アルゴリズム化されたインボックスでメッセージングやメール、カレンダーを一元管理する‘nflow

いわゆる「Slackたたき」(Slack-lash)については、今や多くの記事が書かれており、今やってる仕事から注意を奪ってしまうDMの妨害への対応に、職場の人びとは困り果てている。象徴的に悪玉に挙げられているのがSlackだが、それでもここ数年VCは、Slackに代表されるような、チャットを区分けしてコメントできる、職場のワーカーたちの足元をぐらつかせる、数多くのコラボレーションツールに積極的に投資してきた。

コラボレーションに対するVCの関心はそろそろピークに達したのではないか、とも思うが、それでもVCたちは、その成長の鈍化を補うために、今度はおしゃれなインタフェイスのメッセージングツールの多様な機能を、わかりやすくそして使いやすくするためのツールに、さらに熱心に投資している。彼らの最新の投資対象である’nuffsaidも、そんな生産性スタートアップのひとつだが、でもこいつは、2020年におけるメッセージングの利用を、少しは我慢できるものにしてくれるかもしれない。

ユタ州出身の同社は今日(米国時間2/11)ステルスを脱し、同社の生産性プラットホームの最初の成分をアーリーアクセスで公開した。そして同時に同社は、430万ドルのシード資金を、General CatalystとGoogleのGradient Ventures、Global Founders Capital、Work Life Ventures、SV Angel、そしてWasabi Venturesから調達した。

’nuffsaidという奇妙な社名の同社がアーリーアクセスでリリースした、同じく奇妙な名前のプロダクトが‘nflowだ。それは、複数のコラボレーションプラットホームとカレンダーを一つのインボックスへまとめる。アルゴリズム化されたタイムライン(algorithmic timeline)がソーシャルメディアのコンテンツのファイヤホーズ(firehose、全ストリーム)を理解可能に消化してくれるように、同社のアルゴリズム化されたインボックス(algorithmic inboxes)はスラックたたきのソリューションかもしれない。そして’nuffsaidは、アルゴリズムによってSlackのメッセージやメール、テキストメッセージ、Zoomのメッセージなどに優先順を付け、検索可能な一元化されたインボックスを作る。それにより、ユーザーのすべてのメッセージが単一のアプリの下に置かれ、緊急なものと、今の仕事が終わってからのものなどに分類できる。

CEOで共同創業者のChris Hicken氏は、次のように語る: 「既存のワークフローにAIを加えることは、それ自体が今やひとつのカテゴリーだと思う。‘nflowは、そんな未来へ送り出した、最初のささやかな製品だ」。Hicken氏はそれまで、UserTestingのCOOだった。

‘nflowのすごいところは、カレンダーをコミュニケーションハブの中へ持ち込んだことだ。Google Calendarは未だに、生産性ワークフローの中のよそ者だ。メッセージやメールをカレンダーイベントのベースにすることは、つねに要望のレベルにとどまっていた。これまで、十分にタイトな統合が為されたことはない。’nuffsaidはドラッグ&ドロップでカレンダーのイベントを作るが、そのときチームメンバーの名前のタグを付けたり、そのほかの情報を加えられるのが魅力的だ。私自身まだ、読者に100%お勧めできるほど、使い込んではいないのだけど。

’nuffsaidによると、‘nflowの商用化バージョンは月額使用料が25ドルとやや高いが、今のアーリーアクセスに登録したユーザーは、いつまでも月額10ドルで使える。

‘nflowが、メッセージングの過剰に悩む一般ユーザー向けのプロダクトだとすると、今後同社が作ろうとしているのは、個々の企業のワークフローの特殊性に沿った、十分なカスタマイズのできるメッセージ管理ツールだ。

そして今年の夏には、さまざまなアプリに統合できる、顧客の成功を支えるAIモジュールを予定している。それによって仕事の優先順付けや、CR(カスタマーリレーション)機能を各アプリが持てるようになる。一般的なモジュールではなく、エンジニアリング用、プロダクト用、マーケティング用など、部門別にモジュールが提供される。

投資家を代表してGeneral CatalystのマネージングディレクターNiko Bonatsos氏は次のように語る。「コラボレーションツールは多すぎるほどあるが、’nuffsaidの良いところは、仕事の現場で使えることと、ユーザーに手順等の変更を求めないことだ。ユーザーにとっては、メールを初め、顧客とのコンタクトは以前のままだ。ツールがユーザーに、慣れない新しいことを強制しない」。

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医療系ビッグデータ分析のOM1が約55億円を調達

ヘルスケア業界にビッグデータ分析を提供するOM1が新たに5000万ドル(約55億円)を調達した。営業、マーケティングと製品開発を強化し、その臨床的知見をより多くの病院や大手製薬企業に提供しようとしている。

同社のようなデータ分析スタートアップに資金が集まるのは、データへのアクセスがヘルスケアの効率向上と費用の低減に大きく貢献すると広く認識されているため。データを活用すれば、製薬会社は食品医薬局に新薬の有用性を説明しやすくなるし、病院や医師は、どの治療方法が最良の結果につながるかをデータの活用で探ることができる。

OM1のCEOで創業者のドクターであるRichard Gliklich(リチャード・グリクリッヒ)氏は、「臨床データは、ヘルスケアにおいて最も重要なものだ。OM1は今回獲得した資金で、さまざまな臨床結果やエビデンスをより速く提供できるようになり、顧客はより有効的にそれらのデータを利用できる」と語る。

OM1に対する最新の投資には、Scale Venture Partnersがリードし、General Catalyst(GC)やPolaris Partners、7wire Venturesといった既存の投資家も参加した。この投資にともなって、Scale Venture Partnersのマネージングディレクター、Rory O’Driscoll(ロリー・オドリスコール)氏は、同社の取締役会に席を得た。

オドリスコール氏は、声明で「AIとデータが多くの産業における変化を推進している。OM1は、AIとデータをヘルスケアにおける変化に結びつける最先端にいる。医療と介護をより良いものにしていく過程に弊社が加われたことに、感激している」と述べている。

同社は特に、免疫、リウマチ、循環代謝系、筋骨格系、特定の中枢神経系、および行動保健技術といった分野の治療法にフォーカスしている。

同社は、グリクリッヒ氏がGeneral Catalystの常勤役員だった2015年に創業した。グリクリッヒ氏は、医薬や医療技術の結果を定量化して評価しそれらの標準化を図る国レベルの取り組みにも主席調査官として参加しているが、OM1はそれらのサポートも行っている。

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コンピュータービジョン技術で細胞を分析し病原体を見つけるPathAIが67億円超を調達

コンピュータービジョンの技術で病原体を見つけるPathAIのサービスは、臨床現場での実用化まではまだ1年あまりと言われるが、同社は最近の資金調達ラウンドで6000万ドル(約67億円)を獲得した。

医師は、患者から採取した標本細胞を同社の技術を利用して分析し、細菌やウィルス、癌細胞などの病原体の存否を判定する。しかし現時点では、PathAIの技術は病院における患者の診療よりも製薬企業の新薬開発に使われていることが多い。同社の共同ファウンダーでCEOのAndy Beck(アンディー・ベック)博士はそう語った。

ベック博士は語る。「私たちの今日の最大のフォーカスは、(臨床よりもむしろ)難病の新しい治療法を見つけるために使われている研究プラットホームにある。安全で効果的な医薬品の開発を加速することは、患者にとって本当に重要な問題だと考えている」。

製薬企業は新しいテクノロジーに病院よりも大きな額を投じているから、PathAIのようなスタートアップにとっても魅力的なマーケットだ。同社が病理学者たちと協働するときは、彼らは研究目的で技術を使っているとベック博士は語る。しかし臨床での診断のためには治験が必要であり、規制当局が認可するまで時間がかかるとのこと。そして「そのため、直接臨床で使われるようになるまではあと1〜2年はかかる」そうだ。

同社の最新のラウンドはGeneral Atlanticがリードし、さらにこれまでの投資家であるGeneral Catalystや8VC、DHVC、REfactor Capital、KdT Ventures、そしてPillar Companiesも参加したPathAIの社員は昨年60名あまりに増え、そしてBristol-Myers SquibbやNovartisとパートナーシップを結んだ。

新たな投資の結果としてGeneral AtlanticのマネージングディレクターMichelle Dipp(ミッチェル・ディップ)博士が同社の取締役会に座ることになる。General CatalystのマネージングディレクターであるDavid Fialkow(デイビット・フィオーコウ)氏は声明で次のように述べている。「PathAIの技術によって疾病診断の精度と再現性が向上し、それらの疾病を治療する新薬の開発を助けるだろう」。

画像クレジット: Ed Uthman/Flickr CC BY 2.0のライセンスによる

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あなたの英文の文法チェックをしてくれるGrammarlyが初めての投資ラウンドで$110Mの巨額を調達

文法が苦手な人は少なくない。ちなみに、“a lot”は二語だし、 “Your”と“you’re”は同じ語ではない。

知る人ぞ知るGrammarlyは、ソーシャルメディアやメールで好印象を与えたいと願っている学生やライターや一般人のための、フリーミアムの文法チェッカーだ。同社は今、General CatalystやIVP, そしてSpark Capitalから1億1000万ドルを調達して、事業の底入れ強化を目指している。

8歳の同社にとって、これが初めての資金調達だ。Grammarlyはすでに利益を上げているから、投資家たちも気前が良い。

IVPのゼネラルパートナーJules Maltzは語る、“サンフランシスコの平均的なスタートアップよりも成長がはやい。同社は今後ますます、重要な企業になるだろう”。

Grammarlyのアクティブユーザー数は一日あたり690万だ。その多くが、無料で利用している。同社の収益源は、センテンスの構造や語彙までチェックしてくれる月額11ドル99セントの有料会員の会費だ。

ネット上の文法チェッカーはいろいろあるが、検索で簡単に見つかるそれらに比べればGrammarlyはずっと優秀だ、と同社は自負している。ネットにつながった状態で文書の校正をリアルタイムでやってくれる、Chromeエクステンションもある。

CEOのBrad Hooverは曰く、“うちは人工知能を使ってユーザーの文章の文意や文型をチェックしている”。今度の資金は、社員の増員とアルゴリズムの改良に充てる予定だ。

HooverはGeneral Catalystにいた人物だが、Grammarlyを知って以来、このウクライナ発のスタートアップの将来性に着目していた。

Spark CapitalのゼネラルパートナーJeremy Philipsは、投資の動機を、“良いプロダクトだし、人びとのコミュニケーションを良くするというミッションも気に入った”、と語る。

(私はこの記事を公開する前にGrammarlyでチェックしてみた。誤字を一つ見つけてくれた。)

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オンデマンド「犬の散歩代行」のWag、密かに資金調達ラウンドを実施

先週本誌は、ペットケア・ビジネス大手のRoverとDogVacayが合併を決めたことを報じた。一方情報筋によると、犬の散歩代行サービスのWagは市場拡大のために、過去2年間に2ラウンドの資金調達を行っていたことがわかった。

WagとDogVacayとRoverは似ているようにみえて、運営形態に重要な違いがある。DogVacayとRoverは、「マーケットプレイス」的モデルで、ペットシッターや散歩代行人はペットオーナーと直接連絡を取りあってペットを預かる。

それに対してWagはオンデマンド方式で、会社が散歩代行者を事前に選定しておき、要求に応じて都合のよい散歩人を派遣する。つまりWagは、AirbnbよりUberかLyftのような運営形態をとっている。これは散歩人の選定プロセスについても新市場への拡大についても言えることだ。

Wagは順調に市場を拡大している。2年前に本誌で紹介したときWagはオンデマンド散歩代行サービスをサンフランシスコでもスタートしたところだった。あれ以来、ロサンゼルス拠点の同社は数多くの都市でサービスを展開してきた。現在Wagの散歩代行サービスが受けられる場所には、オースチン、ボストン、シカゴ、デンバー、マイアミ、ニューヨーク、オレンジカウンティ、ポートランド、サンディエゴ、サンノゼ、シアトル、およびワシントンDCがある。

地域拡大のためにこれまで同社は未発表のラウンドで資金を調達してきた。過去2年間にシリーズAでGenral Catalystから、シリーズBでSherpa Venturesから資金を受けた。

情報筋によちると2回のラウンドで獲得した金額は合計1900万ドルで、General Catalystが400万ドル、Sherpa Venturesが昨年秋に1500万ドルを投入した。Wagはそれ以前にシード資金として240万ドルを、Freestyle Capital、CrunchFund、Greylock、Ludlow Ventures、RRE Ventures、Social Leverage、およびStructure Capitalから調達している。

WagとGeneral Catalystの広報はコメントを拒んでおり、Sherpaの広報は本誌の問い合わせに返答していない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

誰でも簡単にチャットボットを作れるOctane AIにGeneral Catalystが150万ドルを投資

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ボットが熱い。Facebookが今春のF8でチャットボットを持ち込んだことをきっかけに、今では、企業のカスタマーサービスのページ、eコマース、エンタテイメントなどなど、犬も歩けばボットに当たるご時世になった。

でも、有能なデベロッパーを抱えてない個人や零細企業は、どうやってボットを作ればよいのか?

そこで、Octane AIが登場。それは、メディア界の名士Ben Parrと、起業マニアのMatt Schlicht、そしてOmegleのファウンダーLeif K-Brooksが作ったスタートアップだ。彼らは、人気の高いFacebookグループデジタルマガジンで、ボット界の名士にもなった。

WixやWeeblyは万人向けのWebサイトデザインツールだが、Octane AIはそれらのチャットボット版だ。まるで幼児用お絵かきページのように、簡単にボットを作れる。私にもできた。簡単な挨拶をするだけの、ボットだけどね。

Evernoteの協同ファウンダーでGeneral CatalystのパートナーPhil Libinが、なんでOctaneに150万ドルも投資するのか、説明してくれた。彼の説では、“ボットはテクノロジーと対話するためのとっても自然な方法だ”。しかもOctaneは、ファウンダーたちのまわりに、すでにコミュニティができていることにも、感心した。

50 CentやAerosmithなど、すでに強力な顧客もいるOctaneは、今はFacebookに力を入れつつ、今後はSMSやiMessage、Slack、一般のWebサイトにも手を広げていきたい、と言っている。

“これは大企業だけでなく、誰にも必要なものだと思う”、とSchlichtは語る。

ボットは単なるギミック…手先の小細工…ではない、と信ずるParrは曰く、“時間を節約できるからね、実際に。そして、タイム・イズ・マネーだよ。あらゆる企業が、使って得をするツールだな”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ClassDojo、保護者面談に代わるアプリで2100万ドルを調達

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ClassDojoがシリーズBのベンチャー基金2100万ドルを調達した。教師と生徒の親をつなぎ、学校での生徒の活動や社会的、行動的発達について密に連絡を取り合うためのアプリだ。

一年を通じて、あるいは一日の登校日を通じてでも、連絡を取り続けることによって、親たちはわが子が日頃学校で何を体験し、どう行動しているかを知らされ、学期に一度の保護者面談だけで聞くことに驚かされることがなくなる。

共同ファウンダーのSam ChaudharyとLiam Donによると、同社は2015年末にこの調達ラウンドを完了し、その資金を元にチームを拡大すると共に、登校中だけでなく家庭にいる間でも親にとって有用なコンテンツと機能を検討している。

「目的は、子供の学校での学習と成長を促進するように、家で親の会話を導くこと」とChaudharyは言う。

教師はClassDojoを使って、活動のスケジュールを、通常毎日、親に知らせる。さらに一日を通じて、生徒の作品や活動の参加状況を写真やビデオに撮って親たちに知らせることもできる。

2011年に設立されたとき、ClassDojoのファウンダーらは、多くの教育IT企業がデジタルカリキュラムや採点簿やテストプラットフォームを作っているのを見ていた。しかし、教師と生徒とその親をつなぐ文化やコミュニティーを作るための、無料で使いやすいアプリはなかった。

それでも、他の教育会社との競合はあり、 RemindFreshGradeNearpodKickboard等の会社も、学校と親をつなごうとしている。

同社の資料によると、現在ClassDojoは私立、チャータースクールから国内最大の公立学校まで、全米8万5000の学校の教師たちがアクティブに使用している。

殆どのユーザーはキンダーガーデンから8年生までのクラスを担当している。

現在ClassJojoは、さらに多くの教師と親にアプリを配ることに集中している。従業員25名のスタートアップはまだ収益を上がていない。

ClassDojo cofounders CEO Sam Chaudhary and CTO Liam Don

ClassDojo cofounders CEO Sam Chaudhary and CTO Liam Don

ファウンダーらが今後一切するつもりがないと言っているのは、ユーザーのデータから収益を得ることだ。「子供が関わることでプライバシーは最大の懸念事項」とCTOのLiam Donは言った。代わりに親たちが利用するプレミアム機能とコンテンツを作れると彼らは考えている。

同社のシリーズBラウンドをリードしたのはGeneral Catalyst。ClassDojoの新たな投資家には、GSVReach Capital、およびSignalFireがいる。

サンフランシスコ拠点のスタートアップは2011年に設立され、これまでにベンチャー基金で3100万ドルを調達した。現在Y Combinator傘下となった教育ITアクセラレーター、Imagine K12(現在Y Combinator傘下)出身。

General Catalystのマネージングティレクター、Herman Tanejaは、「当初ClassDojoは、よい行動特性を教えるためのツールだった。しかし今は、親と教師と生徒が協働するために使われている」と話した。

これは、同社にとって現在唯一の教育IT投資先だ。

TanejaはClassDojoのユーザー成長について、FacebookやSnapchat等のソーシャルネットワークやメッセージングプラットフォームと同様に考えているが、アプリは教育目的専用に作られている。

「この会社が何らかの収益を上げるためには、そしてわれわれはClassDojoがそうなるのは1年以上先だと考えているが、親と教師が必要としていることや、子供が人生で成功するチャンスを高めるために親が既に行っていることに基づいて考える必要がある」とTanejaは言った。

親がClassDojoのようなアプリを使って、カスタム版のイヤーブックや、子供が自宅で使えるビデオ、討論ガイド、課題等のコンテンツを購入するようになることは十分想像できる。

アプリは取引機能も備えており、現在は現金や小切手を子供のカバンに入れて届けている、野外活動やランチや教材等の費用を、親はスマホを通じて学校に支払うことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

元Evernoteのフィル・リビン、最初のベンチャー投資先はチャット・ボットのスタートアップ、Begin

Phil Libin, chief executive officer of Evernote Corp., poses for a photograph prior to an interview at the New Economy Summit 2015 in Tokyo, Japan, on Tuesday, April 7, 2015. The conference, organized by the Japan Association of New Economy, will be held through April 8. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images

Evernoteの元CEOのフィル・リビンがGeneral Catalystのパートナーとなって最初のベンチャー投資を行った。現在はEngadgetの一部であるGDGTの共同ファウンダーで昨年9月にAOLを去ったRyan Blockが創立したチャット・ボット・サービスのBeginというスタートアップが投資先だ。

リビンとしては最初のボット企業への投資となるが、これが最後ではないはずだ。TechCrunchのインタビューに対して、リビンは「向こう数年、ボット企業に集中していく」と語った。メッセージ・プラットフォーム中で会話を効率化するボット・テクノロジーは波に乗っているが、Beginもそういうスタートアップの一つだ。Slackのケースでよく分かるように、リアルタイム・チャットの成長は目を見張るものがある。Facebook自身が今年のF8デベロッパー・カンファレンスでチャット・ボットのためのAPIを発表するものと見られている。

Beginはまだ小さいスタートアップで、われわれの主要な情報源はリビンだが、この会社について、「個人やチームが仕事を効率化するのを助けるチャット・ボットを開発している」という。Begin自身は投資情報も含め、会社の詳細についてまだ何も発表していない。

CEOのBlockは「むやみに仕事を増やすのがいいチームではない。いい仕事をするのがいいチームだ。Beginは今やっていることを何事によらずやりやすくする」とだけ述べた。

「Beginは規模の差はあれ、Slack、Facebook Messengerと同様にチャット・ボット・テクノロジーのパイオニアだ。会話のインターフェースの分野はまもなくビッグウェーブになる」とリビンは言う。Blockは「ボットのような会話的テクノロジーは伝統的なUIを置き換えることにはならないだろう。両者は相互補完的なものだ」と述べている。そうであっても「ユーザーがネットに接する時間の大半はボット・インターフェースを通じることになるだろう」とリビンはみている。「私の考えでは、ソフトウェア、特にボットはわれわれの代理としてコンピュータを動かし、われわれのストレスを大きく軽減してくれるはずだ」とBlockは述べた。

「ボットがアプリの新しい波だとよく言われるが、だからといって今までのアプリがなくなるわけではない。多くのボットがSlackやMessengerのような既存のチャット・プラットフォーム内で活躍するようになる。その一方でボット・テクノロジーをベースにした単独アプリも登場するだろう」とBlockは言う。

インタビューでリビンは今回の投資の背景とボット・テクノロジーに対する考えを詳しく述べた。【リビンのインタビューは原文参照】

画像:: Kiyoshi Ota/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

インターネットに接続するスマートワインボトルKuvéeが$6Mを調達、予約販売を開始

最近はあらゆるものが“スマート”(電脳化)だから、ワインボトルがインターネットに接続されても不思議ではない。そのKuvéeという名の、再利用性のあるボトルケースは、ワインの鮮度を最大30日キープする。

General CatalystやFounder Collectiveなどから600万ドルを調達したKuvéeは、ワインの履歴や合う料理などを知らせるタッチスクリーンの画面で、ディナーに招いたゲストたちを感動させるだろう。正しい飲み方、ユーザーの好みに合わせて個人化されているワインのリコメンデーション、同じワインの再注文、などの情報や機能もある。

一度開けたボトルの(ワインの)鮮度を保つ技術で特許を取ったCEOのVijay Manwaniによると、飲みかけのボトルでも一週間はフレッシュな味と香りを維持するそうだ。

Kuvéeのシステムは、Bonny DoonやPine Ridgeなど、カリフォルニアの高級ワインと相性が良い。750mlのボトルが15ドルから50ドルぐらいだ。

今日(米国時間3/28)からKuvéeは、予約販売をKuvee.comやIndiegogoで開始する。179ドルの予約価格には、システムのほかに4本のワインが含まれる。

Kuvéeのデモビデオ(上図)を見てみよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ビッグデータ対応を軸にITとデータセンターの運用/管理環境を一新するRocanaが$15Mを調達

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Rocana(元ScalingData)が、Google Venturesがリードし、General Catalyst PartnersとToba CapitalおよびPaul Sagan(元Akamaiの会長で現在はGeneral Catalystの常勤役員)が参加したシリーズBのラウンドで、1500万ドルを調達したことを発表した。

これで、同社の総調達額は1940万ドルになる。

Rocanaは大型データセンターの問題発見と修復を単純化し迅速化する。各企業のサービスのモバイル化とクラウド化の進展により、それら混成環境における問題発見がますます難しくなっている、とRocanaの協同ファウンダでCEOのOmer Trajmanは説明する。

Rocanaが得意とするのは、問題が起きたときにシステムをずっと低レベルまで下(お)りていって調べる”root cause analysis”(根本原因の分析)と呼ばれる手法だ。

企業はそれまで、理解も制御も容易な、比較的シンプルなシステムを利用していたが、しかし今日では、OpenStack、Hadoop、Dockerなどなど、多様な技術を使いこなさなければならない。これらのツールは一部の困難な問題を解決してくれるが、同時にユーザのシステムの複雑さを増大させる。

General CatalystのパートナーDonald FischerはRocanaに惹かれた理由を、企業ITのこのような環境変化に取り組むための新しい方式を開拓しているからだ、と言う。“私の眼下に広がる視野の中では、いろんなものが複雑性を増し、とくにデータセンターでデプロイされるものが、(単一ベンダのストレートなソリューションではなく)ますます異種混成的になりつつある”、と彼は述べた。

しかも彼の耳に入ってくるのは、シンプルなデータセンターのために設計された従来型のツールが、時代遅れで使い物にならない、という声だ。“ITの運用をを管理するためのツールを見渡すと、どれも老馬だ。IBMやHP、BMCなどのツールさ。どれも、DockerやOpenStack、Mesosphereなど以前の製品だ。それらのツールが、もはや役に立たない、という声が沸き起こっている”、と彼は語る。

そこで、Rocanaのようなスタートアップに機会が開ける。ファウンダたちは、データセンターの問題の根幹にあるのがビッグデータの問題だ、と見ている。日に日に複雑性を増しているシステムの、いろんなところから、雑多な、統一性のないデータが大量に入ってくる。それらに対応するためにRocanaは、Hadoopと、その関連技術Apache Spark(分散クラスタ、インメモリ処理)とApache Solr(検索エンジン)を選んだ。

アプリケーションのパフォーマンス管理というとNew RelicやAppDyamicsなどのサービスがすでにあるが、Trajmanによると、彼らはどちらかというとRocanaがやってることを補完するものだ。

“New Relicはアプリケーションのレベルでパフォーマンスやその問題を理解させるが、うちのようにインフラまで下(お)りて行くと、まったく違う光景が見えるのだ”。

つまり彼によるとNew Relicは、アプリケーションのどこで何がおかしくなっているか、を教えてくれるが、Rocanaはインフラストラクチャのレベルでユーザが問題を詳細に理解し、それらを修復する方法を提供する。

ITの運用スタッフに詳細なインフラストラクチャとソフトウェアの分析を提供する、という点ではむしろ、DataDogがコンペティタかもしれない。

いずれにしても、市場の特定の部分だけを対象に頑張っているスタートアップは、それほど多くはない。Rocanaは、20名の社員がボストンとサンフランシスコにいる。Trajmanは、今回得られた資金で社員数を2〜3倍に増やしたい、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa