名古屋市がイノベーターのための人材育成プログラム「NAGOYA BOOST 10000 2021」参加者を募集

名古屋市がイノベーターのための人材育成プログラム「NAGOYA BOOST 10000 2021」参加者を募集

愛知県名古屋市は6月14日、イノベーションの担い手となる起業家や新規事業の開発を目指す人材を育成するプログラム「NAGOYA BOOST 10000 2021」(ナゴヤ・ブースト・テンサウザンド 2021)を、2020年に引き続き開催すると発表した。また2021年度からは、起業家(アントレプレナー)向けと新規事業担当者(イントレプレナー)向けの「AI・IoT人材BOOSTプログラム」をそれぞれ1コースずつ実施することを決め、参加者を募集している。募集期間は2021年7月18日まで。

またオンライン事前説明会が、7月1日午後6時から行われる予定。参加方法などの詳細は、Peatixイベントページ「NAGOYA BOOST 10000 2021 オンライン事前説明会」にまとめられている。

「NAGOYA BOOST 10000」は、名古屋発のイノベーション創出を目標とする「名古屋の看板事業」。2017年度開催のNAGOYA HACKATHON(ナゴヤ・ハッカソン)、若手人材育成のための「AI・IoT人材BOOSTプログラム」、それらの成果を発表してビジネスマッチングを行う「NAGOYA BOOST DAY」(ナゴヤ・ブースト・デイ)を追加し成長してきたものという。

2021年度からこのNAGOYA BOOST 10000は、「AI・IoT人材BOOSTプログラム for アントレプレナー」と「AI・IoT人材BOOSTプログラム for イントレプレナー」、そしてNAGOYA BOOST DAYの3本立てとなる。

募集概要(両コース共通)

  • 募集期間:2021年7月18日まで
  • 募集者数:各コース25名程度
  • 実施期間:2021年8月〜2022年2月
  • 参加費用:無料
  • 会場:NAGOYA INNOVATOR’S GARAGE(一部オンラインの場合もあり)

AI・IoT人材BOOSTプログラム for アントレプレナー

AIやIoTの最新プロトタイピング技術、それを使った事業開発に必要なスキルや知識を学ぶ。「インプットとアウトプットを繰り返しながら、アウトプットに対するユーザー評価を通じ短期間でその精度を上げていく『アウトプット型 新規事業創出・学習プログラム』」とのこと。

参加対象

  • 起業、スタートアップにチャレンジしてみたい方
  • AI・IoTなど最新テクノロジーを使ったアイデアで起業にチャレンジしてみたい方
  • 起業に向けて仲間を集めていて、アイデアを形にしたい方
  • 将来的に起業家を目指している方
  • ゼロから自分で作り出したい、ビジネスを生み出したい方

AI・IoT人材BOOSTプログラム for イントレプレナー

AI、IoT、ロボティクス、クラウドなどの最新テクノロジーを、業界をリードするスタートアップの事例などとともに幅広く学ぶ。「豊かな知識をフルに活用し社内事業を牽引できるリーダー人材を育成」するという。

参加対象者

  • 最新の技術トレンドを学びたい新規事業担当者、エンジニアの方
  • 最新の技術トレンドを活用した開発にチャレンジしたいエンジニアの方
  • 最新の技術トレンドで新しいアイデアを創出したい新規事業担当者
  • 社内起業予定、もしくは社内起業にチャレンジしてみたい方
  • 社内新規事業創出・創造にチャレンジしてみたい方
  • AI・IoTなど最新テクノロジーを使った新しい取組みにチャレンジしてみたい方

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カテゴリー:EdTech
タグ:IoT(用語)AI / 人工知能(用語)日本(国・地域)

【コラム】ハードテックの急速な台頭

【編集部注】:本稿の著者Garrett Winther(ギャレット・ウィンザー)氏は、SOSVのハードテック分野のベンチャープログラムであるHAXの、パートナーでプログラムディレクター。エンジニアとしての教育を受けたベンチャービルダーの彼は、SOSV、IDEO、MITでハードテック分野のベンチャー企業を世に送り出してきた。

ーーー

私が、SOSVのHAXという、アーリーステージのハードウェア創業者たちを支援するためのベンチャープログラムチームに参加したとき、テック系の友人たちは首をかしげた。ハードウェアが極めて難しいということを、まだ学んでいなかったのか?というわけだ。だが、彼らが見ていなかったは、冷え切っているという世間の評判とは裏腹に急速に進化しているハードウェアシーンだったのだ。これまでの苦難に満ちたハードウェアのやり方は、新しいよりエキサイティングなやり方に道を譲っていて、ソフトウェアだけでは解決できない、たとえば気候変動のような文明レベルの問題に対応するためのものとして、次々と勃興している。

現在、HAXプログラムに参加する創業者たちと仕事をしていると「世界のエネルギー消費量を10%削減する」という信じられないような(しかし実現可能な)Seppure(セピュア)の計画や「アパレルのサプライチェーンからすべての無駄をなくす」という Unspun(アンスパン)の計画や「世界のバッテリーリサイクルの利益率を5倍にする」というGreen Li-ion(グリーン・リチウムイオン)の話を聞くのが普通のことになっている。

このような野心的目標は、脱炭素化、インフラの近代化、サプライチェーンの確保、従来産業の完全デジタル化などの要求を中心とした、世界経済の新たなメガトレンドを反映している。

機械学習からセンサー、ナノ材料に至るまで、推進するためのツールや技術が、かつてないほど強力で手頃な価格になっているため、高い志を持ち、市場投入までの時間をはるかに短縮することが可能になっている。Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏やElon Musk(イーロン・マスク)氏のようなビジョナリーたちが注目し、Blackrock(ブラックロック)のような機関投資家が気候変動対策に力を注ぎ、さらにはHAXと同じ志を持つコミュニティであるThe Engine(ジ・エンジン)、New Lab(ニュー・ラブ)、Greentown Labs(グリーンタウン・ラブ)が台頭してきている。

この新しい世界の範囲は非常に広く、私たちはもはやHAXのテーゼを「ハードウェア」ではなく「Hard Tech(ハードテック)」と呼んでいる。これは難しいという意味で「ハード」だからということと、2010年代初頭のパーソナルハードウェアデバイスや家庭内のIoTといった当初のスコープをはるかに超えているということの両方の意味を持っている。

私たちの周りで次々と誕生しているのは、新世代のハードテック企業の創業者、投資家、技術たちだ。この中で私たちは、ハードテックの潮流がやってくることをひしひしと予感している。

もし「ソフトウェアが世界を食らう」なら、ハードテックがそのための歯を提供する

この30年間は「ソフトウェアが世界を食らっている」と言われてきたが、それはいわば一番手を付けやすいものを楽しんできたのだ。しかし、そうしたスクリーンやサーバーに頼るデジタル世界は、徐々にニッチな市場での限られた利益に縛られるようになっている。Ubiquity Venturesの友人がいうように「Software Beyond the Screen(スクリーンの向こうのソフトウェア)」の時代が来ている。

手頃な価格のロボット、AIを使ったセンサーフュージョン、途切れないコネクティビティ、スーパー素材がテクノロジースタックに統合されて、顧客に新たな価値をもたらしている。多くのHAX企業が、少し前まではSaaS企業しか実現できないと言われていた80%以上の粗利益率のビジネスを行っている。さらには、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせは、ソフトウェアだけでは実現できない、産業界を横断するより重要な問題に取り組むことを可能にする。

テスラに学べ、大きな産業で大きな仕事をする

この10年間でTesla(テスラ)が量産車メーカーになった予想外の成功を説明しようとするときに、業界の専門家たちはテスラの「ソフトウェア主導」のアプローチを指摘することが多い。だが真相は、テスラの成功の中心を成しているのは、バッテリー、モーター、そして製造手法、販売モデルなどのハードウエアの強烈な革新なのだ。

この方程式は、エネルギー、建設、農業などの、数兆ドル(数百兆円)規模の巨大産業でも同じように展開されている。これらのカテゴリーでの機会を探している投資家は、大胆に行動する必要があるが、ハードテックを含めて探せば、予想外のリターンが得られることだろう。世界を進化させるためには、Commonwealth(コモンウェルス)のFusion Energyのような核融合炉や、Boston Metal(ボストン・メタル)の排出ゼロ鉄鋼や、Deepspin(ディープスピン)の低価格MRIのような大物が必要となる。テスラや交通システムのように、ソフトウェアがきっかけになることもあるが、一般に産業革命は物理的な世界の革新から生まれるのだ。

B2Bセールスに開かれた新しい扉

このような大規模なチャンスに対応するには、産業レベルでのパートナーや顧客が必要だ。スタートアップ企業には、単独で行動する余裕はない。従来スタートアップ企業に対して行われてきたアドバイスでは、企業パートナーは恐ろしく動きも遅く、スタートアップのペースでは仕事ができない獣のようなものだから、相手をすることを避けるべきだとされてきた。しかし現実には、大企業は新興のハードテックスタートアップに対する興味を明らかに高めていて、多くの企業が、よりリスクの高い複雑なテクノロジーに取り組むためのパイプラインを用意している。ここ数年で、ベンチャーと取引をする企業の数は2倍以上に増えていて、さらに多くの企業が、すでに始まっている業界全体の変革に備えているのだ。

そのため、スタートアップは企業やB2Bマーケットにより迅速に関わるようになり、これが、かつてはソフトウェアのみを扱う企業だけに見られていたスピード感で、多くのB2Bハードテックが数百万ドル(数億円)の収益を上げるまでに成長している理由を説明できている。また、こうした企業へのVC資本の急増や、HAX自身の構成の変化も説明できるのだ。2012年のスタート以来、HAX B2Bのポートフォリオは、投資総額の10%から70%へと拡大しており、その中には急成長中のアーリーステージ企業の大半が含まれている。

ハードテック企業の経営は、より容易により安く

アーリーステージのハードテックスタートアップを立ち上げるための技術や戦略は、10年足らずの間に桁違いに進歩している。3Dプリンターの価格は、2万ドル(約219万円)から200ドル(約2万1900円)に下落した。プリント基板は、(サプライチェーンが混乱している中でも)わずか数日で世界中に出荷されている。何十万社ものサプライヤーがオンラインに存在し、ひと晩で部品を作って出荷することができる。アーリーステージの創業者が少ない予算で、印象的で収益性の高いプロトタイプを作ることは十分可能なのだ。その結果、ハードテック企業の創業者は、コア技術の開発に集中することが可能になり、以前は「ハード(難しい)」とされていた多くのことを当然のことのように考えることができる。APIやAWS、そしてノーコードの台頭がソフトウェアの新たな可能性を引き出したことと同様に、似たような革命が新しいハードテックの世界のバックボーンとなっている。

PhDは未来の憧れの的だ

ハードテクノロジーの商業化は、もはや非現実的な探求ではなく、より多くのPhD(博士号)やポスドクが会社を設立するために活動している。HAXのスタートアップには、PhDを取得した創業者や、博士論文に何年もかけて取り組んでいる創業者がいるのが珍しくない(SOSV Climate 100社の40%以上が少なくとも1人のPhD取得者を擁している)。これらの企業は、大学から直接受ける起業の刺激に応えるだけでなく、気候変動のような文明レベルの大きな技術課題への呼びかけにも触発されている。

これは投資家にとっては容易な道ではない。というのも、そもそも大学の研究室で行われている研究は、非常に高度で、ある意味不確定で、実績のある市場を持たないものであることが多いからだ。言い換えれば、ハードテックのスタートアップは、通常非常に深い水の中にいるため、専門家のリーダーシップや洞察力に高い価値が置かれる。その結果、多くのVCは、次世代の優れた創業者や業界を変革するスタートアップを見逃さないように、科学者やエンジニアを投資チームに迎え入れている。今、私たちは、科学技術分野における最高の頭脳にとってチャンスとなる、黄金時代の始まりにいる。

こうした、HAXにおける新興ハードテックの隆盛は、何年か先に起こるものの予測を語っているのではなく、現在HAXチームが日々ポートフォリオの中で見ているものをただ語っているだけだ。数年前には不可能だと思われていたプロジェクトに対するアイデアの質、創業者の野心、実行のスピードには本当に驚かされている。もちろん、それはまだ難しい(ハード)だが、今後数十年の間にハードテックが必然的な力になるにつれ、より多くの起業家や投資家がハードテックに移行していくだろう。

【情報開示】TechCrunchの元COOであるNed Desmond(ネッド・デズモンド)氏が、現在SOSVのシニア・オペレーティング・パートナーを務めている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:IoTB2Bコラム

画像クレジット:Theerapong28/Getty Images

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(文:Garrett Winther、翻訳:sako)

有機太陽電池をプリント、周囲の光をエネルギーに変えるDracula Technologiesの技術

コウモリの形をした光発電モジュール(画像クレジット:Dracula Technologies)

IoTデバイスの増加し多くの人の仕事がより便利になっているが、それにはコストがかかる。国連は、2021年に世界で発生する電子廃棄物の量が5220万トンに達すると予想しているが、そのかなりの部分が使用済みバッテリーだ。

フランスのスタートアップ企業で、現在、Computexにバーチャル出展しているDracula Technologiesは、インクジェットプリントによる有機太陽電池(OPV)の技術を提供したいと考えている。LAYER(Light As Your Energetic Response)」と名づけられた同社のOPVモジュールは、自然光や人工光を利用して室内で動作し、低消費電力の室内機器に使用することができる。OPVモジュールは、シリコンではなくプリントされているため、形状をカスタマイズすることが可能で、多くのバッテリーと違いレアアースや重金属を使用していない。また、多くのバッテリーとは違い、レアアースや重金属を使用せず、炭素ベースの材料で作られている。

環境への配慮に加えて、LAYERは経済性にも優れており、バッテリーと比べて総所有コストを4分の1に抑えることができるという。

Dracula Technologiesは現在、日本の半導体メーカーであるルネサスエレクトロニクスと英国のAND Technology Research(ANDtr)との提携を含め、メーカーと協力して、BLEでモバイルアプリにメッセージを送れる自己発電型のバッテリーレスIoTデバイスを開発している。

Dracula Technologiesは2011年に創業されたが、その前はフランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)との協同プロジェクトに関わっていた。CEOのBrice Cruchon(ブライス・クルション)氏がその技術の商用性を見抜き、6年の研究開発を経て、ディープテクノロジーのスタートアップを育成するHello Tomorrowの事業からLAYERを開発した。

これまでDracula Technologiesは総額440万ユーロ(約5億9000万円)の資金を調達しており、その中には2016年のエンジェル投資家たちによるパイロット育成事業からの200万ドル(約2億2000万円)と、2020年MGI DigitalとISRA Cardsから調達した240万ドル(約2億6000万円)が含まれる。これらの資金によりDracula Technologiesは、まだ工業化以前の段階で同社の光発電モジュールを増産することができた。2024年には工業化に移行して、年産数百万モジュールの生産規模を目指している。

デジタル印刷と印刷仕上げ工程のMGI Digitalと、免許証やギフトカード、ポイントカードなどの高品質電子カードを作っているISRA Cardsが、Dracula Technologiesの工業化を支えるパートナーだ。同社はSolar Impulse Foundationの#1000 Solutionsに、同社が育成する大規模な実装の可能なグリーンエネルギーソリューションとして選ばれている。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Dracula Technologiesフランス太陽光発電IoT有機太陽電池 / OPV

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)

コーンテックがAIカメラで養豚の体重・体格・肉質を計測する実証実験を開始

コーンテックがAIカメラで養豚の体重・体格・肉質を計測する実証実験を開始

IoT技術とAIを活用し養豚の「地産地消エコシステム」確立を目指すコーンテックは、NTT東日本神奈川事業部、神奈川県の養豚場臼井農産と共同で、AIカメラを使った養豚の体重、体格、肉質測定の実証実験を行うと発表した。実施期間は2021年6月7日から2022年3月末まで(予定)。

神奈川県の調べでは、養豚業者が減少する一方で、業者1戸あたりの飼育頭数は2019年には1300頭を超えており、飼育の効率化が求められているという。そこでNTT東日本は、2019年より神奈川県養豚協会、神奈川県畜産技術センターと連携して、既存設備に導入可能なIoTを活用した「養豚環境の見える化」、つまり温湿度データや豚の衛生環境などの監視システムの構築に取り組んできた。また2021年4月からは、臼井農産と連携し、品質と生産性向上のための適切なCO2濃度の維持管理方法を見極める実証実験を行っている。そして今回、コーンテックの深度センサー付きAIカメラを用いた実証実験を開始することになった。

コーンテックのAIカメラは、最大で50頭の体重、体格、肉質を同時に計測・推定算出できる。実証実験では、豚舎管理用の温湿度、CO2濃度の計測も行う。計測したデータはクラウド上のサーバーに蓄積され、飼育や出荷の判断などに活用する。また、計測データと、飼育出荷判断のデータの相関性を導くことで、熟練作業員のノウハウを可視化し、その知見の継承にも役立てるという。

今後、臼井農産では最高品質の豚肉の提供を、NTT東日本とコーンテックは、神奈川県内の養豚行へのIoTサービス導入のサポート、各種連携による養豚業の発展に向けた仕組み作りをそれぞれ目指してゆくとのことだ。

各社の役割

  • コーンテック:AIカメラによるデータ収集・蓄積、体重・体格・肉質の解析・精度向上、実体重との差異確認および教師データ化、機器検証情報の提供
  • NTT東日本:通信機器の設置・管理、実証実験の遂行における総合的な支援
  • 臼井農産:実験フィールドの提供、豚衡機計測による肥育豚体重情報提供、AIカメラ利用評価、体格(肉質)に関する評価・アドバイス

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カテゴリー:フードテック
タグ:IoT(用語)臼井農産AI / 人工知能(用語)コーンテック(企業)東日本電信電話 / NTT東日本(企業)養豚(用語)日本(国・地域)

世界最大の在庫品目を誇る電子部品通販サイト「Digi-key」がスタートアップ支援サイトを開設

世界最大の在庫品目を誇る電子部品通販サイト「Digi-key」がスタートアップ支援サイトを開設

世界最大の在庫品目を有し、世界各地で事業を展開する電子部品通販サイトDigi-Key Electronics(ディジキー・エレクトロニクス)は、6月7日、スタートアップ企業の成功を支援するマイクロサイト開設と、アメリカのスタートアップ専門誌「STARTUP Magazine」とのパートナーシップで制作された「Startups Survival Guide, 2nd Edition」(スタートアップ企業サバイバルガイド」マニュアル第2版)の公開を発表した(英語での提供)。

Digi-key自身が、もともとアマチュア無線用部品を生産するスタートアップ企業だったことから、その経験と、さらにこれまでに数千社のスタートアップ企業を支援してきた中で蓄積されたリソース、ツール、知識を活用して、コンセプト段階から、試作、製造、サポートに至るまで10のステップに沿ってスタートアップ企業を支えようという活動だ。「その夢の実現を可能にするDigi-keyのコミットメントと献身」を強固にするためだとDigi-keyは話している。

このマイクロサイトは、スタートアップ企業が成功するまでの10ステップ(コンセプト、研究、評価、デザイン、プロトタイピング、資金調達、マーケティング、生産、流通、サポート)を示す「Startup Roadmap」(スタートアップ企業ロードマップ)を中心に構成されている。各ステップでは、アメリカのオープンソース・ハードウェア・メーカーの草分けAdafruit Industries(エイダフルーツ・インダストリーズ)の創設者であり、2018年のForbes誌「テック業界のアメリカ人女性トップ50」にも選ばれたLimor “Ladyada” Fried(リモア・レディーエイダ・フリード)氏が語るスタートアップ体験談の動画も視聴できる。

また、ロードマップの各ステップの完了をサポートするインタラクティブなツール「Roadmap Dashboard」(ロードマップ・ダッシュボード)も用意されている。ここでは、各ステップで有用となるツールやリソースが紹介され、「革新的なトラッキングシステム」も利用できる。たとえば、短時間でコンセプトをまとめることができるツール「Scheme-it」、プリント基板の設計から発注まで行えるツール「PCB Builder」と「DK RED」、そのほか部品表管理ツールや技術フォーラム、さらにDigi-keyを通じて販売が行えるマーケットプレイスなどが用意されている。

Digi-Keyテクニカルマーケティング担当ディレクターのDavid Sandys(デイビッド・サンディス)氏は「Digi-Keyはこれまで数万社のスタートアップ企業と関わってきており、スタートアップ企業の願望や目標実現の妨げとなる一般的な落とし穴や、見えにくい落とし穴をいかに回避するかを学んできました。新しいマイクロサイトとガイドは、こうした障害を克服するための最も優れたリソースのひとつです」と語っている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:IoT(用語)Adafruit Industries(企業)オープンソース / Open Source(用語)Digi-Key Electronics(企業・サービス)電子工作(用語)メディア(用語)

ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版がIoT機器向けに公開、Linuxか独自カーネルを選択可能

  1. ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

中国初のオープンソース財団OpenAtom Foundationは6月1日、「OpenHarmony 2.0 Canary」(カナリア版)をリリースした。ライセンスはApache License 2.0(アパッチ・ライセンス 2.0)。Huawei(ファーウェイ)の独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソースソフトフェア(OSS)版最新バージョンにあたる。中国のソースコードホスティングサービス「Gitee」上で公開している

また6月2日、開発者向けドキュメントをまとめた「Develop devices – HUAWEI HarmonyOS Device」に関連ドキュメントも公開された。

Huaweiは、2020年9月開催の開発者向けイベント「HUAWEI DEVELOPER CONFERENCE 2020」においてOpenAtom Foundationに対してソースコードを寄贈することを発表しており、以来公開が続けられている。

新たにリリースされたOpenHarmony 2.0のライセンスは、Apache License 2.0。すべての機器がネットワーク接続された世界における、あらゆるスマートデバイスに適用可能なOSSのOSとして、IoE(Internet of Everything)を促進するとうたっている。

カーネルとしてはLinux、HarmonyOSマイクロカーネル、Huawei LiteOSを利用できるマルチカーネルデザインを採用。ターゲットとするハードウェア環境によって開発者がカーネルを選択できるようにしており、カーネル抽象化層(KAL。Kernel Abstraction Layer)を設けることで実装の違いを隠し、基本的なカーネル機能を上位層に提供するという。

Linuxについては、LTS版カーネルを基にCVEパッチやOpenHarmonyの上位層に適合させるための機能をマージさせたものを利用するという(記事執筆時点では、バージョン4.19を基にしている)。

HarmonyOSマイクロカーネルについては、記事執筆時点ではソースコードおよびドキュメントとも公開されていない。Huawei LiteOSは、記事執筆時点ではOpenHarmony LiteOS Cortex-AおよびLiteOS Cortex-Mとしてソースコードが公開済みで、ライセンスはBSDライセンス(2条項BSDライセンス)を採用。LiteOS Cortex-Aは、Arm Cortex-A7ベースSoCの中国HiSilicon Technology製Hi3518E V300またはHi3516D V300搭載ボードをサポートしている。LiteOS Cortex-MをCortex-M3(STM32F103)/M4(STM32F429IG)/M7(STM32F767ZI)、RISC-Vに対応しているという。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:IoT(用語)Android(製品・サービス)OS / オペレーティングシステム(用語)OpenAtom Foundation(組織)オープンソース / Open Source(用語)OpenHarmony(製品・サービス)Gitee(企業・サービス)GitHub(企業)Google / グーグル(企業)HarmonyOS(製品・サービス)Fuchsia(製品・サービス)

ソニーのIoTブロック「MESH」が教育現場の要望に応えChrome OS・Chromebookに対応

ソニーのIoTブロック「MESH」が教育現場の要望に応えてChrome OS・Chromebookに対応

ソニーマーケティングは6月2日、IoTブロック「MESH」(メッシュ)がChromebookでも使えるようになる「ブラウザ版MESHアプリ」の提供を開始した。同時に、2021年夏には、Android版MESHアプリをChrome OSで使えるように対応プラットフォームの拡張を行うと発表した。MESHはこれまで、iOS、iPadOS、Android、Windows搭載端末に対応していたが、今後はChromebookでも利用可能になる。

MESHは、ボタン、カメラ、人感センサー、温度湿度センサーなど、単独の機能を持つ「MESHブロック」を「MESHアプリ」に無線接続することで、簡単にIoTシステムが作れるというシステム。MESHアプリでは、プログラミング言語の知識がなくても、接続されたMESHブロックやソフトウェア機能を示す「ソフトウェアブロック」を視覚的につなぎ合わせるだけで、「部屋に人が入ってきたら写真を撮影する」とか「気温の変化に応じて植木に水をやる」といったIoTシステムを直感的に構築できる。試行錯誤しながらプログラミングやものづくりを学ぶことができるため、小中学校や子どもを対象としたワークショップなどで広く利用されている。

「ブラウザ版」と「Android版」の追加は、「授業でMESHを扱うために対応端末を拡充してほしい」「コストを抑えながらPC配備を進めたい」といった教育現場からの要望に応えたもの。

「ブラウザ版」では、MESHブロックと端末との接続に専用の中継器「MESHブリッジ」が必要になる。ブロックと端末とはBluetoothで接続されるが、ペアリング設定はMESHブリッジに保存されるので、MESHブリッジとMESHブロックのペアリングを一度行えば、別の端末で使用したいときに、改めてペアリングをせずに済む。ひとつの部屋で大勢が個々のPCを使う学校の授業などでは、毎回ペアリングをする手間や混乱を避けられる。

MESHブリッジ

「Android版」では、Android端末とMESHブロックをBluetoothで直接接続できる。インターネットに接続されていないオフライン環境での利用も可能。ただし、端末を変更した際には、改めてペアリングし直す必要がある。そのため近くの別の端末に誤ってペアリングしてしまうなどの混乱を招く恐れがあるので、端末とブロックの組み合わせをあまり変更しない場合や「小規模な利用シーン」に適しているとのこと。

ブラウザ版MESHアプリは、ChromeブラウザからMESHアプリのページにアクセスするだけで無料で利用できる。Android版MESHアプリは、夏からGoogle Playストアを介し無料でインストールできる予定。MESHブリッジの価格は税込5478円。

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タグ:Android(製品・サービス)Chrome OS(製品・サービス)Chromebook(製品・サービス)STEM教育(用語)Sony / ソニー(企業)MESH(製品・サービス)プログラミング(用語)日本(国・地域)

家族と会話できる児童向けスマート防犯ブザー「otta.g」が日本PTA全国協議会推薦商品に認定

家族と会話できる児童向けスマート防犯ブザー「otta.g」が日本PTA全国協議会推薦商品に認定

IoTを活用した見守りサービスを展開するotta(オッタ)は6月3日、家族と会話できるスマート防犯ブザー「otta.g」(オッタジー)が日本PTA全国協議会推薦商品に認定され、「推薦マーク」の使用が認められたと発表した。

otta.gはボイスメッセージ機能がついた「家族と会話ができるスマート防犯ブザー」で、2021年5月時点で44都道府県にて導入済み。子どもが防犯ブザーとして持てるスマートフォン連携IoT端末で、GPSと独自のネットワークにより、端末から発信される子どもの位置情報を保護者のスマートフォン専用アプリで確認可能で、行動履歴も把握できる。また端末のマイクを通じて、保護者のスマートフォンとボイスメッセージ機能を使用し、双方向のコミュニケーションを取れる。

家族と会話できる児童向けスマート防犯ブザー「otta.g」が日本PTA全国協議会推薦商品に認定

日本PTA全国協議会は、otta.gを推薦商品に認定した理由について以下の理由を挙げている。

  • 防犯ブザーにGPSと音声録音を搭載するという画期的な製品
  • 子どものことを考えたサイズ、重量
  • 製品パンフレットがユーザー視点で非常にわかりやすかった
  • 故障時などの端末補償が3年間付加されている

ottaは、「誰もが安心して暮らせる『スマート見守りシティ』をつくる」をミッションに、IoTテクノロジーを活用した新しい見守りサービスを提供。2014年の設立以後、大手電力会社と提携し全国にサービスを拡大。2019年には、約8万5000人規模となる福岡県福岡市全域での見守りサービスを開始するなど、日本最大規模のIoT見守りサービスを展開しているという。

ottaは「今後もIoTテクノロジーの活用により、子どもの安全と親の安心を繫ぐ、新しい見守りサービスを提供してまいります」と述べている。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:otta(企業・サービス)IoT(用語)日本(国・地域)

空気中の湿度変化で発電する「湿度変動電池」を産総研が開発

産総研が空気中の湿度変化で発電する「湿度変動電池」を開発

産業技術総合研究所(産総研)センシングシステム研究センターと、同センターが兼務する人間拡張研究センターは6月2日、空気中の湿度変化を利用して発電を行える「湿度変動電池」を開発したと発表した。「潮解性材料と塩分濃度差発電を組み合わせた新しい原理」により実用的な電流を連続的に取り出すことが可能となった。

原理はこうだ。

湿度変動電池は、大気に開放された開放槽と密閉された閉鎖槽からなり、2つの槽には水と潮解性を有するリチウム塩からなる電解液が封入されている。この電池が低湿度環境にさらされると、開放槽からは水分が蒸発して濃度が上昇する一方、閉鎖槽は密閉されているため濃度変化は生じない。これによって開放槽と閉鎖槽間で濃度差が生じ、電極間に電圧が発生する。高湿度環境にさらされた場合は、逆に開放槽内の水溶液が空気中の水分を吸収して濃度が減少する。これにより先程とは逆向きの濃度差が発生し、逆向きの電圧が発生する。

潮解性とは、化合物が空気中の水分を吸収して水溶液になる性質のこと。湿度の変化が繰り返される限り、理論的には半永久的に電気エネルギーを取り出せるという。

これまでも、熱電素子、太陽光発電、振動発電など環境中の微小なエネルギーを利用した「環境発電」の研究が進んでいるが、熱・光・振動が存在する場所は限られており、どこでも使えるものではなかった。それに対して空気中の水分の利用する発電方法なら、地球上のほぼすべての場所で使うことができる。ただし、これまで研究が行われてきた吸湿時に電圧を発生する酸化グラフェンなどを利用した発電素子では、取り出せる電流はナノアンペア(nA)からマイクロアンペア(μA)程度と小さく実用性に欠けていた。

一方、産総研が開発した湿度変動電池はmA(ミリアンペア)レベルの電流が得られるため、昼夜の湿度差にさらされるIoT機器などへの極低電力電源としての応用が期待される。

産総研では、実際に湿度変動電池を作り、湿度30%と90%の環境に2時間ごとに繰り返し置く実験を行ったところ、湿度30%時の電圧は22〜25mV(ミリボルト)程度、90%時には-17mV(マイナス17ミリボルト)程度が得られた。最大電圧時に負荷を接続して出力測定を行うと、最大で30μW(マイクロワット)が得られた。短絡電流は5mA。「1mA以上の電流を1時間以上継続して出力することもできた。湿度を用いたこれまでの発電技術では、これほど大きな電流を長時間継続して出力できるものは報告されておらず、同素子は非常に高い電流供給能力を有していると言える」と産総研は話している。

湿度を20〜30%に保った密閉容器に湿度変動電池を入れ、微小な電力で回転する特別なモーターを回す実験では、モーターを2時間半にわたり回転させることができた。

今後は、出力と長時間使用時の耐久性を向上させ、実用化に向けた研究を行ってゆくとのこと。この技術の詳細は、英国王立化学会の学術誌「Sustainable Energy & Fuels」に2021年6月2日付で掲載される予定。

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既存防犯カメラで来店客の店内行動を解析可能なエッジAI端末を提供する「AWL」が20億円調達

エッジAIカメラで来店客の店内行動を安価に解析する北海道大学発スタートアップ「AWL」が20億円調達

実店舗での客や従業員の動きを分析し、生産性の向上と業務の効率化に寄与するエッジAIソリューションを提供するAWL(アウル)は6月2日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額20億円の資金調達を発表した。引受先は、楽天キャピタル(楽天グループCVC)をリード投資家に、i-Lab4号投資事業有限責任組合、サツドラホールディングス、中国電力。累計調達額は26億6000万円となった。

AWLのエッジAIカメラソリューションは、画像処理端末「AWLBOX」を中心に構成されている。エッジAIとは、クラウドサーバーではなく端末の近くでAI処理を行うシステムのこと。AWLBOXの場合であれば、大容量になりがちな店舗内の撮影映像データをクライド側に送る必要がなく、クラウド側には個人を特定しない形で年齢・性別などの匿名化データのみが保存される。またこれにより、来店客のプライバシーを守ると同時に、個人情報を不用意に設置企業側社内に置くことがなくなる。AWLBOXは、来店客の属性分析、売り場や商品棚への立ち寄り、商品接触などの店内行動、さらに従業員の業務や働き方を可視化して分析することで、生産性と効率性の向上に役立てることができる。

AWLBOXは、店舗にすでに設置されている防犯カメラなどを利用して画像処理を行えるので、カメラを新設する必要がほとんどない。対応するカメラは2021年5月末時点で1万500種類。同社によれば「類似サービスと比較して1/10程度の費用感での導入が可能」だという。

現在、「数百店、数千店舗を展開するチェーンストア数社」も導入を検討しているとのこと。また、宿泊施設、交通機関、工場、建設現場といったさまざまな空間でのAI解析による可視化サービスも本格的に着手している。

AWLは、2016年に設立された(当時の社名はエーアイ・トウキョウ・ラボ)、北海道大学発のスタートアップ企業。世界17カ国から映像解析、機械学習、SaaSビジネスなどに優れた人材を集め、その多様性と技術力でAIの社会実装を目指している。今回調達した資金は、AWLBOXシステムと、小規模店舗向けのAWL Lite(ライト)の新機能開発、映像解析および機械学習技術に関する研究体制の拡充強化に使われる。また、事業拡大に向けた人材採用、大規模導入に対応するオペレーション・サポート体制の強化、映像解析技術を応用した新規事業開発も進めてゆくという。

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LandSkipが空の8K動画映像を映し出すデジタル天窓「Window Sky」を発売

LandSkipが空の8K動画映像を映し出すデジタル天窓「Window Sky」を発売

「風景の流通」を目指し、風景配信サービス「LandSkip」(ランドスキップ)やバーチャルウィンドウ「Window Air」(ウィンドウ・エアー)を提供するLandSkipは6月1日、室内の天井に設置したデジタル天窓に空の8K映像を配信するデジタル天窓「Window Sky」(ウィンドウ・スカイ)の発売を開始した。

バーチャルウィンドウの新ラインナップとして6月1日の「景観の日」に発売開始となった「Window Air」は、1枚あたりのサイズ約49インチ、重さ約12kgのパネルを最大16枚まで連結して大きな天窓を構成できる。電源とWi-Fi環境さえあれば取り付けが可能。新築のみならず、既存の建造物にも設置可能な専用の治具があり、施工はLandSkip一社がワンストップで行う。

そこへ、毎月新しい空の8K風景コンテンツがオンラインで届けられる。内容は、季節や時刻に合わせて変化する青空、木漏れ日、星空など。音声付きの動画なので、流れる雲を眺めたり、小鳥のさえずりを聞くといったこともできる。

LandSkipでは、2018年10月より、バーチャルウィンドウ「Window Air」の販売を開始し、オフィス、病院、ホテルなどに展開してきた。「Window Sky」は、「Window Air」と組み合わせれば、窓と天窓に同期した映像を楽しめるようになる。今後は、医療機関や介護福祉施設を中心に展開してゆくという。

「Window Air」と「Window Sky」を導入した日機装の研究研修施設「M.ReT宮崎」。

またLandSkipでは、「ニューノーマル時代の新しいライフスタイルの提案を行う」ための「WINDOW ALLIANCE」(ウィンドウ・アライアンス)を発足し、風景配信やデジタルウィンドウを活用したコラボレーションを実現するパートナー企業や団体を募集している。パートナーには、デジタルウィンドウの優先納品、先行販売といった特典に加え、デモコンテンツ、限定コンテンツ、技術支援などが提供される。

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IoTやAIを活用した保育支援サービス「ルクミー」を手がけるユニファが40億円のシリーズD調達

IoTやAIを活用した保育支援サービス「ルクミー」を手がけるユニファが40億円のシリーズD調達

IoTやAIを活用した保育支援デバイスの開発およびサービスを提供するユニファは6月2日、シリーズDラウンドにおいて、第三者割当増資による総額40億円の資金調達を発表した。引受先は、Minerva Growth Partners、海外資産運用会社(非公開)、MPower Partners、第一生命保険、Salesforce Ventures、DIMENSION、創発の莟ファンド、GLIN Impact Capital、博報堂DYベンチャーズ。今回の資金調達は、未上場株式・上場株式の双方を投資対象とするクロスオーバーの海外機関投資家やESG・インパクト投資家などを中心としたラウンドという。

また調達した資金は、IoTやAIを活用した保育支援サービス「ルクミー」シリーズや新規事業に関わるプロダクト開発費用、さらなる顧客施設拡大に向けた営業・マーケティング費用、優秀な人材の獲得費用、M&Aなどに使用する予定。事業基盤・経営基盤を強化することで、中長期的な成長を加速させる。

ユニファは、日本におけるジェンダーギャップや保育士不足といった社会課題に対して、AIやIoTといったテクノロジーを活用することでの業務負担の削減、保育者の時間と心のゆとりの確保し、子ども達との関わりに保育者が集中し、保育の質の向上を確保できる環境作りを支援しているという。

ルクミーの導入数は累計で2021年4月現在で1万件を超えており、またユニファの全サービスを導入した「スマート保育園」のモデル園では、月に60%以上の業務時間を削減した施設もあるそうだ。さらに、埼玉県や福岡市など自治体と連携し、保育業務におけるICT活用がもたらす効果についての実証実験も行っている。

ユニファのテクノロジーを活用したサービス提供により、安心・安全な保育施設の環境作りや質の高い乳幼児の発達支援、そして仕事と子育てを両立できる持続可能な社会の実現や、女性活躍のさらなる推進を支援するとしている。「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」というモットーの実現に向けた、同社の今後の動きが注目される。

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カテゴリー:EdTech
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作品応募数175点、本物の「忍びの地図」など「obniz IoT コンテスト2021」最優秀賞・優秀賞を発表

作品応募数175点、本物の「忍びの地図」など「obniz IoT コンテスト2021」最優秀賞・優秀賞を発表

「すべての人にIoT開発の機会を」を使命に、誰でも簡単にクラウドと連携したIoTシステムを構築できる開発ボード「obniz」(オブナイズ)を開発販売するobnizは5月31日、エイミーが運営するハードウェア開発者コミュニティー「elchika」(エルチカ)で開催した「obniz IoT コンテスト2021」の最優秀賞と優秀賞を発表した。

obnizは、開発ボード本体である「obniz Board」(オブナイズボード)または「obniz Board 1Y」(オブナイズボード・ワンワイ)を中心とする専用IoTデバイス群で構成される。プログラムはJavaScriptやPythonなど汎用言語を使ってウェブ上で制作できる。システムを制御するobnizOSを通じて、機器をクラウド管理できるため、ソフトウェアの更新もウェブ上で簡単に行える。教育やホビーはもちろん、大手企業も事業に採り入れ利用している。

今回のコンテストでは「電子工作部門」と「スマートホーム部門」が設けられ、2021年3月15日から5月16日にかけて、obnizの公式製品を使ったIoTシステムのアイデアを一般から募集した。応募総数は175点。そこから、obniz開発チームが、各部門の最優秀賞1点、優秀賞5点ずつを選考した。両部門の最優秀賞作品と優秀賞作品は次のとおり。

電子工作部門最優秀賞

非接触空間センサーとobnizで作る”忍びの地図”、作者:3duilab
映画「ハリー・ポッター」に登場する魔法の地図、”Marauder’s Map”(忍びの地図)を非接触空間センサーを活用して創造した作品。

スマートホーム部門最優秀賞

突然の雨でも安心!「洗濯物取り込みくん」、作者:ironikot
急な雨で洗濯物が濡れるのを防ぐために、センサーと仕かけを組み合わせたシステム。

電子工作部門優秀賞

【Wekiの気持ち】植木の環境状態を測定して植木とのコミュニケーションを図る、作者:RYUJI
センサーやLINEで対話しながら手入れを行えるシステム。

オンライン操作のカードシャッフラー、hiro42
指定人数のボタンを押すとシャッフルと配布を行えるシステム。

目覚ましマウスパッド、作者:Satomi
表情から眠気を検知して目覚ましのアクションを行うシステム。

obniz 2個使いでロボットアームを遠隔制御してみた、作者:Hashimoto.Koji
加速度センサーを駆使し、ロボットアームを遠隔から動かせるシステム。

お菓子とってー → 発射!、作者:RyotaIkeuchi
LEGOブロックと人形も組合わせて、手を挙げるとこちらにチロルチョコを投げてくれるシステム。

スマートホーム部門優秀賞

お出かけ先の天気と連動するIoT傘立て、作者:team_shinkaiLab
天気予報データを活用して雨を知らせてくれるシステム。

黙って帰らせないず– obnizとクラッピーで「ただいま」言わせる、作者:makoragi
帰宅時に「ただいま」の挨拶を促してくれるシステム。

obnizでエアロバイクの回転数を取得して、YouTubeの再生速度を変更する、作者:iemong_
動画を見ながらエアロバイクを漕ぎ続けるためのシステム。

データをインテリアにする、作者:Koda
さまざまなデータをインテリアとして飾れるシステム。

ペットのトカゲを現地と同じ環境で飼育する日照管理システムの構築、作者:masahitech
トカゲの実際の生息地に合わせた日照管理を行えるシステム。

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カテゴリー:IoT
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センスウェイがLoRaWAN対応暑さ指数センサーで熱中症リスクを見える化する工事現場・工場施設向け対策提供

センスウェイがLoRaWAN対応暑さ指数センサーで熱中症リスクを見える化する工事現場・工場施設向け対策提供

低消費電力広域通信規格LoRaWAN(ローラワン)を利用したIoTプラットフォームを提供するセンスウェイは5月31日、熱中症対策ソリューションの提供を開始すると発表した。

このシステムは、同社のLoRaWAN技術と、熱中症予防の指標となる暑さ指数「WBGT」(ISO 7243およびJIS Z 8504。湿球黒球温度。Wet Bulb Globe Temperature)を計測するフジクラ製「黒球付きセンサーノード」とを組み合わせたもの。センサーノード、ネットワークサービス、クラウドを活用して、WBGTの計測と可視化を行い、必要な場合に警告を発するシステムを「ワンストップで提供」するという。

フジクラ製エネルギーハーベスト(EH)型LoRaWAN屋内・屋外センサーノード

フジクラ製エネルギーハーベスト(EH)型LoRaWAN屋内・屋外センサーノード

このソリューションは、センサーノードから送られてきたデータをクラウド上でグラフ化し、WBGTが閾値を超えた場合に、携帯端末などへ音声やメールでアラートを発信するアプリケーションを提供するというもの。表示画面やWBGTの閾値はカスタマイズが可能。

同社は、このシステムの特徴を次のように説明している。

  • 輻射熱を測定する黒球温度センサと一体化しているため、設置時の煩雑さが低減される
  • JIS B 7922クラス2準拠のWBGT測定を実現。使用現場の環境を反映したWBGTデータが取得可能
  • 計測データ送信のネットワークにはLoRaWANを採用しており、低消費電力でデータ伝送が可能
  • センサノードに搭載されている色素増感太陽光電池(DSSC)によってデータの計測から送受信まで自立稼働するため、設置時の電源工事が不要。電池交換などのメンテナンスを最小限に抑えることが可能
  • LoRaWANのネットワークは広範囲の無線通信を可能にするため、上記の電源工事不要に加えて通信配線工事も不要。低価格でレンタル可能なゲートウェイを1台設置するだけで広大なセンサーネットワークを形成でき、簡単かつ低コストでの導入が可能

すでにセンスウェイでは、ファーストユーザーである鹿島道路との共同プロジェクトの一環として、現場のニーズに合わせたシステム開発を進めている。また鹿島道路に使ってもらうことで実証実験を行いつつ、バイタルセンサーと組み合わせた現場作業員の体調管理といった応用も検討してゆくという。

今後は、建設現場や工場施設内向けソリューションとしての展開を目指す。

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テクノロジーと災害対応の未来2「データとAI」

データが10年以上も次世代の石油として評価されてきたきた経緯については、さまざまなメディアで取り上げられており、特定の分野ではまさにデータが重要な要素となっている。今やほとんどの民間企業で、マーケティング、物流、金融、製造、意思決定などのあらゆるレベルでデータが欠かせない(これが間違っているなら、私は履歴書を書いてすぐにでも転職した方がよい)。

データを使用することにより、多くの被災者が苦しめられるような災害に対する対応を根本から変えられる可能性があるが、この10年間に発生した緊急時対応にデータがほとんど活用されていないと聞くと、少し驚くかもしれない。災害対応機関と民間の組織は長年にわたり、災害対応用として入力するデータの範囲を広げ、処理するデータの量を増やしてきたが、結果はあまり芳しくなく、データを活用するには程遠い。

しかし、モノのインターネット(IoT)の普及により、このような現状も変わりつつある。災害の最前線で作業する危機管理マネージャーは、回復、対応、復興のサイクルにわたって必要なデータを入手し、的確な判断を下せるようになってきている。ドローンからの航空撮影、災害想定状況の可視化、AI誘発型の災害のシミュレーションなど、最前線で活用されている技術は最高レベルに達していない。これは、2020年代の災害対応における変革の幕開けに過ぎない。

膨大な量の災害データをついに入手

緊急時対応は、先の見えない不安と刻々と迫る時間との戦いである。山火事やハリケーンの現場では、数秒ですべてが変わる場合がある。注意を怠れば一瞬で事態が急変することさえある。避難者を輸送するはずの安全な道路に山火事が広がって突然通れなくなることや、避難チームが再編成を繰り返して広範囲に広がり過ぎること、また予想外の状況が急に発生することで、救助活動が立ち行かなくなってしまうといったことがよくある。情報を完全に掌握していたオペレーションセンターに、突如として地上検証データがまったく入らなくなってしまうこともある。

残念ながら、災害前や災害発生時に未処理データを取得することが極めて難しいことさえある。ビジネスの世界でこれまでに発生したデータ革命を振り返ってみると、初期の成功があったのは、企業が常にデータに大きく依存しながら、自社の活動を進めていたという事実によるところが大きい。今もそうだが重要なのはデジタル化である。つまり、放置されている未処理データをパソコンで解析可能な形式に変換するために、業務を書類からパソコンに移行することだった。ビジネスの世界でこれまでの10年間は、いわばバージョン1からバージョン2へのアップグレード期間だったといえる。

緊急対応管理について考えてみると、多くの対応機関がバージョン0からバージョンアップしていない。洪水を例にとると、洪水の発生源と水の流れをどのように把握するのか。つい最近まで、洪水の発生場所と水の流れに関する総合的なデータすら存在していなかった。山火事の場合は、世界中に点在する樹木の場所や可燃性に関するデータセットが管理されていなかった。電線や携帯電話の基地局といったインフラ設備でさえ、デジタル世界との接点がまったくないことが多かった。そのため、ユーザーがそうした設備を判別できなければ、そうした設備があっても、設備側からユーザーを認識することもできなかった。

洪水モデルは、災害防止計画と災害対応の最先端だ(画像クレジット:CHANDAN KHANNA/AFP/Getty Images)

モデルやシミュレーション、予測、分析には、未処理データが不可欠である。災害対応の分野には、これまで詳細なデータは存在しなかった。

モノのインターネット(IoT)がかなり浸透してきた今では、ありとあらゆるモノがインターネットに接続されるようになり、米国や世界中の至るところにIoTセンサーが設置されている。温度、気圧、水位、湿度、大気汚染、電力、その他のセンサーが広範に配備され、データウェアハウスに定常的に送信されるデータが分析されている。

例として米国西部の山火事を挙げよう。連邦政府と州の消防庁が火災の発生場所を把握できないというのは、そんなに昔の話ではない。消防には「100年の歴史があるが、その伝統が技術進歩に妨げられることはない」と、米国農務省林野部で10年間消防局長を務め、現在はCornea(コルネア)の最高消防責任者であるTom Harbour(トム・ハーバー)氏はいう。

彼のいうことは正しい。消火活動というのは理屈抜きの活動なのだ。消防隊員には炎が見える。炎の熱風を自分の肌で感じることさえある。広大な土地が広がり、帯状に都市が点在しているような米国西部では、データは役に立たなかった。衛星で大火災を発見することはできるが、茂みでくすぶっている小火を地理空間情報局から確認することはまず不可能だ。だが、小さい火事を発見できなくても、カリフォルニア一帯には煙が充満していることがある。では、このような貴重な情報を、地上の消防隊員はどのように処理すればよいのだろうか。

これまで10年にわたってIoTセンサーの成功が謳われてきたが、ここへきてようやく障害となっていた多くの問題が解決されつつある。回復力のあるコミュニティについて調査しているRAND Corporation(ランド・コーポレーション)の社会科学者Aaron Clark-Ginsberg(アーロン・クラークギンズバーグ)氏は「非常に安価で使いやすい」大気質センサーを使うと、大気汚染に関する詳細な情報(山火事の重要な徴候など)を入手できるため、このセンサーがいたるところに設置されていると説明する。同氏は、最近のテクノロジーの可能性を示すものとして、センサーの製造だけでなく、人気のある消費者向け大気質マップも作成しているPurple Air(パープルエアー)を挙げた。

災害時にデータを扱う際には、マップが重要なツールとなる。大半の災害防止計画チームや災害対応チームは地理空間情報システム(GIS)をベースに活動しているが、この分野で随一のマップ制作量を誇っているのが非公開企業のEsri(エスリ)だ。同社の公安ソリューション担当部長Ryan Lanclos(ライアン・ランクロス)氏は、水位センサーの数が増えたことにより、特定の災害に対する対応が劇的に変化したという。「洪水センサーは常に稼働状態にあります」と同氏はいう。「連邦政府が作成している全米洪水予報モデル」により、研究者はGIS分析を使用して、洪水が各コミュニティに及ぼす影響をかつてないほど正確に予測できるようになったと指摘する。

デジタルマップとGISシステムは災害防止計画と災害対応にますます不可欠な存在となっているが、印刷版のマップも依然として好まれている(画像クレジット:Paul Kitagaki Jr. — Pool/Getty Images)

Verizon(ベライゾン)(Verizon MediaはTechCrunchの親会社であるため、ベライゾンは当社の最終的な所有会社)の公安戦略および危機対応担当ディレクターCory Davis(コリー・デイビス)氏によると、このようなセンサーのおかげで、同社の作業員がインフラを管理するために行う作業が変わってきたという。「送電線にセンサーを設置した電力会社を想像してみてください。センサーがあれば、障害が発生した場所にすぐに駆け付け、問題を解決して、復旧させることができます」。

同氏はセンサーのバッテリー寿命が延びたことで、この分野で使用されているセンサーがこの数年で大きく進歩したという。超低電力のワイヤレスチップやバッテリー性能、エネルギー管理システムが絶えず改善されているおかげで、荒れ地に設置したセンサーをメンテナンスしなくても、非常に長い期間使用できるようになった。「バッテリー寿命が10年というデバイスもある」と同氏はいう。これは重要だ。最前線の送電網にセンサーを接続することなどできないからだ。

同じ考え方がT-Mobile(ティー・モバイル)にも当てはまる。防災計画に関して、電話会社の全米技術サービスオペレーション戦略上級ディレクターJay Naillon(ジェイ・ナイロン)氏は次のように話す。「価値が向上し続けているタイプのデータとして、高潮データがあります。このデータのおかげで、設備が正常に稼働していることを容易に確認できます」。高潮データは洪水センサーから送信されるため、全米の防災計画策定者に警報をリアルテイムに送ることができる。

災害関連のセンサーやその他のデータストリームの採用を進めるためには、電話会社の関心やビジネス面での関心を惹くことが必要不可欠だった。洪水や山火事のデータを必要とするエンドユーザーは政府ではあるが、このようなデータの可視性に関心があるのは政府だけではない。Columbia(コロンビア)大学の地球研究所国立防災センターのプロジェクト統括責任者Jonathan Sury(ジョナサン・シュリー)氏は「こうした情報を必要としているのはほとんどの場合、民間企業です」と話す。「気候変動などの新しいタイプのリスクが、企業の収益に影響を与えるようになっています」と同氏はいい、センサーデータに対するビジネス面での関心が、債権格付けや保険の引受などの分野で高まっていると指摘する。

センサーはどこにでも設置できるわけではないが、緊急対応管理者がこれまで確認できなかったような、現場のあいまいな状況を見通すのに役立ってきた。

最後に、世界中の至るところで利用されるようになったモバイル機器には、膨大なデータセットが存在する。例えばFacebook(フェイスブック)のData for Good(データ・フォー・グッド)プロジェクトでは、接続に関するデータレイヤーを利用できる。ある場所から接続していたユーザーが別の場所で接続したら、移動したと推測できる。フェイスブックや電話会社が提供するこのようなデータを使うことで、緊急対応計画を策定するスタッフは、人の移動をリアルタイムに把握することができる。

氾濫するデータとAIの可能性

データが乏しかった過去と比べると今は情報が溢れているが、世界中の都市で発生している洪水のように、データの氾濫に対応する時期が近づいている。データウェアハウスやビジネスインテリジェンスツールなどのITスタックによって、過剰なまでのビッグデータが収集されている。

災害データが簡単に処理できさえすればよいのだが、現実はそう簡単ではない。民間企業や公的機関、非営利団体などさまざまな組織が災害関連データを保持しているため、データを相互に運用する面で大きな障害がある。分散しているデータを統合して知見を得られたとしても、最前線で対応するスタッフが現場で意思決定に役立てられるようにまとめるのは困難だ。そのため、防災計画以外の用途でAIを売り込むのは今でも難しい。ベライゾンのデイビス氏は次のように話す。「過剰なまでのデータをどのように活用すればよいのかという点に関して、多くの都市や政府機関が苦慮しています」。

関連記事:テクノロジーと災害対応の未来1「世界で最も悲惨な緊急事態管理関連の販売サイクル」

残念ながら、あらゆるレベルでの標準化が課題だ。世界的にみると標準化が徐々に進んではいるものの、各国間の相互運用性はほとんど実現されていない。緊急電話対応プラットフォームCarbyne(カーバイン)の創業者兼CEOのAmir Elichai(アミール・エリチャイ)氏は「テクノロジーと標準化の両面で、国ごとに大きな隔たりがあります」と語り、ある国のプロトコルを別の国で使用するには、まったく別のものに作り直す必要があることが多いと指摘する。

ヘルスケア災害対応組織Project HOPE(プロジェクト・ホープ)の緊急対応準備担当ディレクターTom Cotter(トム・コッター)氏は、国際的な環境では、対応するスタッフ同士でコミュニケーションを確立することさえ難しいと話す。「ある国では複数のプラットフォームを使用できるのに対し、別の国では使用が許可されていないということがあり、状況は常に変化しています。基本的には、テクノロジーコミュニケーションプラットフォームを国ごとに別々に用意している状態です」。

連邦政府の緊急管理部門のある上級担当者は、テクノロジーの調達契約ではデータの互換性がますます重要になっていることを認め、政府は自前のソフトウェアを使用するのではなく、市販の製品を購入する必要性を認識していると話す。こうしたメッセージはエスリなどの企業にも届いている。ランクロス氏は「当社の中核となる使命はオープンであることです。作成したデータを一般公開して共有するか、オープンな基準に基づいてセキュリティ保護したうえで共有するというのが当社の考え方です」。

相互運用性が欠如しているというのはマイナス面がいくつもあるが、皮肉なことにイノベーションの際にはプラスに作用することがある。エリチャイ氏は「標準化されていないということは利点になります。従来の標準に合わせる必要がなくなるからです」と指摘する。標準化されていない状況では、最新のデータワークフローを前提とした、質の高いプロトコルを構築できることもある。

相互運用性が確保されたとしても、その後にはデータ選別の問題が控えている。災害関連データには危険も潜んでいる。センサーから発信されるデータストリームは検証したうえで別のデータセットと照合できるが、一般市民から発信される情報量が激増してきているため、初動対応するスタッフや一般向けに公開する前に安全性を精査する必要がある。

一般ユーザーがかつてないほどスマホにアクセスできるようになっているため、緊急対応計画を策定するスタッフが、アップロードされたデータを選別して検証し、使える状態にする必要がある(画像クレジット:TONY KARUMBA/AFP/Getty Images)

災害コミュニケーションプラットフォームPerimeter(ペリメーター)のCEO兼共同創業者Bailey Farren(ベイリー・ファレン)氏は「正確な最新情報を持っているのが一般市民である場合もあります。そうした貴重な情報を、初動対応するスタッフが作業を始める前に市民が政府担当者に伝えてくれればよいのですが」と話す。問題は、無益な情報や悪意のある情報から質の高い情報を選別する方法だ。自然災害の対応要員として有志の退役軍人チームを構成する非営利団体Team Rubico(チーム・ルビコン)のCIO Raj Kamachee(ラージ・カマチー)氏は、データの検証が必要不可欠であると述べ、同氏が2017年にチーム・ルビコンに参加して以来、組織で構築するインフラの重要な要素にデータの検証があると考えている。「当社のユーザーが増えているため、フィードバックのデータ量も増えています。結果として、セルフサービス型の非常にコラボレーション的なアプローチが形成されています」。

量と質が確保されれば、AIモデルを活用すべきだろうか。答えは、イエスでもありノーでもある。

コロンビア大学のシュリー氏は、一部で話題になっているような過剰な期待をAIにすべきではないと考えている。「注意が必要な点ですが、機械学習やビッグデータ関連のアプリケーションで何でもできるわけではありません。こうしたアプリケーションでさまざまな情報を大量に処理できますが、AIが具体的な解決策を教えてくれるわけではありません」と同氏はいう。「初動対応するスタッフはすでに大量の情報を処理しており」、それ以上のガイダンスを必ずしも必要としているわけでない。

災害分野では、防災計画や復旧にAIを利用することが増えている。シュリー氏は、防災計画プロセスでデータとAIを組み合わせた1つの例として、復旧計画プラットフォームOneConcern(ワン・コンサーン)を挙げる。また、さまざまなデータシグナルをいくつかのスカラー値にまとめて、緊急対応計画を策定するスタッフが危機管理計画を最適化できるようにする、CDC(米国疾病管理予防センター)の社会的脆弱性指標とFEMA(連邦危機管理庁)のリスクツールも挙げた。

とはいえ、筆者が話を聞いたほとんどの専門家は、AIを使用することについて懐疑的だった。災害に関する販売サイクルについて取り上げたこのシリーズのパート1で少し説明したように、データツールは、人命がかかっているときは特に信頼性が重要で、最新の情報に更新されていなければならない。チーム・ルビコンのカマチー氏は、ツールを選択する際にはそのツールの秀でているポイントではなく、各ベンダーの実用性だけに注目するという。「当社はハイテク機能も追求しますが、ローテクも用意しています」と同氏は語り、災害対応で重要なのが、変化する状況に機敏に対応できることであることを強調する。

カーバインのエリチャイ氏は、同社の販売実績にも同様のパターンがあると認識している。同氏は「市場には新しいテクノロジーに対する意識の高さと、採用を躊躇する慎重さの両方がある」ことを指摘するが「あるレベルに達すればAIが有益となることは間違いない」と認める。

同じように、ティー・モバイルのナイロン氏も経営者の観点から、ティー・モバイルの災害計画に「AIを最大限に活用できるとは思えない」と語る。ティー・モバイルはAIを頭脳として使う代わりに、単純にデータと予測モデリングを使用して装置の配置を最適化している。高度な敵対的生成ネットワークなど必要ないというわけだ。

AIは計画策定以外でも、災害後の復旧、特に損害査定に活用されている。災害の収束後にはインフラと私有財産の査定を行って、保険金を請求し、コミュニティを前進させる必要がある。チーム・ルビコンのCOO兼社長Art delaCruz(アート・デラクルーズ)氏は、テクノロジーとAIの普及によって、損害査定の作業が大幅に軽減されたと指摘する。チーム・ルビコンでは、復旧作業の過程でコミュニティの再構築を支援することが多いため、損害の重大度判定が対応戦略を効果的に進めるうえで不可欠だ。

太陽の光で将来は明るくなるが、その光でやけどする可能性もある

AIはこのように、回復計画と災害復旧の分野でいくらかの利用価値があるものの、緊急対応の分野ではあまり役に立っていない。とはいえ、災害対応サイクル全体では有効な場面も増えてくるだろう。ドローンの将来性には大いに期待が寄せられているし、現場で使用されるケースも増えている。しかし、長期的に考えると、AIとデータが解決策とならず、新たな問題を引き起こすのではないかという懸念がある。

災害対応の現場でドローンを使用することは、明らかに価値があるように思える。救援隊員が立ち入ることが困難な現場でも、ドローンを導入したチームは空からの映像や情報を入手できる。バハマでの任務遂行中に主要道路が閉鎖されたため、現場のチームがドローンを使って生存者を見つけたと、チーム・ルビコンのカマチー氏は話す。ドローンから撮影された画像がAI処理され、生存者を特定し避難させるのに役立った。同氏は、ドローンとその潜在能力について「とにかくすばらしいツールだ」と話してくれた。

ドローンから航空写真を撮影することで、災害対応チームが入手できるリアルタイム情報の質は大幅に向上する。地上からは近づけない現場ではなおさらだ(画像クレジット:Mario Tama/Getty Images)

プロジェクト・ホープのコッター氏もやはり、データ処理を高速化することで的確に対応できるようになると話す。「災害地で人命を救うのは、結局のところスピードです。対応をリモートから管理できるケースも増えたため、多数の要員を現地に送らずに済みます」と同氏はいう。これは、人員が限られている場所で活動する対応チームにとって、とても重要である。

「捜索や救助、航空写真などに、ドローンのテクノロジーを活用する緊急管理機関が増えています」とベライゾンのデイビス氏はいい「現場に機材を導入することが先決」という考え方の作業員が多いと指摘し、次のように続ける。「AIの性能は向上する一方であり、初動対応するスタッフはより効果的、効率的かつ安全に対応できるようになっています」。

センサーやドローンから送信される大量のデータを迅速に処理して検証できるようになれば、災害対応の質は向上するだろう。大自然が気まぐれに起こす大災害が増えているが、そうした現状にも対応できるかもしれない。しかし問題がある。AIのアルゴリズムが将来、新たな問題の原因となることはないのだろうか。

ランドでは典型的な代替分析を提供しているが、ランドのクラークギンズバーグ氏は、これらのソリューションで問題が発生する可能性があると話し「テクノロジーが引き金となって災害が発生し、テクノロジーの世界が災害を悪化させます」と指摘する。これらのシステムは破綻する可能性がある。間違いを犯すかもしれない。そして何より不気味なのは、システムを細工して大混乱と破壊を拡大させる可能性があるということだ。

筆者が最近紹介した災害対応VCファンド兼慈善活動組織のRisk & Return(リスク&リターン)社の取締役会長で、9/11 Commission(米国同時多発テロ事件に関する調査委員会)の前共同議長、およびネブラスカ州知事と上院議員も務めたBob Kerrey(ボブ・ケリー)氏は、多くの対応現場でサイバーセキュリティが不確定要素となるケースが増えていると指摘する。「(調査委員会が業務を遂行していた)2004年当時は、ゼロデイなどという概念はありませんでした。もちろんゼロデイを取引する市場もありませんでしたが、今はその市場があります」。9/11の同時多発テロでは「テロリストたちは米国にやってきて、飛行機をハイジャックすることが必要でした。今はハイジャックしなくても米国を破壊することが可能です」と同氏はいい「ハッカーたちは、モスクワやテヘランや中国の仲間、もしかすると自宅に引きこもっている仲間と、家で座ったまま攻撃できます」と指摘する。

災害対応の分野でデータは注目を浴びているが、このような状況が原因で、これまで存在しなかった二次的な問題が引き起こされる可能性がある。与えられしものは奪われる。今は石油が湧き出ている井戸もいつか突然枯渇する。あるいは井戸に火が付くかもしれない。

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画像クレジット:BIJU BORO/AFP / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

ottaが和歌山市・和歌山電力が推進する見守り事業に技術協力、和歌山市立小学校全50校の全児童対象

ottaが和歌山市・和歌山電力が推進する見守り事業に技術協力、和歌山市立小学校全50校の全児童対象IoTを活用した見守りサービスを展開するotta(オッタ)は5月27日、和歌山市・和歌山電力が推進し6月より開始する「Iot/ICTによる子どもの見守り事業」において、見守りシステムへの技術協力として参画することを発表した。2021年5月末時点で東京都、大阪府など全国15都市に導入済みで、和歌山市は16番目のサービス開始地域となる。

同事業は、和歌山市から和歌山電力が委託を受け、ottaが見守りシステムの技術協力を行い、2021年6月から和歌山市立小学校の全50校の全児童を対象として実施するもの。

市内の店舗や事業所などに設置する見守り基地局(固定スポット)と指定アプリ(Android版iOS版)をインストールした市民(移動スポット)によって見守りネットワークを構築し、見守り端末をランドセルなどに付けた子どもが近くを通ると位置情報が記録され、緊急時には警察等関係者にその情報が共有される。

2021年6月から小学校区単位で順次対象地域を広げ、2~3年ですべての和歌山市立小学校区にて利用可能となる予定で、見守り基地局の設置が進み、見守りネットワークの整備が完了した小学校区から導入される。

ottaが和歌山市・和歌山電力が推進する見守り事業に技術協力、和歌山市立小学校全50校の全児童対象

ホイッスル型見守り端末「otta.w」

ホイッスル型見守り端末「otta.w」

ottaは、「誰もが安心して暮らせる『スマート見守りシティ』をつくる」をミッションに、IoTテクノロジーを活用した新しい見守りサービスを提供。2014年の設立以後、大手電力会社と提携し全国にサービスを拡大。2019年には、約8万5000人規模となる福岡県福岡市全域での見守りサービスを開始するなど、日本最大規模のIoT見守りサービスを展開しているという。

ottaが和歌山市・和歌山電力が推進する見守り事業に技術協力、和歌山市立小学校全50校の全児童対象

ottaは、今後もIoTテクノロジーの活用により子どもの「安全」と親の「安心」をつなぐ新しい見守りサービスを提供するとしている。子どもの登下校がテクノロジーの力によって、より安全になることを期待したい。

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エレクトロニクス関連のサービス企画・開発・販売のCerevoが経営陣によるMBOを実施

エレクトロニクス関連のサービス企画・開発・販売を手がけるファブレスメーカー「Cerevo」は5月24日、同社経営陣によるマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、代表取締役社長の大沼慶祐氏を筆頭株主とした株式買い取りを実施したと発表した。

今回のMBOにより、より一層時流をみた柔軟かつ素早い経営判断と、自社製品開発・販売に加えその知見を元にした共同・受託開発事業の推進・拡大および、企業価値向上に邁進するとしている。

2008年に創業したCerevoは、これまでデジタルビデオカメラだけでライブ配信可能な「LiveShell」シリーズ、アニメ「攻殻機動隊 S.A.C.」に登場する多脚戦車タチコマの1/8モデル「1/8 タチコマ」などの製品を投入してきた。次の10年を第二創業期と捉え、プロダクト開発力をさらに強め、革新的で魅力のある製品開発に取り組むという。

Cerevoは、今回のMBOにより、さらに日本の製造業を盛り上げていけるよう尽力するとしている。同社によるさらなる意欲的な製品投入を楽しみにしたいものだ。

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タグ:IoT(用語)cerevo日本(国・地域)

PoE+に対応した「Raspberry Pi PoE+ HAT」登場、スイッチサイエンスより税込3180円で近日発売

スイッチサイエンスは5月25日、シングルボードコンピューターRaspberry Pi(ラズベリー・パイ)用の拡張ボード「PoE+ HAT」を近日発売すると発表した。これは5月24日にイギリスのRaspberry Pi財団から発表があったばかりのもの。価格は税込3180円と、「Raspberry Pi PoE HAT」よりもわずかに安い。具体的な発売開始日は未定。

Raspberry Piは、無線LAN機能も備え、ディスプレイやキーボードを接続すればPCとほぼ同様に使える高機能で安価なシングルボードコンピューターとして、電子工作ファンの間で高い人気を誇っている。HAT(ハット)とは、それに重ねて使える機能拡張ボードのこと。PoEは、LANケーブルを通じて電源供給を行う技術。これを利用すれば、有線LAN接続で使用する機器にLANケーブル1本で信号のやりとりと給電が賄えるため、配線のスリム化が図れる。

これまで、Raspberry Pi 3 Model B+用に「Raspberry Pi PoE HAT」が販売されていたが、「PoE+ HAT」は、供給電力が1ポートあたり30Wに強化されたPoE+に対応するもの(PoEは15.4W)。Raspberry Pi 4でも安定的に使えるようになる。ピン配列、高さも含むフォームファクターは以前のものと変わらない。

PoE+ HATの仕様は以下のとおり。
PoE規格:IEEE 802.3af-2003 PoE / IEEE 802.3at-2009 PoE+
入力:37〜57V DC、Class4 device
出力:5V DC / 4A
冷却ファン:25mm × 25mm ブラシレスファン
風量:2.2CFM
機能:完全絶縁スイッチモード電源、ファンコントロール
動作温度:0℃~+50℃

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カテゴリー:ハードウェア
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IoT DevOpsプラットフォームのEsperがシリーズBで約33億円を調達

今日使われているIoTデバイスは数十億個に上る可能性があるが、それらを動かすソフトウェアを開発(および更新)するためのツールには、まだまだ多くの要望がある。開発者とエンジニアがAndroidベースのエッジデバイスのフリートを展開・管理できるツールを開発するEsper(エスパー)が、シリーズBラウンドで3000万ドル(約33億円)を調達したと発表した。Scale Venture Partnersがラウンドをリードし、Madrona Venture Group、Root Ventures、Ubiquity Ventures、Haystackも参加した。

同社は、Androidだけでこの種のデバイスを開発しているデバイスメーカーは数千社あるが、そのスケーリングと管理には多くの課題がともなうと主張している。ここでの中心的なアイデアは、ソフトウェアの開発者が期待するDevOpsエクスペリエンスをデバイス開発にもたらすということだ。同社は、自社のツールを使用することで、企業が自社内部にDevOpsチームを用意することから解放され、代わりにEsperのツールを利用して、デジタルサイネージから、キオスク、ヘルスケア、小売、物流などのカスタムソリューションに至る利用場面に合わせ、AndroidベースのIoTフリートを拡張できると主張している。

「パンデミックにより、コネクテッドフィットネス、デジタルヘルス、ホスピタリティ、フードデリバリーなどの業界を変革し、インテリジェントエッジデバイスの採用がさらに加速しました。しかし、新しい利用場面ごとに、より優れたソフトウェアの自動化が必要です」と、COOのShiv Sundar(シブ・スンダー)氏とともに会社を創業したCEOで共同創業者のYadhu Gopalan(ヤデュー・ゴパラン)氏は語る。「Esperの成熟したクラウドインフラには、クラウド開発者が期待する機能が組み込まれており、それはデバイス向けに再考されています」。

画像クレジット:Esper

モバイルデバイス管理(MDM)は決して新しいものではないが、Esperチームは、同社のツールはその種の利用を想定して開発されたものではないと主張する。「MDMは現在市場に出回っているソリューションですが、ある環境に持ち込まれるデバイス用に作られています」とゴパラン氏は述べる。「そうしたソリューションのDNAは、企業を保護し、ネットワーク内で企業にアプリケーションを展開することに根ざしています。私たちの顧客はデバイスを世の中に送り出しています。まったく異なる利用方法とモデルです」。

Esperはこれらの課題に対処するため、開発者向けの完全な開発スタック、デバイス管理用のクラウドベースのサービス、カスタムデバイスの開発を始めるためのハードウェアエミュレーターなど、さまざまなツールとサービスを提供している。

「Esperのおかげで、3種類のハードウェアでFusionに接続するフィットネス製品を6カ月足らずで立ち上げることができました」とInspire Fitnessの創業者であるChris Merli(クリス・メルリ)氏は述べた。「フルスタック接続のフィットネスAndroidプラットフォームは、さまざまなハードウェアプラットフォームでアプリケーションをテストし、クラウド上ですべてのデバイスを構成し、仕様どおりにフリートを管理するのに役立ちました。彼らは、スピード、Androidの専門知識、それに私たちのアプリケーションが顧客に楽しい体験を提供するという信頼を私たちに与えてくれました」。

Esperはまた、このハードウェアの寿命を延ばすために、古いx86 WindowsデバイスでAndroidを実行するためのソリューションも提供している。

「私たちはインフラの構築に約1年半を費やしました」とゴパラン氏はいう。「『絶対に』。これが難しい部分ですが、それこそが信頼性が高く堅牢なメカニズムを築きます。そうしたメカニズムで、顧客はビットがデバイスに流れると信じることができます。また、必要に応じてロールバックすることもできます」。

Esperは、ハードウェアパートナーと協力して、同社のサポートを組み込んだデバイスを最初から用意している。

Esperによると、2020年は売上高が70倍、有料顧客が8倍、Esperを実行しているデバイスが15倍増加した。元々の水準がわからないため、そうした数字に意味はないが、投資家はEsperが何かに取り組んでいるとはっきり信じている。現在の顧客には、CloudKitchens、Spire Health、Intelity、Ordermark、Inspire Fitness、RomTech、Uberなどが含まれている。

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画像クレジット:Esper

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

電池交換式の探し物トラッカー「MAMORIO RE」が1個3828円で発売、リング付きのレザーチャームも

電池交換式の探し物トラッカー「MAMORIO RE」が1個3828円で発売、リング付きのレザーチャームも

MAMORIOは、5個入り(1万3640円)で販売している電池交換式の紛失防止タグ「MAMORIO RE」を1個3828円で販売します。主要な通信販売サイトが取り扱うほか、全国の家電量販店や小売店では5月24日に発売します。

薄型な MAMORIO REは、財布や名刺入れなどとともに持ち運んで使うことを想定し、Bluetoothで連携したスマートフォンと離れると、置き忘れた場所と時間がスマートフォンに通知される仕組みです。

さらに、全国の公共交通機関や商業施設などに設置された専用アンテナ「MAMORIO Spot」の効果範囲内に、MAMORIOシリーズの製品が付いた忘れ物が届くと、その位置情報が持ち主に通知されます。

このほか同社は MAMORIO REの収納が可能なリング付きのレザーチャームも発表。価格は税込1650円。REとレザーチャームのセット価格は税込4378円。6月30日まではRE単体を税込3254円、REとレザーチャームを税込3828円で販売します。

電池交換式の探し物トラッカー「MAMORIO RE」が1個3828円で発売、リング付きのレザーチャームも

  • 通信方式:Bluetooth 4.0
  • 有効距離:約30m
  • 対応機種:BLE対応の iOS 11 / Android 4.3 以降の機種
  • 電池タイプ:リチウム電池(CR2016)、電池寿命は約11か月(利用状況による)
  • サイズ:縦36.5x横23.0x厚さ3.7mm

(Source:MAMORIOEngadget日本版より転載)

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