13インチと16インチのMacBook Pro、どちらを買うべきか?

アップルは13インチMacBook Proの新モデルを5月4日に発表、5月上旬より販売を開始した。現行製品としては、MacBook Air、13インチMacBook Pro、16インチMacBook Proの3シリーズをラインアップしているが、13インチMacBook Proは第8世代CPUとThunderbolt 3×2の廉価モデル、第10世代CPUとThunderbolt 3×4の標準モデルを用意している。どのモデルを購入するべきか悩んでいる読者も多いことだろう。

今回は、第10世代インテルCoreプロセッサーとThunderbolt 3×4という構成の13インチMacBook Proを試用し、どのようなユーザーが購入すべきか、どのような用途に活用できるのかという点にスポットを当ててレビューしていく。

13インチMacBook Proは税別18万8800円から

最大の変更点はキーボードに「Magic Keyboard」が採用されたこと

13インチMacBook Proには下記の4モデルがある。

  • 第8世代Core i5(4コア、1.4~3.9GHz)、メモリ8GB、SSD256GB、Thunderbolt 3×2(13万4800円)
  • 第8世代Core i5(4コア、1.4~3.9GHz)、メモリ8GB、SSD512GB、Thunderbolt 33×2(15万4800円)
  • 第10世代Core i5(4コア、2.0~3.8GHz)、/メモリ16GB、SSD512GB、Thunderbolt 3×4(18万8800円)
  • 第10世代Core i5(4コア、2.0~3.8GHz)、/メモリ16GB、SSD1TB、Thunderbolt 3×4(20万8800円)

直販サイトから購入する際は、第8世代Core i5搭載モデルは第8世代Core i7(4コア、1.7~4.5GHz)、16GBメモリ、512GB/1TB/2TB SSD、第10世代Core i5搭載モデルは第10世代Core i7(4コア、2.3~4.1GHz)、32GBメモリ、1TB/2TB/4TB SSDにアップグレード可能だ。

そのほかの基本スペックはほぼ共通。ディスプレイは13.3インチのIPS液晶ディスプレイ(2560×1600ドット、227ppi、輝度500cd/平方m、色域P3、True Toneテクノロジー対応)を搭載し、通信機能はWi-Fi 5(11ac)とBluetooth 5.0に対応している。

外観上の大きな違いは、第8世代CPU搭載モデルがThunderbolt 3×2、第10世代CPU搭載モデルがThunderbolt 3×4となっていること。また第8世代CPU搭載モデルは1台の外部5Kディスプレイまたは2台の外部4Kディスプレイの映像出力に対応しているが、第10世代CPU搭載モデルはそれに加えて1台の外部6Kディスプレイの映像出力をサポートしている。

全モデル共通の最大の変更点はキーボードに「Magic Keyboard」を採用したこと。ファンクションキーとして機能するタッチ対応ディスプレイ「Touch Bar」、指紋認証センサー一体型電源ボタン「Touch ID」は継承しつつ、「esc」キーを独立。またキーボードの構造を、薄型化を追求した「バタフライ型」から、耐久性を重視した「シザー型」に戻している。

本体天面。カラーはシルバーとスペースグレイの2色を用意

底面は完全にフラットな構造。多くのWindows搭載ノートPCのように底面に吸気・放熱口は設けられていない

ディスプレイは「True Toneテクノロジー」対応。周囲光の色温度に合わせてホワイトバランスを調整し、どのような環境でも同じ色合いで表示してくれる

本製品のディスプレイの色域を実測して「P3(Display P3)」がベースにした「DCI-P3」と比較したところ、99.4%という高いカバー率を確認できた

シザー構造のMagic Keyboardのキーストロークは1mm。本体サイズと重さは、従来モデルが幅30.41×奥行き21.24×厚さ1.49cm、1.37kg、新モデルが幅30.41×奥行き21.24×厚さ1.56cm、1.4kgと、高さが0.07cm増えている

ディスプレイは机の上に置いたまま片手で開閉可能。排気口はヒンジ部に配置されている

インターフェースは、充電、DisplayPort、データ転送(Thunderbolt 3、最大40GB/秒、USB 3.1 Gen 2、最大10GB/秒)に対応。同梱される充電器は「61W USB-C電源アダプタ」で、どの端子でも給電可能だ

実際のアプリではCore i9+dGPU搭載機の約76~84%の処理能力を発揮

処理性能については、CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」を実施し、「Lightroom Classic」と「Premiere Pro」で実際の処理時間も計測してみた。比較対象機種は筆第9世代Core i9(8コア、2.3~4.8GHz)、AMD Radeon Pro 5500M、メモリ16GB、SSD1TB、Thunderbolt×4という構成の16インチMacBook Pro(28万8800円)だ。

16インチは13インチの約1.82倍のCPUスコアを記録

16インチは13インチの約84%の処理時間でRAW画像の現像を終了

16インチは13インチの約76%の処理時間で4K動画の書き出しを終了

CINEBENCH R20.060のCPUスコアでは16インチは13インチの約1.82倍の圧倒的スコア差を叩き出した。しかし、実際のアプリの処理時間では、16インチは外部GPU「AMD Radeon Pro 5500M」を搭載しているにもかかわらず、それほどの差は開かなかった。

室温25.0℃の部屋でCINEBENCH R20.060を連続実行したときのキーボード面の最大温度は44.9℃、底面の最大温度は43.4℃だった

13インチと16インチのMacBook Proのどちらを買うべき?

もちろんほかのアプリで計測を実施したり、また16インチでプラス7万円で選択できるAMD Radeon Pro 5600M搭載マシンであれば結果は大きく変わる可能性が高い。しかし少なくとも今回のマシン、今回のアプリという条件であれば、両者に使い勝手を決定的に変えるほどの差はなかった。13インチと16インチのMacBook Proは画面サイズ、ボディーサイズの好みで選んで構わないというのが筆者の率直な感想だ。

16インチMacBook ProへRadeon Pro 5600M搭載可能に、Mac Proはユーザー増設可能なSSDキットが加わる

アップルは6月15日、16インチMacBook ProとMac Proに小幅なアップデートを実施した。

16インチMacBook Proは、オンラインストアなどでのGPUのCTOで、新たにRadeon Pro 5600M GPU(HBM2、8GB)を選べるようになった。アップルのプレスリリースによると、4GBのGDDR6メモリを備えたRadeon Pro 5500Mよりも最大75%、前世代の15インチMacBook Proに較べて最大3.5倍も高速になるとのこと。

CTOでRadeon Pro 5600Mに変更すると、16インチの下位モデルでは標準搭載のRadeon Pro 5300Mからプラス8万円の税別32万8800円、上位モデルでは標準搭載のRadeon Pro 5500Mからプラス7万円の税別35万8800円となる。

モバイル向けのGPUとしてのRadeon Pro 5600Mは、GeForce GTX 1660あたりの性能に相当すると思われるので、WindowsのゲーミングノートPCではミドルレンジの性能といえる。また、最新の3DゲームはWindowsやコンソールゲームがほとんどなので、多くのMacユーザーはゲームではなく動画編集でのパフォーマンスが気になるところだろう。このあたりは後日、実機でじっくりと検証したいところだ。

ちなみに、画面解像度はフルHDに落ちるもののミドルレンジクラスのGPUを搭載するWindowsのゲーミングノートPCは10万円台で購入できる。

一方のMac Proには、SSDキットが追加された。これにより、内蔵ストレージを工場出荷時のオリジナル構成からユーザーの手でアップグレードできるようになる。アップグレードできる容量は1/2/4/8TBをそれぞれ2基収容できる。

キーボードの欠点が消えた新MacBook Pro 13インチ、Airとの差別化はやはり悩ましい

今回のMacBook Proの登場で、Apple(アップル)は、その歴史の中で最も不遇な部品の1つを闇に葬ることになった。最新の13インチモデルは、5年におよぶバタフライ式キーボードの失敗の連続に慈悲深く終止符を打ったのだ。

ここではそれ以上は踏み込まない。過去数年間にMacBookシリーズのモデルを購入したことがある人なら、私が何を言いたいかわかってもらえるだろう。固着して打てなくなったり、逆にランダムに入力されてしまうキーのことだ。競合のプレスイベントでライブブログの準備をしている際に、それが起こってかなり焦ったことが、少なくとも1回はあった。

アップルは、このバタフライ式の問題を何度も修正しようと試みた挙げ句、ついにそれを破棄し、基本に戻って昔からある信頼性の高いシザー式に戻った。私は今それで入力している。その結果、4年間使った私のマシンを買い換えようかと、真剣に検討することになった。正直なところ、そのマシンも、キーボード以外はまったく完璧だ。しかし、キーボードがあれなのだ。ずっと平面を叩いてタイプしているような感触しかない。

関連記事:新13インチMacBook Pro登場、シザー構造のMagic Keyboardと第10世代チップ搭載

今回の発表で、13インチのMacBook Proは、MacBookシリーズとしてシザー式キーボードを採用する一連のアップグレードの3番目、そしてその最後を飾ることになった。このキーボードは、アップルが大好きな「M」で始まる単語「マジック」を先頭に付けた名前で呼ばれる。文字どおりマジックとは言えないが、その改善には即効性があり効果は絶大だ。タイプの感触は、バタフライ式よりもかなり柔らかく感じられ音も静か。やはりストロークが1mmあるのが、手に優しい。

Touch Barから独立した専用のエスケープキーの追加など、他にも見るべき部分がある。Touch Barが万能というわけではないので、これは細かいことながら、歓迎できる改善点だ。

こうして私は、このレビューの最初の数段落をキーボードの話で費やしてしまった。バカげていると思われるかもしれないし、それがそこまで重要な話題なのかという疑問もあるだろう。しかし結局のところ、それを除けば、新しいMacBookのアップグレードは、かなり平凡なものになってしまう。それでも何も問題はないし、アップグレードは、たいていそんなものだ。しかし、新モデルに買い換えようかどうか迷っている人にとっては、このキーボードの改良が、強い動機を与えるものであることは確かだろう。

関連記事:「らしさ」を取り戻したMacBook Pro 16インチモデル

本体の見た目は、以前のモデルとほぼ同じ。おなじみの金属製のユニボディデザインで、色はシルバーとスペースグレーから選べる。画面サイズも同じ13.3インチで、解像度は2560×1600のRetinaディスプレイだ。そこまでの仕様はMacBook Airと同じだが、このProの13インチモデルの輝度は500ニトであるのに対し、Airは400ニトとなっている。そのぶん明るく目にも優しいが、バッテリー寿命には、やや不利だろう。事前の噂では、画面が大きくなった16インチモデルと同様に、13インチから14インチになるのではないかとも言われていた。それによってAirとの差別化を図るというわけだ。しかし、少なくとも今回は見送られたようだ。

ポートの構成も、4つのThunderbolt 3(USB-C)(上位モデル)と、ヘッドフォンジャックで変わっていない。私たちにとって、日常の仕事をこなすための、頼りになるラップトップであるのは確かだ。私が唯一不満なのは、外観がAirとほとんど変わらないこと。Proの上位モデルなら、かろうじてThunderbolt 3ポートの数が異なる。Airは、999ドル(日本では10万4800円)から、Proは1299ドル(同13万4800円)からで、300ドル(同3万円)もの価格の違いが外観には現れていない。

もちろん重要なのは中身だ。私自身も母親にそう言い聞かせられながら育ってきた。奇妙なのは、Airは全モデルが第10世代のインテルCoreプロセッサーを採用しているのに対し、エントリーモデルのProは第8世代のものを搭載していること。上位モデルは第10世代だし、エントリーモデルも第10世代にカスタマイズすることは可能だ。もっともProは、エントリーモデルもクアッドコア(1.4GHz)なのに対し、Airのエントリーモデルはデュアルコア(1.1GHz)という違いはある。ちなみに、このレビューモデルは、2.0GHzで動作するクアッドコアの第10世代Core i5を搭載している。

関連記事:新型MacBook Airは再びタイプしたい気にさせてくれるノートPC

このモデルの価格は、エントリーモデルより500ドル(同5万4000円)高い1799ドル(同18万8800円)となっている。さらに200ドル(同2万円)を加えれば、2.3 GHzのCore i7プロセッサーを選択することも可能だ。レビューしたモデルは、GeekBench 4のシングルコア、マルチコアの各テストで、それぞれ5520と18228を記録した。同じテストでAirは、5244と14672だったから、CPU性能は明らかに高い。

このモデルは、16GBのメモリと512GBのSSDストレージを備えている。エントリーモデルで比べると、どちらも8GBのメモリと256GBのSSDストレージという仕様だけに、AirとProの境界はぼやけて見えてしまう。しかし、前者の最大メモリは16GB、最大ストレージが2TBなのに対し、後者はそれぞれ32GBと4TBで、カスタマイズの上限の違いは明らかだ。

その他の点でも、エントリーモデルでは、両機種のスペックは似通っている。しかしProは、その名にふさわしいパフォーマンスを発揮できるようにスペックを拡張できる。したがって、AirではなくProを選ぶ理由は、ビデオ編集やゲームなど、より強力なプロセッシングパワーを必要とするから、ということになる。その場合には、カスタマイズによって、Proらしさが発揮できるようにする必要がある。Proのバッテリー寿命は、Airの11時間に対して最長10時間とされている。新品の状態で、何時間か日常的な作業、仕事、音楽の再生などで使ってみた。しかし、毎日さまざまな用途で使い続ける場合を考えると、10時間というのはやや誇張した数字だと感じられる。その点に関しては、もちろんAirの11時間にも同じことが言える。

繰り返しになるが、13インチのMacBook Proの最大の欠点は、いろいろな点でMacBook Airとの製品ラインの切り分けが不鮮明なこと。しかも、Airはより薄く、より軽く300ドル(同3万円)も安い。Airに対して13インチのProを選ぶ意味は、13インチに対して16インチのProを選ぶ意味に比べると弱いと言わざるを得ない。

ほとんどのユーザーにとって、ほとんどの作業ではAirで十分だろう。しかし、それほど苦労せず、また金額的にも大枚をはたかずに、少しでも強力なパワーが欲しいという人にとって、13インチモデルは確実で安全な選択肢となるはずだ。今や、キーボードの問題も解決されたのだから。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

新13インチMacBook Pro登場、シザー構造のMagic Keyboardと第10世代チップ搭載

MacBook Airや16インチMacBook Proに続いて、Apple(アップル)の13インチMacBook Proのキーボードが大幅に改良された。最近MacBookを購入した人にとってはアップグレードする十分な理由にはならないかもしれないが、優柔不断な人たちの背中を押してくれるかもしれない。

さらに魅力的なのは、全般的にスペックがアップグレードされていることだ。新しい第10世代のIntel(インテル)プロセッサ(最上位モデルで2.3GHzの4コアのCore i7にアップグレード可能)は、グラフィックス速度が向上し(アップルによれば最大80%)、16GBのメモリは32GBにアップグレード可能だ。ストレージ容量も2倍になっており、標準構成は256GBかつ最大4TBにアップグレード可能だ。システムはIntel Iris Plusグラフィックスを搭載し、6K解像度のApple Pro Display XDRをサポートしている。

セキュリティチップのT2も搭載されており、ストレージ暗号化機能のSecure Enclaveなど、セキュリティが強化されている。システムの大部分は前モデルと類似しており、4ポートのThunderbolt 3、USB-Cポートと13インチのRetinaディスプレイを搭載。なお、小型のMacBook Proが14インチにアップグレードされ、大型モデルの15インチから16インチへのアップグレードに追従するという噂は外れた。

キーボードの話題に戻ろう。個人的にしばらく前から新型MacBook Airを使っており、新型13インチMacBook Proにも同様のキーボードが搭載されたのは喜ばしいニュースだ。改良されたMagic Keyboardは以前のモデルと比べて明らかにキーストロークが長くなり、タイピングしやすく、また故障も少なくなる。これらは、前モデルで不評だった点だ。

アップルはバタフライ構造キーボードの改良に数年を費やした後、結局はシザー構造のキーボードに戻った。そして、キーボード上部にTouch BarとTouchIDが搭載されている(訳者注:物理ESCキーの搭載もうれしいポイントだ)。

アップデートされた13インチMacBook Proは本日からオンライン上で注文が可能。価格は13万4800円、学生・教職員向けは12万3800円)からだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iPad Proのようなデザインの新iPhoneをアップルが準備中との報道

AppleはiPhone 11 Proに代わる新型のiPhone、そしてiPhone 11の新モデル、小型のHomePodと位置追跡タグを2020年秋発表する準備を進めているようだ。Bloombergが報じている。最上位スマホiPhone 11 Proの後継モデルは少なくともiPad Proに近いデザインとなりそうだ。現在の丸いエッジではなく、スクリーンとサイドはフラットで、Appleが3月に発表した最新iPad Proで導入した3D LIDARセンサーシステムも搭載する。

新iPhoneは「フラットなステンレススティールのエッジ」でiPhone 5のようなデザインとなり、大きいバージョンのスクリーンはiPhone 11 Pro Maxの6.5インチよりもわずかに大きくなる見込みだという。また、ディスプレイ最上部にあるフロントカメラ配置している「ノッチ」を小さくするかもしれない、ともしている。

一方、リアカメラに搭載さたLIDARトラッキングシステムではプロセッサーのスピードやパフォーマンスの改善が図られており、AR性能が大幅に向上しそうだ。Bloombergによると、プロセッサーの改善はAI性能のアップも意図しているとのことだ。

秋のローンチと発売を計画されている段階だが、現在の新型コロナウイルスパンデミックによる混乱で、一部は「通常より数週間後ろ倒しで」提供されることになるかもしれない、とのことだ。

その他の製品に関するアップデートは、新しいHomePodは現行モデルより50%小型で、2020年後半の発売が見込まれている。価格的には安価になり、新HomePodリリース時にはSiriの性能も向上し、Apple以外のストリーミングサービスもサポートするとBloombergの記事にはある。その他にはApple Tagがある。これはAppleが先日、意図せずその存在を明らかにしたもので、TileのようなBluetooth位置追跡アクセサリーだ。これも2020年発売されるかもしれないという。

さらに記事ではMacBook Pro、Apple TV、低価格のiPadとiMacのアップデートも準備中と言及している。Appleのハードウェアアップデートのサイクルを考えれば、驚くべきことではない。それらのリリースについて予定はなく、新型コロナウイルス(COVID-19)がこうした計画にどのように影響を及ぼすか、はわかっていない。

画像クレジット:Qi Heng / VCG / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

大画面化しつつキーボードやスピーカーを刷新した16インチMacBook Proの実力を改めて検証

13.3インチモデルの処理性能を大きく上回る最上位モデル

16インチMacBook Proはアップルのクラムシェル型ノートPCの最上位モデル。15インチ(正確には15.4インチ)モデルの後継モデルとしてリリースされており、アップルの直販サイトで15インチモデルはすでに「認定整備済製品」しか販売されていない。

MacBook Proには13インチ(正確には13.3インチ)モデルも用意されているが、16インチモデルが大きく異なるのは搭載されているプロセッサーのグレードと、外部グラフィックスの有無。13インチモデルのプロセッサーは最大4コアのCore i7で外部グラフィックスは非搭載、16インチモデルは最大8コアのCore i9で外部グラフィックス搭載と、処理性能が大きく異なっている。

16インチMacBook Pro(税別価格24万8800円〜)、本記事で掲載している製品は筆者の私物。ディスプレイには非光沢フィルム、キーボードには保護ステッカーを貼っている(以下同)

フルスペックモデルの価格は65万1800円

16インチMacBook Proには、2.6GHz 6コアプロセッサ/512GBストレージ/AMD Radeon Pro 5300Mで税別価格24万8800円と、2.3GHz 8コアプロセッサ/1TBストレージ/AMD Radeon Pro 5500Mで税別価格28万8800円の2つの標準構成モデルが用意されている。メモリーはどちらも16GBだ。

筆者が購入し、今回レビューしているのは後者の上位モデル。直販サイトではプロセッサーを2.4GHz版、メモリーを最大64GB、ストレージを最大8TB、外部グラフィックス「AMD Radeon Pro 5500M」をビデオメモリー4GB版から8GB版にアップグレードできるが、その場合の価格は65万1800円とかなり高額になるし、一般店舗と違って値引きも受けられない。というわけで筆者は標準構成の上位モデルを購入した。

プロセッサー、メモリー、ストレージ、外部グラフィックスを最上位にした場合の価格は税別で65万1800円。搭載メモリー、ストレージの上限が増えたぶん、フルスペックモデルの価格も上昇している

最新薄型ノートPC向けプロセッサーの約1.6倍の処理性能を発揮

8コアの16インチMacBook Proの処理性能は非常に高い。今回のマシンには第9世代(Coffee Lake)の「Core i9-9880H」(8コア16スレッド、2.30~4.80GHz)が搭載されているが、CPUベンチマーク「CINEBENCH R15」で「1501cb」、「CINEBENCH R20」で「3536pts」というスコアを記録した。

第10世代(Comet Lake)の「Core i7-10710U」(6コア12スレッド、1.10~4.70GHz)は、CINEBENCH R20のスコアが2200 pts前後なので、8コアの16インチMacBook Proはその約1.6倍の処理性能を備えていることになる。

「CINEBENCH R15」のCPUスコアは1501cb

「CINEBENCH R20」のCPUスコアは3536pts

ACアダプターを外してもパフォーマンスを維持

特筆しておきたいのがバッテリー駆動でも処理性能が落ちないこと。今回、「Adobe Premiere Pro CC」で5分の4K動画を書き出す所要時間を、AC接続、バッテリー駆動それぞれで計測してみたが、どちらでもほぼ同等の3分20秒前後で処理が終了した。

Hプロセッサーと、より高速な外部グラフィックスを組み合わせているクリエイター向け、ゲーム向けノートPCの多くはバッテリー駆動で処理性能が大きく低下する。電源を確保できない場所でも最大パフォーマンスを発揮できることは、たとえ処理性能で劣るとしても使いやすい仕様と言える。

AC接続時、バッテリー駆動時に3回ずつ計測を実施した。それぞれ大きく計測結果がぶれた回があるが、それを除外すればAC接続、バッテリー駆動のどちらでも3分20秒前後で書き出しを終えている

物理的なESCキーはやはり必須だと改めて実感

16インチMacBook Proのキーボードは、バタフライ構造から、打鍵感や打鍵音を改善したと謳う改良型シザー構造に変更している。その主な目的は故障率の改善だ。実際、筆者もバタフライ構造のキーボードを搭載したMacBook Proを使っていたが、打鍵感の異常が発生して2回修理した。短期間に複数回キーボードの不具合に遭遇した経験から言わせてもらえれば、やはりバタフライ構造のキーボードには欠陥もしくは無理があったのではないか。

もうひとつの大きな「勇気ある撤退」が、物理的なESCキーの復活。利用頻度の高いESCキーを手探りで打てなかったのは非常に不便だった。ふたつの物理キーがTouch Barをはさんでいるのはデザイン的には野暮ったいかもしれない。しかし、アップルが使い勝手を優先させてESCキーを復活させたことは大歓迎だ。

Windowsでもファンクションキーをほとんど使わない筆者にとって、アプリによって機能が変わるTouch Barと物理ESCキーは理想の組み合わせだ

他社の追随を許さないサウンド品質をさらに数段上に向上

筆者は複数の媒体でPCのレビュー記事を書いているが、アップル製品、特にMacBookはほかのノートPCの数段上のサウンドクオリティーを実現していると、数年前から考えている。今回の16インチMacBook Proはそのサウンドクオリティーをさらに数段上に引き上げたというのが率直な感想だ。

完全に再設計された6スピーカーのハイファイサウンドシステムが搭載されているとのことだが、1.62cmの薄型ボディーから再生されているのが信じられないほど伸びやかで、広がりのある音楽を楽しめる。サウンド品質を最優先してノートPCを選ぶのなら、16インチMacBook Pro以外に選択肢はないと言える。

16インチMacBook Proは合計で6つのスピーカー(上に2つ、下に1つ×左右)を内蔵する

16インチMacBook Proを購入してから、リビングなどで音楽を聴く機会が格段に増えた。筆者にとってどこにでも手軽に持ち運べるオーディオシステムのような存在になっている

高負荷なクリエイティブワークを快適にこなしたいなら16インチモデル

16インチMacBook Proの購入を検討している方が最も心配するのはサイズと重量だろう。しかし、ディスプレイが15.4インチから16インチに大きくなっているわりには、本体サイズは幅349.3×奥行き240.7×厚さ15.5mmから幅357.9×奥行き245.9×厚さ16.2mm、重さは1.83kgから2kgと、体積・重量ともに約1.09倍増に留まっている。

モバイル性能を重視するなら現行13インチMacBook Proか、その後継モデルが最適だ。しかし、高解像度RAW画像の現像や、4K動画の編集・書き出しを快適にこなせるマシンを探しているのなら、ある程度のサイズ・重量増は割り切って16インチMacBook Proを選ぶことを強くオススメする。なお、筆者は13インチから16インチMacBook Proに買い換えたが、いま非常に満足しているということを付け加えておこう。

アップルはシザー式キーボード採用の新MacBookをもうすぐ発売か

アナリストのMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏からの新しいレポートによると、Apple(アップル)は、シザー式キーボードを採用した新しいMacBook Proと、MacBook Airを発表する可能性が高いという。最初にこのレポートに目を止めたのはMacRumorsだった。TechCrunchも、それに関する考察メモを入手した。

アップルは昨年11月に、大きいほうのMacBook Proをアップデートした。ディスプレイのサイズは、15インチから16インチへとわずかに拡大されたが、全体的なサイズとしては特に意味のある変更ではなかった。ただしアップルは、物議をかもしてきたバタフライ式キーボードを破棄した。16インチのMacBook Proは、以前に使われていたシザー式キーボードを採用したのだ。

そしてクオ氏は、アップルが2020年の第2四半期のある時点でシザー式キーボードを採用する新たなMacBookを発売すると考えている。つまり近い将来に、MacBook Airと小さいほうのMacBook Proのアップデートが期待できるということ。またアップルは、この機会を利用して、13インチMacBook Proのディスプレイのサイズを拡大する可能性もある。

このようなマイナーながら重要なアップデートに加えて、アップルはすでにMacBookシリーズの大幅な変更を計画しているといううわさもある。同社が設計したARMプロセッサを搭載する最初のノートブックが、2020年の第4四半期または2021年の第1四半期に発売される可能性もあるのだ。

ただしこの変更は、デベロッパーに対する影響が大きい。ARMプロセッサ上で実行できるようにするために、アプリを再コンパイルする必要があるからだ。アップルは、ARMベースのノートブックを市場に導入する前にあらかじめロードマップを示し、サードパーティのデベロッパーが対応するための十分な時間を確保できるようにすることになるだろう。

2021年の第2四半期、あるいは第3四半期には、まったく新しいデザインのノートブックが登場することも考えられる。しかしクオ氏も、この点については歯切れが悪い。アップルの計画が変更される可能性もあるからだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

「らしさ」を取り戻したMacBook Pro 16インチモデル

ポーカーでは、自己満足は破滅を招く。前進する勢いを徐々に奪っていくのだ。何回かの少額の勝ちで、大きな負けをカバーした気になっているうちに手遅れになり、レバレッジも底をついてしまう。

ここ数年というもの、Apple(アップル)のMacBookのゲームも、それと似たような低迷に苦しみ始めていた。Apple Watch、AirPods、iPad Proなど、比較的最近になって登場した製品を含め、Appleの他のシリーズのほとんどは好調だった。それに対してMacBookシリーズは、信頼性の低いキーボード、RAM容量の上限の小ささ、貧弱なグラフィックス、といった欠点が目立ち始め、かつて他社のノートマシンに対して築いていた大きな優位性も、いよいよ輝きを失い始めていた。

Appleが米国時間11月13日に発表した新しい16インチのMacBook Proは、最も忠誠心が強く発言力も強いユーザーが抱いていた不満を、すべてではないとしてもほとんど解消するものだ。いくつか妥協したと思われる部分は見られるものの、かなり強大なメリットが、それらを補って余りある。グラフィックスも改善され、ディスプレイの周囲のベゼルも、かなり細くなっている。バッテリ容量も増大し、寿命も延長されている。そして、まったく新しいキーボードも装備した。

今回は、まだ1日しかマシンを使えていないが、この記事を書くための試用と、実際の執筆は、すべてこのマシン自身の上で行なった。ニューヨーク市の周辺を持ち歩き、空港に行って飛行機に搭乗し、そして今、こうして記事を公開している。これは、ちゃんとしたレビューではないが、新しくなった部分について取り上げ、それぞれについて考えを述べることにしよう。

このマシンは、さまざまな点で、より大きなMacBook Proはどうあるべきか、ということを考え直した製品だと言える。なおAppleは、この新しいモデルによって、15インチMacBook Proを完全に置き換えることになる。これまでのラインナップに追加されるものではない。

今回の新しいMacBook Proを担当したチームは、重量、騒音、サイズ、またバッテリなどに関して、なんの制約も設けずに設計を開始したというのは重要なポイントだ。これは、これまでより薄いマシンでもなく、小さなマシンでもなく、静かなマシンでもない。しかし、本当に重要なすべての点で、これまでのMacBook Proよりも優れているのだ。

新しくなった部分を、最も重要なものから順に見ていこう。

パフォーマンスと温度

16インチMacBook Proは、Intel(インテル)の2.6GHzで動作する6コアのCore i7、または2.3GHzで8コアのCore i9のいずれかを搭載する。これらは、これまでの15インチMacBook Proが採用していたプロセッサと同じだ。つまり、16インチモデルの新しくなった部分は、Intelのチップのおかげではないということは言える。

16インチMacBook ProのCore i7モデルは、基本モデルで2399ドル(日本では24万8800円)で、これまでの15インチモデルと同じ。512GBのSSDドライブと、16GBのRAMを搭載する。

Core i7モデルの標準グラフィック構成では、4GBのビデオメモリを装備するAMD Radeon Pro 5300Mと、CPUに内蔵するIntelのUHD Graphics 630を搭載している。システムは、これら2つのグラフィック機能を動的に切り替え、状況に応じてパフォーマンスとバッテリー寿命のいずれかを優先させる。

Core i9モデルの価格は2799ドル(日本では28万8800円)からで、1TBのドライブを搭載する。また4GBのメモリを搭載したAMD Radeon Pro 5500Mを装備している。

いずれのモデルも、以前の15インチモデルに比べてストレージの容量を増大させ、ほとんどの人にとって、かなり快適な領域に入っているはず。どちらのモデルも、発表と同時に注文を受け付けていて、すでに店頭にも並んでいる。

また、いずれもCTOによって、8GBのGDDR6メモリを搭載したAMD Radeon Pro 5500Mが選べる。SSDストレージの容量は、最大8TBで、Appleによればノートブック史上最大だという。メインメモリは、2666 DDR4で、最大64GBを搭載できる。もちろんこうしたアップグレードは、それなりに高価なものになる。

新しい内蔵電源は、これまでより最大12W多い電力を供給できる。それに見合うよう、新たな排熱システムを採用している。冷却用のヒートパイプも再設計された。 従来の15インチモデルと比較すると、冷却ファンの大きさは35%大きくなり、ブレードの数も増大している。それによって、空気の流量も28%多くなっている。

新しいMacBook Proのファンは、同じ騒音レベルなら、以前よりも多くの空気を排出できる。したがって、音は小さくなってはいないが、けっして大きくなっているわけでもない。同じ音で、冷却効果が高まっているのだ。このMacBook Proの設計プロセスのレベルで注力したのは、以前と大差ないものを作るのではなく、確かなパフォーマンスの向上が得られるようにすることだった。

電源アダプタも新しくなっている。物理的なサイズは15インチのMacBook Proのものと変わらないが、供給電力は87Wから96Wに増大している。アダプタは相変わらず分厚く、じゃっかん重くなったようにも感じられるが、供給電力は確実に増加しているのだから、よしとしよう。

今のところ、このMacBook Proでビデオの編集や、レンダリングのテストはできていないが、複数の8Kストリームを同時に扱っているライブデモを見ることはできた。Appleによれば、強力な内部構成のため、通常は最大4つ、場合によっては5つの未レンダリングのProRes形式のストリームを扱えるという。

大きくなったディスプレイと厚くなったボディ

新しいMacBook ProのRetinaディスプレイは、対角線が16インチ、226ppiで3072×1920ピクセルの解像度を持つ。最大輝度は、従来の15インチモデルと同じ500ニトで、広色域(P3)とTrue Toneテクノロジーを実現している。画面周囲のベゼルは狭く、正面に座ると、画面はさらに大きく感じられる。この狭いベゼルのおかげで、新しい16インチMacBook Proの本体サイズは、15インチモデルと比べて幅と高さはわずか2%しか大きくなっていない。また、厚みの増加も0.7mmに抑えられている。

画面サイズの増加を、幅の狭いベゼルが吸収して、全体的な本体サイズの増加を最小限に抑えているかたちだ。このモデルも、2015年の15インチMacBook Proと、厚さはほとんど変わらない。15インチモデルは、このマシンがターゲットにしているような市場のユーザーに、今でも非常に人気がある。16インチモデルの重量は4.3ポンド(2.0kg)で、これまでの15インチモデルの4.02ポンド(1.83kg)よりも重くなっている。

実際にピクセル数が増え、ベゼルが狭くなって面積も増えたため、ディスプレイは非常に鮮明で素晴らしい。ちょっと大げさに言えば、iPad Proと同様、全体が画面になっているようさえ感じられる。

このちょっと厚みの増した本体には、現在のFAA(米連邦航空局)の規制による許容範囲で最大の、100Whという容量のバッテリを搭載している。Appleによれば、バッテリ容量の増加により、これまでの15インチMacBook Proと比較して、同社のテスト条件で1時間ほど長く動作するようになったという。私は、これまでのところ、その実際に効果を試すことができていない。

ともあれAppleが、パフォーマンスとバッテリー寿命を向上させるために、iPhone 11 Proと、この新しいMacBook Proを、あえて少しだけ厚くすることを選ぶ意思を示したことは喜ばしい。最近のほとんどのデバイスは、もう十分に薄くなっている。パフォーマンス重視はありがたい。

スピーカーとマイク

16インチMacBook Proで大幅に改善されたもう1つの領域は、スピーカーとマイクだ。正直なところ、私はラップトップから出てくるサウンドの音質について、これまで多くを期待したことはなかった気がする。どうせヘッドフォンを使うのだからどうでもいい、といった程度にしか考えていなかった、というのが本当のところだ。この新しいMacBook Proから出てくるサウンドを初めて聞いたときの私の驚きを想像してみて欲しい。誇張抜きで、非常にいいのだ。

全部で6つのスピーカーを組み合わせたシステムは、2つのサブウーファーが反対向き、つまり背中合わせになるように配置されている。これにより、ラップトップの小さなスピーカーの宿命だった、ガタガタ鳴るような振動をうまくキャンセルすることに成功している。

またこのようなスピーカーの構成によって、これまでのポータブルマシンでは聞いたことないような端切れのいい高音と、深い低音を再生することに成功している。映画を観るのも、この内蔵スピーカーでなら楽しくなる。ラップトップのスピーカーに対して、こんな評価を書いたことは、かつて一度もなかった。

スピーカーの音は、キーボードのキーの周囲の隙間から出てくるのではなく、すべてキーボード左右の専用グリルから出るようになった。これにより、音の鮮明度が確保されている。音場は左右に十分拡がり、あたかも人声用のセンタースピーカーを装備しているようにさえ聞こえる。この方式の欠点を挙げるとすれば、スピーカーグリルの前に手を置いて音を遮ると、以前より音の違いが目立ってしまうということくらいだ。

音質は、本当にとても優れている。HomePodチームが音場の再現に取り組んだ仕事が、ここにも活かされているのだろう。

オーディオ面で優れているのは、スピーカーだけではない。Appleは、録音用として3個のマイクからなるシステムを導入した。それにより、外部マイクに匹敵するほどの、十分なSN比を実現したという。私も、iPhoneの内蔵マイクと比較してテストしてみたが、結果は月とスッポンほど違ったものとなった。MacBook Proで録音した音には、ヒスノイズがほとんど入らない。ミュージシャンが、ボーカルや、その他の録音のスケッチパッド的に使ってみれば、いい意味で驚くに違いない。

これまでのところ、自分自身では外部マイクとの比較はしていないが、Blue Yetiや、他のラップトップの内蔵マイクで録音した音を聴いて比較する機会を得た。MacBook Proの内蔵マイクは、他のすべてのラップトップの音よりも優れていたのはもちろん、Blue Yetiともいい勝負だった。

一般的なポッドキャスト用外部マイクには、指向性があり、その点はMacBook Proの内蔵マイクよりも確かに優れている。しかし、少なくともモバイル環境で録音する機会を考えると、これまではまったく選択肢にも入らなかったものが、いざという時には有力なバックアップ手段と考えられるほどのものにはなっている。よくよく注意して聴かなければ、違いは分からないほどだ。

内蔵マイクを目当てにMacBook Proを購入する人はいないだろうが、「プロレベル」のデバイスに、ついにプロレベルのマイクが内蔵されたのは、究極の選択と言えるだろう。

この話題については、だいたいこんなところだが、まだ何か忘れているような気がしないでもない。

そしてキーボード

そう、これだ。MacBook Proのキーボードについて、ここしばらくの間、一定の水準に達したものでなかったことを、くどくどと繰り返す必要はないだろう。最近のストロークの短いバタフライキーボードが好みではなかったかどうかは別として、私もその一人だが、引っかかって動かなくなったり、キーの反応がなくなるというトラブルに遭遇したかどうかも別として、これまでのキーボードに問題があったのは確かだ。

これまでのキーボードの状況については、ケーシー・ジョンストン(Casey Johnston)氏と、ジョアンナ・スターン(Joanna Stern)氏によって、盛んに書かれてきた。また、ここ数年、ツイッター上でも、いろんなライターが不満を書き募っていた。Appleは、そのキーボードの信頼性を高めるために、一連のアップデートを提供し、交換保証期間を延長してユーザーの不満をなだめてきた。

しかし、本当の解決策は、これまでの設計を完全に捨てて、やり直すことだけだった。そして、その結果がこの、まったく新しいキーボードだ。

Appleは、この新しいキーボードをMagic Keyboardと呼んでいる。iMacのMagic Keyboardにちなんだもの。ただし、まったく同じ設計というわけではない。新しいキーボードのメカニズムは、バタフライ式ではなく、シザー(ハサミ)式だ。ストロークは、1mmということになっているが、実際にはもっとあるように感じられる。また、キーの下には、特別に設計されたラバードームがあって、適度の抵抗感と反発力を生み出し、満足のいくキーアクションを実現している。キートップは、ストロークの最上部にあるとき、つまり押されていない状態ではロックされ、安定する。MacBook Air時代のキーボードのようなぐらつきは、もはや感じられない。

キートップは個別に取り外して、中のメカニズムにアクセスできるようになっている。また、矢印キーは、逆T字型の配置になった。さらにエスケープ(esc)キーは、物理的な独立したキーとなった。

Appleは、この新しいキーボードを開発するあたって、大規模な生理学的調査を実施した。1つのテストは、キーを押すことが人間の指に与える影響の測定だ。具体的には、人間の指先にあるパチーニ小体に、キーが与える影響を測定した。パチーニ小体というのは、皮膚の中にあるタマネギのような構造体で、神経の末端を収容している。機械的な振動の圧力に最も敏感な部分だ。

Appleは、特別なプラスチックドームを作成し、この受容器に対して特定の振動を送り込むようにした。それにより、指が脳に対して、「はい、そのキーを押しましたよ」という信号を送信する。その結果、脳を満足させる「ストロークが完了しました」というメッセージを伝えることのできる、正しい振動波長を発生する設計が実現した。

キーとキーの間のスペースが広くなり、ストロークの信頼性も高められた。キートップが、以前よりわずかに小さくなったことによるもの。このキー間のスペースに対応するには、多少の慣れが必要だが、私は、この原稿を書いている時点で、すでにだいぶ習熟した。Catalinaのタイピングの自動修正機能など、まったく必要としないほどだ。

この新しいキーボードは、これまでAppleが古い設計のキーボード適用してきた保証延長プログラムには含まれない。このモデルには、通常通り1年間の製品保証があるが、同社の声明は、この新しい設計のキーボードの耐久性には自信があるということを意味するのだろう。本当にどれだけの耐久性があるのかは、もっと多くのユーザーに使われて、私などよりもずっと手荒なキーボード使いの手にかかってみなければ分からないだろう。

今回の新しいキーボードの設計は、結局のところ使いやすいキーボードを生み出すことに成功したのだろうか。結論を言えば、イエスだ。私に言わせれば、これは古いMacBook Airのゆったりしたクッションと、薄型で安定性のあるiMac用のMagic Keyboardの中間に位置するもの。Appleがここ数年の間に作った最高の感触のキーボードだと言えるだろう。もっと言えば、現代において最高に使い心地の良いキーボードだろう。ただこの点に関しては、ストロークの深いメカニカルキーボードの方が良かったという意見も認める。しかし、このキーボードがそれに次ぐものであることは確かだ。

真にプロ用のPro

私のこれまでの短期間の、そしてかなり限定されたテストでは、16インチMacBook Proは、このマシンの本来の目的であるプロ用として、十分に機能するもののように思える。しばらくの間、Appleのラップトップのラインナップには欠けていた領域だ。ストレージの上限も増大し、より大きな画面を備え、より大きなバッテリー、さらに再設計されたキーボードを持つマシンは、実質的に2015年以降変化のなかったMacBook Proからアップグレードする人にとって、なんのためらいもなく購入できるもの。

このところのApple製品に冠された「Pro」という名前は、「プロフェッショナル向け」というより、単に「最高」といった意味で使われていた。Appleにしてみれば、そうしたことは昔からさほど珍しくはなかった。しかし最近では、AirPods ProやiPhone Proなど、明らかに一般消費者向けのデバイスにも、平気でProという語が使われている。

これまでAppleが、プロ向けとは言えない製品に恥ずかしげもなくProという名前を付けていたのに比べるまでもなく、16インチMacBook Proは、堂々と胸を張ってProを名乗れる製品だろう。これは、本来のMacBook Proらしい、本当に魅力的な製品の復活と言える。新しい設計のキーボードの耐久性と修理のしやすさが気になるところではあるものの、この製品はAppleのラップトップとして、新しい確かな時代を切り開くものになると信じている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

新Mac Proは12月に出荷 最大8TBのストレージを選択可能

Apple(アップル)は米国時間11月13日、 Mac ProとPro Display XDRを12月にリリースすると発表した。このマシンは今年に発表されていたが、具体的な発売時期は決まっていなかった。

以前発表された仕様に加えて、アップルは最大8TBのSSDをMac Proにて選択できると発表した。AppleのPro Workflowチームはプロの要望とニーズについてフィードバックの調査を続けており、またMac Proが8K Pro Resの動画を6月時点の3本から、最大6本を扱えるようになったと述べている。

同社によると、BlackmagicにはSDIから8Kへのコンバート機能があり、現地やスタジオでシリアルデジタルインターフェイスのワークフローを利用した制作に取り組めるという。これはアップルがMac Proに対応したリファレンスモニターを発表した後、何度か聞いた質問だ。これにより、既存のワークフローを使用する多くのオンセットアプリケーションでの利用が可能になる。

我々は、SDIコンバーターボックスや、Final Cut Proのようなアプリケーションが動作するMac Proを見学したが、プロ向けワークフローにおいても極めて印象的だった。あるデモではレンダリング前の状態で、アニメーションとカラーコーディングによる6本の8K Pro Resストリームがリアルタイムで動作していた。実に素晴らしい。なお、そのハードウェアも非常に高価だ。Pro Display XDRのVESAマウントでさえ、ほとんどのコンピューターよりも精巧にデザインされているようだ。

新しいMac Proの基本構成は5999ドル(約65万円)からで、32GBのメモリー、256GBのSSD、 Radeon Pro 570Xのビデオカードを搭載している。さらに、アップルが同時に発売する32インチのリファレンス品質モニタことPro Display XDRは4999ドル(約54万円)から販売される。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

来月、Appleはカメラ3台のiPhone Proを投入、16インチMacBook Pro、新AirPodsなども

Apple(アップル)は恒例の秋の新モデル発表イベントに向けて準備を進めている。われわれにつかんだ情報では9月10日だということだが、まだ正式な発表はない。Bloomberg(ブルームバーグ)は今年のイベントでAppleがお披露目するハードウェアのプレビュー記事を掲載した。

既存のiPhoneに新モデルが登場するのは当然だが、XSの後継機種はiPhone Proとなる。このモデルではメインカメラが3台となり、広角レンズが追加される。スタンダーモデルではiPhone XRがリニューアルされ、2台目の光学ズーム機能つきカメラが追加される。内容はTechCrunch記事に準じており、我々の推測が裏付けられたかっこうだ。

iPhone Proにはカメラ以外にも多数のアップデートが投入されるが、外観はメインカメラ部分を除けば現行XSとほとんど変わりない。Qi規格ワイヤレス充電がサポートされるため、その規格のケースに入っていればAirPodsのワイヤレス充電も可能になる。出先で長時間AirPodsを利用する場合たいへん便利だ。

iPhoneといえばゴージャスな光沢感が特徴だが、新しくマットフィニッシュのモデルも出るようだ。Face IDは認識される角度が広がる。また防水性能も「飛躍的にアップ」するということだ。またガラスの傷耐性も改善される。

来月のイベントで発表されるかどうかはまだわからないが、Appleは今年の16インチ以上のディスプレイを搭載するMacBook Proを投入する。Bloombergによれば、ディスプレイの大型化にもかかわらず新型のベゼルにより全体のサイズは現行15インチモデルとほぼ同様だという。また防水性能が強化され、ノイズキャンセル機能が追加された現行モデルより価格帯が高い新型AirPodsが準備されている。

iPadに関しては今年AppleはiPad Proをカメラやパフォーマンスなどの点でフレッシュアップするはずだが、基本的な外観、能力は変わらないはずだ。エントリーモデルのiPadは9.7インチから10.2インチにディスプレイが大型化される。こちらもベゼルのスリム化とハードのホームボタンの廃止によってフォームファクターは変化しないだろう。ただしBloombergの記事にはこの点についての解説はない。

Apple Watchもアップデートされる。昨年発表されたケースのデザインは変わらないが、新しい素材、フィニッシュが用意される。watchOS 6のアップデートでチタンとセラミックのケースが導入されるはずだ。

apple watch titanium ceramci

今後予定されている他のアップデートには、メインカメラの3D化や5Gのサポートが含まれる。来年はHomePodスピーカーも後継機が出るはず。サイズも小さくなり、何より価格が現在の300ドルから大きく値下げされるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

MacBook Air/Proの新モデルが値下げ登場、ProはTouch Barなしモデルがなくなる

アップルは7月9日、ノートPCのMacBook Air、13インチMacBook Proの新モデルをリリースした。

MacBook Airは、True Toneテクノロジーを採用したRetinaディスプレイを新搭載。ストレージ容量128GBのモデルの価格は税別で11万9800円と従来モデルに比べて1万5000円の値下げとなる。主な仕様は、True Tone対応Retinaディスプレイ、第8世代 Core i5 プロセッサ(2コア1.6GHz、最大3.6GHz)、8GBメモリー、128GBストレージ(SSD)、Intel UHD Graphics 617など。

13インチMacBook Proは、Touch Bar非搭載モデルがなくなった。新たに加わった最下位モデルは、第8世代Core i5(4コア1.4GHz、最大3.9GHz)、Intel Iris Plus Graphics 645。メモリー8GB、ストレージはSSDで128/256GB。税別価格はそれぞれ、13万9800円と15万9800円。

今回は教職員ならさらに安くなるという情報も盛り込み、大学などでの利用を訴求しているのが特徴だ。国内では9月ごろまでに大学生協の推奨PCが決まるので、絶妙のタイミングでのリリースだ。

アップルが15インチMacBook Proのバッテリーをリコール、異常加熱の可能性

アップルは6月20日、2015年9月から2017年2月までに発売された15インチMacBook Pro(Retina, 15-inch, Mid 2015)の一部で、内蔵のリチウムイオンバッテリーが異常に高温になる問題があることを公表し、同日からリコールを受け付けている。

同モデルのすべてがリコール対象ではなく、一部のロットに利用されたリチウムイオンバッテリーが原因。アップルではシリアル番号を入力することで該当するモデルかどうかを判別できるページを用意している。

アップル製品のリコールは、4月25日に明らかになった「AC電源プラグ(3芯)」に続いて今年2回目。2003年1月~2015年1月に販売された同製品が破損する可能性があり、破損した場合は感電の危険性があるというものだった。日本国内でこの製品を入手するには「Appleワールドトラベルアダプタキット」を購入する必要があるため、多くのユーザーには無関係のリコールだったが、今回のリコールは注意が必要だ。

リチウムイオンバッテリーの異常加熱は他メーカーでも発生しているが、環境によっては発火する恐れもある。熱が外に逃げない密閉されたカバンなどに入れて持ち運ぶ場合は特に注意が必要だ。

6月21日午前11時現在のアップルのトップページ(左)。スクロールしてもリコールについての記載は見当たらない。プレスリリースサイトやサポートサイトで情報を入手できる(右)

なおアップルはニュースリリースで「お客様の安全は最優先事項です。Appleは、お客様に対して、本件に該当する15インチMacBook Proユニットの使用を中止していただくことをお願い申し上げます」と記載しているが、リコールについての情報は同社のサポートサイトもしくはニュースルームにしか記載されていない。

トップページは相変わらず「対象となるあなたのiPhoneを下取りに出すと、新しいiPhoneが最大31,120円割引になります」という、同社らしからぬ安さをアピールする文言が最初に現れる。

新型MacBook Proの分解でキーボード小改良を確認

バタフライキーボードへの移行は、最近のApple(アップル)のデザインに関する決定の中で、最も不評を買っている。キーボードが動作しない、あるいは誤動作するといった数多くのネガティブなフィードバックが寄せられた後、同社は小改良をしながら技術をアップグレードしている。

米国時間5月22日、Appleはシステムの継続的な欠点の多くを解決するであろう、新たなアップデートを発表した。そして本日、iFixitが新モデルを分解し、その内部の変更を伝えている。改良は小規模で、iFixitはまだ正確な変更点を断定していないものの、Appleの発表内容とは一致してるようだ。

「MacBook Proのキーボードの機構は素材が変更されている。Appleによれば、この変更によりダブルタイプや反応しないケースが大幅に減るとしている」

キーボードのボリュームを減らし、キー下へのゴミの混入を防ぐために昨年追加されたメンブレンにも、いくつかの変更が加えられている。おそらくではあるが、その素材が不透明なシリコンから透明なナイロンに変わっている。

タイピングの打鍵感を出すドームも変更されているようで、故障の原因となっていたかもしれない消耗や破損を防ぐように役立っている。

iFixitは「スイッチが破損したり消耗する原因は数多く存在する」と記述している。「製造上の問題、単純な疲労、長期間の加熱、湿度、他の部品からのガス、そして腐食が一般的な原因だ」。

過去のアップデートと同様に、アップルは正確な変更点についてコメントしていない。念の為なのか、同社のキーボードの修理プログラムには最新モデルが含まれている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルがMacBook Proをテコ入れ、8コアモデルを初投入し問題続きのキーボードを改良

アップルは5月22日、第9世代の8コアCoreプロセッサーを搭載した15インチMacBook Proを発表した。さらに13インチMacBook ProのTouch Bar搭載モデルもプロセッサーを強化している。

15インチの上位モデルは、2.3GHz(最大4.8GHz)の8コアCore i9プロセッサーを採用。アップルストアなどでは8コア2.4GHz(最大5.0GHz)のより高速なプロセッサーも選べるようになっている。税別価格は30万2800円と前モデルと変わらず。

CPUを2.4GHzにアップグレードした場合はプラス2万2000円で税別価格は32万4800円。そのほか、メモリーを16GBから32GBに変更するとプラス4万4000円、GPUをRadeon Pro 560X(4GB)からRadeon Pro Vega 16(4GB)に変更するとプラス2万7500円、Radeon Pro Vega 20(4GB)に変更するとプラス3万8500円。内蔵SSDを512GBから1TBに変更するとプラス4万4000円、2TBに変更するとプラス11万円、4TBに変更するとプラス30万8000円となる。

新モデルの投入に伴い、従来の上位だった6コアCore i7 2.6GHzを搭載するモデルは税別価格が30万2800円から25万8800円に引き下げられた。そして、下位だった6コアCore i7 2.2GHzモデルはラインアップから消えている。

そのほか、特定のキーが反応しない、二重に入力されるといったトラブルが頻発していたバタフライキーボードは、スイッチに新素材を採用した新世代のものに改良されているとのこと。このあたりは、実際に実機をチェックして報告したい。

Touch Bar搭載の13インチMacBook Pro モデルもプロセッサーを強化。4コアCore i5 2.3GHz(最大3.8GHz)が、4コアCore i5 2.4GHz(最大4.1GHz)に変更されている。オプションで変更できるCPUも、4コアCore i7 2.7GHz(最大4.5GHz)から4コアCore i7 2.8GHz(最大4.7GHz)となった。13インチモデルの価格は、Copre i7 2.4GHz モデルが税別19万8800円からとなる。

Apple、16インチMacBook Proと31インチ6Kディスプレイを発売か

AppleアナリストのMing-Chi Kuoは、ことApple製品のロードマップに関してはかなり信頼できる。先週末そのKuoが発表した情報満載の最新レポートを9to5macが入手した。2019年には、大画面のMacBook Proと新しいディスプレイ、さらにはiPhone、iPad、AirPodsにもアップグレードがありそうだ。

まずMacから。Kuoによると、Appleはまったく新しいデザインのMacBook Proを開発中だ。この新モデルが現在のキーボードを継承するかどうかはわかっていないが、多くのユーザーはバタフライキーボードの信頼性に不満を訴えている。

またKuoが掴んだ情報によると、16~16.5インチディスプレイの大型モデルになるらしい。Appleが画面周りのベゼルを狭くしてくれることを期待したい。

TechCrunchはAppleが2019年に 新しいMac Proを発売するであろうことはすでに報じている。しかしKuoは、同社がさらにMac Pro用のハイエンドディスプレイも出すと予想している。それは6K解像度の31.6インチという巨大モニターになるかもしれない。

iPhoneに関してKuoは、Appleが2018年と同じく3つのモデルを発売すると確信している。同じ画面サイズとLightningコネクターが踏襲される。背面にカメラセンサーを3台搭載したモデルもあるかもしれない。Face IDとワイヤレス充電がいずれもアップグレードされ、双方向充電が可能になるかもしれない。

これはiPhoneを使って別のデバイスを充電できるという意味で、ワイヤレス充電ケース付きの新しいAirPodsがやはり2019年に登場することを考えるとすばらしいアイデアだと言えよう。

一方iPadでは、エントリーモデルの9.7インチiPadがベゼルの細い10.2インチになるかもしれない。iPad Proの各モデルは高速CPUを搭載すると予想される。

先日報じたように、新しいiPad miniは今もロードマップ上にあり、iPod Touchの改訂版も同様だ。Apple Watchに関してはマイナーアップデートのみで、次期バージョンのApple Watchでは心電計が国際市場に展開され、セラミックオプションが戻ってくると考えられる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Moftのノート用折り畳みスタンドが手放せなくなってしまった

Moftのノートパソコン・スタンドを使っているが、大変気に入っている。ファイバーグラスと人造皮革で19ドル(Kickstarterのアーリーバード価格)の製品にそれほど大きな期待はかけていなかったのだが、使ってみるとこれは優れものだった。

このスタンドはステルスだ。つまり広げた状態ではコインより薄い。保護フィルムを剥がしてノートの裏に貼り付ける。メーカーによると最大15.6インチまで対応する。私は15インチのMacBook Proに使っているが、宣伝どおり役に立っている。魔法のようだ。

畳んだ状態ではまったくかさばらない。引き上げるとスタンドになる。角度はいくつ選べる。非常にシンプルなプロダクトだ。

このシンプルさがメリットだが、同時に多少のデメリットにもなっている。使わないときにスタンド部分が少しばたつくので磁石で固定するようなメカニズムがあってもいいと思った。.私はMacBookを毎日何度もデイパックに出し入れする。このペースだと数ヶ月でやれてしまいそうだ。しかし19ドル(市販価格でも24ドル)ならそのつど買い替えても破産することはなさそうだ。

これは私の取り付け位置が悪かったせいかもしれないが、タイピング時に少しぐらつく感じがする。これはキーボードの下部に手のひらを当てれば防げる。どのみち普段からこのスタイルで入力しているので問題ない。

全体としてMoftのスタンドはデザインもいいし機能も優れた製品だ。クラウドファンディングで登場した第一世代のプロダクト特有の仕上がりの粗いところがないわけではないが、価格を考えればさほどの問題ではない。キーボードに角度を付けてタイピングする方が私の場合快適だし速い。そういうユーザーならこれは買いだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

一部のMacBook ProユーザーはCPUの‘減速’という問題に悩んでいる

新しいMacBook Proには、熱の問題がある。YouTubeのDave Leeが、絶好調で動いていたMacBook Proが過熱するとフルスピードにならないことに気づいた。

彼によると、ビデオをAdobe Premiere Proにエキスポートすると、Intel Core i9の最新型MacBook Proが、前の世代のIntel Core i7を載せた2017年のMacBook Proより時間がかかった。

ベンチマークでは、新しいMacBook Proは旧型機を凌ぎ、多くのiMacよりも良い。しかしAppleは、負荷が大きくて過熱しそうなときにはCPUを減速している。

Apple Insiderが新型MacBook ProのCore i7モデルとCore i9モデルを比較している。どちらの機種でも、しばらく経つとCPUは急激に減速した。

複数回のテストで、i9の場合は4.17GHzから2.33-2.9GHzに落ち、i7は同じ負荷で3.8GHzから2.3-2.6GHzに落ち込んだ。。

Redditのユーザーたちも、同じ問題を経験している:

Appleに問い合わせたが、何も返答はない。

これら一連のベンチマークがすべて本当なら、MacBook Proは放熱に問題がある。一般的には、同じCPUでもサイズの小さい(==放熱の悪い)ラップトップはデスクトップよりパフォーマンスが低い。でも、つねに最高の性能が期待されるApple製品だから、こんなことでも騒がれてしまう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iFixit、新MacBook Proの分解レポートを公開。バッテリーの大型化やACアダプタの仕様変更が明らかに

eng-logo-2015本業はIT修理業ながら早すぎるIT解体ネタのほうが広く知られるiFixtが、発表されてまもない新型MacBook Pro(2018)全体の分解レポートをさっそく公開しています。

解体の俎上に載せられたのは、2018年型MacBook Proの13インチTouch Barモデル(2.3GHzクアッドコア Intel Core i5/内蔵Intel Iris Plus Graphics 655)。すでに第3世代バタフライキーボードの分解結果レポートされていましたが、その奥にあるロジックボードにいたるまで丸裸にしています。

まずX線透視画像はご覧の通り。メカの内部透視図は洋の東西を問わずロマンかもしれません。

もちろんiFixtは物理的なスクリュードライバーやピックにより分解。Touch Barに特に変更はなく、トラックパッドもネジを外すだけで交換可能とのこと。内部の概観は、昨年(および一昨年)と一見して非常に似通っています。

内蔵バッテリーは2017年モデルの49.2Whから58.0Whへ、5セルから6セルへと大容量化し、その重さも196.7gから232.7gと増加。にもかかわらず、MacBook Proの総重量は前年モデルから変わっていません。iFixitはどのパーツで軽量化を図っているのかはわからないと述べています。

そしてスピーカーの形状は前の円形から縦に細長くなり、ボードの隙間を埋めるような作り。ボードデザインの改訂に合わせているようですが、この辺りも軽量化に関係あるのかもしれません。

ロジックボード上にはセキュリティなどを担当するApple T2チップがあり、電源スイッチを兼ねたTouch IDセンサーとの接続が確認できます。CPUパフォーマンスの大幅な向上は前もお伝えしましたが、熱対策のヒートシンクはあいかわらず控えめな佇まい。

さて付属のUSB-C電源アダプタは、前年の「A1718」から「A1947」へと型番が変わり、内部も細かく仕様が変更されることに。内部パーツを保護するゴムも増量されたほか、アルミ製だったUSB-Cポートがプラスチック製に交換されています(下図の左が前年、右が最新モデル)。

iFixtお約束の修理しやすさスコアは、最低の1(最高は10)。プロセッサもメモリもSSDもロジックボードに半田付けされ、キーボードやバッテリーおよびスピーカーといった主要部品は一体化されているため、別々に交換できません。ユーザーが自分で修理することは、2016年や2017年モデルに続いて事実上不可能であるとのこと。

つまり万が一、バタフライキーボードに故障が生じた場合は「主要パーツをまとめて交換」となるために長期の修理期間やお安くないコストが予想されます。構造上チリが侵入しにくく「なっているかもしれない」(アップルの言及はなし)第3世代の堅牢性は実際はどうなのか、先んじて入手したユーザー達の声に耳を傾けたいところです。

Engadget 日本版からの転載。

新しいMacBook Proのキーボードは静かな音になったか?本誌の実験結果を聴いてみよう

スペックではどうか、だって? スペックの話はあとでしよう。今は、もっと重要な話だ。そう、キーボードのノイズ。バタフライスイッチに変えてから、ノイズの苦情が多くなった。

人間は、何かがこれまでとは変わると文句を言いたくなる動物であり、キーボードのような日常よく使う基本的な道具ほど、そうなる。でも今回の場合は、正しい手を持つ正しいユーザーの文句には正当性がある、と言えるだろう。

正しい手を持った正しいユーザーが、本誌にもいる。みなさんは、本誌のライターAnthony Haをご存知だろう。WebサイトTechCrunch.comやカンファレンスTechCrunch Disruptの常連だ。本誌TechCrunchのニューヨーク本社で、彼はぼくの隣に座っている。

みなさんはご存知ないと思うが、Anthonyの打鍵音は大きい。でかい。ばかばかしいほど、大きい音だ。コンピューターのキーボードが楽器なら、Anthonyはグレン・グールドになれる。それも、晩年ではなく、世界全体を自分の肩に背負ったような、若き日の天才グレン・グールドだ。

そんな彼は、コンピューターのキーに歌を歌わせることができる。だからキーボードのアップデートの話を聞いたとき、わがオフィスの全員が当然、テスターとしてAnthonyを選んだ。彼は、“弘法筆を選ばず”と豪語してそのチャレンジを引き受けた。

そして以下が、その結果だ。ビデオは、ここにある。

  1. Anthonyは、どのキーボードも大きな音で打つ。彼のことを、役に立つミュータントとは言えないが、しょうがない。
  2. これは、科学的なテストではない。TechCrunchが数百万ドルを投じた、キーボードの音用録音スタジオは、この記事には間に合わなかった。そこでぼくは、自分のポッドキャスト用のマイクを、Anthonyがタイプしているキーのそばに置いた。
  3. “The quick brown fox jumps over the lazy dog”という文章を、何度も何度もタイプした。それは、映画「シャイニング」のワンシーンを、すこし可愛らしくしたような情景だった。
  4. 前のキーボードとの違いは、はっきり分かるが、夜と昼ほどの大差ではない。Appleが言ってるように、基本的な技術は前と同じだ。ではどこがどう変わったのか、それをAppleは言わないが、そのうち例によって、分解屋さんの記事が本誌にも載るだろう。
  5. 音質には、明瞭な違いがある。前は、カチャカチャというタイプライターみたいな音だったが、今度の音は、水中で聞く音のように鈍い。両者の違いとしては、音の違いがいちばん大きいのではないか。
  6. 今日はアウトドアにふさわしい、絶好のお天気だったが、ぼくらは編集室に閉じ込められて、キーボードの音を録音していた。しかし、それもこれもすべて、読者のためのお仕事だった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、新しいMacBook Proで再び「クリエイティブのプロ」に焦点をあわせる

WWDCで当然出てくると思われていた新MacBook Proは、他のハードウェア製品と同じく姿を見せなかった。Appleはクリエイティブ・プロフェッショナルたちの要望に答えることを再度約束し、重要なmacOSアップデートも紹介したが、その新機能を享受できる新デバイスがなかった。

本日(米国時間7/12)Appleは13インチおよび15インチのMacBook Pro Touch Bars付きモデルの新機種を発表した。

外観は何も変わっていない。新しいProは昨年のモデルと区別がつかない。例によって重要な変化は内部で起きている。6コアのIntel Core i7またはi9とストレージ 4TB、メモリー最大32GBを搭載——後者のためにAppleはDDR3からDDR4メモリーにアップグレードする必要があった。

性能アップはバッテリー寿命につながるので、Appleは7.7 Whバッテリーを強化した。ほとんどのユーザーにとってバッテリー寿命は前世代と変わらない。13インチTouch Bar付きモデルも同じような変更がなされ、、4コアi5またはi7でSSD最大2TBを搭載する。

AppleはTouch Barのないモデルも続けることを約束しているが、今のところアップデートの予定はない。

AppleはわれわれITライターに、何人かのクリエイティブプロフェッショナルを紹介した。マイクロニューロジーの専門家(UCSFのSaul Kato教授)から、パフォーマンスアート(Aaron Axelrod)やギガピクセル画像(Lucas Gilman)まで。これは「クリエイティブ・プロフェッショナル」という名称がいかに広い範囲を指しているかを示しているともいえる。

PC市場全体から見れば小さな存在だが(同社は15%程度のシェアと推定している)、彼らはインフルエンサーだ。作品はそれだけにとどまらない。著名なEDMプロデューサー(Oak Felder)や音楽ビデオディレクター(Carlos Perez)ひとりにつき、使うべきツールを探しているアーティストは無数にいる。

昨年4月、Appleは珍しく悪名高き鉄のカーテンをめくって、Mac Proシリーズの転換計画を公表した。Phil Schillerはデスクトップ機を「全面的に考え直す」ために製造を一時中断することを謝罪した。そして、TechCrunchのビデオプロデューサー、Veanneが「デベロッパーへのラブレター」と評したiMac Proを発表した。Veanneはテスト機を返却することに激しく抵抗していた。

このオールインワンマシンは単なる慰めのポーズではなく、見慣れたフォームファクターに詰め込まれたパワーハウスだった。そしてAppleがMac Proのリセット計画取り掛かっているあいだ、iMac ProはAppleのオフェンスラインを単独で支えている。新しいMacBook Proは、このパズルの新しいピースとして、スペースグレイのiMacで採用された数々の機能を継承している。

中でも専用に設計されたT2チップは、Intelチップの負荷軽減を担う。このチップが受け持つ仕事のリストは長く、オーディオシステムやディスクドライブから、トーンマッピングやFaceTimeの顔検出までこなす。

セキュリティー面でも重要な機能がある。Appleの報道資料を引用する:

iMac Proで初めて導入されたApple T2チップが、新たにMacBook Proにも搭載されました。Apple T2の搭載により、MacBook Proシステムのセキュリティが強化されて、セキュアブートとストレージのオンザフライ暗号化への対応、また、Macでも「Hey Siri」と呼びかけてSiriを起動できるようになりました。

Appleは、初めて”Hey Siri” をmacOSでも使えるようにしたのも興味深い。これは追加オプションだが、設定プロセスの中で有効にできる。ひとたび設定されれば、iPhoneやHomePodと協調し、一番近くのマイクロフォンを優先して動作する。CortanaやPiexelbookのGoogel Assitantなどと似ている。

一方True Toneは別の世界からの借り物だ。2016年にiPadでデビューし、周囲の環境に基づいて自動的に色温度を調節する。Appleの画像や動画編集への熱心な取り組みを考えると、この技術をこれまで導入しなかったことが奇異に感じる。これは、自分で使ってみるまでは重要性がわかりにくい機能だが、使ってみるとこれまでなかったことが不思議に感じられる。

しかし、クリエイティブプロフェッショナルたちが今週のイベントで繰り返し強調していたのは性能の強化だ。「時間が半分になる」は、iOSアプリのシミュレーターを動かしていたデベロッパートリオ(Leah Culver、Akshaya Dinesh、John Ciocca)や複雑な分子生物学のアニメーションをレンダリングしていたユタ大学のJanet Iwasa准教授らがもっとも多く発していたフレーズだ。

Appleの狙いは、プロフェッショナルたちがデスクを離れても複雑な作業をこなせるようにすることだ。これは魅力的なコンセプトだ。過去10年間、スマートフォンが数々の仕事に自由を与えた(同時にスマートフォンが人を縛っている問題は別の話)。今度は同じことをPCに要求することは理にかなっている。

もちろん、プロフェッショナルの中にはノートパソコンで強力なワークステーションを置き換えられない人もたくさんいるが、ポータブルコンピューティングの最近の飛躍はめざましく、新しいMacBook Proも例外ではない。

5Kモニター2台と外部GPUをThunderbolt 3経由扱える能力は、モジュラリティーを約束するものでもある。上述したクリエイティブな人たちの多くが、プラグアンドプレイによって重い仕事の負荷を分散できる能力を称賛している。

Appleにとってバランスの問題は難しい。ほとんどのユーザーは4K長編映画の編集や、VRゲームの開発には関係ない。ハイエンドのアップグレードはほとんどの人にとって日々の生活に影響しない。それでも、Siri機能と静かになったキーボードは間違いなく歓迎だ。

プロの要望に答えることは、Appleが長年続けている教育分野と同じく長い目で見れば効果をもたらすタイプの努力だ。いっときAppleはこの世界から目をそらしていると見られ、ライバルのの侵攻を許したが、iMac ProとMacBook Proと近々登場するmacOSのおかげで、プロフェッショナルは今もAppleの未来にとって重要なカテゴリーであることを明確に示した。

13インチ、15インチモデルともに本日発売。価格はそれぞれ1799ドル(19万8000円)to2399ドル(25万8000円)から。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook