Apple Watchのデザイナーが5周年を機に誕生秘話明かす

Apple(アップル)に20年間在籍したImran Chaudhri(イムラン・チョウドリ)氏は、iPhoneやiPad、Macなど同社の最も象徴的な製品ラインの多くを手がけてきた。同氏は2017年に同社を去ったが(そして2週間前にマイクロソフトのHoloLensチームに所属した)、米国時間4月24日、彼は5回目の誕生日を迎えたApple Watchの誕生について興味深い洞察を提供している。

チョウドリ氏のツイートは、Apple Watchの誕生についての楽しい事実の宝庫だ。当時のアップルをフォローしていた人にとっては大きな驚きではないかもしれないが、Apple Watchの初期プロトタイプは、腕時計のバンドにiPod nanoを取り付けたものだった。

スマートウォッチ市場に本格的に参入する5年前、アップルは四角いタッチスクリーンを搭載したiPod nanoを発表した。そして初代Pebbleが登場する3年前、既にスマートウォッチの可能性が検討されていた。アクセサリーメーカーはすぐにこれに便乗し、タッチスクリーンのミュージックウォッチとして機能するリストバンドを発表した。この第6世代の製品は、最終的には人気デバイスの基盤となったのだ。

チョウドリ氏は次のように語る。

私はiOS 5をまとめ、IDチームに通知センターとSiriがどのようなもので、将来的にはどのようなものになるのかを見せるために書き留めた。これをSteve(故スティーブ・ジョブズ)と共有することはできず、iOS 5の直後に彼を失った。

その他の興味深い点は以下のとおりだ。

  • ソーラーのウォッチフェイスは「イスラム教徒がラマダンを観察する際に、太陽の位置を素早くすばやく確認し、その時間との関係をすべての人が理解できるように」設計された。
  • 蝶のアニメーションは本物の蝶(死んではいたが)を使って作成された(そのうちの1つは現在、彼の家に飾られている)。
  • タッチ機能は当初は「E.T.(エレクトロニック・タッチ)」と呼ばれていた。
  • デジタルタッチの描画機能は、シャウドリ氏のグラフィティアーティスト時代にインスピレーションを受けたものだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

次の稼ぎ頭を探すApple

Appleは常に進化し続ける会社だ。実際には、新たな製品カテゴリを発明したことはないのだが、手を付けた製品カテゴリを、より優れた、より賢いものにしてきたように常に思われている。そして、その製品の値段が高くても、人々に欲しい思わせる方法を開拓してきた。今日の(訳注:2019/2/18付)WSJによれば、AppleはiPhoneを収益モデルの中心に置かない未来像を探ろうとしているという。

このような変化は、iPhoneの需要が伸び悩んでいる状況の中、Appleが数年ぶりの収益の低下を報告したことによって引き起こされたもの。変化している中国市場の影響も大きいが、ユーザーのiPhone買い替え周期が長くなっていることも無視できない。そうした中、iPhoneの価格が1000ドル以上にまで上昇したことが、売上減につながった。

15%というiPhoneの売上減少は、もちろんAppleらしい収益報告ではなかったものの、年初に第1四半期の見込みが下がっていることを発表した時点で、すでに予測していたものだろう。もしも、このThe Wall Street Journalの記事が正しければ、すでにAppleは自らを次のフェーズに、おそらくはサービス業を中心とした会社に、移行させるための措置を取ろうとしている。

(参考記事:Apple lowers guidance on Q1 results, cites China trade tensions

そうだとすれば、それは、さまざまなタイプのハードウェアのデザインを再考しながら、その過程で一般的なデザイントレンドを頑固に拒否してきたという、この会社の伝統からの根本的な離脱を意味する。1970年代から1980年代にかけて、Apple Computerという名前だったころ、Steve JobsとSteve Wozniakは、まだほとんどの人がDOSプロンプトで仕事をしていたときに、GUIを備えたコンピュータを作った。

2000年代の初頭には、AppleはiPodという一種のMP3プレーヤーを発売し、iTunesというミュージックストアを開店した。iPhoneを発表する前年の2006年までには、Appleは4200万台以上のiPodと、8億5000万曲の音楽を販売した。衰退しかかった会社を強大な企業に変貌させたのは、まさにこうしたハードウェアとサービスの組み合わせだったのだ。

2007年にAppleがiPhoneを発表したとき、それがiPodの売り上げを減少させることは分かっていたはずだ。もちろん実際にそうなったわけが、それが論理的に進むべき方向だったのだから、何も問題はなかった。2008年にApp Storeを導入すると、もはやiPhoneは単体のハードウェア以上のものになった。それは、新種のハードウェア・サービスモデルであり、会社にとって途方もない富を生み出すものとなった。

iPadは2009年に登場し、その5年後の2014年にはApple Watchも加わった。それぞれ、それなりに健闘はしているものの、iPhoneの成功に匹敵するようなものは何も登場していない。アナリストは、前の四半期で、Appleが7100万台のiPhoneを販売したと推定している。そして、売上が減少したとされているのも、その同じ四半期のことなのだ。どんなものであれ、たった3ヶ月の間に、7100万個ものものを売るのは難しい。しかも減った結果がそれだと言うのだ。

次に来るのは、おそらくエンターテイメントとコンテンツの組み合わせ、そしてAR/VR、自動運転車、人工知能など、先進技術を活用したものになるだろう。そうした領域の中で、Appleがどの方向に進もうとしているのかは定かではない。しかし、最近の採用や買収によって、それらの方向が確かなものだということだけは分かっている。

(参考記事:Sorry that I took so long to upgrade, Apple

長い間、Appleがコンテンツ分野で派手な買収をするのではないかと噂されてきた。Appleの、インターネットソフトウェアおよびサービス担当上級副社長のEddie Cueは、昨年のSouth by Southwestの際、CNNのDylan Byersにインタビューを受けた。 そこでBuyerは、具体的にNetflixやDisneyのような資産を買う気はないのかとCueに尋ねた。それは、そうした大手のコンテンツ制作会社とApple TV組み合わせたらどうか、ということを暗に示していた。

Cueは、それらの2社はApple TVの素晴らしいパートナーである、とは述べたものの、そのような線で何かをコミットするには至らなかった。「一般論ですが、Appleは、その歴史の中で、これまで大規模な買収を行っていません」と、彼はAppleの立場を説明した。Appleとしては、現状でうまくいっているものを買うのではなく、未来がどこにあるのかを理解して、そこに到達するための何かを創り出したいと考えているのだと。

Apple TV自体は、他のデバイスほどの大きな成功を収めていないものの、サービスから得られる収入は着実に伸びている、ということは注目に値する。最新の決算報告によると、Appleは109億ドルのサービス収入を計上している。これは、前年比で19%増だ。それは、同社がその四半期全体として発表した843億ドルに比べれば、まだ小さい割合しか占めていないが、成長していることは間違いない。

それはともかくとして、Appleが他の製品によって、iPhoneで成し遂げたのと同じような成功に近づくことができるかどうか、誰にも分からない。しかしAppleは、その莫大な富にもかかわらず、どんな会社も過去の成功に頼るのは危険であることが分かっている。そこでAppleは先を見据えて、新たな血統を雇い入れ、できるだけiPhoneに依存しない将来を模索している。Grateful Deadがかつて歌ったように、「戻ることはできないし、立ち止まることも許されない。雷は避けられたとしても、稲妻には打たれるだろう」と知っているからだ。Appleはそのような運命を避けたいと望んでいる、そしてその道を切り開くのは、おそらくハードウェア、コンテンツ、そしてサービスの、何か新しい組み合わせだろう。

画像クレジット:Justin Sullivan/Staff/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iPodは2019年に復活するのか?

次期iPodという言葉を聞くと少々興奮する。もちろん、ほぼ100%ノスタルジーだ。そしてAppleはずっと前に、私の一番のお気に入りだったiPod Classicを完全に葬り去った。その一方で、iPod Touchもフェードアウト気味だ。「王は去ったが、忘れられることはない」とかつてニール・ヤングは歌った。

しかし2019年には、この愛されたミュージックデバイスに最後の復活があるかもしれない。ますます携帯通信のないiPhoneに近づいていたが、新しいiPod Touchがどんな形状になるかは不明だ。

今月、サプライチェーンの情報筋による詳しい記事が、iPodハードウェアのデザイン変更の可能性について伝えた。その知らせはiPhoneがいずれUSB-Cに切り替えるかもしれない、というニュースと共にやってきた。これは最新iPad Proと揃えるという意味であり、会社全体で汎用ポートに移行するという大きな動きを示唆するものだ。音楽に焦点を合わせた製品がLightningとヘッドホンジャックの両方をやめるのかどうかは、リフレッシュの可能性を巡る100万の質問の一つにすぎない。

一方今週、ワシの目を持つSteve Troughton-Smithは、iOS 12.2コードのApple製品リストの中に“iPod 9,1”の記述を見つけた。そのリストは最近噂されている新しいiPadの存在も確認している。しかしiPodのリストの中にはFace IDもTouch IDもなく、これは新製品の価格を抑えるためかもしれない。

たしかにiPhoneを始めとする各種端末の普及と、SpotifyやApple Musicなどの音楽ストリーミングサービスの急成長によって、音楽専用デバイスの必要性は低下した。それでも、私がfPalmの願望成就記事に書いたように、いつの日か期待に答えるiPodが登場してくれるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

役目を終えつつあるiPod

iPod nanoとshuffleの販売が終了となる。そんな中、iPodの歴史を振り返ってみたい。

BI:Before iPod(iPod登場以前)

iPodは、最初に登場したMP3プレイヤーというわけではない。ただ、すべてのバランスを正しく調整したプロダクトであったとは言えるだろう。Appleがプロダクトを投入する前から、非常に多くの企業がさまざまなプロダクトを発表していた。たとえばRioを懐かしく思い出す人も多いだろう。登場は90年代のことだった。しかし格好良いものもなく、使い方が複雑で不便なものばかりだった。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアの方もひどいできのものが多かった。
(Hulton Archive/Getty Images)

2001: オリジナルiPod登場

2001年、音楽業界はNapsterに震えていた。そこに、音楽業界の再興を謳い文句にしてスティーブ・ジョブズが舞台にのぼってきた。ジョブズが準備したのは、5GBの記憶容量を備えたエレガントなガジェットだった。「ポケット入る1000曲」という宣伝文句もあった。
(Photo by Apple via Getty Images)

2004: iPod Photo

iPodとしては第4世代機となる。インタフェースの変更も行われたが、もっとも大きな変更は操作スクリーンをカラー化したことだった。500ドルを払う余裕があれば、220×176の画面にアルバムジャケットや、あるいは自分で撮影した写真などを表示することができるようになったのだ。iPhoneの登場まで、iPod Photoの解像度も、持ち歩けるデバイスとしては十分なものに感じられたのだった。
(Photo by Apple via Getty Images)

2004: U2 Edition iPod

Songs of Innocenceを無料配信する10年前に、iPodのU2限定モデルが世に登場していた。ボノがピースサインを示しながら手に持っているiPodは、赤と黒でデザインされており、無料のU2アルバムが予め収録されていた。

なお、翌年にはハリー・ポッターモデルもリリースしていて、こちらにはハリー・ポッターのオーディオブックが収録されていた。
(Photo by Tim Mosenfelder/Getty Images)

2004: iPod mini

2004年には、コンパクトでカラフルなiPodも投入された。6GBの容量を備えた本デバイスは大ヒットとなり、iPodの名を一層高めることとなった。しかし本デバイスは2世代で打ち切りとなり、コンセプトは2005年のnanoモデルに引き継がれることとなった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2005: iPod nano

茶封筒にMacBook Airを入れる3年前、ジョブズは同じようなことをiPod nanoで行なっている。ジーンズの小銭ポケットからiPod nanoを取り出して、コンパクトさをアピールしていたのだ。iPod nanoは第7世代まで続くこととなった。
(Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)

2005: iPod shuffle

ハードディスクでなく、フラッシュメモリーを搭載した最初のiPodだ。デバイスはますますコンパクトになり、ジョギングなどワークアウトの最中に、収録した曲をランダムに再生するような使い方を想定している。ガムのようにコンパクトで軽量であり、首から下げていても気にならないのがウリだった。価格も99ドルで、他のiPodにくらべてはるかに安価なモデルとなった。利用シーンを限定することで、スクリーンをなくすということで成し遂げたサイズ・価格のモデルだった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2006: さらに小さなshuffle

1年たって、デバイスはさらなる小型化の道を歩んだ。shuffleの第2世代はサイズを半分以下として、重さも大幅に減らすことに成功した。服にクリップで取り付けられるようになり、身に着けていることが全く気にならないサイズになった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2007: iPod classic

2007年、これまで単にiPodと呼ばれていたプロダクトはiPod classicと呼ばれることとなった。黒と白のプラスチック筐体はアルミになった。電池のもちは画期的に伸び、記憶容量も最大160GBとなった。「classic」の名がついたことで、本モデルの終了も間近であるとの噂も流れた。しかし2007年以降もアップデートが行われ、以後7年にわたって販売されることとなった。

(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2007: iPod touch

初代iPhoneと同じ時期にリリースされたiPod touchは、従来のiPodとは大いに異なるものとなった。iOSで動くiPod touchは、セルラー機能のないiPhoneとでもいうべきものだった。しかしこのデバイスのおかげで、iPodの名前が受け継がれ続けるようになったという意味はある。すでに2年ほどアップグレードが行われていないが、Apple Musicを楽しむのに不足はない。少なくともいましばらくの間は生き残っていくのだろう。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2007: iPhone

2007年、ジョブズはMacWorldにて3つのプロダクトを紹介すると語った。3つとは、iPodと携帯電話、そしてインターネットにつながるデバイスであるとのことだった。そんな言葉に続いてアナウンスされたデバイスはiPhoneだった。これ1台で、先に述べた3つの役割すべてを果たすことができるという意味だったわけだ。iPhoneの先祖はといえば間違いなくiPodということになるはずだ。ギリシア神話風にいうのなら、iPhoneは父親殺しの犯人ということになるのだろう。iPodの利用される世界は狭まりつつある

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(翻訳:Maeda, H

Apple、iPod nanoとshuffleの販売を終了、touchは容量2倍に

ハンカチのご用意を ―― ひとつの時代が正式に終わった。iPod classicの生産中止から3年、Appleはついにローエンドの同胞たちにも同じことをする。shuffleとnanoだ。同社は今日(米国時間7/27)2つの象徴的MP3プレーヤーをサイトから引き上げ、これが本当の終わりであることを正式にTechCrunchに伝えた。

これで、あの一世を風靡したiPodの名前を冠したデバイスはiPod touchだけになった。そして、それについてはちょっと嬉しいニュースがある ―― Appleは今日、touchの容量を64GB/199ドル、128GB/299ドルにそれぞれ増量した。これまでは16GBと64GBがおなじ価格で売られていた。

「本日、iPodラインアップをシンプルし、iPod touchの2モデルは価格据え置きで容量を2倍にした。そしてiPod shuffleとiPod nanoの販売を中止する」とApple広報が声明で言った。

過去数年間、AppleはiPhoneが従来のネットワーク無しiPodを置き換えるとかなり明確に言ってきた ―― そしてそうなることを嫌がっていなかった。iPhoneの躍進とApple Musicによる同社のストリーミングの推進によって、音楽を所有する概念は過去のものになりつつある。

nanoが5年間改訂されていなかったという事実は、Appleがアプリの動くデバイスに集中しているという明確な証しだった。iPodにとって最も重要なアプリは、もちろんApple Musicだ。現在のAppleの世界で、これに対応していないデバイスを売ることの意味はほとんどない。

iPod touchが同じ価格で2倍のストレージになることは、つながらないiPodたちへのすてきな別れのメッセージだ。これはまた、Appleにかつての栄光を取り戻させたこの音楽プレーヤーと相棒ソフトウェアのiTunesの役割を、再認識するよい機会でもある。iPodはいかなる意味でも最初のMP3プレーヤーではなかったが、真のブレークスルーテクノロジーだった。

カリフォルニア州サンフランシスコ ―― 2012年9月12日、新しいiPod nanoがイエルバブエナセンター・フォー・ザ・アーツで行われたAppleのスペシャルイベントに登場した。Appleは人気スマートフォンの最新機種iPhone 5を発表するとともに、iPod nano、shuffle、およびtouchの新機種を発表した(写真提供:Justin Sullivan/Getty Images)

2001年に登場したクリックホイール付きデバイスは、この分野の代名詞にもなった。21世紀初の真に象徴的な消費者向けハードウェアとなり、「ポケットの中に音楽を1000曲」という気が遠くなるような約束を掲げた。スティーブ・ジョブズが5GBの製品を披露したときのことだった。

私自身どちらかというとiPod classic派だったが、Spotify以前の暗黒の日々、携帯電話のストレージが貴重だったころ、shuffleとnanoの小さなサイズは携帯電話と一緒に持ち歩くのに便利だった。

shuufleの登場は2005年前半で、その年の後半にはnanoが短命のminiに取って代わった。どちらもiPodエコシステムの中で独自の役割を果たした。shuffleは入門レベルのiPodで、スクリーンがないために音楽再生にロシアンルーレット的要素を取り入れた。

そのコンパクトなサイズ、そしてclassicと異なりハードディスクがないためランニング中に音が飛ぶ心配がないことから、フィットネスおたくもターゲットになった。nanoはNike+iPodフィットネストラッキングシステムによってこの分野を開拓した最初のデバイスになった。

ともあれ10年と少しという長さ決して悪くない。そして以前のclassicと同じく、これらの製品がeBayオークションを通じてこの先何世代も生き続けることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ジョブズの大はしゃぎのアナウンスを思い出しながら、10周年を迎えたiPhoneを祝おう

Jan 09, 2006; San Francisco, CA, USA;
Apple, Inc. CEO STEVE JOBS introduced the AppleTV and Apple iPhone at Macworld in San Francisco.
Mandatory credit: Photo by Eric Slomanson/Bloomberg News

iPhoneは今日(米国の9日)10歳になった。少なくともその発表があった日から数えてのことだが。だから、少しだけ時間をとってその日のことを思い出してみよう。スティーブ・ジョブズがその製品とプレゼンテーションに見せた興奮と誇りと共に。さあ、あなただってそうしたい筈だ。

私はこのビデオを、特に最初の30分ほどの部分を、1〜2年に1度は観ている。とはいえ私自身はiPhoneを所有したことは1度もないのだが。これは私たちが1年を通して何度も参加しなければならない類のプレゼンテーションの、言うまでもなく最良の例だ。だから単にノスタルジーに浸るだけではなく、ジョブズが優れたマジシャンのように振舞い、どのように観客を操ったのかを見ることには価値がある。彼はピンポイントの正確さで観客の注意をコントロールしてイリュージョンを生み出したのだ。

仰々しく番号付きリストにするまでもないが、この発表の中で私が気に入っている3つの瞬間を紹介しよう。

実は、ここにある、だけど…

ジョブズはプレゼンテーションの最初から徐々に緊張を高めて行った。彼自身が興奮していることを隠さず、発表の範囲を拡大し(3つのデバイスがある)、それをさらに広げた(実は1つの統合デバイスだ)。そして彼はユーモアでその高まった緊張を一気に緩めてみせた。「それがこれです!(And here it is!)」(ビデオ3分13秒の辺り)。

この偽iPhoneは目玉がひっくり返るようなギャグだった。何しろ本当に可笑しいので皆が笑ったが、あまりに緊張が高められていたので、何らかの手段でエネルギーを解放する必要もあったのだ。それは丁度近くの茂みで何かが唸っているのを聞いた時にアドレナリンが血管に溢れるような感覚だった。すわ虎か?しかしそれは単に車で、自分の愚かしさに思わず笑ってしまう。

しかし、その後ジョブズは凄いことをする。かれは虎を見せたのだ。誰もが「まあもちろん彼はすぐにはそれを見せないだろう」と考えていたときに、そのプレゼンテーションの流れに逆らって、彼はさりげなく彼のポケットから実際のiPhoneを引っ張りだしたのだ。「実は、ここにある、だけどしばらくはまだここにしまっておこう」。

ここにありますそれは全くの予想外で、デバイスもちらりと見せられただけだったので、会場の誰もそれに反応することさえできなかった。しかしそれは本当に食欲をそそるやりかただったので、聴衆はまたすぐに気持ちを捕らえられた。ここにあるんだ!この部屋の中に!その時点で皆は、よりはっきり見たい気持ちで熱い石炭の上を歩いていた。しかしジョブズは続く20分の間、皆の強い注意を引きつける必要があったのだ。

これってクールじゃないかな?

iPhoneのデモを始める選択肢として、iPodの部分が選ばれたのは気まぐれからではない。1つには、観客は既にiPodのインターフェイスに馴染んでいたので、それと比較することができた。だがそれに加えて、ジョブズはタッチインターフェイスが既存の製品を如何に良くするかを示すことができたのだ(iPod Touchの発表は2007年9月)。

それだけでなく、スクリーンではカラフルなアルバムアートを披露し、アプリは(最初はそのようには呼ばれていなかったが)他の3つの重要な操作を披露する機会を提供した。ホームボタン、タッチスクロール、そしてランドスケープモードへの切り替えだ。

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全体を通して、ジョブズは、アップル社の発明品に純粋に感動しているようにみえる。観客から感嘆のため息を引き出した最初のロック解除の後で、彼はこう尋ねる。「今の、もう1度見たいかな?」。そしてアーティストリストをスクロール表示するとき、ラバーバンド動作のような詳細を見逃す人がいないように彼は注意を促している。「これってクールじゃないかな?」彼は確認を繰り返す。

何度もホームボタンを押して、彼は電話機の操作が簡単であることを示すだけでなく、アニメーションが如何にスムースかも見せた。皆はこれを見て、電話機が如何に洗練されていてユーザーフレンドリーであるかを、言葉で言われるまでもなく理解したのだ。

それほど悪くないね

もちろん人びとは電話機を通話に使う。しかし、この時点でのスマートフォンたちは、ジョブズが指摘したように、電話機としては扱い難いものばかりだった。iPhone上での連絡先の管理は、タッチスクリーンインターフェイスによって確かに簡単になった。しかしそれ以上に私を驚かせることがデモの中で起きた。

ジョブズは、ジョニー・アイブ呼び出し、その通話中にフィル・シラーがジョブズに電話をかけてきた。これは奇遇だ、そうじゃないかな?しかし、それによってジョブズはインタフェースの固有の柔軟性と、彼らがそれを設計した先見性の両方を披露する機会を与えられたのだ。

マージシラーが電話を掛けてきた時に、ジョブズは電話機上に「マージコール(merge call)」ボタンが表示されていることを皆に説明した、これは当時既に複数の通話を行っている際に表示されていた「追加コール(add call)」ボタンを置き換えるものだった。通話はマージ(統合)され、観客は湧いた。だがそれで終わりではなかった。すぐに関連するインターフェイスが示されて、始まったときと同様にコンファレンスコールが簡単に管理できることが示された。

今にして思えば、最もありふれた日常的な機能を取り上げて、それが手軽にシームレスに働くことを見せただけだ。だがそのことで、ジョブズは電話体験のどの側面も損なわれていないことを見せつけたのだ。同時に、どれほどのものを他の電話機が、何年もの間見落としていたのかを示していた。これは大きなポイントだが、まだ他の機種での実現は微妙なままだ。


さて、これで応援としては十分だろう。私はこの種のものにとても感謝している。そして10年が経っても、これは今でも最も効果的なテクノロジーアナウンスだったと思っている。たとえそれが私を納得はさせなかったとしても。10周年おめでとう。iPhone。

(訳注:途中の見出しの「それほど悪くないね(Not too shabby)」は、電話を終える直前のジョニー・アイブが言った言葉)

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: ERIC SLOMANSON/BLOOMBERG NEWS

「革新的」とされた初代iPodのインタフェースも、現代の子供にはまったく「意味不明」

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最新のテクノロジーに触れ続けていると、少し前の「最新技術」がどのようなものであったのかをすぐに忘れてしまいがちだ。たとえば2001年にリリースされた初代iPodは、今とはまったく異なるインタフェースを備えていた。スマートフォンやタブレットを産み出すような技術的発展はまだ成し遂げられておらず、Gmail、Facebook、Twitter、およびSportifyなどは存在しない時代の話だった。Microsoftからは初代のXboxや、Windows XPが登場した時代の話だ。

ついこの間の話のように感じる人も多いと思う。しかし実はガジェットをいじり始めた子供たちは、iPodよりも年若であるのだ。そして生まれた頃から身近にスマートフォンも存在していた。そんな世代の子供たちに初代iPodを渡してみた、というのが上のビデオだ。Fine Brothers Entertainmentの企画によるものだ。子供たちにはiPodが何のためのデバイスであるのかという基本的なことのみを伝えてある。そんな中での子供たちの行動には、なかなか驚かされてしまう。

初代iPodが登場したとき、多くの人がiPodに搭載されたクリックホイールの先進性に喝采をおくったものだった。しかし、このiPodを現在の子供たちに渡すと、使い方がわからないケースがほとんどだ。たいていの子供は、タッチスクリーンに慣れていて、まず画面をスワイプしようとするのだ。

現在では、画面のアンロックにもスワイプを使うし、また楽曲リストをスクロールする際にもスワイプを使う。しかし、スワイプという動作が一般的になったのは、Steve JobsがiPhoneを世に問うてからのことなのだ。楽曲リストをJobsがスワイプするだけで、会場全体に沸き起こる興奮を思い出してほしい。

Appleは「スワイプ」という動作を実装することにより、デバイスをより魅力的なものとすることに成功したのだ。デモをみた世界中の人が、ぜひ触ってみたいと感じたものだった。画面をスワイプしてロック状態を解除することなど、当初はまったくあたりまえのことではなかったのだ。iOS 7ではスワイプなどの基本動作についてのインストラクションが同梱されることとなった。それ以前には、たとえばプレスカンファレンスなどで「スワイプ」インタフェースの仕組みなどについて説明を行なっていたのだった。

最近の子供たちは、初代iPodなどに触ったこともない。そうした子供たちは、モバイルデバイスにはWi-Fiが搭載されていて、スピーカーやアプリケーションおよびゲームなどが存在することが当然であると考えている。さらにコンピューターと直接に接続しないと楽曲を転送できないのも理解しにくいことであるようだ。現在のデバイスならSportify、YouTube、あるいはiTunesなどがインストールされていて、PCと接続せずとも簡単に音楽を楽しむことができる。

そもそも子供たちは、これが音楽プレイヤーであることも認識できていない。多くの人がスマートフォンを持つ現在、専用の音楽プレイヤーというのは、確かに遠い昔のものであるのだ。大人世代のひとりとして、最初のiPodについてはいろいろと思い出もある。しかし今の子供たちにとって、初代iPodなどというのはソノシートと同じく「前世代」のものであるとうつるのだろう。

[via MacStories]

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(翻訳:Maeda, H

世界を変えたiPod classic、ついにその役割を終了

がっかりする人も大いに違いない。古くからのファンの心を掴んでいたiPod classicが姿を消すこととなったのだ。新製品の発表に賑わう裏で、iPod classicはiPod製品リストからひっそりと姿を消した。shuffle、nano、そしてtouchなど、世界を変えたデバイスの根本を引き継ぐデバイスだった。

確かに、もう古くなったものだとは言えるのだろう。昔ながらのホイール操作式デバイスは、確かにフラッシュストレージを搭載し、ストリーミングを主体とするデバイスから見ると時代遅れなのかもしれない。しかし容量の大きなデバイスに、存在価値を感じていた人も多いはずだ。しかし、そうした人も、もはやごく少数派となってしまったわけだ。

しかし覚えておこうではないか。白いイヤホンをつけて楽しげに踊るシルエットのことを。ここから、世界が変わったのだった。

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(翻訳:Maeda, H


Appleがオールガラス製のケースに収めたiPhoneやiPad、モニタなどで特許を出願

AppleInsiderによると、Appleは、外殻ケースがすべてガラス製のデバイスを作る方法で特許を出願した。それは、すべての部分を溶融して完全にシームレスな(継ぎ目のない)外見を作り出している。オールガラス製のケースには、iOSデバイスやテレビのモニタなどが収容されるのだろう。

ガラスだけの構造体が設計された目的は、耐久性の最大化と重量の節約だ。一体成型でなく溶融方式なのは、単一のガラスブロックだと重くなるからだ。溶融構造の内部のリブや部分的な強化成形もガラス製で、それらは、構造的にとくに弱いと思われる要所に配置されている。

iPhone 4では前面と背面にガラスのパネルが使われたが、この特許では完全にガラス製のケースに入れられたガジェットを作るから、ほかのメーカーのガラスを使った製品とはまったく違う美観になる。たとえばテレビのモニタの売り場にオールガラス製のRetina Cinema Displayがあったら、それだけが目立ってしまうだろう。またオールガラスケース入りのiPhoneが出たら、いつも以上にマスコミが騒ぎ立てるだろう。

ガラスには衝撃に弱いという性質があるし、そのほかの問題もあるだろう。Appleの特許によくあるように、Appleはただその技術を実験してみただけで、今はほかのことをやってるのかもしれない(サファイヤガラスもその例の一つだ)。しかし出願書類の中の発明者のところには、AppleのSVPで名人デザイナーJony Iveの名もある。ガラスの一体成型はSF映画やSFテレビドラマによく出てくる。だからAppleは、そういうSF的な未来を先取りしたいのかもしれない。

画像: all-glass iPhone 6 concept video(オールガラスのiPhone 6のコンセプトビデオ)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple、2013年Q1:iPhoneとiPadが共に売上新記録を達成。それぞれ4780万台と2290万台

先ほどAppleは、昨年12月末締め2013年第1四半期決算を報告し、全般的にハードウェア販売が好調だった。中でもiPhoneは四半期に4780万台を売り、前期比、前年比共に伸び、iPadも2290万台で新記録を達成した。

当期は全期間にわたってiPhone 5が販売された初めての四半期であり、年末商戦も大きく後押しした。今月アナリストらは、需要の鈍化によってiPhone 5の生産が削減されたことを示唆していた。

iPadの販売台数2290万台は、昨期の1400万台から大きく伸びた。前年同期の1540万台からも33%増加した。昨期のiPadは、予測を下回った

Appleはモデル毎の内訳を公表していないが、同四半期の大部分に販売されていたiPad miniが、年末商戦と共に売上増に貢献したと見るのが妥当だろう。またAppleが、改訂版のLightningポート塔載第4世代iPadをミニ版と共に発売したことも忘れてはいけない。

しかしながらiPad miniは、利幅が他の製品と比べて著しく小さいことから、埋め合わせるにはもっと売る必要がある。

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Appleはこの3ヵ月間に、4780万台のiPhone販売した。昨期は2690万台、前年同期は3700万台で、対前年比は23%増だった。

アナリストらは、Appleがその最も強い市場である米国、英国などの先進国で飽和状態になり、そのために生産が削減されたと考えている。

しかし、Appleは次世代iPhoneを2種類作っていると噂されており、その一つは新興国市場向けの廉価版だと言われている。

iPodに関しては、カラフルなiPod製品がAppleの減退気味の事業に、なんとかわずかな生命を吹き込むことに成功した。iPhoneの登場によって、明らかにこの事業は食われているが、それでもAppleは1270万台を売り、昨期を530万台上回ったが、対前年比は18%減だった。

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(翻訳:Nob Takahashi)