今年のMWCはiPhone Xのそっくりさんだらけ、最優秀賞をAsusのZenfone 5に進呈しよう

たしかにAppleは今年のMWCでどんな種類のプレゼンスもなかったけど、今週はまさにiPhone Xの週でもあった。同社のその最高級旗艦機(iPhone X)はMWCの会場で、あらゆる競合機のデザインに影響を与えていた。単にノッチの味方に加わっただけのもあれば、もっと露骨なモノマネもあった。

HuaweiのP20がまだ出てない今は、AsusのZenfone 5がこのショウにおける最大かつ、おそらく最良のPhone Xそっくりさんだ。近年スマートフォンは、どれもこれも同じに見えてきたから、互いに似ることも否定できないが、でも多くのユーザーにとって、それはどうでもいいことだ。

Android世界で、昨年もっともホットだった安価なスマートフォンはなんだろう(ヘッドホーンジャックのことはこの際忘れて)? それがZ5だ。主にSnapdragon 845を使っていることが理由で、それはハイエンドバージョンのハンドセットであり、お値段は499ドルからだ。すごく安いとは言えないが、そのインスピレーションの元となった機種〔iPhone X〕の半額だし、標準仕様のGalaxy S9より100ドル安い。

“ノッチが市民権を得た”と言えるのか、それは分からないが、会場ではそんな声が多く聞かれた。でも誰かが、スクリーンとカメラの同居という難問を解決するまでは、それで我慢するしかない。フロントカメラをやめて自撮りができないようにする、という案もある。

ぼくは、それでもよい。完全に正直に言えば、フロントカメラなしで一向に構わない。

でもそれは、ありえないだろう。似たような名前のZenfone 5 Lite(アメリカ市場では5Q) は前面カメラが二つもあり、ひとつは広角だ。上部ベゼルはしっかりとある。

Z5のもうひとつの大きなセールスポイントが、言うまでもなく、AIだ。それはLG V30S ThinQのようなAIで、これから撮る被写体の状態に応じて撮影条件を自動調節する。

これがアメリカでも発売されるのか、それはまだ分からない。

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Dart言語によるモバイルアプリ(iOS/Android)開発フレームワークFlutterがベータを開始

Flutterは、iOSやAndroidのアプリ開発を助けるGoogleのオープンソースのツールだ。まだ生まれて1年にもならないから、知らない人も多いが、ある面ではFacebookのReact Nativなど人気のフレームワークに対抗する製品だ。GoogleのDartプログラミング言語*を使用するこのツールは、昨年のデベロッパーカンファレンスGoogle I/Oで発表された。〔*: Dart言語, 本誌記事。〕

同社の今日(米国時間2/27)の発表では。Flutterは現在ベータでだが、すでに多くのデベロッパーがこれを使ってアプリを作り、Google PlayやApple App Storeで人気上位になっているアプリもある。

GoogleでFlutterを担当しているプロダクトマネージャーSeth Laddによると、MWCでFlutterの発表をしたのには理由がある。それはモバイルデベロッパーに関心を持ってもらいたいからであり、また、昨年から今日までにかけて達成された進歩を強調したいからだ。とくに大きいのは、Android StudioやVisual Studio Codeがサポートされて、Flutterのアプリをそこで書けるようになったことだ。

アルファでローンチしてから以降、FlutterのチームはiPhone Xなど新しいスマートフォンのサポートを加え、アクセシビリティ機能や、右から左へ書いていくテキストのサポート、ローカライゼーション、国際化、Flutterのコードをバックグラウンドで動かす機能、などを加えていった。

デベロッパーにとって、もっとおもしろいのは、ステートフルなホットリロードがサポートされたことだろう。ソースコードを書き換えると一瞬後には、その変化がデベロッパーのスマートフォン上のアプリに反映される。Laddによると、これによってえ開発工程が早くなるだけでなく、いちいちプロトタイピングツールを使う機会が減る。

Dartというニッチなプログラミング言語に依存していることについてLaddは、Flutterにとって正しい言語はDartだ、と主張する。“ほかの言語では、1)早い開発サイクル、2)デベロッパーが期待する標準的機能の充実、3)オブジェクト指向、4)リッチなライブラリ、5)使い慣れるのが早くて容易であること、この5拍子が揃ってる言語はあまりない”、という。このベータでFlutterは、Dart 2のプレリリースバージョンをサポートし、クライアントサイドの開発がより強力にサポートされる。

Laddによると、React Nativeのようなライバルのフレームワークに比べるとFlutterは独自のGPU加速グラフィクスとレンダリングエンジンを使い、Webビューを使わない。“これによって、デザイナーがデザインしたものと、デベロッパーが目にするものとが、正確に同じピクセルになり、ユーザーが実際に体験するデザインにもなる”、という。“独自のグラフィクスエンジンがあることによって、デザイナーが構想した一貫性のあるデザインを提供できる”。

Flutterのチームは、既存のアプリとの統合が容易なことも強調する。Flutterでは、既存のアプリをFlutterの画面から利用する、といったことができる。完全に新規にFlutterで作られた、最も人気のあるアプリとしてGoogleは、Hamiltonを挙げている。

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中国のメーカー、Doogeeが見せるスマホカメラの未来

Mobile World Congressで開催されたDoogeeのプレス会見は、聞いたことのない会社らしいものだった。小規模で、地味で、場所はカンファレンス会場の向かいのホテル地下の第二会議室。これはスマートフォンの2軍制度のようなもので、発表する会社は、世界の大手モバイル会社の騒音に埋もれることなく注目されようと必死だ。

それは世界で認められるために一歩ずつ踏み出しているこの会社にとって大きな願いだ。2013年創業のDoogeeは、これまで国際市場で少々変わった製品を作ってきた。同社はハンガリー、チェコ共和国、アルジェリアなどの地域ではトップ5に食い込んだと信じている。さらに今回のバルセロナへの旅を利用して、現地の大規模小売店、MediaMarketを通じてスペインでの地盤を固めようとしている。

同社のCEO XinchaoはTechCrunchに、米国市場も視野に入れていると語ったが、通信キャリアーが主要な課題であることも認め、最近同じ中国企業であるZTEとOnePlusが米国で問題に遭遇していることを挙げた。

今年最大の発表であるDoogee VはiPhoneの低価格なコピー品だ。この製品はAppleの最新フラグシップ機のデザインをいくつか借用しており、同社の代表は製品の説明をしながらすばやく端末を立ち上げた。

4月末発売予定の同機はAppleやSamsungの主要機種よりかなり安くなるはずだ。しかし正直なところ、個人的にこの端末(少なくともプロトタイプ)の方の見た目はかなり劣る。それでも、画面には指紋センサーが内蔵されている。このシステムは指紋に明るいOLEDを当ててその画像をセンサーに送り込むしくみだ

業界他社と同じくこの会社も全画面ディスプレイに突き進んでいる。画面上端にはiPhone X風の「ノッチ」も見られる。同社はカメラ「問題」に対応するべく何種類かのプロトタイプを披露した。ひとつは端末の裏面から回転して出てくるタイプ(今の流行らしい)。昔のスライド式携帯電話のようにカメラがポップアップするタイプもある。

長年開発中の折り曲げ可能画面の最新プロトタイプも披露した。同社はこの技術を使って、折り畳み式で開くと大画面になる端末を計画している。ZTEのAxon Mと似ているが、大きな隙間がないことを期待している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IBM WatsoのCTO Rob Highが機械学習の“偏り”などAIの最新の課題を語る

IBM WatsonのCTO Rob Highにとって、機械学習における現時点の最大の技術的課題は、少ないデータでどうやってモデルを訓練するか、ということだ。バルセロナで今行われている例年のMobile World Congressでインタビューしたとき彼は、“それはチャレンジであると同時に目標でもあるが、それが可能だと信じられる理由もある”、と語った。

彼のこの意見は、業界全体の声を反映したものでもある。GoogleのAIのチーフJohn Giannandreaはたとえば最近、それを同社の機械学習グループが取り組んでいる主要な課題の一つとして挙げた。通常、機械学習のモデルは、正確であるために大量のデータで訓練する必要があるが、しかし、そんな大きなデータ集合がそもそも存在しない問題も多い。

しかしながらHighは、これが解決可能な問題だ、と信じている。なぜか? “人間はそれをしているからだ。われわれ人間にはデータポイントがある”、と彼は言う。ここで心に留めなければならないのは、人間がやってることの中にその証拠がある、と彼が言うのは、具体的なあの機会やこの瞬間に、人間の学習の仕方に関する情報がある、という意味ではない。“むしろ、テーブルの上にはありとあらゆるコンテキストがあるのだ”。つまりHighが言いたいのは、少ないデータでモデルの訓練が可能になるのは、コンテキストのおかげであり、また、転移学習(transfer learning)における最近の進歩だ。それは、すでに訓練されているモデルを、データの少ない別のモデルの訓練に利用する技法だ。

しかしAIの課題、とくに会話的AIの課題は、さらにもっと困難だ。“もう一方では、人間が自然だと感じるようなやり方で人間と対話し、人間の思考に影響を与えるにはどうするか、という課題がある”、とHighは語る。“人間は、彼らがやり取りする言葉だけから影響されるのではなく、それらの言葉を収めている発声や屈折、抑揚、韻律、気分、顔の表情、腕や手のジェスチャー、などなどの影響も受ける”、Highは、AIがこれらの要素を擬人的に模倣すべきだ、とは考えていない。むしろ、デバイス上の何らかの形のビジュアルキューを使うだろう、と。

それと同時に、多くのAIシステムがもっと上手になるべきなのが、質問の意図を正しく理解することだ。その質問は、何かに関するその人の前の質問とどう関連しているのか。その人の今の心の状態や人柄が、質問の意図にどう影響しているか、など。

しかしここから、もうひとつの疑問が生ずる。今実用化されている機械学習のモデルの多くは、それらが訓練されたときのデータによって偏りが生じている。分かりやすい単純な例としては、そのモデルは白人の男性に関しては精度が高く、黒人の女性に対しては成績が悪い、ということがありえるだろう。この問題にHighはこう答える: “方程式の両辺を見る必要がある。ひとつは、データの集積による偏りで、これに対してはよく注意して、人間ならばそのモデルが表している文化的および集団的側面を広げる努力をしなければならない。しかしもうひとつは、個人的偏りよりは、集積的偏りの方が望まれる場合もある、ということだ”。〔偏りが求める母集団の特性を表しているような場合。〕

Highは、IBMがSloan Kettering Cancer Center(がんセンター)で行った例を取り上げた。その病院は、がん治療の優れた外科医たちの仕事に基づいてモデルを訓練した。彼曰く: “しかしSloan Ketteringには、治療のやり方に関する独特の哲学があり、その哲学が偏りとして組み込まれた。それはその機関の偏りであり、彼らのブランドでもある。[…]Sloan Ketteringの外でそのシステムを利用するときも、その哲学による偏りを免れない”。

“偏りが正しい偏りであるためには、モデルの利用者や、彼らが代表している集団が、多様な文化集団がある中でもとくに、その偏りにとって適正な人びとでなければならない”。これは、IBMのクライアントに対してHighがよく言う言葉でもある。偏りを偏りとして直視し、ときにはその意義も認めることは、今だにこの種の話題を無視しがちな業界における、肯定的な兆候のひとつだ。

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MWCに見る3.5mmヘッドホーンジャックの盛衰、ないことが高級機の証拠、しかし低価格機では必須

ワイヤレスの産業が今、Mobile World Congressで最新の技術と製品を披露している。Samsung, Sony, Nokia, LGなどからここで発表されたスマートフォンの新製品は19機種だ。各社はそれらを、2018年に消費者に売っていくつもりだ。その多くに3.5mmのジャックがあるが、でもその多くは中級から初級レベルの機種で、各社の旗艦的製品からは急速に姿を消しつつある。

上記19機種の中で、古典的な3.5mmのヘッドホーンジャックがあるのは17機種だ。ないのは、Sony XZ2, Sony XZ2 Compact, そしてNokia 8 Siroccoだ。しかしこれらの機種の前の型には3.5mmジャックがある。〔下図参照〕

いわゆる旗艦機の中でも、Samsung Galaxy S9とLG V30s ThinQは3.5mmのヘッドホーンジャックがある。SamsungはS9の発表の席で、このスマートフォンは革新的である、3.5mmのポートがあるからBluetoothが要らない、とジョークを言った。

3.5mmのジャックは2016年から徐々に姿を消し始めた。その年の4月にLeEcoは、ジャックがなくて、USB-Cをオーディオ用とする一連のスマートフォンを発表した。その後、Appleは2016年9月にiPhone 7でジャックを消し、さらにGoogle Pixel, Moto Z, HTC U11, Xiaomi Mi 6らがこのトレンドに乗った。

ヘッドホーンジャックがある機種と、ない機種の境(さかい)が明確になってきた。

MWC 2018で発表されたスマートフォンの多くが、低価格のミッドレンジ機で、それらはどれも3.5mmのジャックがある。いくつかの旗艦機も発表されたが、ヘッドホーンジャックがあるのはその半分だ。ただし量販されていないLand Rover ExploreとCat Rugged S61は、計算から除外する。

MWC 2018で新製品を発表しなかったのが、Motorola, HTC, Xiaomi, Huaweiだが、彼らの今後の機種に3.5mmのジャックがあることは、考えられない。すでに、前の機種からないのだから。

低価格機の3.5mmジャックは、Bluetoothヘッドセットがうんと安くなるまで、なくならないだろう。今は、ミッドレンジのBluetoothヘッドセットの方が、一部のスマートフォンよりも高い。

2018年の初めという今の時点では、ヘッドホーンジャックはミッドレンジから初級レベルのスマートフォンでのみ、標準装備だ。各社の旗艦的機種では、3.5mmジャックは徐々に姿を消し、やがて、このジャックがないことが高級機であることの印(しるし)のひとつ、と見なされるだろう。

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VivoやHuaweiのカメラを隠すデザインは未来のモバイルを先取りしている、かな?

今年のMobile World Congress(バルセロナ)では、おもしろいコンセプトが盛り上がっている。二つの製品が、カメラを使うときまではそれを隠すことによって、新鮮なデザインとプライバシーの強化を強調している。Vivoはカメラをスマートフォン本体の小さなスライド式トレイに収め、Huaweiは近く発売するMacBookクローンでカメラをキーボードの上のドアの下に隠している。

これはもしかして、モバイルのデザインの未来を暗示しているかもしれない。

ラップトップでもスマートフォンでも、カメラは長年、プライバシーのエキスパートを嘆かせる場所に置かれていた。カメラをリモートで使われるのを防ぐためにレンズをテープなどで塞いでいる人もいる。HPなどはシャッターを設けて、ユーザーのコントロールを強化していたが、ベゼルの幅をかなり必要とするので、すぐに廃(すた)れてしまった。

ベゼルが限りなくゼロに近づくにつれて、新しいソリューションが必要になった。iPhone Xのノッチは、その努力の例だ。でもVivoやHuaweiなどは、スクリーンの近くに小さな刻みを入れるよりも、ましなソリューションを求めている。

Huaweiの場合は、偽物のキーをキーボードに載せて、そこにカメラを収めた。そのキーを押すと、上蓋(あげぶた)のように開く。隠すのは迷案だが、しかし良い写真を撮るためにはカメラの位置や角度に注意する必要がある。実際に試してみると、そのままでビデオ会議などに参加するなら、ご自分の鼻毛をきちんと切っておくこと!

Vivoも、隠すという点ではHuaweiと同じだが、カメラをスライド式トレイに収め、使うときには上に飛び出てくる(上図)。これは、“前面にカメラさえなければ、完全なフルスクリーンに近くなる”、というEngadgetのChris Velazcoの要望に応えたデザインだ。

どちらも今のところは、現状に対するちょっと馬鹿げた代案にすぎないが、デザインのスタンダードを進化させようという試みでもある。どちらも可動式だから、壊れる危惧もある。でもぼくなんかは、このやり方が今後もっともっと改良されて、今の退屈な、単なる板に代わる、スマートフォンの新しいデザインの時代が来てほしい、と思うね。

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