コカ・コーラ系自販機がNFC Type A/Bに対応、VISAやMastercardでキャッシュレス決済

ビザ・ワールドワイド・ジャパン、Mastercard、JCB、アメリカンエキスプレスのカードブランド4社は4月13日、日本コカ・コーラが国内に設置している約17万台の「マルチマネー対応自動販売機」で、各ブランドのクレジットカードによるタッチ決済(コンタクトレス決済)が可能になることを発表した。

マルチマネー対応自動販売機とは、SuicaやPASMOなどの交通系電子マネーはもちろん、WAONやnanaco、iDなどの電子マネーに対応した自販機。購入したい商品のボタンを押したあとに自販機のカード読み取り部分に各種カードをかざすことで、キャッシュレスでの購入が可能になる。暗証番号やサインの入力はもちろん不要だ。なおコカ・コーラでは、2020年内にさらに1万台のマルチマネー対応自動販売機の設置を計画している。

コカコーラでは、スマートフォンアプリの「Coke On」とCoke On Pay対応自販機でのキャッシュレス決済も進めてきた。こちらは各種クレジットカード(VISA、Mastercard、JCB、 AMEX、ダイナースクラブ)、各種電子マネー(交通系、nanaco、WAON、Edy)、各種コード決済(PayPay、LINE Pay、楽天ペイ)をCoke Onアプリに事前登録しておけばキャッシュレス決済が可能だ。しかも商品を購入するたびにスタンプが1個以上付与され、スタンプが15個貯まると1本無料というサービスもある。一方で、アプリのダウンロードや支払い方法の事前設定、(一瞬で終わるが)Bluetoothによる自販機のペアリングなど一般ユーザーにとっては少しハードルが高いのが難点だった。

今回、オフィスや商業施設などで普及しているマルチマネー対応自動販売機でのNFC A/B対応により、SuicaやPASMOなどの交通系電子マネーと同様に事前設定やアプリは不要で自販機にカード本体や対応するiPhoneやAndroid端末をかざすだけで決済が可能なる点で、より多くの人の利用が期待できる。クレジットカードの明細を家計簿代わりにしている人にとっては、日々の細々した出費をクレジットカードに集約できる点でもメリットだろう。

ロサンゼルスを拠点にする高利回りのチャレンジャー銀行HMBradleyが正式オープン

ロサンゼルスを拠点とするデジタルチャレンジャーバンクのHMBradleyは、米国時間3月30日にそのドアを開いた。これにより、何千人もの順番待ちの利用者は直接預金が可能になり、サインアップボーナスを受け取ることになる。

同社は銀行の顧客に対して、四半期預金の貯蓄率に基づいて貯蓄額の最大3%の利息を提供する。

またHMBradleyは、ユーザーが特定の目標に向けて貯金することができる新機能も提供する。

PayPalの創業者であるMax Levchin(マックス・レヴチン)氏のHVF Labs、Walkabout Ventures、Mucker Capital、Index VenturesおよびAccompliceから提供された350万ドル(約3億8000万円)に支えられたHMBradleyは、貯蓄者にうま味のあるビジネスを目指している。

最大10万ドル(約1100万円)までの残高を持つアカウント所有者は、自分のアカウントから年間最大3%の利回りを受け取ることができる。これらの口座名義人は、預金残高の少なくとも5%を毎月直接入金することによって利回りを受け取る資格を得る。

HMBradleyの口座は、FDICの保険でカバーされるHatch Bankによって保持されている。

3%のレートを獲得するには、顧客は収入の20%より多い金額を貯蓄する必要があるが、収入の15%から20%を貯蓄するアカウント所有者は年間2%の利回りを受け取る。そして年収の10%より多く15%未満の貯蓄を行うアカウント所有者が受け取るのは年間1%だ。

HMBradleyの共同創業者CEOであるZach Bruhnke(ザック・ブルンケ)氏は声明で「私たちは、すべての利用者に経済的な力を与え保護し、銀行がどれだけ稼いでいようとも利用者である皆さんの味方であることを示したいと願っています」と述べた。

同社によれば、アカウント所有者は米国内の5万5000台の無料ATM、モバイル小切手入金、そして24時間サポートを利用できる。

また同社が発行するマスターカードには、免責額ゼロの損害賠償や旅行、詐欺警告、カードの停止などを、すべてオンラインポータル経由で設定できる機能などの、すべての標準的機能が備わっているということだ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:sako)

ゲイツ財団やMastercardが新型コロナ対策医薬品開発に約130億円の出資を約束

ビル・ゲイツの慈善財団であるBill&Melinda Gates Foundation、英国の医療慈善団体であるWellcome Trust、大手クレジットカード企業のMastercardは、共同で新型コロナウィルス(COVID-19)に対する新たな診断、治療法の開発、普及を目指すテクノロジーを支援するイニシアチブを発表した

ゲイツ財団の発表よると、「COVID-19 Therapeutics Accelerator」(COVID-19治療法アクセラレータ)プログラムは、当初まず新型コロナウィルスの患者を治療し、将来はほかのウイルス性感染症を治療することを目的として、既存薬剤のリポジショニングや新たな抗ウウイルス・バイオ医薬品の研究開発や評価を支援する。このイニシアチブについてパートナー3社は、「プロダクトを誰でも利用できる低価格に設定し、公平なアクセスを確保する」と表明した。

まさにこの「公平なアクセスが確保できる低価格」が現在最大の問題となっている。新型コロナウィルスの流行の突発に対応すべき公的機関はそのようなノウハウやリソースを欠いており、民間部門に依存しなければならない。公的ヘルスケアシステムは診断キット、治療薬など民間企業が開発する高コストな手段に頼ることになる。

このイニシアチブの直近の目標は、新型コロナウイルスの治療に役立てるための新たなバイオ医薬品の開発やドラッグリポジショニングを支援、加速させることだ。ゲイツ財団によれば、現在新型コロナウイルス流行を抑制するために有効な抗ウイルス薬やワクチンは存在しない。

ゲイツ財団とウェルカム財団はそれぞれがプログラムに最大5000万ドルを寄付する。ゲイツ財団が2月に発表した新型コロナウイルス対応のための1億ドルの資金が同財団の今回の寄付に利用される。

ゲイツ財団のCEOであるMark Suzman(マーク・スズマン)氏は「新型コロナウイルスのようなウイルスは世界に急速に拡大するのに対して、ワクチンや治療法の開発はスピードがはるかに遅い。新型コロナウイルス流行の拡大から世界、ことに最も立場の弱い人々をを守るためには、研究開発を加速する方法を見つけねばならない。これには政府、企業、慈善団体が迅速に行動して研究開発に資金を提供する必要がある」と述べた。

発表によれば、、このプログラムはWHO、政府、規制当局、議会、民間慈善団体など政策決定と資金提供に関連するあらゆる組織と協力し、医薬品の研究開発から製造、生産、流通に至るパイプラインのすべてに焦点を当てるという。

ゲイツ財団にとって、組織横断的、学際的アプローチの有効性は2014年にエボラ出血熱の流行を封じ込めることに成功したことから得た成果の1つだったとい。声明によれば、プログラムは資金提供3社の共同主導し、3つの異なる戦略を追求する。 1つは感染の治療、拡大防止に役立つ医薬品の発見と評価、2つ目は医薬品業界のパートナーとの協力、3つ目は治療を現場で役立てるための規制当局などの公的機関との連携だ。

Wellcom Trustの責任者、 Jeremy Farrar(ジェレミー・ファラー)博士は声明で「このウイルスは前例のないレベルでの世界的な脅威であり、迅速な診断と治療、、あたワクチンの開発のために国際的な協力を推進する必要がある。 COVID-19に対して医学、薬学など関連分野において驚くべき努力が払われているが、この流行に先んじ、封じ込めるためにはさらに多額の資金が必要だ。また多数の研究の共同と調整を確保することも重要だ。われわれのアクセラレータ・プログラムは治療、予防に役立つ研究、開発、評価、製造の過程全体をサポートする。 COVID-19への挑戦は困難な課題ではあるが、国境を越えて協力することで新たな感染症に取り組むことができることが証明されている」と述べた。

画像: Mark Lennihan/AP

【Japan編集部追記】ゲイツ財団のサイトによればMastercard Impact Fundが最大2500万ドルの寄付を約束している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

三井住友カードが30年ぶりにクレカ刷新、複数の決済情報を管理できるWalletアプリなども発表

三井住友カードは1月15日、30年ぶりに刷新されたクレジットカード、複数の決済手段を1つのアプリに集約できるWalletアプリ、家族間でシェアできる家計簿アプリを発表した。

表面にカード番号のない新クレカ

新クレジットカードは、パルテノン神殿のイラストが入った従来カードからデザインを刷新し、前面記載が基本のクレジットカード番号や有効期限などの情報を裏面に集約、表面に刻印される個人情報は契約者本人のローマ字氏名のみとなる。つまり裏面には、従来のセキュリティーコードと自筆サインのほか、クレジットカード番号や有効期限がまとめて記載されることになる。

これによりカード決済時に背後や側面からの番号の盗み見などを防げるほか、オンラインショッピング時にカード番号を入力したあとにカードを裏返してセキュリティコードを確認・入力という手間がなくなるというメリットもある。対応する国際カードブランドはVISAとMastercardで、VISAブランドの場合はタッチ決済が可能になる。Mastercardのタッチ決済(コンタクトレス決済)には現在のところ対応しておらず、Mastercardと検討中とのこと。

さて、VISAのタッチ決済はNFC-A/Bが使われているが、従来使われているiDやSuica、EdyなどのNFC-F(FeliCa)決済についても引き続き対応していくという。国内では交通系ICカードによって普及したFeliCa搭載カードがよく使われているが、グローバルでのタッチ決済はType A/Bが主流ということもあり、今後はFeliCaの機能を残しつつもグローバル標準のNFC-A/Bの導入を推進していくようだ。各社との提携カードへのVISAタッチ決済の導入については「提携先の意向次第」とのことだが、セキュリティー面や海外利用時の安全面を考えた場合、VISAの新デザインルールに沿ったタッチ対応対応カードの要望は提携各社からも増えていくだろう。

一方で、VISAタッチ決済が利用できる店舗はまだまだ少なく、三井住友カードが提携している大手チェーン店では、ローソン、マクドナルド、ゼンショーなどにしか一括導入されていない。また同社は中小の小売店向けに2019年度からNFC対応のSquare端末を提供しており、磁気ストライプを読み込む旧型のイヤフォンジャック接続タイプから、ICチップを読み込む新型の据え置き型へのリプレースを進めているという。

新デザインのカードは、2月3日から新規発行で受け付けるほか、2月にカードの切り替え時期を迎える利用者のカードも順次切り替わるこの新カードの導入伴って同社は、年会費1250円が永年無料になるキャンペーンを実施する。新規入会ユーザーは、後述するアプリにログインすることで、決済金額の20%をもれなく還元するキャンペーンも始まる。ただし、還元上限総額1万2000円。さらに新規入会ユーザーは、50分の1の確率で利用代金が無料になる特典もある。

既存ユーザーについては、3月からはVISAのタッチ決済対応カードへの切り替え手数料が無料になり、タッチ決済の初回利用時にもれなく最大1000円をプレゼントするキャンペーンが提供される予定だ。

なお3月からは、インターネット経由で三井住友カードを申し込んだユーザーは、物理カードが届く前にスマートフォン上でカード番号やセキュリティ番号を発行でき、Apple PayやGoogle Payへの登録、オンラインショッピングでの決済ができるサービスも始まる。

WalletアプリがMoneytree APIを利用した資産管理アプリに進化

Walletアプリについては2020年3月にアップデートされ、カード利用履歴の確認、支払い口座残高の確認、各種変更手続きといった既存機能のほか、他社を含む複数のカードや電子マネーの決済情報を一元管理可能になる。この決済情報を一元管理する機能は、マネーツリーが開発・提供している資産管理アプリ「Moneytree」の技術が使われている。具体的には、三井住友カードのWalletアプリがMoneytree APIを経由して、Moneytree側のデータベースにある決済情報などを参照する仕組みだ。つまり、三井住友カード自体はクレジットカードや金融機関の決済や残高の情報を管理しておらず、あくまでもMoneytreeのデータとなる。Moneytreeは、プライバシー認証機構であるTRUSTeの認証を定期的に受けており、セキュリティー面での安全は保証されているので安心だ。なお、対応する金融機関はMoneytreeに準じる。

そのほかWalletアプリは、使いすぎや不正利用を防ぐセキュリティー機能や口座残高不足アラート機能も新たに備えている。カードを使用するとすぐに通知が届くので、自分以外がカードを使ったかどうかがすぐにわかるわけだ。なお、注意したいのは決済情報を集約できるだけで、同社のWalletアプリから直接決済できるわけではない点。ただし、VISAブランドの三井住友カードやプリペイドカードについては、Walletアプリ自体が三井住友カードのデータベースを参照しているので、プリペイドカードへのチャージなどはアプリ上から可能だ。

6歳から持てるVISAプリカと専用アプリで家族間もキャッスレスに

同じく2020年3月にリリース予定の家族間で共有できる「かぞくのおさいふ」は、クレジットカードとVisaプリペイドカードを活用して、家族内の資金移動をキャッシュレス化・可視化できる家計簿アプリ。成人や社会人にはクレジットカード、6歳以上の未成年や学生などにはVisaプリペイドカードを持たせることで、家族間の資金の受け渡しから店頭での決済までがキャッシュレスになる。

もちろん、クレジットカードとVisaプリペイドカードでの利用明細は記録されており、かぞくのおさいふアプリに集約される。Visaプリペイドカードを利用する家族は、チャージした金額しか使えないので、使いすぎや高価な商品を親の許可を得ずに買ってしまうという事態を避けられる。家族それぞれが現在所持している資金については「個々のおさいふ」で管理可能だ。決済時の通知機能、利用制限、オートチャージ、家族内送金機能なども備わっている。1回あたりのチャージの上限額は30万円。1カ月の上限は100万円。

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個人的には今回の発表で、VISAを皮切りにNFC-A/Bでのタッチレス決済を推進していく同社の意気込みを感じた。今後、NFC-F(FeliCa)は朝夕のラッシュ時に通勤・通学しなければならないビジネスパーソンや小中高生に中心に一定数残ると考えられているが、働き方改革やテレワーク、時差通勤の推進で満員電車に乗る人口も今後は減るはずだ。また、人口減少が進む日本の独自規格が今後グローバルに広がる確率は低い。国内の小売り業者や公共交通機関の事業者もまずは、FeliCaとNFC-A/Bに両対応した決済端末の導入を積極的に進めていくべきだろう。

マスターカードがセキュリティ評価のスタートアップ、RiskReconを買収

画像クレジット: Roberto Machado Noa / Getty Images

米国時間12月23日、マスターカード は公開データを利用して組織のセキュリティに関する評価を行う、ソルトレイクシティのスタートアップ、RiskRecon(リスクリコン)の買収を発表した。両社は買収価格を公表していない。

マスターカードのような金融サービス企業にとって、顧客のサイバーセキュリティを対策における支援は、徐々に重要性を増している。さらにRiskReconは、顧客が関心を寄せる企業のリスクプロファイルの客観的スコアを提供する。

「AIとデータドリブンの高度な技術の強力な組み合わせによって、RiskReconは既存の戦略と技術を補完してサイバー空間を保護するエキサイティングな機会を提供します」と声明の中で述べているのは、マスターカードのサイバー&インテリジェンス担当役員のAjay Bhalla(アジェイ・バラ)氏だ。

RiskReconのCEOであるKelly White(ケリー・ホワイト)氏は、300万ドルのシードラウンド直後に行われた2016年のインタビューの中で、TechCrunchに対して、同社はインターネット上で容易に利用可能な情報を使い、それらを組み合わせることで企業の全体的なセキュリティリスクを計測するのだと語っている:

RiskReconは、ビジネスの一部をウェブ上で行っている企業に関する情報をウェブ上で入手して活用している。「ウェブサーバーやDNSサーバーを立ち上げた場合、それらはインターネット上でサービスを提供しているので、特に発見しやすい。私たちのシステムは、セキュリテ性能を判断できるように、対象の上で実行されているソフトウェアとバージョン情報を明らかにします」

ホワイト氏は、マスターカードと一緒になることは、より大きな組織の一員になれるということだと考えている。「チームの一員になることで、ソリューションを拡張し、新しい業界や地域の企業が、サイバーセキュリティリスクをより適切に管理するための手段を高じる機会を得ることができます」と今回の声明で述べている。

Crunchbaseのデータによれば、RiskReconは2015年に創業され、これまでに4000万ドル(約44億円)を調達している。投資家にはAccel、Dell Technologies Capital、General Catalyst、そしてF-Prime Capitalが名前を連ねている。

なお同社はこの分野における唯一の企業ではない、2013年に創業し、Crunchbaseのデータでは1億1200万ドル(約123億円)以上を調達している、ニューヨークに本社を置くSecurityScoreCardと競合していることには、注意が必要だ。同社における最後の調達は、6月に行われた5000万ドル(約55億円)だ。

本日の取引は、規制当局の標準的な承認が必要となるものとなるが、手続きは2020年の第1四半期に完了する予定だ。

TRUSTDOCKのeKYCサービスが国内でMastercard Awardを受賞、ドバイでの最終選考会へ

TRUSTDOCKは、Mastercard主催の「Mastercard Start Path」の日本地区大会で、同社のeKYC身分証アプリ&API群が「Mastercard Award」を受賞、ドバイで開催される最終選考会(グローバルセレクション)へ参加することを発表した。

eKYC(electronic Know Your Customer)とは、スマートフォンとそのカメラ機能を活用したオンライン経由の個人認証サービス。免許証やマイナンバーカードなどの公的証明書や自撮り画像などスマホで撮影してネット経由で送信することで本人確認が完了し、金融機関の口座の開設や本人確認が必要な各種サービスを利用可能になる。TRUSTDOCKのeKYCサービスは、公的証明書の厚みを撮影したり、任意の文字を読み上げさせた状態で本人を撮影したりと、不正登録を防ぐ仕組みが取り入れられている。

eKYCについては、すでにLINEが日本電気(NEC)が開発・提供する「Digital KYC」を「LINE Pay かんたん本人確認」を導入しているほか、メルカリも独自のeKYCによる「アプリでかんたん本人確認」によって、本人確認サービスを実施している。LINEはLINE Pay、メルカリはメルペイというキャッシュレス決済サービスを提供しており、LINE Payでは他人への送金や受け取り、メルペイでは「メルペイあと払い」という少額ローンなどにeKYCを役立てている。

なぜeKYCが必要なのか。eKYCは、犯罪収益移転防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)の目的である資金洗浄(不法に得た資金の出所を消す違法行為)を防ぐための手段として有望視されている。これまでも金融機関での口座開設時などに本人確認書類が必要だったが、運転免許証のコピーなどを貼り付けて郵送で送るというやり取りが一般的だった。eKTCのように本人確認書類を写真で撮影して申請できる金融機関もあったが、目視確認のための人員確保なども必要なため、資金力のある大手など一部での導入に限られていた。

こういった一連のクラウド認証システムを汎用的に使えるようにしたのが、TRUSTDOCKが開発したeKYC身分証アプリ&API群。日本だけでなく今後は世界各国でのアカウント開設やデジタル取引の際に必要な本人確認に対応する予定だ。もちろん、犯罪収益移転防止法だけでなく、携帯電話不正利用防止法、古物営業法、労働者派遣法、出会い系サイト規制法、民泊新法などにかかわる犯罪行為を、厳格な本人確認による事前回避を期待できる。

「Mastercard Start Path」は、次世代のコマースソリューションの開発を目指し、スタートアップを支援するためのプログラム。2014年にスタートしたプログラムで、選ばれたスタートアップは、Mastercardの専門チームによるグローバルネットワークの活用、Mastercardのパートナー企業へのアクセス、Mastercard のソリューションを活用することができる。2015年には、参加した世界200社以上から日本のMoneytreeが4社の中の1社としてMasterCard Start Path Global第一期に選ばれている。Moneytreeは、金融機関の口座やクレジットカードの支払履歴など個人資産の管理を行えるアプリ「Moneytree」や、このMoneytreeを基にした金融インフラプラットフォームとしてMT LINK by Moneytreeをさまざな金融機関にて提供している2012年設立のスタートアップだ。

eKYCがアプリやサービスに手軽かつ低コストで導入できるようになれば、ネット経由の商取引での不正行為や犯罪に未成年を巻き込むことを未然に防げるようになるはずだ。

VisaとMastercard、米国での取引手数料を値上げへ

Wall Street Journalによると、VisaとMastercardは米国内でのカード取引にかかる手数料の値上げを検討している。VisaとMastercardは売上の大部分を少額の処理手数料から得ている。値上げは小売店やフィンテック企業に影響を与える可能性がある

われわれがクレジットカードやデビットカードで支払うと、店はカードを発行した銀行に少額の手数料を支払う。その銀行はさらに少額の手数料をカードネットワークを運用している会社に支払う。

多くの場合カード発行者とカードネットワークは別の会社だ。たとえば、ChaseはVisaカードを発行しており、カード取引のたびに客から手数料を受け取り、Visaに少額の手数料を支払う。American Expressのようにカードネットワークを運営しつつ自身でカードを発行している会社もある。

WSJによるとMastercardとVisaは4月に手数料を値上げする予定で、Visaはそのことを正式に認めている。1回の取引毎の手数料はほとんど気が付かない程度だが、たちまち累積していく。手数料はVisaどMastercardに巨額の売上を生み出し、大型店舗にとっては大きな出費となる。

これは消費者保護の問題に発展する可能性がある。なぜならこの手数料のために消費者は高い金額を支払う結果になることが多いからだ。VisaどMastercardの交渉相手は主に金融機関だが、その金融機関も手数料の取り分が欲しい。手数料が売り手に波及するのはそのためだ。

売り手は顧客の大部分がカードで支払うことを想定している。その結果全員にとっての価格が上がり、現金で払ってもデビットカードでもクレジットカードでも同じ値段になる。

一般にクレジットカードの手数料は高く、ポイントや特典があるのはそれが理由だ。銀行は手数料が欲しいので有利な特典で客を引きつけようとする。また、手数料は米国の方がヨーロッパよりずっと高く、それは不正行為が多いためだ。偽造を防止するためのチップ・アンド・ピン方式を米国が採用したのはヨーロッパより何年もあとだった。

手数料の値上げは消費者やフィンテック・スタートアップにも影響を与える可能性がある。チャレンジャーバンク(ネット取引主体の新興銀行)の多くは収入源の一つとして手数料に頼ってきた。それはヨーロッパのフィンテック・スタートアップのN26やMonzo、Revolutなどが潜在市場として米国に目をつけている理由でもある。こうして取引手数料の上には大きな産業が出来上がっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleがMastercardとパートナーしてユーザーのオフラインの買い物を追跡する

Bloombergの記事によると、GoogleはMastercardとの秘密契約により、クレジットカードの利用データから小売の売上を調べられることになった。このことは、Googleの本当の顧客が広告主であることの、また新たな証拠だ。

オンライン広告は今や、他のすべての広告媒体を抜き去った。企業は、テレビや新聞などよりも多くの広告費をネット広告に支出している。

オンライン広告に人気があるのは、広告キャンペーンの効果を調べやすいからだ。GoogleやFacebookに広告を出せば、そこから何人の顧客が自分のオンラインストアに来たか分かる。しかも、彼らが何を買ったかすら分かる。

でもテレビ受像機のオンライン広告を見た人が、お店に来てテレビを買った場合はどうか? テクノロジー企業はこれまで何年も、このような、オンライン広告とオフラインの売上とのギャップを填める努力をしてきた。たとえばGoogleは、ユーザーが位置履歴を無効にしていても、常時密かに位置を追跡している日本語関連記事〕。GoogleがMastercardとパートナーしたのも、そのためだ。

Bloombergによると、Mastercardのアメリカ国内のトランザクションデータはすべて、暗号化されてGoogleへ送られる。GoogleはMastercardに金を払い、おそらく他のカード会社からも、同じ方法で情報を得ようとしている。

Googleに個々のトランザクションは見えないが、その大量のデータから有意な情報を取り出すことはできる。たとえば同社は、オフラインの購入をユーザーのプロフィールとマッチングできる。そしてそのユーザーが、広告をクリックしたことも分かる。

広告主はメールのデータベースをアップロードして、オフラインの売上をGoogleのプロフィールと広告クリックにマッチできる。Googleは彼らに、すべてのオフライン売上のレポートを送る。すると広告主は、自分たちのオンライン広告キャンペーンの売上寄与効果が分かる。

それは広告の顧客に、彼らのキャンペーンに効果があったと説得するための、うまい方法だ。オンライン広告の売上効果を確信した彼らは、次の広告予算でGoogleへの配分をさらに大きくするだろう。

このやり方は、大規模な広告ビジネスを構築するためには、プライバシーをある程度、二の次にしなければならないことを、あらためて示している。しかしGoogleがMastercardとの今回の契約を公表しないことは、かなり気持ち悪いな。ユーザーには、(自分のデータの使われ方について)知る権利があるからね。

このMastercardの一件は、ユーザーのGoogleアカウントの“Web and App Activity”(Webとアプリのアクティビティ)でオプトアウトできるそうだが、その設定は見つけにくいし、大量のものをかき分けて探さなければならない。そもそも、オフラインの購入は、“Web”でも“アプリ”でもないけどね。〔訳注: 今はアメリカ限定だから日本語のGoogleアカウント設定にはない。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MasterCardが11億ドルでVocaLinkを買収、イギリスの決済サービスへ参入

Cash savings

イギリス企業の動向を追っている人向けに新たなニュースが入ってきた。新たに一社、イギリスで生まれ育った大手テック企業が外国企業に買収されることが分かったのだ。本日(米国時間7月21日)MasterCard Inc.は、VocaLinkと株式の92.4%を取得することで合意に至ったと発表した。VocaLinkは、イギリス国内のATM、ダイレクトデビット、そして大手モバイル決済ネットワークを支える一大テック企業だ。買収額は総額11億4000万ドルにのぼり、全額現金で支払われる予定。まず7億ポンド(9億2000万ドル)が支払われ、さらにアーンアウトとして、業績に応じて最大1億6900万ポンド(約2億2000万ドル)が現金で支払われる。

残りの7.6%の株式については、少なくとも向こう三年間は引き続きVocaLinkの株主が保有するとMasterCardは発表の中で述べた。

VocaLinkは、2015年に1億8200万ポンド(2億4000万ドル)の売上と、110億件以上の決済処理数を記録している。

今回の買収は、今週発表されたイギリス企業のエグジットで2番目となる規模で、1位はソフトバンクが月曜日に発表した、半導体チップのリファレンスデザイン事業を行うARM Holdingsの320億ドルでの買収だった。

イギリスのEU離脱を決定づけたBrexitよるポンド安の影響で、多くの人が今後このような買収案件が増加するのではと問題視している。ソフトバンクCEOの孫正義は、ARM買収へのポンド安の影響を否定しており、MasterCardも同様の回答をしている。

「ご想像の通り、買収には何ヶ月もの時間をかけてきました」とMasterCardの広報担当者は今回の買収について語った。「MasterCardは、Brexitの投票が行われる何ヶ月も前からVocaLinkを買収したいと考えていました。そのためBrexitは買収の要因にはなっていません」

今のところ、MasterCardはVocaLinkの買収で「全ての種類の電子決済や、決済の流れに積極的に参画し、顧客やパートナーのためのサービス向上を行う」戦略を固めていくつもりだと話す。さらにMasterCardは、イギリスの決済エコシステム内で、重要な役割を担っていきたいとも語っている。

「イギリスという私たちにとって重要な決済市場で大きな役割を担うことができるという、今回の買収によって得られたチャンスに私たちは興奮しています」とMasterCardの社長兼CEOのAjay Bangaは声明の中で述べた。「VocaLinkは、素晴らしいテクノロジー、資産、社員を持つ類まれな企業です。私たちは、VocaLinkのテクノロジーを投資を通じて最大化し、イギリスそして世界中の私たちの製品やソリューションへ組み込むことをとても楽しみにしています」

今回の買収から、さらに多くの外国企業が、イギリスの決済サービスや、イギリスにおけるコンシューマリズムや消費文化の受容を利用しようとしていることがわかる。昨日のTechCrunchのニュースでも、Squareがようやくイギリスでの営業開始に向けて動いていることを示す証拠について報じられていた。

VocaLinkは、2007年に設立後も特にベンチャー投資を受けず、今ではATM、BACをベースとしたダイレクトデビット、そしてFaster Payments(モバイルテクノロジー)の3大決済ネットワークを運営しており、ほぼイギリス居住者全員分の決済をカバーしているほか、外国市場向けにもその他のサービスを開発してきた。

Fast ACH(高速小口決済システム)を利用したモバイル決済アプリのZAPPがそのうちのひとつだ。VocaLinkはソフトウェアをライセンシングし、スウェーデン、シンガポール、タイ、アメリカといった国々の小口決済サービスのサポートも行っている。

MasterCardは、今後もVocaLinkのビジネスではイギリスに焦点を当てていくつもりではあるものの、上記から今後どのように同社のビジネスを発展させていこうとしているか読み取ることができる。

「本日の発表は、私たちのパートナー、顧客、社員にとって前向きなニュースです」とVocaLinkのCEO David Yatesは声明の中で語った。「今後も、最高レベルの品質を保ち、イギリスの決済システムがスムーズに機能するよう注力していきます。同時に、これからはさらなるイノベーションへの投資を行い、世界中の企業や消費者向けの、高い競争力を持つ決済ソリューションを生み出していきます」

MasterCardは、株式取得後から最大24ヶ月間は株式の希薄化への影響があると予測しており、「VocaLinkの株式取得が2017年初旬に完了すれば、2017年と2018年の一株あたり当期純利益が、5セント分希薄化することを見込んでいる」と述べた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

働き場所を広げるPepper、次はアジア太平洋地域のピザハットで就業予定

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Pepperは就職に困ることはないようだ。世界的に経済状況が思わしくない中での話であり、その点は少なくともPepperを評価すべきなのだろう。Pepperはあちこちに活動範囲を広げつつある。そしてこのたび、店の「高級さ」加減では落ちるのかもしれないが、しかしPepperならきっとうまくやるだろうと思われる分野に職を得たようだ。

すなわちソフトバンクとマスターカードが提携して、Pepperをピザハットで働かせることになったのだ。まずはアジア太平洋地域の店舗がターゲットであり、年内にPepperを配属したい考えだ。

「Pepperは従来のデジタルキオスクを新しくしてくれると思います。タブレットや情報端末を操作するかわりに、ロボットと対話しながら必要な情報を得たり、何らかの操作を行うことができるようになるのです」と、MasterCard VPのTobias Puehseは言っている。「ファストフードショップによって、持ち帰り商品をオーダーする際に、Pepperが注文を受け取ってくれたりするのです」。

Pepperにはマスターカードのデジタルウォレット・サービスであるMasterPass機能が搭載され、Pepperを通じて支払いができるようにもなっている。また、これまでの商品購入履歴などを参照して、カスタマイズされた対応を行うこともできる。さらには客の様子に応じて振る舞いを変えることもできるようだ。「Pepperには感情を読み取る機能が備わっています」とPuehseは言う。「お客様がハッピーなのか、それとも不機嫌なのかを認識することができるわけです。それによってPepperは接し方を変えることができます。さらにはちょっとした冗談などを交えて、お客様の気分に応じた応対ができるのです。いってみれば共感能力を持っているわけです」。

マスターカードはPepperの供給状況に応じて、アジア太平洋地域のどの店舗にPepperを配備するかを決めていく予定であるようだ。同地域ではすでにPepperをカスタマーサービスに応用する動きが見られ、Pepperを通じてオーダーすることにも慣れてもらいやすいだろうという目論見もあるようだ。初期導入がうまくいくようであれば、Pepperが働く店を増やしていきたい考えなのだそうだ。

なお、PuehseはPepper導入について、人員削減的な意味を持つものではないことを強調していた。「利用者の方々に心地よさを感じてもらうための手段という意味付けです。人対人のコミュニケーションを排除しようというような意味ではないのです。たとえばPepperは支払い作業すらより面白く感じられるものにすることができます。さらにPepper側で顧客情報などを活用することにより、タッチパネルを通じてオーダーするよりも、好みに応じたオーダーが行えるようにもなることでしょう」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H