscordサーバーが最も使われるツールになっているが、まだ完全に適したツールではないことは確かだ。その関係性を深めるためにはDiscord側が連携などを通して機能性を高めなければいけないかもしれない。

取引手数料のビジネスモデル

Discordのビジネスモデルは後から付け加えたもの。ジェイソン氏曰く、元々、Steamと同じようにゲームストアを立ち上げてマネタイズする予定だった。ストアをリリースする前は売上を作らなかったDiscordは一部のユーザーを心配させた。Discordが顧客データの販売や広告モデルにいずれかシフトすると思ったユーザーを補うために課金型サブスク「Nitro」をローンチした。毎月支払うことによってユーザーは複数のアバター、カスタム絵文字、より良い動画の解像度など特典をもらえるプレミアム課金モデルだった。

ユーザーの心配を抑える一時的なモデルだったが、非常に効果的だった。劇的に体験を変えなくても課金するユーザーがいるのはDiscordへの満足度・愛情があるからだ。Nitroはユーザーにとって会社を応援・支援するメンバーシッププラットフォーム。このようなマネタイズモデルを抱えている大手テック企業は存在しない。

売上チャネルを増やすアイデアとしてDiscordはプラットフォーム内に売買・投資体験を検討するべき。Discordで会話をしている中でユーザーが他のユーザーに音楽・写真・フリーランスの仕事などを売れるようになったり、それ専用のDiscordマーケットプレイスを用意しても良いかもしれない。クリプト業界でも似たような立ち位置を抱えられる。Bored Ape所有者は会話しているチャネルで売買することができたり、Bankless DAOメンバーはディスカッションしながらトークンを購入できるのは非常に価値がありそうだ。

そしてもちろん、すべての購入はDiscordウォレット上で所有することになる。

現在、プラットフォーム内で購入・投資意欲を抱えた人はDiscordを離れないといけない。Discordは購入意欲がスタートするような場所と考えると、その行動を支援する機能を付け加えるのは相性が良さそうだ。結果としてはOpenSeaやFTXなどと似たような機能になるかもしれないが、スタートがコミュニティの会話からとなる。

分散型への進化

10億ドル以上の株式投資を受けているDiscordからすると最後のアイデアが起きる可能性は低いかもしれないが、トークンを活用してDiscordが分散型プラットフォームになるのもおもしろいかもしれない。

そもそもDiscordとWeb3には、相性が良いところもあるが、悪いところもある。Discordのサーバーはカオスで、多くのクリプト詐欺師がDMに変なオファーを出したりしている。さらにDiscordは分散型ではなく、集中型の会社である。このようなプラットフォームが分散型のプラットフォームへ進化するのは難しいので、ゼロからWeb3版のDiscordを誰かが作るべきと語る人も多い。

David Phelps氏はWeb3版Discordの要素を記載した。

  • トークンでのアクセス権限、リワード、投票機能を組み込む
  • ステーキングとイールドファーミングを可能に
  • アプリ内賞金やリワードでマネタイズ
  • 参加者/利用者がプラットフォームのオーナーになる

David氏はWeb3版Discordは出てこないと予想しているが、部分的にDiscordがアンバンドル化されて、特定のWeb3ツールが出ると考えている。

Discord自体が分散化した場合、どうなるか?上場するのではなく、$DISCORDみたいなトークンを発行することができるかもしれない。

これは誰も見たことがないピボットかもしれないし、法的に可能かもわからない。ただ唯一できそうなユニコーンはDiscordかもしれない。そもそもジェイソン氏とスタニスラフ氏はピボット慣れしている。そしてすでにDiscordは分散型のプロトコルっぽいサービスだ。インターネット上でスケールされたUGCコミュニティであり、ユーザーのクリエイティビティに頼り、ユーザーから必要以上にお金を取らないプロダクト。広告を出さないのを証明するためにNitroを出したDiscordとしてはガバナンストークンを発行するのはさらにそれを証明するアクションになる。

分散型プラットフォームへの進化は良いディフェンス戦略でもあり、オフェンス戦略でもある。

ディフェンスとしてはトークン発行はDiscordの課題解決に繋げられるツールかもしれない。コンテンツモデレーションに関わるメンバーを$DISCORDトークンを与えて、スパムを減らすために知らない人へのDMをする際はユーザーが少額の$DISCORDトークンを払わせるのはコミュニティ活性化に繋がる。

オフェンス戦略としてはDiscordのアップサイド、オーナーシップをユーザーに与えるとより多くのコミュニティがDiscordを活用するのと、リテンションを上げる施策になる。アプリ内経済のインセンティブ作りになり、コミュニティが自社でもトークン発行させるインフラにも繋がるかもしれない。

それをウォレットなどと組み合わせると$DISCORDトークンをDiscord MAUの1億5000万人にairdropすると一気にDiscordが世界最大級のWeb3プラットフォームとなり、Web3へ何千万人も紹介できるチャンス。Coinbaseでも6800万人のユーザーしかいないので、DiscordがWeb3に賛同するとインパクトが圧倒的に違う。

もちろん、ここまでの話はただの想像にしか過ぎないが、Discordがユーザーに想像するように命じたのでこのような記事を書いた。現実的に考えると、99.999%の確率でDiscordは分散化してトークン発行はしない。

ただ、急成長しているWeb3ユーザーセグメントを見てDiscordもこの領域に投資するべきだ。Discordはゲーマーのコミュニケーションインフラを開発したから成功したが、これからはインターネットというゲームのツール開発に関わることができる。

インターネットというオンラインゲーム

より多くの時間をインターネットで過ごして少しずつパッキー氏が書いたオンラインゲーム的な世界になる中で、ゲーマーがゲーマー向けに作ったチャットアプリで多くの人が集まるのは自然な流れかもしれない。Twitterがインターネットのタウンホール(市民が集まる公共の場)であれば、Discordは居心地の良いラウンジや隠されたネットワークになるかもしれない。そこで会社やDAOが作られ、関係性が築かれ、アイデアが生まれ、作戦が練られて、情報がリークされる。今までリアルの世界でも大きなスタジアムより学校のクラスルーム、混雑したレストラン、友達のリビングで人生を過ごして密な会話をすることが多い。

「Web 2.0」から「Web3」「インターネット」から「メタバース」へと進化するにあたり、次の世代のサービスの多くはDiscordの構成を参考にするはずだ。Metaはメタバースをコントロールしない。メタバースは共通の興味などを立ち上げたコミュニティやスペースをまたぐことができる場所になる。その新しい世界はわかりにくく、最初はカオスのように見える。集中型の利点はみんなが行き場所を指定してくれるので、わかりやすい。分散型のインターネットは地図や出会う場所などが必要になるが、その世界に最も適したプロダクトを作っているのはDiscordだ。

今はオンライン慣れしている人たちのファネルが存在する。TwitterからDiscord、最終目的地といった流れとなる。Discordはそのファネルのどのピースにいてどこを取りにいくのかによって「重要な会社」「かなり重要な会社」「世界的インパクトの会社」になる。Twitterと合併してインターネットのアテンションを支配するべきか?それともファネルのダウンストリームに行ってWeb3プロダクトと連携するべきか?最近の買収実績を見ると、AR領域へ展開している。Discordサーバーが世界に進化するのを想像しているのかもしれない。

Discordがすでにインターネット上で重要なパーツツールになっているため、まだローンチしてから6年しか経ってないことを忘れてしまう。まだDiscord自身も、どのような会社になりたいのかを理解していないかもしれない。しかし、それも同社の強みかもしれない。カオスだがまとまっていて、安定していて柔軟でもある。それを考えると、競合と比べても分散化された世界に最も対応力があるかもしれない。ユーザーの意思を受け継いでそのインフラを作ることができる組織。

マネタイズはどこかのタイミングで解決するはずだ。次の5年で売上を数千億円に成長させるかもしれないが、それが会社のおもしろみを表してはいない。Discordはインターネットというオンラインゲームの参加者の居場所を作っていて、ゲームは始まったばかりだ。

画像クレジット:Discord

(文:Tetsuro / @tmiyatake1

Discordがユーザーの反発を受けて暗号資産やNFTの調査を一時中断

Discord(ディスコード)の創業者でCEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏は米国時間10月10日、NFT(非代替性トークン)事業に手を出す差し迫った計画はないと発表し、ユーザーたちを安心させた。

シトロン氏は今週初めのツイートで、Discordのユーザーインターフェースに統合された暗号資産ウォレットMetaMask(メタマスク)の画像を、「probably nothing(おそらく大したことじゃない)」という発言とともにツイートした(これは、NFTの世界では、これから大きな出来事になることを示す隠語でもあるのだ)。同氏は、このツイートを水曜日の夜に補足して、Discordが暗号資産ウォレットをアプリに統合する「現在の計画はない」と発言した。

また、DiscordはTechCrunchに対して、計画を明らかにするために以下の声明を伝えてきた。

「今週初めのツイートでご覧いただいた内部コンセプトモデルについて、多くのご意見をいただけたことに感謝しています。しかし現時点では、これを実製品として提供する計画はないということをはっきりお伝えしたいと思います。私たちは、Web3テクノロジーの可能性ならびに、Discord上のコミュニティ、特に環境に優しくクリエイターを中心としたプロジェクトを中心としたコミュニティが、積極的に集まってくることに期待しています。しかし、解決しなければならない問題があることも認識しています。今のところは、スパムや詐欺、不正行為からユーザーを守ることに集中しています」。

シトロン氏は、元のスクリーンショットを、会社の公式発表としてではなく月曜日の返信ツイートでさりげなくシェアしたが、熱狂的なDiscordユーザーたちがすぐにこのツイートに飛びついた。同社はすぐに、このスクリーンショットはコミュニティのハックウィーク・プロジェクトの一部であり、Discordアプリの近未来像ではないと説明したものの、騒ぎは大きくなるばかりだった。

暗号資産スペースを警戒したDiscordのユーザーたちは、すぐにお互いにNitro(ニトロ)サブスクリプション(Discordの有料プレミアムサービスで、プラットフォームに広告がない状態を維持しているもの)を解約するように声をかけ合い始めた。反発が広がる中で、憤慨したDiscordのファンは、Web3とNFTについての意見を求める同社の最近の調査をも槍玉にあげた。

このスクリーンショットは、暗号資産ウォレットの統合がどのようなものかを示す単なるモックアップに過ぎなかったが、Discord自身は実際に、ブロックチェーン技術が既存のミッションをどのように補完できるかを積極的に模索していた。現在そうした作業の一部は中断していて、Discordは、プラットフォーム上に賑やかな拠点築いているコミュニティたちと、価値観を一致させるための最善の方法を再検討している最中だ。

Discordのユーザーの中には、暗号資産のマイニングが環境に与える影響を理由として、シトロン氏のツイートに対する激烈な反応をする人もいた。またより広く「NFTの類」に異議を唱える人たちもいた。しかし、Discord内の多くのNFTコミュニティさえも、ユーザーたちは暗号資産ウォレットの統合が、プラットフォーム上で横行する暗号詐欺を悪化させるだけだという懸念を示していたのだ。

2万の「いいね!」がついたあるツイートには「すぐにNitroを解約して、他のものを選択しよう。理由はCEOのツイートで十分だ」と書かれていた。「大きな声を挙げて、すぐに収益を減らしてしまうことが、現時点では唯一の変化の方策だ」。

シトロン氏の補足が示したことは、Discordはコミュニティに耳を傾けているということ、そして多くのNFTプロジェクトがプラットフォームのサーバーを本拠地としているものの、Discordのユーザーたちは、同社が暗号資産ビジネスに決して関わって欲しくないと思っていることは明らかだ。

反発を好む企業はないが、Discordの暗号資産への初期的な関心に対する否定的な反応は、同社のユーザーが現在の製品をどれだけ楽しんでいるかを本当に示している。ソーシャルメディアのユーザーは皆、変化を恐れている。たとえばInstagram(インスタグラム)のUIが少し変わっただけでどんなツイートが行われているかチェックしてみると良いだろう、その中でもDiscordのユーザーは、今ある製品を守ることに特に熱心なようだ。

関連記事
将来、DiscordにNFTと暗号資産ウォレットが登場するかもしれない
ツイッターが暗号技術チーム「Twitter Crypto」設立、ブロックチェーンとWeb3の研究拠点を目指す

画像クレジット:Discord

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

将来、DiscordにNFTと暗号資産ウォレットが登場するかもしれない

Discord(ディスコード)はすでに、NFT(非代替性トークン)のコミュニティの事実上の拠点となっているが、さらにこれらのつながりを大幅に深めることを計画しているかもしれない。

米国時間11月8日、Discordの創業者でCEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏が、Discordが人気の暗号資産ウォレットサービスのMetaMask(メタマスク)や、多くのモバイル暗号資産ウォレットが基盤としているオープンプロトコルであるWalletConnect(ウォレットコネクト)と統合されている様子を示すスクリーンショットをツイートした。シトロン氏は、本当は「これは大変なことになるだろう」を意味しているNFTのツイッター用語である「probably nothing(おそらく大したことじゃない)」を用いて、以下のようなツイートを行った。

現段階でのウォレットのサポートは、純粋に予備調査的なものに思える。シトロン氏は、この仮の暗号資産統合がどのように機能するのか、Discordが暗号資産統合の検討にどれほど真剣に取り組んでいるのかについては詳細を提示せず、同社もまた具体的な説明を拒んでいる。

Discordの広報担当者はTechCrunchに対して「私たちはいつでも、提供するコミュニティを改善できるものを探求し実験し続けています」と語った。そしてこのスクリーンショットは最近行われたハッカソンでのものだと付け加えた。

Discordがソーシャルチャットアプリに暗号資産機能を追加することに興味を持っているという想像はまだ仮説段階かもしれないが、もし同社がEthereum(イーサリウム)への対応を行うのであれば、その計画は単なる支払いにとどまらない可能性が出てくる。また、Discordは最近、NFTについての考えに関する調査をユーザーに対して行った。

2021年Discordは、何千ものNFTプロジェクトの自然発生的な拠点となった。それらのプロジェクトの多くは、専用のDiscordサーバーを通じて、フォロワーと連絡を取り合い、最新情報を送り、売上や市場の動きを追跡している。また、NFTの配布イベントをコーディネートする際にも、Discordが選ばれている。イベントでNFTが「鋳造」され、支援者たちに販売または配布された後、それらは最終的にOpenSea(オープンシー)などの取引プラットフォームに送られる。その際、多くの場合には、大幅な値上げが行われる(ご存知のように、通常はJPEGが対象だ)。

Discordは、Ethereumやその他のデジタル通貨での支払いを念頭に置いているだけかもしれないが、シトロン氏がMetaMaskのサポートをほのめかしたことは、NFTを中心としたより野心的な計画を示唆している可能性もある。Ethereumのようなコインは、基本的な支払いや取引に使用することができるが、この暗号資産は、Ethereumのブロックチェーン上のスマートコントラクトを通じて追跡・取引される、ほとんどのNFTの技術的バックボーンとしても機能している。

Discordは抜け目のない経験豊富な企業であり、人びとが自分のデジタルアイデンティティを表現するためにNFTをどのように利用しているかをよく理解していると思われる。Discordはテキストとボイスのチャットアプリで、ユーザーのアイデンティティは主にどんなアバターを選んだかで表現されている、これは現在NFTが注目していることだ。すでにTwitter(ツイッター)やDiscordでは、NFTに精通したユーザーたちが、最もレアな(そしてしばしば最も高価な)NFTを選んで、PFP(プロフィール画像)として使用している。MetaMaskがサポートされれば、Discordは、ユーザープロフィールにリンクされたギャラリーにNFTを展示したり、所有権がブロックチェーンによって担保された「認証済み」のアバター画像を選択したりする場所になるかもしれない。

特に、急成長を遂げているWeb3.0の分野で同社はその足場を活用できる立場にある。なおWeb3とは分散化、デジタルグッズ、所有権に基づく仮想IDなどで定義されると多くの人が予想しているインターネットの次の段階である、しかし、Discordは現状でも有利な材料を持っている。

ツイッターでは、シトロン氏のツイートと、同社が実施した「DiscordとWeb3.0」に関するアンケートが相まって、賛否両論が巻き起こった。多くのアカウントからDiscordユーザーに対して、DiscordがNFTに全面的に乗り出すのではないかという懸念を理由に、月額料金で機能特典を提供しているプレミアムNitro(ニトロ)サブスクリプションをキャンセルするよう呼びかけが行われた。「Nitroサブスクリプションを解約してやったぜ。@discordはクソ、NFTもクソ」とつぶやいたツイートには1万近くの「いいね!」がついた。

また、シトロン氏のツイートには、Discordの芽吹きつつある暗号資産計画が、詐欺やスパムでコミュニティサーバーを圧迫している結果になっていることを嘆く声も多数寄せられている。シトロン氏は、Discordが、NFTの交換や販売を中心とした多くのサーバーなどで横行するいい加減な行為に対処するために、新たなチームを設立したことを伝え、一部のTwitterユーザーを安心させようとした。「スパムとセキュリティは、この世界における当社の最優先事項です」とシトロン氏は書く。「最近、具体的な対処チームを立ち上げました。詳しくは追ってお知らせします」。

関連記事
DiscordがClubhouseのような音声イベント用チャンネルの提供を開始
RobloxがDiscordと競合するゲーマー向けチャットプラットフォームのGuildedを買収

画像クレジット:Discord/Eric Szwanek

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

Discordのモバイルアプリでもユーザープロフィールのカスタマイズが可能に

Discord(ディスコード)は、モバイルユーザーのために、一般的なソーシャルアプリで見られるような機能を新たに追加する。同社は米国時間8月3日、iOSとAndroid向けのアプリで、ユーザーが自分のプロフィールをカスタマイズできるオプションの提供を開始した。デスクトップ版のDiscordでは、6月下旬に同様の機能がすでに導入されている。

この新オプションは、Discordのユーザー設定メニューに追加された「ユーザープロフィール」にある。ここでは、リンクや絵文字を含めて、190文字以内で自分の紹介文を書き込むことができる。また、Discordが割り当てた新しいデフォルトのプロフィールカラーが自分のイメージに合わないと思ったら、好みのプロフィールカラーを選択することもできる。まだこのオプションが見当たらない場合は、この機能が広く導入されるのを待ってからもう一度チェックしてみよう。

カスタムプロファイルの追加に合わせ、月額有料版「Nitro(ナイトロ)」の加入者には、プロフィールバナーとして画像またはアニメーションGIFを選択できるオプションも提供された。このオプションはデスクトップ版では以前から提供されていたものだが、今回のカスタマイズ機能の追加により、主にiOSやAndroidでDiscordを使用している人も、ちょっとしたスパイスを効かせることができるようになった。

今回の機能追加は小規模なものではあるが、このチャットアプリが、よりプロフィールを重視するソーシャルネットワークに近いものになるための一歩と言えるだろう。これまでDiscordは長い間、サーバーと呼ばれるチャットルームにのみ力を注いできたが、この数カ月でQuality of Life(生活の質)を向上させる機能を次々と導入している。

2021年4月にはClubhouse(クラブハウス)のような音声イベントスペースを展開できる機能や、最近ではスレッド化された会話を作成して自動的にアーカイブする機能が追加された他、AIを利用してネット上の嫌がらせや攻撃的な発言からユーザーを守るソフトウェアを開発したSentropy(セントロピー)という企業を7月に買収している。

Discordはすでに、コミュニティ主導の音声・テキストチャットでキラーサービスとなっているが、今回の機能追加により、ゲームをルーツとする当初の小さな枠をはるかに超えて、より多くのユーザーを惹きつけることができるようになるだろう。

関連記事
Discordが新機能を発表、音声イベントのポータルとなる「Stage Discovery」機能や有料チケット制の導入など
Discordがスレッド機能導入、一定時間経つと自動的にアーカイブ化
Discordがネット上の有害コンテンツとハラスメントに真剣に取り組むためAIソフトウェアSentropyを買収

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Discordソーシャルメディアチャットツールアプリ音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Discord

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Discordがスレッド機能導入、一定時間経つと自動的にアーカイブ化

2021年初めにスレッド機能を開発中だと発表してその機能をTwitterでチラ見せしたDiscord(ディスコード)は今、にぎやかなサーバーでの会話をより包括的なものにする待望の手法を導入する。

「コミュニティ」機能が利用できるあらゆるサーバーは米国時間7月27日から、モバイルやデスクトップでメッセージをスレッドでの会話に変えることができる。スレッドはそれぞれのテーマの名称で区分され、これによりオフトピックなアイデアを自前のミニ会話に区別することが簡単になる。

画像クレジット:Discord

チャンネルのメンバーは、メッセージを見てまわったり、チャットバーにあるプラスサインを押したり、あるいは「クリエイト・スレッド」を選んだりするとコンテキストメニューに表示される新しいハッシュタグマークを選んでスレッドを作成できる。この機能は8月17日までに自動的にすべてのサーバーで使えるようになる。

「コミュニティが整頓された状態を維持するために会話を終わらせなければならない事態を回避しながら、そのまま会話に関わっていられるようにしたかったのです」と同社は新機能を発表するブログへの投稿で書き、にぎやかな新しいチャンネルに入るのが「3種の映画の真ん中に足を踏み入れるように感じられる」と指摘した。Discordは2020年、会話の流れをサポートするために返信機能を導入した。スレッドは同じ考えの拡大版だ。

チャンネルの流れから、Discordの新しいスレッドはフルスクリーンになる代わりにスプリットビュー区画となって開き、雑談として自然に機能する。スレッドのたったトピックはチャンネルのリストに表示され、チャンネルリストから選ぶとフルスクリーンで表示される。

画像クレジット:Discord

アクティブでなくなってから24時間するとスレッドは自動的にアーカイブ化される。チャンネルがオフトピックあるいは時間限定のチャットで溢れないようにするすてきな方法だ。機能が拡張されたサーバーは1日ではなく約1週間スレッドをキープでき、これによりチャンネルのメンバーは関連する雑談に加わる時間ができる。

Discordのプレミアム機能を通じて機能が拡張されたサーバーも、チャンネルリストには表示されないプライベートなスレッドを作ることができる。プライベートスレッドはスレッドにマニュアルで加えられたユーザー、あるいはスレッド内で名前が出てきたユーザーだけに表示される。

Discordはユーザーが会話に参加している各人を友達として加えることなくグループの会話を続けられるようにプライベートスレッドをデザインした。この機能は1対1あるいは小グループのチャットをより簡単に持とうとしているモデレーターにとって使えるものとなりそうだ。

画像クレジット:Discord

モデレーターはまた、チャンネル内で誰がスレッドを作ることができるか区分できる。チャンネルのメンバーはプライベートスレッドを使ったりスレッドを管理したりする許可が与えられ、あるいはパブリックスレッドの使用だけが許可されたりする(「メッセージを送る」は新しいスレッドを作るのを許可するときにオンになっていなければならない)。モデレーションボットを利用するときはスレッドは通常のチャンネルと同じように機能する。

関連記事
Discordが新機能を発表、音声イベントのポータルとなる「Stage Discovery」機能や有料チケット制の導入など
Discordがネット上の有害コンテンツとハラスメントに真剣に取り組むためAIソフトウェアSentropyを買収
ゲーミングチャットアプリのDiscordがARスタートアップUbiquity6を買収

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Discord音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Discord/Eric Szwanek

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

Discordがネット上の有害コンテンツとハラスメントに真剣に取り組むためAIソフトウェアSentropyを買収

オンラインチャットプラットフォームのDiscord(ディスコード)はSentropy(セントロピー)を買収する。AIを利用してオンラインハラスメントやヘイト発言を検出、削除するソフトウェアを開発している会社だ。

現在Discordは、発言の管理に「マルチレベル」のアプローチをとっており、社内の人力監視チームと有志のモデレーターと管理者の力で個々のサーバーの基本ルールを作っている。ユーザーを守り、コンテンツ管理ポリシーを整備することに特化したTrust and Safety(信用と安全)チームは、2020年5月時点でDiscordの労働力の15%を占めている。

Discordは、Sentropyの独自製品を既存のツールキットに組み込むとともに、同社の経営陣も迎え入れる。契約条件は明らかにされていないが、この買収は有害なコンテンツとハラスメントに真剣に取り組むことが正しい行動であるばかりでなく、ビジネスにもなることを示す証だ。

「Trust and Safetyチームの技術とプロセスは競争優位性のために使うべきものではありません」とSentropy CEOのJohn Redgrave(ジョン・レッドグレイブ)氏が合併を発表するプログ記事で述べた。「誰もがデジタルでもリアルでも安全でいる権利があります。モデレーターたちはこのオンラインで最も困難な仕事を、効率よくかつ悪影響なくこなすためのツールを与えられるべきです」。

Discordは危険なコンテンツに真剣に向き合うことに関して、必ずしも良い評判を得ていない。リアル世界の暴力と結びついた極右グループが、同プラットフォームに居着いていたこともある。Discordがヘイトや過激思想を厳しく取り締まるようになったのは、バージニア州シャーロッツビルで開かれた極右集会「ユナイト・ザ・ライト・ラリー」で反人種差別運動家のHeather Heyer(ヘザー・ハイヤー)氏が亡くなった後のことだった。

2018年2月、Discordは白人至上主義者とネオナチ・グループを追放してプラットフォームを浄化し、ルーツであるゲーミング事業から主流ソーシャルネットワークへと成長するための道を歩み始めた。現在Discrodは1億5000万人の月間アクティブユーザーを擁し、あらゆるコミュニティにとって居心地の良い場所という地位を確保しつつ、コアユーザーであるゲーマーたちを掴み続けている。

レッドグレイブ氏が自社とDiscordの自然なつながりについてブログで詳しく述べている。

Discrodはソーシャルネットワークの次世代を担う会社です。そこは、ユーザーが販売される商品ではなく、コネクティビティーとクリエイティビティーと成長のエンジンである世代です。このモデルでは、ユーザープライバシーとユーザーの安全はプロダクトの主要な要素であり、後付けではありません。このモデルの成功は、次世代のTrust and Safetyをあらゆるプロダクトのために開発することにかかっています。私たちはこの責任を重く考え、Discordの規模でDiscordの資源と人材とともに働くことで私たちの影響力を高められることを謙虚に受け止めています。

Sentropyは、オンラインハラスメントと虐待を発見、追跡、駆逐するためのAIシステムを擁して2020年夏静かに開業した。その後同社は1300万ドル(約14億4000万円)の資金を調達し、Reddit(レディット)の共同ファウンダーであるAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏と彼のVC会社であるInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)、King River Capital(キング・リバー・キャピタル)、Horizons Ventures(ホライゾンズ・ベンチャーズ)、Playground Global(プレイグラウンド・グローバル)らの著名な投資家が出資した。

Sentropyは、同社のソフトウェア製品であるDetect and Defend(ディフェクト・アンド・ディフェンド)を使用している既存の企業ユーザーに9月末までサービスを提供する。同社の消費者向け無料ダッシュボードのSentropy Protectは7月初めに閉鎖された。

関連記事:Sentropyがソーシャルメディア上の攻撃から人々を守るツールをローンチ、Twitterを皮切りに展開

Sentropyの製品はソーシャルネットワークに依存しておらず、特定のプラットフォームに特化したソリューションではないと考えられている。Discord傘下に入った後も、安全なオンライン空間を作るための知見を広くインターネットで共有していくつもりのようだ。

「私たち自身のコミュニティを守るために開発したベストプラクティスとテクノロジーとツールをインターネット全体で共有する最善の方法を、Discordとともに考えていくことをとても楽しみにしています」とレッドグレイブ氏は言った。

Discordの未来は明るい。同社は2021年4月、評価額100億ドル(約1兆1050億円)といわれたMicrosoft(マイクロソフト)による買収提案を固辞した。現在Discordは自立に満足しているようで、そう遠くない将来のIPOも計画している。

関連記事:Discordがマイクロソフトによる買収を固辞、独自に新規株式公開を目指す

カテゴリー:ネットサービス
タグ:DiscordチャットツールビデオチャットSentropy買収

画像クレジット:Discord/Eric Szwanek

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ゲーミングチャットアプリのDiscordがARスタートアップUbiquity6を買収

投資家から数千万ドル(数十億円)も調達し、2021年初めに実質的な方向転換を図った後、拡張現実(AR)のスタートアップUbiquity6とそのチームはゲーミングチャットアプリのDiscordに買収された。

野心的なUbiquity6はBenchmark、First Round、Kleiner Perkins、そしてARコンテンツをホストする消費者向けプラットフォームを構築するというビジョンに賭けていたGoogleのGradient Venturesなど一流の投資家からこれまでに3750万ドル(約41億円)を調達した。公開された直近の資金調達は2700万ドル(約30億円)を獲得した2018年10月のシリーズBだった。

Discordによる買収の条件は明らかにされなかった。しかしここ数カ月、Ubiquity6は構築に最初の数年を費やしたプロダクトの大半を放棄していたようで、これは同社が幅広いオーディエンスを見つけるのに苦労していたことをうかがわせる。

2017年創業のUbiquity6は携帯電話ユーザーがARコンテンツをブラウズするのに中心的な方法になるアプリの構築を描いていた。2019年後半に同社は、3Dスキャニングの物理的環境のプロセスをスマホのカメラでゲーム化することを目指すDisplaylandというプロダクトを立ち上げた

大衆に受け入れられるようにするという同社の取り組みは、AppleやGoogleなどを含むテック大手がかなり投資してきたにもかかわらずここ数年勢いを得るのにほぼ失敗していたモバイルARマーケットによって妨げられた。

2020年初め、CEOのAnjney Midha(アンジニー・ミドハ)氏はUbiquity6が従業員65人を雇用している、とTechCrunch に語った。

ここ数カ月でUbiquity6はかなり抜本的な方向転換を実行した。ユーザーがシンプルなオンラインパーティゲームをリモートで一緒に遊ぶことができるデスクトッププラットフォームを構築することを選び、ARを完全に捨てたのだ。Backyardというベータプラットフォームは米国がパンデミックから立ち直るにつれてなくなりつつあるパンデミック時代の習慣のためにデザインされていた。

買収を発表するMediumへの投稿の中で、ミドハ氏はUbiquity6のARテクノロジーがDiscordの中で生き続けるとの期待を控えめに述べた。

「Ubiquity6での我々のミッションは常に、人々が共有体験を通じてつながる新しい方法を見つけることでした」とミドハ氏は書いた。「Discordに加わることで我々はそのミッションを加速させることができます。Ubiquity6のチーム、プロダクトのBackyard、そしてマルチプレイヤーテクノロジーはDiscordに統合されます」。

関連記事
Discordがマイクロソフトによる買収を固辞、独自に新規株式公開を目指す
ソニーがDiscordに出資と提携、PlayStationにチャットアプリ搭載へ
Discordが新機能を発表、音声イベントのポータルとなる「Stage Discovery」機能や有料チケット制の導入など

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Discord買収拡張現実

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソニーがDiscordに出資と提携、PlayStationにチャットアプリ搭載へ

Sony(ソニー)とDiscord(ディスコード)は、ゲームに特化した人気のDiscordチャットアプリをPlayStation独自のソーシャルツールに統合する提携を発表した。Discord買収の交渉がごく最近打ち切られたことを考えると、大きな、そしてかなり驚くべき動きだ。噂されているDiscordのIPOを前に、ソニーはDiscordの少数株を取得するのにMicrosoft(マイクロソフト)よりも良い条件を提示したようだ。

関連記事:Discordがマイクロソフトによる買収を固辞、独自に新規株式公開を目指す

短い発表文の中で提携の正確な中身は示されなかった。実際に何が起きるのかTechCrunchが耳にしたことはというと、両社が「2022年初めにDiscordとPlayStationのエクスペリエンスをコンソールとモバイル上で一体化させる」ということで、これは少なくとも簡単に想像できることだ。

Discordは以前にもコンソールプラットフォームと提携しているが、その相手はMicrosoftで、特に深い統合ではなかった。今回の提携は「あなたがPS5で何をプレイしているのかを友達が見ることができる」「ソニーのシステムを利用するあらゆる人のための代替チャットインフラ」以上のものであることはほぼ確実だ。システム全域に及ぶ深い統合となる可能性があるが、あなたが友達を自分のゲームに招待したり、あるいは友達のゲームにあなたが参加したりするときに「Discordでのボイスチャットで開始する」というような、明らかにDiscordブランドのオプションだ。

2022年初めというタイムラインはまた、統合が主要なプロダクト変更であり、おそらくソニーの長期的なPS5ロードマップにおける大きなプラットフォームアップデートと同時に行われることを示唆している。

ボイスチャットに関しては新しいPlayStationが古いものよりも優れている一方で、古いものはそもそも良くなかった。そしてDiscordは扱うのは簡単というわけではないが、何百万人というゲーマーがすでに毎日使っている。そして最近ではゲームが排他的でなければ、しっかりとクロスプラットフォームであるというのが次善のオプションだ。というわけで、PS5プレイヤーがPCプレイヤーとシームレスにチャットできるのはその部分での弱点を減らすことになる。

もちろんMicrosoftはXboxとWindowsエコシステムの両方を展開しているというアドバンテージがある。しかし同社は繰り返し機会を模索してきた。Discordの買収はすべてをつなぎ合わせる欠けていたピースだったのかもしれないが、相手に逃げられてしまった。報道されたところではMicrosoftの買収交渉ではDiscordの企業価値を100億ドル(約1兆907億円)と評価したが、成長中のDiscordはIPOで自由に展開し、珍重されるペットになるよりも支配的なボイスプラットフォームになるという挑戦を選んだようだ。

金銭面に関していえば、ソニーはDiscordの直近の1億ドル(約109億円)のHラウンドに参加してすでに同社と関わっている。ソニーの拠出額は明らかにされていないが、引受額とトータルの評価額を考えたときに、必然的に少数持ち分以上とはなり得ない。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:DiscordSonyPlayStation

画像クレジット:Discord

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

セレブが教えるオンライン講座MasterClass効果がEdTechに与える意味とは

MasterClassは、セレブが教える講座のサブスクリプションを販売する、エンターテインメントと教育の境界を行く会社だ。Serena Williams(セレーナ・ウィリアムズ)のテニス教室、Gordon Ramsay(ゴードン・ラムゼイ)の料理教室など、バーチャルだが、意欲的な内容だ。講師が直接話しかけてくるという滅多にない可能性もなくはないが(実際に起きたことがある)、基本的にはドキュメンタリースタイルのコンテンツを会員専用ページで提供する。

関連記事:セレブによる特別講座を提供するMasterClassが107億円調達、コンテンツ拡充へ

その構想は注目を集めた。MasterClassは資金調達を実施中であり、評価額は25億ドル(約2690億円)だとAxiosが報じており、TechCrunchも別の情報源から確認した。しかし、MasterClassが芯で捉えたこの成功は、果たして他者が再現できるものなのだろうか。

投資家はまちがいなくそう思っている。MasterClassの共同ファウンダーが設立したOutlier(アウトライアー)は、手頃価格のデジタルカレッジコースのために 3000万ドル(約32億円)のシリーズCを今週完了した。Outlierとそのファウンダーの古巣との類似点は少なくない。この会社は事実上、MasterClassの高品質映像技術を大学教育に応用しようとしている。そしてそれは、チェスの元世界チャンピオンであるGarry Kasparov(ガルリ・カスパロフ)が立ち上げた「チェス愛好家のためのMasterClass」の記事を私が書いてからわずか1週間後のことだった。

関連記事:大学の入門コースをオンラインで提供、単位も取得できるOutlier.orgが32億円調達、コロナ禍で需要増大

MasterClassのコピーが立て続けに2社、数千万ドル(数十億円)のベンチャーキャピタルを集めたことで、私はこのモデルを分野に特化させ、さまざまなニッチに適用できるのではないかと考えるに至った。2020年以来、Zoom Universityの成功を受け、EdTech(教育テック)はもっと魅力的でなくてはならないことがわかってきたが、どうすればよいかは正確なところはわかっていない。嗜好の共通する人たちのためのマイクロラーニングコミュニティを作る?それともゲーミフィケーション?向上のための学習と、単位を取るための学習とでは動機づけが異なる。Outlierが成功するためには、MasterClassのマジックを使って対面授業に匹敵する結果を出せることを大学に証明してみせる必要がある。それはより困難でかつ野心的な約束だ。

私のつたない意見はさておき、私はEdTechのファウンダー2人に、彼らがMasterClassの効果をどう見ているかを尋ね、私の直感を確認するべく話を聞いた。

言語学習のスタートアップ、Toucan(トゥーカン)のファウンダーであるTaylor Nieman(テイラー・ニーマン)氏。

私たちがToucanで活用しているこの「インビジブルラーニング」というテーマに注目するこれらのモデルのやり方は良いと思いますが、人々のとても忙しい日々から時間を奪うという、他の多くの消費者製品と同じ問題を抱えています。継続する時間との競争は、低い参加率と非常に高い脱落率に繋がります。プロダクト自身をまったくといってよいほど使わないでどんな学習結果が得られるのか、私は疑問に思っています。

高校生向けの学習プラットフォームであるFiveable(ファイバブル)のファウンダーAmanda DoAmaral(アマンダ・ドアマラル)氏。

MasterClassが、なぜ教育コンテンツはもっとエンターテインメントのように扱われるべきなのかを表していることは重要です。コンテンツ品質のハードルは以前よりずっど高くなっており、そのことがあらゆる学習に与える影響を見るのが楽しみです。

生徒のためには、彼らを総合的に支援する環境を作り、自由に共同作業出来る場所を与えることが重要です。若者たちにそういう場所が必要なことは明白ですが、学生が本当に必要としているのが何かを私たちは見失っていました。私の学校では、生徒の最悪の事態を想定したポリシーを作りました。これを変えたいのです。最善を想定し、積極的に生徒たちを守り、必要な時に行動を起こせる手段を作ります。

ともあれ、この良き日に考えるべきことがいくつかある。この記事の後半では、資金調達のことからいつかやりたくなるかもしれない求愛行動まで、ファウンダーへの戦術的アドバイスに焦点を当てる。

孔雀のダンス

孔雀のオスがメスの注意を引くためにいつ羽を広げるかはご存知だろう。スタートアップが買収されようとする時はどうだろう。先のEquityでは、Discord(ディスコード)がMicrosoft(マイクロソフト)の買収を断ったニュースを取り上げ、そもそもそんな話が存在したのか、単にこのオーディオゲーミングプラットフォームに対する投資家の関心を高めるためだったのかについて語った。

ポイント:複数の会社からの買収提案を断ったあと、オーディオ・ゲーミングの巨人はIPOを目指している

Discordはだけでなく、統合環境は一部のセクターにとって引き続きホットな話題だ。

関連記事:Discordがマイクロソフトによる買収を固辞、独自に新規株式公開を目指す

画像クレジット:VectorInspiration / Getty Images

ベンチャーキャピタルでさえ、未来はベンチャーキャピタルだけではなくなることを知っている

カナダ・トロント拠点のフィンテックスタートアップで、企業に非希薄的融資を行うClearbanc(クリアバンク)は、企業価値20億ドル(約2154億円)で1億ドル(約108億円)調達し、ブランドを変えた。Cleacoと改名したスタートアップは、単なる資金プロバイダーではなく、サービス・プロバイダーにもなろうとしている。

ポイント:この会社は2020年、プロダクト開発に大忙しで、評価計算機やランウェイ(資金の猶予)ツールなどのサービスを立ち上げた。それはClearbancが当初標榜していた20分の条件規定所や矢継ぎ早の投資からは一歩外れていた。私はいくつかの要因を記事に書いた。

Clearcoの最近のプロダクトの多くはまだ生まれたばかりだが、会社の成否はベンチャーキャピタルに代わる資金源を探しているスタートアップの成長全般にほぼ結びついている。AlgelList(エンジェルリスト)の成長が、新たなファンドマネージャーの成長に結びついているのと同じように、Clearcoの成長はY Combinatorからのシード資金以上の融資を求めるファウンダーの成長と明らかに関連している。

画像クレジット:Iaremenko / Getty Images

チャンスを売り飛ばすな

ファウンダーへの戦術的アドバイスというテーマの続きで、マーケティングについて話そう。Parkin ConsultingのプレジデントであるTim Parkin(ティム・パーキン)氏は、スタートアップのファウンダーが騒がしい環境の中で突出するためのツールとしてマーティングをどう使うかを説明した。差別化はかつてないほど困難であり、かつ不可欠だ。

ポイント:パーキン氏はマーテック(マーケティング技術)が2021年に起こす4つの変化,について、いくつかの逸話とインフルエンサーへの投資の重要性を絡めて概説した。

画像クレジット:PM Images / Getty Images

TechCrunch周辺

TechCrunchのポッドキャスト、EquityがWebby! Meにノミネートされた。チームは勝利のために読者の協力が必要なので、こちらで投票していただきたい。あなたのサポートには1トンの重みがある。

関連記事

若者がビットコインのかけらに少額投資できる印CoinSwitchをTiger Globalが540億円超の評価で支援
やっぱり「ビデオ会議が続くと脳にストレスが溜まる」ことをマイクロソフトが科学的に証明

画像クレジット:TechCrunch

いつもご愛読ありがとうございます。インドおよび世界中でこの恐ろしい病に直面している読者のみなさんにお見舞い申し上げます。応援しています。

N

カテゴリー:その他
タグ:MasterClassオンライン学習教育DiscordMicrosoft

画像クレジット:RapidEye / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Discordがマイクロソフトによる買収を固辞、独自に新規株式公開を目指す

Microsoft(マイクロソフト)が人気ボイスチャットアプリ「Discord(ディスコード)」の買収を検討していると報道されてから1カ月が経過したが、その話し合いは打ち切られたと、この件に詳しい関係者がTechCrunchに認めた。

Discordは独立を維持する計画を検討しており、そう遠くない将来に独自に新規株式公開への道を切り開く可能性がある。この交渉が打ち切られたというニュースは、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)が最初に報じた。

両社は、マイクロソフトがDiscordを約100億ドル(約1兆600億円)の評価で買収するという条件で交渉を進めていた。WSJによると、Discordは3社と行っていた買収交渉を終了させたとのことだが、名前が挙がったのはマイクロソフトだけだった。

Discordの評価額は2020年後半の6カ月足らずで2倍に増え、2021年になってますます高騰している。当初ゲーマー向けに開発されたボイスチャットアプリとして親しまれてきたDiscordは、Clubhouse(クラブハウス)が火をつけたボイスチャットのトレンドよりもはるかに早く、その地位を確立していた。Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などの企業が音声ベースのコミュニティツールの構築に躍起になっている中、Discordは2021年3月末、そのプラットフォーム上でユーザーが音声イベントを行うための新機能を導入した。

関連記事
評価額3700億円超のDiscordがビデオゲーム縮小の方針でさらに100億円超を調達
DiscordがClubhouseのような音声イベント用チャンネルの提供を開始

Discordが売却に踏み切らなかったことは、大企業の既存製品に組み込まれるのではなく、独自のDNAを維持したいと考えている企業にとっては理に適っている。また、同社はこの選択により、長引く独占禁止法上の問題から距離を置くこともできる。米国では、業界のさらなる統合を防ぐために、大手ハイテク企業の合併を阻止する法案が議員によって検討されているからだ。

関連記事:巨大テック企業を規制する米国の新たな独占禁止法案の方針

カテゴリー:ネットサービス
タグ:DiscordMicrosoft買収新規上場音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Tiffany Hagler-Geard/Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

DiscordがClubhouseのような音声イベント用チャンネルの提供を開始

今や誰もがClubhouse(クラブハウス)のクローン作ろうと躍起になっているが、Discord(ディスコード)にとってそれはまったく理に適っている。

2020年、家に閉じこもっていた人々が社会生活を再開するための安全な方法を探していたことで、Discordの人気は爆発的に高まった。同社によると、Discordの新機能であるStage Channels(ステージチャンネル)は、新型コロナウイルス感染拡大時に見られた人々の新たな行動から着想を得たという。これは指定された話し手と聞き手による構造的なボイスチャットを円滑に行うための機能だ。

関連記事
Twitterの音声ソーシャルネットワーク機能「Spaces」がClubhouseより先にAndroidで利用可能に
フェイスブックがClubhouseクローンのライブ音声SNS機能を開発中
LinkedInもClubhouse類似機能を開発中

ボイスチャットは、すでにDiscordの中心的な機能となってる。数年前からこの機能は、特にゲーマーたちに、ゲーム内のチャット機能を上回るクリアでシームレスなボイスチャットサービスとして支持されてきた。しかし、根本的にはDiscordが多くの点で先んじていたとしても、現在のClubhouseからインスパイアされたボイスイベントの時流を否定することはできない。

画像クレジット:Discord

Discordによると、この新しいタイプのチャンネルは、音声ベースのAMA(Ask Me Anything、質問会)やインタビュー、ブッククラブ、さらにはカラオケのようなものをDiscordで行う際に役立つという。ステージチャンネルは、Discord上ですでに行われている活動を取り込むことができ、サーバーの運営者は、細かいユーザー権限の設定をする必要がなく、形式化された会話を簡単にホストすることができる。各チャンネルには、内容を示すラベルが付けられる。

この新しいチャンネルタイプは、これまで培われたDiscordの雰囲気に適していると言えるだろう。Discordユーザーであれば誰でも企画することができ、モデレーターツールを使って誰がいつマイクを握るかをコントロールできる。参加者はClubhouse(またはZoom)のように、手を挙げて発言する。また、静かに退出することもできる。

画像クレジット:Discord

ステージチャンネルは、Discord上の大きなグループを対象としたコミュニティサーバーに特化したものになる。新しいチャンネルを有効にするには、サーバーのオーナーがチャンネルをコミュニティサーバーに変更しておく必要がある。

そんな新しいステージチャンネルをどうやって発見するかについてだが、DiscordはDiscordなので、Clubhouseのようなアプリを開いた人にユーザーが作成したライブイベントを前面に押し出して提供する機能はない。Discordのコミュニティサーバーは、サーバー発見メニューに掲載されるように申請することもできるものの、このアプリは依然として、プライベートで親密なグループや、すでに参加している大きな関心事ベースのコミュニティに焦点を当てたものになってる。

Discordは、その健全なユーザー基盤と、カジュアルでシームレスなボイスチャットのためのアプリとして、これまで培われた有用性を考えると、ボイスベースのイベントというまったく異なる市場を獲得するのに適した位置にあると言えるだろう。Discordの主力はゲームコミュニティであり、一般的に若い世代が多い。Clubhouse初期の喧騒に押し寄せた起業家、VC、ブランドとは対照的だ。

DiscordはゲームのDNAを持っているが、それだけに留まらない。近年、Discordはゲームのルーツを裏切ることなく、それを超えて成長を続けており、今では大学の勉強会からインフルエンサーのファンハブまで、あらゆる方面にシームレスなチャット体験を拡大している。Discordは2020年、6カ月評価額を倍増させた。それからわずか3カ月後には、Microsoft(マイクロソフト)が100億ドル(約1兆1100億円)規模の買収に向けて同社と交渉中と報じられている。

関連記事
評価額3700億円超のDiscordがビデオゲーム縮小の方針でさらに100億円超を調達
ゲームチャットDiscordが145億円調達、月間アクティブユーザーは1.4億人

カテゴリー:ネットサービス
タグ:DiscordClubhouse音声ソーシャルネットワークチャットツール

画像クレジット:Discord/TechCrunch

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉最終段階か、買収額は1兆円強規模

マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉大詰めか、買収額は1兆円強規模

MARTIN BUREAU via Getty Images

ゲームプレイ向けの低遅延なボイスチャットサービスDiscordが、買収に興味を持つ複数の企業と交渉に入っていることをGamesBeatなどが報じました。有力な交渉相手としてはマイクロソフトの名前が挙げられており、Bloombergは交渉が最終段階にあるとして、100億ドル以上の規模になると伝えています。

Discordは低遅延のボイスチャットがゲーマーなどに人気のサービスで、新型コロナのパンデミックによって人々の娯楽としてビデオゲームの人気が上昇したこともあり、2020年にはユーザー数が倍増、売り上げは1億3000万ドルに急成長しました。その企業価値は12月には70億ドルとも評価されていますが、まだ企業として利益を出すには至っていないとも言われています。

他に買収に手を上げている大手企業としてはFacebookの名前があります。ただ、FacebookはAmazon、Google、Appleなどとともに独占禁止法関連の調査を受ける立場にあり、いまの時点ではやはりマイクロソフトが最も有力な買い手ということになります。マイクロソフトは2020年末時点で1310億ドルの現金を保有するなど資金力は申し分ありません。今年初めにはゲームパブリッシャーZeniMax Mediaの買収を完了し、さらなるゲーム関連企業を買収すべく検討しているとうわさされていました。

Discordはすでに数百万のゲーマーたちが登録済みで、マーケティングやプロモーションを仕掛ける対象としても有望です。しかし、現在のDiscordの独立性もまた、ゲーマーたちに対する魅力の重要な部分といえるかもしれません。これが大企業によって買収された場合、その企業の関係するゲームやサービスにDiscordのサービスも偏っていく可能性があります。

DiscordのCEO、Jason Citron氏の以前の会社であるモバイルゲームソーシャルプラットフォームOpenFeintは、日本のGreeに買収されたものの、両社のサービス統合はうまくいかず最終的にOpenFeintが閉鎖されるに至っています。

(Source:GamesBeatEngadget日本版より転載)

関連記事
ゲームチャットDiscordが145億円調達、月間アクティブユーザーは1.4億人
チャットアプリDiscordの画面共有がiOSとAndroid端末でも可能に
ビデオチャットDiscordが約7280億円の評価を受け資金調達ラウンド完了へ
マイクロソフトがBethesda親会社を買収、Elder ScrollsやFalloutなどがXboxクラウドゲーミングサービスへ
評価額3700億円超のDiscordがビデオゲーム縮小の方針でさらに100億円超を調達
【次世代SNS編】米国SNSの最新事情とZ世代が新しい場所を求める理由(その3)
隔離生活で求められる自然発生的なコミュニケーションを生むソーシャルアプリ

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Xbox / エックスボックス(製品・サービス)SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)ゲーム(用語)ZeniMax MediaDiscord(企業)買収 / 合併 / M&A(用語)ビデオチャット / ビデオ会議(用語)Microsoft / マイクロソフト(企業)

株取引掲示板のWallStreetBetsがヘイトスピーチで公開停止に

Reddit(レディット)トレーダーが株式を支配し、ヘッジファンド空売り人と戦う公開市場激動の日の翌日、人気株取引掲示板のWallStreetBetsはDiscordでの居場所をなくし、Redditのr/wallstreetbetsコミュニティは招待のみのsubreddit(サブレディット)として封鎖されている。

【更新】1月28日午後太平洋標準時4時49分、r/wallstreetbets サブレディットは復活し管理人のu/zjzは投稿で、同グループは「成功の苦しみ」を経験している、新たに受けた注目に対応するためにRedditの助けが必要だと訴え、彼らのチャットコミュニティを禁止したDiscrordを非難した。「Discordは卑劣な手を使った。我々のコミュニティを破壊したことは感心しない」と管理者は記している。

Discordは同日午後、WallStreetBetsのDiscordサーバーを、「再三の警告」にもかかわらずヘイトスピーチ違反が続いために停止したことを発表した。同グループのDiscordサーバーには、サブレディットのアクセス急増とともに過去数日間新規ユーザーによるトラフィックが殺到した。

一方、Reddit側では何が起きたのか、いまいちはっきりしない。Redditが同コミュニティに対して直接行動を起こしたようには見えないが、r/wallstreetbetsの管理人は新規ユーザーの増加に圧倒され、自身でこのサブレディットを閉鎖した。サイトによると、現在管理人および「認定済みユーザー」のみがコミュニティに参加することができる。長年のメンバーの何人かが、数百万人の登録者のいるこのコミュニティをアクセスできないとソーシャルメディアに書いている。

本誌はRedditに連絡を取り、詳細の説明を求めている。

米国時間1月28日、WallStreetBetsのサブレディットが制限される前にTechcrunchに送られてきた声明で、Redditの広報担当者は「Redditのサイト全体のポリシーは違法コンテンツの投稿および違法取引の勧誘、促進を禁止しています。状況を確認の上、警察当局の捜査に協力し、必要な措置を取ります」と語っている。

Discord広報担当者がTechCrunchに宛てた声明の全文は以下のとおりだ。

WallStreetBetsサーバーは、ヘイトスピーチ、暴力の称賛、誤情報の拡散など、当社のコミュニティガイドラインに違反するコンテンツが、時折当社の信頼・安全チームのレーダーにかかっていました。過去数カ月間、同サーバーの管理者に対して複数回警告を発しました。

本日、当社はサーバーとそのオーナーをDiscordから削除しました。再三の警告にもかかわらず憎悪に満ちた差別的コンテンツを許容しつづけたことが理由です。

なお、このサーバー停止は、GameStopなどの株に関連する金融詐欺が理由ではないことを念のために申し上げます。Discordは、投資クラブやデイトレーダーから大学生や専門投資アドバイザーまで、個人資産管理に関する幅広い議論を歓迎しています。当社は現在の状況を観察中であり、不法行為の申立があった場合には、必要に応じて当局に協力する所存です。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:RedditDiscordヘイトスピーチ

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ゲームチャットDiscordが145億円調達、月間アクティブユーザーは1.4億人

ソーシャルディスタンスの強制が続くことも大きな要因となってあらゆるコミュニケーションのリモート化は我々の社会、経済活動においてますます重要な地位を占めている。そこから利益を得ている企業には資金も集まってくるようだ。ゲーマーをはじめ多くの人に使われている人気チャットのプラットフォームであるDiscordがさらなる資金調達で1億4000万ドル(約144億8000万円)を調達し、月間アクティブユーザー数も1年前の2倍となる1億4000万人に達するという。

Discordに近い複数の情報源は今回のラウンドの会社評価額が70億ドル(約7238億円)だったと明かした。これはわずか6カ月前の評価額の2倍にあたる。

我々はDiscordがシリーズHラウンドの調達総額1億4000万ドル、評価額は70億ドルに達する見込みだと書いている。これは同社がデラウェア州当局提出した会社情報によるもので、最初に発見したのはPrime Unicorn Indexだった。つまりDiscordがすでに調達した1億ドル(約103億4000万円)にさらに4000万ドル(約41億4000万円)を調達する(そしておそらくはすでに調達した)ことを意味する(我々はアップデートでこの部分を確認した)。

Discordの共同創業者でCEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏は声明でこう述べた。

信じられないほど多様なコミュニティがDiscordを集まる場所に選び、驚くほどの成長を達成できたことを光栄に思い、また身の引き締まる思いをしています。2021年に向けて、無料サービスと有料のサブスクリプション、Nitrの双方をさらに改善するために調達した資金役立てる予定です。

今回のラウンドはGreenoaks Capitalがリードし、Index Venturesも参加していることを複数の情報源が確認している。Greenoaks Capitalの創業者でマネージングパートナーであるNeil Mehta(ニール・メタ)氏は次のように述べている。

(Greenoaksは)ゲームをプレイするにも、レシピを共有するにも、ビジネス上で共同作業するにもコミュニティが集まるのに最適な場所がDiscordだと信じています。これは人々の交流の方法が限りなくイノベーションを続け、成長し、最終的には世界中の何十億もの人々をつなぐ場所となるはずです。Discordチームとのパートナーシップを長期的な続けることができることは幸運です。

PrimeUnicornのレポートは、数週間前のTechCrunchの記事を裏づけてる。情報源は同社が2020年11月末に最大70億ドルの評価額でラウンドを実施中だと確認した(我々はこの評価額が事実かどうか確認しようとしている)。

今回のラウンドの情報はしばらく前から流れており、一部では「未公開のスタートアップの上場を準備する「プレIPOラウンド」だとしていた。Prime UnicornはDiscordの今回のラウンドでの1株あたりの評価価格は280.2487ドルで、シリーズGでは144.1809ドルだったとしている。

同社の既存投資家はGreylock、IVP、Spark Capital、Tencent、Benchmarkなどだ。ラウンドHの1億4000万ドルを含めてスタートアップが調達した総額は4億2000万ドル(約434億3000万円)になる。

これほど大規模な資金調達は、コミュニケーションのためのバーチャルチャンンルが現在の我々の生活の重要な部分だというの証であるのはもちろんだが、Discord自体の急成長をも意味する。

Discordはもともと人気オンラインゲームをプレイする際のコミュニケーションチャネルだった。簡単にいえば、誕生当初はゲームの副産物だ。ジェイソン・シトロン氏とStanislav Vishnevskiy(スタニスラフ・ヴィシュネフスキー)氏はHammer&Chiselゲームスタジオの一部として、ゲーム(自身で開発したものはもちろん、サードパーティーのゲームも含めたすべてのゲーム)をプレイしながら戦術その他の情報を共有するツールとしてスタートした。

Amazon(アマゾン)が提供するゲームストリーミングサービスのTwitchやeスポーツののプラットフォームでは、プレイヤーと観客の双方が「今画面で何が起きてきるのか」についてリアルタイムで解説が得られる場所を持つことが特に重要になる。

今や本格的ゲームだけでなくカジュアルゲームも、マスマーケットをターゲットとしなければならない。そこでゲーマーのコミュニケーションツールも大規模化が自然の流れとなる。事実、Discordの成長は爆発的で、月間アクティブユーザー数は2020年は2倍の1億4000万人に達し、1日あたりのダウンロード数は80万に上るという。

DiscordはAmongUsのようなバイラルに人気が出たゲームで使われており、ゲーム以外の用途にも拡張されている。こうしたことが追い風の要因だろう。

同社は2020年初めに35億ドル(約3618億7000万円)の評価額で1億ドル(約103億4000万円)を調達しており、その時点でシトロン氏とヴィシュネフスキー氏は、Discordのプラットフォームがすでにゲームという分野を超えた存在になっていることを示唆した。両氏はこう述べている。

多くのユーザーにとってDiscordはもはやビデオゲームの付随サービスではないことが判明した。これは情報の交換にせよ、充実した時間を過ごすためにせよ、 単に親しい友だちと居心地よく会話するためにせよ、Discordが最適なツールとなっている。

しかしながら、ゲーム世界の外への成長は同時に痛みをともなうものでもあった。Discordは、プラットフォームで白人至上主義のような不快なメンバーと戦わざるを得なかった。同社はこうした戦いは峠を過ぎており、プラットフォーム上にBlack Lives Matterの主催者もいるし、そもそも非政治的なソーシャルメディアのインフルエンサーも多いと主張している。ただしすべての批判者を納得させるところまではいっていないようだ。まだ過去の話ではなく引き続き取り組むべき課題なのだろう。しかしこれは他のソーシャルプラットフォームも同じだ。

Data & Society Research Instituteのメディアバイアスの上席研究員であるJoan Donovan(ジョーン・ドノヴァン)氏は、数年前にSlate のインタビューで「Discordはが暴露や嫌がらせキャンペーンの組織化の中心」になっていると非難した。

ラウンドGの直後にラウンドHで1億4000万ドルもの資金調達が実施できたことは興味深い。同社とその投資家はDiscordがゲーマーだけでなく、オンラインに参加している多くの々のために優れたコミュニケーションのプラットフォームとなる明確な野心を持っていまる。ただしこれは巨額の資金を要する野心だ。

しかし野心の一部はすでに実現されている。Discordの画面共有機能がデスクトップからiOSとAndroidアプリに拡張されるという最近のニュースがいい例となる(Twitterが最近Squadを買収したことに似ている)。

ラウンドHの1億ドルの資金調達をリードしたIndexVenturesのDanny Rimer(ダニー・リマー)氏、「Facebookのように投稿をそのまま表示するのではなく、(Discordは)コンテキストを含めたコミュニティにおける有体験を提供します。Slackがビジネスチャットで果たしている役割をDiscordはソーシャル分野の会話で果たすでしょう」と述べている。

なおPrime Unicorn は、シリーズHラウンドでは「精算時に残余財産があった場合の分配をすべてのラウンドの参加者を同一権利として扱うパリパス方式によるものとしていることに注意するよう」促している。

Prime UnicornIndex_Discord_COI_12112020(デラウェア州提出文書・PDF)

関連記事
ビデオチャットDiscordが約7280億円の評価を受け資金調達ラウンド完了へ
チャットアプリDiscordの画面共有がiOSとAndroid端末でも可能に
Twitterがスクリーン共有ソーシャルアプリのSquadを買収

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Discord資金調達ゲーム

画像クレジット:Discord

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook