77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

工場DXのための現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を提供するものレボは10月5日、第三者割当増資による総額1億8000万円の資金調達を発表した。引受先はALL STAR SAAS FUND、京銀未来ファンドなど。

調達した資金は、製造業のサプライチェーンのデジタル化を推進すべく、ものレボの開発・販売、ものレボと連携する「サプライチェーンプラットフォーム」の事業化のための人材獲得にあてる。77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

サプライチェーンプラットフォームとは、ものレボを活用し製造現場のデジタル管理を実現できた顧客と、少量多品種・短納期の調達ニーズを持つ企業のマッチングを図る仕組み。

現在ものレボは、2019年1月より国内外の77社130工場(2021年8月31日時点)の製造現場において利用されているという。77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

多くの中小製造業は大手の系列からの下請けの仕事が多く、系列トップの業績に左右されやすく、安定した経営のための系列以外からも受注できるようにすることが課題となっている。同プラットフォームで受注することができれば、系列からの脱却、工場の稼働率アップと売上拡大が期待できるとしている。また発注側は、効率的に試作部品や治工具を調達することで事業のスピードが向上するという。77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

消費者やニーズの多様化により、従来の大量生産大量消費ではなく少量多品種・短納期の要求が高まってきており、同社はこの要求にいち早く応えるためサプライチェーンプラットフォームを形成し、様々なニーズに応える体制づくりをサポートする。

WebOpsプラットフォームのPantheonが予定より1年前倒しでSoftBank Vision Fundから約110億円調達

WebOps SaaSプラットフォームのPantheonは何年も前にDrupalとWordPressをホストする企業として発足した。Pantheonが2021年7月中旬、Softbank Vision Fund単独によるシリーズEラウンドで1億ドル(約110億)を調達したと発表した。このラウンドでPantheonの評価額は10億ドル(約1098億円)を超え、同社はユニコーン企業としての地位を手に入れた。

Pantheonの共同創設者兼CEOであるZackRosen(ザック・ローゼン)氏は、同社は特に急いで資金調達をする必要に迫られていたわけではなかったと語った。「今回得た資金は、現在私たちが取り組んでいることにさらに弾みをつけるのに役立てることになります。当社は銀行にたくさんの現金を持っているので、今後 1年か2年で資金調達する予定ではあったのですが、今すぐに資金調達が必要だったわけではありませんでした。しかし、私たちはこの業界がどこに向かっているのかについて確信を持っており、お客様のニーズもかなり明白であることから、資金調達の時期を6カ月から1年前倒しし、すでに遂行計画に入っている事柄を加速するチャンスとしてこの機会を活用することにしました」。

ローゼン氏のいう通り、企業ウェブサイトの役割はPantheonが約12年前に発足した当時とはだいぶ変容してきている。もともと企業ウェブサイトはブランドの確立やニュース発表の経路を確保する役割を果たしていたが、昨今ではウェブサイトはダイレクトに収益に結びついている。「最近では、企業の担当者がお客様と商談する前に、購入決定の大半がなされています。あらゆる調査がウェブサイトを閲覧することで完了しているのです。広告内のリンクや電子メール内のリンクも、お客様をウェブサイトにつなぎます。ウェブサイトは最も重要なデジタル製品なのです。マーケティング担当者はウェブサイトをこのように捉え始めています」。

このため、ホスティングとパブリッシングで問題が解決することがある一方で、Pantheonは今後、企業のウェブサイトを通じて収益を上げそれを測定する、という部分に多くのチャンスがあると見ている。もちろん、同社のサービスの中心は依然としてサーバーレスホスティングプラットフォームであり、サービスの主な対象者は開発者である。しかし、同社が現在投資している多くの事柄を促進しているのはマーケティングチームと開発者によるコラボレーションである。「最高クラスのデジタルサービスを日々繰り返しお届けし、さらにデザイナー、開発者、ウェブサイトの所有者、プロジェクトマネージャーとともに作業していくには、その作業を記録するシステムが必要です。そうしたチームには確実なワークフローが必要なのです」とローゼン氏は語った。

企業は、高性能ホスティング、CDN、およびウェブサイトをホストするための重要な要素に加え、そうしたワークフローを提供してくれる信用のおけるSaaSプラットフォームを探しているとローゼン氏はいう。「チームはそうしたことを考えるのをやめたいと望んでいます。彼らが必要としているのはパートナーであり、Stripe、Twilio、SalesforceといったSaaSアプリケーションです。彼らはそれらを機能させることを望んでいるのであり、そのために気持ちを煩わせることは望んでいません。ですから、それを管理してくれるサービスがあれば、チームが関心を持っている結果を促進する物事に力を注ぐことができます」。

画像クレジット:Pantheon 

SoftBank Vision Fundの投資先にはByteDance、Perch、Redis Labs、Slack、Arm(そして悪名高いWeWork)などがある。そうしたSoftBank Vision Fundからの資金調達について、ローゼン氏はPantheonには、投資元についていくつか選択肢があったのだが、最終的にSoftBankのチームが「このカテゴリーの有力な信奉者」であり、Pantheon がWebOpsカテゴリーを明確なものにしていくにあたり必要な規模に到達するのを、SoftBankがサポート可能であると判明したのだと述べた。

SoftBank Investment AdvisersのパートナーであるVikasParekh(ビカス・パレック)氏は次のように述べている。「デジタルトランスフォーメーションが重要なビジネスインフラのクラウドへの移行を加速しました。私たちは、Pantheonの一流のプラットフォームが、SaaSサービスを通しワークフローと自力での作業を自動化することによって、最新のウェブサイトエクスペリエンスがどのように生み出されるか、その方法を変革していっていると確信しています。私たちはローゼン氏およびPantheonチームと提携して、同社の志をサポートするのをとてもエキサイティングなことだと感じています。Pantheonは、企業が結果を生み出すウェブサイトを構築するための新たな、そしてより優れた方法を提供することを目指しているのです」。

画像クレジット:Pantheon

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Dragonfly)

オーストラリアのTechnologyOneが英国の高等教育プラットフォームScientiaを約18.2億円で買収

オーストラリアのSaaS企業であるTechnologyOne(テクノロジー・ワン)は、英国の高等教育ソフトウェアプロバイダーであるScientia(サイエンティア)を現金1200万ポンド(約18億2000万円)で買収することに合意した。

TechnologyOneは、オーストラリアの高等教育機関の75%が同社のソフトウェアを使用していると主張しており、一方、Scientiaは英国で50%の市場シェアを主張している。

この買収には、600万ポンド(約9億13000万円)の初期払いとそれ以降の支払いが含まれている。

TechnologyOneの創業者であり、会長のAdrian Di Marco(アドリアン・ディ・マルコ)氏は「今回の買収は、当社にとって初めての国際的な買収であり、高等教育分野と英国市場への貢献に対する当社の深いコミットメントを示すものです。ScientiaのユニークなIPと市場をリードする能力は、とにかく使いやすい企業向けソフトウェアを提供するという当社のビジョンを支えています」と述べている。

スウィンバーン工科大学の学籍担当事務官兼学生管理・図書館サービス部長のMichelle Gillespie(ミッシェル・ギレスピー)氏は「学生が最も気にかけているのは、自分たちの時間割です。時間割を学生生活全体に完全に統合できることは非常に重要であり、スウィンバーン工科大学のようにTechnologyOneの学生管理システムを使用している大学にとってはとてもワクワクする一歩となります」とコメントしている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

生徒や保護者、教師から大量のデータを収集、新型コロナで孤立する生徒を学校が理解するのを助けるPanorama

幼稚園から高校までの教育ソフトウェアプラットフォームを構築しているPanorama Education(パノラマ・エデュケーション)は、General Atlantic(ジェネラル・アトランティック)が主導するシリーズCラウンドで6000万ドル(約65億7900万円)の資金を調達した。

既存の出資者であるOwl Ventures(オウル・ベンチャーズ)、Emerson Collective(エマーソン・コレクティブ)、Uncork Capital(アンコーク・キャピタル)、Chan Zuckerberg Initiative(チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ)、Tao Capital Partners(タオ・キャピタル・パートナーズ)もこの資金調達に参加し、ボストンを拠点とする同社の2012年の創業以来の調達額は1億500万ドル(約115億1400万円)となった。

Panoramaは、今回のシリーズCの調達額や、具体的な財務成長指標については明らかにしていない。しかし、CEO兼共同創業者のAaron Feuer(アーロン・フォイヤー)氏は、同社が現在、米国内の2万3000の学校で1300万人の生徒にサービスを提供しており、これは米国の生徒の25%がPanoramaのサービスを受けていることを意味すると述べている。

また、国内最大100の学区および州機関のうち50以上が同社のプラットフォームを使用しているという。合計で1500以上の学区がPanoramaの顧客となっている。顧客には、ニューヨーク市教育局、ネバダ州クラーク郡学区、テキサス州ダラスISD、ハワイ州教育局などが含まれる。

フォイヤー氏によると、2020年3月以降、Panoramaの顧客には700の学区が追加され、18カ月前に提供していた800の倍近くになったという。

では、Panoramaは具体的にどんなことをしているのか?ひと言でいうと、生徒や保護者、教師を対象に調査を行い、実用的なデータを収集するSaaSビジネスだ。イェール大学の大学院生だったフォイヤー氏とXan Tanner(ザン・タナー)氏は、学校が生徒からのフィードバックを収集し、理解するための最良の方法を見つけるために、Panoramaを設立した。

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行により、多くの生徒がバーチャルで学校に通うようになった今、生徒の社会的・感情的なニーズに対応する必要性は、かつてないほど高まっている。多くの子どもたちやティーンエイジャーが、仲間から孤立したことで、うつ病や不安症を患っており、そのメンタルヘルスへの影響は、学業への悪影響以上のものがあると考えられている。

例えば、生徒には学校でどれくらい安心できるか、教師をどれくらい信頼しているか、自分にはどれくらいの可能性が秘めていると感じるかなどについて質問する。

「私たちは、学校が生徒、教師、保護者を対象に調査を行い、学校の環境や経験を理解する手助けをしています。そして、学校が社会的・感情的な発達を把握することを支援し、数学の厳密なデータと同じように、社会性と情動の学習(SEL)や健康状態に関する情報を得ることができるようにしています」とフォイヤー氏はTechCrunchに語っている。

例えば、過去1年間に全国で2500万人がPanoramaの調査に参加しており、かなりの量の情報が得られている。Panoramaは、地区の既存のデータシステムすべてと統合することができ、地区データの「全容(文字通りパノラマ)」と生徒の情報をまとめて提供することができる。

「教師がログインして、生徒に関するすべての情報を一か所で見ることができるので、とてもパワフルです。しかし、最も重要なのは、教師が生徒のために行動を計画するためのツールを提供することです」とファイヤー氏は語っている。

Panoramaは、同社のソフトウェアを使用することで、卒業率の向上、学生態度を照会する回数の減少、学習時間の増加、生徒が「大人や仲間とのより強い協力関係」を築くなどの効果が得られると主張している。

Panoramaは今回の資金を、製品開発の継続、地区とのパートナーシップのさらなる強化、そして当然ながら雇用にも充てる予定だ。Panoramaには現在、約250名の社員が在籍している。

Panoramaはここ数年、資金調達を行っていなかったが、それはファイヤー氏によると、資金を必要としていなかったからだそうだ。

「私たちはGeneral Atlanticと出会い、学校に次のレベルのインパクトを与える機会があることを実感しました。しかし、私にとって重要だったのは、資金を調達する必要がなかったということでした。事業に投資できるようにするため、資金調達する道を選びました」と彼はTechCrunchに語った。

General AtlanticのマネージングディレクターであるTanzeen Syed(タンジーン・サイード)氏は、Edtech(EdTech)はこの会社にとって重要な分野であると述べている。

「米国の教育システムに目を向けたとき、そこには大きなチャンスがあり、ソフトウェアやテクノロジーを使って学生の体験を本当の意味で向上させることができる、非常に初期の段階にあると考えました」と彼は語っている。

また、Panoramaについては「単なるビジネスではない」と考えている。

「Panoramaは、学生や管理者に、学生生活をより良いものにするためのツールを提供することを、本当に真剣に考えています。そして彼らは、それを可能にする製品の開発に夢中になっているのです。それに加えて、多くの学校や地区と話をして得られたフィードバックは、一貫してポジティブなものでした」とサイード氏はTechCrunchに語ってくれた。

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画像クレジット:Panorama

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Akihito Mizukoshi)

新規就農者・異業種参入企業への栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を手がけるINGENが5000万円調達

新規就農者・異業種参入企業への栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を手がけるINGENが5000万円調達

栽培指導SaaS「農の相棒Mr.カルテ」開発・運営を手がけるINGENは9月1日、5000万円の資金調達を発表した。引受先はANRI、NEXTBLUE。日本の農業技術を新しい形で継承できるサービス・事業を構築し、農業業界を若手農家・異業種参入企業など次世代が安心して参入できる業界に変えるとしている。

INGENは「JAPANクオリティの農産物を世界の食卓へ」をミッションとして掲げ、2015年に創業した農業ITスタートアップ。日本の農業技術の継承を目的とし、新規就農者・異業種参入企業に対してより良い栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を開発・運営している。

同社は、農業専門SaaS企業として、栽培指導者に寄り添った独自の肥料などデータベース(特許取得済)や、導入支援を強みとしているという。今回の調達した資金は、それら栽培指導の機能強化のスピードアップと、データベース更新・導入支援体制の拡大にあてる。

農の相棒Mr.カルテは、栽培指導・処方のDX化支援を通じ、農業者が遠方からでもオンラインで優れた栽培指導・処方を受けられるようにする農業SaaS。この処方とは、土壌分析や生育状況から肥料・土壌改良材などの組み合わせ・使用量に関する提案を指すという。栽培指導者が作った「カルテ」は、農業者側はそのまま「日誌」として活用できるそうだ。

農家にとっては「指導・処方が記録に残り技術が身につきやすい」「農資材使用のタイミングや超早期病害対策が身につく」をメリットとして挙げており、栽培指導者にとっては「職員だれでも一定レベルの指導が実現」「オンラインでも精度の高い栽培指導が可能」「農資材の単品販売ではなく、栽培指導・処方の一環として農資材提案が行える」としている。新規就農者・異業種参入企業への栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を手がけるINGENが5000万円調達新規就農者・異業種参入企業への栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を手がけるINGENが5000万円調達

INGENによると、日本の農産物は「味・質・鮮度」技術を強みとしており、これを活かすと同時に生産量の安定を両立する技術が求められてきたという。

具体的には、「病害虫・天候不良に対する超早期対策」の技術継承が両立に直結していることから、Mr.カルテではこれを可能とすることで新規就農者・異業種参入者の独り立ち促進と減農薬・減肥をサポートするとしている。

自費診療特化SaaS「medicalforce」がデジタル問診票機能を正式リリース、美容クリニックのDXを推進

自費診療特化SaaS「medicalforce」がデジタル問診票機能を正式リリース、美容クリニックのDXを推進

メディカルフォースは8月31日、自費診療特化SaaS「medicalforce」において、デジタル問診票機能を正式リリースしたと発表した。これにより、美容クリニックのDXを加速させ、現場の非効率の軽減するとしている。

2020年11月設立のメディカルフォースは、「美容医療業界のニューノーマルをつくる」をミッションに、美容医療の現場の負担をテクノロジーで解決し、現場に余裕をもたらすことを目指すスタートアップ。

同社のmedicalforceは、予約管理・電子カルテ・会計といった自費診療の現場業務を管理・連携できるクラウドで一括管理できるサービスとなっている。自費診療の現場の非効率を減らす上で、「問診票の記入に手間がかかる・ミスが起きやすい」という課題を仕組みで解決するために、デジタル問診票機能をリリースしたという。自費診療特化SaaS「medicalforce」がデジタル問診票機能を正式リリース、美容クリニックのDXを推進

デジタル問診票機能では、患者側が問診票の記入を完了させると、自動でカルテに反映される。問診票に記載する項目は自由にカスタマイズできるほか、施術ごとに特定の問診票を作成することも可能。また、英語・中国語にも対応しており、海外からの患者にも利用できるという。

中・大病院向け地域医療連携SaaS「foro CRM」でデータの一元管理・分析を可能にするメダップが6億円調達

中・大病院向け地域医療連携SaaS「foro CRM」でデータの一元管理・分析を可能にするメダップが6億円調達メダップ(MedUp)は8月31日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額6億円の資金調達が完了したと発表した。引受先は、DNX Ventures、ALL STAR SAAS FUND、モバイル・インターネットキャピタル。シードラウンド以来の調達総額は約8億円となった。

調達した資金は、病院経営の非効率をDX化におけるデータドリブンで解決するため、人材採用の強化、プロダクト開発、マーケティング投資に活用する予定。中・大病院向け地域医療連携SaaS「foro CRM」のさらなる市場拡大と開発体制の強化に投資し、将来的には地域連携以外の病院経営に関わる課題の効率化に向けたプロダクト開発も検討する。

2017年8月設立のメダップは、「DXで、病院を最先端の業界にする」をビジョンに、医療従事者の労働量や医療費などが持続可能な形で、医療サービスの質が改善される世界を実現することを目指すスタートアップ。

同社のforo CRMは、前方連携のマーケティング・営業・カスタマーサクセスをワンストップで実現する地域医療連携強化支援サービスという。済生会熊本病院との共同開発により、病院のオペレーションに特化した形でで連携活動に重要な分析・管理・共有機能を搭載している。

メダップによると、病床機能分化や地域包括ケアシステムの実現に伴い、患者への医療提供や病院経営における医療機関同士や介護施設などとの連携の重要性が高まっているものの、地域連携活動では多様な活動やデータが存在することから、活動記録の一元管理および効果検証が困難という課題があるという。

これら課題に対して、foro CRMは地域連携活動記録にプラットフォームを提供し、データの一元管理を可能にするとしている。さらに、それらをDPCデータ、紹介・逆紹介データなどと結び付け、連携活動の戦略立案と効果検証を可能にする。また同社専門家のサポートにより、確実にDPC対象病院とクリニックの効果的な意思疎通を実現するという。

HAAS Alertが自動車衝突防止システム拡張のために5.5億円のシードラウンドを実施

リアルタイム自動車衝突回避システムを公道上の車両に提供するSaaS企業のHAAS Alert(ハーズアラート)が、500万ドル(約5億5000万円)のシード資金を調達した。同社はその資金を、販売やマーケティングの拡大、そして車対車間および車対インフラ間(V2X)技術の研究開発 / 提携を加速するために使用するという。

このラウンドは、R^2とBlu Venturesが主導し、TechNexus、Stacked Capital、Urban Us、Techstars、Ride Ventures、Gramercy Fundが参加した。

HAAS Alertは、携帯の電波を使うセンサーを利用して、車両周辺の環境から道路のハザードデータを取り込み、その予測技術によって車両システムを通じてドライバーにデジタルで警告を発する。HAAS Alertが独自に開発したデジタル警告システムSafety Cloud(セーフティクラウド)は、消防車、救急車、警察車両、レッカー車、建設車両、廃棄物処理車両、スクールバスなど、官民を問わずさまざまな車両に搭載されている。

HAAS Alertのコネクテッド・ビークル担当上級副社長のJeremy Agulnek(ジェレミー・アグルネク)氏は、TechCrunchの取材に対し「緊急対応要員、けん引業者、建設・作業現場の作業員、および類似の役割を果たす自治体職員の車両は、衝突による死傷率が極めて高いのです」という。「同時に彼らは、地域社会のバックボーンとなる存在であり、すべてのドライバーが毎日のように道路で出会う存在でもあるのです。これらの仕事の多くはもともと危険をともなうものですが、それでも衝突されることによる事故は、すべての死因の上位にランクされています」。

HAAS Alertは、先進的運転支援システム(ADAS)とV2Xを、課題に対するソリューションとして捉え、道路上で最もリスクの高い人たちからサービスを始めて、そこから発展させていくことを目指している。

「私たちにとって、この活動はコネクテッドビークルをエンターテインメントや一般的なコネクティビティのために使用するということではなく、特に安全性に注力するということなのです」とアグルネク氏は述べている。「こうした人びとをつなぎ、保護することで、すべてのドライバーとインフラ対してコネクテッドビークルの体験をすぐに提供することができ、コミュニティの安全性も高めることができるのです。私たちは、緊急応答者や道路作業者の安全性課題を解決することが、モビリティを次のステージに進めるための最も重要な要素だと考えています」。

現在、Safety Cloudは750以上の公共機関や民間企業の車両に搭載されており、合計で10億回以上の警報を送信している。

HAAS Alertは、V2X技術を活用して衝突のリスクを低減しようとするスタートアップの増加を象徴しており、資金調達はパズルの大きなピースとなるだろう。ソフトウェアの開発や保守にコストがかかるだけでなく、公共のインフラや車内にセンサーを設置するためのハードウェアや人的コストも安くはない。HAAS Alertは、2022年までにドライバー安全警報100億回を達成したいと考えているが、そのためには、自動車業界をもっと巻き込む必要がある。現在、同社は主に緊急 / 専門車両群を相手に仕事をしているが、同社のプラットフォームを利用する車両群が増えれば、より多くの一般自動車顧客を獲得することができ、その逆もまた成り立つだろうという。

「緊急 / 専門車両群や代理店経由のお客様には、Safety Cloud上で路上資産を有効活用するために納得していただける料金をお支払いいただき、一般自動車利用のお客様には、当社が提供する安全警告、ソフトウェア、その他のサービスに対するライセンス料をお支払いいただいています」とアグルネク氏はいう。

同社によれは、緊急車両が点滅信号を作動させた際に、接近してくるドライバーたちに自動的にデジタル警報を一斉に送ることができるハードウェア「HA-5トランスポンダ」を、全国の車両に積極的にインストールしている最中だという。これらの警報は、道路上や道路付近に緊急応答要員がいることを他の道路利用者たちに知らせ、ドライバーに減速や回避の時間を与える。

アグルネク氏によると、彼らのハードウェアのセットアップは迅速かつ簡単に行うことが可能で、ダウンタイムも最小限に抑えることができるものの、車両にすでにインストールされている配車システムやGPSやテレマティクスシステムを介して追加のハードウェアなしでSafety Cloudを統合するオプションも用意されているという。

「Safety Cloudの警報を車両に追加するために必要なのは、車両の既存のテレマティクス機能を介してデータを受信し、インフォテインメント画面や機器部分にドライバーへのアラートを表示するためのソフトウェアアップデートだけです」とアグルネク氏は説明する。「現在、ある自動車メーカーとのプロジェクトを進めていますが、彼らの車にアラート機能を実装するのに1週間もかかりませんでした」。

各種の計算は、クラウドまたはハードウェア内のエッジチップで行われる。つまり、警告ロジックは、HAAS Alertのクラウド、車両OEMのクラウド、車両搭載ユニット、またはハイブリッドのマルチロケーションアーキテクチャ上に配置することができる」とアグルネク氏はいう。

Safety Cloudには車両管理プラットフォームのSituational Awareness Dashboard(状況認識ダッシュボード)が標準提供されており、行政機関同士が管轄区域を超えた連携ができるように設計されている。またHAAS Alertは、特定の業界向けのアドオンも可能だ。例えば、R2R(レスポンダートゥーレスポンダー)は、車内に取り付けられたライトが、他のSafety Cloud搭載車がアクティブレスポンスモードで同じ交差点に近づいてきたときに、レスポンダー(緊急応答要員)に対して通知を送る機能だ。またFleetFusion(フリートフュージョン)は、Safety Cloudのリアルタイムデータを組織内のダッシュボード、サードパーティアプリケーション、交通管理センターに統合することができる。

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画像クレジット:HAAS Alert

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

電子商取引の記帳を自動化する会計プラットフォームのSynderが2.2億円調達

Synderのマイケル・アストレイコ氏とイリヤ・カイゼル氏(画像クレジット:Synder)

Synder(シンダー)の共同創業者であるMichael Astreiko(マイケル・アストレイコ)氏とIlya Kisel(イリヤ・カイゼル)氏は、Y Combinatorでの活動を終えると同時に、シードラウンドでTMT Investmentsから200万ドル(約2億2000万円)を調達すると発表した。

このラウンドは、アクセラレータープログラムに参加する前に獲得したものだが、ベラルーシを拠点とする2人は、このマイルストーンを公にするのを待ちたいと考えていた。今回の資金調達は、次の成長と拡大に向け、より多くの顧客を獲得し、知名度を上げ、販売につなげることを目的としている。

同社は、電子商取引ビジネスのための簡易な会計プラットフォームを自称している。もともとは2016年にCloudBusinessとして創業し、中小企業向けの会計の自動化と企業財務の管理のために開発を行っていた。

アストレイコ氏とカイゼル氏は2018年にSynderを立ち上げた。その1年後には、会社の時間をすべて、企業がオムニチャネル販売に移行する簡単な方法の開発に費やした。アストレイコ氏がTechCrunchに語ったように、オムニチャネル販売は、異なる決済システムの高い手数料や複雑さのせいで「大きな苦痛」となり得る。

「市場には多くのソリューションがありますが、会計や商取引に対応しながら経営するには、やはり特別な知識が必要です」とカイゼル氏は話す。「私たちにとって、シンプルであるということは、数回のクリックで連結された在庫、利益、負債にアクセスできるのであれば、それだけの価値があるということです。小規模な企業では、競争のためにそうした情報を共有していないことがありますが、機能的で簡単なものであれば、間違いなく共有するでしょう」。

Synderは、Amazon(アマゾン)、Shopify(ショッピファイ)、eBay(イーベイ)、Etsy(エッツィ)などの販売チャネルを1つのプラットフォームに接続し、ユーザーがワンクリック操作で管理できるようにして企業の重い負担を軽減する。また、さまざまな決済方法をそのまま利用できるように、会計処理の流れを支援する方法も生み出した、とカイゼル氏は語る。

同社はすでに4000社の顧客と取引をしており、今後は事業拡大を急ぐが、会社の成長には適切な人材が必要だとアストレイコ氏はいう。

TMT InvestmentsのパートナーであるIgor Shoifot(イゴール・ショイフォット)氏は、SynderがYCを卒業した後、Synderの役員に加わる予定だという。同氏は、この会社がやっていることのシンプルさを気に入っている。

「最良のソリューションは、経済的で簡潔かつエレガントなものであることが多く、10分で使い始めることができます」ショイフォット氏は付け加えた。「こんなに簡単で、何かをダウンロードしたりインストールしたりする必要のない、似たようなソリューションを提供しているところは本当にありませんでした。また、成長に力を入れている点や、キャッシュバーンがなく、収益を上げている点も気に入っています」。

Synderのビジネスモデルは、サブスクリプション型のSaaSモデルで、無料トライアルから始まり、ユーザーは企業の規模に合わせてプラットフォーム内の追加サービスを購入することができる。

15人以上の従業員が欧州に散らばっており、米国ではマーケティングとセールスの分野で採用を始めたばかりだ。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

接客ノンデスクワーカーに向け実店舗業務を効率化する現場接客DX SaaSを提供するcocoが2.4億円調達

接客ノンデスクワーカーに向け実店舗の業務を効率化する現場接客DX SaaSを提供するcocoが2.4億円調達

店舗向けに現場接客DX SaaS「coco」を提供するcoco(ココ)は8月25日、第三者割当増資による約2億4000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、Z Venture Capital、マネックスベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、basepartners、Headline、みんなのマーケット、East Ventures、個人投資家の有安伸宏氏、笠原健治氏、吉田浩一郎氏、今泉卓也氏、堅田航平氏、田村航弥氏、従業員含む6名となっている。これにより、累計3億円を超える資金調達が完了した。

cocoは、実店舗の業務を効率化する「接客現場DX」プラットフォーム。具体的には、顧客アンケートのデジタル化や、電話による顧客とのやり取りをテキストチャットに転換するなどで顧客満足度を向上させるとのこと。つまり、顧客の声を丁寧に拾い上げ、店舗に埋もれている接客関連のデータを有効活用して、店舗と接客を改善し、利益の増大につなげるというものだ。

コロナ禍により、店舗に足を運ぶ人がいなくなり、売り場はすべてオンライン化されてしまうという危機感があったと、cocoの代表取締役の高橋俊介氏は話す。しかし、現実には実店舗での買い物を望む人々の気持ちは強く、高橋氏は買い物によって「お店とは、こんなにも楽しくワクワクする場所なのか」と改めて実感したとのこと。

しかし現在、店舗では密を避けるために様々な制約が生じ、対応顧客数を減らさなければならない状況を強いられている。そこで、顧客1人あたりの購買単価やリピート率の向上が重要となり、接客のDXが求められているというわけだ。「人々はリアルで良質な体験を強く必要とし、その良質な体験を提供する場がお店であり、お店があるから、私たちは日々の生活を豊かに、楽しく暮らすことができるのです」と高橋氏は話している。

今回調達した資金で、セールス体制の強化、プロダクトのアップデート、店舗スタッフが「よりリッチで洗練された体験を顧客に対して提供できるようなプラットフォーム作り」を目指すという。

建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」の開発・運営を手がけるフォトラクションが7.6億円調達

建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」の開発・運営を手がけるフォトラクションが7.6億円調達

建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」(フォトラクション)の開発・運営を行うフォトラクションは8月25日、第三者割当増資による7億6000万円の資金調達を発表した。引受先は、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)、GMO VenturePartners、既存株主のDBJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル。調達した資金により、PhotoructionおよびAIを活用しデスクワークや雑務を代行するアウトソーシングサービス「建設BPO」の開発とカスタマーサクセス、採用と組織体制の強化を実施していく予定。

建設業界では、国内建設投資額が平行線になると予測され、今後も多くの需要が見込めるという。しかし、法改正により2024年には残業規制がかるのに加え、労働人口が100万人減ると予想されており、労働力不足のために1人当たりの生産性向上や人材リソースの確保は待ったなしの状況となっているという。そこで同社は、人材とテクノロジーへの投資を継続的に実施することで、国内60兆円を超える建設産業の生産性向上をさらに加速するとしている。

2016年3月設立のフォトラクションは、「建設の世界を限りなくスマートにする」をミッションとし、建設現場の生産性向上をアプリケーションとデジタルアウトソーシングで支援するサービスとして、Photoructionを提供している。同サービスは2017年末に工事現場の写真管理アプリケーションとしてスタートし、現在ではスーパーゼネコンをはじめ10万超の建設プロジェクトで活用されるようになった。また2018年には、建設業務に特化したAIの研究開発も開始。2021年1月に建設BPOをリリースした。

建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」の開発・運営を手がけるフォトラクションが7.6億円調達

同社は、SaaS×AIにより、業務の効率化だけではなく1人当たりの労働時間を増やせるよう、新しい生産性向上サイクルの可能性を追求するとしている。
建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」の開発・運営を手がけるフォトラクションが7.6億円調達

クラウド型建設プロジェクト管理の「アンドパッド」が建設現場の短時間工事に特化した稼働管理アプリをローンチ

クラウド型建設プロジェクト管理の「アンドパッド」が建設現場の短時間工事に特化した稼働管理アプリをローンチ

クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を運営するアンドパッドは8月5日、建設現場の稼働管理アプリ「ANDPADボード」をローンチしたと発表した(ANDPAD施工管理とは別サービス。ANDPAD施工管理契約済みのユーザーは別途契約が必要)。

ANDPADボードは、1日程度の短期間で工事が完了する業務向けに開発された稼働管理アプリ。作業員の日程調整から現場情報の共有、作業完了報告までワンストップで実現することで情報を一元管理可能という。このため、出先・事務所で予定を調整している社員や、現場に向かう工事担当者も簡単操作で効率的な稼働管理を実現できる。特に、「流通」「メーカー」「修繕メンテナンス」「原状回復」「サッシ・建具工事」「看板サイン工事」「給湯器工事」などの修繕・取り付け・設置工事分野で利用しやすいとしている。

設備設置工事や看板サイン工事など施工時間が短い工事の日程調整や現場管理には、職人や現場担当者へのスピーディーな情報共有が重要であるにもかかわらず、ホワイトボードや付箋などアナログなツールで情報管理されていることが多く、リアルタイムの情報共有が難しいという課題があるそうだ。

アンドパッドは、従来のガントチャート形式工程表よりシンプルに使え、稼働管理もできる機能がほしいという要望を受けていたことから、ANDPADボードの開発・ローンチに至ったという。

ANDPADボード概要

  • ホワイトボードをクラウド化、より円滑な情報共有で稼働管理を改善:メール・FAX・紙・電話で連絡しホワイトボードで行っていた職人・協力会社の稼働管理・スケジュール情報を、クラウドで一括管理。出先での急な日程変更が発生しても、すぐにANDPADボードで編集・共有できる。PC、スマホ、タブレットで工事予定が閲覧・編集できるため営業、事務、協力会社の全員がいつでも、どこでも最新情報を確認可能。また、現場情報の確認から作業報告までアプリですべて完結するため、事務所へ確認に戻る手間などを削減できる
  • 現場での使い勝手追及、柔軟な権限設定で他拠点展開にも対応:現場での使いやすさを追求し、今週や明日の予定をスマホで確認できる。当日予定している工事の段取り情報の確認もカレンダーをタップするだけ、作業の完了報告もホーム画面から作成可能。また、管理者ユーザーは、ユーザーごとに各カレンダーの閲覧・編集権限を自由に設定できるため、支店別や社内外などさまざまなな構成での管理が可能

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SaaS事業者向けカスタマーサクセスクラウドを手がける「openpage」が1億円調達

SaaS事業者向けカスタマーサクセスクラウド「openpage」を運営するopenpageは6月23日、1億円の資金調達を実施した。引受先は伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)。調達した資金は製品開発に投資し、米国製品に対抗できる機能開発を行う。あわせて、先端SaaS企業やカスタマーサポート支援企業との協調開発を視野に入れ、海外でも戦えるサービスを開発する。

カスタマーサクセスとは、顧客の潜在的な悩みに対し積極的にアプローチし、解決すること。顧客からの問い合わせを待つ受動的なカスタマーサポートとは異なり、カスタマーサクセスでは能動的に対応・支援を行う。openpageは、カスタマーサクセスにおいて顧客に伝えるべき情報を整理・共有し、コミュニケーションのデータ化と顧客理解を促進するクラウドサービスとなっている。

同社代表取締役の藤島誓也氏は、アドテクノロジーやデジタルマーケティング、またビズリーチにおいてはカスタマーサクセスマネジメント(CSM)チームの立ち上げなどの経験を有しており、「日本市場のカスタマーサクセスの発展に貢献したい」という思いから、2020年1月よりプロダクト作成を開始したという。

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未達の事業計画を撲滅、SaaSの事業計画を「ざっくり正しく」作成する「projection-ai」ベータ版が公開

SaaSの事業計画を「ざっくり正しく」作成する「projection-ai」ベータ版プロダクトが公開

SaaSスタートアップを起業したい人の事業計画作りを支援するprojection-ai(プロジェクション・エーアイ)は6月7日、事業計画書作成サービス「projection-ai」のベータ版公開リリースを発表した。

自身がベンチャー投資家である代表取締役の浅田慎二氏は、「積み上げ型」で作られることが多い事業計画書は細かくなりすぎる傾向にあり、作成した本人だけでなく、見る側の投資家にとっても見づらい資料となり、「相互理解を妨げるシーン」を数え切れないほど見てきた苦い経験を持つ。

企業のDXに対する関心が高まるにつれ、SaaS企業にも注目が集まり、SaaSスタートアップの起業・資金調達・成長が加速しているものの、起業家にとって事業計画書の作成はハードルが高く、「数値の妥当性や計画の蓋然性を判断できないことも考えられる」という。積み上げ型で作成するとKPI(重要事業評価指標)が複雑化し、ゴールが曖昧になり、目標未達に陥る。そのため資金調達に苦労し、初期段階で出鼻を挫かれることになる。そこで同社は、「未達の事業計画を撲滅する」をミッションに、「月額単価の入力と理想とする成長モデルを選択するだけで、逆算されたオリジナルな事業計画」を「ざっくり正しく」作成できるサービス「projection-ai」を開発。Googleアカウントがあれば誰でも利用できるようにした。

「projection-ai」には次の3つの特徴がある。

  • 逆算型の事業計画をミスなく簡単に・早く:SaaSに特化したテンプレートを使うことで複数のシナリオの作成や比較が行える。目標年間経常収益(ARR)と月次経常収益(MRR)から逆算して必要なKPIを自動算出し、目標達成に近づきやすい事業計画を作成
  • 豊富なナレッジで安心:国内外のSaaS企業の成長倍率、コスト構造、人員計画などの知見、他社事例や業界水準を参考にした事業計画の作成が可能
  • 実績管理までシームレスに対応:作成後は実績値を入力して月次の予実管理が行えるため、軌道修正をしながら目標に近づける

2021年1月から実施したクローズドテストには約140社が参加し、そのうち15社以上が有料ユーザーとして継続利用しているという。米カリフォルニア州のシードアクセラレーターY Combinator(Yコンビネーター)の一次審査を通過したという同社は、今後はグローバルに、シードおよびアーリーステージのSaaS起業家の支援を目指す。

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「顧客フィードバックマネジメント」のフライルが8100万円調達、ZUU最年少執行役員を経験した財部氏が創業

ソフトウェア開発企業向けに「顧客フィードバックマネジメント」SaaSを提供するフライルが、UB Venturesおよびエンジェル投資家8名からシードラウンドで合計8100万円を調達した。同社が提供するFlyle(フライル)は、Slack・メールなどに散らばる顧客要望やアイデアを半自動で集約することで、データドリブンかつ効率的なプロダクト開発を促進するためのツールだ。

散らばったフィードバックを半自動で集約

「昨今、企業と顧客の接点はますますデジタル化しています」。そう話すのは、フライルCEOの財部優一氏だ。「例えば、セールスが受け取ったフィードバックはSalesforce、カスタマーサクセスはZendesk、マーケティングはHubspot、その他はSlack、Gmail……など、プロダクト開発の重要な指針となりえるフィードバックはさまざまなツールに散らばってしまっています」。このような状況のなか、ソフトウェア開発の指揮を取るプロダクトマネージャーは、各ツールに点在するフィードバックを手作業でエクセル等にまとめなおし、分析を行うことが多い。

この方法の問題点は、プロダクトマネージャーの膨大な時間を消費することだ。また、手動で行うため「漏れ」が発生し、すべてのフィードバックをすくい上げることができず、顧客ニーズに沿わないプロダクトの開発にすすんでしまう危険性もある。「プロダクトマネージャーは優秀な人が多く、本来はもっと創造的な業務に多くの時間を使うべきです。彼らが労働集約的な『コピペをしてエクセルにまとめ直す作業』を行っている現状を変えたいと思いました」と、財部氏はフライル創業の想いを語る。

同社が提供するFlyleは、Slack・Zendesk・Gmail・スプレッドシートなど、多様なツールに散らばる顧客要望やアイデアを半自動で集約する。プロダクトマネージャーにとっては、これまで手作業で行っていた集約作業が不要になるだけでなく、Flyleを確認しさえすれば「どのツール」を経由して「何件」「どのような要望」が来ているのかが一目瞭然になる。さらに「どの会社(や顧客)・どの担当者からのフィードバックなのか」「どのような文脈のなかでの要望なのか」などの詳細情報まで、クリック1つで確認可能だ。財部氏は「必ずしも『顧客からの要望件数が多い=優先順位が高い』とはなりません。プロダクトマネージャーは、フィードバックの詳細や熱量も見極めたうえで意思決定を行う必要があります」という。

またFlyleは、バックログツールであるJira Softwareと連携させることで、機能開発の進捗ステータスを一元管理することも可能だ。つまり、ビジネスサイドの人間はFlyleを見ることで「フィードバック→機能アイデア→開発ステータス」まで一気通貫で把握できる。一方で開発チームにとっては、JiraからFlyleに飛ぶことで「開発の背景となったフォードバック」を容易に確認可能。これまでビジネスサイドと開発サイドの間で生まれがちだった「情報の壁」をFlyleが取り除いてくれる。

画像クレジット:フライル

新進気鋭のスタートアップ出身の3人が創業

フライルは、ZUUで最年少28歳の執行役員を経験した財部氏をはじめとして、ユーザベース出身の相羽輝氏、ビズリーチ(現ビジョナル)出身の荒井利晃氏という、いずれもスピード上場を果たしたスタートアップ出身の3人がチームを組み、2020年2月に創業。同年12月にFlyleのクローズドβをリリースし、業界・規模を問わず約30社からフィードバックを得ながら改善を進めてきた。2021年4月末からは有償で約10社が利用しており、6月1日から正式なリリースとなる。

今回のシード調達で注目したい点は、エンジェル投資家にZUU社長の富田和成氏、ユーザベースCo-CEOの佐久間衡氏、ビジョナル社長の南壮一郎氏といった、共同創業者3人の古巣の社長が名を連ねていることだ。ここからは、彼らが前職でパフォーマンスを発揮し、トップから十分な信頼を勝ち得る人材であったことが見て取れる。財部氏は「現在、日本で私たちと同じサービスを提供している競合他社はありません。だからこそ、導入社数の拡大よりもプロダクトの価値を上げることに集中して、日本のプロダクトマネージャーにとって『マストハブ』なツールを創りたい」と意気込みを語る。

米国ではUserVoiceCannyRoadmunkなど、SaaS企業向けにフィードバックマネジメントを行うサービスは徐々に勃興しつつある。日本ではフロンティアともいえるこの新たな市場を、若き3人の起業家がいかに切り開いていくのかに注目していきたい。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:フライル資金調達SaaS日本

社内規程SaaS「KiteRa」とAI契約書レビュー支援「AI-CON Pro」がタッグ、就業規則AIレビュークラウドを社労士向け販売

社会保険労務士向け社内規程クラウド「KiteRa」(キテラ)を運営するKiteRaと、AI契約書レビュー支援クラウド「AI-CON Pro」を提供す るGVA TECHは5月26日、就業規則AIレビュークラウドサービス「AI-CON Pro for SR」の提供において業務提携を開始したと発表した。

AI-CON Proはユーザーが使用している契約書ひな型や契約審査の担当者に蓄積されている基準をセットアップすることで、ユーザーのビジネス環境に則した契約書レビュー支援を実現するサービスだ。また契約書のひな型がなかったり、普段あまり取り扱わない類型の契約書レビューに向けて、GVA TECHが用意した契約書をベースにプリセットされた契約審査基準で契約書レビューを可能にする機能「AI-CON プレイブック」も提供されている。

またKiteRaは、従来Wordなどを用いて実施してきた就業規則をはじめ社内規程に関する一連の業務をクラウドで行い、社労士の規程業務の効率化を実現する。2021年5月時点で国内350社以上が利用しているという。

今回の業務提携では、労務分野で有数の実績を誇る杜若経営法律事務所が監修した就業規則をAI-CON Proにセットアップして、就業規則を作成・レビューできるようにした。AI-CON Pro for SRはKiteRaが社労士事務所を対象に独占販売する。

現状では社内における就業規則の作成・改定業務においては効率化につながるサービスはまだ少なく、社労士にとって依然として大きな手間がかかっているという。社労士業務のさらなる効率化の実現が期待される。

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カテゴリー:リーガルテック
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誰でも簡単にAI分析が使えるSaaS「datagusto」が8500万円を調達、創業者「自動調理器のようなツール」

「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」という格言がある。顧客にとってドリルはあくまでも手段であって、求めるものは穴(結果)ということだ。私たちは、たとえテレビやPC、スマートフォンがどんな仕組みで動いているのかを知らずとも満足に使える。その結果、それらは世界中で数十億人が利用するツールになった。

AIの分野でこれを実現しようとするのが、データを入れるだけで高度なAI分析を行うことができるSaaS型ツール「datagusto(データグスト)」だ。同製品を開発するdatagustoは、2021年5月24日、DEEPCOREEast VenturesゼロワンブースターG-STARTUPからの合計8500万円の資金調達を発表した。

専門知識なしでAIが使える

「これまで企業がAIを活用しようとすると、専門のコンサルタントに依頼したり、データサイエンティストを雇用したりするのが必要で、多大なコストがかかっていました」。そう話すのは、datagustoのCEOであるパー・麻緒氏。「昨今、AIの開発工数を短縮するためのソフトウェアはいろいろ出てきてますが、それらはあくまでもデータサイエンティストのためのツール。専門知識のないビジネスサイドの人間が使いこなすことは難しい」。

この課題を解決するため、ユーザーが専門知識をまったく持たずとも、簡単にAIを使いこなすためのツールがdatagustoだ。パー氏はこれを「具材を入れるだけで料理ができあがる、自動調理器のようなツール」と表現する。同ツールでは、あらかじめパッケージ化された分析テンプレート(同社は「レシピ」と呼ぶ)をクリックすると、誰でも簡単に「何時に荷電すれば受注できるのだろうか?」といった現場の疑問への答えを、データから導出することが可能になる。ユーザーが行うことは、datagustoにより指定されたデータをアップロードすることだけ。

先の例では、荷電時間・受注の有無・荷電先の業種・設立年・荷電担当者など、社内で過去蓄積してきたデータをコピー&ペーストでdatagustoにアップする。あるいは、SalesforceなどのCRMと連携し、自動でのアップロードも今後可能に。AIは、アップロードされた過去のデータから傾向を見出して「○時に荷電するのが最も成功確率が高い」といった形でユーザーに提示する。

datagustoの分析テンプレートは「最適な荷電時間のレコメンド」にとどまらない。「販売個数の予測」「離脱予測」「コンバージョンにつながる見込み客の予測」など、これまで社内に眠ったままだったデータをdatagustoに注入することで、業界や規模を問わず手軽にAI分析を行うことができるようになる。

画像クレジット:datagusto

AIの大衆化を実現する

一方で、datagustoにもトレードオフは存在する。同製品は誰でも簡単に使える分析テンプレートが用意されている反面、他社のAIツールと比較するとカスタマイズできる部分が少ないのだ。しかしパー氏は、その違いこそがdatagustoの強みだと話す。「誰しもが高い自由度や、最高の性能を求めているわけではないと思うんです。例えば他社のAIツールは、車でいうとフェラーリ。馬力があって何でもできるんだけど、数千万円も費用がかかって、使いこなすのが大変。一方でdatagustoは、低燃費で使い勝手が良い『AIツール界のプリウス』みたいな存在を目指しています」。

パー氏のdatagusto創業のきっかけは、アパレルバイヤーとして働く友人からの相談だった。当時、大手外資系コンサルティングファームでデータサイエンティストをしていたパー氏は、海外ラグジュアリーブランドのバイヤーを務める友人から、発注数を決める方法について尋ねられたという。「データ分析の専門知識を持たず、ツールもエクセルしか与えられていない友人にとって、その分析を自身の手で行うことは不可能でした」。一方で、毎月数百万円ものフィーが発生するコンサルサービスは、ビジネスの規模として採算が合わない。同氏は「それだったら、誰にとっても低価格で知識がなくても使えるAIツールを自分がつくろう」と考えた。

2020年4月創業のdatagustoは、同年11月にβ版をリリース。すでにリコー大和ライフネクストなどで試験導入されており、ある営業現場ではアポ率を従来の5%未満から、最大20%にまで上昇させることに成功したという。今回の調達資金をもとに製品開発をすすめ、2021年10月に正式版をリリースする予定で、提供価格は1ユーザーあたり年間10万円〜(予定)。従来のAI開発では、数百万から、大規模であれば数千万円規模の開発費用がかかっていたことを考えると、まさに「AIの大衆化」を実現するプロダクトといえるだろう。

「テレアポ1件をAIで効率化して得られる経済的利益は、微々たるものです。でもこれが数百、数千件と積み重なることで、ビジネスを抜本的に変革させる要因にもなり得ます」とパー氏は目を輝かせる。日本中のビジネスパーソンが、マニュアルを読まずともAIによるデータ分析を使いこなして意思決定を行う。彼女が目指すそんな未来の実現も、そう遠くはないかもしれない。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:datagusto資金調達日本ノーコードSaaSデータ分析

午睡見守りシステムの「ベビモニ」と保育ICT「コドモン」が連携し保育士に心のゆとりを提供

午睡見守りシステムの「ベビモニ」と保育ICT「コドモン」が連携し保育士に心のゆとりを提供

データサイエンスやAIを活用した健康管理技術を提供するEMC Healthcare(EMCヘルスケア)は5月18日、乳幼児の午睡(昼寝)を見守るシステム「ベビモニ」と、テクノロジーで子ども施設職員の負担軽減を目指すサービス「CoDMON」(コドモン)を5月末より連携させると発表した。

ベビモニは、保育園の天上にカメラを設置することで、子どもたちの午睡の様子をモニターし、画像解析によってうつ伏せ寝などの危険な状態を検知するというシステム。午睡チェックと呼ばれる定期的な午睡の記録も自動的に作成されるので、保育士の負担が軽減される。保育士の「子どもと向き合う時間と心のゆとりを提供する」ことに目標に作られた。

コドモンは、保育園、幼稚園、小学校などでの子どもの成長記録や指導案の作成、登降園管理や保護者とのコミュニケーションを支援する各種ICTツールを提供するSaaS。子どもの成長管理や写真アルバムなどの機能を持つ保護者向けのアプリも用意されている。2021年4月時点で全国約8000の施設に導入され、約14万人の保育士が利用している。こちらも、「こども施設で働く先生が、子どもたちと向き合うための時間と心のゆとりを生み出すためのICTサービスツール」だと同社は述べている。

この2つを連携させることで、すでにコドモンを導入している施設では子どもの午睡を一元管理できるようになり、ベビモニを導入している施設では、午睡データのコドモンへの自動記録とクラウドでデータ管理が可能になり、利便性が高まる。

画像クレジット:EMC Healthcare / CoDMON

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カテゴリー:ヘルステック
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緊急通報対応を効率アップさせるクラウドベース開発のRapidDeployが約32億円調達

2020年のパンデミック禍での暮らしは現実世界であり、ときに悲惨なもので、効率的かつ万全の緊急対応サービスを利用できる状態にあることがいかに重要かを証明した。緊急対応サービスは必要とされればリモートで人々をサポートできる。そして遠隔からサポートできないときは、医療的な措置などを必要とする状況においてスタッフがすばやく派遣されるようにしている。このプロセスをサポートするクラウドベースのツールを構築している企業が米国時間4月29日、引き続き成長するための資金調達ラウンドを発表した。

911センター(日本の119番、110番通報センター)向けにクラウドベースのサービスとしてコンピューターを活用した出動テクノロジーを提供しているRapidDeploy(ラピッドデプロイ)は2900万ドル(約32億円)のシリーズBラウンドをクローズした。この資金は事業の拡大と顧客に提供しているSaaSツールの拡張の継続にあてる。RapidDeployの考えでは、最も効率的な方法で緊急対応を展開するのにクラウドは必要不可欠だ。

「911通報対応は初期においてはトランシーバーで行われていました。そして今、クラウドが信号の結節点になりました」とRapidDeployの共同創業者でCEOのSteve Raucher(スティーブ・ローチャー)氏はインタビューで述べた。

オースティン拠点のRapidDeployは911センターにデータと分析を提供している。助けを求めている人との重要なつながりであり、そうした通報を最寄りの消防救急や警察とつなげている。現在同社のプロダクトのRadiusPlus、Eclipse Analytic、Nimbus CADを使っている顧客は約700を数える。

この数字は米国の911センター(計7000)の約10%にあたり、人口の35%をカバーしている(都市部や人口の多いエリアにはより多くのセンターがある)。同社のプロダクトが利用されている州はアリゾナ、カリフォルニア、カンザスなどだ。また同社の元々の創業の地、南アフリカでも展開している。

今回の資金は、金融および戦略的投資家という興味深い組み合わせからのものだ。Morpheus Venturesがリードし、GreatPoint Ventures、Ericsson Ventures、Samsung Next Ventures、Tao Capital Partners、Tau Venturesなどが参加した。PitchBookのデータによると、直近のラウンドの前にRapidDeployは約3000万ドル(約33億円)を調達していたようだ。評価額は公開されていない。

EricssonとSamsungは、通信産業の主要プレイヤーとして、何が次世代の通信テクノロジーとなるのか、必要不可欠なサービス向けにどのように使われるのか、という点で利害関係がある(実際、かつての、そして現在の911通信の主要リーダーの1社はMotorolaで、EricssonとSamsungの競合相手となるかもしれない)。AT&TもまたRapidDeployのGTM戦略(物流と販売)パートナーで、同社はデータをシステムに送るのにApple、Google、Microsoft、OnStarを統合している。

緊急通報対応テクノロジーの事業は細分化されたマーケットだ。それらを「パパママ」事業だとローチャー氏は表現した。緊急対応サービスの80%が常時対応スタッフ4人以下という規模で(米国の町の大半が、あなたが思うような巨大な大都市よりもかなり小さいという事実の証だ)、多くの場合こうした町は昔ながらの古い設備で対応している。

しかし米国では過去数年、Jediプロジェクトや次世代の公共セーフティネットワークのFirstNetのようなイノベーションが盾となって状況は変わってきた。RapidDeployのテクノロジーは、人々の正確な位置の特定とサポート改善を支えるために携帯電話テクノロジーのイノベーションを利用してきたCarbyneRapidSOSのような企業と同じものだ。

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RapidDeployのテックはRadiusPlusマッピングプラットフォームをベースとしていて、これはスマートフォンや車両、ホームセキュリティシステム、その他のコネクテッドデバイスからのデータを使っている。データストリームにその情報を流し、911センターが位置だけでなく、通報した人の状態に関する潜在的な他の要素を判断するのをサポートできる。一方、Eclipse Analyticサービスはセンターが状況に優先順位をつけたり、どのように対応すべきか洞察を提供したりと、アシスタントのように機能する。そしてNimbus CADは出動して対応をコントロールすべき人を見つけ出すのを手伝う。

長期的には、新しいデータソース、そして通報者とセンター、緊急ケアプロバイダーの間の新しい通信方法をもたらすためにクラウドアーキテクチャを活用する、というのがプランだ。

「メッセージのスイッチというより、トリアージサービスです。ご覧の通り、プラットフォームは顧客のニーズとともに進化します。戦術的なマッピングは究極的にニーズをカバーするのに十分ではありません。当社は通信サービスの統合について考えています」とローチャー氏は述べた。実際、それはこうしたサービスの多くが向かおうとしている方向であり、消費者にとって良いことづくめだ。

「緊急サービスの未来はデータにあります。これまでよりも速く、対応が細やかな911センターを作ります」とMorpheus Venturesの創業パートナー、Mark Dyne(マーク・ダイン)氏は声明で述べた。「RapidDeployが構築したプラットフォームは、次世代911サービスを全米の過疎地や都市部のコミュニティで実際に使えるようにすることができると確信していて、スティーブやスティーブのチームと未来に投資することを楽しみにしています」。今回のラウンドの一環としてダイン氏はRapidDeployの取締役会に加わった。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:RapidDeploy資金調達SaaS緊急通報

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

法務部門に契約書作成ワークフローのサービスを提供するフランスの「Leeway」

Leeway(リーウェイ)は、契約書に関するエンド・ツー・エンドのSaaSソリューションを構築しているフランスのスタートアップ企業だ。Leewayを利用すれば、すべての契約書を1つのリポジトリに集中させ、複数の交渉ステップを経て、1つのDocuSign(ドキュサイン)イベントで電子署名を行うことができる。

同社は先ごろ、HenQ(ヘンク)やKima Ventures(キマ・ベンチャーズ)といった投資会社や、Algolia(アルゴリア)、Eventbrite(イベントブライト)、Spendesk(スペンデスク)、MeilleursAgents(メイユールエージェンツ)、Livestorm(ライブストーム)、Luko(ルコ)の創業者などのビジネスエンジェルから、420万ドル(約4億6400万円)のシードラウンド資金を調達した。

法務部門で働いている人ならば、おそらく複数のツールを使っていることだろう。契約書を作成するためにMicrosoft Word(マイクロソフト・ワード)を使い、契約書を保存してチームメイトやビジネスパートナーと共有するためにクラウドサービスを使い、さらに電子署名やアーカイブサービスを使用しているのではないだろうか。

Leewayは、このワークフローをすべてのステップで最適化する。まず、すべての契約書はLeewayに保存することができる。これによって後で契約書を探すのが容易になるだけでなく、契約の期限が近づくとリマインダーを受け取ることができるので、契約を更新することができる。

2つ目として、Leewayから直接契約書を編集できる。例えば、マネージャーは契約書を確認し、変更点をLeewayのインターフェイスに書き込むことができる。社員は修正を施して、完了したら契約書の新しいバージョンをそのまま保存すればよい。

その後、同じインターフェイスから契約書を送信することも可能だ。契約書に署名される前に複数の人が承認する必要がある場合、管理者はその承認ワークフローを設定できる。すべてが一元化されているので、現在進行中のすべての契約書の概要を把握することができる。

画像クレジット:Leeway

Leewayは次の段階として、条件付きの条項を製品の中に組み込むことを考えている。通常、大企業では、同じ条項でも、非常に有利な条件、有利な条件、あまり有利でない条件など、いくつかのバージョンを持っている。Leewayの顧客は交渉する際に、例えば、非常に有利な条件から有利な条件に、切り替えることができるようになる。

現在、約30社が契約書の管理にLeewayを利用している。クライアントには、Voodoo(ブードゥー)、Evaneo(エバネオ)、IFOP(フランス世論研究所)、Fitness Park(フィットネスパーク)などがある。同社の共同設立者であるAntoine Fabre(アントワーヌ・ファーブル)CEOは「私たちは、従業員数100人から500人の企業の法務部という、非常に特殊な顧客層を持っています」と、筆者に語った。

それより小規模な企業や大規模な企業がLeewayを使うべきではないという意味ではない。しかし、従業員が100人未満の企業には、必ずしも本格的な法務部門があるとは限らない。営業チームや財務部門が、法務的なチームとして機能することもあるだろう。しかし、Leewayには、まだまだ成長の余地がありそうだ。

画像クレジット:Leeway

カテゴリー:リーガルテック
タグ:Leeway契約書SaaSフランス法務資金調達

画像クレジット:Leeway

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)