次のテック公聴会の標的はSNSのアルゴリズム、YouTubeが初めて証言へ

議会では毎週のように大きなテック関連の公聴会が開かれている。相次ぐ反トラスト改革法案が待っている中、民主党議員らは、世界最強クラスのテック企業を再び呼び出して尋問しようとしている。

米東部時間4月27日午前10時に予定されている次期公聴会で、上院司法委員会のプライバシーおよびテクノロジー小委員会は、アルゴリズムによる誤情報増幅の問題に焦点を絞る。具体的には、いかにアルゴリズムが危険なコンテンツを増幅し、ソーシャルプラットフォームにおけるユーザー行動を変えるかを検討する。

小委員会議長のChris Coons(クリス・クーンズ)上院議員は、以前テックCEOたちを連れてくることを示唆していたが、4月27日の公聴会では、代わりにFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Youtube(ユーチューブ)各社のポリシー責任者が証言台に立つことになった。

この公聴会は、YouTubeに圧力をかけられる稀有な機会になるかもしれない。世界最大級のソーシャルネットワークでありながら、そして、過激思想と誤情報のコントロールに関する再三の失敗に関する透明性を欠いているにもかかわらず、YouTubeは滅多に議会の顕微鏡下に置かれたことがない。YouTubeの公開ポリシー地域ディレクターであるAlexandra Veitch(アレクサンドラ・ヴェイッチ)氏が会社の代表として召喚される。

過去の大きな公聴会では、Google CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏がYouTubeの親会社を代表して登場することが多く、YouTubeのCEOであるSusan Wojcicki(スーザン・ウォジスキ)氏はどういうわけか監視の目を逃れてきた。Googleは巨大な存在であることから、議員はピチャイ氏をGoogleの検索と広告ビジネスを巡る問題で追求することになる結果、YouTubeとそのポリシー特有の問題は紛れてしまいがちだった。

先週の敵対的アプリ・ストア公聴会にAppleだけでなく同社を批判する人々が出席したのと同様、誤情報研究者のJoan Donovan(ジョーン・ドナヴァン)博士と元Googleで大型テック企業を再三批判しているTristan Harris(トリスタン・ハリス)氏も、火曜日に証言する。この緊張感がより深い尋問につながり、議員の技術的知識の不足を補う外部専門家の意見をもたらすに違いない。

これらの会社のポリシー責任者は、見出しを派手に賑わすことはないかもしれないが、各社が毎日行っているコンテンツ選択に関する彼らの知識の深さを踏まえると、より本質的な情報を引き出すチャンスだ。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏やJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏などのテックCEOは、これまでに数多くの公聴会に引っ張り出された結果、和合が始まり、最高幹部たちははほとんど何も晒すことなく、彼らのプラットフォームで行われている日々の意思決定に関してだんまりを決め込むようになった。小委員会の有力メンバーであるBen Sasse(ベン・サス)議員(共和党・ネブラスカ州)はその点を強調し、公聴会は学ぶ機会であり、ヒアリングショーではないと語った。

民主党はアルゴリズムに関して以前から警鐘を鳴らしてきた。共和党がトランプ政権の後半を費やして、テック企業が削除した投稿をしつこく追い回していたのに対して、民主党は暴力的コンテンツや過激主義、ときには極端な誤情報などが掲載を放置され、さらにはテック企業がめったに明らかにしない秘密のアルゴリズムによって強調さえされるていることに焦点を当ててきた。

アルゴリズムの透明性は、ほとんど明らかにされてこなかったが、それも変わる可能性がある。狙いを絞った上院の改革法案230条は、大企業のアルゴリズムが過激主義を増幅したり、公民権を侵害した時には、法による保護を奪い取るものだ。

Twitter CEOのジャック・ドーシー氏は、別のアプローチを検討中であることを示し、将来ユーザーが好きなアルゴリズムを選べるようになり、サードパーティー・マーケットプレイスのようなものから選べる可能性さえ示唆した。いうまでもないが、Facebookは自分たちのユーザーにアルゴリズムの制御を与える計画を一切示していない。

誰が何を見るかをプラットフォームが決める方法に大きな変更が起きるのはずっと先のことだろうが、4月27日には議員たちがブラックボックスをこじ開けようとするところを見られることを期待しよう。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmake、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ついにアップルが導入開始した「アプリのトラッキングの透明性」について知っておくべきこと

Apple(アップル)のモバイルOSの最新バージョン「iOS 14.5」が、米国時間4月26日に配信開始となった。これに伴い、多くの議論を巻き起こした「App Tracking Transparency(アプリのトラッキングの透明性)」という新しいプライバシー保護機能が導入される。

この機能は約1年前に発表されたが、アップルはアプリ開発者に準備期間を与えるために導入を延期していた。以来、この機能への対応はすでにiOSで始まっており、いくつかのアプリがすでに採用している。例えば、Duolingo(デュオリンゴ)やVenmo(ベンモ)では、ユーザーにデータ追跡の許可を求めることが確認されている。だが、アップルは今回のアップデートから実際に新しい規定の施行を開始すると述べている。

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つまり、iPhoneユーザーは一般的なアプリケーションを使用していると、何度もプライバシーに関するプロンプトを目にするようになる。アプリごとに「他社のAppやウェブサイトを横断してあなたのアクティビティを追跡する」許可を求めて来るのだ。追跡(トラッキング)許可を求めるすべてのアプリは、iOSの広範な「プライバシー」設定の中の「トラッキング」メニューに表示され、個々のアプリまたはすべてのアプリについて、トラッキングのオン / オフをいつでも切り替えることができる。

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トラッキングのオン / オフを切り替えると、実際にどのような効果があるのだろうか?トラッキングをオフにすると、そのアプリケーションは、アップルのIDFA識別子を使ってあなたの行動に関するデータをデータブローカーやその他の第三者と共有し、広告のターゲットにすることができなくなる。また、アプリが他の識別子(ハッシュ化されたメールアドレスなど)を使ってあなたを追跡することもできなくなるが、アップルにとって実際にポリシーのこの部分を施行することは、より困難になるかもしれない。

画像クレジット:Apple

App Tracking Transparencyについては、リリースに向けて激しい議論が交わされてきた。賛否両論あるものの、賛成派の説明は簡単だ。これまで膨大な量の個人情報や活動が、消費者の同意なしに収集されていた(アップルは「あなたのデータの1日」と名づけられた報告書でその概要を説明している)が、その共有を簡単に制御できるようになるということである。

しかし、Facebook(フェイスブック)は、この新ポリシーが広告ターゲティングに深刻な打撃を与えることから、手頃な費用で効果的な広告キャンペーンを行うためにターゲティングを利用している中小企業に損害を与えると主張している。

さらにFacebookは、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)、The Washington Post(ワシントン・ポスト)に「世界中の中小企業のためにAppleに立ち向かう」と宣言する広告まで掲載した(電子フロンティア財団は、このキャンペーンを「Facebookのビジネスに悪影響を与えるアップルのプライバシー保護強化に向けた変更を阻止しようとしつつ、自社の反競争的な行動やプライバシー問題に関する失態から人々の目を逸らさせようとする、Facebookの笑えない試み」と断じた)。

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なお、このような変更は一部の開発者や広告主に「存亡の危機」をもたらす一方で、アップルには利益をもたらすことにもなるという意見もある。

これがどれほどの影響をもたらすかということは、どれだけ多くの人がトラッキングの拒否を選択するかにかかってくるだろう。アプリ開発者はトラッキングの有無に応じて何らかの機能を制限することができないため、このようなプロンプトが表示されたときに、一般的なiPhoneユーザーの多くが「許可」を選択するとは考えにくい。しかし、モバイルアトリビューション分析会社のAppsFlyer(アップスフライヤー)によると、初期の調査結果によれば、「許可」選択率は39%にも達する可能性があるという。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14IDFAApp Tracking Transparency広告Facebook個人情報プライバシー

画像クレジット:Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックがアプリ内でSpotifyをストリーミングできる新機能を導入、日本でも提供

Facebook(フェイスブック)は先週、アプリ内で直接音楽やポッドキャストを聴く新しい方法を導入しようと、音楽ストリーミングサービスSpotify(スポティファイ)とのProject Boomboxという提携拡大を発表した。そして米国時間4月26日、両社は新しい「ミニプレイヤー」エクスペリエンスとして統合の展開を開始した。この新機能では、FacebookユーザーはiOSとAndroidのFacebookアプリを通じてSpotifyからストリーミングできる。無料のSpotifyユーザー、プレミアム購読者いずれも利用可能だ。

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ミニプレイヤーそのものは、Spotifyのアプリ内ですでにサポートされているソーシャルシェアリングオプションの拡張機能だ。現在、SpotifyユーザーがFacebookで共有したいコンテンツを聴いているとき、既存の「シェア」メニュー(スクリーン右上の3つのドットのメニュー)をタップし「Facebook」か「Facebook News Feed」を選べる。

ユーザーが個人のトラックやポッドキャストエピソードをシェア機能を通じてFacebookに投稿するとき、投稿は新しいミニプレイヤーに表示されるようになっている。これにより、ユーザーの投稿を目にした他の人がコンテンツを再生したり、再シェアしたりできる。

Spotifyの有料購読者はフル再生もできる、と同社は話す。一方、無料ユーザーはクリップではなく、シェアされたトラックを聴くことができる。しかし結局、無料ユーザーはSpotifyのアプリでそうしているように、広告入りのコンテンツをシャッフルモードで聴くことになる。

これがどういう仕組みになっているのか、注意すべき大事なことは、統合によって音楽あるいはポッドキャストのコンテンツが実際にSpotifyのアプリから再生するようになっているということだ。ユーザーがミニプレイヤーでプレイボタンを押すとき、ユーザーがSpotifyにログインできるようにアプリの切り替えが起こっている。ミニプレイヤーはSpotifyアプリの立ち上げと再生を起動してコントロールしている。これがユーザーがFacebookをスクロールしたり、Facebookアプリを最小化しても再生が続く理由だ。

この設定はユーザーがスマートフォンにSpotifyアプリをインストールし、ミニプレイヤーを機能させるのにSpotifyアカウントを要することを意味する。初めてSpotifyを使うユーザーは、ミニプレイヤー経由でシェアされた音楽を聴くために無料のアカウントを申し込む必要がある。

Spotifyは、ミニプレイヤーのエクスペリエンスそのものを通じて有料アカウントを申し込むことはできない、と説明する。そのため、新規購読でFacebookと分け合う売り上げはない(ユーザーはSpotifyアプリをダウンロードし、アップグレードしたければさらに有料アカウントに申し込まなければならない)。

この提携でSpotifyは新型コロナウイルス特需による購読者の増加がなくなりつつある現在、配信を増やし、アカウント申し込みとアプリのリピート使用を拡大するのにFacebookのリーチを活用できる。しかし、ストリーミングを行なっているのは実際にはSpotifyのアプリであるため、これまで同様、ストリームで支払われるロイヤルティには責任を持つ、と同社はTechCrunchに説明した。Spotifyはまた、音楽カタログそしてコンテンツとともに流れる音声広告も全面的に受け持つ。

Facebookにとって、この契約はユーザーがFacebookサイトでもっと時間を費やすようにする貴重なツールを持つことを意味する。過去数年、ユーザーがFacebookで費やす時間は減ってきていると報道で指摘されている。

SpotifyとFacebookは、音楽に関する取り組みで協業してきた長い歴史を持つ。2011年にFacebookは、今回のように音楽サブスクのユーザーがFacebook上で直接音楽を楽しめるようにするアップデートを計画していた。しかしそうした計画は後に振り出しに戻った。おそらく音楽の著作権かテクニカル上の問題のためだ。SpotifyはFacebookのティッカーにおける最初のメディアパートナー企業の1社だった。ティッカーはユーザーに友達がFacebookや他のサービスで何をしているのかをリアルタイムに示すというものだ。Spotifyはかつて、モバイルアプリ向けにFacebookログインをデフォルトで提供してもいた。展開されてもう何年にもなるが、Facebookとの統合のおかげでデスクトップのSpotifyユーザーは、Facebookでつながっている友達がSpotifyで何をストリーミングしているのか知ることができる。

今回の提携の更新と拡張のタイミングは興味深い。FacebookとSpotifyには、Apple(アップル)という共通の敵がいる。Appleのプライバシーにフォーカスした変更はFacebookの広告事業に影響を及ぼしており、またAppleのApple Musicとポッドキャストへの投資はSpotifyにとって脅威だ。ここ数年のFacebookの自社による音楽の取り組みは、音楽レーベルとの合意による音楽ビデオの統合など、提携へとシフトした。Facebookの収益化ツールとクリエイター経済をターゲットとするサービスに関する幅広い取り組みを支える新しいストリーミング機能を稼働させるのに、Spotifyのようなパートナーに目を向けるのは理に適っている。

ミニプレイヤー機能は4月26日のグローバル展開の前にメキシコとタイでテストされた。

今回のインテグレーションは、米国に加えてアルゼンチン、オーストラリア、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、ガテマラ、ホンジュラス、インドネシア、イスラエル、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、南アフリカ、タイ、ウルグアイで展開されている。

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タグ:FacebookSpotify音楽ストリーミングSNS

画像クレジット:Spotify

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Facebookがインストリーム動画トピックスなど動画広告に関する新機能のテストを開始

Facebook(フェイスブック)は、FacebookおよびInstagram(インスタグラム)における動画広告主に向けたいくつかの新機能と、それらの広告を視聴する可能性があるユーザーに関する最新の数値を発表した。

まずは数字から。Facebookによると、インストリーム動画広告を視聴する人は現在、毎月20億人に上るという。また、インストリーム動画広告の70%は最後まで視聴されており、すでにニュースフィードやストーリーズで展開している広告にFacebookインストリーム広告を加えると、その広告の想起率は中央値で1.5倍になったことが、最近の調査でわかったという。

Facebookのグローバルビジネスグループ副社長であるCarolyn Everson(キャロライン・エバーソン)氏とこのニュースについて話し合った際、従来の広告主が同社の測定基準に納得しているのかと、筆者は疑問に思った(同社は2016年に、動画の視聴時間がエラーによって実際より膨れていたことを認めざるを得ず、その対応について今も批判を浴びている)。

エバーソン氏は、Facebookが「非常に具体的」な数字を目指していると語り、同社がインストリーム広告を掲載するのは3分以上の動画に限られており、視聴者が少なくとも45秒(動画によってはそれ以上)視聴してから初めて広告が再生されるということにも言及した。

「私は、当社が市場に調和し、非常に高い競争力を持つことになると信じています」と、彼女は語った。「測定の基準は人によって異なりますが、しかしこの数字は広告主の方々に喜んでいただけそうなものです」。

画像クレジット:Facebook

そして次は新機能について。Facebookは「In-Stream Video Topics(インストリーム動画トピックス)」の世界的なテストを開始する。これによって広告主は、視聴者だけでなく、動画のトピックに基づいて広告をターゲティングできるようになる。Facebookはブログ記事で、当初のターゲティングには「スポーツなどの20以上のビデオトピックと、野球、バスケットボール、ゴルフ、水泳などの700以上のサブトピック」が含まれると述べている。

エバーソン氏によると、同社は機械学習技術を用いて対象となる動画を分類するとともに、Facebookのブランドセーフティガイドラインを満たしているかどうかを確認するという。

さらにFacebookは、Instagramの短編動画「Reels(リール)」形式の広告のテストを、まずインド、ブラジル、ドイツ、オーストラリアで開始すると発表した。これらの広告は最大30秒の長さで、ユーザーは元来のリールコンテンツと同じように「いいね!」やシェア、あるいはスキップすることができる。

画像クレジット:Facebook

また、Facebookは2021年3月に発表したステッカー広告のテストも行っている。これはブランドが広告としてカスタムステッカーを作成し、クリエイターはそれをFacebookのStories(ストーリーズ)に貼り付けることができるというものだ。

以上のような発表をまとめて、エバーソン氏(2011年にFacebookに入社)は次のように述べている。「率直に言って、私はマーケターのためのオンライン動画ソリューションに関する議論を繰り返してきたこの10年間、すべての準備が整う瞬間をとても楽しみにしてきました。今回の発表で、それがようやく実現したと言えます」。

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画像クレジット:CHANDAN KHANNA/AFP/Getty Images / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Facebookがニュースフィードアルゴリズム変更のためのユーザーテストを開始

Facebook(フェイスブック)はニュースフィードのアルゴリズムを再構築しようとしている。連邦議会議事堂への襲撃にFacebookが果たした役割について議員の追求を受けた同社は、米国時間4月23日、一連のニュースフィードランクづけテストを行うことを発表した。表示される投稿についてユーザーからフィードバックを受け、後日それをFacebookのニュースフィードのランクづけプロセスに反映させるという。中でもFacebookが期待しているのは、どんなコンテンツが人々の心を動かすのか、どんなコンテンツをあまり見たくないか(政治など)、また一般に他のどんな話題に興味があるのかなどを知ることだ。

テストは全世界でさまざまな形式で行われ、その中には、投稿のすぐ下に「この投稿でどれほど心を動かされましたか?」と尋ねるものもあり、感動的な記事をできるだけニュースフィードの先頭に表示することを目指している。

画像クレジット:Facebook

別のテストは、人々が何を見たいのかをニュースフィード体験に反映するために行う。現在Facebookは友達、グループ、およびフォローしているFacebookページのコンテンツを優先して見せているが、誰の投稿をいつ表示するかは、さまざまな指標に基づいてアルゴリズム的に決められている。指標には明示的なものと暗黙的なものがある。その人(あるいはページやグループ)のコンテンツに定期的に反応しているか「親しい友達」や「お気に入りに」登録して、他の人のコンテンツよりも多く見たいことを意思表示しているかなどだ。

しかし、誰かと実生活で親しくしているからといって、その人がFacebookに書くことを好きだとは限らない。ここ数年このことが、家族や友達の間に溝を作っている。よく知っていると思っていた人が本当は世界をどう見ているかを、ソーシャルメディアを通じて知ることになるからだ。これは一部の人達にとって大きな苦痛だ。Facebookはその問題も解決できていない。今もユーザーは、ニュースフィードをスクロールして自分の考えを補強する、たとえどんなに問題のあるものでも。そして、増え続ける誤情報の中、ニュースフィードはユーザーをフィルターバブル(見たくない情報が遮断された世界)に押し込むだけでなく、陰謀論渦巻く完全なる架空現実へと一部のユーザーを誘うところまで来ている。

Facebookの3番目のテストは、この問題に直接取り組むものではないが、ユーザーが全体的に何を見たいかについてフィードバックを得ようとしている。Facebookはユーザーに対して、特定の話題、たとえば料理、スポーツ、政治などについての記事を、もっと多く見たいか、少なくして欲しいかを質問する。ユーザーの総合的フィードバックに基づき、Facebookはアルゴリズムを調整して、興味があると言ったコンテンツを多く、見たくないと言った話題に関する投稿を少なくする。

政治の分野は、Facebookにとって特に悩ましい。過去数年にわたり、同社は政治論議をあおり立て、アルゴリズムを通じてユーザーを両極化、過激化し、誤情報を大々的に広め、パブリッシャーがニュースを報じる際に公正さとバランスよりもアクセス数を追求する中、争いの種になるクリックベイトのエコシステムを奨励してきた。実際、今や完全に偏見に満ちた主観的なニュース発信者がニュースソースになりすまし、Facebookなどのアルゴリズムの恩恵に浴している。

議事堂襲撃のわずか後、Facebookは米国、カナダ、ブラジル、インドネシアのごく一部のユーザーのニュースフィードから、一定期間中政治的コンテンツを排除するテストを行うと発表した。

この度、同社は政治的コンテンツを含めどのコンテンツがネガティブのニュースフィード体験につながっているかの理解を深める取り組みを行うと述べている。たとえばFacebookはユーザーに、多くのネガティブ反応があった投稿について、どんな種類のコンテンツを見たくないかを尋ねるかもしれない。これは、特定の投稿に関するアンケートや、ユーザーが自分のニュースフィード体験について話すための調査セッションなどを通じて実施される、とFacebookは本誌に話した。

Facebookはユーザーが「無関係、問題あり、不快」と判断した投稿を非表示にするオプションを目立たせるテストも行う。この機能自体は以前にも存在していたが、今回は投稿の右上隅の「×」をクリックして非表示にすることができる。

画像クレジット:Facebook

果たしてユーザーに話題を選ばせることが、ネガティブ投稿や争いを呼ぶコンテツや誤情報などのより大きな問題を解決する最善の方法てのかどうかはわかならい。しかしこのテストは後者のためというよりも、ニュースフィードをよりポジティブに「感じさせる」ことに重きが置かれている。

テストデータが集まったら、Facebookは結果をニュースフィードのランクづけアルゴリズムに反映させる。しかし、アルゴリズムをどこまでグローバルに調整するのか、個々のユーザー単位に時間とともに体験をカスタマイズしていくだけなのかははっきりしない。同社はTechCrunchに、調査データはテストグループに割り当てられたごく一部のユーザーから集められ、機械学習モデルの訓練に用いられると語った。

また同社は、将来ニュースフィードにどんな種類のコンテンツが表示されるのかを、ユーザーがより直接的に制御する方法も検討する。

テストは今後数カ月間続く、と会社は述べている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookSNS

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramは中傷DMをキーワードと絵文字でフィルターし犯人の新設アカウントもブロックできるツールを公開

Facebook(フェイスブック)とその兄弟アプリは、どうしたらプラットフォーム上での中傷や嫌がらせにうまく対処し根絶できるかという問題に、アルゴリズムと人力の両面で取り組むのが最良の方法と考え、長い間格闘を続けてきた。そんな中で、Instagram(インスタグラム)は米国時間4月20日、独自の新ツールを2つローンチした。

1つ目は、ダイレクトメッセージ(DM)、特にメッセージリクエストによる嫌がらせを、より強力に排除すための新しい手段だ。これには、中傷を示唆する単語、言い回し、絵文字、さらにはフィルターを回避するためにわざと綴りを変えて使われることがある、よくある綴り間違いを含む新しいキーワードのリストが使われる。もう1つは、たとえば新しいアカウントに変えてしつこく接触を試みる相手を、積極的にブロックできる権利がユーザーに与えられる。

このアカウントをブロックできる機能は、2〜3週間で世界中で使えるようになるとInstagramは話している。また、中傷DMのフィルター機能は、2〜3週間以内に英国、フランス、ドイツ、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで使えるようになり、その他の国々でも、2〜3カ月以内に利用可能になると、同社は私に話してくれた。

注意すべきは、これらの機能はInstagramだけのものであり、DM機能のあるFacebookの他の2つの大人気アプリMessenger(メッセンジャー)とWhatsApp(ワッツアップ)には適用されないことだ。広報担当者は、Facebookにはこれらのアプリにも、2021年後半には導入したい考えがあると認めていた(Instagramとその他のアプリは、これらの機能の広範な展開を検討する以前に、すでに定期的なアップデートを個別に実施している)。

Instagramは、この機能は中傷的内容を含むDMをスキャンするものだと話している。スキャンは、Facebookが差別や中傷に反対する団体(団体名は非公開)などの協力のもとに、その方針に従って作られた言葉や絵文字のリストと、ユーザーが自分で追加する可能性のある言葉や絵文字が基準になっている。これは、デフォルトで使えるようにしておくというより、むしろ最初から有効にしておくべきではないのか。

なぜそうしないのか?ユーザー数を確保するためのように思える。プライベートな会話は、当人同士が望むならそのまま続けられるようにするためだ。「私たちは人々のプライバシーを尊重しているため、ユーザーのエクスペリエンスは、ユーザー自身が最も好ましいと思うかたちに保てるようにしています」と広報担当者は話し、それはFacebookのコメントフィルターの仕組みに近いと指摘した。このオプションは、中傷的な表現を管理したい人のために、設定>プライバシー>Hidden Words(隠される言葉)として実装される予定だ。

外の世界では、Sentropy(セントロピー)やHive(ハイブ)をはじめとする数々のサードパーティーのサービスが、コンテンツの内容を審査するツールを作っている。しかしおもしろいのは、大手テック企業までもが、今そうしたツールを自前で作ろうという気になったことだ。この場合もそれに当たると、Facebookは話していた。

このシステムは完全に自動化されている。ただし、通報があったコンテンツは人が審査するとFacebookは言っていた。そのやりとりで生じたデータの保管は行わないが、通報された言葉は、コンテンツのブロックや、その後の削除、そのコンテンツを送った人間のブロックと警告といった処置の判断基準となる言葉のデータベース拡大に利用されることを同社は認めている。

そうした人々に対してFacebookは、強い悪意を持つ人たちは、まずプロフィールがブロックされるや、ときを置かずにいくつものアカウントを作り、その代役にあてているという現実に対処する賢い方法を、ようやく手に入れることとなった。

Facebookの誹謗中傷に対するポリシーでは、嫌がる相手に繰り返し接触を試みることをすでに禁止しているにも関わらず、DMが送られてくるその抜け道を、ずっと腹立たしく思ってきた。Facebookではまた、常習的犯行もすでに禁止している。これについて同社はこう説明する。「私たちの規約に違反してアカウントが停止された場合、私たちが関知し得る限り、その人物が作る新しいアカウントをすべて削除しています」。

同社のDMに関するアプローチは、他のソーシャルメディア企業が作り上げた対策の、ある意味、雛形になっている。

基本的にこれは、デフォルトでは開かれたかたちになっている。1つの受信トレイは実際に承認した相手からのメッセージ用で、もう1つはすべての人からのメッセージ用に設けられている。2つ目のトレイを丸ごと無視する人もいるが、本来のInstagramの仕組みと意味からすれば、話し相手を絞り込むのではなく、もっと増やすことがその目的だとわかる。つまり、DMに2つ目の受信トレイを活用しようという人にとって、それは単に電子メールの迷惑メールボックスの中を探るといった行為よりも有意義なものだ。

だが、もっと大きな問題のモグラ叩きは、これからも続く。より強力な対策を求めるユーザーの対応ばかりではない。規制当局の監視下に置かれた状態が続くFacebookは、嫌がらせの台頭とその適切な対処という極めて重大な問題に直面しているのだ。同社には、他社が解決するよりも早く解決することが求められている。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:金井哲夫)

フェイスブックが音声関連の新機能を発表、Clubhouse類似機能やポッドキャスト支援ツールなど

Facebook(フェイスブック)は米国時間4月19日、一連の新しい音声関連機能を正式に発表した。これは同社がClubhouse(クラブハウス)や他の音声ソーシャルメディアの脅威を真剣に受け止めていることの現れだ。Facebookは単にClubhouseに類似した機能を開発するだけでなく、ポッドキャスト制作者が長いオーディオを共有するためのツールや、音楽を聴くための新たなSpotify(スポティファイ)との統合、そしてまったく新しい「Soundbites(サウンドバイツ)」と呼ばれる短い音声フォーマットの体験機能を発表した。

音声ネットワーク市場における関心の高まりを受け、新機能の中で今回の発表以前から最も話題になっていたのが、Facebookによる「Clubhouseクローン」だろう。

この「Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)」と名づけられた機能では、Clubhouseと同じように、ユーザーが特定の話題について「部屋」に集まり、話し合うことができる。

「私がFacebookで最も期待している分野は、基本的に、数多くのコミュニティやグループが存在することです。興味のあることを中心に構成されたコミュニティにすでに参加されている方は多いと思いますが、さらにそれらの人々が集まって話ができる部屋を持てるようになることは、非常に有益なことだと思います」と、同社のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、今回の発表と同時に行われたPlatformer(プラットフォーマー)による親しげなインタビューで語っている。「2020年前半にビデオチャット機能を導入した際、グループやコミュニティではそれが盛んに利用されるようになりました。だから、音声に関しても、さらに気軽に使えることを考えると、大きな盛り上がりが期待できると思います」。

画像クレジット:Facebook

Facebookの公式ブログによると、Live Audio RoomsはFacebookとMessenger(メッセンジャー)の両方で利用できるようになるという。

Live Audio Roomsは、まずFacebook Groups(Facebookグループ)でテストが行われ、月間18億人のグループユーザーから利用できるようになる。また、公人や専門家にも提供される予定だ。Facebookによると、この機能をいち早く採用したのは、アメリカンフットボールのクォーターバックであるRussell Wilson(ラッセル・ウィルソン)氏、グラミー賞にノミネートされたエレクトロニッミュージックアーティストのTOKiMONSTA(トキモンスタ)氏、アーティストで映画監督のElle Moxley(エル・モクスリー)氏、5度のオリンピックメダリストで起業家のNastia Liukin(ナスティア・リューキン)氏などだという。

Live Audio Roomsは2021年の夏から、Facebook上で誰でも利用できるようになる予定だ。また、同時期にはMessengerにも導入されるので、友人同士で音声による会話を楽しめるようになる。

他社の技術製品を焼き直したようなこの音声機能に加え、FacebookではTikTok(ティックトック)の競合である「Instagram Reels(インスタグラム・リールズ)」の音声専用バージョンも開発中であることを、ザッカーバーグCEOは明らかにした。この「Soundbites(サウンドバイツ)」と名づけられたプロジェクトは、アルゴリズムでソートされた短い音声クリップをすばやく扱うことができるというもので、まずは少人数のクリエイターのみで数カ月間のテストを行い、それからFacebookユーザーに広く利用できるようにする予定であると、Facebookはブログ記事で書いている。

画像クレジット:Facebook

「このアイデアは、短時間の音声フォーマットで、人々がおもしろいと思ったことや、他の人にも教えたいと思うような、ちょっとした短い音声クリップを、さまざまなジャンルやトピックをカバーしながら共有できるようにするというものです」と、ザッカーバーグ氏は語っている。

ポッドキャストの制作者に対しては、ユーザーがFacebookページでフォローしているポッドキャスト制作者のコンテンツを、Facebookアプリで直接聞けるようにするツールを開発していると、ザッカーバーグ氏は述べている。ポッドキャストのFacebookページにアクセスしているユーザーが現在1億7000万人もいることを、同CEOは指摘し、この音声コンテンツにもっと簡単にアクセスできる方法を確保したいと語った。

画像クレジット:Facebook

ユーザーは好みのポッドキャストを発見したら、バックグラウンドでも再生を開始できるようになる。あるいは別のアプリを起動して、そちらで再生を続けることも可能だと、ザッカーバーグ氏は述べている。これは例えば、ポッドキャストのコンテンツをSpotifyで聴きたいと思った場合、直接Spotifyで開くこともできるという意味だと思われる。

この機能はユーザーの興味に基づいた新しいポッドキャストの発見に役立ち、ユーザーはポッドキャストにコメントしたり、友人に勧めることができるようになる。

このような音声機能の取り組みに関連して、ザッカーバーグCEOはFacebookとSpotifyの提携拡大についても言及した。現在社内で「Project Boombox(プロジェクト・ブームボックス)」と呼ばれている機能は、ユーザーがSpotifyでお気に入りのアーティストのコンテンツやプレイリスト、その他の種類のオーディオを、Facebookのフィードで共有できるようにするものだ。これを他のユーザーがクリックすると、小さなインラインプレイヤーが表示され、コンテンツを再生する。

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Spotifyとの統合に詳しい関係者からの情報によると、このプレイヤーは音楽とポッドキャストの両方に対応するとのこと。すでにメキシコやタイなど、米国以外の市場でテストされており、1週間ほどで利用可能になる見込みだ。

「Facebookがオーディオに興味を持ったということは、このカテゴリーへのさらなる評価であり、私たちがずっと以前から知っていたこと、つまりオーディオのパワーと可能性が無限であることを裏付けるものです」と、Spotifyの広報担当者はTechCrunchに語った。「私たちの目標は常に変わりません。それはSpotifyをプラットフォームやデバイスの垣根を越えてユビキタスなものにし、音楽やポッドキャストをより多くの人に届けることです。今回のFacebookとの統合は、こうした取り組みの新たな一歩となります。私たちはFacebookとの継続的なパートナーシップにより、世界中のオーディオディスカバリーを促進していくことを楽しみにしています」。

また、ザッカーバーグ氏は、新機能の導入が、成長するクリエイター経済に貢献する必要性についても言及している。

Live Audio Roomsでは、ファンはFacebookのアプリ内チップ機能である「Stars(Facebookスター)」を通じて、クリエイターを支援したり、寄付したりできる。Facebookによると、Live Audio Roomにアクセスするためのサブスクリプションなど、その他の収益化ツールも後に導入する予定だという。また、同社はSoundbitesの起ち上げに合わせて、新たなクリエーターの誕生を支援するAudio Creator Fund(オーディオ・クリエーター・ファンド)も用意する。

さらにザッカーバーグ氏は、Facebookが計画しているニュースレターという機能についても語った。これはクリエイターコミュニティに提供される課金ツールの1つで、Twitter(ツイッター)が計画している「Super Follows(スーパーフォロー)」と同じようなものだ。

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「ジャーナリストやクリエイターが、自分をフォローしたいと思ってくれる人に向けて、ニュースレターとポッドキャストの両方でサブスクリプションを設定できる仕組みは、本当に強力なものになると思います」と、ザッカーバーグ氏はいう。「これは私たちが実現しようとしているポッドキャスト関連の課金ツールで大きな部分を占めるもので、我々が計画していること、つまり独立系ジャーナリストにニュースレターなどのツールを提供する取り組みと密接に関係しています。これら2つのことが、ジャーナリストやクリエイターにとって非常に有利な条件で可能になれば、かなり強力なものになると思います」と、同氏は強調した。

Vox(ヴォックス)が4月18日にスクープしたこれらの新機能の発表は、ファンとクリエイターがつながる場所が他にも増えているせいで、Facebookの優位性が崩壊しつつあることを、同社がいかに深刻に捉えているかを示している。現在のFacebookにとっての脅威は、ClubhouseやSubstack(サブスタック)のニュースレター、さらにはPatreon(パトレオン)のような新しいアプリだけでなく、全般的なクリエイター経済をFacebook自身の手に集約・所有できなくなりつつあるという事実である。

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(文:Sarah Perez、Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックの投稿やノートをGoogleドキュメントやBlogger、WordPress.comに転送する新機能が登場

米国時間4月19日、FacebookはユーザーがFacebookの投稿やノートをさまざまな他社サービスに書き出せる新機能を発表した。Facebookに投稿した情報をダウンロードするツールはかなり前から提供されていたが、今回公開されたツールは投稿やノートをGoogleドキュメントやBlogger、WordPress.comなどの人気サービスに書き出すもので、データを保存する手段としてはこれまで以上に実用的だ。

この最新機能は「設定」の「あなたのFacebook情報」にある「あなたのFacebook情報のコピーを転送」から利用できる。画面に表示されたステップに従って設定し、自分のデータを目的の転送先にコピーする。

他の書き出しと同様に、転送が開始される前にデータ保護のためユーザーにパスワードの再入力を求めるという。また他社サービスとの間で転送する際にデータが暗号化されるとFacebookは説明している。

FacebookがニュースレタープラットフォームのSubstackと競合するサービスを開発していると報じられた中で、テキストベースのコンテンツの書き出しに対応したことは興味深い。Facebookはニュースレター業界の成長の勢いに乗ろうとしている。ニュースレター業界では最近、トップの書き手の多くが有料ニュースレターを通じて読者と直接つながろうと大手の発行元から去っている。Twitterもニュースレター企業のRevueを買収し、同様のゴールを目指している。Facebookは今回発表した書き出し機能が今後のプロダクトに含まれるかどうかについては言及していないが、Facebookが新しいサービスを展開するとなったらこの書き出し機能はあらゆる反競争的な主張に対する有効な防衛手段だ。

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今回の新機能はFacebookが参加しているData Transfer Projectの一環だ。Data Transfer Projectはテック大手企業の共同プロジェクトで、ユーザーが異なるサービス間で自分のコンテンツを移動する手段を増やすことを目的としている。このプロジェクトの成果として、例えば2020年にFacebookは写真やビデオをGoogleフォトに書き出す機能を公開した。現在は写真やビデオをBackblazeやDropbox、Koofrに書き出すこともできる。

Facebookは今回の発表とともに、データポータビリティの分野における規制についても主張している。同社は、どのデータをポータブルにするか、転送後のデータの保護に関して誰に責任があるかを定める法律が必要だと述べた。さらに、2020年にFTCに提出したコメントやデータポータビリティツールの開発に関するプライバシーの問題を研究したホワイトペーパーにも言及した。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

フェイスブックがSpotifyとの提携拡大を発表、新プロジェクト「Boombox」の一環で

Facebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは米国時間4月19日、Facebookは音楽ストリーミングサービスSpotify(スポティファイ)との関係を深め「Project Boombox」と呼ばれる新たなイニシアティブの一環として、ユーザーが同社のアプリをブラウズしながらSpotifyでホストされている音楽を聴けるようにしていく、と明かした。

Facebookは、ユーザーがプラットフォーム上で共有されている曲やプレイリストを、Spotifyのアプリやウェブサイトに外部リンクすることなく聴くことができるインラインオーディオプレイヤーを構築しているという。ザッカーバーグ氏はこの機能を、プラットフォーム上のクリエイターエクスペリエンスを向上させるために設計された新たな製品だと紹介し、特にミュージシャンが自分の作品を共有しやすくすることで「基本的には、オーディオをファーストクラスメディアにします」と述べた。

Spotifyとの統合に関する情報に詳しい関係者によると、このプレイヤーは音楽とポッドキャストの両方に対応するとのこと。すでにメキシコやタイなどの米国以外の市場でテストが行われており、おそらく約1週間後に利用可能となる予定だという。

このニュースは、FacebookがClubhouse(クラブハウス)のような新興の取り組みやポッドキャスティングの世界での活動増加に対応しようとしている中、レポーターのCasey Newton(ケーシー・ニュートン)氏との幅広いインタビューで、オーディオの世界における同社の今後の取り組みについて聞かれ明らかにされた。

「オーディオは第1級のメディアになると考えており、このスペクトル全体でさまざまな製品が作られると考えています」とザッカーバーグ氏は語った。「もちろんそこには、ポッドキャスティングやこのようなライブオーディオルームのように、最近人気のある分野も含まれていますが、この分野全体ではまだあまり検討されていない興味深いものもあると思います」とも。

Spotifyは、すでにFacebookやInstagram(インスタグラム)のプラットフォームとかなりの製品関係をサポートしている。音楽とポッドキャストのプラットフォームであるSpotifyは近年、ユーザーが同サービスのコンテンツを共有できるようInstagramストーリーズに深く統合されており、この機能はFacebookストーリーズにも組み込まれている。

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(文:Lucas Matney、Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

消費者団体が13歳以下の子ども向けInstagramの開発中止をフェイスブックに要望

35の消費者啓発グループの連合と子どもの発達の専門家64人は、Facebook(フェイスブック)にInstagram(インスタグラム)の13歳以下の子ども向けバージョンを立ち上げる計画を再考するよう求める書簡に共同署名した。Facebookは子ども向けバージョンを開発していることを認めていた。書簡の中でグループや専門家は、ソーシャルメディアが幼い子どもや思春期の子どもの身体的健康と心身の幸福全体に関するいくつかのリスク要因にリンクしていると主張している。

書簡は、大企業と企業が子どもをターゲットとしていることに対するキャンペーンを牽引している啓発グループCampaign for a Commercial-Free Childhoodが書いた。

同グループは、ソーシャルメディアが若年層の発達にいかに影響を及ぼすか、そうしたアプリがもたらし得る危険性を強調している。

「多くの研究機関が、デジタルデバイスやソーシャルメディアの過度な使用は思春期の子どもにとって有害だと指摘しています。特にInstagramは子どもやティーンエイジャーに絶えずデバイスをチェックするよう、そしてフォロワーと写真を共有するよう促すために、若い人々の取り残される不安や仲間に認められたいという強い思いを悪用しています」と書いている。「外観や自己表現、そしてブランディングへのプラットフォームの執拗なフォーカスは、思春期の子どもたちのプライバシーや心身の幸福にとって問題となっています。幼い子どもは特にそうした問題に対応するほどに発達しておりません。この大事な発達時期に社会的なやり取り、友人関係、内なる強みや困難への対処法を学んでいます」ともある。

公衆衛生研究や他の論文を引用しながら、書簡は過度なスクリーンタイムとソーシャルメディアの使用が肥満や低い心理的幸福度、睡眠の質の低下、うつや自殺観念のリスクの増加、その他の問題など子どもにとってさまざまなリスクにつながっていると指摘している。思春期の女子は仲間の気を引くために性的な自撮りを投稿するプレッシャーを感じていて、米国のティーンエイジャーの59%がソーシャルメディアでいじめにあったことがあると報告した、と書簡にはある。

グループが抱えるもう1つの懸念は、Instagramのアルゴリズムの使用だ。アルゴリズムは子どもが次に観たりクリックしたりするかもしれないものを提案でき、子どもは「かなり影響されやすい」とグループは指摘している。

グループはまた、年齢をごまかしてInstagramプラットフォームを使用している13歳以下の子どもがいることをFacebookは知っていて、こうしたユーザーはすでに使っているものよりも「お子様向け」バージョンだととらえているものへは移行しないだろうと指摘している。つまりこれは、FacebookがInstagramアカウントを持っていない幼い子どもを「キッズバージョン」でターゲットにしていることを意味する。

提起されている懸念にもかかわらず、Instagramの若いユーザーを取り込もうという計画は抗議の影響を受けることはなさそうだ。ソーシャルメディアでInstagramが現在最も競合しているTikTok(ティクトック)はすでに13歳以下の子ども向けのエクスペリエンスを開発した。そしてTikTokは、米国の子どもプライバシー法COPPA違反でMusical.ly(TikTokの前身アプリ)を調査した連邦取引委員会(FTC)との和解の結果、アプリに年齢確認を導入することを余儀なくされた。

Facebookもまた既存の未成年ユーザーをCOPPA順守のエクスペリエンスへと正しく誘導するためにInstagramに年齢確認を導入しなければならない、という似たような状況になるかもしれない。少なくとも、Facebookはアプリに13歳以下の子どもを取り込むべきではないという主張に対して反論する材料を持っている。たとえ違反とみなされたとしても、FTCの罰金はテック大企業の売上高からすると痛くも痒くもない

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啓発グループの書簡の前に、複数の民主党議員も2021年4月、子どものプライバシーと心身の幸福を守るFacebookの能力に関する懸念を示すために同社のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏宛に書簡を送って追求している。この書簡では、子どもが正式に許可されていないユーザーとチャットできる設計上の欠陥が見つかったMessenger Kidsを具体的に引き合いに出した。議員らは4月26日までに質問に応えるようFacebookに求めている。

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ザッカーバーグ氏は2021年3月にあった議会公聴会で、子ども向けInstagramの計画を認めた。その際、アプリがどのように機能するかについて「検討の初期段階にある」と述べたが、親の監視や関与のようなものを含むかもしれないとした。これはFacebookが今日Messenger Kidsで提供しているもの、そしてTikTokがファミリーペアリングというペアレンタルコントロールで行っているものと似ている。

別の言葉でいうと、マーケットは子どもがすでに親の許可の有無に関係なくソーシャルメディアを使っていることを認める方へとシフトしている。その結果、企業は現実に即して機能や年齢確認を構築している。もちろんこの計画の短所は、一度13歳以下の子ども向けのソーシャルアプリ作成を正当化すれば、企業は公衆衛生の観点からはリスクのあるエクスペリエンスに幼い子どもを引き込む法的権利が与えられるということだ。

Campaign for a Commercial-Free Childhoodは米国時間4月15日、Facebookに子ども向けInstagramの計画を中止させるため、誰でも署名できる請願書も立ち上げた。

Facebookにコメントを求めたところ、以下の声明が送られてきた。

当社はInstagram子ども向けバージョンの検討を始めたばかりです。開発するあらゆるエクスペリエンスは安全とプライバシーを優先しなければならないことに異論はありません。当社は子どもの発達、子どもの安全、メンタルヘルスの専門家に意見を求め、そしてプライバシー擁護者にも案内します。加えて、開発する13歳以下のInstagramには広告は掲載しません。子どもはインターネットを使用しているというのが現実です。子どもたちは家族や友達とつながったり、楽しんだり、学習したいのです。そして当社は安全で年齢にふさわしい方法で子どもたちがそうしたことをできるようにサポートしたいと考えています。また、子どもがアプリにアクセスするために年齢を誤魔化しているという業界が抱える問題に対する実用的なソリューションを見つけたいとも考えています。13歳以下がInstagramを使用することがないよう新たな年齢確認の手法に取り組んでおり、年齢にふさわしく、そして親によって管理される子ども向けのInstagramエクスペリエンスを模索しています。

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画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブック監督委員会がトランプ氏のアカウント停止めぐり決定を「数週間」先延ばし

Facebook(フェイスブック)が自らメンバーを選んだ自称「監督委員会」(FOB)は米国時間4月16日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領のアカウントの無期限停止処分を覆すかどうかについて「数週間」以内に決定すると、この件に関する簡単な更新声明を発表した。

広く報道されたこの案件は世間の大きな関心を集めているようで、FOBは、先に行った一般からの意見募集に対して、これまでに9000件以上の回答を得たとツイートしている。

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FOBは以前にも意見募集の期限を延長したが「すべてのコメントを慎重に検討する」という姿勢が本件のタイムライン延長につながったと付け加えている。

同委員会の声明ではさらに、より多くの情報を「近日中に」提供するとしている。

トランプ氏のFacebookおよびInstagram(インスタグラム)の無期限利用停止は、2021年1月7日にFacebookの創業者であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏によって発表された。これは、当時の米国大統領だった同氏が国会議事堂での暴動に参加するよう支持者を扇動したことを受けたもので、その事件は混沌とした暴力的な騒動に発展し、ついには彼の支持者らが警察と衝突して多くの死者を出すことになった。

しかし、Facebookはこの決定をすぐにFOBの審査に委ねた。FacebookはFOBが下した審査決定に拘束されると述べているため、この停止措置はすぐに覆される可能性もある。

FOBは本件を審査対象として受理した後、当初は1月21日から90日以内に決定を下すとしていた。守られれば、その期限は4月21日ということになる。

しかし、トランプ氏のソーシャルメディア上の運命を決めるこの注目度の高いハイリスクな決断が、来月にずれ込む可能性が出てきた。

これは、Facebookワールドではおなじみの展開だ。時間稼ぎは、同テック巨人が長年プラットフォームの運営方法にまつわるスキャンダルや悪評に向き合ってきた中で培われた、危機に直面したときのPR対応の特徴だ。それを考え合わせると、FOBがトランプ氏の停止処分について判断に時間をかけているからといって、同社は特にバツが悪いとは思っていないだろう。

何しろ、真の市民監視のパロディとして独自のオーダーメイド審査機関を考案し構成すること自体、Facebookがすでに何年もかけて行ってきたプロセスなのだから。

先週のFOB関連ニュースとして、Facebookは、コンテンツを削除しないという決定について、ユーザーが委員会に審査を要求できるようになったと発表した。これはFOBの審査対象となるケースをコンテンツの(削除だけでなく)「存続」にも拡大することになる。

【更新】本記事は訂正を含め更新された。FOBは以前、コメントの提出期限を延長したことがあるが、当初報じられたように再度延長してはいない。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックの情報漏洩公表の遅れはGDPR違反の問題を招く

Facebookの2021年4月初旬の大規模な情報漏えいに対し、規制当局が同社に制裁を加えるかどうかは未だ明らかではない。しかし、この事件の時間的経緯が明らかになるにつれ、Facebookの立場は危ういものになりつつある。

Business Insiderが米国時間4月3日発表したこのデータ侵害について、Facebook は当初、ユーザーの生年月日や電話番号などの情報は「古い」ものだと示唆して問題を小さく見せかけようとした。しかし、最終的に同社は、米国時間4月7日遅くに公開されたブログ投稿で、問題のデータが「2019年9月以前に」悪意のある者によってプラットフォームからスクレイピング(ウェブサイトからの情報抽出)されたことを明らかにした。

情報漏えいの時期が新たに公表されたが、それによりこの情報漏えいが2018年5月に発効したEUにおけるGDPR(一般データ保護規則)に抵触するのではないか、という疑問が持ち上がっている。

EUの規制では、データ管理者は情報漏えいの開示を怠った場合、全世界での年間売上高の最大2%、より深刻なコンプライアンス違反の場合は年間売上高の最大4%の罰金を科せられる。

Facebookは過去のプライバシー侵害に対し、2019年7月にFTC(米国連邦取引委員会)と50億ドル(約5400億円)を支払うことで問題を解決したが、2019年6月~9月はこの合意に含まれていない。この点から見ても、EUフレームワークは重要だ。

米国時間4月7日、Facebookの監督機関であるアイルランドデータ保護委員会(DPC)は、今回の情報漏えいに対応する声明を出し、新たに公開されたデータセットの実態は完全には明らかではなく「オリジナルの2018年(GDPR以前)のデータセットから構成されているようだ」として、2017年6月~2018年4月の間に発生したとされる電話番号検索機能の脆弱性に関連する過去のデータ漏えい(2018年に開示済み)に言及した。しかしその中には、新たに公開されたデータセットは「それよりも新しい時点のものかもしれない記録と組み合わされている可能性がある」と書かれている。

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FacebookはDPCの声明を受け、2019年、同年9月までのデータがプラットフォームから抽出されていたことを認めた。

4月7日のFacebookのブログ記事では、ユーザーのデータが、前述の電話番号検索機能の脆弱性ではなく、まったく別の手口でスクレイピングされていたという事実も新たに明らかになった。連絡先インポートツールの脆弱性を突いた手口である。

この手口では、未知数の「攻撃者」は、Facebookのアプリを模倣したソフトウェアを使って、大量の電話番号をアップロードしてプラットフォームのユーザーと一致する電話番号を検出する。

例えばスパム送信者は、大量の電話番号データベースをアップロードして、名前だけでなく、生年月日、メールアドレス、所在地などのデータとリンクさせて、フィッシング攻撃を行う。

今回のデータ侵害に対し、Facebookは即座に、2019年8月にこの脆弱性を修正したと主張したが、8月であればGDPRはすでに発効している。

EUにおけるデータ保護フレームワークにはデータ違反通知制度が組み込まれている。データ管理者は、個人データの漏えいがユーザーの権利と自由に対するリスクとなる可能性が高いと考えられる場合、不当に遅延することなく(理想的には漏えいの認識から72時間以内に)関連する監督機関に通知することが求められる。

しかし、Facebookは未だに今回の事件についてDPCに一切の開示をしていない。これはEUの議会が意図した規制の在り方に反する行為であり、規制当局はBusiness Insiderの報告書を受けて、米国時間4月6日、Facebookに対し情報開示を積極的に求めることを明らかにした。

一方、GDPRではデータ侵害が広く定義されている。データ侵害とは、個人データの紛失や盗難、権限のない第三者によるアクセス、また、データ管理者による意図的または偶発的な行動や不作為による個人データの漏えいを意味する。

Facebookは、5億人以上のユーザーの個人情報がオンラインフォーラムで自由にダウンロードできる状態であったという今回のデータ漏えいについて「違反」と表現することを慎重に避けている。これは、この違反に付随する法的リスクによるものだと考えられる。

ユーザーの個人情報を「古いデータ」と呼んで、ことの重大性を小さく見せかけようとしているのも法的リスクを考慮したうえでのことだろう(携帯電話番号、メールアドレス、氏名、経歴などを定期的に変更する人はほとんどいないし、法的に生年月日が変更されるケースは考えられないのだが)。

一方で、Facebookのブログ投稿はデータがスクレイピングされたことに言及し、スクレイピングとは「自動化されたソフトウェアを使ってインターネット上の公開情報を取り出し、オンラインフォーラムで配布する一般的な手口」であると説明している。つまり、Facebookの連絡先インポートツールを通じて流出した個人情報が何らかの形で公開されていたことを暗に示している。

ブログ投稿でFacebookが展開しているのは、何億人ものユーザーが携帯電話番号などの機密情報をプラットフォームのプロフィールに公開し、アカウントのデフォルト設定を変更しなかったので、これらの個人情報が「スクレイピング可能な状態で公開されている/プライベートではなくなっている/データ保護法でカバーされていない」という論法だ。

これはユーザーの権利やプライバシーを著しく侵害する、明らかにばかげた論法であり、EUのデータ保護規制当局は迅速かつ決定的に拒否しなければならない。さもなければ、Facebookがその市場力を悪用して、規制当局が保護すべき唯一の目的である基本的な権利を侵害することに加担することになる。

今回の情報漏えいの影響を受けた一部のFacebookユーザーは、Facebookのプライバシーを侵害するデフォルト設定を変更していなかったために、連絡先インポートツールを通じて情報が流出したのかもしれない。その場合でも、GPDRの遵守にかかる重要な問題が生じる。なぜなら、GPDRはデータ管理者に対して、個人データを適切に保護し、プライバシーを設計段階からデフォルトで適用することも要求しているからだ。

Facebookは何億件ものアカウント情報が無防備にスパマー(あるいは誰でも)に奪われてしまった。これは優れたセキュリティやプライバシーのデフォルト適用とは言い難い。

Cambridge Analyticaのスキャンダル再び、である。

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過去にあまりにもプライバシーやデータ保護を疎かにしていたFacebookは、今回も逃げ切ろうとしているようだ。これまでデータスキャンダルの連続であっても、規制当局の制裁を受けることが比較的少なかったため、逃げ続けることに自信を持っているのかもしれない。年間売上高が850億ドル(約9兆3000億円)を超える企業にとって、1回限りの50億ドル(約5400億円)のFTCの罰金は単なるビジネス経費に過ぎない。

Facebookに、ユーザーの情報が再び悪意を持って自社のプラットフォームから抜き取られていることを認識した時点(2019年)でなぜDPCに報告しなかったのか、また、影響を受けた個別のFacebookユーザーになぜ連絡しなかったのかを問い合わせたが、同社はブログ投稿以上のコメントを拒否した。

また、同社と規制当局とのやり取りについてもコメントしないとのことだった。

GDPRは、情報漏えいがユーザーの権利と自由に高いリスクをもたらす場合、データ管理者は影響を受ける個人に通知することを義務付けている。それには、ユーザーに脅威を迅速に知らせることで、詐欺やID盗難など、データが漏えいした場合のリスクから自らを守るための手段を講じることができるという合理的な理由がある。

Facebookのブログ投稿にはユーザーに通知する予定はないとも記されていた。

Facebookの「親指を立てる」というトレードマークは、ユーザーに中指を立てている(ユーザーを侮辱する表現)と見た方が適切かもしれない。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

近頃起こったデータ漏洩についてFacebookからの回答が待たれる

Facebookの欧州連合(EU)のデータ保護規制当局は、2021年4月第1週末に報告された大規模なデータ侵害について、この大手企業に回答を求めている。

この問題は、米国時間4月2日に Business Insiderが報じたもので、5億件以上のFacebookアカウントの個人情報(メールアドレスや携帯電話番号を含む)が低レベルのハッキングフォーラムに投稿され、数億人のFacebookユーザーのアカウントの個人情報が自由に利用できる状態になっていた。

ビジネスインサイダーによると「今回公開されたデータには、106カ国の5億3300万人以上のFacebookユーザーの個人情報が含まれており、その中には、米国のユーザーに関する3200万人以上の記録、英国のユーザーに関する1100万人以上の記録、インドのユーザーに関する600万人以上の記録が含まれる」。さらにその中には、電話番号、FacebookのID、氏名、所在地、生年月日、経歴、一部のメールアドレスなどが含まれていることを明らかにした。

Facebookは、データ漏洩の報告に対して、2019年8月に「発見して修正した」自社プラットフォームの脆弱性に関連するものだとし、その情報を2019年にも報告された「古いデータ」と呼ぶ。しかし、セキュリティ専門家がすぐに指摘したように、ほとんどの人は携帯電話の番号を頻繁に変更することはない。そのため、この侵害をそれほど重大でないものに見せようとするFacebookの反応は、責任逃れのための思慮の浅い試みのように思われる。

また、 Facebookの最初の回答が示しているように、すべてのデータが「古い」ものであるかどうかも明らかではない。

Facebookがまたしても起こったこのデータスキャンダルを、それほど重大でないものに見せようとする理由は山ほどある。欧州連合のデータ保護規則では、重大なデータ漏洩を関連当局に速やかに報告しなかった企業に対して厳しい罰則が設けられていることもその理由の1つだ。また、欧州連合の一般データ保護規則(GDPR)では、設計上およびデフォルトでのセキュリティが期待されているため、違反自体にも厳しい罰則が課せられる。

Facebookは、流出したデータが「古い」という主張を推し進めることで、それがGDPRの適用開始(2018年5月)よりも前であるという考えを宣伝したいのかもしれない。

しかし、欧州連合におけるFacebookの主なデータ監督機関であるアイルランドのデータ保護委員会(DPC)は、TechCrunchに対し、現時点ではそれが本当に古いと言えるのかどうかは十分に明らかではないと述べる。

DPCのGraham Doyle(グラハム・ドイル)副委員長は「新たに公開されたデータセットは、オリジナルの2018年(GDPR以前)のデータセットと、それより後の時期のものと思われるデータ接セットで構成されているようだ」との声明を出している。

ドイル氏はまた「情報が公開されたユーザーの多くはEUユーザーだ。データの多くは、Facebookの公開プロフィールからしばらく前に取得されたデータのようだ」とも述べている。

「以前のデータセットは2019年と2018年に公開されたが、これはFacebookのウェブサイトの大規模なスクレイピングに関連するものだ(当時Facebookは、Facebookが電話検索機能の脆弱性を閉鎖した2017年6月から2018年4月の間にこれが発生したと報告していた)。このスクレイピングはGDPR発効以前に行われたため、FacebookはこれをGDPRに基づく個人データ侵害として通知しないことに決めたのだ」。

ドイル氏によると、規制当局は週末にFacebookから情報漏洩に関する「すべての事実」を取得しようとしており、現在もそれは「続いている」。つまり、Facebookが情報漏洩自体を「古い」と主張しているにもかかわらず、この問題については現在も明らかになっていないということだ。

GDPRでは、重要なデータ保護問題について規制当局に積極的に知らせる義務が企業に課せられているにもかかわらず、この問題についてFacebookから積極的な連絡がなかったことがDPCによって明らかになった。それどころか、規制当局がFacebookに働きかけ、さまざまなチャネルを使って回答を得なければならなかった。

こうした働きかけによりDPCは、Facebookとしては、情報のスクレイピングは、Cambridge Analyticaのデータ不正利用スキャンダルを受けて確認された脆弱性を考慮して2018年と2019年にプラットフォームに加えた変更の前に発生したと考えていることが分かったと述べている。

2019年9月、オンライン上で、Facebookの電話番号の膨大なデータベースが保護されていない状態で発見された。

関連記事:Facebookユーザーの電話番号が掲載された大量データベースが流出

また、Facebookは以前、自社が提供する検索ツールに脆弱性があることを認めていた。2018年4月には、電話番号やメールアドレスを入力することでユーザーを調べられる機能を介して、10億から20億人のFacebookユーザーの公開情報が抽出されていたことを明らかにしているが、これが個人情報の貯蔵庫となっている可能性もある。

Facebookは2020年、国際的なデータスクレイピングに関与したとして、2社を提訴している。

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しかし、セキュリティ設計の不備による影響は「修正」から数年経った今でもFacebookの悩みの種となっている。

さらに重要なのは、大規模な個人情報の流出による影響は、インターネット上で今や自分の情報が公然とダウンロードにさらされるようになったFacebookユーザーにも及んでおり、スパムやフィッシング攻撃、その他の形態のソーシャルエンジニアリング(個人情報の窃盗を試みるものなど)のリスクにさらされていることだ。

この「古い」Facebookデータが、ハッカーフォーラムで無料で公開されるに至った経緯については、謎に包まれている部分が多い。

DPCは、Facebookから「問題となっているデータは、第三者によって照合されたものであり、複数のソースから得られたものである可能性がある」との説明を受けたと述べている。

Facebookはまた「十分な信頼性をもってその出所を特定し、貴局および当社のユーザーに追加情報を提供するには、広範な調査が必要である」と主張しているが、これは遠回しに、Facebookにも出所の見当がつかないということを示唆している。

「Facebookは、DPCに対し、確実な回答の提供に鋭意努めることを保証している」とドイル氏は述べている。ハッカーサイトで公開された記録の中には、ユーザーの電話番号やメールアドレスが含まれているものもある。

「ユーザーには、マーケティングを目的としたスパムメールが送られてくる可能性がある。また電話番号やメールアドレスを使った認証が必要なサービスを自ら利用している場合も、第三者がアクセスを試みる危険性があるため注意が必要だ」

「DPCは、Facebookから報告を受け次第、さらなる事実を公表する」と彼は付け加えた。

本稿執筆時点で、Facebookにこの違反行為についてのコメントを求めたが、同社はこれに応じなかった。

自分の情報が公表されていないか心配なFacebookユーザーは、データ漏洩について助言を行うサイト「haveibeenpwned」で、自分の電話番号やメールアドレスを検索することができる。

haveibeenpwnedのTroy Hunt(トロイ・ハント)氏によると、今回のFacebookのデータ漏洩には、メールアドレスよりも携帯電話番号の方がはるかに多く含まれている。

彼によると、数週間前にデータが送られてきた。最初に3億7000万件の記録が送られてきたが、その後「現在、非常広く流通しているより大規模なデータ」が送られてきたという。

「多くは同じものですが、同時に多くが異なってもいます」とハント氏は述べ、次のように付け加えた。「このデータには1つとして明確なソースはありません」。

【更新1】Facebookは今回のデータ流出についてブログ記事を公開し、問題のデータは2019年9月以前に「悪意のある者」が連絡先インポート機能を使ってユーザーのFacebookプロフィールからスクレイピングしたものと考えていることを明らかにした。またその際、ツールに修正を行い、大量の電話番号をアップロードしてプロフィールに一致する番号を見つける機能をブロックすることで悪用を防ぐ変更を施している。

「修正前の機能では、(Facebookの連絡先インポートツールのユーザーは)利用者プロフィールを照合し、公開プロフィールに含まれる一定の情報のみは取得することができました」とFacebookは説明し、これらの情報には利用者の金融情報や医療情報、パスワードは含まれていないと付け加えた。

ただし、悪意のある者がツールを転用することでどのようなデータを取得できたかについて、あるいは当該行為者を特定し、訴追しようとしたかどうかという点については明記されていない。

その代わりに同社の広報は、そのような行為は同社の規約に違反しているとし「このデータセットの削除に取り組んでいる」ことを強調した。同社はまた「機能を悪用する人々を可能な限り積極的に追跡していきます」と述べているが、ここでも悪用者を特定して確実に排除した実例は示していない。

(例えば、Facebookが2018年にCambridge Analyticaのスキャンダルを受けて実施すると述べたアプリ内部監査の最終報告書はどこにあるのだろうか。英国のデータ保護規制当局は最近、Facebookとの法的取り決めにより、アプリ監査について公の場で議論することはできないと述べている。つまりFacebookは、自社ツールの不正使用にどう取り組むかについての透明性を回避することに関しては、積極的なアプローチをとっているようだ……)

「過去のデータセットの再流通や新たなデータセットの出現を完全に防ぐことは困難ではありますが、専任チームを設け、今後もこの課題に対して注力してまいります」とFacebookは広報の中で述べており、ユーザーのデータが同社のサービス上で安全であることを一切保証していない。

同社はユーザーに対し、アカウントに提供しているプライバシー設定をチェックすることを推奨している。その設定には、同社のサービス上で他人があなたを検索する方法を制御する機能も含まれている。これではデータセキュリティの責任はFacebook自身ではなくFacebookユーザーの手中にあると言っているようなもので、Facebookデータ漏洩の事実から逸脱し、責任転換をしようとしているだけである。

もちろん、実際はユーザー次第ではない。FacebookユーザーがFacebookから提供されるのはデータの部分的なコントロールだけであり、Facebookの設計と仕組み(プライバシーに配慮したデフォルト設定を含む)が全面的に関与するものだ。

さらに、少なくとも欧州では、製品の設計にセキュリティを組み込む法的責任がある。個人データに対して適切なレベルの保護を提供できない場合、大きな規制上の制裁を受ける可能性があるが、企業は依然としてGDPRの施行上のボトルネックから恩恵を享受している。

Facebookの広報はまた、ユーザーが二段階認証を有効にしてアカウントのセキュリティを向上させることを提案している。

それは確かに名案だが、二段階認証に関しては、Facebookが二段階認証用のセキュリティキーとサードパーティ認証アプリのサポートを提供していることは注目に値する。つまり、Facebookに携帯番号を与えるリスクを冒すことなく、この付加的なセキュリティ層を追加することができる。ユーザーの電話番号を大量にリークしていた過去もあり、ターゲティング広告に二段階認証の数字を使うことも認めているため、Facebookに自分の電話番号を託すべきではないといえるだろう。

【更新2】Facebookは追加の背景説明で、規制当局との通信内容についてはコメントしないことを明らかにした。

同社はまた、侵害についてユーザーに個別に通知する計画はないと述べ、さらに、データが取得された方法(スクレイピング)の性質上、通知が必要なユーザーを完全に特定することはできないとしている。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックが2019年の個人情報流出で集団訴訟に直面する可能性

Facebook(フェイスブック)は2019年の大規模なユーザーデータ流出をめぐって訴えられることになりそうだ。このデータ流出は最近明らかになったばかりで、5億3300万超のアカウントの情報がハッカーフォーラムで無料でダウンロードできる状態だった。

Digital Rights Ireland(デジタル権利アイルランド、DRI)は現地時間4月16日、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)にある個人情報流出に対する金銭賠償を求める権利を引用しながら、Facebookを相手取って「集団訴訟」を開始することを発表した。

GDPRの82条では、法律違反によって影響を受けた人に「賠償と責任の権利」を認めている。GDPRが2018年5月に施行されて以来、関連する民事訴訟は欧州で増えている。

アイルランド拠点のデジタル権利のグループは、EUあるいは欧州経済圏に住むFacebookユーザーに、haveibeenpwnedウェブサイト(電子メールアドレスまたは携帯電話番号で確認できる)を通じて自身のデータが流出しなかったかどうかチェックし、もし該当するなら訴訟に加わるよう促している。

流出した情報には、FacebookのID、位置情報、携帯電話番号、電子メールアドレス、交際ステータス、雇用主などが含まれる。

訴訟についてFacebookにコメントを求めたところ、広報担当は以下のように述べた。

当社は人々の懸念を理解しており、引き続き許可なしのFacebookからのスクレイピングを困難なものにすべくシステムを強化し、そうした行為の裏にいる人物を追跡しています。LinkedInとClubhouseが示したように、完全にスクレイピングをなくしたり、スクレイピングによるデータセットの露出を防ぐことができる企業はありません。だからこそ当社はスクレイピングとの戦いにかなりのリソースをあてていて、引き続きこの問題の一歩先を進むよう対応能力を強化します。

Facebookは欧州本部をアイルランドに置いている。今週初め、同国のデータ保護委員会はEUとアイルランドのデータ保護法に基づき調査を開始した

国境をまたぐケースの調査を簡素化するためのGDPRのメカニズムにより、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)がFacebookのEUにおける主なデータ規制当局だ。しかしながら、GDPR申し立てと調査の扱いやアプローチをめぐっては、クロスボーダーの主要ケースについて結論を出すまでの所要時間などが批判されてきた。これは特にFacebookの場合にあてはまる。

GDPRによるすばやいアプローチが導入されて3年になるが、DPCはFacebookの事業のさまざまな面に関する複数の調査を行っているものの、いずれもまだ結論が出ていない。

(最も結論に近いものは、FacebookのEUから米国へのデータ移転に関して2020年出した仮停止命令だ。しかし申し立てはGDPR施行のずいぶん前のことで、Facebookはただちにこの停止命令を阻止すべく裁判を起こした。解決は訴訟人がDPCプロセスの司法審査を提出後の2021年後半が見込まれている)。

関連記事:フェイスブックのEU米国間データ転送問題の決着が近い

2018年5月以来、EUのデータ保護規制では、最も深刻な違反をした企業に対し、グローバル売上高の最大4%の罰金を科すことができる。少なくとも書面上はそうだ。

ただし繰り返しになるが、DPCがこれまでにテック企業(Twitter)に対して科したGDPRの罰金は理論上の最大金額には程遠いものだ。2020年12月に規制当局はTwitterに対し、45万ユーロ(約5860万円)の罰金を発表した。この額はTwitterの年間売上高のわずか0.1%ほどにすぎない。

この罰金もまたデータ流出に対するものだった。しかしFacebookの情報流出と異なり、Twitterのものは同社が2019年に問題に気づいたときに公表された。そのため、5億3300万のアカウントの情報流出につながった脆弱性にFacebookが気づいたものの公表せず、2019年9月までに問題を修正したという主張は、Twitterが科されたものよりも高額な罰金に直面すべきと思わせる。

ただ、たとえFacebookが情報流出でかなりのGDPRの罰金を受けることになっても、監視当局の取り扱い案件の未処理分と手続きのペースが緩やかなことからして、始まってまだ数日の調査のすばやい解決は望めない。

過去の案件からするに、DPCがFacebookの2019年の情報流出について結論を出すのに数年はかかりそうだ。これは、DRIが当局の調査と並行して集団での訴訟を重視している理由だろう。

「今回の集団訴訟への参加を意義あるものにしているのは賠償だけではありません。大量のデータを扱う企業に、法律を順守する必要があり、もしそうしなければその代償を払わなければならないというメッセージを送ることが重要なのです」とDRIのウェブサイトにはある。

DRIは2021年4月初め、Facebookの情報流出についてDPCにも苦情を申し立てた。そこには「アイルランドの裁判所での損害賠償のための集団訴訟を含め、他の選択肢についても法律顧問と協議している」と書いている。

GDPR施行までのギャップによって、訴訟資金提供者が欧州に足を踏み入れ、データ関連の損害賠償を求めて一か八かで訴訟を起こすチャンスが増えているのは明らかだ。2020年、多くの集団訴訟が起こされた

関連記事:オラクルとセールスフォースのCookie追跡がGDPR違反の集団訴訟に発展

DRIの場合、どうやらデジタル権利が支持されるようにしようとしている。しかしDRIは、プライバシーの権利が踏みにじられたユーザーに金を支払うようテック大企業に強制する損害賠償を求める主張が法に則った最善の方法だとRTEに語った。

一方、Facebookは2019年に明らかにしなかった情報流出について「古いデータ」だと主張して軽視してきた。これは、人々の出生日は変わらない(そして、多くの人が携帯電話番号や電子メールアドレスを定期的に変えたりもしない)という事実を無視する歪んだ主張だ。

Facebookの直近の大規模な情報リークで流出した多くの「古い」データは、スパマーや詐欺師がFacebookユーザーを標的にするのにかなり使い勝手のいいものになる。そして訴訟の関係者がデータ関連の損害でFacebookをターゲットとするのにも格好の材料となっている。

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タグ:Facebookデータ漏洩EUヨーロッパGDPR裁判個人情報

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

カプコンが「バイオハザード4」をOculus Quest2向けにリリース、詳細は日本時間4月22日発表

カプコンが「バイオハザード4」をOculus Quest2向けにリリース、詳細は日本時間4月22日発表

Capcom / Oculus

カプコンは4月16日、バイオハザード関連の情報を提供する「バイオハザード・ショーケース|April 2021」をYouTubeで配信。その中で、バイオハザード4をOculus Quest 2向けにリリースすると発表しました。詳細は、日本時間4月22日7時から開催されるOculus Gaming Showcaseで発表するとのことです。

VRゲームイベント「Oculus Gaming Showcase」が4月21日にオンライン開催

バイオハザード4といえば、それまでのバイオハザードの特徴であった固定視点のラジコン操作から、キャラクター越しのビハインドビュー、ようするに三人称視点に変更するなどシステムを刷新。現在でも高い評価を受けている作品です。

発表の中で、Facebook RealityLabsのコンテンツ担当副社長Mike Verdu氏は「一人称視点によって没入感が加わることで、新たな面白さとさらなる深みをもたらし、初めてゲームの中の世界へ足を踏み込むことができる」とその出来に自信を見せていました。

なお、開発にはカプコンのほか、Armature StudioとOculus Studioも協力しているとのことです。

バイオハザードのVRといえば、バイオハザード7がPS VRに対応していましたが、こちらはもとから一人称視点。三人称視点のバイオハザード4が、VRでの一人称視点になることでどのような変化が起こるのか、いまから楽しみなところです。

©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

(Source:OculusCapcom(YouTube)Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Oculus Quest (製品・サービス)仮想現実 / VR(用語)カプコン / Capcom(企業)バイオハザード(製品)Facebook / フェイスブック(企業)

Facebookがニュースフィードの投稿に企業の関連コンテンツを表示するテストを米国で開始

Facebook(フェイスブック)は米国時間4月15日、ニュースフィード上で企業を発見するための新しい機能のテストを米国で開始すると発表した。この機能が導入されると、ユーザーはニュースフィード上の投稿や広告の下に表示されるトピックの中から興味のあるものをタップして、企業の関連するコンテンツを探すことができるようになる。Facebookは最近、Apple(アップル)の「App Tracking Transparency(ATT)」導入がどれほど中小企業に影響を与えるかということを巡って論争を続けている。この主張は、多くの人が誤解を招くものとして否定しているが、それにもかかわらず、一部の家族経営のような小規模な店舗は、広告ターゲティング機能への影響を懸念している。今回始まった新しいテストは、Facebookがニュースフィードを調整することで、必要であればより多くのユーザーデータを容易に構築することができると示す一例だ。

同社によると、ユーザーは、美容製品、フィットネス、衣料品などを販売する企業の投稿や広告の下に、この変更を目にすることになるという。

つまりこれは、ユーザーが関連するコンテンツを見つけようと特定のアクションを起こした際に、Facebookがニュースフィード機能を使って関連するビジネスにユーザーを誘導するというものだ。これによってFacebookは、どのユーザーがクリックして関連コンテンツを見ようとしたか、どのような企業に関心を持ったかなど、ユーザーに関する新しいデータのセットを作成できる。将来的には、この機能を広告に転換し、企業が高い掲載率を得られるようにすることも可能だろう。

「人々はすでにニュースフィードをスクロールしながら企業を発見していますが、この機能によって自分では見つけられなかった新しい企業を発見し、検討することが容易になるでしょう」と、Facebookは簡単な発表の中で述べている。

Facebookは今回のテストについて、今後の詳細な計画は発表しなかったが、ユーザーがこの機能をどのように利用するかがわかれば、より多くのユーザーや企業にこの体験を拡大していくと述べている。

画像クレジット:Facebook

このテストのニュースと併せて、Facebookは2021年4月中にビジネスオーナー向けのツールをさらに展開することも発表した。その中には、FacebookとInstagram(インスタグラム)の両方にStories(ストーリーズ)を作成、公開、スケジューリングする機能や、スケジューリングされた投稿を変更・編集する機能などが含まれる。また「Facebook Business Suite(フェイスブック・ビジネス・スイート)」からFacebookの写真やアルバムを作成・管理する機能や、Business SuiteのモバイルアプリからFacebookとInstagramの投稿を作成し、下書きとして保存する機能も、遅れて追加される予定だ。

他のビジネス関連のアップデートとして、Facebookは、Lead Ads(リード獲得広告)、Call Ads(電話発信広告)、Click to Messenger(Messenger誘導広告)や Lead Generations(Messengerでのリード獲得)など、企業と顧客のつながりに焦点を当てた広告製品の機能をアップデートした。

Facebookは2021年初め、企業がビジネスプロフィールを使って投稿、コメント「いいね!」などの活動を行ったり、専用のニュースフィードにアクセスすることができる新デザインのFacebookページを発表した。このリニューアル時には、ページの「いいね!」ボタンが廃止され、フォロワー数に重点が置かれるようになった。

この時期にFacebookが中小企業向けのツールを宣伝しているのは偶然ではない。近い将来、FacebookのiOSアプリでユーザーが追跡を「許可しない」を選ぶようになると、広告ターゲティング機能の精度が低下して、Facebookのプラットフォームが中小企業経営者にとって有益でなくなるのではないかと懸念されているからだ(その多くは、Facebook自身が声高に叫んでいるのだが)。

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タグ:Facebookアメリカ広告SNS

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックがOculus Questにソフトウェアサブスクリプションプランを導入

Facebook(フェイスブック)のOculus Storeにサブスクリプション価格が導入され、VR開発者が同社のOculus Questヘッドセット上でコンテンツを収益化する新たな方法を手に入れた。

開発者は有料または無料のアプリに有料サブスクリプションを追加できるようになり、フェイスブックは標準的なパーセンテージの手数料を同時に引き上げると見られている。Oculusとそのプラットフォームの開発者たちは、最近同社が発売したQuest 2ヘッドセットの成功に乗ってきた。フェイスブックはその販売数を公表していないが、299ドル(約3万3000円)のこのヘッドセットは、すでに他のOculusヘッドセットより売れていると述べている。

サブスクリプション価格の設定は驚くべきことではないが、一部の開発者は定期的な収入を得るのに十分な数の契約者がいると考えている。フェイスブックが最初のOculus Riftを出荷したのはちょうど5年前だが、その時は消費者の早期成功をつかむまでには紆余曲折があった。同社にとっての大きな課題は、ユーザーに魅力的なものを提供すると同時に、VR開発者が持続的に活動できるようにダイナミックな開発エコシステムを構築することだった。

ローンチ時点ではすでに少数の開発者が「エクササイズ」や「瞑想」「ソーシャル」「生産性」「DJ」など、さまざまな種類のアプリのサブスクリプションを開始している。サブスクリプションに加えてこの新たな収益化の道により、ユーザーは有料アプリを無料で試せるようになる。

最大の問題は、Questのユーザーのうちどれだけが毎月のサブスクリプションを正当化するほどデバイスを利用しているかということだが、コアなユーザーを収益化したいと考えている開発者にとって、これはOculus Storeに欠けていると感じたもう1つのユーティリティでもある。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:FacebookOculusOculus Questサブスクリプション

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Instagramが「いいね!」の表示・非表示を選べるテストを開始、フェイスブックも続く

米国時間4月14日、Instagram(インスタグラム)は、ユーザーの投稿の「いいね!」数を非表示にするテストを開始する。2019年に始めた実験に続くものだ。しかし今回Instagramは、機能を有効または無効にするユーザーを増やすのではなく、どちらが自分にとって良いをユーザーが判断する新しいオプションを試す。他人の投稿の「いいね!」の数を見たいか見たくないかだ。ユーザーは自分の投稿の「いいね!」数を非表示にすることもできる。会社は、類似の体験をFacebook(フェイスブック)でもテストを開始することを正式に発表した。

関連記事:Instagramは「いいね!」の数を世界で非表示にする実験を実施

Instagramによると、「いいね!」数に関連するテストは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行以来優先度が下げられていた。コミュニティのサポートに必要な他の作業に集中するためだ(ただし2021年3月の短期間、Instagramはバグのために誤って「いいね!」数を隠してしまったことがあった)。

現在、テスト中に集めたフィードバックを再読しているところで、さまざまな意見があったと同社は語った。当初、「いいね!」数を隠すというアイデアは、Instagramにコンテンツを投稿する際の不安やためらいを和らげることが目的だった。つまり、自分の投稿が「人気がある」と認められるだけの「いいね!」を獲得できるのかというストレスだ。この問題は友達がどう思うかに敏感な若いInstagramユーザーにとって特に深刻だった。「十分」な「いいね!」がつかなかった投稿を削除することもあるほどだ。

さらに、「いいね!」の排除は、人々がコンテンツそのものを判断するのではなく、すでに人気のある投稿に「いいね!」をつける一種の集団心理を和らげる効果もある。

しかしテスト中、「いいね!」の非表示が良い方向だという考えに誰もが賛成したわけではなかった。トレンドや人気の記事を追いかけるために、やはり「いいね!」数が欲しい、という人もいた。「いいね!」の存続を巡る議論は、インフルエンサー・コミュニティの間で特に高まった。クリエイターたちはブランドや広告主などのパートナーに自分の価値を示す指標として「いいね!」数を使っている。投稿の支持が下がることが、直接クリエイターの減収に繋がることがある世界だ。

「いいね!」数の有無にはそれぞれメリットがあり、Instagramがその選択をユーザー自身の手に委ねるテストをしているのはそのためだ。

新しいテストは、全世界のInstramユーザーの小さなパーセンテージで有効になる、と会社は言っている。

テストの対象になると、アプリの設定画面に「いいね!」を非表示にする新しいオプションが追加されている。これによって、Instagramフィードをスクロールしている時、他ユーザーの投稿の「いいね!」が見えなくなる。クリエイターは、画面上部のその他メニューから、投稿毎に「いいね!」を隠すことができる。「いいね!」が全体に対して非表示であっても、クリエイター「いいね!」数やその他の情報をアナリティクス画面で見ることができるのは以前と変わらない。

Facebookは以前から「いいね!」数の非表示テストを行っているが、今回はまだ始めていない。FacebookはTechCrunchに、数週間以内に開始する予定だと語った。

関連記事:Facebookが近い将来「いいね!」カウントを廃止する可能性

「いいね!」数を選択可能にすることは、全員のニーズを満たすのに役立つように初めは思えるかもしれない。しかし現実には、有力なインフルエンサーたちが「いいね!」を人気と仕事のチャンスに変換可能な通貨のように使い続ける限り、他のユーザーも同じことを続けるだろう。

最終的に、どんなトーンにしたいかはコミュニティ自身が、できれば当初から決める必要がある。後で方針を変更したときに怒り出すユーザーが何百万人も集まる前に。

もう1つ、そもそもソーシャルメディアユーザーが「『いいね!』のない」安全な空間を望んでいるのか、という疑問もある。「アンチInstagram」的なものを作ることに焦点を当てたスタートアップを何年も見てきた。Instagramのアルゴリズムによるフィードや「いいね!」などの反応機構をいくつか取り除いたMinutiaeVeroDayflashOggl、さらには新参の問題を抱えるDispoや、潜航中のHerdなどだ。しかしInstagramがアンチInstagramのライバルによって失敗したことはない。脅威になるとすれば、TikTokのようなまったく新しいタイプのソーシャルネットワークだろう。そこでは今も、「いいね!」などの反応を得ることがクリエイターが成功する重要な要素だ。

Instagramは新しいテストがいつまで続くのか、いつもっと広く公開されるのかを明らかにしていない。

「このテストはまずInstagramで始めますが、同様の体験をFacebookでも検討しています。この小規模なテストで学習した結果を、近々詳しくお話できるでしょう」とFacebookの広報担当者は言った。

関連記事:性的暴行疑惑で写真SNS「Dispo」取締役ドブリック氏が退任、VCは「一切の関係を断つ」と決定

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックが動画を使った恋人探しアプリ「Sparked」をテスト中

Facebook(フェイスブック)は、ビデオを使った恋人探しアプリ「Sparked」をテストしていることを、このアプリのウェブサイトがThe Vergeによって発見された後、認めた。Sparkedでは「Tinder(ティンダー)」のような大手のマッチングアプリとは異なり、ユーザーは気に入った相手をスワイプして見つけたり、ダイレクトメッセージを送ったりするわけではない。その代わりに、短いビデオデートを繰り返して、相手とのつながりを作っていく。この製品はFacebookの社内研究開発グループであるNew Product Experimentation(新製品実験)チームによって開発されているが、これまで公式に発表されたことはなかった。

「Sparkedは、New Product Experimentationによる初期の実験です」と、FacebookのNPEチームの広報担当者はTechCrunchに認め「私たちは、ビデオファーストの恋人探しが、人々がオンラインで愛を見つけるために、どのように役立つことができるかを探っています」と説明した。

同社はまた、Facebookの製品で得られる体験を向上させるために、このアプリでビデオデートがどのように機能するかについての洞察を得ることを目的とした「小規模な外部ベータテスト」を行っているという。現在、このアプリはアプリストアなどでは配布されておらず、ウェブのみで公開されている。

The Vergeの報道によると、米国時間4月1日にシカゴで開催されるDate Night(デート・ナイト)イベントで、このアプリ体験をテストする準備がすでに行われているようだ。

画像クレジット:Facebook

アプリに登録する際、Sparkedはユーザーに「思いやりを持って」「節度を守って」「姿を見せるように」と指示する。アプリの説明によると、参加者はまず、さまざまな相手と顔を合わせる4分間のビデオデートを繰り返し、お互いに気に入ったら10分間のビデオデートをすることができるようになるという。さらに、電話番号やメールアドレス、Instagram(インスタグラム)のハンドルネームなどの連絡先を交換することも選択できる。

知っている人も多いと思うが、Facebookはいくつかの国や地域で、すでに「Facebook Dating(フェイスブック・デーティング)」と呼ばれるデートアプリを提供している。

Facebook自体の中に組み込まれているこの機能は、2018年にコロンビアで初めて導入され、翌2019年には米国でも提供が始まった。新型コロナウイルス感染流行初期の頃、FacebookはMessenger(メッセンジャー)のビデオチャット機能を利用した仮想デート体験を展開すると発表したが、同時期に市場では、他の多くのデートアプリも、自宅にこもったユーザーにサービスを提供するため、動画に目を向け始めていた。Sparkedの目的が、Facebook Datingの中に用意されるオプションの1つとして導入されることでないのなら、これらのビデオデートアプリと直接競合する可能性もある。

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潜在的なリーチがあるにもかかわらず、Facebookがデートアプリの市場で成功する保証はないと、一部のアナリストは警告している。人々は、Facebookをパートナーとの出会いの場とは考えておらず、今のところSparkedはプライバシー保護の観点からFacebookのメインアプリとは分離されている。つまり、Facebookのネットワーク効果を十分に活用することができず、ユーザーは友人や家族に自分のデートプランを知られたくないと思っている可能性も高い。

Facebookにとってデートアプリ市場における競争は熾烈だ。新型コロナウイルスの感染流行があっても、Match Group(マッチ・グループ)や、IPOしたばかりのBumble(バンブル)のような、大手デートアプリの勢いは衰えなかった。例えばMatch Groupの報告によると、同グループのTinderからの直接収入は、2020年に前年比18%増の14億ドル(約1526億円)に達したという。同社のTinder以外のブランドからの直接収入は、合わせて16%の増加だった。また、Bumbleは公開企業として最初に迎えた四半期で収益予想を上回り、2020年の第4四半期に1億6560万ドル(約180億5000万円)を計上した。

一方、Facebookはデート機能の取り組みに関して、それほど多くを語ろうとしない。同社はサービスを提供している20カ国で15億件以上のマッチングを行ったとしているが「マッチング」はペアリングの成功を意味するものではなく、そもそも実際には、そのような結果は測定されていないのかもしれない。とはいえ、2020年秋になってからようやく欧州市場に導入されたFacebook Datingは、まだ展開が始まったばかりとも言える。

最終的に、NPEチームのSparkedによる実験は、デートアプリのユーザーが、どのような新しい体験をどのように利用したいと思っているか、Facebookが知るための役に立つだろう。

なお、Sparkedが今後、より広範囲に展開されるかどうか、あるいはいつ展開されるのかということについては、Facebookは言及していない。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

間もなく登場するOculus Quest 2はPCの無線ストリーミングに対応し仮想オフィスも実現

この数カ月間、Oculus(オキュラス)のソフトウェア関連の話題は比較的静かだったが、Facebook(フェイスブック)のVR部門は、間もなく発売されるQuest 2(クエスト2)スタンドアローン型ヘッドセットの新機能の詳細を公表した。

Quest 2のv28ソフトウェアアップデートによって導入される新機能には、無線のOculus Linkへの対応、Infinite Office(インフィニット・オフィス)機能、120hz対応などがある。正確な開始時期は不明だが、ブログに書かれている内容からは、間近であるように推測できる。

特に注目すべきは、Oculus Linkの無線バージョンだ。これによりQuest 2ユーザーは、PCから直接、このスタンドアローン型ヘッドセットにコンテンツをストリーミングできる。これまで、もはやほぼ使い物にならなくなったRift(リフト)プラットフォームで限定されていた強力なグラフィックのタイトルが楽しめるようになる。Air Link(エアー・リンク)は、Oculus Linkの有線接続とおさらばできる機能だ。もっとも、多くのユーザーはすでに、サードパーティー製アプリとVirtual Desktop(バーチャルデスクトップ)を使った無線接続に依存しているが。

今回のアップグレードは、どうやらQuest 2ユーザーのみを対象とした新たな実験モードで、オリジナルのQuestヘッドセットは含まれないようだ。これらの新機能を使うためには、Quest 2とPCの両方でOculusのソフトウェアをv28にアップデートする必要がある。

このアップデートでは、Air Linkのリリースにともない、Infinite Officeにも新機能が加わる。キーボードとマウスをVRに取り込むことで、デスクトップ型のソフトウェアが使えるVRオフィスを展開するというものだ。Facebookは以前、VRをメインにしたFacebook Connect(コネクト)カンファレンスでこれを発表したものの、当時は詳細を明らかにしていなかった。

今回のアップデートでは、キーボード対応機能が追加される。実際にキーボードを接続することも可能だが、VRの中にもキーボードを表示できる。この機能に対応するキーボードは、1つのメーカーの1つの機種(Logitech K830)に限られるが、Facebookでは、ゆくゆく他のキーボードも使えるようにすると話している。このキーボードを持っているユーザーなら、両手の輪郭と、実際に使う位置にキーボードのレンダリング画像が表示され、タイプができる(理論的には)。またInfinite Officeでは、現実のデスクがある場所を指定できるので、ユーザーは自分の実際の位置を確認できるようになる。ただし、キーボードが使えるようになっても、現時点ではOculus Browserのアクセス程度しか行えない感じだ。

最後に、Oculusでは、120hzのフレームレートでのゲーム開発が可能になる。今はまだそのフレームレートで使えるものは何も用意されていないが、開発者の実験のための対応だとFacebookは話している。

Oculusによると、ユーザー向け新ソフトウェアのアップデートは「順次」行われるとのことだ。

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カテゴリー:VR / AR / MR
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(文:Lucas Matney、翻訳:金井哲夫)