女の子にコーディングを教えるオンラインゲーム「Erase All Kittens」、英スーパーマーケットTescoと配信契約を締結

英国のEdTechスタートアップErase All Kittens(EAK)は、子どもたち、特に女の子にプログラミングを教えるオンラインゲームだ。同社はこのほど、英国の大手スーパーマーケットTescoと流通契約を結んだ。その日、米国時間3月8日はたまたま国際女性デー、女性と少女たちをグローバルに支援しましょうという年に1度の日だった。Erase All Kittensはこれまで、100万ドル(約1億2000万円)ほどのシード資金を調達している。

この契約により、Tesco Clubcardの金券を使ってErase All Kittensの1年のサブスクリプションを9.99ポンド(約1530円)でTescoのウェブサイトから購入できる。Tesco Clubcardの会員は2000万人いて、そのうち660万人がストアのアプリをいつも使っている。

「Erase All Kittensとチームを組むことができたのはとてもうれしいことです。少女たちをプログラミングに誘う同社の労作は、デジタルのリテラシーが日常生活で重要になってきた今の世界ではとても貴重なものです」とTesco Clubcardの広報担当者はいう。

Erase All Kittensは子どもたちにプロフェッショナルなプログラミングを教えるオンラインゲームで「インターネット宇宙の魔法の世界で猫たちを救う」というアドベンチャーだ。これまでに、いくつかの賞を受賞している。

EAKによると、このゲームの教材は7歳から13歳ぐらいまでの子どもたちの想像力を刺激するよう作られていて、プレイヤーは本物のソースコード使って各レベルを作ったり直したりできる。女の子と男の子の両方に向いているが、EAKの調査によるとゲームをプレイした後では女の子の95%がプログラミングをもっと勉強したくなるそうだ。

同社によると、この「マリオ」のようなウェブ上のゲームは、これまで100カ国ほどの4000の学校、その16万人以上の子どもたちがプレイした。2021年はTwinkl Educational Publishingがリードするシードラウンドで100万ドルを調達し、このラウンドにはA Black Square家族事務所のChristian Reyntjens氏や、Shazamの創業者を含むエンジェル投資家たちが参加した。

CEOで共同創業者のDee Saigal(ディー・サイガル)氏は次のように語る。「プログラミングやエンジニアリングは男の子のものという大きな偏見が現在でもあります。それは本当は、女性をSTEMのキャリアから排除する性差別です。もっと多くの少女や若い女性がテクノロジーの使い方を学んで世界を作っていこうとしないかぎり、性差別は大きくなる一方です。私たちはこの問題をグローバルな規模で解決するためにErase All Kittensを作りました。このたびTescoとパートナーして全国のもっと多くの女の子たちにプログラミングと創造へ向かう気持ちを持ってもらえることは、とてもすばらしいことです」。

現在のEAKは3時間から4時間ぐらいのゲームプレイでHTMLとCSSを教えている。2022年中に、Javascriptを加えた新しいレベルを作る予定だ。

画像クレジット:Erase All Kittens game

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ユカイ工学と共同開発、STEM通信教育「ワンダーボックス」にロボットの組み立てを通し学べる「メカニクスラボ」登場

EdTech(エドテック)スタートアップのワンダーラボは、STEM領域の通信教育プログラム「ワンダーボックス」のための新しいトイ教材「メカニクスラボ」を、ロボティクス領域スタートアップのユカイ工学と共同で開発し提供を開始する。

ワンダーボックスは、4歳から10歳の児童を対象に、遊びを通して思考力・創造力・意欲を育てる通信教育プログラム。その教材として新たに提供される「メカニクスラボ」は、自分で簡単なロボットを組み立てることで、電池とモーターの関係を学んだり、単純な構造のため試行錯誤が楽しめたり、多くの発見や探究心が引き出されるというもの。

ワンダーラボは、2021年12月末から2022年1月にかけて、ワンダーボックス会員向けに「メカニクスラボ作品コンテスト」を開催しており、子どもたちが自由に遊んでいる様子が見てとれる。

 

子どもにデジタルスキルを教えるKodlandが約10.4億円調達、オンラインのコーディングスクールを拡張

ロンドンに拠点を置くKodlandは、2018年に起業して子どもにコンピュータプログラミングなどのデジタルスキルを対面で教えるコースを提供し、2020年前半からはオンライン教育にシフトした。同社はシリーズAラウンドで900万ドル(約10億4000万円)を調達し、これから市場を拡大していく。

このラウンドはRedseed Venturesが主導し、他にBaring Vostok、Kismet、Flyer One Ventures、ニューヨークに拠点を置くI2BFのパートナーであるAlexander Nevinsky(アレクサンダー・ネビンスキー)氏が参加した。

Kodlandが提供する6〜17歳向けのリモートコースは現在、英国、アイルランド、米国、カナダ、独立国家共同体地域、マレーシア、インドネシア、アルゼンチンで利用できる。同社はそれぞれの地域に応じてローカライズしたコンテンツを提供している(同社のユーザーはおよそ40カ国に広がっている)。同社によれば、これまでにおよそ1万6000人が有料コースに申し込んだ。

Kodlandは新たに調達した資金でオンラインコースの対象地域をさらに広げていく。

同社のコースはグループ学習またはプロジェクト学習で、コーディングやウェブサイト構築、ゲーム制作、アニメーション、ビデオ編集といったデジタルスキルを、従来のクラスルーム形式のレッスンよりも楽しくインタラクティブに教える。同社プラットフォームが提供するオンライン教育は、自己学習ではなく講師が指導する。

Kodlandによれば、同社プラットフォームには約1000人の講師がいて、市場によって雇用している場合もあればギグワーカーの場合もある。通常は、生徒15人に対して講師が1人つく。ただし個人指導も提供している。

同社は、学校に対してツールやリソースを販売するのではなく、デジタルスキルの課外学習に集中しているという。その方が学校教育の複雑な導入要件に対応する必要がなく、グローバルに拡大しやすいからだ。

また、クリエイターエコノミーに関して「Out of the Box」という独自のアクセラレータを設けている。これは優秀な生徒の目を「現実の」プロダクトに向けさせ、デジタルの成果物を収益化できるように特別に支援するものだ。

今回のラウンドで、Kodlandのこれまでの調達金額合計は1100万ドル(約12億7000万円)となった。同社は今回調達した資金を使い、今後2年間でコースの対応言語をさらに8言語増やして市場を拡大する計画だ。プロダクト開発にも資金を投入するという。

同社はTechCrunchに対し「2022年中に現在の英国やアイルランド以外にも英語圏の国に拡大し、スペイン語圏や東南アジアの国々にも拡大します」と説明した。

資金の一部はアクセラレータプログラムに使われる。

Kodlandは生徒たちから「大きなトラクション」を得て「最大級の成長を確実に遂げている」ことを背景に、今回のシリーズAを実施した。同社は2021年第3四半期に前年同期比6.5倍の売上を達成した。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、EdTechは全般に急成長した。外出や人に会うことが制限されたため、画面を見る時間が増えたからだ。保護者が在宅で仕事をしている間に手頃な価格で子どもに使わせることのできるツールを求める需要があることはいうまでもない。

しかしそれは、競争が激化しているということでもある。

ソフトバンクのような大手投資家が教育分野に多額の資金を投じEdTechのユニコーン各社も活発M&Aをしている。コホート方式の学習プラットフォームも同様にEdTechとクリエイターエコノミーをつなごうとすることで投資を集めてきた。

子どもに関連するところでは、この分野の大手には以前からRobloxがある。Robloxはソーシャルゲームを活用して、プログラミング学習と収益化の可能性に対して子どもたちに興味を持たせようとしている。

しかし、講師が指導するクラスで子どもたちにSTEMのスキルを教えるというKodlandの構造とやり方は、拡大を続けるEdTechの世界で認められるようになるかもしれない。

同社は「国際的な子ども向けオンラインデジタルスキルスクール」として質の高い教育コンテンツという概念を保護者に売り込んでいる。4つのクラス(「モジュール」と呼ばれる)のセットは110ユーロ(約1万4000円)、全32クラスのコースは660ユーロ(約8万6000円)だ。

シリーズAに関する発表の中でRedseedマネージングパートナーのEugene Belov(ユージン・ベロフ)氏は次のようにコメントした。「従来の教育機関にとって現在の急激なテクノロジーの進歩についていくのは難しいことです。そのため供給(若年層のスキルや能力)と人材に対する需要(現代の職場で求められる要件)とのギャップがしばしば発生しています。(共同創業者の)Alexander Nosulich(アレクサンダー・ノスリッチ)氏とOleg Kheyfets(オレグ・カイフェッツ)氏は、これまでの学校教育では手付かずになることが多いにもかかわらず現在のデジタルの世界では不可欠になりつつあるスキルを生徒たちに教えることで、このギャップを埋めようと熱心に取り組んでいます。成果重視のユニークなプログラムは現代の子どもたちに強くアピールしています。我々はKodlandのジャーニーを支援できることをたいへん喜んでいます」。

補足資料の中でFlyer One VenturesゼネラルパートナーのVital Laptenok(バイタル・ラプテノク)氏は次のように述べた。「教育分野には現在、独占的な存在がありません。そのため多くのプレイヤーが市場に参入し、増加する教育サービスの需要に応えようとしています。顧客のリアルなニーズを理解しているプレイヤーが成長し、市場の流れを決めるでしょう。Kodlandのチームは子どもたちにとって実用的な知識と機会にしっかりと的を絞り、インタラクティブな職業教育をしています」。

画像クレジット:Kodland

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Kaori Koyama)

シンガポールのエドテックDoyobiは教師を通じて子供たちのSTEM教育に貢献

EdTechブームは主に学生を対象としているが、教師も学ぶ者の1人だ。シンガポールを拠点とするプロフェッショナル開発プラットフォーム「Doyobi(ドヨービ)」は、教育者がSTEM科目(科学・技術・工学・数学)を教えるための新しい魅力的な方法を提供したいと考えている。このスタートアップ企業は米国時間10月21日、Monk’s Hill Ventures(モンクス・ヒル・ベンチャーズ)が主導したプレシリーズAの資金調達で、280万ドル(約3億2000万円)を調達したことを発表した。

今回のラウンドには、Tres Monos Capital(トレス・モノス・キャピタル)、Novus Paradigm Capital(ノーヴァス・パラダイム・キャピタル)、XA Network(XAネットワーク)の他、Carousell(カルーセル)の最高経営責任者であるQuek Siu Rui(クエック・シウ・ルイ)氏、Glints(グリンツ)の共同設立者であるOswald Yeo(オズワルド・ヨー)氏とSeah Ying Cong(シーア・イン・コン)氏、Grab Financial Group(グラブ・ファイナンシャル・グループ)の代表であるReuben Lai(リューベン・ライ)氏などのエンジェル投資家が参加した。

Doyobiのプラットフォームには、教師向けのトレーニングや生徒のためのインタラクティブなコンテンツが含まれており、現在は東南アジア、中東、アフリカの10カ国以上で約2000人の教師に利用されている。その中でも特に大きな市場は、インドネシアとフィリピンの2カ国だ。Doyobiは、教育プラットフォームであるLeap Surabaya(リープ・スラバヤ)やCoder Academy(コーダー・アカデミー)の他、HighScope Indonesia(ハイスコープ・インドネシア)、Mutiara Harapan Islamic School(ムティアラ・ハラパン・イスラミック・スクール)、Stella Gracia School(ステラ・グラシア・スクール)などの私立学校と提携している。

Doyobiは2020年、STEMに特化した教育プログラム「Saturday Kids(サタデー・キッズ)」からスピンオフして設立された。共同創業者兼CEOのJohn Tan(ジョン・タン)氏は、8年間運営してきたSaturday Kidsでは、世界中にSTEMスキルを学ぶ必要のある子どもが何百万人もいるにもかかわらず、年間数千人の生徒にしかリーチできていなかったと、TechCrunchに語った。

「学校で教えられていることと、子どもたちが将来の仕事に備えるために必要なこととの間には、大きなギャップがあります。好奇心、想像力、共感力は、読み書きや計算のスキルと同様に重要です」と、タン氏は述べている。「教師は学習成果を形成する上で非常に大きな役割を果たしているのに、ほとんどのEdTechイノベーションは教室にいる教師を完全に対象から外してしまっています」。

多くの政府が、経済成長におけるSTEMスキルの重要性を理解しているにもかかわらず、カリキュラムにSTEMスキルを組み込むことに苦労していると、同氏は付け加えた。Doyobiは教師を通して生徒にリーチすることで、この問題を解決したいと考えている。

Doyobiは、ライブビデオレッスンなどの教師向け啓発トレーニングに加えて、教育者が子どもたちと一緒に使える独自の仮想学習環境を構築した。これには、新しいスキルの実社会への応用、インタラクティブメディアの使用、Scratch(スクラッチ)を使ったコーディングプロジェクトなどが含まれており、生徒が授業で学んだことを強化することができる。DoyobiはTeachers As Humans(人間としての教師)というオンラインコミュニティも運営しており、そこでは教育者がピアサポート(同じ立場にいる人同士の相互サポート)を受けられる。

Doyobiは今回調達した資金を使って、教育者向けのコースを増やしたり、生徒向けのビデオ、クイズ、プロジェクトなどの教材をさらに充実させていく予定だ。

画像クレジット:Karl Tapales / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アルゴリズムで学習者の理解度に合ったSTEM教育を行うNumeradeのショート動画サービス

現在、注目を集めるEdTech分野の起業家たちは、テストの技術や情報保持の在り方など、現代の学習に関連するほぼすべての要素について、その構造や影響を再定義しようとしている。しかし、最も人気のある製品は、一見シンプルなもの、つまり、オールマイティな個別指導なのかもしれない。2018年に設立されたEdTech企業、Numerade(ヌーマレイド)は、拡張可能かつ高品質な個別指導に挑戦し、1億ドル(約110億円)の評価を受けたばかりだ。

方程式や実験の仕組みを解説する短編動画のサブスクリプションを販売するNumeradeは、アルゴリズムを使って学習者の理解の仕方に合わせた説明を行う。共同設立者であるCEOのNhon Ma(エヌホン・マ)氏によると、コンテキストで説明する非同期型のコンテンツに焦点を当てることで、高品質な個別指導を手頃な価格で提供することが可能になるという。

「本当の教育には、視覚と聴覚だけでなく、生徒が実際に学習する際の言葉で伝えるというコンテキストも含まれます」とマ氏。Numeradeは、Wolfram AlphaのようなロボットQ&Aやステップバイステップの回答プラットフォームではなく、実際に科学をソリューションに統合してユーザーに伝えるプラットフォームにしたいと考えている。

7月下旬、NumeradeはIDG Capital(アイデージーキャピタル)、General Catalyst(ゼネラルカタリスト)、Mucker Capital(マッカーキャピタル)、Kapor Capital(カパーキャピタル)、Interplay Ventures(インタープレイベンチャーズ)などの投資家や、Margo Georgiadis(マーゴ・ジョージアディス、Ancestry(アンセストリー)の元CEO)、Khaled Helioui(ハレド・ヒリオリ、Bigpoint Games(ビッグポイントゲームズ)の元CEOでUber(ウーバー)のエンジェル投資家)、Taavet Hinrikus(ターベット・ヒンリクス、Wise(ワイズ)の創業者)などの戦略的投資家が参加するラウンドで、評価額1億ドル(約110億円)で2600万ドル(約28億7000万円)を調達したことを発表した。

マ氏は「同期型の個別指導には需要と供給のメカニズムの縛りがあります。優秀な家庭教師の時間は限られていて、割増料金を要求されることもあり、全体的に市場の供給側の制約になっています」と説明する。一部の企業では、効率化のために複数の生徒を1人の教師に割り当てるグループレッスンオプションも採用されているが、マ氏は「これは本当に時代遅れで、教師の質を損なうものだ」と考えている。

ライブ授業やWolfram Alphaのような答えを教えるだけのシステムを避けてきたNumeradeだが、第3の選択肢として動画を採用した。動画はEdTechの分野では目新しいものではなく、現在は主に、CourseraやUdemyなどの大規模オープンオンラインコースのプロバイダーや、MasterClassやOutschoolなどの「エデュテインメント(エデュケーションとエンターテインメントを合わせた造語)」プラットフォームが動画を利用している。Numeradeは、教師または教育者主導で「Fundamentals of Physics(物理学の基礎)」の第2章にある問題を中心に動画を作成しようと考えている。

Numeradeの動画で学ぶ学生(画像クレジット:Numerade)

Numeradeには、基礎的な知識を得るためのブートキャンプの動画、手順に焦点を当ててその知識をスキルに変えるステップバイステップの動画、これらの情報がどれだけ理解できたかを評価するクイズという3つの主要製品がある。

しかし、このスタートアップの真の狙いは、どの学生にどの動画を見せるかを決定するアルゴリズムにある。マ氏は「深層学習」や「コンピュータビジョン」「オントロジー」といった言葉を使ってアルゴリズムの仕組みを説明するが、つまりは教育動画にTikTok並みの特殊性を持たせ、ユーザーの過去の行動を利用して、学習スタイルに合うコンテンツを適切に提供したい、ということだ。

Numeradeは、ステップ・バイ・ステップの動画で脳が問題のパターンや多様性を理解することで、最終的には答えをよりよく理解できるようになると考えている。同社のアルゴリズムは主にクイズで利用され、あるトピックに対する学生の成績を確認し、その結果をモデルに入力して、新しいブートキャンプやクイズをより適切に提供できるようにする。

「当社のモデルでは、まず学生の強みと弱みを理解し、次に関連する概念的、実践的、評価的なコンテンツを表示して、主題に対する学生の知識を構築して学生の成長と学習をサポートします。アルゴリズムは、動画の構造化データを解析し、学生ごとのニーズに合わせた教育スタイルを提供することができます」とマ氏。

現在のところ、Numeradeのアルゴリズムは予備的なもののようだ。ユーザーが自分に合うコンテンツの恩恵を受けるためには、有料会員になって、十分な利用履歴を稼ぐ必要がある。それができたとしても、学生が前回のクイズで間違えたコンセプトを再表示する以外に、このアルゴリズムがどのようにその学生に合うコンテンツを提供できるのかは明らかではない。

Numeradeの計画も野心的な前提の上に成り立っている。すなわち、学生はコンセプトを学びたいのであって、先延ばしにしていた宿題を終わらせるために急いで答えを知りたいのではない、というものだ。マ氏は、Numeradeの動画の視聴時間はその動画の長さの2~3倍にもなり、これは学生が単にスキップして答えにたどり着くだけでなく、コンテンツと向き合っていることを意味している、と説明する。

Wolfram Alphaに対抗しようとしているのはNumeradeだけではない。過去1年間、Quizlet(クイズレット)やCourse Hero(コースヒーロー)といったEdTechのユニコーン企業は、AIを搭載したチャットボットやライブ電卓に多額の投資を行ってきたが、Course Heroの手法は主にNumeradeのような企業を買収することだった。これらのプラットフォームは、テクノロジーを駆使した個別指導のセッションでは、人間関係の構築や時間ではなく、スピードとシンプルさを優先すべきだという考えに基づいて構築されている。週に一度、数学の家庭教師のところに行くことを嫌がる学生でも、数学試験の数時間前の真夜中に、丁寧に答えを説明してくれるプラットフォームを利用するかもしれない、という考えだ。

アルゴリズムの進化があまり進んでいるとはいえず、競争も激しい分野にもかかわらず、Numeradeの新しい投資家と、収益をもたらす能力は期待がもてる。具体的な内容は明かされていないが、マ氏によると、同社は年間経常収益が8桁(日本円では10億円)目前だという。現在の加入者ベースで少なくとも1000万ドル(約11億5000万円)以上の年間収益を上げていることだ。マ氏は、Numeradeの最大の競争力は「視点」だと考えている。

「商業的なSTEM(Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Mathematics:数学)教材に対するよくある批判は、モジュール化されすぎている、というものです。教科書では物理を単独で教えています」とマ氏は話す。「私たちのアルゴリズムはそうではありません。私たちはSTEMを連動したエコシステムとして扱います。数学、物理、化学、生物学の概念は全面的に関連しているのです」。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

メルカリCEO山田氏がダイバーシティ&インクルージョン推進財団設立、高校入学時点で理系を目指す女性100名に奨学金支給

メルカリCEOの山田進太郎氏が財団設立、高校入学時点で理系を目指す女性100名に奨学金支給

メルカリ代表取締役CEOの山田進太郎氏は、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進していくため、「山田進太郎D&I財団」を7月1日に設立したと発表した。第1弾として、「高校入学時点で理系を目指す女性」最大100名に対して奨学金を支給するプログラムを開始する。今後総額30億円を財団に寄贈し、D&I推進のための取り組みを行う。第2弾以降のプロジェクトとしては、第1弾の対象ではない高校へ進学した・する方も対象にできるように検討中という。

また、理系に興味のある女子中学生を対象に、理系職で活躍する女性研究者や起業家が登壇するオンラインイベントを8月22日に開催する。

メルカリCEOの山田進太郎氏が財団設立、高校入学時点で理系を目指す女性100名に奨学金支給

山田氏は、これまで企業活動を通じてD&Iの推進に取り組んできたものの、中長期な取り組みは営利企業では難しいことも多くあると感じ、一般財団法人を設立したという。ジェンダー・人種・年齢・宗教などに関わらず誰もが自身の能力を最大限に発揮できる社会の実現を目指すとしている。

同財団は、初の取り組みとして、理系職種が男性に偏り、国内の女性エンジニア比率は20%にとどまる(情報サービス産業協会「2019 年版 情報サービス産業 基本統計調査」)などジェンダーバランスが崩れているという課題に注目。この背景には、日本の大学における理工学系女性比率が18.15%とOECDの中でも最低という現状がある(令和2年度 文部科学省 学校基本調査 関係学科別 大学入学状況より)。また、中学生時点では理系科目の成績の男女差はないにも関わらず、周囲の反対やロールモデルの欠如から、進学時に文系を選択する女子学生が多くなっているという。

このような状況をふまえ、同財団は、中長期的な課題解決として中高生教育の時点で理系を選ぶ女子学生の増加に取り組む。目標として、大学における理工学部系の女性比率を2035年までに28%まで伸ばすことを目指す。

「高校入学時点で理系を目指す女性」100名に対して奨学金を支給

第1弾として「高校入学時点で理系を目指す女性」100名に対して奨学金を支給するプログラムを開始する。これにより、理系科目が好き・得意、あるいは理系職種に興味があるにも関わらず、周囲の環境からイメージがつかめない、または金銭的な問題で諦めているなどの女子学生が自身の可能性を広げるために理系を選ぶことを後押しする。

同奨学金プログラムでは、応募・選考・支給などのプロセスを極力オンライン化することで、劇的な効率化を目指し、将来的には常時1000名以上への支給を目指す。

また、より多くの方に興味を持って気軽に応募できるよう、能力主義ではなく抽選制で支給者を決定する。応募のハードルを下げるため、面接も行わない(ただし、多様性などの観点から調整を行う可能性はある)。

奨学金募集概要

  • 募集期間:2021年8月4日~9月30日
  • 対象高校:日本国内の高等学校理数科、令和3年度スーパーサイエンスハイスクール指定高等学校、または高等専門学校を受験し入学予定(中学校からの内部進学者を除く)
  • 選考方法:選考は書類審査と抽選により実施。抽選では、同財団が掲げるミッションであるD&Iなどの観点から調整を行うことがある
  • 支給金額:国公立学校25万円(年額)、私立学校50万円(年額)
  • 支給方法と時期:2022年5月頃、指定の口座への振り込みを予定。最大高校在学中の3年間、高専在学中の5年間の支給(ただし継続審査を行う)
  • 採用人数:最大100名程度
  • 応募方法:財団サイト上の「エントリーフォームより応募
  • その他支給条件:他の奨学金との併用可。休学・復学・転学・退学や、停学・除籍等の処分を受けた際、正規の最短修業年限での成業の見込みが立たなくなった場合等は給付を中止することがある。負傷、疫病などで就学が困難になった場合や、氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどの重要事項に変更がある場合には必ず問い合わせフォームより連絡

オンラインイベント概要

  • タイトル:活躍中の先輩が語るSTEM(理系)の面白さ
  • 日時:2021年8月22日17:00〜18:00(オンライン)
  • 対象:理系に興味のある女子中学生
  • 参加料:無料
  • 内容:第1部は「理系職先輩のパネルディスカッション&QA」。登壇者は、スプツニ子!氏(アーティスト/東京藝術大学デザイン科准教授)、高橋祥子氏(ジーンクエスト代表取締役社長/ユーグレナ執行役員、農学博士(生命科学分野))、大隅典子氏(東北大学副学長・附属図書館長・大学院医学系研究科教授)、山田進太郎氏(同財団代表理事/メルカリ 代表取締役CEO)。第2部は奨学金の概要、第3部は事務局QA
  • 申し込み:「8月22日【女性中学生向け】オンライン配信イベント開催のお知らせ」より応募(学校推薦は不要)

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入門ロボット「mBot」でプログラミングが学べる小中学生向け「mBotスタートガイドセット」が発売

入門ロボット「mBot」でプログラミングが学べる小中学生向け「mBotスタートガイドセット」が発売

SB C&S(旧ソフトバンク コマース&サービス)は7月12日、小学校中学校でのプログラミング教育およびSTEM教育用のMakeblock製入門ロボット「mBot」(エムボット)に、SB C&Sオリジナルのスタートガイドをセットにした「mBotスタートガイドセット」の発売を開始した。SoftBank SELECTION オンラインショップとAmazonで購入できる。SoftBank SELECTION オンラインショップでの直販価格は1万6500円(税込)。

同製品は、プログラミング学習用ロボット「mBot」(mBot V1.1-Blue Bluetooth Version)に、SB C&Sが制作した学習教材「楽しいプログラミング! mBotスタートガイド」をセットにして、プログラミングの基本からセンサーなどを使った応用的なプログラミングまで8つのレッスンが学べるというもの。また、モーターが回る仕組み、摩擦、色と光の関係など、プログラミング以外の物理的な要素も同時に学べる。

mBotは、STEM教育用機器の開発販売を行う中国深圳のスタートアップMakeblockの製品。簡単に組み立てられて、障害物回避やライントレースといったあらかじめ設定されている機能を使ってすぐに遊べる。Scratchベースの「mBlock」(エムブロック)という専用のビジュアルプログラミングソフトウェアでプログラミングでき、豊富な拡張パーツで世界を広げることもできる。

「mBotスタートガイド」で学べるレッスンは次の8つ。

  • 円を描こう(順次処理1):モーターの仕組みとプログラムの基本である順次処理を学び、mBotでいろいろな大きさの円を描くプログラミングに挑戦
  • 8を目指そう(順次処理2):摩擦について学び、mBotが8の字を描くプログラムに挑戦
  • 光と音のワンダーランド(LEDとブザー):繰り返し処理や色と光の関係、音が伝わる仕組みについて学び、パレードを行うプログラミングに挑戦
  • メッセージを伝えよう(メッセージ機能1):メッセージの機能について学び、メッセージを使って画面上のキャラクターを動かすプログラミングに挑戦
  • コントローラーで動かそう(メッセージ機能2):メッセージ機能を使い、mBotを自由に動かすコントローラーのプログラミングに挑戦
  • 目指せ! 自動運転車!(超音波センサー):音の周波数や超音波と超音波センサーの仕組みについて学び、mBotが壁にぶつからずに動き続けるプログラミングに挑戦
  • おやすみmBot(光センサー):光センサーの仕組みについて学び、明るさによって違う動きをするプログラミングに挑戦
  • 部屋の中のmBot(ライントレースセンサー):ライントレースセンサーの仕組みについて学び、黒い線の上に来たら、違う動きをするプログラミングに挑戦

「mBotスタートガイドセット」には、mBotスタートガイド、mBot組み立て用パーツ、ライントレースシート、組み立て用ドライバー、リモコン、USBケーブル、取り扱い説明書が含まれる。

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「ロボティクスで、世界をユカイに」と数々のロボットやIoT製品を展開しているユカイ工学は7月5日、組み立てブロック式で何度でも繰り返しロボット作りが楽しめる「ユカイなパチパチブロックキット」を2021年8月5から発売すると発表した。直販価格は9900円(税込)。これにともない、先行予約の受付を開始した。予約期間は、8月4日23時59分まで(在庫数上限に達し次第予約受付を終了)。発送は8月5日予定。

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何度でも作り直して遊べる&ビジュアルプログラミングできる組み立て式ロボット「愉快なパチパチブロックキット」が8月5日発売ユカイ工学は、子どもから楽しめるロボット作りやプログラミング環境を提供する「Kurikit」(クリキット)シリーズを展開している。たとえば、モーターとストローを組み合わせて自由に動く工作ができる「ユカイなぼうけんクラフトキット」や、モーターと結束バンドで自由にロボットが作れる「ユカイな生きものロボットキット」、そしてその拡張キットであり、プログラミングで自分のロボットをコントロールできるようになる「ココロキット」などがある。

Kurikitは、NHKエンタープライズと科学技術館からなる小学生ロボコン実行委員会主催の「小学生ロボコン」で、2020年から公式キットとして採用されるなど、数多くの体験教室、イベント、コンテスト、さらに女子美術大学の特別授業「かわいいロボット開発プロジェクト」などで広く利用されているが、ユカイ工学のエンジニア和田義久氏は、自由すぎて何を作ってよいのか戸惑うとの声をワークショップなどで聞いていた。

そこで和田氏は、自身も大好きだった組み立てブロックで遊ぶ体験も、創造力を育むのに大事だと思いつき「ユカイなパチパチブロックキット」の開発に至ったという。

ユカイなパチパチブロックキットは、道具を使わずに組み立てられる。組み立てるとすぐに動かして遊べ、ビジュアルプログラミングによる制御も可能となる。最初にプログラミングしなくてもすぐに動かせる一方で、プログラミングの入門にも適している。様々なプログラミングや応用方法も提供予定で、レベルや年齢に応じてステップアップ可能という。

また「有名なブロックトイと組み合わせも可能です」とのこと。これは、下の動画をご覧いただきたい。

「ユカイなパチパチブロックキット」には以下のものが含まれている。

「ユカイなパチパチブロックキット」内容物

  • コアユニット×1
  • 回転モーター×2
  • 角度モーター×1
  • センサースイッチ×1
  • 丸フレーム×2
  • L字フレーム×2
  • 直線フレーム(長)×2
  • 直線フレーム(短)×2
  • 丸ピン×10
  • 十字ピン×10
  • 輪ゴム×4
  • 目玉シール×2
  • 取扱説明書×1

「ユカイなパチパチブロックキット」仕様

  • コアユニット:サイズW48×D28×H78mm、重量50g(電源を含まず)
  • 電源:単四乾電池3本 DC 4.5V(電池は付属していない)
  • 通信規格: Bluetooth low Energy
  • LED:電源LED、フルカラーLED
  • モーターポート:4ポート
  • 対応モーター:PWM制御方式サーボモーター
  • 入力ポート:2ポート(センサースイッチのみ)

またユカイ工学では、「ユカイなパチパチブロックキット」の発売に先駆け、学習塾、自治体、教育機関に貸し出す先行体験の希望者を募集している。

募集要項

  • 対象者:学習塾、自治体、教育機関
  • 募集期間:2021年7月1日〜16日
  • レンタル期間:2週間
  • レンタルキット上限数:10セット(貸し出しの体験キットは1セット)
  • 費用:無償
  • 条件:レンタル終了後、ウェブ会議などで感想を話せること

何度でも作り直して遊べる&ビジュアルプログラミングできる組み立て式ロボット「愉快なパチパチブロックキット」が8月5日発売

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カテゴリー:EdTech
タグ:STEM教育(用語)プログラミング(用語)ユカイ工学(企業)日本(国・地域)

ソニーのIoTブロック「MESH」が教育現場の要望に応えChrome OS・Chromebookに対応

ソニーのIoTブロック「MESH」が教育現場の要望に応えてChrome OS・Chromebookに対応

ソニーマーケティングは6月2日、IoTブロック「MESH」(メッシュ)がChromebookでも使えるようになる「ブラウザ版MESHアプリ」の提供を開始した。同時に、2021年夏には、Android版MESHアプリをChrome OSで使えるように対応プラットフォームの拡張を行うと発表した。MESHはこれまで、iOS、iPadOS、Android、Windows搭載端末に対応していたが、今後はChromebookでも利用可能になる。

MESHは、ボタン、カメラ、人感センサー、温度湿度センサーなど、単独の機能を持つ「MESHブロック」を「MESHアプリ」に無線接続することで、簡単にIoTシステムが作れるというシステム。MESHアプリでは、プログラミング言語の知識がなくても、接続されたMESHブロックやソフトウェア機能を示す「ソフトウェアブロック」を視覚的につなぎ合わせるだけで、「部屋に人が入ってきたら写真を撮影する」とか「気温の変化に応じて植木に水をやる」といったIoTシステムを直感的に構築できる。試行錯誤しながらプログラミングやものづくりを学ぶことができるため、小中学校や子どもを対象としたワークショップなどで広く利用されている。

「ブラウザ版」と「Android版」の追加は、「授業でMESHを扱うために対応端末を拡充してほしい」「コストを抑えながらPC配備を進めたい」といった教育現場からの要望に応えたもの。

「ブラウザ版」では、MESHブロックと端末との接続に専用の中継器「MESHブリッジ」が必要になる。ブロックと端末とはBluetoothで接続されるが、ペアリング設定はMESHブリッジに保存されるので、MESHブリッジとMESHブロックのペアリングを一度行えば、別の端末で使用したいときに、改めてペアリングをせずに済む。ひとつの部屋で大勢が個々のPCを使う学校の授業などでは、毎回ペアリングをする手間や混乱を避けられる。

MESHブリッジ

「Android版」では、Android端末とMESHブロックをBluetoothで直接接続できる。インターネットに接続されていないオフライン環境での利用も可能。ただし、端末を変更した際には、改めてペアリングし直す必要がある。そのため近くの別の端末に誤ってペアリングしてしまうなどの混乱を招く恐れがあるので、端末とブロックの組み合わせをあまり変更しない場合や「小規模な利用シーン」に適しているとのこと。

ブラウザ版MESHアプリは、ChromeブラウザからMESHアプリのページにアクセスするだけで無料で利用できる。Android版MESHアプリは、夏からGoogle Playストアを介し無料でインストールできる予定。MESHブリッジの価格は税込5478円。

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タグ:Android(製品・サービス)Chrome OS(製品・サービス)Chromebook(製品・サービス)STEM教育(用語)Sony / ソニー(企業)MESH(製品・サービス)プログラミング(用語)日本(国・地域)

マリオ風ゲームで女の子にコーディングを教えるErase All Kittensが1.08億円のシード投資を調達

Erase All Kittens創設者ディー・サイガル氏とレオニー・バン・ダー・リンダ氏

Erase All Kittens(EAK、イレース・オール・キトゥンズ)は、8歳から12歳の子ども向けに「マリオ・スタイル」のウェブゲームを開発したEdTech系スタートアップだ。ただし、このゲームには特別な仕かけがある。女の子のコーディング学習の意欲を湧かせるゲームなのだと、同社は強調する(ほとんどのコードは男性が書いているのが現実だからだ)。100を超える国々でプレイヤーが16万人に達した現在、同社はTwinkl Educational Publishing(トウィンクル・エデュケーション・パブリッシング)主導のシードラウンド投資100万ドル(約1億800万円)を調達した。このラウンドには、A Black Square(エイ・ブラック・スクエア)ファミリーオフィスのChristian Reyntjens(クリスチャン・レンジェンス)氏が初めて参加し、その他以前からの支援者であるShazam(シャザム)の創設者の1人も加わっている。

これまでのEAKゲームは無料だったが、2021年7月に公開される新しいゲームは有料化される予定だ。これにより、製品のビジネスモデルを強化する狙いがある。

EAKによれば、プレイヤーの55%は女の子で、95%はゲームをプレイした後に、コーディングのことをもっと学びたいと思うようになったという。現在EAKは、3000の学校で利用されている。そのほとんどは英国と米国だが、パンデミックによるロックダウンの影響で、トラクションは500%まで伸びた。

コーディング教育用のツールは、大半が男性によって作られているため、自然と男の子にアピールするものになっているというのがEAKの主張だ。非常に硬直的で指導的な形で繰り返しコーディングを教え込むやり方は、女の子よりも男の子の心に訴えるものだとEAKは話す。

女性チームによって創設されたこの企業には、子どもたち、特に女の子がコーディングに対する考え方を改めさせるプラットフォームがある。2年間の研究開発の結果、高度にゲーム化された物語形式の遊びを通じて、HTML、CSS、Javascriptなどのスキルを、8歳からの子どもや女の子が学べるゲームが完成した。たとえば子どもたちは、ゲームの旅の間にキャラクターたちとチャットができる。その中には、熟練の起業家でユニコーンの人魚Tarquin Glitterquiff(ターキン・グリッタークイフ)というキャラクターもいる。

「プレイヤーは、夢のインターネット宇宙に暮らす仔猫たちを救うために、ゲームをプレイしながらレベルを作ったり修正したりして、コード編集によりゲーム環境を管理します」と共同創設者でCEOとクリエイティブディレクターを務めるDee Saigal(ディー・サイガル)氏は話す。サイガル氏のチームに加わったのは、共同創設者Leonie Van Der Linde(レオニー・バン・ダー・リンダ)氏、CTOのRex Van Der Spuy(レックス・バン・ダー・スプイ)氏、上級ゲーム開発者Jeremy Keen(ジェレミー・キーン)氏、2DゲームアーティストMikhail Malkin(ミクヘイル・マルキン)氏だ。

画像クレジット:Erase All Kittens game

現行のゲームはHTMLの技術とURLの作り方を教えるものだが、新しいゲーム(2021年7月に公開予定)では、HTML、CSS、Javascriptのスキルが学べる。コーディングの理論を学んでも、すぐに実際の開発者のようにウェブ上でゲームが作れるわけではなく、そこには大きなギャップがある。それを埋めようという狙いだ。

サイガル氏はこう話す。「私たちは、女の子が本当に好きになれるコーディングゲームを開発しています。そこでは、創造性が大きな柱になっています。コードを書けば、すぐにその結果が見られます。ゲームの進め方にはいくつもの道があり、物語の中にコーディング学習が溶け込んでいます」。

さらに同氏は続ける。「私は小さいころ、ゲームデザイナーに憧れていました。ゲームのアイデアを考えるのが大好きだったのですが、コーディングはまったく太刀打ちできない難関に感じていました。学校ではコーディングは教えてくれません。私と同じようにゲームを作りたいと思っている人も周囲にはいませんでした。なので、それは私には不可能なことなのだと思っていたのです」。

「ターゲットとなるオーディエンスの調査をしていたときにわかったのが、女の子の最大の障害は、幼少期から、未だにジェンダーのステレオタイプにはめられていることでした。学校に上がるまでに、それは雪だるま式に大きくなり、STEM(科学、技術、工学、数学)分野の自信はすでに失われています。教師たちも女の子には期待しません。結果としてそれが成績を下げ、年齢を重ねるごとに、ギャップは広がる一方となります」。

EAKと競合するツールに、Code Kingdoms(コード・キングダムズ)、Swift Playgrounds(スウィフト・プレイグラウンズ)、CodeCombat(コードコンバット)などがある。しかし、これらのゲームは女の子向けというより、はるかに男の子向けだとサイアル氏はいう。

新しいゲーム(下の動画)は、世界中の学校や両親に販売される。EAKではまた、ワン・フォー・ワン方式の支援も行っている。つまり、1つの学校がアカウントを購入するごとに、テック企業、教育団体、NGOなどの提携団体を通じて恵まれない学校に寄付が送られるというものだ。

Twinkl(トウィンクル)の共同創設者にしてCEO、またはTwinklHive(トウィンクルハイブ)のディレクターであるJonathan Seaton(ジョナサン・シートン)氏はこう話す。「Erase All Kittensのパートナーになれたことを本当にうれしく思っています。デジタル企業であるTwinklは、子どもたちにデジタル時代で成功する準備をさせることの重要性を認識しています。このパートナーシップによって大きな変化を起こせると、私たちは確信しています」。

「私たちのチームは、女の子たちを励まし、コード学習と独自のデジタル創作物の制作の機会を平等に与えるというErase All Kittensの使命を後押しできることに、特に胸躍らせています。すべての子どもたちが平等に学習機会を得ることは、Twinklのビジョンの中核でもあり、双方の企業の提携関係を深める決定的な動機でもあります」。

画像クレジット:Erase All Kittens

Erase All Kittensは、ジェンダー格差がますます広がる世界のスキルの格差に対処したいと話している。PWCによると、テック業界で働く女性の割合は24%に過ぎず、全エンジニアのうち女性はわずか12%だ。また、英国の女子学生で就職先の第一志望に技術職を選んだ割合はたったの3%だった。

Childwise(チャイルドワイズ)の調査では、女の子のうち90%は、最初の挑戦でコーディングを諦めている。11歳になるまでにSTEM分野への興味を失えば、二度と興味を持つことはないという。これはテック業界にとって、そして投資家にとって、実に深刻な問題なのだが、拡大は続いている。

関連記事:犯罪歴のある人にコーディングを教え社会復帰をサポートする無料プログラム「Justice Through Code」

カテゴリー:EdTech
タグ:Erase All Kittens子どもコーディングジェンダーSTEM教育

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(文:Mike Butcher、翻訳:金井哲夫)

コンピューター技術者を目指す若者にまずは学位を取らせるEdTech「Edge Pathways」

4年前、起業家Dan Sommer(ダン・ソマー)氏はTrilogy Education(トリロジー・エデュケーション)を創設し、大学と協力して最新技術の職業訓練をオンラインで個人指導する、大人向けの教育の場を作るという大きな賭けに出た。

2019年、ソマー氏はその企業を2U(トゥーユー)に7億5000万ドル(約820億円)で売却し、今日に至るまで最大のEdTech系エグジットを果たした。そして米国時間3月18日、ソマー氏はベンチャー投資に支援された新たな教育系スタートアップをローンチした。今回は、もう少し早い教育段階からスタートする。つまり高校だ。

Edge Pathways(エッジ・パスウェイズ)というこのスタートアップは、大学と協力して、エンジニアを目指す若者に、難解で、ときに怖じ気づきそうになる科学、技術、教育分野への入口へ導き、大学の1年間修了時の単位を授与する。本日のサービス開始にともないEdge Pathwaysは800万ドル(約8億7000万円)のシード投資を調達したことも発表した。このラウンドは、First Round Capital、Emerge Education、Rethink Education、2Uが主導した。First Round CapitalのBill Trenchard(ビル・トレンチャード)氏は、Edge Pathwayの取締役会に参加することになっている。

ソマー氏の新スタートアップは、すでに企業に雇用され技術を磨いているコンピューター技術者ではなく、コンピューター技術者を目指す若者に、まずは学位を取らせることを目的としている。同氏の2つのスタートアップの違いを尋ねると、突き詰めるなら、学生のサポートを後押しし、最終的に成功に結び付けることが支援者の役割であるの、1つの知見だと彼は答えた。

「この2年間、数多くの企業が才能ある学生を旧式の工学教室に集めようとしてきました」とソマー氏。「もっと早い段階からスタートすることでスキルギャップを解消し、まだ多感で、学習意欲と新しい進路への関心が高い若者たちを多く集められるようになります」。

Edge Pathwaysは、大学の最初の1年間に相当するプログラムと単位を提供してもらえるよう、大学に協力する。Drexel(ドレクセル)やNortheastern(ノースイースタン)の協同プログラムを参考にしたEdge Pathwaysは、旧来の講義中心の教育に代えて、プロジェクトベースの学習とインターンシップの機会に学生を結びつける。つまり同スタートアップは、工学を学びたい若者に扉を開きたい大学のためのサービスプロバイダーということになる。

Edge Pathwaysは、実際に単位が取得できるため、大学の体験入学とは違う。極めて重要な利害関係者である大学に満足感を持ち続けてもらうために、同スタートアップは、プログラムに参加できる学生の選考を大学側に任せることにしている。また、プログラムのカリキュラムも、大学職員を交えて組み立てる。Edge Pathwaysの役割は、プログラムの実施と日々のサポートに限られる。

最初の1年を修了した後も、同社は学生の寄り添い、在学中を通して、指導や就職活動の支援を行う。

このプログラム受講料は1万5000ドル(約160万円)。州内在出身者が減免される学費よりも、わずかに安い。数々の調査が示しているように、STEM(理数工系)学生は、専攻を変えたり、退学してしまったりで脱落者の比率が多い。これでは、エンジニアを求める350万件ほどもある雇用口が満たされないと、ソマー氏はTechCrunchに話した。

Edge Pathwaysの最大の課題は、顧客とのプロダクトマーケットフィットだ。大学と手を組んでカリキュラムを作っているが、それが学生の要望や必要性に適合することが必須だ。そこでの重要な判断は、エンドユーザー抜きに決めるわけにはいかない。当然ながら、ソマー氏は自身の取り組みに自信を見せている。

「非常に多くの学生たちが、特に今の時代、教室で習ったことが外の世界でどう役に立つか、その関連性を見いだせずにいます」と彼は話す。「そのつながりを作るのは大変な作業であるため、大学でそのギャップを埋めてもらうための支援をするモデルを、私たちは開発しました」。

もう1つ、Edge Pathwaysの前に立ちはだかっている大きな課題は、協力者となる大学探しだ。ソマー氏は、最初のパートナーがどの大学になるかの明言は避けたが「じきに」発表するとのこと。特にソマー氏は、当初の提携大学は編入可能な大学になると考えている。理数工系学部で学ぶ学生の4割が編入生だからだ。

「今では大変に多くの大学が、学生の編入に力を入れています」と彼はいう。「こうした猛勉強を要する難しい専攻科目を修了できるよう学生たちを支え、やる気を出すことの意味を与えたい」とEdge Pathwaysは願っている。

野心的な大事業だが、時代遅れの教育方法を自ら淘汰することで、Edge Pathwaysが学生たちに提供する理数工の世界での活躍の機会が、大きく際立つことになるだろう。

カテゴリー:EdTech
タグ:Edge Pathways資金調達STEM教育

画像クレジット:smolaw11 / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:金井哲夫)

子ども向けSTEM教材開発のワンダーラボが資金調達、累計調達額3.1億円に到達

子ども向けSTEM教材開発のワンダーラボが資金調達、累計調達額3.1億円に到達

子ども向けアプリ・タブレット教材開発・運営などを行うワンダーラボは3月3日、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は旺文社ベンチャーズ、EduLabのグループファンドEduLab Capital Partnersがそれぞれ運営するファンド。2020年7月実施の小学館からの資金調達を経て、3社からの合計調達額は3億1000万円となった。

調達した資金は、主にプロダクトの開発体制の整備や人材採用、プロモーションに投資し、成長を加速させる。また、海外展開に向けた調査・体制整備も積極的に行う。

2014年創業のワンダーラボは、STEM教育領域の子ども向けデジタル教材の開発・運営を手がけるEdTech(教育テック)分野のスタートアップ。

2017年にリリースした思考力育成アプリ「シンクシンク」(Android版iOS版)は、抽象思考の基礎となる思考センスを育てる問題を多数収録し、150カ国のべ150万人に利用されているという。また学力・非認知能力の両面に効果があることが実証実験で明らかになっている(慶應義塾大学 伊藤寛武氏、慶應義塾大学SFC研究所 葛西慧子氏、慶應義塾大学 中室牧子氏による「CAI(Computer-aided instruction)は生徒の認知能力を上昇させるのか?」)。

またSTEM教育領域の通信教育「ワンダーボックス」も、これまでにないデジタルとリアルを組み合わせた教材として2020年4月にリリースした。

EdTech分野では、マシンラーニングなどを用いた学習の効率化・最適化にスポットライトがあてられがちだが、同社は、「子どもの『知的なわくわく』を引き出す」ことにこそ、その時代の最高の技術や知見を活用していくとしている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:資金調達(用語)STEM教育(用語)ワンダーラボ(企業)日本(国・地域)

Googleもスペシャルスポンサー、教育テックのワンダーラボがSTEAM分野「トイ」募集コンテスト

Googleもスペシャルスポンサー、教育テックのワンダーラボがSTEAM分野「トイ」募集コンテスト思考力育成アプリ「シンクシンク」(Android版iOS版)を手がける教育テック(EdTech)領域のスタートアップ「ワンダーラボ」(旧花まるラボ)は2月22日、トイアイデアコンテスト「STEAM Toy Contest 2021」の開催を発表した。募集締切は5月13日で、結果発表は6月下旬予定。大賞には賞金30万円が授与される。スペシャルスポンサーはハナヤマ、Google、小学館。

Googleもスペシャルスポンサー、教育テックのワンダーラボがSTEAM分野「トイ」募集コンテスト

STEAM Toy Contest 2021は、子どもから大人まで、知的好奇心を刺激し、心が踊るような「トイのアイデア」を募集するというコンテスト。STEAMの5分野に当てはまりそうなトイのアイデアの提出を求めている。STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取ったもの。

「トイ」とは、主に小学校低学年の子どもから大人までが「遊び」として楽しめるものを指す。形式(デジタル/アナログ、パズル・ボードゲーム・カードゲーム・謎解き、など)は問わない。子どもも理解でき、楽しめる内容であることを重視する。複数応募可能。

「新しい」という点については、ゲームのルールが新しい、技術の使い方が新しい、形式が新しい、体験が新しい、頭の使い方が新しいなど、なにか凡庸でない部分が見受けられるほど評価は高くなるとしている。

またすでに完成しているものでも、アイデアベースでもかまわないものの、応募時点で商品化されておらず、その予定がないものに限るとしている。

  • 募集内容:STEAMの5分野に当てはまりそうなトイのアイデア。STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)を指す。応募時点で商品化されておらず、その予定がないものに限定。複数応募可能
  • 一般部門応募資格:年齢・国籍不問。個人応募限定
  • キッズクリエイター部門応募資格:小学生まで。国籍不問。個人応募限定
  • 募集締切:5月13日
  • 結果発表:6月下旬予定。イベントサイトで結果発表
  • 賞金・賞品:STEAM Toy大賞(賞金30万円)、各部門優秀賞(賞金5万円)。キッズクリエイター賞(スポンサー企業・主催よりオリジナルグッズやトイ贈呈)
  • 審査基準:ワクワクする気持ちを引き出すようなアイデアか、子どもから大人まで楽しめるアイデアか、新しさのあるアイデアか、実現可能なアイデアかなどを中心に様々な観点で吟味し、総合的に判断

同コンテストにおいて発表・制作された作品などに関し、主催者から応募者へ、共同開発、製品化または事業化などの申し出をする可能性があるという。その場合条件などについて協議を行いたいとしている。

また主催者のワンダーラボは、日頃より数多くの研究開発を行なっているため、主催者が独自で考案したアイデアと応募者のアイデアが偶然にも同一または類似する可能性を挙げている。そのような場合でも、応募者が主催者の故意を立証できない限り、主催者は一切の責任を負わないものとしている。

2014年創業のワンダーラボは、子どもたちが本来持っている「知的なワクワク」を引き出すためのコンテンツを開発・運営しており、国際的な算数大会の問題などを多数製作・監修している、STEAM/STEM教材・思考力教材製作のパイオニア。

2017年にリリースした思考力育成アプリ「シンクシンク」は、日本e-Learning大賞 Edtech特別賞受賞、海外でGoogle Play Awards 2017/2019 TOP5などを獲得。同アプリは抽象思考の基礎となる思考センスを育てる問題を多数収録し、世界中に配信しており、JICA・慶應義塾大学との実証実験では、学力・非認知能力の両面に高い効果が確認されているという。

また、三重県と「教育振興のための包括協定」を締結し、2018年度より同県全土への教材提供やアドバイスを実施。カンボジアではJICA・政府との協働案件として同国への思考力教育の導入を推進するなど、国内外で官学と連携した取り組みを行っている。

2018年11月には、世界最大の教育ベンチャーのコンペ「Global EdTech Startup Awards」(GESA)の日本予選にて最優秀賞を受賞した。

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カテゴリー:EdTech
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)コンテスト情報STEM教育(用語)シンクシンク(製品・サービス)ワンダーラボ(企業)日本(国・地域)

Swiftも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入

Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入

アイロボットジャパン合同会社は1月19日、ロボット掃除機ルンバをモチーフとしたプログラミングロボット「Root」(ルート)発表した。発売は2月19日予定。iRobot(アイロボット)公式オンラインストア価格は税込2万9800円。同社公式オンラインストアまたはiRobot Education認定販売代理店で購入できる。

また同社は、「みんなでRoot! プロジェクト」参加校の募集をRoot専用サイト「iRobot Education」上で開始した(申し込みページ)。全国の小学校を対象にRootを配布するもので、1校につき6台、合計1000台のロボットを無償提供する(応募期間は2月28日まで。先着順となっており、既定数量に達し次第終了)。参加校には自作のカリキュラムや作品を発表するイベントなどインタラクティブな展開も視野に入れており、2022年に「Rootサミット」の開催を予定している。

Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入

iRobotは、2009年よりSTEM(科学、技術、工学、数学)教育に取り組んでおり、日本でも2017年からルンバの実機を使ったプログラミング教室を開催してきた。その中で、Rootを導入し「iRobot Education」という教育に特化したプログラムを誕生させたという。すでに日本の小学校でのパイロット授業を実施済みで、iRobot Educationでは、すでに教育指導案なども公開している。

Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入Rootは、ルンバのようなバンパーや段差センサーに加えて、カラーセンサー、光センサーなどを内蔵。中央部に付属ペンを挿すと絵を描けるほか、全8音階と音符の種類を設定することで音楽を奏でられる。7色の色も発光可能だ。また、Root底面のマグネットにより、ホワイトボード上で垂直走行させることもできる。

Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入Swiftでも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入本体サイズは幅13.4×奥行き14.9×高さ4.5cmで、重量は約0.49kg。バッテリー駆動時間は最大稼働時間5時間で、バッテリー充電時間が3時間。インターフェイスとしてUSB Type-Cを採用しており、拡張可能としている。

またRootは、無料でダウンロード・利用できる専用アプリ「iRobot Coding」でプログラミングを行うことで、走る・光る・描く・音を奏でるといったことが可能。PCの場合は、ウェブブラウザー(Chrome、Edge)で「iRobot Education」にアクセスすることで利用可能。Android版iOS版アプリも用意されている。それぞれすでに公開済みで、Root実機がない状態でもiRobot Coding内のシミュレーターを使ってプログラミング後の動作を確認できるよう配慮されている。

言語設定を日本語にすることで、ひらがなによる表示になる

言語設定を日本語にすることで、ひらがなによる表示になる

iRobot Codingは、学習者の習熟度に合わせて3レベルを用意しており、それぞれ「グラフィック・ブロック」、「ハイブリッド・ブロック」、「フル・テキスト・ブロック」でプログラミングを行える。

レベル1では、Rootの動きを表すイラストが描かれたグラフィック・ブロックをドラッグ&ドロップしながら、コーディングの基礎となる論理的スキルを学べる。レベル2は、グラフィック・ブロックとテキストで書かれたコーディングスクリプトを組み合わせる(ハイブリッド・ブロック)形で、コーディングの流れを習得可能。

レベル1では、Rootの動きを表すイラストが描かれたグラフィック・ブロックをドラッグ&ドロップしていく

レベル1では、Rootの動きを表すイラストが描かれたグラフィック・ブロックをドラッグ&ドロップしていく

レベル2。グラフィック・ブロックとテキストで書かれたコーディングスクリプトを組み合わせる

レベル2。グラフィック・ブロックとテキストで書かれたコーディングスクリプトを組み合わせる

レベル3は、一般的なプログラミングに該当するモードで、本格的にコマンドや構文を入力していく(フル・テキスト・ブロック)。プログラミング言語としてはSwift(スウィフト)を採用しているという。PythonとJavaScriptを扱うことも検討しているようだ。

レベル3は、一般的なプログラミングに該当するモード。プログラミング言語Swift(スウィフト)を採用

レベル3は、一般的なプログラミングに該当するモード。プログラミング言語Swift(スウィフト)を採用

iRobot Codingで作成したデータは、クラウド上にアップロードしておくことが可能。学校で作ったデータを自宅でダウンロードして、さらにプログラミングするといったことも行える。またこの際、友人などとシェアするためのコードが発行され、お互いに見せ合うこともできるようになっている。

掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入

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タグ:iRobot(企業)STEM教育(用語)プログラミング(用語)RootRoomba / ルンバ(製品・サービス)日本(国・地域)