TikTokが米国に続き欧州に「透明性」センターを設置、専門家に取り組みを開示

TikTok(ティックトック)は米国時間4月27日、コンテンツモデレーションやレコメンデーション、プラットフォームセキュリティ、ユーザープライバシーに同社がどのように取り組んでいるかを外部の専門家に示すセンターを欧州に設置すると発表した。

欧州Transparency and Accountability Centre(TAC、透明性・説明責任センター)は2020年の米国センター開所に続くもので、米国同様、同社の「透明性へのコミットメント」の一環と位置づけられている。

米国TACを発表してすぐにTikTokは米国でコンテンツ・アドバイザリー・カウンシルも設置した。そして2021年3月に異なる複数の専門家で構成される同様のアドバイザリー機関を欧州にも設けた。

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そして今、欧州TACを設置することで米国におけるアプローチを完全に再現している。

これまでに専門家や議員など70人以上がバーチャルの米国ツアーに参加した、とTikTokは述べた。このツアーでは参加者はTikTokの業務の詳細を学び、安全性やセキュリティに関する慣行について質問することができる。

ショートビデオのソーシャルメディアサイトであるTikTokは近年、人気が高まるにつれ、コンテンツポリシーや所有構造をめぐって厳しい視線が注がれてきた。

TikTokが中国テック大企業の所有で、かつ中国共産党が定めるインターネットデータ法の対象となっていることから、米国における懸念は主に検閲のリスクとユーザーデータのセキュリティについてだった。

一方、欧州では議員や当局、市民社会が子どもの安全とデータプライバシーに関する問題などを含む幅広い懸念を提起してきた。

2021年初めに注目を集めたケースでは、TikTokでコンテンツチャレンジに参加していたとされているイタリアの少女の死を受けて、同国のデータ保護当局が緊急介入した。その結果、TikTokはイタリアのプラットフォームで全ユーザーの年齢を再度チェックすることに同意した

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同社は、現在も続く新型コロナウイルスパンデミックのために、欧州TACがバーチャルで取り組みを開始すると述べた。しかし同社が欧州本社を置くアイルランドに実際のセンターを2022年に開所する計画だ。

欧州の議員らは最近、コンテンツレコメンデーションエンジンなどを含むAIシステムのアカウンタビリティーをさらに強調するため、デジタル法案に一連のアップデートを提案した。

欧州委員会が先週提示したAI規制の草案は、有害となり得る方法で人々の行動を操作するためのAIテクノロジーにおける潜在意識の使用の全面禁止も提案している。例えば自殺賛成のコンテンツやリスクのある問題を暗示的に展開することで自傷するようユーザーをそそのかすコンテンツレコメンダーエンジンなどが禁止の対象となる(草案には、違反した場合の罰金はグローバルの年間売上高の最大6%と盛り込まれている)。

欧州TACはレコメンデーションテクノロジーに関する詳細な洞察を提供する、とTikTokが明示したのは非常に興味深い。

「TikTokのチームがコミュニティのためにプラットフォームをポジティブで安全なエクスペリエンスにしようとしている取り組みを専門家、研究者、議員が確認する機会をセンターは提供します」と同社はプレスリリースに書いている。そして専門家は、同社が「TikTokコミュニティを安全なものにし続ける」ためにどのようにテクノロジーを使っているか、訓練されたコンテンツレビューチームがコミュニティガイドラインに基づいてコンテンツに関しどのように決断を下しているか「モデレーションの取り組みを補完する人間のレビュワーが潜在的なポリシー違反を見つけるためにテクノロジーを使っている方法」について知見も得る、としている。

EUのAI規制草案にはまた、人工知能のハイリスクな適用を人間が監視するという要件が盛り込まれている。規制の草案にある一連の現在のカテゴリーを考えた時、ソーシャルメディアプラットフォームが特定の義務に従うかどうかは不透明だ。

しかしAI規制は、プラットフォームにフォーカスした欧州委員会の規則制定の1つのピースにすぎない。

欧州委員会は2020年末、プラットフォームにデューデリジェンスを義務づけるDSAとDMAのもと、デジタルサービス向けのルールに広範なアップデートを提案した。そしてアルゴリズムを使ったランキングやヒエラルキーを説明するよう大手プラットフォームに求めている。そしてTikTokはおそらく義務の対象となる。

ブレグジットで現在はEU外となっている英国もまた2021年中に提示することになっている独自のOnline Safety regulationに取り組んでいる。つまり、数年のうちにTikTokのようなプラットフォームが欧州で遵守すべき、コンテンツにフォーカスした複数の規則制度ができる。そして外部専門家にアルゴリズムをみせることは、ソフトなPRではなく厳しい法的要件となりそうだ。

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声明の中での欧州TACの立ち上げについてのコメントで、TikTokの信頼・安全責任者のCormac Keenan(コーマック・キーナン)氏は次のように述べた。「欧州中に1億人超のユーザーを抱え、当社はコミュニティと広く社会の信頼を得るための責任を認識しています。当社の透明性・説明責任センターは、TikTokを喜び、クリエイティビティ、楽しみのための場所にし続けるために当社が展開しているチームやプロセス、テクノロジーを人々が理解できるようにする過程において次のステップです。すべきことがたくさんあるのは理解していて、待ち受けている困難を積極的に解決していくことに前向きです。当社のシステムをさらに改善できるよう、欧州中から専門家を迎え、率直なフィードバックを聞くことを楽しみにしています」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokで聴くキャッチーなヒット曲は偽情報キャンペーンの操作とほぼ同じもの

TikTok(ティックトック)でバイラルになるように曲が操作されているというこのBloomberg(ブルームバーグ)の記事を読んで以来、私の頭の中は1つの考えで埋まっている。それは考えと呼べるほどのものでもなく、ノイズというか、印象というか、つまり、

「うわああああああああああああ」。

そう、内側から湧き出てくる悲鳴だ。ソーシャルメディアのアルゴリズムがどれほど深く私たちの欲望、趣味、そして嗜好を乗っ取っているかを理解したと思った矢先に、ガツン!またしても鼻にジャブが突き刺さった。正直言って、これには不意打ちをくらった。ノックアウトされた。

自分がTechCrunchというウェブサイトで働いているのは十分承知だが、あなたがこの話を聞いて少なくともほんのわずかでもラッダイトのように感じないのであれば、何と言ったら良いかわからない。あなたはおそらく「Matrix(マトリックス)」に出てくるキャラクター、サイファーのように、接続されていることを望むのだろう。

それは手厳しいだろうか?いってみれば、企業は企業として振る舞うものだし、大手レコード会社との提携は、サウンドとビデオの短く巧妙なコンビネーションに磨きをかけようとしているソーシャルメディアアプリにとっては、常識的な動きだ。そして、お金を稼いで少しでも有名になるチャンスに飛びついた、多くの大学生や高校生のクリエイターたちにも敬意を表する。

しかし、キャッチーさが武器化されたときに何が可能になるかを考えれば、それほど厳しいとはいえないだろう。わかっているのは以下のとおりだ。インターネット上のミームや政治的スローガン、Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)のヒット曲「Savage」など、情報発信の原動力となるのは、内容の真実性や発言者の信頼性ではなく、(1)いかに簡単に覚えられるか、(2)いかに早く会話を盛り上げられるか、という点にある。

そして、驚くなかれ!これらはまさに、音楽プロデューサーが今日最適化している変数だ。Bloombergの記事が強調しているのは(不注意でか意図的にかは不明だが)、ポップスのNo.1ヒットと政治的な偽情報が、美学的にはさほど変わらないということだ。誰もがエンターテイナーなのだ。

さて、Bloombergの記事を最後まで読んでみよう。ByteDance(バイトダンス、TikTokを所有する中国企業)が、米国でのTikTokアプリ禁止の脅しに対抗して、クリエイターを募り、一見すると草の根的な禁止令に対する訴訟を陰で指揮していたことが明らかにされている。それを見て私は思う。なんてこった。アテンションは、この世界で最も貴重なコモディティだ。そして私たちはそれを……ただで手放しているのだ。

(内側から湧き出る悲鳴が聞こえてくる)

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タグ:TikTokソーシャルメディアByteDanceバイラル

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

競争が激化する中、TikTokはクリエイター向けに6つの新しいインタラクティブな音楽エフェクトを発表

米国時間4月7日、TikTokは、音楽をベースにしたクリエーションアプリとしてのルーツをさらに拡大し、クリエーター向けに6種類の新しい音楽エフェクトをローンチした。エフェクトは、インタラクティビティや視覚化、アニメーションなどを提供するもので、 アプリ「Music Visualizer」のローンチかを皮切りに、数週間以内に展開される予定という。TikTokによると、エフェクトは世界中のユーザーが利用でき、リアルタイムのビートトラッキングによりレトロなグリーンスクリーンでアニメ化する。

エフェクトはTikTokのCreative Effectsトレイに4月6日に追加され、すでにこの新機能を使ったビデオが2万8000以上作られている。たとえば複数の月(惑星か?)が出ている紫色の空の下で地上のグリッド(格子模様)が音楽に合わせて上下に脈動すると、いうビデオをそのエフェクトで作ることができる。

Music VisualizerはTikTokの音楽ライブラリにあるどのようなサウンドでも使えて、EDMのデュオAREA21も採用している。彼らは、Music Visualizerを使って新曲「La La La」の予告宣伝ビデオを作った。しかし残念なことに、彼らのエフェクトの使い方では、アニメがその下のアニメを隠してしまう。より上手くエフェクトを活用するクリエイターすごく多い

その他のエフェクトは次のとおりだ。

  • Music Machine:ユーザーがさまざまな音楽レイヤーのMIDIループのリアルタイムレンダリングを制御できるインタラクティブなツールセット。リアルタイムの調整のためのBPM(拍数)スライダーもある。ワンショットサウンドエフェクトが5つ。録音した音楽のビデオに対する毎回新しいビジュアル応答が可能
  • Delayed Beats:TikTokですでに人気の画面静止エフェクト。画面の変化を音楽のビートに合わせるために一瞬静止する
  • Text Beats:TikTokのライブラリのどんなサウンドのビートにもシンクして画面が変わるビデオの上に、テキストのオーバレイがアニメーションで載る
  • Solid Beats:どんな曲のビートにもシンクするビジュアルエフェクトを加える
  • Mirror Beats:表示の移動をTikTokのライブラリのどの曲のビートにも合わせる

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これらの新しい機能のローンチは、InstagramのReelsやSnapchatのSpotlight、それにYouTubeのShortsといったメジャーなソーシャルネットワークからの新しい競合相手の登場への対応だ。これらの新機能の追加で、ユーザー体験におけるライバル製品の後れが一層目立つ。ショートビデオの新規参入者たちは制作ツールでは独自性を出しているが、TikTokの楽しさの中心にあるクリエイティブなエフェクトの大きなライブラリーを欠いているし、むしろ音楽機能に関心のある人びとに訴求しているようだ。

新しいエフェクトはすべて、TikTokのCreative Effectsトレイにある専用の「Music」タブで展開される。

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画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

TikTokが耳が悪い人のための自動キャプション機能導入、まずは英語と日本語で

TikTok(ティクトック)は米国時間4月6日、難聴あるいは耳が聞こえない人がアプリを利用しやすいようにする新たな機能の導入を発表した。自動キャプションだ。この新機能を立ち上げると、動画の話し言葉を自動で文字起こしを行い、視聴者は動画の音声を聴く代わりに読むことができる。さしあたって自動キャプションはアメリカ英語と日本語で提供され、今後数カ月以内に他の言語にも対応すると同社はいう。

自動キャプションを使うには、クリエイターは動画をアップロードあるいは撮影した後に編集ページでオプションを選択する。すると、動画が公開される前に間違いを修正するために生成されるテキストを編集することができる。

画像クレジット:TikTok

自動キャプションは主にアクセシビリティのためにデザインされているが、TikTokの動画を音声なしに視聴したい人の役にも立つ。たとえば邪魔をしたくない人が近くにいるが、ヘッドフォンがない場合などだ。また、動画内で話されている言語がよくわからない場合にも活用でき、話されている言葉が読めるようになることで内容を理解しやすくなる。

TikTokコミュニティの多くがすでに動画にテキストを加えたり、サードパーティーのサブタイトルツールを使ったりしてキャプショニングを行っている。スクリーンのテキストをSiriのような声で読み上げるテキスト音声化もクリエイターの間で人気のテクニックだ。

しかし自動キャプションツールは既存のオプションとは動作が異なる。というのも、視聴者がオンにしたりオフにしたりできるからだ。つまり、もしあなたが望まなければ動画のキャプションを見なくてもよいことを意味する。キャプションなしにするには、シェアパネルを開き、キャプションボタンをタップしてオフにする。

画像クレジット:TikTok

自動キャプションの立ち上げでTikTokは、クリエイターが簡単にそして自動的にキャプションを動画に加えられるツールをすでに提供しているYouTubeFacebookそしてInstagramといった他のソーシャルアプリの仲間入りする。

幅広いオーディエンスにアクセスできる動画制作を推進するための新しいツールがクリエイターコミュニティの間でクチコミで広がるように取り組むとTikTokは話す。

自動キャプションは、TikTokが立ち上げたいくつかのアクセシビリティ機能の1つだ。その他のものとしては、クリエイターが光過敏性てんかんを引き起こし得る動画を制作したときのクリエイターへの警告や、ユーザーが光に反応するコンテンツをスキップできるようにするフォトセンシティビティ機能がある。TikTokはまたテキスト音声化機能と、アニメーションサムネイルを静止画に置き換える機能も提供している。

TikTokは、耳が聞こえない人、そして耳が聞こえない人のコミュニティで行われている会話に対する意識を高めるためにThe Deaf Collective(聴覚障害者団体)と協力してきた。そして現在、改善すべき他のエリアがないか、アクセシビリティ評価を実施していると話している。

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タグ:TikTokアクセシビリティ文字起こし聴覚

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Instagramが他ユーザーの動画とコラボできるTikTok「Duets」的機能「Remix on Reels」を正式ローンチ

Instagramは米国時間3月31日にRemixを正式にスタートさせた。Remixを利用すると自分のReelsビデオに他のユーザーの動画を含めることができる。つまりTikTokで人気のDuetsに相当する機能だ。ユーザーは自分の動画を作成しながら同時に他のユーザーの動画にリアクションしたり交流したりすることができる。Instagramの新機能は現在すでに公開テストが行われているため、一部のユーザーはすでにこの機能を利用しているかもしれない。

最近TechCrunchは、InstagramがRemixを準備していることを報じたが、その際、Snapchatも独自にRemix的な機能を開発していることを伝えた。実際、Snapchatが現在開発中のTikTok Duetsに似た機能をRemixと名づけているようだ。

TikTokのDuetsは、単なる受動的な動画視聴アプリではなくソーシャルネットワークだと感じさせるために重要な役割を果たしている。Duetsを使うことで、ユーザーは他のユーザーの動画を利用してカラオケのように歌ったり、伴奏にしてダンスを踊ったり、冗談を言ったり、ちょっとした演技をしたりして自分の動画を作ることができる。他のユーザーのレシピで調理する、動画でリアクションするなども可能だ。さらには有望な新しいクリエイターの動画をRemixで拡散して、プッシュすることもできる。

これまでTikTokのライバルはInstagram Reelsをはじめ、SnapchatのSpotlight、YouTubeのShortsなど、単にショートビデオの配信プラットフォームというだけで、TikTokのようなエンゲージメント機能や編集機能がなかった。そのためこれらのアプリは機能的に劣ったコピーのように見えてしまうきらいがあった。Remix on Reelsはこの現状を打破する第一歩であり、ユーザーが他のクリエイターと関わり、コラボレーションするための重要な選択肢を提供するものといえる。

Remix機能を使うには、まずRemixしたいReelを開き3ドットメニューをタップして、Remix this Reelというオプションを選択する。すると画面がオリジナルのReelとユーザーがこれから新しく作ろうとしているReelにに分かれる。このときオリジナルのReelの再生と同期して録画ができる。録画が終わったらオリジナル、自分のビデオ双方の音量など細部を調整する。またナレーションも追加できる。こうした編集、調整を経てRemixを公開することになる。

新機能は、今後新たにアップされるReelでのみ利用できる。つまり既存のリールでDuetsさせたい場合は再アップロードするか既存のReelを手動で編集してRemixを有効にする必要がある。

画像クレジット:Instagram

自分で作ったRemixは通常のReelsと同様に、InstagramプロフィールのReelsタブに表示される。一方、自分のReelが誰にRemixされたかはActivityタブで確認できる。

Instagramによれば、公開アカウントにアップされるすべてのReelで本日から順次公開されるという。

関連記事:TikTokとの競争激化でInstagramが10代向けのセイフティーツールを新たに導入

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タグ:InstagramショートビデオTikTok

画像クレジット:Instagram

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook

パキスタンが「不道徳で好ましくない」動画を理由にTikTokを再び禁止に、3300万人の市場を失うか

パキスタンは、人気の動画アプリTikTok(ティックトック)が不道徳で好ましくないコンテンツをホスティングしているとする訴状を審査した結果、TikTokを再び同国内で禁止した。

カイバル・パクトゥンクワ州の州都ペシャワール市の高等裁判所は現地時間3月11日、同国の通信当局であるパキスタン通信規制庁(Pakistan Telecom Authority、PTA)に対し、TikTokの利用を禁止するよう命じた。

PTAは11日夜に発表した声明の中で、当局はこの命令に従っており、「サービスプロバイダーに対し、TikTokアプリへのアクセスを直ちにブロックするよう指示を出した」と述べている。

モバイルデータ分析会社App Annieによると、TikTokのパキスタンにおける先月のユーザー数は約3300万人だった(データは業界幹部がTechCrunchと共有したもの)。南アジアに位置する同国には、約1億人のネットユーザーがいる。

地元メディアの報道によると、ペシャワール高等裁判所のQaiser Rashid Khan(カイザー・ラシッド・カーン)最高裁判事は、TikTok上の一部の動画を「パキスタン社会では許容できない」と評し、これらの動画は「下品な行動を広めている」と述べたという。

TechCrunchの取材に対し、TikTokはコメントを差し控えた。

ByteDance(バイトダンス)の同アプリがパキスタンで禁止されたのは、今回が初めてではない。PTAは2020年にも、数カ月にわたって問題を警告したにもかかわらず、プラットフォーム上の一部の動画の性質に関する懸念に対処しなかったとして、TikTokを一時的に禁止したことがある

今回のパキスタンの動きは、隣国のインドが昨年TikTokを禁止したのに続くものだ。インドではサイバーセキュリティ上の懸念からTikTokをはじめ、中国とつながりのある200のアプリが最終的に禁止された。禁止される前、TikTokは世界第2位のインターネット市場であるインドで2億人以上のユーザーを獲得しており、同国はTikTokにとって最大の海外市場だった。

インドと同様、パキスタン政府も近年、同国内で運営されているデジタルサービスのコンテンツに対する管理を強化しようとしている。

インドを主要な海外市場としている世界のハイテク企業の多くは、インド政府のソーシャルメディアに関する新規制についてはあまり騒いでいないが、2020年末にはパキスタンで団結し、パキスタン政府が提案したルールをめぐって同国から撤退すると脅した

Asia Internet Coalition(AIC)と呼ばれる業界団体を通じてテック企業のグループは2020年11月に、インターネット企業を対象としたパキスタンの新法の範囲に「憂慮」していると述べた。AICは、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)に加えて、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、LinkedIn(リンクトイン)、SAP、Expedia Group(エクスペディア)、Yahoo(ヤフー)、Airbnb(エアビーアンドビー)、Grab(グラブ)、楽天、Booking.com(ブッキング・ドットコム)、LINE、Cloudflare(クラウドフレア)を代表している。

関連記事:TikTokがサイバーいじめ対策として新コメント機能を公表、クリエイターによる管理を拡張・投稿の再考

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTok

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

TikTokがサイバーいじめ対策として新コメント機能を公表、クリエイターによる管理を拡張・投稿の再考

先週(3月4日)、クリエイターがファンからの質問に答える新しいQ&A機能を開始したばかりのTikTok(ティックトック)は、米国時間3月10日、新しいコメント機能を導入することを発表した。これによりクリエイターは、自分のコンテンツへのコメントが公開される前に投稿を許可するかコントロールできるようになる。もう一つの新機能はコメントをしているユーザーに向けたもので、不適切または意地悪なコメントの投稿を再考するように促すボックスがポップアップ表示される。

TikTokによるとこの新機能は、人々がクリエイティブであることやコミュニティを見つけることに集中できるような、支持的でポジティブな環境を維持するのが目標だという。

攻撃的なコメントを受身に後から削除するかわりに、新しい「Filter All Comments」機能を使用することを選択したクリエイターは、動画に表示されるコメントを選択できるようになる。この機能を有効にすると、新しいコメント管理ツールを使用して、それぞれのコメントを個別にチェックして承認する必要がある。

この機能は、TikTokの既存のコメント管理機能をベースに拡張したものだ。これまでクリエイターはInstagram(インスタグラム)のような他のソーシャルアプリと同様に、スパムやその他の攻撃的なコメントをフィルタリングしたり、キーワードでフィルタリングしたりすることが可能だった。

しかし「Filter All Comments(すべてのコメントをフィルタリングする)」ということは、クリエイターが承認しない限り、コメントは一切公開されないことを意味する。これにより、クリエイターはプラットフォーム上でのプレゼンスを完全にコントロールできるようになり、いじめや虐待を防ぐことができる。しかし、クリエイターが何の反発もなく虚偽の情報を拡散したり、実際よりも好かれているように見せかけたりすることも可能になる。これは厄介なことかもしれない。特に、ブランドがどのクリエイターと組んで製品のプロモーションを行うか決めようとしている際、ユーザーの好感度について誤った印象を与えてしまう可能性があるからだ。

もう一つの機能はかわりに、悪質なコメント、つまりいじめや不適切と見られるコメントの投稿を再考するようユーザーに促すものだ。それに加えユーザーにTikTokのコミュニティガイドラインをリマインドし、共有する前にコメントを編集できるようにする。

この種の「ナッジ」は、人々の行動をスローダウンし、立ち止まって自分が何を言っているのか考える時間を与えることで、すぐに反応するかわりに人々のペースを落とすのに役立つ。すでにTikTokはナッジを利用して、ファクトチェッカーが確認できない根拠のない主張を共有するかどうかユーザーに尋ねることで、誤報の拡散を遅らせる試みを行っている。

他のソーシャルネットワークでは、ユーザーに投稿前に立ち止まって考えるよう促すプロンプトを追加するのに数年かかっている。例えば、Instagramは2010年にスタートしたが、攻撃的なコメントを投稿する前にユーザーに再考を促す機能を試すことを決断するまで10年近くかかった。一方のTwitter(ツイッター)はつい先月、有害な返信を再考するようユーザーに求める機能を新たにテストしていると述べた。同社はここ1年近く、同じテストのバリエーションを実行している。

ソーシャルネットワークは、ユーザーの行動に影響を与える強力な能力を実証してきたにもかかわらず、このようなプロンプトを自分たちのプラットフォームに組み込むことを躊躇してきた。例えば、Twitterがリツイートする前にツイートにリンクされている記事を読むようユーザーに促すようになってからは、ユーザーがそれらの記事を開く頻度が40%増加した。しかしたいていのネットワークは、Instagramの「View Hidden Comments」やTwitterの「Hide Repies」のように、ネガティブなコメントをランクダウンしたり、非表示にする機能に頼る選択をする方が多い。

TikTokは新しいポリシーや機能を開発するにあたり、業界パートナーに助言を求めているとしているが、このたびそれに加え、ネットいじめや虐待、悪用に関する研究を展開しているCyberbullying Research Center (サイバーいじめ研究センター、CRC)との提携も発表した。同社は今後もCRCと協力して、ポジティブな環境を促進するための他の取り組みを展開していくという。

関連記事:パイロットテスト成功を受けWalmartがTikTokでライブ買い物イベント第2弾実施へ

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タグ:TikTok

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

パイロットテスト成功を受けWalmartがTikTokでライブ買い物イベント第2弾実施へ

Walmart(ウォルマート)は2020年12月、TikTok(ティックトック)プラットフォームを使った米国での新たなライブストリーミング買い物体験の初テストでTikTokと提携した。そのテストは極めてうまくいったようで、Walmartは米国時間3月9日、別のライブストリーミング買い物イベント「Spring Shop-Along:Beauty Edition」を開催するためにTikTokを再び利用すると発表した。1時間のライブストリームではTikTokのクリエイターやインフルエンサーが登場する。

関連記事:ウォールマートがTikTokでのライブストリーミング販売をテスト、若年層への販売拡大を狙う

Walmartは初のTikTokライブショッピングイベントでどれくらい売り上げたかは明らかにしなかったが、予想の7倍超の視聴があり、同社のTikTokフォロワーベースを25%成長させることができた、と述べた。こうした指標は、Walmartが再びTikTokに戻ることを選択するのに十分なものだった。前回はホリデーライブストリームにフォーカスしてアパレルを扱ったが、今回は美容品を販促する。

Spring Shop-Alongは米国東部標準時3月11日午後9時からWalmartのTikTokチャンネルで開催される。前回のホリデーイベントと同様、今回のイベントでもさまざまなTikTokクリエイターが登場し、お気に入りのアイテムについて話したり紹介したりする。参加するクリエイターの1人はすでに発表されている。350万人ものTikTokフォロワーを持つGabby Morrison(ギャビー・モリソン)氏(@GabbyMorr)だ。

画像クレジット:Walmart

ギャビーや他のクリエイターは60分間のライブイベントの間、スキンケアやメーク、髪の手入れのルーティーンのデモンストレーションを行い、実際に使っているWalmartの美容プロダクトを披露する。特集される美容ブランドはNYX、Maybelline、The Lip Bar、Bliss、Kim Kimble、そしてMarc Jacobsの香水だ。

イベントの視聴者は美容のアドバイスを受けたり、プロダクトの「ピン」をタップして特集されたプロダクトをTikTokアプリ内で直接買い物できる。アイテムをカートに追加し、イベントの途中あるいは終了後に精算できる。

「トレンドに乗っているか、あるいは新しいプロダクトを発見しているかとブランドはコミュニティに語りかけて参加を促すコンテンツを制作するために、TikTok上にユニークな拠点を見つけました」とTikTokグローバルビジネスソリューションのBlake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏はWalmartの計画についての声明で述べた。

「買い物できるライブストリームの体験で、TikTokコミュニティがいかにお気に入りのクリエイターと関わって新たなプロダクトを発見するのが好きかを見るのはエキサイティングなものです。発見から購入までの道のりを支えるイノベーティブな方法を引き続き構築することを、そしてWalmartのようなブランドがユーザーにクリエイティビティをもたらすのを見ることを楽しみにしています」とチャンドリー氏は付け加えた。

Walmartはホリデーライブストリームに先駆けてeコマースでTikTokを活用することに興味を示していた。とりわけWalmartはTikTokがトランプ政権下で米国事業を米企業に売却しなければ禁止すると脅されたときにTikTokへの投資を計画していた。TikTokの米国事業を新たなオーナーのOracleとWalmartにスピンアウトするかもしれないという強制売却は、バイデン政権がトランプ政権下での動きをレビューしている間は棚上げされる

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2020年ホリデー期間中のWalmartのTikTokチャンネルのスクリーンショット

ライブストリームでの買い物は米国でますます関心と投資を集めている。NTWRK、最近資金調達したBambuserPopshop Liveなど、数多くのスタートアップがこのマーケットに参入している。大手テック企業もモバイルビデオやライブビデオでのショッピングに加わっている。

GoogleのモバイルビデオショッピングShoploopのR&Dプロジェクトは検索に統合された。Facebookはライブショッピングを構築するためにビデオショッピングスタートアップPackagdを買収し、FacebookInstagramでのビデオショッピングにかなり投資した。AmazonはQVCのようなAmazon Liveを通じてライブショッピングを展開している。Alibaba (AliExpress)、JD.com,、Pinduoduo、WeChat、そしてTikTokの中国版姉妹アプリDouyin、すべてモバイルビデオショッピングをサポートしている。

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しかしながらWalmartはライブストリームショッピングでTikTokと提携する計画は事業買収の交渉の結果ではなかったと述べた。WalmartはTikTokのプラットフォームを1年以上活用してきた。TikTokチャンネルの展開に加え、Walmartは従業員にTikTokビデオを制作することを課しさえしていた

Walmartにコメントを求めたが、TikTokでの最初のライブストリームについての数字を明らかにするのは却下した。しかしパイロットテストは期待を上回るものだったようだ。

「予想の7倍超の視聴があり、また初のイベント後にTikTokフォロワーが25%増えたことをうれしく思っています。また、スムーズな精算エクスペリエンスにも満足しています」と広報担当はTechCrunchに語った。「売上高は開示できませんが、イベント前に立てていた予測を上回りました」。

今週のライブショッピングイベント後もWalmartはさまざまなフォーマット経由で異なるプロダクトを特集するためにクリエイターと引き続き提携することで、TikTokにさらなる買い物エクスペリエンスを持ってくる計画だと話している。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokが欧州で消費者、子どもの安全、プライバシーに関する訴えを受ける

TikTok(ティックトック)に対し、欧州で新たな訴えが起こっている。欧州ではEU法に関するさまざまな違反を指摘する、消費者団体からの批判が相次いでいる。

欧州消費者機構(BEUC)は欧州委員会とEUの消費者保護当局ネットワークに対し、この動画共有サイトに関する苦情を申し立てた。一方、BEUCが米国時間2月16日に伝えたところによると、15カ国の消費者団体が各国当局に警告を発し、このソーシャルメディア大手の動きを調査するよう促したという。

苦情の内容には、著作権やTikTokの仮想通貨に関する不当な条件への訴え、子どもたちがプラットフォーム上でさらされているコンテンツの種類に関する懸念、誤解を招くデータの取り扱いやプライバシー侵害行為の告発などが含まれている。

申し立てがあった違反については、苦情に関係する2つの報告書に詳細が記載されている。消費者保護の問題に対するTikTokのアプローチに関する報告書と、データ保護およびプライバシーに焦点を当てた報告書だ。

子どもの安全

子どもの安全については、TikTokがプラットフォーム上の隠れ広告や「悪影響を及ぼす恐れがある」コンテンツから子どもや10代の若者を保護できていなかったことが報告書で非難されている。

「アプリ上で広告を出したいと考える企業に対してTikTokが提案する戦略が、隠れ広告急増の一因となっている。例えば、ユーザーはブランドのハッシュタグチャレンジに参加するよう勧められ、チャレンジへの参加後、特定の製品のコンテンツを作成するよう誘導される、といったことがある。ハッシュタグチャレンジは人気のあるインフルエンサーから始まることが多いため、通常ユーザーにはチャレンジの背後にある商業的な意図が見えない。また、TikTokは不適切なコンテンツから子どもたちを保護することに関し、適切な配慮を怠っている可能性がある。画面を少しスクロールしていくだけで性的な内容の動画などが現れることがある」とBEUCはプレスリリースで報告している。

TikTokはすでに2021年、イタリアで10歳の少女が死亡するという事件の後、子どもの安全に対する懸念から同国で規制を受けている 。地元メディアは、TikTokの「失神(ブラックアウト)」チャレンジに参加したこの少女が窒息死したと報じていた。これはイタリアのデータ保護局(DPA)による緊急介入の引き金となった。

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この事件後すぐ、TikTokは年齢認証を導入し直し、イタリアのユーザーすべての年齢を確認することに合意した。しかし、この年齢認証では単に日付を入力して年齢を確認するだけで済むため、ユーザーが年齢制限をかいくぐることはたやすいようである。

報告書の中で、消費者権利グループのBEUCはTikTokのおそまつな年齢認証に注意を促し、次のように書いている。「実際には年齢確認プロセスは非常に緩く、単なる自己申告であるため、未成年のユーザーがTikTokに利用登録するのは非常に簡単である」。

またBEUCは、TikTokのサービスは「13歳未満の子どもを対象としていない」ことがプライバシーポリシーに記載されていると指摘する。一方、報告書によると、TikTokのヘビーユーザーに13歳未満の子どもが含まれていることは多くの調査で明らかになっている。BEUCは、TikTokのユーザーベースの「大部分」を子どもが占めているのが実情だと示唆している。

報告書からの引用。

フランスでは、13歳未満の子どものうち45%がTikTokのアプリを利用していることがわかっている。英国では、8歳から15歳の子どもの50%が少なくとも週に1回はTikTokに動画をアップロードしていることが、2020年の放送通信庁(OFCOM)の調査により明らかになった。チェコでは11歳から12歳の子どもたちにTikTokが非常に人気があるということが、2019年の調査でわかった。ノルウェーでは、10歳から11歳の子どもの32%がTikTokを利用していることを、2019年にニュース記事が伝えている。米国では、毎日TikTokを利用するユーザーの3分の1以上が14歳以下であり、多くの動画が13歳未満の子どもによって投稿されているようだと、ニューヨーク・タイムズが明らかにしている。多くの未成年ユーザーがプラットフォームを頻繁に利用しているという事実は、それほど意外なものではない。最近の調査では、子どもたちの大半が携帯電話を所有しており、その平均年齢が徐々に下がってきていることが示されているためである。例えば、英国の子どもの場合は平均すると、7歳になるまでに携帯電話を与えられている。

最近行われたEUが支援した調査によると、人気のソーシャルメディアプラットフォームでの年齢確認は「基本的に効果がない」との結果が出ている。単に年齢をごまかすだけで、どの年齢の子どもでも年齢制限をかいくぐることができてしまうためだ。

利用規約

今回の訴えにより提起されたもう1つの争点は、利用規約による不当な要求に焦点を当てており、これには著作権に関連するものが含まれている。TikTokの利用規約が「ユーザーが公開した動画を無償で使用、配信、複製する取消不能な権利」を自社に付与していると、BEUCは指摘している。

またTikTokが提供する仮想通貨機能についても、消費者の権利という観点から問題があると強調している。

TikTokでは、ユーザーがデジタルコインを購入して、他のユーザーへ贈るバーチャルギフトと交換できる(ギフトを受け取ったユーザーはそのギフトを法定不換紙幣に交換できる)。しかしBEUCは、TikTokの「バーチャルアイテムポリシー」には「不公正な条件と誤解を招く仕組み」が組み込まれていると述べ、TikTokがコインとギフトの交換レートを変更する「絶対的な権利」を保持しているため「都合よく金融取引を歪めてしまう可能性がある」と指摘している。

TikTokはバーチャルコインの購入価格を表示しているが、ギフト(バーチャルコイン)をアプリ内のダイヤモンド(ギフトを受け取るユーザーはダイヤモンドを実際の金銭と交換でき、交換したお金はPayPal(ペイパル)や他のサードパーティーの支払い処理ツールを介して送金される)に還元するために適用されるプロセスについては何ら言及していない。

「コンテンツ提供者が最終的に獲得する金銭報酬の額は曖昧なままである」とBEUCは報告書に記しており、次のように続ける。「TikTokによると、報酬は『ユーザーが獲得したダイヤモンドの数など、さまざまな要素に基づいて』計算される。TikTokは、コンテンツ提供者がダイヤモンドを金銭と交換する際、アプリ側がどれだけの額を得るのかを示していない」。

「一見遊び心のあるTikTokのバーチャルアイテムポリシーは、消費者の権利の観点からすると、非常に問題がある」と報告書は加えている。

関連記事:TikTokが昨年末までAndroidユーザーのMACアドレスを追跡していた

プライバシー

TikTokは、データ保護とプライバシーに関しても、規定がうんざりするほど「わかりにくい」と非難されている。この規定は(ここでも)子どもに関わるものを含んでいる。今回の訴えでTikTokが非難されているのは、どのような個人データがどのような目的で、どのような法的理由に基づいて収集されているのかを、ユーザーに明確に伝えていないことだ。こうした点を開示することはヨーロッパの一般データ保護規則(GDPR)で義務づけられている。

報告書で指摘されているその他の問題点としては、広告用途で処理される個人データのオプトアウト(本人の求めによる提供停止)がないこと(つまりデータ提供に「強制同意」させている、FacebookやGoogleなどの巨大テック企業もこの点で非難されている)、機密性の高い個人データ(GDPRの下では特別に保護される)の取り扱いに関して明示的な同意を得ていないこと、安全性や、設計によるデータ保護がないことなどが挙げられる。

関連記事:GDPR施行、「同意の強制」でさっそくFacebookとGoogleに対し初の提訴

今回の訴えについては、TikTokのEUにおけるデータ保護問題を扱う主管監督当局であるアイルランドのデータ保護委員会(DPC)にコメントを求めており、返答があれば本レポートを更新する。

【更新】DPCによると、これまでのところ新たな苦情の訴えはないとのことだ。また「我々はGarante(ガランテ、イタリアのデータ保護機関)と協力してTikTokが行った措置を再検討し、同社が取り扱う未成年者の個人データを保護することに努めている」と付け加えている。

フランスのデータ保護機関であるCNILは、TikTokが同社のEU担当の法的基盤をアイルランドに移行するのに先立ち、2020年すでにTikTokに関する調査を開始している。TikTokが法的基盤をアイルランドに移した後は、GDPRのワンストップショップメカニズム(1国のデータ保護機関から承認を得れば他国の当局からの承認は不要となる制度)により、データ保護に関する苦情はアイルランドのDPCに申し立てる必要がある。規制が未実施の苦情に関しても今後はアイルランドのDPCが扱うことになる)。

関連記事:TikTokのユーザーデータ取り扱いについてフランスの監視当局が調査開始

データ保護に関する苦情を訴えるため、TikTokのプライバシーポリシーの法的分析を行ったポスドク研究員のJef Ausloos(ジェフ・オースルース)氏がTechCrunchの調査員に語ったところによると、1年前(TikTokに年齢確認がまったくなかった時期)、データ保護に関する苦情を提出しようとしていたところ、突然、同社の運営方針に大きな変更が加えられたということだ。

オースルース氏は、このような突然の大きな変更は、データ搾取行為に対する規制当局の調査を逃れるための意図的な戦術であると指摘している。「常に変更がある」ということは、規制執行の根拠を示すために行われている調査作業を脱線させたり、振り出しに戻したりする効果があるからである。また、資金や人員に限りのある規制当局は「事後」(運営方針の変更があった場合)に、企業を提訴することを躊躇する可能性があると指摘している。

違法行為は繰り返されることによって、規制執行を免れさせる可能性があるということだ。

また企業が、自社のプラットフォームに関連してビジネス上の特定の手法に対する非難を受ける(または要請を受ける)旅に、自社の運営方針には変更が適用されたと主張するのは、ありふれたことである。規制執行や実際の法的裁定の影響を抑える防御策として、運営方針への変更を利用するのだ。「変更を迅速に適用し、規制による説明責任を逃れようとする」のである。

オースルース氏によると、TikTokに対する証拠書類の作成は2年間にも及んだものの、告訴人たちは、各国のDPAがTikTokを立件する上でこの証拠書類が役立てば良いと願っているとのことだ。

BEUCのMonique Goyens(モニーク・ゴイェンズ)事務局長は声明で今回の訴えについて次のようにコメントしている。「わずか数年で、TikTokはヨーロッパ全体で何百万人ものユーザーを持つ、最も人気のあるソーシャルメディアアプリの1つになりました。しかし、TikTokは大勢のユーザーの権利を侵害し、期待を裏切っています。我々は消費者の権利侵害があることを認め、TikTokを提訴しました」。

「子どもたちはTikTokが大好きですが、同社はその子どもたちをきちんと保護できていません。我々は、同社のアプリを利用する子どもたちが拡散された隠れ広告にさらされ、知らず知らずのうちに広告塔のようなものにさせられることを望みません」。

「我々の関係者、欧州全域の消費者団体とともに、迅速な措置を取るよう当局に強く求めます。消費者、特に子どもたちが権利を侵害されることなくTikTokを利用できるよう、当局は今、行動を起こさなければなりません」。

TikTokの広報担当者は今回の訴えについてコメントを求められ、次のように語った。

弊社は、コミュニティの安全、特に若いユーザーの安全を確保し、ビジネスを展開する上で従うべき法律を遵守するという責任を非常に真剣に受け止めています。私たちは日々、コミュニティを守るために努力しています。そのために、16歳未満のユーザーのアカウントをすべてデフォルトで非公開に設定するなど、さまざまな重要措置を講じてきました。また、アプリ内で確認できるプライバシーポリシーの概要も作成しました。この概要は、10代の方でも弊社のプライバシーへの取り組みを理解できるよう平易な語句と文章でまとめられています。私たちはいつでも進んで改善案を受け入れていますし、BEUCとの話し合いを持ち、彼らの懸念に耳を傾けるべく、コンタクトを取っています。

【更新】欧州委員会の広報担当者は、BEUCから警告を受け取ったことを認めた。

「消費者の権利は、オンラインでもオフラインでも同じようにしっかり保護されなければなりません。欧州委員会は、2020年末に発表した『新消費者アジェンダ』でもこのことを再確認しました」と広報担当者は述べ、さらに次のように付け加えた。「同委員会は、BEUCが各国の消費者当局とともに提出した詳細をすべて、今後数週間で慎重に検討し、この問題についてさらに調査が必要であるかどうかを見極めます」。

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タグ:TikTokEUBEUC

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

TikTokがファンからの質問にクリエイターがテキストと動画で答える「TikTok Q&A」を正式公開

2021年1月、TikTok(ティックトック)が新しいQ&A機能をテストしていることがわかった。クリエイターがファンの質問にテキストやビデオを使って直接回答できる仕組みだ。米国時間3月4日同社は、この機能を世界で一般公開したことを発表した。正式にTikTok Q&A(ティックトック・キューアンドエー)と名づけられた新機能を使うと、クリエイターは自分へのコメントをQ&Aクエスチョンに指定できるようになり、その質問にテキストコメントまたは動画によるリプライで回答し、自分の略歴へのQ&Aプロフィールリンクなどを付けることができる。この機能はライブビデオでも使用できる

TikTok Q&Aは、すでにクリエイターたちが同プラットフォームを視聴者との対話に使っていたやり方から生まれた。動画を投稿した後、視聴者がそのコンテンツについて質問することがよくある。クリエイターはそんな質問に対してコメント欄で回答したり、もっと複雑なことを話したいときには別の動画を投稿することもある。

新しいQ&A機能は、このプロセスを定型化することで、クリエイター(中でもファンの多い人)が特に興味深い質問を見つけて回答する作業をやりやすくするものだ。

画像クレジット:TikTok

Q&Aを使うには、まず新しいオプションを使ってコメントをQ&Aに指定する。そのためには、コメントのテキスト入力欄の右側にあるQ&Aアイコンをタップする。するとコメントにはアイコンと「Asked by」の後に質問した人のユーザー名が続くテキストがラベルづけされる。こうしてクリエイターは自分の動画に付いたコメントの長いリストを見るのが楽になる。

さらに、指定された質問は新設されたQ&Aページにも表示され、質問と回答が集約される。ユーザーはこのページを見て、過去の質問やすでに回答された質問を見たり、自分で質問を追加したりできる。

クリエイターは以前と同じようにテキストまたは動画でQ&Aに回答するので、手順は以前と変わらず新たに覚えることはほとんどない。

Q&Aコメントをスタンプとして自分の回答に付加することもできる。新しいビデオには最初に質問のあった元の動画へのリンクがあり、これは今のコメントスタンプの使い方と同様だ。

新機能はTikTok LIVE(ティクトック・ライブ)でも利用可能で、クリエイターはストリーミングのチャットに入ってくる質問を別パネルで簡単に見ることができる。

画像クレジット:TikTok

新機能の公開にともない、Q&Aプロフィールのリンクをクリエイターのプロフィール略歴に追加できるようになった。ユーザーはそこから整理されたQ&Aページに飛ぶことができる。

テスト期間中、この機能を利用できたのは、フォロワーが1万人の公開アカウントを持ち、オプトインしたクリエイターだけだった。3月4日、TikTokはクリエイター・アカウントを持つ全ユーザーが利用できるようになったと発表した。

関連記事:TikTokがQ&A機能をテスト中、ファンからの質問にクリエイターはテキストと動画で効果的な回答が可能に

自分のプロフィールで新機能を有効にするためには、Settingsのプライバシーページを開き、「Creator」を選び、「Q&A」をタップ、次に「Turn on Q&A」をタップする(クリエイターアカウントをまだ持っていないユーザーは、settingメニューで自分で有効にできる)。

新機能はTikTokアプリの最新バージョンとともに全世界のユーザーに公開されている、と同社は述べている。

@tiktokYou can now ask and answer any questions on LIVE with the new Q&A feature. Check it out now!♬ original sound – TikTok

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タグ:TikTok

画像クレジット:TikTok

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

TikTokがコンテンツ管理改善のため欧州に安全諮問委員会を設置

TikTok(ティックトック)は子どもの安全や、若年層のメンタルヘルスと過激主義などを専門とする外部専門家が参加するSafety Advisory Council(安全諮問委員会)を欧州に設置する。そうした分野でのコンテンツモデレーションに役立てるのが狙いだ。

米国時間3月2日に発表されたこの動きは、イタリアのデータ保護当局による2021年1月の介入を受けてのものだ。イタリアでは、TikTokでの失神チャレンジに参加した少女が窒息死したと現地メディアに報じられた事件を受けて、現地当局がTikTokに年齢を確認できていないユーザーをブロックするよう命じた。

関連記事:「失神チャレンジ」による少女死亡事件でTikTokのイタリア当局への対応に注目

TikTokはまたEU消費者保護当局によって取りまとめられた一連の苦情の対象にもなっていた。当局は2021年2月、子どもの安全に関する懸念を含め、EUの消費者保護とプライバシーの規則に関する数多くの違反を詳細に記した2つのレポートを発表している。

「当社は常に既存の機能と規則をレビューし、安全を最優先とするための大胆な新しい対策を考え出そうとしています」とTikTokは説明し、欧州でプラットフォームの安全性を改善する必要性を肯定的にとらえている。

「諮問委員会には欧州中の研究機関や市民社会のリーダーに参加してもらいます。各委員は当社が直面している課題についてそれぞれ異なる、新鮮な見方を示し、当社のコンテンツモデレーション規則と実行についてアドバイスする際にその特定分野の専門性を提供します。今日当社が抱えている課題を解決する前向きな規則を定めるのをサポートするだけでなく、将来TikTokや当社のコミュニティに影響する新たな問題を特定するのにも力を貸してくれます」。

そうしたアドバイザー機関をTikTokが立ち上げるのは今回が初めてではない。同社は1年前、選挙誤情報の拡散と広範なセキュリティの問題をについて米国の議員から厳しい調査を受けることになった後、米国安全諮問委員会を発表した。セキュリティの問題には、中国企業が所有するTikTokアプリが中国政府の命令で検閲を行っているという告発も含まれた。

しかしTikTokの欧州コンテンツモデレーション諮問組織への最初の被任命者の一覧は、同社の欧州でのフォーカスが子どもの安全と若年層のメンタルヘルス、過激主義、ヘイトスピーチに向けられていることを示しており、これは欧州の議員や当局、市民社会からこれまで最も厳しい目が向けられている主要分野であることを反映している。

TikTokは欧州の諮問委員会に9人を指名した(リストはここ)。さしあたっては、いじめ対策、若年層のメンタルヘルス、デジタルペアレンティング、オンラインでの子どもの性的搾取・虐待、過激主義と脱急進化、偏見と差別、ヘイトクライムの対策の外部専門家に参加してもらう。委員会のメンバーは今後さらに増やす、とTikTokは話している(「将来当社をサポートしてもらうために、より多くの国や異なる専門性を持つメンバー」を加えるとしている)。

TikTokはまた、EUでサービスを展開しているプラットフォーム向けに準備中の汎EU規則にも注意を向けている。

EUの議員たちは最近、デジタルサービスプロバイダーが推進して収益を上げているコンテンツに説明責任を持たせることを目的とする法案を提出した。現在は草案で、EUの共同立法過程を経ることになるDigital Services Act(デジタルサービス法)は、さまざまなプラットフォームが明らかに違法なコンテンツ(ヘイトスピーチや子どもの性的搾取など)を削除するのにどのように対応しなければならないかを定める。

EUのデジタルサービス法は若年層のメンタルヘルス問題など、多岐にわたる害に対応するプラットフォームのための特定の規則を定めることを回避した。それとは対照的に、英国はソーシャルメディアを規制するための計画でそうした問題に対処することを提案している(Online Safety bill、オンライン安全性法)。しかし、計画された法制化はさまざまな方法でデジタルサービスをめぐる説明責任を推進するという意図だ。

関連記事:2021年提出予定の英国オンライン危害法案の注意義務違反への罰金は年間売上高10%

例えば法案には、TikTokが含まれるであろう大手プラットフォームに外部研究者がそのサービスの社会的影響を研究できるようデータを提供することを求める、というものが含まれている。耳目を集める(独立した)研究が、注目を引いているサービスのメンタルヘルス影響を調べることになるというのは想像に難くない。なので、プラットフォームのデータは、例えばユーザーに安全な環境を提供できていないなど、サービス事業者にとってマイナスのPR材料と変わり得る。

監視体制が導入される前に、プラットフォームは先回りして良い位置に付けられるよう、欧州の市民社会への接触を高めるためのインセンティブを増やしている。

【更新】TikTokへの最近の消費者・データ保護苦情を取りまとめた欧州の消費者協会であるBEUC(欧州消費者機構)にTikTokの諮問機関についてのコメントを求めたところ、審議官Ursula Pachl(アルスラ・パクル)氏の名前で次のような声明が送られてきた。「どのようにユーザーを、特に子どもをこれまで以上に保護するのか、専門家からアドバイスを受けるようTikTokに促すことしかできません。第一に取り組むべきTikTokの懸念は、同社が欧州と国内の法令に則るためにあらゆる方策を取るようにすべき、ということです」。

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タグ:TikTokヨーロッパモデレーション

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

ナワリヌイ氏が混ぜっ返すロシアの政治戦争にTikTokも台頭

TikTokは激化する政治的闘争から遠ざかるためこの数年間にいくつもの方針を制定してきた。だが、TikTokユーザーたちは別の意図を秘めているようだ。

ロシアではソーシャルメディア上での争いが出現している。

アプリを使って言論の自由を支持する動画を作成している若者たちの勢力がある。反プーチン派で反汚職政治家で政治活動家のAlexei Navalny(アレクセイ・ナワリヌイ)氏に対する政府の対応や、政府のあり方そのものに意義を唱える人々を集めるためだ。

対する、政府側も素早くソーシャルメディアの動画メッセージの世界へ参入した。何人かのインフルエンサーを選出し、聞くところによるとギャラを支払って、反対派に参加しないよう説得する動画を作成させているようだ。

ナワリヌイ氏とプーチン政権の闘争は、政治的な争いからナワリヌイ氏の投獄、毒殺未遂(療養のためにドイツへ避難した)とそれに続く、ロシアへの強制帰国命令と、帰国直後の拘束劇など、長期に及ぶ。執行猶予条件に反したことを理由に現在も拘束中だ。

そうした出来事を通じ、ナワリヌイ氏は反体制派のヒーロー的存在となった。揺さぶりをかけられている(だが見たところ、まだ完全には転覆していない)内閣支持率を背景に、景気低迷と新型コロナウイルス感染症に対する政府の対応について既に不満が溜まっていた人々は、集団抗議を求めるナワリヌイ氏の呼びかけに力強く応えている。

アラブ闘争で主要な役割を担ったTwitter(ツイッター)とは異なり、これらの抗議運動が展開するにつれ、TikTokは反対派の活動データを断片的に示すソーシャルメディアになっている。

アカウント名「@kushat_hochu」でTikTokに120万人のフォロワーを持つフードブロガーのEgor Khodasevich(イゴール・クデセバック)氏は、「ロシアのTikTokで、政治的な投稿は一般的ではありません」と言う。「ナワリヌイ氏の帰還前まで、TikTokは悪ふざけやソ連崩壊後のゴミみたいな美意識の集約でしかありませんでした。それが突然、バラエティ、美容、スポーツなどありとあらゆる分野に政治関連の動画が出現したのです」。

現在、TikTokアプリ上のロシア語投稿は大きく転換し、ティーンエイジャーたちが自分のパスポートを半分に切って投げ捨てている動画、ナワリヌイ氏の支持者たちがプーチン大統領の肖像画を取り外してナワリヌイ氏のものと取り替えている動画など、人目を引く動画で溢れかえっている。「あたたかい服を着て、ポータブル電源と水を蓄え、もし捕まった場合は外国人のふりをする」と助言する、未来の反対派を育成するかのようなハウツー動画も見られる。

@almorozova#навальный #свободунавальному быть против власти – не значит быть против Родины♬ оригинальный звук – новый год кончился…

「#23января(1月23日。現時点までで最も大規模な抗議デモが行われた日)」や「#занавального(ナワリヌイ氏のために)」などは良く使用されるハッシュタグだ。

動画の波は、ナワリヌイ氏本人からの発言も引き出した。TikTok上ではなかったが、Instagram(インスタグラム)に、声を上げて大衆を先導しているTikTokの活動家たちを讃える投稿をした。

同氏は「TikTokで大騒ぎを起こしている若者たちがいると私の弁護士から聞きました。彼らに敬意を表します」とある投稿で記したが、のちにTikTokの抗議動画が卑劣なアメリカ人によってばら撒かれた「でっち上げ」だとからかった

ロシアのTikTokユーザー数は少ないが、そのコミュニティは急速に成長しており、発言力を高めている。

米調査会社SensorTower(センサータワー)提供のデータによれば、現在までにTikTokは世界中で26億6000万回以上ダウンロードされている(この数値には中国版Douyin(ドウイン)のダウンロード数も含む)。また、ロシアでは、およそ9360万回インストールされている(この数値には直接ダウンロードもしくはサイドロードされた数のみを含む。サードパーティーのAndroidストアからの数は含まない)。

12月末のThe Moscow Times(ザ・モスクワ・タイムズ)の記事では、ロシア国内に2000万人のアクティブユーザーがいると推定している。2019年末の800万人に比べると2倍以上だ。TikTok自体は、ロシア国内ならびに世界中にいる現時点でのMAU(月間アクティブユーザー)数を公表していないが、アナリストたちはTikTokの月間アクティブユーザー数が今年初頭には10億人を有に超えていたのではないかと予測している。

たとえ1桁少ない1億人だったとしても、TikTokでナワリヌイ氏のハッシュタグが付いた動画の視聴回数は10億回を超えている(この記事を投稿した時点で、視聴回数は16億回を超えていた)。

帝国の逆襲

だが、テクノロジー競争に先んじることはロシアの得意技である(永続的ではないにしても)。政府側は既にいくつかの方法で自分たちの有利に働くようメディアを活用している。

国営放送や別の国営メディアは公共安全や新型コロナウイルス感染症拡大の問題、逮捕(反対派に追従した場合、当局は反対派の集会に結集した数百人の物議を醸す集団逮捕を実行した)の危険性を散らつかせ、抗議デモに参加しないよう強い口調で呼びかけている。

同時に、ソーシャルメディアにも注意が向けられた。とりわけTikTokだ。

Roskomnadzor(ロスコムナゾール:ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁)は当初、「主要インターネットプラットフォームが合計170件の違法な呼びかけをすぐに削除しなかった」として、抗議に関する投稿の公開をめぐり、すべての主要ソーシャルメディアプラットフォームに最大400万ルーブル(約569万円)の罰金を科すと発表した

また、TikTok、Facebook(フェイスブック)、Telegram(テレグラム)、Vkontakte(フコンタクテ:ロシア最大級のSNS)の経営陣に対し、各社のプラットフォームでそうした違法動画が未だに削除されていない理由について、規制当局に出向いて説明するよう命じた。この命令に従わなかった場合は、罰金が対象企業の年間収益10%に増額され、コンプライアンス違反の場合はサービスの活動停止もあり得ることにも言及した。

TikToker(ティックトッカー:TikTokを使って動画配信や情報発信を行う人)が、自分の投稿動画が削除された後に警察の呼び出しを受けたと訴えていたころ、TikTokはこうしたすべての結果を受けて当局からより直接的に罰金という脅しを受け始めていたわけである。

オンラインプラットフォームに対する当局の検閲に先駆けて、捜査官たちは当局の動きを社会的影響を考慮した対応だと説明した。さらに、抗議動画は未成年者を違法な活動に関与させ、彼らを危険に追い込もうとする組織的な犯罪の試みであるとも述べた。

このすべてに加えて、政府もゲリラ的なアプローチを取ろうとしてるように見える。

小規模アカウントや新規作成アカウント、それに人気のブロガーたちが揃って、抗議に参加しないよう説得する動画を少しずつ投稿し始めたのだ。こうした動画は、ロシア語で、抗議活動の危険性を警告している。

少なくとも何人かの動画投稿者は裏でギャラをもらっていたことが判明している。この動画作成オファーを拒否し、代わりにこの件をTikTokに投稿したあるティックトッカーによれば、2000ルーブル(約2600円)から5000ルーブル(約7100円)ほどの金額が提示されたという。

(あまり大金に思えないかもしれないが、2019年の平均月給が約718ドル(約76000円)の国では、若者にとって考慮に値する金額である)。

こうした状況が明るみに出るまでにそう長くはかからなかった。先週になって、抗議を非難するいくつもの動画が削除された。TikTokが行ったのかどうかは、この記事へのコメントを断られたため定かではない。もしくは投稿者自身が削除したのか。

しかし、あるケースでは、74万1000人のフォロワーを持つ ティックトッカー「@golyakov_」が抗議活動が危険であるさまざまな理由を投稿していた。後に彼はギャラを受け取っていたことを認めたが、信じていたことを発言したと主張した(その動画が削除されずに投稿されたままなのはおそらくそのためか?)

ソーシャルメディアのインフルエンサー専門エージェンシー、Startok(スタートック)は政府から動画作成のギャラを受け取っていたクリエイター2人との契約を解除したとTechCrunchに打ち明けた。

TikTokは、その急速な台頭と若者たちの間のブームによって、多くのソーシャルメディアの中でも独自の存在感を示している。だが、メッセージングとギャラありの投稿募集のどちらにおいても、反ナワリヌイ氏の活動を見れる唯一のソーシャルメディアプラットフォームであるというわけではない。

ナワリヌイ氏の秘書は、同氏が帰国決意を表明したインスタグラムのストーリーをツイッターに投稿し、帰国後に拘束されることを知りながらロシアに帰国することは大胆な宣伝行為であると疑問を投げかけた。

また、ソーシャルメディアエージェンシーAvtorskiye Media(アブトルスカイエ・メディア)の営業責任者であるBoris Kantorovich(ボリス・カントロヴィチ)は、反対派の人々の拘束についてツイッターに投稿したが、テレグラムのチャットグループADvizer.me(アドバイザー・ミー)やフェイスブックグループで「デモ参加者は集会で警察を挑発している」、「ナワリヌイ氏はもううんざりだ」、「静かな平和が欲しい」といった1つか2つの話題で動画作成をブロガーたちに依頼する短い投稿を目にしたこともあったと述べた。

カントロヴィチ氏がティックトッカーの1人になりすましたところ、15秒動画についての概要を受け取った。「手短に交渉した後、ギャラを2000ルーブル(約2800円)から3500ルーブル(約5000円)に引き上げることができました」と言う。

詳細なクリエイティブブリーフには、1月31日とナワリヌイ氏の2回目の公判日だった2月2日の抗議活動に対する非難を含める必要があるというガイダンスが記載されていた。

「ブロガーは『ナワリヌイは100%の確率で刑務所に行く』、彼は『西側諸国から資金援助を受けている』、そして『彼の最近の投獄は合法である』と発言する必要があります」とカントロヴィチ氏は述べた。

同氏が勤務するエージェンシーであるアブトルスカイエ・メディアには、所属ブロガーを使った動画広告に関する当局からの依頼はなかったと、カントロヴィチ氏は付け加えた。「当社はすべての広告に投稿者を明記しますが、当局は世論の錯覚を起こそうとしてるため、広告が誰の手によるものなのか明示することを好みません」と言う。

Anatoly Kapustin(アナトリー・カプスティン)氏も、広告代理店の「虚構」について似たような情報を共有した。

カプスティン氏はロシアの独立系テレビ局Rain(レイン)でのインタビューで、広告主を「若者たちのための公的機関」と呼んだ。

「オファーされた話題は『抗議デモ参加者は刑事責任に問われる可能性がある』、『刑務所に入ることになれば、良い給与をもらえる仕事に就けなくなる』、『ナワリヌイ氏の子どもたちが米国留学している』というものでした」と、同氏はインタビューで話した。

時にTikTokは、反対派が拡散を狙って政府支持キャンペーンを覆して利用したことでも知られている。

決まった音楽が流れて「TikTokは政治の場ではなく[おもしろい、政治に関係のない活動/動画をここに挿入]のための場所」という1フレーズが低い声で流れる動画を作成することが流行したが、その音声とハッシュタグは、言論の自由を主張し、声を上げることを奨励する反対派によって乗っ取られた。

TikTokはこれに関してもコメントを控えた。だが、一般的に同企業は、政治党派に介入せず、政治的宣伝の場を提供するというポリシーのもと、同社のプラットフォームを政治的視点を理解してもらうための商業機会に転換している。

TikTokは視聴者から有料広告である可能性が示唆された動画削除についてのコメントを控えた。また、政府から動画削除依頼を受けたかどうかについても言及しなかった。一方で、TikTokはこうした点に関する一部の詳細やそれに続く事後対応を確認できる透明性についての定期レポートを公開している(各要請を個別に判断している)。

ナワリヌイ氏の行動で明らかなったのは、若者たちが政治への参加に大変意欲的であることだ。そして今、TikTokが若者の政治参加に恰好の場となっている。

フードブロガーのクデセバック氏はロシアの野党が選ぶプラットフォームとして、TikTokはツイッターに取って替わることができると考えている。

「優れたアルゴリズムのおかげで、TikTokでは広告費用を支払わなくても、YouTube(ユーチューブ)やインスタグラムより多くのオーディエンスに動画を見てもらえます。抗議デモへの直接的な呼びかけが含まれていない政治的動画は禁止されない、とTikTokの担当者は言っていました」と同氏はインタビューに答えた。

ということは、少しの創造力と多くの日和見主義と政治批判を駆使すれば、与党と野党のどちらも自身の政策を押し進めることが可能だということだ。ボリス・カントロヴィチ氏もこれに同意した。

「当局は戦略を変えるでしょう。そしてもっと狡猾になるでしょう」と、同氏は言う。「当局の動きは迅速でした。おそらくTikTokが政権支持者を増やしていくのに良い土壌だと認識しているのでしょう。現時点でTikTokのプラットフォームで人々が政治について話すことをやめさせるには、このプラットフォームへのアクセス自体を禁止するより他はないでしょう」。

勝ち目がないなら、参加してしまうのも一手か?ここ数日間で、政府機関であるロシア外務省Ministry of Emergency Situations(ロシア非常事態省)がTikTokアカウントを開設し、政府もTikTokに参加したことを国民に示した。

@mchs.russiaВы только посмотрите, что могут наши сотрудники! Отправляйте свою реакцию в комментариях!Спасибо за предоставленное видео @@anatoly.doletsky♬ оригинальный звук – МЧС России

一部の投稿はそれほど巧妙ではない。ロシア外務省はTikTokのアカウント開設直後にナワリヌイ氏の疑惑について投稿した。だが大抵は、政府機関がこのプラットフォームで反対勢力の人々が勢いづくことを意識しすぎなほど理解している兆しが見て取れる。そして、それに対抗するさまざまな試みを試そうとしているようだ。

では、TikTokは本当に、非常に大勢の若者を集会に参加させる力があるのか?私たちは新しい反対運動の誕生の場に居合わせているのか?それとも、これは単発の政治活動に過ぎないのか?

1月23日、テレビ局のレインがモスクワで行った世論調査によると、反対派の支持者が初めて44%を占めるという快挙に出た。そのうち、18歳以下は10%で、反対派の平均年齢は31歳前後で推移している。これはロシアのTikTokユーザー分布図と重なる。

その他の主要な活動(昨年のBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動など)では、抗議デモ参加者のうち、18歳から34歳の年齢層が最も大きな割合を占めていることがわかった(他の年齢層の参加者よりも積極的に参加していることも注目に値する)。

それを踏まえて、ロシア当局も反対勢力も、そうした年齢層に最も人気のあるソーシャルメディアのプラットフォームを使って、新しい歩兵を誘い入れようとしているようだ。

今後数か月間で、ソーシャルメディアはより大きな役割を担う可能性がある。ロシアの厳しい冬と警察の鎮圧により、物理的に屋外での反対運動の波は下火になっている。この間も人々は再結集の準備を進めている。

その間にも、ナワリヌイ氏の支持者たちは、2月14日日曜の夕方、午後8時から午後8時15分までの間、自分たちの家の外に立ち、携帯のフラッシュライトを付けて写真を撮り、新しいハッシュタグ#ЛюбовьСильнееСтраха(愛は恐怖より強い)を付け、写真をソーシャルメディアに投稿することを計画している。

ロシア政府は対抗手段を取るに違いない。火曜日に広報担当者Dmitry Peskov(ドミトリー・ペスコフ)は「違法の場合は、警察官や法執行機関はこれに法の裁きを下すだろう」と述べた。

もちろんすべてがソーシャルメディア上の話では、時に全員の真意を理解することが難しい。クデセバック氏が言うように、いくつかの政治的な投稿は本物だが、いくつかは「話題の乗っ取り」と考えられるものがあるのだ。しかし、結局のところ、政府が今、対抗するために総動員していることにたくさんの注目が集まっている。

重大な局面となるナワリヌイ氏の公聴会は2月15日に予定されており、2021年9月の連邦下院選挙も数か月後に迫っている。次に政治闘争の場に何が上がってこようと、大きな賭けに出ることになるだろう。

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タグ:TikTok 政治

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(文:Helena Leo、Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

米国では未成年への電子タバコ「VAPE」販売にTikTokが使われている

TikTokは電子タバコVAPE(ベイプ)をめぐる問題に直面している。2019年に米国の法律で21歳未満の顧客への電子タバコの販売が禁止されたにも関わらず、使い捨て電子タバコやVAPE(フレーバーつき電子タバコ)の宣伝動画がTikTokアプリ内で今でも比較的簡単に探し出せる。ノリの良い人気の音楽が流れ、現在は(米国で)販売が禁止されているフルーツフレーバーやミントフレーバーなどの香りや味つきカートリッジを宣伝しているそれらの動画が、10代をターゲットにしていることは明らかだ。いくつかの販売業者は「用心深い」梱包サービスをウリにしている。彼らが購入者へ出荷するVAPE製品は、保護者による監視の目をすり抜けられるように詰め物の下に隠されたり、化粧ポーチやふわふわのスリッパなど、他の製品の内部に梱包されていたりする。

とりわけ未成年や若年層への訴求力が高いフレーバーつきの使い捨てVAPEへの関心が高まり、それがFDA(米国食品医薬品局)によるJuul(ジュール)取り締まりへの引き金となった

2020年2月、FDAは未成年者をターゲットにしている製品やタバコとメンソール味以外のフレーバーを提供する製品を含む、違法販売された電子タバコに対して、最初の執行措置を取った。Juulを取り締まる目的があったのは明らかだ。

その結果、バブルガムやピーチ、ストロベリーといったフレーバーを欲する若者たちはPuff Bar(パフバー)のような使い捨てVAPEへと走った。使い捨てVAPEは安価で簡単に見つけることができ、コンビニエンスストアやガソリンスタンドでも継続して合法的に販売されていた

それだけでなはい。TikTokにも使い捨てVAPEが溢れており、支払いさえできれば、誰でもすぐに手に入れられる。

もっといえば、それらの違法コンテンツがTikTokに報告されても、すべてが削除されるとは限らない。

TechCrunchは、TikTokでVAPEを販売している業者たちが顧客と連絡を取るのにアプリ内の動画とコメントの両方を活用していることに気づいた。さらに彼らは、TikTokの閲覧者を違法運営と思われるウェブサイトに誘導している。また、彼らのTikTok動画には、未成年者が好むフレーバーつきPuff Barのような使い捨てVAPEをはじめとするVAPE製品の在庫状況が頻繁に表示される。

要するに、販売業者たちはFDA規制の執行後もVAPEへの興味を失わなかった若年層の観客に対してVAPEを宣伝するための無料かつ効果的な広告手段として、TikTokを利用しているのだ。

タバコに関する規制のための非営利団体Truth Initiative(トゥルース・イニシアティブ)の最新調査によると、2019年から2020年にかけてJuulの使用量は減少したが、それでも10年生から12年生のVAPE愛用者の41%がJuulを好み、この年代が最も好む電子タバコブランドとなっている。調査結果から、同時期にPuff Bar(8%)やSmok(スモック、13.1%)といった使い捨て製品の売り上げが伸びているのが見て取れる。

2020年9月にTruth Initiativeは次のような声明を出している。「2020年のNational Youth Tobacco Survey(NYTS。全米若者のタバコ使用に関する調査)新しい電子タバコの売上統計データを合わせて見ると、現行の連邦法によってミント味の製品が市場で禁止された際に、若者たちがすばやくメンソールの電子タバコ(特にJuulのメンソールポッド)へ移行したこと、そして、Puff Barのような低価格のフレーバーつき使い捨て電子タバコの人気が急騰したことは明らかだ」。

同団体によると「綿菓子やバナナアイスのように子どもたちが思わず手を出したくなるような名称を使うことにより、使い捨て電子タバコ市場は2019年8月から2020年5月までのわずか10カ月間で2倍に成長した」という。

さらに、TikTokがこの問題に大きく加担している。

Statista(スタティスタ)に発表された第三者機関による推定によると、現在、米国内のアクティブなTikTokユーザーのうち32.5%は10代の若者が使用するアカウントだと想定される。また、TikTokが2020年公表した数字によると、米国にはTikTokの月間アクティブユーザーは約1億人いる。

一方、VAPEや電子タバコの人気ブランド名や関連するキーワードがタグづけされたTikTok動画は数億回のビュー数を稼いでいる。

たとえばVAPEブランドの代名詞であるJuulのハッシュタグ「#juul」がつけられたTikTok動画のビュー数は、本記事の執筆時点で6億2390万回に上っている。

中国初の使い切りVAPE製品メーカーであるPuff Barのハッシュタグ「#puffbar」がつけられた動画のビュー数は4億4980万回だ。他のブランドも多くのビュー数を獲得している。たとえば「#njoy」は5530万回、「#smok」は4010万回、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「#Vuse」は500万回のビュー数となっている。

これらのビュー数はあくまで単語1つのハッシュタグに対するビュー数なので、その単語が別の単語と組み合わされたハッシュタグが無数に存在する。たとえば「#puffbars」「#puffbarplus」「#puffbardealer」などのハッシュタグがあり、順にそれぞれのタグが6680万回、960万回、890万回のビュー数に達している。

これらのハッシュタグがすべてVAPE製品や電子タバコの販売業者に結びついているわけではないが、電子タバコに関連するかなりの量のコンテンツがTikTokアプリ内に存在していることは確かだ。例を挙げるなら、「#juulgang」(ビュー数5億9040万回)のようなタグは、VAPE関連のコンテンツに対抗するハッシュタグとしてVAPE嫌煙家のコンテンツ作成者たちが愛用している。

このようなトレンドは憂慮すべきものだ。TikTokを使用する若年層の多さを考えると、特にそうだといえる。実際のところ、米国のTikTokユーザーの3分の1はおそらく14歳以下だと思われる。

米国のApp StoreではTikTokの使用に際する年齢制限を12歳以上、Google PlayではTikTokのコンテンツに対する推奨年齢を「Teen(13歳以上)」としている。TikTokは若年層アカウントのプライバシーに関するデフォルト設定を変更し、過去に物議を醸し出したハッシュタグ(米大統領選での陰謀論のような)などはすばやく排除したが、その反面、VAPE製品に関するコンテンツへのアクセスはまったく制限されていない。

TikTokにおける電子タバコ喫煙に関するハッシュタクの普及に加えて、多数のVAPE販売者が「@puffsonthelow」や「@PuffUniverse」「@Puffbarcafe」などのわかりやすいアカウント名を販売時に使用していることをTechCrunchは突き止めた。それらのアカウントのページには、大胆にも現在販売している在庫一覧を含むVAPE関連動画が並び、「#puffbarchallenge」「#puffplus」「#vaperticks」といったVAPE関連用語でタグづけされている。

あろうことか、動画に「#kids」やその他のトレンドタグをつけていたVAPE販売者もいた。

ターゲット層の大部分が10代のVAPE愛好家であることを熟知しているため、販売者が投稿した動画の多くに、保護者に見つからないよう他の製品の中にVAPEを同梱する映像や、詰め物で隠して包装した状態で配送できることを伝える描写が含まれていた。キャンディの下、化粧ポーチの中、靴下の中、他の大きい製品の下などにVAPEを隠して梱包している動画がいくつも見つかった。

アカウントのプロフィールで公表されているリンクや、動画上に表示されるリンクを通して、TikTokのユーザーは販売者のウェブサイトや、ポップアップでの年齢確認のみで済むDiscordのチャンネルへ、自動的に転送されてしまう。

多くの場合、製品を買い物かごへ追加し、そのまま支払い手続きをすることによってすぐに購入できる。大半の販売者は、通常のクレジットカード支払いの代わりに、PayPal(ペイパル)やVenmo(ベンモ)またはCash Appなどを使って決済するよう顧客を誘導している。

米国で、特に若者の喫煙を減らす運動をしている非営利団体として有名なCampaign for Tobacco Free Kidsによると、これらの行為はすべて違法である。

Campaign for Tobacco Free Kidsの代表者であるMatt Myers(マット・マイヤーズ)氏はTechCrunchに次のように語った。「21歳未満の未成年に電子タバコ関連製品の販売をすることはもちろん、ダイレクトに訴求する行為も違法です。そして、年齢確認をせずに実際の販売手続きを行うことも違法行為です」。

画像クレジット:TikTokのスクリーンショット

さらに、マイヤーズ氏は、ウェブサイトで「私は21歳以上です」というボタンをクリックするだけでは、電子タバコ製品を販売する際の法的に有効な年齢確認にならないことをつけ加える。

FDAは未だにオンライン販売に際しての具体的なガイダンスを発表していないが、未成年者への販売を防止するため、小売業者による販売時の身分証明書(ID)確認が必須であることは、法律で明確に定められている

FDAはまた、オンラインの小売販売者からの電子タバコやその他タバコ製品の購入を減らす目的で、米郵便公社や他の宅配業者を通してこれらの製品を配送することについて米国議会が最近、新しい規制を制定したことを、TechCrunchに思い起こさせてくれた。

だが、マイヤーズ氏は現行のFDAガイドラインのせいで、「ソーシャルメディアを通した」VAPE販売を取り締まることが必要以上に難しくなった、と指摘する。

「ソーシャルメディアでVAPE販売のために使用される画像、インフルエンサーの使用、販売広告はFDAによって連邦基準に沿って統制されます。しかし、FDAの連邦基準は非常に広範で概括的です。FDAは、明確かつ具体的なガイドラインを提示していません。そのために、すべての人がまるで常に『もぐら叩き』ゲームをしているような状態です」とマイヤーズ氏は語る。

大抵の場合、FDAによる介入があって初めて取り締まりが行われるが、マイヤーズ氏によると、そのような介入は「非常に稀」だという。

「現在見られる態度、行為、製品すべてが、電子タバコに関する前述の法律に違反しています。それにも関わらず、先の政権下で導入された取り締まり体制は嘆かわしいほどに弱く、不十分です」とマイヤーズ氏はいう。

画像クレジット:TikTokのスクリーンショット

事態を複雑にしている別の要因として、Campaign for Tobacco Free Kidsのような公共的な健康支援団体が、他のソーシャルネットワークとの間で築けている適切な関係を、TikTokとは築けていないことがある。

過去数年にわたり、100以上の公共的な健康支援団体が団結してFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)、Twitter(ツイッター)、Snapchat(スナップチャット)などの代表的なソーシャルネットワークに対し、タバコに関連したコンテンツや販売においてインフルエンサーを利用することを厳しく取り締まるよう依頼してきた。そのような努力が実を結び、FacebookやInstagramは、ソーシャルメディアのインフルエンサーたちがタバコ関連製品を宣伝することや、それらのコンテンツを抽出するアルゴリズムの開発を禁止する新しいルールを制定した。

全体的には、健康支援団体は代表的なソーシャルメディアのプラットフォーム上でのタバコやVAPE関連コンテンツが減少したと発表しているが、TikTokはまだその中に含まれていない。

TikTokは比較的新しいアプリであるため、Campaign for Tobacco Free KidsはTikTokに関する包括的な調査ができていないことをマイヤーズ氏は認めている。だが、同団体がこれまで観察してきたところによると、TikTokに対する懸念は高まり続けている。

「インフルエンサーを起用する、TikTokに惹きつけられる若年層に対して直接販売を持ちかけるなど、TikTokには、今まで見た中でもかなり悪質な販売手法があふれています。そして、TikTok側がそれらの行為に対して何らかの措置を講じた形跡は確認できていません」とマイヤーズ氏は続けた。

TikTokが、この問題を認識していなかったと主張することはできない。

画像クレジット:TikTokのスクリーンショット

あるVAPE販売者が「身分証明書(ID)確認不要」と恥知らずにも宣伝したことがアプリ内の報告システムによって検知された際、TikTokのコンテンツモデレートチームは、「このコンテンツはTikTokのガイドラインに反していない」と述べた。別のVAPE販売者が報告された時も、同様の対応が取られている(下記参照)。

TikTokは、このようなことは起きてはならないと主張する。同社は、VAPEや電子タバコのコンテンツを掲載しているアカウントは見つけ次第削除し、タバコやVAPE関連の外部ウェブサイトへリンクするアカウントのプロフィールをリセットするとTechCrunchに述べた。

TikTokはまた、TikTokコミュニティガイドラインで、未成年によるタバコの保持または消費を提案、描写、模倣、推奨するコンテンツや、未成年を対象としたタバコの売買、や交換方法に関するコンテンツを禁止しているという。そして、同ガイドラインではタバコの広告も許可されていない。

画像クレジット:TikTokレポートのスクリーンショット

TikTokに関するこの問題を認識しているかどうかについてFDAのコメントを求めたところ、FDAの広報担当者は、コンプライアンスや法執行に関する具体的な措置は検討していないと回答した。

ただし、FDAは小売業者、製造業者、輸入業者、販売代理店による連邦タバコ規制のコンプライアンス遵守を厳重に監視し、違反が起きた際には是正処置を取ると述べた。加えてFDAは、インターネット上のものも含め、タバコのラベルや広告、その他の販促活動に対して常時モニタリングと監視を行っていると続けた。

事態をさらに複雑にしているのが、フレーバーつきVAPEの販売許可申請をFDAが受けつけていることだ。Puff Barなのか、別の会社なのか、どの会社が申請中なのかは公表されていない。つまり、健康支援団体はFDAがどの製品の販売許可を検討中なのかわからないのだ。

だがFDAは、販売許可申請書を提出したかどうかに関係なく、どの製品もその製造会社が「若年層がその製品を利用できないようにするための適切な方策を取っていない」場合は販売を許可することはないと、TechCrunchに述べた。

それならば、オンラインのPuff Bar小売店やTickTokでの販売活動も含まれるということだ。

FDAは先に、Puff Barに対して具体的な行動を取ったことをつけ加えた。

販売許可を受けるに達していない、低品質で不正表示された製品を販売していたことについて、FDAは2020年7月にCool Clouds(クール・クラウズ。正式名はCool Clouds Distribution, Inc. d/b/a Puff Bar)に対して警告を発している。

2021年1月には、FDAと米国税関国境保護局が、Puff XXLやPuff FlowをなどのPuff Barブランドに似た使い捨てのフレーバーつき電子タバコカートリッジを含む3万3681箱の電子タバコ関連製品を差し押さえたという。

TikTokはTechCrunchがこの記事に記してきたような行為がTikTokのガイドラインやポリシーに違反していると追認したが、ポリシーがあるのにそれを実践できていない理由については説明しなかった。

TikTokの広報担当者はTechCrunchに次のように語った。「私たちはTikTokコミュニティの安全性と健全性に対して責任があります。未成年者のタバコやドラックの保有、消費を誘発するもしくは描写するコンテンツは厳重に禁止しています。VAPE製品の販売促進に使用されていると確認できたアカウントは排除しますし、VAPE製品の広告は許可しません」。

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タグ:TikTokVAPEアメリカSNSFDA

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

TikTokがWhiskと連携して料理動画からレシピを保存する機能をテスト

TikTokが他社サービスとの統合を拡大し、フード関係のクリエイターがWhiskアプリのレシピに直接リンクできる機能のテストを開始した。TikTokのフード動画にオーバーレイで新たに表示されるようになったボタンからレシピをダウンロードできる。この機能によりTikTokの料理動画は行動につながるものになり、利用者はコンテンツを視聴するだけでなく後で使えるコンテンツを保存するという次の段階へ進めるようになる。

この新しいボタンからWhiskへのトラフィックが大幅に増える可能性もある。最近の「TikTokパスタ」動画のようにレシピがバズればなおさらだ。

TikTokはTechCrunchに対して、このボタンはWhiskとの連携により設けられたもので、現在は「アルファテスト」の段階であることを認めた。TikTokはWhiskと協力して、この新機能を最初に利用するフードコンテンツのクリエイターを選んでいるという。

TikTokのトップフードクリエイターの1人The Korean VeganことJoanne L. Molinaro(ジョアン・L・モリナロ)氏のプロフィールにこのボタンが表示されることが確認できた。

画像クレジット:TikTok(スクリーンショット)

このボタンは、ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏がTikTokの@feelgoodfoodieアカウントで初めて発見した。

TikTokの視聴者からすると、この機能の使い方は簡単だ。

テストグループに含まれているユーザーに対して、TikTokアプリの動画に「See full recipe(詳しいレシピを見る)」と書かれたボタンが表示されることがある。このボタンは画面の左下、クリエイター名と動画の説明のすぐ上に表示される。他の動画で「Green Screen(グリーンスクリーン)」ボタンが表示されるのと同じ位置だ。Whiskを使っている人がレシピのボタンをタップするとWhiskのページに移動し、レシピの写真や材料を見たりレシピを保存したりすることができる。

これはすべてTikTokアプリ内で動作する。

クリエイター側は、動画を投稿するワークフローの中で新しい「add link(リンクを追加)」のオプションを使ってレシピのボタンを追加する。

「レシピを保存する」機能がTikTokの動画に追加されたが、この機能は必ずしもフードコンテンツのクリエイターだけに限定されるものではない。Whiskのプラットフォーム上では誰でもレシピのコミュニティを作ることができ、たとえばインスタントのペットフードやスムージーのアイデア、簡単なパン作りなど特定のカテゴリーやテーマに関するお気に入りのレシピを集めるだけでフォロワーを増やすことができる。

画像クレジット:Whisk

Whiskはレシピコミュニティの拡大にも取り組み、キュレーターやクリエイターが自分のウェブサイトを持っていればそこへ、あるいはInstagramやYouTube、そしてもちろんTikTokなどのソーシャルメディアのプロフィールへリンクを張って、Whiskをキュレーターやクリエイターのホームにしようとしている。

ファンはソーシャルメディアでコンテンツを見て興味を持ち、次のステップとしてWhiskを見てレシピを保存したり買い物リストを作ったり、家でそのレシピで料理をしたりするかもしれない。このような「行動につながる」コンテンツは、ストーリーピンでショートビデオに進出しているPinterestへの挑戦とも考えられる。Pinterestのクリエイターはストーリーピンでタップ可能な「ストーリー」形式の動画コンテンツを共有することができ、そこにはレシピや料理の動画も含まれる。

関連記事:iOS 14の画面デザイン機能で注目のPinterestがストーリーピンのベータ版を正式に公開

Pinterestはストーリーピンを他社のショートビデオと差別化する手段にしたいと考えている。2月第1週の業績発表で同社は、ストーリーピンは「エンターテインメントに特化したものではなく」むしろ「ピナーが自分の生活を豊かにするために使えるもの」だと述べた。

TikTokが新しいパートナーとしてWhiskを選んだのは、Whiskが2019年末のサービス開始以降、急速に利用者を増やしていることを考えれば納得がいく。現在、Whiskでは月間150万回以上のインタラクションがある。Google PlayのBest of 2020受賞した

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TikTokのボタンが他のサービスと統合されるのは、Whiskが初めてではない。

2021年1月に、教育ジャンルのクリエイターを対象に学習プラットフォームのQuizletで同様の機能が発表された。動画のオーバーレイに表示されるボタンから直接、Quizletのデジタルフラッシュカードなどの学習コンテンツにリンクできる。1月の時点では、Quizletのこの新機能がTikTokの動画を別のアプリやサービスに直接結びつけるという大きな取り組みの一部であることはわからなかった。この取り組みはTikTokのコンテンツ、そしておそらくインフルエンサーのスポンサーシップの拡大にもつながるだろう。

TikTokは多くのジャンルで流行を牽引する力があり、画像にブックマークして集めるPinterestに対してその動画版になる効果があると考えられることから、他にもこのような連携が生まれる可能性がある。

TikTokは2020年末に料理、音楽、美容、ファッションの「トップトレンド」を公開した。ファッションに関していうと、TikTokはWalmartと手を組み、インフルエンサーが登場して売上を伸ばすライブストリームのビデオショッピングのテストを実施し、流行のファッションの分野でも動画の刺激が消費者の行動につながる可能性を示した。

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タグ:TikTokWhisk料理

画像クレジット:Whisk

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

TikTok米国事業のオラクルへの強制売却が棚上げ

TikTokの米国事業の売却が強制されるという非常識な話に終止符が打たれると報道されている。TikTokは、Joe Biden(ジョー・バイデン)政権下での退屈なニューノーマルであるように思われる整然とした、そして合理的な政策立案への移行の犠牲者だ。

2020年秋、当時のDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領政権下で米政府は、Oracle(オラクル)やWalmart(ウォルマート)を含む買い手グループへのTikTok売却を強制することで「ギャングの資本主義」を試みた

関連記事:ギャング資本主義と米国の中国イノベーションの盗用、これは正しい道なのか

その試みは最初からうまくいかなかった。TikTokの親会社ByteDance(バイトダンス)は米政府を相手取った訴訟のほとんどで勝訴した。成功している外国企業の成長を最も薄っぺらなセキュリティ上の理由で妨害しようと米政府は喜んで政治的資本を注いだようだが、ByteDanceは訴訟という思い切った手段にでた。

そして現在、ウォールストリートジャーナル紙が、この件に詳しい情報筋の話として売却を前に進めようとする米政府の取り組みは「無期限に棚上げされている」と報じた。

しかしながら、TikTokのデータ収集に関する懸念、それからアプリ上のコンテンツを操作・検閲している可能性があるため、TikTokと米国家安全当局の間で協議は続いている。

一方で、国家安全保障会議の広報担当Emily Horne(エミリー・ホーン)氏によると、外国政府による侵入または海外で開発された技術の使用によるデータプライバシーとセキュリティへのあらゆる潜在的脅威を米国は調べている。

「我々が直面しているあらゆる脅威を克服する米国のデータ保障に向けた総合的なアプローチを構築します」とホーン氏はウォールストリートジャーナル紙に述べた。「ここには、中国アプリや米国で提供されている他のソフトウェアによって提起されたリスクも含みます。我々が直面しているリスクの総合理解という観点から、今後数カ月で特定のケースをレビューする予定です」。

2020年、中国企業所有のショートビデオ配信サービスTikTokの米国の投資グループへの売却を強制しようと、当時のトランプ大統領はTikTok禁止を命令した

関連記事:米政府のTikTok、WeChatの排除命令の全文とその背景

そのプロセスの一環で、対米外国投資委員会はByteDanceに米国事業を売却するよう命じている。

TikTokは、米国が大統領選挙で混乱していた2020年11月、ワシントンの裁判所に上訴した。

この裁判はまだ係争中だが、別の連邦裁判所は米政府によるTikTok禁止の一時差し止めを命じた。

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タグ:ByteDanceTikTokOracle売却

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

インド政府のTikTok禁止継続を受けてByteDanceが現地従業員を解雇

中国インターネット大手ByteDance(バイトダンス)は、インド政府が先週TikTok(ティクトック)と他の中国のアプリの禁止措置を維持したことを受け、同社のインド従業員にチームの規模を縮小すると伝えた。この件に詳しい情報筋が明らかにし、またTechCrunchも内部メモを入手した。報道を受け、TikTokの広報担当は従業員の解雇を認めている。

インドで2000人超を雇用している同社は現地時間1月27日午前10時に従業員に情報を共有し、重要な職務のみ維持されると伝えた、と情報筋は述べている。従業員の3分の2以上が解雇される見込みとのことだ。2020年6月下旬に大量のアプリを禁止したインド政府がいつTikTokが復活できるのか方向性を明確に示さなかったため、ByteDanceは他に選択肢がなかったと述べた、と情報筋は匿名を条件に語った。

「インドで2000人超の従業員を半年以上サポートしてきましたが、従業員数を削減するより他にないことを大変遺憾に思っています。TikTokを再び展開できる機会を得てインドの数億人ものユーザー、アーティスト、ストーリーテラー、教育者、パフォーマーをサポートすることを楽しみにしています」とTikTokの広報担当はTechCrunchに話した。

禁止前、世界第2位のインターネット市場であるインドでのTikTokの月間アクティブユーザーは2億人で、TikTokにとってインドは最大の海外マーケットだった。インド政府は、中国との地政学的緊張が高まっていた2020年、中国と関連のある200以上のアプリを禁止した。これらのアプリは「究極的にはインドの主権と高潔さを損なう、インドの国家安全保障と防衛にとって脅威となる活動に関与した」とインド政府は述べている。

先週、インド政府はByteDanceと数十の中国企業に、最初に提起した懸念がまだ残っていて禁止措置を維持すると伝えた。

TikTokのCEOであるVanessa Pappas(ヴァネッサ・パッパス)氏とグローバルビジネス担当VPのBlake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏は1月27日に従業員に宛てたメモの中でより詳細に流れを伝えた。「我々は当初、措置が短期的なものになることを、そしてこの問題をすばやく解決できることを願っていました。しかし7カ月が経ち、そうはなりませんでした。みなさんの多くがどのような結果につながるのか辛抱強く待ちました。かなりのストレスをともなうものでした。当社を信頼し続けてくれたことに感謝しています」と2人は書いている。

「想像できるかと思いますが、この大きな決断は簡単なものではありません。ここ数カ月間、経営チームは解雇を回避しようと精力的に取り組んできました。経費を削減し、その一方で福利厚生は提供し続けています。しかしながら、アプリが禁止されている間は全従業員を雇用し続けることはできないのです。今回の決断がインドの従業員に及ぼす影響を十分に承知しており、我々の思いはチームとともにあります」。

解雇の動きは、インドのByteDance従業員にとっての奇妙で混乱の日々を締めくくるものだ。禁止措置後も従業員はインドで禁止されていないByteDanceの生産性アプリLarkのような他のさまざまなアプリの開発に専念するよう言われていた。

しかし、そうしたByteDanceの他のアプリが憂き目にあうリスクを回避するために、これらアプリについて公では話さないよう従業員は求められていた。情報筋はByteDanceがインドでの他のサービスの販促をすべて停止した、とも語った。

「インドにいつ戻ってこれるかわからない一方で、回復力には自信を持っていて、その時が来たら復活します」とパッパス氏とチャンドリー氏はメモに書いた。

1月27日の声明の中で、在インド中国大使館の広報官Ji Rong(ジ・ロン)氏はインドの中国アプリ禁止措置は世界貿易機関(WTO)のガイドラインに反していると述べた。「WTOの無差別の原則と市場経済の公正な競争の原則に違反するこうした動きは、中国企業の正当な権利と利益を著しく損なっています。中国は断固反対します」。

「中国政府は常に、中国企業が海外で事業を展開するときに国際ルールと地域の法律・規則の遵守を求めています。インド政府はWTOのルールと市場原則に従い、中国企業を含む海外投資家の正当な権利と利益を保護する責任があります。また、インド政府が取ってきた行動は同国の事業環境の改善と産業関連のイノベーティブな開発を妨げています。中国とインドの経済・通商での協力は本質的に双方にとって有益です。我々はインドにただちに差別的措置を是正し、二国間協力にさらなる害を与えないよう求めます」。

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インド政府がTikTokやUC Browserなど59の中国製アプリを引き続き禁止
インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表

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タグ:インドアプリTikTok中国ByteDance

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

インド政府がTikTokやUC Browserなど59の中国製アプリを引き続き禁止

インドが2020年6月下旬に禁止したTikTok、UC Browser、UC News、Baidu Map、XiaomiのVideoとCommunity、その他53の中国企業のアプリについて、インド政府は国内におけるすぐの使用再開は認められないと判断した。この件に詳しい情報筋がTechCrunchに明らかにした。

インド政府は先週これらアプリの親会社に、これまでに報告のあった対応ではサイバーセキュリティの懸念を十分に解決していないと伝えた、と情報筋は語っている。内密情報であるため情報筋は匿名とした。

またインド政府はアプリの親会社に、アプリ禁止を継続するが意見交換のチャンネルは完全に閉ざしていないと伝えた、と情報筋は明らかにした。インドのメディアは先週後半、インターネットユーザー6億人超を抱える世界第2位のインターネットマーケットであるインドがそれらアプリを永久に禁止すると報道している。

2020年6月下旬から隣国同士であるインドと中国の間で地政学的緊張が高まり、インドは結局PUMG Mobileを含む中国につながっている200超のアプリを禁止するに至った。これらのアプリすべてが「インドの国家安全保障と防衛にとって脅威となる活動に関与し、究極的にはインドの主権と高潔さに悪影響を与える」とインドのIT大臣は述べた。

インド政府はこれまで、2020年6月に禁止されたアプリに禁止措置についてのフィードバックを送っただけだ。

インドで禁止されたアプリの中で、TikTokは最も有名なものだ。ByteDanceの代表アプリは禁止される前、インドでユーザーは2億人超を抱えていた。しかし禁止措置にもかかわらず、同社はこれまでのところインドで従業員を雇い続けている。

ByteDanceの情報筋は、同社がインドでまだ展開されているLarkという生産性アプリを含むいくつかのアプリを展開しており、チームはそうしたアプリの開発を続けているとTechCrunchに話している。これは今まで報じられていなかった情報だ(UC Browserもかつてインドでかなり人気があったが、GoogleのChromeブラウザの人気の高まりによってUC Browserのインド支配に終止符が打たれた)。

禁止にもかかわらず、TikTokといくつかの禁止された中国アプリはいまだにインドで何百万人というユーザーを維持している。そうしたユーザーはそれらアプリにアクセスするためにVPNといった特殊なソフトウェアを使っている。モバイル分析会社App Annieの幹部がTechCrunchに明らかにしたところによると、TikTokのインドにおける2020年12月のアクティブユーザー数は500万人を超え、PUBG Mobileは1500万人超だった。

TikTokは、インド政府の通知をレビュー中だと声明文で述べた。「当社は引き続きインドの法律や規則の順守に努めており、インド政府の懸念を解消すべく最善を尽くしています。当社の全ユーザーのプライバシーとセキュリティは依然として最優先事項です」と広報担当は述べている。

TikTokのインドでの禁止、そして米国での禁止の可能性についての一連の動きはByteDanceの財務に大して影響を与えていない。The Informationは米国時間1月26日、ByteDanceが2020年売上高を前年の倍以上となる370億ドル(約3億8340億円)に、営業利益も2019年の40億ドル(約4145億円)から70億ドル(約7254億円)に増やしたと報じた

米国と中国の企業は過去10年、新たなユーザー10億人を求めてインドに急ぎ進出してきた。しかしインドマーケットはそうした企業の収益にわずかしか貢献していない。インドの連続起業家Kunal Shah(クナル・シャー)氏は2018年の会議で、多くの企業にとってインドは「MAU(月間アクティブユーザー)ファーム」になったと述べた。

禁止されているにもかかわらず、TikTokとPUBG Mobileはインドに再登場する方法を模索してきた。TikTokはインド最大のコングロマリットの1つ、Reliance Industriesと投資の話し合いを持った。そしてPUBG Mobileはゲーム会社Tencentとの縁を切りインドで1億ドル(約104億円)投資することを約束している。

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米政府がTikTok禁止の差止命令を不服として上訴
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韓国のPUBG開発元がインドでの配信停止から1週間後に中国Tencent Gamesとの配信提携を解消

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タグ:インドアプリTikTokPUBG Mobile中国

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

「失神チャレンジ」による少女死亡事件でTikTokのイタリア当局への対応に注目

TechCrunchが把握しているところでは、TikTok(ティックトック)はイタリアのデータ保護局による年齢が確認できないユーザーの利用を禁止する命令に米国時間1月29日までに対応しなければならない。

地元メディアの報道によると、イタリア・パレルモの10才の少女がソーシャルネットワーク上の「失神チャレンジ」に参加した後に窒息で死亡したことへの対応として、GPDP(Garante Per La Protezione Dei Dati Personali、イタリアのデータ保護機関)は1月22日に「緊急」命令を出した。

GPDPは禁止措置は2月15日まで続くと述べ、その時点で追加の措置を取るかどうか判断する。

この記事執筆時点で、TikTokはGPDPの命令に従う措置を取っていないようだ。

広報担当はGPDPからの通知を検討しているとTechCrunchに語った。「当局からの通知を受け取り、現在、検討しているところです。プライバシーと安全はTikTokの最優先事項であり、当社は全ユーザー、特に若いユーザーを守るために規則やプロセス、テクノロジーを常に強化しています」と広報担当は述べた。

GPDPはすでに、TikTokにおける子供のプライバシーに関して懸念を表明してきた。2020年12月には年齢認証チェックは簡単に回避されていると警告し、ユーザーのコンテンツを公開するデフォルト設定について問題を提起した。2020年12月22日にGPDPは正式な手続きを開始し、TikTokに対応期間として30日を与えた。

年齢が確認できないユーザーの利用を禁止するという今回の命令は追加措置となる。TikTokがGPDPの行政命令に従わない場合、GDPRに盛り込まれている罰則が適用され、同社はイタリアの当局から処罰を受ける可能性がある。

TikTokの広報担当は、行政命令についての他の質問に答えることを拒否した。1月22日のGPDPのプレスリリースによると、命令では「完全に年齢が認証されていない」ユーザーのデータのさらなる処理を禁止している。

同社はまた、当局の正式手続きに対し回答を提出したかどうについても答えなかった。

少女の死亡を受けて同社は先週声明を出し、次のように述べている。「少女のご家族、友人に深い哀悼の意を表します。TikTokではコミュニティ、特に若いユーザーの安全が最優先されます。当社は、怪我につながりそうな危険な行為をそそのかしたり推進したり、あるいは讃美したりするようなコンテンツは許しません。当社はプラットフォームを利用するティーンエイジャーやその家族のために確固たる安全コントロールとリソースを提供しています。そして現在もコミュニティに約束している規則や保護を定期的に向上させています」。

TikTokは、同プラットフォーム上で窒息を含むチャレンジの証拠は見つからなかったと述べた。

しかし近年、未成年ユーザーがプラットフォームで目にしたものをコピーしようと首を吊った(あるいは首吊りを試みた)という数多くの報告がある。

TikTokのバイラル効果として、ユーザーはしばしばコンテンツチャレンジを生み出し、チャレンジに参加する。最近流行っているものの中にはシーシャンティを歌うというものがある。

この記事執筆時点で、TikTok上で「#blackoutchallenge」を検索するとコンテンツは何も表示されず、「当社のガイドラインに反する行動、あるいはコンテンツに関連しているかもしれません」との警告が表示される。

「失神チャレンジ」検索で表示される警告のスクリーンショット(画像クレジット:TechCrunch)

「首吊り」に関連するTikTokチャレンジもあり(首以外の体の一部で吊るなど)、#hangingchallenge(#首吊りチャレンジ)の検索ではまだ結果が表示される(ここには10才の少女の死を議論しているユーザーも含まれる)。

2020年、多くのユーザーがBlack Lives Matters抗議運動に関連する#BlackOutTuesdayというハッシュタグを使って黒い四角の画像を投稿し、TikTokでのイベントに参加した。

なので「blackout」という言葉はTikTok上では人々にコンテンツの投稿を促す意味合いで使われてきた。しかし窒息に関連するケースではそうではない。

TikTokの広報担当によると、アイルランド法人が欧州ユーザーのデータ処理の法的責任を引き継ぐというTikTokによる2020年の発表後、欧州におけるTikTokの主な監督機関であるアイルランドのデータ保護当局は「現在のところ」TikTokの取り調べをしていない。

しかしTikTokはすでに、欧州で数多くの調査や法的問題に直面している。ここには2020年夏に発表された、TikTokがユーザーのデータをいかに扱っていたかについてのフランスの監視機関CNILによる調査が含まれる。

近年CNILは、欧州データ保護法違反でテック大手に過去最大級の罰金を科してきた(GoogleAmazonに対する罰金も含まれる)。

2020年12月には、英国の12才の少女がTikTokは子どものデータを違法に使っているとしてTikTokを訴えた。今後裁判となった場合、少女は匿名のままでいられると裁判所は裁定している。

2021年1月、アイルランドのデータ保護当局は「子ども中心のデータ処理基本」というガイドライン草案を提示した。そこには、子どもに関係するデータ処理の基準を改善するのが目的とある。

GDPRが通常、当局に送られるデータ保護に関する苦情を要する一方で、ワンストップショップ構造であるイタリアGPDPのTikTokへの禁止命令は、差し迫ったリスクがある場合に国の監視機関が「緊急対応」を取ることができる規則(66条)で可能だ。

そうした暫定措置は3カ月のみ継続し、DPAが管轄する国(この場合イタリア)だけに適用される。そしてアイルランドのDPCが他の調査を主導するEU機関となる。

関連記事:TikTokのユーザーデータ取り扱いについてフランスの監視当局が調査開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTokイタリア

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

TikTokがQ&A機能をテスト中、ファンからの質問にクリエイターはテキストと動画で効果的な回答が可能に

人気ショートビデオサービスのTikTokは、クリエイターが視聴者の質問に効果的に回答できる新機能を追加する。TechCrunchの取材に対し同社は、テキストと動画を利用できるQ&A機能をテストしていることを認めた。この機能は動画、ライブストリーム(TikTok LIVE)の双方をサポートしている。ただし現在のところ、利用できるのはテストにオプトインした一部のクリエイターに限られるという。

Q&Aはクリエイターがソーシャルメディアを通じてファンを獲得するための最も有力な方法だ。Instagram StoriesやSnapchat傘下のYOLOといったソーシャルアプリ、さらに小規模なスタートアップでも特に人気がある分野だということが実証されている。

事実、TikTokでもQ&Aがユーザー体験の大きな部分を占めている。ただしこれまではファンからの質問に対しクリエイターは新しい動画の投稿でコメントに返信してきた。ビデオとテキストを併用した回答は単なる短いテキストよりも詳細は情報を与えることができる。クリエイターはこうした動画で背景や意味を説明し、コンテキストを明確化することもあれば、トロルや荒らしに反撃している場合もあった。そのためTikTokのコメント欄は、TikTokという文化とトレンドを形作る上で非常に大きな役割を果たすようになった。

またQ&Aはクリエイターがライブストリーミングの際にファンと交流するためのチャンネルとしても重要だ。しかし現在のライブチャットのインターフェースではクリエイターは大量の質問やコメントに手際よく回答するのが難しい。

クリエイターが現在ファンとの交流をどのように処理しているかを検討する中で、新機能のアイデアが生まれたという。現在の「動画でコメントに返信する」機能と同様に、Q&Aではクリエイターは視聴者の質問に直接、動画で回答できる。動画のコメントフィールドに「Q&A」ボタンが表示される場合、ユーザーははボタンをタップするだけでコメントを「質問」に指定できる。またプロフィールページのQ&Aリンクから直接質問を送信することも可能だ。

クリエイターの立場からいえば、Q&A機能はファンの質問をすべて1カ所に集約してくれるため、回答プロセスが大幅に効率化される。

クリエイターが受け取る質問の数に制限はないが、もちろんすべてに返信する必要はない。

TikTokのQ&A機能は、ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が最初に発見した。ナバラ氏は新機能がユーザーのプロフィールにどのように表示されるかなどの実例をスクリーンショットで撮って公開している。

TikTokはTechCrunchの取材に対して「テスト期間中新しいQ&A機能を利用できるのはアカウントを公開しているクリエイターで、フォロワーが1万人以上あり、設定からこの機能にオプトインした場合のみ」だと回答した。判明しているテスト参加者には、2020年にTikTokが発表したCreative Learning Fundプログラムのセーフリストに登録されたクリエイターも含まれている。

TikTokは「Q&A機能は現在世界でテスト中であり、今後数週間でクリエイターアカウントを持つより多くのユーザーに公開することを目指している」と述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

TikTokが暴動を扇動したトランプ大統領の演説動画を削除、#stormthecapitalなどのハッシュタグをブロック

理由は明らかだが、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領はTikTok(ティクトック)にアカウントを持っていない。そして米国1月6日に米議会議事堂に乱入した暴徒たちを扇動した大統領の演説はTikTokのプラットフォームで扱われることはない。TikTokは議事堂での暴動を同社のコンテンツ規約に照らした結果、トランプ大統領のサポーターへの演説動画を削除することをTechCrunchに明らかにした。同社はまた、アプリでのコンテンツのビジビリティを抑制するために、#stormthecapitolや#patriotpartyといった暴動者たちによって使われた特定のハッシュタグをリダイレクトする。

詐欺的な選挙だったという主張を繰り返したトランプ大統領の演説は、誤情報に関する規約に反したとして削除されている、とTikTokは話す。この規約は誤情報を不正確または誤りのコンテンツと定義している。そしてTikTokは自分自身に関係する話題について丁寧なやりとりをするよう人々に促す一方で、個人やコミュニティ、社会全般に害を及ぼす誤情報は認めないと説明している。

米国で民主的な手続きを阻むことを意図した暴動の暴徒には、もろにこの規約が適用されるようだ。

ただしTikTokはトランプ大統領の動画への「対抗演説」は認める。これは誤情報との戦いにしばしば使われる演説の形式であり、クリエイターは事実情報を示すか、他の動画にある主張を議論する。2020年11月にTikTokはトランプ支持者が展開する選挙は「仕組まれていた」という主張への対応として、こうした主張を促進するのに最も使われていたハッシュタグを使用不可とする一方で対抗演説を認めた。

トランプ大統領の演説の場合、たとえばTikTokはユーザーがスピーチにコメントするのにグリーンスクリーンエフェクトを使うのを認める。

加えて、TikTokは議事堂で発生した暴力の動画の一部がそのまま残ることを認めている。たとえば動画が暴力を非難しているものだったり、報道機関からのものだったりする場合は許される。TikTokはまた、生々しい暴力を描写する「ニュース価値がある」コンテンツに、最近立ち上げたオプトイン視聴のスクリーンを適用している。

12月に発表されたこうしたオプトインのスクリーンは、視聴者の中には生々しい、あるいは悲惨と思う人もいるかもしれない動画の上部に表示される。スクリーンが適用された動画はすでにTikTokのメーンの「For You」フィードで利用できるようになっていて、禁止はされない。視聴者がこのスクリーンに出くわすと、ボタンをタップして動画をスキップしたり、「視聴する」を選んだりすることができる。

ちなみに、我々は1月6日に銃撃されて死んだ女性を映した動画がTikTokに登場してすぐに消えたのを目撃した。出くわした動画は個人ユーザーからのもので、報道機関のものではなかった。しかもそうした動画は暴動を非難してはいなかった。我々が目にした動画が消えたのはTikTokが検閲した結果だったのか、あるいはユーザーが削除することを選んだのかは不明だ。

生々しいコンテンツとは別に、TikTokは暴動を扇動、讃美、促進しようとする動画、そしてコミュニティ・ガイドラインに反する動画も削除すると話す。この場合、そうした動画は自動、あるいはユーザーからの指摘で発見され次第TikTokが削除する。

そして、2020年11月にそうしたように、TikTokはコンテンツのビジビリティを減らすためにハッシュタグを積極的にブロックしている。多数ある中でも現在は#stormthecapitolや#patriotpartyのようなタグをブロックしており、そうしたクエリをコミュニティガイドラインへとリダイレクトする。ハッシュタグの数十のバリエーションをリダイレクトしており、セーフガードを保護するためにタグのリストは共有しないとしている。

TikTokは以前、似たような取り組みとしてstopthestealや#QAnonといったタグをブロックした。

安全とモデレーションに対するTwitter(ツイッター)の姿勢として、同社はトランプ大統領のいくつかの鍵を握るツイートを削除したのち大統領のTwitter使用再開を認めたことを指摘しておくべきだろう。そして同社はまだ現在も使用できる#stopthestealのような偽の主張と関係するハッシュタグをブロックしていない。一方、Facebook(フェイスブック)は少なくとも2週間、トランプ大統領のFacebookとInstagram(インスタグラム)のアカウントを停止する。TikTok同様、Facebookは以前、コミュニティ・スタンダードについてのメッセージを付けてハッシュタグ#stopthestealと#sharpiegateをブロックした。

TikTokのコンテンツモデレーションは、他のソーシャルネットワークに比べるとかなり厳重で、TikTokは習慣的にユーザーの投稿を隠したり、ダウンランクしたり、削除したりする。しかし同社はまた、ニュースの価値があるコンテンツについてあまりにもアグレッシブだと思っている人々に「検閲」していると批判されてきた。

このため、ユーザーは自分たちの動画が削除されないよう、クリエイティブな方法を模索することになった。TikTokの規約を回避するために、たとえば誤ったつづりやコード化された言語を使って編集したりしている。また、単純にあきらめて視聴者をコンテンツのバックアップがとられ規約も厳しくない自身のInstagramに誘導しているクリエイターもいる。

議事堂での事件についてのコメントを求められたTikTokの広報担当は「悪意に満ちた行動や暴力はTikTokではまったく受け入れられません」とTechCrunchに語った。そして「暴力を扇動、讃美、促進するようなコンテンツあるいはアカウントは当社のコミュニティガイドラインに反していて、排除されます」と付け加えた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTokドナルド・トランプアメリカ米国大統領選挙SNSソーシャルメディア

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi